(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】クロック回路及びメモリ
(51)【国際特許分類】
G11C 7/22 20060101AFI20230720BHJP
G06F 12/00 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
G11C7/22 200
G06F12/00 564A
(21)【出願番号】P 2022538825
(86)(22)【出願日】2021-07-05
(86)【国際出願番号】 CN2021104551
(87)【国際公開番号】W WO2022057392
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】202010969644.7
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522246670
【氏名又は名称】チャンシン メモリー テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CHANGXIN MEMORY TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】リン フェン
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-61780(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0082726(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/247683(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/170671(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 7/22
G06F 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック回路であって、
データストローブクロック信号を受信し且つ前記データストローブクロック信号を伝送するように構成されるデータストローブクロックモジュールであって、前記データストローブクロック信号はデータ信号の受信及び/又は送信を制御するためのものである、データストローブクロックモジュールと、
システムクロック信号を受信し且つ前記システムクロック信号を伝送するように構成されるシステムクロックモジュールであって、前記システムクロック信号は命令信号の受信を制御するためのものである、システムクロックモジュールと、を含み、
前記システムクロックモジュールは少なくとも2つの第1信号伝送路を含み、且つ前記データ信号の受信速度及び/又は送信速度が異なることに応じて、異なる第1信号伝送路を採用して前記システムクロック信号を伝送するように構成される、前記クロック回路。
【請求項2】
前記データストローブクロックモジュールは少なくとも2つの第2信号伝送路を含み、異なる伝送速度の前記データストローブクロック信号は異なる前記第2信号伝送路を経由して伝送され、前記伝送速度は前記受信速度及び/又は送信速度に対応し、且つ各前記第2信号伝送路は各前記第1信号伝送路に対応し、前記システムクロックモジュールは、前記データストローブクロック信号が前記第2信号伝送路を介して伝送される場合、前記第2信号伝送路に対応する前記第1信号伝送路を介して前記システムクロック信号を伝送するように構成される
請求項1に記載のクロック回路。
【請求項3】
前記データストローブクロックモジュールは、第1データストローブクロック伝送回路と第2データストローブクロック伝送回路を含み、前記第1データストローブクロック伝送回路と前記第2データストローブクロック伝送回路はそれぞれ異なる前記第2信号伝送路を定義するものであり、前記データストローブクロックモジュールは、前記伝送速度が所定値以上である場合、前記第1データストローブクロック伝送回路を介して前記データストローブクロック信号を伝送し、前記伝送速度が前記所定値より小さい場合、前記第2データストローブクロック伝送回路を介して前記データストローブクロック信号を伝送するように構成される
請求項2に記載のクロック回路。
【請求項4】
前記第1データストローブクロック伝送回路は第1分周ユニットを含み、前記第2データストローブクロック伝送回路は第2分周ユニットを含み、前記第1分周ユニットと前記第2分周ユニットの両方は、前記データストローブクロック信号を分周し、少なくとも2種の異なる位相の分周後のデータストローブクロック信号を出力するように構成される
請求項3に記載のクロック回路。
【請求項5】
前記第1分周ユニットは、消費電力と前記データストローブクロック信号の周波数との第1相関性を有し、前記第2分周ユニットは、消費電力と前記データストローブクロック信号の周波数との第2相関性を有し、前記第1相関性が前記第2相関性より小さく、又は、前記第1分周ユニットは第1干渉防止能力を有し、前記第2分周ユニットは第2干渉防止能力を有し、前記第1干渉防止能力が前記第2干渉防止能力より大きい
請求項4に記載のクロック回路。
【請求項6】
前記第1分周ユニットは電流モードロジック分周回路を含み、前記第2分周ユニットはCMOS分周回路を含む
請求項4又は5に記載のクロック回路。
【請求項7】
前記第1データストローブクロック伝送回路は更に、前記電流モードロジック分周回路に接続され且つ前記分周後のデータストローブクロック信号を出力するように構成される電流モードロジック-CMOS変換ユニットを含む
請求項6に記載のクロック回路。
【請求項8】
前記第2データストローブクロック伝送回路は更に、前記CMOS分周回路に前記データストローブクロック信号を出力するように構成される電流モードロジック-CMOS変換ユニットを含む
請求項6に記載のクロック回路。
【請求項9】
前記第1データストローブクロック伝送回路と前記第2データストローブクロック伝送回路の両方は、前記データストローブクロック信号をバッファリング受信するように構成されるバッファを含
み、
前記バッファは電流モードロジックバッファである
請求項
3に記載のクロック回路。
【請求項10】
前記システムクロックモジュールは、第1システムクロック伝送回路と第2システムクロック伝送回路を含み、前記第1システムクロック伝送回路と前記第2システムクロック伝送回路はそれぞれ異なる前記第1信号伝送路を定義するものであり、前記システムクロックモジュールは、前記データストローブクロック信号が前記第1データストローブクロック伝送回路を介して伝送される場合、前記第1システムクロック伝送回路を介して前記システムクロック信号を伝送し、前記データストローブクロック信号が前記第2データストローブクロック伝送回路を介して伝送される場合、前記第2システムクロック伝送回路を介して前記システムクロック信号を伝送するように構成される
請求項3に記載のクロック回路。
【請求項11】
前記第1システムクロック伝送回路は、前記第1データストローブクロック伝送回路のクロック遅延のマッチングを行うように構成される第1分周ユニットモデルを含み、前記第2システムクロック伝送回路は、前記第2データストローブクロック伝送回路のクロック遅延のマッチングを行うように構成される第2分周ユニットモデルを含
み、
前記第1分周ユニットモデルは電流モードロジック分周回路モデルを含み、前記第2分周ユニットモデルはCMOS分周回路モデルを含む
請求項
10に記載のクロック回路。
【請求項12】
前記第1システムクロック伝送回路は更に、前記電流モードロジック分周回路モデルに接続され且つ前記システムクロック信号を出力するように構成される電流モードロジック-CMOS変換ユニットを含
み、
前記第2システムクロック伝送回路は更に、前記CMOS分周回路モデルに前記システムクロック信号を出力するように構成される電流モードロジック-CMOS変換ユニットを含
み、
前記第1システムクロック伝送回路と前記第2システムクロック伝送回路の両方は、前記システムクロック信号をバッファリング受信するように構成されるバッファを含
み、
前記バッファは電流モードロジックバッファである
請求項
11に記載のクロック回路。
【請求項13】
前記データストローブクロックモジュールは更に、前記第1データストローブクロック伝送回路と前記第2データストローブクロック伝送回路のうちの一方の出力信号を選択して出力するように構成される第1選択回路を含み、前記システムクロックモジュールは更に、前記第1システムクロック伝送回路と前記第2システムクロック伝送回路のうちの一方の出力信号を選択して出力するように構成される第2選択回路を含む
請求項
10に記載のクロック回路。
【請求項14】
前記クロック回路は更に、
前記第1選択回路と前記第2選択回路の出力に接続され且つ前記システムクロック信号と前記データストローブクロック信号との間の位相関係を決定するように構成されるハンドシェイクモジュールを含む
請求項
13に記載のクロック回路。
【請求項15】
請求項1~
14のいずれか一項に記載のクロック回路を含む、メモリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2020年9月15日に中国特許庁に提出された、出願番号が202010969644.7、出願名称が「クロック回路及びメモリ」の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は参照によって本願に組み込まれる。
【0002】
本願実施例は、半導体技術分野に関し、特に、クロック回路及びメモリに関するものである。
【背景技術】
【0003】
ダイナミックランダムアクセスメモリ(Dynamic Random Access Memory:DRAM)は、コンピュータでよく使用される半導体記憶装置であり、多数の重複メモリセルで構成される。各メモリセルは、一般にコンデンサとトランジスタを含み、トランジスタのグリッド電極がワード線に接続され、ドレイン電極がビット線に接続され、ソース電極がコンデンサに接続され、ワード線における電圧信号がトランジスタのオン/オフを制御でき、更にビット線を経由してコンデンサに記憶されているデータ情報を読み取ったり、ビット線を経由してデータ情報をコンデンサに書き込んで記憶したりする。
【0004】
DRAMは、ダブルデータレート(Double Data Rate:DDR)ダイナミックランダムアクセスメモリ、GDDR(Graphics Double Data Rate)ダイナミックランダムアクセスメモリ、低消費電力ダブルデータレート(Low Power Double Data Rate:LPDDR)ダイナミックランダムアクセスメモリに分けてもよい。DRAMの応用分野が多くなるに伴い、例えばDRAMのモバイル分野への応用が多くなるのに伴い、DRAMの消費電力指標に対するユーザの要求が高まっている。
【0005】
しかしながら、従来のDRAMの性能はまだ十分とはいえない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願実施例は、システムクロック信号とデータストローブクロック信号が互いにマッチングしないという問題を解決することができる、クロック回路及びメモリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題を解決するために、本願実施例は、クロック回路を提供し、前記クロック回路は、データストローブクロック信号を受信し且つ前記データストローブクロック信号を伝送するように構成されるデータストローブクロックモジュールであって、前記データストローブクロック信号はデータ信号の受信及び/又は送信を制御するためのものであるデータストローブクロックモジュールと、システムクロック信号を受信し且つ前記システムクロック信号を伝送するように構成されるシステムクロックモジュールであって、前記システムクロック信号は命令信号の受信を制御するためのものであるシステムクロックモジュールとを備え、前記システムクロックモジュールは少なくとも2つの第1信号伝送路を含み、且つ前記データ信号の受信速度及び/又は送信速度が異なることに応じて、異なる第1信号伝送路を採用して前記システムクロック信号を伝送するように構成される。
【0008】
いくつかの実施例では、前記データストローブクロックモジュールは少なくとも2つの第2信号伝送路を含み、異なる伝送速度の前記データストローブクロック信号は異なる前記第2信号伝送路を経由して伝送され、前記伝送速度は前記受信速度及び/又は送信速度に対応し、且つ各前記第2信号伝送路は各第1信号伝送路に対応し、前記システムクロックモジュールは、前記データストローブクロック信号が前記第2信号伝送路を介して伝送される場合、前記第2信号伝送路に対応する前記第1信号伝送路を介して前記システムクロック信号を伝送するように構成される。
【0009】
いくつかの実施例では、前記データストローブクロックモジュールは、第1データストローブクロック伝送回路と第2データストローブクロック伝送回路を含み、前記第1データストローブクロック伝送回路と前記第2データストローブクロック伝送回路はそれぞれ異なる前記第2信号伝送路を定義するものであり、前記データストローブクロックモジュールは、前記伝送速度が所定値以上である場合、前記第1データストローブクロック伝送回路を介して前記データストローブクロック信号を伝送し、前記伝送速度が前記所定値より小さい場合、前記第2データストローブクロック伝送回路を介して前記データストローブクロック信号を伝送するように構成される。
【0010】
いくつかの実施例では、前記第1データストローブクロック伝送回路は第1分周ユニットを含み、前記第2データストローブクロック伝送回路は第2分周ユニットを含み、前記第1分周ユニットと前記第2分周ユニットの両方は、前記データストローブクロック信号を分周し、少なくとも2種の異なる位相の分周後のデータストローブクロック信号を出力するように構成される。
【0011】
いくつかの実施例では、前記第1分周ユニットは、消費電力と前記データストローブクロック信号の周波数との第1相関性を有し、前記第2分周ユニットは、消費電力と前記データストローブクロック信号の周波数との第2相関性を有し、前記第1相関性が前記第2相関性より小さく、又は、前記第1分周ユニットは第1干渉防止能力を有し、前記第2分周ユニットは第2干渉防止能力を有し、前記第1干渉防止能力が前記第2干渉防止能力より大きい。
【0012】
いくつかの実施例では、前記第1分周ユニットは電流モードロジック分周回路を含み、前記第2分周ユニットはCMOS分周回路を含む。
【0013】
いくつかの実施例では、前記第1データストローブクロック伝送回路は更に、前記電流モードロジック分周回路に接続され且つ前記分周後のデータストローブクロック信号を出力するように構成される電流モードロジック-CMOS変換ユニットを含む。
【0014】
いくつかの実施例では、前記第2データストローブクロック伝送回路は更に、前記CMOS分周回路に前記データストローブクロック信号を出力するように構成される電流モードロジック-CMOS変換ユニットを含む。
【0015】
いくつかの実施例では、前記第1データストローブクロック伝送回路と第2データストローブクロック伝送回路の両方は、前記データストローブクロック信号をバッファリング受信するように構成されるバッファを含む。
【0016】
いくつかの実施例では、前記バッファは電流モードロジックバッファである。
【0017】
いくつかの実施例では、前記システムクロックモジュールは、第1システムクロック伝送回路と第2システムクロック伝送回路を含み、前記第1システムクロック伝送回路と前記第2システムクロック伝送回路はそれぞれ異なる前記第1信号伝送路を定義するものであり、前記システムクロックモジュールは、前記データストローブクロック信号が前記第1データストローブクロック伝送回路を介して伝送される場合、前記第1システムクロック伝送回路を介して前記システムクロック信号を伝送し、前記データストローブクロック信号が前記第2データストローブクロック伝送回路を介して伝送される場合、前記第2システムクロック伝送回路を介して前記システムクロック信号を伝送するように構成される。
【0018】
いくつかの実施例では、前記第1システムクロック伝送回路は、前記第1データストローブクロック伝送回路のクロック遅延のマッチングを行うように構成される第1分周ユニットモデルを含み、前記第2システムクロック伝送回路は、前記第2データストローブクロック伝送回路のクロック遅延のマッチングを行うように構成される第2分周ユニットモデルを含む。
【0019】
いくつかの実施例では、前記第1分周ユニットモデルは電流モードロジック分周回路モデルを含み、前記第2分周ユニットモデルはCMOS分周回路モデルを含む。
【0020】
いくつかの実施例では、前記第1システムクロック伝送回路は更に、前記電流モードロジック分周回路モデルに接続され且つ前記システムクロック信号を出力するように構成される電流モードロジック-CMOS変換ユニットを含む。
【0021】
いくつかの実施例では、前記第2システムクロック伝送回路は更に、前記CMOS分周回路モデルに前記システムクロック信号を出力するように構成される電流モードロジック-CMOS変換ユニットを含む。
【0022】
いくつかの実施例では、前記第1システムクロック伝送回路と前記第2システムクロック伝送回路の両方は、前記システムクロック信号をバッファリング受信するように構成されるバッファを含む。
【0023】
いくつかの実施例では、前記バッファは電流モードロジックバッファである。
【0024】
いくつかの実施例では、前記データストローブクロックモジュールは更に、第1データストローブクロック伝送回路と前記第2データストローブクロック伝送回路のうちの一方の出力信号を選択して出力するように構成される第1選択回路を含み、前記システムクロックモジュールは更に、第1システムクロック伝送回路と第2システムクロック伝送回路のうちの一方の出力信号を選択して出力するように構成される第2選択回路を含む。
【0025】
いくつかの実施例では、前記クロック回路は更に、前記第1選択回路と前記第2選択回路の出力に接続され且つ前記システムクロック信号と前記データストローブクロック信号との間の位相関係を決定するように構成されるハンドシェイクモジュールを含む。
【0026】
これに対応して、本願実施例は、上記のクロック回路を含むメモリを更に提供する。
【発明の効果】
【0027】
従来技術に比べると、本願実施例による技術的解決策は下記の利点を有する。
【0028】
本願実施例では、システムクロックモジュールは少なくとも2つの第1信号伝送路を含み、データ信号の受信速度及び/又は送信速度が異なることに応じて、異なる第1信号伝送路を採用してシステムクロック信号を伝送する。データストローブクロック信号の伝送速度が異なる場合、それに応じて異なる第1信号伝送路を採用してシステムクロック信号を伝送することにより、異なる伝送速度のデータストローブクロック信号をすべて、システムクロック信号と対応的にマッチングさせることができる。従って、データストローブクロック信号の伝送速度が変化しても、データストローブクロック信号とシステムクロック信号のクロック差の変化が小さいか、データストローブクロック信号とシステムクロック信号のクロック差が変化せずに維持でき、そのため、ハンドシェイクモジュールは、データストローブクロック信号とシステムクロック信号を好適に位置合わせすることができ、これにより、同期とハンドシェイク機能の実現がより容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本願実施例によるクロック回路の機能ブロック図である。
【
図2】本願実施例によるクロック回路の別の機能ブロック図である。
【
図3】
図2におけるデータストローブクロックモジュールの動作原理模式図である。
【
図4】本願実施例によるクロック回路の更に別の機能ブロック図である。
【
図5】本願実施例によるクロック回路の構造模式図である。
【
図6】本願実施例によるクロック回路の別の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
1つ又は複数の実施例についてはそれに対応する図面を参照して例示的に説明するが、これらの例示的説明は実施例を限定するものではなく、図面において同じ符号を付けた素子(要素)は類似の素子であることを示し、特に明記しない限り、これらの図面は、縮尺の制限を構成するものではない。
【0031】
メモリの読取と書込のタイミング制約を軽減するために、メモリにはWCKクロック信号、即ち、データストローブクロック信号が導入される。異なる性能要件に適応するために、同一のメモリのデータ伝送速度が速くても遅くてもよく、それに対応して、WCKクロック信号の伝送速度が所定値を超える伝送速度であっても、所定値より低い伝送速度であってもよい。例を挙げて言えば、データ伝送速度が3200Mbpsを超える場合、WCKクロック信号への干渉を低減するために、電流モードロジック(CML:Current Mode Logic)分周器を導入することができ、データ伝送速度が3200Mbpsより低い場合、消費電力を最大限に節約するために、CMOS分周器を採用することができる。
【0032】
つまり、メモリ内のWCKクロック信号の伝送速度が異なる場合、WCKクロック信号は異なる伝送路を介して伝送される。メモリには、命令/アドレス信号を制御するためのCKクロック信号(即ち、システムクロック信号)も存在し、更に、WCKクロック信号のクロックドメインとCKクロック信号のクロックドメインの位置合せを考慮する必要があり、2つのクロックドメイン間のWCK2CK同期とハンドシェイク機能も考慮する必要がある。CKクロック信号が同一の伝送路を経由して伝送される場合、CKクロック信号が高速のWCKクロック信号及び低速のWCKクロック信号の両方と同時に優れる同期性能を有することを確保するのが困難である。
【0033】
上記の問題を解決するために、本願実施例は、CKクロック信号が高速及び低速の両方のWCKクロック信号と優れる同期性能を有することを確保することができる、クロック回路を提供する。
【0034】
本願実施例の目的、技術的解決策及び利点をより明らかにするために、以下に図面を参照しながら本願の各実施例を詳細に説明する。ただし、当業者なら自明であるが、本願の各実施例には、本願を読者(当業者)により明瞭に理解させるために多くの技術的詳細が示されているが、本願の技術的解決策は、これらの技術的詳細と下記の各実施例に基づく種々の変形と修正がなくても実現できる。
【0035】
図1は本願実施例によるクロック回路の機能ブロック図であり、
図2はクロック回路の別の機能ブロック図であり、
図3は
図2におけるデータストローブクロックモジュールの動作原理模式図であり、
図4はクロック回路の更に別の機能ブロック図であり、
図5は本願実施例によるクロック回路の構造模式図であり、
図6は本願実施例によるクロック回路の別の構造模式図である。
【0036】
図1に示すように、本実施例では、クロック回路は、データストローブクロック信号WCKを受信し且つデータストローブクロック信号WCKを伝送するように構成されるデータストローブクロックモジュール101であって、データストローブクロック信号WCKはデータ信号の受信及び/又は送信を制御するためのものであるデータストローブクロックモジュール101と、システムクロック信号を受信し且つシステムクロック信号CKを伝送するように構成されるシステムクロックモジュール102であって、システムクロック信号CKは命令信号の受信を制御するためものであるシステムクロックモジュール102とを含み、システムクロックモジュール102は少なくとも2つの第1信号伝送路を含み、且つデータ信号の受信速度及び/又は送信速度が異なることに応じて、異なる第1信号伝送路を採用してシステムクロック信号CKを伝送するように構成される。
【0037】
以下、図面を参照しながら本実施例によるクロック回路を詳細に説明する。
【0038】
本実施例では、データ信号の受信速度及び/又は送信速度が高速伝送速度と低速伝送速度に分けられてもよく、それに対応して、データストローブクロック信号WCKは、高速信号伝送路と低速信号伝送路を有し、即ち、データストローブクロックモジュール101は、低速信号伝送路と高速信号伝送路を含む異なる第2信号伝送路を有し、このようにして、データストローブクロック信号WCKが高速クロック信号である場合、対応する信号伝送路の干渉防止能力が優れ、また、データストローブクロック信号WCKが低速クロック信号である場合、対応する信号伝送路の消費電力が低く、これによって、高速クロック信号の場合の強力な干渉防止能力の要件と、低速クロック信号の場合の低消費電力の要件を満たす。高速と低速は相対的な表現であるので、定義が明らかであることが理解可能である。
【0039】
それに対応して、システムクロックモジュール102は異なる第1信号伝送路を有し、各第1信号伝送路は、データストローブモジュール101内のそれぞれの信号伝送路に対応し、そのため、各第1信号伝送路は、各第2信号伝送路にマッチングされる。具体的には、マッチングとは、各第1信号伝送路がシステムクロック信号CKに与える影響と、対応する第2信号伝送路がデータストローブクロック信号WCKに与える影響が同期することとして理解してもよく、当該影響は、クロック信号遅延、クロック信号損失、クロック信号撹乱等を含む。
【0040】
本実施例では、例として、各第1信号伝送路と、その対応する第2信号伝送路との間でクロック信号遅延マッチングを行い、これにより、異なる伝送速度のデータストローブクロック信号WCKがいずれも、システムクロック信号CKと好適に同期ハンドシェイク可能になる。
【0041】
本実施例では、クロック回路は更に、データストローブクロックモジュール101及びシステムクロックモジュール102に接続され且つシステムクロック信号CKとデータストローブクロック信号WCKとの間の位相関係を決定するように構成されるハンドシェイクモジュール103を含む。
【0042】
上述したように、データストローブクロックモジュール101は少なくとも2つの第2信号伝送路を含み、異なる伝送速度のデータストローブクロック信号WCKは、異なる第2信号伝送路を経由して伝送され、伝送速度は、前記受信速度及び/又は送信速度に対応し、且つ各第2信号伝送路は各第1信号伝送路に対応する。
【0043】
ここで、システムクロックモジュール102は、データストローブクロック信号WCKが第2信号伝送路を介して伝送される場合、第2信号伝送路に対応する第1信号伝送路を介してシステムクロック信号CKを伝送するように構成される。つまり、データストローブクロックモジュール101が特定の第2伝送路を採用してデータストローブクロック信号WCKを伝送する場合、システムクロックモジュール102も特定の対応する第1信号伝送路を採用してシステムクロック信号CKを伝送する。
【0044】
具体的には、
図2に示すように、データストローブクロックモジュール101は、第1データストローブクロック伝送回路121と第2データストローブクロック伝送回路131を含み、第1データストローブクロック伝送回路121と第2データストローブクロック伝送回路131はそれぞれ異なる第2信号伝送路を定義し、データストローブクロックモジュール101は、伝送速度が所定値以上である場合、第1データストローブクロック伝送回路121を介してデータストローブクロック信号WCKを伝送し、伝送速度が所定値より小さい場合、第2データストローブクロック伝送回路131を介してデータストローブクロック信号WCKを伝送するように構成される。
【0045】
ここで、所定値はメモリの性能要件に応じて合理的に設定可能であり、第1データストローブクロック伝送回路121は高速伝送路を定義するためのものであり、第2データストローブクロック伝送回路131は低速伝送路を定義するためのものである。説明すべきことは、他の実施例では、データストローブクロックモジュールが3つ以上の第2信号伝送路を含んでもよく、即ち、データストローブクロックモジュールが3つ以上のデータストローブクロック伝送回路を有してもよいことに留意されたい。
【0046】
データストローブクロックモジュール101は更に、第1データストローブクロック伝送回路121と第2データストローブクロック伝送回路131のうちの一方の出力信号を選択して出力するように構成される第1選択回路141と、データストローブクロック信号WCKを受信し且つデータストローブクロック信号WCKを第1データストローブクロック伝送回路121及び第2データストローブクロック伝送回路131に伝送するように構成されるデータクロックパッド111とを含む。
【0047】
1つの例では、データストローブクロック信号WCKは、データクロックパッド111を介して第1データストローブクロック伝送回路121及び第2データストローブクロック伝送回路131に伝送され、2つの第2信号伝送路を経由して伝送された後、2種のデータストローブクロック信号WCKが第1選択回路141に達し、第1選択回路141は、データ信号の受信速度/送信速度に基づいて、第1データストローブクロック伝送回路121又は第2データストローブクロック伝送回路131の出力信号を選択して出力する。より具体的には、データ信号の受信速度/送信速度が所定値より低い場合、第1選択回路141は、第2データストローブクロック伝送回路131の出力信号を選択して出力し、データ信号の受信速度/送信速度が所定値以上である場合、第1選択回路141は、第1データストローブクロック伝送回路121の出力信号を選択して出力する。
【0048】
別の例では、データストローブクロック信号WCKは、データクロックパッド111を介して第1データストローブクロック伝送回路121及び第2データストローブクロック伝送回路131に伝送され、第1選択回路141は、第1データストローブクロック伝送回路121及び第2データストローブクロック伝送回路131のうちの一方を選択してクロック信号伝送を行い、他方は動作しない。このように、第1データストローブクロック伝送回路121及び第2データストローブクロック伝送回路131のうちの一方のみが動作することにより、クロック回路の消費電力を更に低減できる。
【0049】
図3に示すように、第1選択回路141によって出力されるデータストローブクロック信号WCKは「読み取り」、「書き込み」及び「ハンドシェイク」等の機能を実現するために使用でき、「書き込む」機能の実現の場合、データストローブクロック信号WCKは、対応する複数のデータ受信機に伝送される。また、データクロックモジュール101の出力が第2データストローブクロック伝送回路131により提供される場合、第1選択回路141によるデータストローブクロック信号WCKへの伝送損失等の問題を回避するために、第2データストローブクロック伝送回路131の出力を、第1選択回路141を経由せずにハンドシェイクモジュール103に直接出力して「ハンドシェイクする」機能を実現してもよい。
【0050】
システムクロックモジュール102は、システムクロックパッド112及びシステムクロック伝送回路152を含み、システムクロックパッド112は、システムクロック信号WCKを受信し且つシステムクロック信号をシステムクロック伝送回路152に伝送するように構成され、システムクロック伝送回路152は少なくとも2つの第1クロック信号伝送路を有する。
【0051】
図4に示すように、システムクロックモジュール102は、第1システムクロック伝送回路122と第2システムクロック伝送回路132を含み、第1システムクロック伝送回路122と第2システムクロック伝送回路132はそれぞれ異なる第1信号伝送路を定義し、システムクロックモジュール102は、データストローブクロック信号WCKが第1データストローブクロック伝送回路121を介して伝送される場合、第1システムクロック伝送回路122を介してシステムクロック信号CKを伝送し、データストローブクロック信号WCKが第2データストローブクロック伝送回路131を介して伝送される場合、第2システムクロック伝送回路132を介してシステムクロック信号CKを伝送するように構成される。
【0052】
具体的には、第1システムクロック伝送回路122は、第1データストローブクロック伝送回路121とのマッチングのために使用され、第2システムクロック伝送回路132は、第2データストローブクロック伝送回路131とのマッチングのために使用される。1つの例では、第1システムクロック伝送回路122によるシステムクロック信号CKのクロック遅延は、第1データストローブクロック伝送回路121によるデータストローブクロック信号WCKのクロック遅延とマッチングし、第2システムクロック伝送回路132によるシステムクロック信号CKのクロック遅延は、第2データストローブクロック伝送回路131によるデータストローブクロック信号WCKのクロック遅延とマッチングする。他の実施例では、データストローブクロックモジュールが3つ以上の第2信号伝送回路を有し、このようにシステムクロックモジュールも3つ又は3つ以上の第1信号伝送路を有し得、即ち、システムクロックモジュールも3つ以上のシステムクロック伝送回路を有し得ることに留意されたい。
【0053】
システムクロックモジュールは更に、第1システムクロック伝送回路122と第2システムクロック伝送回路132のうちの一方の出力信号を選択して出力するように構成される第2選択回路142を含む。
【0054】
1つの例では、システムクロック信号CKは、システムクロックパッド112を介して第1システムクロック伝送回路122及び第2システムクロック伝送回路132に伝送され、2つの第1信号伝送路を経由して伝送された後、2種のシステムクロック信号CKが第2選択回路142に達し、第2選択回路142は、データ信号の受信速度/送信速度に基づいて、第1システムクロック伝送回路122又は第2システムクロック伝送回路132の出力信号を選択して出力する。より具体的には、データ信号の受信速度/送信速度が所定値より低い場合、第2選択回路142は、第2システムクロック伝送回路132の出力信号を選択して出力し、データ信号の受信/送信速度が所定値以上である場合、第2選択回路142は、第1システムクロック伝送回路122の出力信号を選択して出力する。
【0055】
別の例では、システムクロック信号CKは、システムクロックパッド112を介して第1システムクロック伝送回路122及び第2システムクロック伝送回路132に伝送され、第2選択回路142は、第1システムクロック伝送回路122及び第2システムクロック伝送回路132のうちの一方を選択してクロック信号伝送を行い、他方は動作しない。このように、第1システムクロック伝送回路122及び第2システムクロック伝送回路132のうちの一方のみが動作することにより、クロック回路の消費電力を更に低減できる。
【0056】
システムクロックモジュール102は複数の第1信号伝送路を有するので、異なる伝送速度のデータストローブクロック信号WCKに対するより好適なクロックマッチングを実現することができ、例えば、システムクロック信号CKとデータストローブクロック信号WCKのクロック遅延、クロックジッタ等をマッチングさせることができ、これにより、データ信号の受信速度/送信速度が変化しても、ハンドシェイクモジュール103は、依然としてシステムクロック信号CKとデータストローブクロック信号WCKの同期ハンドシェイクを行うことができる。
【0057】
具体的には、ハンドシェイクモジュール103は、第1選択回路141の出力と第2選択回路142の出力に接続され、システムクロック信号とデータストローブクロック信号との間の位相関係を決定するように構成される。
【0058】
また、データストローブクロック信号WCKは差動クロック信号であってもよく、それに対応して、
図5に示すように、データクロックパッド111は、差動データストローブクロック信号WCK(WCK_tクロック信号及びWCK_cクロック信号と呼ばれてもよい)をそれぞれ受信するように構成される第1データクロックパッド30及び第2データクロックパッド31を含む。同様に、システムクロック信号CKは差動クロック信号であってもよく、それに対応して、
図5に示すように、システムクロックパッド112は、差動システムクロック信号CK(CK_tクロック信号及びCK_cクロック信号と呼ばれてもよい)をそれぞれ受信するように構成される第1システムクロックパッド10と第2システムクロックパッド11を含む。
【0059】
図5に示すように、第1データストローブクロック伝送回路121は第1分周ユニット14を含み、第2データストローブクロック伝送回路131は第2分周ユニット24を含み、第1分周ユニット14と第2分周ユニット24の両方は、データストローブクロック信号WCKを分周し、少なくとも2種の異なる位相の分周後のデータストローブクロック信号を出力するように構成される。
【0060】
第1分周ユニット14は、消費電力とデータストローブクロック信号WCKの周波数との第1相関性を有し、第2分周ユニット24は、消費電力とデータストローブクロック信号WCKの周波数との第2相関性を有し、第1相関性が第2相関性より小さく、及び/又は、第1分周ユニット14は第1干渉防止能力を有し、第2分周ユニット24は第2干渉防止能力を有し、第1干渉防止能力は第2干渉防止能力より大きい。
【0061】
第1分周ユニット14は、高速伝送速度のデータストローブクロック信号WCKを分周するように構成され、第2分周ユニット24は低速伝送速度のデータストローブクロック信号WCKを分周するように構成され、即ち、第1分周ユニット14は周波数が比較的高いデータストローブクロック信号WCKを分周し、第2分周ユニット24は周波数が比較的低いデータストローブクロック信号WCKを分周する。第1相関性が第2相関性より小さく、且つ第1分周ユニット14の静的消費電力が第2分周ユニット24の静的消費電力より高いので、第2分周ユニット24は比較的低い消費電力を維持でき、これにより、低速伝送路の過度の消費電力の問題を回避することができる。第1干渉防止能力が第2干渉防止能力より大きいので、高速伝送路がデータストローブクロック信号WCKに干渉を引き起こすという問題を回避でき、これにより、高速伝送路を経由して伝送されるデータストローブクロック信号WCKの精度が高くなる。
【0062】
本実施例では、
図6に示すように、第1分周ユニット14は、電流モードロジック(CML:current-mode logic)分周回路を含み、
図6では、電流モードロジック分周回路は、CML DIVとして示される。第2分周ユニット24は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)分周回路を含み、
図6では、CMOS分周回路は、CMOS DIVとして示される。
【0063】
電流モードロジック分周回路は、静的消費電力が比較的高く、消費電力と周波数との相関性が低く、干渉防止能力が強く、電源のジッタ/トグルに対する干渉防止能力が強い。CMOS分周回路は、消費電力が低く、消費電力と周波数との相関性が高く、周波数が低いほど消費電力が低くなり、電源ノイズのクロックジッタへの影響が大きく、電源干渉防止能力が比較的低い。高速伝送路は電流モードロジック分周回路を採用して、データストローブクロック信号の強い干渉防止能力を確保し、低速伝送路は消費電力が低いCMOS分周回路を採用して、低速での省電力の目的を達成する。
【0064】
第1データストローブクロック伝送回路121は更に、電流モードロジック分周回路に接続され且つ分周後のデータストローブクロック信号を出力するように構成される電流モードロジック-CMOS変換ユニットを含み、当該電流モードロジック-CMOS変換ユニットは、第1電流モードロジック-CMOS変換ユニット15として定義される。
図6に示すように、
図6では、第1電流モードロジック-CMOS変換ユニット15は、C2C1として示される。
【0065】
前記第2データストローブクロック伝送回路131は更に、CMOS分周回路にデータストローブクロック信号を出力するように構成される電流モードロジック-CMOS変換ユニット25を含み、当該電流モードロジック-CMOS変換ユニットは、第2電流モードロジック-CMOS変換ユニット25として定義される。
図6に示すように、
図6では、第2電流モードロジック-CMOS変換ユニット25は、C2C2として示される。
【0066】
また、第1データストローブクロック伝送回路121と第2データストローブクロック伝送回路131の両方は、データストローブクロック信号をバッファリング受信するように構成されるバッファを含む。具体的には、第1データストローブクロック伝送回路121内のバッファは、第1バッファ12として定義され、第2データストローブクロック伝送回路131内のバッファは、第2バッファ22として定義される。
【0067】
本実施例では、バッファは電流モードロジックバッファであり、
図6に示すように、
図6では、第1バッファ12は、CML buffer1として示され、第2バッファ22は、CML buffer2として示される。
【0068】
図5に示すように、第1システムクロック伝送回路122は、第1データストローブクロック伝送回路121のクロック遅延のマッチングを行うように構成される第1分周ユニットモデル34を含み、第2システムクロック伝送回路132は、第2データストローブクロック伝送回路131のクロック遅延のマッチングを行うように構成される第2分周ユニットモデル44を含む。
【0069】
第1分周ユニットモデル34は実際にシステムクロック信号に対して分周処理を行わず、第2分周ユニットモデル44は実際にシステムクロック信号に対して分周処理を行わないことが理解可能である。
【0070】
具体的には、
図6に示すように、第1分周ユニットモデル34は電流モードロジック分周回路モデルを含み、第2分周ユニットモデル44はCMOS分周回路モデルを含む。
図6では、電流モードロジック分周回路モデルは、CML DIV Modelとして示され、CMOS分周回路モデルは、CMOS DIV Modelとして示される。
【0071】
第1システムクロック伝送回路122は更に、電流モードロジック分周回路モデルに接続され且つシステムクロック信号を出力するように構成される電流モードロジック-CMOS変換ユニットを含み、当該電流モードロジック-CMOS変換ユニットは、第3電流モードロジック-CMOS変換ユニット35として定義される。
図6では、第3電流モードロジック-CMOS変換ユニット35は、C2C3として示される。
【0072】
第2システムクロック伝送回路132は更に、前記CMOS分周回路モデルにシステムクロック信号を出力するように構成される電流モードロジック-CMOS変換ユニットを含み、当該電流モードロジック-CMOS変換ユニットは、第4電流モードロジック-CMOS変換ユニット45として定義される。
図6では、第4電流モードロジック-CMOS変換ユニット45は、C2C4として示される。
【0073】
第1システムクロック伝送回路122と第2システムクロック伝送回路132の両方は、システムクロック信号をバッファリング受信するように構成されるバッファを含む。具体的には、第1システムクロック伝送回路122内のバッファは第3バッファ32として定義され、第2システムクロック伝送回路132内のバッファは第4バッファ42として定義される。
【0074】
本実施例では、バッファは電流モードロジックバッファであり、
図6に示すように、
図6では、第3バッファ32は、CML buffer3として示され、第4バッファ42は、CML buffer4として示される。
【0075】
本実施例では、バッファが電流モードロジックバッファであることを例として説明したが、他の実施例では、上記のバッファはCMOSバッファであってもよく、それに対応して、バッファと他の構造(例えば、CMOS分周ユニット)の間に電流モードロジック-CMOS変換ユニットを設置する必要がないことに留意されたい。
【0076】
また、第1データストローブクロック伝送回路121、第2データストローブクロック伝送回路131、第1システムクロック伝送回路122、及び第2システムクロック伝送回路132はいずれも、データストローブクロック信号のデューティ比又はシステムクロック信号のデューティ比を調節するように構成されるデューティサイクル調節(DCA:Duty Cycle Adjuster)ユニットを含む。ここで、第1データストローブクロック伝送回路121、第2データストローブクロック伝送回路131、第1システムクロック伝送回路122、及び第2システムクロック伝送回路132内のDCAユニットは、それぞれ、第1DCAユニット13、第2DCAユニット23、第3DCAユニット33、及び第4DCAユニット43として定義される。
図6では、第1DCAユニット13、第2DCAユニット23、第3DCAユニット33、及び第4DCAユニット43は、それぞれ、DCA1、DCA2、DCA3、及びDCA4として示される。
【0077】
本実施例によるクロック回路によれば、システムクロックモジュール102は少なくとも2つの第1信号伝送路を含み、且つデータ信号の受信速度及び/又は送信速度が異なることに応じて、異なる第1信号伝送路を採用してシステムクロック信号を伝送する。データストローブクロック信号の伝送速度が異なる場合、それに応じて異なる第1信号伝送路を採用してシステムクロック信号を伝送することにより、異なる伝送速度のデータストローブクロック信号をすべて、システムクロック信号と対応的にマッチングさせることができる。従って、データストローブクロック信号の伝送速度が変化しても、データストローブクロック信号とシステムクロック信号のクロック差の変化が小さいか、データストローブクロック信号とシステムクロック信号のクロック差が変化せずに維持でき、そのため、ハンドシェイクモジュール103は、データストローブクロック信号とシステムクロック信号を好適に位置合わせすることができ、これにより、同期とハンドシェイク機能の実現がより容易になる。
【0078】
また、高速伝送路を定義する第1データストローブクロック伝送回路121は電流モードロジック分周回路を含み、電流モードロジック分周回路は干渉防止能力が強い利点を有し、そのため、高速で伝送されるデータストローブクロック信号への干渉が少なく、データストローブクロック信号の精度が確保される。低速伝送路を定義する第2データストローブクロック伝送回路131はCMOS分周回路を含み、CMOS分周回路は消費電力が低い利点を有し、そのため、クロック回路の消費電力の低減に寄与する。従って、本実施例は、高速の場合には強力な干渉防止能力を有し、低速の場合には消費電力が低いという利点を有する。
【0079】
それに対応して、本願実施例は、上記のクロック回路を含むメモリを更に提供する。
【0080】
メモリは、DDR5メモリなどのDDRメモリであってもよい。
【0081】
当業者なら自明であるが、上記の各実施形態は、本願を実現するための特定の実施例であり、実際の応用では、本願の趣旨と範囲を逸脱することなく、形式や細部において様々な変形を実施できる。当業者であれば、本願の趣旨と範囲を逸脱することなく、各種の変型や修正を実施できる。従って、本願の保護範囲は、特許請求の範囲に従うものとする。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本願実施例では、システムクロックモジュールは少なくとも2つの第1信号伝送路を含み、且つデータ信号の受信速度及び/又は送信速度が異なることに応じて、異なる第1信号伝送路を採用してシステムクロック信号を伝送する。データストローブクロック信号の伝送速度が異なる場合、それに応じて異なる第1信号伝送路を採用してシステムクロック信号を伝送することにより、異なる伝送速度のデータストローブクロック信号をすべて、システムクロック信号と対応的にマッチングさせることができる。従って、データストローブクロック信号の伝送速度が変化しても、データストローブクロック信号とシステムクロック信号のクロック差の変化が小さいか、データストローブクロック信号とシステムクロック信号のクロック差が変化せずに維持でき、そのため、ハンドシェイクモジュールは、データストローブクロック信号とシステムクロック信号を好適に位置合わせすることができ、これにより、同期とハンドシェイク機能の実現がより容易になる。