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  • 特許-卵洗浄装置および卵洗浄方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】卵洗浄装置および卵洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 43/00 20060101AFI20230720BHJP
【FI】
A01K43/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023519261
(86)(22)【出願日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 JP2022020450
【審査請求日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2021181710
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518182379
【氏名又は名称】大豊産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺奥 泰次郎
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/75861(WO,A1)
【文献】特開2010-75193(JP,A)
【文献】特開2005-27609(JP,A)
【文献】実開昭55-55067(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を電気分解して発生したガスを導入せずにファインバブルを含有する洗浄水を生成する気泡発生器と、
前記気泡発生器から供給された前記洗浄水を一時的に貯留するバッファ槽と、
前記バッファ槽内の前記洗浄水を卵に掛ける複数のノズルと、
前記卵を搬送するコンベアと、を備え、
前記バッファ槽は前記コンベアの幅方向に沿った横長の槽であり、
前記複数のノズルは前記バッファ槽の幅方向に沿って設けられている
ことを特徴とする卵洗浄装置。
【請求項2】
水を電気分解して発生したガスを導入せずにファインバブルを含有する洗浄水を生成する気泡発生器と、
前記気泡発生器から供給された前記洗浄水を一時的に貯留するバッファ槽と、
前記バッファ槽内の前記洗浄水を卵に掛けるノズルと、
水源と前記バッファ槽とを接続し、前記気泡発生器が設けられた給水管と、
前記給水管の前記気泡発生器より上流部に設けられたポンプと、
前記バッファ槽と前記給水管の前記ポンプより上流部とを接続する抜取管と、を備え、
前記バッファ槽に貯留された前記洗浄水の一部は、前記抜取管を流れ、前記気泡発生器に供給される
ことを特徴とする卵洗浄装置。
【請求項3】
前記ノズルから排出された前記洗浄水を貯留する洗浄槽と、
前記洗浄槽を通過するよう前記卵を搬送するコンベアと、
前記コンベアにより搬送されている前記卵をブラッシングするブラシと、を備える
ことを特徴とする請求項2記載の卵洗浄装置。
【請求項4】
前記ノズルは前記洗浄槽の下流領域に配置されていることを特徴とする請求項3記載の卵洗浄装置。
【請求項5】
水を電気分解して発生したガスを導入せずにファインバブルを含有する洗浄水を生成し、該洗浄水を用いて卵を洗浄する洗浄工程を備え、
前記洗浄工程において、気泡発生器から供給された前記洗浄水を、前記卵を搬送するコンベアの幅方向に沿った横長のバッファ槽に一時的に貯留した後、前記バッファ槽の幅方向に沿って設けられた複数のノズルから前記洗浄水を前記卵に掛ける
ことを特徴とする卵洗浄方法。
【請求項6】
水を電気分解して発生したガスを導入せずにファインバブルを含有する洗浄水を生成し、該洗浄水を用いて卵を洗浄する洗浄工程を備え、
前記洗浄工程において、気泡発生器から供給された前記洗浄水をバッファ槽に一時的に貯留した後、前記バッファ槽に設けられたノズルから前記洗浄水を前記卵に掛けるとともに、前記バッファ槽に貯留された前記洗浄水の一部を抜き取り、前記気泡発生器に供給することを特徴とする卵洗浄方法。
【請求項7】
前記洗浄工程は、
前記卵を前記洗浄水に浸漬する工程と、
前記卵に前記洗浄水を掛ける工程と、
前記卵をブラッシングする工程と、を備える
ことを特徴とする請求項5または6記載の卵洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵洗浄装置および卵洗浄方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、殻付き卵を洗浄するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鶏卵生産場において鶏から生み出されたばかりの鶏卵には糞便などが付着しており汚れている。そのため、卵をパック詰めしたり、卵を割って液卵を得るのに先立ち、卵殻の洗浄を行なう必要がある。現在では卵殻の洗浄は卵洗浄装置により機械的に行なわれている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-75193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
卵洗浄装置による洗浄後においても汚れが完全には除去しきれない汚卵が一定数発生する。汚卵は正規卸値よりも安価な卸値で取り引きされるため、汚卵の発生率が高いと利益率が低下する。そのため、卵洗浄装置の洗浄力を高くし、汚卵の発生率を低くすることが求められている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、洗浄力の高い卵洗浄装置および卵洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様の卵洗浄装置は、ファインバブルを含有する洗浄水を生成する気泡発生器と、前記気泡発生器から供給された前記洗浄水を卵に掛けるノズルと、を備えることを特徴とする。
第2態様の卵洗浄装置は、第1態様において、前記気泡発生器から供給された前記洗浄水を一時的に貯留するバッファ槽を備え、前記ノズルは前記バッファ槽に複数設けられていることを特徴とする。
第3態様の卵洗浄装置は、第2態様において、水源と前記バッファ槽とを接続し、前記気泡発生器が設けられた給水管と、前記給水管の前記気泡発生器より上流部に設けられたポンプと、前記バッファ槽と前記給水管の前記ポンプより上流部とを接続する抜取管と、を備え、前記バッファ槽に貯留された前記洗浄水の一部は、前記抜取管を流れ、前記気泡発生器に供給されることを特徴とする。
第4態様の卵洗浄装置は、第1~第3態様のいずれかにおいて、前記ノズルから排出された前記洗浄水を貯留する洗浄槽と、前記洗浄槽を通過するよう前記卵を搬送するコンベアと、前記コンベアにより搬送されている前記卵をブラッシングするブラシと、を備えることを特徴とする。
第5態様の卵洗浄装置は、第4態様において、前記ノズルは前記洗浄槽の下流領域に配置されていることを特徴とする。
第6態様の卵洗浄方法は、ファインバブルを含有する洗浄水を用いて卵を洗浄する洗浄工程を備えることを特徴とする。
第7態様の卵洗浄方法は、第6態様において、前記洗浄工程において、気泡発生器から供給された前記洗浄水をバッファ槽に一時的に貯留した後、前記バッファ槽に設けられた複数のノズルから前記洗浄水を前記卵に掛けることを特徴とする。
第8態様の卵洗浄方法は、第7態様において、前記洗浄工程において、前記バッファ槽に貯留された前記洗浄水の一部を抜き取り、前記気泡発生器に供給することを特徴とする。
第9態様の卵洗浄方法は、第6~第8態様のいずれかにおいて、前記洗浄工程は、前記卵を前記洗浄水に浸漬する工程と、前記卵に前記洗浄水を掛ける工程と、前記卵をブラッシングする工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1態様によれば、卵に付着した汚物の内部にファインバブルが侵入して汚物が除去されやすくなる。その結果、卵洗浄装置の洗浄力が高くなる。
第2態様によれば、洗浄水をバッファ槽に一時的に貯留することで、ファインバブルの濃度が同程度の洗浄水を複数のノズルから排出できる。そのため、洗浄力が卵の位置に依存せず、複数の卵を均一に洗浄できる。
第3態様によれば、バッファ槽に貯留された洗浄水の一部を再び気泡発生器に供給するので、ファインバブルの濃度が高い洗浄水が得られる。そのため、洗浄力をより高くすることができる。
第4態様によれば、洗浄槽に貯留された洗浄水に卵を浸漬することで、ファインバブルが汚物に作用する時間が長くなり、汚物がより除去されやすくなる。また、ブラッシングにより汚物を除去できる。
第5態様によれば、洗浄水への浸漬後でも残留する除去しにくい汚物に、ファインバブルの濃度が高い洗浄水を作用させることができるので、強固な汚れも除去しやすい。
第6態様によれば、卵に付着した汚物の内部にファインバブルが侵入して汚物が除去されやすくなる。
第7態様によれば、洗浄水をバッファ槽に一時的に貯留することで、ファインバブルの濃度が同程度の洗浄水を複数のノズルから排出できる。そのため、洗浄力が卵の位置に依存せず、複数の卵を均一に洗浄できる。
第8態様によれば、バッファ槽に貯留された洗浄水の一部を再び気泡発生器に供給するので、ファインバブルの濃度が高い洗浄水が得られる。そのため、洗浄力をより高くすることができる。
第9態様によれば、洗浄槽に貯留された洗浄水に卵を浸漬することで、ファインバブルが汚物に作用する時間が長くなり、汚物がより除去されやすくなる。また、ブラッシングにより汚物を除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る卵洗浄装置の説明図である。
図2】第1実施形態における洗浄水生成部の説明図である。
図3】第2実施形態における洗浄水生成部の説明図である。
図4】第3実施形態における洗浄水生成部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係る卵洗浄装置AAは、殻付き卵Eを洗浄して、卵殻の表面に付着した汚物を除去するものである。卵Eは、代表的には鶏卵であるが、スッポン卵、ウズラ卵など他の種類の卵でもよい。卵殻に付着した汚物は、糞便、割れた卵の卵黄、卵白などである。
【0010】
図1に示すように、卵洗浄装置AAは卵Eを搬送するコンベア10を有している。卵Eは、コンベア10の上流端(図1における左端)に供給され、下流に向かって搬送された後に、下流端(図1における右端)から回収される。この搬送の過程で卵Eが洗浄される。コンベア10は特に限定されないがバーコンベアが好適に用いられる。コンベア10としてバーコンベアを用いた場合、多数の卵Eが整列した状態で個々に回転しながら搬送される。
【0011】
卵洗浄装置AAは後述する洗浄水を貯留する洗浄槽20を有する。洗浄槽20は卵Eの搬送経路に沿った長尺の槽である。コンベア10の搬送面は必要に応じて傾斜が設けられている。例えば、コンベア10の搬送面は、洗浄槽20の上流端において下降する傾斜を有し、洗浄槽20の下流端において上昇する傾斜を有する。卵Eは洗浄水に浸漬された状態で洗浄槽20内を通過する。ここで、卵Eはその全体が洗浄水に浸漬されてもよいし、その一部、例えば下半分のみが浸漬されてもよい。
【0012】
卵Eの搬送経路にはブラシ30が設けられている。ブラシ30はコンベア10により搬送されている卵Eをブラッシングして、卵Eに付着した汚物を掻き取る。ブラシ30は特に限定されないが円筒形の回転ブラシが好適に用いられる。ブラシ30の数は特に限定されないが、卵Eの搬送経路に沿って複数設けられることが好ましい。
【0013】
卵Eの洗浄に用いられる洗浄水はファインバブルを含有する。ファインバブルとは体積相当の直径が100μm未満のバブルをいう。なお、ファインバブルはマイクロバブルとウルトラファインバブルとに分けられる。マイクロバブルは体積相当の直径が1μm以上100μm未満のバブルであり、ウルトラファインバブルは体積相当の直径が1μm未満のバブルである。洗浄水に含まれるバブルは直径が小さいほど、汚物の内部に侵入しやすく、洗浄力を高めることができる。したがって、洗浄水に含まれるバブルは直径が小さいほど好ましい。なお、洗浄水はファインバブルを含有していればよく、ファインバブルとはいえない体積相当の直径が100μm以上のバブルを含んでもよい。
【0014】
ファインバブルを含有する洗浄水は以下の機器により生成される。洗浄水の元となる原水は水源41から供給される。水源41として水道設備、原水を貯留するタンクなどを用いることができる。原水として特に限定されないが水道水を用いることができる。水源41には給水管51が接続されている。原水は給水管51を流れる。
【0015】
給水管51には、必要に応じて、加熱装置42が設けられる。原水を加熱装置42で加熱して温水を得る。温水の温度は卵Eの洗浄に適した温度、例えば30~60℃に設定される。
【0016】
給水管51には気泡発生器43が設けられている。給水管51に加熱装置42が設けられている場合、気泡発生器43を加熱装置42より下流に設けることが好ましい。温水(または原水)は気泡発生器43に供給される。気泡発生器43によりファインバブルを含有する洗浄水が生成される。
【0017】
気泡発生器43は液中にファインバブルを発生できるものであれば特に限定されない。気泡発生器43として、多孔質セラミックスなどの微細孔を有する素材に気体を通してバブルを発生させる微細孔式、旋回流により気泡を粉砕する旋回流液式、流路内の圧力変化により気泡を粉砕するベンチュリー式、流路内の障害物により気泡を剪断するスタティックミキサー式、飽和溶液を減圧して気泡を析出させる加圧溶解析出式、飽和溶液を加熱して気泡を析出させる加熱析出式などが挙げられる。
【0018】
給水管51の下流端にはノズル44が接続されている。気泡発生器43から供給された洗浄水はノズル44から排出され、搬送中の卵Eに掛けられる。なお、気泡発生器43とノズル44との間の配管は可能な限り短いほうが好ましい。洗浄水に含まれるファインバブルは時間の経過とともに消失する。配管が短いほうがファインバブルの濃度が高い洗浄水を卵Eに掛けることができる。
【0019】
図2に示すように、コンベア10および洗浄槽20はある程度の幅寸法を有する。卵Eはコンベア10および洗浄槽20の幅方向に複数個並んだ状態で搬送される。幅方向に並んだ複数個の卵Eの全てに洗浄水を掛けるために、複数のノズル44を幅方向に沿って配置することが好ましい。給水管51の気泡発生器43より下流部分に複数のノズル44が所定の間隔で接続される。これにより、複数のノズル44から洗浄水を排水できる。
【0020】
図1に示すように、洗浄水を排出するノズル44の搬送方向における配置箇所は1箇所でもよいし、搬送経路に沿って複数箇所でもよい。ノズル44を1箇所のみに配置する場合には洗浄槽20の下流領域に配置することが好ましい。ノズル44の配置箇所は洗浄槽20の搬送方向中央より下流の領域であればよい。ノズル44の配置箇所は、洗浄槽20の全長のうち下流側の1/3の領域が好ましく、1/4の領域がより好ましく、1/5の領域がさらに好ましい。
【0021】
ノズル44から排出された洗浄水は洗浄槽20に一時的に貯留される。洗浄槽20に貯留された洗浄水は卵Eから除去された汚物とともに汚水として洗浄槽20から排出される。
【0022】
卵洗浄装置AAは洗浄後の卵Eに殺菌水を掛ける機器を有してもよい。この機器は殺菌水を貯留するタンク61と、タンク61から供給された殺菌水を卵Eに掛けるノズル62とからなる。ノズル62はコンベア10の下流に配置される。殺菌水は特に限定されないが次亜塩素酸水などを用いることができる。
【0023】
卵洗浄装置AAは、つぎの手順で卵Eを洗浄する。
まず、卵Eはコンベア10の上流端に供給される。卵Eはコンベア10で搬送されつつ洗浄水で洗浄される(洗浄工程)。卵Eは、洗浄槽20内を搬送される間、洗浄水に浸漬される。洗浄槽20に貯留された洗浄水に卵Eを浸漬することで、固化した汚物がふやけた状態となる。また、ファインバブルが汚物に作用する時間が長くなり、汚物が除去されやすくなる。卵Eはブラシ30によりブラッシングされ、汚物が掻き取られる。卵Eはノズル44に達すると洗浄水が直接掛けられる。洗浄水が付着した卵Eをブラシ30でブラッシングすることで強固な汚れを除去できる。
【0024】
前述のごとく、ノズル44は洗浄槽20の下流領域に配置することが好ましい。このようにすると、洗浄水への浸漬とブラッシングにより汚物の大部分を除去した後に、残留する汚物にファインバブルの濃度が高い洗浄水を作用させることになる。洗浄水への浸漬後でも残留する除去しにくい汚物に、ファインバブルの濃度が高い洗浄水を作用させることができるので、強固な汚れも除去しやすい。
【0025】
洗浄後の卵Eに殺菌水を掛けて殺菌する(殺菌工程)。その後、コンベア10の下流端において卵Eが回収される。
【0026】
以上のように、卵洗浄装置AAはファインバブルを含有する洗浄水を用いて卵Eを洗浄する。卵Eに付着した汚物の内部にファインバブルが侵入して汚物が除去されやすくなる。その結果、卵洗浄装置AAの洗浄力が高くなる。
【0027】
〔第2実施形態〕
つぎに、第2実施形態に係る卵洗浄装置を説明する。
本実施形態の卵洗浄装置は、第1実施形態の卵洗浄装置AAにおいて、洗浄水の生成部を変更したものである。第1実施形態と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0028】
図3に示すように、給水管51の下流端にはバッファ槽45が接続されている。すなわち、給水管51は水源41とバッファ槽45とを接続する。バッファ槽45はコンベア10および洗浄槽20の幅方向に沿った横長の槽である。バッファ槽45はコンベア10または洗浄槽20と同程度の幅寸法を有する。給水管51の接続位置は、特に限定されないが、バッファ槽45の幅方向中央が好ましい。バッファ槽45は気泡発生器43から供給された洗浄水を一時的に貯留する。
【0029】
ノズル44はバッファ槽45に複数設けられている。ノズル44はバッファ槽45の底に設ければよい。また、ノズル44はバッファ槽45の幅方向に沿って複数配置される。気泡発生器43から供給された洗浄水はバッファ槽45に一時的に貯留される。その後、バッファ槽45に設けられた複数のノズル44から洗浄水が排出され、卵Eに掛けられる。
【0030】
洗浄水に含まれるファインバブルは配管を流れるにしたがい消失する。図2に示すように、給水管51に直接複数のノズル44を接続すると、上流側のノズル44からはファインバブルが濃い洗浄水が排出され、下流側のノズル44からはファインバブルが薄い洗浄水が排出される。そのため、卵Eの位置によって、洗浄水の洗浄力が異なる。
【0031】
これに対して、洗浄水をバッファ槽45に一時的に貯留すれば、ファインバブルの濃度が同程度の洗浄水を複数のノズル44から排出できる。そのため、洗浄力が卵Eの位置に依存せず、複数の卵Eを均一に洗浄できる。
【0032】
〔第3実施形態〕
つぎに、第3実施形態に係る卵洗浄装置を説明する。
本実施形態の卵洗浄装置は、第2実施形態の卵洗浄装置において、洗浄水の生成部をさらに変更したものである。第2実施形態と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0033】
図4に示すように、バッファ槽45には抜取管52の一端が接続されている。抜取管52の一端はバッファ槽45の底に接続すればよい。抜取管52の他端は給水管51に接続されている。給水管51には気泡発生器43より上流部にポンプ46が設けられている。抜取管52の他端は給水管51のポンプ46より上流部に接続されている。したがって、抜取管52はバッファ槽45と給水管51のポンプ46より上流部とを接続する。
【0034】
原水はある程度の圧力(流量)で供給される。ポンプ46は原水を増圧して気泡発生器43に供給する。原水の増圧分(流量増加分)は、バッファ槽45内の洗浄水が抜取管52を介して賄われる。すなわち、ポンプ46を駆動すると、洗浄水の一部が給水管51および抜取管52を循環する。
【0035】
バッファ槽45に貯留された洗浄水の一部は、抜取管52を流れ、気泡発生器43に供給される。バッファ槽45に貯留された洗浄水の一部を抜き取り、再び気泡発生器43に供給することで、ファインバブルの濃度が高い洗浄水が得られる。そのため、洗浄力をより高くすることができる。
【実施例
【0036】
つぎに、実施例を説明する。
(実施例1)
図1および図2に示す構成の卵洗浄装置を用いて卵の洗浄を行なった。ここで、ファインバブルを含有する洗浄水を用いた。その結果、洗浄後においても汚れが完全には除去しきれない汚卵の発生率は2%であった。
【0037】
(比較例1)
図1および図2に示す卵洗浄装置を用いて卵の洗浄を行なった。ただし、気泡発生器は設けずファインバブルを含有しない洗浄水を用いた。その結果、汚卵の発生率は3%であった。
【0038】
以上より、洗浄水にファインバブルを含有させることで汚卵の発生率を3%から2%に低減できることが確認された。年間生産数を1億個、正規卸値を15円、汚卵の卸値を7円と仮定する。汚卵の発生率が3%から2%に減少すると、年間の売上が800万円上昇することになる。
【符号の説明】
【0039】
AA 卵洗浄装置
10 コンベア
20 洗浄槽
30 ブラシ
42 加熱装置
43 気泡発生器
44 ノズル
45 バッファ槽
46 ポンプ
51 給水管
52 抜取管
【要約】
洗浄力の高い卵洗浄装置を提供する。卵洗浄装置(AA)は、ファインバブルを含有する洗浄水を生成する気泡発生器(43)と、気泡発生器(43)から供給された洗浄水を卵(E)に掛けるノズル(44)とを有する。ノズル(44)から排出された洗浄水を貯留する洗浄槽(20)と、洗浄槽(20)を通過するよう卵(E)を搬送するコンベア(10)と、コンベア(10)により搬送されている卵(E)をブラッシングするブラシ(30)とを有してもよい。卵(E)に付着した汚物の内部にファインバブルが侵入して汚物が除去されやすくなる。その結果、卵洗浄装置(AA)の洗浄力が高くなる。
図1
図2
図3
図4