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特許7316500レーザ加工ヘッド及びそれを備えたレーザ加工装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】レーザ加工ヘッド及びそれを備えたレーザ加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20230721BHJP
【FI】
B23K26/00 Q
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021524707
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(86)【国際出願番号】 JP2020017623
(87)【国際公開番号】W WO2020246170
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2019103835
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】王 静波
(72)【発明者】
【氏名】西尾 正敏
(72)【発明者】
【氏名】柴田 憲三
(72)【発明者】
【氏名】西原 学
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-237150(JP,A)
【文献】特開2018-75610(JP,A)
【文献】特開平1-186296(JP,A)
【文献】特開2002-361452(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19605018(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が貫通形成され、当該開口部の端面には、少なくとも1つの光通過孔が形成されたシールドホルダと、
前記少なくとも1つの光通過孔から前記開口部内に向いた受光面を有し、前記シールドホルダに取り付けられた少なくとも1つの光センサと、
前記少なくとも1つの光センサの受光面に対向する外周端面を有し、前記シールドホルダの開口部内に設けられた保護ガラスとを備え、レーザ発振器により出射されたレーザ光を、前記保護ガラスを透過させてワークに向けて出射するレーザ加工ヘッドであって、
前記保護ガラスの外周端面における前記光センサの受光面との対向領域を除く領域、又は前記シールドホルダの開口部の端面における前記光通過孔を除く領域には、反射コーティング膜が形成されていることを特徴とするレーザ加工ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ加工ヘッドにおいて、
表裏面のうちの一方に反射コーティング膜が形成された環板状の押えリングをさらに備え、
前記シールドホルダの開口部の端面には、周方向に延びる突条部が突設され、当該突条部の開口部貫通方向一方の面には、反射コーティング膜が形成され、
前記押えリングは、前記押えリングの反射コーティング膜形成面を前記シールドホルダの突条部の反射コーティング膜形成面に対向させた状態で、前記保護ガラスの外周部を前記突条部とで開口部貫通方向両側から挟むように前記開口部内に配設されていることを特徴とするレーザ加工ヘッド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のレーザ加工ヘッドにおいて、
前記光センサの数は、1つであることを特徴とするレーザ加工ヘッド。
【請求項4】
請求項3に記載のレーザ加工ヘッドと、
レーザ発振器と、
前記レーザ発振器により出射されたレーザ光を前記レーザ加工ヘッドに導く光ファイバと、
前記光センサによって検出された光量が、所定の閾値を超えたときに、所定の処理を行うコントローラとを備えていることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項5】
請求項4に記載のレーザ加工装置において、
前記所定の処理は、警告の出力であることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項6】
請求項4に記載のレーザ加工装置において、
前記所定の処理は、前記レーザ発振器のレーザ発振を停止させる制御であることを特徴とするレーザ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ発振器により出射されたレーザ光をワークに向けて出射するレーザ加工ヘッド、及びそれを備えたレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レーザ発振器により出射されたレーザ光を、保護ガラスを透過させてワークに向けて出射するレーザ加工ヘッドが開示されている。レーザ加工ヘッドは、シールドホルダと、シールドホルダに取り付けられた光センサと、シールドホルダに設けられた保護ガラスとを備える。シールドホルダは、開口部が貫通形成され、当該開口部の端面には、光通過孔が形成されている。光センサは、前記光通過孔から前記開口部内にその受光面を向けた状態で、前記シールドホルダに取り付けられている。保護ガラスは、前記光センサの受光面にその外周端面を対向させた状態で、前記シールドホルダの開口部内に設けられている。このレーザ加工ヘッドでは、レーザ発振器により出射されたレーザ光の一部が、保護ガラス表面に付着した汚れにより散乱して保護ガラスの表裏面、外周端面及びシールドホルダの開口部の端面で反射する。反射したレーザ光は、保護ガラスの外周端面における光センサの受光面との対向領域から出射する。そして、当該対向領域から出射された散乱光の光量が、保護ガラス表面の汚れ度合いを示す数値として光センサによって検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2002-515341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、保護ガラスの外周端面及びシールドホルダの開口部の端面の反射率が一般的に低いので、保護ガラス表面に付着した微細な汚れを、光センサの検出値に反映できない場合がある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、より微細な汚れを光センサの検出値に反映でき、保護ガラスの汚れを早い段階で検出できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、開口部が貫通形成され、当該開口部の端面には、少なくとも1つの光通過孔が形成されたシールドホルダと、前記少なくとも1つの光通過孔から前記開口部内に向いた受光面を有し、前記シールドホルダに取り付けられた少なくとも1つの光センサと、前記少なくとも1つの光センサの受光面に対向する外周端面を有し、前記シールドホルダの開口部内に設けられた保護ガラスとを備え、レーザ発振器により出射されたレーザ光を、前記保護ガラスを透過させてワークに向けて出射するレーザ加工ヘッドであって、前記保護ガラスの外周端面における前記光センサの受光面との対向領域を除く領域、又は前記シールドホルダの開口部の端面における前記光通過孔を除く領域には、反射コーティング膜が形成されていることを特徴とする。
【0007】
これにより、保護ガラスの外周端面、又はシールドホルダの開口部の端面に反射コーティング膜を形成しない場合に比べ、保護ガラスの外周端面、又はシールドホルダの開口部の端面における反射率が高くなり、光センサの受光面に入射する散乱光の光量が大きくなる。したがって、保護ガラスの外周端面、又はシールドホルダの開口部の端面に反射コーティング膜を形成しない場合に比べ、より微細な汚れを光センサの検出値に反映でき、保護ガラスの汚れを早い段階で検出できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より微細な汚れを光センサの検出値に反映でき、保護ガラスの汚れを早い段階で検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1に係るレーザ加工装置の構成を示す概略図である。
図2】レーザ加工ヘッドの構成を示す概略図である。
図3A】保護ガラスユニットの平面図である。
図3B図3AのIIIb-IIIb線における断面図である。
図4】(a)は、第2保護ガラスの平面図であり、(b)は、第2保護ガラスの側面図である。
図5】レーザ加工装置の機能ブロック図である。
図6】保護ガラスユニットの光センサの検出値と時間との関係を示すグラフである。
図7】(a)は、実施形態2の図3A相当図であり、(b)は、実施形態2の図3B相当図である。
図8A】シールドホルダの平面図である。
図8B図8AのVIIIb-VIIIb線における断面図である。
図9A】押えリングの平面図である。
図9B図9AのIXb-IXb線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0011】
また、以降の説明において、「一致」するとは、厳密に一致するものの他、製造上の組立公差や加工公差を含んで一致するものも含まれる。
【0012】
(実施形態1)
図1は、本実施形態1に係るレーザ加工装置100の構成を示し、レーザ加工装置100は、レーザ加工ヘッド50と、マニピュレータ60と、コントローラ70と、レーザ発振器80と、光ファイバ90とを備えている。
【0013】
レーザ加工ヘッド50は、光ファイバ90からのレーザ光LBをワークWに照射する。レーザ加工ヘッド50は、マニピュレータ60の先端に取り付けられている。マニピュレータ60は、レーザ加工ヘッド50を移動させる。コントローラ70は、レーザ加工ヘッド50の動作とマニピュレータ60の動作と、レーザ発振器80のレーザ発振を制御する。レーザ発振器80は、発振によりレーザ光LBを生成し、レーザ光LBを光ファイバ90に出射する。光ファイバ90は、レーザ発振器80により出射されたレーザ光LBをレーザ加工ヘッド50に導く。このような構成により、レーザ加工装置100は、レーザ発振器80から出射されたレーザ光LBを、レーザ加工ヘッド50及びマニピュレータ60を動作させてワークWに所望の軌跡で照射させる。
【0014】
レーザ加工装置100は、ワークWの溶接を行うのに使用される。
【0015】
レーザ加工ヘッド50は、図2に示すように、光ファイバ90に接続される略筒状のコネクタ1を備えている。当該コネクタ1の反光ファイバ90側の端部には、略筒状のレンズケース2の一端部が接続されている。当該レンズケース2の他端部には、略筒状のボディケース3の一端部が接続されている。当該ボディケース3の他端部には、内側ノズル4の導入口4a側端部が接続されている。内側ノズル4の導出口4b側端部は先細り形状をなしている。
【0016】
レンズケース2の内側には、略筒状のレンズホルダ5が当該レンズケース2に略沿うように配設されている。このレンズホルダ5のボディケース3側の端部近傍の内側には、コリメーションレンズ6と、フォーカスレンズ7とがその表裏面をレンズホルダ5の軸方向に向けた状態で、反ボディケース3側から配設されている。レンズホルダ5の内側には、光ファイバ90の出射端Aが位置している。コリメーションレンズ6は、光ファイバ90の出射端Aから出射されて広がったレーザ光LBを平行化する。フォーカスレンズ7は、コリメーションレンズ6によって平行化されたレーザ光LBを、ワークWにおける加工点付近で焦点を結ぶように集光させる。
【0017】
ボディケース3の内側には、略筒状の第1及び第2のホルダ8,9が、当該ボディケース3に略沿うようにレンズケース2側から順に配設されている。第1のホルダ8の内側には、第1の平行板10が固定されている。第1のホルダ8の外周側には、第1のベルトプーリー11がその軸方向を第1のホルダ8の軸方向に向けて配設されている。第1のベルトプーリー11は、当該第1のベルトプーリー11を回転させる第1のサーボモータ12に取り付けられている。第1のベルトプーリー11及び第1のホルダ8には、第1のタイミングベルト13が取り付けられている。したがって、第1のサーボモータ12で第1のベルトプーリー11を回転させることにより、第1のホルダ8を回転させることができる。また、第1のサーボモータ12周りには、第1のサーボモータ12の回転量、回転速度、及び回転方向を検出する第1のエンコーダ(図5にのみ示す。)14が設けられている。
【0018】
第2のホルダ9の内側には、第2の平行板15が固定されている。第2のホルダ9の外周側には、第2のベルトプーリー16がその軸方向を第2のホルダ9の軸方向に向けて配設されている。第2のベルトプーリー16は、当該第2のベルトプーリー16を回転させる第2のサーボモータ17に取り付けられている。第2のベルトプーリー16及び第2のホルダ9には、第2のタイミングベルト18が取り付けられている。したがって、第2のサーボモータ17で第2のベルトプーリー16を回転させることにより、第2のホルダ9を回転させることができる。第2のサーボモータ17周りには、第2のサーボモータ17の回転量、回転速度、及び回転方向を検出する第2のエンコーダ(図5にのみ示す。)19が設けられている。第1及び第2のホルダ8,9の回転軸は、光ファイバ90から第1の平行板10に入射するレーザ光LBの光軸と一致する。
【0019】
内側ノズル4の導入口4a側端部近傍には、第1保護ガラス20が、その表裏面を内側ノズル4の軸方向に向けた状態で配設されている。また、内側ノズル4の第1保護ガラス20よりも若干導出口4b側の周方向一部には、ホルダ挿入口4cが周方向に延びるように貫通形成されている。また、内側ノズル4の導入口4a側端部近傍の内周面には、段部4dが、当該段部4dの導出口4b側が導入口4a側よりも内周側に位置するようにホルダ挿入口4cを除く全周に亘って形成されている。また、内側ノズル4の外周側には、当該内側ノズル4の外周面における導入口4a側端縁よりも若干導出口4b側に下がった箇所から、軸方向略中央までの領域を覆う略筒状のノズルホルダ21が配設されている。また、ノズルホルダ21の導出口4b側には、内側ノズル4の導出口4b側端部を外周側から覆う外側ノズル22が配設されている。
【0020】
前記内側ノズル4のホルダ挿入口4cには、図3A及び図3Bにも示す略長方形板状のシールドホルダ23がその板面を導出口側に向けた状態で挿入されている。シールドホルダ23の長手方向は、その挿入方向に沿っている。当該シールドホルダ23の長手方向一端部が内側ノズル4の段部4dに内側から嵌合している。シールドホルダ23は、例えば、アルミニウム合金、鋼材又はステンレス鋼からなる。シールドホルダ23の長手方向他端部には、表裏両側及び短手方向両側に張り出す張出部23aが形成されている。シールドホルダ23の長手方向中央よりも反張出部23a寄りには、その厚さ方向に貫通するように円形の開口部23bが形成されている。当該開口部23bの端面における張出部23a側端部には、1つの光通過孔としての光センサ取付孔23cが形成されている。光センサ取付孔23cは、シールドホルダ23の厚さ方向中央部に位置している。また、この光センサ取付孔23cは、シールドホルダ23の張出部23a側端面の中央部に連通している。光センサ取付孔23cの内部には、1つの光センサ24が、光センサ取付孔23cから開口部23b内にその受光面24aを向けた状態で取り付けられている。また、開口部23bの端面における導出口4b側(出射側)端部には、周方向に延びる突条部23dが全周に亘って突設されている。また、開口部23bの端面には、光センサ取付孔23c形成箇所及び突条部23d突設箇所を除く全体に亘って雌ねじ(図示せず)が切られている。言うまでもなく、開口部23bの端面における光センサ取付孔23c形成箇所及び突条部23d突設箇所を除く領域のうち、後述する押えリング26を取り付けるために必要な最低限の領域にのみ雌ねじ(図示せず)が切られるようにしてもよい。
【0021】
シールドホルダ23の開口部23b内には、図4(a)及び図4(b)にも示す円形板状の第2保護ガラス25が、開口部23bの端面及び光センサ24の受光面24aにその外周端面を対向させた状態で設けられている。当該第2保護ガラス25の表裏面25b,25cには、反射防止コーティング膜(図示せず)が全面に亘って形成されている。反射防止コーティング膜としては、酸化物やフッ化物等で構成された誘電体膜が用いられる。また、第2保護ガラス25の外周端面25dは、光センサ24の受光面24aと対向する対向領域25eと、対向領域25eを除く領域25fとを含む。第2保護ガラス25の外周端面25dにおける領域25fには、全体に亘って、反射コーティング膜25aが形成されている。第2保護ガラス25の外周端面25dにおける反射コーティング膜25a非形成領域が、反射光出口部300を構成している。反射光出口部300の周方向の位置は、光センサ24の受光面24aの周方向の位置と一致している。反射コーティング膜25aは、金、銀、アルミニウム等、レーザ光LBに対する反射率の高い金属の蒸着によって形成されてよい。反射コーティング膜25aは、反射コーティング膜25a形成面にレーザ光LBが垂直に入射するときの反射率が90%以上になるように形成されている。なお、その反射率は100%に近いほうが望ましい。
【0022】
また、シールドホルダ23の開口部23b内には、円環板状の押えリング26が、第2保護ガラス25の外周部を突条部23dとで開口部23b貫通方向両側から挟むように配設されている。押えリング26は、例えば、アルミニウム合金、鋼材又はステンレス鋼からなる。押えリング26の外周面には、雄ねじ(図示せず)が切られており、当該雄ねじは、シールドホルダ23の開口部23bの端面の雌ねじと螺合している。シールドホルダ23、光センサ24、第2保護ガラス25、及び押えリング26により、保護ガラスユニット27が構成されている。したがって、シールドホルダ23の光センサ取付孔23cに光センサ24を挿入し、かつシールドホルダ23の突条部23dに第2保護ガラス25を載置した状態で、押えリング26の雄ねじをシールドホルダ23の雌ねじに螺合させることにより、保護ガラスユニット27を一体に組み付けることができる。押えリング26は、円形に限らず、三角、四角、六角のような多角形の外形を有してもよい。
【0023】
マニピュレータ60は、図5に示すように、サーボモータ61及びエンコーダ62を関節軸毎に有している。
【0024】
コントローラ70は、制御部71と、表示部72と、入力部73とを有している。
【0025】
制御部71は、入力部73から入力された制御プログラムに従って、レーザ発振器80のレーザ光出力を制御するように構成されている。
【0026】
また、制御部71は、入力部73から入力された制御プログラム、及びレーザ加工ヘッド50に設けられた第1及び第2のエンコーダ14,19からのフィードバック信号に従って、第1及び第2のサーボモータ12,17に回転指令を送り、第1及び第2のサーボモータ12,17の回転速度及び回転量を制御する。
【0027】
さらに、制御部71は、入力部73から入力された制御プログラム及びマニピュレータ60に設けられたエンコーダ62からのフィードバック信号に従って、マニピュレータ60に設けられたサーボモータ61に位置指令を送信し、サーボモータ61の回転速度及び回転量を制御する。
【0028】
また、制御部71は、図6に示すように、光センサ24によって検出された光量が、所定の第1の閾値Vsca1を超えたときに、表示部72に警告を表示出力させる。さらに、制御部71は、光センサ24によって検出された光量が、第1の閾値Vsca1よりも大きい第2の閾値Vsca2を超えたときに、レーザ発振器80に対し、レーザ発振を停止させる制御を行う。
【0029】
表示部72は、制御部71による制御により、レーザ発振器80の出力状態、マニピュレータ60の動作状態、及び警告等を表示するように構成されている。
【0030】
入力部73は、レーザ発振器80の出力やマニピュレータ60の移動速度及び移動量を決定するための制御プログラム等の入力を受け付ける。また、入力部73は、第1及び第2のサーボモータ12,17の回転速度及び回転時間を決定するための制御プログラム等の入力を受け付ける。
【0031】
プログラムの作成(教示)及び実行を行うティーチペンダントをコントローラ70に設け、当該ティーチペンダントによって表示部72と入力部73の機能が実現されるようにしてもよい。また、制御プログラムがティーチペンダントによって作成されるようにしてもよい。
【0032】
そして、上述のように構成されたレーザ加工装置100では、レーザ発振器80がレーザ光LBを出射すると、出射されたレーザ光LBは、光ファイバ90によってレーザ加工ヘッド50に導かれる。レーザ加工ヘッド50に導かれたレーザ光LBは、コリメーションレンズ6によって平行化され、その後、フォーカスレンズ7によって集光される。フォーカスレンズ7を通過したレーザ光LBは、第1及び第2の平行板10,15によって光軸を調整され、その後、第1保護ガラス20及び第2保護ガラス25を通過してワークWに照射される。このとき、図4(a)及び図4(b)に示すように、第2保護ガラス25の表面25bに汚れDが付着していると、第2保護ガラス25に入射したレーザ光LBの一部は、当該汚れDにより散乱する。その散乱光SLが第2保護ガラス25の表裏面25b,25c及び外周端面25dの反射コーティング膜25aで多重に反射する。反射した散乱光SLの一部は、第2保護ガラス25の外周端面25dにおける光センサ24の受光面24aとの対向領域25eである反射光出口部300から出射される。第2保護ガラス25の外周端面25dの反射コーティング膜25a形成領域に入射する散乱光SLの反射率は、第2保護ガラス25の表裏面25b,25cに入射する散乱光SLの反射率に比べて高くなる。図4中、散乱光SLの一部の光路を仮想線で示す。そして、当該反射光出口部300から出射された散乱光SLの光量が、第2保護ガラス25の表面25bの汚れ度合いを示す数値として光センサ24によって検出される。光センサ24によって検出された光量が、第1の閾値Vsca1を超えると、表示部72が、制御部71の制御により警告を出力表示する。これにより、出力表示された警告を視認したユーザは、第2保護ガラス25の交換時期又は清掃時期が近いことを認識できる。また、光センサ24によって検出された光量が、レーザ加工中における第2保護ガラス25の,何らかの理由による突然の汚れによって第2の閾値Vsca2を超えると、レーザ発振器80が、制御部71の制御によりレーザ発振を停止する。これにより、ユーザに第2保護ガラス25の交換又は清掃を促せるとともに、第2保護ガラス25の表面25bの汚れに起因する加工品質の劣化を防止できる。このとき、第2保護ガラス25の外周端面25dに反射コーティング膜25aが形成されているので、反射コーティング膜25aを形成しない場合に比べ、第2保護ガラス25の外周端面25dの反射率が高くなり、光センサ24の受光面24aに入射する散乱光SLの光量が大きくなる。したがって、本実施形態1のように、設ける光センサ24の数を1つとした場合でも、より微細な汚れを光センサ24の検出値に反映でき、第2保護ガラス25の汚れを早い段階で検出できる。その結果、第2保護ガラス25に付着した汚れDに起因する警告出力及びレーザ発振停止のタイミングをより適切に制御できる。
【0033】
(実施形態2)
図7(a)は、本発明の実施形態2の図3A相当図であり、図7(b)は、本実施形態2の図3B相当図である。シールドホルダ23の開口部23bの端面は、シールドホルダ23の厚さ方向略中央部を有する。略中央部は、光センサ取付孔23cと、光センサ取付孔23cを除く領域とを含む。突条部23dは、導入口4a側(入射側)の面と、導出口4b側(出射側)の面とを有する。本実施形態2では、図8A及び図8Bにも示すように、上記の光センサ取付孔23cを除く領域と、突条部23dの導出部4b側(出射側)の面とに、全体に亘って、反射コーティング膜23eが連続して形成されている。シールドホルダ23の開口部23bの端面における光センサ取付孔23c形成箇所、導入口4a側(入射側)端部、及び突条部23d先端には、反射コーティング膜23eが形成されていない。また、図9A及び図9Bにも示すように、押えリング26の表裏面のうち導入口4a側の面に、全体に亘って、反射コーティング膜26aが連続して形成されている。つまり、押えリング26は、その反射コーティング膜26a形成面を、突条部23dの反射コーティング膜23e形成面に対向させている。また、第2保護ガラス25の外周端面25dに反射コーティング膜25aが形成されていない。また、シールドホルダ23の開口部23bの端面における反射コーティング膜23e形成領域、すなわち第2保護ガラス25の外周端面25dとの対向領域には、光を共通の方向に反射させる目的で、雌ねじが切られていない。シールドホルダ23の開口部23bの端面における押えリング26を取り付けるために必要な最低限の領域にのみ雌ねじが切られている。
【0034】
その他の構成は、実施形態1と同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0035】
したがって、本実施形態2によると、反射コーティング膜23e,26aを、第2保護ガラス25よりも交換の頻度の低いシールドホルダ23及び押えリング26に形成したので、実施形態1のように反射コーティング膜25aを第2保護ガラス25に形成する場合に比べ、コストを削減できる。
【0036】
また、反射コーティング膜23eをシールドホルダ23の突条部23dの導出部4b側の面と、押えリング26の導入口4a側の面にも形成したので、シールドホルダ23の開口部23bの端面だけに形成した場合に比べ、突条部23dの導出部4b側の面、及び押えリング26の導入口4a側の面の反射率が高くなり、光センサ24の受光面24aに入射する散乱光SLの光量が大きくなる。したがって、さらに微細な汚れを光センサ24の検出値に反映でき、その結果、第2保護ガラス25に付着した汚れに起因する警告出力及びレーザ発振停止のタイミングをさらに適切に制御できる。
【0037】
なお、上記実施形態1,2では、光センサ24によって検出された光量が第1の閾値Vsca1を超えたときに、コントローラ70に、警告表示を出力させたが、警告音を出力させるようにしてもよいし、コントローラ70の外部の装置によって受信される警告信号を出力させるようにしてもよい。
【0038】
また、上記実施形態1,2では、光センサ24によって検出された光量が第1の閾値Vsca1を超えたときにコントローラ70に行わせる処理を、警告の出力としたが、その他の所定の処理としてもよい。同様に、光センサ24によって検出された光量が第2の閾値Vsca2を超えたときにコントローラ70に行わせる処理を、レーザ発振器80のレーザ発振を停止させる制御としたが、その他の所定の処理としてもよい。
【0039】
また、上記実施形態1,2では、光センサ取付孔23c及び光センサ24を1組設けたが、複数組設け、複数の光センサ24の検出値が所定の条件を満たしたときに、コントローラ70が警告の出力、レーザ発振器80のレーザ発振を停止させる制御等の所定の処理を行うようにしてもよい。
【0040】
また、上記実施形態2では、シールドホルダ23の開口部23bの端面における光センサ取付孔23cを除く領域と、突条部23dの導出部4b側の面とに、反射コーティング膜23eを形成したが、突条部23dの導出部4b側の面に、反射コーティング膜23eを設けなくてもよい。
【0041】
また、上記実施形態2では、押えリング26の導入口4a側の面に、全体に亘って、反射コーティング膜26aを形成したが、形成しなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のレーザ加工ヘッドは、より微細な汚れを光センサの検出値に反映できるようにでき、レーザ加工装置に適用する上で有用である。
【符号の説明】
【0043】
23 シールドホルダ
23b 開口部
23c 光センサ取付孔(光通過孔)
23d 突条部
23e 反射コーティング膜
24 光センサ
24a 受光面
25 第2保護ガラス
25a 反射コーティング膜
25b 第2保護ガラスの表面
25c 第2保護ガラスの裏面
25d 第2保護ガラスの外周端面
25e 第2保護ガラスの外周端面における対向領域
25f 第2保護ガラスの外周端面における対向領域を除く領域
26 押えリング
26a 反射コーティング膜
50 レーザ加工ヘッド
70 コントローラ
80 レーザ発振器
90 光ファイバ
100 レーザ加工装置
LB レーザ光
W ワーク
Vsca1 第1の閾値
Vsca2 第2の閾値
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B