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特許7316543印刷処理プログラム、印刷装置、及び、印刷システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】印刷処理プログラム、印刷装置、及び、印刷システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20230721BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
G06F3/12 336
B41J29/38
G06F3/12 311
G06F3/12 378
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019118929
(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公開番号】P2021005239
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朱 峰
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-317157(JP,A)
【文献】特開2015-168227(JP,A)
【文献】特開2005-153426(JP,A)
【文献】特開2018-073108(JP,A)
【文献】特開2006-340286(JP,A)
【文献】特開2000-194527(JP,A)
【文献】特開2011-238033(JP,A)
【文献】特開2012-111210(JP,A)
【文献】特開2005-254469(JP,A)
【文献】特開2009-116595(JP,A)
【文献】特開昭59-030352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印字媒体を搬送させるための搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記被印字媒体に対し、ラスターデータに基づく印字を行う印字手段と、を有した印刷装置を操作する操作端末に備えられた演算手段に対し、
前記ラスターデータに関連づけられ、前記ラスターデータに基づく前記印字の形成時における印刷条件を表す条件コマンドを、前記印刷装置へ送信するコマンド送信手順と、
前記コマンド送信手順で送信した前記条件コマンドの表す前記印刷条件に対して前記印刷装置での印刷実行の可否を表す印刷可否情報を当該印刷装置から受信する情報受信手順と、
前記情報受信手順で印刷実行可を表す前記印刷可否情報を受信した場合に、当該ラスターデータを前記印刷装置へ送信するデータ送信手順と、
を実行させるための、印刷処理プログラムであって、
前記演算手段に対し、
前記情報受信手順で第1所定期間外に印刷実行可を表す前記印刷可否情報を受信した場合には、当該受信のタイミングから第2所定期間を経過後に前記操作端末に前記ラスターデータを前記印刷装置へ送信させる
ことを特徴とする印刷処理プログラム。
【請求項2】
請求項1記載の印刷処理プログラムにおいて、
前記データ送信手順では、
前記情報受信手順で第1所定期間内に印刷実行可を表す前記印刷可否情報を受信した場合には、当該受信を契機に前記操作端末は前記ラスターデータを前記印刷装置へ送信する
ことを特徴とする印刷処理プログラム。
【請求項3】
請求項2記載の印刷処理プログラムにおいて、
前記コマンド送信手順では、
共通の前記条件コマンドを複数の前記印刷装置へそれぞれ送信し、
前記情報受信手順では、
前記複数の印刷装置それぞれからの前記印刷可否情報を受信し、
前記データ送信手順では、
前記複数の印刷装置のうち、前記第1所定期間内に印刷実行可を表す前記印刷可否情報を送信した前記印刷装置に対し、前記操作端末は前記ラスターデータを送信する
ことを特徴とする印刷処理プログラム。
【請求項4】
請求項1記載の印刷処理プログラムにおいて、
前記データ送信手順では、
前記ラスターデータを複数のデータ部分に分割し、各データ部分を互いに間隔を置いて送信する
ことを特徴とする印刷処理プログラム。
【請求項5】
被印字媒体を搬送させるための搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記被印字媒体に対し、ラスターデータに基づく印字を行う印字手段と、
操作端末と情報送受信可能な通信手段と、
制御手段と、
を有し、
前記通信手段を介し前記操作端末から受信した前記ラスターデータに基づく印字を、前記被印字媒体に形成する印刷装置であって、
前記制御手段は、
前記ラスターデータに関連づけられ、前記ラスターデータに基づく前記印字の形成時における印刷条件を表す条件コマンドを、前記通信手段を介し受信して解析する、コマンド解析処理;
前記コマンド解析処理で解析して取得した前記条件コマンドの表す前記印刷条件に対する前記印刷装置の整合性に基づき、前記ラスターデータによる印刷実行の可否を判定する、印刷判定処理;
前記印刷判定処理の判定結果に対応した印刷可否情報を、前記通信手段を介し前記操作端末へ送信する、情報送信処理;
を実行し、
前記制御手段は、
前記印刷判定処理で印刷実行可と判定した場合には、前記情報送信処理で、印刷実行可を表す前記印刷可否情報を送信し、
かつ、前記印刷実行可を表す前記印刷可否情報に対応して前記操作端末から送信された、前記条件コマンドに対応する前記ラスターデータを、前記通信手段を介し受信して解析する、データ解析処理;
前記データ解析処理で解析した前記ラスターデータに応じて前記搬送手段及び前記印字手段を制御し、当該ラスターデータに基づく印字を前記被印字媒体に形成する印刷処理;
をさらに実行し、
前記通信手段は、
第1操作端末及び第2操作端末を含む複数の操作端末と情報送受信可能であり、
前記制御手段は、さらに、
前記第1操作端末からの前記ラスターデータを受信して解析する前記データ解析処理の途中で、前記第2操作端末からの前記条件コマンドを受信して解析する前記コマンド解析処理を割り込んで行う
こと特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項5記載の印刷装置において
記制御手段は、
前記第1操作端末からの前記ラスターデータに基づく印字を形成する前記印刷処理と、前記第2操作端末からの前記条件コマンドを受信して解析する前記コマンド解析処理とを、少なくとも一部分を互いに並行して行う
こと特徴とする印刷装置。
【請求項7】
通信手段、被印字媒体を搬送させるための搬送手段、前記搬送手段により搬送される前記被印字媒体に対し、前記通信手段を介し受信したラスターデータに基づく印字を行う印字手段、及び、装置側制御手段、を備えた印刷装置と、
端末側制御手段を備え、前記印刷装置の通信手段に対し情報送受信可能な操作端末と、
を有する印刷システムであって、
前記端末側制御手段は、
前記ラスターデータに関連づけられ、前記ラスターデータに基づく前記印字の形成時における印刷条件を表す条件コマンドを、前記印刷装置へ送信するコマンド送信処理;
を実行し、
前記装置側制御手段は、
前記コマンド送信処理で送信された前記条件コマンドを、前記通信手段を介し前記操作端末から受信して解析する、コマンド解析処理;
前記コマンド解析処理で解析して取得した前記条件コマンドの表す前記印刷条件に対する前記印刷装置の整合性に基づき、前記ラスターデータによる印刷実行の可否を判定する、印刷判定処理;
前記印刷判定処理の判定結果に対応した印刷可否情報を、前記通信手段を介し前記操作端末へ送信する、情報送信処理;
を実行し、
前記端末側制御手段は、
前記情報送信処理で送信された前記印刷可否情報を前記印刷装置から受信する情報受信処理;
前記情報受信処理で印刷実行可を表す前記印刷可否情報を受信した場合に、当該ラスターデータを前記印刷装置へ送信するデータ送信処理;
を実行し、
前記情報受信処理で第1所定期間外に印刷実行可を表す前記印刷可否情報を受信した場合には、当該受信のタイミングから第2所定期間を経過後に前記ラスターデータを前記印刷装置へ送信する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項8】
通信手段、被印字媒体を搬送させるための搬送手段、前記搬送手段により搬送される前記被印字媒体に対し、前記通信手段を介し受信したラスターデータに基づく印字を行う印字手段、及び、装置側制御手段、を備えた印刷装置と、
端末側制御手段を備え、前記印刷装置の通信手段に対し情報送受信可能な操作端末と、
を有する印刷システムであって、
前記端末側制御手段は、
前記ラスターデータに関連づけられ、前記ラスターデータに基づく前記印字の形成時における印刷条件を表す条件コマンドを、前記印刷装置へ送信するコマンド送信処理;
を実行し、
前記装置側制御手段は、
前記コマンド送信処理で送信された前記条件コマンドを、前記通信手段を介し前記操作端末から受信して解析する、コマンド解析処理;
前記コマンド解析処理で解析して取得した前記条件コマンドの表す前記印刷条件に対する前記印刷装置の整合性に基づき、前記ラスターデータによる印刷実行の可否を判定する、印刷判定処理;
前記印刷判定処理の判定結果に対応した印刷可否情報を、前記通信手段を介し前記操作端末へ送信する、情報送信処理;
を実行し、
かつ、前記印刷判定処理で印刷実行可と判定した場合には、前記情報送信処理で、印刷実行可を表す前記印刷可否情報を送信し、
前記端末側制御手段は、
前記情報送信処理で送信された前記印刷可否情報を前記印刷装置から受信する情報受信処理;
前記情報受信処理で印刷実行可を表す前記印刷可否情報を受信した場合に、当該ラスターデータを前記印刷装置へ送信するデータ送信処理;
を実行し、
前記装置側制御手段は、
前記データ送信処理で送信された、前記条件コマンドに対応する前記ラスターデータを、前記通信手段を介し受信して解析する、データ解析処理;
前記データ解析処理で解析した前記ラスターデータに応じて前記搬送手段及び前記印字手段を制御し、当該ラスターデータに基づく印字を前記被印字媒体に形成する印刷処理;
を実行し、
前記通信手段は、
第1操作端末及び第2操作端末を含む複数の操作端末と情報送受信可能であり、
前記装置側制御手段は、さらに、
前記第1操作端末の前記端末側制御手段からの前記ラスターデータを受信して解析する前記データ解析処理の途中で、前記第2操作端末の前記端末側制御手段からの前記条件コマンドを受信して解析する前記コマンド解析処理を割り込んで行う
ことを特徴とする印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作端末からの操作で印刷装置が印字を行うための、印刷処理プログラム、印刷装置、及び、印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
操作端末が印字データを送信し、受信された印字データに基づき印刷装置が印字を実行する技術が既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-55307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のように、操作端末からの印字データにより印刷装置が印字を実行する場合、通常、その印字データには、印字内容そのものを表すラスターデータと、ラスターデータに基づく印字形成時における印刷条件(例えば印字品質や被印字媒体の属性等)を表す情報と、が含まれている。印刷装置は、操作端末からの印字データを受信した後、その印字データに含まれる上記印刷条件が当該印刷装置の仕様・使用状況等に合致するか否かを判定する。合致しない場合は、エラー報告が印刷装置から操作端末に返信され、操作端末において対応するエラー表示が行われる。操作者は、当該エラー表示を見て、印字データを送信した印刷装置では印刷ができないことを知ることで、別の印刷装置に対し改めて印字データを送信し印刷を行うことができる。
【0005】
ここで、上記印字データに含まれるラスターデータは特に容量が大きいことから、このラスターデータを含む上記印字データが操作端末から送信された後、印刷装置で受信されるまで比較的長い通信時間を要する。そのため、上記のように印刷装置の仕様・使用状況等に合致していない印刷条件を含む印字データが操作端末から印刷装置へ送信された場合、印刷装置での受信が完了するまでの長い通信時間の後で印刷装置からのエラー報告が行われる。したがって、操作者は、上記長い通信時間を無駄に待たされた後に、エラー表示に対応してさらに別の印刷装置に対し再度同じ印字データを送信する必要がある。その結果、操作者が所望する印刷を実行完了するまでに多大な時間を浪費し、印刷処理効率が低下する場合があった。
【0006】
本発明の目的は、操作端末と印刷装置との間の無駄な通信時間を低減し、印刷処理効率を向上できる、印刷処理プログラム、印刷装置、及び印刷システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明の印刷処理プログラムは、被印字媒体を搬送させるための搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記被印字媒体に対し、ラスターデータに基づく印字を行う印字手段と、を有した印刷装置を操作する操作端末に備えられた演算手段に対し、前記ラスターデータに関連づけられ、前記ラスターデータに基づく前記印字の形成時における印刷条件を表す条件コマンドを、前記印刷装置へ送信するコマンド送信手順と、前記コマンド送信手順で送信した前記条件コマンドの表す前記印刷条件に対して前記印刷装置での印刷実行の可否を表す印刷可否情報を当該印刷装置から受信する情報受信手順と、前記情報受信手順で印刷実行可を表す前記印刷可否情報を受信した場合に、当該ラスターデータを前記印刷装置へ送信するデータ送信手順と、を実行させる。
【0008】
本願発明の印刷処理プログラムが実行される操作端末では、印刷装置の印字手段に印字を行わせるためのラスターデータと、ラスターデータに基づく印字形成時の印刷条件と、を別々に印刷装置に送信可能となっている。
すなわち、まず、上記印刷処理プログラムの実行により行われるコマンド送信手順で、上記印刷条件を表す条件コマンドが、印刷装置へ送信される。その条件コマンドを受信した印刷装置から上記印刷条件に対する印刷可否情報が送信されたら、その印刷可否情報が情報受信手順において受信される。そして、上記情報受信手順で印刷装置から受信した印刷可否情報が印刷実行可を表す情報であった場合に、データ送信手順において、上記条件コマンドに対応するラスターデータが印刷装置へと送信される。
【0009】
このように、本願発明においては、印刷装置へ送信するデータが、ラスターデータと条件コマンドとに分離され、まず条件コマンドを送信し印刷装置からの応答により印刷可能であることが分かった場合に、改めてラスターデータが印刷装置へと送信される。したがって、条件コマンドが表す印刷条件が印刷装置に合致しなかった場合であっても、操作端末が条件コマンドを送信→印刷装置が印刷不可の旨の印刷可否情報が返信→操作端末が条件コマンドを別の印刷装置に送信→・・という流れになる。これにより、印刷装置での受信が完了するまでの長い通信時間の後で印刷装置からのエラー報告が行われる上記従来技術のように、無駄に長い通信時間を待つことで時間を浪費するのを抑制することができる。その結果、印刷処理効率を向上することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、操作端末と印刷装置との間の無駄な通信時間を低減し、印刷処理効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態の印刷処理システムの全体構成を表すシステム構成図である。
図2】印刷処理システムの機能的構成を表す機能ブロック図である。
図3】ラスターデータ印刷時の比較例による手法を表す説明図である。
図4】ラスターデータ印刷時の第1実施形態によるデータ処理手法を表す説明図である。
図5図3の比較例の手法によるラベルプリンタの経時的処理内容を表す説明図である。
図6】第1実施形態の手法によるラベルプリンタの経時的処理内容を表す説明図である。
図7】操作端末のCPUが実行する処理手順を表すフローチャートである。
図8】プリンタの制御回路が実行する処理手順を表すフローチャートである。
図9】本発明の第2実施形態に係わる印刷処理システムの全体構成を表すシステム構成図である。
図10】ラスターデータ印刷時のラベルプリンタの受信バッファ、2つの解析バッファ、印刷バッファにおける経時的処理内容を表す説明図である。
図11】本発明の第3実施形態において、ラスターデータ印刷時のラベルプリンタの受信バッファ、2つの解析バッファ、印刷バッファにおける経時的処理内容を表す説明図である。
図12】本発明の第3実施形態の変形例において、ラスターデータ印刷時のラベルプリンタの受信バッファ、2つの解析バッファ、印刷バッファにおける経時的処理内容を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0013】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を図1図8により説明する。
【0014】
<印刷処理システムの構成>
まず、図1を参照しつつ、本実施形態の印刷処理システムの全体構成を説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の印刷処理システム1(印刷システムに相当)は、操作端末2と、複数のラベルプリンタ、ここでは3台のラベルプリンタ3A,3B,3C(なお、以下適宜、「ラベルプリンタ3A,3B,3C」を総称して単に「ラベルプリンタ3」という)と、を有する。操作端末2とラベルプリンタ3とは、例えばWi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の適宜の無線通信方式により相互通信可能に無線接続される。なお、操作端末2とラベルプリンタ3とは、USBケーブル等を介して相互通信可能に有線接続されてもよい。
【0016】
操作端末2は、操作ボタン14と、表示機能を備えかつ接触操作可能な表示部であるタッチパネル17と、を有する、いわゆるスマートフォンである。なお、操作端末2は、スマートフォンに限られず、いわゆるフィーチャーフォン、タブレット型コンピュータ、ノート型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータ等でもよく、また表示部はタッチパネル17でなくてもよい。
【0017】
ラベルプリンタ3(印刷装置に相当)は、操作端末2との間で各種の情報や指示信号を送受し、操作端末2でのユーザの操作に基づき、所望のテキストや画像等の印字を備えた印字ラベルLを作成する。
【0018】
次に、図2を参照しつつ、印刷処理システムの機能的構成を説明する。
【0019】
<機能的構成>
図2に示すように、操作端末2は、CPU12(演算手段、端末側制御手段に相当)と、RAM13a及びROM13b等を備えたメモリ13と、上記操作ボタン14と、通信制御部15と、フラッシュメモリ等の大容量記憶装置16と、上記タッチパネル17と、を有する。
【0020】
メモリ13のRAM13aには、例えばユーザがタッチパネル17を適宜に操作することで作成された、上記印字ラベルLに表記したい所望の印字内容に対応した印字データが記憶される。本実施形態では、この印字データは、上記印字内容そのものを表すラスターデータと、そのラスターデータを用いてラベルプリンタ3が印刷を行うときに必要な印刷条件と、を含む。なお、このときの印刷条件としては、例えば当該ラスターデータの印刷時においてラベルプリンタ3のテープロールホルダ部210(後述)に装着されるべきテープ203(後述)の属性(幅寸法、材質等)や、印字ヘッド205(後述)に要求される印字品質(通常モード、ファインモード、高速印字モード等)等がある。
【0021】
CPU12は、メモリ13のRAM13aの一時記憶機能を利用しつつ、メモリ13のROM13bや大容量記憶装置16に記憶された各種プログラムを実行することで、操作端末2全体の制御を行う。
【0022】
通信制御部15は、ラベルプリンタ3との間で行われる通信の制御を行う。
【0023】
メモリ13のROM13bには、CPU12に対し後述の図7に示すフローチャートの各手順を実行させるための、本実施形態の印刷処理プログラムが記憶されている。なお、印刷処理プログラムは、大容量記憶装置16に記憶されていてもよい。なお、大容量記憶装置16は、本体メモリに限られず、SDメモリカード等の適宜の外部メモリでもよい。
【0024】
ラベルプリンタ3は、制御回路202(制御手段、装置側制御手段に相当)と、操作部206と、通信制御部208(通信手段に相当)と、テープロールホルダ部210と、印字ヘッド205(印字手段に相当)と、カッタ207と、搬送装置209(搬送手段に相当)と、を有する。なお、図2では、ラベルプリンタ3B,3Cの詳細機能の図示を省略しているが、ラベルプリンタ3Aと同一の詳細機能を備えている。
【0025】
制御回路202は、RAM202a、ROM202b、及び、CPU202c等を備えている。ROM202aには、制御回路202のCPU202cに対し後述の図8に示すフローチャートの各手順を実行させるための処理プログラムが記憶されている。制御回路202のCPU202cは、RAM202aの一時記憶機能を利用しつつ、ROM202bに予め記憶された各種プログラムを実行することで、ラベルプリンタ3全体の制御を行う。
【0026】
通信制御部208は、操作端末2の通信制御部15との間で行われる通信の制御を行う。
【0027】
制御回路202のRAM202aには、操作端末2から受信される印字データが一時的に記憶される。
【0028】
テープロールホルダ部210には、テープ203(被印字媒体に相当)を巻回したテープロール204(本来は渦巻き状であるが簡略化して同心円で図示)を着脱可能である(又は、テープロール204を備えたカートリッジを着脱可能としてもよい)。
【0029】
搬送装置209は、印字ヘッド205に対向して設けられており、テープロール204から繰り出されるテープ203を搬送する。
【0030】
印字ヘッド205は、搬送装置209により搬送されるテープ203に対し、操作端末2から受信された印字データに含まれる、ラスターデータに基づく印字を行う。
【0031】
カッタ207は、印字後のテープ203を所定の長さに切断して印字ラベルLとする。
【0032】
<実施形態の特徴>
上述のように、操作端末2からの印字データによりラベルプリンタ3が印字を実行する場合、既に述べたように、通常、その印字データには、印字内容そのものを表すラスターデータと、ラスターデータに基づく印字形成時における印刷条件と、が含まれている。
本実施形態の最大の特徴は、ラベルプリンタ3に対し、印字を行わせるためのラスターデータと、当該ラスターデータに何らかの形で関連づけられそのラスターデータに基づく印字形成時の印刷条件を表す条件コマンドと、を別々に操作端末2から送信可能となっていることである。そして、条件コマンドを受信したラベルプリンタ3からの応答により印刷可能であることが分かった場合に、ラスターデータをラベルプリンタ3へ送信してラスターデータに基づく印字の形成(以下、適宜「ラスターデータ印刷」という)が行われる。以下、その詳細を説明する。
【0033】
<比較例>
まず、本実施形態の比較例として、ラスターデータ印刷時においてラベルプリンタ3に対し上記ラスターデータと印刷条件とを一括して送信される場合を、図3により説明する。
【0034】
図3に示すように、この比較例では、まず、ラスターデータ部分と印刷条件とを一括して含む印字データが、操作端末2からラベルプリンタ3(この例ではラベルプリンタ3A)に対して送信される。ラベルプリンタ3Aは、送信された印字データに含まれる印刷条件に対し自らの仕様や性能が合致するか否か、すなわち当該印刷条件による印刷を実行できるか否かを判断する。そして、当該印刷条件による印刷の実行が不可能であると判断した場合、ラベルプリンタ3Aは、操作端末2に対し、印刷実行が不可である旨の情報(エラー報告)を送信する。
【0035】
操作端末2は、ラベルプリンタ3Aから上記エラー報告を受信した場合には、ラベルプリンタ3Aに代えて、別のラベルプリンタ3(この例ではラベルプリンタ3B)に対し、再度、ラスターデータ部分と印刷条件とを一括して含む印字データを送信する。ラベルプリンタ3Bが当該印刷条件による印刷の実行が可能であると判断した場合、ラベルプリンタ3Bは、送信されたラスターデータにより印刷を実行する。
【0036】
すなわち、この比較例では、当該印刷条件による印刷を実行できるラベルプリンタ3から印刷実行が可能である旨の情報が受信されるまで、操作端末2から、ラスターデータ部分と印刷条件とを含む印字データがラベルプリンタ3へと送信される。そのため、毎回の送信時のデータ容量が大きく通信時間が長くなる結果、最終的にラスターデータ印刷による印字ラベルLの作成が終了するまでに、長い処理時間を要する。
【0037】
<実施形態の手法の概要>
次に、本実施形態における、ラスターデータ印刷時のデータ処理手法を図4により説明する。
【0038】
図4に示すように、本実施形態では、印字データのうち、ラスターデータ及び印刷条件を表す条件コマンドを、ラベルプリンタ3に対し別々に送信可能である。すなわちまず、操作端末2から1つのラベルプリンタ3(この例ではラベルプリンタ3A)に対して上記条件コマンドが送信される。ラベルプリンタ3Aは、送信された条件コマンドの印刷条件に対し自らの仕様や性能が合致するか否か、すなわち当該印刷条件による印刷を実行できるか否かを判断する。そして、当該印刷条件による印刷の実行が不可能であると判断した場合、上記比較例同様、ラベルプリンタ3Aは、操作端末2に対し、印刷実行が不可である旨の情報(エラー報告)を送信する。
【0039】
操作端末2は、ラベルプリンタ3Aから上記エラー報告を受信すると、ラベルプリンタ3Aに代わる別のラベルプリンタ3(この例ではラベルプリンタ3B)に対し、再度、上記条件コマンドを送信する。そして、ラベルプリンタ3Bが当該印刷条件による印刷の実行が可能であると判断した場合、操作端末2に対し、印刷実行が可能である旨の情報を送信する。操作端末は、ラベルプリンタ3Bから印刷実行が可能である旨の情報を受信した後、ラスターデータをラベルプリンタ3Bに送信する。これにより、ラベルプリンタ3Bは、送信されたラスターデータにより印刷を実行する。
【0040】
すなわち、本実施形態の手法では、まず、ラスターデータの印刷条件を表す条件コマンドをラベルプリンタ3へ送信し、条件コマンドを受信したラベルプリンタ3から印刷実行可の旨の情報の受信があった場合に初めてラスターデータを送信する。この結果、操作端末2からラベルプリンタ3への毎回の送信時のデータ容量が小さく通信時間が短くなる結果、最終的にラスターデータ印刷による印字ラベルLの作成が終了するまでの処理時間を短縮可能となる。
【0041】
<比較例による経時的処理内容>
図3に示した比較例の手法による経時的な処理内容を、図5(a)及び図5(b)により説明する。なお、図5(a)及び図5(b)の横軸は時間軸を表し、操作端末2から最初に印字データの送信が行われるラベルプリンタ3(図3の例ではラベルプリンタ3A)を「プリンタ1」、その次の順番で印字データの送信が行われるラベルプリンタ3(図3の例ではラベルプリンタ3B)を「プリンタ2」と略示している(後述の図6も同様)。
【0042】
例えば図5(a)に示すように、上記最初のラベルプリンタ3では、時間t0から開始された、操作端末2からの印字データ(ラスターデータ部分及び印刷条件を含む)の受信が終了すると、その全印字データの解析が行われる(時間t1~t2参照)。
解析が終了(時間t2参照)し、上記印刷条件に合致する印刷が実行可能であると判断できた場合は、操作端末2に対し印刷実行が可能である旨の情報(図中では印刷(可)情報と略示)が送信される(時間t2~t3参照。なお上記図3では図示省略)。その後、引き続き、上記受信した印字データ中に含まれるラスターデータによる印刷が実行され(時間t3~t4参照)、これによって印字ラベルLが生成される。
【0043】
一方、例えば図5(b)に示すように、解析が終了したとき(時間t2参照)、上記印刷条件に合致する印刷が実行不可であると判断された場合は、操作端末2に対し印刷実行が不可である旨の情報(図中では印刷(否)情報と略示)が送信される(時間t2~t3参照)。
これに対応して操作端末2では時間t3から再び印字データ(ラスターデータ部分及び印刷条件を含む)の送信が開始される。上記次の順番のラベルプリンタ3では、上記印字データの受信が終了する(時間t5参照)と、上記同様、その全印字データの解析が行われる(時間t5~t6参照)。
解析が終了(時間t6参照)し、上記次の順番のラベルプリンタ3において上記印刷条件に合致する印刷が実行可能であると判断できた場合は、操作端末2に対し上記同様の印刷実行が可能である旨の情報が送信される(時間t6~t7参照)。その後、引き続き、上記受信した印字データ中に含まれるラスターデータによる印刷が実行され(時間t7~t8参照)、これによって印字ラベルLが生成される。
なお、図5(b)の次の順番のラベルプリンタ3における印字データの受信開始(時間t3)から印刷終了(時間t8)までの所要時間(t8-t3)は、図5(a)の最初のラベルプリンタ3における印字データの受信開始(時間t0)から印刷終了(時間t4)までの所要時間(t4-t0)と同一である。
【0044】
この比較例においては、例えば図5(b)のように、最初のラベルプリンタ3では上記印刷条件に合致する印刷を実行できず次の順番のラベルプリンタ3で上記印刷条件に合致する印刷を実行できた場合、操作端末2からラベルプリンタ3へ印字データが複数回(この例では2回)送信される。この印字データは、ラスターデータ部分及び印刷条件を含むため容量が大きく、通信時間が比較的長い((t1-t0)及び(t5-t3))。その結果、最初に時間t0で操作端末2から印字データの送信を開始してから、最終的に時間t8でラスターデータ印刷による印字ラベルLの作成が終了するまでに、長い処理時間(t8-t0)を要している。
【0045】
<実施形態による経時的処理内容>
図4に示した本実施形態の手法による経時的な処理内容を図6(a)及び図6(b)により説明する。
【0046】
本実施形態では、例えば図6(a)に示すように、上記最初のラベルプリンタ3では、時間t10から開始された、操作端末2からの条件コマンド(印刷条件を表す)の受信及び解析が終了(時間t11参照)し、上記印刷条件に合致する印刷が実行可能であると判断できた場合は、操作端末2に対し印刷実行が可能である旨の情報(図中では印刷(可)情報と略示)が送信される(時間t11~t12参照)。
これに対応して操作端末2では時間t12からラスターデータの送信が開始され、ラベルプリンタ3での上記ラスターデータの受信が終了する(時間t13参照)と、そのラスターデータの解析が行われる(時間t13~t14参照)。解析が終了(時間t14参照)すると、引き続き、そのラスターデータによる印刷が実行され(時間t14~t15参照)、これによって印字ラベルLが生成される。
なおこの場合、最初に時間t10で操作端末2から条件コマンドの送信を開始してから、最終的に時間t15でラスターデータ印刷による印字ラベルLの作成が終了するまでの処理時間(t15-t10)は、例えば、上記図5(a)の比較例において示した同様の処理時間(t4-t0)と概ね等しい。
また、例えば、図6(a)の条件コマンドの受信・解析に要する時間(t11-t10)とラスターデータの受信に要する時間(t13-t12)との和は、図5(a)の印字データの受信に要する時間(t1-t0)と概ね等しい。また例えば、図6(a)のラスターデータの解析に要する時間(t14-t13)は、図5(a)の印字データの解析に要する時間(t2-t1)と概ね等しい。
【0047】
一方、例えば図6(b)に示すように、上記条件コマンドの受信及び解析が終了したとき(時間t11参照)、上記印刷条件に合致する印刷が実行不可であると判断された場合は、操作端末2に対し印刷実行が不可である旨の情報(図中では印刷(否)情報と略示)が送信される(時間t11~t12参照)。
これに対応して操作端末2では時間t12から再び条件コマンドの送信が開始される。上記次の順番のラベルプリンタ3では、上記条件コマンドの受信及び解析が行われる(時間t12~t21参照)。そして、上記印刷条件に合致する印刷が実行可能であると判断できた場合は、操作端末2に対し印刷実行が可能である旨の情報が送信される(時間t21~t22参照)。
これに対応して操作端末2では時間t22からラスターデータの送信が開始され、ラベルプリンタ3での上記ラスターデータの受信が終了する(時間t23参照)と、上記同様、そのラスターデータの解析が行われる(時間t23~t24参照)。解析が終了(時間t24参照)した後そのラスターデータによる印刷が実行され(時間t24~t25参照)、これによって印字ラベルLが生成される。
【0048】
なお、図6(b)の次の順番のラベルプリンタ3における条件コマンドの受信・解析開始(時間t12)から印刷終了(時間t25)までの所要時間(t25-t12)は、図6(a)の最初のラベルプリンタ3における条件コマンドの受信・解析開始(時間t10)から印刷終了(時間t15)までの所要時間(t15-t10)と同一である。
【0049】
この実施形態においては、例えば図6(b)のように、最初のラベルプリンタ3では上記印刷条件に合致する印刷を実行できず次の順番のラベルプリンタ3で上記印刷条件に合致する印刷を実行できる場合、操作端末2からラベルプリンタ3へ複数回(この例では2回)送信されるのは、条件コマンドだけである。この条件コマンドは、例えばラスターデータ部分及び印刷条件を含む上記比較例における印字データに比べて容量が非常に小さく、通信時間が短い((t11-t10)及び(t21-t12))。その結果、最初に時間t10で操作端末2から条件コマンドの送信を開始してから、最終的に時間t25でラスターデータ印刷による印字ラベルLの作成が終了するまでの処理時間(t25-t10)が、上記比較例における処理時間(t8-t0)に比べて、大幅に短縮される。
【0050】
<制御手順>
上記手法を実現するために、操作端末2のCPU12が実行する制御内容を図7により、ラベルプリンタ3の制御回路202が実行する処理内容を図8により、それぞれ説明する。なお、図7及び図8に示すフローは、例えば、ユーザが、操作端末2を適宜に操作し上記印字データを生成しメモリ13に記憶させた状態で、操作ボタン14を介し上記印字データの送信をラベルプリンタ3に指示することで、開始される。
【0051】
<操作端末のCPUの処理手順>
図7において、まず、ステップS10で、操作端末2のCPU12は、条件コマンドを送信するラベルプリンタ3の順番を表す番号Nを1とする。
【0052】
その後、ステップS20で、CPU12は、メモリ13のRAM13aに記憶されている印字データに含まれる印刷条件を表す上記条件コマンドを生成するとともに、その条件コマンドをN番目のラベルプリンタ3に対し送信する。なお、このステップS20が各請求項記載のコマンド送信手順に相当し、このステップS20で実行する処理がコマンド送信処理に相当する。
【0053】
上記ステップS20での条件コマンドの送信に基づき、図6を用いて前述したように、上記条件コマンドを受信したラベルプリンタ3は、当該条件コマンドを解析し(後述の図8のステップS120参照)、条件コマンドの表す印刷条件に合致する印刷を実行できるか否かを表す情報(以下適宜、印刷可否情報という)を操作端末2に送信する(後述の図8のステップS140、ステップS180参照)。操作端末2のCPU12は、上記送信に対応し、ステップS30で、ラベルプリンタ3から送信された上記印刷可否情報を受信する。このステップS30が、各請求項記載の情報受信手順に相当し、このステップS30で実行する処理が情報受信処理に相当する。ステップS30が終了すると、ステップS40に移る。
【0054】
ステップS40では、CPU12は、上記ステップS30で受信した印刷可否情報が、当該ラベルプリンタ3により印刷実行可である旨の内容であったか否かを判定する。印刷実行不可であった場合はステップS40の判定が満たされず(S40:NO)、後述のステップS60に移る。印刷実行可であった場合はステップS40の判定が満たされ(S40:YES)、ステップS50に移る。
【0055】
ステップS50では、CPU12は、メモリ13のRAM13aに記憶されている印字データに含まれるラスターデータを読み出し、読み出したラスターデータを上記ステップS40で印刷可能であると判定したラベルプリンタ3に対し送信する。なお、このステップS50が各請求項記載のデータ送信手順に相当し、このステップS50で実行する処理がデータ送信処理に相当する。ステップS50が終了すると、その後このフローを終了する。
【0056】
一方、ステップS40の判定が印刷不可となり移行したステップS60では、CPU12は、この時点での上記Nが、予め定まっている最大値Nmax(例えばラベルプリンタ3の設置台数に等しい値)に達したか否かを判定する。N<Nmaxである場合はステップS60の判定が満たされず(S60:NO)、ステップS70で上記Nに1を加えた後、上記ステップS20に戻って同様の手順が繰り返される。N=Nmaxに達していた場合はステップS60の判定が満たされ(S60:YES)、ステップS80に移る。
【0057】
ステップS80では、CPU12は、配置されている全てのラベルプリンタ3のいずれにおいても上記印刷条件に合致した印刷を行えないとみなし、タッチパネル17に印刷実行不可を意味するエラーメッセージを表示させる、等の所定のエラー処理を行う。その後、フローを終了する。
【0058】
<ラベルプリンタの制御回路の処理手順>
図8において、まず、ステップS110で、ラベルプリンタ3の制御回路202(詳細にはCPU202c。以下同様)は、上記図7のステップS20において操作端末2から送信された条件コマンドを受信する。
【0059】
その後、ステップS120で、制御回路202は、上記ステップS110で受信した条件コマンドを公知の手法により解析する。このステップS120及び上記ステップS110で実行する処理が、各請求項記載のコマンド解析処理に相当する。ステップS120が終了すると、ステップS130に移る。
【0060】
ステップS130では、制御回路202は、上記ステップS120で行った条件コマンドの解析の結果、上記条件コマンドが表す印刷条件に対する、このラベルプリンタ3の整合性に基づき、印刷条件に合致する印刷の実行が可能か否かを判定する。例えば、当該ラベルプリンタ3において、印刷条件に含まれる幅寸法・材質を備えたテープ203をテープロールホルダ部210に装着しラスターデータ印刷が可能な仕様であれば上記印刷条件に整合し、そのような幅寸法・材質のテープ203でラスターデータ印刷が不可能な仕様であれば上記印刷条件に整合しないこととなる。また例えば、当該ラベルプリンタ3において、印刷条件に含まれる印字品質のラスターデータ印刷が可能な仕様であれば上記印刷条件に整合し、そのような印字品質のラスターデータ印刷が不可能な仕様であれば上記印刷条件に整合しないこととなる。
印刷条件に合致する印刷の実行が不可能な場合はステップS130の判定が満たされず(S130:NO)、後述のステップS180に移る。印刷条件に合致する印刷の実行が可能な場合はステップS130の判定が満たされ(S130:YES)、ステップS140に移る。なお、このステップS130で実行する処理が、各請求項記載の印刷判定処理に相当する。
【0061】
ステップS140では、制御回路202は、このラベルプリンタ3により印刷実行可である旨の内容の上記印刷可否情報を、操作端末2に対し送信する。
【0062】
上記ステップS140での上記印刷実行可の旨の印刷可否情報の送信に基づき、図7のステップS50で前述したように、上記印刷可否情報を受信した操作端末2は、上記ステップS110で受信した条件コマンドに対応するラスターデータをラベルプリンタ3に送信する。ラベルプリンタ3の制御回路202は、上記送信に対応し、ステップS150で、操作端末2から送信された上記ラスターデータを受信する。
【0063】
その後、ステップS160で、制御回路202は、上記ステップS150で受信したラスターデータを公知の手法で解析する。このステップS160及び上記ステップS150で実行する処理が、各請求項記載のデータ解析処理に相当する。
【0064】
その後、ステップS170で、制御回路202は、搬送装置209及び印字ヘッド205に制御信号を出力し、搬送されるテープ203に対し、上記ステップS160で解析したラスターデータに基づく印刷を実行させる。このステップS170で実行する処理が、各請求項記載の印刷処理に相当する。ステップS17が完了すると、このフローを終了する。
【0065】
一方、上記ステップS130での判定が満たされずに移行するステップS180では、制御回路202は、このラベルプリンタ3では印刷実行不可である旨の内容の上記印刷可否情報を、操作端末2に対し送信する。このステップS180及び上記ステップS140で実行する処理が、各請求項記載の情報送信処理に相当する。ステップS180が完了すると、このフローを終了する。
【0066】
<第1実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態では、印刷条件を表す条件コマンドが操作端末2からラベルプリンタ3へ送信されると、受信したラベルプリンタ3から上記印刷条件に対する印刷可否情報が操作端末2へと送信される。そして、その印刷可否情報が印刷実行可を表す情報であった場合に、上記条件コマンドに対応するラスターデータが操作端末2からラベルプリンタ3へと送信される。
このように、本実施形態においては、ラベルプリンタ3へ送信するデータが、ラスターデータと条件コマンドとに分離され、まず条件コマンドを送信しラベルプリンタ3からの応答により印刷可能であることが分かった場合に、改めてラスターデータがラベルプリンタ3へと送信される。したがって、条件コマンドが表す印刷条件がラベルプリンタ3に合致しなかった場合であっても、図6(b)を用いて前述したように、操作端末2が条件コマンドを送信→ラベルプリンタ3が印刷不可の旨の印刷可否情報を返信→操作端末2が条件コマンドを別のラベルプリンタ3に送信→・・という流れになる。これにより、ラベルプリンタ3での受信が完了するまでの長い通信時間の後でラベルプリンタ3からのエラー報告が行われる上記比較例(図5(b)参照)のように、無駄に長い通信時間を待つことで時間を浪費するのを抑制することができる。その結果、印刷処理効率を向上することができる。
【0067】
なお、上記においては、例えばラベルプリンタ3が、操作端末2からの条件コマンドの表す印刷条件を満たす仕様となっているか否かによって、「印刷実行可」「印刷実行不可」のいずれかの内容の印刷可否情報を操作端末2に送信したが、これに限られない。例えば、ラベルプリンタ3が、操作端末2からの条件コマンドの表す印刷条件を満たす仕様となっているものの、その時点で別の印刷ジョブによる印字ラベルLの作成を実行中であって印刷実行不可であるが、その印刷ジョブが終了したら(つまりある程度の時間が経過したら)印刷実行可となる場合には「少し待てば印刷実行可」の内容の印刷可否情報を当該ラベルプリンタ3から操作端末2に送信するようにしてもよい。
【0068】
そしてその場合、図7のステップS40では、ステップS30でラベルプリンタ3から受信した印刷可否情報の内容が、条件コマンドの表す印刷条件を満たす仕様でかつ他の印刷ジョブを実行していない「直ちに印刷可」であるか、条件コマンドの表す印刷条件を満たす仕様でかつ他の印刷ジョブを実行している「少し待てば印刷可」、条件コマンドの表す印刷条件を満たさない仕様である「印刷不可」、の3区分のいずれであるかを判定すればよい。
この場合特に、「直ちに印刷可」「少し待てば印刷可」を区別するために所定のしきい値(例えば1分等。第1所定期間に相当)を設け、ステップS40では、「しきい値以内に印刷可能か?」「しきい値を超えた時間で印刷可能か?」「印刷不可か?」のどれに該当するかを、この順番(優先順位)で判定するようにしてもよい。そして、上記しきい値以内に印刷可能であれば、上記ステップS50に移行して上記印刷可否情報の受信を契機に(例えば直ちに)ラスターデータが対応するラベルプリンタ3へ送信される。このように、印刷可否情報により上記しきい値以内に印刷実行可であることが分かった場合に、当該印刷可否情報の受信を契機にラスターデータをラベルプリンタ3に送信することで、確実に迅速な処理を行うことができる。
また上記しきい値以内に印刷可能ではないが上記しきい値を超えた時間で印刷可能であれば、図示しない新たなステップに移行して、上記印刷可否情報の受信のタイミングから、現在実行中の上記他の印刷ジョブが実行完了すると見込まれる期間(例えば3分等。第2所定期間に相当)が経過した後に、ラスターデータが対応するラベルプリンタ3へ送信される。このように、上記しきい値(第1所定期間)よりも長いもののある程度限られる上記第2所定期間の経過後にラスターデータをラベルプリンタ3に送信することで、処理の迅速化を図ることができる。
また上記しきい値を超えた時間でも印刷不可能であれば、上記ステップS60に移行してNがNmaxに到達したか否かが判定される。
【0069】
あるいは、複数個のラベルプリンタ3全体に対し共通の上記条件コマンドを送信し、各ラベルプリンタ3からの印刷可否情報を受信して「しきい値以内に印刷可能か?」「しきい値を超えた時間で印刷可能か?」「印刷不可か?」のどれに該当するかを一括してそれぞれ判定してもよい。そして、しきい値以内に印刷可能なラベルプリンタ3が1つでも見つかればそのラベルプリンタ3に対し他よりも優先してラスターデータを送信すればよい。これにより、例えば1つの操作端末2に対し複数のラベルプリンタ3が接続されている場合に、上記しきい値以内に印刷実行可であるラベルプリンタ3を特定してラスターデータを送信することで、確実に迅速な処理を行うことができる。
また、しきい値以内に印刷可能なラベルプリンタ3が1つも見つからないときはしきい値を超えた時間で印刷可能なラベルプリンタ3が1つでも見つかればそのラベルプリンタ3に対し優先してラスターデータを送信してもよい。
【0070】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を図9及び図10により説明する。上記第1実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
【0071】
<印刷処理システムの構成>
本実施形態に係わる印刷処理システムの全体構成を、上記図1に対応する図9に示す。図9に示すように、本実施形態の印刷処理システム1′は、1台のラベルプリンタ3と、複数の操作端末、ここでは3台の第1操作端末2A、第2操作端末2B、第3操作端末2Cと、を有する(なお、以下適宜、「操作端末2A,2B,2C」を総称して単に「操作端末2」という)。
【0072】
本実施形態では、ラベルプリンタ3において、前述の通信制御部208(上記図2参照)が、第1操作端末2A、第2操作端末2Bを含む複数の操作端末2と情報送受信可能である。また制御回路202は、例えば第1操作端末2Aからの上記ラスターデータに基づき対応する印字を形成する処理(印刷処理)と、第2操作端末2Bからの上記条件コマンドを受信して解析する処理(コマンド処理)とを、少なくとも一部分を互いに並行して行う。以下、その手法の詳細を図10により説明する。
【0073】
本実施形態では、ラベルプリンタ3に備えられた制御回路202のRAM20202aに、作業領域として、受信バッファ、解析バッファA、解析バッファB、及び印刷バッファ、の4つが設けられている。図10は、それら受信バッファ、解析バッファA、解析バッファB、及び、印刷バッファにおける、経時的処理内容を表す説明図である。なお、図10の横軸は時間軸を表し、第1操作端末2Aから送信されたコマンドやデータに(1)を付して略示し、第2操作端末2Bから送信されたコマンドやデータに(2)を付して略示している(後述の図11図12も同様)。
【0074】
図10において、例えばまず第1操作端末2Aから条件コマンドが送信されると、その条件コマンドが受信バッファで受信される(時間t30~t31参照)。受信が終了した条件コマンドは、引き続き解析バッファAにおいて解析される(時間t31~t32参照)。解析の結果に基づき上記第1操作端末2Aに対し印刷実行が可能である旨の情報が送信(図中では単に「応答」と表記)されると(時間t32参照)、それに対応して第1操作端末2Aから送信されたラスターデータが受信バッファで受信される(時間t32~t33参照)。受信が終了したラスターデータは、引き続き解析バッファAにおいて解析が開始される(時間t33参照)。
このとき、本実施形態では、この条件コマンドの解析によって空いた受信バッファを利用して、第2操作端末2Bから送信された条件コマンドの受信が開始される(時間t34参照)。その条件コマンドの受信は、上記解析バッファAにおける条件コマンドの解析終了よりも早いタイミングで終了する(時間t35参照)。
【0075】
その後、解析バッファAにおける上記ラスターデータの解析が終了すると、解析後のラスターデータが印刷バッファに展開され(時間t36参照)、これを用いて当該第1操作端末2Aからのラスターデータに基づく印刷が実行される(時間t36~t38参照)。また上記ラスターデータの印刷バッファへの展開を待って、上記時間t35で受信が完了している、第2操作端末2Bからの条件コマンドの解析が、解析バッファBにおいて行われる(時間t36~t37参照)。これにより、時間t36~時間t37の間は、第2操作端末2Bからの条件コマンドの解析と、第1操作端末2Aからのラスターデータに基づく印刷とが、同時並行して行われることとなる。
なお、上記の例で、時間t34から開始された第2操作端末2Bからの条件コマンドの受信は、上記解析バッファAにおける第1操作端末2Aからの条件コマンドの解析終了タイミング(言い替えれば印刷バッファへのラスターデータの展開による印刷開始タイミング)である時間t36よりも早いタイミング(時間t35)で終了したが、これに限られない。すなわち、第2操作端末2Bからの条件コマンドの受信が時間t34よりも遅いタイミングで開始され、時間t36よりも遅いタイミングで終了しても良い。この場合は、第2操作端末2Bからの条件コマンドの受信の後半も、第1操作端末2Aからのラスターデータに基づく印刷と同時並行して行われることとなる。
【0076】
解析バッファBにおける第2操作端末2Bからの条件コマンドの解析の結果に基づき、上記第2操作端末2Bに対し印刷実行が可能である旨の情報が送信(図中では単に「応答」と表記)されると(時間t37参照)、それに対応して第2操作端末2Bから送信されたラスターデータが受信バッファで受信される(時間t37~t39参照)。またこのとき、上記時間t36から開始された第1操作端末2Aからのラスターデータによる印刷が完了し(時間t38参照)、これによって第1操作端末2Aからの操作に対応した印字ラベルLが生成される。
【0077】
一方、上記の受信バッファにおける第2操作端末2Bからのラスターデータの受信が完了すると(時間t39参照)、引き続き解析バッファBにおいてそのラスターデータの解析が行われる(時間t39~t40参照)。解析が終了したラスターデータは印刷バッファに展開され(時間t40参照)、これを用いて当該第2操作端末2Bからのラスターデータに基づく印刷が実行される(時間t40~t41参照)。これによって第2操作端末2bからの操作に対応した印字ラベルLが生成される。
【0078】
本実施形態によれば、第1操作端末2Aからのラスターデータに基づく印刷を行う処理(=印刷処理。時間t36~t38)と、第2操作端末2Bからの条件コマンドを受信して解析する処理(=コマンド処理)との一部分が、互いに並行して行われる。このように、2つの操作端末2A,2Bに係わる処理を並行して行うことができるので、さらに印刷処理の効率化を図れる。
【0079】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態を図11により説明する。上記第1実施形態及び第2実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
【0080】
本実施形態でも、ラベルプリンタ3の通信制御部208は、上記第2実施形態と同様、第1操作端末2A、第2操作端末2Bを含む複数の操作端末2と情報送受信可能である。また制御回路202は、第1操作端末2Aからのラスターデータを受信して解析する処理(データ解析処理)の途中で、第2操作端末2Bからの条件コマンドを受信して解析する処理(コマンド処理)を割り込んで行う。以下、その手法の詳細を図11(a)及び図11(b)により説明する。なお図11は、上記図10と同様、受信バッファ、解析バッファA、解析バッファB、及び、印刷バッファにおける、経時的処理内容を示しており、横軸は時間軸を表している。
【0081】
図11(a)において、上記図10と同様、例えばまず第1操作端末2Aから条件コマンドが送信され受信バッファで受信される(時間t30~t31参照)と、受信が終了した条件コマンドが解析バッファAにおいて解析される(時間t31~t32参照)。第1操作端末2Aに対し印刷実行が可能である旨の情報が送信(図中「応答」と表記)され(時間t32参照)、第1操作端末2Aから送信されたラスターデータが受信バッファで受信される(時間t32~t33参照)。受信が終了したラスターデータは解析バッファAにおいて解析が開始される(時間t33参照)。
【0082】
このとき、本実施形態では、上記のようにして時間t33より解析バッファAにおいてラスターデータの解析が行われている途中で、第2操作端末2Bから送信された条件コマンドの受信が開始されると(時間t34参照)、上記解析バッファAにおける第1操作端末2Aからのラスターデータの解析は中止して先送りにされる(後述の時間t37参照)。そして、図11(b)に示すように、上記第2操作端末2Bからの条件コマンドの受信が終了する(時間t36参照)と、その第2操作端末2Bからの条件コマンドの解析が、上記のようにして中断した第1操作端末2Aからのラスターデータの解析処理の途中に割り込む形で、それよりも先に、解析バッファBにおいて行われる(時間t36~t37参照)。
【0083】
解析バッファBにおける上記第2操作端末2Bからの条件コマンドの解析の結果に基づき、上記第2操作端末2Bに対し印刷実行が可能である旨の情報が送信(図11(b)中では単に「応答」と表記)されると(時間t37参照)、それに対応して第2操作端末2Bから送信されたラスターデータが受信バッファで受信される(時間t37~t39参照)。一方、上記解析バッファBにおける解析の終了に対応して、前述のように中断して先送りされていた第1操作端末2Aからのラスターデータの解析処理の残りが上記時間t37で再開される。
【0084】
上記解析バッファAにおける上記第1操作端末2Aからのラスターデータの解析が終了すると、解析後のラスターデータが印刷バッファに展開され(時間t35参照)、これを用いて当該第1操作端末2Aからのラスターデータに基づく印刷が実行される(時間t35~t38参照)。これによって第1操作端末2Aからの操作に対応した印字ラベルLが生成される。
【0085】
一方、上記時間t37から開始された、受信バッファにおける第2操作端末2Bからのラスターデータの受信が完了すると(時間t39参照)、上記図10と同様、引き続き解析バッファBにてそのラスターデータの解析が行われる(時間t39~t40参照)。解析が終了したラスターデータは印刷バッファに展開され(時間t40参照)、当該第2操作端末2Bからのラスターデータに基づく印刷が実行される(時間t40~t41参照)。これによって第2操作端末2bからの操作に対応した印字ラベルLが生成される。
【0086】
本実施形態では、第1操作端末2Aからのラスターデータの受信及び解析(時間t32~t33~t35参照)の途中で、第2操作端末2Bからの条件コマンドの受信及び解析が割り込んで行われる(時間t34~t36~t37参照)。2つの操作端末2A,2Bに係わる処理を併せて行うことができるので、さらに印刷処理の効率化を図れる。
【0087】
<第3実施形態の変形例>
上記第3実施形態では、第1操作端末2Aからのラスターデータの解析の途中で、第2操作端末2Bからの条件コマンドが受信されたら、その受信及び解析が割り込んで行われたが、これに限られない。すなわち、第1操作端末2Aからの
ラスターデータを最初から複数のデータ部分に分割するとともに、各データ部分を互いに間隔を置いて送信するようにしてもよい。そのような変形例を図12(a)及び図12(b)により説明する。上記第3実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。なお図12は、上記図11と同様、受信バッファ、解析バッファA、解析バッファB、及び、印刷バッファにおける、経時的処理内容を示しており、横軸は時間軸を表している。
【0088】
図12(a)において、本変形例では、上記図11(a)と同様、例えばまず第1操作端末2Aから条件コマンドが送信され受信バッファで受信される(時間t30~t31参照)と、受信が終了した条件コマンドが解析バッファAにおいて解析される(時間t31~t32a参照)。第1操作端末2Aに対し印刷実行が可能である旨の情報が送信(図11(a)中「応答」と表記)される(時間t32a参照)。これにより、第1操作端末2Aからラスターデータの送信が開始され、送信されたラスターデータの受信が受信バッファにおいて開始される(時間t32a参照)。
【0089】
このとき、本変形例においては、第1操作端末2Aからラスターデータを送信するとき、図12(b)に示すように、予め、当該ラスターデータを分割部1a(分割したデータ部分の一例に相当)と分割部1b(分割したデータ部分の他の例に相当)とに分割し、上記時間t32aからは分割部1aのみを送信する。そして、この送信された分割部1aの受信バッファでの受信が時間t32a′で終了すると、(後述の分割部1bの送信が開始される時間t32bまでに空いた隙間時間を利用する形で)第2操作端末2Bから条件コマンドが送信され、受信コマンドにて受信される(時間t34~t36参照)。
【0090】
上記第2操作端末2Bからの条件コマンドの受信が終了する(時間t36参照)と、引き続き、その第2操作端末2Bからの条件コマンドの解析が解析バッファBにおいて行われる(時間t36~t37a参照)。解析バッファBにおけるその条件コマンドの解析の結果に基づき、上記第2操作端末2Bに対し印刷実行が可能である旨の情報が送信(図12(b)中「応答」と表記)される(時間t37a参照)。
【0091】
上記第1操作端末2Aからのラスターデータのうち残りの分割部1bの送信は、この例では上記時間t37aよりも前の時間t32bで開始されてその後の時間t33まで行われ、当該送信された分割部1bは受信バッファで受信される(時間t32b~t33参照)。時間t33bで分割部1bの受信が終了することで第1操作端末2Aからのラスターデータの受信が完了することに対応して、引き続き、当該第1操作端末2Aからのラスターデータの解析処理が解析バッファAにおいて行われる(時間t33~t35参照)。解析バッファAにおける上記第1操作端末2Aからのラスターデータの解析が終了すると、解析後のラスターデータが印刷バッファに展開され(時間t35参照)、これを用いて当該第1操作端末2Aからのラスターデータに基づく印刷が実行される(時間t35~t38参照)。これによって第1操作端末2Aからの操作に対応した印字ラベルLが生成される。
【0092】
一方、上記時間t37aにおける第2操作端末2Bへの印刷実行が可能である旨の情報の送信(図11(b)中の「応答」表記。時間t37a参照)の後は、前述した第1操作端末2Aからのラスターデータの受信(時間t32b~t33)が完了して解析バッファにて解析されるのを待って、第2操作端末2Bから上記印刷実行が可能である旨の情報に対応するラスターデータが送信され、受信バッファで受信される(時間t37b~t39参照)。上記ラスターデータの受信が完了すると(時間t39参照)、解析バッファBにおいてそのラスターデータの解析が行われる(時間t39~t40参照)。解析が終了したラスターデータは印刷バッファに展開され(時間t40参照)、これを用いて当該第2操作端末2Bからのラスターデータに基づく印刷が実行される(時間t40~t41参照)。これによって第2操作端末2bからの操作に対応した印字ラベルLが生成される。
【0093】
本変形例においては、図9に示したように1つのラベルプリンタ3に対し通信可能な複数の操作端末2(上記の例では第1操作端末2A、第2操作端末2B等)存在する場合に、ラベルプリンタ3において、1つの操作端末2からのラスターデータのうち1つの分割部1aの受信とその次の分割部1bの受信との間に、隙間時間を設けることができる。これにより、上述したように、第1操作端末2Aから分割部1aを受信した後にいったん中断し、その後の隙間時間に、別の第2操作端末2Bからの条件コマンドを受信することができる。この結果、図11(b)を用いて前述したように、ラベルプリンタ3は、第1操作端末2A及び第2操作端末2Bからの受信処理を併せて行うことができるので、さらに印刷処理の効率化を図れる。
【0094】
<その他>
なお、以上において、図2中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0095】
また、図7図8に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0096】
また、以上既に述べた以外にも、上記各実施形態や変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0097】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0098】
1 印刷処理システム(印刷システム)
1′ 印刷処理システム
2 操作端末
2A~C 操作端末
3 ラベルプリンタ(印刷装置)
3A~C ラベルプリンタ(印刷装置)
12 CPU(演算手段、端末側制御手段)
202 制御回路(制御手段、装置側制御手段)
203 テープ(被印字媒体)
205 印字ヘッド(印字手段)
208 通信制御部(通信手段)
209 搬送装置(搬送手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12