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特許7316550ガラスフィルムの製造方法、及びガラスフィルムの製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】ガラスフィルムの製造方法、及びガラスフィルムの製造装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 20/06 20060101AFI20230721BHJP
   C03B 33/09 20060101ALI20230721BHJP
   C03B 33/03 20060101ALI20230721BHJP
   C03B 35/00 20060101ALI20230721BHJP
   B28D 5/00 20060101ALI20230721BHJP
   B65H 23/02 20060101ALI20230721BHJP
   B65H 20/10 20060101ALI20230721BHJP
   B28D 7/04 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
B65H20/06
C03B33/09
C03B33/03
C03B35/00
B28D5/00 Z
B65H23/02
B65H20/10 B
B28D7/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020001526
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021109724
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100196346
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 貴士
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 直弘
(72)【発明者】
【氏名】村田 憲一
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/168380(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3038920(JP,U)
【文献】特開2001-097522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 20/06
C03B 33/09
C03B 33/03
C03B 35/00
B28D 5/00
B65H 23/02
B65H 20/10
B28D 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスフィルムをベルトコンベアで搬送して製造関連処理を施すガラスフィルムの製造方法であって、
前記ベルトコンベアは、前記ガラスフィルムを支持搬送可能なベルトと、前記ベルトの幅方向への移動を規制する第一規制部材と、前記ベルトの上方への移動を規制する第二規制部材とを備え、
前記ベルトの幅方向両側に、前記ベルトの長手方向に延びて前記ガラスフィルムの支持搬送面の下段に位置する下段面が設けられると共に、
前記第二規制部材に、前記ベルトの幅方向中央側に延びて前記下段面を下方に押さえ可能な押さえ部が設けられている、ガラスフィルムの製造方法。
【請求項2】
前記ベルトコンベアは、前記ベルトの下面を支持する支持体をさらに有し、
前記ベルトコンベアは、前記支持体に前記ベルトを吸着不能に構成される請求項1に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項3】
前記第二規制部材が前記第一規制部材に固定されている請求項1又は2に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項4】
前記第二規制部材の押さえ部と、前記ベルトとの間に、所定の幅方向隙間が設けられている請求項1~3の何れか一項に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項5】
前記ベルトの、前記ガラスフィルムと接触する前記支持搬送面と、前記押さえ部と接触する前記下段面とが互いに異なる材質で形成されている請求項1~4の何れか一項に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項6】
前記ベルトは、前記支持搬送面が設けられる第一層と、前記第一層の下方に位置し、前記下段面が設けられる第二層とを有し、
前記第一層は、前記ガラスフィルムに対して接触性の良好な材料で形成され、前記第二層は、前記押さえ部に対して摺動性の良好な材料で形成されている請求項5に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項7】
前記製造関連処理は、前記ガラスフィルムをその長手方向に沿って切断する切断工程である請求項1~6の何れか一項に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項8】
ラスフィルムを支持搬送可能なベルトコンベアと、前記ベルトコンベアで搬送されるガラスフィルムに製造関連処理を施す製造関連処理装置とを備えたガラスフィルムの製造装置であって、
前記ベルトコンベアは、前記ガラスフィルムを支持搬送可能なベルトと、前記ベルトの幅方向への移動を規制する第一規制部材と、前記ベルトの上方への移動を規制する第二規制部材とを備え、
前記ベルトの幅方向両側に、前記ベルトの長手方向に延びて前記ガラスフィルムの支持搬送面の下段に位置する下段面が設けられると共に、
前記第二規制部材に、前記ベルトの幅方向中央側に延びて前記下段面を下方に押さえ可能な押さえ部が設けられている、ガラスフィルムの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスフィルムの製造方法、及びガラスフィルムの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスフィルムの製造工程では、ガラスフィルムを所定方向に搬送しながら、ガラスフィルムに切断や印刷などの製造関連処理を施すのが一般的である。この際、製造関連処理を行う領域又はその周辺で、ベルトコンベアによりガラスフィルムをベルト表面に接触させた状態で搬送する場合がある(例えば、特許文献1を参照)。ガラスフィルムの搬送にベルトコンベアを用いることで、ガラスフィルムの一方の面が非接触の状態で搬送できること、搬送停止時にもガラスフィルムを安定的に保持できることなどの利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-31031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のようにガラスフィルムをベルトコンベアで搬送しながら切断等の製造関連処理を施す場合、ベルトコンベアの駆動部となるベルトが上下動(厚み方向に移動)することがある。この種の上下動は、ベルトにより支持されるガラスフィルムにも当然ながら伝わるため、製造関連処理を施す箇所に搬入されるガラスフィルムの高さ方向位置が安定せず、正確な製造関連処理を施すことが難しいといった問題が生じる。
【0005】
上述のようなベルトコンベアは、例えば図8に示すように、吸引機構を利用して、ベルトの上下動を抑制する方法が考えられる。ここで、符号101はベルト、符号102はベルトを下方から支持する支持体、符号103はベルト101の幅方向両端をガイドするガイド部材、符号104は支持体102外へ排気可能な排気空間をそれぞれ表している。このような構造にすることで、支持体102内の排気空間104に対して排気を行った際、支持体102の上部に設けられた穴105を通じて支持体102の上方に位置するベルト101が排気空間104からの吸気作用を受ける。これにより、吸着動作によりベルト101が下方に向けて吸着されることでベルト101の上下動を抑制しながら、ガラスフィルムGをベルト101の上面で接触支持して搬送することができるものと期待される。
【0006】
しかしながら、ベルト101とその幅方向両端に配置されるガイド部材103との間には、相対移動を行う関係上、必然的に幅方向の隙間106が存在する(図9を参照)。そのため、吸気によりベルト101を吸引した際、ベルト101とガイド部材103との隙間106を通じてベルト101上に接触した状態のガラスフィルムGにまで吸引作用が及ぶおそれが生じる。あるいは、強く吸引することでベルト101が下方に凸となる向きに湾曲変形することによってもベルト101とガイド部材103との間に相応の隙間106が生じる。これらにより、ガラスフィルムGが上述の吸引作用により拘束されるために、ガラスフィルムGにしわ等の変形が生じるおそれがある。このようにしわ等の変形した部分が上述した切断箇所など製造関連処理を受ける箇所に搬入されると、製造関連処理の処理不良やガラスフィルムGの破損が生じる原因となり得る。
【0007】
以上の事情に鑑み、本発明は、ガラスフィルムをベルトコンベアで搬送するに際して、ガラスフィルムにしわ等の変形が生じるのを防止しつつ、ベルトの上下動を効果的に抑制可能とすることにより、ガラスフィルムに良好な製造関連処理を施すことを、解決すべき技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題の解決は、本発明に係るガラスフィルムの製造方法により達成される。すなわち、この製造方法は、ガラスフィルムをベルトコンベアで搬送して製造関連処理を施すガラスフィルムの製造方法であって、ベルトコンベアは、ガラスフィルムを支持搬送可能なベルトと、ベルトの幅方向への移動を規制する第一規制部材と、ベルトの上方への移動を規制する第二規制部材とを備え、ベルトの幅方向両側に、ベルトの長手方向に延びて支持搬送面の下段に位置する下段面が設けられると共に、第二規制部材に、ベルトの幅方向中央側に延びて下段面を下方に押さえ可能な押さえ部が設けられている点をもって特徴付けられる。なお、ここでいうベルトの幅方向とは、ベルトの長手方向と厚み方向の何れとも直交する向きをいう。また、ここでいう支持搬送面の下段に位置する、とは、段差を介して支持搬送面の下方に位置することを意味する。
【0009】
このように、本発明に係るガラスフィルムの製造方法では、ベルトの幅方向への移動を規制する第一規制部材に加えて、ベルトの上方への移動を規制する第二規制部材を設けるようにした。また、ベルトの幅方向両側にベルトの長手方向に延びて支持搬送面よりもベルトの厚み方向中央側に位置する下段面を設けると共に、この下段面を下方に押さえ可能な押さえ部を第二規制部材に設けるようにした。これにより、ベルトは、押さえ部の位置に応じて上方への移動を規制されるので、ベルトの上下動を所定の範囲内に抑えることができる。また、ベルトをその幅方向両側に設けた下段面で下方に押さえ可能に構成したので、第二規制部材(の押さえ部)を支持搬送面よりもベルトの厚み方向中央側に退避させることができる。よって、ベルトの上下動を効果的に抑制しつつも、ガラスフィルムと第二規制部材とが干渉する事態を回避して、安全にガラスフィルムを搬送することが可能となる。上述した作用効果は、例えば帯状のガラスフィルムを複数のベルトコンベアで支持して搬送するに際し、各ベルトコンベアに本発明を適用した場合に顕著である。
【0010】
また、本発明に係るガラスフィルムの製造方法においては、ベルトコンベアは、ベルトの下面を支持する支持体をさらに有し、ベルトコンベアは、支持体にベルトを吸着不能に構成されてもよい。
【0011】
本発明に係る製造方法によれば、上述のように、ベルトの上下動を抑制することによりガラスフィルムに対する良好な製造関連処理を施すことができる。また、各規制部材を配置するだけでベルトの上下動を抑制することができる。よって、ベルトを敢えて吸着するための機構も必要なく、これにより支持体を含むベルトコンベアをより簡素化することが可能となる。
【0012】
また、本発明に係るガラスフィルムの製造方法においては、第二規制部材が第一規制部材に固定されてもよい。
【0013】
第一規制部材は、ベルトの幅方向移動を規制可能とするものであるから、通常、ベルトの支持体などに位置決めした状態で固定される。そのため、この第一規制部材に、本発明に係る第二規制部材を固定することで、容易にかつ正確に第二規制部材を位置決め固定することができる。
【0014】
また、本発明に係るガラスフィルムの製造方法においては、第二規制部材の押さえ部と、ベルトとの間に、所定の幅方向隙間が設けられてもよい。
【0015】
第一規制部材によりベルトの幅方向の移動が規制されるとはいえ、ベルトの駆動を円滑に行うためには、幅方向に多少の遊び(移動代)を残しておく必要がある。よって、第二規制部材の押さえ部とベルトとの間に、所定の幅方向隙間を設けておくことで、ベルトが幅方向にぶれた際にベルトが第二規制部材と幅方向で接触する事態を回避して、円滑なベルトの駆動を図ることが可能となる。
【0016】
また、本発明に係るガラスフィルムの製造方法においては、ベルトの、ガラスフィルムと接触する支持搬送面と、押さえ部と接触する下段面とが互いに異なる材質で形成されてもよい。
【0017】
上述のように、本発明に係るガラスフィルムの製造方法によれば、下段面を設けたベルトに第二規制部材の一部(押さえ部)で下方に押さえ可能な構成をとることから、ベルトは、ガラスフィルムだけでなく押さえ部とも接触しながら所定の向きに駆動する必要が生じる。ここで、押さえ部(第二規制部材)とガラスフィルムとは当然に異なる材料で形成されることが想定されるので、ベルトのうち、ガラスフィルムと接触する支持搬送面と、押さえ部と接触する下段面とを互いに異なる材質で形成することによって、ガラスフィルムだけでなく押さえ部に対しても良好な接触状態を得ることが可能となる。
【0018】
また、この場合、本発明に係るガラスフィルムの製造方法においては、ベルトは、支持搬送面が設けられる第一層と、第一層の下方に位置し、下段面が設けられる第二層とを一体的に有してもよい。また、この場合、第一層は、ガラスフィルムに対して接触性の良好な材料で形成され、第二層は、押さえ部に対して摺動性の良好な材料で形成されてもよい。
【0019】
ベルトの支持搬送面と下段面とを互いに異なる材質で形成する手段は多々あるが、その中でも、上述のようにベルトを二層構造とするのがよい。二層構造であれば、各層をそれぞれガラスフィルムに対して接触性の良好な材料と、押さえ部に対する摺動性の良好な材料とで形成するだけで済む。また、支持搬送面を有する第一層と下段面を有する第二層とを重ね合わせるだけで、ベルトを構成することができる。よって、所定の部位に被膜形成処理を施すなど煩雑な作業を行うことなく簡易に上記構成のベルトを製作することが可能となる。また、この際、第一層を、ガラスフィルムに対して接触性の良好な材料で形成すると共に、第二層を、押さえ部に対して摺動性の良好な材料で形成することによって、ガラスフィルムとベルトとの接触によりガラスフィルムが破損する事態を防止できると共に、ベルトと押さえ部との間で円滑な摺動状態を作り出すことが可能となる。
【0020】
また、以上の説明に係るガラスフィルムの製造方法によれば、ガラスフィルムをベルトコンベアで搬送するに際して、ガラスフィルムにしわ等の変形が生じるのを防止しつつ、ベルトの上下動を効果的に抑制可能とすることにより、ガラスフィルムに良好な製造関連処理を施すことが可能となる。そのため、例えば製造関連処理としてガラスフィルムをその長手方向に沿って切断する切断工程に本発明を適用することによって、ガラスフィルムの正確な切断を安定的に実施することが可能となる。
【0021】
また、前記課題の解決は、本発明に係るガラスフィルムの製造装置によっても達成される。すなわち、この製造装置は、ガラスフィルムを支持搬送可能なベルトコンベアと、前記ベルトコンベアで搬送されるガラスフィルムに製造関連処理を施す製造関連処理装置とを備えたガラスフィルムの製造装置であって、ベルトコンベアは、ガラスフィルムを支持搬送可能なベルトと、ベルトの幅方向への移動を規制する第一規制部材と、ベルトの上方への移動を規制する第二規制部材とを備え、ベルトの幅方向両側に、ベルトの長手方向に延びてガラスフィルムの支持搬送面の下段に位置する下段面が設けられると共に、第二規制部材に、ベルトの幅方向中央側に延びて下段面を下方に押さえ可能な押さえ部が設けられている点をもって特徴付けられる。
【0022】
このように、本発明に係るガラスフィルムの製造装置においても、ベルトの幅方向への移動を規制する第一規制部材に加えて、ベルトの上方への移動を規制する第二規制部材を設けるようにした。また、ベルトの幅方向両側にベルトの長手方向に延びて支持搬送面よりもベルトの厚み方向中央側に位置する下段面を設けると共に、この下段面を下方に押さえ可能な押さえ部を第二規制部材に設けるようにした。これにより、ベルトは、押さえ部の位置に応じて上方への移動を規制されるので、ベルトの上下動を所定の範囲内に抑えることができる。また、ベルトをその幅方向両側に設けた下段面で下方に押さえ可能に構成したので、第二規制部材(の押さえ部)を支持搬送面よりもベルトの厚み方向中央側に退避させることができる。よって、ベルトの上下動を効果的に抑制しつつも、ガラスフィルムと第二規制部材とが干渉する事態を回避して、安全にガラスフィルムを搬送することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
以上に述べたように、本発明によれば、ガラスフィルムをベルトコンベアで搬送するに際して、ガラスフィルムにしわ等の変形が生じるのを防止しつつ、ベルトの上下動を効果的に抑制可能とすることにより、ガラスフィルムに良好な製造関連処理を施すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係るガラスフィルムの製造装置の全体構成を示す側面図である。
図2図1に示す搬送装置の平面図である。
図3図2に示す搬送装置の側面図である。
図4図2中のA-A切断線に沿った搬送装置の要部拡大断面図である。
図5図4中の矢印Bで示す部分を拡大した図である。
図6図2中のC-C切断線に沿った搬送装置の要部拡大断面図である。
図7図2中のD-D切断線に沿った搬送装置の要部拡大断面図である。
図8】他の発明に係る搬送装置の要部拡大断面図である。
図9図8中の矢印Eで示す部分を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係るガラスフィルムの製造方法の一実施形態を、図1図7に基づいて説明する。なお、以下では、ガラスフィルムをロール状に巻き取ってガラスロールを最終的に得る場合を例にとって説明する。
【0026】
本発明の一実施形態に係るガラスフィルム(ガラスロール)の製造装置1は、図1に示すように、帯状の母材ガラスフィルムGを成形する成形部2と、母材ガラスフィルムGの進行方向を縦方向下方から横方向に変換する方向変換部3と、方向変換後に母材ガラスフィルムGを横方向に搬送する第一搬送部4と、母材ガラスフィルムGにおける幅方向両端部を切断する第一切断部5と、幅方向両端部が除去されたガラスフィルム(以下、第一ガラスフィルムと称する。)G1をロール状に巻き取って第一ガラスロールGRL1を得る第一巻取り部6とを備える。なお、本実施形態では、縦方向は鉛直方向であり、横方向は水平方向である。
【0027】
また、ガラスロールの製造装置1は、第一ガラスロールGRL1から第一ガラスフィルムG1を引き出す引出し部7と、引出し部7から引き出された第一ガラスフィルムG1を横方向に搬送する第二搬送部8と、第一ガラスフィルムG1の一部を切断する第二切断部9と、第二切断部9により切断されてなるガラスフィルム(以下、第二ガラスフィルムと称する。)G2a,G2bをロール状に巻き取って第二ガラスロールGRL2a,GRL2bを得る第二巻取り部10とをさらに備える。なお、本実施形態における第二切断部9が本発明に係る製造関連処理装置に相当する。
【0028】
成形部2は、上端部にオーバーフロー溝11aが形成された断面視略楔形の成形体11と、成形体11の直下に配置され、成形体11から溢れ出した溶融ガラスGMを表裏両側から挟むエッジローラ12と、エッジローラ12の直下に配備されるアニーラ13とを有する。
【0029】
成形部2は、成形体11のオーバーフロー溝11aから溢れ出した溶融ガラスGMを、両側面に沿ってそれぞれ流下させ、その下端部で合流させてフィルム状に成形する。エッジローラ12は、この溶融ガラスGMの幅方向収縮を規制して母材ガラスフィルムGの幅方向寸法を調整する。アニーラ13は、母材ガラスフィルムGに対して除歪処理を施すためのものである。アニーラ13は、上下方向複数段に配設されたアニーラローラ14を有する。
【0030】
アニーラ13の下方には、母材ガラスフィルムGを表裏両側から挟持する支持ローラ15が配設されている。支持ローラ15とエッジローラ12との間、又は支持ローラ15と何れか一箇所のアニーラローラ14との間には、母材ガラスフィルムGを薄肉にすることを助長するための張力が付与されている。
【0031】
方向変換部3は、支持ローラ15の下方位置に設けられている。方向変換部3には、母材ガラスフィルムGを案内する複数のガイドローラ16が湾曲状に配列されている。これらのガイドローラ16は、鉛直方向に搬送される母材ガラスフィルムGを横方向へと案内する。
【0032】
第一搬送部4は、方向変換部3の進行方向前方(下流側)に配置される。第一搬送部4は、支持搬送面を有する駆動部を駆動することにより、方向変換部3を通過した母材ガラスフィルムGをその長手方向に沿って下流側に搬送する。なお、第一搬送部4は任意の構成をとることが可能であり、例えば一又は複数のベルトコンベアで構成することが可能である。この場合、支持搬送面を有する駆動部はベルトであり、このベルトを駆動することにより、母材ガラスフィルムGを上述の態様で搬送し得る。もちろん、第一搬送部4は、上記例示の構成に限らず、ローラコンベアその他の各種搬送装置を使用することも可能である。
【0033】
第一切断部5は、第一搬送部4の上方に配置される。本実施形態では、第一切断部5は、レーザー割断により母材ガラスフィルムGを切断可能に構成される。具体的には、第一切断部5は、一対のレーザー照射装置17aと、当該レーザー照射装置17aの下流側に配置される一対の冷却装置17bとを有する。第一切断部5は、搬送される母材ガラスフィルムGの所定部位に各レーザー照射装置17aからレーザー光Lを照射して加熱した後、冷却装置17bから冷媒Rを放出して当該加熱部位を冷却する。
【0034】
第一巻取り部6は、第一搬送部4及び第一切断部5の下流側に設置されている。第一巻取り部6は、巻芯18を回転させることで、第一ガラスフィルムG1をロール状に巻き取る。このようにして得られる第一ガラスロールGRL1は、引出し部7の位置まで搬送される。引出し部7は、第一巻取り部6によって得られた第一ガラスロールGRL1から第一ガラスフィルムG1を引き出して、第二搬送部8上に供給する。
【0035】
第二搬送部8は、引出し部7において第一ガラスロールGRL1から引き出された第一ガラスフィルムG1を横方向(以下、搬送方向Xと称する。)に沿って搬送する。ここで、第二搬送部8は、図2及び図3に示すように、相対的に第一ガラスフィルムG1の搬送方向上流側に位置する上流側コンベア19と、上流側コンベア19よりも第一ガラスフィルムG1の搬送方向下流側に位置する下流側コンベア20とで構成される。この場合、製造関連処理装置としての第二切断部9は、上流側コンベア19と下流側コンベア20との間に配設される。よって、第二切断部9による第一ガラスフィルムG1の切断ゾーン21(図2中の一点鎖線で囲まれた領域)は、上流側コンベア19の支持搬送面上と下流側コンベア20の支持搬送面上の何れにもない。
【0036】
上流側コンベア19はベルトコンベアで構成される。本実施形態では、上流側コンベア19は、複数の上流側ベルトコンベア22a~22gで構成される。これら複数の上流側ベルトコンベア22a~22gは何れも、ベルト(以下、第一ベルト23a~23gと称する。)で同じ方向に第一ガラスフィルムG1を接触支持して下流側に搬送可能に構成される。ここで、各第一ベルト23a~23gは例えば無端帯状のベルトであり、第一ガラスフィルムG1をその長手方向で接触する全域にわたって略水平姿勢に保持するように、各第一ベルト23a~23gが同じ高さ方向位置に設定される。
【0037】
ここで、各上流側ベルトコンベア22a~22gは何れも同じベルト駆動構造を有する。最も幅方向一端側(図2の下側)の上流側ベルトコンベア22gを例にとると、この上流側ベルトコンベア22gは、図3に示すように、上述した無端帯状の第一ベルト23gと、第一ベルト23gに張力を付与しつつ第一ベルト23gを所定の位置に配設するための複数のプーリ24と、これら複数のプーリ24を支持する第一支持体25とを有する。第一支持体25は床面に固定されている。また、複数のプーリ24のうち所定のプーリ24(ドライブプーリ24a)には、モータなどの駆動源26が連結されており(図2を参照)、この駆動源26によりドライブプーリ24aに駆動力を付与することで、上流側ベルトコンベア22gの第一ベルト23gが所定の向きに駆動可能とされている。
【0038】
また、上記構成の複数の上流側ベルトコンベア22a~22gは、それぞれ所定の幅方向位置に設置されている。ここでは、幅方向寸法が互いに異なる複数種類の第一ガラスフィルムG1が上流側コンベア19上を搬送されることを想定して、想定される各第一ガラスフィルムG1の幅方向両端側で接触支持するように、各第一ベルト23a~23gの幅方向位置が設定される。また、本実施形態では、幅方向寸法の大きさの如何によらず、全ての第一ガラスフィルムG1をその幅方向中央位置で接触支持可能なように上流側ベルトコンベア22dが配設されている(図2を参照)。この幅方向中央の上流側ベルトコンベア22dは、本実施形態では、その支持搬送面となる第一ベルト23dの表面に第一ガラスフィルムG1を吸着可能なように構成されている。この吸着構造を含めた各第一ベルト23a~23gの支持構造については後述する。
【0039】
下流側コンベア20はベルトコンベアで構成される。本実施形態では、下流側コンベア20は、複数の下流側ベルトコンベア27a~27gで構成される。これら複数の下流側ベルトコンベア27a~27gは何れも、ベルト(以下、第二ベルト28a~28gと称する。)で同じ方向に切断後の第一ガラスフィルムG1、すなわち第二ガラスフィルムG2a,G2bを接触支持して下流側に搬送可能に構成される。ここで、各第二ベルト28a~28gは例えば無端帯状のベルトであり、第二ガラスフィルムG2a,G2bをその長手方向で接触する全域にわたって略水平姿勢に保持するように、各第二ベルト28a~28gが同じ高さ方向位置に設定される。
【0040】
ここで、各下流側ベルトコンベア27a~27gは何れも同じベルト駆動構造を有する。最も幅方向一端側(図2の下側)の下流側ベルトコンベア27gを例にとると、この下流側ベルトコンベア27gは、図3に示すように、上述した無端帯状の第二ベルト28a~28gと、第二ベルト28a~28gに張力を付与しつつ第二ベルト28a~28gを所定の位置に配設するための複数のプーリ29と、これら複数のプーリ29を支持する第一支持体30とを有する。また、複数のプーリ29のうち所定のプーリ29(ドライブプーリ29a)には、モータなどの駆動源31が連結されており(図2を参照)、駆動源31によりドライブプーリ29aに駆動力を付与することで、各下流側ベルトコンベア27a~27gの第二ベルト28a~28gが所定の向きに駆動可能とされている。この駆動源31は、上流側ベルトコンベア22a~22gの駆動源26と別個独立して設けられている。そのため、連動することなく互いに独立して各駆動源26,31、ひいては上流側ベルトコンベア22a~22gと下流側ベルトコンベア27a~27gの駆動を制御可能とされる。
【0041】
また、本実施形態では、複数の下流側ベルトコンベア27a~27gは、それぞれ所定の幅方向位置に設置可能であると共に、各第二ベルト28a~28gの位置が、第一ガラスフィルムG1の幅方向に調整可能に構成されている。具体的には、各下流側ベルトコンベア27a~27gの下方には、第一ガラスフィルムG1の幅方向に延びるレール部32が配設されている。そして、各下流側ベルトコンベア27a~27gを構成する各第一支持体30の下部には、レール部32との間で相対移動可能なスライド部33が取付けられている。これにより、レール部32に対して各第一支持体30のスライド部33が幅方向にスライドすることで、各第一支持体30に支持された複数のプーリ29及びこれらプーリ29に支持された第二ベルト28a~28gが一体的に幅方向にスライド可能とされている。なお、各下流側ベルトコンベア27a~27gのドライブプーリ29aは、共通のシャフト34に対して幅方向にスライド可能に支持されている。そのため、シャフト34に対する幅方向の位置を自由に変更しつつも、任意の幅方向位置で駆動源31からの駆動力を受けて駆動することが可能とされている。なお、図示例では、最も幅方向他端側(図2の最も上側)に位置する下流側ベルトコンベア27aが、第二ガラスフィルムG2a,G2bの搬送路から幅方向に外れた位置(退避スペース35)に配置されている。
【0042】
また、本実施形態では、全ての下流側ベルトコンベア27a~27gの第二ベルト28a~28gが、図2に示すように、その支持搬送面となる表面28a1~28g1に第二ガラスフィルムG2a,G2bを吸着可能に構成されている。この吸着構造を含めた各第二ベルト28a~28gの支持構造については後述する。
【0043】
次に、各ベルトコンベア22a~22g,27a~27gのベルト支持構造の詳細を説明する。
【0044】
上流側ベルトコンベア22a~22gのうち、幅方向中央の上流側ベルトコンベア22dを除く残りの上流側ベルトコンベア22a~22c,22e~22gは、同じベルト支持構造をなす。以下、幅方向一端側の上流側ベルトコンベア22gを例にとってそのベルト支持構造の詳細を説明する。
【0045】
この上流側ベルトコンベア22gは、上述したように、無端帯状の第一ベルト23gと、複数のプーリ24と、第一支持体25と、駆動源26とを有し(図2及び図3を参照)、さらに図4に示すように、第一ベルト23gを下方から支持する第二支持体36と、第一ベルト23gの幅方向への移動を規制する第一規制部材37と、第一ベルト23gの上方への移動を規制する第二規制部材38とを有する。
【0046】
このうち、第一ベルト23gは、図5に拡大して示すように、その幅方向両側に段差構造を有し、具体的には、第一ベルト23gの長手方向(図5の紙面を貫く方向)に延びて第一ガラスフィルムG1の支持搬送面39の下段に位置する下段面40を有する。本実施形態では、第一ベルト23gは、支持搬送面39が設けられる第一層41と、第一層41の下方(第二支持体36の側)に位置し、下段面40が設けられる第二層42とを一体的に有する。そのため、第二層42の幅方向寸法が第一層41の幅方向寸法よりも大きく、かつその幅方向両側で第一層41から第二層42が食み出している。この食み出した部分で下段面40が形成されている。
【0047】
ここで、第一層41と第二層42の材質、構造は任意である。例えば第一ガラスフィルムG1に対する接触性を考慮する場合、第一層41の基材が第一ガラスフィルムG1に対して接触性の良好な材料で形成される。ここで、ガラスフィルムG1に対して接触性の良好な材料とは、ガラスフィルムG1と接触したとしてもガラスフィルムG1に対して傷等を生じさせない材料で、かつ、ガラスフィルムG1を円滑に搬送するために、ガラスフィルムG1に対してある程度の摩擦力を有する材料のことである。また、後述する第一規制部材37と第二規制部材38の少なくとも一方との摺動性を考慮する場合、第二層42の基材が第一規制部材37と第二規制部材38の少なくとも一方に対する摺動性の良好な材料で形成される。
【0048】
第一規制部材37は例えば帯板状をなし、第一ベルト23gの幅方向外側でかつ第一ベルト23gの長手方向に延びるように配設される。本実施形態では、図5に示すように、第二支持体36に固定されている。これにより、第一ベルト23gの幅方向への移動が所定の範囲で規制され得る。
【0049】
第二規制部材38は、例えば第一ベルト23gの幅方向中央側に延びて下段面40を下方に押さえ可能な押さえ部43と、押さえ部43と第二支持体36とを連結する連結部44とを一体的に有する。本実施形態では、押さえ部43と連結部44はともに板状をなし、屈曲部を構成するように押さえ部43の長手方向一端と連結部44の長手方向一端とがつながっている。また、連結部44と第二支持体36とが、第一規制部材37を介して相互に連結されている。このように連結部44により第二規制部材38が第二支持体36に固定された状態では、第二規制部材38が上下方向に位置決めされた状態となり、これにより第一ベルト23gの上方への移動が所定の範囲で規制され得る。
【0050】
また、上述のように、第二規制部材38が第二支持体36に固定された状態において、第一ベルト23gの第一層41と押さえ部43とが干渉しないように、第一層41と押さえ部43との幅方向隙間45が所定の大きさに設定される。具体的には、第一ベルト23gの幅方向への移動が第一規制部材37により規制される範囲を考慮して、幅方向隙間45の大きさが適宜の大きさ、例えば0.5mm以上でかつ5.0mm以下に設定される。幅方向隙間45の大きさは、第一規制部材37と第二層42との間に設けられる隙間よりも、幅広であることが好ましい。これにより、第一層41と押さえ部43とが摺動するのを防止することができる。
【0051】
また、上述のように、第二規制部材38が第二支持体36に固定され、第一ガラスフィルムG1が第一ベルト23gの支持搬送面39で支持搬送される場合、第一ガラスフィルムG1と第二規制部材38の押さえ部43との間に所定の隙間が生じるように、言い換えると、第一ガラスフィルムG1と押さえ部43とが干渉しないように、支持搬送面39と下段面40との段差、又は押さえ部43の厚み方向寸法が設定される。
【0052】
第二支持体36は第一支持体25に取付けられ、これにより床面に固定されている。この第二支持体36は、本実施形態では中空形状をなす枠状体、例えば角パイプで構成されている。一方で、この第二支持体36の内部空間と、第二支持体36と第一ベルト23gとの間の空間とは遮断された状態にあり、また、何らの排気作用も生じない構造となっている。そのため、第一ベルト23gを第二支持体36に吸着されることもない(吸着不能に構成されている)。
【0053】
次に下流側ベルトコンベア27a~27gのベルト支持構造の詳細を説明する。これら複数の下流側ベルトコンベア27a~27gは、本実施形態では、同じベルト支持構造を有するため、幅方向一端側(図2の最も下側)の下流側ベルトコンベア27gを例にとってそのベルト支持構造の詳細を説明する。
【0054】
この下流側ベルトコンベア27gは、上述したように、無端帯状の第二ベルト28gと、複数のプーリ29と、第一支持体30と、駆動源31とを有し(図2及び図3を参照)、さらに図6に示すように、第二ベルト28gを下方から支持する第二支持体46と、第二ベルト28gの幅方向への移動を規制する第一規制部材47と、第二ベルト28gの上方への移動を規制する第二規制部材48とを有する。
【0055】
このうち、第二ベルト28gは、第一ベルト23gと同様に、第二ベルト28gの長手方向(図6の紙面を貫く方向)に延びて第二ガラスフィルムG2a,G2bの支持搬送面49の下段に位置する下段面50を有する。本実施形態では、第二ベルト28gは、支持搬送面49が設けられる第一層51と、第一層51の下方に位置し、下段面50が設けられる第二層52とを一体的に有する。
【0056】
ここで、第一層51と第二層52の材質、構造については任意であり、例えば上述した第一ベルト23gの第一層41と第二層42と同じ材質、構造を採ることが可能である。
【0057】
また、第一規制部材47の形状や、第二ベルト28g並びに第二支持体46に対する配置態様は、第一規制部材37のそれらと同じである。
【0058】
第二規制部材48は、上流側ベルトコンベア22gと同様、押さえ部53と連結部54とを一体的に有する。これら押さえ部53と連結部54の形状、第二ベルト28gや第二ガラスフィルムG2に対する配置態様についても、第二規制部材38のそれらと同じである。
【0059】
第二支持体46は第一支持体30に取付けられ、これにより第一支持体30と一体に移動可能とされている。この第二支持体46は、本実施形態では中空形状をなす枠状体、例えば角パイプで構成されている。この第二支持体46はその内部に排気可能な排気空間55を有すると共に、排気空間55は、排気装置としてのブロア56と接続されている。また、第二支持体46及び第二ベルト28gには、第二ベルト28gと第二支持体46との間の空間と、排気空間55とを連通させる連通部が設けられている。本図示例では、図6に示すように、第二ベルト28gの長手方向に沿って延びる溝部57と、溝部57と排気空間55とを連通する穴部58とが、第二支持体46の上部に設けられている。また、第二ベルト28gの幅方向で溝部57と重複する位置に複数の貫通穴59が設けられている。よって、ブロア56の駆動により排気空間55の排気を行うことで、溝部57と穴部58、及び貫通穴59を介して第二ベルト28g上の第二ガラスフィルムG2a,G2bに下方への吸引力が作用し、これにより第二ガラスフィルムG2a,G2bが第二ベルト28gに吸着可能とされている。
【0060】
一方、上流側ベルトコンベア22a~22gのうち、幅方向中央の上流側ベルトコンベア22dは、上述した残りの上流側ベルトコンベア22a~22c,22d~22gや下流側ベルトコンベア27a~27gとは異なるベルト支持構造をなす。
【0061】
この上流側ベルトコンベア22dは、上述したように、無端帯状の第一ベルト23dと、複数のプーリ24と、第一支持体25と、駆動源26とを有し(図2及び図3を参照)、さらに図7に示すように、他の上流側ベルトコンベア22a~22c,22e~22gと同様、第二支持体36と、第一規制部材37とを有する。この上流側ベルトコンベア22dには、第二規制部材38は設けられていない。
【0062】
このうち、第一ベルト23dは、他の第一ベルト23a~23c,23e~23gと同様に、支持搬送面39が設けられる第一層41と、支持搬送面39の下段に位置する下段面40が設けられる第二層42とを一体的に有する。
【0063】
第二支持体36は第一支持体25に取付けられ、これにより床面に固定されている。また、この第二支持体36は、その内部に排気可能な排気空間55を有すると共に、排気空間55は、排気装置としてのブロア56と接続されている。また、第二支持体36の上部には、第一ベルト23dの長手方向に沿って延びる溝部57と、溝部57と排気空間55とを連通する穴部58とが設けられている。また、第一ベルト23dの幅方向で溝部57と重複する位置に複数の貫通穴59が設けられている。よって、ブロア56の駆動により排気空間55の排気を行うことで、溝部57と穴部58、及び貫通穴59を介して第一ベルト23d上の第一ガラスフィルムG1に下方への吸引力が作用し、これにより第一ガラスフィルムG1が第一ベルト23dに吸着可能とされている。
【0064】
第二切断部9は、第二搬送部8のうち上流側コンベア19と下流側コンベア20との間に位置する領域の上方に配置される(図1及び図3を参照)。本実施形態では、第二切断部9は、レーザー割断により第一ガラスフィルムG1を切断可能に構成され、複数のレーザー照射装置60と、各レーザー照射装置60の下流側に配置される冷却装置61とを有する。この場合、冷却装置61はレーザー照射装置60と同数だけ配置される。本実施形態では、第二切断部9による第一ガラスフィルムG1の切断ゾーン21が幅方向の三箇所に設けられるため(図2を参照)、レーザー照射装置60と冷却装置61とが三個ずつ配設される。上記構成の第二切断部9は、搬送される第一ガラスフィルムG1の所定部位に各レーザー照射装置60からレーザー光Lを照射して加熱した後、冷却装置61から冷媒Rを放出して当該加熱部位を冷却可能に構成される。
【0065】
また、本実施形態では、上述した第一ガラスフィルムG1の切断ゾーン21から幅方向に離れた位置に、図2に示すように、第二搬送部8により搬送されている第一ガラスフィルムG1を接触支持可能な第一定盤62が配設されている。正確には、切断後の第一ガラスフィルムG1(第二ガラスフィルムG2a,G2b)の幅方向中央側に対応する位置に、第一定盤62が配設されている。本実施形態では、二枚の第二ガラスフィルムG2a,G2bが一枚の第一ガラスフィルムG1から切り出されるので、切断ゾーン21に対して幅方向に位置し、かつ各第二ガラスフィルムG2a,G2bの幅方向中央に対応する位置に、第一定盤62がそれぞれ配設されている。これら第一定盤62は、図示は省略するが、床面に設置固定されており、常に静止した状態にある。
【0066】
また、第一定盤62は、図2に示すように、第一ガラスフィルムG1を接触支持可能な第一支持面63と、第一ガラスフィルムG1を第一支持面63に向けて吸引可能な第一吸引部64とを有する。この第一吸引部64によれば、第一定盤62の第一支持面63上に第一ガラスフィルムG1が搬送される場合、第一ガラスフィルムG1が第一支持面63に対して吸引可能とされる。
【0067】
また、本実施形態では、上述した第一ガラスフィルムG1の切断ゾーン21に、図2に示すように、第一ガラスフィルムG1を接触支持可能な第二定盤65が配設されている。本実施形態では、第一ガラスフィルムG1を幅方向の三箇所で切断する形態を採っていることから、三箇所の切断ゾーン21それぞれに対して三個の第二定盤65が配設されている。これら第二定盤65は、図示は省略するが、床面に設置固定されており、常に静止した状態にある。
【0068】
ここで、第二定盤65は、第一ガラスフィルムG1を接触支持可能な第二支持面66と、第一ガラスフィルムG1を第二支持面66に向けて吸引可能な第二吸引部67とを有する。この第二吸引部67によれば、第二定盤65の第二支持面66上に第一ガラスフィルムG1が搬送される場合、第一ガラスフィルムG1が第二支持面66に対して吸引可能とされる。
【0069】
第二搬送部8よりも下流側には、幅方向で隣り合う一組の第二ガラスフィルムG2a,G2bの間に幅方向隙間を形成するための隙間形成部68が設けられている。この隙間形成部68は、本実施形態では、各第二ガラスフィルムG2a,G2bが上方に凸となる向きに湾曲変形するように、幅方向中央が最も大径となる樽状の支持ローラ69a,69bを有する。本実施形態では二枚の第二ガラスフィルムG2a,G2bが切り出されるので、二個の支持ローラ69a,69bが配設される。
【0070】
第二巻取り部10は、第二搬送部8よりも下流側に配設される。具体的に、第二巻取り部10は、第二搬送部8で搬送される第二ガラスフィルムG2a,G2bを巻芯70a,70bによって巻き取ることで第二ガラスロールGRL2a,GRL2bを得る。本実施形態では、二枚の第二ガラスフィルムG2a,G2bが切り出されるので、これら二枚の第二ガラスフィルムG2a,G2bをそれぞれ巻き取ることで、二個の第二ガラスロールGRL2a,GRL2bが得られる。
【0071】
上記構成の製造装置1により製造される第二ガラスフィルムG2a,G2b(第一ガラスフィルムG1)の材質としては、ケイ酸塩ガラス、シリカガラスが用いられ、好ましくはホウ珪酸ガラス、ソーダライムガラス、アルミノ珪酸塩ガラス、化学強化ガラスが用いられ、最も好ましくは無アルカリガラスが用いられる。ここで、無アルカリガラスとは、アルカリ成分(アルカリ金属酸化物)が実質的に含まれていないガラスのことであって、具体的には、アルカリ成分の重量比が3000ppm以下のガラスのことである。本発明におけるアルカリ成分の重量比は、好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは500ppm以下であり、最も好ましくは300ppm以下である。
【0072】
また、第二ガラスフィルムG2a,G2b(第一ガラスフィルムG1)の厚み寸法は、10μm以上300μm以下とされ、好ましくは30μm以上200μm以下であり、最も好ましくは30μm以上100μm以下である。
【0073】
以下、上記構成の製造装置1を使用して第二ガラスフィルムG2a,G2b(本実施形態では第二ガラスロールGRL2a,GRL2b)を製造する方法について説明する。本方法は、成形工程S1と、両端部除去工程S2と、第一巻取り工程S3と、引出し工程S4と、切断工程S5と、第二巻取り工程S6とを備える。
【0074】
成形工程S1では、図1に示すように、成形部2における成形体11のオーバーフロー溝11aから溢れ出した溶融ガラスGMを成形体11の両側面に沿ってそれぞれ流下させ、その下端で合流させてフィルム状に成形する。この際、溶融ガラスGMの幅方向収縮をエッジローラ12により規制して所定幅の母材ガラスフィルムGとする。その後、母材ガラスフィルムGに対してアニーラ13により除歪処理を施す(徐冷工程)。支持ローラ15の張力により、母材ガラスフィルムGは所定の厚みに形成される。
【0075】
両端部除去工程S2では、同じく図1に示すように、方向変換部3及び第一搬送部4によって母材ガラスフィルムGを下流側に送りつつ、第一切断部5において、レーザー照射装置17aからレーザー光Lを母材ガラスフィルムGの一部に照射して加熱する。その後、加熱した部位に冷却装置17bで冷媒Rを吹き付ける。これにより、母材ガラスフィルムGに熱応力が生じる。母材ガラスフィルムGには、予め初期クラックが形成されており、このクラックを熱応力によって進展させる。これにより、母材ガラスフィルムGの幅方向両端部が除去され、第一ガラスフィルムG1が形成される。
【0076】
続く第一巻取工程S3では、同じく図1に示すように、第一ガラスフィルムG1を巻芯18に巻き取ることにより、第一ガラスロールGRL1を得る。その後、第一ガラスロールGRL1は、引出し部7に移送される。引出し工程S4では、引出し部7に移送された第一ガラスロールGRL1から第一ガラスフィルムG1を引き出し、第二搬送部8によって第二搬送部8上の切断ゾーン21へと搬送する(図2及び図3を参照)。
【0077】
切断工程S5では、第一ガラスフィルムG1のうち第二搬送部8上の切断ゾーン21を通過する部分に、レーザー照射装置60によりレーザー光Lを照射し、かつ照射した領域に冷媒Rを吹き付けることにより、第一ガラスフィルムG1の搬送方向Xに沿った向きの切断を行う。また、この際、第一ガラスフィルムG1は、上流側コンベア19により搬送方向Xに沿った向きに搬送される。この際、上流側コンベア19を構成する複数の上流側ベルトコンベア22a~22gのうち、第一ガラスフィルムG1の幅方向中央位置に対応する上流側ベルトコンベア22dについて、その第二支持体36内の排気空間55をブロア56により排気することで、溝部57、穴部58、及び貫通穴59を介して(図7を参照)、第一ベルト23d上の第一ガラスフィルムG1に下向きの吸着力が作用する。これにより、第一ガラスフィルムG1が上流側ベルトコンベア22dの第一ベルト23dに吸着した状態で搬送方向Xに沿って搬送される。
【0078】
残りの上流側ベルトコンベア22a~22c,22e~22gについては、第一ガラスフィルムG1を第一ベルト23a~23c,23e~23gに吸着不能に構成されているので(図4及び図5を参照)、第一ガラスフィルムG1は各第一ベルト23a~23c,23e~23gに接触支持された状態で搬送方向Xに沿って搬送される。この際、第一ベルト23a~23c,23e~23gには、第二支持体36に対する何らの吸引力も作用しておらず、また直上の第一ガラスフィルムG1を吸引することによる下方への押さえ力も発生しない。そのため、これら第一ベルト23a~23,23e~23gは駆動に伴い幅方向への移動だけでなく、上下動を生じようとするが、これら第一ベルト23a~23c,23e~23gの上方への移動は第二規制部材38によって規制された状態にある(図4及び図5を参照)。よって、第一ベルト23a~23c,23e~23gの上下動を抑制した状態で、第一ガラスフィルムG1を搬送方向Xに沿って搬送することができる。
【0079】
切断工程S5では、上記のように上流側ベルトコンベア22a~22gによって第一ガラスフィルムG1を所定の搬送方向Xに搬送しながら、レーザー照射装置60のレーザー照射部から複数のレーザー光Lを第一ガラスフィルムG1に照射する(レーザー照射工程)。
【0080】
上記のようなレーザー光Lの照射により、第一ガラスフィルムG1が加熱される。その後、第一ガラスフィルムG1のうち加熱された部分は、冷却装置61の直下に到達すると、冷却装置61から下方に向けて噴射された冷媒Rを浴びて冷却される。レーザー照射装置60の局部加熱による膨張と冷却装置61の冷却による収縮とにより第一ガラスフィルムG1に熱応力が生じる。第一ガラスフィルムG1には、図示しない手段により予め初期クラックが形成されており、上述した熱応力を利用して初期クラックを進展させることで、第一ガラスフィルムG1がその幅方向所定位置において連続的に切断(割断)される。本実施形態では、幅方向の三箇所で上述したレーザー切断を行うことにより、第一ガラスフィルムG1の幅方向両端部が切り捨てられると共に、それぞれ所定の幅方向寸法を有する二枚の第二ガラスフィルムG2a,G2bが切り出される(図2を参照)。これら第二ガラスフィルムG2a,G2bは切断ゾーン21よりも搬送方向Xの下流側に位置する下流側コンベア20により、下流側コンベア20よりも搬送方向Xの下流側に位置する第二巻取り部10に向けて搬送される。
【0081】
この際、下流側コンベア20を構成する複数の下流側ベルトコンベア27a~27gには、支持搬送する第二ガラスフィルムG2a,G2bを吸着可能な構造が設けられている(図6を参照)。よって、各第二支持体46内の排気空間55をブロア56により排気することで、溝部57、穴部58、及び貫通穴59を介して、第二ベルト28a~28f上の第二ガラスフィルムG2a,G2bに下向きの吸着力が作用する。これにより、第二ガラスフィルムG2a,G2bが下流側ベルトコンベア27a~27fの第二ベルト28a~28fに吸着した状態で搬送方向Xに沿って搬送される。
【0082】
第二巻取り工程S6では、それぞれ所定の位置に配設された巻芯70a,70bによって第二ガラスフィルムG2a,G2bが巻き取られる。所定長さの第二ガラスフィルムG2a,G2bが巻き取られることで、第二ガラスロールGRL2a,GRL2bが得られる。
【0083】
また、本実施形態では、下流側コンベア20と、第二巻取り部10との間に、隙間形成部68としての支持ローラ69a,69bを配設したので、各支持ローラ69a,69b上を通過する第二ガラスフィルムG2a,G2bが支持ローラ69a,69bの外周面形状に倣って変形(ここでは上方に凸となる向きに湾曲変形)しながら下流側に搬送される。これにより、切断直後の第二ガラスフィルムG2a,G2bの間に所定の幅方向隙間が形成されるので、切断面同士の干渉を回避してそれぞれ第二巻取り部10に搬送することができる。
【0084】
以上説明したように、本実施形態に係るガラスフィルム(第二ガラスフィルムG2a,G2b)の製造方法では、第一ベルト23a~23c,23e~23gの幅方向への移動を規制する第一規制部材37に加えて、この第一ベルト23a~23c,23e~23gの上方への移動を規制する第二規制部材38を設けるようにした。また、第一ベルト23a~23c,23e~23gの幅方向両側に第一ベルト23a~23c,23e~23gの長手方向に延びて支持搬送面39よりも第一ベルト23a~23c,23e~23gの厚み方向中央側に位置する下段面40を設けると共に、この下段面40を下方に押さえ可能な押さえ部43を第二規制部材38に設けるようにした(図5を参照)。これにより、第一ベルト23a~23c,23e~23gは、押さえ部43の位置に応じて上方への移動を規制されるので、第一ベルト23a~23c,23e~23gの上下動を所定の範囲内に抑えることができる。また、第一ベルト23a~23c,23e~23gをその幅方向両側に設けた下段面40で下方に押さえ可能に構成したので、第二規制部材38の押さえ部43を支持搬送面39よりも第一ベルト23a~23c,23e~23gの厚み方向中央側に退避させることができる。よって、第一ベルト23a~23c,23e~23gの上下動を効果的に抑制しつつも、第一ガラスフィルムG1と第二規制部材38とが干渉する事態を回避して、安全に第一ガラスフィルムG1を搬送することが可能となる。
【0085】
特に、本実施形態の様に、帯状をなす第一ガラスフィルムG1を複数の上流側ベルトコンベア22a~22gで支持搬送する場合には、第一ベルト22a~22c,22e~22gの数だけ上下動が第一ガラスフィルムG1に及ぼす影響が大きくなるが、本実施形態に係る製造方法によれば、各第一ベルト23a~23c,23e~23gの上下動を個別にかつ確実に抑止できるので、安定した搬送、ひいては安定した切断処理を第一ガラスフィルムG1に施すことが可能となる。
【0086】
また、本実施形態では、上流側ベルトコンベア22a~22gのうち、第一ガラスフィルムG1の幅方向中央に対応した位置に配設される上流側ベルトコンベア22dについては第一ガラスフィルムG1を吸着可能な構造とし、残りの上流側ベルトコンベア22a~22c,22e~22gについては吸着不能に構成した。このように、幅方向に対称な位置で第一ガラスフィルムG1を吸着して搬送することにより、第一ガラスフィルムG1全体の搬送時における平面方向の位置ずれを効果的に防止することができる。また、残りの上流側ベルトコンベア22a~22c,22e~22gで第一ベルト23a~23c,23e~23gの上下動を抑えながら第一ガラスフィルムG1の幅方向外側を接触支持して搬送することにより、第一ベルト23a~23c,23e~23gの上下動による高さ方向の位置ずれ(ばらつき)を可及的に防止することができる。以上より、本実施形態に係る上流側ベルトコンベア22a~22gによれば、第一ガラスフィルムG1の各方向への位置ずれを防止して、より正確な切断処理を施すことが可能となる。
【0087】
また、本実施形態では、下流側ベルトコンベア27a~27gを吸着可能な構造にすると共に、これら下流側ベルトコンベア27a~27gに対しても、本発明に係るベルト支持構造を適用した。下流側ベルトコンベア27a~27gで第二ガラスフィルムG2a,G2bを吸着する際、あまりに吸着力を強くし過ぎると、切断直後の第二ガラスフィルムG2a,G2bに不要な変形をもたらし、切断面同士の接触などを引き起こすおそれがある。これに対して、下流側ベルトコンベア27a~27gを上述のように構成することで、吸着力を調整して第二ガラスフィルムG2a,G2bに必要最低限の拘束力を与えつつ、第二ベルト28a~28gの上下動を抑制することができる。よって、適度な力で拘束することにより第二ガラスフィルムG2a,G2bの位置ずれ及び不要な変形を防止しつつも、第二ベルト28a~28gの上下動を抑制して、正確な巻取りが可能となる。
【0088】
以上、本発明に係るガラスフィルムの製造方法及び製造装置の一実施形態を説明したが、この製造方法及び製造装置は、当然に本発明の範囲内において任意の形態を採ることができる。
【0089】
例えば上記実施形態では、第一ベルト23a~23g及び第二ベルト28a~28gをともに二層構造とし、第一層41,51から第二層42,52が幅方向に食み出した形態をとることで、食み出した部分を下段面40,50とした場合を例示したが、もちろんこれには限定されない。例えば図示は省略するが、単層のベルトを準備し、この単層ベルトの幅方向両側を薄肉に削ることで、段差すなわち下段面40,50を形成することも可能である。
【0090】
また、上記実施形態では、第一層41の基材の材質を、第一ガラスフィルムG1に対する接触性を考慮して選択し、かつ第二層42の基材の材質を、第二規制部材38の押さえ部43に対する摺動性を考慮して選択することで、支持搬送面39に第一ガラスフィルムG1に対する良好な接触性を付与すると共に、下段面40に押さえ部43に対する良好な摺動性を付与する場合を例示したが、もちろんこれ以外の構成をとることも可能である。例えば図示は省略するが、支持搬送面39となる領域に、第一ガラスフィルムG1に対して接触性の良好な材料で成膜処理を施し、下段面40となる領域に、押さえ部43に対して摺動性の良好な材料で成膜処理を施すようにしてもよい。また、摺動特性以外に求められる特性がある場合、当該要求特性を満たし得るように支持搬送面39及び下段面40の材料を設定すればよい。
【0091】
また、上記実施形態では、第二規制部材38,48として、帯板状の部材を略直角に屈曲した形状をなすものを例示したが、もちろんこれには限定されない。例えば各ガラスフィルムG1,G2a,G2bと下段面40,50との間に収まる限りにおいて、押さえ部43,53の形状は任意である。またその搬送方向Xに沿った向きの寸法も任意である。例えば、押さえ部43の幅方向寸法よりも搬送方向寸法が大きくてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、上流側ベルトコンベア22a~22c,22e~22gと下流側ベルトコンベア27a~27gに全て同一のベルト支持構造(第二規制部材38,48、下段面40,50)を設けた場合を例示したが、もちろんこれには限られない。例えば上流側ベルトコンベア22a~22c,22e~22gと下流側ベルトコンベア27a~27gとで互いに異なるベルト支持構造を適用してもよい。また、複数の上流側ベルトコンベア22a~22g、又は下流側ベルトコンベア27a~27gの中で互いに異なるベルト支持構造を適用してもよい。また、上流側ベルトコンベア22a~22c,22e~22gの一部に本発明に係るベルト支持構造を適用してもよく、あるいは下流側ベルトコンベア27a~27gの一部に本発明に係るベルト支持構造を適用してもよい。もちろん、下流側ベルトコンベア27a~27gに吸着構造が設けられている場合、上流側ベルトコンベア22a~22c,22e~22gのみに本発明に係るベルト支持構造を適用してもよい。
【0093】
また、以上の説明では、第一ガラスフィルムG1の切断ゾーン21に第二定盤65を配置すると共に、切断ゾーン21に対して幅方向に離れた位置に第一定盤62を配置した場合を例示したが、もちろんこれには限られない。レーザー切断に対してそれほど大きな影響を及ぼさないようであれば、切断ゾーン21を支持搬送面が通過するように第三のコンベア(図示は省略)を配設して、第一定盤62と第二定盤65の少なくとも一方を省略してもよい。
【0094】
また、搬送装置(第二搬送部8)の支持搬送面は、必ずしも搬送方向Xで切断ゾーン21に対応する位置において分断されている必要はない。例えば切断ゾーン21から搬送方向Xの下流側にずれた位置で、第二搬送部8の支持搬送面が分断されていてもよい。
【0095】
なお、以上の説明では、切断ゾーン21で搬送装置としての第二搬送部8が分割されてなる上流側コンベア19と下流側コンベア20をともにベルトコンベアで構成した場合を例示したが、もちろんこれ以外の形態をとることも可能である。例えば上流側コンベア19と下流側コンベア20の少なくとも一方を、ローラコンベアその他の各種搬送装置で構成し、他方を本発明に係るベルト支持構造を有するベルトコンベアで構成してもよい。
【0096】
また、以上の説明では、第二搬送部8が、その搬送方向Xで、二つのコンベア19,20で構成される場合を例示したが、もちろんこれには限定されない。例えば第二搬送部8をその搬送方向Xの全域にわたって一つのベルトコンベアで構成し、このベルトコンベア上に切断ゾーン21を設けると共に、本発明に係るベルト支持構造を適用してもよい。
【0097】
また、以上の説明では、第二搬送部8を、第一ガラスフィルムG1の幅方向に隣接する複数の上流側ベルトコンベア22a~22gと下流側ベルトコンベア27a~27gとで構成した場合を例示したが、もちろんこれ以外の構成をとることも可能である。例えば上流側コンベア19を一つのベルトコンベアで構成してもよい。あるいは、下流側コンベア20を一つのベルトコンベアで構成してもよい。
【0098】
また、以上の説明では、一枚の第一ガラスフィルムG1から二枚(又は三枚)の第二ガラスフィルムG2a,G2b(G2a~G2c)を切り出す場合を例示したが、もちろん、幅方向寸法の異なる一枚の第二ガラスフィルムG2aを切り出す場合に本発明を適用することも可能であり、また四枚以上の第二ガラスフィルムG2a…を切り出す場合に本発明を適用することも可能である。
【0099】
また、以上の説明では、母材ガラスフィルムGの幅方向両端部を第一切断部5で切断して得た第一ガラスフィルムG1に対して本発明を適用した場合を説明したが、母材ガラスフィルムGの第一切断部5による切断に本発明を適用してもかまわない。この場合、第一搬送部4が、図2等に示す第二搬送部8と同様の構成をとることで、本発明を実施可能となる。また、これら第一切断部5及び第二切断部9には、レーザー切断以外の切断を可能とする構成を採用することも可能である。
【0100】
また、以上の説明では、ガラスフィルムに対する製造関連処理として長手方向に沿った向きの切断処理を行う場合を例示したが、もちろんこれ以外の処理、例えばコーティングや成膜、ラミネートの貼り合わせなど、ベルトコンベアで搬送した状態でガラスフィルムの成形から最終製品の出荷に至るまでに実施され得る限りにおいて、任意の製造関連処理を行う工程に本発明に係るベルトコンベアを適用することも可能である。
【0101】
また、以上の説明では、帯状をなす第一ガラスフィルムG1に本発明を適用した場合を説明したが、もちろんこれ以外の形態をなす第一ガラスフィルムG1に本発明を適用することも可能である。すなわち、図示は省略するが、矩形状など枚葉状の板ガラス(ガラスフィルム)に本発明を適用することも可能である。また、切断して得た第二ガラスフィルムG2a…を必ずしもロール状に巻き取らずともよい。言い換えると、ロール状に巻き取ることのない第二ガラスフィルムG2a…の製造工程に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 ガラスロールの製造装置
2 成形部
3 方向変換部
4 第一搬送部
5 第一切断部
8 第二搬送部
9 第二切断部
11 成形体
17a レーザー照射装置
17b 冷却装置
19 上流側コンベア
20 下流側コンベア
21 切断ゾーン
22a~22g 上流側ベルトコンベア
23a~23g 第一ベルト
24,29 プーリ
25,30 第一支持体
26,31 駆動源
27a~27g 下流側ベルトコンベア
28a~28g 第二ベルト
29 プーリ
29a ドライブプーリ
30 第一支持体
31 駆動源
32 レール部
33 スライド部
36,46 第二支持体
37,47 第一規制部材
38,48 第二規制部材
39,49 支持搬送面
40,50 下段面
41,51 第一層
42,52 第二層
43,53 押さえ部
44,54 連結部
45 幅方向隙間
55 排気空間
56 ブロア
57 溝部
58 穴部
59 貫通穴
60 レーザー照射装置
61 冷却装置
62 第一定盤
63 第一支持面
64 第一吸引部
65 第二定盤
66 第二支持面
67 第二吸引部
101 ベルト
102 支持体
103 ガイド部材
104 排気空間
105 穴
106 隙間
G,G1,G2a,G2b ガラスフィルム
GRL1,GRL2a,GRL2b ガラスロール
L レーザー光
R 冷媒
X 搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9