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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】エレベーター
(51)【国際特許分類】
   B66B 11/02 20060101AFI20230721BHJP
   B66B 11/04 20060101ALI20230721BHJP
   B66B 1/34 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
B66B11/02 Z
B66B11/04 Z
B66B1/34 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022001449
(22)【出願日】2022-01-07
(65)【公開番号】P2023101085
(43)【公開日】2023-07-20
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮川 行宏
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-121021(JP,A)
【文献】特開2009-190862(JP,A)
【文献】特開2018-150136(JP,A)
【文献】特開平10-297845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 11/02
B66B 11/04
B66B 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごと、
第一方向に延びる複数の第一軌道と、
前記かごを前記第一軌道に沿って移動させる第一かご駆動部と、を備え、
前記かごは、前記第一かご駆動部と離間可能に係合し、
前記第一かご駆動部は、
前記第一軌道を走行する駆動部本体と、
前記かごと係合する係合部を有し、該係合部が前記駆動部本体に対して前記第一方向と交差する方向に接離可能な支持部と、を備え、
前記複数の第一軌道は、隣り合う第一軌道同士が互いに間隔をあけて平行となるように前記第一方向と直交する第二方向に並び、
前記複数の第一軌道における前記第二方向の一方側の端の第一軌道である端部軌道以外の第一軌道に、前記第一かご駆動部が配置され、
前記端部軌道には、少なくとも前記駆動部本体と前記係合部とを有する第二かご駆動部が配置されており、
前記第一かご駆動部及び前記第二かご駆動部のそれぞれは、前記第二方向における前記端部軌道より一方側で前記かごを移動させ、
前記第二方向に隣り合う二つの第一軌道のうちの他方側の第一軌道に配置される前記第一かご駆動部が前記かごと係合していない状態で該第一軌道を走行するときに前記二つの第一軌道のうちの一方側の第一軌道に配置される前記第一かご駆動部又は前記第二かご駆動部と対応する位置を通過できるように、前記二つの第一軌道の間隔が設定されている、エレベーター。
【請求項2】
前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれと直交する第三方向において、前記端部軌道と隣り合う位置に配置され且つ前記第一方向に延びる第二軌道を備え、
前記第二軌道には、前記第二かご駆動部が配置され、
前記複数の第一軌道における前記端部軌道以外の第一軌道に配置される前記第一かご駆動部と、前記第二軌道に配置される前記第二かご駆動部とのそれぞれは、前記第一方向の位置が同じときに、前記第二方向における前記端部軌道より一方側において互いの係合部が前記第三方向に隣り合うことが可能に構成され、
これら隣り合うことが可能な係合部のそれぞれは、前記第三方向に隣り合ったときに、該係合部間を前記かごが往復動できるように構成されている、請求項に記載のエレベーター。
【請求項3】
前記支持部は、前記係合部を前記第二方向の一方側の端部に有し且つ前記駆動部本体に対して前記第二方向に相対移動可能な支持部本体を有し、
前記第一かご駆動部は、前記支持部本体を駆動する駆動部を有し、
前記駆動部は、前記支持部本体に配置され且つ前記第二方向に延びるラックギアと、該ラックギアと噛み合うピニオンギアと、該ピニオンギアを前記第一方向に延びる回転軸まわりに回転駆動するモータと、を有する、請求項1又は2に記載のエレベーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人や物を運搬するかごを備えたエレベーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、図10に示すように、利用者が乗降するかご601と、建屋に形成される昇降路602内でかご601を昇降(上下動)させる巻上機603と、を備えたエレベーター600が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
具体的に、このエレベーター600は、かご601と反対方向に昇降するつり合いおもり604と、かご601及びつり合いおもり604を懸架する主索605と、昇降路602内に配置され、主索605が巻き掛けられる頂部プーリー606と、昇降路602の底部近傍に配置され、主索605を駆動する巻上機603と、巻上機603の動作を制御する制御部607と、を有する。
【0004】
このエレベーター600では、巻上機603が駆動することによってかご601が昇降路602内を昇降する。詳しくは、制御部607が巻上機603を制御して主索605が駆動されることによって、巻上機603の動力が主索605を通じてかご601に伝達され、これにより、かご601が昇降路602内を昇降する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2021-172487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のエレベーター600において、かご601が乗場に停止して利用者がかご601に対して乗降しているときに、故障等によって巻上機603が駆動すると、かご601が昇降するため、乗降している利用者がかご601と乗場とに挟まれる等の危険が生じる。
【0007】
そこで、本発明は、乗場でかごに人や物を安全に乗降させることができるエレベーターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のエレベーターは、
かごと、
第一方向に延びる第一軌道と、
前記かごを前記第一軌道に沿って移動させる第一かご駆動部と、を備え、
前記かごは、前記第一かご駆動部と離間可能に係合する。
【0009】
かかる構成によれば、かごが乗場等の所定位置に停止したときに、かごと第一かご駆動部とが離間できる状態になる、又は離間することで、故障等によって第一かご駆動部が作動してかごを移動させようとしても、該第一かご駆動部の駆動力がかごに伝達されず、これにより、乗場でかごに人や物を安全に乗降させることが可能となる。
【0010】
前記エレベーターでは、
前記第一かご駆動部は、
前記第一軌道を走行する駆動部本体と、
前記かごと係合する係合部を有し、該係合部が前記駆動部本体に対して前記第一方向と交差する方向に接離可能な支持部と、を備えてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、前記第一方向と交差する方向における係合部(即ち、該係合部と係合するかご)と駆動部本体との間隔を変更することができる。
【0012】
また、前記エレベーターでは、
前記第一軌道は、複数配置され、
これら複数の第一軌道は、隣り合う第一軌道同士が互いに間隔をあけて平行となるように前記第一方向と直交する第二方向に並び、
前記複数の第一軌道における前記第二方向の一方側の端の第一軌道である端部軌道以外の第一軌道に、前記第一かご駆動部が配置され、
前記端部軌道には、少なくとも前記駆動部本体と前記係合部とを有する第二かご駆動部が配置されており、
前記第一かご駆動部及び前記第二かご駆動部のそれぞれは、前記第二方向における前記端部軌道より一方側で前記かごを移動させ、
前記第二方向に隣り合う二つの第一軌道のうちの他方側の第一軌道に配置される前記第一かご駆動部が前記かごと係合していない状態で該第一軌道を走行するときに前記二つの第一軌道のうちの一方側の第一軌道に配置される前記第一かご駆動部又は前記第二かご駆動部と対応する位置を通過できるように、前記二つの第一軌道の間隔が設定されていてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、前記他方側の第一軌道に配置された第一かご駆動部は、かごと係合していない状態のときに、前記一方側の第一軌道に配置された第一かご駆動又は第二かご駆動部を第一方向の一方側又は他方側に向けて追い越すことができる。
【0014】
この場合、エレベーターは、
前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれと直交する第三方向において、前記端部軌道と隣り合う位置に配置され且つ前記第一方向に延びる第二軌道を備え、
前記第二軌道には、前記第二かご駆動部が配置され、
前記複数の第一軌道における前記端部軌道以外の第一軌道に配置される前記第一かご駆動部と、前記第二軌道に配置される前記第二かご駆動部とのそれぞれは、前記第一方向の位置が同じときに、前記第二方向における前記端部軌道より一方側において互いの係合部が前記第三方向に隣り合うことが可能に構成され、
これら隣り合うことが可能な係合部のそれぞれは、前記第三方向に隣り合ったときに、該係合部間を前記かごが往復動できるように構成されてもよい。
【0015】
かかる構成によれば、第一軌道(端部軌道を除く)に配置された第一かご駆動部の係合部と第二軌道に配置された第二かご駆動部の係合部との間をかごが行き来可能となる。これにより、該かご(第一のかご)が第一軌道に沿った乗場に向けて第一軌道に沿って移動しようとしたときに、端部軌道に配置された第二かご駆動部と係合するかご(第二のかご)が邪魔になっても、第一のかごが前記第一軌道に配置された第一かご駆動部から第二軌道に配置された第二かご駆動部に移動して第二のかごを追い抜いた後、端部軌道に配置された第二かご駆動部を追い抜いた前記第一軌道の第一かご駆動部に戻ることで、該第一のかごが目的の乗場(第一軌道に沿った乗場)に到達することができる(例えば、図7及び図8参照)。
【0016】
また、前記エレベーターでは、
前記支持部は、前記係合部を前記第二方向の一方側の端部に有し且つ前記駆動部本体に対して前記第二方向に相対移動可能な支持部本体を有し、
前記第一かご駆動部は、前記支持部本体を駆動する駆動部を有し、
前記駆動部は、前記支持部本体に配置され且つ前記第二方向に延びるラックギアと、該ラックギアと噛み合うピニオンギアと、該ピニオンギアを前記第一方向に延びる回転軸まわりに回転駆動するモータと、を有してもよい。
【0017】
このように、いわゆるラック・アンド・ピニオンを用いた簡素な構成によって、駆動部本体に対する係合部の位置変更が可能になる。
【発明の効果】
【0018】
以上より、本発明によれば、乗場でかごに人や物を安全に乗降させることができるエレベーターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、第一実施形態に係るエレベーターの概略構成を示す正面図である。
図2図2は、前記エレベーターの第一領域における概略構成を示す側面図である。
図3図3は、前記第一領域における概略構成を示す背面図である。
図4図4は、前記第一領域における概略構成を示す平面図である。
図5図5は、前記第一領域における概略構成を示す側面図であって、前記エレベーターが備える第一かご駆動部の支持部が後退した状態の側面図である。
図6図6は、前記第一領域における概略構成を示す平面図であって、前記第一かご駆動部の前記支持部が後退した状態の平面図である。
図7図7は、前記エレベーターにおけるかごの追い越し動作を説明するための正面図である。
図8図8は、前記エレベーターにおける前記かごの追い越し動作を説明するための側面図である。
図9図9は、第二実施形態に係るエレベーターの概略構成を示す正面図である。
図10図10は、従来のエレベーターの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第一実施形態について、図1図8を参照しつつ説明する。
【0021】
本実施形態のエレベーターは、図1図6に示すように、複数のかご4が共通の昇降路2内を昇降可能である。このエレベーター1は、利用者が乗降するかご4と、上下方向(第一方向)に延びる軌道3と、かご4を軌道3に沿って移動させるかご駆動部5と、を備え、かご4は、かご駆動部5と離間可能に係合する。本実施形態のエレベーター1は、複数のかご4と、複数の軌道3と、複数のかご駆動部5と、を備える。また、エレベーター1におけるかご駆動部5の駆動方式は、かご駆動部5とつり合い錘(図示省略)とを繋いでいるワイヤーロープ(主索)Wを巻上機(図示省略)が巻き上げる(駆動する)ことによってかご駆動部5が昇降する、いわゆるトラクション式である。
【0022】
このエレベーター1の昇降路2は、建物等の内部において上下方向に延びている。本実施形態の昇降路2は、二つの領域(第一領域Ar1、第二領域Ar2)を有し、これら二つの領域Ar1、Ar2は、それぞれ上下方向に延び、かご4への利用者の出入り方向及び上下方向のそれぞれと直交する方向に隣接している。以下では、第一領域Ar1と第二領域Ar2とが並ぶ方向を直交座標におけるX軸方向(第三方向)とし、かご4への利用者の出入り(乗降)方向を直交座標系におけるY軸方向(第二方向)とし、上下方向を直交座標系におけるZ軸方向(第一方向)とする。
【0023】
複数の軌道3は、第一領域Ar1に配置される第一軌道31と、第二領域Ar2に配置される第二軌道32と、を含み、これら第一軌道31と第二軌道32とは、それぞれZ軸方向に延びている。本実施形態のエレベーター1において、複数の軌道3は、複数(本実施形態の例では、二つ:図2参照)の第一軌道31と、一つの第二軌道32とを含む。
【0024】
複数の第一軌道31は、第一領域Ar1内に配置され、隣り合う第一軌道31同士が互いに間隔をあけて平行となるようにY軸方向に並んでいる。以下では、これら複数の第一軌道31におけるY軸方向の一方側(エレベーター1の正面側)の端の第一軌道31を前方軌道(端部軌道)31Aと称し、前方軌道31A以外の第一軌道31を後方軌道(端部軌道以外の第一軌道)31Bと称することもある(図2参照)。これら複数の第一軌道31のそれぞれは、一対のガイドレール311によって構成されている。一対のガイドレール311は、それぞれZ軸方向に延び、X軸方向に間隔あけて配置されている。
【0025】
第二軌道32は、第二領域Ar2内に配置されている。具体的に、第二軌道32は、X軸方向において前方軌道31Aと隣り合う位置に配置されている(図1参照)。第二軌道32は、一対のガイドレール321によって構成されている。一対のガイドレール321は、第一軌道31を構成する一対のガイドレール311と同様に、それぞれZ軸方向に延び、X軸方向に間隔あけて配置されている。
【0026】
複数のかご4のそれぞれは、出入口411と該出入口411を開閉するかごドア412とを有し且つ利用者を内部に収容可能なかご本体41と、かご本体41からY軸方向の他方側(背面側)に突出する駆動部42と、を有する。
【0027】
駆動部42は、かご本体41とY軸方向に間隔をあけた位置においてX軸方向に延びるかご側係合部421と、かご側係合部421からY軸方向の一方側に延びてかご本体41に連結されている連結部422と、を有する。
【0028】
かご側係合部421は、かご駆動部5と係合する部位である。本実施形態のかご側係合部421は、X軸方向に長尺な直方体状であり、内部にモータ等の動力源(図示省略)と複数の車輪(図示省略)とを有する。このかご側係合部421内の動力源によって複数の車輪のうちの少なくとも一つの前記車輪が駆動されることによって、かご4がかご駆動部5に対してX軸方向に移動する。
【0029】
複数のかご駆動部5は、後方軌道31B(第一軌道31)に配置される第一かご駆動部5Aと、前方軌道31A(第一軌道31)と第二軌道32とのそれぞれに配置される第二かご駆動部5Bと、を含む。即ち、本実施形態のエレベーター1において、複数のかご駆動部5は、一つの第一かご駆動部5Aと、複数(本実施形態の例では、二つ)の第二かご駆動部5Bと、を含む。
【0030】
第一かご駆動部5Aは、後方軌道31B(第一軌道31)を走行する駆動部本体51と、かご4と係合する駆動部側係合部(係合部)521を有し、該駆動部側係合部521が駆動部本体51に対してY軸方向に接離可能な支持部52と、を有する。また、第一かご駆動部5Aは、支持部52を駆動する支持部駆動部(駆動部)53を有する。
【0031】
駆動部本体51は、一対のガイドレール311間に配置される基部511と、X軸方向における基部511の両側に配置され且つガイドレール311とそれぞれ係合する一対のレール係合部514と、支持部52を保持する保持部515と、を有する。
【0032】
基部511は、矩形状の枠部512と、枠部512に取り付けられる複数の補強部513と、を有する。この枠部512のZ軸方向の寸法は、かご4のZ軸方向の寸法と同じ又は僅かに大きい。また、複数の補強部513のそれぞれは、X軸方向に延び、各補強部513の両端は、それぞれ枠部512に接続されている。これら複数の補強部513は、Z軸方向に間隔をあけて配置されている。
【0033】
一対のレール係合部514は、Z軸方向に延び且つX軸方向の外側に向けて(基部511から離れる向きに)開放されている溝部514Aを有する。各レール係合部514は、溝部514Aにガイドレール311が入り込む(図4及び図6参照)ことで該ガイドレール311と係合している。この溝部514A内には、該溝部514Aに入り込んでいるガイドレール311をY軸方向に挟み込むローラ対(図示省略)がZ軸方向に間隔をあけて複数配置されている。各ローラ対を構成する二つのローラのそれぞれは、X軸方向に延びる回転軸まわりに回転自在に構成されている。
【0034】
保持部515は、基部511に対してY軸方向に相対移動可能に支持部52を保持する。本実施形態の保持部515は、それぞれがY軸方向に延びる四つのガイド部材516を有する。
【0035】
四つのガイド部材516のそれぞれは、Y軸方向に延び且つZ軸方向の一方又は他方に向けて開放される溝部516Aを有し、枠部512に固定されている。具体的に、四つのガイド部材516は、枠部512の内側に配置されている。より具体的に、四つのガイド部材516は、枠部512に囲まれた矩形の領域(内側領域)の四隅に配置されている。
【0036】
この内側領域のZ軸方向の一方(図3における上方)の端部におけるY軸方向の両端に配置される二つのガイド部材516のそれぞれは、溝部516AがZ軸方向の他方(図3における下方)に向けて開放するように配置されている。一方、内側領域のZ軸方向の他方の端部におけるY軸方向の両端に配置される二つのガイド部材516のそれぞれは、溝部516AがZ軸方向の一方に向けて開放するように配置されている。
【0037】
支持部52は、上述の駆動部側係合部521と、駆動部側係合部521をY軸方向の一方側の端部に有し且つ駆動部本体51に対してY軸方向に相対移動可能な支持部本体522と、を有する。
【0038】
支持部本体522は、Y軸方向への移動可能に駆動部本体51の保持部515に保持される部位である。具体的に、支持部本体522は、X軸方向に間隔をあけて配置される複数(本実施形態の例では、二つ)の被ガイド部523と、隣り合う被ガイド部523同士を接続する複数の接続部524と、を有する。また、支持部本体522は、長尺な複数の補強部525を有する。これら複数の補強部525は、被ガイド部523同士や、接続部524同士、被ガイド部523と接続部524と等を接続することによって支持部本体522の強度を確保している。
【0039】
二つの被ガイド部523のそれぞれは、駆動部本体51においてZ軸方向に対向する二つのガイド部材516と係合している(図3参照)。具体的に、各被ガイド部523のZ軸方向の各端縁は、それぞれY軸方向に真っすぐ延びており、被ガイド部523のZ軸方向の各端部は、駆動部本体51においてZ軸方向に対向する二つのガイド部材516の各溝部516Aに嵌まり込んでいる。これにより、支持部52が駆動部本体51に対して相対移動するときに、各被ガイド部523がZ軸方向に対向する二つのガイド部材516によってY軸方向にそれぞれ案内(ガイド)される。本実施形態の各被ガイド部523は、それぞれ矩形の枠状である。
【0040】
複数の接続部524のそれぞれは、X軸方向に延び、両端が隣り合う被ガイド部523にそれぞれ連結されている。本実施形態の支持部52は、四つの接続部524を有し、これら四つの接続部524は、X軸方向に間隔をあけて隣り合う二つの被ガイド部523において、Y軸方向の一方の端部におけるZ軸方向の一方の端部同士と他方の端部同士とをそれぞれ接続すると共に、被ガイド部523のY軸方向の他方の端部におけるZ軸方向の一方の端部同士と他方の端部同士とをそれぞれ接続している。
【0041】
駆動部側係合部521は、かご側係合部421と係合する部位である。本実施形態の駆動部側係合部521は、かご4がX軸方向に移動するときに該かご4を案内するガイドレールとしても機能する。この駆動部側係合部521は、X軸方向の一端から他端までX軸方向に真っすぐ延びるガイド溝521Aを有し、支持部本体522のY軸方向の一方の端部に取り付けられている。
【0042】
ガイド溝521AのX軸方向の各位置における断面(Y軸方向とZ軸方向とを含む面に沿った断面)形状は同じであり、この断面形状は、X軸方向から見たかご4のかご側係合部421の輪郭と対応した形状である。これにより、該ガイド溝521A内をかご4の駆動部42(詳しくは、かご側係合部421)がX軸方向に移動できる。
【0043】
このガイド溝521Aでは、開放側の端部(図5における左側の端部)の幅(Z軸方向の寸法)αが、Y軸方向の他の部位の幅βより小さくなっている。これにより、ガイド溝521A内にかご側係合部421が位置した状態(即ち、かご側係合部421と駆動部側係合部521とが係合した状態)では該かご側係合部421のY軸方向の一方側への移動が規制される。これにより、かご4と第一かご駆動部5Aとが係合した状態(即ち、かご側係合部421と駆動部側係合部521とが係合した状態)では、かご4が第一かご駆動部5AからY軸方向の一方側に外れない(分離されない)。
【0044】
支持部駆動部53は、支持部本体522を駆動することにより、支持部52を駆動部本体51に対してY軸方向に相対移動させる。具体的に、支持部駆動部53は、ラックギア531と、該ラックギア531と噛み合うピニオンギア532と、該ピニオンギア532を回転駆動するモータ533と、を有する。
【0045】
ラックギア531は、Y軸方向に延び、支持部本体522に配置される。本実施形態のラックギア531は、一つの被ガイド部523のZ軸方向の一方側の端部においてY軸方向の一方の端部から他方の端部までY軸方向に真っすぐに延びている。
【0046】
モータ533は、Z軸方向に延びる出力軸(回転軸)Cを有し(図4及び図6参照)、第一かご駆動部5Aに配置されている。具体的に、モータ533は、駆動部本体51の基部511(より詳しくは、枠部512)の上端部におけるY軸方向の他方側を向いた面に配置されている。このモータ533の出力軸Cにラックギア531と噛み合った状態のピニオンギア532が取り付けられており、該モータ533は、ピニオンギア532を出力軸Cまわりに回転駆動する。
【0047】
この回転駆動により、支持部52が駆動部本体51に対してY軸方向に進退する。詳しくは、前記回転駆動により、駆動部側係合部521がY軸方向の最も一方側の位置(即ち、駆動部本体51から最も離れた位置)である第一位置(図2に示す位置)P1と、Y軸方向の最も他方側の位置(即ち、駆動部本体51に最も近づいた位置)である第二位置(図5に示す位置)P2と、の間で位置の切り替え(位置変更)が行われるように、支持部52が駆動部本体51に対して進退(往復動)する。
【0048】
複数の第二かご駆動部5Bのそれぞれは、少なくとも駆動部本体51と駆動部側係合部521とを有する。尚、第二かご駆動部5Bの駆動部本体51と、保持部515を除いた上述の第一かご駆動部5Aの駆動部本体51とは、同じ構成であり、第二かご駆動部5Bの駆動部側係合部521と、上述の第一かご駆動部5Aの駆動部側係合部521とは、同じ構成である。
【0049】
本実施形態の各第二かご駆動部5Bは、駆動部本体51と駆動部側係合部521とを有し、駆動部側係合部521が駆動部本体51に取り付けられている。このとき、第二かご駆動部5Bが前方軌道31Aと第二軌道32とのいずれの軌道に配置されていても、駆動部側係合部521のY軸方向の位置が、後方軌道31Bに配置された第一かご駆動部5Aの第一位置P1のときの駆動部側係合部521と同じ位置になるように(図5参照)、第二かご駆動部5Bにおいて駆動部側係合部521が駆動部本体51に取り付けられている。
【0050】
尚、前方軌道31Aに配置された第二かご駆動部5Bの駆動部本体51は、後方軌道31Bに配置された第一かご駆動部5Aの第二位置P2のときの駆動部側係合部521よりY軸方向の一方側に位置している(図5及び図6参照)。
【0051】
以上のように構成されるエレベーター1では、昇降路2の同じ領域(本実施形態の例では、第一領域Ar1)において、最大で該領域Ar1に配置された軌道3の数(又はかご駆動部5の数)と同じ数のかご4が昇降できる。本実施形態のエレベーターでは、第一領域Ar1に軌道3(第一軌道31)が二つ配置されているため、最大で二つのかご4が昇降できる。
【0052】
この状態で二つのかご4が昇降路2の同じ領域(第一領域Ar1)において昇降する場合、複数の第一軌道31のうちの前方軌道31A以外の第一軌道31(本実施形態の例では、後方軌道31B)に配置された第一かご駆動部5Aにおいて、支持部52が駆動部本体51から進出して駆動部側係合部521が第一位置P1にあるため、この後方軌道31Bに配置された第一かご駆動部5Aと係合しているかご4のY軸方向の位置は、前方軌道31Aに配置された第二かご駆動部5Bと係合しているかご4のY軸方向の位置と同じになっている(図2参照)。この状態で、第一かご駆動部5A及び第二かご駆動部5Bが昇降することで、各かご4は、Y軸方向における前方軌道31Aより一方側(正面側)で昇降(移動)する。
【0053】
また、本実施形態のエレベーター1では、昇降路2の同じ領域(第一領域Ar1)を昇降する複数のかご4において、一つのかご4が目的の階床に向かうときに、進行方向側に他のかご4が停止している場合に、この他のかご4を追い越すことができる。
【0054】
例えば、図7及び図8に示すように、第一領域Ar1において第一かご駆動部5Aと係合するかご4を一号機4Aとし、第二かご駆動部5Bと係合するかご4を二号機4Bとし、一号機4Aが下方の乗場(階床)に向かうときに一号機4Aの進行方向(下方)側の乗場等で二号機4Bが停止している場合に、一号機4Aは、二号機4Bを追い越して該二号機4Bの停止している乗場より下方の乗場に向かうことができる。詳しくは、以下の通りである。
【0055】
第一領域Ar1において、一号機4Aが下降しているときに二号機4Bと所定の距離まで接近すると、一号機4Aが停止する。即ち、第一かご駆動部5Aは、Z軸方向において第二かご駆動部5Bと所定の間隔となる位置(第一停止位置P11)で停止する。
【0056】
このとき、第二領域Ar2の第二かご駆動部5Bは、かご4と係合していない状態でZ軸方向における第一停止位置P11と同じ位置(第一対応位置P21)に向けて移動(上昇又は下降)する。本実施形態のエレベーター1では、この第二領域Ar2における第二かご駆動部5Bの第一対応位置P21への移動は、第一領域Ar1の第一かご駆動部5Aが移動(下降)しているときに行われるが、第一かご駆動部5Aが第一停止位置P11で停止した後に行われてもよい。
【0057】
第一領域Ar1の第一かご駆動部5Aが第一停止位置P11に停止し、第二領域Ar2の第二かご駆動部5Bが第一対応位置P21に停止したときに(即ち、第一領域Ar1の第一かご駆動部5Aと第二領域Ar2の第二かご駆動部5BとのZ軸方向における位置が同じときに)、第一領域Ar1の後方軌道31Bに配置される第一かご駆動部(即ち、複数の第一軌道31における前方軌道31A以外の第一軌道31に配置される第一かご駆動部)5Aと、第二領域Ar2の第二軌道32に配置される第二かご駆動部5Bとのそれぞれは、Y軸方向における前方軌道31Aより一方側において互いの駆動部側係合部521がX軸方向に隣り合う(図7参照)。このとき、隣り合う駆動部側係合部521のガイド溝521A同士がX軸方向に所定間隔をあけて並んだ状態となり、一号機4Aの駆動部42が第一かご駆動部5Aの駆動部側係合部521から第二かご駆動部5Bの駆動部側係合部521に移動することが可能となるため、一号機4Aは、第一領域Ar1の第一かご駆動部5Aから第二領域Ar2の第二かご駆動部5B側に移動し、該第二かご駆動部5Bと係合した状態となる(図7の第二領域Ar2の第一対応位置P21において仮想線で示すかご4A参照)。尚、図7は、模式的な図であり、駆動部側係合部521のガイド溝521A同士が隣り合った時のガイド溝521A同士のX軸方向の間隔は、実際には小さく、一号機4Aが移動できる程度に設定されている。
【0058】
第二領域Ar2の第二かご駆動部5Bと係合した状態の一号機4Aは、第一対応位置P21から下降して(下方に向けて移動し)、Z軸方向において二号機4Bを追い越した位置で停止する。即ち、第二領域Ar2の第二かご駆動部5Bは、Z軸方向において第一領域Ar1の第二かご駆動部5Bを追い越した状態で該第二かご駆動部5Bと所定の間隔となる位置(第二停止位置P12)で停止する。
【0059】
このとき、第一領域Ar1の第一かご駆動部5Aは、かご4と係合していない状態でZ軸方向における第二停止位置P12と同じ位置(第二対応位置P22)に向けて移動(下降)する。
【0060】
この第一かご駆動部5Aの移動においては、一号機4Aが第二領域Ar2の第二かご駆動部5Bに移動した後、該第一かご駆動部5Aの駆動部側係合部521の位置が第二位置P2になるまで支持部52を後退させた後、下方に向けて移動(下降)する(図8の仮想線で示す第一かご駆動部5A参照)。
【0061】
ここで、第一領域Ar1において、Y軸方向に隣り合う二つの第一軌道31A、31Bのうちの後方軌道(他方側の第一軌道)31Bに配置される第一かご駆動部5Aがかご4と係合せず且つ駆動部側係合部521が第二位置P2の状態で該後方軌道(第一軌道)31Bを走行するときに、二つの第一軌道31A、31Bのうちの前方軌道(一方側の第一軌道)31Aに配置される第二かご駆動部5Bと対応する位置を通過できるように、二つの第一軌道31A、31Bの間隔が設定されている。このため、第一領域Ar1において、後方軌道31Bを走行する第一かご駆動部5Aは、前方軌道31Aで停止している第二かご駆動部5Bと接触することなく、Z軸方向において第二かご駆動部5Bを追い越すことができる。
【0062】
本実施形態のエレベーター1では、この第一かご駆動部5Aの第二対応位置P22への移動は、第二領域Ar2の第二かご駆動部5Bが一号機4Aと係合した状態で移動(下降)しているときに行われるが、第二領域Ar2の第二かご駆動部5Bが第二停止位置P12で停止した後に行われてもよい。
【0063】
次に、第二領域Ar2の第二かご駆動部5Bが第二停止位置P12に停止し、第一領域Ar1の第一かご駆動部5Aが第二対応位置P22に停止すると、第一かご駆動部5Aは、第一かご駆動部5Aの駆動部側係合部521の位置が第一位置P1になるまで支持部52を進出させる。これにより、第一領域Ar1の後方軌道31Bに配置される第一かご駆動部5Aの駆動部側係合部521と、第二領域Ar2の第二軌道32に配置される第二かご駆動部5Bの駆動部側係合部521とが、X軸方向に隣り合う。
【0064】
このように、第一領域Ar1の第一かご駆動部5Aの駆動部側係合部521と、第二領域Ar2の第二かご駆動部5Bの駆動部側係合部521とがX軸方向に隣り合うように並ぶと、これら隣り合う駆動部側係合部521のガイド溝521A同士がX軸方向に所定間隔をあけて並んだ状態となり、一号機4Aが、第二領域Ar2の第二かご駆動部5Bから第一領域Ar1の第一かご駆動部5A側に移動し、該第一かご駆動部5Aと係合した状態となる(図7の第一領域Ar1の第二対応位置P22において仮想線で示すかご4A参照)。これにより、一号機4Aによる二号機4Bの追い越しが完了する。
【0065】
このように一号機4Aが第一領域Ar1の第一かご駆動部5Aと係合すると、第一かご駆動部5Aは、目的の乗場に向けて後方軌道31Bを下方に向けて移動(下降)する。
【0066】
以上のエレベーター1によれば、第一かご駆動部5Aが、第一軌道31を走行する駆動部本体51と、かご4と係合する駆動部側係合部521を有し、該駆動部側係合部521が駆動部本体51に対してZ軸方向と交差する方向(本実施形態の例では、直交する方向(Y軸方向))に接離可能な支持部52と、を備えているため、Z軸方向と交差する方向(Y軸方向)における駆動部側係合部521と駆動部本体51との間隔を変更することができる。
【0067】
また、本実施形態のエレベーター1では、複数の第一軌道31は、隣り合う第一軌道31同士が互いに間隔をあけて平行となるようにY軸方向に並び、複数の第一軌道31におけるY軸方向の一方側の端の第一軌道31である前方軌道(端部軌道)31A以外の第一軌道(後方軌道)31Bに、第一かご駆動部5Aが配置され、前方軌道31Aには、少なくとも駆動部本体51と駆動部側係合部521とを有する第二かご駆動部5Bが配置されており、第一かご駆動部5A及び第二かご駆動部5Bのそれぞれは、Y軸方向における前方軌道31Aより一方側(正面側)でかご4を移動させる。そして、Y軸方向に隣り合う二つの第一軌道31A、31Bのうちの後方軌道(他方側の第一軌道)31Bに配置される第一かご駆動部5Aがかご4と係合していない状態で該後方軌道(第一軌道)31Bを走行するときに二つの第一軌道31A、31Bのうちの前方軌道(一方側の第一軌道)31Aに配置される第二かご駆動部5Bと対応する位置を接触することなく通過できるように、二つの第一軌道31A、31Bの間隔が設定されている。このため、後方軌道31Bに配置された第一かご駆動部5Aは、かご4と係合していない状態のときに、前方軌道31Aに配置された第二かご駆動部5BをZ軸方向の一方側又は他方側に向けて追い越すことができる(図7及び図8参照)。
【0068】
また、本実施形態のエレベーター1は、X軸方向において前方軌道31Aと隣り合う位置に配置され且つZ軸方向に延びる第二軌道32を備え、この第二軌道32には、第二かご駆動部5Bが配置されている。そして、本実施形態のエレベーター1では、複数の第一軌道31A、31Bにおける後方軌道31B(前方軌道31A以外の第一軌道31)に配置される第一かご駆動部5Aと、第二軌道32に配置される第二かご駆動部5Bとのそれぞれは、Z軸方向の位置が同じときに、Y軸方向における前方軌道31Aより一方側において互いの駆動部側係合部521がX軸方向に隣り合うことが可能に構成され、これら隣り合うことが可能な駆動部側係合部521のそれぞれは、互いにX軸方向に隣り合ったときに、該駆動部側係合部521間をかご4が往復動できるように構成されている。
【0069】
この構成では、第一軌道31(前方軌道31Aを除く)に配置された第一かご駆動部5Aの駆動部側係合部521と第二軌道32に配置された第二かご駆動部5Bの駆動部側係合部521との間をかご4が行き来(往復動)可能となる。このため、該かご(例えば、一号機)4Aが第一軌道(例えば、後方軌道)31Bに沿った乗場に向けて第一軌道31Bに沿って移動しようとしたときに、前方軌道31Aに配置された第二かご駆動部5Bや該第二かご駆動部5Bと係合するかご(例えば、二号機)4Bが邪魔になっても、一号機4Aが後方軌道31Bに配置された第一かご駆動部5Aから第二軌道32に配置された第二かご駆動部5Bに移動して二号機4Bを追い抜いた後、前方軌道31Aに配置された第二かご駆動部5Bを追い抜いた後方軌道31Bの第一かご駆動部5Aに戻ることで、該一号機4Aが目的の乗場(第一軌道31に沿った乗場)に到達することができる(例えば、図7及び図8参照)。
【0070】
また、本実施形態のエレベーター1では、支持部52は、駆動部側係合部521をY軸方向の一方側の端部に有し且つ駆動部本体51に対してY軸方向に相対移動可能な支持部本体522を有し、第一かご駆動部5Aは、支持部本体522を駆動する支持部駆動部53を有する。この支持部駆動部53は、支持部本体522に配置され且つY軸方向に延びるラックギア531と、該ラックギア531と噛み合うピニオンギア532と、該ピニオンギア532をZ軸方向に延びる出力軸(回転軸)Cまわりに回転駆動するモータ533と、を有する。このように、いわゆるラック・アンド・ピニオンを用いた簡素な構成によって、駆動部本体51に対する駆動部側係合部521の位置変更が可能になる。
【0071】
次に、本発明の第二実施形態について説明するが、上記第一実施形態と同様の構成には同一符号を用いると共に詳細な説明を省略し、異なる構成についてのみ詳細に説明する。
【0072】
本実施形態のエレベーターは、図9に示すように、かご4と、Z軸方向に延びる軌道(第一軌道)3と、かご4を軌道3に沿って移動させるかご駆動部(第一かご駆動部)5Cと、を備える。かご4は、かご駆動部5Cと離間可能に係合する。
【0073】
軌道3は、それぞれZ軸方向に延び且つX軸方向に間隔あけて配置される一対のガイドレール331によって構成されている。
【0074】
かご4は、第一実施形態のかごと同様に、出入口411と該出入口411を開閉するかごドア412とを有するかご本体41と、かご本体41からY軸方向の他方側に突出する駆動部42と、を有する。
【0075】
かご駆動部5Cは、軌道3を走行する駆動部本体51と、かご4と係合する駆動部側係合部(係合部)521と、を有する。
【0076】
各乗場は、Z軸方向においてかご4(かご駆動部5C)が各乗場と対応する位置に停止したときに、駆動部側係合部521のガイド溝521AとX軸方向に所定の間隔をあけて隣り合うような位置においてX軸方向に延びる乗場側ガイド溝Gを有している。本実施形態の乗場側ガイド溝Gの横断面(Y軸方向及びZ軸方向を含む面に沿った断面)形状は、駆動部側係合部521のガイド溝521Aの横断面形状と同じである。
【0077】
このエレベーター1Aでは、乗場が設けられた階床にかご4が停止したときに、該かご4がかご駆動部5Cから乗場側ガイド溝Gが配置された乗場側に移動して(即ち、かご4がかご駆動部5Cから離間して)該乗場の乗場側ガイド溝Gと係合した後、利用者が該かご4に乗降する。また、かご4は、停止した階床から昇降するときには、乗場からかご駆動部5C側に移動して該かご駆動部5Cのガイド溝521Aと係合した後、かご駆動部5Cの昇降に伴って昇降する。
【0078】
本実施形態のエレベーター1Aによれば、かご4が乗場等の昇降路2における所定位置に停止したときに、かご4とかご駆動部5Cとが離間できる状態になる、又は離間することで、故障等によってかご駆動部5Cが作動してかご4を移動させようとしても、該かご駆動部5Cの駆動力がかご4に伝達されず、これにより、乗場でかご4に人や物を安全に乗降させることが可能となる。
【0079】
尚、本発明のエレベーターは、上記第一及び第二実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0080】
上記第一及び第二実施形態のエレベーター1、1Aでは、かご4がX軸方向に移動することによってかご駆動部5(5A、5B、5C)と離間するが、この構成に限定されない。かご4とかご駆動部5との係合時には、かご駆動部5がかご4の一部を保持し、かご4がかご駆動部5から離間するときには、かご駆動部5が前記保持を解放する構成等のような、かご4がかご駆動部5に対して移動することなく該かご駆動部5から離間可能になる(又は分離する)構成でもよい。
【0081】
また、上記第一及び第二実施形態のエレベーター1、1Aでは、軌道3が上下方向(Z軸方向)に延び、かご駆動部5が軌道3に沿って上下方向に移動するが、この構成に限定されない。例えば、軌道3が水平方向(X軸方向)等に延び、かご駆動部5が軌道3に沿って水平方向等に移動する構成であってもよい。
【0082】
また、上記第一及び第二実施形態のエレベーター1、1Aにおけるかご駆動部5の駆動方式は、いわゆるトラクション式であるが、この構成に限定されない。エレベーター1、1Aにおけるかご駆動部5の駆動方式は、いわゆるドラム(巻胴)式や油圧式であってもよい。また、エレベーター1、1Aにおけるかご駆動部5の駆動方式は、リニアモーターによってかご駆動部5が昇降する、いわゆるリニアモーター式であってもよい。また、かご駆動部5が動力源を有し、軌道3を自走する構成であってもよい。
【0083】
また、軌道3の具体的な構成は限定されない。上記第一及び第二実施形態のエレベーター1、1Aでは、軌道3は、一対のガイドレール311、321、331によって構成されているが、かご駆動部5を所定の方向(例えば、Z軸方向やX軸方向)に案内する構成であればよい。
【0084】
また、かご4の駆動部42の具体的な構成も限定されない。駆動部42は、かご駆動部5の駆動部側係合部521に対してかご4が移動できる構成であればよい。
【0085】
また、上記第一実施形態のエレベーター1では、昇降路2において二つの領域Ar1、Ar2がX軸方向に並んでいるが、この構成に限定されない。軌道3が配置された領域Ar1、Ar2、・・・がX軸方向に三つ以上並ぶように構成されてもよい。この場合、少なくとも一つの領域において、Y軸方向に隣り合う軌道3同士が互いに間隔をあけて平行となるように複数の軌道3がY軸方向に並んでいればよい。
【0086】
また、上記第一実施形態のエレベーター1では、昇降路2の第一領域Ar1においてY軸方向に並ぶ第一軌道31は、二つであるが、三つ以上並んでいてもよい。
【0087】
上記第一実施形態のエレベーター1では、第一かご駆動部5Aにおいて、支持部52が駆動部本体51に対して進退(相対移動)することによって駆動部側係合部521が第一位置P1と第二位置P2との間で位置が切り替えられるが、この構成に限定されない。支持部52自体が伸縮することによって駆動部側係合部521の位置が切り替えられる構成でもよく、支持部52が折り畳み及び展開することによって駆動部側係合部521の位置が切り替えられる構成等でもよい。即ち、第一かご駆動部5Aは、駆動部側係合部521を駆動部本体51に対して離れた位置(第一位置)P1と駆動部本体51に対して接近した位置(第二位置)P2との間で位置変更でき且つ駆動部側係合部521が第一位置P1のときにかご4を支持できる構成であればよい。
【符号の説明】
【0088】
1、1A…エレベーター、2…昇降路、3…軌道、31…第一軌道、31A…前方軌道(第一軌道)、31B…後方軌道(第一軌道)、32…第二軌道、311、321、331…ガイドレール、4…かご、4A…一号機(かご)、4B…二号機(かご)、41…かご本体、411…出入口、412…かごドア、42…駆動部、421…かご側係合部、422…連結部、5…かご駆動部、5A…第一かご駆動部、5B…第二かご駆動部、5C…かご駆動部(第一かご駆動部)、51…駆動部本体、511…基部、512…枠部、513…補強部、514…レール係合部、514A…溝部、515…保持部、516…ガイド部材、516A…溝部、52…支持部、521…駆動部側係合部、521A…ガイド溝、522…支持部本体、523…被ガイド部、524…接続部、525…補強部、53…支持部駆動部、531…ラックギア、532…ピニオンギア、533…モータ、600…エレベーター、602…昇降路、603…巻上機、605…主索、606…頂部プーリー、607…制御部、Ar1…第一領域、Ar2…第二領域、C…出力軸(回転軸)、G…乗場側ガイド溝、P1…第一位置、P2…第二位置、P11…第一停止位置、P12…第二停止位置、P21…第一対応位置、P22…第二対応位置、W…ワイヤーロープ(主索)、α、β…幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10