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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】情報提供装置および情報提供方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/12 20120101AFI20230721BHJP
   G06Q 10/02 20120101ALI20230721BHJP
【FI】
G06Q50/12
G06Q10/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019119090
(22)【出願日】2019-06-10
(65)【公開番号】P2020201917
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】505244947
【氏名又は名称】株式会社パラダイムシフト
(72)【発明者】
【氏名】百田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】上中 かおり
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-251821(JP,A)
【文献】特開2019-016035(JP,A)
【文献】特開2001-243375(JP,A)
【文献】特開2001-222582(JP,A)
【文献】国際公開第2017/135322(WO,A1)
【文献】特開2016-027461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
宿泊施設における過去の客室販売に関する情報を含む履歴DBを保持する記憶装置と、
団体予約の情報を所定装置から受信し、当該団体予約の情報が示す宿泊時期と同一時期の過去に関する予約推移の情報を前記履歴DBから抽出し、当該予約推移の情報に基づき、前記団体予約の受諾の可否別の客室販売状況の推移を所定アルゴリズムにより予測する処理と、前記予測にて得た前記受諾の可否別の客室販売状況の推移に基づき、前記団体予約の受諾の可否別の前記宿泊施設での売り上げ合計額の予想値を算定する処理と、前記予想値の情報を所定の端末に出力する処理と、を実行する演算装置と、
を含むことを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記演算装置は、
前記団体予約を受諾した場合の売り上げ合計額の予想値が、当該団体予約を受諾しなかった場合の売り上げ合計額の予想値より小さい場合、その旨を前記端末に出力するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記演算装置は、
前記団体予約を受諾する条件として、前記団体予約を受諾しなかった場合の前記客室販売状況の推移に基づく客室販売価格を推定し、前記端末に出力するものである、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記演算装置は、
前記客室販売価格を前記団体予約の受諾に際しての客室販売価格下限とし、当該団体予約の情報が示す客室販売価格の要求額が、当該客室販売価格下限を下回る場合、当該団体予約を拒否すべきと判定し、当該団体予約の情報が示す客室販売価格の要求額が、当該客室販売価格下限を上回る場合、当該団体予約を受諾すべきと判定し、前記いずれかの判定の結果を前記端末に出力するものである、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記演算装置は、
前記履歴DBで保持する所定期間分の前記情報が示す、所定の団体予約の問い合わせ時期と同一時期の過去における、前記宿泊施設の客室販売価格、他宿泊施設の客室販売価格、および前記宿泊施設の稼働率を入力とした機械学習を予め実行しておき、前記情報を受信した団体予約の問い合わせ時期、前記受信の時点での他宿泊施設の客室販売価格、および前記宿泊施設の稼働率に応じて、前記客室販売価格の推定を行うものである、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記演算装置は、
前記機械学習に際し、過去において、所定の団体予約を前記宿泊施設が拒否し他宿泊施設が受諾した場合の、前記宿泊施設の客室販売価格、前記他宿泊施設の客室販売価格、および前記宿泊施設の稼働率を入力とした機械学習をさらに実行し、前記情報を受信した団体予約の問い合わせ時期、前記受信の時点での他宿泊施設の客室販売価格、および前記宿泊施設の稼働率に応じて、当該団体予約の受諾可否に応じて異なる前記客室販売価格の推定を行うものである、
ことを特徴とする請求項5に記載の情報提供装置。
【請求項7】
情報処理装置が、
宿泊施設における過去の客室販売に関する情報を含む履歴DBを保持する記憶装置を備え、
団体予約の情報を所定装置から受信し、当該団体予約の情報が示す宿泊時期と同一時期の過去に関する予約推移の情報を前記履歴DBから抽出し、当該予約推移の情報に基づき、前記団体予約の受諾の可否別の客室販売状況の推移を所定アルゴリズムにより予測する処理と、前記予測にて得た前記受諾の可否別の客室販売状況の推移に基づき、前記団体予約の受諾の可否別の前記宿泊施設での売り上げ合計額の予想値を算定する処理と、前記予想値の情報を所定の端末に出力する処理と、
を実行することを特徴とする情報提供方法。
【請求項8】
前記情報処理装置が、
前記団体予約を受諾した場合の売り上げ合計額の予想値が、当該団体予約を受諾しなかった場合の売り上げ合計額の予想値より小さい場合、その旨を前記端末に出力する、
ことを特徴とする請求項7に記載の情報提供方法。
【請求項9】
前記情報処理装置が、
前記団体予約を受諾する条件として、前記団体予約を受諾しなかった場合の前記客室販売状況の推移に基づく客室販売価格を推定し、前記端末に出力する、
ことを特徴とする請求項8に記載の情報提供方法。
【請求項10】
前記情報処理装置が、
前記客室販売価格を前記団体予約の受諾に際しての客室販売価格下限とし、当該団体予約の情報が示す客室販売価格の要求額が、当該客室販売価格下限を下回る場合、当該団体予約を拒否すべきと判定し、当該団体予約の情報が示す客室販売価格の要求額が、当該客室販売価格下限を上回る場合、当該団体予約を受諾すべきと判定し、前記いずれかの判定の結果を前記端末に出力する、
ことを特徴とする請求項9に記載の情報提供方法。
【請求項11】
前記情報処理装置が、
前記履歴DBで保持する所定期間分の前記情報が示す、所定の団体予約の問い合わせ時期と同一時期の過去における、前記宿泊施設の客室販売価格、他宿泊施設の客室販売価格、および前記宿泊施設の稼働率を入力とした機械学習を予め実行しておき、前記情報を受信した団体予約の問い合わせ時期、前記受信の時点での他宿泊施設の客室販売価格、および前記宿泊施設の稼働率に応じて、前記客室販売価格の推定を行う、
ことを特徴とする請求項9に記載の情報提供方法。
【請求項12】
前記情報処理装置が、
前記機械学習に際し、過去において、所定の団体予約を前記宿泊施設が拒否し他宿泊施設が受諾した場合の、前記宿泊施設の客室販売価格、前記他宿泊施設の客室販売価格、および前記宿泊施設の稼働率を入力とした機械学習をさらに実行し、前記情報を受信した団体予約の問い合わせ時期、前記受信の時点での他宿泊施設の客室販売価格、および前記宿泊施設の稼働率に応じて、当該団体予約の受諾可否に応じて異なる前記客室販売価格の推定を行う、
ことを特徴とする請求項11に記載の情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置および情報提供方法に関するものであり、具体的には、宿泊施設における客室販売の機会増大、収益性の改善を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ホテルや旅館といった宿泊施設は、自社サイトでの客室販売に加え、いわゆるOTAへの販売委託を行い、幅広く販売機会の拡大等を図っている。宿泊施設としての意図の1つには、こうして販売機会を増やすことで、ブッキングカーブをできるだけ早めに立ち上げる、すなわち満室状態を早期に達成・維持したいという願いがある。
【0003】
このような、宿泊施設のレベニューマネジメントに関連する従来技術としては、例えば、他装置とネットワークを介して通信する通信装置と、所定宿泊施設および前記所定宿泊施設以外の他宿泊施設に関する、客室販売価格と顧客評価値とを少なくとも含む所定情報を、複数のネットエージェントそれぞれのWEBサイト、前記所定宿泊施設と契約したサイトコントローラ、および各宿泊施設自身が運営する公式WEBサイトの少なくともいずれかから、所定時間毎に取得する処理と、前記取得した情報に基づき、前記所定宿泊施設と顧客評価値が所定範囲で近しい競合施設たる他宿泊施設、または前記所定宿泊施設の近隣宿泊施設であって所定端末から指定を受けた競合施設たる他宿泊施設と、その客室販売価格を各ネットエージェントのWEBサイトごと又は前記公式WEBサイトごとに特定し、当該特定した競合施設の顧客評価値と前記所定宿泊施設の顧客評価値との乖離幅と乖離方向に応じ、該当ネットエージェントのWEBサイト又は前記公式WEBサイトにおける前記所定宿泊施設または前記競合施設の客室販売価格を所定割合で上下させた価格を、前記所定宿泊施設への提案価格として算定する処理と、前記所定宿泊施設の端末への前記提案価格の通知、または該当ネットエージェント或いは前記所定宿泊施設の公式WEBサイトの所定サーバに対する、前記提案価格を該当WEBサイトでの客室販売価格とする旨の設定指示、の少なくともいずれかを行う処理を実行する演算装置と、を備えることを特徴とするレベニューマネジメントシステム(特許文献1参照)などが提案されている。
【0004】
また、インターネット上に構築されたサーバ装置に対してインターネット経由で端末装置を接続して宿泊施設の予約を受け付ける宿泊施設の予約受付方法であって、あらかじめ利用する複数の客室数と、各客室における宿泊数の総和であるトータル宿泊数の入力を受け付けて記憶するステップと、上記記憶した客室数に対応する客室毎に宿泊開始日と宿泊数の入力を受け付けるステップと、上記受け付けた宿泊開始日と宿泊数に対応する客室在庫について客室在庫データベースを参照するステップと、上記受け付けた宿泊開始日と宿泊数に対応する客室在庫がある場合に、あらかじめ記憶したトータル宿泊数に対して受け付けた宿泊数を引き当てるステップと、あらかじめ記憶したトータル宿泊数と、上記引き当てた宿泊数とが等しくなったときに予約を成立させるステップとを備えたことを特徴とする宿泊施設の予約受付方法(特許文献2参照)なども提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-27461号公報
【文献】特開2007-172190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
宿泊施設のレベニューマネージャーは、団体客に関する予約があれば、満室状態を早期に達成しやすいとの思惑もあって、収益面での確たる根拠も無く安易に当該予約を受け入れるケースが多い。
【0007】
しかしながら、当該宿泊施設における収益面を考慮すれば、団体客の予約を受け入れることには相応の注意が必要である。すなわち、そうした団体客の予約は、得てして値引き要求を含むことが多い一方、一度の客室販売数とトータルの売上額が大きく見えることで、収益性が著しく低くなる側面を無視してしまう弊害が大きい。
【0008】
例えば、上限数は決まっている客室を、宿泊日の半年前、1年前の早期に、単価の低い団体客で埋めてしまえば、本来ならば獲得できていたはずの高単価の良客(やその予約要求)が該当期間に生じても、断らざるをえない事態が生じる。つまり、そうした良客を自ら失ってしまう恐れが高い。しかも、そうした状況は、予め知見を持っていないかぎり把握しにくく、該当期間における宿泊施設の収益が、団体予約の受入前よりも結局悪化している状況が見えにくくなる。
【0009】
したがって、団体客の予約受入の可否を、当該宿泊施設における収益面を踏まえつつ、的確に判断し、客室販売の機会増大とそれに伴う収益性向上を図る観点が非常に重要となってくる。そこで本発明の目的は、宿泊施設における客室販売の機会増大、収益性の改善を図る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の情報提供装置は、宿泊施設における過去の客室販売に関する情報を含む履歴DBを保持する記憶装置と、団体予約の情報を所定装置から受信し、当該団体予約の情報が示す宿泊時期と同一時期の過去に関する予約推移の情報を前記履歴DBから抽出し、当該予約推移の情報に基づき、前記団体予約の受諾の可否別の客室販売状況の推移を所定アルゴリズムにより予測する処理と、前記予測にて得た前記受諾の可否別の客室販売状況の推移に基づき、前記団体予約の受諾の可否別の前記宿泊施設での売り上げ合計額の予想値を算定する処理と、前記予想値の情報を所定の端末に出力する処理と、を実行する演算装置と、を含むことを特徴とする。
【0011】
なお、上述の情報提供装置において、前記演算装置は、前記団体予約を受諾した場合の売り上げ合計額の予想値が、当該団体予約を受諾しなかった場合の売り上げ合計額の予想値より小さい場合、その旨を前記端末に出力するものである、としてもよい。
【0012】
また、上述の情報提供装置において、前記演算装置は、前記団体予約を受諾する条件として、前記団体予約を受諾しなかった場合の前記客室販売状況の推移に基づく客室販売価格を推定し、前記端末に出力するものである、としてもよい。
【0013】
また、上述の情報提供装置において、前記演算装置は、前記客室販売価格を前記団体予約の受諾に際しての客室販売価格下限とし、当該団体予約の情報が示す客室販売価格の要求額が、当該客室販売価格下限を下回る場合、当該団体予約を拒否すべきと判定し、当該団体予約の情報が示す客室販売価格の要求額が、当該客室販売価格下限を上回る場合、当該団体予約を受諾すべきと判定し、前記いずれかの判定の結果を前記端末に出力するものである、としてもよい。
【0014】
また、上述の情報提供装置において、前記演算装置は、前記履歴DBで保持する所定期間分の前記情報が示す、所定の団体予約の問い合わせ時期と同一時期の過去における、前記宿泊施設の客室販売価格、他宿泊施設の客室販売価格、および前記宿泊施設の稼働率を入力とした機械学習を予め実行しておき、前記情報を受信した団体予約の問い合わせ時期、前記受信の時点での他宿泊施設の客室販売価格、および前記宿泊施設の稼働率に応じて、前記客室販売価格の推定を行うものである、としてもよい。
【0015】
また、上述の情報提供装置において、前記演算装置は、前記機械学習に際し、過去において、所定の団体予約を前記宿泊施設が拒否し他宿泊施設が受諾した場合の、前記宿泊施設の客室販売価格、前記他宿泊施設の客室販売価格、および前記宿泊施設の稼働率を入力とした機械学習をさらに実行し、前記情報を受信した団体予約の問い合わせ時期、前記受信の時点での他宿泊施設の客室販売価格、および前記宿泊施設の稼働率に応じて、当該団体予約の受諾可否に応じて異なる前記客室販売価格の推定を行うものである、としてもよい。
【0016】
また、本発明の情報提供方法は、情報処理装置が、宿泊施設における過去の客室販売に関する情報を含む履歴DBを保持する記憶装置を備え、団体予約の情報を所定装置から受信し、当該団体予約の情報が示す宿泊時期と同一時期の過去に関する予約推移の情報を前記履歴DBから抽出し、当該予約推移の情報に基づき、前記団体予約の受諾の可否別の客室販売状況の推移を所定アルゴリズムにより予測する処理と、前記予測にて得た前記受諾の可否別の客室販売状況の推移に基づき、前記団体予約の受諾の可否別の前記宿泊施設での売り上げ合計額の予想値を算定する処理と、前記予想値の情報を所定の端末に出力する処理と、を実行することを特徴とする。
【0017】
なお、上述の情報提供方法において、前記情報処理装置が、前記団体予約を受諾した場合の売り上げ合計額の予想値が、当該団体予約を受諾しなかった場合の売り上げ合計額の予想値より小さい場合、その旨を前記端末に出力する、としてもよい。
【0018】
また、上述の情報提供方法において、前記情報処理装置が、前記団体予約を受諾する条件として、前記団体予約を受諾しなかった場合の前記客室販売状況の推移に基づく客室販売価格を推定し、前記端末に出力する、としてもよい。
【0019】
また、上述の情報提供方法において、前記情報処理装置が、前記客室販売価格を前記団体予約の受諾に際しての客室販売価格下限とし、当該団体予約の情報が示す客室販売価格の要求額が、当該客室販売価格下限を下回る場合、当該団体予約を拒否すべきと判定し、当該団体予約の情報が示す客室販売価格の要求額が、当該客室販売価格下限を上回る場合、当該団体予約を受諾すべきと判定し、前記いずれかの判定の結果を前記端末に出力する、としてもよい。
【0020】
また、上述の情報提供方法において、前記情報処理装置が、前記履歴DBで保持する所定期間分の前記情報が示す、所定の団体予約の問い合わせ時期と同一時期の過去における、前記宿泊施設の客室販売価格、他宿泊施設の客室販売価格、および前記宿泊施設の稼働率を入力とした機械学習を予め実行しておき、前記情報を受信した団体予約の問い合わせ時期、前記受信の時点での他宿泊施設の客室販売価格、および前記宿泊施設の稼働率に応じて、前記客室販売価格の推定を行う、としてもよい。
【0021】
また、上述の情報提供方法において、前記情報処理装置が、前記機械学習に際し、過去において、所定の団体予約を前記宿泊施設が拒否し他宿泊施設が受諾した場合の、前記宿泊施設の客室販売価格、前記他宿泊施設の客室販売価格、および前記宿泊施設の稼働率を入力とした機械学習をさらに実行し、前記情報を受信した団体予約の問い合わせ時期、前記受信の時点での他宿泊施設の客室販売価格、および前記宿泊施設の稼働率に応じて、当該団体予約の受諾可否に応じて異なる前記客室販売価格の推定を行う、としてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、宿泊施設における客室販売の機会増大、収益性の改善を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態の情報提供装置を含むネットワーク構成図である。
図2】本実施形態における情報提供装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】本実施形態の履歴DBのデータ構成例を示す図である。
図4】本実施形態の評価情報DBのデータ構成例を示す図である。
図5】本実施形態における情報提供方法のフロー例を示す図である。
図6】本実施形態における画面例1を示す図である。
図7】本実施形態における画面例2を示す図である。
図8】本実施形態における画面例3を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
---ネットワーク構成---
【0025】
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の情報提供装置100を含むネットワーク構成図である。図1に示す情報提供装置100は、宿泊施設における客室販売の機会増大、収益性の改善を図るコンピュータ装置である。
【0026】
より具体的には、情報提供装置100は、例えば、種々の宿泊施設と提携する所定の事業者が運用するサーバ装置を想定できるが、これに限定しない。例えば、OTA(Online Travel Agent)が運用する装置としてもよい。
【0027】
一方、本実施形態の情報提供装置100が、処理結果である情報を出力し提示する対象は、当該情報提供装置100によるサービス提供を享受すべく契約した或る宿泊業者(の宿泊施設端末400)である。勿論、これに限定するものではなく、他の種々の事業者等の端末やシステムを情報の出力対象として想定することも可能である。
【0028】
よって、情報提供装置100は、インターネットなどの適宜なネットワーク10を介し、各宿泊業者の備える宿泊施設端末400(や情報収集先となりうるOTAのネットエージェントサーバ300)と通信可能に接続されている。
【0029】
また、上述の宿泊業者は、自宿泊施設の客室販売(宿泊プランの販売概念も含みうる)のため、上述のOTAすなわちネットエージェントと契約し、このネットエージェントに対して自宿泊施設の客室販売を委託しているものとする。
【0030】
ただし、これはあくまでも説明のための一例であり、宿泊業者が自らの自社サイトで客室販売を行う形態も含むとしてよい。いずれにしても、販売サイトの種類に関して限定しない。
【0031】
また、本実施形態の情報提供装置100は、多くの宿泊業者が契約しているネットエージェントのWEBサイトでの、各宿泊業者の客室商品(すなわち宿泊施設)に関する情報として、販売実績(客室販売価格の値含む)、顧客からの口コミ情報、当該宿泊施設に関して各顧客による評価を集計した評価結果(例:星の数、5点満点での総合評価点数)、、といった情報を、一定時間毎にネットエージェントサーバ300から取得する。これら情報は、ネットエージェントサーバ300から取得する形態のみならず、各宿泊施設の宿泊施設端末400から取得するとしてもよい。
【0032】
また、上述のネットエージェントが運営するネットエージェントサーバ300は、各宿泊業者から委託された客室販売を行うWEBサイトを配信するサーバである。
【0033】
このネットエージェントサーバ300は、客室販売先である顧客のユーザ端末200から、宿泊施設(やそのパッケージ商品等)の予約要求を受け付けて、当該宿泊施設に関する予約処理やそれに伴う在庫管理処理を実行する。また、当該宿泊施設に関する口コミ情報の投稿や、サービス、客室、立地、食事といった項目別の評価点数と、当該宿泊施設に関する総合点数などの評価の投稿を受け付ける。
【0034】
また、ネットエージェントサーバ300は、上述の評価の投稿について、その点数等を集計し、星の数や5段階評価などのシンプルな形でWEBサイトで公開する。
【0035】
なお、ユーザ端末200は、顧客の操作に応じて上述のWEBサイトにアクセスし、販売中の客室について予約要求すなわち購入処理等を行う端末である。具体的には、PC、スマートフォン、タブレット端末、などネットワーク通信可能な一般的な情報処理端末を想定する。こうしたユーザ端末200を操作する顧客としては、自身や家族の個人旅行/ビジネストリップを手配しようとする者の他、団体旅行を取り仕切る事業者などを想定できる。勿論、本実施形態では、上述のユーザ端末200を操作する顧客として、団体予約を行う者に着目し説明を行うものとする。
【0036】
また、宿泊施設端末400は、宿泊業者が運用する端末で、情報提供装置100から、団体予約受諾可否に関する有用な情報提供を受け、これをディスプレイ等に出力させる端末となる。具体的には、PC、スマートフォン、タブレット端末、などネットワーク通信可能な一般的な情報処理端末を想定する。
---ハードウェア構成---
【0037】
また、本実施形態の情報提供装置100のハードウェア構成は、図2に示すごとくとなる。情報提供装置100は、記憶装置101、メモリ103、演算装置104、および、通信装置105、を少なくとも備える。
このうち記憶装置101は、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される。
また、メモリ103は、RAMなど揮発性記憶素子で構成される。
【0038】
また、演算装置104は、記憶装置101に保持されるプログラム102をメモリ103に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPUである。
【0039】
また、通信装置105は、インターネットなどの適宜なネットワーク10と接続し、ユーザ端末200、ネットエージェントサーバ300、および宿泊施設端末400といった他装置との通信処理を担う、ネットワークインターフェイスカードを想定できる。
【0040】
なお、情報提供装置100は、上述の構成に加え、ユーザからのキー入力や音声入力を受け付けるキーボードやマウスなどの入力装置、演算装置104での処理データの表示を行うディスプレイ等の出力装置も備えるとしてよい。
【0041】
なお、記憶装置101には、本実施形態の情報提供装置として必要な機能を実装する為のプログラム102において、機械学習エンジン110を少なくとも具備している。この機械学習エンジン110の詳細については後述する。
【0042】
また、記憶装置101は、上述のプログラム102に加えて、履歴DB125および評価情報DB126が少なくとも記憶されている。ただし、履歴DB125および評価情報DB126の詳細については後述する。
---データ構造例---
続いて、本実施形態の情報提供装置100が用いるデータベースについて説明する。図3に、本実施形態における履歴DB125の一例を示す。
履歴DB125は、各宿泊施設に関する所定期間ごとの販売実績を蓄積したデータベースである。
【0043】
そのデータ構造は、各案件を一意に特定する案件ID、当該案件で対象となった宿泊施設を示す施設ID、予約の受付時期、対象時期(宿泊時期)、予約受諾の可否、販売単価(=予約要求が示す客室販売価格)、販売額、宿泊者属性(団体/個人、国籍、人数、代表者、取扱エージェントなど)、といったデータを対応付けたレコードの集合体である。
【0044】
また、図4に、本実施形態における評価情報DB126の一例を示す。本実施形態における評価情報DB126は、各宿泊施設に関して上述のネットエージェントサーバ300のWEBサイトで各顧客から取得し集計した評価結果を蓄積したデータベースである。
【0045】
そのデータ構造は、各宿泊施設を一意に特定する施設IDをキーとして、評価対象期間、総合点数、項目別(例:サービス、客室、立地、食事)の評価点数、といったデータを対応付けたレコードの集合体である。
---フロー例---
【0046】
以下、本実施形態における情報提供方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明する情報提供方法に対応する各種動作は、情報提供装置100がメモリ等に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0047】
図5は、本実施形態における情報提供方法のフロー例を示す図である。この場合、情報提供装置100は、まず、団体予約の情報(団体予約の要求)を、ユーザ端末200またはネットエージェントサーバ300から受信するか、或いは、自身の記憶装置101の履歴DB125から取得する(s10)。
【0048】
続いて、情報提供装置100は、上述のs10で得た団体予約の情報が示す宿泊時期(履歴DB125のレコードにおける“対象時期”)と同一時期の過去に関する、当該宿泊施設に関する予約推移の情報を、履歴DB125から抽出する(s11)。
【0049】
この場合、情報提供装置100は、施設ID(団体予約の対象となった宿泊施設のID)と、該当団体予約の要求の受付時期および該当宿泊時期の各値である年月日のうち例えば月日とをキーに、履歴DB125にてレコードを検索する。この結果、予約受付時期から宿泊時期までの間に当該宿泊施設に関して受けた予約案件のレコードが抽出できる。
【0050】
そして、情報提供装置100は、上記のごとく抽出したレコードから、いわゆるブッキングカーブを生成する。こうしたブッキングカーブの生成手法自体については既存技術を適宜に用いるものとする。このブッキングカーブの生成が、予約推移の情報の抽出にあたる。
【0051】
続いて、情報提供装置100は、上述のs11で得た予約推移の情報すなわちブッキングカーブに基づき、団体予約の受諾の可否別の客室販売状況の推移を所定アルゴリズムにより予測する(s12)。
【0052】
本実施形態における上述のアルゴリズムは、特に限定しないが、一例として機械学習エンジン110を想定する。この場合の機械学習エンジン110は、種々の時期(例:月や季節、国別の休暇シーズンなど)における、該当宿泊施設に対する予約とその予約の種別(個人/団体)、受諾可否、の各値を学習データとして、或る団体予約を受諾した場合と拒否した場合とで客室販売状況の推移パターンを学習したものである。
【0053】
また、情報提供装置100は、s12の予測にて得た、受諾の可否別の客室販売状況の推移に基づき、今回の処理対象となる団体予約(s10で情報を得たもの)の受諾の可否別の宿泊施設での売り上げ合計額の予想値を算定する(s13)。
【0054】
この場合、情報提供装置100は、上述のブッキングカーブに基づき、受付時期に当該団体予約を受諾すなわち当該団体予約の分の客室在庫を削除した前提と、当該団体予約を拒否して客室在庫を維持した前提の2パターンで、算定を行う。
【0055】
団体予約を受諾した前提での算定では、情報提供装置100は、当該団体予約に伴う販売額(販売単価に宿泊者属性が示す人数を乗算)と、受付時期から対象時期までの間に(団体予約分の客室在庫減を行った状態で)新たに受け入れられる別の予約とその販売額(ブッキングカーブが示す予約の累積数に、該当期間における予約1件あたりの宿泊人数の中央値や平均値と販売単価の中央値や平均値を乗算)を集計し、上述の予想値を算定する。
【0056】
また、団体予約を拒否した前提での算定では、情報提供装置100は、当該団体予約に伴う販売額は算定に入れず、受付時期から対象時期までの間に(団体予約分の客室在庫減は無かったとして)新たに受け入れられる別の予約とその販売額(ブッキングカーブが示す予約の累積数に、該当期間における予約1件あたりの宿泊人数の中央値や平均値と販売単価の中央値や平均値を乗算)を集計し、上述の予想値を算定する。
勿論、こうした算定手法やその考え方は一例であって、他の手法(既に述べた機械学習エンジン110など)を適宜に採用してもよい。
【0057】
また、情報提供装置100は、s13で当該団体予約の受諾可否別に算定した、当該宿泊施設での売り上げ合計額の予想値の情報(図6の画面600参照)を、上述の宿泊施設端末400に出力し(s14)、処理を終了する。
【0058】
図6で示すように、こうした情報の出力に際し、情報提供装置100は、当該団体予約を受諾した場合の売り上げ合計額の予想値が、当該団体予約を受諾しなかった場合の売り上げ合計額の予想値より小さい場合、その旨の情報601を明示するとすれば、当該宿泊施設のレベニューマネージャーにおける判断を支援しやすい。
<更なる形態の例1>
【0059】
また、情報提供装置100は、団体予約を受諾する条件として、前記団体予約を受諾しなかった場合の前記客室販売状況の推移に基づく客室販売価格701(図7の画面700参照)を推定し、宿泊施設端末400に出力するとすれば好適である。この客室販売価格(客室販売単価)の推定は、例えば、上述のブッキングカーブに基づく予約件数で、s13で算定した売り上げ合計額の予想値を除算することで実行する。
【0060】
客室販売価格(客室販売単価)の推定は、機械学習エンジン110で行う形態も勿論採用できる。その場合、情報提供装置100は、履歴DB125で保持する所定期間分の情報が示す、所定の団体予約の問い合わせ時期と同一時期の過去における、当該宿泊施設の客室販売価格、他宿泊施設の客室販売価格、および当該宿泊施設の稼働率を学習データとして機械学習エンジン110に付与して機械学習を予め実行しておく。そして、検討対象の団体予約の情報を受信した時期、すなわち受付時期(問い合わせ時期)、当該受信の時点での他宿泊施設の客室販売価格、および当該宿泊施設の稼働率の各値を、機械学習エンジン110に入力し、客室販売価格の推定を行うこととなる。
【0061】
なお、情報提供装置100は、上述の客室販売価格を、該当団体予約の受諾に際しての客室販売価格下限とし、当該団体予約の情報が示す客室販売価格の要求額が、当該客室販売価格下限を下回る場合、当該団体予約を拒否すべきと判定し、その旨の情報801(図8の画面800参照)を出力すると更に好適である。勿論、当該団体予約の情報が示す客室販売価格の要求額が、当該客室販売価格下限を上回る場合、当該団体予約を受諾すべきと判定し、その旨の情報を出力することとなる。
<更なる形態の例2>
【0062】
また、情報提供装置100は、機械学習エンジン110における機械学習に際し、過去において、所定の団体予約を上述の当該宿泊施設が拒否し他宿泊施設が受諾した場合の、当該宿泊施設の客室販売価格、他宿泊施設の客室販売価格、および当該宿泊施設の稼働率を学習データとした機械学習をさらに実行するとしてもよい。
【0063】
なお、学習データとして与える情報のうち、所定の団体予約を上述の当該宿泊施設が拒否し他宿泊施設が受諾した場合の情報については、履歴DB125における各レコードの「施設ID」欄の値は異なるものの、「宿泊者属性」欄の値が同一のレコードペアで、「予約受諾の可否」欄が一方は「n」(すなわち拒否)、他方は「y」(すなわち受諾)、というレコードを特定するものとする。つまり、或る団体予約が一方の宿泊施設で拒否され、他方の宿泊施設で受諾されたレコードを特定するのである。
【0064】
また、その場合、情報提供装置100は、検討対象の団体予約の受付時期(問い合わせ時期)、当該受付の時点での他宿泊施設の客室販売価格、および当該宿泊施設の稼働率を、機械学習エンジン110に入力し、当該団体予約の受諾可否に応じて異なる客室販売価格の推定を行う。この場合、他宿泊施設としては、評価情報DB127における総合点数が所定範囲で近しいもの、すなわち競合となる宿泊施設を処理対象として予め特定しておくとすれば好適である。
【0065】
こうして推定した客室販売価格は、結果として宿泊施設間で拒否から受諾となった団体予約が、自宿泊施設から他の競合宿泊施設に取り込まれた場合すなわち自宿泊施設が当該団体予約を断った場合に、同日の需要が該当地域全体で高まる変化に由来した販売価格アップ(による増収予測)ないしダウンを、示唆するものとなりうる。
【0066】
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0067】
こうした本実施形態によれば、団体客の予約受入の可否を、当該宿泊施設における収益面を踏まえつつ、的確に判断し、客室販売の機会増大とそれに伴う収益性向上を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0068】
10 ネットワーク
100 情報提供装置
101 記憶装置
102 プログラム
103 メモリ
104 演算装置
105 通信装置
110 機械学習エンジン
125 履歴DB
126 評価情報DB
200 ユーザ端末
300 ネットエージェントサーバ
400 宿泊施設端末
図1
図2
図3
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図6
図7
図8