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特許7316576子供見守り装置、子供見守りシステムおよび子供見守りプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】子供見守り装置、子供見守りシステムおよび子供見守りプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20230721BHJP
   A61B 5/01 20060101ALI20230721BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20230721BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
A61B5/00 102C
A61B5/01 100
A61B5/00 101A
G08B21/02
G08B25/04 K
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022205144
(22)【出願日】2022-12-22
【審査請求日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】P 2022194117
(32)【優先日】2022-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516387750
【氏名又は名称】株式会社Fam’s
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100117558
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 和之
(72)【発明者】
【氏名】根本 靖久
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 明
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-069773(JP,A)
【文献】米国特許第09666052(US,B1)
【文献】特開2020-089592(JP,A)
【文献】米国特許第06356203(US,B1)
【文献】特開2012-187127(JP,A)
【文献】特開2005-312901(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0043741(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0043740(KR,A)
【文献】小林 亮太 KOBAYASHI, Ryota ,Kinectを用いた車内熱中症検知システムの検討 A Study of Heat Stroke Detection System Inside of a Car Using Kinect,電子情報通信学会2017年総合大会講演論文集 通信1 PROCEEDINGS OF THE 2017 IEICE GENERAL CONFERENCE,2017年03月07日,S21-S22
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/01
A61B 5/06-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
子供が着用する衣服の内側の気温および湿度である衣服内温湿度と、該子供の体温とにしたがい該子供が熱中症を発症する可能性を高める熱中症要因を検出する熱中症要因検出手段と、
該熱中症要因検出手段によって前記熱中症要因が検出されたときに、前記熱中症の兆候が前記子供にあるか否かの熱中症判定を実行する熱中症判定手段と、
該熱中症判定手段によって、前記熱中症の兆候が前記子供にあると判定されたときに、前記熱中症の発症予防を促す熱中症アラートを発出させるアラート発出制御手段とを有し、
前記衣服内温湿度に含まれる前記気温と、前記子供の体温とにしたがい前記子供が低体温症を発症する可能性を高める低体温症要因を検出する低体温症要因検出手段と、
該低体温症要因検出手段によって前記低体温症要因が検出されたときに、前記低体温症の兆候が前記子供にあるか否かの低体温症判定を実行する低体温症判定手段とを更に有し、
前記アラート発出制御手段は、前記低体温症判定手段によって前記低体温症の兆候が前記子供にあると判定されたときに、前記低体温症の発症予防を促す低体温症アラートを発出させ、
前記子供が寝ているときの角度にしたがい前記子供がうつぶせ寝になる可能性を高めるうつぶせ寝要因を検出するうつぶせ寝要因検出手段と、
該うつぶせ寝要因検出手段によって前記うつぶせ寝要因が検出されたときに、前記うつぶせ寝の兆候が前記子供にあるか否かのうつぶせ寝判定を実行するうつぶせ寝判定手段とを更に有し、
前記アラート発出制御手段は、前記うつぶせ寝判定手段によって前記うつぶせ寝の兆候が前記子供にあると判定されたときに、前記うつぶせ寝の予防を促すうつぶせ寝アラートを発出させる子供見守り装置。
【請求項2】
前記衣服内温湿度および前記子供の体温とともに、たばこの煙が検出されたか否かの喫煙判定に用いられる喫煙データを含む見守りデータを記憶する見守りデータ記憶手段と、
該見守りデータ記憶手段に記憶されている前記喫煙データにしたがい、前記喫煙判定を実行する喫煙判定手段とを更に有し、
前記アラート発出制御手段は、前記喫煙判定手段によって前記たばこの煙が検出されたと判定されたときに、喫煙停止を促す喫煙停止アラートを発出させる請求項1記載の子供見守り装置。
【請求項3】
前記熱中症判定手段は、前記子供の顔色の判定に有効な子供顔色データを用いて、該顔色が赤く変化していると判定されるときに前記熱中症の兆候が前記子供にあると判定する請求項1または2記載の子供見守り装置。
【請求項4】
前記熱中症判定手段は、前記子供の発汗量が基準値を超えるかまたは該発汗量が増加傾向にあるときに前記熱中症の兆候が前記子供にあると判定する請求項1または2記載の子供見守り装置。
【請求項5】
子供が着用する衣服の内側の気温および湿度である衣服内温湿度と、該子供の体温とにしたがい該子供が熱中症を発症する可能性を高める熱中症要因を検出する熱中症要因検出手段と、
該熱中症要因検出手段によって前記熱中症要因が検出されたときに、前記熱中症の兆候が前記子供にあるか否かの熱中症判定を実行する熱中症判定手段と、
該熱中症判定手段によって、前記熱中症の兆候が前記子供にあると判定されたときに、前記熱中症の発症予防を促す熱中症アラートを発出させるアラート発出制御手段とを有し、
前記熱中症判定手段は、前記子供の顔色の判定に有効な子供顔色データを用いて、該顔色が赤く変化していると判定されるときに前記熱中症の兆候が前記子供にあると判定し、
写真撮影を行い、写真データを生成する撮影手段と、
該撮影手段によって生成された写真データを記憶する写真データ記憶手段と、
前記熱中症要因検出手段によって前記熱中症要因が検出されたときに、前記子供の顔写真撮影を促す顔写真撮影メッセージを発出させるメッセージ発出制御手段と、
該顔写真撮影メッセージにしたがい前記撮影手段が作動して生成される顔写真データを前記子供の顔色確認に用いられる顔色確認データとして、前記写真データ記憶手段に記憶させる顔色確認データ記憶制御手段と、
前記顔色確認データから前記子供顔色データを抽出する子供顔色データ抽出手段とを更に有し、
前記熱中症判定手段は、前記子供顔色データ抽出手段によって抽出された前記子供顔色データを用いて、前記熱中症判定を実行する子供見守り装置。
【請求項6】
前記衣服内温湿度に含まれる前記気温と、前記子供の体温とにしたがい前記子供が低体温症を発症する可能性を高める低体温症要因を検出する低体温症要因検出手段と、
該低体温症要因検出手段によって前記低体温症要因が検出されたときに、前記低体温症の兆候が前記子供にあるか否かの低体温症判定を実行する低体温症判定手段とを更に有し、
前記アラート発出制御手段は、前記低体温症判定手段によって前記低体温症の兆候が前記子供にあると判定されたときに、前記低体温症の発症予防を促す低体温症アラートを発出させる請求項5記載の子供見守り装置。
【請求項7】
写真撮影を行い、写真データを生成する撮影手段と、
該撮影手段によって生成された写真データを記憶する写真データ記憶手段と、
前記熱中症要因検出手段によって前記熱中症要因が検出されたときに、前記子供の顔写真撮影を促す顔写真撮影メッセージを発出させるメッセージ発出制御手段と、
該顔写真撮影メッセージにしたがい前記撮影手段が作動して生成される顔写真データを前記子供の顔色確認に用いられる顔色確認データとして、前記写真データ記憶手段に記憶させる顔色確認データ記憶制御手段と、
前記顔色確認データから前記子供顔色データを抽出する子供顔色データ抽出手段とを更に有し、
前記熱中症判定手段は、前記子供顔色データ抽出手段によって抽出された前記子供顔色データを用いて、前記熱中症判定を実行する請求項3記載の子供見守り装置。
【請求項8】
子供が着用する衣服の内側の気温および湿度である衣服内温湿度と、該子供の体温を計測する計測装置と、該計測装置の計測結果を含む計測データを用いて子供見守り処理を実行する子供見守り装置とを有し、
前記子供見守り装置は、前記計測データに含まれている前記衣服内温湿度および前記子供の体温とにしたがい前記子供が熱中症を発症する可能性を高める熱中症要因を検出する熱中症要因検出手段と、
該熱中症要因検出手段によって前記熱中症要因が検出されたときに、前記熱中症の兆候が前記子供にあるか否かの熱中症判定を実行する熱中症判定手段と、
該熱中症判定手段によって、前記熱中症の兆候が前記子供にあると判定されたときに、前記熱中症の発症予防を促す熱中症アラートを発出させるアラート発出制御手段とを有し、
前記衣服内温湿度に含まれる前記気温と、前記子供の体温とにしたがい前記子供が低体温症を発症する可能性を高める低体温症要因を検出する低体温症要因検出手段と、
該低体温症要因検出手段によって前記低体温症要因が検出されたときに、前記低体温症の兆候が前記子供にあるか否かの低体温症判定を実行する低体温症判定手段とを更に有し、
前記アラート発出制御手段は、前記低体温症判定手段によって前記低体温症の兆候が前記子供にあると判定されたときに、前記低体温症の発症予防を促す低体温症アラートを発出させ、
前記子供が寝ているときの角度にしたがい前記子供がうつぶせ寝になる可能性を高めるうつぶせ寝要因を検出するうつぶせ寝要因検出手段と、
該うつぶせ寝要因検出手段によって前記うつぶせ寝要因が検出されたときに、前記うつぶせ寝の兆候が前記子供にあるか否かのうつぶせ寝判定を実行するうつぶせ寝判定手段とを更に有し、
前記アラート発出制御手段は、前記うつぶせ寝判定手段によって前記うつぶせ寝の兆候が前記子供にあると判定されたときに、前記うつぶせ寝の予防を促すうつぶせ寝アラートを発出させる子供見守りシステム。
【請求項9】
子供が着用する衣服の内側の気温および湿度である衣服内温湿度と、該子供の体温とを計測する計測手段を有するRFIDタグと、該RFIDタグに記憶されているデータであって、前記計測手段の計測結果を含む計測データを無線通信によって読み取るRFIDリーダと、該RFIDリーダから送信される前記計測データを用いて子供見守り処理を実行する子供見守り装置とを有し、
前記子供見守り装置は、前記計測データに含まれている前記衣服内温湿度および前記子供の体温とにしたがい前記子供が熱中症を発症する可能性を高める熱中症要因を検出する熱中症要因検出手段と、
該熱中症要因検出手段によって前記熱中症要因が検出されたときに、前記熱中症の兆候が前記子供にあるか否かの熱中症判定を実行する熱中症判定手段と、
該熱中症判定手段によって、前記熱中症の兆候が前記子供にあると判定されたときに、前記熱中症の発症予防を促す熱中症アラートを発出させるアラート発出制御手段とを有し、
前記衣服内温湿度に含まれる前記気温と、前記子供の体温とにしたがい前記子供が低体温症を発症する可能性を高める低体温症要因を検出する低体温症要因検出手段と、
該低体温症要因検出手段によって前記低体温症要因が検出されたときに、前記低体温症の兆候が前記子供にあるか否かの低体温症判定を実行する低体温症判定手段とを更に有し、
前記アラート発出制御手段は、前記低体温症判定手段によって前記低体温症の兆候が前記子供にあると判定されたときに、前記低体温症の発症予防を促す低体温症アラートを発出させ、
前記子供が寝ているときの角度にしたがい前記子供がうつぶせ寝になる可能性を高めるうつぶせ寝要因を検出するうつぶせ寝要因検出手段と、
該うつぶせ寝要因検出手段によって前記うつぶせ寝要因が検出されたときに、前記うつぶせ寝の兆候が前記子供にあるか否かのうつぶせ寝判定を実行するうつぶせ寝判定手段とを更に有し、
前記アラート発出制御手段は、前記うつぶせ寝判定手段によって前記うつぶせ寝の兆候が前記子供にあると判定されたときに、前記うつぶせ寝の予防を促すうつぶせ寝アラートを発出させる子供見守りシステム。
【請求項10】
コンピュータを子供見守り装置として機能させるための子供見守りプログラムであって、該コンピュータを
子供が着用する衣服の内側の気温および湿度である衣服内温湿度と、該子供の体温とにしたがい該子供が熱中症を発症する可能性を高める熱中症要因を検出する熱中症要因検出手段と、
該熱中症要因検出手段によって前記熱中症要因が検出されたときに、前記熱中症の兆候が前記子供にあるか否かの熱中症判定を実行する熱中症判定手段と、
該熱中症判定手段によって、前記熱中症の兆候が前記子供にあると判定されたときに、前記熱中症の発症予防を促す熱中症アラートを発出させるアラート発出制御手段として機能させ、
前記衣服内温湿度に含まれる前記気温と、前記子供の体温とにしたがい前記子供が低体温症を発症する可能性を高める低体温症要因を検出する低体温症要因検出手段と、
該低体温症要因検出手段によって前記低体温症要因が検出されたときに、前記低体温症の兆候が前記子供にあるか否かの低体温症判定を実行する低体温症判定手段として更に機能させ、
前記アラート発出制御手段として機能させるときは、前記低体温症判定手段によって前記低体温症の兆候が前記子供にあると判定されたときに、前記低体温症の発症予防を促す低体温症アラートを発出させ、
前記子供が寝ているときの角度にしたがい前記子供がうつぶせ寝になる可能性を高めるうつぶせ寝要因を検出するうつぶせ寝要因検出手段と、
該うつぶせ寝要因検出手段によって前記うつぶせ寝要因が検出されたときに、前記うつぶせ寝の兆候が前記子供にあるか否かのうつぶせ寝判定を実行するうつぶせ寝判定手段として更に機能させ、
前記アラート発出制御手段として機能させるときは、前記うつぶせ寝判定手段によって前記うつぶせ寝の兆候が前記子供にあると判定されたときに、前記うつぶせ寝の予防を促すうつぶせ寝アラートを発出させる子供見守りプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子供(主に乳幼児)の普段の健康状態を見守りつつ、普段の健康状態から、乳幼児突然死症候群の発症が予見される熱中症の兆候が検出されたときにアラートを発出する子供見守り装置、子供見守りシステムおよび子供見守りプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、子供(主に乳幼児)の健康状態がセンサによって検出され、その検出結果から、乳幼児突然死症候群の発症が予見される状態が検出されたときに警告(アラート)が発出される装置およびシステムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、うつぶせ寝を検出する乳児の突然死防止警告装置が開示されている。突然死防止警告装置は、第1、第2のユニットを有する。第1のユニットは子供の着衣に固定される。その内側にプレートが納められ、そのプレートの方向を検出する角度位置検出器と、発信器がプレートに装着されている。第2のユニットは、子供の世話をする人のそばに置かれる。第2のユニットは、閾値を越えるプレートの変動が角度位置検出器によって検出されたときに始動する警報装置が収容され、スピーカが装着されている。
【0004】
また、特許文献2には、無呼吸検出器が開示されている。無呼吸検出器は、静電容量タイプセンサと、乳幼児のオムツに備えられたポケットに保持されている検出器ユニットとを有している。静電容量タイプセンサは、乳幼児の動きから生じる可変静電容量を検出する。検出器ユニットは、静電容量タイプセンサから電気信号を受信し、その受信した電気信号が無呼吸の症状を示すときに警告信号を発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2008-505674号公報
【文献】特表2011-501990号公報
【文献】特開2021-2234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の技術によれば、乳幼児突然死症候群の発症が予見される状態として、うつぶせ寝か、無呼吸が検出されたときにアラートが発出される。そのため、親等の乳幼児の世話をする人(以下「乳幼児世話人」ともいう)が、そのアラートによって、乳幼児にうつぶせ寝か、無呼吸が発生したことを知ることができる。
【0007】
しかし、従来技術の場合、アラートが発出されたときは、乳幼児にうつぶせ寝か、無呼吸が発生したときであるから、これらが検出されたときには、乳幼児がすでに乳幼児突然死症候群を発症しているか、たとえ乳幼児突然死症候群を発症していなかったとしても、乳幼児が重篤な状態になっているおそれがある。それ故、乳幼児世話人の対処が遅れると、乳幼児の生死に関わる場合や、何らかの障害が乳幼児に残るおそれがある。そのため、うつぶせ寝か、無呼吸がより早期に検出されることが望ましいが、これらは、実際に生じたときに検出されるから、これらを発生前に事前に検出することが難しい。したがって、普段の健康状態から、乳幼児突然死症候群の兆候が事前に検出できることが好ましい。
【0008】
一方、乳幼児突然死症候群の原因は、睡眠中における熱中症であるとする考えもある。熱中症の兆候は、体温や衣服内温湿度などによって検出できるから、乳幼児突然死症候群の発症をより確実に予防するためには、うつぶせ寝や無呼吸よりも、むしろ、熱中症の兆候が事前に検出できることが好ましい。
【0009】
そして、熱中症の兆候が事前に検出されるようにするためには、乳幼児の体温、衣服内温湿度、発汗量等の計測が不可欠である。その場合、乳幼児世話人ができるだけまめに体温などの計測を行い、その計測結果を繰り返し記録する必要がある。
【0010】
しかし、その場合、乳幼児世話人が家事その他の作業を繰り返し止める必要がある。このような計測作業は、乳幼児世話人にとって、とても煩わしい。そのため、乳幼児世話人が計測作業やその結果の記録作業を行わなくても、熱中症の兆候が事前に検出されるようにすることが好ましい。
【0011】
一方、特許文献3に記載されている従来技術では、乳幼児が着用するオムツに装着された温度センサによって体温が計測される。そのため、特許文献3に記載されている従来技術が用いられることによって、乳幼児世話人が計測作業を行うことなく、体温が自動的に計測される。
【0012】
しかし、特許文献3に記載されている従来技術では、体温が自動的に計測されても、それは、排泄や睡眠といった乳幼児のイベントの発生の検出のためであり、熱中症の兆候を検出するためではない。また、熱中症の兆候が検出されるためには、体温に加えて、衣服内温湿度、発汗量等の計測が不可欠であるから、特許文献3に記載されている従来技術では、熱中症の兆候が事前に検出されることができなかった。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、子供(主に乳幼児)の普段の健康状態を示すデータから熱中症の兆候を検出して、熱中症とともに乳幼児突然死症候群の発症を予防できるようにする子供見守り装置、子供見守りシステムおよび子供見守りプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明は、子供が着用する衣服の内側の気温および湿度である衣服内温湿度と、その子供の体温とにしたがいその子供が熱中症を発症する可能性を高める熱中症要因を検出する熱中症要因検出手段と、その熱中症要因検出手段によって熱中症要因が検出されたときに、熱中症の兆候が子供にあるか否かの熱中症判定を実行する熱中症判定手段と、その熱中症判定手段によって、熱中症の兆候が子供にあると判定されたときに、熱中症の発症予防を促す熱中症アラートを発出させるアラート発出制御手段とを有し、衣服内温湿度に含まれる気温と、子供の体温とにしたがい子供が低体温症を発症する可能性を高める低体温症要因を検出する低体温症要因検出手段と、その低体温症要因検出手段によって低体温症要因が検出されたときに、低体温症の兆候が子供にあるか否かの低体温症判定を実行する低体温症判定手段とを更に有し、アラート発出制御手段は、低体温症判定手段によって低体温症の兆候が子供にあると判定されたときに、低体温症の発症予防を促す低体温症アラートを発出させ、子供が寝ているときの角度にしたがい前記子供がうつぶせ寝になる可能性を高めるうつぶせ寝要因を検出するうつぶせ寝要因検出手段と、そのうつぶせ寝要因検出手段によってうつぶせ寝要因が検出されたときに、うつぶせ寝の兆候が子供にあるか否かのうつぶせ寝判定を実行するうつぶせ寝判定手段とを更に有し、アラート発出制御手段は、うつぶせ寝判定手段によってうつぶせ寝の兆候が子供にあると判定されたときに、うつぶせ寝の予防を促すうつぶせ寝アラートを発出させる子供見守り装置を特徴とする。
【0015】
上記子供見守り装置において、衣服内温湿度および子供の体温とともに、たばこの煙が検出されたか否かの喫煙判定に用いられる喫煙データを含む見守りデータを記憶する見守りデータ記憶手段と、その見守りデータ記憶手段に記憶されている喫煙データにしたがい、喫煙判定を実行する喫煙判定手段とを更に有し、アラート発出制御手段は、喫煙判定手段によってたばこの煙が検出されたと判定されたときに、喫煙停止を促す喫煙停止アラートを発出させることが好ましい。
【0016】
また、上記子供見守り装置において、熱中症判定手段は、子供の顔色の判定に有効な子供顔色データを用いて、その顔色が赤く変化していると判定されるときに熱中症の兆候が子供にあると判定することが好ましい。
【0017】
上記子供見守り装置において、熱中症判定手段は、子供の発汗量が基準値を超えるかまたはその発汗量が増加傾向にあるときに熱中症の兆候が子供にあると判定することが好ましい。
【0018】
また、本発明は、子供が着用する衣服の内側の気温および湿度である衣服内温湿度と、その子供の体温とにしたがいその子供が熱中症を発症する可能性を高める熱中症要因を検出する熱中症要因検出手段と、その熱中症要因検出手段によって熱中症要因が検出されたときに、熱中症の兆候が子供にあるか否かの熱中症判定を実行する熱中症判定手段と、その熱中症判定手段によって、熱中症の兆候が子供にあると判定されたときに、熱中症の発症予防を促す熱中症アラートを発出させるアラート発出制御手段とを有し、熱中症判定手段は、子供の顔色の判定に有効な子供顔色データを用いて、その顔色が赤く変化していると判定されるときに熱中症の兆候が子供にあると判定し、写真撮影を行い、写真データを生成する撮影手段と、その撮影手段によって生成された写真データを記憶する写真データ記憶手段と、熱中症要因検出手段によって熱中症要因が検出されたときに、子供の顔写真撮影を促す顔写真撮影メッセージを発出させるメッセージ発出制御手段と、その顔写真撮影メッセージにしたがい撮影手段が作動して生成される顔写真データを子供の顔色確認に用いられる顔色確認データとして、写真データ記憶手段に記憶させる顔色確認データ記憶制御手段と、顔色確認データから子供顔色データを抽出する子供顔色データ抽出手段とを更に有し、熱中症判定手段は、子供顔色データ抽出手段によって抽出された子供顔色データを用いて、熱中症判定を実行する子供見守り装置を提供する。
【0019】
上記子供見守り装置において、衣服内温湿度に含まれる気温と、子供の体温とにしたがい子供が低体温症を発症する可能性を高める低体温症要因を検出する低体温症要因検出手段と、その低体温症要因検出手段によって低体温症要因が検出されたときに、低体温症の兆候が子供にあるか否かの低体温症判定を実行する低体温症判定手段とを更に有し、アラート発出制御手段は、低体温症判定手段によって低体温症の兆候が子供にあると判定されたときに、低体温症の発症予防を促す低体温症アラートを発出させることが好ましい。
【0020】
上記子供見守り装置は、写真撮影を行い、写真データを生成する撮影手段と、その撮影手段によって生成された写真データを記憶する写真データ記憶手段と、熱中症要因検出手段によって熱中症要因が検出されたときに、子供の顔写真撮影を促す顔写真撮影メッセージを発出させるメッセージ発出制御手段と、その顔写真撮影メッセージにしたがい撮影手段が作動して生成される顔写真データを子供の顔色確認に用いられる顔色確認データとして、写真データ記憶手段に記憶させる顔色確認データ記憶制御手段と、顔色確認データから子供顔色データを抽出する子供顔色データ抽出手段とを更に有し、熱中症判定手段は、子供顔色データ抽出手段によって抽出された子供顔色データを用いて、熱中症判定を実行することが好ましい。
【0021】
そして、本発明は、子供が着用する衣服の内側の気温および湿度である衣服内温湿度と、その子供の体温を計測する計測装置と、その計測装置の計測結果を含む計測データを用いて子供見守り処理を実行する子供見守り装置とを有し、子供見守り装置は、計測データに含まれている衣服内温湿度および子供の体温とにしたがい子供が熱中症を発症する可能性を高める熱中症要因を検出する熱中症要因検出手段と、その熱中症要因検出手段によって熱中症要因が検出されたときに、熱中症の兆候が子供にあるか否かの熱中症判定を実行する熱中症判定手段と、その熱中症判定手段によって、熱中症の兆候が子供にあると判定されたときに、熱中症の発症予防を促す熱中症アラートを発出させるアラート発出制御手段とを有し、衣服内温湿度に含まれる気温と、子供の体温とにしたがい子供が低体温症を発症する可能性を高める低体温症要因を検出する低体温症要因検出手段と、その低体温症要因検出手段によって低体温症要因が検出されたときに、低体温症の兆候が子供にあるか否かの低体温症判定を実行する低体温症判定手段とを更に有し、アラート発出制御手段は、低体温症判定手段によって低体温症の兆候が子供にあると判定されたときに、低体温症の発症予防を促す低体温症アラートを発出させ、子供が寝ているときの角度にしたがい子供がうつぶせ寝になる可能性を高めるうつぶせ寝要因を検出するうつぶせ寝要因検出手段と、そのうつぶせ寝要因検出手段によってうつぶせ寝要因が検出されたときに、うつぶせ寝の兆候が子供にあるか否かのうつぶせ寝判定を実行するうつぶせ寝判定手段とを更に有し、アラート発出制御手段は、うつぶせ寝判定手段によってうつぶせ寝の兆候が子供にあると判定されたときに、うつぶせ寝の予防を促すうつぶせ寝アラートを発出させる子供見守りシステムを提供する。
【0022】
また、本発明は、子供が着用する衣服の内側の気温および湿度である衣服内温湿度と、その子供の体温とを計測する計測手段を有するRFIDタグと、そのRFIDタグに記憶されているデータであって、計測手段の計測結果を含む計測データを無線通信によって読み取るRFIDリーダと、そのRFIDリーダから送信される計測データを用いて子供見守り処理を実行する子供見守り装置とを有し、子供見守り装置は、計測データに含まれている衣服内温湿度および子供の体温とにしたがい子供が熱中症を発症する可能性を高める熱中症要因を検出する熱中症要因検出手段と、その熱中症要因検出手段によって熱中症要因が検出されたときに、熱中症の兆候が子供にあるか否かの熱中症判定を実行する熱中症判定手段と、その熱中症判定手段によって、熱中症の兆候が子供にあると判定されたときに、熱中症の発症予防を促す熱中症アラートを発出させるアラート発出制御手段とを有し、衣服内温湿度に含まれる気温と、子供の体温とにしたがい前記子供が低体温症を発症する可能性を高める低体温症要因を検出する低体温症要因検出手段と、その低体温症要因検出手段によって低体温症要因が検出されたときに、低体温症の兆候が子供にあるか否かの低体温症判定を実行する低体温症判定手段とを更に有し、アラート発出制御手段は、低体温症判定手段によって低体温症の兆候が子供にあると判定されたときに、低体温症の発症予防を促す低体温症アラートを発出させ、子供が寝ているときの角度にしたがい子供がうつぶせ寝になる可能性を高めるうつぶせ寝要因を検出するうつぶせ寝要因検出手段と、そのうつぶせ寝要因検出手段によってうつぶせ寝要因が検出されたときに、うつぶせ寝の兆候が子供にあるか否かのうつぶせ寝判定を実行するうつぶせ寝判定手段とを更に有し、アラート発出制御手段は、うつぶせ寝判定手段によってうつぶせ寝の兆候が子供にあると判定されたときに、うつぶせ寝の予防を促すうつぶせ寝アラートを発出させる子供見守りシステムを提供する。
【0023】
さらに、本発明は、コンピュータを子供見守り装置として機能させるための子供見守りプログラムであって、そのコンピュータを子供が着用する衣服の内側の気温および湿度である衣服内温湿度と、その子供の体温とにしたがいその子供が熱中症を発症する可能性を高める熱中症要因を検出する熱中症要因検出手段と、その熱中症要因検出手段によって熱中症要因が検出されたときに、熱中症の兆候が子供にあるか否かの熱中症判定を実行する熱中症判定手段と、その熱中症判定手段によって、熱中症の兆候が子供にあると判定されたときに、熱中症の発症予防を促す熱中症アラートを発出させるアラート発出制御手段として機能させ、衣服内温湿度に含まれる気温と、子供の体温とにしたがい子供が低体温症を発症する可能性を高める低体温症要因を検出する低体温症要因検出手段と、その低体温症要因検出手段によって低体温症要因が検出されたときに、低体温症の兆候が子供にあるか否かの低体温症判定を実行する低体温症判定手段として更に機能させ、アラート発出制御手段として機能させるときは、低体温症判定手段によって低体温症の兆候が子供にあると判定されたときに、低体温症の発症予防を促す低体温症アラートを発出させ、子供が寝ているときの角度にしたがい子供がうつぶせ寝になる可能性を高めるうつぶせ寝要因を検出するうつぶせ寝要因検出手段と、そのうつぶせ寝要因検出手段によってうつぶせ寝要因が検出されたときに、うつぶせ寝の兆候が子供にあるか否かのうつぶせ寝判定を実行するうつぶせ寝判定手段として更に機能させ、アラート発出制御手段として機能させるときは、うつぶせ寝判定手段によってうつぶせ寝の兆候が子供にあると判定されたときに、うつぶせ寝の予防を促すうつぶせ寝アラートを発出させる子供見守りプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0024】
以上詳述したように、本発明によれば、子供(主に乳幼児)の普段の健康状態を示すデータから熱中症の兆候を検出して、熱中症とともに乳幼児突然死症候群の発症を予防できるようにする子供見守り装置、子供見守りシステムおよび子供見守りプログラムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る子供見守りシステムのシステム構成図である。
図2】子供見守りシステムを構成するセンサユニットが装着されたオムツの斜視図である。
図3】第1の実施の形態に係るセンサユニットを示す斜視図である。
図4】子供見守り装置の内部の構成を中心に示すブロック図である。
図5】センサモジュールの内部の構成を中心に示すブロック図である。
図6】子供見守り処理の動作手順の一例を示したフローチャートである。
図7】見守りデータ収集処理の動作手順の一例を示したフローチャートである。
図8】日常見守り処理の動作手順の一例を示したフローチャートである。
図9】熱中症対策処理の動作手順の一例を示したフローチャートである。
図10】低体温対策処理の動作手順の一例を示したフローチャートである。
図11】うつぶせ寝対策処理の動作手順の一例を示したフローチャートである。
図12】データ記憶部に設けられている各種記憶部の一例を示す図である。
図13】見守りデータ記憶部のデータベース構造の一例を示す図である。
図14】顔写真撮影処理の動作手順の一例を示したフローチャートである。
図15】顔色確認処理の動作手順の一例を示したフローチャートである。
図16】発汗確認処理の動作手順の一例を示したフローチャートである。
図17】アラート発出処理の動作手順の一例を示したフローチャートである。
図18】アラートテーブルのデータベース構造の一例を示す図である。
図19】子供見守り装置とセンサモジュールとの通信手順を模式的に示した図である。
図20】本発明の第2の実施の形態に係る子供見守りシステムのシステム構成図である。
図21】第2の実施の形態に係るセンサユニットを示す斜視図である。
図22】第2の実施の形態に係るセンサユニットに搭載されているRFIDタグの平面図である。
図23図22の23-23線断面図である。
図24】RFIDタグのICチップに搭載されたセンサを模式的に示すブロック図である。
図25】子供見守り装置、RFIDリーダ、RFIDタグの通信手順を模式的に示した図である。
図26】本発明の第3の実施の形態に係る子供見守りシステムのシステム構成図である。
図27】(a)は、センサバンドを示す斜視図、(b)は、センサバンドに組み込まれているセンサモジュールの内部の構成を示すブロック図である。
図28】本発明の第3の実施の形態に係る子供見守り装置が実行する子供見守り処理の動作手順を示すフローチャートである。
図29】本発明の第3の実施の形態に係る子供見守り装置が実行するたばこの煙対策処理の動作手順を示すフローチャートである。
図30】本発明の第3の実施の形態に係る子供見守り装置の見守りデータ記憶部のデータベース構造の一例を示す図である。
図31】本発明の第3の実施の形態に係る子供見守り装置のアラートテーブルのデータベース構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0027】
第1の実施形態
(子供見守りシステムの全体構成)
まず、図1図3を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る子供見守り装置1を含む子供見守りシステム100の構成について説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る子供見守りシステム100のシステム構成図である。図2は、子供見守りシステム100を構成するセンサユニット81が装着されたオムツ80の斜視図、図3はセンサユニット81を示す斜視図である。図1に示すように、子供見守りシステム100は、子供見守り装置1と、スピーカ2と、センサユニット81とを有している。
【0029】
子供見守りシステム100では、図1に示すように、見守り対象の子供Aがオムツ80を着用し、そのオムツ80にセンサユニット81が装着される。そのセンサユニット81には、後述するセンサモジュール82が組み込まれている。そのセンサモジュール82が子供Aの衣服内温湿度(子供Aが着用する衣服A1の内側の気温および湿度)、子供Aの体温(皮膚温度)、発汗量などを計測し、その計測されたデータが見守りデータとして、子供見守り装置1に収集される。子供見守り装置1は、その収集される見守りデータを用いて、後述する熱中症要因、低体温症要因、うつぶせ寝要因を検出する処理を行う。それらが検出されたときに子供Aに熱中症の兆候、低体温症の兆候、うつぶせ寝の兆候があるか否かが判定され、その判定結果に応じて、熱中症の発症予防を促すアラート(熱中症アラート)、低体温症の発症予防を促すアラート(低体温症アラート)、うつぶせ寝の予防を促すアラート(うつぶせ寝アラート)がスピーカ2から出力される。
【0030】
発出されるアラートは、子供Aの熱中症の発症、低体温症の発症、うつぶせ寝の予防を促す(親Bへの注意喚起)ために発出される。それらのアラートによって、親Bに対して、子供Aの熱中症の発症、低体温症の発症、うつぶせ寝の予防が促されるため、親Bがそれらの予防措置をとることが期待される。その結果、これらが未然に防がれる。また、熱中症や、うつぶせ寝に起因した乳幼児突然死症候群の発症も、未然に防止される。なお、本発明において親(実施の形態に係る親B)とは、子供(実施の形態に係る子供A)の実の親(母親及び父親)はもちろん、実の親の代わりにその子供の世話ないし相手をする祖父母や兄弟、ベビーシッターも含まれる。
【0031】
(子供見守り装置1の構成)
子供見守り装置1は、無線LAN(Local Area Network)(例えば、Wi-Fi(Wireless Fidelity,登録商標)、Bluetooth(近距離無線通信、登録商標)によるデータ通信を行う無線通信手段を有し、スピーカ2およびセンサモジュール82と無線で通信を行うことができる。なお、以下の説明では、子供見守り装置1として、高機能携帯電話機(スマートフォンともいう)が用いられているが、持ち運び可能なノート型のパーソナルコンピュータ、タブレット型の端末装置が用いられてもよい。
【0032】
子供見守り装置1は、図4に示すように、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、データ記憶部34、液晶表示部35を有している。また、子供見守り装置1は、音声処理部36、バッテリー37、無線モジュール38、内蔵スピーカ39、マイク40、画像処理部41およびカメラ42を有している。
【0033】
CPU31は、ROM32に記憶されているプログラムにしたがい作動して子供見守り装置1全体の動作制御を司る。CPU31は、後述する子供見守りプログラムにしたがい子供見守り処理を実行する。ROM32はCPU31が実行するOS(Operating System)などの制御プログラム、子供見守りプログラム等のアプリケーションプログラム、後述するアラートテーブル52、そのほかの恒久的なデータが記憶されている。RAM33には、CPU31が作動する際に用いるデータやプログラムが一時的に記憶される。
【0034】
データ記憶部34は、NAND型フラッシュメモリを用いた内部ストレージ(好ましくは、SDカードを用いた外部ストレージを含む)によって構成されている。本実施の形態において、データ記憶部34には、図12に示すように、顔写真データ記憶部45と、見守りデータ記憶部46とが設けられている。そのほか、図示しない記憶部(例えば、静止画データ、動画データ、音声データなどの記憶部)が設けられている。
【0035】
顔写真データ記憶部45は、本発明における写真データ記憶手段であって、平常時データ記憶部45aと、顔色確認データ記憶部45bと、カラーコード記憶部45cとを有している。平常時データ記憶部45aには、子供Aの平常時(熱中症および低体温症を発症せず、良好な健康状態)の顔写真データが記憶されている。顔色確認データ記憶部45bには、顔色確認データが記憶される。顔色確認データは、後述する顔写真撮影メッセージが発出されたときに撮影された子供Aの顔写真のデータに相当する。顔色確認データは、後述する熱中症要因が検出されたときに、熱中症の兆候があるか否かの判定(後述する熱中症判定)に用いられる。
【0036】
見守りデータ記憶部46には、図13に示すようなデータ構造を有する見守りデータRが記憶されている。見守りデータRは、見守りレコードR1,R2,R3,R4,R15,Rnを含む複数のレコードを有している。見守りレコードR1~Rnはそれぞれ、チェックフラグ(check flag)フィールド46aと、日付フィールド46bと、時刻フィールド46cと、気温フィールド46dと、湿度フィールド46eと、皮膚温度フィールド46fと、発汗量フィールド46gと、角度フィールド46hと、フラグフィールド46jとを有している。ここで、見守りレコードR1~R15は、後述するデータ収集期間(Dt1)に収集されたデータである。見守りレコードRnは、見守りレコードR1~R15とは、異なるデータ収集期間Dtnに収集されたデータである。
【0037】
チェックフラグ(Check flag)フィールド46aには、熱中症要因、低体温症要因およびうつぶせ寝要因それぞれの検出処理が終了しているか否かを示すデータが記憶される。検出処理が終了していないときはスペースがセットされているが、チェック処理が終了しているときは"9"がセットされる。見守りデータRのうち、見守りレコードR1,R2はチェックフラグフィールド46aに"9"がセットされているので、後述する日常見守り処理でスキップされ(読み飛ばされる)て、日常見守り処理での検出処理の対象外にされる。見守りレコードR3,R4はチェックフラグフィールド46aにスペースがセットされているので、日常見守り処理での検出処理の対象とされる。
【0038】
日付フィールド46bには、見守りデータが収集(生成)されたときの日付がセットされる。時刻フィールド46cには、見守りデータが収集(生成)されたときの時刻がセットされる。気温フィールド46dと、湿度フィールド46eと、皮膚温度フィールド46f、発汗量フィールド46g、角度フィールド46hには、後述する見守りデータ収集処理において、センサモジュール82によって計測され、子供見守り装置1に収集されたデータ(それぞれ、気温、湿度、皮膚温度(体温)、発汗量、角度を示す角度データ)が記憶される。flagフィールド46jは、フィールド46ja,46jb,46jcがあり、それぞれ、後述する熱中症フラグ、低体温フラグ、うつぶせ寝フラグが記憶される。
【0039】
また、図4に示すように、液晶表示部35は、LCD(Liquid Crystal Display)とその駆動部を有し、文字、図形、記号などの画像表示を行う画像表示手段である。その表面には図示しないタッチパネルが形成されている。音声処理部36は、音声データを伸張して内蔵スピーカ39に出力する一方、マイク40から入力するアナログ音声信号をデジタルの音声データに変換および圧縮して、CPU31に入力する。バッテリー37は、子供見守り装置1に電力を供給する電力供給手段であって、リチウムイオン電池を用いて構成されている。無線モジュール38は、無線通信に必要とされる部品が揃えられている電子部品である。無線モジュール38は、無線チップ、電波を検出するアンテナ、無線通信を制御するコントローラ(およびそのソフトウェア)がまとめて図示しない小型基板に実装された構造を有している。内蔵スピーカ39は、音声を出力する音声出力手段であり、マイク40はユーザの会話内容等の音声を入力し、電気信号に変換する。画像処理部41は、静止画、動画に関する画像処理を実行する。カメラ42はユーザの操作入力によって、写真撮影を行い、撮影データを生成する撮影手段である。
【0040】
(オムツ、センサユニットの構成)
図2に示すように、オムツ80は、腰回りに装着されるギャザー部80aを有し、そのギャザー部80aにセンサユニット81が装着される。センサユニット81は、図3に示すように、樹脂製クリップ81aと、樹脂製プレート81bとを有し、両者が一体となった構造を有している。樹脂製クリップ81aは開閉自在な樹脂製の部材で、オムツ80のギャザー部80aに容易に着脱可能な構造を有している(例えば、図示しないばねが内蔵されている)。樹脂製プレート81bは、概ね平板状の部材である。その樹脂製プレート81bにセンサモジュール82が装着されている。また、センサモジュール82を覆うように、樹脂製プレート81bの全体がオムツ80を構成する表面材(不織布)で覆われている。その樹脂製プレート81bがオムツ80の内側に配置されるように、センサユニット81がオムツ80に装着される。こうすることで、センサユニット81によって、子供Aが着用する衣服A1の内側の気温および湿度(衣服内温湿度)、子供Aの体温(皮膚温度)、発汗量、角度(主に寝ているときの角度)が検出される。
【0041】
図5に示すように、センサモジュール82は、極めて小さい大きさの基板上に、MCU(Micro Controller Unit)83、Bluetooth module84、ボタン電池90ととともに複数のセンサが搭載されている部材である。センサモジュール82では、子供見守り装置1の後述する初期設定で設定されたデータ収集期間Dt、チェック間隔Ctにしたがい、MCU83が温度センサ85等の各種センサを作動させて計測処理を行う。MCU83は、温度センサ85等の各種センサから得られたデータを見守りデータRに対応した計測データに編集して、子供見守り装置1に送信する。
【0042】
MCU83は、CPUとともに、ROM、RAMを含むメモリが一つの集積回路に搭載された部品であって、センサモジュール82等の電子機器の制御に用いられる。Bluetooth module84は、Bluetooth(近距離無線通信)によるデータ通信に必要な集積回路およびアンテナとともに、プロトコルスタック等のソフトウェアが搭載されている部品である。温度センサ85,湿度センサ86は、それぞれ温度(気温)、湿度を計測し、その計測結果に応じた信号を出力する。温度センサ85,湿度センサ86によって、子供Aの衣服内温湿度が計測される。体温センサ87は、人体の表面(皮膚)から放射される赤外線を検出素子で受光し、その受光により暖められた温度に応じた電気信号を出力する。体温センサ87によって、子供Aの体温(皮膚温度)が計測される。発汗センサ88は、人体に照射したマイクロ波等の電波の反射波から発汗量を推定し、その結果に応じたデータを出力する。発汗センサ88によって、子供Aの発汗量が計測される。角速度センサ89は、物体の回転や向きの変化を角速度として検出し、その計測結果に応じた信号を出力する。角速度センサ89によって、子供Aが主に寝ているときの角度が検出される。その角度は、子供Aが主にあおむけに寝ているときが"0"に設定されることが好ましい。ボタン電池90は、MCU83~角速度センサ89のそれぞれに電力を供給する。配線91によって、MCU83~角速度センサ89、ボタン電池90のそれぞれが接続され、信号の入出力および電力の供給が行われる。
【0043】
(子供見守りシステムの動作内容)
次に、図6図11図14図17を参照して、子供見守りシステム100の動作内容について説明する。
【0044】
子供見守りシステム100では、後述する子供見守り処理が実行されるにあたり、予め子供見守り装置1とセンサモジュール82との間でペアリングが実行されている。ペアリングが実行されることによって、子供見守り装置1とセンサモジュール82とにおいて、Bluetooth(近距離無線通信)によるデータ通信に必要な機器情報が交換され、その機器情報がそれぞれのROM(Read Only Memory)32と、MCU83とに記憶(登録)される。
【0045】
ペアリングでは、例えば、子供見守り装置1において、センサモジュール82の電源が投入されている状態で、Bluetooth(近距離無線通信)を作動させてセンサモジュール82のサーチ処理が実行される。そのサーチ処理で見つかったセンサモジュール82が子供見守り装置1において選択され、所定の入力操作が行われると、ペアリングが完了する。
【0046】
そして、子供見守り装置1において、液晶表示部35を用いた入力操作によって子供見守りプログラムに応じたアイコンが選択されると、子供見守りプログラムが作動する。子供見守りプログラムは、高機能携帯電話機を子供見守り装置1として機能させるためのプログラムであって、子供見守り装置1のCPU31が実行する。
【0047】
その子供見守りプログラムが初めて起動されたときは、図示しない初期設定プログラムが作動する。初期設定プログラムでは、液晶表示部35を用いた入力操作によって子供見守りプログラムが作動する条件(作動条件)が設定される。その作動条件として、本実施の形態では、子供見守りプログラムが作動する時間帯(開始時刻Stと終了時刻Et)、後述する見守りデータ収集処理で使用される計測条件が設定される。計測条件として、見守りデータ収集処理で見守りデータが収集される間隔(センサモジュール82による計測処理が繰り返されるときの時間の間隔で、チェック間隔(Ct)ともいう)と、見守りデータ収集処理で、見守りデータの収集が継続される期間(データ収集期間とも、Dtともいう)とが設定される。初期設定プログラムにしたがい設定された作動条件が後述する見守りデータ収集処理に反映される。また、計測条件を示すデータ(計測条件データ)がセンサモジュール82に送信され、MCU83に記憶される。
【0048】
また、初期設定プログラムでは、子供Aの平常時の顔写真をカメラ42で撮影する撮影処理が行われて、得られた顔写真データが平常時データ記憶部45aに記憶される。その撮影処理では、チェックポイントが設定される。そのチェックポイントのデータが顔写真データとともに平常時データ記憶部45aに記憶される。チェックポイントは、子供Aの顔色を確認するために設定される。例えば、ひたい、頬などの顔の一部がチェックポイントに設定される。
【0049】
そして、CPU31は子供見守りプログラムにしたがい、図6に示すフローチャートに沿って子供見守り処理を実行する。なお、図6図7等において、Sはステップを略記したものである。
【0050】
(子供見守り処理)
CPU31は子供見守り処理を開始すると、ステップ1に処理を進め、システム時刻が開始時刻Stを経過するまで待機し、システム時刻が開始時刻Stを経過すると、ステップ2に処理を進める。ステップ2では、計測開始の指示が入力されるまで待機する。液晶表示装置35のタッチパネルの操作入力によって、計測開始の指示が入力されると、CPU31がステップ3に処理を進め、後述する見守りデータ収集処理を実行する。次に、CPU31はステップ4からステップ7まで、後述する日常見守り処理、熱中症対策処理、低体温対策処理、うつぶせ寝対策処理を順に実行する。その後、ステップ8に処理が進むと、システム時刻が終了時刻Etを経過しているか否かが判定され、システム時刻が終了時刻Etを経過しているときは子供見守り処理が終了するが、システム時刻が終了時刻Etを経過していないときはステップ9に処理が進む。ステップ9では、計測終了の指示が入力されたか否かが判定され、計測終了の指示が入力されたときは子供見守り処理が終了するが、計測終了の指示が入力されないときはステップ10に処理が進む。ステップ10では、各種フラグ(後述する顔色フラグ、発汗フラグ、アラートフラグ)をクリアする処理が実行される。ステップ10が実行された後、ステップ3に処理が戻り、ステップ3からステップ8が繰り返し実行される。
【0051】
(見守りデータ収集処理)
CPU31は図7に示すフローチャートにしたがい見守りデータ収集処理を実行する。CPU31は、見守りデータ収集処理を開始すると、ステップ11に処理を進め、無線モジュール38を作動させて、図19に示すように、計測指示Iをセンサモジュール82に送信する。
【0052】
CPU31は、ステップ11に続いてステップ12に処理を進めると、センサモジュール82から計測データを受信するまで待機し、計測データを受信するとステップ13に処理を進める。ステップ13では、CPU31は、受信した計測データを見守りデータRとして、データ記憶部34の見守りデータ記憶部46に記憶させて保存する。CPU31は、続くステップ14で、データ収集期間Dtを経過しているか否かを判定し、データ収集期間Dtを経過しているときは計測処理が終了するが、データ収集期間Dtを経過していないときはステップ12に処理が戻る。
【0053】
一方、子供見守り装置1において、見守りデータ収集処理が実行されるときは、センサモジュール82において、計測処理が実行される。センサモジュール82では、前述した初期設定で設定され、MCU83に記憶されている計測条件に従い、計測処理が実行される。それによって、図19に示すように、センサモジュール82では、チェック間隔Ctごとに計測処理が実行されて計測データJが生成され、生成された計測データJがセンサモジュール82から子供見守り装置1に送信される。この計測処理の実行と、計測データJの生成および送信とがデータ収集期間Dtの期間中、継続する。
【0054】
すると、図19に示すように、見守りデータ収集処理(S3)では、子供見守り装置1から計測指示Iが送信されて、センサモジュール82から計測データJが子供見守り装置1に送信されるが、チェック間隔Ctが経過するごとに計測データJがセンサモジュール82から子供見守り装置1に送信される。このような計測データJの送信がデータ収集期間Dt(Dt1,Dt2・・・Dtn)が経過するまで継続する。例えば、チェック間隔Ctを1分間とし、データ収集期間Dtを15分間とすることができる。すると、見守りデータ収集処理では、計測データJが1分毎に子供見守り装置1に収集され、その計測データJの収集が15分間継続する。
【0055】
(日常見守り処理)
CPU31は図8に示すフローチャートにしたがい日常見守り処理を実行する。日常見守り処理は、各データ収集期間Dt(Dt1,Dt2・・・Dtn)で収集された見守りデータR(「見守りデータセット」ともいう)ごとに実行される。その見守りデータセットRには、チェック間隔Ctが1分間、各データ収集期間Dtが15分間にセットされる場合、15件分の見守りレコード(R1、R2・・・R15)が含まれる。
【0056】
そして、日常見守り処理では、CPU31が本発明に係る熱中症要因検出手段(ステップ21~24)、低体温症要因検出手段(ステップ25~27)、うつぶせ寝要因検出手段(ステップ28~29)としての動作を行い、後述する熱中症要因、低体温症要因、うつぶせ寝要因が検出される。
【0057】
ここで、熱中症要因とは、子供が熱中症を発症する可能性を高める主な原因となるもので、主に子供をとりまく環境の状態である。本実施の形態では、気温が38.5℃を超えていること、気温が皮膚温度(体温)を超えていること、湿度が60%を超えていることに3点が熱中症要因に設定されている。これらのいずれかが検出されたときは、子供の深部体温が上昇して子供が熱中症を発症する可能性が高まる。そのため、子供に熱中症の兆候が出る前に、見守りデータRを用いて上記熱中症要因を予め検出する処理を実行し、熱中症要因が検出されたときに後述する熱中症判定を実行する。こうすることで、熱中症判定の処理効率が高められる。日常見守り処理では、熱中症要因が検出されると、処理対象となった見守りレコード(R1,R2・・・Rn)の熱中症フラグ(flagフィールド46ja)に熱中症要因が検出されたことを示す"1"がセットされる。
【0058】
また、低体温症要因とは、子供が低体温症を発症する可能性を高める主な原因となるもので、これも、主に子供をとりまく環境の状態である。本実施の形態では、気温が15℃より低いこと、皮膚温度(体温)が36℃より低いことの2点が低体温症要因に設定されている。これらのいずれかが検出されたときは、子供の深部体温が低下して子供が低体温症を発症する可能性が高まる。そのため、子供に低体温症の兆候が出る前に、見守りデータRを用いて上記低体温症要因を予め検出する処理を実行し、低体温症要因が検出されたときに後述する低体温症判定を実行する。こうすることで、低体温症判定の処理効率が高められる。低体温症要因が検出されると、見守りレコード(R1,R2・・・Rn)の低体温フラグ(flagフィールド46jb)に低体温症要因が検出されたことを示す"1"がセットされる。
【0059】
そして、うつぶせ寝要因とは、子供がうつぶせ寝になる可能性を高める主な原因となるものである。本実施の形態では、子供が寝ているときの角度が30度を超えていることがうつぶせ寝要因に設定されている。これが検出されたときは、その後、子供が寝ているときの角度がさらに大きくなり、子供がうつぶせ寝になる可能性があると考えられる。そのため、子供にうつぶせ寝の兆候が出る前に、見守りデータRを用いて上記うつぶせ寝要因を予め検出する処理を実行し、うつぶせ寝要因が検出されたときに後述するうつぶせ寝判定を実行する。こうすることで、うつぶせ寝判定の処理効率が高められる。うつぶせ寝要因が検出されると、見守りレコード(R1,R2・・・Rn)のうつぶせ寝フラグ(flagフィールド46jc)にうつぶせ寝要因が検出されたことを示す"1"がセットされる。
【0060】
そして、CPU31は日常見守り処理を開始すると、ステップ20に処理を進めて、見守りデータ記憶部46にアクセスし、チェックフラグフィールド46aに"9"がセットされている見守りレコード(図13の場合は、見守りレコードR1,R2)を読み飛ばして(skip)見守りデータRの読み取り処理を実行する。CPU31は続くステップ21に処理を進めて、見守りデータRの見守りレコード(図13の場合は、見守りレコードR3,R4など)につき、気温が38.5℃を超えているか否かを判定し、気温が38.5℃を超えているときはステップ24に処理を進め、気温が38.5℃を超えていないときはステップ22に処理を進める。ステップ22では、CPU31は、気温が皮膚温度(体温)を超えているか否かを判定し、気温が皮膚温度(体温)を超えているときはステップ24に処理を進め、気温が皮膚温度(体温)を超えていないときはステップ23に処理を進める。また、ステップ23では、CPU31は、湿度が60%を超えているか否かを判定し、湿度が60%を超えているときはステップ24に処理を進め、湿度が60%を超えていないときはステップ25に処理を進める。ステップ24に処理が進むと、flagフィールド46ja(熱中症フラグ)に"1"がセットされる。
【0061】
また、ステップ25に処理が進むと、気温が15℃よりも低いか否かが判定され、気温が15℃よりも低いときはステップ27に処理が進み、気温が15℃よりも低くないときはステップ26に処理が進む。ステップ26に処理が進むと、皮膚温度が36℃よりも低いか否かが判定され、皮膚温度が36℃よりも低いときはステップ27に処理が進み、皮膚温度が36℃よりも低くないときはステップ28に処理が進む。ステップ27では、flagフィールド46jb(低体温フラグ)に"1"がセットされる。
【0062】
さらに、ステップ28に処理が進むと、角度が30°よりも大きいか否かが判定され、角度が30°よりも大きいときはステップ29に処理が進み、角度が30°よりも大きくないときはステップ30に処理が進む。ステップ29では、flagフィールド46jc(うつぶせ寝フラグ)に"1"がセットされる。また、ステップ30では、チェックフラグフィールド46aに"9"がセットされる。次のステップ31に処理が進むと、見守りデータRの最終データが読み出されたか否かが判定され、最終データが読み出されていたときは日常見守り処理が終了するが、最終データが読み出されていないときはステップ20に戻り、上記の処理が繰り返される。
【0063】
(熱中症対策処理)
CPU31は図9に示すフローチャートにしたがい熱中症対策処理を実行する。熱中症対策処理(後述する低体温対策処理、うつぶせ寝対策処理も同様)では、日常見守り処理で、熱中症要因、低体温症要因、うつぶせ寝要因が検出された場合において、それらが継続して検出された(本実施の形態では、見守りデータセットのすべての見守りレコードについて検出された場合が想定される)場合に、後述する熱中症判定、低体温症判定、うつぶせ寝判定が実行される。継続して検出された場合に処理が限定されることで、熱中症要因、低体温症要因、うつぶせ寝要因が何らかの誤差の影響で検出された場合が除外される。
【0064】
CPU31は熱中症対策処理を開始すると、ステップ33に処理を進めて、熱中症フラグに"1"がセットされているレコードが継続して検出される(見守りデータセットのすべての見守りレコードについて検出される)か否かを判定し、熱中症フラグ="1"が継続して検出されるときはステップ34に処理を進め、熱中症フラグ="1"が継続して検出されないときは熱中症対策処理を終了する。続くステップ34では、後述する顔写真撮影処理が実行され、続くステップ35、ステップ36で、後述する顔色確認処理、発汗確認処理が順に実行される。顔色確認処理、発汗確認処理で熱中症判定が実行される。
【0065】
その後、ステップ37に処理が進み、後述する発汗フラグに"3"がセットされているか否かが判定され、発汗フラグに"3"がセットされているときはステップ38に処理が進み、発汗フラグに"3"がセットされていないときはステップ39に処理が進む。ステップ38では、顔色フラグに"2"がセットされているか否かが判定され、顔色フラグに"2"がセットされているときはステップ40に処理が進み、顔色フラグに"2"がセットされていないときはステップ41に処理が進む。また、ステップ39では、顔色フラグに"2"がセットされているか否かが判定され、顔色フラグに"2"がセットされているときはステップ41に処理が進み、顔色フラグに"2"がセットされていないときは熱中症対策処理が終了する。そして、ステップ40,41では、それぞれ後述するアラートフラグに"12"、"11"がセットされ、その後ステップ42に処理が進み、後述するアラート発出処理が実行される。ステップ42が終了すると、熱中症対策処理が終了する。この場合のアラート発出処理では、熱中症の発症予防を促す熱中症アラート(アラートフラグ"12"、"11"に応じた音声)が発出される。
【0066】
(低体温対策処理)
CPU31は図10に示すフローチャートにしたがい低体温対策処理を実行する。低体温対策処理では、低体温症判定が実行される。低体温症判定は、低体温症の兆候が子供Aにあるか否かの判定である。本実施の形態では、体温変化が低下傾向であること、最新の皮膚温度(体温)が35.5℃よりも低いことの2点が低体温症の兆候として設定されている。これらはステップ46,47で、CPU31が低体温症判定手段としての動作を行うことで実現される。
【0067】
そして、CPU31は低体温対策処理を開始すると、ステップ45に処理を進めて、低体温フラグに"1"がセットされているレコードが継続して検出される(見守りデータセットのすべての見守りレコードについて検出される)か否かを判定し、低体温フラグ="1"が継続して検出されるときはステップ46に処理を進め、低体温フラグ="1"が継続して検出されないときは低体温対策処理を終了する。また、ステップ46に処理が進むと、体温変化が低下傾向であるか否かが判定され、体温変化が低下傾向であるときはステップ47に処理を進め、体温変化が低下傾向でないときは低体温対策処理を終了する。例えば、時刻フィールド46cの数値が大きくなるにしたがい、皮膚温度フィールド46fの数値が小さくなっている場合に体温変化が低下傾向であると判定することができる。さらに、ステップ47に処理が進むと、最新の皮膚温度が35.5℃よりも低いか否かが判定され、最新の皮膚温度が35.5℃よりも低いときはステップ48に処理が進み、最新の皮膚温度が35.5℃よりも低くないときは低体温対策処理が終了する。最新の皮膚温度は、見守りデータセット(見守りレコードR1~R15)のなかで、時刻フィールド46cの数値が最も大きい見守りレコード(R15)の皮膚温度フィールド46fのデータを用いることができる。ステップ48に処理が進むと、アラートフラグに"21"がセットされ、続いてステップ42に処理が進んでアラート発出処理が実行される。ステップ42が終了すると、低体温対策処理が終了する。この場合のアラート発出処理では、低体温症の発症予防を促す低体温症アラート(アラートフラグ"21"に応じた音声)が発出される。
【0068】
(うつぶせ寝対策処理)
CPU31は図11に示すフローチャートにしたがいうつぶせ寝対策処理を実行する。うつぶせ寝対策処理では、うつぶせ寝判定が実行される。うつぶせ寝判定は、うつぶせ寝の兆候が子供にあるか否かの判定である。本実施の形態では、角度差が60度よりも大きいことがうつぶせ寝の兆候として設定されている。これはステップ57で、CPU31がうつぶせ寝兆候判定手段としての動作を行うことで実現される。
【0069】
そして、CPU31はうつぶせ寝対策処理を開始すると、処理がステップ55に進み、うつぶせ寝フラグに"1"がセットされているレコードが継続して検出される(見守りデータセットすべてについて検出される)か否かを判定し、うつぶせ寝フラグ="1"が継続して検出されるときはステップ56に処理を進め、うつぶせ寝フラグ="1"が継続して検出されないときはうつぶせ寝対策処理を終了する。また、ステップ56に処理が進むと、角度差(角度の最大値と最小値との差)が算出される。角度の最大値(Max angle)、最小値(Min angle)は、それぞれ見守りデータセットの中で角度フィールド46hの最大値、最小値を用いることができる。次のステップ57では、ステップ56で算出された角度差が60度を超えているか否かが判定され、角度差が60度を超えているときはステップ58に処理が進み、角度差が60度を超えていないときはうつぶせ寝対策処理が終了する。また、ステップ58に処理が進むと、アラートフラグに"31"がセットされ、続いてステップ42に処理が進んでアラート発出処理が実行される。ステップ42が終了すると、うつぶせ寝対策処理が終了する。この場合のアラート発出処理では、うつぶせ寝の予防を促すうつぶせ寝アラート(アラートフラグ"31"に応じた音声)が発出される。
【0070】
(顔写真撮影処理)
CPU31は図14に示すフローチャートにしたがい顔写真撮影処理を実行する。顔写真撮影処理は、熱中症フラグ="1"が継続して検出された場合において、熱中症判定に用いる顔色確認データが生成される処理である。顔色確認データは、子供の顔写真が撮影されることで生成される。
【0071】
CPU31は顔写真撮影処理を開始すると、ステップ61に処理を進めて、メッセージ発出制御手段としての動作を行い、顔写真撮影メッセージを発出させる。顔写真撮影メッセージは、子供Aの顔写真を撮影することを親Bに促す文字または音声によって構成される。例えば"赤ちゃんの顔写真を撮影しましょう"といったメッセージが考えられる。ステップ61では、CPU31が顔写真撮影メッセージを示す文字を液晶表示部35に表示させるか、または顔写真撮影メッセージに相当する音声を内蔵スピーカ39から出力させる。続くステップ62では、CPU31は、撮影承認の入力があるまで待機し、撮影承認の入力があるとステップ63に処理が進む。ここで、撮影承認とは、顔写真撮影メッセージにしたがい、子供Aの顔写真の撮影を承認する旨の操作入力(例えば、液晶表示部35上のタッチパネルの操作入力)である。続くステップ63では、CPU31が、液晶表示部35に顔写真撮影用フレームを表示させる。これにより、親Bは、カメラ42を作動させて、子供Aの顔が顔写真撮影用フレームに納まるように写真撮影を行うことで、適正な顔色確認データが生成される。続くステップ64では、顔写真の撮影があるまで待機し、顔写真の撮影があるとステップ65に処理が進む。
【0072】
ステップ65では、CPU31が顔色確認データ記憶制御手段としての動作を行う。CPU31がステップ64の顔写真撮影で得られた顔写真データを顔色確認データとして、顔色確認データ記憶部45bに記憶させる。顔色確認データとは、熱中症の兆候があるか否かを判定するための顔色確認に用いられる画像データである。次のステップ66では、CPU31が子供顔色データ抽出手段としての動作を行い、ステップ64の顔写真撮影で得られた顔色確認データから、チェックポイントに対応した画像データのカラーコードD2を抽出する。カラーコードは、"#"で始まる色のコードを示すデータであって、画像データから抽出することができる。色それぞれに異なったカラーコードが割り当てられているため、カラーコードによって、色を判定することができる。そのため、カラーコードD2は、子供Aの顔色の判定に有効であるから、カラーコードD2が本発明に係る子供顔色データに相当する。ステップ66に続くステップ67で、そのカラーコードD2がカラーコード記憶部45cに記憶される。ステップ67が終了すると、顔写真撮影処理が終了する。
【0073】
(顔色確認処理)
CPU31は図15に示すフローチャートにしたがい顔色確認処理を実行する。顔色確認処理では、顔写真撮影処理で生成された顔色確認データから抽出されたカラーコードD2を用いて、熱中症判定が行われる。
【0074】
CPU31は顔色確認処理を開始すると、ステップ71に処理を進めて平常時データ記憶部45aに記憶されている平常時の顔写真データを読み出し、その顔写真データからチェックポイントに対応した画像データのカラーコードD1を抽出する。続くステップ72では、カラーコードD1から、赤色または赤色に近いカラーコード(赤色系カラーコード)を探し出したうえで、カラーコードD1のうちの赤色系カラーコードの割合(赤色系カラーコード率ともいう)CR1を算出する。
【0075】
次のステップ73では、カラーコード記憶部45cから、カラーコードD2を読み出す。続くステップ74では、カラーコードD2から、赤色系カラーコードを探し出したうえで、カラーコードD2の赤色系カラーコード率CR2を算出する。そして、ステップ75に処理が進むと、CPU31が熱中症判定手段としての動作を行う。CPU31は、赤色系カラーコード率CR2が赤色系カラーコード率CR1よりも大きいか否かを判定し、赤色系カラーコード率CR2が赤色系カラーコード率CR1よりも大きいときはステップ76に処理を進め、赤色系カラーコード率CR2が赤色系カラーコード率CR1よりも大きくないときは顔色確認処理を終了する。ステップ76では、顔色フラグに"2"がセットされる。ステップ76が実行されたあと、顔色確認処理が終了する。顔色フラグに"2"がセットされたときは、顔色が赤く変化していることで熱中症の兆候があると判定される場合である。
【0076】
赤色系カラーコード率CR2が赤色系カラーコード率CR1よりも大きいときは、赤色系カラーコードが平常時よりも増えていることを示す。これは、子供Aの顔色につき、赤色が増えていること、すなわち、子供Aの顔色が赤く変化していることを示す。子供Aの顔色が平常時よりも赤く変化しているときは、子供Aの深部体温が上昇している可能性があるため、本実施の形態では、これを熱中症の兆候として設定している。なお、赤色系カラーコードは、真の赤色か真の赤色に近い色やピンク色、または子供A(または親Bか、別人でも良い)の顔色が実際に赤く変化したときの色に応じたカラーコードにすることができる。
【0077】
(発汗確認処理)
CPU31は図16に示すフローチャートにしたがい発汗確認処理を実行する。発汗確認処理では、熱中症フラグ="1"が継続して検出された場合において、見守りデータセットを対象に、発汗量フィールド46gの発汗量を用いて熱中症判定が実行される。
【0078】
CPU31が発汗確認処理を開始すると、処理がステップ81に進み、見守りデータセットを対象に、発汗量フィールド46gの発汗量の平均値(平均発汗量av-sw)を算出する。次のステップ82では、すべての発汗量を合計した合計発汗量sum-swが算出される。そして、CPU31は次のステップ83からステップ86までで熱中症判定手段としての動作を行い、熱中症判定を実行する。
【0079】
そして、ステップ83では、CPU31は、平均発汗量av-swが後述する平均発汗量基準値(av基準値)を超えているか否かを判定し、av-swがav基準値を超えているときはステップ86に処理が進み、av-swがav基準値を超えていないときはステップ84に処理が進む。ステップ84では、発汗量が増加傾向にあるか否かが判定され、発汗量が増加傾向にあるときはステップ86に処理が進み、発汗量が増加傾向にないときはステップ85に処理が進む。発汗量が増加傾向にあるか否かは、例えば、見守りレコードR1の発汗量よりも見守りレコードR15の発汗量が多いか否かで判定できる。見守りレコードR15の発汗量が見守りレコードR1の発汗量よりも多いときは発汗量が増加傾向にあると判定することができる。ステップ85では、合計発汗量sum-swが合計発汗量基準値(sum基準値)を超えているか否かが判定され、sum-swがsum基準値を超えているときはステップ86に処理が進み、sum-swがsum基準値を超えていないときは発汗確認処理が終了する。ステップ86では、後述する発汗フラグに"3"がセットされる。ステップ86が実行されたあと、発汗確認処理が終了する。
【0080】
平均発汗量基準値(av基準値)は、熱中症の兆候がないときの平均的な発汗量に相当する。見守りデータセットから求めた平均発汗量が平均発汗量基準値(av基準値)を超えているときは通常時よりも発汗量が増えている可能性があり、子供Aに熱中症の兆候が現れている可能性がある。また、合計発汗量基準値(sum基準値)は、熱中症の兆候がない通常時におけるデータ収集期間中の発汗量を合計した値の基準値である。見守りデータセットから求めた合計発汗量が合計発汗量基準値(sum基準値)を超えているときも、通常時よりも発汗量が増えていて、子供Aに熱中症の兆候が見られる可能性がある。さらに、発汗量が基準値(av基準値、sum基準値)を超えていなくても、発汗量が増加傾向にあるときは、子供Aの深部体温が増加して発汗量が増えている可能性がある。そのため、発汗量が増加傾向にあることも熱中症の兆候があることの判定に用いられる。本実施の形態では、平均発汗量が平均発汗量基準値(av基準値)を超えていること、合計発汗量が合計発汗量基準値(sum基準値)を超えていること、発汗量が増加傾向にあることの3点で、熱中症判定が行われ、熱中症の兆候があると判定されたときに、発汗フラグに"3"がセットされる。発汗フラグに"3"がセットされたときは、発汗量の面からみて、熱中症の兆候があると判定される場合である。
【0081】
(アラート発出処理)
CPU31は図17に示すフローチャートにしたがいアラート発出制御手段としての動作を行い、アラート発出処理を実行する。CPU31はアラート発出処理を開始すると、処理がステップ91に進み、アラートフラグをサーチキーに設定して後述するアラートテーブル52のアラートフラグフィールド52aをサーチする。次のステップ92では、音声データフィールド52bからアラートフラグに応じた音声データを取得する。続くステップ93では、ステップ92で取得した音声データがスピーカ2に出力される。これにより、その音声データに応じた音声がスピーカ2から出力される。ステップ93が実行されると、アラート発出処理が終了する。
【0082】
アラートテーブル52は、図18に示すように、アラートフラグフィールド52aと、音声データフィールド52bとを有し、アラートフラグと、音声データとが関連付けて記憶されている。アラートフラグは、前述の熱中症対策処理、低体温対策処理、うつぶせ寝対策処理において、それぞれ熱中症、低体温症、うつぶせ寝の兆候が子供Aにあると判定されたときにセットされる。音声データは、各アラートフラグに応じて、親Bに熱中症の発症、低体温症の発症、うつぶせ寝のそれぞれの予防を促すアラートとして、スピーカ2からの音声出力に用いられる。例えば、アラートフラグが"11"のときは、"赤ちゃんに水分補給しませんか"という音声がスピーカ2から出力される(その音声に応じた文字を液晶表示部35に表示させてもよく、音声出力と文字表示の両方を実行してもよい)。この音声出力により、親Bにより、熱中症、低体温症、うつぶせ寝のそれぞれの予防につながる措置(予防に有益な動作)が取られることが期待される。
【0083】
以上のように、本発明の実施の形態にかかる子供見守り装置1を有する子供見守りシステム100では、子供Aが装着するオムツ80にセンサユニット81が装着され、そのセンサユニット81に組み込まれているセンサモジュール82が子供Aの衣服内温湿度、体温、発汗量などを計測し、その計測されたデータが見守りデータRとして、子供見守り装置1に収集される。その収集した見守りデータRから、熱中症要因、低体温症要因、うつぶせ寝要因の検出処理が実行される。
【0084】
そのため、子供見守り装置1(子供見守りシステム100)によって、親Bの計測作業、結果の記録作業がなくても、子供Aの普段の健康状態を示すデーが自動的に収集される。また、その収集されたデータから、熱中症要因、低体温症要因、うつぶせ寝要因が検出されると、子供Aに熱中症の兆候、低体温症の兆候、うつぶせ寝の兆候があるか否かが判定され、その判定結果に応じて、熱中症アラート、低体温症アラート、うつぶせ寝アラートが発出される。これらのアラートによって、親Bによる熱中症、低体温症、うつぶせ寝の予防に有益な動作が期待される。そのため、親Bの計測作業、結果の記録作業がなくても、子供Aの普段の健康状態を自動的に把握できるだけでなく、その把握できた健康状態から、熱中症、低体温症、うつぶせ寝のそれぞれの兆候を捉えることができる。したがって、子供見守り装置1(子供見守りシステム100)によって、子供が熱中症を発症とともに、低体温症の発症、さらにはうつぶせ寝を予防でき、その結果、乳幼児突然死症候群の発症も予防することができる。
【0085】
特に、子供見守り装置1(子供見守りシステム100)によって、熱中症とともに、低体温症の発症を予防することができる。乳幼児の健康管理に関しては、乳幼児突然死症候群のほか、低体温症にも注意が必要である。低体温症は、新生児の死亡原因の一つである。乳幼児(特に新生児)は、自律神経が未発達であり、適切な体温調節ができないため、室温が低い場合等に体温が低下しやすい。したがって、乳幼児は低体温症を発症しやすい。乳幼児が低体温症を発症し、それが持続すると、免疫力の低下や低血糖、敗血症を発生しやすい。そのため、乳幼児の健康管理の観点から、低体温症の兆候が事前に検出できることが望ましい。
【0086】
乳幼児が低体温症を発症しないようにするには、体温計測が不可欠であるが、それには、見守りデータRに含まれている皮膚温度フィールド46fのデータを利用することが有効である。そのため、子供見守り装置1(子供見守りシステム100)では、熱中症判定とともに、低体温症判定を行うことで、低体温症の発症を予防できるようになっている。
【0087】
さらに、乳幼児突然死症候群の予防には、うつぶせ寝を検出することも重要である。そのため、子供見守り装置1(子供見守りシステム100)では、熱中症判定、低体温症判定とともに、うつぶせ寝判定を行うことで、うつぶせ寝の発生を予防できるようになっている。
【0088】
一方、子供見守り装置1に収集された見守りデータRから、熱中症要因、低体温症要因、うつぶせ寝要因の検出が行われることなく、熱中症判定、低体温症判定、うつぶせ寝判定が実行される場合も考えられる。しかし、この場合は、熱中症判定、低体温症判定、うつぶせ寝判定が、収集された見守りデータRすべてを対象にして実行されることとなり、データ処理に無駄が生じやすい。
【0089】
しかし、収集された見守りデータRから熱中症要因、低体温症要因、うつぶせ寝要因が繰り返し検出されるときは、熱中症、低体温症、うつぶせ寝が発生しやすい環境に子供Aが置かれているなどにより、熱中症要因、低体温症要因、うつぶせ寝要因が検出されない場合に比べて、子供Aが熱中症、低体温症を発症したり、子供Aにうつぶせ寝が発生するおそれが高くなっていると考えられる。そこで、本実施の形態では、収集された見守りデータRから熱中症要因、低体温症要因、うつぶせ寝要因が検出されたときに熱中症判定、低体温症判定、うつぶせ寝判定が実行されるようにして、データ処理に無駄が生じないようにして、しかも、熱中症判定、低体温症判定、うつぶせ寝判定ができるだけ有効になるようにしている。
【0090】
また、熱中症判定は、顔色確認処理(ステップ35)と、発汗確認処理(ステップ36)の2通りの処理で実行されている。熱中症判定、すなわち、熱中症の兆候が子供Aにあるか否かの判定には、顔色が赤く変化していることと、発汗量が増えていることの2点が有効である。どちらか一方でも、熱中症の兆候があると考えられるが、両方とも、熱中症の兆候があると判定される場合は、熱中症の兆候がより強く出ていると考えられる。そのため、熱中症対策処理において、両方とも、熱中症の兆候があると判定される場合(顔色フラグ="2"かつ発汗フラグ="3")は、アラートフラグに"12"がセットされ、顔色と発汗量がどちらか一方でだけ、熱中症の兆候があると判定される場合は、アラートフラグに"11"がセットされる(ステップ37~41)。アラートフラグに"12"がセットされた場合は、アラートフラグに"11"がセットされた場合よりも、より有効で強い内容のアラートが発出される。
【0091】
第2の実施形態
次に、図20図22を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る子供見守り装置1を含む子供見守りシステム200の構成について説明する。図20は、本発明の第2の実施の形態に係る子供見守りシステム200のシステム構成図である。図21は、センサユニット181を示す斜視図である。図22はセンサユニット181に搭載されているRFID(Radio Frequency Identification)タグ182の平面図、図23図22の23-23線断面図である。
【0092】
子供見守りシステム200は、子供見守りシステム100と比較して、センサユニット81の代わりにセンサユニット181を有する点と、RFIDリーダ70を有する点とで相違している。センサユニット181はセンサユニット81と比較して、センサモジュール82の代わりにRFIDタグ182が搭載されている点で相違している。
【0093】
子供見守りシステム100では、センサモジュール82が衣服内温湿度、体温等を計測し、その計測データを子供見守り装置1に送信する。これに対し、子供見守りシステム200では、RFIDタグ182が衣服内温湿度、体温等を計測する計測手段としてのICチップ120を有する。その計測結果を含む計測データが搬送波71d、反射波181cの送受信による無線通信によってRFIDタグ182からRFIDリーダ70が読み取り、RFIDリーダ70がその計測データを子供見守り装置1に送信する。なお、子供見守りシステム200では、子供見守り処理が実行されるにあたり、予め子供見守り装置1とRFIDリーダ70との間でペアリングが実行される。
【0094】
図22図23に示すように、RFIDタグ182は、細長い平面視矩形状に形成されている。RFIDタグ182は、図示の長さLが2cm~6cmほどであり、幅Wが0.3cm~1.0cmほどで形成されていることが好ましい。
【0095】
RFIDタグ182は、絶縁ベース層110と、アンテナパターン130と、絶縁カバー層150とを有し、絶縁ベース層110と絶縁カバー層150との間にアンテナパターン130が挟まれた構造を有している。絶縁ベース層110と絶縁カバー層150とは、ポリイミド等の樹脂を用いて8~1000ミクロン程度の厚さで形成されている。アンテナパターン130は、導電性を有する部材、例えば、アルミニウム、銅などの金属を用いて0.05~1000ミクロン程度の厚さで形成されている。
【0096】
アンテナパターン130は、長さ方向ほぼ中央に平面視概ね矩形状の開口部140が形成されている。その周囲がインピーダンス整合部132であり、その一部にICチップ120が配置されている。ICチップ120は、アンテナパターン130に電気的に接続されており、後述する搬送波71dから給電部131を介して給電される。ICチップ120は、図24に示すように、温度センサ120a,湿度センサ120b,体温センサ120c、発汗センサ120d、角速度センサ120eを有しており、これらのセンサで、センサモジュール82と同様に、衣服内温湿度などが計測される。その計測結果を含むデータが搬送波71d、反射波181cの送受信によって、RFIDリーダ70に送信される。
【0097】
以上の構成を有するRFIDタグ182は、細長い平面視矩形状に形成されているから、搬送波71dを受信したときにその電流成分のベクトルが屈曲する点(屈曲点)を有しない。仮に、RFIDタグに屈曲点が存在すると、その屈曲点で電流密度が高くなる。すると、そのRFIDタグが高誘電体(例えば、人体)に接触したときの放電現象が発生しやすいから、屈曲点における誘電損失が大きい。そのため、屈曲点が存在すると、RFIDタグが高誘電体(例えば、人体)に接触した場合に通信距離が低下することとなる。
【0098】
一方、RFIDタグ182を用いて、子供の体温(皮膚温度)を正確に測定されるためには、RFIDタグ182が子供の体表面に直接接触することが好ましい。
【0099】
しかし、従来のRFIDタグの場合は、上記の理由から、人体のような高誘電体に接触したときに通信距離が低下するおそれがあった。そうすると、例えば、RFIDリーダ70が子供Aから離れた場所に配置された場合、通信距離の低下に伴い、通信品質が悪化するおそれがあった。この点、本実施の形態に係るRFIDタグ182は、高誘電体(例えば、人体)に接触しても通信距離が低下することがなく、通信品質が悪化するおそれもない。
【0100】
RFIDリーダ70は、それぞれRFIDタグ182と搬送波71d、反射波181cによる無線通信を行い、RFIDタグ182に記憶されているデータ(ICチップ120の温度センサ120a等による測定データを含む)の読み取り動作を実行する。RFIDリーダ70は、コントローラ71aと、アンテナ71bとを有している。コントローラ71aとアンテナ71bとが配線71cにより接続されている。コントローラ71aは、アンテナ71bによる搬送波71dの送信と、反射波181cの受信およびその信号処理を行う制御回路を有している。アンテナ71bは、コントローラ71aの指示にしたがい搬送波71dを送信し、反射波181cを受信して、その反射波181cをコントローラ71aに出力する。
【0101】
そして、図25に示すように、子供見守り装置1から計測指示IがRFIDリーダ70に送信されると、その計測指示Iに対応した計測指示IがRFIDリーダ70からRFIDタグ182に送信される。すると、RFIDタグ182において、ICチップ120の測定データが読み出されて計測データJとしてRFIDリーダ70に送信される。計測データJに応じた計測データJが子供見守り装置1に送信される。それから、RFIDリーダ70とRFIDタグ182とにおいて、計測指示I、計測データJの送信が子供見守りシステム100と同様のチェック間隔Ct、データ収集期間Dtにしたがって実行される。子供見守り装置1にも、チェック間隔Ct、データ収集期間Dtに対応して、計測データJが収集される。これにより、子供見守りシステム200でも、子供見守りシステム100と同様に、子供見守り処理が実行され、熱中症要因、低体温症要因、うつぶせ寝要因の検出と、熱中症判定、低体温症判定、うつぶせ寝判定が実行される。そのため、子供見守りシステム200でも、子供見守りシステム100と同様の作用効果が得られる。
【0102】
第3の実施形態
次に、図26図31を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る子供見守り装置101を含む子供見守りシステム300の構成について説明する。図26は、本発明の第3の実施の形態に係る子供見守りシステム300のシステム構成図である。図27(a)は、センサバンド113を示す斜視図、図27(b)は、センサバンド113に組み込まれているセンサモジュール112の内部の構成を示すブロック図である。図28は、子供見守り装置101が実行する子供見守り処理の動作手順を示すフローチャート、図29は、子供見守り装置101が実行するたばこの煙対策処理の動作手順を示すフローチャートである。図30は子供見守り装置101の見守りデータ記憶部146のデータベース構造の一例を示す図、図31は、子供見守り装置101のアラートテーブル152のデータベース構造の一例を示す図である。
【0103】
子供見守りシステム300は、子供見守りシステム100と比較して、子供見守り装置1の代わりに子供見守り装置101を有する点、センサユニット81の代わりにセンサバンド113を有する点で相違している。
【0104】
子供見守り装置101は、子供見守り装置1と比較して、見守りデータ記憶部46、アラートテーブル52の代わりにそれぞれ見守りデータ記憶部146、アラートテーブル152を有する点と、子供見守り処理の動作手順が異なる点と、たばこの煙対策処理が実行される点とで相違している。
【0105】
センサバンド113は、図27(a)に示すように、バンド部111とセンサモジュール112とを有している。バンド部111は、適度な幅と長さを有する帯状の部材で、ポリエステルなどの合成繊維とラバーとを用いて伸縮可能に形成されている。また、着脱可能な面ファスナーがバンド部111の表面111aと、裏面111bとに取り付けられている。その裏面111bの一部が表面111aの一部と噛み合ったときにセンサバンド113が環状になり、裏面111bと表面111aとが離れたときにセンサバンド113が帯状になる。また、センサモジュール112が表面111aと、裏面111bとの間に挟み込まれるようにして組み込まれている。センサバンド113は、例えば、図26に示すように、子供Aの腕に巻き付けてアームバンドのようにして使用される。
【0106】
センサモジュール112は、センサモジュール82と比較して、煙センサ92を有する点、MCU83が煙センサ92に応じた処理を実行する点で相違している。煙センサ92は、周囲の空気中に含まれるたばこの煙を検出する煙検出手段である。煙センサ92は、検出対象のたばこの煙(主にたばこの煙に含まれる一酸化炭素)の濃度が高くなるしたがい抵抗値が低くなり、出力電圧が上昇する特性を有している。そのため、煙センサ92の出力電圧が基準値を超えたことをMCU83が検出することで、たばこの煙が検出される。MCU83は、その際、たばこの煙が検出されたことを示す"7"を喫煙フラグにセットして、計測データを生成する。喫煙フラグは後述する喫煙判定に用いられるので、本発明における喫煙データに相当する。センサモジュール112から出力される計測データには、喫煙フラグが含まれているため、子供見守り装置101が受信する計測データと、子供見守り装置101に保存される見守りデータRにも喫煙フラグが含まれている。
【0107】
図30に示すように、見守りデータ記憶部146は、見守りデータ記憶部46と比較して、喫煙フラグフィールド46kを有する点で相違している。喫煙フラグフィールド46kには、計測データに含まれる喫煙フラグがセットされる。また、図31に示すように、アラートテーブル152は、アラートテーブル52と比較して、アラートフラグ"71"に応じた音声データが追加されている点で相違している。
【0108】
そして、図28に示すように、子供見守り装置101で実行される子供見守り処理は、子供見守り装置1で実行される子供見守り処理と比較して、たばこの煙対策処理が、ステップ7とステップ8との間で実行される点で相違している。
【0109】
そのたばこの煙対策処理は、CPU31により、図29に示すフローチャートにしたがって実行される。たばこの煙対策処理では、ステップ113において、CPU31が喫煙判定手段としての動作を行い、後述する喫煙判定が実行される。CPU31がたばこの煙対策処理を開始すると、処理がステップ111に進み、"1"がレコードカウンタrcにセットされる。レコードカウンタrcは、読み出される見守りレコード(R1,R2・・・R15)を順番に対応している。例えば、レコードカウンタrcが"1"のときは、次のステップ112で、見守りデータセットの1件目のレコード(見守りレコードR1)が読み出される。処理がステップ112に進むと、レコードカウンタrcに対応した見守りレコード(R1,R2・・・R15)が読み出される。続くステップ113では、喫煙判定が実行される。喫煙判定は、たばこの煙が子供Aの周囲で検出されたか否かの判定であり、本実施の形態では、見守りレコード(R1,R2・・・R15)の喫煙フラグにしたがい実行される。CPU31は、ステップ113で、喫煙フラグ(喫煙フラグフィールド46k)に"7"がセットされている否かを判定する。そして、喫煙フラグに"7"がセットされているときは、たばこの煙が子供Aの周囲で検出されたと判定され、そのときは処理がステップ115に進むが、喫煙フラグに"7"がセットされていないときは、たばこの煙が子供Aの周囲で検出されていないため、処理がステップ114に進む。ステップ115では、喫煙停止を促す喫煙停止アラートが発出されるように、アラートフラグに"71"がセットされる。その後、ステップ42に処理が進み、前述したアラート発出処理が実行される。
【0110】
また、ステップ114では、レコードエンドか否か(最終レコードが読み出されたか否か)が判定され、レコードエンドであるときは、たばこの煙対策処理が終了するが、レコードエンドでないときは処理がステップ117に進む。ステップ117では、レコードカウンタrcに"1"が加算され、その後、ステップ112に処理が戻る。
【0111】
たばこの煙対策処理において、ステップ42のアラート発出処理が実行されると、アラートフラグ"71"に応じたアラートが発出される。そのため、喫煙停止を促す音声(例えば、図31に示すように、"赤ちゃんのため、たばこをやめませんか"、その音声に応じた文字の表示)が喫煙停止アラートとして出力される。ステップ42が終了すると、たばこの煙対策処理が終了する。
【0112】
以上のように、子供見守りシステム300では、センサバンド113のセンサモジュール112によって、たばこの煙が検出されると、喫煙フラグに"7"がセットされた見守りデータRが子供見守り装置101に保存される。子供見守り装置101には、見守りデータRとして、データ収集期間Dtに収集された複数の見守りレコード(R1~R15)が保存されている。そのうちの1件の見守りレコード(R1~R15)の喫煙フラグに"7"がセットされていても、喫煙停止アラートが発出される。これにより、親Bによる喫煙停止が期待される。
【0113】
近年の研究から、熱中症やうつぶせ寝とともに、喫煙が乳幼児突然死症候群の要因であることが知られている。また、喫煙がなくなると、乳幼児突然死症候群を半分程度に削減できると考えられている。たばこの煙には、喫煙者が直接吸い込む主流煙と、点火部から立ち上がる副流煙とがあり、副流煙のほうが主流煙よりも多量の有害物質を含むことが知られている(例えば、一酸化炭素は4.7倍)。すると、子供Aの近くに喫煙者がいた場合、その子供Aは、その副流煙を吸ってしまう受動喫煙になるおそれが高い。そのため、喫煙は子供Aの健康に大きく影響する。
【0114】
この点、子供見守りシステム300では、センサバンド113がアームバンドのようにして、子供Aに取り付けられていることで、センサモジュール112によって、子供Aの周囲におけるたばこの煙が検出される。そのとき、センサモジュール112から喫煙データとしての喫煙フラグを含む計測データが送信され、それを受信した子供見守り装置101において、喫煙停止アラートが発出される。これにより、親Bによる喫煙停止が期待される。すると、熱中症の発症、低体温症の発症、うつぶせ寝の発生に加えて、喫煙停止が期待されるため、子供Aが乳幼児突然死症候群を発症する可能性をより確実に防止できる。しかも、喫煙による子供Aの健康への影響も防止できる。
【0115】
一方、前述の熱中症対策処理、低体温対策処理、うつぶせ寝対策処理では、見守りデータセットのすべての見守りレコードについて、それぞれ熱中症フラグ、低体温フラグ、うつぶせ寝フラグに"1"がセットされているときにアラート発出処理が実行されていた。これに対し、たばこの煙対策処理では、喫煙フラグに"7"がセットされている見守りレコードが1件だけでも、喫煙停止アラートが発出される。したがって、喫煙がごく短時間であっても、喫煙停止アラートが発出される。
【0116】
(そのほかの変形例)
子供見守り装置は高機能携帯電話機ではなく、ノートパソコンでもよい。なお、CPU31が実行する子供見守りプログラムは、磁気記録媒体、CD-ROM,DVD等の各種記録媒体に記録することができるし、ネットワークを介して図示しないサーバからダウンロードすることもできる。
【0117】
また、RFIDタグ182のICチップ120にも、センサモジュール112のような煙センサ92が搭載されてもよい。さらに、子供見守りシステム300では、センサモジュール112のMCU83によって、たばこの煙が検出されたことを示す"7"が喫煙フラグにセットされていた。これと異なり、MCU83が煙センサ92から出力される電圧を示すデータ(煙センサ電圧データ)を計測データにセットし、子供見守り装置101がその煙センサ電圧データを含む見守りデータRを見守りデータ記憶部146に記憶させて保存し、CPU31がその煙センサ電圧データを用いて、喫煙判定を実行してもよい。この場合、煙センサ電圧データが本発明における喫煙データに相当する。
【0118】
以上の説明は、本発明の実施の形態についての説明であって、この発明の装置及び方法を限定するものではなく、様々な変形例を容易に実施することができる。また、各実施形態における構成要素、機能、特徴あるいは方法ステップを適宜組み合わせて構成される装置又は方法も本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明を適用することにより、子供(主に乳幼児)の普段の健康状態を示すデータから熱中症の兆候を検出して、熱中症とともに乳幼児突然死症候群の発症を予防できるようにすることができる。本発明は、子供見守り装置、子供見守りシステムおよび子供見守りプログラムの分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0120】
1,101…子供見守り装置、2…スピーカ、31…CPU、38…無線モジュール、42…カメラ、45…顔写真データ記憶部、45b…顔色確認データ記憶部、46,146…見守りデータ記憶部、70…RFIDリーダ、80…オムツ、81,181…センサユニット、82,112…センサモジュール、100,200,300…子供見守りシステム,113…センサバンド,182…RFIDタグ。
【要約】
【課題】子供の普段の健康状態を示すデータから熱中症の兆候を検出して、熱中症とともに乳幼児突然死症候群の発症を予防できるようにする子供見守り装置、子供見守りシステムおよび子供見守りプログラムを提供する。
【解決手段】子供見守り装置1は、CPU31を有し、そのCPU31によって、子供が着用する衣服の内側の気温および湿度である衣服内温湿度と子供の体温とにしたがい子供が熱中症を発症する可能性を高める熱中症要因を検出する熱中症要因検出手段、熱中症要因が検出されたときに熱中症の兆候が子供にあるか否かの熱中症判定を実行する熱中症判定手段、熱中症の兆候が子供にあると判定されたときに、熱中症の発症予防を促す熱中症アラートを発出させるアラート発出制御手段が実現される。
【選択図】図4
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