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特許7316582自転車用制御装置、電動自転車、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】自転車用制御装置、電動自転車、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230721BHJP
   B62M 6/45 20100101ALI20230721BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20230721BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20230721BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20230721BHJP
   B60L 50/20 20190101ALI20230721BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
H02J7/00 X
B62M6/45
H02J7/00 P
B60L3/00 S
B60L58/12
B60L15/20 J
B60L50/20
H01M10/48 P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019036920
(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2020141524
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 孝紀
(72)【発明者】
【氏名】川上 将史
(72)【発明者】
【氏名】片尾 公治
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-083529(JP,A)
【文献】特開2012-167933(JP,A)
【文献】特開2018-043593(JP,A)
【文献】国際公開第2015/125430(WO,A1)
【文献】特開2010-263772(JP,A)
【文献】国際公開第2015/111395(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 - 10/48
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
B60R 16/00 - 17/02
B62J 1/00 - 99/00
B62M 1/00 - 29/02
B62K 13/00 - 19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータに電力を供給するバッテリを備える電動自転車のために用いられる自転車用制御装置であって、
記バッテリの消費電力情報を用いて、前記電動自転車の異常を判定する演算部と、
通知制御部と、を備え、
前記バッテリの前記消費電力情報は、前記電動自転車の使用ごとに走行時に消費されたバッテリ消費電力量を表す情報を含み、
前記演算部は、
前記バッテリ消費電力量と過去の前記バッテリ消費電力量との差分と、閾値とを比較し、前記異常を判定
バッテリ残量を前記バッテリ消費電力量で割った値を、前記電動自転車で特定ルートを走行可能な回数である実行可能回数として算出し、
前記通知制御部は、前記演算部で演算された前記実行可能回数を通知するように通知部を制御する、
自転車用制御装置。
【請求項2】
前記電動自転車の前記モータを制御する駆動制御部を更に備え、
前記駆動制御部は、前記演算部で算出された前記実行可能回数よりも多く前記電動自転車が前記特定ルートを走行できるように前記モータからのアシスト力を調整する、
請求項に記載の自転車用制御装置。
【請求項3】
前記電動自転車の走行モードとして、回数通知モードを有し、
前記通知制御部は、前記電動自転車の走行モードが前記回数通知モードである場合、前記実行可能回数を通知するように前記通知部を制御する、
請求項1又は2に記載の自転車用制御装置。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の自転車用制御装置と、
前記モータと、
前記バッテリと、
前記バッテリが取り付けられているフレームと、
前記フレームに取り付けられており、前記モータから出力された動力により回転する車輪と、を備える、
電動自転車。
【請求項5】
モータに電力を供給するバッテリを備える電動自転車のために、コンピュータを、
前記バッテリの消費電力情報を用いて、前記電動自転車の異常を判定する演算部及び通知制御部として機能させるためのプログラムであって
前記バッテリの前記消費電力情報は、前記電動自転車の使用ごとに走行時に消費されたバッテリ消費電力量を表す情報を含み、
前記演算部は、
前記バッテリ消費電力量と過去の前記バッテリ消費電力量との差分と、閾値とを比較し、前記異常を判定し、
バッテリ残量を前記バッテリ消費電力量で割った値を、前記電動自転車で特定ルートを走行可能な回数である実行可能回数として算出し、
前記通知制御部は、前記演算部で演算された前記実行可能回数を通知するように通知部を制御する
ログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に自転車用制御装置、電動自転車、及びプログラムに関する。本発明は、より詳細には、モータに電力を供給するバッテリを備える電動自転車のために用いられる自転車用制御装置、この自転車用制御装置を備える電動自転車、及び、電動自転車のために用いられるコンピュータのためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両識別情報で特定される電動車両が、バッテリの識別情報及び充電量情報から特定されるバッテリの充電量で走行することができる実走行可能距離又は実走行可能時間を演算し、この演算結果を表示装置に表示させる管理装置が開示されている。特許文献1に記載された管理装置は、バッテリの識別情報、充電量情報及び車両識別情報に基づいて、記憶装置に記憶されている対応関係を参照して、実走行可能距離又は実走行可能時間を演算し、この演算結果を表示装置に表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-198445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の管理装置は、バッテリ充電量、実走行可能距離、及び実走行可能時間を表示させることができるが、電動自転車のユーザにとってわかりにくい情報であった。電動自転車のユーザは、日常、決まったルート(特定ルート)で電動自転車を使用していることが多く、特定ルートにおいて、どの程度走行できるのかわかりにくかった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされた発明であり、本発明の目的は、特定ルートでの走行可能回数を通知することができる自転車用制御装置、電動自転車、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る自転車用制御装置は、モータに電力を供給するバッテリを備える電動自転車のために用いられる自転車用制御装置である。前記自転車用制御装置は、演算部と、通知制御部と、を備える。前記演算部は、前記バッテリの消費電力情報を用いて、前記電動自転車の異常を判定する。前記バッテリの前記消費電力情報は、前記電動自転車の使用ごとに走行時に消費されたバッテリ消費電力量を表す情報を含む。前記演算部は、前記バッテリ消費電力量と過去の前記バッテリ消費電力量との差分と、閾値とを比較し、前記異常を判定する。前記演算部は、バッテリ残量を前記バッテリ消費電力量で割った値を、前記電動自転車で特定ルートを走行可能な回数である実行可能回数として算出する。前記通知制御部は、前記演算部で演算された前記実行可能回数を通知するように通知部を制御する。
【0007】
本発明の一態様に係る電動自転車は、前記自転車用制御装置と、前記モータと、前記バッテリと、フレームと、車輪とを備える。前記フレームには、前記バッテリが取り付けられている。前記車輪は、前記フレームに取り付けられており、前記モータから出力された動力により回転する。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、モータに電力を供給するバッテリを備える電動自転車のために、コンピュータを、演算部及び通信制御部として機能させるためのプログラムである。前記演算部は、前記バッテリの消費電力情報を用いて、前記電動自転車の異常を判定する。前記バッテリの前記消費電力情報は、前記電動自転車の使用ごとに走行時に消費されたバッテリ消費電力量を表す情報を含む。前記演算部は、前記バッテリ消費電力量と過去の前記バッテリ消費電力量との差分と、閾値とを比較し、前記異常を判定する。前記演算部は、バッテリ残量を前記バッテリ消費電力量で割った値を、前記電動自転車で特定ルートを走行可能な回数である実行可能回数として算出する。前記通知制御部は、前記演算部で演算された前記実行可能回数を通知するように通知部を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様に係る自転車用制御装置、電動自転車、及びプログラムによれば、特定ルートでの走行可能回数を通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係る自転車用制御装置のブロック図である。
図2図2は、同上の自転車用制御装置の動作を示すフローチャートである。
図3図3は、実施形態1に係る電動自転車の側面図である。
図4図4は、実施形態2に係る自転車用制御装置の動作を示すフローチャートである。
図5図5は、実施形態1の一の変形例に係る自転車用制御装置のブロック図である。
図6図6は、実施形態1の他の変形例に係る自転車用制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態1~4に係る自転車用制御装置1、電動自転車2、及びプログラムについて、図面を参照して説明する。下記の実施形態等において参照する図3は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0012】
また、以下では、特に断りのない限り、走行面100は水平面であるとして説明する。ただし、実際は、走行面100は水平面である必要はなく、水平面に対して傾斜していてもよいし、凹凸のある面であってもよい。
【0013】
さらに、以下では、電動自転車2が進む方向を「前方向」とし、前方向の反対方向を「後方向」とし、前方向及び後方向を併せて「前後方向」として定義する。また、前後方向に直交し、かつ水平面に沿う互いに反対向きの2方向を「左右方向」として定義する。ただし、これらの方向の定義は、自転車用制御装置1、モータユニット3、バッテリユニット4、ドライブユニット5、及び電動自転車2の使用態様を限定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は、説明のために表記しているにすぎず、実体を伴わない。
【0014】
(実施形態1)
(1)自転車用制御装置の全体構成
実施形態1に係る自転車用制御装置1の全体構成について、図1を参照して説明する。
【0015】
実施形態1に係る自転車用制御装置1は、図1に示すように、処理部11と、通知部12と、記憶部13とを備える。自転車用制御装置1は、例えば、電動自転車2のために用いられる。
【0016】
自転車用制御装置1は、例えばプロセッサ及びメモリを有するマイクロプロセッサで構成されている。プロセッサは、メモリに記憶されているプログラムを実行することによって、処理部11として機能する。言い換えると、上記プログラムは、電動自転車2のために、コンピュータを、演算部15及び通知制御部16として機能させるためのプログラムである。
【0017】
自転車用制御装置1は、例えば、電動自転車2のために用いられる。特に、自転車用制御装置1は、後述のバッテリユニット4及びモータ6と共に用いられる。
【0018】
(2)電動自転車
電動自転車2は、図3に示すように、電気的な動力によって、走行面100を走行可能な自転車である。実施形態1では、電動自転車2は、ユーザの踏む力(踏力)をモータ6によって補助する電動アシスト自転車である。
【0019】
電動自転車2は、図3に示すように、モータユニット3と、フレーム7とを備える。さらに、電動自転車2は、複数(図示例では2つ)の車輪21と、フロントフォーク22と、ハンドル23と、サドル24と、一対のクランクアーム25と、一対のペダル26と、動力伝達体27と、バッテリ41とを備える。モータユニット3とバッテリユニット4とでドライブユニット5を構成する。
【0020】
(2.1)車輪
複数の車輪21は、フレーム7を走行面100の上に支える部材である。実施形態1に係る電動自転車2は、複数の車輪21として、前輪28と、後輪29とを備える。前輪28は、中心にハブ281を有し、後輪29は、中心にハブ291を有する。複数の車輪21は、フレーム7に取り付けられており、モータ6から出力された動力により回転する。
【0021】
前輪28は、前後方向に並ぶ二つの車輪21のうちの前側の車輪である。前輪28は、実施形態1では、レッグ221によって、左右方向に沿った軸回りに回転し得るように支持される。前輪28は、実施形態1では、モータユニット3から動力の伝達を受けない車輪である。
【0022】
後輪29は、前後方向に並ぶ二つの車輪21のうちの後側の車輪である。後輪29は、実施形態1では、二つのチェーンステー77によって、左右方向に沿った軸回りに回転可能に支持される。
【0023】
後輪29は、ハブ291と同心状で、かつハブ291に対して一体的に取り付けられたリアスプロケット292を備える。リアスプロケット292は、モータユニット3の駆動スプロケット32に対し、動力伝達体27を介して連結されている。これにより、モータユニット3から出力された動力は、後輪29に伝達される。
【0024】
(2.2)フロントフォーク
フロントフォーク22は、前輪28を支える。フロントフォーク22は、一対のレッグ221と、クラウン222と、ステアリングコラム223とを備える。クラウン222は、一対のレッグ221の上端をつなぐ。ステアリングコラム223は、クラウン222から突出する。一対のレッグ221には、ハブ281に通されたシャフトを介して、前輪28が回転可能に取り付けられている。前輪28の回転軸は、走行面100に対して平行である。ステアリングコラム223の突出方向(長手方向)は、クラウン222から、上方向に行くに従って後方向に行くように延びており、走行面100に対して傾いている。
【0025】
(2.3)ハンドル
ハンドル23は、ステアリングコラム223の上端に取り付けられており、フロントフォーク22に対して固定されている。ステアリングコラム223は、後述のフレーム7のヘッドパイプ71に通されており、フレーム7に回転可能に取り付けられている。ステアリングコラム223の回転軸は、ステアリングコラム223の長手方向に略平行である。したがって、ハンドル23は、ステアリングコラム223の長手方向に沿う軸を回転軸として、前輪28を回転させることができる。
【0026】
(2.4)フレーム
フレーム7は、複数の車輪21、フロントフォーク22、ハンドル23、サドル24、バッテリ41及びモータユニット3が取り付けられる骨組みである。フレーム7の材料は、例えば、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金である。ただし、フレーム7の材料は、アルミニウム合金に限らず、例えば、鉄、クロムモリブデン鋼、ハイテンスチール、チタン、又はマグネシウムであってもよい。また、フレーム7の材料は、金属に限らず、例えば、カーボン、木材、竹、又は繊維強化合成樹脂(例えば、CFRP;Carbon Fiber Reinforced Plastics)であってもよい。
【0027】
実施形態1のフレーム7は、ヘッドパイプ71と、上パイプ72と、補強パイプ73と、下パイプ74と、立パイプ75と、複数(図3では一つのみ図示)のシートステー76と、複数(図3では一つのみ図示)のチェーンステー77と、ブラケット78とを備える。本開示でいう「パイプ」とは、細長くて中空な部材を意味する。本開示のパイプの断面形状は、例えば、円形状(正円、長円及び楕円を含む)、長方形状(正方形を含む)、六角形状、又は八角形状であってもよい。フレーム7には、モータ6及びバッテリ41が取り付けられている。
【0028】
(2.4.1)ヘッドパイプ
ヘッドパイプ71は、フロントフォーク22を支えるパイプである。ヘッドパイプ71の中心軸は、上方向に行くに従って後方向に行くように、走行面100に対して傾いている。ヘッドパイプ71には、ヘッドパイプ71の中心軸とステアリングコラム223の中心軸とが沿うように、ステアリングコラム223が通されている。これによって、ヘッドパイプ71は、ステアリングコラム223を回転可能に支える。ステアリングコラム223の回転軸は、実施形態1では、ヘッドパイプ71の中心軸と同じである。
【0029】
(2.4.2)上パイプ
上パイプ72は、ヘッドパイプ71と立パイプ75とをつなぐ。上パイプ72の長手方向の前端は、ヘッドパイプ71に接続されている。上パイプ72の長手方向の後端は、立パイプ75に接続されている。上パイプ72の長手方向は、実施形態1では、後方向に行くに従って下方向に行くように、走行面100に対して傾いている。ただし、本開示では、上パイプ72は走行面100に対して傾いていなくてもよい。また、本開示に係る電動自転車2は、上パイプ72を備えなくてもよい。
【0030】
(2.4.3)補強パイプ
補強パイプ73は、立パイプ75と上パイプ72との接続部分を補強するための補強部材である。補強パイプ73は、立パイプ75と上パイプ72とをつなぐ。なお、本開示では、電動自転車2は補強パイプ73を備えなくてもよい。
【0031】
(2.4.4)立パイプ
立パイプ75は、サドル24を保持する。立パイプ75の長手方向の下端は、ブラケット78に接続されている。立パイプ75の中心軸は、下端から上方向に行くに従って後方向に行くように、走行面100に対して傾いている。立パイプ75の中間部分には、上パイプ72の長手方向の後端が接続されている。ここでいう「立パイプ75の中間部分」とは、立パイプ75の長手方向のうちの下端と上端とを除く部分を意味する。ただし、本開示では、立パイプ75の上端に対して、上パイプ72が接続されてもよい。
【0032】
(2.4.5)下パイプ
下パイプ74は、ブラケット78とヘッドパイプ71とをつなぐ。下パイプ74の長手方向の前端は、ヘッドパイプ71に接続されている。下パイプ74の長手方向の後端は、ブラケット78に接続されている。下パイプ74の中心軸は、長手方向の後端から前方向に行くに従って上方向に行くように水平面(走行面100)に対して傾いている。実施形態1では、下パイプ74には、バッテリ41が取外し可能に取り付けられている。
【0033】
(2.4.6)チェーンステー
複数のチェーンステー77は、後輪29のシャフトを支える。チェーンステー77の長手方向の前端は、ブラケット78に接続されている。チェーンステー77の長手方向の後端は、シートステー76の後端に接続されている。一対のチェーンステー77は、左右方向に離れており、一対のチェーンステー77の後端部には、ハブ291に通されたシャフトを介して、後輪29が回転可能に取り付けられている。後輪29の回転軸は、走行面100に対して略平行であり、後輪29を支えるシャフトの中心軸と同じである。
【0034】
(2.4.7)シートステー
複数のシートステー76は、チェーンステー77と立パイプ75とをつなぐ。実施形態1では、シートステー76の長手方向の後端は、チェーンステー77の長手方向の後端に接続されている。シートステー76の長手方向の前端は、立パイプ75の中間部分に接続されている。実施形態1の一対のシートステー76は、上パイプ72から分岐しており、上パイプ72と一体である。ただし、シートステー76と上パイプ72とは別体であってもよい。
【0035】
(2.4.8)ブラケット
ブラケット78は、モータユニット3が取り付けられている部分である。ブラケット78は、実施形態1では、上下方向及び前後方向の両方と直交する方向から見て略C字状に形成されている。ブラケット78には、下パイプ74の長手方向の後端、立パイプ75の長手方向の下端及びチェーンステー77の長手方向の前端が接続されている。これによって、下パイプ74の長手方向の後端、立パイプ75の長手方向の下端及びチェーンステー77の長手方向の前端は、互いに固定されている。
【0036】
(2.5)サドル
サドル24は、シートピラー241と、ユーザが座る部分242とを有する。シートピラー241は、立パイプ75の中心軸に沿うようにして、立パイプ75に通されている。シートピラー241は、サドル24においてユーザが座る部分242から下側に突出している。シートピラー241は、実施形態1では、下方向に行くに従って前方向に行くように、走行面100に対して傾斜している。シートピラー241は、立パイプ75に対し、立パイプ75の中心軸に沿って移動可能に取り付けられている。
【0037】
(2.6)ペダル
ペダル26は、各クランクアーム25の長手方向の端部のうち、クランク軸31側とは反対側の端部に取り付けられている。ペダル26は、クランクアーム25に対して、回転可能に取り付けられている。ペダル26の回転軸は、クランク軸31の回転軸に対して略平行である。
【0038】
(2.7)動力伝達体
動力伝達体27は、モータユニット3から出力された動力を、複数の車輪21のうちの少なくとも一つに伝達する。動力伝達体27は、実施形態1では、モータユニット3の駆動スプロケット32と後輪29のリアスプロケット292との間で動力伝達可能に架けられるチェーンである。ただし、本開示では、動力伝達体27は、例えば、ベルト、シャフト、ワイヤ、又はギヤであってもよい。
【0039】
(3)モータユニット
モータユニット3は、図1及び図3に示すように、自転車用制御装置1と、モータ6と、クランク軸31と、駆動スプロケット32とを備える。モータユニット3は、駆動補助出力を出力可能な装置である。モータユニット3は、実施形態1では、人力駆動力である踏力に駆動補助出力を加えて、動力伝達体27を介して、後輪29に伝達する。
【0040】
モータユニット3のクランク軸31には、図3に示すように、一対のクランクアーム25が取り付けられている。クランクアーム25の長手方向は、クランク軸31の回転軸に対して交差する(図示例では、直交する)。一対のクランクアーム25は、クランク軸31の回転軸方向に見て一直線上に並ぶ。
【0041】
駆動スプロケット32は、例えば、複数のスプロケットで構成されており、リアスプロケット292と共に変速機を構成する。この変速機の変速位置を変えることにより、電動自転車2の変速が可能となる。
【0042】
モータ6は、電動自転車2の車輪21(図3参照)に回転動力を与えるように構成されている。モータ6は、電動自転車2のクランク軸31(図3参照)の近傍に設けられており、バッテリ41からの電力によって駆動し、クランク軸31に動力を伝達する。
【0043】
(4)ドライブユニット
ドライブユニット5は、図3に示すように、モータユニット3と、バッテリユニット4とを備える。
【0044】
バッテリユニット4は、バッテリ41と、バッテリ制御部42(図1参照)とを備える。
【0045】
バッテリ41は、モータユニット3に電力を供給する。より詳細には、バッテリ41は、モータユニット3のモータ6に電力を供給する。また、バッテリ41は、モータ6に加えて、例えば、ヘッドライト、及び、モータ6のON/OFFの操作部に電力を供給する。バッテリ41は、下パイプ74に対して取外し可能に取り付けられている。なお、バッテリ41は、立パイプ75の後方において、立パイプ75に沿って配置されてもよい。
【0046】
バッテリ制御部42は、電動自転車2が使用されるごとに、電動自転車2の走行時(使用時)にバッテリ41で消費された電力量(バッテリ消費電力量)を求める。バッテリ消費電力量を表す消費電力量情報は、バッテリ制御部42から自転車用制御装置1に出力される。また、バッテリ制御部42は、バッテリ41の残量を管理する。より詳細には、バッテリ制御部42は、使用前のバッテリ残量とバッテリ消費電力量との差分を新たなバッテリ残量として求める。バッテリ残量を表す残量情報は、バッテリ制御部42から自転車用制御装置1に出力される。
【0047】
なお、バッテリ残量は、バッテリの劣化を考慮して補正される。バッテリの劣化は、バッテリ41の充放電を表す充放電履歴により、求めることができる。充放電履歴は、バッテリ41のID(Identification)と共に保存される。充放電履歴は、通信機能を有する場合は、サーバ等の外部装置に保存されてもよい。
【0048】
(5)自転車用制御装置の各構成要素
以下、実施形態1に係る自転車用制御装置1の各構成要素について、図面を参照して説明する。
【0049】
(5.1)処理部
処理部11は、情報取得部14と、演算部15と、通知制御部16と、駆動制御部17とを備える。処理部11は、例えば、コンピュータのプロセッサ等により構成されている。
【0050】
(5.1.1)情報取得部
情報取得部14は、バッテリユニット4のバッテリ制御部42から消費電力量情報及び残量情報を取得する。消費電力量情報は、電動自転車2の走行時(使用時)に消費されたバッテリ消費電力量を表す情報である。情報取得部14は、バッテリユニット4から取得した消費電力量情報を走行情報として記憶部13に記憶させる。
【0051】
(5.1.2)演算部
演算部15は、走行情報及びバッテリ残量を用いて、実行可能回数を算出する。本開示では、走行情報は、電動自転車2を用いた走行に関する情報である。実施形態1では、走行情報は、消費電力量情報である。
【0052】
実施可能回数は、電動自転車2で特定ルートを走行可能な回数である。特定ルートは、あらかじめ決められているルートであり、例えば、通勤又は通学のルート、買物のルート、新聞の配達ルートである。なお、特定ルートは、上記のルートに限定されず、他のルートであってもよい。
【0053】
演算部15は、記憶部13に記憶されている消費電力量情報から、所定条件を満たす消費電力量情報を抽出する。より詳細には、演算部15は、消費電力量情報から、日時が所定の第1期間における所定の第2期間である消費電力量情報を抽出する。実施形態1では、所定条件は、所定の第1期間における所定の第2期間である。第1期間は、例えば、1週間又は1か月である。第2期間は、例えば、平日である。電動自転車2が通勤又は通学に使用されている場合、平日の使用距離及び使用時間は略一定となる。所定条件は、記憶部13にあらかじめ記憶されている。
【0054】
演算部15は、記憶部13から抽出された消費電力量情報から、バッテリ消費電力量の平均値を算出する。バッテリ消費電力量の平均値は、記憶部13から抽出された全てのバッテリ消費電力量の平均値であってもよいし、記憶部13から抽出された全てのバッテリ消費電力量のうち最頻値レンジの平均値であってもよい。バッテリ消費電力量の平均値として最頻値レベルが用いられる場合、例えば、特異な使用を除去することができる。
【0055】
実施形態1では、演算部15は、バッテリ残量をバッテリ消費電力量で割った値を実行可能回数とする。
【0056】
(5.1.3)通知制御部
通知制御部16は、演算部15で演算された実行可能回数を通知するように通知部12を制御する。
【0057】
通知のタイミングは、電動自転車2の使用時、電動自転車2の電源がオフ状態からオン状態に切り替わったとき、及び、電動自転車2の電源がオン状態からオフ状態に切り替わったときの少なくとも1つであればよい。なお、通知のタイミングは、上記のタイミングに限定されず、ユーザが実行可能回数を確認することが可能なタイミングであれば、上記以外のタイミングであってもよい。
【0058】
(5.1.4)駆動制御部
駆動制御部17は、電動自転車2のモータ6を制御する。より詳細には、駆動制御部17は、所定の回転速度でモータ6が回転するように、モータ6に駆動制御信号を出力して、モータ6を制御する。例えば、駆動制御部17は、所定の速度でアシストするようにモータ6を制御する。
【0059】
(5.2)通知部
通知部12は、通知制御部16による制御に従って、実行可能回数を通知する。より詳細には、通知部12は、例えばディスプレイを備え、通知制御部16による制御に従って、ディスプレイに実行可能回数を表示する。実施形態1の通知部12は、処理部11と同じ筐体に設けられている。
【0060】
(5.3)記憶部
記憶部13は、消費電力量情報を記憶する。より詳細には、記憶部13は、消費電力量情報を電動自転車2の使用時の日時と対応付けて記憶する。なお、自転車用制御装置1は、電動自転車2の使用時の日時を特定するために、カレンダ機能及び時計機能を有する。記憶部13は、上述した所定条件をあらかじめ記憶している。
【0061】
(6)自転車用制御装置の動作
以下、実施形態1に係る自転車用制御装置1の動作(自転車用処理方法)について、図2を参照して説明する。
【0062】
まず、ユーザが電動自転車2を使用したとき、情報取得部14は、電動自転車2の使用時(走行時)に消費されたバッテリ消費電力量を表す消費電力量情報を走行情報としてバッテリユニット4から取得する(ステップS1)。情報取得部14は、バッテリユニット4から取得した消費電力量情報を走行情報として記憶部13に記憶させる(ステップS2)。記憶部13は、消費電力量情報を電動自転車2の使用時の日時と対応付けて記憶する。
【0063】
情報取得部14は、バッテリ残量を表す残量情報をバッテリユニット4から取得する(ステップS3)。演算部15は、記憶部13に記憶されている消費電力量情報から、所定条件を満たす消費電力量情報を抽出する。より詳細には、演算部15は、消費電力量情報から、日時が所定の第1期間における所定の第2期間である消費電力量情報を抽出する(ステップS4)。その後、演算部15は、記憶部13から抽出された消費電力量情報から、バッテリ消費電力量の平均値を算出する(ステップS5)。
【0064】
演算部15は、バッテリユニット4から取得したバッテリ残量を、バッテリ消費電力量の平均値で割って、特定ルートの走行の実行可能回数を算出する(ステップS6)。通知制御部16は、演算部15で算出された実行可能回数を通知するように通知部12を制御する(ステップS7)。通知部12は、通知制御部16による制御に従って、実行可能回数を通知する(ステップS8)。
【0065】
(7)効果
実施形態1に係る自転車用制御装置1は、電動自転車2を用いた走行に関する走行情報及びバッテリ残量を用いて実行可能回数を算出し、上記実行可能回数を通知するように通知部12を制御する。これにより、特定ルートでの走行可能回数を通知することができる。
【0066】
実施形態1に係る自転車用制御装置1では、バッテリ残量をバッテリ消費電力量で割った値を実行可能回数とする。これにより、実行可能回数を精度よく算出することができる。
【0067】
(8)変形例
以下、実施形態1の変形例について説明する。
【0068】
実行可能回数は、実施形態1では小数であるが、実施形態1の変形例として整数であってもよい。
【0069】
通知部12は、処理部11と同じ筐体に設けられていることに限定されず、電動自転車2において処理部11とは別の位置に設けられていてもよい。通知部12は、例えば、スイッチ部又はディスプレイ部に設けられていてもよい。あるいは、通知部12は、バッテリ41が設けられている位置に設けられていてもよい。
【0070】
情報取得部14は、走行情報を記憶部13に記憶させることに限定されない。情報取得部14は、例えば、端末装置又はサーバのような外部装置に走行情報を記憶させてもよい。端末装置又は外部装置は、情報取得部14からの走行情報を取得して記憶する。
【0071】
所定条件は、所定の第1期間における所定の第2期間に限定されず、特定ルートであってもよい。特定ルートは、上述したように、あらかじめ決められているルートであり、例えば、通勤又は通学のルート、買物のルート、新聞の配達ルートである。特定ルートは、記憶部13に記憶されている。
【0072】
この場合、ユーザが電動自転車2を使用したとき、記憶部13は、電動自転車2の使用時の走行ルートを走行情報と対応付けて記憶する。演算部15は、記憶部13に記憶されている走行情報から、走行ルートが特定ルートである走行情報を抽出する。
【0073】
また、所定条件は、所定の第1期間における所定の第2期間かつ特定ルートであってもよい。この場合、ユーザが電動自転車2を使用したとき、記憶部13は、使用時の走行ルート及び使用時の日時を走行情報と対応付けて記憶する。演算部15は、記憶部13に記憶されている走行情報から、日時が第1期間における第2期間であって、かつ、走行ルートが特定ルートである走行情報を抽出する。
【0074】
さらに、所定条件は、所定の第2期間かつ特定ルートであってもよい。日時が所定の第1期間に限定されない。この場合、ユーザが電動自転車2を使用したとき、記憶部13は、使用時の走行ルート及び使用時の日時を走行情報と対応付けて記憶する。演算部15は、記憶部13に記憶されている走行情報から、日時が第2期間であって、かつ、走行ルートが特定ルートである走行情報を抽出する。
【0075】
上記の各変形例に係る自転車用制御装置1においても、実施形態1に係る自転車用制御装置1と同様の効果を奏する。
【0076】
(実施形態2)
実施形態2に係る自転車用制御装置1は、回数通知モードを有する点で、実施形態1に係る自転車用制御装置1と相違する。なお、実施形態2に係る自転車用制御装置1に関し、実施形態1に係る自転車用制御装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0077】
(1)自転車用制御装置の構成
実施形態2に係る自転車用制御装置1は、電動自転車2の走行モードとして、パワーモードと、ロングモードと、オートモードと、回数通知モードとを有する。電動自転車2の走行モードは、例えば、電動自転車2のスイッチで切り替えることができる。回数通知モードとは、例えば、通勤通学モードである。
【0078】
実施形態2の自転車用制御装置1では、電動自転車2の走行モードが回数通知モードである場合に、実施可能回数を通知させる動作を行う。
【0079】
演算部15は、電動自転車2の走行モードが回数通知モードである場合、実行可能回数を算出する。一方、走行モードが回数通知モード以外である場合、演算部15は、実行可能回数の算出を行わない。なお、実施形態2の演算部15に関し、実施形態1の演算部15と同様の構成及び機能については説明を省略する。
【0080】
通知制御部16は、電動自転車2の走行モードが回数通知モードである場合、実行可能回数を通知するように通知部12を制御する。一方、走行モードが回数通知モード以外である場合、通知制御部16は、実行可能回数の通知制御を行わない。なお、実施形態2の通知制御部16に関し、実施形態1の通知制御部16と同様の構成及び機能については説明を省略する。
【0081】
(2)自転車用制御装置の動作
以下、実施形態2に係る自転車用制御装置1の動作(自転車用処理方法)について、図4を参照して説明する。
【0082】
まず、ユーザが電動自転車2の走行モードを回数通知モード(通勤通学モード)に切り替える(ステップS11)。電動自転車2の走行モードが回数通知モードに切り替わった時点から所定期間が経過するまで、情報取得部14は、電動自転車2の使用時(走行時)に消費されたバッテリ消費電力量を表す消費電力量情報をバッテリユニット4から取得する(ステップS12)。情報取得部14は、バッテリユニット4から取得した消費電力量情報を記憶部13に記憶させる(ステップS13)。記憶部13は、消費電力量情報を記憶する。
【0083】
電動自転車2の走行モードが回数通知モードに切り替わった時点から所定期間が経過すると、情報取得部14は、バッテリ残量を表す残量情報をバッテリユニット4から取得する(ステップS14)。演算部15は、記憶部13に記憶されている消費電力量情報を用いて、バッテリ消費電力量の平均値を算出する(ステップS15)。
【0084】
演算部15は、バッテリユニット4から取得したバッテリ残量を、バッテリ消費電力量の平均値で割って、特定ルートの走行の実行可能回数を算出する(ステップS16)。通知制御部16は、演算部15で算出された実行可能回数を通知するように通知部12を制御する(ステップS17)。通知部12は、通知制御部16による制御に従って、実行可能回数を通知する(ステップS18)。
【0085】
(3)効果
実施形態2に係る自転車用制御装置1は、電動自転車2の走行モードが回数通知モードである場合、実行可能回数を通知するように通知部12を制御する。これにより、ユーザが要望しているときに、実行可能回数を知らせることができる。
【0086】
(4)変形例
自転車用制御装置1は、電動自転車2があらかじめ登録されている特定ルートを走行する場合、電動自転車2の走行モードを自動で回数通知モードに切り替えてもよい。電動自転車2の走行ルートは、例えば、GPS(Global Positioning System)で確認することができる。
【0087】
上記の変形例に係る自転車用制御装置1においても、実施形態2に係る自転車用制御装置1と同様の効果を奏する。
【0088】
(実施形態3)
実施形態3に係る自転車用制御装置1は、特定ルートを所望の回数だけ走行できるようにアシストレベル(補助駆動力発生量)を変更する点で、実施形態1に係る自転車用制御装置1と相違する。なお、実施形態3に係る自転車用制御装置1に関し、実施形態1に係る自転車用制御装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0089】
(1)自転車用制御装置の構成
実施形態3の駆動制御部17は、演算部15で算出された実行可能回数よりも多く電動自転車2が特定ルートを走行できるようにモータ6からのアシスト力を調整する。なお、実施形態3の駆動制御部17に関し、実施形態1の駆動制御部17と同様の構成及び機能については説明を省略する。
【0090】
実施形態3の駆動制御部17は、実行可能回数が1回未満である場合、特定ルートを1往復できるように、アシスト力を調整する。言い換えると、駆動制御部17は、通常時よりも単位時間あたりのアシスト力が小さくなるようにアシスト力を調整する。より詳細には、特定ルートをあらかじめ登録してから、又は、特定ルートを学習してから、実行可能回数が0.9回と算出された場合、駆動制御部17は、少なくとも1回以上走行できるようにアシスト力を調整する。他の例としては、実行可能回数が2.9回と算出された場合、駆動制御部17は、少なくとも3回走行できるようにアシスト力を調整する。
【0091】
これにより、バッテリ41を容量ぎりぎりまで使用することができるので、バッテリ41の充電回数を減らすことができる。その結果、バッテリ41の寿命を長くすることができる。
【0092】
(2)効果
実施形態3に係る自転車用制御装置1では、演算部15で算出された実行可能回数よりも多く電動自転車2が特定ルートを走行できるようにモータ6からのアシスト力を調整する。これにより、モータ6に電力を供給するバッテリ41を容量ぎりぎりまで使用することができ、バッテリ41の充電回数を減らすことができるので、バッテリ41の寿命を長くすることができる。
【0093】
(実施形態4)
実施形態4に係る自転車用制御装置1は、電動自転車2の異常を通知する機能を有する点で、実施形態1に係る自転車用制御装置1と相違する。なお、実施形態4に係る自転車用制御装置1に関し、実施形態1に係る自転車用制御装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0094】
(1)自転車用制御装置の構成
実施形態4の演算部15は、電動自転車2の走行時に消費されたバッテリ消費電力量が通常と異なる場合に電動自転車2が異常であると判定する。より詳細には、演算部15は、バッテリ消費電力量と過去のバッテリ消費電力量との差分絶対値が差分閾値以上である場合、電動自転車2が異常であると判定する。なお、実施形態4の演算部15に関し、実施形態1の演算部15と同様の構成及び機能については説明を省略する。
【0095】
実施形態4の通知制御部16は、電動自転車2が異常であると演算部15で判定された場合、電動自転車2の異常を通知するように通知部12を制御する。なお、実施形態4の通知制御部16に関し、実施形態1の通知制御部16と同様の構成及び機能については説明を省略する。
【0096】
実施形態4の通知制御部16は、いつもの特定ルートの走行で、バッテリ消費電力量、モータの走行負荷が通常と異なる場合、電動自転車2の異常を通知部12に通知させる機能を有する。電動自転車2の異常は、例えば、タイヤの空気圧の低下、駆動系部品のメンテナンスの不足若しくは劣化である。タイヤの空気圧の低下の検知は、例えば、現在よりも1週間前のデータと比較する。メンテナンスの不足の検知は、数か月(例えば6か月)前から1年前のデータと比較する。検知値が、過去の検知値と比較して大きく異なる場合、つまり、現在の検知値と過去の検知値との差分が差分閾値以上である場合、通知制御部16は、タイヤの空気圧が低下していること、現在がメンテナンスの時期であることを通知部12に通知させる。
【0097】
(2)効果
実施形態4に係る自転車用制御装置1は、バッテリ消費電力量が通常と異なる場合に電動自転車2が異常であると判定し、電動自転車2の異常を通知するように通知部12を制御する。これにより、電動自転車2の異常を早くユーザに知らせることができる。
【0098】
(3)変形例
実施形態4の変形例として、演算部15は、バッテリ消費電力量が電力量閾値未満である場合、電動自転車2が異常であると判定してもよい。
【0099】
現在の検知値が絶対値閾値未満である場合、通知制御部16は、電動自転車2の異常を通知してもよい。この場合、通知制御部16は、悪化した状態のデータをサーバ等の外部装置からあらかじめ取得し、データベース化しておく。そして、通知制御部16は、取得したデータに基づいて絶対値閾値を設定する。
【0100】
上記の各変形例に係る自転車用制御装置1においても、実施形態4に係る自転車用制御装置1と同様の効果を奏する。
【0101】
(変形例)
以下、実施形態1~4に共通する変形例について説明する。
【0102】
走行情報は、バッテリ消費電力量を表す消費電力量情報に限定されない。走行情報は、ユーザが電動自転車2を使用したときの走行距離であってもよい。
【0103】
実行可能回数は、特定ルートの往復走行が可能な回数であることに限定されない。実行可能回数は、特定ルートの片道走行が可能な回数であってもよい。
【0104】
演算部15は、消費電力量情報を記憶部13から抽出することに限定されない。演算部15は、あらかじめ決められた消費電力量情報を外部装置から取得してもよい。例えば、演算部15は、無線通信又は有線通信により、スマートフォンのような携帯装置から消費電力量情報を取得してもよい。この場合、ユーザは、携帯装置により、サーバにアクセスして、自宅及び最寄り駅を入力して、サーバに送信する。サーバは、ユーザの携帯装置から自宅及び最寄り駅の情報を受け取ると、自宅及び最寄り駅から1往復当たりのバッテリ消費電力量を算出する。そして、サーバは、算出したバッテリ消費電力量を表す消費電力量情報を携帯装置に送信する。携帯装置は、サーバから消費電力量情報を受け取ると、消費電力量情報を自転車用制御装置1に送信する。
【0105】
通知制御部16は、実行可能回数を通知部12に表示させることに限定されない。通知制御部16は、実行可能回数を音又は音声にて出力させてもよい。例えば、実行可能回数が2.5回である場合、通知制御部16は、「実行可能回数は2.5回です」という音声を通知部12に出力させる。あるいは、通知制御部16は、実行可能回数の整数部だけ「ピー」という音を連続して出力させる。
【0106】
通知部12は、実行可能回数を数字で表示することに限定されない。通知部12は、実行可能回数を、例えば、パーセンテージで表示してもよいし、星印等の記号の数で表示してもよい。
【0107】
実施形態1~4の各々の変形例として、自転車用制御装置1は、電動自転車2の走行ルートが特定ルートから大きく相違する場合、走行ルートが特定ルートと相違する旨、及び、電動自転車2の現在位置の少なくとも一方を通知部に通知させる機能を有してもよい。通知部は、例えば、通知部12又は通知装置8である。本変形例の場合、自転車用制御装置1は、例えばGPSにより特定ルートを取得し、上記特定ルートを記憶部にあらかじめ記憶させている。自転車用制御装置1は、例えばGPSにより走行ルートを取得し、走行ルートが特定ルートから所定距離以上離れたり、走行距離が閾値よりも長くなったりした場合、走行ルートが特定ルートと相違する旨、及び、電動自転車2の位置情報を外部装置に通知する。
【0108】
また、実施形態1~4の各々の変形例として、自転車用制御装置1は、加速度センサ等で車体横向きの加速度を検知した場合、電動自転車2の現在位置及び加速度の少なくとも一方を通知部に通知させる機能を有してもよい。車体横向きの加速度を検知した場合、車体の転倒や事故発生の可能性があるため、上記通知を行うことで、ユーザに知らせることができる。
【0109】
実施形態1~4の各々の変形例として、自転車用制御装置1は、携帯装置と連動している場合に、次の通学日の天気情報を携帯装置が通知するように携帯装置を制御してもよい。通学日は、カレンダ機能より判断する。なお、天気予報は、次の通学日の前日に再通知されることが好ましい。
【0110】
実施形態1~4の各々の変形例として、自転車用制御装置1は、電動自転車2の電源がオフ状態であるときに、加速度センサ等により所定値よりも大きな衝撃を検知した場合、その旨を通知する機能を有してもよい。カレンダ及び時計機能により、通常使用しない曜日・時間帯に発生した場合、制御部は、位置情報と共に通知する。これにより、電動自転車2の盗難防止の効果を高めることができる。
【0111】
実施形態1~4の各々の変形例として、図5に示すように、自転車用制御装置1aにおいて、処理部11aの通知制御部16aは、自転車用制御装置1内の通知部12ではなく、外部の通知装置8に実行可能回数を表示させてもよい。通知制御部16aは、通知装置8との間で、無線通信又は有線通信により、情報を送信したり、受信したりする機能を有する。
【0112】
通知装置8は、電動自転車2とは別体に設けられている。通知装置8は、例えば、スマートフォンのような携帯装置、又は、表示機能を有する専用装置である。通知装置8は、通知制御部16aによる制御に従って、実行可能回数の情報を受け取ると、実行可能回数を通知する。
【0113】
上記変形例に係る自転車用制御装置1aでは、電動自転車2を使用するユーザが所有する携帯装置に実行可能回数を表示させることにより、ユーザは、電動自転車2を使用する前に、実行可能回数を容易に確認することができる。例えば、電動自転車2の場所まで行かなくても、ユーザは、実行可能回数を確認することができる。
【0114】
なお、外部の通知装置8は、バッテリ41を充電するための充電器であってもよい。この場合、バッテリ41を充電しているときに、充電状況と共に実行可能回数を充電器に表示させることができる。
【0115】
実施形態1~4の各々の変形例として、図6に示すように、自転車用制御装置1bは、電動自転車2とは別体に設けられていてもよい。自転車用制御装置1bは、例えば、スマートフォンのような携帯装置、又は、専用装置である。自転車用制御装置1bは、処理部11bと、通知部12と、記憶部13と、通信部18とを備える。通信部18は、無線通信により、電動自転車2の通信部93との間で、情報を送信したり、受信したりする機能を有する。
【0116】
電動自転車2では、情報取得部91は、バッテリ制御部42から消費電力量情報及び残量情報を取得する。通信部93は、情報取得部91で取得された消費電力量情報及び残量情報を自転車用制御装置1bに送信する。なお、駆動制御部92は、実施形態1~4の各々の駆動制御部17(図1参照)と同様の機能を有する。
【0117】
自転車用制御装置1bでは、通信部18は、電動自転車2から消費電力量情報及び残量情報を受信し、上記消費電力量情報及び残量情報を演算部15に出力する。演算部15及び通知制御部16は、実施形態1~4の各々の演算部15及び通知制御部16と同様の処理を実行する。
【0118】
モータユニット3は、実施形態1~4では、一軸式のモータユニットである。ただし、モータユニット3は、二軸式のモータユニットであってもよい。
【0119】
モータユニット3は、実施形態1~4では、センタユニット方式のモータユニットであるが、センタユニット方式のモータユニットに限定されない。モータユニット3は、前輪28のハブ281にモータが取り付けられたフロントハブユニット方式のモータユニットであってもよい。あるいは、モータユニット3は、後輪29のハブ291にモータが取り付けられたリアハブユニット方式のモータユニットであってもよい。
【0120】
実施形態1~4では、電動自転車2は、ユーザの踏む力をモータ6によって補助する電動アシスト自転車であるが、実施形態1~4の各々の変形例として、電動自転車2は、人力駆動系とモータ駆動系とが独立している自転車であってもよい。言い換えると、電動自転車2は、踏力により車輪21に動力を与える駆動系(人力駆動系)と、モータ6により車輪21に動力を与える駆動系(モータ駆動系)とが独立している自転車(モータ6から出力された動力のみで走行可能な自転車)であってもよい。要するに、電動自転車2は、電動アシスト自転車であってもよいし、モータ6から出力された動力のみで走行可能な自転車であってもよい。
【0121】
実施形態1~4の各々に係る電動自転車2は、一つの前輪28及び一つの後輪29を備える二輪自転車であるが、実施形態1~4の各々の変形例として、電動自転車2は、一つの前輪28及び二つの後輪29を備える三輪自転車であってもよい。あるいは、電動自転車2は、二つの前輪28及び一つの後輪29を備える三輪自転車であってもよい。また、電動自転車2は、二つの前輪28及び二つの後輪29を備える四輪自転車であってもよい。
【0122】
以上説明した実施形態及び変形例は、本発明の様々な実施形態及び変形例の一部にすぎない。また、実施形態及び変形例は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0123】
(態様)
以上説明した実施形態及び変形例より以下の態様が開示されている。
【0124】
第1の態様に係る自転車用制御装置(1;1a;1b)は、モータ(6)に電力を供給するバッテリ(41)を備える電動自転車(2)のために用いられる自転車用制御装置である。自転車用制御装置(1;1a;1b)は、演算部(15)と、通知制御部(16;16a)とを備える。演算部(15)は、走行情報及びバッテリ残量を用いて、実行可能回数を算出する。走行情報は、電動自転車(2)を用いた走行に関する情報である。実行可能回数は、電動自転車(2)で特定ルートを走行可能な回数である。通知制御部(16;16a)は、演算部(15)で演算された実行可能回数を通知するように通知部(12;通知装置8)を制御する。
【0125】
第1の態様に係る自転車用制御装置(1;1a;1b)によれば、特定ルートでの走行可能回数を通知することができる。
【0126】
第2の態様に係る自転車用制御装置(1;1a)では、第1の態様において、駆動制御部(17)を更に備える。駆動制御部(17)は、電動自転車(2)のモータ(6)を制御する。駆動制御部(17)は、演算部(15)で算出された実行可能回数よりも多く電動自転車(2)が特定ルートを走行できるようにモータ(6)からのアシスト力を調整する。
【0127】
第2の態様に係る自転車用制御装置(1;1a)によれば、モータ(6)に電力を供給するバッテリ(41)を容量ぎりぎりまで使用することができ、バッテリ(41)の充電回数を減らすことができるので、バッテリ(41)の寿命を長くすることができる。
【0128】
第3の態様に係る自転車用制御装置(1;1a;1b)では、第1又は2の態様において、走行情報は、電動自転車(2)の走行時に消費されたバッテリ消費電力量を表す情報である。演算部(15)は、バッテリ残量をバッテリ消費電力量で割った値を実行可能回数とする。
【0129】
第3の態様に係る自転車用制御装置(1;1a;1b)によれば、実行可能回数を精度よく算出することができる。
【0130】
第4の態様に係る自転車用制御装置(1;1a;1b)は、第1~3の態様のいずれか1つにおいて、電動自転車(2)の走行モードとして、回数通知モードを有する。通知制御部(16;16a)は、電動自転車(2)の走行モードが回数通知モードである場合、実行可能回数を通知するように通知部(12;通知装置8)を制御する。
【0131】
第4の態様に係る自転車用制御装置(1;1a;1b)によれば、ユーザが要望しているときに、実行可能回数を知らせることができる。
【0132】
第5の態様に係る電動自転車(2)は、第1~4の態様のいずれか1つの自転車用制御装置(1;1a;1b)と、モータ(6)と、バッテリ(41)と、フレーム(7)と、車輪(21)とを備える。フレーム(7)には、バッテリ(41)が取り付けられている。車輪(21)は、フレーム(7)に取り付けられており、モータ(6)から出力された動力により回転する。
【0133】
第5の態様に係る電動自転車(2)によれば、自転車用制御装置(1;1a;1b)において、特定ルートでの走行可能回数を通知することができる。
【0134】
第6の態様に係るプログラムは、モータ(6)に電力を供給するバッテリ(41)を備える電動自転車(2)のために、コンピュータを、演算部(15)及び通知制御部(16;16a)として機能させるためのプログラムである。演算部(15)は、走行情報及びバッテリ残量を用いて、実行可能回数を算出する。走行情報は、電動自転車(2)を用いた走行に関する情報である。実行可能回数は、電動自転車(2)で特定ルートを走行可能な回数である。通知制御部(16;16a)は、演算部(15)で演算された実行可能回数を通知するように通知部(12;通知装置8)を制御する。
【0135】
第6の態様に係るプログラムによれば、コンピュータにて、特定ルートでの走行可能回数を通知することができる。
【0136】
第7の態様に係る自転車用制御装置(1;1a;1b)は、モータ(6)に電力を供給するバッテリ(41)を備える電動自転車(2)のために用いられる自転車用制御装置である。演算部(15)は、電動自転車(2)の走行時に消費されたバッテリ消費電力量が通常と異なる場合に電動自転車(2)が異常であると判定する。通知制御部(16;16a)は、電動自転車(2)が異常であると演算部(15)で判定された場合、電動自転車(2)の異常を通知するように通知部(12;通知装置8)を制御する。
【0137】
第7の態様に係る自転車用制御装置(1;1a;1b)によれば、電動自転車(2)の異常を早くユーザに知らせることができる。
【0138】
第8の態様に係る自転車用制御装置(1;1a;1b)では、第7の態様において、演算部(15)は、バッテリ消費電力量と過去のバッテリ消費電力量との差分絶対値が差分閾値以上である場合、電動自転車(2)が異常であると判定する。
【0139】
第9の態様に係る自転車用制御装置(1;1a;1b)では、第7の態様において、演算部(15)は、バッテリ消費電力量が電力量閾値未満である場合、電動自転車(2)が異常であると判定する。
【符号の説明】
【0140】
1,1a,1b 自転車用制御装置
12 通知部
15 演算部
16,16a 通知制御部
17 駆動制御部
2 電動自転車
21 車輪
41 バッテリ
6 モータ
7 フレーム
8 通知装置(通知部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6