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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】高周波加熱装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/54 20060101AFI20230721BHJP
【FI】
H05B6/54
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020547929
(86)(22)【出願日】2019-04-03
(86)【国際出願番号】 JP2019014788
(87)【国際公開番号】W WO2020066080
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2018180677
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】崎山 一幸
(72)【発明者】
【氏名】細川 大介
【審査官】宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-031350(JP,A)
【文献】実公昭39-007962(JP,Y1)
【文献】特開平03-081988(JP,A)
【文献】実開昭50-038854(JP,U)
【文献】特開昭63-053888(JP,A)
【文献】特開2004-52013(JP,A)
【文献】特開2001-329313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/46-6/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導体と、
前記第1導体と空間を介して配置される第2導体と、
前記第1導体と前記第2導体とに接続され、前記第1導体と前記第2導体との間に高周波電圧を印加する高周波電源と、
前記第1導体において前記第1導体と前記高周波電源とが接続される第1給電位置とは異なる第1接続位置と、前記第2導体において前記第2導体と前記高周波電源とが接続される第2給電位置とは異なる第2接続位置とで、前記第1導体と前記第2導体とを電気的に接続する接続経路と、
を備え
前記第1導体及び前記第2導体は、対向して配置されており、前記第1導体の前記第1給電位置から前記第1接続位置に流れる電流の向きと、前記第2導体の前記第2接続位置から前記第2給電位置に流れる電流の向きとは、反対方向となる、高周波加熱装置。
【請求項2】
更に、
前記接続経路に設けられ、前記第1導体と前記第2導体とのインピーダンス整合をとる整合部を備える、請求項1に記載の高周波加熱装置。
【請求項3】
前記整合部は、インピーダンス素子を含む、請求項2に記載の高周波加熱装置。
【請求項4】
前記インピーダンス素子は、抵抗とインダクタとのうち少なくともいずれか一方を含む、請求項3に記載の高周波加熱装置。
【請求項5】
前記整合部は、コンデンサを含む、請求項3又は4に記載の高周波加熱装置。
【請求項6】
第1導体と、
前記第1導体と空間を介して配置される第2導体と、
前記第1導体と前記第2導体とに接続され、前記第1導体と前記第2導体との間に高周波電圧を印加する高周波電源と、
前記第1導体において前記第1導体と前記高周波電源とが接続される第1給電位置とは異なる第1接続位置と、前記第2導体において前記第2導体と前記高周波電源とが接続される第2給電位置とは異なる第2接続位置とで、前記第1導体と前記第2導体とを電気的に接続する接続経路と、
を備え、
前記第1導体、前記第2導体及び前記接続経路を合算した経路長は、前記高周波電源の発振周波数における波長の1/2である、高周波加熱装置。
【請求項7】
更に、
前記第1導体と前記第2導体との間において前記第1導体と前記第2導体とのうち少なくともいずれか一方に配置される誘電体を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の高周波加熱装置。
【請求項8】
前記第1導体及び前記第2導体は、それぞれ、一端と他端を有しており、
前記第1給電位置は、前記第1導体の中央よりも一端側に設けられ、
前記第2給電位置は、前記第2導体の中央よりも一端側に設けられ、
前記第1接続位置は、前記第1導体の中央よりも他端側に設けられ、
前記第2接続位置は、前記第2導体の中央よりも他端側に設けられる、
請求項1~7のいずれか一項に記載の高周波加熱装置。
【請求項9】
前記第1給電位置は、前記第1導体の一端に設けられ、
前記第2給電位置は、前記第2導体の一端に設けられ、
前記第1接続位置は、前記第1導体の他端に設けられ、
前記第2接続位置は、前記第2導体の他端に設けられる、
請求項8に記載の高周波加熱装置。
【請求項10】
前記第1導体及び前記第2導体は、平板状に形成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の高周波加熱装置。
【請求項11】
前記接続経路を第1接続経路とし、
前記高周波加熱装置は、前記第1導体において前記第1給電位置及び第1接続位置とは異なる第3接続位置と、前記第2導体において前記第2給電位置及び第2接続位置とは異なる第4接続位置とで、前記第1導体と前記第2導体とを電気的に接続する第2接続経路を有する、
請求項10に記載の高周波加熱装置。
【請求項12】
第1導体と、
前記第1導体と空間を介して配置される第2導体と、
前記第1導体と前記第2導体とに接続され、前記第1導体と前記第2導体との間に高周波電圧を印加する高周波電源と、
前記第1導体において前記第1導体と前記高周波電源とが接続される第1給電位置とは異なる第1接続位置と、前記第2導体において前記第2導体と前記高周波電源とが接続される第2給電位置とは異なる第2接続位置とで、前記第1導体と前記第2導体とを電気的に接続する第1接続経路と、
前記第1導体において前記第1給電位置及び第1接続位置とは異なる第3接続位置と、前記第2導体において前記第2給電位置及び第2接続位置とは異なる第4接続位置とで、前記第1導体と前記第2導体とを電気的に接続する第2接続経路と、
を備え、
前記第1導体及び前記第2導体は、平板状に形成され、且つ対向して配置され、
前記第1導体において、前記第1給電位置と前記第1接続位置とを通る第1経路と、前記第1給電位置と前記第3接続位置とを通る第2経路とが交差し、
前記第2導体において、前記第2給電位置と前記第2接続位置とを通る第3経路と、前記第2給電位置と前記第4接続位置とを通る第4経路とが交差する、高周波加熱装置。
【請求項13】
第1導体と、
前記第1導体と空間を介して配置される第2導体と、
前記第1導体と前記第2導体とに接続され、前記第1導体と前記第2導体との間に高周波電圧を印加する高周波電源と、
前記第1導体において前記第1導体と前記高周波電源とが接続される第1給電位置とは異なる第1接続位置と、前記第2導体において前記第2導体と前記高周波電源とが接続される第2給電位置とは異なる第2接続位置とで、前記第1導体と前記第2導体とを電気的に接続する第1接続経路と、
前記第1導体において前記第1給電位置及び第1接続位置とは異なる第3接続位置と、前記第2導体において前記第2給電位置及び第2接続位置とは異なる第4接続位置とで、前記第1導体と前記第2導体とを電気的に接続する第2接続経路と、
を備え、
前記第1導体及び前記第2導体は、平板状に形成され、且つ対向して配置され、
前記高周波電源は、前記第1導体において前記第1給電位置、前記第1接続位置及び前記第3接続位置とは異なる第3給電位置と、前記第2導体において前記第2給電位置、前記第2接続位置及び前記第4接続位置とは異なる第4給電位置とで、前記第1導体と前記第2導体とに接続され、
前記第1導体において、前記第1給電位置と前記第1接続位置とを通る第5経路と、前記第3給電位置と前記第3接続位置とを通る第6経路とが直交し、
前記第2導体において、前記第2給電位置と前記第2接続位置とを通る第7経路と、前記第4給電位置と前記第4接続位置とを通る第8経路とが直交する、高周波加熱装置。
【請求項14】
前記第1導体及び前記第2導体とは、メアンダ状に形成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の高周波加熱装置。
【請求項15】
前記第1導体及び前記第2導体とは、渦巻き状に形成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の高周波加熱装置。
【請求項16】
前記第1導体及び前記第2導体とは、渦巻き状に形成され、
前記第2導体は、前記第1導体の巻回方向に沿って、前記第1導体の内側に配置されている、
請求項1~9のいずれか一項に記載の高周波加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波加熱装置として、例えば、対向する電極間に加熱対象物を配置し、電極間に高周波電圧を印加することによって加熱対象物を加熱する高周波加熱装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1には、上部電極と、上部電極の下方に配置された下部電極と、上部電極と下部電極との間に高周波電圧を印加する電圧印加部とを備える高周波加熱装置が開示されている。特許文献1の高周波加熱装置では、上部電極の周囲には補助電極が備えられており、電圧印加部が下部電極と補助電極との間に、上部電極と下部電極との間に印加する高周波電圧とは異なる電圧を印加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-182885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の高周波加熱装置では、電力効率の向上という点で未だ改善の余地がある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、前記課題を解決することにあって、電力効率を向上させる高周波加熱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の一態様に係る高周波加熱装置は、
第1導体と、
前記第1導体と空間を介して配置される第2導体と、
前記第1導体と前記第2導体とに接続され、前記第1導体と前記第2導体との間に高周波電圧を印加する高周波電源と、
前記第1導体において前記第1導体と前記高周波電源とが接続される第1給電位置とは異なる第1接続位置と、前記第2導体において前記第2導体と前記高周波電源とが接続される第2給電位置とは異なる第2接続位置とで、前記第1導体と前記第2導体とを電気的に接続する接続経路と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る高周波加熱装置によれば、電力効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る高周波加熱装置の一例の概略構成図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1に係る高周波加熱装置の基本構成の一例を示す図である。
図3A図3Aは、第1導体における給電位置及び接続位置の一例を示す図である。
図3B図3Bは、第2導体における給電位置及び接続位置の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態1に係る高周波加熱装置の基本構成の一例の詳細を示す図である。
図5図5は、実施例1の解析モデルの一例を示す図である。
図6図6は、比較例1の解析モデルの一例を示す図である。
図7図7は、実施例1の解析結果の一例を示す図である。
図8図8は、比較例1の解析結果の一例を示す図である。
図9A図9Aは、整合部の一例を示す図である。
図9B図9Bは、整合部の一例を示す図である。
図10図10は、本発明の実施の形態2に係る高周波加熱装置の基本構成の一例を示す図である。
図11図11は、本発明の実施の形態3に係る高周波加熱装置の基本構成の一例を示す図である。
図12A図12Aは、本発明の実施の形態3に係る高周波加熱装置の第1導体における給電位置及び接続位置の一例を示す図である。
図12B図12Bは、本発明の実施の形態3に係る高周波加熱装置の第2導体における給電位置及び接続位置の一例を示す図である。
図13A図13Aは、変形例の高周波加熱装置の第1導体における給電位置及び接続位置の一例を示す図である。
図13B図13Bは、変形例の高周波加熱装置の第2導体における給電位置及び接続位置の一例を示す図である。
図14図14は、本発明の実施の形態4に係る高周波加熱装置の基本構成の一例を示す図である。
図15図15は、本発明の実施の形態5に係る高周波加熱装置の基本構成の一例を示す図である。
図16図16は、変形例の高周波加熱装置の基本構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見)
特許文献1に記載の高周波加熱装置においては、上部電極と下部電極との間に高周波電圧を印加することによって電界を発生させることによって、上部電極と下部電極との間に配置された加熱対象物を加熱している。
【0011】
このような高周波加熱装置においては、電力効率の向上という点で未だ改善の余地がある。
【0012】
本発明者らは、第1導体と、第1導体と空間を介して配置される第2導体との間に電界を生じさせると共に、第1導体と第2導体とに電流を流して磁界を発生させることにより、電力効率を向上させることを発見した。そこで、本発明者らは、高周波電源が接続される位置とは異なる位置で第1導体と第2導体とを電気的に接続する接続経路を設けた高周波加熱装置を見出し、以下の発明に至った。
【0013】
本発明の第1態様の高周波加熱装置は、
第1導体と、
前記第1導体と空間を介して配置される第2導体と、
前記第1導体と前記第2導体とに接続され、前記第1導体と前記第2導体との間に高周波電圧を印加する高周波電源と、
前記第1導体において前記第1導体と前記高周波電源とが接続される第1給電位置とは異なる第1接続位置と、前記第2導体において前記第2導体と前記高周波電源とが接続される第2給電位置とは異なる第2接続位置とで、前記第1導体と前記第2導体とを電気的に接続する接続経路と、
を備える。
【0014】
本発明の第2態様の高周波加熱装置においては、更に、前記接続経路に設けられ、前記第1導体と前記第2導体とのインピーダンス整合をとる整合部を備えてもよい。
【0015】
本発明の第3態様の高周波加熱装置においては、前記整合部は、インピーダンス素子を含んでもよい。
【0016】
本発明の第4態様の高周波加熱装置においては、前記インピーダンス素子は、抵抗とインダクタとのうち少なくともいずれか一方を含んでもよい。
【0017】
本発明の第5態様の高周波加熱装置においては、前記整合部は、コンデンサを含んでもよい。
【0018】
本発明の第6態様の高周波加熱装置においては、前記第1導体、前記第2導体及び前記接続経路を合算した経路長は、前記高周波電源の発振周波数における波長の1/2であってもよい。
【0019】
本発明の第7態様の高周波加熱装置においては、更に、前記第1導体と前記第2導体との間において前記第1導体と前記第2導体とのうち少なくともいずれか一方に配置される誘電体を備えてもよい。
【0020】
本発明の第8態様の高周波加熱装置においては、
前記第1導体及び前記第2導体は、それぞれ、一端と他端を有しており、
前記第1給電位置は、前記第1導体の中央よりも一端側に設けられ、
前記第2給電位置は、前記第2導体の中央よりも一端側に設けられ、
前記第1接続位置は、前記第1導体の中央よりも他端側に設けられ、
前記第2接続位置は、前記第2導体の中央よりも他端側に設けられてもよい。
【0021】
本発明の第9態様の高周波加熱装置においては、
前記第1給電位置は、前記第1導体の一端に設けられ、
前記第2給電位置は、前記第2導体の一端に設けられ、
前記第1接続位置は、前記第1導体の他端に設けられ、
前記第2接続位置は、前記第2導体の他端に設けられてもよい。
【0022】
本発明の第10態様の高周波加熱装置においては、前記第1導体及び前記第2導体は、平板状に形成され、且つ対向して配置されていてもよい。
【0023】
本発明の第11態様の高周波加熱装置においては、
前記接続経路を第1接続経路とし、
前記高周波加熱装置は、前記第1導体において前記第1給電位置及び第1接続位置とは異なる第3接続位置と、前記第2導体において前記第2給電位置及び第2接続位置とは異なる第4接続位置とで、前記第1導体と前記第2導体とを電気的に接続する第2接続経路を有していてもよい。
【0024】
本発明の第12態様の高周波加熱装置においては、
前記第1導体において、前記第1給電位置と前記第1接続位置とを通る第1経路と、前記第1給電位置と前記第3接続位置とを通る第2経路とが交差し、
前記第2導体において、前記第2給電位置と前記第2接続位置とを通る第3経路と、前記第2給電位置と前記第4接続位置とを通る第4経路とが交差していてもよい。
【0025】
本発明の第13態様の高周波加熱装置においては、
前記高周波電源は、前記第1導体において前記第1給電位置、前記第1接続位置及び前記第3接続位置とは異なる第3給電位置と、前記第2導体において前記第2給電位置、前記第2接続位置及び前記第4接続位置とは異なる第4給電位置とで、前記第1導体と前記第2導体とに接続され、
前記第1導体において、前記第1給電位置と前記第1接続位置とを通る第5経路と、前記第3給電位置と前記第3接続位置とを通る第6経路とが直交し、
前記第2導体において、前記第2給電位置と前記第2接続位置とを通る第7経路と、前記第4給電位置と前記第4接続位置とを通る第8経路とが直交してもよい。
【0026】
本発明の第14態様の高周波加熱装置においては、前記第1導体及び前記第2導体とは、メアンダ状に形成され、且つ対向して配置されていてもよい。
【0027】
本発明の第15態様の高周波加熱装置においては、前記第1導体及び前記第2導体とは、渦巻き状に形成され、且つ対向して配置されていてもよい。
【0028】
本発明の第16態様の高周波加熱装置においては、
前記第1導体及び前記第2導体とは、渦巻き状に形成され、
前記第2導体は、前記第1導体の巻回方向に沿って、前記第1導体の内側に配置されていてもよい。
【0029】
以下、本開示の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。また、各図においては、説明を容易なものとするため、各要素を誇張して示している。
【0030】
(実施の形態1)
[全体構成]
本発明の実施の形態1に係る高周波加熱装置の一例について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る高周波加熱装置1Aの一例の概略断面構成図である。図2は、高周波加熱装置1Aの基本構成の一例を示す。図中のX,Y,Z方向は、それぞれ、高周波加熱装置1Aの幅方向、奥行き方向、高さ方向を示す。
【0031】
図1及び図2に示すように、高周波加熱装置1Aは、加熱室10、第1導体11、第2導体12、高周波電源20、接続経路30及び制御部40を備える。なお、実施の形態1では、高周波加熱装置1Aが加熱室10を備える例について説明するが、これに限定されない。加熱室10は必須の構成ではない。
【0032】
高周波加熱装置1Aは、第1導体11と第2導体12との間に加熱対象物50を配置し、高周波電源20によって第1導体11と第2導体12との間に高周波電圧を印加する。これにより、第1導体11と第2導体12との間に電界Pa1及び磁界Pb1,Pb2を発生させ、加熱対象物50を加熱する。このようにして、高周波加熱装置1Aは、加熱対象物50の加熱処理又は解凍処理を行う。
【0033】
<加熱室>
加熱室10は、加熱対象物50を収容する略直方体構造を有する。加熱室10は、金属材料からなる複数の壁面、及び加熱対象物50を収容するために開閉する開閉扉で構成される。実施の形態1では、加熱室10内に第1導体11及び第2導体12が配置されている。
【0034】
<第1導体>
第1導体11は、上面視において、即ちZ方向から見て、平板状の導体である。具体的には、第1導体11は、矩形状に形成されている。実施の形態1では、第1導体11は、加熱室10内で第2導体12の上方に配置されている。
【0035】
<第2導体>
第2導体12は、上面視において、即ちZ方向から見て、平板状の導体である。具体的には、第2導体12は、矩形状に形成されている。第2導体12は、第1導体11と空間を介して配置される。言い換えると、第2導体12は、第1導体11に対向して配置される。実施の形態1では、第2導体12は、加熱室10内で第1導体11の下方に配置されると共に、第1導体11と平行に配置されている。
【0036】
<高周波電源>
高周波電源20は、第1導体11と第2導体12とに接続され、第1導体11と第2導体12との間に高周波電圧を印加する。具体的には、高周波電源20は、第1導体11の一端側に設けられた第1給電位置Pf1で第1導体11に接続されている。また、高周波電源20は、第2導体12の一端側に設けられた第2給電位置Pf2で第2導体12に接続されている。
【0037】
図2に示すように、高周波電源20は、高周波発振器21と、整合回路22と、を備える。高周波発振器21は、HF~VHF帯周波数の電圧信号を発振する。整合回路22は、第1導体11及び第2導体12と高周波電源20とのインピーダンス整合をとる。実施の形態1では、高周波電源20は、例えば、40MHzの高周波電圧を第1導体11と第2導体12との間に印加する。
【0038】
<接続経路>
接続経路30は、高周波電源20と接続される位置とは異なる位置で第1導体11と第2導体12とを電気的に接続する。具体的には、接続経路30は、第1導体11において第1導体11と高周波電源20とが接続される第1給電位置Pf1とは異なる第1接続位置Pc1で、第1導体11と接続されている。また、接続経路30は、第2導体12において第2導体12と高周波電源20とが接続される第2給電位置Pf2とは異なる第2接続位置Pc2で、第2導体12と接続されている。
【0039】
このように、接続経路30の一端が第1接続位置Pc1に接続され、接続経路30の他端が第2接続位置Pc2に接続されている。これにより、接続経路30は、第1導体11と第2導体12とを電気的に接続している。
【0040】
接続経路30は、例えば、銅線などの配線で形成される。
【0041】
実施の形態1では、接続経路30には、第1導体11と第2導体12とのインピーダンス整合をとる整合部31が設けられている。整合部31は、インピーダンス素子を含む。インピーダンス素子としては、例えば、インダクタ、抵抗などが挙げられる。実施の形態1では、インピーダンス素子は、抵抗である。
【0042】
<制御部>
図1に戻って、制御部40は、高周波電源20を制御する。制御部40は、高周波電源20の高周波電圧の印加を制御する。制御部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ(図示せず)と、プロセッサによって実行されるプログラムを記憶したメモリ(図示せず)と、を備える。
【0043】
図3Aは、第1導体11における給電位置及び接続位置の一例を示す。図3Aは、第1導体11を上方から見た図である。図3Aに示すように、第1導体11において、高周波電源20が接続される第1給電位置Pf1は、第1導体11の一端E11に設けられている。接続経路30に接続される第1接続位置Pc1は、第1導体11の他端E12に設けられている。これにより、第1導体11において、第1給電位置Pf1と第1接続位置Pc1とを通る経路L11が形成される。高周波電源20によって第1導体11と第2導体12との間に高周波電圧が印加されるとき、経路L11には電流が流れる。
【0044】
図3Bは、第2導体における給電位置及び接続位置の一例を示す。図3Bは、第2導体12を下方から見た図である。図3Bに示すように、第2導体12において、高周波電源20が接続される第2給電位置Pf2は、第2導体12の一端E21に設けられている。接続経路30に接続される第2接続位置Pc2は、第2導体12の他端E22に設けられている。これにより、第2導体12において、第2接続位置Pc2と第2給電位置Pf2とを通る経路L12が形成される。高周波電源20によって第1導体11と第2導体12との間に高周波電圧が印加されるとき、経路L12には電流が流れる。
【0045】
実施の形態1では、第1給電位置Pf1及び第1接続位置Pc1は、第1導体11において幅方向(X方向)に延びる中心線CL2上に設けられている。中心線CL2は、第1導体11の奥行き方向(Y方向)の長さの中央を通る線である。即ち、中心線CL2は、第1導体11の両側端から等しい距離にある。第2給電位置Pf2及び第2接続位置Pc2は、第2導体12において幅方向(X方向)に延びる中心線CL4上に設けられている。中心線CL4は、第2導体12の奥行き方向(Y方向)の長さの中央を通る線である。即ち、中心線CL4は、第2導体12の両側端から等しい距離にある。
【0046】
実施の形態1では、第1導体11に流れる電流の向きと第2導体12に流れる電流の向きは反対方向となる。例えば、図3A及び図3Bに示されるように、第1導体11において、第1給電位置Pf1から第1接続位置Pc1に向かって電流が経路L11を流れると、第2導体12において第2接続位置Pc2から第2給電位置Pf2に向かって電流が経路L12を流れる。
【0047】
このように、実施の形態1では、第1導体11及び第2導体12のように電位差が大きい導体間での電流の流れの向きが反対方向になるように、第1給電位置Pf1,第2給電位置Pf2、第1接続位置Pc1及び第2接続位置Pc2が設けられている。
【0048】
図4は、本発明の実施の形態1に係る高周波加熱装置1Aの基本構成の一例の詳細を示す。図4に示すように、高周波電源20の整合回路22は、複数のインダクタL1~L3で構成されている。具体的には、整合回路22において、第1インダクタL1は、第2インダクタL2と第3インダクタL3と直列に接続されている。第2インダクタL2と第3インダクタL3とは、並列で接続されている。なお、整合回路22は、この構成に限定されない。
【0049】
実施の形態1では、接続経路30に設けられる整合部31は、抵抗R1で構成されている。即ち、接続経路30には、整合部31として抵抗R1が直列に接続されている。
【0050】
第1導体11、第2導体12及び接続経路30を合算した経路長Lsは、高周波電源20の発振周波数における波長の1/2である。これにより、第1導体11と第2導体12とにそれぞれ電界の腹と節がくるようになるため、電界での加熱の効果を最大にすることができる。
【0051】
[動作]
次に、高周波加熱装置1Aの動作の一例について図2を用いて制御する。
【0052】
図2に示すように、高周波加熱装置1Aは、高周波電源20により第1導体11と第2導体12との間に高周波電圧を印加する。高周波電源20は、制御部40によって制御される。
【0053】
第1導体11と第2導体12との間に高周波電圧が印加されると、第1導体11と第2導体12との間に電界Pa1が発生する。
【0054】
また、第1導体11と第2導体12との間に高周波電圧が印加されると、第1導体11の一端から他端に向かって電流が流れる。第1導体11の他端を流れる電流は、接続経路30を通って第2導体12の他端に流れる。次に、第2導体12の他端を流れる電流は、第2導体12の他端から一端に向かって流れる。このように、第1導体11と第2導体12とに電流が流れることによって、第1導体11と第2導体12とに、それぞれ、磁界Pb1,Pb2が生じる。
【0055】
実施の形態1では、第1導体11と第2導体12とは、高周波加熱装置1Aの高さ方向(Z方向)に対向して配置されている。このため、第1導体11を流れる電流の向きと第2導体12を流れる電流の向きが反対方向となる。これにより、第1導体11で発生した磁界Pb1と、第2導体12で発生した磁界Pb2とは、互いに強め合うことになり、第1導体11と第2導体12との間の磁界が強くなる。
【0056】
このように、高周波加熱装置1Aでは、第1導体11と第2導体12との間に電界Pa1と磁界Pb1,Pb2を発生させることによって、第1導体11と第2導体12との間に配置される加熱対象物50を電界Pa1と磁界Pb1,Pb2とによって加熱している。これにより、電力効率を向上させている。
【0057】
[空間電力流れ分布の解析シミュレーション結果]
高周波加熱装置1Aにおける空間電力流れ分布の解析を行った。実施例1として、高周波加熱装置1Aの解析モデルで空間電力流れ分布の解析シミュレーションを行った。また、比較例1として、接続経路30を備えない高周波加熱装置の解析モデルを用いて空間電力流れ分布の解析シミュレーションを行った。なお、解析シミュレーションは、COMSOL Multiphysics(COMSOL AB社製)を用いて行った。
【0058】
図5は、実施例1の解析モデルの一例を示す。図5に示すように、実施例1の解析モデルは、高周波加熱装置1Aの構成と同じ構成を有する。即ち、実施例1の解析モデルは、第1導体11と第2導体12との間に電界と磁界の両方を発生させる構成であり、第1導体11と第2導体12との間に配置された加熱対象物50を電界と磁界とによって加熱する。
【0059】
実施例1では、加熱室10内に配置された第1導体11と第2導体12との間に加熱対象物50を配置して空間電力流れ分布の解析を行った。加熱室10の大きさは、幅50cm、高さ40cmである。加熱対象物50の大きさは、幅6cm、高さ5cmである。加熱対象物50の底面は、加熱室10の底面から上面に向かって7cm離れた位置に配置されている。また、加熱対象物50の上面は、加熱室10の底面から上面に向かって12cm離れた位置に配置されている。
【0060】
実施例1の解析条件は、以下の通りである。
・入力電力1W
・第1導体11、第2導体12及び加熱室10の境界条件:導体
・加熱対象物50の比誘電率:2.5
【0061】
実施例1では、上記した解析条件でシミュレーションを行い、加熱対象物50を第1観測位置h1、第2観測位置h2、及び第3観測位置h3でそれぞれ、第1導体11と第2導体12との間の空間電力流れ分布を解析した。
【0062】
第1観測位置h1は、加熱対象物50の上面に位置する。第2観測位置h2は、加熱対象物50の中央に位置する。第3観測位置h3は、加熱対象物50の底面に位置する。具体的には、第1観測位置h1は、加熱室10の底面から上面に向かう方向に12cm離れた位置である。第2観測位置h2は、加熱室10の底面から上面に向かう方向に10cm離れた位置である。第3観測位置h3は、加熱室10の底面から上面に向かう方向に7cm離れた位置である。
【0063】
図6は、比較例1の解析モデルの一例を示す。図6に示すように、比較例1の解析モデルは、接続経路30を備えない高周波加熱装置の構成を有する。即ち、実施例1の解析モデルは、第1導体111と第2導体112との間に電界のみを発生させる構成である。比較例1では、第1導体111と第2導体112との間に配置された加熱対象物50を電界のみで加熱する。
【0064】
比較例1では、加熱室100内に配置された第1導体111と第2導体112との間に加熱対象物50を配置して空間電力流れ分布の解析を行った。比較例1の解析モデルの寸法については、実施例1の解析モデルの寸法と同様である。また、比較例1における加熱対象物50の寸法及び配置されている位置についても実施例1と同様である。比較例1の解析条件についても、実施例1の解析条件と同様である。比較例1における第1観測位置h11、第2観測位置h12、及び第3観測位置h13については、それぞれ、実施例1における第1観測位置h1、第2観測位置h2、及び第3観測位置h3と同様である。
【0065】
図7は、実施例1の解析結果の一例を示す。図8は、比較例1の解析結果の一例を示す。図7に示すように、実施例1の空間電力分布は、500×10-6~5500×10-6[W/m]の範囲となっている。一方、図8に示すように、比較例1の空間電力分布は、-270×10-6~270×10-6[W/m]の範囲となっている。
【0066】
このように、実施例1の解析結果と比較例1の解析結果とを比較すると、実施例1は、比較例1に比べて空間電力分布が大きくなっている。具体的には、実施例1の空間電力分布の最小値は、比較例1の空間電力分布の最大値よりも大きい。また、実施例1では、比較例1と比べて空間電力分布が10倍以上になっている部分を含んでいる。このことからも、実施例1は比較例1よりも電力効率が著しく向上していることが明らかである。
【0067】
[効果]
実施の形態1の高周波加熱装置1Aによれば、以下の効果を奏することができる。
【0068】
高周波加熱装置1Aは、第1導体11と高周波電源20とが接続される第1給電位置Pf1とは異なる第1接続位置Pc1と、第2導体12と高周波電源20とが接続される第2給電位置Pf2とは異なる第2接続位置Pc2とで、第1導体11と第2導体12とを電気的に接続する接続経路30を備える。このような構成により、高周波電源20によって第1導体11と第2導体12との間に高周波電圧を印加したとき、第1導体11と第2導体12との間に電界Pa1を発生させると共に、磁界Pb1,Pb2を発生させることができる。これにより、電界Pa1と磁界Pb1,Pb2とによって、第1導体11と第2導体12との間に配置される加熱対象物50を加熱することができる。その結果、電力効率を向上させることができる。
【0069】
高周波加熱装置1Aは、接続経路30に設けられ、第1導体11と第2導体12とのインピーダンス整合をとる整合部31を備える。このような構成により、第1導体11と第2導体12とのインピーダンス整合をとることができ、出力の低下を抑制することができる。
【0070】
第1給電位置Pf1は、第1導体11の一端E11に設けられている。第2給電位置Pf2は、第2導体12の一端E21に設けられている。第1接続位置Pc1は、第1導体11の他端E12に設けられている。第2接続位置Pc2は、第2導体12の他端E22に設けられている。このような構成により、高周波電源20によって第1導体11と第2導体12との間に高周波電圧を印加したとき、第1導体11を流れる電流の向きと、第2導体12を流れる電流の向きを反対方向にすることができる。これにより、第1導体11で発生した磁界Pb1と、第2導体12で発生した磁界Pb2とが互いに強め合って、第1導体11と第2導体12との間に磁界を発生させることができる。その結果、電力効率を更に向上させることができる。
【0071】
なお、実施の形態1では、高周波加熱装置1Aは、加熱室10を備える例について説明したが、これに限定されない。高周波加熱装置1Aは、加熱室10を備えていなくてもよい。
【0072】
実施の形態1では、第1導体11及び第2導体12は、平板状の導体である例について説明したが、これに限定されない。また、第1導体11と第2導体12とは、高周波加熱装置1Aの高さ方向に対向して配置される例について説明したが、これに限定されない。第1導体11と第2導体12とは、互いに空間を介して配置されていればよい。
【0073】
実施の形態1では、高周波加熱装置1Aは、接続経路30に設けられた整合部31を備える例について説明したが、これに限定されない。高周波加熱装置1Aは、整合部31を備えていなくてもよい。
【0074】
実施の形態1では、整合部31は、抵抗R1を備える例について説明したが、これに限定されない。整合部31は、抵抗とインダクタとのうち少なくともいずれか一方を含んでいればよい。
【0075】
図9Aは、整合部31aの一例を示す。図9Aに示すように、整合部31aは、抵抗R1とインダクタL4とを含んでもよい。具体的には、整合部31aは、抵抗R1とインダクタL4とを並列に接続した回路であってもよい。このような構成においても、第1導体11と第2導体12とのインピーダンス整合をとることができる。
【0076】
図9Bは、整合部31bの一例を示す。図9Bに示すように、整合部31bは、抵抗R1、インダクタL5、及びコンデンサC1を含んでもよい。具体的には、整合部31aは、インダクタL5と抵抗R1及びコンデンサC1とを直列に接続し、抵抗R1とコンデンサC1とを並列に接続した回路であってもよい。このような構成においても、第1導体11と第2導体12とのインピーダンス整合をとることができる。
【0077】
実施の形態1では、第1給電位置Pf1は第1導体11の一端E11に設けられ、第2給電位置Pf2は第2導体12の一端E21に設けられ、第1接続位置Pc1は第1導体11の他端E12に設けられ、第2接続位置Pc2は第2導体12の他端E22に設けられる例について説明したが、これに限定されない。第1給電位置Pf1は第1導体11の中央よりも一端E11側に設けられ、第2給電位置Pf2は第2導体12の中央よりも一端E21側に設けられ、第1接続位置Pc1は第1導体11の中央よりも他端E12側に設けられ、第2接続位置Pc2は第2導体12の中央よりも他端E22側に設けられていてもよい。なお、第1導体11の中央とは、第1導体11の幅方向(X方向)の長さの中央を意味し、図3Aに示す中心線CL1で示される位置である。中心線CL1は、第1導体11の一端E11と他端E12から等しい距離にある。第2導体12の中央とは、第2導体12の幅方向(X方向)の長さの中央を意味し、図3Bに示す中心線CL3で示される位置である。中心線CL3は、第2導体12の一端E21と他端E22から等しい距離にある。このような構成においても、第1導体11を流れる電流の向きと、第2導体12を流れる電流の向きとを反対方向にすることができ、第1導体11と第2導体12との間に発生する磁界を強めることができる。
【0078】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る高周波加熱装置について説明する。なお、実施の形態2では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態2においては、実施の形態1と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態2では、実施の形態1と重複する記載は省略する。
【0079】
図10は、本発明の実施の形態2に係る高周波加熱装置1Bの基本構成の一例を示す。図10に示すように、実施の形態2では、誘電体13を備える点が、実施の形態1と異なる。
【0080】
<誘電体>
誘電体13は、第1導体11と第2導体12との間において第1導体11と第2導体12とのうち少なくともいずれか一方に配置される。実施の形態2では、誘電体13は、第1導体11と第2導体12との間において、第1導体11と第2導体12との両方に接触して配置されている。即ち、実施の形態2では、第1導体11と第2導体12との間において、2つの誘電体13が対向して配置されている。
【0081】
実施の形態2では、誘電体13は、平板状に形成されている。具体的には、誘電体13は、上面視において、即ちZ方向から見て、矩形状に形成されている。誘電体13は、例えば、テフロン(登録商標)などの樹脂材料、ホウケイ酸ガラスなどのガラス材料から形成されている。
【0082】
[効果]
実施の形態2の高周波加熱装置1Bによれば、以下の効果を奏することができる。
【0083】
高周波加熱装置1Bは、第1導体11と第2導体12との間において、第1導体11と第2導体12とのそれぞれに配置される誘電体13を備える。このような構成により、誘電体13によって高周波電源20の高周波電圧の波長を圧縮することができ、伝送経路を短くすることができる。これにより、実施の形態2では、実施の形態1と比べて、第1導体11、第2導体12及び接続経路30を合算した経路長Lsを短くすることができる。その結果、第1導体11及び第2導体12のサイズを小さくすることができるため、装置の小型化を実現することができる。
【0084】
なお、実施の形態2では、高周波加熱装置1Bは、2つの誘電体13を備える例について説明したが、これに限定されない。誘電体13は、第1導体11と第2導体12との間において第1導体11と第2導体12とのうち少なくともいずれか一方に配置されていればよい。例えば、誘電体13は、第1導体11と第2導体12との間において、第1導体11のみに配置されていてもよい。あるいは、誘電体13は、第1導体11と第2導体12との間において、第2導体12のみに配置されていてもよい。このような構成においても、経路長Lsを短くすることができ、装置の小型化を実現することができる。
【0085】
実施の形態2では、誘電体13は、矩形状の平板で形成されている例について説明したが、これに限定されない。誘電体13は、高周波電源20の高周波電圧の波長を圧縮することができれば、任意の形状であってもよい。
【0086】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る高周波加熱装置について説明する。なお、実施の形態3では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態3においては、実施の形態1と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態3では、実施の形態1と重複する記載は省略する。
【0087】
図11は、本発明の実施の形態3に係る高周波加熱装置1Cの基本構成の一例を示す。図11に示すように、実施の形態3では、第1導体11と第2導体12とを接続する複数の接続経路30,32を備える点が、実施の形態1と異なる。
【0088】
実施の形態3では、複数の接続経路は、2つの接続経路30,32である。ここで、接続経路30を第1接続経路30とし、接続経路32を第2接続経路32として説明する。また、第1接続経路30に設けられる整合部31を第1整合部31とし、第2接続経路32に設けられる整合部33を第2整合部33として説明する。
【0089】
高周波加熱装置1Cは、高周波電源20が接続される位置とは異なる位置で第1導体11と第2導体12とを電気的に接続する第1接続経路30と、高周波電源20及び第1接続経路30が接続される位置とは異なる位置で、第1導体11と第2導体12とを電気的に接続する第2接続経路32を有する。
【0090】
第1接続経路30には、第1導体11と第2導体12とのインピーダンス整合をとる第1整合部31が設けられている。第2接続経路32には、第1導体11と第2導体12とのインピーダンス整合をとる第2整合部33が設けられている。
【0091】
第1整合部31及び第2整合部33は、インピーダンス素子を含む。インピーダンス素子としては、例えば、インダクタ、抵抗などが挙げられる。実施の形態3では、第1整合部31及び第2整合部33に含まれるインピーダンス素子は、抵抗である。
【0092】
図12Aは、本発明の実施の形態3に係る高周波加熱装置1Cの第1導体11における給電位置及び接続位置の一例を示す。図12Aに示すように、第1接続位置Pc1は、第1導体11の他端E12において、第1導体11の幅方向(X方向)に延びる中心線CL2よりも奥行き方向(Y方向)に離れた位置に設けられている。第3接続位置Pc3は、第1導体11の他端E12において、第1導体11の幅方向(X方向)に延びる中心線CL2よりも奥行き方向(Y方向)であって、第1接続位置Pc1が設けられている位置と反対側に離れた位置に設けられている。
【0093】
具体的には、第1接続位置Pc1は、第1導体11の他端E12の第1角部に設けられている。第3接続位置Pc3は、第1導体11の他端E12の第2角部に設けられている。第1導体11の第2角部は、第1導体11の幅方向(X方向)に延びる中心線CL2を挟んで第1導体11の第1角部の反対側に位置する。
【0094】
これにより、第1導体11において、第1給電位置Pf1と第1接続位置Pc1とを通る第1経路L21が形成されると共に、第1給電位置Pf1と第3接続位置Pc3とを通る第2経路L22が形成される。第1経路L21と、第2経路L22とは、交差する。高周波電源20によって第1導体11と第2導体12との間に高周波電圧が印加されるとき、第1経路L21及び第2経路L22には電流が流れる。
【0095】
図12Bは、本発明の実施の形態3に係る高周波加熱装置1Cの第2導体12における給電位置及び接続位置の一例を示す。図12Bに示すように、第2接続位置Pc2は、第2導体12の他端E22において、第2導体12の幅方向(X方向)に延びる中心線CL4よりも奥行き方向(Y方向)に離れた位置に設けられている。第4接続位置Pc4は、第2導体12の他端E22において、第2導体12の幅方向(X方向)に延びる中心線CL4よりも奥行き方向(Y方向)であって、第2接続位置Pc2が設けられている位置と反対側に離れた位置に設けられている。
【0096】
具体的には、第2接続位置Pc2は、第2導体12の他端E22の第1角部に設けられている。第4接続位置Pc4は、第2導体12の他端E22の第2角部に設けられている。第2導体12の第2角部は、第2導体12の幅方向(X方向)に延びる中心線CL4を挟んで第2導体12の第1角部の反対側に位置する。なお、第2給電位置Pf2は、第2導体12の一端E21において、第2導体12の中心線CL4上に設けられている。
【0097】
これにより、第2導体12において、第2給電位置Pf2と第2接続位置Pc2とを通る第3経路L23が形成されると共に、第2給電位置Pf2と第4接続位置Pc4とを通る第4経路L24が形成される。第3経路L23と第4経路L24とは、交差する。高周波電源20によって第1導体11と第2導体12との間に高周波電圧が印加されるとき、第3経路L23及び第4経路L24には電流が流れる。
【0098】
このように、高周波加熱装置1Cは、第1導体11において第1給電位置Pf1とは異なる第1接続位置Pc1と、第2導体12において第2給電位置Pf2とは異なる第2接続位置Pc2とで、第1導体11と第2導体12とを電気的に接続する第1接続経路30を有する。また、高周波加熱装置1Cは、第1導体11において第1給電位置Pf1及び第1接続位置Pc1とは異なる第3接続位置Pc3と、第2導体12において第2給電位置Pf2及び第2接続位置Pc2とは異なる第4接続位置Pc4とで、第1導体11と第2導体12とを電気的に接続する第2接続経路32を有する。
【0099】
[効果]
実施の形態3の高周波加熱装置1Cによれば、以下の効果を奏することができる。
【0100】
高周波加熱装置1Cは、第1導体11と第2導体12とを電気的に接続する複数の接続経路30,32を有する。具体的には、高周波加熱装置1Cは、第1導体11において第1給電位置Pf1及び第1接続位置Pc1とは異なる第3接続位置Pc3と、第2導体12において第2給電位置Pf2及び第2接続位置Pc2とは異なる第4接続位置Pc4とで、第1導体11と第2導体12とを電気的に接続する第2接続経路32を有する。このような構成により、第1導体11及び第2導体12を流れる電流の経路を増やすことができる。これにより、高周波加熱装置1Cでは、実施の形態1及び2に比べて、磁界による加熱分布を広げることができ、加熱対象物50を均等に加熱することができる。
【0101】
高周波加熱装置1Cでは、第1導体11において、第1給電位置Pf1と第1接続位置Pc1とを通る第1経路L21と、第1給電位置Pf1と第3接続位置Pc3とを通る第2経路L22とが交差する。また、第2導体12において、第2給電位置Pf2と第2接続位置Pc2とを通る第3経路L23と、第2給電位置Pf2と第4接続位置Pc4とを通る第4経路L24とが交差する。このような構成により、第1導体11及び第2導体12で発生する磁界の打ち消し合いを抑制し、電力効率をより向上させることができる。
【0102】
なお、実施の形態3では、複数の接続経路は、2つの接続経路30,32である例について説明したが、これに限定されない。複数の接続経路は、2つ以上の接続経路を有していてもよい。
【0103】
実施の形態3では、第1導体11において、第1接続位置Pc1を第1導体11の他端E12側の第1角部に形成し、第3接続位置Pc3を、第1導体11の幅方向(X方向)に延びる中心線CL2を間に挟んで第1角部と反対側の第2角部に形成する例について説明したが、これに限定されない。第1接続位置Pc1及び第3接続位置Pc3は、第1導体11の第1角部及び第2角部に形成されていなくてもよい。第1接続位置Pc1及び第3接続位置Pc3は、第1導体11上に形成されていればよい。同様に、第2導体12において、第2接続位置Pc2を第2導体12の他端E22側の第1角部に形成し、第4接続位置Pc4を、第2導体12の幅方向(X方向)に延びる中心線CL4を間に挟んで第1角部と反対側の第2角部に形成する例について説明したが、これに限定されない。第2接続位置Pc2及び第4接続位置Pc4は、第2導体12の第1角部及び第2角部に形成されていなくてもよい。第2接続位置Pc2及び第4接続位置Pc4は、第2導体12上に形成されていればよい。このような構成においても、磁界による加熱分布を広げることができ、加熱対象物50を均等に加熱することができる。
【0104】
実施の形態3では、第1導体11において、第1給電位置Pf1と第1接続位置Pc1とを通る第1経路L21と、第1給電位置Pf1と第3接続位置Pc3とを通る第2経路L22とが交差する例について説明したが、これに限定されない。また、第2導体12において、第2給電位置Pf2と第2接続位置Pc2とを通る第3経路L23と、第2給電位置Pf2と第4接続位置Pc4とを通る第4経路L24とが交差する例について説明したが、これに限定されない。
【0105】
実施の形態3では、第1導体11に1つの第1給電位置Pf1が設けられ、第2導体12に1つの第2給電位置Pf2が設けられる例について説明したが、これに限定されない。第1導体11及び第2導体12のそれぞれにおいて、複数の給電位置が設けられていてもよい。このような構成においても、磁界による加熱分布を広げることができ、加熱対象物50を均等に加熱することができる。
【0106】
図13Aは、変形例の高周波加熱装置1Dの第1導体11における給電位置及び接続位置の一例を示す。図13Bは、変形例の高周波加熱装置1Dの第2導体12における給電位置及び接続位置の一例を示す。図13Aに示すように、第1導体11において、2つの給電位置Pf1,Pf3が設けられている。具体的には、第1導体11の一端E11に、第1給電位置Pf1が設けられている。第1導体11の側端E13に、第3給電位置Pf3が設けられている。第1給電位置Pf1及び第3給電位置Pf3は、高周波電源20に接続されている。
【0107】
また、第1導体11には、2つの接続位置Pc1,Pc3が設けられている。具体的には、第1導体11の他端E12に、第1接続位置Pc1が設けられている。第1導体11の側端E13とは反対側の側端E14に、第3接続位置Pc3が設けられている。第1接続位置Pc1は、第1接続経路30に接続されている。第3接続位置Pc3は、第2接続経路32に接続されている。
【0108】
第1給電位置Pf1と第1接続位置Pc1とは第1導体11の幅方向(X方向)に延びる中心線CL2上に位置し、第3給電位置Pf3と第3接続位置Pc3とは第1導体11の奥行き方向(Y方向)に延びる中心線CL1上に位置する。
【0109】
第1導体11においては、第1給電位置Pf1と第1接続位置Pc1とを通る第5経路L31と、第3給電位置Pf3と第3接続位置Pc3とを通る第6経路L32とが形成される。第5経路L31と第6経路L32とは直交している。高周波電源20によって第1導体11と第2導体12との間に高周波電圧が印加されるとき、第5経路L31及び第6経路L32に電流が流れる。
【0110】
図13Bに示すように、第2導体12において、2つの給電位置Pf2,Pf4が設けられている。具体的には、第2導体12の一端E21に、第2給電位置Pf2が設けられている。第2導体12の側端E23に、第4給電位置Pf4が設けられている。第2給電位置Pf2及び第4給電位置Pf4は、高周波電源20に接続されている。
【0111】
また、第2導体12には、2つの接続位置Pc2,Pc4が設けられている。具体的には、第2導体12の他端E22に、第2接続位置Pc2が設けられている。第2導体12の側端E23とは反対側の側端E24に、第4接続位置Pc4が設けられている。第2接続位置Pc2は、第1接続経路30に接続されている。第4接続位置Pc4は、第2接続経路32に接続されている。
【0112】
第2給電位置Pf2と第2接続位置Pc2とは第2導体12の幅方向(X方向)に延びる中心線CL4上に位置し、第4給電位置Pf4と第4接続位置Pc4とは第2導体12の奥行き方向(Y方向)に延びる中心線CL3上に位置する。
【0113】
第2導体12においては、第2給電位置Pf2と第2接続位置Pc2とを通る第7経路L33と、第4給電位置Pf4と第4接続位置Pc4とを通る第8経路L34とが形成される。第7経路L33と第8経路L34とは直交している。高周波電源20によって第1導体11と第2導体12との間に高周波電圧が印加されるとき、第7経路L33及び第8経路L34に電流が流れる。
【0114】
このような構成により、第1導体11と第2導体12との間に高周波電圧が印加されるとき、第1導体11の第5経路L31を流れる電流の向きと、第2導体12の第7経路L33を流れる電流の向きとが反対方向となる。また、第1導体11の第6経路L32を流れる電流の向きと、第2導体12の第8経路L34を流れる電流の向きとが反対方向となる。これにより、第1導体11の第5経路L31を流れる電流によって生じる磁界と、第2導体12の第7経路L33を流れる電流によって生じる磁界とが強め合う。また、第1導体11の第6経路L32を流れる電流によって生じる磁界と、第2導体12の第8経路L34を流れる電流によって生じる磁界とが強め合う。その結果、高周波加熱装置1Dにおいては、磁界による加熱を強くすることができ、更なる電力効率の向上を実現することができる。
【0115】
また、第1導体11において第5経路L31と第6経路L32とが直交し、第2導体12において第7経路L33と第8経路L34とが直交していることによって、それぞれの経路で発生する磁界同士が打ち消し合うのを抑制することができる。これにより、電力効率をさらに向上させることができる。
【0116】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る高周波加熱装置について説明する。なお、実施の形態4では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態4においては、実施の形態1と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態4では、実施の形態1と重複する記載は省略する。
【0117】
図14は、本発明の実施の形態4に係る高周波加熱装置1Eの基本構成の一例を示す。図14に示すように、実施の形態4では、第1導体11aと第2導体12aとがメアンダ状に形成されている点が、実施の形態1と異なる。
【0118】
高周波加熱装置1Eでは、第1導体11a及び第2導体12aは、高周波加熱装置1Eの幅方向(X方向)に蛇行して延びている。また、第1導体11aと第2導体12aとは、対向して配置されている。
【0119】
実施の形態4では、高周波電源20は、第1導体11aの一端と第2導体12aの一端とに接続されている。接続経路30は、第1導体11aの他端と第2導体12aの他端に接続されている。
【0120】
高周波電源20によって第1導体11aと第2導体12aとの間に高周波電圧が印加されるとき、第1導体11aと第2導体12aとが対向する部分において、第1導体11aを流れる電流の向きと、第2導体12aを流れる電流の向きとは、反対方向となっている。
【0121】
[効果]
実施の形態4の高周波加熱装置1Eによれば、以下の効果を奏することができる。
【0122】
高周波加熱装置1Eによれば、第1導体11a及び第2導体12aは、平板状に形成され、且つ対向して配置されている。このような構成により、装置を大型化せずに第1導体11a及び第2導体12aの電気長を長くすることができる。これにより、装置の小型化を実現しつつ、電力効率を向上させることができる。
【0123】
高周波加熱装置1Eによれば、実施の形態1に比べて、磁界の分布を均等にすることができる。このため、磁界による加熱対象物50の加熱を均等にすることができる。
【0124】
高周波加熱装置1Eによれば、高周波電源20によって第1導体11aと第2導体12aとの間に高周波電圧が印加されるとき、第1導体11aと第2導体12aとが対向する部分において、第1導体11aを流れる電流の向きと、第2導体12aを流れる電流の向きとは、反対方向となっている。このような構成により、第1導体11aと第2導体12aとの間に発生する磁界が強め合うため、電力効率を更に向上させることができる。
【0125】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る高周波加熱装置について説明する。なお、実施の形態5では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態5においては、実施の形態1と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態5では、実施の形態1と重複する記載は省略する。
【0126】
図15は、本発明の実施の形態5に係る高周波加熱装置1Fの基本構成の一例を示す。図15に示すように、実施の形態5では、第1導体11bと第2導体12bとが渦巻き状に形成されている点が、実施の形態1と異なる。
【0127】
高周波加熱装置1Fでは、第1導体11b及び第2導体12bは、時計回りの巻回方向1に巻回している。具体的には、第1導体11bの他端が巻回軸に向かって近づくように第1導体11bが巻回されている。また、第2導体12bの他端が巻回軸に向かって近づくように第2導体12bが巻回されている。第1導体11bと第2導体12bとは、対向して配置されている。
【0128】
実施の形態5では、高周波電源20は、第1導体11bの一端と第2導体12bの一端とに接続されている。接続経路30は、第1導体11bの他端と第2導体12bの他端に接続されている。
【0129】
高周波電源20によって第1導体11bと第2導体12bとの間に高周波電圧が印加されるとき、第1導体11bと第2導体12bとが対向する部分において、第1導体11bを流れる電流の向きと、第2導体12bを流れる電流の向きとは、反対方向となっている。
【0130】
[効果]
実施の形態5の高周波加熱装置1Fによれば、以下の効果を奏することができる。
【0131】
高周波加熱装置1Fによれば、第1導体11b及び第2導体12bは、渦巻き状に形成され、且つ対向して配置されている。このような構成により、装置を大型化せずに第1導体11b及び第2導体12bの電気長を長くすることができる。これにより、装置の小型を実現しつつ、電力効率を向上させることができる。
【0132】
高周波加熱装置1Fによれば、実施の形態1に比べて、磁界の分布を均等にすることができる。このため、磁界による加熱対象物50の加熱を均等にすることができる。
【0133】
高周波加熱装置1Fによれば、第1導体11bと第2導体12bとが対向する部分において、第1導体11bを流れる電流の向きと、第2導体12bを流れる電流の向きとは、反対方向となっている。このような構成により、第1導体11bと第2導体12bとの間に発生する磁界が強め合うため、電力効率を更に向上させることができる。
【0134】
なお、実施の形態5では、第1導体11bと第2導体12bとが、高周波加熱装置1Eの高さ方向(Y方向)に対向して配置される例について説明したが、これに限定されない。第1導体11bと第2導体12bとは、空間を介して配置されていればよい。
【0135】
図16は、変形例の高周波加熱装置1Gの基本構成の一例を示す図である。図16に示すように、高周波加熱装置1Gでは、第1導体11c及び第2導体12cとは、渦巻き状に形成されている。第2導体12cは、第1導体11cの巻回方向DR1に沿って、第1導体11cの内側に配置されている。
【0136】
このように、第1導体11cと第2導体12cとは、高周波加熱装置1Gの幅方向(X方向)及び奥行き方向(Y方向)に空間を介して並んで配置されている。なお、加熱対象物50は、第1導体11c及び第2導体12cの上に配置されて加熱される。このような構成においても、第1導体11cと第2導体12cとの間に発生する磁界と電界によって加熱対象物50を加熱することができ、電力効率を向上させることができる。
【0137】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明に係る高周波加熱装置は、例えば、解凍機や食材の加熱調理機などの調理家電として有用である。
【符号の説明】
【0139】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G 高周波加熱装置
10 加熱室
11,11a,11b,11c 第1導体
12,12a,12b,12c 第2導体
13 誘電体
20 高周波電源
21 高周波発振器
22 整合回路
30,32 接続経路
31,31a,31b,33 整合部
40 制御部
50 加熱対象物
E11,E21 一端
E12,E22 他端
E13,E14,E23,E24 側端
L1,L2,L3,L4,L5 インダクタ
L11,L12 経路
L21,L22,L23,L24 経路
L31,L32,L33,L34 経路
Ls 経路長
Pc1,Pc2,Pc3,Pc4 接続位置
Pf1,Pf2,Pf3,Pf4 給電位置
R1 抵抗
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16