(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 9/02 20060101AFI20230721BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230721BHJP
F21V 29/10 20150101ALI20230721BHJP
【FI】
F21S9/02
F21V23/00 120
F21V23/00 150
F21V29/10
(21)【出願番号】P 2021071466
(22)【出願日】2021-04-20
(62)【分割の表示】P 2017079700の分割
【原出願日】2017-04-13
【審査請求日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2016101973
(32)【優先日】2016-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】辻 隆史
(72)【発明者】
【氏名】中村 恭平
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-090926(JP,A)
【文献】特開2015-026494(JP,A)
【文献】実開昭48-054476(JP,U)
【文献】登録実用新案第3158930(JP,U)
【文献】実開昭48-054477(JP,U)
【文献】実開昭57-192607(JP,U)
【文献】特開平05-205506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 9/02
F21V 23/00
F21V 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部と、
前記発光部に電力を供給する蓄電池と、
外部から供給される交流電力を直流電力に変換して前記発光部に供給する電源回路と、
前記蓄電池が載置される第1の領域、及び、前記電源回路が載置される第2の領域を有する底板とを備え、
前記底板の、前記第1の領域と前記第2の領域との間の位置には、スリット部が設けられ、
前記底板の前記第2の領域には、前記発光部が載置される凸部が設けられ、
前記発光部は、
前記底板と一体形成された前記凸部に載置されることにより、前記底板の前記第2の領域に直接的に載置されるか、または、
前記底板と別体の前記凸部に載置されることにより、前記底板の前記第2の領域に間接的に載置される
照明装置。
【請求項2】
前記スリット部は、直線状であり、
前記スリット部の長さは、前記スリット部の長手方向における前記発光部の長さの0.7倍以上である
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記スリット部を形成する縁部分は、折れ曲がっている
請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記スリット部を形成する縁部分は、前記蓄電池側に向かって折れ曲がっている
請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記スリット部を形成する縁部分は、複数箇所において折れ曲がっている
請求項3または4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記スリット部は、円弧状である
請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
前記スリット部は、前記底板に設けられた複数の孔からなる
請求項1~6のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記凸部は、前記底板の中央部に設けられる
請求項
1~7のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項9】
さらに、前記発光部、前記凸部、及び前記蓄電池を側方から囲む側壁を備え、
前記底板及び前記側壁は、前記発光部、前記凸部、及び前記蓄電池を収容する筐体を構成する
請求項
1~8のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項10】
さらに、
前記筐体の前記底板と反対側に取り付けられる、透光性を有するカバーと、
前記カバーと前記筐体との隙間を塞ぐ第1シール部材とを備える
請求項
9に記載の照明装置。
【請求項11】
照明装置であって、
発光部と、
前記発光部に電力を供給する蓄電池と、
外部から供給される交流電力を直流電力に変換して前記発光部に供給する電源回路と、
前記蓄電池が載置される第1の領域、及び、前記電源回路が載置される第2の領域を有する底板とを備え、
前記底板の、前記第1の領域と前記第2の領域との間の位置には、スリット部が設けられ、
前記照明装置は、さらに、前記スリット部を塞ぐ第2シール部材を備え、
前記第2シール部材は、前記スリット部に挟まることにより前記スリット部を塞ぐ
照明装置。
【請求項12】
前記スリット部は、前記底板を2つに分離する
請求項1~
11のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項13】
前記電源回路には、前記蓄電池を充電する充電回路が含まれる
請求項1~
12のいずれか1項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池を備える照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED照明装置が普及しつつある。例えば、特許文献1には、屋外等で使用するために、防水構造を備えたLED照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
照明装置においては、発光部(光源)が発する熱が耐熱性の低い部品に伝わりにくい構造が求められる。例えば、蓄電池は、使用される際の環境温度の上限が比較的低く耐熱性の低い部品であるといえる。蓄電池を備える照明装置においては、発光部が発する熱が蓄電池に伝わりにくいほうがよい。
【0005】
本発明は、電源回路が発する熱が蓄電池に伝わりにくい照明装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る照明装置は、発光部と、前記発光部に電力を供給する蓄電池と、外部から供給される交流電力を直流電力に変換して前記発光部に供給する電源回路と、前記蓄電池が載置される第1の領域、及び、前記電源回路が載置される第2の領域を有する底板とを備え、前記底板の、前記第1の領域と前記第2の領域との間の位置には、スリット部が設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電源回路が発する熱が蓄電池に伝わりにくい照明装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る照明装置の下方から見た外観斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る照明装置の下方から見た分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る照明装置の上方から見た分解斜視図である。
【
図4】
図4は、スリット部の形状を説明するための平面図(模式図)である。
【
図5】
図5は、シミュレーションモデルを説明するための平面図である。
【
図6】
図6は、シミュレーション結果を示す図である。
【
図7】
図7は、折れ曲がったスリット部の形状を示す第1の図である。
【
図8】
図8は、折れ曲がったスリット部の形状を示す第2の図である。
【
図9】
図9は、折れ曲がったスリット部の形状を示す第3の図である。
【
図10】
図10は、折れ曲がったスリット部の形状を示す第4の図である。
【
図11】
図11は、折れ曲がったスリット部の形状を示す第5の図である。
【
図12】
図12は、円弧状のスリット部を示す第1の図である。
【
図13】
図13は、円弧状のスリット部を示す第2の図である。
【
図14】
図14は、複数の孔からなるスリット部の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、複数の孔からなるスリット部の別の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、底板を2つに分離するスリット部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0010】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0011】
以下の実施の形態の図面においては、Z軸方向は、例えば上下方向(鉛直方向)であり、Z軸+側は、上側または天井側と記載される場合がある。また、Z軸-側は、下側または光出射側と記載される場合がある。また、X軸方向及びY軸方向は、Z軸に垂直な平面(水平面)上において、互いに直交する方向である。また、以下の実施の形態において、平面視とは、Z軸方向から見ることを意味する。
【0012】
(実施の形態)
まず、実施の形態に係る照明装置の構成について詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係る照明装置の下方から見た外観斜視図である。
図2は、実施の形態に係る照明装置の下方から見た分解斜視図である。
図3は、実施の形態に係る照明装置の上方から見た分解斜視図である。
【0013】
図1~
図3に示されるように、照明装置10は、発光部20と、筐体30と、蓄電池40と、電源回路50と、カバー60と、第1シール部材70と、第2シール部材80とを備える。
【0014】
照明装置10は、防水または防塵を目的とした密閉型の照明装置である。照明装置10は、例えば、屋外空間または半屋外空間において使用される。照明装置10は、具体的には、シーリングライトとして半屋外空間の天井に取り付けられるが、ブラケットライトとして壁面に取り付けられてもよい。照明装置10の用途は特に限定されない。
【0015】
照明装置10の平面視形状(Z軸方向から見た形状)は、円形である。以下の実施の形態では、照明装置10は、天井に取り付けられるものとして説明が行われる。なお、密閉型の照明装置とは、照明装置の内部へと続く隙間が最小限に抑えられた照明装置である。
【0016】
発光部20は、照明装置10の光源として機能する。発光部20は、具体的には、基板上に直接実装されたLEDチップが、蛍光体を含有する透光性樹脂によって封止されたCOB(Chip On Board)型の発光モジュールである。発光部20は、例えば、白色光を下方に向けて発する。つまり、発光部20は、白色光をカバー60に向けて発する。
【0017】
発光部20は、筐体30の凸部33に載置され、凸部33にねじ止めされる。発光部20は、円形の発光領域を有する。
【0018】
筐体30は、略有底円筒状の部材であり、発光部20、蓄電池40、及び、電源回路50を収容する。筐体30の平面視形状は、直径20cm~30cm程度の円形である。筐体30は、例えば、アルミニウムがダイカスト鋳造されることにより形成される。筐体30は、その他の金属材料または樹脂材料によって形成されてもよい。筐体30は、具体的には、底板31及び側壁32を含む。
【0019】
底板31は、平面視形状が円形の板材である。底板31の下面には、蓄電池40及び電源回路50が載置される。また、底板31の下面には、下方に向かって突出した凸部33が設けられる。なお、図示されないが、底板31の下面には、外部からの電線が差し込まれる端子台であって、当該電線と電源回路50とを電気的に接続するための端子台も載置される。
【0020】
底板31は、発光部20が光ることにより当該発光部20が発する熱を逃がすための放熱板としても機能する。なお、底板31は、回路基板とは異なり、配線パターンを有しない。ここで、底板31には、スリット部34が設けられる。
【0021】
スリット部34は、開口部の一例であり、具体的には、X軸方向に延びる直線状の開口部である。スリット部34は、底板31を貫通する貫通孔であるが、スリット状の切り欠きであってもよい。スリット部34は、底板31の、凸部33と蓄電池40との間の位置に設けられ、発光部20が発する熱が蓄電池40に伝わることを妨げる。つまり、スリット部34によれば、発光部20が発する熱が蓄電池40に伝わりにくくなる。なお、スリット部34の詳細な構成については後述される。
【0022】
側壁32は、筐体30のうち底板31の縁に沿って立設した部分であり、発光部20、凸部33、蓄電池40、及び、電源回路50を側方から囲む。側壁32は、円環状である。側壁32の下端部は、中心側に向かって鍔状にせり出しており、せり出した部分の内周面には、溝部35(溝構造)が設けられる。溝部35には、カバー60の縁及び第1シール部材70が差し込まれる。第1シール部材70は、溝部35とカバー60の縁との間に挟まることにより溝部35とカバー60との隙間を塞ぐ。
【0023】
凸部33は、筐体30のうち発光部20が載置される載置台として機能する部分である。凸部33は、例えば、底板31の中央部(円形状の中心部)に設けられる。平面視において、凸部33は、蓄電池40及び電源回路50の間に配置されている。凸部33の平面視形状は、矩形(略正方形)である。なお、凸部33は、底板31と一体形成されるが、底板31とは別体であって、底板31に取り付けられてもよい。
【0024】
蓄電池40は、発光部20に電力を供給する電源である。蓄電池40は、例えば、外部からの交流電力の供給が停止されたときに、非常用の電源として使用される。蓄電池40は、例えば、リチウムイオン電池である。蓄電池40は、充電及び放電が可能な蓄電池であればよく、ニッケル水素電池等であってもよい。蓄電池40は、底板31の下面に載置される。
【0025】
電源回路50は、照明装置10の外部から供給される交流電力を直流電力に変換して発光部20に供給する。交流電力は、具体的には、端子台(図示せず)に差し込まれた電線を介して外部交流電源から供給される。電源回路50は、底板31の下面に載置される。電源回路は、具体的には、整流回路及びインバータ回路などを含む。なお、防水性及び防塵性を高めるために、電源回路50は、樹脂製のカバーで覆われている。
【0026】
また、電源回路50には、蓄電池40を充電する充電回路が含まれる。充電回路は、照明装置10の外部から供給される交流電力を蓄電池40の充電に適した直流電力に変換し、直流電力によって蓄電池40を充電する。
【0027】
また、電源回路50には、外部からの交流電力の供給の停止(停電)を検出する検出回路、及び、蓄電池40を放電する放電回路も含まれる。検出回路によって停電が検出されると、放電回路は、蓄電池40を放電させる。この結果、蓄電池40は、発光部20に直流電力を供給する。これにより、照明装置10は、停電時も発光を継続することができる。
【0028】
カバー60は、下方に向かって突出した略円形ドーム状の光学部材(グローブ)である。カバー60は、透光性を有し、筐体30の底板31と反対側に取り付けられる。カバー60は、具体的には、外側に向かって鍔状にせり出したカバー60の縁が筐体30の下端部に設けられた溝部35に差し込まれることにより、筐体30に取り付けられる。
【0029】
カバー60は、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、または、ガラスなどの透光性材料により形成される。また、カバー60は、シリカまたは炭酸カルシウムなどの光拡散材(微粒子)を含有する白色の樹脂またはガラスによって形成されて光拡散性を有してもよい。
【0030】
第1シール部材70は、いわゆるオーリングであり、溝部35とカバー60の縁との間に挟まることにより、溝部35とカバー60との隙間を塞ぐ。これにより、溝部35とカバー60との隙間が密閉される。第1シール部材70は、例えば、弾性を有する樹脂部材(ゴム、エラストマーなど)により形成される。
【0031】
第2シール部材80は、平面視形状が円形のシート状のシール部材である。第2シール部材80は、スリット部34を底板31の外側から覆うことにより、スリット部34を塞ぐ。これにより、スリット部34が密閉される。第2シール部材80は、例えば、弾性を有する樹脂部材(ゴム、エラストマーなど)により形成される。なお、照明装置10は、第2シール部材80に加えて、または、第2シール部材80に代えて、スリット部34に挟まる第2シール部材を備えてもよい。これにより、スリット部34が密閉される。
【0032】
[スリット部の詳細な構成]
次に、スリット部34の詳細な構成について説明する。
図4は、スリット部34の形状を説明するための平面図(模式図)である。なお、
図1~
図3では、スリット部34と発光部20(凸部33)は、近接しているが、スリット部34と発光部20(凸部33)とは、
図4に示されるように離れていてもよい。
【0033】
スリット部34は、発光部20(凸部33)及び蓄電池40の並び方向(Y軸方向)と交差するX軸方向に延びる直線状の開口である。スリット部34は、底板31の、発光部20(凸部33)と蓄電池40との間の位置に設けられ、発光部20が発する熱が蓄電池40に伝わることを妨げる。つまり、スリット部34によれば、発光部20が発する熱が蓄電池40に伝わりにくくなる。
【0034】
また、スリット部34は、底板31の、電源回路50と蓄電池40との間の位置に設けられる。これにより、電源回路50が発する熱が蓄電池40に伝わることが妨げられる。つまり、スリット部34によれば、電源回路50が発する熱が蓄電池40に伝わりにくくなる。
【0035】
なお、
図4に示されるように、照明装置10においては、蓄電池40、スリット部34、発光部20(凸部33)、及び、電源回路50は、底板31の中心を通る直線(線分)上に、この順に並んで配置されている。そして、スリット部34は、これらの部品の並び方向(Y軸方向)と交差(直交)する方向(X軸方向)に長い。しかしながら、このような部品配置は一例であり、照明装置10においては、少なくとも発光部20及び蓄電池40の間にスリット部34が配置されればよい。
【0036】
蓄電池40に熱を伝わりにくくするためには、スリット部34の長さ(X軸方向における長さ)は、長いほうがよい。以下、スリット部34の長さに応じた、筐体30(底板31)の温度上昇についてのシミュレーション結果について説明する。まず、シミュレーションモデルについて説明する。
図5は、シミュレーションモデルを説明するための平面図である。
【0037】
図5に示されるように、シミュレーションモデルにおいては、底板31の中央部に発光部20が配置される。平面視において、発光部20は、一辺の長さ(X軸方向における幅、及び、Y軸方向における幅のそれぞれ)がaである略正方形である。
【0038】
発光部20のY軸方向+側の隣にはスリット部34が配置される。スリット部34は、発光部20と温度の計測位置との間に配置される。温度の計測位置は、底板31のうち、発光部20の中心からY軸方向+側に距離aだけ離れた位置である。
【0039】
以上のようなシミュレーションモデルにおいて、発光部20を熱源として、スリット部34のX軸方向の長さ(以下、単にスリット長とも記載する)と、計測位置における温度上昇についてのシミュレーションを行った。
図6は、シミュレーション結果を示す図である。
【0040】
図6の縦軸は、温度上昇低減率示す。温度上昇低減率は、スリット部34が設けられない場合の計測位置の温度を基準温度として、下記の式で表現される。なお、シミュレーションにおける周囲温度は、30℃である。
【0041】
温度上昇低減率=(基準温度-計測位置の温度)/基準温度
【0042】
図6に示されるように、温度上昇低減率は、スリット長が増加すると単調増加する。スリット長が0.5×aである場合には、温度上昇低減率は、3.9%であり、スリット長が0.7×aである場合には、温度上昇低減率は、6.4%である。したがって、5%以上の温度上昇低減率を得たい場合には、スリット部34の長さは、スリット部34の長手方向における発光部20の長さ(幅)の0.7倍以上であればよい。
【0043】
スリット長が1.0×a、2.0×a、4.0×a、8.0×aである場合の温度上昇低減率は、それぞれ、10.3%、20.6%、32.8%、43.1%である。顕著な温度上昇低減率を得たい場合には、スリット部34の長さは、スリット部34の長手方向における発光部20の長さの4倍以上であればよい。なお、スリット長は、スリット部34の長手方向における底板31の長さ(例えば、底板31の直径)よりも短くなる。
【0044】
なお、スリット部34に、筐体30よりも熱伝導率の低いシール部材が挟まれた場合も、スリット部34が開口しているときとほぼ変わらない断熱効果が得られる。したがって、シール部材がスリット部34に挟まれれば、発光部20と蓄電池40との断熱性を確保しつつ、スリット部34が設けられることにより生じる密閉性の低下を抑制することができる。
【0045】
[スリット部の変形例1]
上記のスリット部34は、直線状であったが、スリット部34は、折れ曲がった直線状であってもよい。つまり、底板31のうちスリット部34を形成する縁部分は、折れ曲がっていてもよい。
図7~
図11は、折れ曲がったスリット部の形状を示す図である。
【0046】
図7~
図9は、蓄電池40側に向かって折れ曲がった直線状のスリット部を示す図である。
図7~
図9に示されるスリット部は、直線状のスリット部34が、蓄電池40を囲むように蓄電池40側に向かって対称的に折り曲げられたような形状を有する。
【0047】
例えば、
図7に示されるスリット部34aは、蓄電池40側に向かうほど広がるコの字状(ブラケット状)である。つまり、底板31のうちスリット部34aを形成する縁部分は、蓄電池40側に向かうほど広がるコの字状に折れ曲がっている。
図8に示されるスリット部34bは、蓄電池40の形状(外形)に沿うコの字状である。つまり、底板31のうちスリット部34bを形成する縁部分は、蓄電池40の形状に沿うコの字状である。
図9に示されるスリット部34cは、蓄電池40側に向かうほど狭まるコの字状である。つまり、底板31のうちスリット部34cを形成する縁部分は、蓄電池40の形状に沿うコの字状である。
【0048】
また、
図10及び
図11は、発光部20(凸部33)側に向かって折れ曲がった直線状のスリット部を示す図である。
図10及び
図11に示されるスリット部は、直線状のスリット部34が、発光部20を囲むように、発光部20側に向かって対称的に折り曲げられたような形状を有する。
【0049】
例えば、
図10に示されるスリット部34dは、発光部20側に向かうほど広がるコの字状(ブラケット状)である。つまり、底板31のうちスリット部34dを形成する縁部分は、発光部20側に向かうほど広がるコの字状に折れ曲がっている。
図11に示されるスリット部34eは、発光部20の形状(外形)に沿うコの字状である。つまり、底板31のうちスリット部34eを形成する縁部分は、発光部20の形状に沿うコの字状に折れ曲がっている。
【0050】
以上説明したように、スリット部が任意に折れ曲がった形状を有していれば、発光部20と蓄電池40との断熱性を調整することができる。
【0051】
例えば、スリット部34、スリット部34a、及びスリット部34bの3種類を比較すると、以下の温度関係が得られる。発光部20のシミュレーション上の温度は、スリット部34を設けた場合が最も高く、次に、スリット部34aを設けた場合が高く、スリット部34bを設けた場合が最も低い。蓄電池40のシミュレーション上の温度は、スリット部34bを設けた場合が最も高く、次に、スリット部34aを設けた場合が高く、スリット部34を設けた場合が最も低い。
【0052】
このように、蓄電池40側に向かって折れ曲がったスリット部によれば、発光部20と蓄電池40との断熱性を確保しつつ、発光部20の温度をやや下げることができる。
【0053】
また、スリット部34は、円弧状であってもよい。
図12及び
図13は、円弧状のスリット部を示す図である。
図12に示されるスリット部34fは、当該スリット部34fよりも蓄電池40側に中心が位置する円弧状である。
図13に示されるスリット部34gは、当該スリット部34gよりも発光部20側に中心が位置する円弧状である。
【0054】
[スリット部の変形例2]
上記のスリット部34等は、1つの開口(貫通孔)であったが、スリット部34は、底板31に設けられた複数の孔からなってもよい。
図14及び
図15は、複数の孔からなるスリット部の一例を示す図である。
【0055】
図14に示されるスリット部34hは、平面視形状が円形の貫通孔が複数、長尺状に配置されることにより形成されている。また、
図15に示されるスリット部34iは、平面視形状が矩形の貫通孔が複数、長尺状に配置されることにより形成されている。
【0056】
なお、複数の孔は、
図14及び
図15に示されるように、スリット部の長手方向に沿う複数の列に分かれて配置されてもよいし、スリット部の長手方向に沿う1列に配置されてもよい。
【0057】
[スリット部の変形例3]
上記のスリット部34等は、底板31を2つに分離しないが、底板31は、スリット部34等によって2つに分離されてもよい。
図16は、底板31を2つに分離するスリット部の一例を示す図である。
【0058】
図16に示されるスリット部34jは、X軸方向に延びる直線状であり、底板31を2つに分離する。スリット部34jは、例えば、スリット部34jに挟まる第2シール部材によって塞がれていてもよい。
【0059】
なお、底板31に対応して側壁32も間隙を空けて2つに分離されていてもよい。この場合も、側壁32の間隙には、シール部材が挟まれていてもよい。
【0060】
また、底板31を2つに分離するスリット部の形状は、スリット部34jのような形状に限定されない。底板31を2つに分離するスリット部の形状は、上記スリット部34a~34gのような形状であってもよい。
【0061】
[補足]
照明装置10においては、底板31の主面をスリット部またはスリット部に沿って延長された仮想線によって第1の領域及び第2の領域の2つの領域に分割したときに、第1の領域に蓄電池40が載置され、第2の領域に発光部20が直接的または間接的に載置されればよい。ここで、発光部20が間接的に載置されるとは、例えば、発光部20及び底板31の間に他の部材が介在する場合など、発光部20が他の部材を介して載置されることを意味する。他の部材は、例えば、底板31と別体の凸部33などである。第1の領域は、第2の領域よりも狭い領域であってもよいし、第2の領域よりも広い領域であってもよい。なお、上記実施の形態では、電源回路50は、第2の領域に載置されている。
【0062】
また、上記実施の形態のスリット部は、開口部の一例である。底板31の、第1の領域と第二の領域との間の位置には、スリット状とは異なる形状の開口部が設けられてもよい。
【0063】
[効果等]
以上説明したように、照明装置10は、発光部20と、発光部20に電力を供給する蓄電池40と、蓄電池40が載置される第1の領域、及び、発光部20が直接的または間接的に載置される第2の領域を有する底板31とを備える。底板31の、第1の領域と第2の領域との間の位置には、スリット部34が設けられる。スリット部34は、開口部の一例である。
【0064】
このように、底板31にスリット部34が設けられることにより、発光部20が発する熱が蓄電池40に伝わることを抑制することができる。言い換えれば、発光部20が発する熱が蓄電池40に伝わりにくい照明装置10が実現される。
【0065】
また、スリット部34は、直線状であり、スリット部34の長さは、スリット部34の長手方向における発光部20の長さの0.7倍以上であってもよい。
【0066】
これにより、一定の断熱効果(上記実施の形態における5%以上の温度上昇低減率)を得ることができる。
【0067】
また、スリット部34を形成する縁部分は、折れ曲がっていてもよい。
【0068】
これにより、折れ曲がり方の設計変更が行われれば、発光部20と蓄電池40との断熱性を調整することができる。
【0069】
また、スリット部34a、スリット部34b、及び、スリット部34cのように、スリット部34を形成する縁部分は、蓄電池40側に向かって折れ曲がっていてもよい。
【0070】
これにより、発光部20と蓄電池40との断熱性を確保しつつ、発光部20の温度を下げることができる。
【0071】
また、スリット部34a、スリット部34b、スリット部34c、スリット部34d、及び、スリット部34eのように、スリット部34を形成する縁部分は、複数箇所において折れ曲がっていてもよい。
【0072】
これにより、折れ曲がり方の設計変更が行われれば、発光部20と蓄電池40との断熱性を調整することができる。
【0073】
また、スリット部34f及びスリット部34gのように、スリット部34は、円弧状であってもよい。
【0074】
これにより、円弧状のスリット部34によって、発光部20が発する熱が蓄電池40に伝わることを抑制することができる。
【0075】
また、スリット部34h及びスリット部34iのように、スリット部34は、底板31に設けられた複数の孔からなってもよい。
【0076】
これにより、スリット部34を複数の孔によって実現することができる。
【0077】
また、照明装置10は、さらに、底板31の第2の領域に載置された電源回路50であって、照明装置10の外部から供給される交流電力を直流電力に変換して発光部20に供給する電源回路50を備えてもよい。
【0078】
これにより、電源回路50が発する熱が蓄電池40に伝わることを抑制することができる。言い換えれば、電源回路50が発する熱が蓄電池40に伝わりにくい照明装置10が実現される。
【0079】
また、底板31の第2の領域には、発光部20が載置される凸部33が設けられてもよい。
【0080】
これにより、底板31は、発光部20を凸部33によって支持することができる。
【0081】
また、凸部33は、底板31の中央部に設けられてもよい。
【0082】
これにより、発光部20を照明装置10の中央部に配置することができる。
【0083】
また、照明装置10は、さらに、発光部20、凸部33、及び蓄電池40を側方から囲む側壁32を備え、底板31及び側壁32は、発光部20、凸部33、及び蓄電池40を収容する筐体30を構成してもよい。
【0084】
これにより、筐体30の一部として形成された底板31に設けられたスリット部34によって、発光部20が発する熱が蓄電池40に伝わることを抑制することができる。
【0085】
また、照明装置10は、さらに、筐体30の底板31と反対側に取り付けられる、透光性を有するカバー60と、カバー60と筐体30との隙間を塞ぐ第1シール部材70と、スリット部34を塞ぐ第2シール部材80とを備えてもよい。
【0086】
これにより、照明装置10の密閉性(防水性及び防塵性)を高めることができる。密閉性が高められた照明装置10においては、発光部20の熱を逃がすことが難しいため、スリット部34が設けられる構成が特に有用となる。
【0087】
また、第2シール部材80は、スリット部34に挟まることによりスリット部34を塞いでもよい。
【0088】
これにより、発光部20と蓄電池40との断熱性を確保しつつ、スリット部34が設けることにより生じる密閉性の低下を抑制することができる。
【0089】
また、スリット部34jのように、スリット部34は、底板31を2つに分離してもよい。
【0090】
これにより、発光部20が発する熱が蓄電池40に伝わることを抑制することができる。
【0091】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態に係る照明装置について説明したが、本発明は、このような実施の形態に限定されるものではない。
【0092】
上記実施の形態で説明されたスリット部の形状は、一例である。例えば、スリット部の形状は、直線状の部分と、曲線状の部分とを両方含んでもよい。
【0093】
上記実施の形態で説明された照明装置の形状は、一例である。例えば、上記実施の形態では、筐体の平面視形状は、円形であったが、筐体の平面視形状は、矩形などの多角形であってもよい。
【0094】
また、上記実施の形態では、発光部として、COB型の発光モジュールが用いられたが、発光部の態様は特に限定されるものではない。例えば、SMD型の発光モジュールが発光部として用いられてもよい。また、発光部には、LEDチップを用いた発光モジュールに代えて、蛍光管、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、または、ネオン管等が用いられてもよい。また、発光部には、無機エレクトロルミネッセンス、有機エレクトロルミネッセンス、ケミルミネッセンス(化学発光)、または、半導体レーザー等が用いられてもよい。
【0095】
以上、一つまたは複数の態様に係る照明装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【符号の説明】
【0096】
10 照明装置
20 発光部
30 筐体
31 底板
32 側壁
33 凸部
34、34a~34j スリット部(開口部)
40 蓄電池
50 電源回路
60 カバー
70 第1シール部材
80 第2シール部材