(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物及び衛生資材
(51)【国際特許分類】
A61L 2/18 20060101AFI20230721BHJP
A61K 31/045 20060101ALI20230721BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20230721BHJP
A61K 31/353 20060101ALI20230721BHJP
A61K 31/522 20060101ALI20230721BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20230721BHJP
A61K 36/03 20060101ALI20230721BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20230721BHJP
A61K 36/82 20060101ALI20230721BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
A61L2/18
A61K31/045
A61K31/05
A61K31/353
A61K31/522
A61K31/7048
A61K36/03
A61K36/185
A61K36/82
A61P31/14
(21)【出願番号】P 2016243360
(22)【出願日】2016-12-15
【審査請求日】2019-11-29
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000190736
【氏名又は名称】株式会社ニイタカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】尾崎恵太
(72)【発明者】
【氏名】守屋貴弘
(72)【発明者】
【氏名】赤阪天平
(72)【発明者】
【氏名】丸山伸司
【合議体】
【審判長】岡崎 美穂
【審判官】森井 隆信
【審判官】齋藤 恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/123183(WO,A1)
【文献】紫茶エキス Ver.1.0 TK,オリザ油化株式会社,制定日:2013年10月9日
【文献】見草エキス ver.6.1 JT,オリザ油化株式会社,制定日:1999年9月1日
【文献】Food Sci.Biotechnol.,2013年,Vol.22,pp.593-598
【文献】Biocontrol Sci,2009年,Vol.14,No.3,pp.107-111
【文献】Algae,2015年,Vol.30,No.3,pp.241-246
【文献】J.Infect.Chemother.,2015年10月21日オンライン掲載,Vol.22,No.3,pp.191-193
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K36/00
A61K31/00
A61L2/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
MEDLINE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑茶抽出物、紫茶抽出物、及び、月見草種子抽出物から選択される少なくとも1種の植物抽出物と、エタノールとを含むカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物であって、
前記緑茶抽出物は、カテキン及びカフェインを含み、
前記紫茶抽出物は、アントシアニン及び2-ガロイル-4,6-ヘキサドキシジフェノイル-β-D-グルコースを含み、
前記月見草種子抽出物は、没食子酸、エラグ酸、ペンタガロイルグルコース、カテキン及びプロアントシアニジンを含み、
前記カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物中
、前記エタノールの割合は、24.69~85.70重量%であり、
前記植物抽出物の割合は、0.20~3.30重量%であり、
ネコカリシウイルス及びマウスノロウイルスを不活性化する、pHが4.0~8.0であることを特徴とするカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物。
【請求項2】
前記カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物中の前記植物抽出物の割合は、0.0001~5.0重量%である請求項1に記載のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物。
【請求項3】
前記カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、前記緑茶抽出物及び前記月見草種子抽出物を含む請求項1又は2に記載のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物。
【請求項4】
前記カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、前記緑茶抽出物及び前記紫茶抽出物を含む請求項1又は2に記載のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物。
【請求項5】
海藻抽出物をさらに含む請求項1~
4のいずれかに記載のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物。
【請求項6】
前記海藻抽出物は、フロログルシノール重合体を含む請求項
5に記載のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物。
【請求項7】
前記フロログルシノール重合体は、フロログルシノールが7分子以上重合してなる請求項
6に記載のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物。
【請求項8】
前記海藻抽出物は、ヒバマタ科の海藻から抽出された海藻抽出物である請求項
5~
7のいずれかに記載のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれかに記載のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物を含むことを特徴とする衛生資材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物及び衛生資材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノロウイルスによる感染性胃腸炎あるいは食中毒の発生が一年を通じて多発しており、特に11~3月が発生のピークとなっている。ノロウイルスは、カリシウイルス科、ノロウイルス属に分類されるエンベローブを持たないRNAウイルス(以下、「ノロウイルス等」と記載する)であり、アルコール(エタノール、イソプロパノール等)、熱、酸性(胃酸等)、又は、乾燥等に対して強い抵抗力を有する。潜伏期間は1~2日であると考えられており、嘔気、嘔吐、下痢の主症状が出るが、腹痛、頭痛、発熱、悪寒、筋痛、咽頭痛、倦怠感等を伴うこともある。
【0003】
ノロウイルス等の感染経路の一つとして経口感染が知られており、ノロウイルス等に汚染された食物や水等を経口摂取することにより感染が成立する。
そのため、飲食店、給食施設、工場など食品を調理加工する場においては、食物や水等がノロウイルス等に汚染されないようにすることが求められている。
【0004】
ノロウイルス等による汚染を防ぐ手段として、食物、食器、調理台、調理器具等のノロウイルスを不活性化する方法がある。
ノロウイルス等を完全に不活性化させる方法としては、加熱処理が知られている。
しかし、飲食店、給食施設、工場など食品を調理加工する場において、常に、食器、調理台、調理器具等を加熱処理することは現実的でなく、食物の種類によっては加熱処理により風味が損なわれてしまう場合がある。つまり、加熱処理は、飲食店、給食施設、工場など食品を調理加工する場において、ノロウイルス等を不活性化する方法として適していなかった。
【0005】
また、ノロウイルス等を不活性化させる方法として、塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム等)を用いる方法も知られている。しかし、塩素系漂白剤は、金属に対する腐食作用、皮膚等に対する刺激作用、衣類に対する漂白作用等がある。そのため、その使用が制限されるという欠点があり、特に、人体に対する安全性への配慮から作業者の手指、食器、調理台、調理器具等にこれらの薬剤類を用いることは適当とはいえず、まして食物に直接触れさせることも適当とはいえなかった。
そのため、人体に対し安全なノロウイルス等を不活性化できる方法が望まれていた。
【0006】
人体に対し安全なノロウイルス等を不活性化する方法として、食物由来のウイルス不活性化物質を使用する方法が検討されてきた。
このような食物由来のウイルス不活性化物質として、特許文献1には、タンニンを含有するカキノキ属の植物の抽出物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2008/153077号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1には、タンニンを含有するカキノキ属の植物の抽出物を、エタノールと混合しした組成物とし、この組成物を用いることによりノロウイルス等を不活性化できることが示されている。
しかし、この組成物のノロウイルス等の不活性化作用は充分といえず、ノロウイルス等の不活性化作用がさらに高い食物由来のウイルス不活性化物質を発見すること、及び、そのウイルス不活性化物質を用いた消毒液の開発が望まれていた。
【0009】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされた発明であり、本発明の目的は、高いウイルス不活性化作用を示すカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、70種以上の組成物をスクリーニングした結果、緑茶(Camellia sinensis)、紫茶(Camellia sinensis)、マキベリー(Aristotelia Chilensis)、ブドウ(Vitis vinifera)、カンカニクジュヨウ(Cistanche Tubulosa(schenk) wight)、月見草(メマツヨイグサ)(Oenothera biennis)種子、ウーロン茶(Camellia sinensis)、ピーナツ(Arachis hypogaea)種皮及びビルベリー(Vaccinium Myrtillus L.)の抽出物にウイルス不活性化作用があることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、緑茶抽出物、紫茶抽出物、マキベリー抽出物、ブドウ抽出物、カンカニクジュヨウ抽出物、月見草種子抽出物、ウーロン茶抽出物、ピーナツ種皮抽出物及びビルベリー抽出物から選択される少なくとも1種の植物抽出物と、エタノールとを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、緑茶抽出物、紫茶抽出物、マキベリー抽出物、ブドウ抽出物、カンカニクジュヨウ抽出物、月見草種子抽出物、ウーロン茶抽出物、ピーナツ種皮抽出物及びビルベリー抽出物から選択される少なくとも1種の植物抽出物を含む。
これらの植物抽出物はウイルス不活性化作用を示す。
【0013】
また、本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、エタノールを含む。
上記植物抽出物と、エタノールとを組み合わせることにより、植物抽出物のウイルス不活性化作用と、エタノールによるウイルス不活性化作用とが相乗作用し、ウイルス不活性化作用が向上する。
そのため、本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、好適にウイルスを不活性化することができる。
【0014】
また、一般的にウイルス不活性化剤組成物は、タンパク質汚れや油脂汚れ等の汚れがある環境下で使用される。このような汚れは、ウイルスの不活性化作用を抑制する場合がある。
しかし、本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物では、上記の通り、植物抽出物と、エタノールとの両方を含むのでウイルス不活性化作用が向上している。そのため、タンパク質汚れや油脂汚れ等の汚れがあったとしても、充分なウイルス不活性化作用を示す。
【0015】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物では、上記カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物中の上記植物抽出物の割合は、0.0001~5.0重量%であることが望ましい。
カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物中の植物抽出物の割合が、0.0001重量%未満であると、充分なウイルス不活性化作用を示しにくくなる。
カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物中の植物抽出物の割合が、5.0重量%を超えると、植物抽出物によるウイルス不活性化作用が上限に近づき経済的でない。
【0016】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物では、上記カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物中の上記エタノールの割合は、8.05~85.70重量%であることが望ましい。
カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物中のエタノールの割合が8.05重量%未満であると、エタノールの割合が少ないので、エタノールが含まれることによるウイルス不活性化作用が発揮されにくくなる。
カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物中のエタノールの割合が85.70重量%を超えると、カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物中のエタノールの濃度が高すぎ、引火等の危険性が高くなる。
【0017】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、pHが2.0~9.0であることが望ましい。
【0018】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物では、上記緑茶抽出物はカテキン及びカフェインを含むことが望ましく、上記紫茶抽出物はアントシアニン及び2-ガロイル-4,6-ヘキサドキシジフェノイル-β-D-グルコースを含むことが望ましく、上記マキベリー抽出物はデルフィニジン及びシアニジンを含むことが望ましく、上記ブドウ抽出物はレスベラトロールを含むことが望ましく、上記カンカニクジュヨウ抽出物はフェニルエタノイド配糖体を含むことが望ましく、上記月見草種子抽出物は没食子酸、エラグ酸、ペンタガロイルグルコース、カテキン及びプロアントシアニジンを含むことが望ましく、上記ウーロン茶抽出物はウーロン茶重合ポリフェノールを含むことが望ましい。
これら化合物は、好適なウイルス不活性化作用を示す。
【0019】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、上記緑茶抽出物及び上記月見草種子抽出物を含むこと、上記緑茶抽出物及び上記紫茶抽出物を含むこと、上記カンカニクジュヨウ抽出物及び上記ウーロン茶抽出物を含むこと、上記ピーナツ種皮抽出物及び上記ビルベリー抽出物を含むこと、又は、上記マキベリー抽出物及び上記ブドウ抽出物を含むことが望ましい。
これらのように植物抽出物を組み合わせることにより、ウイルス不活性化作用が好適に発揮される。
【0020】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、海藻抽出物をさらに含むことが望ましい。
海藻抽出物もウイルス不活性化作用を有するので、これら植物抽出物を組み合わせることにより、ウイルス不活性化作用が好適に発揮される。
【0021】
上記海藻抽出物は、フロログルシノール重合体を含むことが望ましい。また、上記フロログルシノール重合体は、フロログルシノールが7分子以上重合してなることが望ましい。
フロログルシノール重合体は、好適なウイルス不活性化作用を示す。
【0022】
上記海藻抽出物は、ヒバマタ科の海藻から抽出された海藻抽出物であることが望ましい。
ヒバマタ科の海藻は、フロログルシノール重合体の含有量が多い。そのため、ヒバマタ科の海藻から抽出された海藻抽出物は、フロログルシノール重合体を多く含有する。従って、ヒバマタ科の海藻から抽出された海藻抽出物は、ウイルス不活性化作用が高い。
【0023】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、カリシウイルス科ウイルスに対して高いウイルス不活性化作用を示し、ベシウイルス属ウイルス及び/又はノロウイルス属ウイルスに対してより高いウイルス不活性化作用を示し、ネコカリシウイルス、マウスノロウイルス及びヒトノロウイルスからなる群から選択される少なくとも1種のウイルスに対してさらに高いウイルス不活性化作用を示す。
【0024】
本発明の衛生資材は、上記カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物を含むことを特徴とする。
【0025】
上記本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、ウイルス不活性化作用を示すので、このようなカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物を含む本発明の衛生資材を用いることにより、ウイルス感染を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、高いウイルス不活性化作用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物について具体的な実施形態を示しながら説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0028】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、緑茶抽出物、紫茶抽出物、マキベリー抽出物、ブドウ抽出物、カンカニクジュヨウ抽出物、月見草種子抽出物、ウーロン茶抽出物、ピーナツ種皮抽出物及びビルベリー抽出物から選択される少なくとも1種の植物抽出物と、エタノールとを含むことを特徴とする。
【0029】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、緑茶抽出物、紫茶抽出物、マキベリー抽出物、ブドウ抽出物、カンカニクジュヨウ抽出物、月見草種子抽出物、ウーロン茶抽出物、ピーナツ種皮抽出物及びビルベリー抽出物から選択される少なくとも1種の植物抽出物を含む。
これらの植物抽出物はウイルス不活性化作用を示す。
特に、これらの植物抽出物は、ベシウイルス属ウイルス及び/又はノロウイルス属ウイルスに対して高いウイルス不活性化作用を示し、ネコカリシウイルス、マウスノロウイルス及びヒトノロウイルスからなる群から選択される少なくとも1種のウイルスに対してより高いウイルス不活性化作用を示す。
【0030】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物では、上記カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物中の上記植物抽出物の割合は、0.0001~5.0重量%であることが望ましく、0.001~3.0重量%であることがより望ましく、0.01~1.0重量%であるこいとがさらに望ましい。
カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物中の植物抽出物の割合が、0.0001重量%未満であると、充分なウイルス不活性化作用を示しにくくなる。
カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物中の植物抽出物の割合が、5.0重量%を超えると、植物抽出物によるウイルス不活性化作用が上限に近づき経済的でない。
【0031】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物では、上記緑茶抽出物はカテキン及びカフェインを含むことが望ましく、上記紫茶抽出物はアントシアニン及び2-ガロイル-4,6-ヘキサドキシジフェノイル-β-D-グルコースを含むことが望ましく、上記マキベリー抽出物はデルフィニジン及びシアニジンを含むことが望ましく、上記ブドウ抽出物はレスベラトロールを含むことが望ましく、上記カンカニクジュヨウ抽出物はフェニルエタノイド配糖体を含むことが望ましく、上記月見草種子抽出物は没食子酸、エラグ酸、ペンタガロイルグルコース、カテキン及びプロアントシアニジンを含むことが望ましく、上記ウーロン茶抽出物はウーロン茶重合ポリフェノールを含むことが望ましい。
【0032】
また、マキベリー抽出物に含まれるデルフィニジンとしては、デルフィニジン-3-サンブビオシド-5-グルコシド、デルフィニジン-3,5-グルコシド、及び、デルフィニジン-3-グルコシドからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
また、マキベリー抽出物に含まれるシアニジンとしては、シアニジン-3-サンブビオシド、シアニジン-3,5-グルコシド、及び、シアニジン-3-グルコシドからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
【0033】
また、カンカニクジュヨウ抽出物に含まれるフェニルエタノイド配糖体としては、エキナコシド及び/又はアクテオシドであることが望ましい。
【0034】
これらの植物抽出物に含まれる化合物は、好適なウイルス不活性化作用を示す。
【0035】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物において、上記植物抽出物は以下の組み合わせで用いることが望ましい。
すなわち、植物抽出物の組み合わせとしては、緑茶抽出物及び月見草種子抽出物の組み合わせ、緑茶抽出物及び紫茶抽出物の組み合わせ、カンカニクジュヨウ抽出物及びウーロン茶抽出物の組み合わせ、ピーナツ種皮抽出物及びビルベリー抽出物の組み合わせ、マキベリー抽出物及びブドウ抽出物の組み合わせが望ましい。
これらのように植物抽出物を組み合わせることにより、ウイルス不活性化作用が好適に発揮される。
【0036】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、エタノールを含む。
上記植物抽出物と、エタノールとを組み合わせることにより、植物抽出物のウイルス不活性化作用と、エタノールによるウイルス不活性化作用とが相乗作用し、ウイルス不活性化作用が向上する。
そのため、本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、好適にウイルスを不活性化することができる。
また、一般的にウイルス不活性化剤組成物は、タンパク質汚れや油脂汚れ等の汚れがある環境下で使用される。このような汚れは、ウイルスの不活性化作用を抑制する場合がある。
しかし、本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物では、上記の通り、植物抽出物と、エタノールとの両方を含むのでウイルス不活性化作用が向上している。そのため、タンパク質汚れや油脂汚れ等の汚れがあったとしても、充分なウイルス不活性化作用を示す。
また、本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物にはエタノールが含まれているので、菌等の微生物に対しても抗菌活性を示す。
【0037】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物では、上記カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物中の上記エタノールの割合は、8.05~85.70重量%であることが望ましく、24.69~73.54重量%であることがより望ましく、37.88~67.89重量%であることがさらに望ましい。
カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物中のエタノールの割合が8.05重量%未満であると、エタノールの割合が少ないので、エタノールが含まれることによるウイルス不活性化作用が発揮されにくくなる。
カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物中のエタノールの割合が85.70重量%を超えると、カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物中のエタノールの濃度が高すぎ、引火等の危険性が高くなる。
【0038】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、pHが2.0~9.0であることが望ましい。
また、人体に対する安全性の観点から、カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物のpHは、4.0~8.0であることが望ましく、5.0~8.0であることがより望ましい。
また、ウイルスの不活性化作用の観点から、カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物のpHは、2.0~6.0であることが望ましく、2.0~5.0であることがより望ましい。
【0039】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、海藻抽出物をさらに含むことが望ましい。
海藻抽出物もウイルス不活性化作用を有するので、これら植物抽出物を組み合わせることにより、ウイルス不活性化作用が好適に発揮される。
【0040】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物では、海藻抽出物は、フロログルシノール重合体を含むことが望ましい。
フロログルシノール重合体は、好適なウイルス不活性化作用を示す。
【0041】
フロログルシノール重合体とは、下記化学式(1)で示されるフロログルシノールの1位、3位及び5位のヒドロキシル基のうち少なくとも1種のヒドロキシル基を介して複数のフロログルシノールが重合した化合物のことを意味する。
フロログルシノール重合体の構造は、直鎖構造であってもよく、分岐構造を有していてもよく、複数のフロログルシノールが環状に繋がった構造であってもよい。
【0042】
【0043】
また、本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物では、上記フロログルシノール重合体は、フロログルシノールが7分子以上重合してなることが望ましく、10分子以上であることがさらに望ましく、20分子以上であることがよりさらに望ましく、50分子以上であることが特に望ましい。
また、フロログルシノールの重合数は、1000分子以下であることが望ましく、500分子以下であることがより望ましい。
【0044】
また、本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物において、フロログルシノール重合体の平均分子量は、1,000以上であることが望ましく、1,000~100,000であることがより望ましい。
【0045】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物では、上記カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物中の上記海藻抽出物の割合は、0.0001~5.0重量%であることが望ましく、0.001~3.0重量%であることがより望ましく、0.01~1.0重量%であることがさらに望ましい。
カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物中の海藻抽出物の割合が、0.0001重量%未満であると、海藻抽出物によるウイルス不活性化作用を示しにくくなる。
カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物中の海藻抽出物の割合が、5.0重量%を超えると、海藻抽出物によるウイルス不活性化作用が上限に近づき経済的でない。
【0046】
上記海藻抽出物は、ヒバマタ科の海藻から抽出された海藻抽出物であることが望ましく、アスコフィラム・ノドサム(Ascophyllum Nodosum)から抽出された海藻抽出物であることがより望ましい。
ヒバマタ科の海藻は、フロログルシノール重合体の含有量が多い。そのため、ヒバマタ科の海藻から抽出された海藻抽出物は、フロログルシノール重合体を多く含有し、ウイルス不活性化作用が高い。
【0047】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物には、さらにグリセリン脂肪酸エステル、炭素原子数2~10の有機酸及びその塩、リン酸及びその塩、グリセリン等が含まれていてもよい。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、モノグリセリン脂肪酸エステルであってもよく、ポリグリセリン脂肪酸エステルであってもよい。例えば、モノグリセリンカプリル酸エステル、モノグリセリンカプリン酸エステル、モノグリセリンラウリン酸エステル、ジグリセリンカプリル酸エステル、ヘキサグリセリンラウリン酸エステル、デカグリセリンラウリン酸エステル等があげられる。
炭素原子数2~10の有機酸及びその塩としては、乳酸、D-リンゴ酸、L-リンゴ酸、クエン酸、酒石酸及びその塩があげられる。
【0048】
また、本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物には、上記の成分以外に保湿剤、エモリエント剤、香料、色素、天然抽出物、陽イオン界面活性剤、増粘剤、消炎剤等を含んでいてもよい。
【0049】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、ネコカリシウイルスを試験ウイルスとした下記ウイルス感染力価測定において、作用時間30秒におけるウイルス感染力価の値が、作用時間0秒におけるウイルス感染力価の値より2.0以上小さいことが望ましく、4.0以上小さいことがより望ましい。
このようなウイルス不活性化作用を示すカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、カリシウイルス科ウイルスの感染を防止することができる。
【0050】
(ネコカリシウイルス感染力価測定)
(1)ネコカリシウイルスを、ネコ腎由来株化細胞であるCRFK細胞(ATCC CCL-94)に感染させて細胞を培養する。
(2)次に、ネコカリシウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認する。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕する。
(3)次に、得られた培養細胞破砕液を遠心分離し、上清をウイルス溶液とする。
(4)カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物(以下、単に「ウイルス不活性化剤組成物」とも記載する)と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合し、室温で30秒経過後、OPTI-MEM培地で100倍希釈することにより、ウイルス不活性化剤組成物のウイルスに対する作用を停止させる。
この工程により得られた溶液をウイルス不活性化剤組成物30秒作用ウイルス溶液とする。
(5)OPTI-MEM培地と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合した直後、OPTI-MEM培地で100倍希釈することにより、得られた溶液をウイルス不活性化剤組成物0秒作用ウイルス溶液とする。
(6)ウイルス不活性化剤組成物0秒作用ウイルス溶液、ウイルス不活性化剤組成物30秒作用ウイルス溶液を、それぞれ、OPTI-MEM培地により10倍段階希釈した。CRFK細胞を培養した96wellマイクロプレートの培地を捨て、段階希釈液を100μLずつ加える。
(7)ウイルス不活性化剤組成物0秒作用ウイルス溶液及びウイルス不活性化剤組成物30秒作用ウイルス溶液の段階希釈液が加えられたCRFK細胞を37℃、5%CO2の条件で、4日間培養する。
(8)培養したCRFK細胞のCPEを指標にTCID50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量する。
(9)上記(1)~(8)の工程を3回独立に行い、ウイルス不活性化剤組成物0秒作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間0秒におけるウイルス感染力価とし、ウイルス不活性化剤組成物30秒作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間30秒におけるウイルス感染力価の値とする。
【0051】
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、マウスノロウイルスを試験ウイルスとした下記ウイルス感染力価測定において、作用時間30秒におけるウイルス感染力価の値が、作用時間0秒におけるウイルス感染力価の値より2.0以上小さいことが望ましく、4.0以上小さいことがより望ましい。
このようなウイルス不活性化作用を示すカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、カリシウイルス科ウイルスの感染を防止することができる。
【0052】
(マウスノロウイルス感染力価測定)
(1)マウスノロウイルスを、マウスのマクロファージ由来細胞株であるRAW 264.7細胞(ATCC TIB-71)に感染させて細胞を培養する。
(2)次に、マウスノロウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認する。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕する。
(3)次に、得られた培養細胞破砕液を遠心分離し、上清をウイルス溶液とする。
(4)カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物(以下、単に「ウイルス不活性化剤組成物」とも記載する)と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合し、室温で30秒経過後、10%牛胎児血清含有DMEM培地で100倍希釈することにより、ウイルス不活性化剤組成物のウイルスに対する作用を停止させる。
この工程により得られた溶液をウイルス不活性化剤組成物30秒作用ウイルス溶液とする。
(5)10%牛胎児血清含有DMEM培地と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合した直後、10%牛胎児血清含有DMEM培地で100倍希釈することにより、得られた溶液をウイルス不活性化剤組成物0秒作用ウイルス溶液とする。
(6)ウイルス不活性化剤組成物0秒作用ウイルス溶液及びウイルス不活性化剤組成物30秒作用ウイルス溶液を、それぞれ、10%牛胎児血清含有DMEM培地により、10倍段階希釈する。1ウェルにRAW 264.7細胞を50μLずつ分注した96wellマイクロプレートに、各段階希釈液を50μLずつ加える。
(7)ウイルス不活性化剤組成物0秒作用ウイルス溶液及びウイルス不活性化剤組成物30秒作用ウイルス溶液の段階希釈液が加えられたRAW 264.7細胞を37℃、5%CO2の条件で、4日間培養する。
(8)培養したRAW 264.7細胞のCPEを指標にTCID50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量する。
(9)上記(1)~(8)の工程を3回独立に行い、ウイルス不活性化剤組成物0秒作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間0秒におけるウイルス感染力価とし、ウイルス不活性化剤組成物30秒作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間30秒におけるウイルス感染力価の値とする。
【0053】
次に、本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物の使用方法を説明する。
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、ポンプボトルやスプレーガンに詰めて、必要量を消毒対象に塗布したり、噴きつけて使用してもよい。
【0054】
また、本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物を衛生資材に使用してもよい。このような衛生資材は、本発明の衛生資材でもある。
【0055】
本発明の衛生資材は、上記本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物を含むことを特徴とする。
本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、ウイルス不活性化作用を示すので、このような本発明のカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物を含む衛生資材を用いることにより、ウイルス感染を防ぐことができる。
【0056】
本発明の衛生資材は、特に限定されるものではないが、例えば、マスク、使い捨て手袋、使い捨て布巾、ティッシュペーパー、ウエットティッシュ等があげられる。
【実施例】
【0057】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0058】
(実施例1)
エタノールが50.00重量%、緑茶抽出物(製造元:三菱化学フーズ株式会社、商品名:サンフード水性)が3.00重量%となるように、これらと、精製水とを混合して実施例1に係るカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物を作製した。
実施例1に係るカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物のpHは、4.1であった。
【0059】
(実施例2~20)及び(比較例1~5)
カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物の材料の種類及び割合を表1及び2に示すように変更した以外は、実施例1と同様に実施例2~20及び比較例1~5に係るカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物を作製した。
なお、表1及び2中「%」は重量%を意味する。
【0060】
また、表1及び2中の植物抽出物は、以下の物質である。
紫茶抽出物:製造元:オリザ油化株式会社、商品名:紫茶エキス-P
マキベリー抽出物:製造元:オリザ油化株式会社、商品名:マキベリーエキス-J
ブドウ抽出物:製造元:オリザ油化株式会社、商品名:レスベラトロール-P5
カンカニクジュヨウ抽出物:製造元:オリザ油化株式会社、商品名:カンカエキス-P25
月見草種子抽出物:製造元:オリザ油化株式会社、商品名:月見草エキス-WSPS
ウーロン茶抽出物:製造元:丸善製薬株式会社、商品名:ウーロン茶エキスM水性
ピーナツ種皮抽出物:製造元:株式会社常盤植物科学研究所、商品名:ピーナツ種皮エキス末
ビルベリー抽出物:製造元:株式会社常盤植物科学研究所、商品名:ビルベロン-25
海藻抽出物(アスコフィラム・ノドサムからの抽出物):製造元:理研ビタミン株式会社、商品名:海藻ポリフェノール(フロログルシノールの重合数が10分子以上のフロログルシノール重合体を含有)
イチゴ種子抽出物:製造元:オリザ油化株式会社、商品名:イチゴ種子エキス-P
シソの実抽出物:製造元:オリザ油化株式会社、商品名:シソの実エキス-L
イチョウ葉抽出物:製造元:丸善製薬株式会社、商品名:イチョウ葉エキスパウダーMF
キウイ種子エキス:製造元:オリザ油化株式会社、商品名:キウイ種子エキス-WSP
【0061】
【0062】
【0063】
(ネコカリシウイルスの感染力価測定)
カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物として、各実施例及び各比較例に係るカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物を用い、上記(ネコカリシウイルス感染力価測定)の方法に基づき、作用時間0分におけるウイルス感染力価の値と、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値との差を算出して評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1及び2に示す。
A:4.0以上の感染力価の減少(充分な効果あり)
B:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少(効果あり)
C:2.0未満の感染力価の減少(効果なし)
【0064】
(マウスノロウイルスの感染力価測定)
カリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物として、各実施例及び各比較例に係るカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物を用い、上記(マウスノロウイルスの感染力価測定)の方法に基づき、作用時間0分におけるウイルス感染力価の値と、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値との差を算出して評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1及び2に示す。
A:4.0以上の感染力価の減少(充分な効果あり)
B:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少(効果あり)
C:2.0未満の感染力価の減少(効果なし)
【0065】
上記実験の結果、各実施例に係るカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、ネコカリシウイルス及びマウスノロウイルスに対し、高いウイルス不活性化作用を示した。
現在、ヒトノロウイルスは、培養細胞を用いても増殖させることができない。そのため、ノロウイルスの不活性化に対する検証には、代替ウイルスとしてネコカリシウイルス及びマウスノロウイルスが広く用いられている。
表1及び2に示す結果より、各実施例に係るカリシウイルス科ウイルス不活性化剤組成物は、ヒトノロウイルスに対しても高いウイルス不活性化作用を示すと予測される。