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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】水中油型乳化組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/67 20060101AFI20230721BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230721BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20230721BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20230721BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230721BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20230721BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/73
A61K8/31
A61K8/92
A61Q19/00
A61K8/9789
A61K8/19
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019112582
(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公開番号】P2020203860
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆幸
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-169143(JP,A)
【文献】Anti-Aging Complexe ,ID 1240281,Mintel GNPD[online],2009年12月,[検索日2023.02.27],URL,https://www.portal.mintel.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)~(d)
(a)トコフェリルリン酸ナトリウム 1~3重量%
(b)パルミチン酸デキストリン 0.5~2重量%
(c)マカデミア種子油を含む25℃で液状の油性成分
(d)水添ホホバ油を含む25℃で固形状および/または半固形状の油性成分(成分(b)を除く)
を含有し、成分(c)と成分(d)の合計含有量が10~30重量%かつ(d)/((c)+(d))の重量比が0.5~0.7であり、pH調整剤として、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールまたは水酸化カリウムをさらに含有し、pHが8.5~10.5であることを特徴とする水中油型乳化組成物。
【請求項2】
界面活性剤を含有しないことを特徴とする請求項1記載の水中油型乳化組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩を含有した水中油型乳化組成物において、保存安定性に優れ、さらには塗付後の肌にハリ感、しっとり感を付与し、翌朝まで持続させることができる水中油型乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩は、生体において代謝されることにより、トコフェロールと同等またはそれ以上の生理活性を示すことが知られている。これらを皮膚外用剤に配合した場合、シワ防止効果(特許文献1)、美白効果(特許文献2)および活性酸素消去効果(特許文献3)等を示すことが報告されている。
【0003】
またトコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩は、アニオン性の両親媒性物質であることから、これらを単なる有効成分として配合するだけでなく、乳化剤として機能させる技術も検討されている(特許文献4)。この技術を用いるとその他の一般的な乳化剤の配合量を減らすことができ、皮膚に対する刺激が小さい乳化組成物を得ることができる。
【0004】
しかしながら、トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩を水溶液または乳化系に配合した場合、白濁や凝集沈殿等が生じ、製剤の保存安定性を確保するのが困難となる場合が多々ある。この問題に対して、いくつかの技術が検討されているが(例えば、特許文献5)、処方によっては効果が小さく、さらなる技術が求められている。
【0005】
一方で、加齢や紫外線の影響で生じるシワやたるみ、また乾燥やかさつきといった肌トラブルを改善するために、ハリ感としっとり感を併せ持つ皮膚外用剤が求められている。これら肌のハリ感やしっとり感を塗布直後だけでなく、一定時間経過後にも実感することができれば、使用満足度の向上に繋がるものと考えられる。例えば、就寝前に皮膚外用剤を塗布し、その直後の肌のハリ感やしっとり感が翌朝まで持続していた場合、使用満足度が高くなるものと考えられる。
【0006】
これまでに、塗布後の肌のハリ感としっとり感の向上を両立させた例としては、オレイン酸系ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、抱水性油剤を含有することを特徴とする水中油型乳化化粧料(特許文献6)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、アクリル酸および/またはその誘導体を含むポリマー、非乳化性架橋型シリコーンおよび球状シリコーン微粒子を含有することを特徴とする水中油型乳化化粧料(特許文献7)、2種類の非乳化性架橋型ポリメチルシロキサン、会合性増粘剤、ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン油、水を含有することを特徴とする水中油型乳化組成物(特許文献8)等が知られている。しかしながら、これらの従来技術をもってしても、塗布後の肌のハリ感、しっとり感を翌朝まで持続させるには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2008-007428号公報
【文献】特開2004-026817号公報
【文献】特開2006-232767号公報
【文献】特許3712673号公報
【文献】特許3950216号公報
【文献】特開2003-286126号公報
【文献】特開2011-020966号公報
【文献】特開2013-126963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩を含有した水中油型乳化組成物において、保存安定性に優れ、さらには塗付後の肌にハリ感、しっとり感を付与し、翌朝まで持続させることができる水中油型乳化組成物を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題に対し鋭意検討を行った結果、トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩、デキストリン脂肪酸エステル、25℃で液状の油性成分、25℃で固形状および/または半固形状の油性成分を含有する水中油型乳化組成物が上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、次の(a)~(d)
(a)トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩
(b)デキストリン脂肪酸エステル
(c)25℃で液状の油性成分
(d)25℃で固形状および/または半固形状の油性成分((b)を除く)
を含有することを特徴とする水中油型乳化組成物を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、pHが8.5~10.5であることを特徴とする水中油型乳化組成物を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、(a)トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩の含有量が0.5~5重量%、(b)デキストリン脂肪酸エステルが0.1~3重量%、(c)25℃で液状の油性成分および(d)25℃で固形状および/または半固形状の油性成分の合計含有量が5~40重量%であることを特徴とする水中油型乳化組成物を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、(d)/((c)+(d))の重量比が0.3~0.8であることを特徴とする水中油型乳化組成物を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、界面活性剤を含有しないことを特徴とする水中油型乳化組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩を含有する水中油型乳化組成物の保存安定性が優れるだけでなく、同時に塗布後の肌にハリ感、しっとり感を付与し、翌朝まで持続させることが可能である。さらには、界面活性剤を含有しなくても優れた保存安定性を有する水中油型乳化組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の(a)トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩はいずれでもよいが、好ましくはモノエステル、塩はナトリウム塩、ジナトリウム塩、カリウム塩、ジカリウム塩、トリエタノールアミン塩である。さらに好ましくはナトリウム塩である。市販品としては、例えば、「TPNa」(昭和電工社製) 等が挙げられる。
【0017】
(a)トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩の含有量は、特に限定されるものではないが、0.5~5重量%が好ましく、1~3重量%がより好ましい。これらの範囲において、保存安定性が良好であり、かつ塗布後にべたつきを感じることなく、しっとり感やハリ感を翌朝まで持続させる効果が十分に得られる。
【0018】
本発明の(b)デキストリン脂肪酸エステルは、デキストリンと高級脂肪酸のエステルである。例えば、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸)デキストリン、ステアリン酸デキストリン、パルミチン酸/ステアリン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、イソパルミチン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリンが挙げられ、好ましくはパルミチン酸デキストリンである。これらは単独で使用しても良いし、2種類以上を併用して使用することもできる。市販品としては、「レオパールKL2」(千葉製粉社製) 等が挙げられる。
【0019】
(b)デキストリン脂肪酸エステルの含有量は、特に限定されるものではないが、0.1~3重量%が好ましく、0.5~2重量%がより好ましい。これらの範囲において、保存安定性が良好であり、かつ塗布後にべたつきを感じることなく、しっとり感やハリ感を翌朝まで持続させる効果が十分に得られる。
【0020】
本発明の(c)25℃で液状の油性成分は、特に限定されるものではないが、例えば、植物油、炭化水素油、エステル油、シリコーン油等が使用できる。具体例としては、ミネラルオイル、スクワラン、水添ポリイソブテン、オレフィンオリゴマー、ホホバ油、オリーブ油、マカデミア種子油、メドウフォーム油、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、シクロペンタシロキサン等が挙げられ、好ましくはマカデミア種子油である。市販品としては、「クロピュア マカダミア-LQ-(JP)」(クローダジャパン社製) 等が挙げられる。これらの25℃で液状の油性成分は、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用して使用することもできる。
【0021】
本発明の(d)25℃で固形状および/または半固形状の油性成分は、特に限定されるものではないが、例えば、115°パラフィン、130°パラフィン、155°パラフィン、キャンデリラロウ炭化水素、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ、水添ホホバ油、ベヘニルアルコール、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、水添パーム油、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリン酸、ミリスチン酸、ワセリン、ラノリン、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ペンタヒドロキシステアリン酸スクロース、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、架橋型メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン等が挙げられ、好ましくは水添ホホバ油である。市販品としては、「Floraesters 30」(Floratech社製) 等が挙げられる。
【0022】
本発明の(c)25℃で液状の油性成分および本発明の(d)25℃で固形状および/または半固形状の油性成分の合計含有量は、特に限定されるものではないが、5~40重量%が好ましく、10~30重量%がより好ましい。さらに(d)/((c)+(d))の重量比が0.3~0.8が好ましく、0.5~0.7がより好ましい。これらの範囲において、塗布後にべたつきを感じることなく、しっとり感やハリ感を翌朝まで持続させる効果が十分に得られる。通常、油相中における固形状および/または半固形状の油性成分の重量比が大きくなると、乳化しにくくなる、または保存安定性が悪くなるが、本発明の水中油型乳化組成物は、固形状および/または半固形状の油性成分の重量比が大きくても保存安定性に優れる。
【0023】
また本発明の水中油型乳化組成物のpHは、特に限定されるものではないが、8.5~10.5であることが好ましい。この範囲であれば、保存安定性が顕著に優れるとともに、塗布後にべたつきを感じることなく、しっとり感やハリ感を翌朝まで持続させる効果が十分に得られる。pH調整剤は、特に限定されるものではないが、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールまたは水酸化カリウムが好ましい。
【0024】
さらに本発明の水中油型乳化組成物は、他の一般的な界面活性剤を含まずとも優れた乳化能および保存安定性を有する水中油型乳化組成物である。
【0025】
本発明の水中油型乳化組成物は、使用目的に応じて様々な成分をさらに含有することができる。例えば、UV吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、美白剤、ビタミン、アミノ酸、ホルモン、ペプチド、生理活性植物抽出物、蛍光材料、顔料、色素、香料、スクラブ剤、バインダー、増量剤、増粘剤、糖類、栄養成分、キレート剤、殺菌剤、角質改善剤、角質溶解剤、抗生物質、皮膚透過促進剤、血行促進剤、消炎剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、鎮痛剤、皮膚軟化剤、皮膚緩和剤、創傷治療剤、新陳代謝促進剤等を本発明の効果を損なわない範囲にて含有することができる。
【0026】
本発明の水中油型乳化組成物は、美容液、乳液、クリーム、パック等に適用可能である。尚、本発明の水中油型乳化組成物の形態としては、乳液状、クリーム状、固形状等のいずれでも良い。
【実施例
【0027】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらに限定されるものではない。尚、含有量については、他に指定のない限り重量%を表す。
【0028】
下記の表1~4に挙げた組成を有する水中油型乳化組成物を調製し、pH測定および保存安定性、使用感の評価を行った。
【0029】
(pH測定方法)
得られた水中油型乳化組成物を、20℃の恒温槽にて24時間保管した後、ガラス電極式水素イオン濃度計(堀場製作所製、F-51)を用いて常法により行った。
【0030】
(保存安定性評価方法)
得られた水中油型乳化組成物を、70mlガラス瓶に充填し、40℃の恒温槽にて6ヶ月保管し、3ヶ月後および6ヶ月後の外観変化を目視にて、また乳化粒子の変化を顕微鏡にて評価し以下の基準により判定した。
◎:6ヶ月間変化なく良好である
○:6ヶ月後で乳化粒子の凝集がわずかに認められる
△:6ヶ月後で乳化粒子の凝集および/または分離が認められる
×:3ヶ月後で乳化粒子の凝集および/または分離が認められる
【0031】
(使用感評価方法)
女性専門パネル(20名)による使用試験を実施した。得られた水中油型乳化組成物を就寝前に使用し、塗布直後および翌朝の「べたつきの無さ」、「しっとり感」、「ハリ感」について下記の基準に従って評価した。
(1)べたつきの無さ
◎:18名以上が、べたつきを感じないと判定した。
○:14~17名が、べたつきを感じないと判定した。
△:9~13名が、べたつきを感じないと判定した。
×:べたつきを感じないと判定した人が8名以下。
(2)しっとり感
◎:18名以上が、しっとり感を感じると判定した。
○:14~17名が、しっとり感を感じると判定した。
△:9~13名が、しっとり感を感じると判定した。
×:しっとり感を感じると判定した人が8名以下。
(3)ハリ感
◎:18名以上が、ハリ感を感じると判定した。
○:14~17名が、ハリ感を感じると判定した。
△:9~13名が、ハリ感を感じると判定した。
×:ハリ感を感じると判定した人が8名以下。
【0032】
(製造方法)
A部を均一に混合した中に、均一に加熱混合したB部を少しずつ添加しながら撹拌し80℃に加温する。均一に混合したC部を80℃に加温した後、A+B部に添加し、乳化する。その後、撹拌しながら30℃まで冷却して水中油型乳化組成物を得た。

【0033】
【表1】
【0034】
表1の実施例1~6に示したように、本願発明の水中油型乳化組成物は、いずれも保存安定性に優れ、またすべての使用感評価項目においても良好であった。特に、(a)トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩を1~3重量%含有した実施例3、4の水中油型乳化組成物は、すべての評価項目において格段に優れた評価結果であった。一方、(a)トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩を含有していない比較例1の水中油型乳化組成物は、保存安定性が悪く、また翌朝のハリ感としっとり感においても満足する結果が得られなかった。
【0035】
【表2】
【0036】
表2の実施例7~11に示したように、本願発明の水中油型乳化組成物は、いずれも保存安定性に優れ、またすべての使用感評価項目においても良好であった。特に、(b)デキストリン脂肪酸エステルを0.5~2重量%含有した実施例8、9の水中油型乳化組成物は、すべての評価項目において格段に優れた評価結果であった。一方、(b)デキストリン脂肪酸エステルを含有していない比較例2の水中油型乳化組成物は、保存安定性が悪く、また塗布直後のべたつきの無さや翌朝のハリ感においても満足する結果が得られなかった。
【0037】
【表3】
【0038】
表3の実施例12~18に示したように、本願発明の水中油型乳化組成物は、いずれも保存安定性に優れ、またすべての使用感評価項目においても良好であった。特に、(c)25℃で液状の油性成分および(d)25℃で固形状および/または半固形状の油性成分の合計の含有量が10~30重量%、(d)/((c)+(d))の重量比が0.5~0.7である実施例14、15の水中油型乳化組成物は、すべての評価項目において格段に優れた評価結果であった。一方、(c)25℃で液状の油性成分または(d)25℃で固形状および/または半固形状の油性成分を含有していない比較例3、4の水中油型乳化組成物は、保存安定性および/または使用感評価において満足する結果が得られなかった。
【0039】
【表4】
【0040】
表4の実施例19~22に示したように、本発明の水中油型乳化組成物は、いずれのpHにおいても保存安定性に優れ、またすべての使用感評価項目においても良好であった。特に、pH8.5~10.5である実施例20、21の水中油型乳化組成物は、保存安定性が格段に優れた評価結果であった。
【0041】
実施例23
(成分) (重量%)
1.トコフェリルリン酸ナトリウム 2.0
2.グリセリン 6.0
3.パルミチン酸デキストリン 0.5
4.メドウフォーム油※11 4.0
5.ミリスチン酸オクチルドデシル※12 3.0
6.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン※13 2.0
7.ワセリン 5.0
8.130°パラフィン※14 1.0
9.水添ホホバ油 3.0
10.精製水 残 余
11.カルボマー 0.2
12.キサンタンガム 0.2
13.2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール 1.0
14.1,3-ブチレングリコール 7.0
15.ジグリセリン 5.0
16.香料 0.1
17.サクシノイルアテロコラーゲン液※15 5.0
18.水溶性コラーゲン液※16 5.0
【0042】
(製造方法)
成分1、2を均一に混合させた中に、均一に加熱混合させた成分3~9を少しずつ添加しながら混合し80℃に加温する。均一に混合した成分10~15を80℃に加温した後、成分1~9に添加し、乳化する。その後、撹拌しながら冷却し、70℃で成分16を添加、50℃で成分17,18を添加、30℃で冷却を停止させ乳化組成物を得た。
【0043】
実施例24
(成分) (重量%)
1.トコフェリルリン酸ナトリウム 2.0
2.グリセリン 6.0
3.パルミチン酸デキストリン 1.0
4.スクワラン 3.0
5.イソノナン酸イソトリデシル※17 2.0
6.トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン※18 2.0
7.ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)
※19 2.0
8.ベヘニルアルコール※20 1.0
9.水添ホホバ油 3.0
10.マイクロクリスタリンワックス※21 1.0
11.マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル 2.0
12.精製水 残 余
13.カルボマー 0.1
14.キサンタンガム 0.2
15.ヒアルロン酸Na 0.1
16.2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール 1.0
17.1,3-ブチレングリコール 10.0
18.グリセリン 8.0
19.香料 0.1
【0044】
(製造方法)
成分1、2を均一に混合させた中に、均一に加熱混合させた成分3~11を少しずつ添加しながら混合し80℃に加温する。均一に混合した成分12~18を80℃に加温した後、成分1~11に添加し、乳化する。その後、撹拌しながら冷却し、70℃で成分19を添加、30℃で冷却を停止させ乳化組成物を得た。
【0045】
実施例23、24ともに、保存安定性に優れ、またすべての使用感評価項目においても良好な水中油型乳化組成物が得られた。
【0046】
※1:TPNa:昭和電工社製
※2:レオパールKL2:千葉製粉社製
※3:クロピュア マカダミア-LQ-(JP):クローダジャパン社製
※4:SQUALANE:岸本特殊社製
※5:Floraesters 30:Floratech社製
※6:クロラータム V-SO-(JP):クローダジャパン社製
※7:Plandool-MAS:日本精化社製
※8:AMPD Ultra PC:ANGUS CHEMICAL COMPANY社製
※9:レオパールMKL2:千葉製粉社製
※10:水酸化カリウム:東京応化工業社製
※11:クロピュア メドフォーム-LQ-(JP):クローダジャパン社製
※12:ODM:高級アルコール工業社製
※13:シリコーン KF-56A:信越化学社製
※14:Paraffin Wax 130:日本精蝋社製
※15:シージェムコラーゲンAS:片倉チッカリン社製
※16:アルフォマリン-CL:テクノーブル社製
※17:KAK 139:高級アルコール工業社製
※18:KAK TTI:高級アルコール工業社製
※19:コスモール 168ARV:日清オイリオグループ社製
※20:BEHENYL ALCOHOL:高級アルコール工業社製
※21:MULTIWAX W 445:SONNEBORN社製
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩を含有した乳化組成物において、保存安定性に優れ、さらに塗付後の肌にハリ感、しっとり感を付与し、翌朝まで持続する乳化組成物を提供することができる。