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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】熱利用装置
(51)【国際特許分類】
   F24T 50/00 20180101AFI20230721BHJP
   F24T 10/10 20180101ALI20230721BHJP
   F24T 10/17 20180101ALI20230721BHJP
   F24T 10/30 20180101ALI20230721BHJP
【FI】
F24T50/00
F24T10/10
F24T10/17
F24T10/30
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021067104
(22)【出願日】2021-04-12
(65)【公開番号】P2022162325
(43)【公開日】2022-10-24
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】500575972
【氏名又は名称】株式会社リビエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】今 喜代美
(72)【発明者】
【氏名】今 修一郎
(72)【発明者】
【氏名】今 祐治郎
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-046169(JP,A)
【文献】特開2003-049411(JP,A)
【文献】特開2016-176672(JP,A)
【文献】特開2018-165430(JP,A)
【文献】特開平08-005162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24T 50/00
F24T 10/10
F24T 10/17
F24T 10/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラインである熱媒体流体を貯した熱媒体流体貯槽と、前記熱媒体流体貯留槽から吸入するブラインである前記熱媒体流体の熱を外部熱と熱交換して前記熱媒体流体貯留槽へ戻すように配管接続された集熱配管系統と、前記熱媒体流体貯留槽から吸入したブラインである前記熱媒体流体を利用機器に通過させて前記熱媒体流体貯留槽へ戻すように配管接続された利用配管系統とを具備し、
前記集熱配管系統は、ブラインである前記熱媒体流体を流すものであり、地中に埋め込まれた地中熱交換器に、外気に曝された外気熱交換器を接続し、ブラインである前記熱媒体流体を前記熱媒体流体貯槽へ戻すものであり、
前記熱媒体流体貯槽は、地中に埋め込まれた外側筒部と、この外側筒部に内在された内側筒部とを具備して二重筒状に構成され、
前記外側筒部の周壁には、内外に貫通する通水路が設けられ、前記内側筒部と前記外側筒部の間には、前記通水路を介して流入する地下水を貯する地下水貯室が設けられ、前記内側筒部は、内側の空間を、前記熱媒体流体を貯する熱媒体流体貯室とし、この熱媒体流体貯室と前記地下水貯室とを水密に仕切っており、
前記内側筒部と前記外側筒部の間には、その上端側に断熱材が設けられ、前記断熱材よりも下方側に前記地下水貯室及び前記通水路が設けられていることを特徴とする熱利用装置。
【請求項2】
前記外気熱交換器は、地中に埋め込まれた地中管部と、前記地中管部に連通状に接続されるとともに外気に曝された露出管部とを有し、その管内にブラインである前記熱媒体流体を流通することを特徴とする請求項1記載の熱利用装置。
【請求項3】
前記露出管部は、鉛直状に立ち上がった管状に形成されていることを特徴とする請求項
2記載の熱利用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯槽に貯した熱媒体流体の熱を利用する熱利用装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の地下水熱利用設備では、地面に埋め込まれたトグロ管状の循環密閉
回路式融雪設備に地下水を循環させ、融雪などに用いるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-009335公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記循環密閉回路式融雪設備は、地面の温熱や冷熱を集熱するのにも利用することができる。しかしながら、従来構造の循環密閉回路式融雪設備をそのまま集熱に用いた場合には、集熱能力の不足が懸念される。
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
ブラインである熱媒体流体を貯した熱媒体流体貯槽と、前記熱媒体流体貯留槽から吸入するブラインである前記熱媒体流体の熱を外部熱と熱交換して前記熱媒体流体貯留槽へ戻すように配管接続された集熱配管系統と、前記熱媒体流体貯留槽から吸入したブラインである前記熱媒体流体を利用機器に通過させて前記熱媒体流体貯留槽へ戻すように配管接続された利用配管系統とを具備し、
前記集熱配管系統は、ブラインである前記熱媒体流体を流すものであり、地中に埋め込まれた地中熱交換器に、外気に曝された外気熱交換器を接続し、ブラインである前記熱媒体流体を前記熱媒体流体貯槽へ戻すものであり、前記熱媒体流体貯槽は、地中に埋め込まれた外側筒部と、この外側筒部に内在された内側筒部とを具備して二重筒状に構成され、前記外側筒部の周壁には、内外に貫通する通水路が設けられ、前記内側筒部と前記外側筒部の間には、前記通水路を介して流入する地下水を貯する地下水貯室が設けられ 、前記内側筒部は、内側の空間を、前記熱媒体流体を貯する熱媒体流体貯室とし、この熱媒体流体貯室と前記地下水貯室とを水密に仕切っており、前記内側筒部と前記外側筒部の間には、その上端側に断熱材が設けられ、前記断熱材よりも下方側に前記地下水貯室及び前記通水路が設けられていることを特徴とする熱利用装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、集熱能力を効果的に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る熱利用装置の一例を模式的に示す縦断面図である。
図2】同熱利用装置における外気熱交換器の一例を示す正面図である。
図3】外気熱交換器の他例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第1の特徴は、熱媒体流体を貯した熱媒体流体貯留槽と、前記熱媒体流体貯留槽から吸入する熱媒体流体の熱を外部熱と熱交換して前記熱媒体流体貯留槽へ戻すように配管接続された集熱配管系統と、前記熱媒体流体貯留槽から吸入した熱媒体流体を利用機器に通過させて前記熱媒体流体貯留槽へ戻すように配管接続された利用配管系統とを具備し、前記集熱配管系統は、地中に埋め込まれた地中熱交換器に、外気に曝された外気熱交換器を接続している(図1及び図2参照)。
【0009】
第2の特徴として、前記外気熱交換器は、地中に埋め込まれた地中管部と、前記地中管部に連通状に接続されるとともに外気に曝された露出管部とを有し、その管内に前記熱媒体流体を流通する(図1及び図2参照)。
【0010】
第3の特徴として、前記露出管部は、鉛直状に立ち上がった管状に形成されている(図1及び図2参照)。
【0011】
第4の特徴として、前記熱媒体流体貯槽は、地中に埋め込まれた外側筒部と、この外側筒部に内在された内側筒部とを具備して二重筒状に構成され、前記外側筒部の周壁には、内外に貫通する通水路が設けられ、前記内側筒部と前記外側筒部の間には、前記通水路を介して流入する地下水を貯する地下水貯室が設けられ、前記内側筒部は、内側の空間を、前記熱媒体流体を貯する熱媒体流体貯室とし、この熱媒体流体貯室と前記地下水貯室とを水密に仕切っている(図1参照)。
【0012】
第5の特徴として、前記内側筒部と前記外側筒部の間には、その上端側に断熱材が設けられ、前記断熱材よりも下方側に前記地下水貯室及び前記通水路が設けられている(図1参照)。
【0013】
<具体的実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る熱利用装置の一例を示している。
この熱利用装置は、地下に埋め込まれるとともに熱媒体流体Bを貯した熱媒体流体貯槽1と、熱媒体流体貯留槽1から吸入した熱媒体流体Bを外部熱と熱交換して熱媒体流体貯留槽1へ戻すように配管接続された集熱配管系統2と、熱媒体流体貯留槽1から吸入した熱媒体流体Bを利用機器Xに通過させて熱媒体流体貯留槽1へ戻すように配管接続された利用配管系統3とを具備し、地下水及び集熱配管系統2によって温度調整された熱媒体流体Bの熱を利用配管系統3にて利用する。
【0015】
熱媒体流体貯留槽1が埋設される地中は、不透水層及び帯水層を有する。帯水層は、上下の不透水層の間に形成される水を含んだ地層であり、例えば、砂層、礫層などの多孔質浸透性の未固結地層、または割れ目を有した砂岩、礫岩、稀に玄武岩、分散した溶岩が重なり合った火成岩層、あるいは多孔質、空洞のある石灰岩の層等によって構成される。図示例の熱媒体流体貯留槽1は、不透水層及びその下側の帯水層に挿通されるようにして埋設される。
【0016】
熱媒体流体貯槽1は、地中に埋め込まれた外側筒部12と、この外側筒部12に内在された内側筒部11とを具備して二重筒状に構成される。
この熱媒体流体貯槽1は、内側筒部11内に熱媒体流体Bを貯するための熱媒体流体貯室1Aを確保するとともに、内側筒部11の外周面と外側筒部12の内周面との間に、通水路12aを介して流入する地下水を一時的に貯する地下水貯室1Bを確保している。
【0017】
内側筒部11は、円筒状の周壁部とその下端の底部とから有底筒状に形成される。内側筒部11の周壁部は、例えば、金属製パイプを上下方向へ複数連結することで構成される。
内側筒部11の周壁部及び底部は、熱媒体流体貯室1Aと地下水貯室1Bとを水密に仕切っている。内側筒部11の上端部は、円盤状の蓋部材13によって閉鎖されている。
【0018】
内側筒部11内には、熱媒体流体Bが貯される。
熱媒体流体Bは、防食不凍液であり、ブライン等と呼称される場合もある。この熱媒体流体Bには、例えばエチレングリコール等を主成分としたブライン不凍液を用いればよいが、水やその他の液体を用いることも可能である。
【0019】
また、外側筒部12は、内側筒部11の外径よりも大きい円筒状の周壁部の下端を底部により閉鎖した有底筒状に形成される。
この外側筒部12と内側筒部11の間には、その上部側に断熱材14が設けられ、断熱材14よりも下の空間が地下水貯室1Bになっている。
【0020】
外側筒部12の周壁部には、周方向に間隔を置いて複数の通水路12aが設けられる。
各通水路12aは、断熱材14よりも下側にて、上下方向へわたって外側筒部12の周壁部を貫通するスリット状に形成される。
この通水路12aは、図示例によれば、地中における不透水層からその下側の帯水層に跨る長尺状に形成され、外側筒部12の周方向に間隔を置いて複数設けられる。
各通水路12aの周方向の幅は、外側筒部12周囲の礫(小石)等を通過させ難いように適宜に設定される。
【0021】
断熱材14は、内側筒部11と外側筒部12の間における上端側に、隙間がないように、円筒状に設けられる。
この断熱材14は、不透水層中において外気温の影響を受け易い深度(外気温干渉深度)以内に設けられる。
図示例によれば、熱媒体流体貯槽1の全長が50~100m程度であり、断熱材14の全長(深さ方向の寸法)dは約10mである。
断熱材14の材質は、水を吸収しない材料であることが好ましく、例えば、発泡ポリスチレンや、ウレタンフォーム等の発泡プラスチック系断熱材等とすればよい。
上記構成の断熱材14によれば、熱媒体流体貯槽1内の熱媒体流体Bが外気温の影響を受けて温度変動するのを防ぐことができる。
【0022】
集熱配管系統2は、地中に埋め込まれた地中熱交換器25に、外気に曝された外気熱交換器20を直列に接続しており、内側筒部11内の熱媒体流体Bを、比較的上層側で吸入し、地中熱交換器25及び外気熱交換器20によって熱交換した後に、内側筒部11内に戻す。
【0023】
詳細に説明すれば、集熱配管系統2は、内側筒部11内にて吸入口2aから上方へ延設され蓋部材13を貫通し地表寄りの地中熱交換器25まで延設された往管2b、この往管2bの途中に設けられて管内の熱媒体流体Bを強制搬送するポンプP、外気熱交換器20を通過した熱媒体流体Bを内側筒部11内へ戻す還管2c等を具備する。
【0024】
図1に示す一例によれば、往管2bの吸入口2aは、内側筒部11内に貯された熱媒体流体Bの上層寄りに位置する。そして、還管2cの吐出口は、内側筒部11内において熱媒体流体Bの液面よりも上側に位置する。
【0025】
地中熱交換器25は、例えばトグロ状等に巻かれた管体であり、その周壁の内部に熱媒体流体Bを流通するとともに、周壁外面を地中に接している。
なお、図1によれば、地中熱交換器25は、縦方向(地中の深さ方向)にトグロ状に巻かれているが、これは地中熱交換器25の構造を模式的に示すものであり、実際の地中熱交換器25は、地表近くで略水平にトグロ状に巻かれており、冬場は路面の融雪装置として利用可能である。
また、地中熱交換器25は、トグロ状以外に、例えばヘアピンコイル状(外気熱交換器20と略同形状)に形成してもよい。
【0026】
外気熱交換器20は、熱交換部21と、この熱交換部21を支持する支持体22とを具備し、搬送可能な一体状に構成される。
この外気熱交換器20は、その一部または全部が、地中熱交換器25の真上に位置するように設けられ、特に好ましい一例の外気熱交換器20は、地中熱交換器25の水平方向の設置面積中に含まれるようにして地中熱交換器25の上方側に配置される。
【0027】
熱交換部21は、水平方向へ間隔を置いて鉛直状に設けられた複数の直管部21aと、これら直管部21aの上端と下端を交互に接続するヘアピン管部21bとを具備し、地中に埋め込まれた地中管部20aと、前記地中管部に連通状に接続されるとともに外気に曝された露出管部20bとを有するとともに、上下に蛇行する一体管状に構成される。
熱交換部21の上流側端部は、地中熱交換器25を構成する配管の下流側端部に連通状に接続され、熱交換部21の下流側端部は、還管2cに連通状に接続される。
この熱交換部21の高さ寸法Hは、例えば、5m程度に設定される。
【0028】
地中管部20aは、直管部21aの下端側部分と、下側のヘアピン管部21b等により構成され、地中に埋め込まれている。
露出管部20bは、直管部21aの地表面よりも上側の部分と、上側のヘアピン管部21bにより構成され、外気に晒される。
【0029】
支持体22は、図2に示すように、矩形状の枠体22aと、枠体22aの外周に固定された複数の吊持具22bと、枠体22a内を覆うようにして周縁側が枠体22aに止着された網状部材22cとを備え、網状部材22cに、熱交換部21を固定している。
【0030】
この支持体22は、下端側が地中に埋め込まれて鉛直状に立設され、熱交換部21を鉛直状に支持するとともに、網状部材22cの網目に空気を流通させて、熱交換部21の熱交換作用を促進する。
また、吊持具22bは、アイボルトやU字ボルト等により構成される。この吊持具22bには、外気熱交換器20の搬送の際に、ワイヤー及びフック等が掛けられる。
【0031】
利用配管系統3は、利用機器Xと、この利用機器に接続された往管31、ポンプP,還管32等により構成される。
【0032】
利用機器Xは、往管31及びポンプPによって汲み上げた熱媒体流体Bを熱源側熱交換器x1に通過させて熱利用し、その利用後の熱媒体流体Bを還管32へ戻す。
往管31の吸入口31aは、熱媒体流体Bの底側に位置する。還管32の吐出口は、内側筒部11内において熱媒体流体Bの液面よりも上側に位置する。
利用機器Xは、冷凍サイクルを具備したヒートポンプ式給湯器である。この利用機器Xの他例としては、冷暖切り替えが可能なヒートポンプ式冷凍空調機器(例えば、水冷ヒートポンプ冷暖房機器等を含む)やコールドチェーン機器、融雪機等とすることも可能である。
【0033】
次に、上記構成の熱利用装置について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
熱媒体流体貯槽1の熱媒体流体Bは、地下水、地中熱及び外気との熱交換により適温に維持される。そして、この熱媒体流体Bの熱が、利用配管系統3を循環して利用機器Xに利用される。
【0034】
詳細に説明すれば、熱媒体流体貯槽1では、複数の通水路12aを介して、地下水貯室1Bに地下水が浸入する。この地下水は、図1に示す一例によれば、帯水層と不透水層の境目よりも若干上側に液面を有する。
この地下水は、温度や液圧等の変化に応じて、地下水貯室1B内へ侵入したり外側筒部12外へ流出したりして、流動する。
地下水の熱は、内側筒部11の管壁を介して、熱媒体流体Bへ伝達する。内側筒部11内と地下水貯室1Bは内側筒部11の管壁により仕切られているため、熱媒体流体Bが地下水貯室1Bへ侵入することはない。
【0035】
一方、集熱配管系統2は、熱媒体流体貯槽1から熱媒体流体Bを汲み上げ、地中熱交換器25及び外気熱交換器20に流通させた後、熱媒体流体貯槽1へ戻す。この流通過程において、熱媒体流体Bの熱は、地中熱交換器25によって地熱と熱交換され、さらに、外気熱交換器20によって外気熱とも熱交換される。
【0036】
よって、熱媒体流体貯槽1内の熱媒体流体Bを、地下水及び集熱配管系統2による熱交換によって適温に維持することができる。
【0037】
なお、集熱配管系統2には、必要に応じて、地中熱交換器25と外気熱交換器20のうち、何れか一方又は双方の流量を調整する流量調整部(具体的には、流量調整弁や、流量調整配管回路等)が設けられる。
【0038】
そして、利用配管系統3では、利用機器Xが、熱媒体流体貯槽1から汲み上げた熱媒体流体Bの熱を、図示しない熱交換器等を介して熱利用した後、熱媒体流体Bを熱媒体流体貯槽1へ戻す。
【0039】
よって、上記構成の熱利用装置によれば、比較的設置面積の小さい集熱配管系統2により、集熱能力を効果的に向上することができる。
【0040】
以下、上記熱利用装置の具体的な利用態様について説明する。
例えば、利用機器Xがヒートポンプ式給湯器であり、このヒートポンプ式給湯器を、夏場、地下水温T1=13~15℃、外気温T2=30~35℃、地中熱交換器25周囲の表層地中温度=40~60℃の温度条件下で利用する。
熱媒体流体貯槽1内の熱媒体流体Bは、地下水貯室1B内の地下水との熱交換によりある程度安定的に保持される。
この熱媒体流体Bは、利用機器Xに吸入されて熱源側熱交換器x1を通過する際に、利用機器Xの冷凍サイクル中の低温ガスと熱交換され冷却されて、熱媒体流体貯槽1へ戻される。
一方、この熱媒体流体Bは、集熱配管系統2に吸入されて地中熱交換器25及び外気熱交換器20を通過する際に、比較的高温の表層地中及び外気と熱交換することで、加熱されて熱媒体流体貯槽1へ戻される。
したがって、これらの熱交換作用により、熱媒体流体貯槽1内の熱媒体流体Bを適温に保持することができ、ひいては、利用機器Xの性能を安定させることができる。
【0041】
<変形例>
【0042】
なお、上記実施態様によれば、熱交換部21を構成する配管(直管部21a及びヘアピン管部21b)として、内外壁面に凹凸のない通常の管体を用いたが、熱交換部21の他例としては、内面溝付き管や外面溝付き管を用いた態様や、プレートフィンコイルを用いた態様、その他の熱交換器を用いた態様とすることも可能である。
【0043】
さらに、他例としては、熱交換部21を、図3に示す熱交換部23に置換することが可能である。
熱交換部23は、略平行に並設された往管23aと還管23bとを、略トグロ巻状に構成し、枠体22aに固定したものである。
詳細に説明すれば、往管23aと還管23bの一端側には、入口23a1と出口23b1が重ね合わせられている。これら往管23a及び還管23bの他端側は、重ね合わせられ、枠体22aの中心部へ向かって、略トグロ巻状(他の表現を用いれば渦巻状)に曲げられ、前記中心部で連通状に接続されている。
入口23a1は、地中熱交換器25の下流側(出口側)に接続され、出口23b1は、還管2cの上流側に接続される。
重ね合わせられた往管23a及び還管23bの外周面は外気に晒される。
上記構成の熱交換部23によれば、上述した熱交換部21と同様の作用効果を奏する上、独自のトグロ状配管により熱交換性能をより向上することができる。
【0044】
また、上記実施態様に付加する構成として、熱交換部21の近傍に熱交換部21に送風を吹き付けるファンを設けて、より集熱性能を向上するようにしてもよい。
【0045】
本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0046】
1:熱媒体流体貯
2:集熱配管系統
3:利用配管系統
11:内側筒部
12:外側筒部
12a:通水路
14:断熱材
20:外気熱交換器
20a:地中管部
20b:露出管部
21,23:熱交換部
25:地中熱交換器
B:熱媒体流体
X:利用機器
図1
図2
図3