(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】カスタマイズされた製品を製造するための成分を混合するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B01F 31/441 20220101AFI20230721BHJP
B65D 81/32 20060101ALI20230721BHJP
B01F 35/11 20220101ALI20230721BHJP
B01F 23/40 20220101ALI20230721BHJP
A61Q 1/00 20060101ALN20230721BHJP
【FI】
B01F31/441
B65D81/32 U
B01F35/11
B01F23/40
A61Q1/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021197476
(22)【出願日】2021-12-06
(62)【分割の表示】P 2018553320の分割
【原出願日】2017-01-05
【審査請求日】2021-12-21
(32)【優先日】2016-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518235022
【氏名又は名称】エーシー&ビー エスエーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルルー,デイビッド
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06062722(US,A)
【文献】仏国特許出願公開第02998193(FR,A1)
【文献】特公昭57-030062(JP,B1)
【文献】特開昭59-003239(JP,A)
【文献】特開昭53-106970(JP,A)
【文献】特開2012-107056(JP,A)
【文献】特表平06-509627(JP,A)
【文献】特開2000-313487(JP,A)
【文献】特開2005-324863(JP,A)
【文献】特開2015-040994(JP,A)
【文献】特表2012-515082(JP,A)
【文献】国際公開第2010/086698(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0038701(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 31/00
B01F 35/10
B01F 23/40
B01F 23/50
B65D 81/32
A61Q 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの成分
を混合するための混合装置
(51
)において、前記混合装置
(51
)は、
第1レセプタクル(52)と、第2レセプタクル(53)と、を備え、前記第1レセプタクル(52)および前記第2レセプタクル(53)の各々には、
a.
少なくとも1つのオリフィス
(110
)および管によって前記
第1レセプタクル
(52
)または前記
第2レセプタクル
(53
)の一方の内容物を他方の前記
第1レセプタクル
(52
)または前記
第2レセプタクル
(53
)に移すように、前記管によって連結され、前記
第1レセプタクル
(52
)および前記第2レセプタクル(53)の利用可能な容積を交互に変化させることができる装置を備える少なくとも1つのオリフィス
(110
)と、
b.前記少なくとも2つの成分の流入を可能にする
、前記第1レセプタクル(52)用の少なくとも1つの入口オリフィス(X)および前記第2レセプタクル(53)用の少なくとも1つの入口オリフィス(X’)と、
が設けられており、
前記混合装置は、別途の出口オリフィスを含まず、前記入口オリフィス(X
,X’)のうちの1つが少なくとも1つの成分の流入と得られた少なくとも2つの成分の混合物の排出との両方を可能に
し、前記混合装置(51)は、少なくとも、前記入口オリフィス(X)を開閉するための第1主弁(56)、前記入口オリフィス(X’)を開閉するための第2主弁(56’)および前記少なくとも1つのオリフィス(110)を開閉するための少なくとも1つの補助弁(57)を含み、前記第1主弁(56)、前記第2主弁(56’)および前記少なくとも1つの補助弁(57)は、前記混合装置内に設けられた管内を摺動することを特徴とし、
前記第1主弁(56)は2つの穴を有し、一方の前記穴は洗浄水のアクセスを可能にし、他方の前記穴は、成分を導入するかまたは中空針を通して前記洗浄水を抽出することによって前記混合装置(51)を洗浄するために、前記中空針へのアクセスを可能にし、
前記第2主弁(56’)は2つの穴を有し、一方の前記穴は成分へのアクセスを可能にし、他方の前記穴は混合によって得られる製品を供給するノズルへのアクセスを可能にし、
前記補助弁(57)には少なくとも2つの穴が設けられており、前記補助弁(57)はモータ(62)によって作動されるラックシステム(61)によって並進移動するように駆動され得、前記第1レセプタクル(52)と前記第2レセプタクル(53)との間の流れを制御することができる、
混合装置
(51
)。
【請求項2】
前記レセプタクルは楕円形または円筒形であることを特徴とする、請求項1に記載の混合装置
(51
)。
【請求項3】
前記
第1レセプタクル
(52
)には少なくとも1つの入口オリフィス
(X
)が含まれており、少なくとも1つの入口オリフィス
(X
)は前記少なくとも1つの活性化粧品成分の流入を意図されており、前記
第2レセプタクル
(53
)には少なくとも1つの他の入口オリフィス
(X’
)が含まれており、少なくとも1つの他の入口オリフィス
(X’
)は、前記少なくとも1つのベース化粧品成分の流入と、前記少なくとも2つの化粧品成分の得られた前記混合物の排出とを意図されてい
ることを特徴とする、請求項1
または2に記載の混合装置
(51
)。
【請求項4】
前記第1主弁(56)、前記第2主弁(56’)および/または前記少なくとも1つの補助弁(57)はスライドゲート弁
であることを特徴とする、請求項1から
3のいずれか1項に記載の混合装置
(51
)。
【請求項5】
パーソナル化された化粧品の製造および分配のための装置であって、前記化粧品が少なくとも2つの化粧品成分の混合によって製造される装置において、前記装置は請求項1から
4のいずれか1項に記載の混合装置
(51
)を含むことを特徴とする、装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の、
パーソナル化された化粧品の製造および分配のための装置であって、前記混合装置
を洗浄するための装置を含み、前
記混合装置を洗浄するための前記装置が、
a)前記混合装置
(51
)の前記
第1レセプタクル
(52
)への水の流入を可能にする、前記
入口オリフィス
(X
)に接続された水
リザーバと、
b)洗浄の結果として生じる
水の前記レセプタクル
(53
)か
らの排出を可能にする回収タンクに前記入口と出口のオリフィス
(X’
)を連結する溝と、
c)洗浄の結果として生じる水の
前記第1レセプタクル
(52
)からの排出を可能にする、洗浄の結果として生じる水
を回収
する容器に
前記入口オリフィス
(X
)を接続する
円形の中
空装置
(Y
)と、
を含むことを特徴とする、装置。
【請求項7】
少なくとも2つの化粧品成分の混合による製造のためのおよび
パーソナル化された化粧品の分配のための方法であって、前記方法は、
請求項1から
4のいずれか1項に記載の混合装置
(51
)に対し、前記オリフィス
(X’
)により前記
第2レセプタクル
(53
)内に少なくとも1つのベース化粧品成分を導入する工程と、
前記
第1レセプタクル
(52
)および第2レセプタクル(53
)の利用可能な容積を択一的に変化させることができる前記装置の運動によって
、前記
第2レセプタクル
(53
)の前記ベース化粧品成分を前記2つのオリフィス
(110
)を連結する前記
管によって前記
第1レセプタクル
(52
)に流す工程と、
前記
第1レセプタクル
(52
)内に存在する空気を前記オリフィス
(X
)によって排出するように、前記
第1レセプタクル
(52
)および第2レセプタクル(53
)の利用可能な容積を択一的に変化させることができる前記装置の運動によって
、前記
第1レセプタクル
(52
)のガス抜きを行う工程と、
前記混合装置
(51
)に対して、前記オリフィス
(X
)を介して前記
第1レセプタクル
(52
)へ少なくとも1つの活性化粧品成分を導入する工程と、
前記
第1レセプタクル
(52
)および第2レセプタクル(53
)の利用可能な容積を択一的に変化させることができる前記装置の運動によって
、前記2つのオリフィス
(110
)を連結する前記
管によって前記
第1レセプタクル
(52
)および第2レセプタクル(53
)の成分を択一的に導入して前記モータ
(62
)を作動させることにより前記化粧品成分の均質な混合
物を
製造し、最後に前記
第2レセプタクル(53
)への前記化粧品成分の混合物で終了する工程と、
前記化粧品を前記オリフィス
(X’
)によってユーザに排出するように、前記
第1レセプタクル
(52
)および第2レセプタクル(53
)の利用可能な容積を択一的に変化させることができる前記装置の運動によって
、このように製造された前記化粧品をユーザに分配する工程と、
オプションで、洗浄の工程によって前記混合装置を洗浄する工程と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カスタマイズされた製品のための、好ましくは化粧品の製造のための成分、好ましくは化粧用成分を均質に混合するための混合装置および方法に関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、先ず、少なくとも2つの成分の混合装置51に関し、混合装置51は、2つのレセプタクル(容器)52、53を備え、2つのレセプタクル52、53は、各々、
a.オリフィス110および管55によって、レセプタクル52またはレセプタクル53の内容物を他方のレセプタクル52またはレセプタクル53に移すように、管55によって連結され、レセプタクル52、53の利用可能な容積を交互に変化させる装置が取り付けられる少なくとも1つのオリフィス110と、
b.オリフィス110および管55によってレセプタクル52またはレセプタクル53の一方の内容物を他方のレセプタクル52またはレセプタクル53に移すように対向運動で動作可能なピストン50と、
c.少なくとも2つの成分の流入を可能にする少なくとも1つの入口オリフィスXと、
を備え、
前記混合装置は、追加の出口オリフィスを含まず、入口オリフィスXのうちの1つが少なくとも1つの成分の流入と得られた少なくとも2つの成分の混合物の排出との両方を可能にすることを特徴とする。
【0003】
レセプタクル52、53の利用可能な容積を択一的に変化させる装置とは、本発明によれば、レセプタクル53の容積が減少するときにはレセプタクル52の利用可能な容積を増加させ、逆もまた同様である装置を指すものであることが意図されている。好ましくは、本発明によれば、このような装置は、対向運動によってレセプタクル52またはレセプタクル53の利用可能な容積を変化させるように動作可能なピストン50を含む。有利には、本発明によれば、前記装置は、レセプタクル52とレセプタクル53とを択一的に押し潰すモータ駆動ロールからなり、前記レセプタクル52、53はその場合、軟質プラスチックポケットのような、柔らかい材料でできている。
【0004】
好ましくは、本発明による装置は、レセプタクル52には少なくとも1つの入口オリフィスXが含まれており、少なくとも1つの入口オリフィスXは少なくとも1つの活性化粧品成分の流入が意図されており、レセプタクル53には少なくとも1つの他の入口オリフィスXが含まれており、少なくとも1つの他の入口オリフィスXは、少なくとも1つのベース化粧品成分の流入と、少なくとも2つの化粧品成分の得られた混合物の排出とが意図されており、前記入口と出口のオリフィスXはX’と命名されていることを特徴とする。
【0005】
成分とは、本発明によれば、1センチポアズまたは1mPa・s(例えば、水など)から500000mPa・s(Brookfield DVIII Ultra、ニードルF、速度1.5で測定された10℃のバターなど)までの範囲内の異なる粘度のものであり得る粘度の液体と、オリフィスを塞がないように入口オリフィスX、X’とオリフィス110のサイズによって規定される最大粒径を有する粉末と、を指すものであることが意図されている。好ましくは、液体形態の少なくとも1つの化合物が選択される。これは、例えば、液体塗料と粉末形態の顔料との混合物、毛髪着色剤の前駆体の混合物、例えば、毛髪着色剤の組成物のための酸化剤とベース(主剤)とカプラ(発色剤)との混合物、所望の色のファンデーションを得るための異なる色の2つの化粧ファンデーションの混合物、ベース化粧クリームと1以上の活性剤との混合物、または食物ベースソースと液体香料との混合物、またはカクテル製造のための果汁と食物シロップもしくはアルコール飲料との食物アルコールの混合物であってよい。
【0006】
本発明によれば有利には、少なくとも2つの成分は、少なくとも2つの化粧品成分、好ましくは、少なくとも1つのベース成分と、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または少なくとも6つの活性成分とである。好ましい特定の態様では、少なくとも2つの成分は、少なくとも1つのベース成分と、少なくとも1つ、2つまたは3つの活性成分とである。
【0007】
「ベース成分」とは、化粧品に特定の質感(クリーム、美容液、オイルなど)をもたらすことを目的とする化粧品成分をいう。ベース成分は、その特定の質感を得るために、単一の材料(例えば、スイートアーモンドオイル(甘扁桃油))または複数の材料(例えば、水、スイートアーモンドオイルおよび乳化剤)とすることができる。
【0008】
「活性成分」とは、少なくとも1つの特定の活性(老化防止、保湿、抗酸化剤など)をもたらすことを目的とする化粧品成分を意味する。活性成分は、その特定の活性を得るために組み合わされた1つまたは複数の活性材料とすることができる。
【0009】
本発明による混合装置は、短期間内に、好ましくは30秒未満で、より好ましくは15秒未満で、わずかな使用空間と良好な摩耗に対する耐性を伴って、たとえ少量(典型的には、約cm3以下)単位で調製される場合でさえも、完全に均質な少なくとも2つの成分の混合物、好ましくは化粧品成分の混合物を得ることを可能にする。特に、この混合装置は、類似した特性でパーソナル化(特定の個人向けに作製)された製品、好ましくは化粧品の生産を可能にする製造および分配装置に組み込まれる。
【0010】
有利には、本発明による混合装置は、含まれるオリフィスの数が少なく、洗浄すべきオリフィスの数および閉塞の危険性を制限することを可能にする。よって、この混合装置は、専用の出口オリフィスを含まず、入口オリフィスX’のうちの1つが、少なくとも1つの成分の流入と得られた少なくとも2つの成分の混合物の排出との両方を可能にする。
【0011】
本発明による混合装置のレセプタクルは様々な形態、すなわち、円筒形、楕円形、立方体形、球形、長方形を有することができる。好ましくは、これらのレセプタクルは楕円形または円筒形であり、これにより洗浄が容易になり、より均質な混合物が得られる。
【0012】
楕円形レセプタクルには、円筒形レセプタクルよりも混合装置によって使用される空間が小さいという技術的利点がある。そのため楕円形レセプタクルでは、例えば、円筒形のような他の形態を有する装置よりも使用される空間が小さい、製造および化粧品分配装置を得ることも可能になる。
【0013】
これらのレセプタクルは、少なくとも2つの成分の混合を可能にするために、オリフィス110と、レセプタクルを連結する管55とを各々有していなければならない。しかしながら、これらのレセプタクルの相対的な位置には技術的制約はなく、これらのレセプタクルは、例えば、間隔を置いて配置することも、上下に段にして配置することも、向かい合わせまたは並列に配置することもできる。加えて、管55を、2つのオリフィスを連結し、それらのオリフィスを開閉できるようにする弁57によって形成することもできる。
【0014】
本発明の一態様によれば、混合装置のレセプタクルは柔軟なポケットとすることができる。これらのポケットは、好ましくは軟質プラスチック製であり、特に弾性である。
【0015】
本発明によれば好ましくは、入口オリフィスXは、レセプタクル52に含まれており、少なくとも1つの活性化粧品成分の流入が意図されており、入口オリフィスX’は、53レセプタクルに含まれており、少なくとも1つのベース化粧品成分の流入と、得られた少なくとも2つの化粧品成分の混合物の排出とが意図されている。
【0016】
本発明による好ましい実施形態では、レセプタクル52、53の容積を択一的に変化させる前記装置、好ましくは前記ピストン50は、アクチュエータによって駆動される。
【0017】
また一具体的実施形態では、本発明による混合装置は、少なくとも1つの弁57を含む。
【0018】
別の実現形態によれば、本発明による混合装置は、少なくとも2つの主弁56、56’と、少なくとも1つの補助弁57とを含む。好ましくは、弁には各々2つの穴が設けられている。好ましくは、装置は2つの主弁56、56’と1つの補助弁57とを含み、各々2つの穴を有する。
【0019】
このように穴が開いたこれら少なくとも3つの弁56、56’、57は、水ポンプ(送水ポンプ)の追加も、装置内部に送水する前記水ポンプによって駆動されるスプリンクラも必要とせずに、前記装置を確実に洗浄することを可能にする。自己洗浄の工程において、前記弁とピストンのおかげで、混合装置はそれ自体でその洗浄に必要な水を求めることになる。
【0020】
本発明による特に好ましい実施形態では、本発明による混合装置の弁、特に少なくとも3つの弁56、56’、57は、ダイヤフラム弁、スライドゲート弁、ピンチ弁、ナイフゲート弁、またはボール弁であり、好ましくはスライドゲート弁である。
【0021】
このような弁は、特にスライドゲート弁は、装置の密封を最適化し、非常に良好な密封を得ることを可能にし、特に、当業者によって従来から使用されている他の弁の使用と比較して著しく改善される。この改善された密封により、必要とされるすべての密封状態で、水ポンプなしで、混合装置51の自己洗浄の工程が可能になる。
【0022】
本発明による好ましい実施形態では、本発明による混合装置は、混合装置内に配置された管内を摺動する、少なくとも2つの穴が設けられた補助弁57を含み、前記弁57は、好ましくはモータ62によって駆動されるラックシステム61によって並進(平行)移動するよう駆動され、前記2つのレセプタクル52、53の間の流れを制御することができる。
【0023】
ラックを使用すれば、前記装置によって使用される空間を最小限に維持しながら、前記弁を並進移動させることが可能になる。
【0024】
好ましくは、弁56は2つの穴を有し、弁56は混合装置内に配置された管内を摺動し、一方の穴は、混合装置51の洗浄の目的で、混合装置51に水を貫通させるために、洗浄水のアクセスを可能にし(洗浄位置における弁56のことである)、他方の穴は、前記混合装置において成分、好ましくは活性剤の成分を導入し、または中空針によって洗浄水を抜き出して装置を洗浄するために、中空針へのアクセスを可能にする(これは開位置の弁56を指している)。
【0025】
好ましくは、弁56’は2つの穴を有し、弁56’は混合装置内に配置された管内を摺動し、一方の穴は、成分、好ましくはベース成分へのアクセスを可能にし、他方の穴は、混合によってそこから得られる製品、好ましくはカスタム化粧品の供給ノズルへのアクセスを可能にする。
【0026】
本発明の第2の目的は、カスタム化粧品の製造および分配のための装置に関するものであり、前記化粧品は、少なくとも2つの化粧品成分の混合によって製造され、前記装置は本発明による混合装置51を含むことを特徴とする。
【0027】
本発明によるカスタム化粧品の製造および分配のための装置は、混合装置51に加えて、少なくとも2つの化粧品成分の各々をそれぞれ収容する少なくとも2つの容器(11、103)を含む。この製造および分配装置は、有利には、化粧品成分と同数の容器を含む。好ましくは、活性成分は容器(103)に収容され、ベース成分は容器(11)に収容される。また、有利な一実施形態では、ベース成分の容器は出口オリフィスを含む。
【0028】
成分、好ましくは活性化粧品成分を混合装置(51)に移す手段として、本発明による装置は、その1つの位置では、中空針90を混合装置と連結し、その1つの位置では、混合段階において混合装置のオリフィスを遮断し、その別の位置では、洗浄流路を混合装置と連結するように適合された、少なくとも1つの主弁56と、前記製品、好ましくは化粧品を、分配ノズルを通してユーザに提供することができる少なくとも1つの第2の主弁56’と、を含みうる。
【0029】
本発明による好ましい実施形態では、カスタム化粧品の製造および分配のための装置は、
a.混合装置51のレセプタクル52への水の流入を可能にする、オリフィスXに接続された水タンクと、
b.洗浄の結果として生じるレセプタクル53からの水の排出を可能にする回収タンクに、入口及び出口オリフィスX’を連結する溝と、
c.洗浄の結果として生じる水のレセプタクル52からの排出を可能にする、洗浄の結果として生じる水回収タンクに入口オリフィスXを接続する中空円形装置Yと、
を備える、前記混合装置の洗浄装置をさらに含む。
【0030】
本発明によれば洗浄(cleaning)という用語と洗浄(washing)という用語とは同様に使用される。
【0031】
有利には、より良好な洗浄のために洗浄水を予め加熱することもでき、洗浄水を抗菌剤および/または洗剤などの洗浄剤で置換し、または洗浄水にこれらを添加することもできる。洗浄水には、例えば水酸化ナトリウムを添加することができ、装置はその場合、追加の工程において浄水ですすぎ洗いされる。
【0032】
本発明の第3の目的は、少なくとも2つの化粧品成分を混合することにより製造するための方法およびカスタマイズされた化粧品の分配のための方法に関するものであり、前記方法は以下に存する工程を含む:
本発明による混合装置51に、オリフィスX’によりレセプタクル53に少なくとも1つのベース化粧品成分を導入する工程と、
レセプタクル52、53の利用可能な容積を択一的に変化させる装置の運動によって、好ましくはピストン50の運動によって、レセプタクル53の前記ベース化粧品成分を2つのオリフィス110を連結する管55によってレセプタクル52に流す工程と、
レセプタクル52内に存在する空気をオリフィスXによって排出するように、レセプタクル52、53の利用可能な容積を択一的に変化させる装置の運動によって、好ましくはピストン50の運動によって、レセプタクル52のガス抜きを行うこと工程と、
前記混合装置51に対して、オリフィスXを介してレセプタクル52へ少なくとも1つの活性化粧品成分を導入する工程と、
レセプタクル52、53の利用可能な容積を択一的に変化させる装置の運動によって、好ましくはピストン50の対向運動によって、2つのオリフィス110を連結する管55によりレセプタクル52、53の成分を択一的に導入してモータ62を作動させることによって化粧品成分の均質な混合を達成し、最後にレセプタクル53内への前記化粧品成分の混合物で終了する工程と、
化粧品をオリフィスX’によってユーザに排出するように、レセプタクル52、53の利用可能な容積を択一的に変化させる装置の運動によって、好ましくはピストン50の運動によって、このように製造された化粧品をユーザに分配する工程と、
オプションで、洗浄の工程によって混合装置を洗浄する工程。
【0033】
本発明によって得られるカスタム化粧品の体積量は、例えばユーザが直ちに1回使用するための1回分とすることもでき、複数回使用するための複数回分とすることもでき、この場合製品は消費者によって容器に貯蔵されうる。化粧品の体積量が1回分である場合、それは通常はmlオーダの体積量になり、特に顔用の化粧品の場合には約1mlの体積量になる。この1mlという化粧品の体積量の場合には、弁57内の管55の容積を約0.05mlとすることができ、化粧品成分の均質な混合を達成するために、(レセプタクル52、53の利用可能な容積を択一的に変化させる装置の運動によって、好ましくはピストン50の対向運動によって、2つのオリフィス110を連結する管55を通してレセプタクル52、53の成分を択一的に導入するよう、モータ62を作動させることによって)レセプタクル52、53の間の化粧品成分の、少なくとも3回、有利には3から6回の往復を実現することが有益であろう。
【0034】
次に、非限定的な例として、添付の概略的な図面に関連して本発明の実施の形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】ピストンなしの混合装置51の正面図である。
【0036】
【
図2】
図2は混合装置51の背面図であり、
図2’は混合装置51の背面
図3/4である。
【0037】
【
図3】
図3は、主弁56、56’および補助弁57の正面(
図3)と背面(
図3’)とを表す図である。
図3では、弁56の、レセプタクル52への化粧品成分のアクセスを可能にする開位置と、洗浄水へのアクセスを可能にする洗浄位置とを区別することができる。
【0038】
【
図4】ピストンおよびレセプタクル52、53が透過的に表されている、前面パネルにおけ4混合装置全体を表す斜視図である。
【0039】
【
図5】背面パネルにおける混合装置全体を表す斜視図である。
【0040】
【
図6】(図の上には水平に切断された状態で示されており、図の下には本発明による装置で使用されるように閉じた状態で示されている)洗浄のための円形中空装置を表す図である。図示のように、左側には中空針90を挿入することができるノズルを見ることができ、白い矢印は、中空針90内部の洗浄を可能にし、次いで、カーブの後に再度(白い矢印それ自体が交差する位置で)中空針90の外側を通る、装置Y内部の水の流路である。
【0041】
【
図7】中空針が内部に挿入された洗浄のための円形中空装置を表す図である(Yは、図の下に本発明による装置で使用されるように閉じた状態で示されている)。
【0042】
【
図8】洗浄の位置における、中空針が内部に挿入された洗浄のための円形中空装置を表す図である(水平に切断された状態で示されている。装置Y内部の中空針90を識別することができる)。
【0043】
【
図9】作動中の混合装置(51)およびピストン(50)、ピストン(50)の図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
有利には、少なくとも2つの化粧品成分の混合による製造のためのおよびカスタム化粧品の分配のための方法は、以下の工程を含む:
混合装置51に対して、オリフィスX’を介してレセプタクル53へ少なくとも1つのベース化粧品成分を導入するために、モータ62を使用して弁56’を開位置にする工程;モータ62を使用して弁56’を閉位置にして、オリフィスX’を閉じさせる工程と、
モータ62を使用して弁57を開位置にして、2つのオリフィス110を開く工程と、
レセプタクル52、53の利用可能な容積を交互に変化させる装置の運動によって、好ましくはピストン50の運動によって、レセプタクル53の前記ベース化粧品成分を2つのオリフィス110を連結する管55によってレセプタクル52に流すためにモータ62を作動させる工程と、
モータ62を使用して弁57を閉位置にして、2つのオリフィス110を閉じる工程と、
モータ62を使用して弁56を開位置にして、オリフィスXを開き、レセプタクル52内の空気をオリフィスXによって排出するために、レセプタクル52、53の利用可能な容積を交互に変化させる装置の運動によって、好ましくはピストン50の運動によって、レセプタクル52のガス抜きを行う工程と、
前記混合装置51に対して、モータ62を使用して弁56を開位置にした状態でオリフィスXを介してレセプタクル52へ少なくとも1つの活性化粧品成分を導入する工程と、
モータ62を使用して弁56、56’を閉位置にして、オリフィスX、X’を閉じる工程と、
モータ62を使用して弁57を開位置にして、オリフィス110および管55を開く工程と、
レセプタクル52、53の利用可能な容積を交互に変化させる装置の運動によって、好ましくはピストン50の対向運動によって、モータ62を使用して2つのオリフィス110を連結する管55によりレセプタクル52、53の成分を択一的に流して化粧品成分の均質な混合を達成し、最後に前記レセプタクル53内の前記化粧品成分の混合物で終了する工程と、
モータ62を使用して弁57を閉位置にし、弁56’を開位置にして、オリフィスX’を開く工程と、
前記化粧品をオリフィスX’によってユーザに排出するように、レセプタクル52、53の利用可能な容積を択一的に変化させる装置の運動によって、好ましくはピストン50の運動によって、このように製造された化粧品をユーザに分配する工程と、
オプションで、洗浄の工程によって混合装置を洗浄する工程。
【0045】
有利には、本方法の洗浄工程は以下の工程を含む:
レセプタクル52、53、オリフィスX、X’を、弁56、56と、好ましくは弁57に含まれる管55との内側から洗浄する第1の工程であって、
モータ62を使用して弁を洗浄位置56にし、オリフィスXを洗浄水タンクの前にする工程と、
オリフィスXを通ってレセプタクル52まで、洗浄水タンク内に存在する水を求める工程と、
モータ62を使用して弁56を閉位置にし、補助弁57を開位置にする工程と、
レセプタクル52、53の利用可能な容積を択一的に変化させる装置の運動によって、好ましくはピストン50の対向運動によって、好ましくは弁57に含まれる、2つのオリフィス110を連結する管55により、レセプタクル52の水をレセプタクル53へ択一的に流すためにモータを作動させ、次いでレセプタクル53への洗浄水で完了する工程と、
弁57を閉位置にしてオリフィス110を閉じる工程と、
弁56’を開位置にする工程と、
洗浄の結果として生じた水を、オリフィスX’を介して回収タンクに排出する工程と、
を含む、第1の工程と、
レセプタクル52と、オリフィスXと、中空針90の内側および外側とを洗浄する第2の工程であって、
弁57を閉位置にしてオリフィス110を閉じる工程と、
モータ62を使用して弁56を洗浄位置にし、オリフィスXを洗浄水タンクに接続させる工程と、
洗浄水タンクに存在する水を、オリフィスXを介してレセプタクル52に求める工程と、
弁56を開位置にして、オリフィスXを中空針90に連結させる工程と、
オリフィスXを水回収タンクに連結する中空円形装置Yに中空針90を挿入する工程と、
オリフィスXと、中空円形装置を通る中空針90とによって水を排出して、オリフィスX、次いで中空針90の内側、次いで中空針90の外側を洗浄する工程であって、水は、洗浄の結果として生じる水の回収タンクへの排出前に中空針90の外側で装置Yに戻る、工程と、
を含む、第2の工程。