(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】ハイドロフルオロカーボンの同時生産方法
(51)【国際特許分類】
C07C 17/07 20060101AFI20230721BHJP
B01J 23/26 20060101ALI20230721BHJP
B01J 23/46 20060101ALI20230721BHJP
B01J 23/652 20060101ALI20230721BHJP
C07C 17/20 20060101ALI20230721BHJP
C07C 19/08 20060101ALI20230721BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230721BHJP
C07C 17/383 20060101ALN20230721BHJP
【FI】
C07C17/07
B01J23/26 Z
B01J23/46 Z
B01J23/652 Z
C07C17/20
C07C19/08
C07B61/00 300
C07C17/383
(21)【出願番号】P 2021572669
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(86)【国際出願番号】 CN2021106782
(87)【国際公開番号】W WO2022042128
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2021-12-07
(31)【優先権主張番号】202010874823.2
(32)【優先日】2020-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516137993
【氏名又は名称】浙江衢化▲弗▼化学有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG QUHUA FLUOR-CHEMISTRY CO LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】周 黎暘
(72)【発明者】
【氏名】洪 江永
(72)【発明者】
【氏名】楊 波
(72)【発明者】
【氏名】張 彦
(72)【発明者】
【氏名】呉 斌
(72)【発明者】
【氏名】唐 新国
(72)【発明者】
【氏名】余 慧梅
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-523123(JP,A)
【文献】特許第3170800(JP,B2)
【文献】特開平08-027046(JP,A)
【文献】特開平08-024362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 17/383
C07C 19/08
C07C 17/20
C07C 17/08
B01J 23/26
B01J 23/652
B01J 23/46
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)塩素化オレフィンとフッ化水素との混合物を予熱してから、3段~6段に分けられ、各段に触媒が充填されている反応器の塔頂に入れるとともに、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロピレン及びジクロロメタンを、前記反応器の
第2段に入れて反応させ、反応器の出口で反応生成物を得るステップと、
(b)ステップ(a)で得られた反応生成物を第1精留塔に入れて分離させ、第1精留塔の塔頂蒸留物及び第1精留塔の塔釜生成物を得るステップと、
(c)ステップ(b)で得られた第1精留塔の塔頂蒸留物を第2精留塔に入れて分離させ、第2精留塔の塔頂で塩化水素を得、塔底で第2精留塔の塔釜生成物を得るステップと、
(d)ステップ(c)で得られた第2精留塔の塔釜生成物を第3精留塔に入れて分離させ、第3精留塔の塔頂でジフルオロメタン
化合物、又はジフルオロメタンを含む混合物を得、第3精留塔の塔底で1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン
化合物、又は1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンを含む混合物を得、第3精留塔の塔頂でジフルオロメタンを含む混合物を得たとき、さらに分離させてジフルオロメタン
化合物を得、第3精留塔の塔底で1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンを含む混合物を得たとき、さらに分離させて1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン
化合物を得るステップとを含むこと
、
ステップ(a)における前記塩素化オレフィンはトリクロロエチレンであり、前記第3精留塔の塔頂でジフルオロメタンを得、前記第3精留塔の塔底で1,1,1,2-テトラフルオロエタンと1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンとの混合物を得、前記1,1,1,2-テトラフルオロエタンと1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンとの混合物を第4精留塔に入れて分離させ、それぞれ1,1,1,2-テトラフルオロエタン化合物及び1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン化合物を得ること、
を特徴とするハイドロフルオロカーボンの同時生産方法。
【請求項2】
(a)塩素化オレフィンとフッ化水素との混合物を予熱してから、3段~6段に分けられ、各段に触媒が充填されている反応器の塔頂に入れるとともに、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロピレン及びジクロロメタンを、前記反応器の第2段に入れて反応させ、反応器の出口で反応生成物を得るステップと、
(b)ステップ(a)で得られた反応生成物を第1精留塔に入れて分離させ、第1精留塔の塔頂蒸留物及び第1精留塔の塔釜生成物を得るステップと、
(c)ステップ(b)で得られた第1精留塔の塔頂蒸留物を第2精留塔に入れて分離させ、第2精留塔の塔頂で塩化水素を得、塔底で第2精留塔の塔釜生成物を得るステップと、
(d)ステップ(c)で得られた第2精留塔の塔釜生成物を第3精留塔に入れて分離させ、第3精留塔の塔頂でジフルオロメタン化合物、又はジフルオロメタンを含む混合物を得、第3精留塔の塔底で1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン化合物、又は1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンを含む混合物を得、第3精留塔の塔頂でジフルオロメタンを含む混合物を得たとき、さらに分離させてジフルオロメタン化合物を得、第3精留塔の塔底で1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンを含む混合物を得たとき、さらに分離させて1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン化合物を得るステップとを含むこと、
ステップ(a)における前記塩素化オレフィンはテトラクロロエチレンであり、前記第3精留塔の塔頂でジフルオロメタンと1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタンとの混合物を得、前記第3精留塔の塔底で1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン
化合物を得、前記ジフルオロメタンと1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタンとの混合物をさらに分離させて、ジフルオロメタン
化合物及び1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン
化合物を得ることを特徴とす
るハイドロフルオロカーボンの同時生産方法。
【請求項3】
(a)塩素化オレフィンとフッ化水素との混合物を予熱してから、3段~6段に分けられ、各段に触媒が充填されている反応器の塔頂に入れるとともに、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロピレン及びジクロロメタンを、前記反応器の第2段に入れて反応させ、反応器の出口で反応生成物を得るステップと、
(b)ステップ(a)で得られた反応生成物を第1精留塔に入れて分離させ、第1精留塔の塔頂蒸留物及び第1精留塔の塔釜生成物を得るステップと、
(c)ステップ(b)で得られた第1精留塔の塔頂蒸留物を第2精留塔に入れて分離させ、第2精留塔の塔頂で塩化水素を得、塔底で第2精留塔の塔釜生成物を得るステップと、
(d)ステップ(c)で得られた第2精留塔の塔釜生成物を第3精留塔に入れて分離させ、第3精留塔の塔頂でジフルオロメタン化合物、又はジフルオロメタンを含む混合物を得、第3精留塔の塔底で1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン化合物、又は1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンを含む混合物を得、第3精留塔の塔頂でジフルオロメタンを含む混合物を得たとき、さらに分離させてジフルオロメタン化合物を得、第3精留塔の塔底で1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンを含む混合物を得たとき、さらに分離させて1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン化合物を得るステップとを含むこと
、
ステップ(a)における前記塩素化オレフィンはトリクロロエチレンとテトラクロロエチレンとの混合物であり、前記第3精留塔の塔頂生成物はジフルオロメタンと1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタンとの混合物であり、前記第3精留塔の塔釜生成物は1,1,1,2-テトラフルオロエタンと1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンとの混合物であり、前記ジフルオロメタンと1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタンとの混合物をさらに分離させて、それぞれジフルオロメタン
化合物及び1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン
化合物を得、前記1,1,1,2-テトラフルオロエタンと1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンとの混合物を第4精留塔に入れて分離させ、それぞれ1,1,1,2-テトラフルオロエタン
化合物及び1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン
化合物を得ることを特徴とす
るハイドロフルオロカーボンの同時生産方法。
【請求項4】
ステップ(a)における前記フッ化水素と塩素化オレフィンとのモル比は12~20:1であり、前記1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロピレンとジクロロメタンのモル比は1~3:1であることを特徴とする請求項1
乃至請求項3のいずれか1つに記載のハイドロフルオロカーボンの同時生産方法。
【請求項5】
ステップ(a)における前記反応の圧力は0.8~1.2MPaであり、前記反応器の第1段の反応温度は200~250℃であり、第2段の反応温度は280~350℃であることを特徴とする請求項1
乃至請求項3のいずれか1つに記載のハイドロフルオロカーボンの同時生産方法。
【請求項6】
ステップ(a)における前記反応器の第1段の触媒はアルミナ担持金属クロムであり、クロムの質量百分率が15~20%であることを特徴とする請求項1
乃至請求項3のいずれか1つに記載のハイドロフルオロカーボンの同時生産方法。
【請求項7】
ステップ(a)における前記反応器の第2段の触媒は、イリジウムと亜鉛を酸化クロムに担持させた触媒であり、イリジウムの質量百分率が10~20%であり、亜鉛の質量百分率が15~30%であることを特徴とする請求項1
乃至請求項3のいずれか1つに記載のハイドロフルオロカーボンの同時生産方法。
【請求項8】
ステップ(a)における前記反応器の第3~6段の触媒は、クロム、マグネシウム及びインジウムを活性炭に担持させた触媒であり、クロムの質量百分率が25~40%であり、マグネシウムの質量百分率が5~10%であり、インジウムの質量百分率が3~6%であることを特徴とする請求項1
乃至請求項3のいずれか1つに記載のハイドロフルオロカーボンの同時生産方法。
【請求項9】
ステップ(b)における前記第1精留塔の塔釜生成物を反応器にリサイクルして続けて反応させることを特徴とする請求項1
乃至請求項3のいずれか1つに記載のハイドロフルオロカーボンの同時生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)の製造方法に関し、特にハイドロフルオロカーボンの同時生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイドロフルオロカーボン(HFCs)は、アルカンの水素原子の一部がフッ素に置き換わった化合物で、この種類の化合物は塩素を含まず、大気のオゾン層を破壊せず、オゾン層破壊物質の代替物であり、HFCsは、HFC-134a、HFC-125、HFC-32、HFC-245fa、HFC-227eaなどを含み、前のいくつかは成熟した生産ラインを持ち、すでに工業化され、大量生産されている。1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(分子式CF3CHFCF3、HFC-227eaと略す)は、塩素を含まない化合物であり、大気中のオゾン層に無害であり、その優れた性能のため、ハロンガス(環境に有害な消火剤)の代替物として、ガス消火システムに広く使用されており、また、大気に敏感な物質を保管するための媒体、及び医療用エアロゾル製剤の推進剤、又はエチレンオキシドと混合して消毒剤として使用することもでき、ヘプタフルオロプロパン消火システムは、都市設備室、変電所、交通輸送及び図書館などの重要な場所で広く使用されている。クロロフルオロカーボンとハロンが徐々に廃止されるにつれ、オゾン層を破壊する物質の主要な代替物の1つとして、それらの産業上の重要性は年々高まっている。ヘプタフルオロプロパンについて開示されている製造方法は多くなく、より工業的に開発価値のある製造プロセスは、無水フッ化水素酸のヘキサフルオロプロペンへの付加である。
【0003】
例えば、CN1271337Aは、発明の名称が1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンの気相調製法である。気相のフッ化水素とヘキサフルオロプロペンをフッ素化触媒の作用下で反応させて、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンを調製する方法を開示している。該反応は、断熱条件下で実施することができ、触媒の汚れが少ない。希釈剤としてHFC-227eaを使用することで、より小型の機器を使用できる。
【0004】
例えば、CN1867530Aは、その発明の名称が1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン及び1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンの少なくとも1つを調製する方法である。前記方法は、(a)HF、Cl2を式CX3CCl=CX2で示される少なくとも1種のハロゲン化プロペン(式中、各Xは独立してFとClである)と反応させ、CF3CCl2CF3及びCF3CClFCClF2を含む生成物を生成するステップと、(b)(a)で生成されたCF3CCl2CF3及びCF3CClFCClF2を水素と反応させ、CHF2CHFCF3とCF3CHFCF3から選ばれる少なくとも1種の化合物、及びCF3CH2CF3を含む生成物を生成するステップと、(c)(b)で生成された生成物から、CHF2CHFCF3とCF3CHFCF3から選ばれる少なくとも1つの化合物、及びCF3CH2CF3を回収するステップとを含む。(a)では、CF3CCl2CF3及びCF3CClFCClF2は、クロロフッ素化触媒の存在下で生成され、前記クロロフッ素化触媒は、ZnCr2O4/結晶性α-酸化クロム組成物、フッ素化剤で処理されたZnCr2O4/結晶性α-酸化クロム組成物、ハロゲン化亜鉛/α-酸化クロム組成物及び/又はフッ素化剤で処理されたハロゲン化亜鉛/α-酸化クロム組成物を含む。触媒の性能は不安定で、結晶化しやすい。
【0005】
例えば、CN1678551Aは、その発明の名称が、2-クロロ-1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、ヘキサフルオロプロペン及び1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンの調製方法である。(a)フッ化水素、塩素、及び、式CX3CCl=CX2で示されるハロゲン化プロペンと式CX3CClYCX3で示されるハロゲン化プロパンから選ばれる少なくとも1つを含む原料混合物を、クロロフッ素化触媒と反応領域で接触させ、CF3CClFCF3、HCl、HF及び低フッ素化のハロゲン化炭化水素中間体を含む混合物を生成することを含み、ここで、各Xは、独立してF及びClから選ばれ、Yは、H、Cl及びF(その条件は、X及びYがFの総数で、6を超えていない)から選ばれる。この方法は、前記クロロフッ素化触媒が、(i)結晶性α-酸化クロム、(ii)(i)のフッ素化結晶酸化物から選ばれる少なくとも1種のクロム含有成分を含み、ここで、α-酸化クロム格子中のクロム原子の少なくとも0.05原子%は、ニッケル、三価コバルト、又は二価ニッケルと三価コバルトの両方で置換されたことを特徴とする。
【0006】
例えば、CN1599704Aは、その発明の名称が、フッ化水素及びヘキサフルオロプロペンから1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンを調製する気相方法である。該発明は、HF及びHFC-227eaの共沸組成物を使用して、ほとんどHFを含まないHFC-227eaを生成し、未反応のHFを反応器にリサイクルさせる。前記共沸組成物のリサイクルにより、HFC-227eaを希釈剤として使用することもでき、それによって高発熱反応の温度を制御するのに役立つ。
【0007】
例えば、CN1152905Aは、その発明の名称が、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンの調製方法である。該発明は、アンチモン触媒の存在下で、ヘキサフルオロプロパンを無水フッ化水素酸と反応して1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンを得る調製方法に関する。該発明は、オレフィンなどの副生成物を生成することなく、穏やかな条件下で高収率でHFC-227eaを得るための調製方法を提供することができる。不利な点は、製品のコストが高く、副生成物が多く、廃触媒の処理が難しいことである。
【発明の概要】
【0008】
従来技術の欠陥を目指して、本発明は、高収率、良好な選択性、及び低エネルギー消費でヒドロフルオロカーボンを同時に生産するための方法を提供する。
【0009】
上記の技術的問題を解決するために、本発明によって採用される技術的解決手段は次のとおりである。ハイドロフルオロカーボンを同時に生産するための方法であって、
(a)塩素化オレフィンとフッ化水素との混合物を予熱してから、3段~6段に分けられ、各段に触媒が充填されている反応器の頂部に入れるとともに、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロピレンとジクロロメタンを、前記反応器の中部に入れて反応させ、反応器の出口で反応生成物を得るステップと、
(b)ステップ(a)で得られた反応生成物を第1精留塔に入れて分離させ、第1精留塔の塔頂蒸留物と第1精留塔の塔釜生成物を得るステップと、
(c)ステップ(b)で得られた第1精留塔の塔頂蒸留物を第2精留塔に入れて分離させ、第2精留塔の塔頂で塩化水素を得、塔底で第2精留塔の塔釜生成物を得るステップと、
(d)ステップ(c)で得られた第2精留塔の塔釜生成物を第3精留塔に入れて分離させ、第3精留塔の塔頂でジフルオロメタン製品、又はジフルオロメタンを含む混合物を得、第3精留塔の塔底で1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン製品、又は1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンを含む混合物を得、第3精留塔の塔頂でジフルオロメタンを含む混合物を得たとき、それをさらに分離させてジフルオロメタン製品を得、第3精留塔の塔底で1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンを含む混合物を得たとき、それをさらに分離させて1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン製品を得るステップとを含む。
【0010】
本発明のステップ(a)における前記塩素化オレフィンの一般式は、C2Cl4-xZxであり、ここで、xは0又は1であり、ZはH又はClである。
【0011】
本発明の好ましい実施形態として、ステップ(a)における前記塩素化オレフィンはトリクロロエチレンであり、前記第3精留塔の塔頂でジフルオロメタンを得、前記第3精留塔の塔底で1,1,1,2-テトラフルオロエタンと1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンとの混合物を得、前記1,1,1,2-テトラフルオロエタンと1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンとの混合物を第4精留塔に入れて分離させ、それぞれ1,1,1,2-テトラフルオロエタン製品と1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン製品を得る。
【0012】
本発明の好ましい実施形態として、ステップ(a)における前記塩素化オレフィンはテトラクロロエチレンであり、前記第3精留塔の塔頂でジフルオロメタンと1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタンとの混合物を得、前記第3精留塔の塔底で1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン製品を得、前記ジフルオロメタンと1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタンとの混合物をさらに分離させて、それぞれジフルオロメタン製品と1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン製品を得る。
【0013】
本発明の好ましい実施形態として、ステップ(a)における前記塩素化オレフィンはトリクロロエチレンとテトラクロロエチレンとの混合物であり、前記第3精留塔の塔頂生成物はジフルオロメタンと1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタンとの混合物であり、前記第3精留塔の塔釜生成物は1,1,1,2-テトラフルオロエタンと1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンとの混合物であり、前記ジフルオロメタンと1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタンとの混合物をさらに分離させて、それぞれジフルオロメタン製品と1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン製品を得、前記1,1,1,2-テトラフルオロエタンと1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンとの混合物を第4精留塔に入れて分離させ、それぞれ1,1,1,2-テトラフルオロエタン製品と1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン製品を得る。
【0014】
本発明の好ましい実施形態として、ステップ(a)における前記前記フッ化水素と塩素化オレフィンとのモル比は12~20:1であり、前記1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロピレンとジクロロメタンのモル比は1~3:1である。
【0015】
本発明の好ましい実施形態として、ステップ(a)における前記反応の圧力は0.8~1.2MPaであり、前記反応器の第1段の反応温度は200~250℃であり、第2段の反応温度は280~350℃である。
【0016】
本発明の好ましい実施形態として、ステップ(a)における前記反応器の第1段の触媒はアルミナ担持金属クロムであり、クロムの質量百分率が15~20%である。
【0017】
本発明の好ましい実施形態として、ステップ(a)における前記反応器の第2段の触媒は、イリジウムと亜鉛を酸化クロムに担持させた触媒であり、イリジウムの質量百分率が10~20%であり、亜鉛の質量百分率が15~30%である。
【0018】
本発明の好ましい実施形態として、ステップ(a)における前記反応器の第3~6段の触媒は、クロム、マグネシウム及びインジウムを活性炭に担持させた触媒であり、クロムの質量百分率が25~40%であり、マグネシウムの質量百分率が5~10%であり、インジウムの質量百分率が3~6%である。
【0019】
本発明の好ましい実施形態として、ステップ(b)における前記第1精留塔の塔釜生成物を反応器にリサイクルして続けて反応させることができる。
【0020】
本発明では、1つの反応器を介して複数種のハイドロフルオロカーボン(HFCs)製品を同時に生産し、反応器が多段に分けられてもよく、好ましくは3~6段に分けられ、フッ化水素(HF)、トリクロロエチレン(TCE)及び/又はテトラクロロエチレン(PCE)の原料混合物が反応器の頂部から供給され、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペン(HFP)及びジクロロメタン(R30)がサイドフィーダーから供給され、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタクロロプロパン(HFC-227ea)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)及び/又は1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC-125)、ジフルオロメタン(HFC-32)を含む混合生成物が得られる。
【0021】
反応器の第1段には主に強い発熱反応である付加反応が発生し、触媒の炭素析出速度が速い。本発明の第1段の触媒は、アルミナ担持金属クロムを選択し、クロムの担持量は15~20%(質量百分率)であり、アルミナ担体は熱を均一に分散させることができる。さらに、本発明は、複数種のヒドロフルオロカーボンを同時生産することにより、触媒が高温で失活しやすく、及び寿命が短い問題をさらに低減する。
【0022】
反応器の第2段では、主にフッ素-塩素交換反応が発生し、触媒は、イリジウムと亜鉛を酸化クロムに担持させた触媒であり、イリジウムの質量百分率が10~20%であり、亜鉛の質量百分率が15~30%であり、イリジウムの添加により、CF2=CHCl及びCF3CF2Clの生成を抑制可能であり、選択性を高め、亜鉛の添加により、フッ素-塩素交換反応の活性を高めることができる。
【0023】
反応器のサイドフィーダーからHFPとR30の原料を供給し、外部加熱なしで第1段と第2段の反応熱を利用して反応し、第2段の材料を、第3段~第6段に直接入れることにより、第3段~第6段に必要な反応温度を提供し、熱の包括的な利用を実現し、エネルギー消費を削減した。第3~第6段の触媒は、クロム、マグネシウム及びインジウムを活性炭に担持させた触媒であり、クロムの質量百分率が25~40%であり、マグネシウムの質量百分率が5~10%であり、インジウムの質量百分率が3~6%である。マグネシウムが活性炭担体に担持されており、HFPとHFの間の強い発熱反応による触媒上での炭素析出を抑制し、インジウムの添加により、R30とHFの反応活性を高め、ジフルオロクロロメタン(R31)の生成を減少する。
【0024】
フッ素-塩素交換反応の場合、HF濃度を上げると転化と生成物の生成に役立ち、同時に、HFと有機物のモル比が大きいほど、触媒の誘導時間が短くなり、触媒の寿命を延ばすことができる。ただし、モル比が大きすぎると、後処理負荷が大きく、エネルギー消費量が多い。
【0025】
原料の転化率と選択性は、空間速度の増加とともに低下する。空間速度が大きいほど、単位時間あたりに触媒の表面を通過する有機物が多くなり、炭素が析出しやすくなり、触媒の使用寿命に影響を与える。空間速度が小さい場合、炭素の析出を減らすことはできるが、このときの触媒の空時収率も低下する。
【0026】
圧力を上げることにより、反応材料と触媒の接触時間が長くなり、転化率と選択性が向上し、HFC-134a / HFC-125とHFC-32の生成速度が速くなる。
【0027】
上記の要因を考慮して、本発明において、フッ化水素と塩素化オレフィンのモル比は、12~20:1であり、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペンとジクロロメタンのモル比は1~3:1であり、反応圧力は0.8~1.2MPaであり、反応温度は200~250℃であるように制御されている。
【0028】
本発明の反応器は多段に分けられ、熱交換管で段の間の熱を除去し、効率的にエネルギーを節約し、各段には異なる反応特性に従って異なる機能を備えた触媒を充填することができ、HFCs製品の同時生産に適する。本発明の反応器は、等温型又は断熱型を採用することができ、反応器の材料は、Inconelなどの耐酸性材料から選択することができる。反応器の各段の間に穴あきバッフルを設置することができ、下から上へ、第6段から第1段への順序で触媒を充填し、触媒の形状は、反応ガスの速度を妨げないようにし、均一な気孔率を確保し、ガス混合物が軸方向及び半径方向に分散することを防ぐために、球形又は柱状であることが好ましい。
【0029】
本発明の反応器の各段で使用される触媒は、当技術分野で知られている方法によって調製することができる。例えば、第1段の触媒は、以下の方法によって調製することができる。
【0030】
直径が4mmのアルミナを150℃で10時間乾燥し、380℃で5時間焼成し、CrCl3・6H2O又はCr(NO3)3・6H2Oを秤量し、クロム塩溶液に調製し、含浸処理されたアルミナを24時間の後に、150℃で5時間乾燥し、350℃で3時間焼成し、所望の触媒を得る。得られた触媒を反応器に入れ、350℃まで温度を上げ、窒素ガスを導入して6時間乾燥させた後、温度を300℃に下げ、窒素ガスで希釈した無水フッ化水素を導入して活性化し、触媒床のホットスポットを350°C以下に制御し、48時間活性化して、活性化された触媒を得る。
【0031】
第2段の触媒は、以下の方法で調製することができる。
【0032】
塩化クロム、塩化イリジウム及び塩化亜鉛を所定の比率で配合し、沈殿剤尿素を20%の濃度で添加し、沈殿反応後、ろ過、洗浄し、120℃で24時間乾燥し、窒素環境下、340℃で10時間焼成し、直径が3mm、高さが3mmの柱状粒子に圧縮成形して、所望の触媒を得る。得られた触媒を反応器に充填し、320℃まで温度を上げ、窒素ガスで希釈した無水フッ化水素を導入し、活性化処理を行い、触媒床のホットスポットを350℃以下に制御し、48時間活性化して、活性化された触媒を得る。
【0033】
第3~6段の触媒は、以下の方法で調製される。直径が1.5mm、長さが3~4mmの活性炭を5%の硝酸で3時間含浸し、120℃で5時間乾燥し、塩化クロム、塩化マグネシウム及び硝酸インジウム溶液を所定の比率で含浸し、窒素ガス環境下で400°Cで15時間焼成し、所望の触媒を得る。得られた触媒を反応器に充填し、350°Cまで温度を上げ、窒素ガスで希釈された無水フッ化水素を導入して、触媒床のホットスポットを400°C以下に制御し、30時間活性化して、活性化された触媒を得る。
【0034】
従来の技術と比較して、本発明は以下の利点を有する。
1、プロセスが単純で、反応器には3つの種類の異なる触媒が充填されており、3つの反応が実行できるため、プロセスフローを簡素化し、装置一式を通じて、複数種のハイドロフルオロカーボン製品を同時に生産でき、反応条件を変更することにより、各ハイドロフルオロカーボン製品の比率を制御でき、集中的な生産を実現する。
2、転化率が高く、モル比を調整し、触媒、反応温度、空間速度などのパラメータを最適化することにより、TCE/PCEとHFPの転化率が100%に達することができる。
3、エネルギー消費量が少なく、第1段、第2段以外の反応器の他段は、外部加熱が不要であり、第2段の材料を第3段~第6段に順次直接入れることにより、必要な反応温度を提供し、熱の包括的な利用を実現し、エネルギー消費を大幅に削減した。
4、投資額が少なく、操作上の柔軟性が高く、反応器が段別に設計されており、機能に応じて触媒が充填されているため、柔軟性と変更性があり、1つの反応器で複数のHFCs製品を同時に生産でき、市場のニーズに応じて製品の比率を柔軟に調整でき、設備の投資を大幅に削減させた。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明による実施例1のプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明のプロセスを
図1に示す。3段反応器を例として取り上げると、反応器2は、第1段2-1、第2段2-2、第3段2-3という3段に分けられ、それぞれに触媒が充填されており、新鮮なHF、TCE及び/又はPCEは予熱器1によって予熱され、配管7を通して反応器の第1段2-1に入って反応し、反応生成物とサイドフィーダーから供給されたHFPとR30が一緒に反応器の第2段2-2に入って、反応を継続し、反応器の第2段2-2で得られた生成物が、反応器の第3段2-3に入ってさらに反応し、反応器の第3段2~3で得られた混合物が配管8を通して第1精留塔3に入って分離され、第1精留塔3の塔底に含まれる未反応の1,1,1-トリフルオロ-2-クロロエタン(HCFC-133a)及び/又は2,2-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロエタン(HCFC-123)、2-ジクロロ-1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HCFC-124)、ジフルオロクロロメタン(R31)、HFなどの重質成分が配管9を通して反応器2の第2段に戻して続いて反応し、塔頂に含まれるHFC-134a及び/又はHFC-125、HFC-227ea、HFC-32及びHClの軽質成分が、配管10を通して第2精留塔4に入り、第2精留塔4の塔頂で配管12を介してHClが分離され、別の精製処理を行って塩酸が得られ、塔底に含まれるHFC-134a及び/又はHFC-125、HFC-227ea、HFC-32の混合物が配管11を通して第3精留塔5に入り、第3精留塔5の塔頂で配管14を介してHFC-32製品、又はHFC-32とHFC-125との混合物が得られ、第3精留塔の塔頂でHFC-32とHFC-125との混合物を得たとき、精留などの当分野の従来の分離操作によってさらに分離させて、それぞれHFC-32製品及びHFC-125製品を得、第3精留塔5の塔底でHFC-227ea製品、又はHFC-227eaとHFC-134aとの混合材料を得、第3精留塔の塔底でHFC-227eaとHFC-134aとの混合材料を得たとき、配管13を介してHFC-227eaとHFC-134aとの混合材料を第4精留塔6に入れてさらに分離させ、第4精留塔6の塔頂で配管15を介してHFC-134a製品を得、塔底で配管16を介してHFC-227ea製品を得る。
【0037】
以下、実施例を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【実施例1】
【0038】
反応器が3段に分けられ、活性化された後の100mlの(クロム-マグネシウム-インジウム)/C触媒(質量百分率によると、触媒の組成:30%のCr、10%のMg、5%のIn)を、反応器の第3段に充填し、活性化された後の100mlの(イリジウム-亜鉛)/酸化クロム触媒(質量百分率によると、触媒の組成:10%のY、20%のZn)を、反応器の第2段に充填し、活性化された後の100mlのCr/Al2O3触媒(Crの質量百分率が15%)を反応器の第1段に充填する。
【0039】
反応器の温度を反応温度に調整し、材料を投入して反応させ、HF、TCEとPCEを混合して予熱した後、反応器に入れて反応させ、同時に、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペン及びジクロロメタンを反応器の中部に入れて反応させ、フッ化水素と、TCE及びPCEの総量とのモル比が12:1であり、TCEとPCEのモル比が1:1であり、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペンとジクロロメタンのモル比が2:1であり、反応圧力が0.9MPaであり、反応器の第1段の反応温度が200℃であり、第2段の反応温度が290℃である。反応器出口の混合物をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析して、結果を表1に示す。
【実施例2】
【0040】
反応器は3段に分けられ、活性化された後の100mlの(クロム-マグネシウム-インジウム)/C触媒(質量百分率によると、触媒の組成:30%のCr、5%のMg、5%のIn)を、反応器の第3段に充填し、活性化された後の100mlの(イリジウム-亜鉛)/酸化クロム触媒(質量百分率によると、触媒の組成:15%のY、25%のZn)を、反応器の第2段に充填し、活性化された後の100mlのCr/Al2O3触媒(Crが15%)を反応器の第1段に充填する。
【0041】
反応器の温度を反応温度に調整し、材料を投入して反応させ、HF、TCE及びPCEを混合して予熱した後、反応器に入れて反応させ、同時に1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペン及びジクロロメタンを反応器の中部に入れて反応させ、フッ化水素と、TCE及びPCEの総量とのモル比が15:1であり、TCEとPCEのモル比が0.5:1であり、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペンとジクロロメタンのモル比が1:1であり、反応圧力が0.8MPaであり、反応器の第1段の反応温度が230℃であり、第2段の反応温度が310℃である。反応器出口の混合物をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析して、結果を表1に示す。
【実施例3】
【0042】
反応器は3段に分けられている。活性化された後の100mlの(クロム-マグネシウム-インジウム)/C触媒(質量百分率によると、触媒の組成:25%のCr、5%のMg、3%のIn)を、反応器の第3段に充填し、活性化された後の100mlの(イリジウム-亜鉛)/酸化クロム触媒(質量百分率によると、触媒の組成:10%のY、15%のZn)を、反応器の第2段に充填し、活性化された後の100mlのCr/Al2O3触媒(Crが15%)を、反応器の第1段に充填する。
【0043】
反応器の温度を反応温度に調整し、材料を投入して反応させ、HF、TCE及びPCEを混合して予熱した後、反応器に入れて反応させ、同時に1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペン及びジクロロメタンを反応器の中部に入れて反応させ、フッ化水素と、TCE及びPCEの総量とのモル比が15:1であり、TCEとPCEのモル比が2:1であり、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペンとジクロロメタンのモル比が3:1であり、反応圧力が1.0MPaであり、反応器の第1段の反応温度が250℃であり、第2段の反応温度が300℃である。反応器出口の混合物をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析して、結果を表1に示す
【実施例4】
【0044】
反応器は4段に分けられている。活性化された後の100mlの(クロム-マグネシウム-インジウム)/C触媒(質量百分率によると、触媒の組成:35%のCr、10%のMg、5%のIn)を、反応器の第4段に充填し、活性化された後の100mlの(クロム-マグネシウム-インジウム)/C触媒(質量百分率によると、触媒の組成:35%のCr、10%のMg、5%のIn)を、反応器の第3段に充填し、活性化された後の100mlの(イリジウム-亜鉛)/酸化クロム触媒(質量百分率によると、触媒の組成:18%Y、30%Zn)を、反応器の第2段に充填し、活性化された後の100mlのCr/Al2O3触媒(Crの質量百分率が17%)を、反応器の第1段に充填する。
【0045】
反応器の温度を反応温度に調整し、材料を投入して反応させ、HF、TCE及びPCEを混合して予熱した後、反応器に入れて反応させ、同時に1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペン及びジクロロメタンを、反応器の中部に入れて反応させ、フッ化水素と、TCE及びPCEの総量とのモル比が18:1であり、TCEとPCEのモル比が1:2であり、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペンとジクロロメタンのモル比が1:1であり、反応圧力が1.2MPaであり、反応器の第1段の反応温度が240℃であり、第2段の反応温度が330℃である。反応器出口の混合物をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析して、結果を表1に示す。
【実施例5】
【0046】
反応器は4段に分けられている。活性化された後の100mlの(クロム-マグネシウム-インジウム)/C触媒(質量百分率によると、触媒の組成:35%のCr、10%のMg、6%のIn)を、反応器の第4段に充填し、活性化された後の100mlの(クロム-マグネシウム-インジウム)/C触媒(質量百分率によると、触媒の組成:35%のCr、10%のMg、6%のIn)を、反応器の第3段に充填し、活性化された後の100mlの(イリジウム-亜鉛)/酸化クロム触媒(質量百分率によると、触媒の組成:15%のY、15%のZn)を、反応器の第2段に充填し、活性化された後の100mlのCr/Al2O3触媒(Crの質量百分率が17%)を、反応器の第1段に充填する。
【0047】
反応器の温度を反応温度に調整し、材料を投入して反応させ、HF、TCE及びPCEを混合して予熱した後、反応器に入れて反応させ、同時に1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペン及びジクロロメタンを、反応器の中部に入れて反応させ、フッ化水素と、TCE及びPCEの総量とのモル比が18:1であり、TCEとPCEのモル比が3:1であり、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペンとジクロロメタンのモル比が2:1であり、反応圧力が1.1MPaであり、反応器の第1段の反応温度が230℃であり、第2段の反応温度が340℃である。反応器出口の混合物をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析して、結果を表1に示す。
【実施例6】
【0048】
反応器は4段に分けられている。活性化された後の100mlの(クロム-マグネシウム-インジウム)/C触媒(質量百分率によると、触媒の組成:40%のCr、10%のMg、5%のIn)を、反応器の第4段に充填し、活性化された後の100mlの(クロム-マグネシウム-インジウム)/C触媒(質量百分率によると、触媒の組成:40%のCr、10%のMg、5%のIn)を、反応器の第3段に充填し、活性化された後の100mlの(イリジウム-亜鉛)/酸化クロム触媒(質量百分率によると、触媒の組成:20%のY、15%のZn)を、反応器の第2段に充填し、活性化された後の100mlのCr/Al2O3触媒(Crの質量百分率が17%)を、反応器の第1段に充填する。
【0049】
反応器の温度を反応温度に調整し、材料を投入して反応させ、HF、TCE及びPCEを混合して予熱した後、反応器に入れて反応させ、同時に、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペン及びジクロロメタンを反応器の中部に入れて反応させ、フッ化水素と、TCE及びPCEの総量とのモル比が20:1であり、TCEとPCEのモル比が4:1であり、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペンとジクロロメタンのモル比が3:1であり、反応圧力が1.0MPaであり、反応器の第1段の反応温度が220℃であり、第2段の反応温度が350℃である。反応器出口の混合物をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析して、結果を表1に示す。
【実施例7】
【0050】
反応器は5段に分けられている。各活性化された後の100mlの(クロム-マグネシウム-インジウム)/C触媒(質量百分率によると、触媒の組成:40%のCr、5%のMg、3%のIn)を、それぞれ反応器の第5段、反応器の第4段及び反応器の第3段に順次充填し、活性化された後の100mlの(イリジウム-亜鉛)/酸化クロム触媒(質量百分率によると、触媒の組成:20%のY、20%のZn)を、反応器の第2段に充填し、活性化された後の100mlのCr/Al2O3触媒(Crの質量百分率が17%)を、反応器の第1段に充填する。
【0051】
反応器の温度を反応温度に調整し、材料を投入して反応させ、HF、TCEを混合して予熱した後、反応器に入れて反応させ、同時に、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペン及びジクロロメタンを反応器の中部に入れて反応させ、フッ化水素とTCEのモル比が13:1であり、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペンとジクロロメタンのモル比が2:1であり、反応圧力が1.2MPaであり、反応器の第1段の反応温度が240℃であり、第2段の反応温度が320℃である。反応器出口の混合物をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析して、結果を表1に示す。
【実施例8】
【0052】
反応器は5段に分けられている。各活性化された後の100mlの(クロム-マグネシウム-インジウム)/C触媒(質量百分率によると、触媒の組成:30%のCr、8%のMg、4%のIn)をそれぞれ、反応器の第5段、反応器の第4段及び反応器の第3段に順次充填し、活性化された後の100mlの(イリジウム-亜鉛)/酸化クロム触媒(質量百分率によると、触媒の組成:20%のY、30%のZn)を、反応器の第2段に充填し、活性化された後の100mlのCr/Al2O3触媒(Crの質量百分率が20%)を、反応器の第1段に充填する。
【0053】
反応器の温度を反応温度に調整し、材料を投入して反応させ、HF、TCEを混合して予熱した後、反応器に入れて反応させ、同時に、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペン及びジクロロメタンを、反応器の中部に入れて反応させ、フッ化水素とTCEのモル比が15:1であり、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペンとジクロロメタンのモル比が1:1であり、反応圧力が0.8MPaであり、反応器の第1段の反応温度が210℃であり、第2段の反応温度が310℃である。反応器出口の混合物をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析して、結果を表1に示す。
【実施例9】
【0054】
反応器は6段に分けられている。活性化された後の100mlの(クロム-マグネシウム-インジウム)/C触媒(質量百分率によると、触媒の組成:25%のCr、8%のMg、6%のIn)をそれぞれ、反応器の第6段、反応器の第5段、反応器の第4段及び反応器の第3段に順次充填し、活性化された後の100mlの(イリジウム-亜鉛)/酸化クロム触媒(質量百分率によると、触媒の組成:15%のY、20%のZn)を、反応器の第2段に充填し、活性化された後の100mlのCr/Al2O3触媒(Crの質量百分率が20%)を、反応器の第1段に充填する。
【0055】
反応器の温度を反応温度に調整し、材料を投入して反応させ、HF、PCEを混合して予熱した後、反応器に入れて反応させ、同時に、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペン及びジクロロメタンを、反応器の中部に入れて反応させ、フッ化水素とPCEのモル比が13:1であり、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペンとジクロロメタンのモル比が3:1であり、反応圧力が1.0MPaであり、反応器の第1段の反応温度が210℃であり、第2段の反応温度が320℃である。反応器出口の混合物をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析して、結果を表1に示す。
【実施例10】
【0056】
反応器は6段に分けられている。活性化された後の100mlの(クロム-マグネシウム-インジウム)/C触媒(質量百分率によると、触媒の組成:30%のCr、10%のMg、3%のIn)をそれぞれ、反応器の第6段、反応器の第5段、反応器の第4段及び反応器の第3段に順次充填し、活性化された後の100mlの(イリジウム-亜鉛)/酸化クロム触媒(質量百分率によると、触媒の組成:10%のY、30%のZn)を、反応器の第2段に充填し、活性化された後の100mlのCr/Al2O3触媒(Crの質量百分率が20%)を、反応器第1段に充填する。
【0057】
反応器の温度を反応温度に調整し、材料を投入して反応させ、HF、PCEを混合して予熱した後、反応器に入れて反応させ、同時に、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペン及びジクロロメタンを、反応器の中部に入れて反応させ、フッ化水素とPCEのモル比が18:1であり、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペンとジクロロメタンのモル比が2:1であり、反応圧力が1.2MPaであり、反応器第1段の反応温度が230℃であり、第2段の反応温度が320℃である。反応器出口の混合物をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析して、結果を表1に示す。
【表1】
【符号の説明】
【0058】
1 予熱器
2 反応器
3 第1精留塔
4 第2精留塔
5 第3精留塔
6 第4精留塔
7~16 配管
2-1 反応器の第1段
2-2 反応器の第2段
2-3 反応器の第3段