(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】履物製品製造システム及び履物製品製造方法
(51)【国際特許分類】
A43B 23/02 20060101AFI20230721BHJP
A41D 13/06 20060101ALI20230721BHJP
A43D 999/00 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
A43B23/02 101Z
A41D13/06
A43D999/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017110995
(22)【出願日】2017-06-05
【審査請求日】2020-05-27
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-04
(32)【優先日】2016-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516069801
【氏名又は名称】フエースト グループ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】フエースト ローリー ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ディトリッヒ シェーン
(72)【発明者】
【氏名】アヴェニ マイケル エー.
(72)【発明者】
【氏名】オーケルベリィ クリストファー ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムソン サード オスカー
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】関口 哲生
【審判官】長馬 望
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-533620(JP,A)
【文献】特開平6-184906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B1/00-23/30
A43C1/00-19/00
A43D1/00-999/00
B29D35/00-35/14
D04B3/00-19/00
D04B23/00-39/08
A41D13/00-13/12
A41D20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ロボットアーム(305)及び第2ロボットアーム(307)を用いて、第1平面(1020)に第1コード(1009)によって形成された第1の複数のループ(1030)を自動的に形成し(820)、前記第1ロボットアーム(305)は、前記第1コード(1009)を自動的に供給するように構成され、前記第2ロボットアームは、第1コード(1009)を所定の位置に保持するように構成され、
前記第1ロボットアーム(305)及び前記第2ロボットアーム(307)を用いて、前記第1平面(1020)に直交する第2平面(1120)に第2コード(1109)によって形成される第2の複数のループ(1130)を自動的に形成し(840)、前記第1ロボットアーム(305)は、前記第1の複数のループ(1030)の1つを通して前記第2コード(1109)を供給し、前記第2ロボットアーム(307)は、前記第1の複数のループ(1030)の1つを所定の位置に保持し、
前記第2の複数のループ(1130)は前記第1の複数のループ(1030)とスリップ可能に絡み合う、
履物製品製造方法。
【請求項2】
前記第1及び第2の複数のループ(1030、1130)の各ループは、前記第1
ロボットアーム(305)を自動的に制御して(820、840)、第1方向(908)において第1位置(911)から第2位置(912)へコード(321)を供給し、前記第1
ロボットアーム(305)を自動的に制御して(820、840)、前記第1方向(908)と反対の第2方向(909)において前記第2位置(912)から第3位置(914)へ前記コード(321)を供給することにより形成され、
前記第1方向(908)及び前記第2方向(909)は、前記第1及び第2平面(1020、1120)の一方にあり、
前記第1位置(911)から
前記第2位置(912)までの距離は、前記第2位置(912)から前記第3位置(914)までの距離よりも小さい、
請求項
1に記載の履物製品製造方法。
【請求項3】
前記コード(321)は、前記第2位置でループ固定具(100
1)の周りに自動的に供給され、前記第2
ロボットアーム(307)は、前記コード(321)を自由空間の前記第3位置(914)に自動的に保持する、
請求項
2に記載の履物製品製造方法。
【請求項4】
前記第1の複数のループ(1030)は、履物物品(50)の
アイレット(1015)を通って自動的に供給され、前記第1の複数のループ(1030)は、前記履物物品(50)のバンプ(vamp)部分構造(78)を含む、
請求項1に記載の履物製品製造方法。
【請求項5】
前記第2の複数のループ(1130)は、前記履物物品(50)のソール(1117)を通って自動的に供給され、前記第2の複数のループ(1130)は、前記履物物品(50)のランド(rand)部分構造(68)を含む、
請求項
4に記載の履物製品製造方法。
【請求項6】
さらに、前記ソール(1117)の外側の前記第2の複数のループ(1130)を通ってアンカーコード(73)を自動的に供給する、
請求項
5に記載の履物製品製造方法。
【請求項7】
前記第1の複数のループ(1030)の第1ループは、前記第2の複数のループ(1130)の少なくとも2つのループと絡み合って摺動可能に移動することができ、前記少なくとも2つのループの第2ループは、前記第1ループを含む前記第1の複数のループ(1030)の少なくとも2つのループと絡み合って摺動可能に移動することができる、
請求項1に記載の履物製品製造方法。
【請求項8】
ループ固定具(315)と、
コードを自動的に供給するように構成された第1ロボットアーム(305)と、第2ロボットアーム(307)とを含む少なくとも2つのロボットアーム(305、307)と、
非一時的メモリ(312)に格納された命令(313)を用いて設定されたコントローラ(310)であって、実行されると前記コントローラ(310)は、
前記少なくとも2つのロボットアーム(305、307)を制御して(820)、前記コード(321)を自動的に供給し、前記ループ固定具(315)上の第1平面(1020)に第1コード(1009)によって形成された第1の複数のループ(1030)を形成し、前記第1ロボットアーム(305)は、前記第1コード(1009)を自動的に供給するように構成され、前記第2ロボットアームは、第1コード(1009)を所定の位置に保持するように構成され、
前記少なくとも2つのロボットアーム(305、307)を制御して(840)、前記コード(321)を自動的に供給し、前記第1平面(1020)に直交する第2平面(1120)に第2コード(1109)によって形成される第2の複数のループ(1130)を形成し、前記第1ロボットアーム(305)は、前記第1の複数のループ(1030)の1つを通して前記第2コード(1109)を供給し、前記第2ロボットアーム(307)は、前記第1の複数のループ(1030)の1つを所定の位置に保持し、前記第2の複数のループ(1130)を前記第1の複数のループ(1030)とスリップ可能に絡み合わせる、
履物製品製造システム。
【請求項9】
前記コントローラ(310)は、さらに、前記非一時的メモリ(312)の命令(313)を用いて設定され、実行されると、前記コントローラ(310)は前記第1ロボットアーム(305)のための第1パス(1010)を生成し(810)、
前記コード(321)を供給して前記第1の複数のループ(1030)を形成するように前記少なくとも2つのロボットアーム(305、307)を制御することは、前記第1ロボットアーム(305)を制御して(820)前記コード(321)を前記第1パス(1010)に沿って供給することを含む、
請求項
8に記載の履物製品製造システム。
【請求項10】
前記コード(321)は第1コード(1009)と第2コード(1109)を含み、前記第1コード
(1009)は前記第1の複数のループ(1030)を形成し、前記第2コード(1109)は前記第2の複数のループ(1130)を形成する、
請求項
8に記載の履物製品製造システム。
【請求項11】
前記コントローラ(310)は、さらに前記非一時的メモリ(312)の命令(313)を用いて設定され、実行されると、前記コントローラ(310)は、前記第1の複数のループ(1030)を形成する前に、前記第1コード(1009)で準備された第1アームエンドツール(600)を選択する(815)ように前記第1ロボットアーム(305)に命令し、
前記第2の複数のループ(1130)を形成する前に、前記第2コード(1109)で準備された第2アームエンドツール(600)を選択する(835)ように前記第1ロボットアーム(305)に命令する、
請求項
10に記載の履物製品製造システム。
【請求項12】
前記第1アームエンドツール(600)と前記第2アームエンドツール(600)は、前記第1ロボットアーム(305)に隣接して配置されたラック(318)に格納されて
いる、
請求項
11に記載の履物製品製造システム。
【請求項13】
前記少なくとも2つのロボットアーム(305、307)の第2ロボットアーム(307)は、前記第1ロボットアーム(305)が前記コード(321)を供給して、前記第1及び第2の複数のループ(1030、1130)を形成するときに、前記コード(321)を
所定の位置に保持するように構成されたアームエンドツール(405)を含む、
請求項
8に記載の履物製品製造システム。
【請求項14】
アイステ
イ及びソール(1117)は、前記ループ固定具(315)上に配置され(710)、履物物品(50)を形成するために前記第1の複数のループ(1030)は
アイレット(1015)を通って供給され、前記第2の複数のループ(1130)は前記ソール(1117)を通って供給される、
請求項
8に記載の履物製品製造システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本願は、“SYSTEMS AND METHODS FOR AUTOMATIC PRODUCTION OF A CORD STRUCTURE”という名称の2016年6月6日に出願された米国仮出願第62/346399号の優先権を主張し、そのすべての内容はすべての目的のために参照により組み込まれる。
【0002】
履物構築物は、一般的に、履物物品を形成するための、平坦な材料の三次元形状への加工に依存している。布地、皮革又は他の材料は、履物のアッパーのような物品の所望の形状を作り出すために、裁断され、縫製され又は別の方法で取り付けられ、足型の周りに巻き付けられる。伝統的に、履物の構築には、縫製(sewing)、接着(boning)、溶接(welding)、プレス(pressing)、編み(knitting)、織り(weaving)などの多数のステップが含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者らは、この伝統的なアプローチでいくつかの欠点を認識した。例えば、上記のステップは、一般的には手動で行われる。ミシンのようないくつかの機械が生産工程を短縮するために使用されるが、履物構築物は労働集約的で高価なままである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の問題に少なくとも部分的に対処するために、本発明者らは、履物構築物に対する別のアプローチを取ってきた。一例では、履物物品は、繊維又はコードがコード構造体に形成されたループ状のアッパーを含み得る。例えば、コード構造体はロボットアームによって自動的に構築される。例えば、コード構造体を構築する方法は、少なくとも1つのロボットアームを用いて、第1平面に第1の複数のループを自動的に形成し、少なくとも1つのロボットアームを用いて、第1平面に直交する第2平面に第2の複数のループを自動的に形成し、第2の複数のループは第1の複数のループとスリップ可能に係合されている。このように、履物物品又は他のコード構造体を迅速に構築することができ、それによって労働投入及び経費を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図2】
図1に示す履物物品におけるコードの絡み合ったパターンの一例を示す。
【
図3】コード構造体を自動的に製造するための例示的なシステムを示す。
【
図4】コード構造体を自動的に製造するための例示的な装置を示す。
【
図6】コードを供給するための例示的なアームエンドツールを示す。
【
図7】コード構造体を有する履物物品を自動的に製造するための例示的な方法を示すハイレベルのフローチャートを示す。
【
図8】コード構造体を自動的に製造するための例示的な方法を示すハイレベルのフローチャートを示す。
【
図9】コード構造体を製造するための例示的なルーチンを示す。
【
図10】コード構造体の第1ループセットの構成を示す。
【
図11】
図10の第1ループセットを通る第2ループセットの構成を示す。
図1は、縮尺通りに示されている。しかし、必要に応じて他の相対的な寸法を用いてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ここでは、コード構造体を自動的に構築するためのシステム及び方法が説明される。このようなコード構造体は、
図1に示す履物物品のような、履物物品のコード状のアッパーを含み得る。コード構造体は、
図2に示すように、三次元構造を形成する、異なるコードの相互接続されたループを含み得る。一般にコード構造体又は特に履物物品を自動的に構築するためのシステムが
図3に示されている。このようなシステムは、
図4に示す装置のような、コード構造体を自動的に織る2つ以上のロボットアームのような、少なくとも1つのロボットアームを含む、コード構造体構築装置を含む。コード構造体は、周囲に複数のガイドポストを含み、ループを構築することができる。
図5に示すループ固定具のような、ループ固定具上のロボットアームによって少なくとも部分的に構成され得る。異なるループセットは、異なる色のコードから構成されてもよく、その各々は、
図6に示されたアームエンドツールのような、異なるアームエンドツールに通されてもよい。このようなアームエンドツールは、少なくとも1つのロボットアームの端部に取り付けられ、ロボットアームがコード構造体を形成するために三次元空間内にコードを供給することを可能にする。コード構築装置は、
図7に示す方法のような、履物構造の簡略化された方法を提供する。
図8に示す方法のような、コード構造体を自動的に構築する方法では、コード構築装置は、第1平面に第1ループセットを形成し、第1平面に直交する第2平面に第1ループセットを通る第2ループセットを形成する。コードを供給して、ループを形成するルーチンが、
図9~11に示されている。
【0007】
その一例が
図1に示されている履物物品は、三次元形態の適合構造体(3-dimensional fitting construction)を提供する、コード構造体中の相互接続された湾曲部(bight)を含み得る。コード構造体は、可撓性及び快適性を保持しながら、履物物品のアッパー部の運動範囲を増加させる。コード構造体は、湾曲部によって提供される相対的な動きに起因して、使用中に足の形状に高度に適合し得る。例えば、側方側(lateral)から中間側(medial)までアッパーを横切って、かつ、前足領域(forefoot region)を横切って、湾曲部相互接続のアレイを設けることにより、例えば、数百の調整がコード構造体によって自動的に行われ、湾曲部間の各コード部分の適切な長さが達成される。その結果、履物物品によって提供される快適性が高まる。
【0008】
さらに、コード構造体は、履物物品のソールから離して平行に配置されたアンカーコードを含む。コード構造体の残りの部分は、湾曲部接続のアレイを介してアンカーコードに結合されてもよい。このようにして、他のアッパー材料とは無関係に、コード構造体に張力をかけることができ、それにより、コード構造体をより正確に適合させ、機能性を増加させることを可能にする。さらに、履物物品を構築する方法は、コード構造体がソールに直接ではなくアッパーに固定されるので単純化される。
【0009】
本明細書に記載される例示的なコード構造体はまた、足型を用いる他のタイプの靴構築物と比較した場合、履物物品の製造プロセスが単純化されることを可能にする。
【0010】
図1は、例示的な履物物品50を示す。履物物品50は、ソール52を含み得る。一例では、ソール52は、インソール/ミッドソールであり得る。いくつかの例では、インソール及びミッドソールは、履物物品の単一の構成要素であり得る。しかしながら、他の実施例では、ソールは、ソール又はアウトソールの一部を形成するための、及び/又は、ソール又はアウトソールの形成のため履物を固定するための、記載された製造方法の間に使用される布様の繊維材料であり得るが、限定されるものではない。さらに、他の実施例では、インソール及びミッドソールは履物物品の別個の構成要素であってもよい。さらに、一例では、履物物品50は、アウトソールを含み得る。しかし、他の実施例では、履物物品50はアウトソールを含まなくてもよく、又は、アウトソールはソール52に一体化されてもよい。
【0011】
ソール52は、コード構造体66に取り付けられている。コード構造体66は、アッパー67に含まれる。コード構造体は、互いにインターロックする多数のコード部分から形成され得る。コードは、ストリング(string)、撚糸(twine)、ヤーン(yarn)、ロープ(rope)、ケーブル(cable)、編み組み又は撚り材料のストランド(strands)、及び/又は、互いに撚り合わされるか又は組み合わされた、先に挙げた例の組み合わせを含む他のコード様構造体を含み得る。一例では、コードは、外側シース及び内側撚糸を備えた、約1/8インチ径のナイロンコードを含む。もちろん、他の寸法も用いられ得る。他の例では、コードは、同じか又は異なる材料であり得る、中央の空隙を充填する内側編組と外側編組を備えた二重編組ナイロンであり得る。コードは、可撓性であり得るが、自由な状態でなおその形状のいくらかを保持し得る。さらに、コードは、いくつかのエラストマー成分を有し得る。さらに、異なるコード部分(例えば、ランドと比較してバンプ)は、異なる程度の可撓性、弾力性などを有し得る。一例では、異なる材料が、コード構造体66の異なる部分に用いられ得る。例えば、より可撓性のあるタイプのコードがコード構造体66の上部部分に用いられてもよく、より可撓性のないタイプのコードがコード構造体の下部部分に用いられてもよい。さらに、ソールに連結されるコード構造体の部分は、一例では、ソールによって全体的に覆われてもよい。他の例では、ソールに連結されるコード構造体の部分は、部分的にのみ覆われてもよい。例えば、つま先の近傍のコード構造体の部分は覆われてもよく、踵の近傍のコード構造体の部分は覆われていなくてもよく、またはその逆であってもよい。コード構造体の覆われる部分は、石、埃及び/又は外部環境からの他の粒子による摩耗によって引き起こされるコードの早期摩耗(premature wear)の可能性を低減する。結果として、履物物品の寿命が長くなる。
【0012】
一例では、コード構造体66内の1以上のコードが、ソール52の開口部を通って延びて、ソールのコード構造体への結合を容易にすることができる。さらに、代替的に、ソールとコード構造体との結合を可能にするために、コード構造体の一部はソールに、縫い合わせられ、接着して貼り合わせられ(例えば、接着され(glued))、及び/又はソールにスナップ留めされてもよい。他の例では、コード構造体に取り付けられた複数のアンカーポイントがソールに固定して取り付けられ得る(例えば、ソールへ射出成形され得る)。アンカーポイントは個々のコードループであり得る。
【0013】
一例では、コード構造体66は、ループ状のアッパーであり得る。このような例では、ループ状のアッパーは格子状のパターンで形成され得るが、ソール52から離れて位置する複数のスリップ可能な境界には結び目が実質的にない。
【0014】
コード構造体66は、履物物品50のアッパーであり得る。コード構造体66は、少なくとも部分的に足を囲み得る。コード構造体66は、ランド部分構造体68を含む。ランド部分構造体は、ソール52に結合されている。特に、一例では、ランド部分構造体68のソール取り付け湾曲部は、ソールの取り付け開口部に結合されてもよく、そして/又は、それを通って延びてもよい。一例では、取り付け湾曲部は、ランド部分構造体68中に単一のコードによって形成され得る。従って、単一のコードが複数の湾曲部を有し得る。湾曲部は、コード構造体66におけるより大きなコードの湾曲した部分(portion)又はセクション(section)である。このため、湾曲部はコード内のループの一部であり得る。
【0015】
ソール部分構造体68は、バンプ取り付け湾曲部74をさらに含む。バンプ取り付け湾曲部74は、(例えば、相互接続され、インターロックされ、縫い合わされ、織り合わされ、そして/又は摺動可能に係合されて)コード構造体66中のバンプ部分構造体78に含まれるランド取り付け湾曲部76に結合される。バンプ取り付け湾曲部74とランド取り付け湾曲部との間の相互接続は、ループライン69を形成する。ループライン69は、ランド部分構造体68とバンプ部分構造体78との間の境界であり得る。ループライン69は、履物物品50の踵側60から履物物品のつま先側58の方向に延びる。ループライン69はまた、履物物品50の脛骨側62から履物物品の腓骨側64まで延びる。ループライン69は、履物物品の周りに周縁に延在してもよく、一例では、アッパー全体を横切っていてもよい。さらに、ループライン69は、履物物品50の少なくとも一部の周りに弧状に延び得ることが理解されるであろう。他のループライン構成も企図され得る。例えば、ループラインは、第1側方側から第2側方側に、履物物品を横切って延び得る。さらに、他の例では、ループラインは、ヒールカウンタの第1側からヒールカウンタの第2側に弧状に履物物品の周りに延び得る。さらに他の例では、ループラインは、履物物品を横切って側方に延びてもよく、履物物品の前部(例えば、つま先側)の周りに弧状に延びてもよい。さらに他の例では、ループラインは、履物物品のつま先側又は踵側に隣接する部分のような、履物物品の一部の周りにのみ延在してもよい。さらにまた一例では、履物物品は、複数のループラインを含み得る。
【0016】
図示された例では、バンプ部分構造体78は、ソール52から離間している(例えば、垂直方向に離間している)。さらに、ランド部分構造体68は、ソール52上に垂直に配置することができ、バンプ部分構造体78は、ランド部分構造上に垂直に配置することができる。垂直の軸が参考のために設けられている。しかしながら、必要に応じて他の履物の向きが用いられ得ることが理解されよう。履物物品が着用されていないときに、バンプ部分構造体78は、ソール52から離間していてもよいことが理解されよう。コード構造体66は、バンプ部分構造体78とランド部分構造体68との間の相互接続に起因して、コードの内部構造とともに、その形状を保持することができる。例示的な相互接続は、本明細書においてさらに詳細に議論される。
【0017】
図2は、バンプ取り付け湾曲部74とランド取り付け湾曲部76との間の少なくとも部分的に摺動する相互接続のより詳細な図を示す。
図2に示すように、バンプ取り付け湾曲部74がランド取り付け湾曲部とインターロックして示されていることが理解されよう。このようにして、必要であれば、接着剤を使用することなく、バンプ部分構造体をランド部分構造体に結合することができる。しかしながら、いくつかの例では、接着剤を使用して履物物品の特定の要素を結合することができることが理解されよう。一例では、湾曲部間の摺動接続に結び目がない場合がある。しかし、他の例では、バンプ取り付け湾曲部74の少なくとも一部は、ランド取り付け湾曲部76の少なくとも一部に固定して結合され得る。他の例では、縫合ロック(stitched locks)が部分的に摺動する相互接続を提供するために用いられ得る。例えば、緩い又は固い縫合境界がアッパーのコードの接合部に設けられ得る。履物物品の様々な部分におけるスリップ可能な係合の量を制御することにより、着用者の快適性を高めるために、所望のフィッティング特性が達成され得る。
図3~15を参照して本明細書でさらに説明されるシステム及び方法は、
図2に示されるバンプ及びランド部分構造体を含むコード構造体を形成することを対象とすることができる。
【0018】
図1及び
図2に示すコード構造体は、第2の複数のループ(例えば、バンプ部分構造体)の少なくとも2つのループと絡み合って摺動可能に移動できる第1の複数のループ(例えば、ランド部分構造体)の第1ループと、第1ループを含む第1の複数のループの少なくとも2つのループと絡み合って摺動可能に移動することができる少なくとも2つのループの第2ループとを含む。このようなループ構成は、
図1及び
図2に示すスリップ可能に係合し、耐久性のあるコード構造体を可能にする。
【0019】
図1に戻り、バンプ部分構造体78はさらにレース取り付け湾曲部80を含む。
図1において、レース取り付け湾曲部80は、レースコード82に連結されて示されている。具体的には、レースコード82は、レース取り付け湾曲部80を通って延びる。レースコード82の長さは、着用者によって調節され得る。しかしながら、代替のレースコード構成が考えられている。例えば、履物物品は、レースコードなしで構築され得る。このようにして、着用者は、レースコードを結ぶ必要なしで、履物物品を迅速かつ容易に着脱することができる。このような例では、エラストマー材料が履物物品に提供されてもよく、コード構造体の部分の制御された拡大及び縮小を可能にする。さらに、異なるレースのパターンが考慮されている。例えば、コード構造体は、アイステイ(eyestays)を含み得る。コード構造体におけるコードは、アイステイを通して延び得る。
【0020】
レースコード82は、いくつかの例では、コード構造体66に含まれ得る。しかし、他の例では、レースコード82は、コード構造体66に含まれなくてもよい。このような例では、エラストマー又は他の適切な材料が、スリップオン能力を備えた履物物品を提供するために用いられ得る。
【0021】
多くの相対的な、バンプコード、ランドコード、及び/又はレースコードの長さが企図される。ランドコード84及びバンプコード86の部分はまた、
図2に示される。ソール取り付け湾曲部70もまた
図2に示される。図示されるように、ソールコード73(本明細書ではアンカーコードとも呼ばれる)は、ソール取り付け湾曲部70を絡み合わされる。
【0022】
本明細書に記載される構築方法は、いくつかの実施形態で、最小限の工具支出でサイジングをカスタマイズし、サイジングを調節するための選択を可能にすることが理解される。例えば、コードの長さに基づくアッパーの構築は、アッパーパターンを変更することなく、又は、異なるサイズの切断ダイを得ることなく、サイズの変動を可能にする。従って、いくつかの実施形態では、アッパーのサイズは、コードの長さを変えることによって変更され得る。ループは、各サイズでそれらの相対的位置にとどまり得る。このような構築物は、同じサイズの工具を利用することによってコストを低減する。
【0023】
同様に、履物のカスタマイゼーションは、特定の使用者のための適合を改善するために適用され得る。足の電子的スキャンの生成により、カスタマイズされ、個人化されたコードが、この足のスキャンに基づいてカスタマイズされた履物を生成するために用いられ得る。例えば、ループを長くすること(又は短くすること)、ループラインの位置決め及びサイジング、コードサイズの調節は、単独又は組み合わせて、スキャンされた足の特定の寸法にアッパーを仕立て、カスタムマイズされた適合を提供するために調節され得る。
【0024】
図1に戻り、ランドコード84及びバンプコード86は、
図1では丸いコードであるとして示されている。しかし、他の形状が企図されている。例えば、1以上のコードは平坦なコードであり得るか、又は1以上のコードは平坦な端部及び丸い中間部分を有し得る。他の例では、1以上のコードは、1以上の平坦な部分及び1以上の丸い部分を有し得る。例えば、コードは、平坦な部分が後に続く丸い部分を含み、その他もろもろであり得る。さらに、ソールコード73は、平坦でもよく、丸くてもよく、変化する幾何学的形状を備えた異なる部分を有してもよい。さらに、ランドコード84、バンプコード86及びレースコード82はすべて、類似の断面領域(例えば、直径)及び/又は幾何学的形状を有するとして示されている。一例では、1以上のコードの直径は、1/8インチと1/16インチとの間であり得る。しかし、他の例では、コードは変化する幅を有し得る。ソールコード73は、一例で、ランドコード、バンプコード及び/又はレースコードに類似の幾何学的形状を有し得ることが理解される。しかし、他の例では、ランドコード84、バンプコード86、ソールコード73及び/又はレースコード82の断面領域及び又は幾何学的形状は変動し得る。例えば、ランドコードの断面領域は、バンプコードより大きくてもよい。他の例では、ランドコードは円形であり得、バンプコードは平坦であり得る。
【0025】
さらに、いくつかの例では、ランドコード84、バンプコード86及び/又はレースコード82は、類似の材料(単数又は複数)を含み得る。しかし、他の例では、前述のコードは、異なる材料を含み得る。1以上のコードは、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、アラミド及び/又はアクリレートポリマーのような合成繊維を含み得る。さらに、1以上のコードは、綿、リネン、コイアなどの天然繊維を含み得る。さらに、一例では、1以上のコードは、ポリマー材料を含み得る。
【0026】
さらに、ランドコード84、バンプコード86及び/又はレースコード82は、異なる材料特性で設計されてもよく、履物物品が所望の構造的特性を有することを可能にする。例えば、レースコード82は、ランドコード84及び/又はバンプコード86よりも大きい弾性を有し得る。
【0027】
図1に示されるように、バンプ取り付け湾曲部の垂直高さは、履物物品50の踵側60に向かって延びる後方向に増加する。レースコードからランドコードに延びる、インターロックされたバンプコード部分の幅はまた、履物物品50の踵側60に向かって延びる後方向に増加し得る。
【0028】
履物物品50はまた、ヒールカウンタ97を含み得る。ヒールカウンタ又は履物物品の他の支持構造体が、上述されたアッパーに含まれ得る。ヒールカウンタ97の剛性(rigidity)/可撓性は、コード構造体66への所望の量の支持を提供するように選択され得ることが理解される。具体的には、ヒールカウンタ97は、コード構造体が、所望されない量、ソールに向かう方向に外方及び/又は下方に曲がることを防ぎ得る。このようにして、コード構造体は、所望の形状を維持し得る。結果として、履物物品の着用者は、履物物品を迅速かつ心地良く履き、脱ぎ得る。ヒールカウンタ97は、皮革、合成皮革、織物などのような、コード構造体66とは異なる材料を含み得る。しかし、いくつかの例では、踵(heal)支持構造体はまた、コードを含み得る。いくつかの例では、ループライン69は、ヒールカウンタ97を通って延び得る。さらに、ヒールカウンタ97は、ソール52に連結され得る。具体的には、いくつかの例では、ヒールカウンタ構造体は、ソール52から(例えば、垂直又は角度をなして)延び得る。ヒールカウンタ97は、示された例では、ランド部分構造体68に連結されている。接続コード98は、ランドサブ構造体68中の湾曲部を通り、ヒールカウンタ97中の開口部99を通って延びているのが示されている。このようにして、ヒールカウンタ97は、コード構造体への支持を提供し、コード構造体の一部を外部環境から保護する。さらに又は代替的に、ヒールカウンタ97は、バンプ部分構造体78に連結されてもよく、それによって部分構造体への支持を提供する。ヒールカウンタは、コード構造体66より大きい剛性(rigidity)を有し得る。一例では、接続コード98は、バンプコード86又はランドコード84の一部分であり得る。さらにコード構造体の一部は、ヒールカウンタ97の幅の周りに延びる。しかし、他のヒールカウンタ構成が企図される。一例では、コード構造体のコードの端部は、ヒールカウンタに連結され得るか、そして/又はヒールカウンタ内で互いに連結されてもよい。一例では、ヒールカウンタ97は、側面方向より長手方向でより大きな剛性(stiffness)を有し得る。支持体の垂直の補強は、コード構造体に所望の量の支持を提供し得る。しかし、他のヒールカウンタ97材料特性が企図されている。
【0029】
図1に示される履物物品50はさらに、アイステイ(不図示)を含む。コード構造体66中のコードは、アイステイを通って延び得る。示される例では、1以上のコード部分がアイステイを通って延びることが理解される。しかし、他の例では、代替のアイステイデザインが企図されている。アイステイは、コード構造体に所望のコード間隔及びコード支持を提供し得る。このようにして、アイステイは、それを通って延びるコードの自由な動きを制限し得る。アイステイは、アッパー構造体に含まれ得る。一例では、アッパー構造体は、履物物品のタンに隣接し得る。アッパー構造体は、一例では、コード構造体とは異なる材料を含み得る。例示のアイステイ材料は、布地、皮革、合成皮革、織物、ポリマー材料などを含む。他の例では、履物物品は、複数のアイステイを含み得る。
【0030】
さらに、いくつかの例では、1以上のシースが、ランドコード84及びバンプコード86の少なくとも1つの一部分を包み込み得る(例えば、周辺を包み込み得る)。従って、シースは、コード構造体中のコードの種々の部分を取り囲み得る。例えば、複数のシースが、バンプ取り付け湾曲部74からランド取り付け湾曲部76へのランドコード84の一部分を取り囲み得る。このように、シースは、コードのための保護カバーとして作用し得る。いくつかの例では、シースは、コードの外側表面と面を共有して接触していてもよい。しかし、他の例では、シースは、コードの外側表面から離れて間隔を置かれてもよい。シースは、一例では、円筒状であり得る。しかし、他のシースの幾何学的形状が企図されている。さらに、複数のシースが、履物物品のつま先側の周りでトウキャップを形成するために用いられ得る。シースは、コード構造体66の所望の領域に増加した構造的一体性を提供し得、コード構造体66が所望の形状を維持することを可能にする。これらシースは、バンプコード及び/又はランドコードとは異なる材料を含み得る。一例では、シースは、ポリマー材料を含み得る。シースはまた、コードを損傷から保護し得る。
【0031】
履物物品は、種々のアッパー部分(コード構造体及びアッパー構造体)が互いに独立して作用することを可能にする二重ラスティッドシュトローベル及びストリング構造(double lasted strobel and string construction)を用いて製造することができる。これらのアッパー部分は、レース取り付け湾曲部のレースによって一体化されている。
【0032】
図3は、
図1及び
図2に関して上述された履物物品のような履物物品、又は、他のコード構造体を含む物品のコード構造体を自動的に製造するための例示的な自動システム300を示すブロック図を示す。自動システム300は、自動的にコード構造体を構築するように構成されたコード構築装置301を含む。コード構築装置301は、第1アームエンドツール306を備えた第1ロボットアーム305、第2アームエンドツール308を備えた第2ロボットアーム307、コントローラ310、ループ固定具315を含む。第1及び第2ロボットアームとして説明されているが、単一のロボット、又は2、3又はそれ以上のロボット/ロボットアームが存在し得ることを理解されたい。この例は、例示のために提供されたものであり、限定的なものではない。
【0033】
ロボットアーム305及び307は、非限定的な例として、回転及び並進変位し得るプログラム可能な関節機械アームを備え得る。ロボットアーム305及び307は、ロボットアームがタスクを実行することを可能にする1又は複数の関節を含み得る。 いくつかの例では、ロボットアームは多関節ロボットであり、従って2以上の関節を含む。
【0034】
ロボットアーム305及び307のようなコード構築装置301の構成要素は、ハウジング302内に収容されてもよい。ハウジング302は、ロボットアーム305及び307の観察を可能にするために、ガラス又は別の透明材料で部分的に構成されてもよい。非限定的な例として、
図4は、例示的な装置400の絵図である。装置400は、ハウジング410内に収容された第1ロボットアーム405及び第2ロボットアーム407を含む。図示のように、ハウジング410は部分的に透明であり、コード構造体の構築を観察することができ、ハウジング410内の装置400の構成要素へのアクセスを可能にするドアをさらに含む。
【0035】
第1ロボットアーム305の第1アームエンドツール306は、コード321又は他の繊維を通した針を備えてもよく、針を通してコード321を供給するように構成されてもよい。本明細書においてさらに説明されるように、第1アームエンドツール306は、当該第1アームエンドツール306が所定のパスに沿って第1ロボットアーム305によって移動されるときに、針の先端を通してコードを供給又は押し出すように構成された装置を備え得る。例示的な第1アームエンドツール306は、
図6に関して本明細書でさらに説明される。第2ロボットアーム307の第2アームエンドツール308は、コード321の一部をつかむ、保持する、挟む、又は別の方法で結合する作動時に、ソレノイド又は他の適切な装置を含み得る。2つのロボットアーム305、307は、本明細書でさらに説明するように、コード構造体を構築する際に互いに支援し得る。
【0036】
例示的な実施形態に従って説明されているが、第2の実施形態では、両方のロボットアームが同時に能動的に針の穴を通す(thread)ことができる。両方のロボットアームの能動的な針通し(active threading)は、両方のロボットアームがコードを針の穴に通し、保持するように機能することができる。 このように、能動的に針を通す単一のロボットアームのいくつかの実施例に記載されているが、2(又はそれ以上)の能動的な針通しアームが存在し得ることを理解されたい。
【0037】
コード構築装置301は、ロボットアーム305及び307に通信可能に結合され、実行時にコントローラに様々な動作を実行させる非一時メモリ312内の実行可能命令313で構成されたコントローラ310をさらに含むことができる。その目的のために、コントローラ310は、プロセッサ311と、非一時的メモリ312とを備える。コントローラ310の例示的な方法は、
図9に関してさらに説明される。さらに、コントローラ310は、(非限定な例として、キーボード、タッチスクリーン、マウス、ジョイスティックなどを介した)入力を受け取るためのユーザインターフェース(例えば、
図4に示すユーザインターフェース418)と、(非限定的な例として、ディスプレイ又はタッチスクリーンデバイスを介した)ディスプレイ出力を含み得る。
【0038】
コントローラ310は単一の存在として示されているが、いくつかの実施形態では、コントローラ310は複数のコントローラを備え得ることを理解されたい。例示的かつ非限定的な例として、コントローラ310は、各ロボットアーム用のコントローラと、別々のロボットアームコントローラを調整するための中央コントローラとを含み得る。
【0039】
コード構築装置301は、ロボットアーム305及び307がその上又はその中を通ってコード構造体を構築する、テンプレート又はガイドポストを提供するループ固定具315を含み得る。
図1及び
図2に関して上述した履物用品のような履物用品の構築に向けられた実施形態では、ループ固定具315は、コード構造体をループさせ得るソール及び/又はアイステイを受け取るように構成され得る。さらに、ループ固定具315は、左ループ固定具及び右ループ固定具(すなわち、左足用履物物品を構築するためのループ固定具及び右足用履物物品を構築するためのループ固定具)を備え得る。 いくつかの例では、ループ固定具315は、複数の履物物品サイズに対して適合可能又は構成可能である。 しかし、他の例では、異なるサイズの別々のループ固定具を含み得る。
【0040】
図5は、例示的なループ固定具500を示す。いくつかの例では、ループ固定具は、アイステイ(不図示)及びソール(不図示)で予め組み立てられている。ソールは、ループ固定具500内の間隙508に挿入され得、一方、アイステイはループ固定具500の最上部503に配置され得る。図示されているように、ループ固定具500は、その周囲に複数のガイドポスト510を含み、それを通ってロボットアームはコード構造体のループを作り出し得る。さらに、ループ固定具500は、当該ループ固定具500を自動システム300内にしっかりと固定することを可能にする取り付け構造体515を含む。
【0041】
いくつかの例では、装置は、左及び右の履物物品に対応する左ループ固定具及び右ループ固定具を含み得る。コードを正しい長さに織るためにループ固定具が用いられる。ループ固定具はまた、構築中に履物物品全体を一緒に保持する。
【0042】
再び
図3を参照すると、ループ固定具315は、装置301内の第1ロボットアーム305と第2ロボットアーム307との間に配置され得る。
図4に示されるこのような構成では、ループ固定具415は、ロボットアーム405及び407もまた取り付けられている表面上に取り付けられている。ロボットアーム405及び407のループ固定具315に対する相対的な位置は、本明細書で図示及び説明される例示的な実施形態に限定されないことを理解されたい。
【0043】
コード構築装置301は、第1ロボットアーム用の複数のアームエンドツールを格納するアームエンドツールラック318をさらに含み得る。例えば、アームエンドツールラック318は、異なる色及び/又はサイズのコードで針通しされた各アームエンドツールを含み得る。第1ロボットアーム305は、本明細書でさらに説明するように、色及び/又はサイズ要求に基づいてアームエンドツールラック318からアームエンドツール306を自動的に選択することができる。アームエンドツールラック318は、一例として、アームエンドツールラック318に格納されたアームエンドツールが、選択された色及び/又はループサイズに基づいてアームエンドツールラック318から選択されたアームエンドツールを選択し得る第1ロボットアーム405にアクセス可能となるように、コード構築装置400のハウジング410内に配置され得る。
【0044】
図6は、例示的なアームエンドツール600を示す。アームエンドツールラックは、トップアームエンドツール及びボトムアームエンドツールを含む複数のアームエンドツールを保持し得る。履物物品が異なる色の上部及び下部ループ(例えば、第1及び第2の複数のループ)を用いて構築される場合、ロボットアームはアームエンドツールラックから正しいアームエンドツールを自動的に選択するし、履物用品を組み立てる。
【0045】
アームエンドツール600は、コードを供給するように構成された装置602を備え得る。そのために、アームエンドツール600は、装置602に固定して結合され、コードを選択された位置に正確に供給するように構成された、針604をさらに備えることができる。コード(不図示)は、デバイス602内に、針604を通って糸通しされ得る。コードは、例えば、コードスプール又はボックス(不図示)から離れて針604中にコードを引っ張り及び/又は押し出す装置602から離れて糸巻きされ得る。コードは、針604の端部を通って選択的かつ自動的に供給されてもよい。いくつかの例では、装置602は、アームエンドツール600から供給されたコードを切断し、解放するように構成されたコード切断装置(不図示)を含み得る。
【0046】
再び
図3を参照すると、上述した異なるコード321は、別々のコードボックス320に格納され得る。いくつかの例では、コードボックス320は、コード構築装置301の外部にあってもよい。しかし、他の例では、コードボックス320は、コード構築装置301内に配置され得る。
【0047】
いくつかの例では、コード構造体を自動的に製造するための装置は、複数のコードボックスを含み得る。装置は、ハウジング410内に収容された第1ロボットアーム405及び第2ロボットアーム407、ループ固定具415、及びアームエンドツールラック420を備えるコード構築装置400を含み得る。装置はさらに、 複数のコードボックスを収納するボックスラックを備えている。各コードボックスは特定の色のコードを収容し得る。いくつかの例では、各ボックスのコードは、アームエンドツールラック内の対応するアームエンドツールに通され得る。他の例では、装置のオペレータは、コードボックス320からコード321を手動で取得し、アームエンドツールラック318内のアームエンドツールに通すことができる。コードボックス320は、コード構築装置のハウジング410の外部に配置されるが、いくつかの例では、1以上のコードボックス320がハウジング410内に収容される。
【0048】
再び
図3を参照すると、システム300は、コード構築装置301に通信可能に接続されたコンピュータ330をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、コンピュータ330は、コード構築装置301によって実行されるコード構造体構築プロセスのビデオをキャプチャするように構成されたオプションのカメラ332と通信可能に結合されている。コンピュータ330は、カメラ332によって取り込まれたビデオを、公衆インターネットなどのネットワーク340を介して、クライアントコンピュータ345に送信するように任意で構成され得る。
【0049】
さらに、コンピュータ330は、ネットワーク340を介してクライアントコンピュータ345からカスタムオーダーを受信するように構成され、カスタムオーダーをコード構築装置301に通信することができる。カスタムオーダーは、1又は複数の所望の色、所望のサイズ及び所望の製品を含む。カスタムオーダーを受信すると、コード構築装置301は、1又は複数の所望の色、所望のサイズ及び所望の製品に従って、注文製品を自動的に構築することができる。オプションのカメラ332を含む実施形態では、カメラ332は、プロセス全体のビデオをキャプチャして、クライアントコンピュータ345に戻すことができる。このようにして、顧客は、クライアントコンピュータ345の表示装置を介して、準備されるカスタムオーダーのビデオストリームを見ることができる。コード構築装置301によって実行される履物物品の構築プロセスは、従来の履物物品構築方法と比較して短時間である(例えば、いくつかの例では、プロセスは約10分以内に完了することができる)ので、顧客は、構築を見て、注文が正しく実行されていることを確認することができる。
【0050】
図7は、コード構造体を有する履物物品を自動的に製造する方法例700を示すハイレベルのフローチャートを示す。方法700は、
図3~6のシステム及び構成要素を参照して説明される。この方法は、本開示の範囲から逸脱することなく、他のシステム及び構成要素によって実施されてもよいことが理解されるべきである。
【0051】
方法700は、705で開始する。705において、方法700は、サイズ及び色の要求を、本明細書で上述したコード構築装置301又は400などのコード構築装置に入力することを含む。いくつかの例では、オペレータは、1又は複数の選択されたコードの色を入力するためにユーザインターフェースデバイス(例えば、ユーザインターフェース418)を使用することができ、オペレータは、製品の所望のサイズをさらに選択してもよい。他の例では、サイズ及び色の要求は、例えば、コード構築装置に通信可能に接続されたコンピュータを介して、コード構築装置に電子的に送信されてもよい。
【0052】
710において、方法700は、ループ固定具へソールとアイステイを挿入することを含む。いくつかの例では、オペレータは、ループ固定具アセンブリ上にアイステイとソールを予め組み立て、予め組み立てられたループ固定具アセンブリを装置に投入してもよい。他の実施例では、ロボットアームは、コード構築装置内のループ固定具にソールとアイステイを自動的に挿入することができる。
【0053】
715において、方法700は、装置がアッパーのコード構造体を自動的に構築するように命令することを含む。いくつかの実施形態では、装置にコード構造体を構築するように命令することは、装置に実装された方法を開始することを含み得る。このような方法の一例は、本明細書において
図8に関してさらに説明される。このような方法を開始又は実行するように装置に命令することは、オペレータが、例えばタッチスクリーンインターフェース上の装置に配置された「開始」ボタンを押すことを含み得る。
【0054】
そして、装置は、複数のループをアイステイとソールに自動的に織り込んで、アッパーを含むコード構造体を作り出すことができる。アイステイ及びソールに結合されたコード構造体は、履物用品を構成する。履物物品は、例えば、
図1の履物物品を含み得、アッパーを含むコード構造体は、
図1及び2に示されるコード構造体を含み得る。
【0055】
コード構築装置がコード構造体の自動構築を完了した後、方法700は720に進む。720において、方法700は、構築された履物物品を装置から取り出すことを含む。 例えば、オペレータは、ループ固定具をコード構築装置から取り出し、次いでループ固定具から構築された(ソール、アイステイ及びコード構造体を含む)履物物品を取り除くことができる。
【0056】
725において、方法700は、履物用品の仕上げを含む。履物物品の仕上げは、例えば、ソールの下に延びるループを通して、アンカーコードのコード構造体への取り付けを含むことができる。履物物品の仕上げは、さらに、コード構造体のトリミング及び固定、構築された履物物品への異なる構成要素(例えば、インソール、ヒールカウンタ、トゥキャップ、靴紐(lacing)システムなど)の追加及び使用のための履物物品を完成させる他のステップを含む。いくつかの例では、履物物品を装置から取り外す前に、履物物品をコード構築装置によって自動的に仕上げることができる。例えば、少なくとも1つのロボットアームに、コード構造体にアンカーコードを自動的に取り付けるように命令することができる。方法700はその後終了する。方法700は、左履物物品及び右履物物品を構築するために繰り返され得る。
【0057】
図8は、コード構造体を自動的に生成するための例示的な方法800を示すハイレベルのフローチャートを示す。方法800は、コード構造体を構築するためのコード構築装置の制御に関する。方法800は、
図3~6のシステム及び構成要素を参照して本明細書で以下に説明される。本開示の範囲から逸脱することなく、本方法を他のシステム及び構成要素によって実施されてもよいことが理解されるべきである。方法800は、コントローラ310などのコントローラによって実行され、実行可能命令313として非一時メモリ312に格納されてもよい。
【0058】
方法800は、805で開始する。805において、方法800は、色及びサイズの要求を受信することを含む。色の要求は、コード構造体のための1以上の色を含み得る。サイズの要求は、コード構造体の所望のサイズを含み得る。方法800が履物用品のコード構造体の構築を対象とする実施形態では、サイズの要求は、所望の靴のサイズを含み得る。色及びサイズの要求は、コード構築装置のユーザインターフェースを介して受信されてもよく、又は外部のコンピュータデバイスとの通信を介して受信されてもよい。
【0059】
810において、方法800は、要求されたサイズに基づいて、第1及び第2ロボットアームのための第1及び第2パス(paths)を自動的に生成することを含む。第1及び第2ロボットアームの第1パスは、第1及び第2ロボットアームが第1ループセットを構築するために沿って動作するパスに対応し、第1及び第2ロボットアームの第2パスは、第1及び第2ロボットアームが、第1ループセットとスリップ可能に係合する第2ループセットを構築するために沿って動作するパスに対応する。一例として、パスは、コード構築装置内において三次元で位置決めされ得るロボットアームの各アームエンドツールの所望の位置を記述することができる。従って、それぞれのパスは三次元であり、さらに、ソレノイドを作動させるような、アームエンドツールが特定の機能を実行し得る場所及び/又は時の指示を含み得る。従って、方法800は、第1及び第2ロボットアーム用の設定命令を生成することを含み得る。このような設定命令は、第1アームエンドツールが、ループを形成するためにコードを連続的にではなく選択的に供給するように、コードを供給するときに第1アームエンドツールに指示し得る。
【0060】
815において、方法800は、要求された色を有するアームエンドツールを自動的に選択することを含む。非限定的な例として、第1ロボットアームは、アームエンドツールラックから所望の色のコードが通されたアームエンドツールを自動的に得る。
【0061】
820において、方法800は、ロボットアームが第1パスに沿って移動するように制御し、コードを供給して第1平面内にループを生成することを含む。ロボットアームを第1パスに沿って移動させるように制御することは、コントローラを介して、810で生成された設定命令により第1パスに沿って移動するよう、第1及び第2アームに命令することを含む。第1ロボットアームの第1パスは、第1アームエンドツールが自動的にアームエンドツールを通してコードを供給するパスを表し、一方、第2ロボットアームの第1パスは、第1アームエンドツールがコードを供給するときにコードを所定の位置に保持するように、第2アームエンドツールが配置されるパスを表している。従って、第2アームエンドツールは、部分的に、各ループが作成されるときに自由空間内の一時的なガイドポストとして機能する。第2アームエンドツールは、第1アームエンドツールが次のループを形成するために再配置されている間に、ループの構造を一時的に維持するために、選択された場所にコードを自動的にクランプすることもできる。
【0062】
例示的な例として、
図9は、コード903を平面内に供給する第1アームエンドツール用の例示的なパス901を示す。第1アームエンドツールは位置911で始まり、位置911から第1方向908(例えば、-x方向)に位置912に向かって、コード903を供給しながら、指定距離だけ離れて引っ張る。そして、第1アームエンドツールは、コード903を供給しながら、位置911に向かって第2方向909(例えば、+x方向)に後方に移動し、位置911から位置913に向かって第2指定距離だけ離れる。第1アームエンドツールは、その後、第1方向
908(例えば、-x方向)の位置912に引き戻されると同時に、以前の位置912から距離916だけ、引き戻し動作に直交する方向、例えば、
図9に示すように+y方向に移動する。
【0063】
位置911及び912はループ固定具上に配置することができるが、通常、位置913は自由空間に存在する。そのため、第2アームエンドツールは、第1アームエンドツールがループを作成するのを助けるために、位置911と位置913との間を移動し得る。 このプロセスはループごとに繰り返される。
【0064】
さらに、位置913は、所望のループサイズよりも位置911から離れて位置する。すなわち、コード903は、必ずしも第1アームエンドツールの正確なパス901に沿うとは限らない。図示されているように、第1アームエンドツールのパス901は位置913でコードを供給するが、コード903のループのエッジは、位置911と位置913との間のx方向に位置する位置914に置かれる。言い換えると、第1アームエンドツールは、コード903が示されるように配置されるため、予想されるよりも離れた自由空間でコードを供給する。すなわち、位置912から位置914に延びるループを形成するために、第1アームエンドツールは、位置912から位置914までの距離よりも大きい、位置912から位置913までの距離に沿ってコードを供給するように命令される。
【0065】
第1アームエンドツールによって移動された特定の距離は、履物物品又はコード構造体の要求されたサイズに基づいて決定され、各ループの適切なサイズを決定することができることを理解されたい。
【0066】
ロボットアームを有する第1ループセットの構成をさらに説明するために、
図10は、コード構造体用の第1ループセット1030の例示的な構築物1000を示す。第1ループセット1030は、
図10のx-y平面として示される第1平面1020に構築される(z軸はページ外に出てくる)。第1アームエンドツール1005は三角形として示され、第2アームエンドツール1007は四角形として示される。図示の第1パス1010は、コード1009を供給する第1ロボットアーム又は第1アームエンドツール1005の第1パスに対応する。第1アームエンドツール1005は、ループ固定具1001上に第1ループセットを構築し、ガイドポスト1002(小さな円で示されている)の間を移動する。
【0067】
履物物品の構築のために、アイステイ(不図示)は、アイレット1015(楕円として示される)がループ固定具1001のガイドポスト1002と並ぶように、ループ固定具1001上に配置され得る。第1アームエンドツール1005は、第1パス1010に沿って移動し、コード1009を供給して第1ループを生成し、第2アームエンドツール1007は、第1アームエンドツール1005を補助するために別の第1パス(不図示)に沿って移動する。一例では、アームエンドツール1005は、
図9に示すようなルーチンでアイレット1015通って移動する。アームエンドツール1005が、点Bから点Cまで、アイレット1015を通って移動し、同じアイレット1015を通って点Bに引き戻される。結果として得られるループの長さは、上記示し説明したように、第1アームエンドツール1005が移動する距離よりも短い。
【0068】
さらに、示されているように、ループの構築は、単一の方向に限定されず、第1平面(例えば、x-y平面)で周囲を取り囲むようにしてもよい。
【0069】
さらに、いくつかの例では、コードは、第2ロボットアームに引っ掛けられることなく、ソール材料の穴を通して第1ロボットアームによって供給されてもよいことを理解されたい。非限定的な例として、ゴム及びフラッシング(flashing)を含に得るソール材料は、コードに対して剛性及び耐性であり、コードとソール材料との間の摩擦がコードを捕捉し、コードを所定位置に保持する。このようにして、第1ロボットアームの個々のプログラミングポイントを約500ポイント低減することができる。
【0070】
再び
図8を参照すると、ロボットアームが第1平面内に第1ループセットを作成した後、方法800は825に進む。825で、方法800は、所望のループ数が完了したかどうかを判定する。所望のループ数は選択されたサイズに対応し得、方法800は、第1ループセット内の所望のループ数が完了するまで継続しなくてもよい。従って、所望のループ数が完了していない場合(「NO」)、方法800は820に戻る。所望のループ数が完了した場合(「YES」)、方法800は830に進む。
【0071】
830で、方法800は、第2ループセットに対して異なる色が要求されるかどうかを判定する。異なる色が要求される場合(「YES」)、方法800は835に進む。835において、方法800は、第2の要求された色のアームエンドツールを選択することを含む。方法800は次に840に進む。異なる色が要求されない場合(「NO」)、方法800は直接840に進み、815で選択された同じアームエンドツールを使用し続ける。
【0072】
840において、方法800は、ロボットアームが第2パスに沿って移動するように制御して、第1平面に直交する第2平面内に、第1ループセットを通るループを作成することを含む。第1ループセットは、ループ固定具のガイドポスト(及び、任意的に、上述したように、コードが通るように供給される複数のアイレットを含むアイステイ)を用いて構築され得るが、第2ループセットは、第1ループセットを用いて構築され得る。例示的な例として、第1ループセットの構築に関して、コードがアイレットを通してどのように供給されるかと同様に、コードは第1ループセット内の各ループを通して供給され得る。
【0073】
例示的な例として、
図11は、
図10の第1ループセット1030のような、既に構築されたループ1030を通る第2ループセット1130の構築例1100を示す。第2ループセット1130は、第1平面1020(例えば、x-y平面)に直交する第2平面1120(例えば、x-z平面)内に構築される。第1ループセット1030の位置は、コード1109が第1ループセット1030を通ってどのように供給されるかを示すために、遠近法によって示されている。第1アームエンドツール1105(例えば、
図10に示す第1アームエンドツール1005からなるか、又は、異なる色の糸を備えた異なるアームエンドツールであり得る)は、第1ロボットアームの第2パス1110に沿って移動する。第2アームエンドツール1107(
図10に示す第2アームエンドツール1007からなり得る)は、第2ロボットアームの第2パス(不図示)に沿って移動する。(
図10に示すように)第1ループセット1030はループ固定具1001を越えて延在するので、第2ループセット1130の構築は、案内のためにループ固定具1001に依存することは少ない。すなわち、第2ループセット1130は、完全に自由空間に構築されてもよい。しかしながら、方法800がコード付きアッパーを構築することを目的とする実施例では、ソール1117は本明細書において上述したようにループ固定具内に配置され得る。ソール1117は、第2ループセットを織り込むことができる複数のスロット1115を含み得る。このような実施例では、第1アームエンドツール1105は、第1ループセットのループを通し、次いで、ソール1117のスロット1115を通し、そして、同じスロット1117を通して引き戻し、同じループを通してコード1109を供給し得る。第2アームエンドツール1107は、第1アームエンドツールがコード1109を供給するときに、第1ループセットのループ又は新たに構築されたループを所定の位置に保持するのを助けることができる。
【0074】
上述したように、いくつかの実施例では、ソール1117とコード1109との間の摩擦は、ロット1115を通って一旦供給されるとコード1109を所定の位置に保持し得るため、第2アームエンドツール1107がループを保持する必要がない。そのような例では、複数のループは、第1ロボットアームによって完全に構築されてもよい。
【0075】
図示されていないが、第1アームエンドツールもまた、
図9及び
図10に関して上述したように、ループの所望の長さよりもさらに遠くに延在し得る。しかしながら、いくつかの例では、コード1109は、コード1109が供給されるパス1110に沿って正確に位置し得ることを理解されたい。
【0076】
再び
図8を参照すると、第2ループセットでループを完了した後、方法800は845に続く。845で、方法800は、所望のループ数が完了したかどうかを判定する。所望のループ数が完了していない場合(「NO」)、方法800は840に戻る。所望のループ数が完了した場合(「YES」)、方法800は850に進む。
【0077】
850において、方法800は、コード構造体を固定するためのソール又はアンカーループを追加することを任意に含む。第1及び第2ループセットをソールに固定するために、ソール又はアンカーループは、(例えば、
図11に示されるように)ソールの下のループを通して織り込まれてもよい。いくつかの例では、850は、コード構築装置のオペレータによって手動で実行されてもよい。方法800はその後終了する。
【0078】
このように、コード構造体の自動構築のためのシステム及び方法が提供される。コード構造体は、
図1に示す履物物品のような、履物物品に一体化されていてもよく、又はそれを含んでいてもよい。履物物品の構築が記載されているが、このような実施形態は例示的かつ非限定的であり、本明細書に記載の方法及びシステムは、任意のコード構造体の構築に適用され得ることを理解されたい。インターロッキングループを形成するために三次元空間にコードを供給することによってコード構造体を構築する
図3に示すシステムのようなシステムは、付加的な製造システムとみなされ得る。
【0079】
一実施形態では、方法は、少なくとも1つのロボットアームを用いて、第1平面に第1の複数のループを自動的に形成し、前記少なくとも1つのロボットアームを用いて、前記第1平面に直交する第2平面に第2の複数のループを自動的に形成し、前記第2の複数のループは前記第1の複数のループとスリップ可能に係合されている。
【0080】
当該方法の第1実施例では、前記少なくとも1つのロボットアームは、2以上のロボットアームを含む。第1実施例を任意に含む方法の第2実施例では、前記第1及び第2の複数のループの各ループは、前記2以上のロボットアームの第1アームを自動的に制御して、第1方向において第1位置から第2位置へコードを供給し、前記第1アームを自動的に制御して、前記第1方向と反対の第2方向において前記第2位置から第3位置へ前記コードを供給することにより形成され、前記第1方向及び前記第2方向は、前記第1及び第2平面の一方にあり、前記第1位置から記第2位置までの距離は、前記第2位置から前記第3位置までの距離よりも小さい。第1及び第2実施例の一又はそれ以上を任意に含む方法の第3実施例では、前記コードは、前記第2位置でループ固定台の周りに自動的に供給され、前記2以上のロボットアームの第2アームは、前記コードを自由空間の前記第3位置に自動的に保持する。第1から第3実施例の一又はそれ以上を任意に含む方法の第4実施例では、前記第1の複数のループは、履物物品のアイステイを通って自動的に供給され、前記第1の複数のループは、前記履物物品のバンプ(vamp)部分構造を含む。第1から第4実施例の一又はそれ以上を任意に含む方法の第5実施例では、前記第2の複数のループは、前記履物物品のソールを通って自動的に供給され、前記第2の複数のループは、前記履物物品のランド(rand)部分構造を含む。第1から第5実施例の一又はそれ以上を任意に含む方法の第6実施例では、さらに、前記ソールの外側の前記第2の複数のループを通ってアンカーコードを自動的に供給する。第1から第6実施例の一又はそれ以上を任意に含む方法の第7実施例では、前記第1の複数のループは、ループ固定具の面に沿って供給される。第1から第7実施例の一又はそれ以上を任意に含む方法の第8実施例では、前記第1の複数のループの第1ループは、前記第2の複数のループの少なくとも2つのループと絡み合って摺動可能に移動することができ、前記少なくとも2つのループの第2ループは、前記第1ループを含む前記第1の複数のループの少なくとも2つのループと絡み合って摺動可能に移動することができる。
【0081】
他の実施形態では、システムは、ループ固定具と、コードを自動的に供給するように構成された第1ロボットアームを含む少なくとも2つのロボットアームと、非一時的メモリに格納された命令を用いて設定されたコントローラであって、実行されると前記コントローラは、前記少なくとも2つのロボットアームを制御して前記コードを自動的に供給し、前記ループ固定具上の第1平面に第1の複数のループを形成し、前記少なくとも2つのロボットアームを制御して前記コードを自動的に供給し、前記第1平面に直交する第2平面に第2の複数のループを形成し、前記第2の複数のループを前記第1の複数のループとスリップ可能に係合する。
【0082】
当該システムの第1実施例では、前記コントローラは、さらに、前記非一時的メモリの命令を用いて設定され、実行されると、前記コントローラは前記第1ロボットアームのための第1パスを生成し、前記コードを供給して前記第1の複数のループを形成するように前記少なくとも2つのロボットアームを制御することは、前記第1ロボットアームを制御して前記コードを前記第1パスに沿って供給することを含む。第1実施例を任意に含むシステムの第2実施例では、前記コードは第1コードと第2コードを含み、前記第1コードは前記第1の複数のループを形成し、前記第2コードは前記第2の複数のループを形成する。第1及び第2実施例の一又はそれ以上を任意に含むシステムの第3実施例では、前記コントローラは、さらに前記非一時的メモリの命令を用いて設定され、実行されると、前記コントローラは、前記第1の複数のループを形成する前に、前記第1コードで準備された第1アームエンドツールを選択するように前記第1ロボットアームに命令し、前記第2の複数のループを形成する前に、前記第2コードで準備された第2アームエンドツールを選択するように前記第1ロボットアームに命令する。第1から第3実施例の一又はそれ以上を任意に含むシステムの第4実施例では、前記第1アームエンドツールと前記第2アームエンドツールは、前記第1ロボットアームに隣接して配置されたラックに格納されている。第1から第4実施例の一又はそれ以上を任意に含むシステムの第5実施例では、前記少なくとも2つのロボットアームの第2ロボットアームは、前記第1ロボットアームが前記コードを供給して、前記第1及び第2の複数のループを形成するときに、前記コードを選択位置に保持するように構成されたアームエンドツールを含む。第1から第5実施例の一又はそれ以上を任意に含むシステムの第6実施例では、アイステイ及びソールは、前記ループ固定具上に配置され、履物物品を形成するために前記第1の複数のループは前記アイステイを通って供給され、前記第2の複数のループは前記ソールを通って供給される。第1から第6実施例の一又はそれ以上を任意に含むシステムの第7実施例では、前記第1及び第2の複数のループの各ループのサイズは、前記履物物品のサイズに基づいて決定される。
【0083】
さらに他の実施形態では、システムは、ロボットアームと、前記ロボットアームに通信可能に結合され、非一時的メモリの命令を用いて設定されたコントローラであって、実行されると前記コントローラは、第1平面に第1の複数のループを形成するために前記ロボットアームを制御して第1コードを供給し、前記第1の複数のループの少なくとも1つのループが少なくとも部分的にソールに供給され、前記第1平面に直交する第2平面に第2の複数のループを形成するために前記ロボットアームを制御して第2コードを供給し、前記第2の複数のループを前記第1の複数のループにスリップ可能に係合する。
【0084】
当該システムの第1実施例では、前記ソールは少なくとも1つの材料を含み、前記少なくとも1つの材料と前記少なくとも1つのループとの間の摩擦は、前記少なくとも1つのループを適所に保持する。第1実施例を任意に含むシステムの第2実施例では、前記第1の複数のループの第1ループは、前記第2の複数のループの少なくとも2つのループと絡み合って摺動可能に移動することができ、前記少なくとも2つのループの第2ループは、前記第1ループを含む前記第1の複数のループの少なくとも2つのループと絡み合って摺動可能に移動することができる。第1及び第2実施例の一又はそれ以上を任意に含むシステムの第3実施例では、システムは、前記ロボットアームの端部に結合されたアームエンドツールをさらに備え、前記アームエンドツールは、前記第1コード及び前記第2コードの少なくとも1つを供給するように構成されている。
【0085】
他の表現では、方法は、2以上のロボットアームを用いて、第1平面に第1の複数のループを形成し、前記2以上のロボットアームを用いて、前記第1平面に直交する第2平面に第2の複数のループを形成し、前記第2の複数のループは、前記第1の複数のループとスリップ可能に係合している。当該方法の一例では、前記第1及び第2の複数のループの各ループは、第1方向において第1位置から第2位置へコードを引っ張るように前記2以上のロボットアームの第1アームを制御し、前記第1方向と反対の第2方向において前記第2位置から第3位置へ前記コードを引っ張るように前記第1アームを制御し、前記第1方向及び前記第2方向は、前記第1及び第2平面の一方にあり、前記第1位置から記第2位置までの距離は、前記第2位置から前記第3位置までの距離よりも小さい。当該方法の第2例では、コードは、前記第2位置のループ固定具ポストの周りに引っ張られ、前記2以上のロボットアームの前記第2アームは、自由空間の前記第3位置にコードを保持する。
【0086】
さらに他の表現では、システムは、ループ固定具と、少なくとも2つのロボットアームと、非一時メモリに格納された命令を備えるコントローラであって、実行されると前記コントローラは、前記少なくとも2つのロボットアームを制御して、記ループ固定具上の第1平面に第1の複数のループを形成し、前記少なくとも2つのロボットアームを制御して、前記第1平面に直交する第2平面に第2の複数のループを形成し、前記第2の複数のループを前記第1の複数のループとスリップ可能に係合する。
【0087】
本明細書に記載される構成および/またはアプローチは、本質的に例示であり、しかも、これら特定の実施形態または例は、制限する意味で考慮されるべきではないことが認識される。なぜなら、多く改変例が可能であるからである。本開示の主題は、本明細書に開示される種々の特徴、機能、作用、および/または性質、ならびにその任意でかつすべての等価物のすべての新規、かつ自明でない組み合わせ、およびサブコンビネーションを含む。