(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】二次電池用セパレータ、その製造方法、およびそれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/446 20210101AFI20230721BHJP
H01M 50/451 20210101ALI20230721BHJP
H01M 50/42 20210101ALI20230721BHJP
H01M 50/423 20210101ALI20230721BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20230721BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20230721BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20230721BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20230721BHJP
【FI】
H01M50/446
H01M50/451
H01M50/42
H01M50/423
H01M50/489
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/403 D
H01M50/443 B
H01M50/443 E
(21)【出願番号】P 2018195253
(22)【出願日】2018-10-16
【審査請求日】2021-08-24
(31)【優先権主張番号】10-2017-0134395
(32)【優先日】2017-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】519214271
【氏名又は名称】エスケー アイイー テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK IE TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 03188 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】キム ユン ボン
(72)【発明者】
【氏名】イ ス ジ
(72)【発明者】
【氏名】チョ キュ ユン
(72)【発明者】
【氏名】クヮク ウォン スブ
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒェ ジン
【審査官】森 透
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-536030(JP,A)
【文献】特表2015-528633(JP,A)
【文献】特開2016-105398(JP,A)
【文献】特開2017-103027(JP,A)
【文献】特開2015-185530(JP,A)
【文献】特開2015-022956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/40-50/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性基材と、前記多孔性基材上に形成されたコーティング層と、を含むセパレータであって、
前記コーティング層は、複数の無機粒子、および前記複数の無機粒子を結着するバインダーを含み、
前記バインダーは、アクリルアミド系単量体、ビニルシアン系単量体、カルボキシル基を有するアクリル系単量体、および水酸基を有するアクリル系単量体を含む単量体混合物の共重合体を含
み、
前記共重合体は、共重合体の全量を基準として、アクリルアミド系単量体30~50重量%、ビニルシアン系単量体20~40重量%、カルボキシル基を有するアクリル系単量体5~20重量%、および水酸基を有するアクリル系単量体5~20重量%を含む、二次電池用セパレータ。
【請求項2】
前記コーティング層は、コーティング層の全量を基準として、無機粒子70~99.5重量%、およびバインダー0.5~30重量%を含む、請求項1に記載の二次電池用セパレータ。
【請求項3】
前記バインダーは、ガラス転移温度が150~200℃である、請求項1に記載の二次電池用セパレータ。
【請求項4】
前記共重合体は、重量平均分子量が100,000~1,000,000g/molである、請求項1に記載の二次電池用セパレータ。
【請求項5】
a)多孔性基材上に、無機粒子、バインダー、および水を含む水系スラリーを塗布するステップと、
b)前記塗布するステップの後に、熱乾燥してコーティング層を形成するステップと、を含む二次電池用セパレータの製造方法であって、
前記バインダーは、アクリルアミド系単量体、ビニルシアン系単量体、カルボキシル基を有するアクリル系単量体、および水酸基を有するアクリル系単量体を含む単量体混合物の共重合体を含
み、
前記バインダーは粒子相である、二次電池用セパレータの製造方法。
【請求項6】
前記共重合体は、共重合体の全量を基準として、アクリルアミド系単量体30~50重量%、ビニルシアン系単量体20~40重量%、カルボキシル基を有するアクリル系単量体5~20重量%、および水酸基を有するアクリル系単量体5~20重量%を含む、
請求項5に記載の二次電池用セパレータの製造方法。
【請求項7】
前記b)ステップにおいて、乾燥温度は60~100℃である、
請求項5に記載の二次電池用セパレータの製造方法。
【請求項8】
請求項
1から4の何れか一項に記載の二次電池用セパレータを含むリチウム二次電池。
【請求項9】
多孔性基材と、前記多孔性基材上に形成されたコーティング層と、を含むセパレータであって、
前記コーティング層は、複数の無機粒子、および前記複数の無機粒子を結着するバインダーを含み、
前記バインダーは、アクリルアミド系単量体、ビニルシアン系単量体、カルボキシル基を有するアクリル系単量体、および水酸基を有するアクリル系単量体を含む単量体混合物の共重合体を含み、
前記バインダーは粒子相である、二次電池用セパレータ。
【請求項10】
前記無機粒子とバインダー粒子は、平均粒径が10nm~2μmである、請求項9に記載の二次電池用セパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池用セパレータ、その製造方法、およびそれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二次電池の高容量、高出力の傾向に伴い、セパレータにおいても、高強度、高透過度、熱的安定性、および充放電時における二次電池の電気的安全性のための特性向上の要求が益々大きくなっている。リチウム二次電池の場合、電池の製造過程および使用中における安全性の向上のために、高い機械的強度が求められており、容量および出力の向上のために、高い透過度および高い熱的安定性が求められている。
【0003】
また、リチウム二次電池は、正極のリチウムイオンが負極に挿入(intercalation)されて脱離(deintercalation)される過程を繰り返しながら充放電が行われる。かかる充放電が繰り返されると、電池の理論容量は電極活物質の種類によって異なるが、殆どの場合は、サイクルが進行するにつれて充放電容量が低下するという問題が発生する。
【0004】
現在量産中の高分子セパレータの場合、熱収縮の改善のために、アルミナなどの無機物をバインダー溶液の形態で混合した後、ダイ(Die)コーティング、ディップ(Dip)コーティングなどの湿式方式によりコーティング、乾燥する工程を経て、耐熱性を向上させるとともに電池安定性を改善しようとする研究が行われている。
【0005】
従来は、二次電池セパレータの耐熱性を増加させるための一側面として、有機溶媒を使用した耐熱樹脂を用いて塗布層を形成する工程が適用されていた。しかしながら、有機溶媒を用いる場合、塗布および乾燥後に溶媒を回収または焼却する過程により、経済性が低下し、環境にやさしくないという欠点がある。また、有機溶媒は、微多孔膜との親和力に優れるため、塗布工程で微多孔膜の気孔中に吸収(absorption)される特性を有している。かかる特徴により、耐熱樹脂が溶解された溶液で塗布層を形成する場合、乾燥工程の後に、微多孔膜の気孔内部が耐熱樹脂により塗布されることになる。耐熱樹脂が塗布された微多孔膜は、気孔サイズが減少して透過度の低下が発生し、高温で微多孔膜のシャットダウン機能が発現される際に、気孔内部に塗布された耐熱樹脂によってシャットダウンが妨害される現象が発生する。このように有機溶媒を用いて耐熱性を向上させる場合、環境的な問題だけでなく、微多孔膜の基本的な機能を阻害する要因を有しているため、耐熱層を塗布することで得ようとしていた利点を相殺させてしまうという欠点がある。
【0006】
これを解決するために、韓国特許出願公開第10-2016-0041492号には、ポリビニリデンフルオリド分散液と、無機物粒子と、有機物粒子と、を含む水系スラリーを用いて多孔性高分子基材上にコーティング層を形成する方法が提案されている。これによるセパレータは、多孔性基材との接着力を向上させ、耐熱性および強度に優れた電気化学素子用セパレータであることが提案されているが、電池の安全性の確保のために用いるには、依然としてセパレータの熱的、電気化学的安定性の程度が十分ではなく、電池容量の向上が依然として必要であるという問題がある。
【0007】
したがって、このような問題点を解消するための、熱的、電気化学的安定性に優れるとともに、気孔の確保に有利な新しいセパレータの製造工程が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国特許出願公開第10-2016-0041492号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一態様は、低い熱収縮率および高い溶融破断温度などの熱的安定性が向上した二次電池セパレータを提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明の一態様は、バインダーの含量を増大して提供しても、セル内の抵抗増加率が低いため、二次電池の初期寿命の急激な低下および劣化を改善し、さらなる安定性およびコーティング工程性を確保することができる二次電池セパレータを提供することを目的とする。
【0011】
さらに、本発明の一態様は、セパレータのコーティング層の形成時に、多孔性基材の気孔閉塞を防止することができ、製造されたセパレータにおけるリチウムイオンの移動が円滑であって、二次電池の容量維持率などの電気的特性が著しく向上することができる二次電池用セパレータの製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明の一態様は、上記二次電池用セパレータを含むリチウム二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様による二次電池用セパレータは、多孔性基材と、前記多孔性基材上に形成されたコーティング層と、を含むセパレータであって、前記コーティング層は、複数の無機粒子、および前記複数の無機粒子を結着するバインダーを含み、前記バインダーは、アクリルアミド系単量体、ビニルシアン系単量体、およびカルボキシル基を有するアクリル系単量体を含む単量体混合物の共重合体を含んでもよい。
【0014】
前記単量体混合物は、水酸化基を有するアクリル系単量体をさらに含んでもよい。
【0015】
前記共重合体は、共重合体の全量を基準として、アクリルアミド系単量体30~50重量%、ビニルシアン系単量体20~40重量%、カルボキシル基を有するアクリル系単量体5~20重量%、および水酸化基を有するアクリル系単量体5~20重量%を含んでもよい。
【0016】
前記コーティング層は、コーティング層の全量を基準として、無機粒子70~99.5重量%、およびバインダー0.5~30重量%を含んでもよい。
【0017】
前記バインダーは粒子相であってもよい。
【0018】
前記無機粒子とバインダー粒子は、平均粒径が10nm~2μmであってもよい。
【0019】
前記バインダーは、ガラス転移温度が150~200℃であってもよい。
【0020】
前記共重合体は、重量平均分子量が100,000~1,000,000g/molであってもよい。
【0021】
本発明の一態様による二次電池用セパレータの製造方法は、a)多孔性基材上に、無機粒子、バインダー、および水を含む水系スラリーを塗布するステップと、b)前記塗布ステップの後に、熱乾燥してコーティング層を形成するステップと、を含み、前記バインダーは、アクリルアミド系単量体、ビニルシアン系単量体、およびカルボキシル基を有するアクリル系単量体を含む単量体混合物の共重合体を含んでもよい。
【0022】
前記単量体混合物は、水酸化基を有するアクリル系単量体をさらに含んでもよい。
【0023】
前記共重合体は、共重合体の全量を基準として、アクリルアミド系単量体30~50重量%、ビニルシアン系単量体20~40重量%、カルボキシル基を有するアクリル系単量体5~20重量%、および水酸化基を有するアクリル系単量体5~20重量%を含んでもよい。
【0024】
前記b)ステップにおいて、乾燥温度は60~100℃であってもよい。
【0025】
本発明の一態様によるリチウム二次電池は、上述の二次電池用セパレータを含んでもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様による二次電池用セパレータは、低い熱収縮率および高い溶融破断温度などの熱的安定性が著しく向上するため、急激な温度上昇などの異常現象による発火や破裂を防止することができる。
【0027】
また、本発明の一態様による二次電池用セパレータは、バインダーの含量を増大しても、セル内の抵抗増加率が低いため、二次電池の初期寿命の急激な低下を改善し、さらなる安定性およびコーティング工程性を確保することができる。
【0028】
また、本発明の一態様による二次電池用セパレータは、電気自動車などに適用される大型リチウム二次電池の熱的安定性および電気的特性などの性能を改善するために導入することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明についてより詳細に説明する。但し、下記実施例は本発明を詳細に説明するための参照にすぎず、本発明がこれに制限されるものではなく、種々の形態で実現可能である。
【0030】
また、他に定義されない限り、全ての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する当業者の1つによって一般に理解される意味と同一の意味を有する。本願で説明に用いられる用語は、単に特定の実施例を効果的に述べるためのものであり、本発明を制限する意図ではない。
【0031】
本発明は、熱的安定性、電気的特性、および寿命の急激な低下を防止することができる二次電池用セパレータに関する。
【0032】
通常の二次電池用セパレータは、多孔性基材上における耐熱性の向上のためのコーティング層として、非水系または水系バインダーを無機粒子と混合して用いてきた。前記非水系バインダーは、有機溶媒とフッ素系重合体であるポリビニリデンフルオリドなどを用いることにより、環境汚染の問題だけでなく、多孔性基材とコーティング層との間の接着力が著しく劣っていた。これを解決するために、水系バインダーが提示されたが、水を用いるため環境にやさしく、バインダーの使用含量を低減して電池容量を高めることができるという利点があるが、熱的安定性が非常に低かった。また、前記非水系または水系バインダーは、有機溶媒に溶解された有機物、または水に溶解されたバインダーなどが多孔性基材の気孔に浸透し、気孔閉塞によってリチウムイオンの移動が制限されることにより、過熱および過負荷による発火、爆発などの問題があった。特に、熱的安定性が低いため、過熱および過負荷に対する対処が難しく、セパレータとして機能することが困難であった。
【0033】
本発明の一態様による二次電池用セパレータは、低い熱収縮率、高いガラス転移温度および高い溶融破断温度などの熱的安定性が著しく向上し、リチウム二次電池内の急激な温度上昇などの異常現象による発火や破裂および初期寿命の急激な低下を防止することができる。
【0034】
具体的に、本発明の一態様による二次電池用セパレータは、多孔性基材と、前記多孔性基材上に形成されたコーティング層と、を含むセパレータであって、前記コーティング層は、複数の無機粒子、および前記複数の無機粒子を結着するバインダーを含み、前記バインダーは、アクリルアミド系単量体、ビニルシアン系単量体、およびカルボキシル基を有するアクリル系単量体を含む単量体混合物の共重合体を含んでもよい。
【0035】
前記本発明の一態様による二次電池セパレータは、接着性を向上させるためにバインダーの含量を増大しても、セル内の抵抗増加率が低いため、二次電池の初期寿命の急激な低下を改善し、さらなる安定性およびコーティング工程性を確保することができる。
【0036】
また、前記本発明の一態様による二次電池用セパレータは、低い熱収縮率、高いガラス転移温度、および高い溶融破断温度の特性を有するため、熱的安定性が著しく向上し、リチウム二次電池内の急激な温度上昇などの異常現象による発火や破裂を防止して、電極間短絡を防止することができるため電池安定性が改善することができる。
【0037】
本発明の一態様による二次電池用セパレータは、アクリルアミド系単量体、ビニルシアン系単量体、およびカルボキシル基を有するアクリル系単量体を含む単量体混合物の共重合体をバインダーとして含むことで、驚くべきことに、160℃で著しく低い熱収縮率を有することにより、著しく優れた熱的安定性および寿命改善効果を奏することができる。
【0038】
前記単量体混合物は、水酸化基を有するアクリル系単量体をさらに含んでもよい。上記のように、水酸化基を有するアクリル系単量体をさらに含む場合、熱収縮率が著しく減少するため、さらに優れた熱的安定性および寿命改善効果を奏することができる。
【0039】
前記共重合体は、アクリルアミド系単量体30~50重量%、ビニルシアン系単量体20~40重量%、カルボキシル基を有するアクリル系単量体5~20重量%、および水酸化基を有するアクリル系単量体5~20重量%を含んでもよい。より具体的には、アクリルアミド系単量体40~50重量%、ビニルシアン系単量体30~40重量%、カルボキシル基を有するアクリル系単量体5~15重量%、および水酸化基を有するアクリル系単量体5~15重量%を含んでもよい。二次電池用セパレータは、前記範囲の単量体混合物の共重合体をコーティング層中に含むことで、160℃で低い熱収縮率を有するため、著しく優れた熱的安定性および寿命改善効果を奏することができる。
【0040】
前記アクリルアミド系単量体は、具体的な例として、アクリルアミド、n-メチロールアクリルアミド、n-ブトキシメチルアクリルアミド、およびメタクリルアミドなどから選択される何れか1つまたは2つ以上の混合物が挙げられる。前記アクリルアミド系単量体が、ビニルシアン系単量体、およびカルボキシル基を有するアクリル系単量体と共重合体で製造される場合、二次電池の電解質に対する優れたぬれ性を奏することができ、バインダー自体が多孔性を有することができるため、バインダー内でも電解質が十分に保持され、優れたイオン伝導度でセパレータの安定性が向上することができる。より具体的には、前記アクリルアミド系単量体が、ビニルシアン系単量体、カルボキシル基を有するアクリル系単量体、および水酸化基を有するアクリル系単量体と共重合体で製造される場合、上述の物性がさらに向上することができる。
【0041】
前記ビニルシアン系単量体は、具体的な例として、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、またはこれらの混合物であってもよい。前記ビニルシアン系単量体が、アクリルアミド系単量体、およびカルボキシル基を有するアクリル系単量体と共重合体で製造される場合、多孔性基材および無機粒子との接着性および密着性が向上し、セパレータの剛性、曲げ強度などの機械的特性が向上することができる。より具体的には、前記ビニルシアン系単量体が、アクリルアミド系単量体、カルボキシル基を有するアクリル系単量体、および水酸化基を有するアクリル系単量体と共重合体で製造される場合、上述の物性がさらに向上することができる。
【0042】
前記カルボキシル基を有するアクリル系単量体は、具体的な例として、アクリル酸、メタクリル酸、またはこれらの混合物であってもよい。前記カルボキシル基を有するアクリル系単量体が、アクリルアミド系単量体およびビニルシアン系単量体と共重合体で製造される場合、高温におけるセパレータの熱収縮率が著しく減少し、優れた熱的安定性および低い放電抵抗増加率を有するため、初期寿命の急激な低下を防止することができる。より具体的には、前記カルボキシル基を有するアクリル系単量体は、アクリルアミド系単量体、ビニルシアン系単量体、および水酸化基を有するアクリル系単量体と共重合体で製造される場合、上述の物性がさらに向上することができる。
【0043】
前記水酸化基を有するアクリル系単量体は、具体的な例として、2-ヒドロキシアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-アクリルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、および2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレートなどから選択される何れか1つまたは2つ以上の混合物であってもよい。前記水酸化基を有するアクリル系単量体が、アクリルアミド系単量体、ビニルシアン系単量体、およびカルボキシル基を有するアクリル系単量体と共重合体で製造される場合、高温でもセパレータの熱収縮率が著しく減少し、優れた熱的安定性および低い放電抵抗増加率を有するため、初期寿命の急激な低下を防止することができる。
【0044】
前記バインダーが、アクリルアミド系単量体、ビニルシアン系単量体、およびカルボキシル基を有するアクリル系単量体を含む単量体混合物の共重合体を含むことで、本発明では、溶融破断温度などの熱的安定性が著しく向上し、バインダーの含量が増大しても、放電抵抗の増加率が低いため、初期寿命の急激な低下および劣化を防止することができる。より具体的には、前記単量体混合物に、水酸化基を有するアクリル系単量体をさらに含むと、上述の物性がさらに向上することができる。その理由は明らかではないが、単量体のカルボキシル基または水酸化基などの反応性基の熱的反応やその他の反応により、バインダーとバインダー、またはバインダーと無機粒子などの化学結合または二次結合などによって粒子間のさらに強固な結合を誘導する橋の役割をすることで、このような現象が現れると考えられる。
【0045】
本発明の一態様による二次電池用セパレータにおいて、前記バインダーは、前記コーティング層の全量100重量%に対して、0.5重量%以上30重量%以下で含まれてもよく、より具体的には、1重量%以上30重量%以下、2重量%以上30重量%以下、2重量%以上20重量%以下、2重量%以上15重量%以下、または5重量%以上15重量%以下であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0046】
前記バインダーは粒子相であってもよい。上記のように粒子相を有するバインダーを提供する場合、多孔性基材の気孔閉塞を防止することができ、リチウムイオンの移動が円滑であって二次電池の容量維持率などの電気的特性が著しく向上することができる。
【0047】
前記バインダーは、水系スラリー中において粒子相で提供され、平均粒径が10nm~2μmであり、より具体的には50~800nmであってもよい。前記平均粒径を有する場合、水系スラリー中で均一に分散され、コーティング層の形成時にコーティング層の気孔が容易に形成されるとともに、多孔性基材の気孔閉塞を防止することができるため、リチウムイオンの急激な移動および過負荷を防止することができる。
【0048】
前記バインダーは、ガラス転移温度が150~200℃であり、より具体的には170~200℃であってもよいが、これに制限されるものではない。前記ガラス転移温度を有する場合、160℃以上の高温で優れた熱的安定性を有するため、低い熱収縮率を有することができ、多孔性セパレータのメルトダウンが発生しても、多孔性基材上にコーティング層を維持することで、電極間短絡を防止することができるため、優れた電池安定性を有することができる。
【0049】
本発明の一態様による二次電池用セパレータにおいて、前記共重合体は、重量平均分子量が100,000~1,000,000g/molであり、より具体的には、重量平均分子量が100,000~500,000g/molであってもよいが、これに制限されるものではない。前記重量平均分子量を有する場合、水系スラリー中で均一な分散性を有することができて粘度調節が容易であり、コーティング層として形成された後に溶融破断温度などが向上し、熱的安定性が向上することができる。
【0050】
このように、本発明の一態様による二次電池用セパレータは、接着性を向上させるためにバインダーの含量を増大しても、セル内の抵抗増加率が低いため、二次電池の初期寿命の急激な低下を改善し、さらなる安定性およびコーティング工程性を確保することができる。
【0051】
本発明の二次電池用セパレータは、多孔性基材上に、無機粒子および上述のバインダーを含んで結合されたコーティング層を含むことで、高温における熱収縮率が減少し、溶融破断温度が著しく向上するため、熱的安定性が向上することができる。また、多孔性基材の気孔閉塞などを防止することで、リチウムイオンが円滑に移動可能であるため、リチウム二次電池の容量維持率がさらに向上することができる。
【0052】
また、前記コーティング層を含む二次電池用セパレータは、バインダーが粒子相で提供されることで、気孔閉塞によってリチウムイオンの移動が制限されることを防止し、圧力が加えられた時にも気孔を安定して維持することができる。
【0053】
本発明の一態様による二次電池用セパレータにおいて、前記コーティング層は、無機粒子とバインダー粒子との結合、および多孔性基材とバインダー粒子との結合からなってもよい。
【0054】
本発明の一態様による二次電池用セパレータにおいて、前記無機粒子としては、アルミナ(Alumina)、ベーマイト(Boehmite)、アルミニウムヒドロキシド(Aluminum Hydroxide)、チタンオキシド(Titanium Oxide)、バリウムチタンオキシド(Barium Titanium Oxide)、マグネシウムオキシド(Magnesium Oxide)、マグネシウムヒドロキシド(Magnesium Hydroxide)、シリカ(Silica)、クレー(Clay)、およびガラス粉末(Glass powder)などから選択される何れか1つまたは2つ以上の無機粒子であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0055】
前記無機粒子は、前記コーティング層の全量100重量%に対して、70重量%以上99.5重量%以下で含まれてもよく、より具体的には70重量%以上99重量%以下、70重量%以上98重量%以下、80重量%以上98重量%以下、85重量%以上98重量%以下、または85重量%以上95重量%以下で含まれてもよいが、これに制限されるものではない。
【0056】
コーティング層が上述の含量でバインダーおよび無機粒子を含む場合、コーティング層の気孔を確保することができ、多孔性基材とコーティング層または無機粒子と無機粒子の接着性を確保することができる。前記バインダーが高含量で含まれても、セル内の抵抗増加率が低いため、二次電池の初期寿命の急激な低下を防止することができ、さらなる安定性およびコーティング工程性を確保することができる。
【0057】
前記バインダーは粒子相であってもよく、前記無機粒子とバインダー粒子は、平均粒径が10nm~2μmであり、より具体的には50~800nmであってもよい。前記無機粒子とバインダー粒子の平均粒径は、それぞれ同一でもまたは異なってもよいが、セパレータの熱的安定性および電気的特性のためには異なることが好ましい。
【0058】
前記二次電池用セパレータの熱的安定性および電気的特性のために、平均粒径が異なることが好ましく、具体的な例として、前記無機粒子とバインダー粒子は、下記式1を満たす平均粒径比を有してもよい。
【0059】
【0060】
前記式1中、
前記Raはバインダー粒子の平均粒径であり、前記Riは無機粒子の平均粒径である。
【0061】
前記無機粒子とバインダー粒子が前記平均粒径比で含まれる場合、セパレータの熱的安定性がさらに向上することができる。また、バインダー粒子による無機粒子の部分的な接着または結合により、無機粒子の間または無機粒子と多孔性基材との間に生じる気孔を確保することができる。
【0062】
前記多孔性基材は、ポリオレフィン系樹脂などの本技術分野で採択する微多孔膜であれば制限されずに使用可能であり、更に、不織布、紙、およびこれらの微多孔膜の内部気孔または表面に無機粒子を含むなど、気孔を有し、且つ電池に適用可能な多孔膜であれば特に制限されない。
【0063】
前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂の単独または混合物であることが好ましく、具体的な例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびこれらの共重合体から選択される何れか1つまたは2つ以上の混合物であってもよい。また、前記多孔性基材は、前記ポリオレフィン樹脂の単独であってもよく、またはポリオレフィン樹脂を主成分とし、無機粒子または有機粒子をさらに含んで製造されたものであってもよい。また、前記多孔性基材は積層形態で使用可能であり、例えば、ポリオレフィン系樹脂が多層で構成されてもよく、多層で構成された基材層も、何れか1つの層または全ての層がポリオレフィン樹脂中に無機粒子および有機粒子を含むことも排除しない。
【0064】
前記多孔性基材の厚さは特に制限されないが、5~30μmであってもよい。前記多孔性基材は、主に延伸により作製された多孔性基材が採用可能であるが、これに制限されるものではない。
【0065】
本発明の一態様による二次電池用セパレータは、160℃での熱収縮率が3%以下、より具体的には160℃での熱収縮率が1.5%以下であって、非常に低い熱収縮率を有する。これにより、リチウム二次電池内の急激な温度上昇などの異常現象による発火や破裂を防止することができる。
【0066】
前記二次電池用セパレータは、溶融破断温度が180℃以上であってもよい。より具体的に、溶融破断温度が200℃以上であってもよい。本発明により製造された二次電池用セパレータは、上記のような物性を有することで、高温における収縮率が著しく低いため、熱的安定性が著しく向上し、バインダーの含量が高くても放電抵抗増加率が低いため、寿命改善の効果も有することができる。
【0067】
本発明の一態様による二次電池用セパレータの製造方法は、a)多孔性基材上に、無機粒子、バインダー、および水を含む水系スラリーを塗布するステップと、b)前記塗布ステップの後に、乾燥してコーティング層を形成するステップと、を含み、前記バインダーは、アクリルアミド系単量体、ビニルシアン系単量体、およびカルボキシル基を有するアクリル系単量体を含む単量体混合物の共重合体を含んでもよい。
【0068】
前記単量体混合物は、物性の向上のために、水酸化基を有するアクリル系単量体をさらに含んでもよい。
【0069】
前記製造方法により、熱的安定性が非常に向上し、電池の容量維持率などの容量特性が非常に向上したリチウム二次電池用セパレータを製造することができる。これは、後述の実施例からも裏付けられる。
【0070】
本発明を具体的に説明すると、
前記多孔性基材上に、無機粒子、バインダー、および水を含む水系スラリーを塗布するステップは、多孔性基材上に、熱的安定性および電気的特性に優れたコーティング層を形成するための水系スラリーを塗布するステップである。前記多孔性基材、無機粒子、およびバインダーの種類は上述のとおりであるため、その説明を省略する。
【0071】
前記水は、蒸留水、精製水などの水から選択される何れか1つまたは2つ以上の混合物を含んでもよい。
【0072】
また、上述のように、前記水系スラリー中のバインダーは粒子相で提供されてもよい。
【0073】
前記水系スラリーは、無機粒子およびバインダー粒子を含んで水に分散された形態であってもよい。具体的には、バインダー粒子をエマルションまたは懸濁重合により水に分散した粒子の形態で提供されることができる。前記バインダー粒子が分散された水に無機粒子を投入し分散させることで、水系スラリーを製造することができる。
【0074】
前記バインダー粒子は、エマルション重合または懸濁重合により、アクリルアミド系単量体、ビニルシアン系単量体、およびカルボキシル基を有するアクリル系単量体を含む単量体混合物の共重合体を含んでコーティング層として形成されることで、驚くべきことに、二次電池用セパレータは、160℃で著しく低い熱収縮率を有するため、著しく優れた熱的安定性および寿命改善効果を有することができる。また、前記二次電池用セパレータは、気孔閉塞によってリチウムイオンの移動が制限されることが防止され、圧力が加えられた時にも気孔が安定して維持されることができる。より具体的には、前記単量体混合物に、水酸化基を有するアクリル系単量体をさらに含む場合、上述の物性がさらに向上することができる。
【0075】
前記共重合体は、共重合体の全量を基準として、アクリルアミド系単量体30~50重量%、ビニルシアン系単量体20~40重量%、カルボキシル基を有するアクリル系単量体5~20重量%、および水酸化基を有するアクリル系単量体5~20重量%を含んでもよい。より具体的には、アクリルアミド系単量体40~50重量%、ビニルシアン系単量体30~40重量%、カルボキシル基を有するアクリル系単量体5~15重量%、および水酸化基を有するアクリル系単量体5~15重量%を含んでもよい。前記範囲の単量体混合物の共重合剤を含んでコーティング層が形成されることにより、セパレータが160℃で著しく低い熱収縮率を有するため、著しく優れた熱的安定性および寿命改善効果を有するコーティング層を製造することができる。
【0076】
前記b)ステップにおいて、乾燥温度は60~100℃であってもよい。前記乾燥を行うと、多孔性基材の物性に影響を与えることなく、均一にコーティング層を乾燥させ、コーティング不良を防止することができる。前記乾燥するステップは、多孔性基材上に塗布された水系スラリーの水乾燥、および無機粒子とバインダーの結合を誘導し、最終的にコーティング層を形成するステップである。
【0077】
本発明の一態様は、上述の二次電池用セパレータを含むリチウム二次電池を提供する。前記リチウム二次電池は、本発明の一態様による前記二次電池用セパレータと、正極と、負極と、非水電解液と、を含んで製造してもよい。
【0078】
前記二次電池用セパレータについての説明は上述のとおりであるため省略する。
【0079】
前記正極および負極は、正極活物質および負極活物質に、溶媒、必要に応じて、バインダー、導電材、分散材などを混合および撹拌して合剤を製造した後、それを金属材料の集電体に塗布して乾燥してからプレスすることで製造してもよい。
【0080】
前記正極活物質としては、二次電池の正極に通常用いられる活物質であれば使用可能である。例えば、Ni、Co、Mn、Na、Mg、Ca、Ti、V、Cr、Cu、Zn、Ge、Sr、Ag、Ba、Zr、Nb、Mo、Al、Ga、B、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは2つ以上の金属を含むリチウム金属酸化物粒子を用いてもよい。
【0081】
前記負極活物質としては、二次電池の負極に通常用いられる活物質であれば使用可能である。リチウム二次電池の負極活物質としては、リチウムの挿入(intercalation)が可能な物質が好ましい。非限定的な一例として、負極活物質としては、リチウム(金属リチウム)、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、グラファイト、シリコン、Sn合金、Si合金、Sn酸化物、Si酸化物、Ti酸化物、Ni酸化物、Fe酸化物(FeO)、およびリチウム-チタン酸化物(LiTiO2、Li4Ti5O12)の負極活物質群から選択される1つまたは2つ以上の物質が挙げられる。
【0082】
前記導電材としては、通常の導電性炭素材が特に制限されずに使用可能である。
【0083】
前記金属材料の集電体は、伝導性が高く、且つ前記正極活物質または負極活物質の合剤が容易に接着できる金属であって、電池の電圧範囲で反応性のないものであれば何れも使用可能である。正極集電体の非制限的な例としては、アルミニウム、ニッケル、またはこれらの組み合わせにより製造される箔などが挙げられ、負極集電体の非制限的な例としては、銅、金、ニッケル、または銅合金、またはこれらの組み合わせにより製造される箔などから選択されてもよい。
【0084】
前記正極と負極との間にはセパレータが介在されるが、セパレータを電池に適用する方法としては、通常の方法である巻取り(winding)の他にも、セパレータと電極の積層(lamination、stack)および折り畳み(folding)などが可能である。
【0085】
前記非水電解液は、電解質であるリチウム塩と有機溶媒を含む。リチウム塩は、リチウム二次電池用電解液に通常用いられるものなどが制限されずに使用可能であり、Li+X-で表されることができる。
【0086】
前記リチウム塩のアニオンとしては、特に制限されず、F-、Cl-、Br-、I-、NO3
-、N(CN)2
-、BF4
-、ClO4
-、PF6
-、(CF3)2PF4
-、(CF3)3PF3
-、(CF3)4PF2
-、(CF3)5PF-、(CF3)6P-、CF3SO3
-、CF3CF2SO3
-、(CF3SO2)2N-、(FSO2)2N-、CF3CF2(CF3)2CO-、(CF3SO2)2CH-、(SF5)3C-、(CF3SO2)3C-、CF3(CF2)7SO3
-、CF3CO2
-、CH3CO2
-、SCN-、および(CF3CF2SO2)2N-の何れか1つまたは2つ以上が使用可能である。
【0087】
前記有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、スルホラン、ガンマ-ブチロラクトン、およびテトラヒドロフランなどからなる群から選択される何れか1つまたは2つ以上の混合物が使用可能である。
【0088】
前記非水電解液は、正極、負極、および正極と負極との間に介在されたセパレータからなる電極構造体に注入することができる。
【0089】
前記リチウム二次電池の外形は特に制限されないが、缶を用いた円筒形、角形、パウチ(pouch)形、またはコイン(coin)形などから選択されてもよい。
【0090】
以上で説明したように、本発明の実施態様について詳細に述べたが、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の思想および範囲を逸脱することなく、本発明において様々な変形実施が可能である。したがって、本発明の後述の実施例の変更は、本発明の技術を逸脱しない。
【0091】
[物性測定方法]
熱収縮率の測定
セパレータの160℃での熱収縮率を測定する方法は、セパレータを、一辺が10cmである正四角形状に切って試料を製作した後、実験前に、試料をカメラを用いて測定および記録した。試料が真中に位置するように、試料の上と下にそれぞれA4紙を5枚ずつ置き、紙の四つの辺をクリップで固定した。紙で包まれた試料を、160℃の熱風乾燥オーブンに1時間放置した。放置が終了すると、試料を取り出してカメラで測定し、下記数学式1の長さ方向収縮率(MD、Machine Direction)および下記数学式2の幅方向収縮率(TD、Transverse Direction)を計算した。
【0092】
[数学式1]
長さ方向収縮率(%)=(加熱前の長さ方向の長さ-加熱後の長さ方向の長さ)×100/加熱前の長さ方向の長さ
【0093】
[数学式2]
幅方向収縮率(%)=(加熱前の幅方向の長さ-加熱後の幅方向の長さ)×100/加熱前の幅方向の長さ
【0094】
TMAおよび溶融破断温度
METTLER TOLEDO社のTMA(Thermo-mechanical analysis)装備を用いて、6mm×10mmのセパレータ試験片に0.015Nの重りをかけ、5℃/minの速度で昇温した。
【0095】
TMA溶融破断温度は、試験片の破断が発生する温度であって、溶融破断が起こらないサンプルの場合は、勾配が最大である時を基準としてx軸と会う温度と定義する。
【0096】
引張強度の測定
セパレータの引張強度を測定する方法は、ASTM D882規格に準じて、セパレータの引張強度を長さ方向(MD、Machine Direction)と幅方向(TD、Transverse Direction)にそれぞれ測定した後、長さ方向と幅方向のうち、より低い値をセパレータの引張強度と定義する。それぞれの試料は、幅15mm、高さ120mmの直四角形状に切って製作し、延伸機を用いて500mm/minの速度で引っ張り、セパレータ試料が切断される時の強度(kgf)を試料の幅(15mm)で除した値を記録して比較した。
【0097】
放電抵抗の測定
放電抵抗の増加は、電池のSOC50状態で、80Aで10sec放電し、10sec充電して、変化した電位の変化を電流で除して確認した。
【0098】
電池寿命の測定
前記組み立て過程を経て製造した各電池を、1Cの放電速度で500回充放電した後、放電容量を測定し、初期容量に対する減少程度を測定するサイクル(Cycle)評価を行った。
【0099】
電池厚さの測定
電池の充放電時に、電極板とセパレータとの間の浮き上がり現象および電池の変形有無を確認するために、500回充放電した後、Thickness Gauge(ミツトヨ社製)を用いて電池の厚さを測定した。それを充放電前の厚さと比較し、次の数学式3の電池厚さ増加率を測定した。
【0100】
[数学式3]
電池厚さ増加率(%)=(B-A)/AX100
A:充放電前の電池の厚さ(mm)
B:充放電後の電池の厚さ(mm)
【0101】
電池の釘刺し評価
電池の安全性を測定するために、製造した各電池をSOC(充電率)100%に完全に充電させた後、釘刺し(nail penetration)評価を行った。この際、釘の直径は3.0mm、釘刺し速度は何れも80mm/minと固定した。L1:変化なし、L2:わずかな発熱、L3:漏液、L4:発煙、L5:発火であり、L1~L3はPass、L4~L5はFailと判定した。
【0102】
容量維持率の測定
製造されたリチウム二次電池に対して、各0.5Cでの放電容量を100%とみなしたときに、C-rateによる容量維持率を測定した。
【0103】
[実施例1~11および比較例1~7:セパレータの製造]
実施例1
イオン水100重量部、乳化剤としてn-ドデシルメルカプタン(n-dodecyl mercaptan)0.60重量部、単量体混合物であるアクリルアミド35重量部、アクリロニトリル21重量部、アクリル酸7重量部、および2-ヒドロキシエチルアクリレート7重量部を混合して、単量体溶液を製造した。
【0104】
撹拌器、温度計、窒素投入口、循環コンデンサ付きの四口フラスコの反応器を準備し、前記反応器の内部温度が35℃になった時に、前記単量体溶液、および重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(benzoyl peroxide)0.001重量部とホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(SFS)0.020重量部を3時間滴下投入して反応を進行させた。その後、ベンゾイルパーオキサイド(benzoyl peroxide)0.0001重量部、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(SFS)0.002重量部を追加投入して残留単量体を除去し、2時間反応させてバインダー粒子を製造した。前記製造されたバインダー粒子は、ラテックス形態で平均粒径は110nmであった。
【0105】
水100重量部に、前記バインダー粒子10重量部を添加して分散させた後、平均粒径500nmサイズのベーマイト(γ-AlO(OH))(Nabaltec社製、Apyral AOH60)90重量部を添加して撹拌することで、均一な水系スラリーを製造した。
【0106】
多孔性基材としては、厚さ9μmのポリオレフィン微多孔膜製品(ENPASS、SKイノベーション製)を使用し、スロットコーティングダイを用いて10m/minの速度で、基材の両面に前記水系スラリーをコーティングした後、乾燥および巻取りを行った。
【0107】
乾燥後の両面コーティング層の厚さはそれぞれ6μmであった。
【0108】
実施例2
単量体混合物として、アクリルアミド28重量部、アクリロニトリル28重量部、アクリル酸7重量部、および2-ヒドロキシエチルアクリレート7重量部を使用した点を除き、前記実施例1と同様の方式によりセパレータを製造した。前記製造されたバインダー粒子は、ラテックス形態で平均粒径は115nmであり、乾燥後の両面コーティング層の厚さはそれぞれ5.5μmであった。
【0109】
実施例3
単量体混合物として、アクリルアミド21重量部、アクリロニトリル28重量部、アクリル酸10.5重量部、および2-ヒドロキシエチルアクリレート10.5重量部を使用した点を除き、前記実施例1と同様の方式によりセパレータを製造した。前記製造されたバインダー粒子は、ラテックス形態で平均粒径は135nmであり、乾燥後の両面コーティング層の厚さはそれぞれ6μmであった。
【0110】
実施例4
単量体混合物として、アクリルアミド38.5重量部、アクリロニトリル24.5重量部、アクリル酸3.5重量部、および2-ヒドロキシエチルアクリレート3.5重量部を使用した点を除き、前記実施例1と同様の方式によりセパレータを製造した。前記製造されたバインダー粒子は、ラテックス形態で平均粒径は125nmであり、乾燥後の両面コーティング層の厚さはそれぞれ5μmであった。
【0111】
実施例5
単量体混合物として、アクリルアミド21重量部、アクリロニトリル21重量部、アクリル酸14重量部、および2-ヒドロキシエチルアクリレート14重量部を使用した点を除き、前記実施例1と同様の方式によりセパレータを製造した。前記製造されたバインダー粒子は、ラテックス形態で平均粒径は120nmであり、乾燥後の両面コーティング層の厚さはそれぞれ6μmであった。
【0112】
実施例6
単量体混合物として、アクリルアミド35重量部、アクリロニトリル24.5重量部、アクリル酸7重量部、および2-ヒドロキシエチルアクリレート3.5重量部を使用した点を除き、前記実施例1と同様の方式によりセパレータを製造した。前記製造されたバインダー粒子は、ラテックス形態で平均粒径は130nmであり、乾燥後の両面コーティング層の厚さはそれぞれ5.5μmであった。
【0113】
実施例7
単量体混合物として、アクリルアミド35重量部、アクリロニトリル24.5重量部、アクリル酸3.5重量部、および2-ヒドロキシエチルアクリレート7重量部を使用した点を除き、前記実施例1と同様の方式によりセパレータを製造した。前記製造されたバインダー粒子は、ラテックス形態で平均粒径は121nmであり、乾燥後の両面コーティング層の厚さはそれぞれ5.5μmであった。
【0114】
実施例8
水100重量部に、前記バインダー粒子2重量部を添加して分散させた後、平均粒径500nmサイズのベーマイト(γ-AlO(OH))(Nabaltec社製、Apyral AOH60)98重量部を使用した点を除き、前記実施例1と同様の方式によりセパレータを製造した。乾燥後の両面コーティング層の厚さはそれぞれ6μmであった。
【0115】
実施例9
水100重量部に、前記バインダー粒子5重量部を添加して分散させた後、平均粒径500nmサイズのベーマイト(γ-AlO(OH))(Nabaltec社製、Apyral AOH60)95重量部を使用した点を除き、前記実施例1と同様の方式によりセパレータを製造した。乾燥後の両面コーティング層の厚さはそれぞれ5μmであった。
【0116】
実施例10
水100重量部に、前記バインダー粒子15重量部を添加して分散させた後、平均粒径500nmサイズのベーマイト(γ-AlO(OH))(Nabaltec社製、Apyral AOH60)85重量部を使用した点を除き、前記実施例1と同様の方式によりセパレータを製造した。乾燥後の両面コーティング層の厚さはそれぞれ5.5μmであった。
【0117】
実施例11
バインダー粒子ラテックスの平均粒径が350nmとなるように製造して使用した点を除き、前記実施例1と同様の方式によりセパレータを製造した。乾燥後の両面コーティング層の厚さはそれぞれ5.5μmであった。
【0118】
比較例1
単量体混合物として、アクリルアミド28重量部、アクリロニトリル35重量部、およびアクリル酸7重量部を使用した点を除き、前記実施例1と同様の方式によりセパレータを製造した。前記製造されたバインダー粒子は、ラテックス形態で平均粒径は205nmであり、乾燥後に測定した両面コーティング層の厚さはそれぞれ5μmであった。
【0119】
比較例2
単量体混合物として、アクリルアミド21重量部、アクリロニトリル42重量部、および2-ヒドロキシエチルアクリレート7重量部を使用した点を除き、前記実施例1と同様の方式によりセパレータを製造した。前記製造されたバインダー粒子は、ラテックス形態で平均粒径は175nmであり、乾燥後の両面コーティング層の厚さはそれぞれ5μmであった。
【0120】
比較例3
単量体混合物として、アクリルアミド56重量部、アクリル酸7重量部、および2-ヒドロキシエチルアクリレート7重量部を使用した点を除き、前記実施例1と同様の方式によりセパレータを製造した。前記製造された共重合体は、イオン水に分散された形態で製造され、乾燥後の両面コーティング層の厚さはそれぞれ6μmであった。
【0121】
比較例4
単量体混合物として、アクリロニトリル56重量部、アクリル酸7重量部、および2-ヒドロキシエチルアクリレート7重量部を使用した点を除き、前記実施例1と同様の方式によりセパレータを製造した。前記製造されたバインダー粒子は、ラテックス形態で平均粒径は120nmであり、乾燥後の両面コーティング層の厚さはそれぞれ5.5μmであった。
【0122】
比較例5
ジメチルスルホキシド(Dimethylsulfoxide、DMSO)に30重量%で溶解したポリビニリデンフルオリドバインダー10重量部(固形分基準)および平均粒径500nmサイズのベーマイト(γ-AlO(OH))(Nabaltec社製、Apyral AOH60)90重量部を混合して撹拌することで、均一なスラリーを製造した。
【0123】
多孔性基材としては、厚さ9μmのポリオレフィン微多孔膜製品(ENPASS、SKイノベーション製)を使用し、スロットコーティングダイを用いて10m/minの速度で基材の両面にコーティングした。乾燥後の両面コーティング層の厚さはそれぞれ5μmであった。
【0124】
比較例6
水100重量部に、Tgが-52℃であるアクリルラテックス(Acrylic latex、商品名:BM900B、固形分:20重量%)10重量部および平均粒径500nmサイズのベーマイト(γ-AlO(OH))(Nabaltec社製、Apyral AOH60)90重量部を使用した点を除き、前記実施例1と同様の方式によりセパレータを製造した。乾燥後の両面コーティング層の厚さはそれぞれ6μmであった。
【0125】
比較例7
水100重量部に、Tgが-52℃であるアクリルラテックス(Acrylic latex、商品名:BM900B、固形分:20重量%)15重量部および平均粒径500nmサイズのベーマイト(γ-AlO(OH))(Nabaltec社製、Apyral AOH60)96重量部を使用した点を除き、前記実施例1と同様の方式によりセパレータを製造した。乾燥後の両面コーティング層の厚さはそれぞれ5.5μmであった。
【0126】
[実施例12~22および比較例8~14:リチウム二次電池の製造]
(1)正極の製造
正極活物質としてLiCoO2を94重量%、接着剤としてフルオリド(Polyvinylidene fluoride)を2.5重量%、導電剤としてカーボンブラック(Carbon-black)を3.5重量%で、溶剤であるNMP(N-methyl-2-pyrrolidone)に添加して撹拌することで、均一な正極スラリーを製造した。スラリーを厚さ30μmのアルミニウム箔上にコーティングし、120℃の温度で乾燥した後、圧着することで、厚さ150μmの正極極板を製造した。
【0127】
(2)負極の製造
負極活物質として人造黒鉛を95重量%、接着剤としてTgが-52℃であるアクリルラテックス(Acrylic latex、商品名:BM900B、固形分:20重量%)を3重量%、増粘剤としてCMC(Carboxymethyl cellulose)を2重量%の比率で、溶媒である水に添加して撹拌することで、均一な負極スラリーを製造した。スラリーを厚さ20μmの銅箔上にコーティングし、120℃の温度で乾燥した後、圧着することで、厚さ150μmの負極極板を製造した。
【0128】
(3)電池の製造
前記製造された正極、負極、および実施例1~11および比較例1~7で製造されたセパレータを用いて、積層(Stacking)方式によりパウチ形電池を組み立てた。組み立てられた各電池に、1Mのリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF6)が溶解されたエチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)/ジメチルカーボネート(DMC)=3:5:2(体積比)の電解液を注入してリチウム二次電池を製造した。
【0129】
前記実施例1~11および比較例1~7のセパレータの特性評価結果は表1に示し、実施例12~22および比較例8~14のリチウム二次電池の評価結果は表2に示し、実施例12~22および比較例8~14のリチウム二次電池のC-rateによる容量維持率の測定結果は表3に示した。表3の容量維持率の単位はmAh/gであり、正極活物質の質量に対する容量を示す。
【0130】
【0131】
前記表1に示したように、多孔性基材の両面に、アクリルアミド系単量体、ビニルシアン系単量体、カルボキシル基を有するアクリル系単量体、および水酸化基を有するアクリル系単量体を含む単量体混合物の共重合体で製造されたバインダー粒子および無機粒子を含むコーティング層が形成された実施例のセパレータは、比較例に比べて160℃での熱収縮率が低く、TMA溶融破断温度が著しく増加して、セパレータの熱的安定性が著しく向上したことを確認することができる。
【0132】
一方、実施例1と実施例11を比較すると、バインダー粒子および無機粒子は、上述の式1を満たす平均粒径比を有する場合に、熱的特性がより増大することを確認し、より向上した熱的安定性が実現できることを確認した。
【0133】
また、実施例1-3、5-7と実施例4を比較すると、バインダー粒子が、アクリルアミド系単量体30~50重量%、ビニルシアン系単量体20~40重量%、カルボキシル基を有するアクリル系単量体5~20重量%、および水酸化基を有するアクリル系単量体5~20重量%の範囲で製造される場合に、より向上した熱的安定性およびセパレータの強度を示すことができることを確認した。
【0134】
尚、実施例1、2、6、および7と実施例3および5を比較すると、バインダー粒子が、アクリルアミド系単量体40~50重量%、ビニルシアン系単量体30~40重量%、カルボキシル基を有するアクリル系単量体5~15重量%、および水酸化基を有するアクリル系単量体5~15重量%を含む場合に、より優れた熱的安定性を示すことを確認した。
【0135】
また、比較例3のように、水系スラリー中に分散された形態のバインダーが製造される場合、熱的安定性が低下することを確認することができた。
【0136】
また、従来用いられる比較例5のポリビニリデンフルオリド、および比較例6、7のガラス転移温度が著しく低いアクリル系重合体をコーティング層に用いる場合、160℃での熱収縮率が実施例に比べて高く、TMA溶融破断温度が低いことを確認することができた。尚、低い熱的安定性により、高温で多孔性基材のシャットダウンまたはメルトダウンが発生した時に、電極間の短絡防止が困難であって電池の安定性が減少することを確認した。
【0137】
【0138】
前記表2に示したように、多孔性基材の両面に、アクリルアミド系単量体、ビニルシアン系単量体、カルボキシル基を有するアクリル系単量体、および水酸化基を有するアクリル系単量体を含む単量体混合物の共重合体で製造されたバインダー粒子および無機粒子を含むコーティング層が形成された実施例のセパレータを含むリチウム二次電池は、低い放電抵抗を有し、著しく向上した熱的安定性により、電池釘刺しにもかかわらず電極間の短絡が防止され、初期に対する電池寿命放電容量の比率、電池厚さの変化、および電池釘刺し安定性などの電池の安定性が著しく増加することを確認した。
【0139】
一方、バインダー粒子および無機粒子が上述の式1を満たす平均粒径比を有する場合、実施例12と実施例22を比較すると、優れた耐熱性、初期に対する電池寿命放電容量の比率、電池厚さの変化、および電池釘刺し安定性などがさらに増大することを確認し、より向上した電池の安定性が実現できることを確認した。
【0140】
また、実施例12-14、16-18と実施例15を比較すると、本発明のバインダー粒子が、アクリルアミド系単量体30~50重量%、ビニルシアン系単量体20~40重量%、カルボキシル基を有するアクリル系単量体5~20重量%、および水酸化基を有するアクリル系単量体5~20重量%の範囲で製造される場合に、優れた熱的安定性およびセパレータの強度を示すため、さらに向上した電池寿命の改善効果および安定性を示すことを確認した。
【0141】
尚、実施例12、13、17、および18と実施例14および16を比較すると、バインダー粒子が、アクリルアミド系単量体40~50重量%、ビニルシアン系単量体30~40重量%、カルボキシル基を有するアクリル系単量体5~15重量%、および水酸化基を有するアクリル系単量体5~15重量%を含む場合に、より優れた電池寿命の改善効果および安定性を示すことを確認した。
【0142】
また、比較例10のように、水系スラリー中に粒子相のバインダーを含まないコーティング層を含む場合には、多孔性基材の気孔にバインダーが浸透し、気孔閉塞が発生してリチウムイオンの移動が制限されるため、過熱および過負荷による発火、爆発などが発生した。
【0143】
また、実施例19~21から確認されるように、本発明のバインダー粒子を含む場合、バインダー粒子の含量が増加しても放電抵抗の増加率が低いため、初期寿命の急激な低下を防止し、長期間にわたって優れた電池特性を実現することができることが分かる。
【0144】
また、従来用いられる比較例12のポリビニリデンフルオリド、および比較例13、14のガラス転移温度が著しく低いアクリル系重合体をコーティング層に使用した場合、低い熱的安定性により、高温で多孔性基材のシャットダウンまたはメルトダウンが発生した時に、電極間の短絡が防止されにくく、電池の安定性が減少することを確認することができた。
【0145】
【0146】
前記表3に示したように、多孔性基材の両面に、アクリルアミド系単量体、ビニルシアン系単量体、カルボキシル基を有するアクリル系単量体、および水酸化基を有するアクリル系単量体を含む単量体混合物の共重合体で製造されたバインダー粒子および無機粒子を含むコーティング層が形成された実施例のセパレータを含むリチウム二次電池は、C-rateによる容量維持率が著しく向上したことを確認することができた。
【0147】
バインダー粒子および無機粒子が上述の式1を満たす平均粒径比を有する場合、実施例12と実施例22を比較すると、より向上したC-rateによる容量維持率を有することを確認することができた。
【0148】
また、実施例12-14、16-18と実施例15を比較すると、本発明のバインダー粒子が、アクリルアミド系単量体30~50重量%、ビニルシアン系単量体20~40重量%、カルボキシル基を有するアクリル系単量体5~20重量%、および水酸化基を有するアクリル系単量体5~20重量%の範囲で製造される場合に、優れた熱的安定性およびセパレータの強度を示すため、さらに向上したC-rateによる容量維持率の向上効果を示すことを確認した。
【0149】
尚、実施例12、13、17、および18と実施例14および16を比較すると、バインダー粒子が、アクリルアミド系単量体40~50重量%、ビニルシアン系単量体30~40重量%、カルボキシル基を有するアクリル系単量体5~15重量%、および水酸化基を有するアクリル系単量体5~15重量%を含む場合に、より優れたC-rateによる容量維持率を示すことを確認した。
【0150】
また、従来用いられる比較例12のポリビニリデンフルオリド、および比較例13、14のガラス転移温度が著しく低いアクリル系重合体をコーティング層に使用した場合、電池の容量維持率が実施例に比べて急激に劣る特性を示すことを確認することができた。
【0151】
したがって、本発明の二次電池用セパレータは、優れた熱的安定性および電池安定性を有するだけでなく、容量維持率などの電気的特性にも優れるため、リチウム二次電池に適用した時に、著しく優れた特性を示すことができる。
【0152】
以上のように、本発明では特定事項と限定された実施例を挙げて二次電池用セパレータ、その製造方法、およびそれを含むリチウム二次電池が説明されたが、これは本発明のより全般的な理解のために提供されたものにすぎず、本発明が上記の実施例に限定されるものではなく、本発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、このような記載から様々な修正および変形が可能である。
【0153】
したがって、本発明の思想は、説明された実施例に限定して決まってはならず、添付の特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等または等価的変形がある全てのものなどは、本発明の思想の範囲に属するといえる。