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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】作業車両及び泥よけの着脱方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/18 20060101AFI20230721BHJP
   E02F 9/02 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
B62D25/18 B
E02F9/02 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019057879
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020157867
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 惇一郎
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04735428(US,A)
【文献】実開昭53-108043(JP,U)
【文献】実開昭47-006531(JP,U)
【文献】米国特許第04180230(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/18
E02F 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に取り付けられる泥よけ装置と、
を備え、
前記泥よけ装置は、
前記車体に固定される円筒状の支持パイプと、
前記支持パイプに挿入することで支持される支持軸と、
前記支持軸に支持される泥よけと、
を有し、
前記支持パイプは、前記支持パイプの軸心を中心とする周方向に延びる凹部を有し、
前記支持軸は、外表面上に配置される第1凸部を有する、
作業車両。
【請求項2】
車体と、
前記車体に取り付けられる泥よけ装置と、
を備え、
前記泥よけ装置は、
前記車体に固定される円筒状の支持パイプと、
前記支持パイプに挿入することで支持される支持軸と、
前記支持軸に支持される泥よけと、
を有し、
前記支持パイプは、内表面上に配置される第1凸部を有し、
前記支持軸は、前記支持パイプの軸心を中心とする周方向に延びる凹部を有する、
作業車両。
【請求項3】
前記第1凸部は、前記支持軸を前記軸心周りに回動させることによって、前記凹部に挿入される第1位置と、前記凹部の外に配置される第2位置との間を移動可能である、
請求項又はに記載の作業車両。
【請求項4】
前記泥よけ装置は、前記支持軸と前記泥よけとの間に配置される取付け部と、前記取付け部に取付けられる取っ手とを有し、
前記取っ手は、作業者の手によって把持される把持部を含む、
請求項に記載の作業車両。
【請求項5】
前記第1凸部が前記第1位置に位置する場合、前記泥よけ装置のうち前記支持軸と前記支持軸によって支持された部材との集合体の重心は、鉛直方向において前記軸心から離れている、
請求項に記載の作業車両。
【請求項6】
前記第1凸部が前記第2位置に位置する場合、前記把持部は、鉛直方向において、前記泥よけ装置のうち前記支持軸と前記支持軸によって支持された部材との集合体の重心と重なる、
請求項又はに記載の作業車両。
【請求項7】
前記泥よけ装置は、前記支持パイプに連なる支持板と、前記支持板と前記取付け部とを連結する連結具とを有する、
請求項乃至のいずれかに記載の作業車両。
【請求項8】
前記支持軸は、前記外表面上に配置される第2凸部を有し、
前記支持パイプは、前記支持軸が挿入される円筒部と、前記凹部が形成された受け部とを含み、
前記第1凸部が前記第1位置に位置する場合、前記第2凸部は前記受け部と当接し、前記第1凸部は前記凹部の内周面から離れている、
請求項に記載の作業車両。
【請求項9】
前記支持パイプは、前記内表面上に配置される第2凸部を有し、
前記支持軸は、前記支持パイプに挿入される挿入部に形成される受け部を有し、
前記第1凸部が前記第1位置に位置する場合、前記第2凸部は前記受け部と当接し、前記第1凸部は前記凹部の内周面から離れている、
請求項に記載の作業車両。
【請求項10】
前記受け部のうち前記第2凸部と当接する受け面は、略水平に形成される、
請求項又はに記載の作業車両。
【請求項11】
作業車両の車体に固定される円筒状の支持パイプに支持される支持軸を前記支持パイプから引き抜くことによって、前記支持軸に支持される泥よけを取り外す工程と、
前記支持パイプに前記支持軸を挿入することによって、前記泥よけを取り付ける工程と、
を備え
前記支持パイプは、前記支持パイプの軸心を中心とする周方向に延びる凹部を有し、
前記支持軸は、外表面上に配置される第1凸部を有する、
泥よけの着脱方法。
【請求項12】
作業車両の車体に固定される円筒状の支持パイプに支持される支持軸を前記支持パイプから引き抜くことによって、前記支持軸に支持される泥よけを取り外す工程と、
前記支持パイプに前記支持軸を挿入することによって、前記泥よけを取り付ける工程と、
を備え、
前記支持パイプは、内表面上に配置される第1凸部を有し、
前記支持軸は、前記支持パイプの軸心を中心とする周方向に延びる凹部を有する、
泥よけの着脱方法。
【請求項13】
車体と、
前記車体に取り付けられる泥よけ装置と、
を備え、
前記泥よけ装置は、
前記車体に固定される支持軸と、
前記支持軸が挿入されることで支持される円筒状の支持パイプと、
前記支持パイプに支持される泥よけと、
を有し、
前記支持軸は、前記支持パイプの軸心を中心とする周方向に延びる凹部を有し、
前記支持パイプは、内表面上に配置される第1凸部を有する、
作業車両。
【請求項14】
車体と、
前記車体に取り付けられる泥よけ装置と、
を備え、
前記泥よけ装置は、
前記車体に固定される支持軸と、
前記支持軸が挿入されることで支持される円筒状の支持パイプと、
前記支持パイプに支持される泥よけと、
を有し、
前記支持軸は、外表面上に配置される第1凸部を有し、
前記支持パイプは、前記支持パイプの軸心を中心とする周方向に延びる凹部を有する、
作業車両。
【請求項15】
作業車両の車体に固定される支持軸が挿入されることで支持される円筒状の支持パイプを、前記支持軸から引き抜くことによって、前記支持パイプに支持される泥よけを取り外す工程と、
前記支持パイプを前記支持軸に挿入することによって、前記泥よけを取り付ける工程と、
を備え
前記支持軸は、前記支持パイプの軸心を中心とする周方向に延びる凹部を有し、
前記支持パイプは、内表面上に配置される第1凸部を有する、
泥よけの着脱方法。
【請求項16】
作業車両の車体に固定される支持軸が挿入されることで支持される円筒状の支持パイプを、前記支持軸から引き抜くことによって、前記支持パイプに支持される泥よけを取り外す工程と、
前記支持パイプを前記支持軸に挿入することによって、前記泥よけを取り付ける工程と、
を備え、
前記支持軸は、外表面上に配置される第1凸部を有し、
前記支持パイプは、前記支持パイプの軸心を中心とする周方向に延びる凹部を有する、
泥よけの着脱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両及び泥よけの着脱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、作業車両の走行輪の外周に配置される泥よけ装置として、車体に固定される固定泥よけと、固定泥よけに取付けられる追加泥よけとを備えるものが提案されている。
【0003】
追加泥よけは、ボルトによって固定泥よけに固定されている。整備作業を行う場合などには、ボルトを抜き差しすることによって追加泥よけを固定泥よけから取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-321720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の泥よけ装置では、固定泥よけを着脱できないだけでなく、追加泥よけを着脱する際には、ボルトを抜き差しするために工具を使用する必要があり煩雑である。
【0006】
本発明の目的は、泥よけを簡便に着脱可能な作業車両及び泥よけの着脱方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る作業車両は、車体と、前記車体に取り付けられる泥よけ装置とを備える。前記泥よけ装置は、車体に固定される円筒状の支持パイプと、支持パイプに挿入することで支持される支持軸と、支持軸に支持される泥よけとを有する。
【0008】
第2の態様に係る作業車両は、車体と、車体に取り付けられる泥よけ装置とを備える。泥よけ装置は、車体に固定される支持軸と、支持軸が挿入されることで支持される円筒状の支持パイプと、支持パイプに支持される泥よけとを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、泥よけを簡便に着脱可能な作業車両及び泥よけの着脱方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るホイールローダの側面図。
図2】実施形態に係るエンジンフードの斜視図。
図3】実施形態に係る泥よけ装置の斜視図。
図4】実施形態に係る泥よけ装置の斜視図。
図5】実施形態に係る支持部及び支持軸の後面図。
図6図4のA-A断面図。
図7】実施形態に係る泥よけの着脱方法の説明図。
図8】実施形態に係る泥よけの着脱方法の説明図。
図9】実施形態に係る泥よけの着脱方法の説明図。
図10】実施形態に係る泥よけの着脱方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に係るホイールローダ1の構成について、図面を参照しながら説明する。ホイールローダ1は、本発明に係る「作業車両」の一例である。
【0012】
以下の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」は、運転席から前方を見た状態を基準とする方向である。「上下方向」は、鉛直方向を意味する。「前後方向」は、車両の前後方向を意味する。「車幅方向」は、車両の左右方向を意味する。
【0013】
(ホイールローダ1)
図1は、実施形態に係るホイールローダ1を右側から見た側面図である。図2は、ホイールローダ1の後側を右後方から見た斜視図である。
【0014】
ホイールローダ1は、車体フレーム2と、作業機3と、複数の走行輪4と、キャブ5と、エンジンフード6と、左右一対のステップ7と、左右一対のフェンダー8と、左右一対の泥よけ装置9とを備える。ただし、図1では、複数の走行輪4、左右一対のステップ7、左右一対のフェンダー8、及び左右一対の泥よけ装置9のうち右側に配置されたもののみが図示されている。
【0015】
車体フレーム2は、アーティキュレート式であり、フロントフレーム10と、リアフレーム11とを有する。フロントフレーム10は、リアフレーム11の前方に配置される。
【0016】
作業機3は、フロントフレーム10の前部に装着される。作業機3は、ブーム12と、バケット13とを有する。ブーム12は、フロントフレーム10に回転可能に取付けられる。バケット13は、ブーム12の先端に回転可能に取付けられる。
【0017】
フロントフレーム10の左右には、左右一対の走行輪4が取付けられる。リアフレーム11の左右には、左右一対の走行輪4が取付けられる。
【0018】
キャブ5は、リアフレーム11上に載置される。キャブ5の内部には、運転席及び各種操作部材、表示装置などが配置される。
【0019】
エンジンフード6は、キャブ5の後方に配置される。エンジンフード6の内部には、エンジンなどの機器類が収容される。図2に示すように、エンジンフード6は、チルト式であり、前端部を上方かつ後方に跳ね上げることができる。
【0020】
各ステップ7は、リアフレーム11に取り付けられた各走行輪4の上方に配置される。図2に示すように、各ステップ7は、リアフレーム11に固定されている。各ステップ7は、作業者による整備作業時などに用いられる。
【0021】
各フェンダー8は、リアフレーム11に取り付けられた各走行輪4の上方かつ後方に配置される。各フェンダー8は、各ステップ7の後端から後方に伸びるように配置される。図2に示すように、各フェンダー8は、エンジンフード6に取り付けられている。
【0022】
各泥よけ装置9は、リアフレーム11に取り付けられた各走行輪4の後方に配置される。各泥よけ装置9は、各フェンダー8の後端部から下方に延びるように配置される。各泥よけ装置9は、各走行輪4による泥、砂、水などの巻き上げを抑える。各泥よけ装置9は、ホイールローダ1のリアフレーム11に取り付けられる。ただし、各泥よけ装置9は、ホイールローダ1の車体に取付けられていればよい。ホイールローダ1の車体とは、作業機3及び各走行輪4を除いた部位を意味する。
【0023】
(泥よけ装置9の構成)
左右一対の泥よけ装置9は、互いに左右対称な構成であるため、以下においては、図1及び図2に示した右側の泥よけ装置9の構成について説明する。
【0024】
図3は、泥よけ装置9を右側後方から見た斜視図である。図4は、泥よけ50が取り外された状態の泥よけ装置9を右側後方から見た斜視図である。図5は、支持部20及び支持軸30を後方から見た後面図である。図6は、図4のA-A断面図である。
【0025】
泥よけ装置9は、支持部20と、支持軸30と、取付け部40と、泥よけ50と、左取っ手60と、右取っ手70と、ファスナ80とを備える。
【0026】
1.支持部20
支持部20は、支持板21と、円筒状の支持パイプ22とを有する。
【0027】
支持板21は、板部材によって構成される。支持板21は、リアフレーム11(図2参照)に固定される。図3及び図4に示すように、支持板21は、複数のボルト23によってリアフレーム11に固定されているが、リアフレーム11に溶接されていてもよい。
【0028】
支持板21は、右側に突出する係止部24を有する。係止部24には、ファスナ80が係止される。
【0029】
支持パイプ22は、支持板21を介してリアフレーム11に固定される。図5及び図6に示すように、支持パイプ22は、支持板21に溶接されているが、ボルトによって支持板21に固定されていてもよい。また、支持パイプ22は、リアフレーム11に直接固定されていてもよい。
【0030】
支持パイプ22は、図5及び図6に示すように、円筒部25と、受け部26とを有する。
【0031】
円筒部25は、円筒状に形成される。円筒部25には、後述する支持軸30の第1部分31が挿入される。円筒部25は、軸心AXを中心として延びる。本実施形態において、軸心AXは、車幅方向と略平行であるが、車幅方向に対して傾斜していてもよい。軸心方向(軸心AXに平行な方向)における円筒部25の長さは適宜変更可能である。径方向(軸心AXに垂直な方向)における円筒部25の直径は適宜変更可能である。
【0032】
受け部26は、円筒部25に連なる。受け部26は、円筒部25の右端部から軸心方向に突出する。受け部26は、部分円筒状に形成される。受け部26は、軸心AXを中心とする周方向に湾曲した形状を有する。
【0033】
図5に示すように、受け部26には、凹部27が形成される。凹部27は、周方向に延びる。本実施形態において、凹部27は、下方に向かって凹状に形成されており、上方及び後方に向かって開口している。凹部27には、後述する支持軸30の第1凸部33が挿入される。
【0034】
図5に示すように、受け部26は、受け面28を有する。受け面28は、後述する支持軸30の第2凸部34に当接する。本実施形態において、受け面28は、受け部26の上面であり、略水平に形成されている。従って、水平方向を基準に受け面28を面出しすればよいため、受け面28を容易に形成することができる。
【0035】
2.支持軸30
支持軸30は、支持パイプ22に挿入することで支持される。支持軸30は、軸心AX周りに回動可能である。
【0036】
図5に示すように、支持軸30は、第1部分31と、第2部分32と、第1凸部33と、第2凸部34とを有する。
【0037】
第1部分31は、円柱状に形成される。第1部分31は、支持パイプ22の内側に挿入される。第1部分31は、支持パイプ22の軸心方向に延びる。第1部分31の軸心は、支持パイプ22の軸心AXと一致する。図6に示すように、第1部分31の一端部(左端部)は、支持部20の支持板21に当接する。
【0038】
第2部分32は、第1部分31に連なる。第2部分32は、支持軸30のうち支持パイプ22から露出した部分である。第2部分32は、円柱状に形成される。第2部分32は、車幅方向に延びる。ただし、第2部分32は、少なくとも支持パイプ22の受け部26と摺動する領域が円柱面状に形成されていればよく、第2部分32の形状は特に制限されない。第2部分32は、全体的あるいは部分的に湾曲又は屈曲していてもよいし、円柱状以外の形状を有していてもよい。
【0039】
第1凸部33は、本発明に係る「第1凸部」及び「凸部」の一例である。第1凸部33は、第2部分32の外表面上に配置される。第1凸部33は、支持パイプ22の受け部26に形成された凹部27に挿入される。この際、第1凸部33は、凹部27の内周面から離れている。図5に示すように、第1凸部33は矩形状に形成されているが、これに限られない。
【0040】
第1凸部33は、支持軸30を軸心AX周りに回動させることによって、凹部27に挿入される第1位置P1(図5の実線)と凹部27の外に配置される第2位置P2(図5の破線)との間を移動可能である。第1凸部33が第1位置P1と第2位置P2との間を移動する動きについては後述する。
【0041】
第2凸部34は、本発明に係る「第2凸部」の一例である。第2凸部34は、第2部分32の外表面上に配置される。第2凸部34は、支持パイプ22のうち受け部26の受け面28に当接する。図5に示すように、第2凸部34は矩形状に形成されているが、これに限られない。また、第2凸部34は、第1凸部33に連なっているが、第1凸部33から離れていてもよい。
【0042】
第2凸部34は、支持軸30を軸心AX周りに回動させることによって、受け部26の受け面28に当接する第3位置P3(図5の実線)と受け部26の受け面28から離れた第4位置P4(図5の破線)との間を移動可能である。第2凸部34が第3位置P3と第4位置P4との間を移動する動きについては後述する。
【0043】
3.取付け部40
図3に示すように、取付け部40は、支持軸30と泥よけ50との間に配置される。図4に示すように、取付け部40は、基部41と、延在部42とを有する。
【0044】
基部41は、支持軸30の第2部分32に固定される。基部41は、板部材によって構成される。基部41は、円柱状の第2部分32に沿って延びる。ただし、基部41の形状は特に制限されない。
【0045】
延在部42は、泥よけ50の揺れを抑えるための部材である。延在部42は、泥よけ50の前方に配置される。延在部42は、基部41から下方に延びる。延在部42は、平板状に形成される。ただし、延在部42の形状は特に制限されない。
【0046】
4.泥よけ50
図3に示すように、泥よけ50は、支持軸30に支持される。本実施形態において、泥よけ50は、取付け部40を介して支持軸30に支持されている。泥よけ50は、複数のボルト51によって取付け部40に固定される。
【0047】
泥よけ50は、シート状に形成される。泥よけ50は、可撓性を有する。泥よけ50は、例えば合成ゴムなどによって構成することができる。
【0048】
5.左取っ手60及び右取っ手70
左取っ手60及び右取っ手70は、それぞれ本発明に係る「取っ手」の一例である。図4に示すように、左取っ手60は、右取っ手70の側方(左側)に配置される。左取っ手60及び右取っ手70は、それぞれU字状に形成される。
【0049】
左取っ手60は、作業者の左手によって把持される左把持部61を有する。左把持部61は、円柱状に形成され、車幅方向に延びる。右取っ手70は、作業者の右手によって把持される右把持部71を有する。右把持部71は、円柱状に形成され、車幅方向に延びる。
【0050】
左取っ手60及び右取っ手70は、それぞれ取付け部40の基部41に取り付けられる。左取っ手60及び右取っ手70は、基部41に溶接されていてもよいし、ボルトによって固定されていてもよい。
【0051】
6.ファスナ80
ファスナ80は、本発明に係る「連結具」の一例である。ファスナ80は、支持板21と取付け部40とを連結する。ファスナ80は、走行中の振動などにより、泥よけ50が脱落することを防止するために設けられている。
【0052】
図4に示すように、ファスナ80は、フック81と、引っ張り機構82と、操作レバー83とを有する。
【0053】
フック81は、支持板21の係止部24に係止される。引っ張り機構82は、係止部24に係止されたフック81を右方に引っ張る。引っ張り機構82は、ばね等の弾性部材を用いて構成することができる。操作レバー83は、引っ張り機構82を操作するための部材である。作業者が操作レバー83を取付け部40側に押し込むと、フック81は係止部24に係止される。作業者が操作レバー83を後方に引くと、フック81の係止は解除される。
【0054】
(泥よけ50の着脱方法)
泥よけ50の着脱方法について、図7乃至図10を参照しながら説明する。図8及び図10は、泥よけ装置9を軸心方向から見た側面図である。
【0055】
1.泥よけ50の取り外し方法
まず、図7に示すように、支持軸30の第1凸部33は、凹部27に挿入された第1位置P1に位置する。このとき、支持軸30の第2凸部34は、受け部26の受け面28に当接する第3位置P3に位置する。第1凸部33は、凹部27の内周面から離れている。
【0056】
ここで、第1凸部33が第1位置P1に位置する場合、図8に示すように、泥よけ装置9のうち支持軸30によって支持された部材の集合体の重心9Qは、鉛直方向において、支持パイプ22の軸心AXから離れている。重心9Qは、鉛直方向において軸心AXと重ならない。そのため、第2凸部34を受け面28に対して付勢することができる。なお、本実施形態において、支持軸30と支持軸30によって支持された部材との集合体とは、泥よけ装置9のうち支持部20以外のすべての部材を意味する。
【0057】
次に、支持パイプ22の軸心AX周りに支持軸30を回動させる(第1工程)。作業者は、左取っ手60の左把持部61及び右取っ手70の右把持部71を把持して持ち上げることにより、支持軸30を回動させることができる。これにより、図9に示すように、第1凸部33は、凹部27の外に配置された第2位置P2に移動する。また、第2凸部34は、受け部26の受け面28から離れた第4位置P4に移動する。
【0058】
ここで、第1凸部33が第2位置P2に位置する場合、図10に示すように、左把持部61及び右把持部71は、鉛直方向において、上記集合体の重心9Qと重なる。図10に示す例では、左把持部61及び右把持部71が、上記集合体の重心9Qの鉛直方向上方に位置している。そのため、上記集合体は、第1凸部33が第2位置P2に移動した時点で安定するので、作業者は第1凸部33が凹部27の外に出たことを感覚的に把握できる。
【0059】
次に、支持パイプ22から支持軸30を引き抜くことによって、泥よけ50を取り外す(第2工程)。作業者は、左把持部61及び右把持部71を把持したまま右に移動させることによって、支持パイプ22から支持軸30を引き抜くことができる。
【0060】
その後、作業者は、泥よけ50が取り外された状態で、ホイールローダ1の整備作業を行うことができる。
【0061】
2.泥よけ50の取り付け方法
まず、支持パイプ22に支持軸30を挿入する(第3工程)。作業者は、左把持部61及び右把持部71を把持したまま左に移動させることによって、支持パイプ22に支持軸30を挿入することができる。このとき、図9に示すように、第1凸部33は第2位置P2に位置し、第2凸部34は第4位置P4に位置する。
【0062】
次に、支持軸30を支持パイプ22の軸心AX周りに回動させることによって、泥よけ50を取り付ける(第4工程)。作業者は、左把持部61及び右把持部71を把持したまま降ろすだけでよい。このとき、図7に示すように、第1凸部33は、第2位置P2から第1位置P1に移動し、第2凸部34は、第4位置P4から第3位置P3に移動する。
【0063】
(特徴)
本実施形態に係る泥よけ装置9は、円筒状の支持パイプ22と、支持パイプ22に挿入することで支持される支持軸30と、支持軸30に支持される泥よけ50とを有する。従って、工具を用いることなく、支持軸30に支持パイプ22を挿抜することによって、簡便に泥よけ50を着脱することができる。
【0064】
支持軸30は、外表面上に配置される第1凸部33を含む。支持パイプ22は、周方向に延びる凹部27を含む。第1凸部33は、支持軸30を軸心AX周りに回動させることによって、凹部27に挿入される第1位置P1と、凹部27の外に配置される第2位置P2との間を移動可能である。このように、第1凸部33が凹部27に挿入されているため、車体の振動や傾斜などによって泥よけ50が意図せず脱落してしまうことを抑制できる。
【0065】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0066】
(A)上記実施形態では、支持軸30が第1凸部33を有し、かつ、支持パイプ22が凹部27を有することとしたが、支持軸30は第1凸部33を有していなくてもよいし、支持パイプ22は凹部27を有していなくてもよい。この場合であっても、支持軸30に支持パイプ22を挿抜することによって、簡便に泥よけ50を着脱することができる。
【0067】
(B)上記実施形態では、支持軸30が第1凸部33を有し、かつ、支持パイプ22が凹部27を有することとしたが、支持パイプ22が第1凸部33を有し、かつ、支持軸30が凹部27をしていてもよい。この場合には、支持パイプ22の内表面上に第1凸部33を配置し、支持軸30の外表面に凹部27を形成すればよい。
【0068】
(C)上記実施形態において、支持軸30は、第2部分32の外表面上に配置された第2凸部34を有することとしたが、第2凸部34を有していなくてもよい。この場合、第1凸部33が凹部27の内周面に当接することになる。
【0069】
(D)上記実施形態において、泥よけ装置9は、取付け部40を有することとしたが、取付け部40を有していなくてもよい。この場合、泥よけ50、左取っ手60、右取っ手70及びファスナ80などは、支持軸30に直接取り付ければよい。
【0070】
(E)上記実施形態において、泥よけ装置9は、左取っ手60、右取っ手70及びファスナ80を有することとしたが、これらのうち少なくとも1つを有していなくてもよい。
【0071】
(F)上記実施形態では、支持部20は、支持板21を有することとしたが、支持板21を有していなくてもよい。この場合、係止部24は、支持パイプ22に固定すればよい。
【0072】
(G)上記実施形態では、支持パイプ22が車体に固定されることとしたが、支持軸30が車体に固定されていてもよい。支持パイプ22は支持軸30が挿入されることで支持され、泥よけ50は支持パイプ22に支持される。この場合、支持軸30が周方向に延びる凹部を有し、かつ、支持パイプ22が内表面上に配置された第1凸部を有していてもよい。或いは、支持軸30がその外表面上に配置された第1凸部を有し、かつ、支持パイプ22が周方向に延びる凹部を有していてもよい。車体に固定される支持軸30が挿入されることで支持される円筒状の支持パイプ22を、支持軸30から引き抜くことによって、支持パイプ22に支持される泥よけ50を取り外すことができる。また、支持パイプ22を支持軸30に挿入することによって、泥よけ50を取り付けることができる。
【0073】
(H)上記実施形態では、作業車両の一例としてホイールローダ1について説明したが、本発明に係る泥よけ装置9の構造は、フォークリフトなど他の作業車両にも広く適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 ホイールローダ(作業車両の一例)
9 泥よけ装置
20 支持部
21 支持板
22 支持パイプ
25 円筒部
26 受け部
27 凹部
28 受け面
AX 支持パイプの軸心
30 支持軸
31 第1部分
32 第2部分
33 第1凸部(凸部の一例)
P1 第1位置
P2 第2位置
34 第2凸部
P3 第1位置
P4 第2位置
40 取付け部
50 泥よけ
60 左取っ手
70 右取っ手
80 ファスナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10