(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20230721BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
B65G1/04 521
B65G1/00 511J
(21)【出願番号】P 2019080372
(22)【出願日】2019-04-19
(62)【分割の表示】P 2018208866の分割
【原出願日】2018-11-06
【審査請求日】2021-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2018030693
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏志
(72)【発明者】
【氏名】日野 克美
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-019917(JP,A)
【文献】特開2011-088681(JP,A)
【文献】特開2017-160040(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0301810(US,A1)
【文献】特開2006-248746(JP,A)
【文献】特開2001-151307(JP,A)
【文献】実開昭51-087886(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0129469(US,A1)
【文献】特開平11-189315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ荷を保管可能な、第1方向に並置された複数の保管部をそれぞれ有する複数の保管行と、
荷を搭載して前記保管行を前記第1方向に移動可能な第1台車と、
前記保管行を前記第1方向に移動可能であり、前記第1台車と異なる構成を有し、人を載せるための第2台車と、
前記第1台車の移動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第2台車が目的の対象保管部へ移動する際に、前記複数の保管行のうち前記対象保管部を含む所定範囲内における荷の搬入及び搬出を禁止するとともに、前記複数の保管行のうち前記所定範囲を除く他の保管部における荷の搬入及び搬出を許容するように制御し、
前記第2台車を搭載して前記第1方向と交差する第2方向に搬送する第3台車を備え、
前記複数の保管行の少なくとも一部が上下方向に層状に重ねられた複数段の保管ステージを含む保管棚を備え、
前記第2台車を使用するときは、前記保管棚外に保管した前記第2台車を前記第3台車に搭載して前記対象保管部が属する保管行へ搬送することを特徴とする自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
少ないスペースで多数の荷を効率的に入庫・出庫可能な自動倉庫システムが知られている。自動倉庫システムとしては様々な構成が提案されている。例えば、特許文献1には、物品を複数収容できる保管棚が複数配置された大型倉庫等において、指定された物品を保管棚の所定の保管部に対して搬入もしくは搬出を行う搬送台車を備えた倉庫が記載されている。特許文献1に記載の倉庫では、搬送台車が敷設されたレール上を自走し、指定された保管棚に対してアクセスすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、自動倉庫システムについて以下の認識を得た。
自動倉庫システムにおいて、保管棚に対する荷の搬入・搬出を自動化するために、各保管棚に接続されるレールを設け、このレール上を自走可能な台車によって、荷を搬送することが考えられる。このような自動倉庫システムでは、保管棚や台車上で荷崩れなどの事象が発生した場合に、作業者が人手で復旧などの作業を行うことが考えられる。
【0005】
このような事象がレールの奥まった箇所で発生した場合、作業者はその箇所まで移動して作業を行う必要がある。この場合に、特許文献1に記載された倉庫では、保管棚がレールの延在方向に長いため、作業する際に必要な機材の搬送や作業員の移動が容易であるとはいえない問題がある。このような問題は、上記の作業に限らずメンテナンスや棚卸など様々な種類の作業について生じうる。
これらから、本発明者らは、自動倉庫システムには、保管棚において作業する際に必要な機材を容易に搬送する観点から改善すべき余地があることを認識した。
【0006】
本発明の目的は、このような課題に鑑みてなされたもので、保管棚で作業する際に必要な機材を容易に搬送することが可能な自動倉庫システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動倉庫システムは、荷を保管可能な自動倉庫システムであって、荷を搭載して第1方向に移動する第1台車と、第1方向に移動し、第1台車と異なる第2台車と、を有する。
【0008】
この態様によると、保管する荷を搭載する第1台車の他に、第2台車を有するので、作業箇所に作業用の機材を容易に搬送することができる。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、保管棚で作業する際に必要な機材を容易に搬送することが可能な自動倉庫システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る自動倉庫システムの一例を概略的に示す平面図である。
【
図2】
図1の自動倉庫システムの保管棚の配置を示す平面図である。
【
図3】
図1の自動倉庫システムを概略的に示す正面図である。
【
図4】
図1の自動倉庫システムの保管棚の配置を示す正面図である。
【
図5】
図1の自動倉庫システムの第1台車および第2台車の一例を概略的に示す側面図である。
【
図8】
図1の自動倉庫システムの第3台車の一例を概略的に示す平面図である。
【
図11】
図5の第2台車をパレットに載せた状態を示す側面図である。
【
図12】第2実施形態のスタッカークレーンの一例を概略的に示す平面図である。
【
図14】変形例に係るレールに載せた状態の第2台車を示す側面図である。
【
図15】変形例に係る別のレールに載せた状態の第2台車を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な第1実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施の形態、比較例および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0013】
[第1実施形態]
図1~
図4を参照して第1実施形態に係る自動倉庫システム100の構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る自動倉庫システム100の一例を概略的に示す平面図である。
図2は、自動倉庫システム100の保管棚20の配置を示す平面図である。
図3は、自動倉庫システム100を概略的に示す正面図である。
図4は、自動倉庫システム100の保管棚20の配置を示す正面図である。これらの図では、説明に重要でない柱や梁などの記載を省略しており、以下の図についても同様である。
【0014】
説明の便宜上、図示のように、水平なある方向をX軸方向、X軸方向に直交する水平な方向をY軸方向、両者に直交する方向すなわち鉛直方向をZ軸方向とするXYZ直交座標系を定める。X軸、Y軸、Z軸のそれぞれの正の方向は、各図における矢印の方向に規定され、負の方向は、矢印と逆向きの方向に規定される。また、X軸の正方向側を「右側」、X軸の負方向側を「左側」ということもある。また、Y軸の正方向側を「前側」、Y軸の負方向側を「後側」、Z軸の正方向側を「上側」、Z軸の負方向側を「下側」ということもある。このような方向の表記は自動倉庫システム100の構成を制限するものではなく、自動倉庫システム100は、用途に応じて任意の構成で使用されうる。なお、以降の説明ではXYZ直交座標系を用いて説明するが、必ずしもX軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに直交していなくとも、略90度で交差していればよい。
【0015】
先に、自動倉庫システム100の全体構成を説明する。自動倉庫システム100は、多数の荷12を保管可能な保管棚20を含むシステムである。自動倉庫システム100は、保管棚20と、第1台車14と、第2台車16と、第3台車18と、第1レール40と、第2レール44と、給電部34と、昇降機構36と、制御部48と、を含む。保管棚20は、荷12を保管する。第1実施形態では、第1方向としてX軸方向を、第2方向としてY軸方向を例示している。第1レール40は、保管部26に接続しX軸方向に延在する。給電部34は、第2レール44の近傍をY軸方向に延在する給電線である。給電部34は、トロリ線と称されることがある。
【0016】
第1台車14は、第1レール40上をX軸方向に走行する。第2台車16は、第1台車14とは異なる別の台車で、第1台車14と同様に第1レール40上をX軸方向に走行する。第2台車16は、作業対象となる対象保管部20pに作業員や作業用の機材を搬送することができる。第3台車18は、第2レール44上をY軸方向に走行する。第1台車14、第2台車16および第3台車18を総称するときは単に「台車」ということがある。また、第1台車14と、第3台車18と、第1レール40と、第2レール44と、を総括するときは単に「内部搬送機構」ということがある。制御部48は、第1台車14および第3台車18の動作を制御する。昇降機構36は、各保管ステージ22の間で、第1台車14および第2台車16をZ軸方向に昇降する。
【0017】
なお、第1実施形態では、荷12をパレット12pに載せた状態で扱うが、これに限られず、パレットを用いずに荷12を単独で扱うようにしてもよい。なお、荷12をパレット12pに載せた状態で搬送することを、単に荷12を搬送するという。
【0018】
(保管棚)
保管棚20は、多数の荷12を保管可能ないわば高密度保管型の保管スペースである。保管棚20の構成は、複数の荷12を収容・保管可能であれば、特に限定されない。この例では、保管棚20は、上下方向に層状に重ねられた複数段(例えば3段)の保管ステージ22を含む。各段の保管ステージ22には、フォークリフト等によって荷12を導入する。各保管ステージ22は、Y軸方向に並べられた複数(例えば6つ)の保管行24を含み、各保管行24はX軸方向に接続された複数(例えば6つ)の保管部26を含む。保管部26は、荷12を保管する単位である。各保管行24の第2レール44側の端部には、荷12を出し入れするための出入口部24bが設けられる。
【0019】
(レール)
第1レール40は、保管行24において、X軸方向に延在する。第2レール44は、保管行24の出入口部24bの近傍において、Y軸方向に延在する。第1レール40および第2レール44を総称するときは単にレールということがある。
【0020】
(第1台車)
次に、
図5、
図6を参照して第1台車14について説明する。
図5は、第1台車14および第2台車16の一例を概略的に示す側面図である。
図6は、第1台車14の平面図である。
図5において、保管棚20は、Z軸方向に延在する複数の縦柱20nと、Y軸方向に延在する複数の横梁20mと、を含む。複数の縦柱20nと複数の横梁20mとは、所定の間隔で配列され、保管棚20の骨組みを形成する。この例では、第1レール40の延在方向に垂直なYZ平面に沿った断面(以下、単に断面ということがある)は、角張ったC字形状である。なお、角張ったC字形状には、上下の幅が異なる形状および、角張った横向きのU字形状も含まれる。第1レール40は、主に横梁20mに支持されている。第1レール40の上面は、荷12を搭載可能に構成されており、保管部26として機能する。
【0021】
第1台車14は、荷12を搬送するために、保管行24の中で第1レール40をX軸方向に走行する。第1台車14は、保管部26に対して荷12を出し入れする。第1台車14は、第3台車18に乗降するために、第3台車18上をX軸方向に走行する。
【0022】
第1台車14は、車体14bと、載置部14cと、リフト機構14dと、複数(例えば4個)の車輪14fと、を主に含む。車体14bは、上下方向に偏平な略直方体形状の輪郭を有する。車体14bの内部には、複数の車輪14fを駆動するモータ(不図示)と、このモータを制御する制御回路(不図示)と、電池(不図示)と、を搭載している。第1台車14は、電池の電力によってモータを駆動するように構成されている。電池は繰り返し充電可能なリチウムイオン電池などの二次電池であってもよい。
【0023】
載置部14cは、荷12を持上げて保持する部分である。リフト機構14dは、載置部14cを昇降させる機構である。
図5において、Pで示す載置部14cは上昇した状態にあり、Qで示す載置部14cは下降した状態にある。リフト機構14dは載置部14cを上昇させて荷12を保管部26から持上げることができる。リフト機構14dは、載置部14cを降下させて荷12を保管部26に降ろすことができる。複数の車輪14fは第1レール40上および第3台車18上を転動することができる。
【0024】
(第2台車)
次に、
図5、
図7を参照して第2台車16について説明する。
図7は、第2台車16の正面図である。第2台車16は、第1台車14とは別に、第1レール40上をX軸方向に走行し、作業員8や作業用の機材などを対象保管部20p(
図1も参照)に搬送するための台車である。第2台車16は、駆動機構16aと、車体16bと、床部16cと、車軸16dと、落下防止機構16eと、複数(例えば4個)の車輪16fと、ブレーキ機構16mと、ブレーキ制御機構16nと、を含む。
【0025】
駆動機構16aは、車輪16fを回転駆動するための機構である。車体16bは、上下方向に偏平な略直方体形状の輪郭を有する。車体16bの内部には、従動歯車16kを搭載している。従動歯車16kは、駆動機構16aの構成要素の1つである。床部16cは、車体16bの上方に設けられる板状の部材であり、この例では、作業員8や作業用の機材などを搭載することができる。この場合、作業員8や作業用の部材を搭載して対象保管部20pに移動させることができる。特に、第2台車16は、作業員8などの人を乗せるためのものであり、後述する安全対策が施されている。この場合、第2台車16に作業員8などを乗せて第1レール40上を対象保管部20pに安全に移動させることができる。床部16cは、作業員8が床部16cから下側を目視できるように、複数の孔が設けられてもよい。床部16cは、格子状や網目状の部分を含んでもよい。
【0026】
車軸16dは、車輪16fを取り付けるための軸である。この例では、Y軸方向に延在する2本の車軸16dが、X軸方向に離間して設けられている。一方の車軸16dは、従動歯車16kの中心に結合されており、駆動機構16aからの回転力を車輪16fに伝達する。4つの車輪16fは、車体16bの4隅に配置され、第1レール40上および第3台車18上を転動することができる。
【0027】
(駆動機構)
駆動機構16aについて具体的に説明する。駆動機構16aは、電動、人力またはこれらの併用により複数の車輪16fの一部または全部を回転駆動する。この例では、手動により2つの車輪16fを駆動するように構成されている。この場合、作業員8が、手動で駆動させない限り、第2台車16は走行しないので、意図せず第2台車16が走行する可能性を低くして、安全性を高めることができる。この例では、駆動機構16aは、駆動歯車16gと、ハンドル16hと、チェーン16jと、従動歯車16kと、を含む。
【0028】
駆動歯車16gは、床部16cの上方において回転可能に設けられるチェーンホイールである。ハンドル16hは、駆動歯車16gに設けられたハンドルであり、作業員8が回すことにより駆動歯車16gを回転させることができる。チェーン16jは、駆動歯車16gと従動歯車16kとに架け渡され、これらの間で駆動力を伝達する機械要素である。チェーン16jは、ローラーチェーンと称されることがある。従動歯車16kは、床部16cの下方において一方の車軸16dに固定されるチェーンホイールである。従動歯車16kは、駆動歯車16gの回転に応じて回転する。車輪16fは、車軸16dに設けられ、従動歯車16kの回転に応じて回転駆動される。
【0029】
(落下防止機構)
落下防止機構16eは、第2台車16から人や機材の落下を防止するための機構である。この例では、落下防止機構16eは、床部16cの端部から上方に延びて空間を仕切る柵である。この柵は、第2台車16を囲む4面それぞれに設けられてもよい。この例では、柵は、第2台車16の正面側と背面側においてX-Z平面に平行に設けられており、側面側には設けられていない。この場合、作業員8は、側面側から第2台車16に容易に乗降することができ、側面側から腕を伸ばして容易に作業することができる。なお、第2台車16の側面(Y-Z平面に平行な面)側にも柵が設けられていてもよい。側面側の柵の高さは正面側や背面側の柵よりも低い高さであることが好ましい。この場合、作業容易性や乗降容易性を損なわないようにすることが可能である。また、側面側の柵の少なくとも一方は開閉可能に取り付けられていることが好ましい。この場合、側面側に柵を設けていても作業員8の乗降を容易にすることができる。更に、落下防止機構16eとして一端が柵に結び付けられている安全帯を備えていてもよい。この安全帯を作業員8の体に巻き付けることにより、より安全性を高めることができる。
【0030】
(ブレーキ機構)
第2台車16が、乗降のとき、作業のときあるいは第3台車18に搭載されているときに移動すると、安全性が損なわれる可能性がある。そこで、第1実施形態の第2台車16は、第2台車16の移動を規制するためのブレーキ機構16mを有する。この場合、ブレーキ機構16mがONであるときには、第2台車16の移動が規制されるので、作業員8は安全に乗降や作業を行うことができる。この例では、ブレーキ機構16mは、第2台車16の内側から容易に操作可能な態様で設けられている。
【0031】
ブレーキ機構16mとしては、公知の様々な機構を用いることができる。この例では、ブレーキ機構16mは、ブレーキ機構16mのONとOFFを操作するためのブレーキレバー(不図示)を備えている。ブレーキ機構16mは、ブレーキレバーが解放されるとON状態となり、第2台車16の移動を規制する。ブレーキ機構16mは、ブレーキレバーを握ったときにはOFF状態となり、第2台車16の移動を許容する。つまり、ブレーキ機構16mは、作業員8がブレーキレバーを握らない限りON状態を維持し、意図しない移動を防止することができる。
【0032】
(ブレーキ制御機構)
何らかの原因により、意図せずブレーキ機構16mがOFF状態になると、第2台車16が移動して、安全性が損なわれる可能性がある。そこで、第1実施形態の第2台車16は、ブレーキ機構16mのON/OFFを制御するブレーキ制御機構16nを有する。この場合、ブレーキ制御機構16nがONであるときには、ブレーキ機構16mがOFF状態であっても、第2台車16の移動を規制するので、安全性が一層向上する。この例では、ブレーキ制御機構16nは、第2台車16の外側から操作可能な態様で設けられている。
【0033】
ブレーキ制御機構16nは、ブレーキ制御機構16nのONとOFFを操作するための制御レバー(不図示)を備えている。ブレーキ制御機構16nは、制御レバーが第1の位置にセットされるとON状態となり、ブレーキレバーの状態にかかわらず第2台車16の移動を規制する。ブレーキ制御機構16nは、制御レバーが第2の位置にセットされるとOFF状態となり、ブレーキレバーの操作状態に応じて第2台車16の移動を許容または規制する。つまり、ブレーキ制御機構16nの制御レバーを第1の位置にセットしておくことにより、ブレーキレバーが誤操作されても移動を規制する状態を維持し、意図しない移動を防止することができる。
【0034】
第2台車16は、ブレーキ機構16mとブレーキ制御機構16nとを備えることにより、以下のように移動が規制される。
(i)ブレーキ制御機構16nがONである場合、ブレーキ機構のON/OFFにかかわらず、第2台車16の移動を規制する。
(ii)ブレーキ制御機構16nがOFFであり、ブレーキ機構16mがONである場合、第2台車16の移動を規制する。
(iii)ブレーキ制御機構16nがOFFであり、ブレーキ機構16mがOFFとなっている場合、第2台車16の移動を規制しない。
このように構成することにより、仮にブレーキ機構16mとブレーキ制御機構16nの一方を誤って操作した場合でも、第2台車16の移動が規制され安全に作業することができる。
【0035】
(第3台車)
次に、
図8~
図10を参照して第3台車18について説明する。
図8は、第3台車18の一例を概略的に示す平面図である。
図9は、第3台車18の側面図であり、第1台車14を搭載した状態を示している。
図10は、第3台車18の別の側面図であり、第2台車16を搭載した状態を示している。第3台車18は、第2レール44をY軸方向に走行する。第3台車18は、空荷の状態または荷12を搭載した状態の第1台車14を搬送する。第3台車18は、第2台車16を搬送する。
【0036】
第3台車18は、車体18bと、凹部18cと、複数(例えば、4個)の車輪18fと、集電ユニット38と、を主に含む。車体18bは、上下方向に偏平な略直方体形状の輪郭を有する。車体18bの内部には、各車輪18fを駆動するモータ(不図示)と、このモータを制御する制御回路(不図示)と、を搭載している。車輪18fは、第2レール44上を走行する。集電ユニット38は、後述する給電部34に接触して電力の供給を受ける。第3台車18は、その集電ユニット38を介して給電部34から電力を受け取る。第3台車18は、受け取った電力によってモータを駆動するように構成されている。
【0037】
(給電部)
図1も参照して、給電部34を説明する。給電部34は、第3台車18に電力の給電を行うための部材である。第3台車18は、給電部34から常時給電が行われるように構成されてもよい。このため、給電部34は、第3台車18に対して常時給電可能に構成される。前述したように、給電部34は、第2レール44の近傍をY軸方向に沿って延在する。給電部34は、集電ユニット38を通じて第3台車18へ給電する接触電線として機能する。
【0038】
(凹部)
図8~
図10に戻る。第3台車18は、第1台車14または第2台車16(以下、「搭載台車」という)を搭載するための凹型形状の凹部18cを有する。凹部18cは、搭載台車を載せるために、車体18bの上面から下向に窪んで形成されている。凹部18cの大きさは、搭載台車が凹部18cの周囲と干渉することなくX軸方向に走行できるように、搭載台車の大きさに十分な量のマージンを加えた大きさとされる。搭載台車は凹部18c上を走行する。凹部18cの内側には、下部平面上に延在する底部18hと、底部18hのY軸方向の両側から上向きに延在する一対の側壁部18jと、を有する。底部18hは、搭載台車がX軸方向に走行する走行路の一部である。一対の側壁部18jは、搭載台車の車体の側壁と狭い隙間を介してY軸方向に対向する。
【0039】
(制御部)
図1に戻り、制御部48について説明する。制御部48は、第2台車16を対象保管部に移動可能にする制御する移動制御モードと、第2台車16を使用しない通常制御モードとを有し、ユーザからの操作結果に基づきこれらのモードを切り替える。通常制御モードでは、制御部48は、ユーザからの操作結果に基づき、第1台車14および第3台車18の動作を制御する。移動制御モードでは、制御部48は、ユーザからの操作結果に基づき、第1台車14、第2台車16および第3台車18の動作を制御する。制御部48は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)などを含んで構成することができる。以上が、自動倉庫システム100の全体構成の説明である。
【0040】
(搬入・搬出動作)
次に、
図1を参照して、このように構成された自動倉庫システム100の搬入・搬出動作を説明する。自動倉庫システム100は、フォークリフト50によって倉庫外部からの荷12を入庫部30に搬入する。自動倉庫システム100は、入庫部30に搬入された荷12を、第1台車14および第3台車18を含む内部搬送機構によって所定の保管部26に搬送して保管する。自動倉庫システム100は、所定の保管部26で保管していた荷12を、内部搬送機構によって出庫部32に搬送する。自動倉庫システム100は、出庫部32に搬送された荷12を、フォークリフト50によって倉庫外部に搬出する。
【0041】
次に、
図11を参照して、第2台車16の保管・搬送用のパレット16pについて説明する。
図11は、第2台車16を保管・搬送用のパレット16pに載せた状態を示す側面図である。第2台車16は、単体で保管・搬送されてもよいが、この例では、第2台車16は、パレット16pに搭載された状態で、パレット16pと共に保管・搬送される。この場合、第2台車16の保管・搬送の際の積み替えにかかる労力を軽減することができる。
【0042】
図11の例では、パレット16pには、フォークポケット16qとL字ブロック16sが設けられている。なお、L字ブロック16sはフォークポケット16qに固定されている。フォークポケット16qを備えることにより、パレット16pに載せた状態の第2台車16をフォークリフトにより容易に搬送することができる。L字ブロック16sを備えることにより、パレット16pは、第2台車16の横方向の移動を規制することができる。L字ブロック16sは、上方向が開放されているので、第2台車16の出し入れの自由度を高めることができる。L字ブロック16sに代えて、横方向の移動を規制可能な別の機構や部材が設けられてもよい。なお、パレット16pに載せた状態において、ブレーキ制御機構16nをON状態にしておくことで、第2台車16がパレット上で移動する可能性を低減することができる。
【0043】
(使用方法)
次に、
図1および
図11を参照して、第2台車16の使用方法の一例を説明する。第2台車16を使用する際は、ユーザの操作により制御部48を通常制御モードから移動制御モード荷切り替える。
図1の例では、第2台車16は、パレット16pに搭載された状態で、保管棚20外の所定の待機場所16uに保管されている。第2台車16を使用するとき、フォークリフト50によって、第2台車16をパレット16pごと待機場所16uから昇降機構36に搬送し、昇降機構36に移載する。この状態で、第2台車16を昇降機構36によって、目的の保管ステージ22の第3台車18が待機する第2レール44の脇に上昇させる。このとき、パレット16pごと、第2台車16を目的の保管ステージ22の第3台車18の高さまで持上げる。この際、第2台車16は、通常の荷12を搭載した第1台車14を持上げる高さより、パレット16pの高さ分だけ低い位置に持上げられる。つまり、この状態では、第2台車16の車輪16fの下端位置が第3台車18の凹部18cの高さになり、第2台車16のブレーキを解除することにより、第2台車16をパレット16pから凹部18cに容易に移載することができる。この状態では、空のパレット16pが昇降機構36上に残っている。
【0044】
第2台車16を搭載した第3台車18を目的の保管行24までY軸方向に搬送する。この際、安全上の観点から、ブレーキ機構16mおよびブレーキ制御機構16nをON状態にし、第2台車16には人は乗せないことが望ましい。第3台車18が、目的の保管行24に到着したら、作業員8は、別途に設けられた階段および第2レール44上を伝って目的の保管行24に移動する。安全上の観点から、第2レール44の間には床板が設けられることが望ましい。目的の保管行24に到着したら、作業員8は、ブレーキ機構16mおよびブレーキ制御機構16nをOFFにして、第2台車16を凹部18cから出入口部24bを経て第1レール40に移載し、ブレーキ機構16mおよびブレーキ制御機構16nをONにする。
【0045】
作業員8は、第1レール40上の第2台車16に乗り込み、ブレーキ機構16mおよびブレーキ制御機構16nをOFFにする。この状態で、作業員8は、駆動機構16aのハンドル16hを回転させ、第2台車16を第1レール40上の対象保管部20pに向けて走行させる。対象保管部20pに到着したら、作業員8は、ブレーキ機構16mおよびブレーキ制御機構16nをONにして、目的の作業を開始する。
【0046】
目的の作業が終了したら、作業員8は、ブレーキ機構16mおよびブレーキ制御機構16nをOFFにして、ハンドル16hを逆回転させ、第2台車16を出入口部24bに向けて走行させる。出入口部24bに到着したら、作業員8は、降車すると共に、第2台車16を凹部18cに移載する。移載したら、作業員8は、第2台車16のブレーキ機構16mおよびブレーキ制御機構16nをONにする。この状態で、作業員8は、第2レール44と階段を伝って保管棚20外に出る。
【0047】
なお、ここでは第2台車16のY軸方向への移動中および昇降中には作業員8が乗らない形態を説明したが、Y軸方向移動中および昇降中にも作業員8が乗っていてもよい。但し、この場合には、Y軸方向移動中および昇降中は第2台車は人力ではなく電動で動くため、安全性を別途確保する必要がある。
【0048】
作業員8が外に出たら、第2台車16を搭載した第3台車18を昇降機構36の脇の位置まで走行させる。昇降機構36の脇に到着したら、ブレーキ機構16mおよびブレーキ制御機構16nをOFFにして、第2台車16を昇降機構36上のパレット16pに移載する。第2台車16をパレット16pに移載したら、ブレーキ機構16mおよびブレーキ制御機構16nをONにする。この状態で、昇降機構36によって、第2台車16をフォークリフト50の高さまで下降させ、フォークリフト50に移載する。フォークリフト50は、第2台車16をパレット16pごと待機場所16uに搬送して荷下ろしする。この状態で、第2台車16はパレット16pごと待機場所16uに保管される。
以上が、第2台車16の使用方法の説明である。この使用方法はあくまでも一例であり、他の手順を追加したり、一部の手順を変更または削除したり、手順の順序を入れ替えてもよい。
【0049】
第2台車16を上述のように使用する際、目的の保管ステージ22以外の保管ステージ22については、上述の搬入・搬出動作を行うようにしてもよいし、目的の保管ステージ22近傍の保管ステージ22では搬入・搬出動作を行わないようにしてもよいし、保管棚20全体として搬入・搬出動作を行わないようにしてもよい。より具体的には以下のように制御してもよい。
【0050】
制御部48は、移動制御モードである場合に、対象保管部20pが属する所定範囲の保管部26に対する荷12の出し入れ(搬入・搬出動作)を禁止するように制御してもよい。この場合、禁止された所定範囲では第1台車14の動作が第2台車16の動作の障害となることを防ぐことができる。また、移動制御モードである場合に、複数の保管部26のうち上述の所定範囲の保管部26を除く保管部26に対して荷12の出し入れ(搬入・搬出動作)を許容するように制御してもよい。この場合、所定範囲の保管部26を除く保管部26に対しては搬入・搬出動作を行えるので、自動倉庫システム100の稼働効率の低下を抑制できる。つまり、保管棚20全体の稼働を止めずに、対象保管部の作業(例えば、メンテナンス)を行うことができる。
【0051】
以下、
図1を参照して所定範囲の保管部の設定例を説明する。
(設定例1)対象保管部20pが属する保管行24の保管部26のうち、対象保管部20pと、対象保管部20pより奥側の保管部20qとを所定範囲の保管部と設定してもよい。この場合、対象保管部20pと、対象保管部20pより奥側(出入口部24bとは反対側)の保管部20qとに対する荷12の出し入れ(搬入・搬出動作)が禁止され、対象保管部20pより出入口部24bに近い側の保管部20sに対しては荷12の搬入・搬出動作は許容される。なお、対象保管部20pが属する保管行24以外の保管部に対しては荷12の搬入・搬出動作が行われる。
【0052】
(設定例2)対象保管部20pが属する保管行24の保管部26を所定範囲の保管部と設定してもよい。この場合、対象保管部20pと、対象保管部20pより出入口部24bに近い側の保管部20sと、対象保管部20pより奥側の保管部20qとに対する荷12の出し入れ(搬入・搬出動作)が禁止され、対象保管部20pが属する保管行24以外の保管部に対しては荷12の搬入・搬出動作が行われる。換言すると、対象保管部20pが属する保管行24を除く保管棚20の保管部26に対しては荷12の搬入・搬出動作が行われる。
【0053】
(設定例3)対象保管部20pが属する保管ステージ22の保管部26を所定範囲の保管部と設定してもよい。この場合、対象保管部20pが属する1つの段の保管ステージ22のすべての保管部26に対する荷12の出し入れ(搬入・搬出動作)が禁止され、対象保管部20pが属する保管ステージ22を除く各段の保管ステージ22の保管部26に対しては荷12の搬入・搬出動作が行われる。
【0054】
(設定例4)対象保管部20pが属する保管棚20のすべての保管部26を所定範囲の保管部と設定してもよい。この設定では、移動制御モードである場合、すべての保管部26に対する荷12の搬入・搬出動作が禁止される。
【0055】
安全上の観点から、第2台車16には、天井(不図示)が設けられてもよい。天井は、安全な空間を仕切ると共に、落下物から作業員8を守るように機能する。天井は、板状であってもよいし、網状であってもよい。
【0056】
[第2実施形態]
図12、
図13を参照して第2実施形態に係る自動倉庫システム200の構成について説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対して第3台車の構成が異なる点で相違し、他の構成は同様であり、相違点を重点的に説明する。第2実施形態では、第3台車として、スタッカークレーン66とスタッカークレーン66に備えられた昇降機構64とを例示している。
【0057】
図12は、スタッカークレーン66を概略的に示す平面図である。
図13は、スタッカークレーン66の側面図である。
図13は、第2台車16を搭載した状態のスタッカークレーン66を示している。第2実施形態は、第2レール44は最下段にのみ設けられ、第3台車18の代わりに、第2レール44上をY軸方向に移動するスタッカークレーン66を備える。スタッカークレーン66は、昇降機構64を有しており、搭載台車(第1台車14または第2台車16)をZ軸方向に昇降することができる。また、スタッカークレーン66は、搭載した搭載台車をY軸方向に搬送することができる。つまり、第2実施形態では、第2方向としてY軸方向およびZ軸方向(高さ方向)を例示している。
【0058】
スタッカークレーン66は、基台部66bと、凹部18cと、4つの車輪18fと、一対の支柱66hと、昇降機構64と、集電ユニット38と、を主に含む。基台部67bは、スタッカークレーン66の下部に設けられる上下方向に偏平な板状の部材である。基台部66bには、車輪18fを駆動するモータ(不図示)と、を搭載している。一例として、スタッカークレーン66は、集電ユニット38により上部に布設された給電部34から受電した電力によりモータを駆動するように構成されている。
【0059】
凹部18cは、搭載台車を搭載した状態で昇降可能に構成される。4つの車輪18fは、基台部66bの4隅に回転可能に支持される。一対の支柱66hは、上下方向に伸びる支柱であり、凹部18cを昇降可能にガイドする。一対の支柱66hは、その間に凹部18cを挟むようにY軸方向に離隔されて基台部66bに固定される。支柱66hは、例えば上面視で略矩形の断面を有する。昇降機構64は、凹部18cを上下に昇降駆動する機構である。昇降機構64は、支柱66hの近傍において基台部66bに設けられる。昇降機構64が凹部18cを吊っているワイヤーロープ(不図示)を巻取り・送出しすることで、凹部18cを昇降駆動する。この構成により、凹部18cは昇降可能な昇降台として機能する。スタッカークレーン66は、4つの車輪18fを第2レール44にて回転させることによって、第2レール44を走行する。スタッカークレーン66は、荷12および搭載台車を載せた状態で第2レール44上を走行することができる。
【0060】
第2実施形態は、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0061】
以上、本発明の各実施形態をもとに説明した。これらの実施形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求の範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0062】
(変形例)
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0063】
第1実施形態の説明では、第1レール40が、その延在方向に垂直な縦断面が角張ったC字形状である例を示したが、本発明はこれに限定されない。第1レール40の断面形状は、第1台車14および第2台車16が走行可能なものであればよく、例えば、L字形状やZ字形状などであってもよい。
図14は、断面がL字形状の第1レール40(A)に載せた状態の第2台車16を示し、
図15は、断面がZ字形状の第1レール40(B)に載せた状態の第2台車16を示している。
【0064】
第1実施形態の説明では、駆動機構16aは、チェーン16jを用いて回転力を車輪16fに伝達する例を示したが、本発明はこれに限定されない。駆動機構16aとしては、チェーン16j以外の公知の伝達機構を用いてもよい。駆動機構16aは、歯車列やウォームギヤを用いて構成されてもよい。
【0065】
第1実施形態の説明では、作業員8が、第2レール44を伝って移動する例を示したが、本発明はこれに限定されない。作業員8が移動するための通路を第2レール44とは別に設けてもよい。
【0066】
第1実施形態の説明では、第1レール40の間に床が設けられない例を示したが、本発明はこれに限定されない。第1レール40の間には、板状や網状の床が設けられてもよい。
【0067】
第1実施形態の説明では、昇降機構36が第1台車および第2台車16を昇降する例を示したが、本発明はこれに限定されない。昇降機構36は、第1台車14ではなく荷12を直接各保管ステージ22の間でZ軸方向に昇降させるものであってもよい。
【0068】
第1実施形態の説明では、第2台車16はハンドルを回転させることで駆動される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2台車16は、ペダルを脚でこぐことにより駆動されてもよい。
【0069】
第1実施形態の説明では、第2台車16は手動で移動するように構成された例を示したが、電動で駆動する場合であってもよい。但し、第2台車16は第1台車14や第3台車18と異なり、人を乗せるためのものであるため、高い安全性が求められる。この点を鑑み、第1実施形態では手動で第2台車16を移動させ、安全性を高めている。しかしながら、安全性が担保されるのであれば、第2台車16も電動で移動するように構成されていてもよい。また、第2台車16は、基本的には人力で駆動するが、モータ等によって補助力を加えるように構成されてもよい。また、第2台車16は、人が乗っているときのみ手動で駆動され、人が乗っていないときはモータによって駆動されてもよい。
【0070】
第1実施形態の説明では、第3台車18を備える例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、第1台車14と第2台車16を備え、第3台車18を備えない構成であってもよい。例えば、X軸方向に延在する第1レール40をY軸方向に複数有し、フォークリフト等によってY軸方向における任意の位置に荷を移動して第1レール40上の第1台車14に荷を搭載し、その後第1台車14がX軸方向に移動することで格納位置に荷を搬入してもよい。
【0071】
第1実施形態の説明では、第1台車14と第2台車16が同じレール(第1レール40)上を移動する例を示したが、本発明はこれに限定されない。第1台車14用のレールと第2台車16用のレールを備え、第1台車14と第2台車16が別々のレールを移動してもよい。但し、第1台車14と第2台車16が同じレールを移動する場合、レール数を少なくすることができるため、その分保管行24を多く設けることができ、倉庫内の収納数の増加に繋がる。
【0072】
第2台車16は、一部が折り畳み可能に構成されてもよい。第2台車16には、フォークポケットが設けられてもよい。
【0073】
第3台車18を上下方向へ昇降させる昇降装置を設けてもよい。この場合、第3台車18を各段間で移動することができる。
【0074】
第1台車14を各段の各行に設けることは必須ではなく、第1台車14は各段に設けられなくてもよい。
【0075】
保管棚20は1列の保管行24から構成されてもよい。保管棚20は1段の保管行24から構成されてもよい。
【0076】
保管行24の保管部26の数を一様に構成することは必須ではない。保管行24を構成する保管部26の数は、保管棚20を収容する建物の壁の凹凸に応じて、数が多い行と少ない行とが設けられてもよい。
【0077】
上下方向に積層される保管行24の段数を一様に構成することは必須ではない。保管行24の段数は、保管棚20を収容する建物の天井の高さに応じて、段数が多い領域と少ない領域とが設けられてもよい。
【0078】
荷12がパレット12pを含むことは必須ではない。本自動倉庫システムは、パレットを含まない荷を取り扱うようにしてもよい。
【0079】
フォークリフトに代えて、クレーンを備えた移載装置など、別の種類の移載装置によって、荷12を搬入・搬出するようにしてもよい。
【0080】
これらの各変形例は、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0081】
上述した実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0082】
12・・荷、 14・・第1台車、 16・・第2台車、 16a・・駆動機構、 16e・・落下防止機構、 16m・・ブレーキ機構、 16n・・ブレーキ制御機構、 16u・・待機場所、 18・・第3台車、 20・・保管棚、 20p・・対象保管部、 22・・保管ステージ、 24・・保管行、 26・・保管部、 36・・昇降機構、 40・・第1レール、 44・・第2レール、 48・・制御部、 50・・フォークリフト、 66・・スタッカークレーン、 100、200・・自動倉庫システム。