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特許7316880走行状態判別装置、走行状態判別方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】走行状態判別装置、走行状態判別方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/015 20060101AFI20230721BHJP
   G07B 15/00 20110101ALI20230721BHJP
【FI】
G08G1/015 C
G07B15/00 L
G07B15/00 510
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019155473
(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公開番号】P2021033819
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勤
(72)【発明者】
【氏名】尾関 真二
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大和
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-200499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車線幅方向に並べて配置された複数の押圧センサそれぞれから通過車両のタイヤによる押圧を検出可能な押圧信号を取得する押圧信号取得部と、
前記押圧センサの設置位置において前記通過車両の存在を検知可能に設置された車両検知器から車両検知信号を取得する車両検知信号取得部と、
前記車両検知信号に基づいて、前記通過車両が前記車両検知器の検知位置へ進入した時刻である車両進入時刻と、前記通過車両が前記車両検知器の前記検知位置を退出した時刻である車両退出時刻とを特定する時刻特定部と、
前記車両進入時刻から前記車両退出時刻までの間に、複数の前記押圧センサのうち、異なる二つの押圧センサである第1の押圧センサ及び第2の押圧センサそれぞれから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す押圧信号を取得した場合に、当該押圧信号を取得した時刻に応じて、前記通過車両の走行状態を推定する走行状態推定部と、
を備え、
前記走行状態推定部は、
前記第1の押圧センサ及び前記第2の押圧センサそれぞれから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す前記押圧信号を取得した第1の時刻及び第2の時刻の時間差が所定の判定閾値未満である場合、左輪と右輪とを有する車両が走行したと推定し、
前記時間差が前記判定閾値以上である場合、二輪車が並走したと推定し、
前記第1の時刻及び前記第2の時刻の時間差が前記判定閾値未満であり、且つ、第3の前記押圧センサから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す前記押圧信号を取得した第3の時刻と、前記第1の時刻又は前記第2の時刻との時間差が前記判定閾値以上である場合、左輪と右輪とを有する車両及び二輪車が並走したと推定する、
走行状態判別装置。
【請求項2】
前記走行状態推定部は、前記第1の時刻、前記第2の時刻、及び前記第3の時刻の時間差が、いずれも前記判定閾値以上である場合、複数の二輪車が並走したと推定する、
請求項に記載の走行状態判別装置。
【請求項3】
前記走行状態推定部は、
前記車両進入時刻から前記車両退出時刻までの間に取得した前記押圧信号に基づいて、前記通過車両が有する車輪数を更に特定し、
前記第1の時刻及び前記第2の時刻の前記時間差が前記判定閾値未満であり、且つ、前記第1の押圧センサ及び前記第2の押圧センサから取得した前記押圧信号により特定された前記車輪数が三つである場合、三輪車が走行したと推定する、
請求項1または2に記載の走行状態判別装置。
【請求項4】
複数の前記押圧センサそれぞれは、車線方向の上流側に配置された上流側センサ、及び前記車線方向の下流側に配置された下流側センサから構成され、
前記押圧信号取得部は、複数の前記上流側センサ及び複数の前記下流側センサそれぞれから前記押圧信号を取得し、
前記走行状態推定部は、異なる二つの前記上流側センサである第1の上流側センサ及び第2の上流側センサから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す前記押圧信号を取得した第1の時刻及び第2の時刻の時間差と、異なる二つの前記下流側センサである第1の下流側センサ及び第2の下流側センサから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す前記押圧信号を取得した第3の時刻及び第4の時刻の時間差とのうち、少なくとも一方が所定の判定閾値以上である場合、二輪車が並走したと推定する、
請求項1からの何れか一項に記載の走行状態判別装置。
【請求項5】
車線幅方向に並べて配置された複数の押圧センサそれぞれから通過車両のタイヤによる押圧を検出可能な押圧信号を取得する押圧信号取得部と、
前記押圧センサの設置位置において前記通過車両の存在を検知可能に設置された車両検知器から車両検知信号を取得する車両検知信号取得部と、
前記車両検知信号に基づいて、前記通過車両が前記車両検知器の検知位置へ進入した時刻である車両進入時刻と、前記通過車両が前記車両検知器の前記検知位置を退出した時刻である車両退出時刻とを特定する時刻特定部と、
前記車両進入時刻から前記車両退出時刻までの間に、複数の前記押圧センサのうち、異なる二つの押圧センサである第1の押圧センサ及び第2の押圧センサそれぞれから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す押圧信号を取得した場合に、当該押圧信号を取得した時刻に応じて、前記通過車両の走行状態を推定する走行状態推定部と、
を備え、
前記走行状態推定部は、
前記第1の押圧センサ及び前記第2の押圧センサそれぞれから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す前記押圧信号を取得した第1の時刻及び第2の時刻の時間差が所定の判定閾値未満である場合、左輪と右輪とを有する車両が走行したと推定し、
前記時間差が前記判定閾値以上である場合、二輪車が並走したと推定し、
前記車両進入時刻から前記車両退出時刻までの間に取得した前記押圧信号に基づいて、前記通過車両が有する車輪数を更に特定し、
前記第1の時刻及び前記第2の時刻の前記時間差が前記判定閾値未満であり、且つ、前記第1の押圧センサ及び前記第2の押圧センサから取得した前記押圧信号により特定された前記車輪数が三つである場合、三輪車が走行したと推定する、
走行状態判別装置。
【請求項6】
車線幅方向に並べて配置された複数の押圧センサそれぞれから通過車両のタイヤによる押圧を検出可能な押圧信号を取得する押圧信号取得部と、
前記押圧センサの設置位置において前記通過車両の存在を検知可能に設置された車両検知器から車両検知信号を取得する車両検知信号取得部と、
前記車両検知信号に基づいて、前記通過車両が前記車両検知器の検知位置へ進入した時刻である車両進入時刻と、前記通過車両が前記車両検知器の前記検知位置を退出した時刻である車両退出時刻とを特定する時刻特定部と、
前記車両進入時刻から前記車両退出時刻までの間に、複数の前記押圧センサのうち、異なる二つの押圧センサである第1の押圧センサ及び第2の押圧センサそれぞれから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す押圧信号を取得した場合に、当該押圧信号を取得した時刻に応じて、前記通過車両の走行状態を推定する走行状態推定部と、
を備え、
複数の前記押圧センサそれぞれは、車線方向の上流側に配置された上流側センサ、及び前記車線方向の下流側に配置された下流側センサから構成され、
前記押圧信号取得部は、複数の前記上流側センサ及び複数の前記下流側センサそれぞれから前記押圧信号を取得し、
前記走行状態推定部は、
前記第1の押圧センサ及び前記第2の押圧センサそれぞれから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す前記押圧信号を取得した第1の時刻及び第2の時刻の時間差が所定の判定閾値未満である場合、左輪と右輪とを有する車両が走行したと推定し、
前記時間差が前記判定閾値以上である場合、二輪車が並走したと推定し、
異なる二つの前記上流側センサである第1の上流側センサ及び第2の上流側センサから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す前記押圧信号を取得した第1の時刻及び第2の時刻の時間差と、異なる二つの前記下流側センサである第1の下流側センサ及び第2の下流側センサから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す前記押圧信号を取得した第3の時刻及び第4の時刻の時間差とのうち、少なくとも一方が所定の判定閾値以上である場合、二輪車が並走したと推定する、
走行状態判別装置。
【請求項7】
走行状態判別装置が、車線幅方向に並べて配置された複数の押圧センサそれぞれから通過車両による押圧を検出可能な押圧信号を取得する押圧信号取得ステップと、
走行状態判別装置が、前記押圧センサの設置位置において前記通過車両の存在を検知可能に設置された車両検知器から車両検知信号を取得する車両検知信号取得ステップと、
走行状態判別装置が、前記車両検知信号に基づいて、前記通過車両が前記車両検知器の検知位置へ進入した時刻である車両進入時刻と、前記通過車両が前記車両検知器の前記検知位置を退出した時刻である車両退出時刻とを特定する時刻特定ステップと、
走行状態判別装置が、前記車両進入時刻から前記車両退出時刻までの間に、複数の前記押圧センサのうち、異なる二つの押圧センサである第1の押圧センサ及び第2の押圧センサそれぞれから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す押圧信号を取得した場合に、当該押圧信号を取得した時刻に応じて、前記通過車両の走行状態を推定する走行状態推定ステップと、
を有し、
前記走行状態推定ステップにおいて、
前記第1の押圧センサ及び前記第2の押圧センサそれぞれから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す前記押圧信号を取得した第1の時刻及び第2の時刻の時間差が所定の判定閾値未満である場合、左輪と右輪とを有する車両が走行したと推定し、
前記時間差が前記判定閾値以上である場合、二輪車が並走したと推定
前記第1の時刻及び前記第2の時刻の時間差が前記判定閾値未満であり、且つ、第3の前記押圧センサから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す前記押圧信号を取得した第3の時刻と、前記第1の時刻又は前記第2の時刻との時間差が前記判定閾値以上である場合、左輪と右輪とを有する車両及び二輪車が並走したと推定する、
走行状態判別方法。
【請求項8】
走行状態判別装置のコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータに、
車線幅方向に並べて配置された複数の押圧センサそれぞれから通過車両による押圧を検出可能な押圧信号を取得する押圧信号取得ステップと、
前記押圧センサの設置位置において前記通過車両の存在を検知可能に設置された車両検知器から車両検知信号を取得する車両検知信号取得ステップと、
前記車両検知信号に基づいて、前記通過車両が前記車両検知器の検知位置へ進入した時刻である車両進入時刻と、前記通過車両が前記車両検知器の前記検知位置を退出した時刻である車両退出時刻とを特定する時刻特定ステップと、
前記車両進入時刻から前記車両退出時刻までの間に複数の前記押圧センサのうち、異なる二つの押圧センサである第1の押圧センサ及び第2の押圧センサそれぞれから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す押圧信号を取得した場合に、当該押圧信号を取得した時刻に応じて、前記通過車両の走行状態を推定する走行状態推定ステップと、
を実行させ、
前記走行状態推定ステップにおいて、
前記第1の押圧センサ及び前記第2の押圧センサそれぞれから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す前記押圧信号を取得した第1の時刻及び第2の時刻の時間差が所定の判定閾値未満である場合、左輪と右輪とを有する車両が走行したと推定し、
前記時間差が前記判定閾値以上である場合、二輪車が並走したと推定
前記第1の時刻及び前記第2の時刻の時間差が前記判定閾値未満であり、且つ、第3の前記押圧センサから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す前記押圧信号を取得した第3の時刻と、前記第1の時刻又は前記第2の時刻との時間差が前記判定閾値以上である場合、左輪と右輪とを有する車両及び二輪車が並走したと推定する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行状態判別装置、走行状態判別方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路の料金所において、走行する車両から通行料金を収受するための仕組みとして、電子式料金収受システム(Electronic Toll Collection System;ETC(登録商標)、「自動料金収受システム」とも言う)が知られている。
【0003】
電子式料金収受システムでは、料金所に到来した車両の特徴情報を取得して車種区分を判別するとともに、車両に搭載された車載器と無線通信を行うことにより、車両の車種区分に応じた通行料金を自動的に収受する。ここで、電子式料金収受システムは、車両の特徴情報を取得するための機器として、例えば特許文献1には、車線に敷設された圧力センサにより、車両のタイヤによる踏み付け箇所(圧力箇所)を検出する手段が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-13700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有料道路を走行する車両には二輪車が含まれることがある。ここで、二台の二輪車が並走して圧力センサ上を通過したときに得られる圧力箇所のパターンは、四輪車が圧力センサ上を通過したときに得られる圧力箇所のパターンと類似する場合がある。そうすると、従来のシステムでは、この圧力箇所のパターンから、四輪車が走行したのか、二台の二輪車が並走したのかを判別することが困難となる可能性がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、通過した車両の走行状態が二輪車の並走であるか否かを判別することができる走行状態判別装置、走行状態判別方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
本発明の第1の態様によれば、走行状態判別装置(2)は、車線幅方向に並べて配置された複数の押圧センサ(200)それぞれから通過車両による押圧を検出可能な押圧信号を取得する押圧信号取得部(211)と、前記押圧センサ(200)の設置位置において前記通過車両の存在を検知可能に設置された車両検知器(3)から車両検知信号を取得する車両検知信号取得部(212)と、前記車両検知信号に基づいて、前記通過車両が車両検知器の検知位置へ進入した時刻である車両進入時刻と、前記通過車両が車両検知器の検知位置を退出した時刻である車両退出時刻とを特定する時刻特定部(213)と、前記車両進入時刻から前記車両退出時刻までの間に、複数の前記押圧センサ(200)のうち、異なる二つの押圧センサ(200)である第1の押圧センサ及び第2の押圧センサそれぞれから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す押圧信号を取得した場合に、当該押圧信号を取得した時刻に応じて、前記通過車両の走行状態を推定する走行状態推定部(214)と、を備え、前記走行状態推定部(214)は、前記第1の押圧センサ及び前記第2の押圧センサそれぞれから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す前記押圧信号を取得した第1の時刻及び第2の時刻の時間差が所定の判定閾値未満である場合、左輪と右輪とを有する車両が走行したと推定し、前記時間差が前記判定閾値以上である場合、二輪車が並走したと推定する。
このようにすることで、走行状態判別装置は、異なる二つの押圧センサから、通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す押圧信号を取得したタイミングが異なっていることを検出して、この通過車両の走行状態は、二輪車が並走しているものであると推定することができる。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様に係る走行状態判別装置(2)において、前記走行状態推定部(214)は、前記第1の時刻及び前記第2の時刻の時間差が前記判定閾値未満であり、且つ、第3の前記押圧センサ(200)から前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す前記押圧信号を取得した第3の時刻と、前記第1の時刻又は前記第2の時刻との時間差が前記判定閾値以上である場合、左輪と右輪とを有する車両及び二輪車が並走したと推定する。
このようにすることで、走行状態判別装置は、押圧信号の取得タイミングが一致するものと、異なっているものが混在している場合、四輪車(又は三輪車)と、二輪車とが並走したと推定することができる。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、第2の態様に係る走行状態判別装置(2)において、前記走行状態推定部(214)は、前記第1の時刻、前記第2の時刻、及び前記第3の時刻の時間差が、いずれも前記判定閾値以上である場合、複数の二輪車が並走したと推定する。
このようにすることで、走行状態判別装置は、押圧信号の取得タイミングが全て異なる場合は、複数の二輪車が並走したと推定することができる。
【0010】
本発明の第4の態様によれば、第1から第3の何れか一の態様に係る走行状態判別装置(2)において、前記走行状態推定部(214)は、前記車両進入時刻から前記車両退出時刻までの間に取得した前記押圧信号に基づいて、前記通過車両が有する車輪数を更に特定し、前記第1の時刻及び前記第2の時刻の前記時間差が前記判定閾値未満であり、且つ、前記第1の押圧センサ及び前記第2の押圧センサから取得した前記押圧信号により特定された前記車輪数が三つである場合、三輪車が走行したと推定する。
このようにすることで、走行状態判別装置は、押圧センサ上を通過した車両が三輪車であるか否かを更に判別することができる。
【0011】
本発明の第5の態様によれば、第1から第4の何れか一の態様に係る走行状態判別装置(2)において、複数の前記押圧センサ(200)それぞれは、車線方向の上流側に配置された上流側センサ(201)、及び前記車線方向の下流側に配置された下流側センサ(202)から構成され、前記押圧信号取得部(211)は、複数の前記上流側センサ(201)及び複数の前記下流側センサ(202)それぞれから前記押圧信号を取得し、前記走行状態推定部(214)は、異なる二つの前記上流側センサ(201)である第1の上流側センサ及び第2の上流側センサから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す前記押圧信号を取得した第1の時刻及び第2の時刻の時間差と、異なる二つの前記下流側センサ(202)である第1の下流側センサ及び第2の下流側センサから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す前記押圧信号を取得した第3の時刻及び第4の時刻の時間差とのうち、少なくとも一方が所定の判定閾値以上である場合、二輪車が並走したと推定する。
このようにすることで、走行状態判別装置は、より高い精度で二輪車が並走したことを判別することができる。
【0012】
本発明の第6の態様によれば、走行状態判別方法は、車線幅方向に並べて配置された複数の押圧センサ(200)それぞれから通過車両による押圧を検出可能な押圧信号を取得する押圧信号取得ステップと、前記押圧センサ(200)の設置位置において前記通過車両の存在を検知可能に設置された車両検知器(3)から車両検知信号を取得する車両検知信号取得ステップと、前記車両検知信号に基づいて、前記通過車両が前記車両検知器の検知位置へ進入した時刻である車両進入時刻と、前記通過車両が前記車両検知器の前記検知位置を退出した時刻である車両退出時刻とを特定する時刻特定ステップと、前記車両進入時刻から前記車両退出時刻までの間に、複数の前記押圧センサ(200)のうち、異なる二つの押圧センサ(200)である第1の押圧センサ及び第2の押圧センサそれぞれから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す押圧信号を取得した場合に、当該押圧信号を取得した時刻に応じて、前記通過車両の走行状態を推定する走行状態推定ステップと、を有し、前記走行状態推定ステップにおいて、前記第1の押圧センサ及び前記第2の押圧センサそれぞれから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す前記押圧信号を取得した第1の時刻及び第2の時刻の時間差が所定の判定閾値未満である場合、左輪と右輪とを有する車両が走行したと推定し、前記時間差が前記判定閾値以上である場合、二輪車が並走したと推定する。
【0013】
本発明の第7の態様によれば、走行状態判別装置(2)のコンピュータ(900)を機能させるプログラムは、前記コンピュータ(900)に、車線幅方向に並べて配置された複数の押圧センサ(200)それぞれから通過車両による押圧を検出可能な押圧信号を取得する押圧信号取得ステップと、前記押圧センサ(200)の設置位置において前記通過車両の存在を検知可能に設置された車両検知器(3)から車両検知信号を取得する車両検知信号取得ステップと、前記車両検知信号に基づいて、前記通過車両が前記車両検知器の検知位置へ進入した時刻である車両進入時刻と、前記通過車両が前記車両検知器の前記検知位置を退出した時刻である車両退出時刻とを特定する時刻特定ステップと、前記車両進入時刻から前記車両退出時刻までの間に、複数の前記押圧センサ(200)のうち、異なる二つの押圧センサ(200)である第1の押圧センサ及び第2の押圧センサそれぞれから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す押圧信号を取得した場合に、当該押圧信号を取得した時刻に応じて、前記通過車両の走行状態を推定する走行状態推定ステップと、を実行させ、前記走行状態推定ステップにおいて、前記第1の押圧センサ及び前記第2の押圧センサそれぞれから前記通過車両のタイヤにより押圧されたことを示す前記押圧信号を取得した第1の時刻及び第2の時刻の時間差が所定の判定閾値未満である場合、左輪と右輪とを有する車両が走行したと推定し、前記時間差が前記判定閾値以上である場合、二輪車が並走したと推定する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る走行状態判別装置、走行状態判別方法、及びプログラムによれば、通過した車両の走行状態が二輪車の並走であるか否かを判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る走行状態判別装置の計測部の機能構成を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る走行状態判別装置の判定部の機能構成を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る押圧信号の一例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る走行状態判別装置の処理の一例を示す第1のフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態に係る走行状態判別装置の処理の一例を示す第2のフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係る走行状態推定部の機能を説明するための第1の図である。
図8】本発明の一実施形態に係る走行状態推定部の機能を説明するための第2の図である。
図9】本発明の一実施形態に係る走行状態推定部の機能を説明するための第3の図である。
図10】本発明の一実施形態に係る走行状態推定部の機能を説明するための第4の図である。
図11】本発明の一実施形態に係る走行状態判別装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図12】本発明の変形例2に係る走行状態判別装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図13】本発明の変形例2に係る走行状態推定部の機能を説明するための図である。
図14】本発明の変形例3に係る走行状態判別装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図15】本発明の変形例3に係る走行状態推定部の機能を説明するための第1の図である。
図16】本発明の変形例3に係る走行状態推定部の機能を説明するための第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る走行状態判別装置2、及び、走行状態判別装置2が適用される料金収受システム1について、図を参照しながら説明する。
【0017】
(全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
図1には、料金収受システム1が有料道路の出口料金所に設置される例が示されている。料金収受システム1は、有料道路から一般道路へと続く車線Lと、当該車線Lの両側に敷設されたアイランドI上に設置される。料金収受システム1は、車線Lを走行する車両Aに搭載された車載器αと無線通信を行うことにより、当該車両Aの車種に応じた通行料金を収受する。
【0018】
なお、以下の説明では、車線Lが延在する方向(図1におけるX方向)を「車線方向」とも記載し、車線方向に水平に直交する方向(図1におけるY方向)を「車線幅方向」とも記載する。また、車両Aの進行方向の手前側(-X側)を車線Lの「上流側」とも記載し、車両Aの進行方向の奥側(+X側)を車線Lの「下流側」とも記載する。
【0019】
図1に示すように、料金収受システム1は、走行状態判別装置2と、車両検知器3と、車種判別装置4と、路側無線装置5とを備えている。
【0020】
走行状態判別装置2は、車線Lを走行する車両A(通過車両)の走行状態を判別する。また、走行状態判別装置2は、車線Lを走行する車両Aの軸重を計測する重量計測装置としても機能する。
【0021】
走行状態判別装置2は、計測部20と、判別部21とを有している。計測部20は、
車線方向(X方向)の所定の計測位置Pにおいて車線Lに敷設される。計測部20は、計測位置Pを通過する車両Aのタイヤによる踏み付け(押圧)を検出可能な押圧信号を判別部21に出力する。判別部21は、押圧信号に基づいて、計測位置P(計測部20上)を通過する車両Aの走行状態を判別する。
【0022】
車線Lを走行する車両Aとして、二輪車、三輪車、及び四輪以上のタイヤを有する車両(以下、「四輪車」と総称する。)がある。また、車両Aが二輪車である場合、二台の二輪車が車線Lを並走する場合がある。走行状態判別装置2は、車線L上を一台の四輪車又は三輪車が走行しているのか、或いは、二台の二輪車が並走しているのか、何れの走行状態であるのかを判別するための装置である。
【0023】
車両検知器3は、車線方向(X方向)において、走行状態判別装置2の計測部20の設置位置である計測位置Pに設置され、計測位置Pを通過する車両Aの存在を検知する。即ち、計測位置Pは、車両検知器3の検知位置でもある。車両検知器3は、例えば図1に示すように、車線Lを車線幅方向(Y方向)に挟んで対向するように設置される投光塔及び受光塔を有する、透過型の車両検知器である。なお、他の実施形態では、車両検知器3は、反射型の車両検知器であってもよい。また、車両検知器3は、車両Aの存在の有無を検知可能な車両検知信号を走行状態判別装置2、及び車種判別装置4に出力する。
【0024】
車種判別装置4は、車線Lを走行する車両Aの車種を判別する。本実施形態では、車種判別装置4は、走行状態判別装置2から出力された判別結果、車両検知器3から出力された車両検知信号、後述の路側無線装置5が無線通信により車両Aの車載器αから取得した各種情報等に基づいて、車両Aの車種を判別する。
【0025】
路側無線装置5は、車両Aに搭載された車載器αと無線通信を行うことにより、車種判別装置4が判別した車種に応じた通行料金を車両Aから収受するための各種命令、情報等の送受信を行う。
【0026】
なお、図1の料金収受システム1の構成は一例であり、これに限られることはない。他の実施形態では、料金収受システム1は、車両Aの車高、車長、車幅等の特徴情報を取得するための機器を更に備えていてもよい。また、料金収受システム1は、有料道路の入口料金所に設置されるものであってもよい。
【0027】
(走行状態判別装置の機能構成)
図2は、本発明の一実施形態に係る走行状態判別装置の計測部の機能構成を示す図である。
図2に示すように、本実施形態に係る走行状態判別装置2の計測部20は、車線幅方向(Y方向)に並べて配置された複数の押圧センサ200を有している。図2には、計測部20が押圧センサ200A~200Eの五つの押圧センサ200を有している例が示されているが、これに限られることはない。他の実施形態では、計測部20の設置環境(車線Lの幅等)、使用する押圧センサの特性等に応じて押圧センサの数を増減させてもよい。なお、料金収受システム1が車両Aの軸重を計測するための重量計測装置を備えている場合、この重量計測装置が有する押圧センサを、走行状態判別装置2の計測部20(押圧センサ200)として用いてもよい。
【0028】
また、押圧センサ200A~200Eそれぞれは、車線方向の上流側(-X側)に配置された上流側センサ201(201A~201E)、及び車線方向の下流側(+X側)に配置された下流側センサ202(202A~202E)から構成される。本実施形態では、上流側センサ201及び下流側センサ202として、例えば振動源センサが用いられる。なお、他の実施形態では、車両Aのタイヤによる押圧(荷重)を検出可能であれば、上流側センサ201及び下流側センサ202として他のセンサが用いられてもよい。
【0029】
図3は、本発明の一実施形態に係る走行状態判別装置の判定部の機能構成を示す図である。
図3に示すように、走行状態判別装置2の判別部21は、CPU210と、記録媒体215とを有している。CPU210は、判別部21の動作全体を司るプロセッサであり、所定のプログラムに従って動作することにより、押圧信号取得部211、車両検知信号取得部212、時刻特定部213、走行状態推定部214としての機能を発揮する。
【0030】
押圧信号取得部211は、複数の押圧センサ200それぞれから、計測位置Pを通過する車両AのタイヤTRによる押圧を検出可能な押圧信号を取得する。押圧信号取得部211が取得した押圧信号は、取得時刻及び出力元の押圧センサ200を特定可能な情報とともに、記録媒体215に記憶されて蓄積される。
【0031】
車両検知信号取得部212は、車両検知器3から車両検知信号を取得する。車両検知信号取得部212は、車両Aが計測位置Pに存在している場合、車両検知器3から車両Aの存在を示す車両検知信号(ON)を取得する。また、車両検知信号取得部212は、車両Aが計測位置Pに存在していない場合、車両検知器3から車両Aの非存在を示す車両検知信号(OFF)を取得する。走行状態判別装置2は、この車両検知信号がOFFからONに変化した場合に車両Aが計測位置Pに到達したことを検出し、車両検知信号がONからOFFに変化した場合に車両Aが計測位置Pを通過したことを検出することができる。
【0032】
時刻特定部213は、車両検知信号取得部212が取得した車両検知信号に基づいて、車両Aの車両進入時刻と、車両退出時刻とを特定する。なお、車両進入時刻は、車線方向の上流側(-X側)から走行してきた車両Aの車頭が計測位置Pに到達した時刻を示す。また、車両退出時刻は、車両Aの車尾が計測位置Pよりも車線方向の下流側(+X側)に移動(計測位置Pを通過)した時刻を示す。
【0033】
走行状態推定部214は、車両進入時刻から車両退出時刻までの間に、複数の押圧センサ200のうち、異なる二つの押圧センサ200(第1の押圧センサ及び第2の押圧センサ)それぞれから車両AのタイヤTRにより押圧されたことを示す押圧信号を取得した場合に、当該押圧信号を取得した時刻に応じて、車両Aの走行状態を推定する。また、走行状態推定部214は、異なる二つの押圧センサ200(第1の押圧センサ及び第2の押圧センサ)それぞれから車両AのタイヤTRにより押圧されたことを示す押圧信号を取得した時刻(第1の時刻及び第2の時刻)の時間差が所定の判定閾値未満である場合、左輪と右輪とを有する車両(即ち、三輪車又は四輪車)が走行したと推定し、時間差が判定閾値以上である場合、二輪車が並走したと推定する。
【0034】
記録媒体215には、CPU210の各部が取得又は生成した各種情報が記憶される。
【0035】
図4は、本発明の一実施形態に係る押圧信号の一例を示す図である。
ここで、押圧信号取得部211が取得する押圧信号について、図4を参照しながら説明する。図4には、車両Aが有する複数のタイヤのうち、一のタイヤTRが押圧センサ200A上を通過したときに取得される押圧信号の例が示されている。押圧信号取得部211は、押圧センサ200Aの上流側センサ201A及び下流側センサ202Aそれぞれから出力された、タイヤTRによる押圧(荷重)に応じた押圧信号を逐次、取得する。図4の(a)は、押圧信号取得部211が取得した押圧信号を時系列に並べて波形として表したものであり、実線は上流側センサ201Aから取得した押圧信号の波形、破線は下流側センサ202Aから取得した押圧信号の波形である。図4の(a)に示すように、タイヤTRが車線方向の下流側(+X側)に移動するにつれて、上流側センサ201A及び下流側センサ202Aの押圧信号の値(荷重値)が変化する。
【0036】
また、本実施形態に係る走行状態推定部214は、押圧信号取得部211が取得した押圧信号のうち、所定の下限値以上の値を有する押圧信号を、車両AのタイヤTRにより押圧されたことを示す押圧信号であると判断する。例えば、図4の(b)は、一連の押圧信号を、押圧信号の値が下限値以上となる「押圧あり(ON)」と、下限値未満となる「押圧なし(OFF)」の2値に分けて模式的に表した信号波形である。上述のように、上流側センサ201及び下流側センサ202として振動源センサを用いる場合、タイヤTRがセンサ上に位置していないときも、押圧信号の値が微小に変化する場合がある。しかしながら、走行状態推定部214は、このように押圧信号の値が下限値以上である場合のみ、タイヤTRによる押圧があったと判断するので、このような微小な押圧信号の値の変化によりタイヤTRを誤検出してしまう可能性を低減させることができる。なお、押圧信号の下限値は、上流側センサ201及び下流側センサ202に用いられるセンサの特性に応じて、任意に変更してもよい。
【0037】
(走行状態判別装置の処理フロー)
図5は、本発明の一実施形態に係る走行状態判別装置の処理の一例を示す第1のフローチャートである。
図6は、本発明の一実施形態に係る走行状態判別装置の処理の一例を示す第2のフローチャートである。
以下、図5図6を参照しながら、走行状態判別装置2の処理の一例について詳細に説明する。
【0038】
図5に示すように、まず、走行状態判別装置2の判別部21において、押圧信号取得部211は、複数の押圧センサ200(上流側センサ201及び下流側センサ202)それぞれから押圧信号を取得する(ステップS10)。取得した押圧信号は、記録媒体215に記憶されて蓄積される。
【0039】
また、車両検知信号取得部212は、車両検知器3から車両検知信号を取得する(ステップS11)。
【0040】
なお、押圧信号取得部211及び車両検知信号取得部212は、それぞれ所定の間隔ごとに出力される押圧信号及び車両検知信号を取得する。この間隔は押圧センサ200及び車両検知器3それぞれが任意に設定してもよい。したがって、ステップS10及びステップS11は、図5に示す通りの順番でなくてもよい。
【0041】
次に、時刻特定部213は、車両検知信号取得部212が取得した車両検知信号がONとなったかを判断する(ステップS12)。時刻特定部213は、車両検知信号がONとなっていない場合(ステップS12:NO)、即ち、車両Aが計測位置Pに到達していない場合、ステップS10に戻る。
【0042】
一方、時刻特定部213は、車両検知信号がONとなった場合(ステップS12:YES)、即ち、車両Aが車線Lに進入(計測位置Pに到達)した場合、車両検知信号の取得時間に基づいて、車両Aの進入時刻(車両進入時刻)を特定する(ステップS13)。
【0043】
また、押圧信号取得部211は、車両Aが計測位置Pを走行している間も、継続して押圧信号を取得する(ステップS14)。取得した押圧信号は、記録媒体215に記憶されて蓄積される。同様に、車両検知信号取得部212も、継続して車両検知信号を取得する(ステップS15)。
【0044】
次に、時刻特定部213は、車両検知信号取得部212が取得した車両検知信号がOFFとなったかを判断する(ステップS16)。時刻特定部213は、車両検知信号がOFFとなっていない場合(ステップS16:NO)、即ち、車両Aが計測位置Pを走行中である場合、ステップS14に戻る。
【0045】
一方、時刻特定部213は、車両検知信号がOFFとなった場合(ステップS16:YES)、即ち、車両Aが計測位置Pを通過(退出)した場合、車両検知信号の取得時間に基づいて、車両Aの退出時刻(車両退出時刻)を特定する(ステップS17)。
【0046】
図7は、本発明の一実施形態に係る走行状態推定部の機能を説明するための第1の図である。
図7には、ある車両Aが計測部20上(計測位置P)を通過したときに取得された一連の車両検知信号及び押圧信号の一例が示されている。なお、押圧信号については、実線は上流側センサ201から取得した押圧信号を示し、破線は下流側センサ202から取得した押圧信号を示す。
【0047】
図7に示す車両検知信号によれば、車両Aは、車両検知信号がOFFからONに変化した時刻t1において計測位置Pに到達し、車両検知信号がONからOFFに変化した時刻t10において計測位置Pを通過したことがわかる。したがって、時刻特定部213は、時刻t1を車両進入時刻、時刻t10を車両退出時刻として特定する(図5のステップS13、ステップS17)。
【0048】
図5に戻り、走行状態推定部214は、車両進入時刻から車両退出時刻までの間に取得された押圧信号に基づいて、車両Aの走行状態を推測する処理を実行する(ステップS18)。なお、本実施形態において、車両Aの走行状態とは、「一台の四輪車が走行」、「一台の三輪車が走行」、「一台の二輪車が走行」、「二台の二輪車が走行(並走)」のうち何れかを示す。具体的には、走行状態推定部214は、図6に示す各処理を実行して、車両Aの走行状態を推定する。
【0049】
図6に示すように、まず、走行状態推定部214は、車両進入時刻から車両退出時刻までの間に、複数の押圧センサ200のうち、異なる二つの押圧センサ200から車両AのタイヤTRに押圧されたことを示す押圧信号を取得したか否かを判断する(ステップS180)。
【0050】
図7の例では、車両進入時刻(時刻t1)から車両退出時刻(時刻t10)までの間において、タイヤTRに押圧されたことを示す押圧信号、即ち、所定の下限値以上の値を有する押圧信号(「押圧あり(ON)」)は、時刻t2から時刻t5までの期間D1、及び時刻t6から時刻t8までの期間D2において取得されている。ここで、走行状態推定部214は、押圧信号の波形パターンから、期間D1において取得された押圧信号は車両Aの一軸目(前輪)に関連し、期間D2において取得された押圧信号は車両Aの二軸目(後輪)に関連すると仮定する。そして、走行状態推定部214は、期間D1及び期間D2のそれぞれにおいて、異なる二つの押圧センサ200、即ち、押圧センサ200A(第1の押圧センサ)及び押圧センサ200D(第2の押圧センサ)から「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得したと判断する(ステップS180:YES)。
【0051】
一方、走行状態推定部214は、車両Aの一軸目及び二軸目の双方とも、一つの押圧センサ200からのみ「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した場合(ステップS180:NO)、この車両Aの走行状態は「一台の二輪車が走行」しているものであると推定し(ステップS187)、図5の処理に戻る。
【0052】
また、異なる二つの押圧センサ200から「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した場合(ステップS180:YES)、走行状態推定部214は、これら二つの押圧信号が一台の車両の左右のタイヤTRによる押圧を示すものであるか、異なる二台の二輪車それぞれのタイヤTRによる押圧を示すものであるか判断する。ここで、一台の車両の左右のタイヤTRによる押圧である場合、これら左右のタイヤTRは同時、又は非常に短い時間差で押圧センサ200上を通過することが想定される。一方、異なる二台の二輪車それぞれのタイヤTRによる押圧である場合、二輪車のタイヤ径、軸距等の形状的な特徴、速度の相違により、タイヤTRが押圧センサ200上を通過する時間が異なることが想定される。このような想定のもと、走行状態推定部214は、押圧センサ200A及び200Dそれぞれから「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した時刻(第1の時刻及び第2の時刻)の時間差が、所定の判定閾値未満であるか否かを判断する(ステップS181)。なお、判定閾値はセンサの特性等に応じて任意に設定される。
【0053】
具体的には、走行状態推定部214は、期間D1及びD2のそれぞれについて、押圧センサ200Aの上流側センサ201A及び押圧センサ200Dの上流側センサ201Dそれぞれから取得した押圧信号のうち、「押圧なし(OFF)」から「押圧あり(ON)」に変化した押圧信号を取得した時刻の時間差を求める。
【0054】
例えば、図7に示すように、期間D1では、時刻t2において上流側センサ201A及び201Dそれぞれからほぼ同時に「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得しており、これらの時間差は判定閾値よりも小さいとする。また、同様に、期間D2では、時刻t6において上流側センサ201A及び201Dそれぞれからほぼ同時に「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得しており、これらの時間差は判定閾値よりも小さいとする。そうすると、走行状態推定部214は、この車両Aの一軸目及び二軸目の双方とも、時間差が判定閾値未満であると判断する(ステップS181:YES)。この場合、走行状態推定部214は、この車両Aを、左輪及び右輪を有する「一台の車両が走行」していると推定する(ステップS182)。
【0055】
また、走行状態推定部214は、更に車両Aが四輪車であるか、三輪車であるかを判断する。具体的には、走行状態推定部214は、車両進入時刻(時刻t1)から車両退出時刻(時刻t10)までの間に取得した押圧信号の波形パターンから、車両Aの車輪数が「3」であるか否かを判断する(ステップS183)。
【0056】
図8は、本発明の一実施形態に係る走行状態推定部の機能を説明するための第2の図である。
図8には、三輪車が計測部20上(計測位置P)を通過したときに取得された一連の車両検知信号及び押圧信号の一例であって、「押圧あり(ON)」を示す押圧信号が出力された押圧センサ200B、200C、及び200Dの押圧信号のみを抜粋したものが示されている。例えば一軸目(前輪)が二輪、二軸目(後輪)が一輪の三輪車では、図8に示すように、期間D1において異なる二つの押圧センサ200B及び200Dからほぼ同時に「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得し(ステップS180:YES、ステップS181:YES)、期間D2において一つの押圧センサ200Cから「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得したとする。ここで、走行状態推定部214は、図8に示す波形パターンから、車両進入時刻(時刻t1)から車両退出時刻(時刻t10)までの間に、タイヤTRによる押圧が検出された回数を車輪数として特定する。例えば、走行状態推定部214は、各上流側センサ201において押圧信号が「押圧なし(OFF)」から「押圧あり(ON)」に変化した立ち上がりエッジの数を車輪数として特定する。図8の例では、走行状態推定部214は、上流側センサ201における立ち上がりエッジの数、即ち、車輪数は「3」であると判断し(ステップS183:YES)、この車両Aの走行状態は、「一台の三輪車が走行」しているものであると推定し(ステップS184)、図5の処理に戻る。
【0057】
図9は、本発明の一実施形態に係る走行状態推定部の機能を説明するための第3の図である。
図9には、図8と同様に三輪車が計測部20上(計測位置P)を通過したときに取得された一連の車両検知信号及び押圧信号の一例が示されている。例えば一軸目(前輪)が一輪、二軸目(後輪)が二輪の三輪車では、図9に示すように、期間D1において一つの押圧センサ200Cから「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得し、期間D2において異なる二つの押圧センサ200B及び200Dからほぼ同時に「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得したとする(ステップS180:YES、ステップS181:YES)。ここで、走行状態推定部214は、図9に示す波形パターンから、車両進入時刻(時刻t1)から車両退出時刻(時刻t10)までの間に、タイヤTRによる押圧が検出された回数を車輪数として特定する。図9の例では、走行状態推定部214は、上流側センサ201における立ち上がりエッジの数、即ち、車輪数は「3」であると判断し(ステップS183:YES)、この車両Aの走行状態は、「一台の三輪車が走行」しているものであると推定し(ステップS184)、図5の処理に戻る。
【0058】
一方、図7に示すように、車両進入時刻(時刻t1)から車両退出時刻(時刻t10)までの間に、各上流側センサ201における立ち上がりエッジの数、即ち、車輪数は「4」である。この場合、走行状態推定部214は、車両Aの車輪数は「3」ではないと判断し(ステップS183:NO)、この車両Aの走行状態は、「一台の四輪車が走行」しているものであると推定し(ステップS185)、図5の処理に戻る。
【0059】
また、図6のステップS181において、異なる二つの上流側センサ201それぞれから「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した時刻の時間差が、判定閾値以上であった場合(ステップS181:NO)について、図10を参照しながら説明する。
【0060】
図10は、本発明の一実施形態に係る走行状態推定部の機能を説明するための第4の図である。
図10には、二台の二輪車が計測部20上(計測位置P)を並走して通過したときに取得された一連の車両検知信号及び押圧信号の一例であって、「押圧あり(ON)」を示す押圧信号が出力された押圧センサ200A及び200Dの一部(前輪)の押圧信号のみを抜粋したものが示されている。
【0061】
例えば、図10に示すように、一台目の二輪車のタイヤTR(前輪)が時刻t2から時刻t5までの期間D1において押圧センサ200A上を通過し、二台目の二輪車のタイヤTR(前輪)が時刻t2’から時刻t5’までの期間D1’において押圧センサ200D上を通過したとする。走行状態推定部214は、押圧センサ200Aの上流側センサ201Aから「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した時刻t2と、押圧センサ200Dの上流側センサ201Dから「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した時刻t2’との時間差を求め、この時間差が所定の判定閾値以上である場合(ステップS181:NO)、車両Aの走行状態は「二台の二輪車が走行(並走)」しているものであると推定し(ステップS186)、図5の処理に戻る。
【0062】
また、走行状態推定部214は、一軸目のタイヤTR(前輪)と同様に、二軸目のタイヤTR(後輪)を検出した押圧信号の取得時刻の時間差が判定閾値未満であるか否かを更に判断する。走行状態推定部214は、一軸目及び二軸目のタイヤTRを検出した押圧信号の取得時刻の時間差のうち、少なくとも一方が判定閾値以上である場合(ステップS181:NO)、車両Aの走行状態は「二台の二輪車が走行(並走)」しているものであると推定し(ステップS186)、図5の処理に戻る。
【0063】
次に、図5に戻り、走行状態推定部214は、車両Aの走行状態の推定結果を車種判別装置4に出力する(ステップS19)。
【0064】
走行状態判別装置2は、上述の図5図6の処理を繰り返し実行して、車線Lを通過する車両Aの走行状態を判別する。
【0065】
(走行状態判別装置のハードウェア構成)
図11は、本発明の一実施形態に係る走行状態判別装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
以下、図11を参照しながら、上述の走行状態判別装置2のハードウェア構成の一例について説明する。
【0066】
図11に示すように、コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、インタフェース904を備える。
【0067】
上述の走行状態判別装置2は、それぞれコンピュータ900に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901(CPU210)は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、走行状態判別装置2が各種処理に用いる記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域(記録媒体215)を補助記憶装置903に確保する。
【0068】
補助記憶装置903の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。補助記憶装置903は、コンピュータ900のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース904又は通信回線を介してコンピュータ900に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0069】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
更に、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0070】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る走行状態判別装置2は、車線幅方向に並べて配置された複数の押圧センサ200それぞれから車両A(通過車両)による押圧を検出可能な押圧信号を取得する押圧信号取得部211と、押圧センサ200の設置位置において車両Aの存在を検知可能に設置された車両検知器3から車両検知信号を取得する車両検知信号取得部212と、車両検知信号に基づいて、車両Aの車両進入時刻と、車両退出時刻とを特定する時刻特定部213と、車両進入時刻から車両退出時刻までの間に、複数の押圧センサ200のうち、異なる二つの押圧センサ200(第1の押圧センサ及び第2の押圧センサ)それぞれから車両AのタイヤTRにより押圧されたことを示す押圧信号を取得した場合に、当該押圧信号を取得した時刻に応じて、車両Aの走行状態を推定する走行状態推定部214と、を備える。走行状態推定部214は、異なる二つの押圧センサ200それぞれから車両AのタイヤTRにより押圧されたことを示す押圧信号を取得した時刻(第1の時刻及び第2の時刻)の時間差が所定の判定閾値未満である場合、左輪と右輪とを有する一台の車両が走行したと推定し、この時間差が判定閾値以上である場合、二台の二輪車が並走したと推定する。
このようにすることで、走行状態判別装置2は、異なる二つの押圧センサ200から、車両AのタイヤTRにより押圧されたことを示す押圧信号を取得したタイミングが異なっていることを検出して、この車両Aの走行状態が二台の二輪車が並走しているものであると推定することができる。これにより、走行状態判別装置2は、車両検知器と押圧センサの簡易な構成のみで、車両Aの走行状態を判定することができる。
【0071】
また、走行状態推定部214は、車両進入時刻から車両退出時刻までの間に取得した押圧信号に基づいて、車両Aが有する車輪数を更に特定し、異なる二つの押圧センサ200それぞれから車両AのタイヤTRにより押圧されたことを示す押圧信号を取得した時刻(第1の時刻及び第2の時刻)の時間差が所定の判定閾値未満であり、且つ、車輪数が三つである場合、一台の三輪車が走行したと推定する。
このようにすることで、走行状態判別装置2は、押圧センサ200上を通過した車両が三輪車であるか否かを更に判別することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
【0073】
(変形例1)
例えば、図6のステップS181において、走行状態推定部214が、二つの異なる押圧センサ200の上流側センサ201それぞれから「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した時刻の時間差を求め、この時間差が判定閾値以上であるか否かを判定する例について説明したが、これに限られることはない。本変形例1では、走行状態推定部214は、図6のステップS181において、二つの異なる押圧センサ200の下流側センサ202それぞれから「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した時刻の時間差を求め、この時間差が判定閾値以上であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0074】
例えば、図10に示すように、一台目の二輪車のタイヤTR(前輪)は、時刻t3において下流側センサ202Aにより検出され、二台目の二輪車のタイヤTR(前輪)は、時刻t3’において下流側センサ202Dにより検出されたとする。
【0075】
この場合、走行状態推定部214は、押圧センサ200Aの下流側センサ202Aから「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した時刻t3と、押圧センサ200Dの下流側センサ202Dから「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した時刻t3’との時間差を求め、この時間差が所定の判定閾値以上である場合(ステップS181:NO)、車両Aの走行状態は「二台の二輪車が走行(並走)」しているものであると推定する(ステップS186)。
【0076】
また、走行状態推定部214は、一軸目のタイヤTR(前輪)と同様に、二軸目のタイヤTR(後輪)を検出した押圧信号の取得時刻の時間差が判定閾値未満であるか否かを更に判断する。走行状態推定部214は、一軸目及び二軸目のタイヤTRを検出した押圧信号の取得時刻の時間差のうち、少なくとも一方が判定閾値以上である場合(ステップS181:NO)、車両Aの走行状態は「二台の二輪車が走行(並走)」しているものであると推定する(ステップS186)。
【0077】
このように、走行状態推定部214は、下流側センサ202から取得した押圧信号に基づいて、車両Aの走行状態を推定することができる。
【0078】
なお、走行状態推定部214が上流側センサ201から取得した押圧信号のみに基づいて走行状態の推定を行う場合、走行状態判別装置2の計測部20は、下流側センサ202を省略してもよい。また、走行状態推定部214が下流側センサ202から取得した押圧信号のみに基づいて走行状態の推定を行う場合、走行状態判別装置2の計測部20は、上流側センサ201を省略してもよい。
【0079】
(変形例2)
また、走行状態推定部214は、上流側センサ201から取得した押圧信号と、下流側センサ202から取得した押圧信号との双方に基づいて、車両Aの走行状態を推定してもよい。
【0080】
図12は、本発明の変形例2に係る走行状態判別装置の処理の一例を示すフローチャートである。
本変形例2では、走行状態推定部214は、図6に示す走行状態推定処理S18のステップS181に代えて、図12に示す走行状態推定処理S18AのステップS181A~S181Bを実行する。他の処理は図6に示す走行状態推定処理S18と同様であるため、変更点のみを説明する。
【0081】
図12に示すように、走行状態推定部214は、まず、異なる二つの上流側センサ201から「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した時刻(第1の時刻及び第2の時刻)の時間差が、判定閾値未満であるか否かを判定する(ステップS181A)。
【0082】
例えば、図10に示すように、上流側センサ201Aが「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した第1の時刻(時刻t2)と、上流側センサ201Dが「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した第2の時刻(時刻t2’)との時間差が判定閾値以上であったとする(ステップS181A:NO)。この場合、走行状態推定部214は、車両Aの走行状態は「二台の二輪車が走行(並走)」しているものであると推定する(ステップS186)。以降の処理は、図6と同様である。
【0083】
一方、例えば、図7に示すように、期間D1では、上流側センサ201Aが「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した第1の時刻と、上流側センサ201Dが「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した第2の時刻は、ほぼ同時刻である時刻t2であるとする。また、期間D2では、上流側センサ201Aが「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した第1の時刻と、上流側センサ201Dが「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した第2の時刻は、ほぼ同時刻である時刻t6であるとする。走行状態推定部214は、これら期間D1及び期間D2それぞれについて、上流側センサ201から押圧信号を取得した第1の時刻及び第2の時刻の時間差を求め、これら時間差がいずれも判定閾値未満であると判断したとする(ステップS181A:YES)。この場合、走行状態推定部214は、異なる二つの下流側センサ202から「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した時刻(第3の時刻及び第4の時刻)の時間差が、判定閾値未満であるか否かを更に判定する(ステップS181B)。
【0084】
図7の例のように、期間D1では、下流側センサ202Aが「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した第3の時刻と、下流側センサ202Dが「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した第4の時刻は、ほぼ同時刻である時刻t3であるとする。また、期間D2では、下流側センサ202Aが「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した第3の時刻と、下流側センサ202Dが「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した第4の時刻は、ほぼ同時刻である時刻t7であるとする。走行状態推定部214は、これら期間D1及び期間D2それぞれについて、下流側センサ202から押圧信号を取得した第3の時刻及び第4の時刻の時間差を求め、これら時間差がいずれも判定閾値未満であると判断したとする(ステップS181B:YES)。この場合、走行状態推定部214は、この車両Aの走行状態は「一台の車両が走行」しているものであると推定する(ステップS182)。以降の処理は、図6と同様である。
【0085】
図13は、本発明の変形例2に係る走行状態推定部の機能を説明するための図である。
図13には、図10と同様に、二台の二輪車が計測部20上(計測位置P)を並走して通過したときに取得された一連の車両検知信号及び押圧信号の一例であって、「押圧あり(ON)」を示す押圧信号が出力された押圧センサ200A及び200Dの一部(前輪)の押圧信号のみを抜粋したものが示されている。
【0086】
図13に示すように、一台目の二輪車のタイヤTR(前輪)が押圧センサ200Aの上流側センサ201Aに到達したタイミングと、二台目の二輪車のタイヤTR(前輪)が押圧センサ200Dの上流側センサ201Dに到達したタイミングがほぼ同時であったとする。しかしながら、一台目及び二台目の二輪車それぞれは、形状的な特徴及び速度が完全に一致するとは限らず、下流側センサ202A及び202Dに到達するタイミングが異なる可能性がある。図13の例では、一台目の二輪車のタイヤTRは、時刻t3において下流側センサ202Aにより検出され、二台目の二輪車のタイヤTRは、時刻t3’において下流側センサ202Dにより検出されたとする。即ち、下流側センサ202Aが「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した第3の時刻は時刻t3であり、下流側センサ202Dが「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した第4の時刻は時刻t3’である。
【0087】
この図13の例では、走行状態推定部214は、上流側センサ201A及び201Dそれぞれから押圧信号を取得した第1の時刻と第2の時刻の時間差は判定閾値未満であると判断する(ステップS181A:YES)。しかしながら、走行状態推定部214は、下流側センサ202A及び202Dそれぞれから押圧信号を取得した第3の時刻と第4の時刻の時間差は判定閾値以上であると判断する(ステップS181B:NO)。この場合、走行状態推定部214は、この車両Aの走行状態は、「二台の二輪車が走行(並走)」しているものであると推定する(ステップS186)。
【0088】
以上のように、本変形例2に係る走行状態判別装置2において、走行状態推定部214は、異なる二つの上流側センサ201から車両AのタイヤTRにより押圧されたことを示す押圧信号を取得した時刻の時間差と、異なる二つの下流側センサ202から車両AのタイヤTRにより押圧されたことを示す押圧信号を取得した時刻の時間差とのうち、少なくとも一方が所定の判定閾値以上である場合、二台の二輪車が並走したと推定する。
このようにすることで、二台の二輪車が偶然、ほぼ同時に上流側センサ201又は下流側センサ202に到達してしまった場合であっても、走行状態推定部214が二台の二輪車の並走であると正しく推定する可能性を向上させることができる。これにより、走行状態判別装置2は、より高い精度で二台の二輪車が並走したことを判別することが可能となる。
【0089】
(変形例3)
また、上述の実施形態において、車線Lを一台の四輪車又は三輪車、或いは、二台の二輪車が走行するケースを例として説明した。しかしながら、これらのケースに加え、更に、一台の四輪車又は三輪車と二輪車とが並走するケース、或いは、二台以上の二輪車が並走するケースが考えられる。このため、変形例3に係る走行状態判別装置2は、このようなケースを想定して、車両Aの走行状態が「一台の四輪車が走行」、「一台の三輪車が走行」、「一台の二輪車が走行」、「二台以上の二輪車が走行(並走)」、「一台の四輪車と一台以上の二輪車が走行(並走)」、及び「一台の三輪車と一台以上の二輪車が走行(並走)」のうち何れであるか判別するようにしてもよい。
【0090】
図14は、本発明の変形例3に係る走行状態判別装置の処理の一例を示すフローチャートである。
以下、図14を参照しながら、本変形例に係る走行状態判別装置2の処理の一例について詳細に説明する。本変形例に係る走行状態判別装置2は、図6に示す走行状態推定処理S18に代えて、図14に示す走行状態推定処理S18Bを実行する。
【0091】
図12に示すように、まず、走行状態推定部214は、車両進入時刻から車両退出時刻までの間に、異なる二つ以上の押圧センサ200から車両AのタイヤTRに押圧されたことを示す押圧信号を取得したか否かを判断する(ステップS1800)。
【0092】
図15は、本発明の変形例3に係る走行状態推定部の機能を説明するための第1の図である。
図15には、一台の四輪車(又は三輪車)、及び一台の二輪車が計測部20上(計測位置P)を並走して通過したときに取得された一連の車両検知信号及び押圧信号の一例であって、一軸目(前輪)通過時の押圧信号のみを抜粋したものが示されている。図15の例では、押圧センサ200A(第1の押圧センサ)、押圧センサ200D(第2の押圧センサ)、及び押圧センサ200E(第3の押圧センサ)の三つの押圧センサから、それぞれ期間D1(時刻t2~時刻t5)、期間D1、及び期間D11(時刻t21~時刻t51)において、「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得している。この場合、走行状態推定部214は、異なる二つ以上の押圧センサ200から押圧信号を取得したと判断する(ステップS1800:YES)。なお、走行状態推定部214については、不図示の二軸目(後輪)通過時の押圧信号についても同様の判断を行う。
【0093】
一方、走行状態推定部214は、車両Aの一軸目及び二軸目の双方とも、一つの押圧センサ200からのみ「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した場合(ステップS1800:NO)、この車両Aの走行状態は「一台の二輪車が走行」しているものであると推定する(ステップS1812)。この後、上述の実施形態と同様に図5の処理に戻る。
【0094】
また、異なる二つ以上の押圧センサ200から「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した場合(ステップS1800:YES)、走行状態推定部214は、複数の押圧センサ(押圧センサ200A、200D、200E)それぞれから「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した時刻の時間差が、所定の判定閾値未満となる組み合わせがあるか否かを判断する(ステップS1801)。
【0095】
図16は、本発明の変形例3に係る走行状態推定部の機能を説明するための第2の図である。
図16には、三台の二輪車が計測部20上(計測位置P)を並走して通過したときに取得された一連の車両検知信号及び押圧信号の一例であって、一軸目(前輪)通過時の押圧信号のみを抜粋したものが示されている。図16の例では、押圧センサ200A(第1の押圧センサ)、押圧センサ200C(第2の押圧センサ)、及び押圧センサ200E(第3の押圧センサ)の三つの押圧センサから、それぞれ期間D1(時刻t2~時刻t5)、期間D11(時刻t21~時刻t51)、及び期間D12(時刻t22~時刻t52)において、「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得している。
【0096】
ここで、走行状態推定部214は、各押圧センサ200A、200C、及び200Eの上流側センサ201A、201C、及び201Eが「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した時刻を示す「第1の時刻」、「第2の時刻」、及び「第3の時刻」を抽出する。図16の例では、「第1の時刻」、「第2の時刻」、及び「第3の時刻」は、それぞれ時刻t2、時刻t21、及び時刻t22であり、これら時刻の時間差は何れも判定閾値以上であるとする。この場合、走行状態推定部214は、時間差が判定閾値未満となる組み合わせがないと判断する(ステップS1801:NO)。この場合、走行状態推定部214は、これら上流側センサ201A、201C、201Eの押圧信号により検出されたタイヤTRは、何れも異なる二輪車のタイヤTRであると判断する。したがって、走行状態推定部214は、車両Aの走行状態は「N1台の二輪車が走行(並走)」しているものであると推定する(ステップS1811)。なお、N1は、一軸目のタイヤTRを示す押圧信号を検出した上流側センサ201の数(図16の例では、上流側センサ201A、201C、及び201Eの3つ)である。この後、上述の実施形態と同様に図5の処理に戻る。
【0097】
一方、図15の例のように、上流側センサ201A及び201Dが「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得した「第1の時刻」及び「第2の時刻」は、ほぼ同時刻の時刻t2であり、これらの時間差は判定閾値未満であるとする。そうすると、走行状態推定部214は、上流側センサ201A及び201Dの押圧信号は、時間差が判定閾値未満となる組み合わせがあると判断する(ステップS1801:YES)。この場合、走行状態推定部214は、上流側センサ201A及び201Dの押圧信号は、一台の車両の左右のタイヤTRを示すものであると判断する。
【0098】
また、走行状態推定部214は、他の上流側センサ201から「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得しており、且つ、この押圧信号を取得した「第3の時刻」と、「第1の時刻」又は「第2の時刻」との時間差が判定閾値を超えているかを判断する(ステップS1802)。
【0099】
図15の例のように、上流側センサ201A及び201Dの他に、更に上流側センサ201Eから「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得したとする。また、この押圧信号を取得した「第3の時刻」は時刻t21であり、時刻t2との時間差は判定閾値以上であるとする(ステップS1802:YES)。この場合、走行状態推定部214は、上流側センサ201A及び201Dの押圧信号が示す一台の車両(三輪車又は四輪車)と、上流側センサ201Eの押圧信号が示すN2台の二輪車が並走したと推定する(ステップS1803)。この場合、走行状態推定部214は、二輪車と並走した車両が三輪車であるか、四輪車であるかを更に判断する。具体的には、走行状態推定部214は、図6のステップS183と同様に車両進入時刻(時刻t1)から車両退出時刻(時刻t10)までの間に取得した押圧センサ200A及び200Dの押圧信号の波形パターンから、車両の車輪数が「3」であるか否かを判断する(ステップS1804)。
【0100】
走行状態推定部214は、押圧センサ200A及び200Dの押圧信号の波形パターンから車輪数が「3」であると判断した場合(ステップS1804:YES)、車両Aの走行状態は、「一台の三輪車とN2台の二輪車が走行(並走)」しているものであると推定する(ステップS1805)。一方、走行状態推定部214は、押圧センサ200A及び200Dの押圧信号の波形パターンから車輪数が「3」ではないと判断した場合(ステップS1804:NO)、車両Aの走行状態は、「一台の四輪車とN2台の二輪車が走行(並走)」しているものであると推定する(ステップS1806)。なお、N2は、一軸目のタイヤTRを示す押圧信号を検出した上流側センサ201の数(図15の例では、上流側センサ201A、201D、及び201Eの3つ)から、一台の車両の左右のタイヤTRを示す押圧信号を検出した上流側センサ201の数(図15の例では、上流側センサ201A及び201Dの2つ)を減じた値(図15の例では、「1」)である。この後、上述の実施形態と同様に図5の処理に戻る。
【0101】
また、走行状態推定部214は、上流側センサ201A及び201D以外の他の上流側センサから「押圧あり(ON)」を示す押圧信号を取得していない場合(ステップS1802:NO)、上流側センサ201A及び201Dの押圧信号が示す一台の車両(三輪車又は四輪車)が単独で走行したと推定する(ステップS1807)。この場合、走行状態推定部214は、ステップS1804と同様の処理を行うことにより、この車両が三輪車であるか(車輪数が「3」であるか)、四輪車であるかを更に判断する(ステップS1808)。
【0102】
走行状態推定部214は、車輪数が「3」であると判断した場合(ステップS1808:YES)、車両Aの走行状態は、「一台の三輪車が走行」しているものであると推定する(ステップS1809)。一方、走行状態推定部214は、車輪数が「3」ではないと判断した場合(ステップS1808:NO)、車両Aの走行状態は、「一台の四輪車が走行」しているものであると推定する(ステップS1810)。この後、上述の実施形態と同様に図5の処理に戻る。
【0103】
走行状態判別装置2は、図14に示す走行状態推定処理S18Bを実行することにより、「三輪車又は四輪車、及び二輪車の並走」を示す走行状態、及び、「二台以上の二輪車の並走」を示す走行状態を更に判別することができる。
【0104】
また、変形例3では、走行状態推定部214がステップS1801~S1802において、上流側センサ201の押圧信号に基づいて処理を行う態様を例として説明したが、これに限られることはない。走行状態推定部214は、変形例1及び変形例2と同様に、更に下流側センサ202A、202C、及び202Eの押圧信号を参照して、ステップS1801~S1802の処理を行うようにしてもよい。これにより、変形例1及び変形例2と同様の効果を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 料金収受システム
2 走行状態判別装置
20 計測部
200、200A、200B、200C、200D、200E 押圧センサ
201、201A、201B、201C、201D、201E 上流側センサ
202、202A、202B、202C、202D、202E 下流側センサ
21 判別部
210 CPU
211 押圧信号取得部
212 車両検知信号取得部
213 時刻特定部
214 走行状態推定部
215 記録媒体
3 車両検知器
4 車種判別装置
5 路側無線装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16