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  • 特許-バケット装置及びそれを備える作業機械 図1
  • 特許-バケット装置及びそれを備える作業機械 図2
  • 特許-バケット装置及びそれを備える作業機械 図3
  • 特許-バケット装置及びそれを備える作業機械 図4
  • 特許-バケット装置及びそれを備える作業機械 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】バケット装置及びそれを備える作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/36 20060101AFI20230721BHJP
   E02F 3/40 20060101ALI20230721BHJP
   B02C 1/04 20060101ALN20230721BHJP
【FI】
E02F3/36 A
E02F3/40 A
B02C1/04 ZAB
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019171252
(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公開番号】P2021046751
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】中川 貴明
(72)【発明者】
【氏名】玉石 勝彦
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-125212(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1893531(KR,B1)
【文献】特表2016-518541(JP,A)
【文献】特表2013-506778(JP,A)
【文献】特開2010-270475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/36- 3/40
B02C 1/00- 1/04
E04G 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1バケットと、
回動軸を中心として開閉可能に前記第1バケットに取り付けられる第2バケットと、
前記第1バケット内に配置される第1歯部と、
前記第2バケット内に配置され、前記第1歯部と対向する第2歯部と、
を備え、
前記第1歯部は、前記回動軸の軸方向に並べられ、主面どうしが互いに密着する複数の第1歯によって構成され、
前記第2歯部は、前記軸方向に並べられ、主面どうしが互いに密着する複数の第2歯によって構成される、
バケット装置。
【請求項2】
前記第1歯部は、前記第2歯部と対向する第1対向面を有し、
前記複数の第1歯それぞれの外表面は、第1対向面において面一である、
請求項1に記載のバケット装置。
【請求項3】
前記第2歯部は、前記第1歯部と対向する第2対向面を有し、
前記複数の第2歯それぞれの外表面は、第2対向面において面一である、
請求項1又は2に記載のバケット装置。
【請求項4】
前記第1バケットは、前記第2バケット側に開口する第1開口を有し、
前記軸方向において、前記第1歯部の全幅は、前記第1開口の全幅の30%以下である、
請求項1乃至3のいずれかに記載のバケット装置。
【請求項5】
前記第1歯部の重量は、前記第1バケット重量の10%以下である、
請求項4に記載のバケット装置。
【請求項6】
前記第2バケットは、前記第1バケット側に開口する第2開口を有し、
前記軸方向において、前記第2歯部の全幅は、前記第2開口の全幅の30%以下である、
請求項1乃至4のいずれかに記載のバケット装置。
【請求項7】
前記第2歯部の重量は、前記第2バケット重量の10%以下である、
請求項6に記載のバケット装置。
【請求項8】
車体フレームと、
前記車体フレームに取り付けられる作業機と、
を備え、
前記作業機は、請求項1乃至7のいずれかに記載のバケット装置を含む、
作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バケット装置及びそれを備える作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1バケットと、回動軸を中心として開閉可能に第1バケットに取り付けられる第2バケットと、第1バケット内に配置される第1歯部と、第2バケット内に配置される第2歯部とを備えるバケット装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の第1歯部及び第2歯部のそれぞれは、回動軸の軸方向において複数の長歯と複数の短歯とを交互に積層するとともに、各長歯と各短歯との間にスペーサを介挿することによって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-125212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のバケット装置では、各長歯の間に隙間が形成されており、破砕された危険物の破片や土砂などが隙間に詰まりやすいため、メンテナンス性に改善の余地がある。
【0006】
本開示は、メンテナンス性を向上可能なバケット装置及びそれを備える作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るバケット装置は、第1バケットと、回動軸を中心として開閉可能に第1バケットに取り付けられる第2バケットと、第1バケット内に配置される第1歯部と、第2バケット内に配置され、第1歯部と対向する第2歯部とを備える。第1歯部は、回動軸の軸方向に並べられ、互いに密着する複数の第1歯によって構成される。第2歯部は、軸方向に並べられ、互いに密着する複数の第2歯によって構成される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、メンテナンス性、操作性を向上可能であり、メンテナンスコストを低減可能なバケット装置及びそれを備える作業機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】作業機械の斜視図
図2】閉状態のバケット装置を左側から見た側面図
図3】バケット装置を下側から見た斜視断面図
図4】第1バケットの第1開口の平面図
図5】第2バケットの第2開口の平面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(作業機械1の構成)
実施形態に係る作業機械1の構成について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る作業機械1は、油圧ショベルである。以下の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」は、運転席から前方を見た状態を基準とする方向である。「前後方向」は、作業機械1の前後方向を意味する。「車幅方向」は、作業機械1の左右方向を意味する。「上下方向」は、前後方向及び車幅方向に対して垂直な方向である。「上下方向」は、鉛直方向と一致しなくてもよい。
【0011】
図1は、作業機械1の斜視図である。作業機械1は、走行体2、ブレード3と、旋回台4、カウンタウェイト5、エンジン室6、キャブ7、シールド8、機器室9及び作業機10を備える。
【0012】
走行体2は、互いに独立して回転可能な一対の履帯2a,2bを有する。作業機械1は、一対の履帯2a,2bそれぞれを正転又は逆転させることによって前後進又は左右回転することができる。ブレード3は、走行体2に上下揺動可能に取り付けられる。ブレード3は、地面の整地作業に利用することができる。旋回台4は、走行体2上に旋回可能に支持される。旋回台4は、作業機械1の車体フレームを構成する。旋回台4上には、カウンタウェイト5、エンジン室6、キャブ7及び作業機10が配置される。
【0013】
カウンタウェイト5は、旋回台4の後端部上に配置される。エンジン室6は、カウンタウェイト5の前方に配置される。エンジン室6には、エンジンや排ガス処理装置などが収容される。キャブ7は、エンジン室6の前方に配置される。キャブ7には、運転席や操作具などが収容される。シールド8は、キャブ7の前窓に取り付けられる。機器室9は、エンジン室6の前方に配置される。機器室9には、作動油を供給するための油圧ポンプなどが収容される。
【0014】
作業機10は、エンジン室6の前方かつキャブ7の側方に配置される。作業機10は、ブーム11、アーム12、バケット装置13、及びアタッチメント用油圧配管14を有する。
【0015】
ブーム11は、旋回台4に揺動可能に支持される。ブーム11は、ブームシリンダ11aによって駆動される。アーム12は、ブーム11に揺動可能に支持される。アーム12は、アームシリンダ12aによって駆動される。
【0016】
バケット装置13は、危険物の破砕、地面の掘削、雑草の除去、及び瓦礫等の破砕に利用することができる。バケット装置13は、アーム12に着脱可能に取り付けられる。バケット装置13は、アーム12に揺動可能に支持される。バケット装置13は、バケットシリンダ13aによって駆動される。アタッチメント用油圧配管14は、後述する左右一対の油圧シリンダ70,70に連結される。
【0017】
(バケット装置13の構成)
バケット装置13は、地表付近に散置された破砕対象物(例えば、地雷及びクラスター子爆弾の不発弾など)の破砕作業、土砂の掘削作業などに用いられる。
【0018】
図2は、閉状態のバケット装置13を左側から見た側面図である。図3は、バケット装置13を左下から見た斜視図である。図3では、バケット装置13の内部構造を示すために、バケット装置13を車幅方向中央で切断した状態が図示されている。
【0019】
バケット装置13は、第1バケット20、第2バケット30、第1歯部40、第2歯部50、仕切り板60、及び左右一対の油圧シリンダ70,70を備える。
【0020】
第1バケット20は、下側及び前側(すなわち、第2バケット30側)のそれぞれに開口する箱型に形成される。第1バケット20の後面には、左右一対のカプラ21,21が取り付けられる。第1バケット20は、左右一対のカプラ21,21を介して作業機械1のアーム12(図1参照)に取り付けられる。
【0021】
第2バケット30は、第1バケット20の前方に配置される。第2バケット30は、下側及び後側(すなわち、第1バケット20側)のそれぞれに開口する箱型に形成される。第2バケット30の前端部には、掘削ツース31が取り付けられる。掘削ツース31は、掘削時に切刃として機能する。
【0022】
第2バケット30は、回動軸32を中心として開閉可能に第1バケット20に取り付けられる。回動軸32は、第2バケット30の上面に取り付けられた左右一対のリンク33,33と、第1バケット20の上端部とに挿通される。回動軸32は、軸心AXを有する。回動軸32は、軸心AXに沿って延びる。以下の説明では、軸心AXに平行な方向を「軸方向」という。本実施形態において、軸方向は、車幅方向と平行である。
【0023】
図3に示すように、第1歯部40及び第2歯部50の間に破砕対象物を挟んだ状態で第2バケット30を閉じることによって、破砕対象物を破砕することができる。
【0024】
第1歯部40は、第1バケット20内に配置される。第1歯部40は、第2歯部50とともに破砕対象物の破砕に用いられる。図3に示すように、第1歯部40は、軸方向に沿って配置された3本のシャフト540aによって固定されている。ただし、第1歯部40の固定方法は特に限られない。図3に示すように、上下方向において、第1歯部40の全長は、第2歯部50の全長より長いが、第2歯部50の全長と同等以下であってもよい。
【0025】
第1歯部40は、複数の第1歯41によって構成される。各第1歯41は、例えば、鉄を主成分とする合金によって構成することができる。各第1歯41は、上下方向に延びる板状に形成される。第1歯41の枚数は特に制限されず、2枚以上であればよい。そのため、第1歯部40の幅を最適化でき、結果として軽量化を図れるため、バケット装置13の操作性が向上する。また、第1歯41の交換部品として1種類のみを持てばよいため、メンテナンスコストを低減させることもできる。
【0026】
複数の第1歯41は、回動軸32の軸方向に並べられ、互いに密着する。具体的には、隣接する第1歯41は、主面どうしが密着するように配置されている。そのため、各第1歯41の間に隙間が形成されることを抑制できるため、破砕された危険物の破片や土砂などが第1歯部40に詰まることを抑制できると共に、仮に破片や土砂が詰まったとしても容易に取り除くことができる。従って、第1歯部40のメンテナンス性を向上させることができる。また、第1歯部40の一部が損傷した場合には、損傷した第1歯41のみを交換すればよいため、メンテナンスコストを低減させることもできる。
【0027】
第1歯部40は、第2歯部50と対向する第1対向面40Sを有しており、各第1歯41の外表面は第1対向面40Sにおいて面一である。そのため、第1対向面40Sにおいて、各第1歯41の間に段差が形成されることを抑制できるため、破片や土砂などが第1対向面40Sに付着することを抑制できると共に、仮に破片や土砂が詰まったとしても容易に取り除くことができる。
【0028】
第2歯部50は、第2バケット30内に配置される。第2歯部50は、第1歯部40とともに破砕対象物の破砕に用いられる。図3に示すように、第2歯部50は、軸方向に沿って配置された3本のシャフト50aによって固定されている。ただし、第2歯部50の固定方法は特に限られない。図3に示すように、上下方向において、第2歯部50の全長は、第2歯部50の全長より短いが、第1歯部40の全長と同等以上であってもよい。
【0029】
第2歯部50は、複数の第2歯51によって構成される。各第2歯51は、例えば、鉄を主成分とする合金によって構成することができる。各第2歯51は、上下方向に延びる板状に形成される。第2歯42の枚数は特に制限されず、2枚以上であればよい。そのため、第2歯部50の幅を最適化でき、結果として軽量化を図れるため、バケット装置1の操作性が向上する。また、第2歯51の交換部品として1種類のみを持てばよいため、メンテナンスコストを低減させることもできる。
【0030】
複数の第2歯51は、回動軸32の軸方向に並べられ、互いに密着する。具体的には、隣接する第2歯51は、主面どうしが密着するように配置されている。そのため、各第2歯51の間に隙間が形成されることを抑制できるため、破砕された危険物の破片や土砂などが第2歯部50に詰まることを抑制できると共に、仮に破片や土砂が詰まったとしても容易に取り除くことができる。従って、第2歯部50のメンテナンス性を向上させることができる。また、第2歯部50の一部が損傷した場合には、損傷した第2歯51のみを交換すればよいため、メンテナンスコストを低減させることもできる。
【0031】
第2歯部50は、第1歯部40と対向する第2対向面50Sを有しており、各第2歯51の外表面は第2対向面50Sにおいて面一である。そのため、第2対向面50Sにおいて、各第2歯51の間に段差が形成されることを抑制できるため、破片や土砂などが第2対向面50Sに付着することを抑制できると共に、仮に破片や土砂が詰まったとしても容易に取り除くことができる。
【0032】
仕切り板60は、第2バケット30内に配置される。図3に示すように、仕切り板60は、第2歯部50を挟んで第1バケット20の反対側に配置される。仕切り板60は、第2バケット30の内部空間を、掘削した土砂を溜めるための空間と第2歯部50が配置される空間とに仕切る。これにより、掘削した土砂が第1歯部40及び第2歯部50に付着することを抑制できる。また、破砕対象物が破裂した場合に、飛散破片が飛び散ることを抑制できる。
【0033】
左右一対の油圧シリンダ70,70は、左右一対のカプラ21,21と左右一対のリンク33,33とに連結される。左右一対の油圧シリンダ70,70それぞれが伸縮することによって、第2バケット30が回動軸32を中心として揺動する。これによって、第2バケット30は第1バケット20に対して開閉する。
【0034】
(第1歯部40及び第2歯部50の全幅と重量)
図4は、第1バケット20のうち第2バケット30側の第1開口20Sを平面視した図である。
【0035】
軸方向において、第1歯部40の全幅40Wは、第1バケット20の第1開口20Sの全幅20Wより小さい。第1歯部40の全幅40Wは、第1開口20Sの全幅20Wの10%以上70%以下とすることができる。
【0036】
第1歯部40の全幅40Wは、第1開口20Sの全幅20Wの30%以下であることが好ましい。これによって、第1歯部40を複数の第1歯41によって構成しながら、第1歯部40全体の重量を第1バケット20の重量の10%以下にすることができる。従って、バケット装置13の総重量が軽量化されて、バケット装置13を交換することなく土木作業を行うことができるため、バケット装置13の利便性が格段に向上する。例えば、バケット装置13の総重量が1000kgである場合、第1歯部40と第2歯部50とを合わせた重量は100kg以下にすることができる。
【0037】
第1歯部40の全幅40Wは、第1開口20Sの全幅20Wの15%以上であることが好ましい。これによって、オペレータが破砕対象物を視認しにくい場合であっても、破砕対象物を第1歯部40で容易に掬うことができる。
【0038】
図5は、第2バケット30のうち第1バケット20側の第2開口30Sを平面視した図である。
【0039】
軸方向において、第2歯部50の全幅50Wは、第2バケット30の第2開口30Sの全幅30Wより小さい。第2歯部50の全幅50Wは、第2開口30Sの全幅30Wの10%以上70%以下とすることができる。
【0040】
第2歯部50の全幅50Wは、第2開口30Sの全幅30Wの30%以下であることが好ましい。これによって、第2歯部50を複数の第2歯51によって構成しながら、第2歯部50全体の重量を第2バケット30の重量の10%以下にすることができる。従って、バケット装置13の総重量が軽量化されて、バケット装置13を交換することなく土木作業を行うことができるため、バケット装置13の利便性が格段に向上する。例えば、バケット装置13の総重量が1000kgである場合、第1歯部40と第2歯部50とを合わせた重量は100kg以下にすることができる。
【0041】
第2歯部50の全幅50Wは、第2開口30Sの全幅30Wの15%以上であることが好ましい。これによって、オペレータが破砕対象物を視認しにくい場合であっても、破砕対象物を第2歯部50で容易に掬うことができる。
【0042】
第2歯部50の全幅50Wは、第1歯部40の全幅40Wと同等であることが好ましいが、第1歯部40の全幅40Wと異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 作業機械
13 バケット装置
20 第1バケット
20S 第1開口
30 第2バケット
30S 第2開口
32 回動軸
40 第1歯部
40S 第1対向面
41 第1歯
50 第2歯部
50S 第2対向面
51 第2歯
60 仕切り板
70 油圧シリンダ
図1
図2
図3
図4
図5