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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】車両処理装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/06 20060101AFI20230721BHJP
【FI】
B60S3/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019181214
(22)【出願日】2019-10-01
(65)【公開番号】P2021054339
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】青木 徹夫
(72)【発明者】
【氏名】高橋 遥
(72)【発明者】
【氏名】中澤 優介
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-156472(JP,A)
【文献】特開2004-203253(JP,A)
【文献】特開2000-142331(JP,A)
【文献】特開平05-116600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/00-13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に起立して設けられ、前後に移動可能な本体部と、
地面よりも高い位置で前記本体部の起立方向に沿って並ぶ複数の検出素子を有し、車両を検出可能なセンサ部と、
車両前端が前記センサ部よりも低位にあるか否かを判定する手段を有する制御部と、
前記車両の停車を検出する停車検出部と、を備え、
前記制御部は、前記停車検出部が前記車両の停車を検出し、前記車両の前端を前記センサ部よりも低位にあると判定したとき、
前記本体部に伴って前記センサ部が移動することで、前記センサ部が最初に車両を検出した第1位置から所定距離離れた第2位置までの間で検出された車両の高さを前記複数の検出素子の設置高さから求め、
その車両の高さの平均値が基準値よりも低ければ、車両前端が前記センサ部よりも低位にあると決定する、
車両処理装置
【請求項2】
前記センサ部よりも後側で前記本体部に設けられ、車両に当接可能な接触部材を備え、
前記制御部は、車両前端が低位にあると決定した場合に、前記本体部の移動に伴って前記接触部材が車両に当接した結果を基に車両前端の位置を決定する、
請求項1記載の車両処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、車両前端が低位にないと決定した場合に、前記本体部の移動に伴って前記センサ部が最初に車両を検出した位置を車両前端の位置と決定する、
請求項1または2記載の車両処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両処理装置に関し、特に、車両を洗浄する機能を備える洗車装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平9-156472号公報(特許文献1)には、車両位置検出装置が記載されている。この装置は、防爆構造が不要とされる高さ(消防法の制約を受ける地上高60cm)以上の位置にある光電センサと、この光電センサよりも低い位置にある反射板とを備え、光電センサの投光器からの光を反射板で反射させ、光電センサの受光器で受信するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-156472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置によれば、光電センサに防爆構造を設けなくとも、車両前端を検出することができる。特に、ボンネットの高さが低いスポーツタイプのような車両であっても、車両前端(例えばバンパ)を検出でき、車両前端の位置を基に、洗浄、乾燥などの処理を停車した車両に対して適切に行うことができる。しかしながら、特許文献1の装置は、反射板を用いて光軸(光路)を構成するため、その反射板の位置調整が難しく、ズレが生じて誤検出してしまうおそれがある。
【0005】
本発明の一目的は、車両を検出するセンサ部の設置高さよりも車両前端が低い車両であることを判定することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一解決手段に係る車両処理装置は、地面に起立して設けられ、前後に移動可能な本体部と、地面よりも高い位置で前記本体部に設けられ、車両を検出可能なセンサ部と、車両前端が前記センサ部よりも低位にあるか否かを判定する手段を有する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
一解決手段によれば、車両を検出するセンサ部の設置高さよりも車両前端が低い車両であることを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る車両処理装置の模式的な正面図である。
図2】車両処理装置の模式的な側面図である。
図3】車両処理装置の制御系のブロック図である。
図4】車両処理装置の低位判定手段の説明図であり、(a)はセダン車、(b)はスポーツ車、(c)はバン車を判定する場合を示す。
図5】車両処理装置による車両前端の位置を検出するフロー図である。
図6】サイドブラシの模式的な平面図である。
図7】サイドブラシの模式的な正面図である。
図8】サイドブラシの模式的な側面図である。
図9】サイドブラシの軌跡を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施形態では、車両処理装置として、車両を洗浄する処理機能を備える洗車装置に適用した場合について図面を参照して説明する。図1および図2は、本実施形態に係る洗車装置10の模式的な正面図および側面図である。また、図3は、洗車装置10の制御系のブロック図である。
【0010】
洗車装置10は、地面G(敷設面)に起立して設けられた本体部11(本体機ともいう)を備えている。本体部11は、処理対象となる車両100を跨ぐように門型状に筐体(フレーム)が構成されている。このため、本体部11は、地面Gから起立する一対の脚部11Aと、一対の脚部11Aにかかる梁部11Bとを有している。
【0011】
また、洗車装置10は、レール12と、車輪13、14とを備えている。一対のレール12は、互いが平行となるように延在して地面Gに設けられている。車輪13、14は、一対の脚部11Aの底部のそれぞれに設けられている。洗車装置10では、この一対のレール12間に車両100が停車(停止)した状態で、一対のレール12上を車輪13、14(計4輪)を介して本体部11が前後に移動(往復走行)することとなる。なお、洗車装置10では、車輪13が駆動輪、車輪14が従動輪となる。
【0012】
また、洗車装置10は、モータ15と、エンコーダ16とを備えている。モータ15は、地面Gに対して車輪13よりも高い位置から車輪13と接続されるように本体部11の一対の脚部11Aのそれぞれに設けられている。このモータ15は、正逆転可能に構成されており、車輪13を介して本体部11を前後に移動(往復走行)させる。エンコーダ16は、本体部11の脚部11Aの一方に設けられ、モータ15の出力軸に連結されている。エンコーダ16は、レール12上における本体部11の走行位置を検出する。すなわち、エンコーダ16は、モータ15の回転方向すなわち駆動輪13の回転方向を検出しながら単位角度回転ごとにパルス信号を出力することで、レール12上における本体部11の位置を与えることができる。このようにして、本体部11は前後に移動可能に構成されている。
【0013】
また、洗車装置10は、停車検出部17を備えている。停車検出部17は、所定の停車位置で車両100が停車していることを検出する。停車検出部17としては、図2に示すような地上G上に設けられたタイヤ停車板(例えば、特開2017-154605号公報参照)や、本体部11の前側に設けられた停車センサ(光電センサ)を用いることができる。
【0014】
また、洗車装置10は、本体部11に設けられたトップブラシ20および一対のサイドブラシ21を備えている。トップブラシ20(回転ブラシ)は、門型状の本体部11の開口上部側(梁部11B側)に収容されている。トップブラシ20は、本体部11の移動に伴って回転しながら昇降動作し、主に車両100の上面をブラッシングすることができる。また、一対のサイドブラシ21(回転ブラシ)は、それぞれ門型状の本体部11の開口側部側(一対の脚部11A側)に収容されている。一対のサイドブラシ21は、本体部11の移動に伴って回転しながら開閉動作(互いが近づいたり離れたりする動作)し、主に車両100の前面、側面および後面をブラッシングすることができる。
【0015】
また、洗車装置10は、本体部11に設けられるトップノズル22および一対のサイドノズル23を備えている。トップノズル22は、門型状の本体部11の開口上部側(梁部11B側)に収容されている。トップノズル22は、本体部11の移動に伴って水などの洗浄液を複数の噴射ノズルから噴射し、主に車両100の上面を洗浄することができる。また、一対のサイドノズル23は、それぞれ門型状の本体部11の開口側部側(一対の脚部11A側)に収納されている。一対のサイドノズル23は、本体部11の移動に伴って水などの洗浄液を複数の噴射ノズルから噴射し、主に車両100の側面を洗浄することができる。なお、本体部11の前進に伴って車両100をブラッシング洗浄するため、トップノズル22およびサイドノズル23はトップブラシ20およびサイドブラシ21よりも本体部11の前側に設けられている。
【0016】
また、洗車装置10は、本体部11に設けられるトップブロワ24および一対のサイドブロワ25を備えている。トップブロワ24は、門型状の本体部11の開口上部側(梁部11B側)に収納されている。トップブロワ24は、本体部11の移動に伴って送風しながら昇降動作し、主に車両100の上面を乾燥することができる。また、一対のサイドブロワ25は、それぞれ門型状の本体部11の開口側部側(一対の脚部11A側)に収納されている。一対のサイドブロワ25は、本体部11の移動に伴って送風しながら開閉動作(互いが近づいたり離れたりする動作)し、主に車両100の側面を乾燥することができる。
【0017】
また、洗車装置10は、地面Gよりも高い位置で本体部11に設けられ、車両100を検出可能なセンサ部26を備えている。本実施形態では、センサ部26の設置高さは、消防法により防爆構造が不要な地上高600mm以上としている。また、本体部11の前進に伴って車両100の形状に沿ってブラッシング洗浄するため、センサ部26は、トップブラシ20およびサイドブラシ21よりも本体部11の前側に設けられている。
【0018】
センサ部26は、車両100を検出する複数の検出素子27を有している。複数(n個とする)の検出素子27は、地面G側から順に最下位の検出素子27-1、次の検出素子27-2というように最上位の検出素子27-nまで本体部11の起立方向(鉛直方向)に沿って並んで配置されている。最下位の検出素子27-1の設置高さH1(地上高)を例えば670mmとし、最下位の検出素子27-1(設置高さH1)と次の検出素子27-2(設置高さH2)との間のようにピッチを例えば110mmとして配置される。これにより、センサ部26で検出された車両100の高さは、車両100を検出した検出素子27の設置高さ(H1~Hn)を参照して求められる。
【0019】
このように、センサ部26は、本体部11の前側で本体部11の起立方向(車両100の車高方向)に延在して設けられている。このため、センサ部26は、車両100の側方からの形状を検出することができる。より具体的には、本体部11の移動に伴い、車両100の側方からの形状(車両100のシルエット)を読み取ることができる。
【0020】
検出素子27は、例えば、対をなす発光部27aおよび受光部27bを有する透過型の光電センサから構成される。検出素子27としての光電センサの発光部27aおよび受光部27bは、それぞれ門型状の本体部11の開口左右側部側(一対の脚部11A側)に収納され、同じ高さに対向配置することで水平な光軸を形成する。光電センサは、発光部27aから光を照射し、光量の変化を受光部27bで受光する構成により、水平光軸の通光/遮光によって車両100の有無を検出することができる。
【0021】
また、洗車装置10は、図3に示すように、制御部30を備えている。この制御部30は、本体部11に設けられ、エンコーダ16、センサ部26、操作パネル31、および駆動部32と電気的に接続され、操作パネル31で受け付けた処理コースに従い、予めプログラムされたシーケンス(手段)を実行する。制御部30は、走行検出手段33と、車両検出手段34と、データ作成手段35と、データ記憶手段36と、処理手段37と、を有している。走行検出手段33は、エンコーダ16のパルス信号から本体部11の走行位置(移動位置)を検出する。車両検出手段34は、エンコーダ16のパルス信号をトリガに単位距離移動する毎にセンサ部26を駆動して車両100の上面を検出する。データ作成手段35は、走行検出手段33と車両検出手段34の検出結果から車形データを作成する。データ記憶手段36は、車形データを記憶する。処理手段37は、車形データを基に駆動部32でブラシなどを駆動する装置を制御する。なお、各手段は、制御部30が有するものとして説明したが、制御部30とは別個の制御部として設けられてもよい。
【0022】
このように構成される洗車装置10は、種々の手段(機能)を備えており、制御部30によって各手段が実行される。
【0023】
次に、洗車装置10の動作(車両処理方法の工程)について説明する。洗車装置10は、ユーザによって操作パネル31で受付がなされると、本体部11の前方への入車を許可し、所定の停車位置に車両100を停車させるよう表示機などによってユーザに案内する。次いで、洗車コースとして、本体部11が一往復して洗車を行う工程が選択されている場合、往工程として、本体部11を前進移動(往行走行)させながら、センサ部26で読み取った車両形状に合わせてトップブラシ20やサイドブラシ21などを用いて車両100の車体面をブラッシング洗浄する。次いで、復工程として、本体部11を後進移動(復行走行)させ、トップブロワ24などを用いて車両100への送風により水滴を除去して乾燥を図る。その後、洗車装置10は、退車させるよう表示機などによってユーザに案内し、洗車コースが終了する。
【0024】
このような洗車コースにおいて、本実施形態では、サイドブラシ21で車両100をブラッシング洗浄する前に、車両前端101(図4参照)の低位判定を行っている。洗車装置10では、防爆構造を設ける必要がない地面Gよりも高い位置にセンサ部26を設けているが、制御部30での処理によって車両前端101がセンサ部26よりも低い車両100であることを判定(推定)している。このため、制御部30は、低位判定手段40を有している(図3参照)。そして、低位判定の結果を基に、本体部11に対する車両前端101の位置を把握することで、車両100へ適切な処理を施すことができる。
【0025】
処理対象の車両100の一例として図4(a)にセダン車、図4(b)にスポーツ車、図4(c)にバン車の場合を示し、また図5に低位判定を含む、車両前端101の位置検出する処理フローを示す。この処理フローで判別される場合として、図4(a)は、停車検出部17によって車両100が停車していることが検出され、車両前端101がセンサ部26を通り過ぎてセンサ部26で車両100が検出されている場合である。また、図4(b)は、停車検出部17によって車両100が停車していることが検出され、車両前端101がセンサ部26を通り過ぎているものの、センサ部26で車両100が検出されていない場合である。また、図4(c)は、停車検出部17によって車両100が停車していることが検出され、車両前端101がセンサ部26を通り過ぎておらず、センサ部26で車両100が検出されていない場合である。これら図4および図5を参照して、車両101の位置を検出する手段について説明する。
【0026】
まず、停車検出部17を用いて車両100が停車しているか否かを判定する(ステップS10)。車両100の停車を検出すると、センサ部26において車両100を検出しているか否かを判定する(ステップS20)。センサ部26で車両100が検出されない場合、低位判定手段40を行う(ステップS30)。低位判定手段40は、検出された車両100の高さを複数の検出素子27の設置高さ(H1、H2、・・・Hn)から求め、車両前端101がセンサ部26よりも低位にあるか否かを判定する。
【0027】
より具体的には、低位判定手段40(制御部30)は、本体部11に伴ってセンサ部26が前方に移動することで、センサ部26が最初に車両100を検出した第1位置X1から所定距離離れた第2位置X2までの間で車両100の高さの平均値を求める。車両100の高さは、前述したように、検出素子27の設置高さから求めることができるので、これを参照して所定距離の間の車両100の高さ(具体的にはボンネットの高さ)の平均値を求める。このような低位判定手段40によれば、センサ部26よりも低位にあり、センサ部26では検出することのできない車両先端101であっても、低位にあることを判定(推定)することができる。
【0028】
予め制御部30に記憶させておいた判定基準値よりも所定距離の高さ平均が低ければ、車両前端101がセンサ部26よりも低位にあると決定する(ステップS30)。この場合(図4(b)参照)、接触部材(洗車装置10ではサイドブラシ21を用いる)が車両100に当接した結果を基に車両前端101の位置を決定する(ステップS40)。
【0029】
ここで、接触部材としてのサイドブラシ21について詳細に説明する。サイドブラシ21は、図2に示すように、センサ部26よりも後側で本体部11に設けられ、本体部11の起立方向(鉛直方向、車高方向)に延在している。図6図8に、それぞれ平面視、正面視および側面視におけるサイドブラシ21を示す。左右一対のサイドブラシ21は、それぞれ本体部11内の後方上部に左右に渡って水平に横架されたガイドレール41に挟持するキャリア42と、該キャリア42から吊下される回転軸43と、該回転軸43の周囲に植毛される布製又は樹脂製のブラシ体44とを有して構成されている。
【0030】
一対のサイドブラシ21は、開閉装置45を介してガイドレール41上を走行し左右別々に開閉可能にされるとともに、左右揺動装置46及び前後揺動装置47を介して左右方向及び前後方向に揺動自在にされる。キャリア42には、正逆可能な回転モータ50が取り付けられており、プーリ、ベルト等からなる連係装置51を介して回転軸43と連係され、ブラシを正転・逆転させる。すなわち、サイドブラシ21は、本体部11の起立方向に沿うように設けられた回転軸43を有し、回転しながら車両100をブラッシングすることができる。
【0031】
開閉装置45は、サイドブラシ21を左右別々に開閉するものであり、図6に示すように、ブラシ開閉用の走行モータ52と、一端がキャリア42に接続され、他端がスプロケット53を介して開閉モータ52の駆動軸に懸架されたチェーン54と、モータの駆動軸先端に接続されるブラシ走行位置検出用のエンコーダ55とから構成される。
【0032】
左右揺動装置46は、サイドブラシ21を垂直位置から下方が外側に開く位置まで揺動させるものである。図7に示すように、左右揺動装置46は、キャリア42の上面において回転軸43の上端を連結固定する支持板56と、該支持板56を一方向に揺動支持する支軸57と、支持板56が所定量θ1傾いた位置でスイッチングする第1近接スイッチ60と、支持板56が所定量θ2(>θ1)傾いた位置でスイッチングする第2近接スイッチ61とから構成される。
【0033】
車両100の側面洗浄(図9参照)は、サイドブラシ21を車体に押し付け、左右にそれぞれ所定量θ1傾いた状態で行われる。車体変化により、この傾きは変化していくが、第1近接スイッチ61でブラシ21の揺動角が所定量θ1より小さくなったことが検出されると、開閉装置45によりブラシ21を車体に接近させるようし、第2近接スイッチ61でブラシ21の揺動角が所定量θ2になったことが検出されると開閉装置45を駆動してブラシ21を車体から離させるようにして、ブラシ21の揺動角θが常にθ1<θ<θ2の範囲で保たれる。
【0034】
前後揺動装置47は、サイドブラシ21が前後方向の垂直姿勢から上方が本体部11の前方に所定量θ3傾く前傾姿勢、後方に所定量θ3傾く後傾姿勢までの範囲でガイドレール41を揺動させるものである。図8に示すように、前後揺動装置47は、ガイドレール41に連結するアーム62と、該アーム62の上端に連結されてアームの前方で伸縮する第1シリンダ63と、アームの後方で伸縮する第2シリンダ64と、第1シリンダ63のロッド先端をスライド支持するスライド板65と、第2シリンダ64のロッド先端を本体に固定する固定軸66と、一端がスライド板65に連結され、他端がアーム62を貫通して自由端となるワイヤ67と、該ワイヤ67のスライド板65とアーム62間に設けられる第1スプリング70と、アーム62と自由端間に設けられる第2スプリング71とから構成される。ガイドレール41の先端には、スイッチ板72が設けられている。このスイッチ板72が所定量傾斜した位置で接触する第1近接スイッチ73と、さらに傾斜した位置で接触する第2近接スイッチ74とにより、前後方向におけるブラシ21の傾斜位置が把握される。
【0035】
このようなサイドブラシ21を本体部11の前方への移動に伴って車両100に当接させ、所定量θ3となったことを検出した結果から、車両前端101の位置と決定することができる(ステップS40)。また、車両前端101の位置を決定するために、サイドブラシ21は回転を停止させておけば、正確な位置を把握することができる。
【0036】
また、予め制御部30に記憶させておいた判定基準値よりも所定距離の高さ平均値が高ければ、車両前端101はセンサ部26より低位にないと決定する(ステップS30)。この場合(図4(c)参照)、センサ部26が最初に車両100を検出した第1位置X1を車両前端101の位置と決定することができる(ステップS50)。センサ部26により車両前端101の位置が決定されるので、前述したサイドブラシ21を当接させて車両100の検出を行う必要がなくなる。車両前端101を決定するためにサイドブラシ21を駆動させる機会が少なくなれば、サイドブラシ21の駆動機構の寿命を延ばすことができる。
【0037】
また、センサ部26で車両100を検出しているか否かの判定(ステップS20)において、センサ部26で車両100が検出された場合(図4(a)参照)も、所定量θ3となるまでサイドブラシ21を車両100に当接させ、その結果から車両前端101の位置を決定することができる(ステップS60)。車両前端101が本体部11の前方からセンサ部26を通り過ぎてしまい、センサ部26により車両前端101の位置が決定することができなくとも、サイドブラシ21による車両100の検出によれば、車両前端101の位置を決定することができる。
【0038】
図9に、車両100に対してブラッシング洗浄する際のサイドブラシ21の軌跡を示す。本体部11が前進(往行)を開始し、停車している車両100の車両前端101に対し、サイドブラシ21・21を閉じてアプローチする。このとき、車両前端101の位置を決定することができる。これにより、安全にサイドブラシ21によるブラッシング洗浄を行うことができるようになる。なお、サイドブラシ21を車両前端101に接触させて車両前端101の位置を決定した場合は、一旦本体部11を後進させ、サイドブラシ21を垂直姿勢(鉛直方向に沿った姿勢)に整えることが好ましい。
【0039】
次いで、サイドブラシ21・21が車両前端101に接触して所定角度前傾した状態からサイドブラシ21・21を回転させながら開いていくことで、車両100の前面がブラッシング洗浄される。次いで、サイドブラシ21・21は、垂直姿勢に復帰しようとする力で車体面に接触し、車体前面から側面にかけての曲面に追従してブラッシングするようになる。これにより、車体前面から車体側面に回り込み、曲面が洗浄される。サイドブラシ21・21が開くと、前後方向で垂直姿勢に復帰するので、開閉装置45により車体側面に押し付け、左右のブラシ21をそれぞれ上方が車両100側に傾倒したハの字姿勢になるように傾斜させて車両100の側面洗浄が行われる。
【0040】
センサ部26が車両100の後端を検出し、本体部11がセンサ部26とサイドブラシ21・21との間の距離分走行すると、サイドブラシ21・21が左右方向への押し付け力が無くなり垂直姿勢に復帰する。この動作により、サイドブラシ21・21は車両100の側面から後面にかけての曲面に追従して後面に回り込んでいくため、曲面が確実にブラッシングされる。車両100の後面のブラッシングは、サイドブラシ21・21を閉じていき、そこから更に左右に開いていくことで行われる。その後、本体部11を走行停止位置まで走行させて停止し、一往行での洗浄工程が終了となる。
【0041】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0042】
前記実施形態では、地面に停車した車両に対して本体部が移動する洗車装置(車両処理装置)を説明した。これに限らず、例えば、車両の車長方向に移動可能なキャリアに車両を搭乗させて、本体部に対して車両が移動する場合や、車両および本体部が共に移動する場合であってもよい。このため、本発明には、処理対象となる車両に対して本体部が相対移動する関係が含まれる。
【0043】
また、前記実施形態では、洗車コースとして、本体部が一往復して洗車を行う場合について説明した。これに限らず、例えば、本体部を二往復、三往復させて種々の処理を実行させることもできる。
【0044】
また、前記実施形態では、低位判別手段として、センサ部が最初に車両を検出した第1位置から所定距離離れた第2位置までの間で車両の高さの平均値を求め、これを基に車両前端がセンサ部よりも低位な車両であると決定する場合について説明した。これに限らず、例えば、第1位置および第2位置のそれぞれの車両の高さからボンネットの傾きも求め、これらの値から車両前端の低位を判定することもできる。
【0045】
また、前記実施形態では、発光部と受光部とを対向配置した光電センサを用い、水平光軸の通光/遮光によって車両の有無を検出する場合について説明した。これに限らず、例えば、第1光電センサと第2光電センサとの間隔を短くし、第1光電センサの発光部と、第2光電センサの受光部とにより、傾斜光軸を形成し、その通光/遮光によって車両の有無を検出するように構成することもできる。
【符号の説明】
【0046】
10 洗車装置
11 本体部
26 センサ部
27 検出素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9