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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/02 20060101AFI20230721BHJP
【FI】
D06F39/02 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019219511
(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公開番号】P2021087610
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】池田 陽祐
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-037356(JP,A)
【文献】特開2009-271013(JP,A)
【文献】特開2002-206959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/02
D06F 33/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を収容する衣類処理槽と、
衣類を処理する衣類処理剤を貯留するタンクと、
前記タンク内の衣類処理剤を前記衣類処理槽内に投入する投入部と、
を備え、
前記タンクは、
当該タンクの外郭を構成するケース部と、
前記ケース部内に貯留されている衣類処理剤の残量に応じて変位するフロートと、
前記フロートに設けられ、前記フロートが変位することに応じて状態が変化する被検知部と、
前記被検知部の状態を検知する検知部と、
を備え
前記フロートは、
前記ケース部内において当該フロートを回動可能に支持する回動軸と、
前記ケース部内に貯留されている衣類処理剤の液面上に浮くフロート本体部と、
前記フロート本体部を前記回動軸に連結する連結部と、
を備え、
前記被検知部は、前記連結部に設けられている衣類処理装置。
【請求項2】
前記回動軸と前記被検知部との距離は、前記回動軸と前記フロート本体部との距離よりも短い請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記被検知部と前記回動軸との距離は、前記被検知部と前記フロート本体部との距離よりも短い請求項1または2に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記検知部は、前記被検知部が前記タンクに接触していない状態で当該被検知部の状態を検知可能である請求項1から3の何れか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記検知部は、前記被検知部の状態の変化を連続的に検知可能である請求項1から4の何れか1項に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、衣類に所定の処理を施す衣類処理装置の一例である洗濯機においては、使用者の利便性向上の要望に応えるため、洗剤や柔軟剤などの衣類処理剤を自動投入用のタンク内に予め複数回分貯留しておき、洗濯運転中に必要量をタンクから自動的に水槽内へ投入する自動投入部を備えた構成が開発されている。そして、この種の洗濯機においては、タンク内において衣類処理剤の残量に応じて回動するフロートと、このフロートが有するマグネットを検知するホールICと、を備え、これにより、タンク内の衣類処理剤の残量を検知可能に構成することが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-42185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来構成で用いられているホールICは、マグネット、換言すれば、このマグネットを有するフロートが接近および離間することに応じて、オン状態およびオフ状態に切り換わる構成となっている。即ち、従来構成で用いられているホールICは、フロートが接近したのか、あるいは、離間したのかしか検知することができず、その検知可能範囲が非常に狭い。そのため、従来構成では、タンク内の衣類処理剤の残量が多い状態であるのか少ない状態であるのかを検知することができるとしても、タンク内の衣類処理剤の残量がどれくらいの量であるのかといったきめ細かい詳細な情報を得ることができない。
【0005】
そこで、タンク内の衣類処理剤の残量を一層詳細に検知できるようにした衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の衣類処理装置は、衣類を収容する衣類処理槽と、衣類を処理する衣類処理剤を貯留するタンクと、前記タンク内の衣類処理剤を前記衣類処理槽内に投入する投入部と、を備え、前記タンクは、当該タンクの外郭を構成するケース部と、前記ケース部内に貯留されている衣類処理剤の残量に応じて変位するフロートと、前記フロートに設けられ、前記フロートが変位することに応じて状態が変化する被検知部と、前記被検知部の状態を検知する検知部と、を備え、前記フロートは、前記ケース部内において当該フロートを回動可能に支持する回動軸と、前記ケース部内に貯留されている衣類処理剤の液面上に浮くフロート本体部と、前記フロート本体部を前記回動軸に連結する連結部と、を備え、前記被検知部は、前記連結部に設けられている
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示す縦断側面図
図2】本実施形態に係る給水部の構成例を概略的に示す図
図3】本実施形態に係る洗濯機の制御系の構成例を概略的に示すブロック図
図4】本実施形態に係るタンクの構成例を概略的に示すものであって、フロートのフロート本体部が最小位置に変位した状態例を示す縦断側面図
図5】本実施形態に係るタンクの構成例を概略的に示すものであって、フロートのフロート本体部が最大位置に変位した状態例を示す縦断側面図
図6】本実施形態に係るタンク内の衣類処理剤の残量の検知例を概略的に示す図
図7】本実施形態の変形例に係るマグネットの構成例を概略的に示す図
図8】本実施形態の変形例に係るフロートの回動軸に対するマグネットの取り付け例を概略的に示す図
図9】本実施形態の変形例に係るタンクの一部の構成例を概略的に示す縦断側面図
図10】本実施形態の変形例に係るタンクの構成例を概略的に示す縦断側面図(その1)
図11】本実施形態の変形例に係るタンクの構成例を概略的に示す縦断側面図(その2)
図12】本実施形態の変形例に係る引き出しケースおよび注水ケースの構成例を概略的に示すものであり、引き出しケースが注水ケースの内部に収容された状態例を示す縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、衣類処理装置に係る一実施形態について図面を参照ながら説明する。図1に例示する洗濯機1は、衣類に所定の処理、この場合、少なくとも、洗い処理、すすぎ処理、脱水処理を施すことが可能な衣類処理装置の一例である。また、洗濯機1は、回転槽の回転中心軸が水平方向あるいは水平方向に対して傾斜する方向に延びる、いわゆるドラム式の洗濯機である。
【0009】
洗濯機1は、その外郭を構成する矩形箱状の筐体2の内部に、衣類を洗浄するための洗浄槽3を備えている。洗浄槽3は、衣類処理槽の一例であり、有底円筒状の水槽の内部に、同じく有底円筒状のドラムを回転可能に備えた構成である。ドラムの周壁には多数の小孔が設けられており、また、ドラムの内周面には、衣類をかき上げるためのバッフルが設けられている。洗浄槽3の前面開口部は、筐体2の前面に設けられたドア5によって開閉可能となっている。使用者は、ドア5を開くことにより、洗浄槽3の前面開口部を通して当該洗浄槽3内に衣類を出し入れすることができる。
【0010】
また、洗濯機1は、洗浄槽3内に水を供給するための給水部4、および、洗浄槽3内の水を機外に排水するための図示しない排水部を備えている。給水部4は、例えば水道などの図示しない水源から洗浄槽3に延びる給水経路の途中に給水弁10などを備えた構成となっている。また、排水部は、洗浄槽3の底部から機外に延びる排水経路の途中に排水弁などを備えた構成となっている。
【0011】
図2に例示するように、給水部4は、図示しない水源から洗浄槽3に延びる給水経路の途中に、給水弁10、自動投入部11、注水ケース12などを備えた構成となっている。給水弁10の入口は、例えば水道などの図示しない水源に接続されている。また、給水弁10は、少なくとも2つの出口を有しており、第1出口は、自動投入用経路13aを介して洗浄槽3に接続され、第2出口は、手動投入用経路13bを介して注水ケース12に接続されている。注水ケース12の出口は、給水ホース14を介して洗浄槽3に接続されている。
【0012】
自動投入部11は、洗剤用タンク15および柔軟剤用タンク16を備えている。洗剤用タンク15および柔軟剤用タンク16は、それぞれ給水部4に対して着脱可能に備えられている。この場合、洗剤用タンク15および柔軟剤用タンク16は、給水部4に設けられているタンク収容部4a内に着脱可能に取り付けられるようになっている。タンク収容部4aは、例えば、注水ケース12に一体的に設けられている。
【0013】
洗剤用タンク15内には、運転複数回分の衣類処理剤、この場合、洗浄槽3内の衣類を洗浄するための洗剤を貯留可能となっている。また、柔軟剤用タンク16内には、運転複数回分の衣類処理剤、この場合、洗浄槽3内の衣類に柔軟処理を施すための柔軟剤を貯留可能となっている。
【0014】
洗剤用タンク15は、洗剤用計量ポンプ18を介して自動投入用経路13aに接続されている。洗剤用計量ポンプ18は、例えば、モータやソレノイドなどのアクチュエータによってピストンを駆動することにより液体を吸引して送出する構成となっている。洗剤用計量ポンプ18は、洗剤用タンク15内から所定量、この場合、1回の運転に使用する量の洗剤を吸引し、その吸引した洗剤を自動投入用経路13a内に送出する。そして、自動投入用経路13a内に送出された洗剤は、給水弁10から供給される水とともに洗浄槽3内に供給される。これにより、洗剤用タンク15内から洗浄槽3内に洗剤が自動的に投入される。なお、洗剤用計量ポンプ18は、液体を吸引するものに限られず、例えば、液体を押し出すものであってもよい。
【0015】
柔軟剤用タンク16は、柔軟剤用計量ポンプ19を介して自動投入用経路13aに接続されている。柔軟剤用計量ポンプ19は、例えば、モータやソレノイドなどのアクチュエータによってピストンを駆動することにより液体を吸引して送出する構成となっている。柔軟剤用計量ポンプ19は、柔軟剤用タンク16内から所定量、この場合、1回の運転に使用する量の柔軟剤を吸引し、その吸引した柔軟剤を自動投入用経路13a内に送出する。そして、自動投入用経路13a内に送出された柔軟剤は、給水弁10から供給される水とともに洗浄槽3内に供給される。これにより、柔軟剤用タンク16内から洗浄槽3内に柔軟剤が自動的に投入される。なお、柔軟剤用計量ポンプ19は、液体を吸引するものに限られず、例えば、液体を押し出すものであってもよい。
【0016】
また、注水ケース12内には、図示しない手動投入用ケースが出し入れ可能に収容されている。手動投入用ケース内には、使用者の手動によって洗剤が投入される手動洗剤投入部、および、使用者の手動によって柔軟剤が投入される手動柔軟剤投入部が設けられている。手動洗剤投入部に投入されている洗剤、あるいは、手動柔軟剤投入部に投入されている柔軟剤は、給水弁10から手動投入用経路13bを介して注水ケース12内に注水される水とともに給水ホース14を介して洗浄槽3内に供給される。
【0017】
以上のように構成される洗濯機1は、図1に例示するように、さらに表示操作パネル40を備えている。表示操作パネル40は、表示操作部の一例であり、この場合、洗濯機1の筐体2の前面の上部、より詳細には、ドア5の上部に設けられている。表示操作パネル40は、例えば液晶ディスプレイを備えており、洗濯機1の運転に関する各種の情報が含まれた各種の画面を表示する。また、表示操作パネル40は、洗濯機1の運転に関する各種の操作を受け付けるための操作キー、いわゆるタッチキーが含まれた各種の画面を表示する。使用者は、表示操作パネル40が表示する画面に含まれる各種の操作キーをタッチ操作することにより、洗濯機1の運転に関する各種の操作を行うことができる。
【0018】
なお、表示操作パネル40を構成するタッチパネルとしては、例えば、使用者の手指が触れた際に発生する静電容量の変化をセンサで感知する静電容量方式のタッチパネルを適用することができる。また、表示操作パネル40を構成するタッチパネルとしては、静電容量方式のタッチパネルに限らず、例えば、抵抗膜方式のタッチパネルなどの各種の方式のタッチパネルを適用することができる。また、表示操作パネル40は、液晶ディスプレイにより構成されるものに限らず、例えば、有機ELディスプレイなどの各種の表示装置を適用することができる。
【0019】
図3に例示するように、表示操作パネル40への各種の画面の表示は、制御装置50によって制御される。制御装置50は、制御部の一例である。制御装置50は、例えば、マイクロコンピュータを主体として構成されており、制御プログラムや各種の設定情報に基づいて洗濯機1の動作全般を制御する。なお、制御装置50には、表示操作パネル40だけでなく、例えば、上述した給水弁10、洗剤用計量ポンプ18、柔軟剤用計量ポンプ19、図示しない排水弁、図示しないドラム回転モータなどの各種の駆動系の構成要素が接続されている。また、制御装置50には、詳しくは後述するリニアホール素子105が接続されている。制御装置50は、運転に関連する各種の運転関連情報を表示操作パネル40に表示するようになっている。
【0020】
本実施形態に係る洗濯機1によれば、洗剤用タンク15内の洗剤の残量、および、柔軟剤用タンク16内の柔軟剤の残量を詳細に検知するための創意工夫が施されている。次に、この点について、さらに詳細に説明する。なお、洗剤用タンク15および柔軟剤用タンク16について、内部に貯留されている衣類処理剤の残量を検知するための構成は同様である。よって、以下、説明の便宜上、洗剤用タンク15の構成例について説明し、柔軟剤用タンク16については、洗剤用タンク15と同様の構成であるとして、その説明を省略する。
【0021】
図4に例示するように、洗剤用タンク15は、その外郭をほぼ矩形箱状のケース部100により構成している。ケース部100の内部には、空間が形成されており、内部に衣類処理剤を貯留可能となっている。ケース部100の上部には、当該ケース部100内に衣類処理剤を補給するための補給口100aが設けられている。この補給口100aは、蓋100bによって開閉されるようになっている。
【0022】
また、洗剤用タンク15は、ケース部100の内部にフロート101を備えている。フロート101は、回動軸102を中心としてケース部100内において上下に回動可能に支持されている。また、フロート101は、回動軸102とは反対側となる自由端部にフロート本体部103を備えている。このフロート本体部103は、長尺な連結部103aを介して回動軸102に連結されている。フロート本体部103は、内部が空洞となっており、ケース部100内に貯留されている衣類処理剤、この場合、洗剤の液面上に浮くようになっている。そのため、フロート101のフロート本体部103は、ケース部100内に貯留されている衣類処理剤の残量に応じて、その高さ位置が変動するようになっている。
【0023】
また、フロート101は、フロート本体部103の内部にマグネットを備えていない構成となっている。そして、フロート101は、その回動軸102に円形状のマグネット104を備えた構成となっている。この場合、マグネット104は、フロート101の回動軸102に外付けされた構成となっている。また、マグネット104は、円形状であり、その軸方向を回動軸102の軸方向に一致させるように配置されている。そして、マグネット104は、回動軸102に対してラジアル方向、つまり、回動軸102の軸方向に垂直な方向に着磁されている。また、マグネット104は、この場合、2極で着磁されており、1つのN極104Nと1つのS極104Sとを有している。
【0024】
このように構成されるマグネット104は、ケース部100内においてフロート101のフロート本体部103が変位することに応じて、換言すれば、回動軸102が回動することに応じて、当該マグネット104も軸中心に回動する。よって、マグネット104の磁界の向きがフロート101のフロート本体部103の変位に応じて変化することになり、つまり、ケース部100内の衣類処理剤の残量に応じてフロート101のフロート本体部103が変位することに応じて、マグネット104の状態、この場合、磁界の向きが変化するようになっている。このような挙動を示すマグネット104は、被検知部の一例として機能する。
【0025】
また、ケース部100には、リニアホール素子105が設けられている。リニアホール素子105は、ケース部100のうちフロート101の回動軸102に対向する部位に設けられている。リニアホール素子105は、マグネットが接近および離間することに応じてオン状態およびオフ状態に切り換わる構成のものではなく、上述したようにフロート101のフロート本体部103の変位に応じて変化するマグネット104の状態、この場合、磁界の向きの変化を連続的に検知可能に構成されたものである。このリニアホール素子105は、検知部の一例として機能する。この場合、リニアホール素子105は、フロート101の回動軸102、換言すれば、マグネット104に対向する下面を、マグネット104の磁界の向きの変化を検知する検知面105aとして構成している。
【0026】
また、図4および図5に例示するように、フロート101は、ケース部100内において、最大位置M1と最小位置M2との間で変位可能、この場合、回動可能に構成されている。最大位置M1は、ケース部100内に所定の最大量の衣類処理剤が貯留されている場合にフロート101のフロート本体部103が位置する変位位置である。一方、最小位置M2は、ケース部100内に所定の最小量の衣類処理剤が貯留されている場合にフロート101のフロート本体部103が位置する変位位置である。なお、所定の最大量および最小量は、例えば、ケース部100の形状や大きさ、貯留する衣類処理剤の種類などに応じて適宜変更して実施することができる。
【0027】
そして、このように構成されるフロート101に対し、マグネット104は、図4に例示するように、フロート101のフロート本体部103が最小位置M2に変位した場合において、N極104NとS極104Sとの境界線がリニアホール素子105の検知面105aに対して平行となるように構成されている。なお、マグネット104は、フロート101のフロート本体部103が最大位置M1に変位した場合において、N極104NとS極104Sとの境界線がリニアホール素子105の検知面105aに対して平行となるように構成してもよい。
【0028】
以上のように構成される洗濯機1において、図6に例示するように、制御装置50は、リニアホール素子105による検知結果に基づき、マグネット104の磁界の向きの変化、換言すれば、フロート101の回動量を特定することが可能であり、ひいては、洗剤用タンク15内の洗剤の残量を特定することが可能となっている。即ち、図6に示す例では、制御装置50は、リニアホール素子105の出力値がNaである場合には、ケース部100内の衣類処理剤の残量が小レベルであると判定し、リニアホール素子105の出力値がNaよりも低いNbである場合には、ケース部100内の衣類処理剤の残量が中レベルであると判定し、リニアホール素子105の出力値がNbよりも低いNcである場合には、ケース部100内の衣類処理剤の残量が大レベルであると判定する。このように、制御装置50は、リニアホール素子105の出力値が低いほど、ケース部100内の衣類処理剤の残量が多いと判定するようになっている。
【0029】
なお、図6に示す例では、ケース部100内の衣類処理剤の残量を、小レベル、中レベル、大レベルの3段階で判定する例を示したが、上述した通り、リニアホール素子105は、マグネット104の磁界の向きの変化を連続的に検知可能に構成されている。そのため、制御装置50は、リニアホール素子105の出力値に基づきケース部100内の衣類の残量の変化を連続的に特定することが可能であり、従って、制御装置50は、3段階以上の多段階でケース部100内の衣類処理剤の残量を判定することが可能である。
【0030】
以上に説明した本実施形態に係る洗濯機1によれば、タンク15,16は、当該タンク15,16の外郭を構成するケース部100と、このケース部100内に貯留されている衣類処理剤の残量に応じてフロート本体部103が変位するフロート101と、このフロート101に設けられ、ケース部100内において衣類処理剤の残量に応じてフロート101のフロート本体部103が変位することに伴い状態が変化するマグネット104と、ケース部100に設けられ、マグネット104の状態を検知するリニアホール素子105と、を備えている。この構成によれば、タンク15,16内の衣類処理剤の残量に応じて変化するマグネット104の状態をリニアホール素子105によって検知することで、単にホールICのオン/オフに基づき検知する従来構成に比べ、タンク15,16内の衣類処理剤の残量を一層詳細に検知することができる。
【0031】
また、洗濯機1によれば、マグネット104は、ケース部100内においてフロート101を回動可能に支持する回動軸102に設けられている。この構成によれば、フロート101の回動をマグネット104に直接的に反映することができ、フロート101の回動量、換言すれば、ケース部100内の衣類処理剤の残量を一層精度良く検知することができる。また、マグネット104をフロート101の回動軸102に設けた構成、つまり、マグネット104をフロート本体部103内に設けない構成によれば、マグネットをフロート本体部に設ける従来構成に比べ、フロート本体部103の小型化を図ることができる。そして、フロート本体部103の小型化を図ることで、タンク15,16の内容量、つまり、内部に貯留できる衣類処理剤の量を多くすることができる。
【0032】
また、洗濯機1によれば、マグネット104は、フロート101の回動軸102に対してラジアル方向に、且つ、2極で着磁されている。この構成によれば、フロート101の回動に伴い、リニアホール素子105に対するマグネット104の磁界の方向を確実に変化させることができ、フロート101の回動量、換言すれば、ケース部100内の衣類処理剤の残量を一層精度良く検知することができる。
【0033】
また、洗濯機1によれば、マグネット104は、フロート101のフロート本体部103が最小位置M2に変位した場合において、N極104NとS極104Sとの境界線が、リニアホール素子105の検知面105aに対して平行となるように構成されている。この構成によれば、タンク15,16内の衣類処理剤の残量が所定の最小量であるときに、リニアホール素子105の出力値が最大値となる。そのため、このときにおけるリニアホール素子105の出力値を基準として、タンク15,16内の衣類処理剤の残量を精度良く検知することができる。
【0034】
なお、洗濯機1によれば、マグネット104は、フロート101のフロート本体部103が最大位置M1に変位した場合において、N極104NとS極104Sとの境界線が、リニアホール素子105の検知面105aに対して平行となるように構成してもよい。この構成によれば、タンク15,16内の衣類処理剤の残量が所定の最大量であるときに、リニアホール素子105の出力値が最大値となる。そのため、このときにおけるリニアホール素子105の出力値を基準として、タンク15,16内の衣類処理剤の残量を精度良く検知することができる。
【0035】
また、洗濯機1によれば、リニアホール素子105は、フロート101の回動に伴うマグネット104の状態の変化を、オン/オフの2値だけではなく、フロート101のフロート本体部103が最大位置M1と最小位置M2との間を変位する過程において連続的に検知することが可能である。この構成によれば、タンク15,16内の衣類処理剤の残量を一層詳細に検知することができる。
【0036】
なお、本実施形態は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や拡張を行うことができる。
【0037】
例えば図7に例示するように、マグネット104は、2極に着磁されたものに限られず、例えば4極に着磁されていてもよい。また、詳しい図示は省略するが、マグネット104は、6極以上の複数に着磁されていてもよい。このようにマグネット104の着磁数を増加させることにより、フロート101の回動量、換言すれば、タンク15,16内の衣類処理剤の残量を一層詳細に検知することが可能となる。
【0038】
また、フロート101の回動軸102に対するマグネット104の取り付け態様は、種々の態様を適用することができる。即ち、図8のパターンAに例示するように、2極に着磁されたマグネット104をフロート101の回動軸102の周面に取り付けてもよいし、パターンBに例示するように、4極に着磁されたマグネット104をフロート101の回動軸102の周面に取り付けてもよい。また、パターンAに例示するように、マグネット104は、回動軸102の周面の一部に取り付けてもよいし、パターンBに例示するように、マグネット104は、回動軸102の周面の全部にわたって取り付けてもよい。また、詳しい図示は省略するが、マグネット104の取り付け態様は、その他の態様としてもよい。
【0039】
また、図9に例示するように、ケース部100は、フロート101の回動軸102が収容される半円弧状の収容部100cを備える構成としてもよい。この構成によれば、回動軸102をケース部100内の極力上部に位置させることができ、フロート101の連結部103aを長くすることができる。これにより、ケース部100内におけるフロート101の回動可能範囲を大きく確保することができ、より広い範囲でタンク15,16内の衣類処理剤の残量を検知することができる。また、ケース部100の表面から突出する収容部100cを、タンク収容部4a内におけるタンク15,16の位置決めとして利用したり、タンク収容部4a内の所定の取り付け位置にタンク15,16が適切に取り付けられていることを検知するための突起として利用したりすることができる。
【0040】
また、図10に例示するように、マグネット104は、フロート101の連結部103aに設けてもよい。この場合、リニアホール素子105は、ケース部100の側面に設けるとよい。
【0041】
また、図11に例示するように、洗濯機1は、フロート101の回動軸102の回動をマグネット104に伝達する回動伝達機構200を備える構成としてもよい。回動伝達機構200は、フロート101の回動軸102に一体に設けられるフロート側回動伝達ギア201と、マグネット104を一体に備えるマグネット側回動伝達ギア202と、を備えている。このように構成される回動伝達機構200は、フロート101の回動軸102が回動することに伴い、フロート側回動伝達ギア201がマグネット側回動伝達ギア202を回動させる。これにより、フロート101の回動をマグネット104の回動に反映させることができ、タンク15,16内の衣類処理剤の残量を詳細に検知することができる。なお、フロート101の回動をマグネット104の回動に反映させることが可能な機構であれば、回動伝達機構200に限らず、種々の構成の機構を適用することができる。
【0042】
また、ケース部100におけるリニアホール素子105の配置位置は、適宜変更して実施することができる。即ち、リニアホール素子105は、例えばケース部100の側面などに設けてもよい。また、マグネット104は、フロート101に外付けするのではなく、フロート101に一体成形してもよいし、フロート101に封入してもよい。また、フロート101のフロート本体部103は、内部が開放したベース部と、このベース部の開口を閉塞するカバー部と、の2部材で構成するとよい。この構成によれば、ベース部にカバー部を例えば溶着などの工法で密着させることにより、いわゆる「浮き」として機能するフロート本体部103を確実に生成することができる。
【0043】
また、洗濯機1は、ケース部100にリニアホール素子105を備えない構成としてもよい。即ち、例えば図12に例示する構成例では、洗濯機1の筐体2内の上部に設けられる注水ケース312は、その前部が開放したほぼ矩形の長尺な箱状をなすものであり、洗濯機1の前後方向に沿った状態で備えられている。そして、この注水ケース312の内部には、引き出しケース313が前後方向に出し入れ可能に収容されている。引き出しケース313は、その上部が開放したほぼ矩形の長尺な箱状をなしている。そして、この引き出しケース313の内部には、タンク15,16が着脱可能に収容される。注水ケース312の後部には、ポンプ18,19が設けられている。そして、タンク15,16が取り付けられた引き出しケース313が注水ケース312内に押し込まれることで、ポンプ18,19の液体吸引口がタンク15,16の液体流出口に接続されるようになっている。
【0044】
この構成例において、リニアホール素子105は、タンク15,16のケース部100ではなく、注水ケース312の上面の下部に設けられている。また、リニアホール素子105は、タンク15,16が取り付けられた引き出しケース313が注水ケース312内に押し込まれた状態において、ケース部100内のマグネット104の上方に位置するように設けられている。なお、リニアホール素子105の配置位置は、マグネット104の直上部であってもよいし、直上部から水平方向に若干ずれた位置であってもよい。以上の通り、本実施形態においては、リニアホール素子105は、タンク15,16のケース部100に限らず、その他の部分に設けてもよい。
【0045】
また、タンクは、洗剤を貯留する洗剤用タンク15や柔軟剤用タンク16に限られるものではなく、例えば、消臭剤を貯留する消臭剤タンク、除菌剤を貯留する除菌剤タンク、漂白剤を貯留する漂白剤タンクなど、衣類に何らかの処理を施す種々の処理剤を貯留するタンクであれば種々の種類のタンクを適宜採用することができる。また、給水部4に備えられる複数のタンクは、同じ種類の処理剤を貯留するタンクであってもよいし、異なる種類の処理剤を貯留するタンクであってもよい。また、給水部4に備えらえるタンクの数は、2つに限られるものではなく、1つであってもよいし、3つ以上の複数であってもよい。また、ポンプは、液体を吸引するものに限られず、例えば、液体を押し出すものであってもよい。
【0046】
また、本実施形態は、回転槽の回転中心軸が鉛直方向に延びる、いわゆる縦軸型の洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、乾燥機能を有する洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、乾燥機能を有しない洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、例えば、衣類の消臭、脱臭、除菌など、衣類に対して何らかの処理を施す装置であれば、種々の衣類処理装置に適用することができる。
【0047】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
図面中、1は洗濯機(衣類処理装置)、3は洗浄槽(衣類処理槽)、11は自動投入部(投入部)、15は洗剤用タンク(タンク)、16は柔軟剤用タンク(タンク)、100はケース部、101はフロート、102は回動軸、104はマグネット(被検知部)、105はリニアホール素子(検知部)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12