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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/40 20120101AFI20230721BHJP
【FI】
G06Q20/40
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020149694
(22)【出願日】2020-09-07
(65)【公開番号】P2022044185
(43)【公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-05-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517014826
【氏名又は名称】セカンドサイトアナリティカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】深谷 直紀
(72)【発明者】
【氏名】山口 隼人
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-44185(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110533531(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111626842(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105574728(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0319287(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引が行われたときに、取引の不正の判定に用いる情報を出力するモデルに入力する1種類以上の特徴量を、取引に応じて発生する発生値を利用して導出する情報処理部を備え、
前記特徴量には、現時点から遡って所定の期間に発生した前記発生値のそれぞれを用いて統計学的手法により導出可能な対応特徴量が含まれ、
前記情報処理部は、取引に応じて前記対応特徴量を導出する際、過去に発生した前記発生値の群を対象として事前に統計学的手法により導出され、記憶部に記憶された統計量を、その群に属する個々の前記発生値に代えて用いて前記対応特徴量を導出する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記記憶部には、過去を一定の単位で区分けした単位期間毎に、前記単位期間内で発生した前記発生値のそれぞれを用いて統計学的手法により導出された単位統計量が記憶され、
前記情報処理部は、取引に応じて前記対応特徴量を導出する際、現時点から遡って前記所定の期間に属する前記単位期間のそれぞれの前記単位統計量を前記記憶部から取得し、取得した前記単位統計量のそれぞれに基づいて前記対応特徴量を導出する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
取引が行われたときに、取引に媒体が用いられる場合における媒体自体、取引の実行者或いは取引が行われた環境を識別する複数種類の個別識別情報の値と、前記発生値とが対応付けられて前記情報処理部に出力され、
前記対応特徴量には、前記個別識別情報の種類毎に、今回の取引に応じて前記情報処理部に入力された前記個別識別情報の値と同じ値の前記個別識別情報と対応付けて過去に入力された前記発生値を用いて統計学的手法により導出可能な前記対応特徴量が含まれ、
前記記憶部には、前記個別識別情報の種類のそれぞれについて、前記個別識別情報の値毎に、各値の前記個別識別情報と対応付けて前記情報処理部に入力された前記発生値に基づく前記単位統計量が累積的に記録されたスタッツデータが記憶され、
前記情報処理部は、取引に応じてある特定の種類のある特定の値の前記個別識別情報に対応する前記対応特徴量を導出する際、その特定の種類のその特定の値に対応する前記スタッツデータを用いて前記対応特徴量を導出する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
取引が行われたときに、取引に媒体が用いられる場合における媒体自体、取引の実行者或いは取引が行われた環境を識別する複数種類の個別識別情報の値と、前記発生値とが対応付けられて前記情報処理部に出力され、
前記特徴量には、前記個別識別情報の種類毎に、今回の取引に応じて前記情報処理部に入力された前記個別識別情報の値と同じ値の前記個別識別情報と対応付けて、前記対応特徴量に係る前記所定の期間よりも短い一定期間だけ現時点から遡った期間に入力された前記発生値を用いて統計学的手法により導出可能な個別特徴量が含まれ、
前記記憶部には、前記個別識別情報の種類のそれぞれについて、前記個別識別情報の値毎に、各値の前記個別識別情報と対応付けて前記情報処理部に入力された前記発生値が累積的に記録された基本データが記憶され、
前記情報処理部は、取引に応じてある特定の種類のある特定の値の前記個別識別情報に対応する前記個別特徴量を導出する際、その特定の種類のその特定の値に対応する前記基本データを用いて前記個別特徴量を導出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
取引が行われたときに、取引に媒体が用いられる場合における媒体自体、取引の実行者或いは取引が行われた環境を識別する複数種類の個別識別情報の値と、前記発生値とが対応付けられて前記情報処理部に出力され、
現時点から遡った期間として、前記対応特徴量に係る前記所定の期間よりも短い、長さの異なる複数種類の短期間種類対象期間が定められ、
前記特徴量には、前記短期間種類対象期間の種類と前記個別識別情報の種類との組み合わせ毎に、今回の取引に応じて前記情報処理部に入力された前記個別識別情報の値と同じ値の前記個別識別情報と対応付けて、現時点から遡って該当種類の前記短期間種類対象期間に入力された前記発生値に基づいて導出される個別特徴量が存在し、また、1つの種類の前記短期間種類対象期間に対応する前記個別特徴量として、異なる方法で導出される複数種類の前記個別特徴量が存在し、
前記記憶部には、前記個別識別情報の種類のそれぞれについて、前記個別識別情報の値毎に、各値の前記個別識別情報と対応付けて前記情報処理部に入力された前記発生値が累積的に記録された基本データが記憶され、
前記情報処理部は、取引に応じて、前記短期間種類対象期間の種類毎に、ある特定の種類のある特定の値の前記個別識別情報に対応する前記個別特徴量を導出する際、その特定の種類のその特定の値に対応する前記基本データに基づいて、前記短期間種類対象期間の種類毎に、前記短期間種類対象期間内に発生した前記発生値が記録された期間データを生成し、ある種類の前記短期間種類対象期間に対応する前記個別特徴量を導出する場合、その種類の前記短期間種類対象期間に対応する前記期間データを用いて前記個別特徴量を導出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記情報処理部は、
取引に応じて前記発生値および付随情報を取得し、
前記特徴量を導出することなく、前記発生値と前記付随情報との少なくとも一部を用いて、取引が不正か否かを判定する第1判定処理を実行し、
前記第1判定処理で不正でないと判定した場合、前記発生値を利用して前記特徴量を導出し、前記特徴量を前記モデルに入力することなく用いて、取引が不正か否かを判定する第2判定処理を実行し、
前記第2判定処理で不正でないと判定した場合、前記モデルに前記特徴量を入力し、前記モデルが出力した情報を得る第3判定処理を実行する
ことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
情報処理システムの情報処理部が、取引が行われたときに、取引の不正の判定に用いる情報を出力するモデルに入力する1種類以上の特徴量を、取引に応じて発生する発生値を利用して導出する第1ステップと、
前記情報処理システムの前記情報処理部が、導出した前記特徴量を前記モデルに入力し出力を得る第2ステップとを含み、
前記特徴量には、現時点から遡って所定の期間に発生した前記発生値のそれぞれを用いて統計学的手法により導出可能な対応特徴量が含まれ、
前記第1ステップにおいて、前記情報処理部は、過去に発生した前記発生値の群を対象として事前に統計学的手法により導出され、記憶部に記憶された統計量を、その群に属する個々の前記発生値に代えて用いて前記対応特徴量を導出する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
情報処理システムの情報処理部が、取引に応じて発生する発生値および付随情報を取得し、前記発生値と前記付随情報との少なくとも一部を用いて、取引が不正か否かを判定する第1判定処理を実行する第1のステップと、
前記情報処理システムの情報処理部が、前記第1判定処理で不正でないと判定した場合、取引の不正の判定に用いる情報を出力するモデルに入力する1種類以上の特徴量を前記発生値に基づいて導出し、前記特徴量を前記モデルに入力することなく用いて、取引が不正か否かを判定する第2判定処理を実行する第2のステップと、
前記情報処理システムの情報処理部が、前記第2判定処理で不正でないと判定した場合、前記モデルに前記特徴量を入力し、前記モデルが出力した情報を得る第3判定処理を実行する第3のステップとを含み、
前記特徴量には、現時点から遡って所定の期間に発生した前記発生値のそれぞれを用いて統計学的手法により導出可能な対応特徴量が含まれ、
前記第2ステップにおいて、前記情報処理部は、過去に発生した前記発生値の群を対象として事前に統計学的手法により導出され、記憶部に記憶された統計量を、その群に属する個々の前記発生値に代えて用いて前記対応特徴量を導出する
ことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムおよび情報処理方法に関し、特に取引の不正の判定に関する処理を実行する情報処理システムおよび情報処理方法に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、クレジットカードの不正使用の判定等、何らかの取引の不正について判定することが広く行われており、当該判定に関する様々な技術が提案されている。なお、取引とは、クレジットカードの使用に限られず、例えばデビットカードやプリペイドカードの使用等、取引にあたってその取引が不正でないかどうかを判定することが求められるものを広く指し示している。このような中、特許文献1では、取引の一種であるクレジットカードの使用についての不正の判定に関して、モデルを使用して不正検出を行うシステムが提案されている。なおモデルとは、線形アルゴリズムや決定木アルゴリズム、ディープラーニング等、既知の機械学習手法(いわゆるAI)と同等である。この種のシステムでは一般に、クレジットカードが使用されると、使用に応じて発生する発生値(利用額や利用時刻等)を利用して複数種類の特徴量が導出され、導出された各特徴量がモデルに入力され、モデルが出力した情報を利用して不正か否かの判定が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-207011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般にモデルに入力される特徴量には、現時点から遡って所定の期間に発生した発生値を用いて統計学的手法により求められるものが含められる。例えば現時点から遡って1日、1週間、1ヶ月といった単位で発生した利用額の平均値や標準偏差が特徴量とされる。これは以下の理由による。取引がクレジットカードの使用である場合を例として説明すると、クレジットカードの不正使用の判定は、基本的には、通常と異なる異常な態様でクレジットカードが使用されていないかどうかという観点で行われるが、このような特徴量を用いることにより、モデルの出力値を、今回の発生値が統計学的な外れ値に該当する可能性を反映した値とすることができ、上記観点を考慮した判定が可能となるからである。
【0005】
ここでモデルに関しては、短い期間に発生した発生値を用いて導出される特徴量だけでなく、長い期間に発生した発生値を用いて導出される特徴量もモデルの入力とする方が、モデルの出力の精度の向上を期待できる。例えば、現時点から遡って1日、1週間および1ヶ月という単位の発生値に係る特徴量だけでなく、1年という単位の発生値に係る特徴量を含めた方がモデルの出力値の精度の向上を期待でき、更にこれに加え、2年という単位の発生値に係る特徴量を含めた方がモデルの出力値の精度の向上を期待できる。これは、モデルの出力を、短期間だけではなく長期間も含めた様々な期間における取引の態様を反映した値とすることが可能となるからである。
【0006】
そして従来、ある期間に係る特徴量をモデルの入力とする場合、その期間に発生した発生値の全てを累積的にデータベースに登録しておき、特徴量を導出するタイミングで、システムがデータベースからその期間における発生値を読み出し、読み出した発生値に基づいて特徴量を導出するようにしていた。このため、モデルの出力の精度を向上させるために、長い期間に係る特徴量をモデルの入力の1つにしようとすると、以下の問題が生じていた。
【0007】
すなわち、基本的には期間が長ければ長いほど発生する発生値が多くなる。このため、長い期間に係る特徴量をモデルの入力の1つにしようとすると、特徴量を導出するために必要な発生値の個数が多大になり、特徴量を導出するにあたって、多大な個数の発生値をデータベースから読み出すと共に、読み出した全ての発生値を要素として使用して特徴量を導出する必要が生じ、特徴量を導出するときの一連の処理に要する時間が長時間化してしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、特徴量の導出に要する時間の長時間化を抑制しつつ、モデルの出力の精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明では、モデルに入力される特徴量として、現時点から遡って所定の期間に発生した発生値のそれぞれを用いて統計学的手法により導出可能な対応特徴量を含めており、取引に応じて対応特徴量を導出する際、過去に発生した発生値の群を対象として事前に統計学的手法により導出され、記憶部に記憶された特徴量を、その群に属する個々の発生値に代えて用いて対応特徴量を導出するようにしている。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明によれば、本来、現時点から遡って所定の期間に発生した発生値のそれぞれを用いて統計学的手法により導出される対応特徴量の導出に際し、現時点から遡って所定の期間に発生した全ての発生値が読み出され、これらを処理対象として導出されるのではなく、以下の処理が行われる。すなわち事前に、過去に発生した発生値の群を対象として統計学的手法により統計量が導出され、記憶される。そして対応特徴量は、その群に属する個々の発生値に代えて、その群について事前に記憶された統計量が用いられて導出される。
【0011】
このため、対応特徴量を導出する際に、個々の発生値を把握し、全ての発生値を要素として使用して対応特徴量を導出する必要がなく、発生値の群毎の統計量を把握し、これを要素として使用すれば足り、対応特徴量の導出に際して把握すべき要素の個数が減少すると共に、実際の計算に利用する要素の個数が減少し、特徴量の導出に要する時間の長時間化を抑制できる。更には特徴量の導出に要する時間の長時間化を抑制しつつ、より長い期間に発生した発生値を用いた対応特徴量をモデルの入力とすることが可能となり、このようにすることによってモデルの出力の精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る不正使用判定システムの構成例を示すネットワーク図である。
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理サーバの機能構成例を示すブロック図である。
図3】特徴量の種類(一部)を示す表である。
図4】基本データおよびスタッツデータが記憶部に記憶された様子を示す図である。
図5】クレカ番号スタッツデータの内容を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る情報処理サーバの動作例を示すフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係る情報処理サーバの動作例を示すフローチャートである。
図8】本発明の一実施形態に係る情報処理サーバの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る不正使用判定システム1の構成例を示すネットワーク図である。図1で示すように、本実施形態に係る不正使用判定システム1は、情報処理サーバ2(特許請求の範囲の「情報処理システム」に相当)と、複数のクライアント装置3とを含んで構成されている。情報処理サーバ2と複数のクライアント装置3のそれぞれとは、インターネット、電話網、その他の通信網を含んで構成されたネットワーク4を介して通信可能に接続されている。
【0014】
不正使用判定システム1は、クレジットカードが使用されたときに、そのクレジットカードの使用が不正使用か否かの判定を行う機能を少なくとも有するシステムである。そしてクライアント装置3とは、クレジットカードの使用があったときに、リクエストデータ(いわゆるオーソリデータ。内容の詳細は後述)を情報処理サーバ2に送信する装置の総称であり、例えば実店舗のレジに設けられた専用の決済端末や、駅券売機等の専用機で行われる決済に関する処理を実行するサーバ装置、ECサイトの決済に関する処理を実行するサーバ装置等がクライアント装置3として機能する。
【0015】
以下の説明において、クレジットカードを使用する者を「ユーザ」という。また、クレジットカードが使用されることを単に「取引」ということがあり、特に情報処理サーバ2が処理対象としているリクエストデータが送信されるきっかけとなった取引のことを「今回取引」という場合がある。また、クレジットカードの不正使用を単に「不正使用」という場合がある。また、クレジットカードが使用され、これに応じてリクエストデータが送信されたことを単に「リクエストデータが発生した」のように表現する場合がある。
【0016】
なお、クレジットカードの不正使用とは、クレジットカードが悪意を持って不正に使用されることのみを意味するのではく、悪意/善意は関係なく禁止された方法で使用されたり、想定していない方法で使用されたりすることを含む。また本実施形態では、不正の判定が行われる対象の取引を「クレジットカードの使用」としている。しかしながら、これはあくまで一例であり、不正の判定が行われる対象として他の取引を含めてもよいことは勿論である。取引は、例えば、信用を利用した他の決済手段の試行(カード型のクレジットカードの使用を必ずしも伴わなくてもよい)であってもよく、デビットカードやプリペイドカード等の使用であってもよい。
【0017】
図2は、情報処理サーバ2の機能構成例を示すブロック図である。図2で示すように、情報処理サーバ2は、機能構成として、通信部10および情報処理部11を備えている。上記各機能ブロック10、11は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック10、11は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。通信部10は、所定の通信規格に従って、ネットワーク4と接続する装置と通信する。また、情報処理サーバ2は、記憶手段として、記憶部12を備えている。
【0018】
なお図1、2では、情報処理サーバ2を1つのブロックにより表しているが、これは情報処理サーバ2が単一のサーバ装置により構成されることを意味するものではない。情報処理サーバ2は、複数の装置により構成されてもよく、所定のシステムの一部であってもよい。例えば、情報処理サーバ2は、複数のサーバ装置が連携して構成されてもよい。この場合、複数のサーバ装置が連携して特許請求の範囲の「情報処理システム」として機能する。
【0019】
情報処理サーバ2は、ユーザによりクレジットカードの使用があったときにクライアント装置3からの要求(リクエストデータの送信)に応じて、不正使用の判定に関する処理を実行する。以下、ユーザによりクレジットカードが使用された場合のクライアント装置3および情報処理サーバ2の処理について詳述する。
【0020】
店舗やECサイト等でユーザによりクレジットカードが使用されると、対応するクライアント装置3は、リクエストデータを生成して、情報処理サーバ2に送信し、不正使用の判定を要求する。後に明らかとなる通り、情報処理サーバ2は、リクエストデータに基づいて不正使用か否かを判定し、不正使用と判定した場合にはその旨の、不正使用ではないと判定した場合にはその旨のレスポンスデータを応答する。本実施形態では、クライアント装置3がリクエストデータを送信してから、レスポンスデータを受け取るまでの時間を「レスポンス時間」と定義する。レスポンス時間は、ユーザの待ち時間に影響する。従って、レスポンス時間はできるだけ短いことが求められる。後に明らかとなる通り、本実施形態では、レスポンス時間の短縮化と不正使用の判定の精度の向上との双方を実現している。
【0021】
リクエストデータには、情報処理サーバ2が不正使用の判定に関する処理を実行するにあたって必要な情報が含まれている。本実施形態では、リクエストデータに係る項目として少なくとも以下の項目が存在しており、リクエストデータには、各項目の項目値が含まれている。すなわち本実施形態では、クレジットカードに係る項目として、クレジットカード番号、ユーザID、発生日時および利用額が少なくとも存在する。
【0022】
クレジットカード番号は、クレジットカードに一意に付与された番号である。以下、クレジットカード番号の項目値を「クレカ番号値」という。ユーザIDは、ユーザを識別する識別情報である。以下、ユーザIDの項目値を「ユーザID値」という。ここでユーザID値を取得できる状態で決済が行われることがある。例えば、ユーザIDを利用したログインを必要とするサービス(電子モールやインターネットオークション等)において決済が行われる場合や、ユーザIDが付与された会員のみが利用できるサービスにおいて決済が行われる場合等である。このようにユーザID値を取得できる状態で決済が行われる場合に、リクエストデータにユーザID値が含められる。
【0023】
発生日時は、クレジットカードが使用された日時(リクエストデータの生成、送信が行われた日時と言い換えてもよい。日時は、日付+時刻を意味する)である。以下、発生日時の項目値を「発生日時値」という。利用額とは、クレジットカードを使用して支払われる代金のことである。以下、利用額の項目値を「利用額値」という。
【0024】
なお、発生日時値および利用額値は、特許請求の範囲の「発生値」に相当する。発生値は、クレジットカードの使用に応じて発生する値であればよく、本実施形態で例示するものに限られない。またクレジットカード番号およびユーザIDが特許請求の範囲の「個別識別情報」に相当し、特に、クレジットカード番号は取引に媒体が用いられる場合における媒体自体を識別する個別識別情報に、ユーザIDは取引の実行者を識別する個別識別情報に相当する。本実施形態で例示する項目は、説明の単純化のために抜粋した一部であり、当然、例示した項目以外の項目が存在してもよい。例えば、個別識別情報に関し、ユーザの端末を利用して取引が行われる場合に(ユーザの端末のブラウザを利用したオンライン決済を想定)、その端末を識別するための何らかの情報(アクセス元のIPアドレスや、端末固有の端末ID(MACアドレスでもよい))が含まれてもよく、取引が行われた地域を示す情報が含まれてもよい。ユーザが取引に利用した端末を識別する情報や、取引が行われた地域を示す情報が含まれる場合、これらの情報は、特許請求の範囲の「取引が行われた環境を識別する個別識別情報」に相当する。
【0025】
情報処理サーバ2の情報処理部11は、通信部10を介してリクエストデータを受信する。情報処理部11は、リクエストデータの受信に応じて、第1判定処理、特徴量導出処理、第2判定処理、第3判定処理およびデータ更新処理を順番に実行する(ただし、後に明らかとなる通り、第1判定処理、第2判定処理および第3判定処理の何れかにおいて情報処理部11により不正使用と判定された場合には、後続する処理は実行されない)。以下、各処理を順番に説明する。
【0026】
以下の説明では、情報処理サーバ2が受信し、処理対象とするリクエストデータを特に「今回リクエストデータ」という。説明の便宜のため、今回リクエストデータには、有効なユーザID値が含まれているものとする(つまり、ユーザID値がヌル値ではないものとする)。また、今回リクエストデータのクレカ番号値を「今回クレカ番号値」といい、ユーザID値を「今回ユーザID値」といい、発生日時値を「今回発生日時値」といい、利用額値を「今回利用額値」という。また、今回リクエストデータを受信した時点が属する日(day)を「本日」といい、本日の1日前を「前日」という。
【0027】
<第1判定処理>
第1判定処理は、特徴量(後述)を導出することなく、今回リクエストデータに含まれる情報を利用することによって不正使用か否かの判定を行う処理である。第1判定処理は、不正使用の判定にあたって、特徴量を導出するまでもなく、また、不正判定用モデル(後述)を使用するまでもなく、今回リクエストデータに含まれる情報から明らかに不正使用とみなせるものについて、不正使用と判定することを目的として行われる。
【0028】
第1判定処理において情報処理部11は、例えば以下の処理を実行する。すなわち、不正使用と判定すべきクレカ番号値や、ユーザID値、その他の項目値が記録されたリスト(いわゆるブラックリスト)が事前に用意される。そして情報処理部11は、今回リクエストデータに、当該リストに記録された項目値が1つでも含まれている場合には、不正使用と判定する。また例えば、情報処理部11は、今回リクエストデータにクレジットカードの使用が行われた地域を示す情報が含まれている場合において、当該情報に基づいてクレジットカードが使用された地域を特定し、クレジットカードが禁止された地域で使用されている場合には、クレジットカードの使用を不正使用と判定する。これによれば、ユーザが属する国以外の国(ユーザにとっての外国)においてクレジットカードが使用されることを禁止している場合において、外国でクレジットカードが使用された場合に、不正使用と判定できる。なお第1判定処理において、情報処理部11に使用された情報のうち、発生値以外の情報は、特許請求の範囲の「付随情報」に相当する。
【0029】
第1判定処理において不正使用と判定した場合、情報処理部11は、不正使用と判定したことを示すレスポンスデータをクライアント装置3に送信する。この場合、情報処理部11は、特徴量導出処理を実行することなく、処理を終了する。レスポンスデータを受信したクライアント装置3は、対応する処理を実行する。例えば、クライアント装置3が実店舗のレジに設けられた専用の決済端末である場合に、クライアント装置3は、所定のディスプレイに不正使用の可能性がある旨の情報を表示して、そのことをレジ担当者に伝える。また例えば、クライアント装置3がECサイトのサーバである場合に、クライアント装置3は、他の機器と連携して、ユーザへの通知を適切に行った上でクレジットカードによる決済をキャンセルする。
【0030】
一方、第1処理において不正使用ではないと判定した場合、情報処理部11は、特徴量導出処理を実行する。
【0031】
<特徴量導出処理>
特徴量導出処理は、不正判定用モデルに入力する特徴量を導出する処理である。ただし後に明らかとなる通り、特徴量導出処理で導出された特徴量は、不正判定用モデルへの入力に先立って、第2判定処理で使用される。不正判定用モデルとは、機械学習されるモデルであって、複数の特徴量を入力し、不正判定用スコアを出力するモデルである。不正判定用スコアとは、不正使用の可能性の高さが高いほど値が大きくなるスコア(数値)である。不正判定用スコアは、不正使用か否かの判定に用いられるものであり、後述するように、情報処理部11は、閾値と不正判定用スコアとを比較して、不正使用か否かの判定を行う。
【0032】
図3は、本実施形態で導出される特徴量の種類(抜粋した一部)を示す表である。図3の表において、対象期間とは、現時点から遡った一定期間(所定の期間)を意味する。本実施形態では、対象期間の種類として、「5分」、「30分」、「1時間」、「6時間」、「1日」、「1週間」、「1ヶ月」、「半年」、「1年」および「2年」が用意されている。例えば、対象期間「5分」とは、現時点から遡って「5分」の期間(別の言い方をすれば「直近5分間」)を意味する。図3の表において、個別識別情報の種類として、上述したクレジットカード番号<項目>およびユーザID<項目>が定義されている。
【0033】
図3の表で示すように、本実施形態では、対象期間の種類と個別識別情報の種類との組み合わせ毎に利用額平均値および利用額標準偏差値という2種類の特徴量が定義されている。ある対象期間の種類(例えば「5分」)と、クレジットカード番号との組み合わせに対応する利用額平均値とは、その対象期間において、今回クレカ番号値のクレジットカードが使用された取引のそれぞれの利用額値の平均を意味する。従って対象期間に3回、今回クレカ番号値のクレジットカードを使用した取引が行われていれば、3回の取引のそれぞれの利用額値の平均が、その種類の対象期間とクレジットカード番号との組み合わせに対応する利用額平均値である。
【0034】
また、ある対象期間の種類とユーザIDとの組み合わせに対応する利用額平均値とは、その対象期間において、今回ユーザID値のユーザが行った取引のそれぞれの利用額値の平均を意味する。従って対象期間に3回、今回ユーザID値のユーザにより取引が行われていれば、3回の取引のそれぞれの利用額値の平均が、その種類の対象期間とユーザIDとの組み合わせに対応する利用額平均値である。
【0035】
なお、ある一人のユーザについて、共通する対象期間のクレジットカード番号に係る利用額平均値と、ユーザIDに係る利用額平均値とは必ずしも同じ値にならない。例えば、あるユーザが複数種類のクレジットカードを所持しており、対象期間内に1つのユーザID値を用いて、異なる複数種類のクレジットカードを使用して買い物をした場合に、そのユーザについてのクレジットカード番号に係る利用額平均値と、そのユーザについてのユーザIDに係る利用額平均値とは異なる値になる。現状、一人の人間が異なる複数種類のクレジットカードを所持し、各種類のクレジットカードを使い分けることはごく一般に行われている。
【0036】
また、ある対象期間の種類とクレジットカード番号との組み合わせに対応する利用額標準偏差値とは、その対象期間において、今回クレカ番号値のクレジットカードが使用された取引のそれぞれの利用額値の標準偏差を意味する。また、ある種類の対象期間とユーザIDとの組み合わせに対応する利用額標準偏差値とは、その対象期間において、今回ユーザID値のユーザが行った取引のそれぞれの利用額値の標準偏差を意味する。
【0037】
以下の説明では、図3で示すように、対象期間の種類のうち「5分」、「30分」、「1時間」および「6時間」を特に「短期間種類」といい、短期間種類に係る対象期間を「短期間種類対象期間」という。更に個別識別情報の種類にかかわらず短期間種類に対応する特徴量を「個別特徴量」という。また、対象期間の種類のうち「1日」、「1週間」、「1ヶ月」、「半年」、「1年」および「2年」を特に「長期間種類」といい、長期間種類に係る対象期間を「長期間種類対象期間」という。更に個別識別情報の種類にかかわらず長期間種類に対応する特徴量を「対応特徴量」という。なお、本実施形態では、短期間種類対象期間と長期間種類対象期間との境目を「6時間」と「1日」との間としているが、これはあくまで一例であり、他の位置を境目としてもよいことは勿論である。また、例示した対象期間の種類はあくまで一例であり、例えば、「12時間」や、「2週間」、「1年半」といった期間を対象期間に含めてもよい。なお後に明らかとなる通り、本実施形態では、独自の処理が行われることにより、レスポンス時間の長時間化を抑制しつつ、「2年」やそれ以上の長い期間を対象期間に含めることが可能である。
【0038】
本実施形態では、特徴量の種類として、少なくとも図3で例示した特徴量の種類が存在する中、記憶部12には以下の態様で基本データ14およびスタッツデータ15が記憶される。図4は、基本データ14およびスタッツデータ15が記憶部12に記憶された様子を説明に適した態様で模式的に示す図である。図4で示すように本実施形態では、個別識別情報の種類のそれぞれについて、個別識別情報の値毎の基本データ14が存在する。
【0039】
具体的には、図4で示すように、記憶部12には、クレジットカード番号について、クレカ番号値毎に基本データ14が記憶されている。以下、クレジットカード番号に対応する基本データ14のそれぞれを「クレカ番号基本データ14C」という。あるクレカ番号値に対応するクレカ番号基本データ14Cは、現時点から遡って少なくとも6時間の期間において発生した、そのクレカ番号値を含むリクエストデータが累積的に記録されたデータである。つまり、あるクレカ番号値に対応するクレカ番号基本データ14Cには、現時点から遡って少なくとも6時間の期間において、そのクレカ番号値のクレジットカードの使用に応じてクライアント装置3から送信されたリクエストデータが累積的に記録されている。ただし、後に明らかとなる通り、厳密には、全てのリクエストデータがクレカ番号基本データ14Cに記録される対象となるのではなく、不正使用と判定されなかった取引に係るリクエストデータが対象となる。
【0040】
あるクレカ番号値を含む今回リクエストデータが2020年1月15日の「13:00」に発生したとする。この場合において、1月15日の「07:00」(現時点から6時間前)の時点から、今回リクエストデータを情報処理サーバ2が「13:00」に受信するまでに、同じ値のクレカ番号値を含むリクエストデータを3回、情報処理サーバ2が受信している場合には、そのクレカ番号値に係るクレカ番号基本データ14Cには過去3回分のリクエストデータが少なくとも記録されている。
【0041】
図4で示すように、記憶部12には、クレカ番号基本データ14Cとは別に、ユーザIDについて、ユーザID値毎に基本データ14が記憶されている。以下、ユーザIDに対応する基本データ14のそれぞれを「ユーザID基本データ14U」という。あるユーザID値に対応するユーザID基本データ14Uは、現時点から遡って少なくとも6時間の期間において発生した、そのユーザID値を含むリクエストデータが累積的に記録されたデータである。ただし、後に明らかとなる通り、厳密には、全てのリクエストデータがユーザID基本データ14Uに記録される対象となるのではなく、不正使用と判定されなかった取引に係るリクエストデータが対象となる。
【0042】
ここで、ある1つのリクエストデータは、何れかのクレカ番号基本データ14Cに記録されると共に、何れかのユーザID基本データ14Uに記録される。例えば、クレジットカードの使用に応じて、クレカ番号値:X、および、ユーザID値:Yを含むリクエストデータが情報処理サーバ2に入力されたとする。この場合、このリクエストデータは、クレカ番号値:Xに係るクレカ番号基本データ14Cに記録されると共に、ユーザID値:Yに係るユーザID基本データ14Uにも記録される。この結果、共通するリクエストデータが、クレカ番号値:Xに係るクレカ番号基本データ14C、および、ユーザID値:Yに係るユーザID基本データ14Uに重複して記録された状態となる。なお、本実施形態では、基本データ14にリクエストデータがそのまま記録されていることとしているが、これは説明の便宜のためであり、当然データベースとしての基本データ14にレコードとしてリクエストデータを登録するための加工はなされてもよい。
【0043】
図4で示すように本実施形態では、個別識別情報の種類のそれぞれについて、個別識別情報の値毎にスタッツデータ15が存在する。以下、クレジットカード番号に対応するスタッツデータ15を「クレカ番号スタッツデータ15C」といい、ユーザIDに対応するスタッツデータを「ユーザIDスタッツデータ15U」という。
【0044】
図5は、クレカ番号スタッツデータ15Cの内容を模式的に示す図である。図5で示すように、クレカ番号スタッツデータ15Cは、1つ以上のスタッツレコード16により構成される。スタッツレコード16は、「00:00」を起点として24時間という意味の「1日」を単位期間として存在し、対応日付値、単位期間平均値、単位期間標準偏差値および取引回数を有している。
【0045】
対応日付値は、スタッツレコードが対応する日を年月日により表す情報である。
【0046】
ある対応日付値に対応する、あるクレカ番号値に係るスタッツレコード16の単位期間平均値とは、その対応日付値が示す1日において、そのクレカ番号値のクレジットカードが使用されて行われた取引のそれぞれの利用額値を平均した値を意味する。例えば、対応日付値が「2020年1月15日」である、クレカ番号値:Xに係るスタッツレコード16の単位期間平均値は、2020年1月15日において、クレカ番号値:Xのクレジットカードが使用されて行われた取引のそれぞれ(3回取引が行われていれば、3回の取引のそれぞれ)の利用額値を平均した値である。また、ある対応日付値に対応する、あるクレカ番号値に係るスタッツレコード16の単位期間標準偏差値とは、その対応日付値が示す1日において、そのクレカ番号値のクレジットカードが使用されて行われた取引のそれぞれの利用額値の標準偏差を意味する。
【0047】
また、ある対応日付値に対応する、あるクレカ番号値に係るスタッツレコード16の取引回数とは、その対応日付値が示す1日において、そのクレカ番号値のクレジットカードが使用されて行われた取引の回数を意味する。上述した単位期間平均値および単位期間標準偏差は、取引回数分の取引の利用額値に基づいて導出された統計値ということになる。単位期間平均値および単位期間標準偏差値はそれぞれ、特許請求の範囲の「単位統計量」に相当する。
【0048】
クレカ番号スタッツデータ15Cには、最大で、本日から730日遡った期間(本日も含む)に属する単位期間(本実施形態では1日)についてのスタッツレコード16が登録される。また、あるクレカ番号値に係るクレカ番号スタッツデータ15Cには、そのクレカ番号値に係るクレジットカードが使用された日のそれぞれに対応するスタッツレコード16が登録される。従って、あるクレカ番号値に係るクレカ番号スタッツデータ15Cについて、本日が2020年8月1日であり、過去730日において、そのクレカ番号値に係るクレジットカードが2020年5月1日、6月1日、7月1日の3つの日(day)において使用されていたとしたら、そのクレカ番号スタッツデータ15Cには、2020年5月1日に対応するスタッツレコード16、6月1日に対応するスタッツレコード16および7月1日に対応するスタッツレコード16の3つのスタッツレコード16が登録される。また、過去730日において、毎日、クレカ番号値に係るクレジットカードが使用されていたとしたら、そのクレカ番号スタッツデータ15Cには、730日分のスタッツレコード16が登録される。
【0049】
また、ある1日において、あるクレカ番号値に係るクレジットカードが複数回(例えば50回)、使用されたとしても、その1日に対応するスタッツレコード16は1件である。これは、1件のスタッツレコードは、対応する1日おける1回以上のクレジットカードの使用が集約されたデータだからである。このため、1つのクレカ番号スタッツデータ15Cに登録されるスタッツレコード16の件数の最大値は730件である。なお、730日というのは、対象期間の種類のうち最長の期間である「2年間」に対応させたものである。
【0050】
ユーザIDスタッツデータ15Uは、クレカ番号スタッツデータ15Cと同様、1つ以上のスタッツレコード16により構成され、各スタッツレコード16は、対応日付値、単位期間合計値、単位期間平均値および取引回数を備えている。ある対応日付値に対応する、あるユーザID値に係るスタッツレコード16の単位期間平均値とは、その対応日付値が示す1日においてそのユーザID値のユーザが行った取引のそれぞれの利用額値を平均した値であり、単位期間標準偏差値とは各利用額値の標準偏差であり、取引回数とは取引の回数である。
【0051】
以上の態様で記憶部12に基本データ14およびスタッツデータ15が記憶される中、情報処理部11は、特徴量導出処理において以下の方法で特徴量を導出する。特徴量の導出に関し、情報処理部11は、短期間種類に対応する個別特徴量と、長期間種類に対応する対応特徴量とを異なる方法で導出する。以下、個別特徴量を導出するときの処理と対応特徴量を導出するときの処理とを順番に説明する。
【0052】
(個別特徴量(短期間種類に対応する特徴量)を導出するときの処理)
個別特徴量の導出に際し、情報処理部11は、記憶部12を参照し、今回リクエストデータに含まれる個別識別情報毎に、個別識別情報の値に対応する基本データ14を特定する。例えば、リクエストデータに含まれるクレカ番号値が「X」、ユーザID値が「Y」であったとすると、情報処理部11は、クレカ番号値:Xに係るクレカ番号基本データ14Cを特定すると共に、ユーザID値:Yに係るユーザID基本データ14Uを特定する。
【0053】
次いで情報処理部11は、特定したクレカ番号基本データ14Cと、特定したユーザID基本データ14Uとのそれぞれについて、短期間種類(「5分」、「30分」、「1時間」および「6時間」)毎に対応する期間データを生成する。つまり情報処理部11は、クレカ番号基本データ14Cに基づいて短期間種類毎の期間データを生成すると共に、ユーザID基本データ14Uに基づいて短期間種類毎の期間データを生成する。
【0054】
例えば、特定したクレカ番号基本データ14Cに基づいて対象期間:5分に対応する期間データを生成する場合、情報処理部11は、以下の処理を実行する。すなわち、情報処理部11が特定したクレカ番号基本データ14Cには、現時点から遡って6時間の期間を少なくとも含む期間に発生した、今回クレカ番号値を含むリクエストデータが累積的に記録されている。これを踏まえ情報処理部11は、クレカ番号基本データ14Cに記録されたリクエストデータの発生日時値(発生日時の項目値)を参照し、クレカ番号基本データ14Cに記録されたリクエストデータの中から、対象期間:5分に発生したリクエストデータを特定する。なお、対象期間:5分にクレジットカードが使用されていなければ、特定されるリクエストデータは「0個」となる。そして情報処理部11は、特定したリクエストデータの集合からなるデータを期間データとして生成する。生成された期間データには、対象期間:5分に発生した、今回クレカ番号値を含むリクエストデータが累積的に記録されている。
【0055】
以上、対象期間「5分」に係る期間データを生成するときの情報処理部11の処理について説明したが、情報処理部11は、他の短期間種類に係る期間データについても同様の方法で生成する。例えば対象期間が「6時間」の場合には、情報処理部11は、特定したクレカ番号基本データ14Cから直近6時間に発生したリクエストデータを特定し、特定したリクエストデータの集合よりなる期間データを生成する。なお、ある短期間種類に係る期間データには、その短期間種類よりも時間が短い短期間種類に係る期間データに含まれるリクエストデータの全てが含まれている。
【0056】
情報処理部11は、特定したクレカ番号基本データ14Cに基づいて、短期間種類のそれぞれについての期間データを生成し、更に同様の方法で特定したユーザID基本データ14Uに基づいて、短期間種類のそれぞれについての期間データを生成する。この結果、個別識別情報の種類(クレジットカード番号およびユーザID)と、短期間種類との組み合わせ毎に期間データが生成される。その後、情報処理部11は、期間データに基づいて個別特徴量のそれぞれを導出する。
【0057】
ある短期間種類対象期間と、ある個別識別情報の種類との組み合わせに対応する個別特徴量(利用額平均値および利用額標準偏差値)を導出する際、情報処理部11は、当該組み合わせに対応する期間データに基づいて個別特徴量を導出する。例えば、対象期間:5分と個別識別情報:クレジットカード番号との組み合わせに対応する個別特徴量を導出する場合、情報処理部11は、当該組み合わせに対応する期間データに基づいて個別特徴量を導出する。以下、一例として、対象期間:5分と個別識別情報:クレジットカード番号との組み合わせに対応する個別特徴量を導出するときの情報処理部11の処理について説明する。以下の対象期間:5分と個別識別情報:クレジットカード番号との組み合わせに対応する個別特徴量を導出するときの情報処理部11の処理の説明では、当該組み合わせに対応する期間データを「対象期間データ」といい、当該組み合わせに対応する個別特徴量のうち、利用額平均値を「対象利用額平均値」と、利用額標準偏差値を「対象利用額標準偏差値」という。
【0058】
対象利用額平均値の導出に際し、情報処理部11は、対象期間データに記録された各リクエストデータを参照する。対象期間データには、今回クレカ番号値を含むリクエストデータであって、現時点から遡って5分以内に発生したリクエストデータが累積的に記録されている。換言すれば、対象期間データには、現時点から遡って5分という期間を外れたリクエストデータについては記録されていない。次いで情報処理部11は、参照した各レコードの利用額値の平均値を導出し、これを対象利用額平均値とする。また対象利用額標準偏差値の導出に際し、情報処理部11は、対象期間データの各レコードを参照し、参照した各レコードの利用額値の標準偏差を算出し、これを対象利用額標準偏差値とする。
【0059】
以上、対象期間:5分と個別識別情報:クレジットカード番号との組み合わせに対応する個別特徴量を導出するときの情報処理部11の処理を説明したが、情報処理部11は、他の組み合わせについての個別特徴量についても、組み合わせに対応する期間データに基づいて同様の方法で導出する。
【0060】
(対応特徴量(長期間種類に対応する特徴量)を導出するときの処理)
次に長期間種類(「1日」、「1週間」、「1ヶ月」、「半年」、「1年」および「2年」)に係る特徴量(対応特徴量)を導出する処理について説明する。まず情報処理部11は、記憶部12を参照し、今回リクエストデータに含まれる個別識別情報毎に、個別識別情報の値に対応するスタッツデータ15を特定する。例えば、リクエストデータに含まれるクレカ番号値が「X」、ユーザID値が「Y」であったとすると、情報処理部11は、クレカ番号値:Xに係るクレカ番号スタッツデータ15Cを特定すると共に、ユーザID値:Yに係るユーザIDスタッツデータ15Uを特定する。
【0061】
そして情報処理部11は、一の種類の個別識別情報に対応する対応特徴量を導出する際、その種類の個別識別情報に対応するスタッツデータ15に基づいて、対応特徴量を導出する。より具体的には情報処理部11は、クレジットカード番号に対応する対応特徴量については、長期間種類にかかわらず特定したクレカ番号スタッツデータ15Cに基づいて対応特徴量を導出し、ユーザIDに対応する対応特徴量については、長期間種類にかかわらず特定したユーザIDスタッツデータ15Uに基づいて対応特徴量を導出する。
【0062】
以下、特定したクレカ番号スタッツデータ15Cに基づいて、長期間種類:1年と個別識別情報:クレジットカード番号との組み合わせに対応する対応特徴量を導出するときの情報処理部11の処理について説明する。以下の説明では、長期間種類:1年と個別識別情報:クレジットカード番号との組み合わせに対応する対応特徴量のうち、利用額平均値を「注目利用額平均値」と、利用額標準偏差値を「注目利用額標準偏差値」という。
【0063】
上述したように、クレカ番号スタッツデータ15Cには、本日を起点として過去に遡って最大730日分のスタッツレコード16が記録されており、1件のスタッツレコード16には、対応する日に発生したリクエストデータのそれぞれに基づく単位期間平均値および単位期間標準偏差値が含まれている。情報処理部11は、クレカ番号スタッツデータ15Cの各スタッツレコード16の対応日付値を参照し、スタッツレコード16のうち、対象期間(本例では「1年」)に属するスタッツレコード16のそれぞれを特定する。なお長期間種類毎に、本日を起点として遡るべき日数が事前に定められており、本実施形態では、長期間種類:1日は「1日」、長期間種類:1週間は「7日」、長期間種類:1ヶ月は「30日」、長期間種類:半年は「183日」、長期間種類:1年は「365日」、長期間種類:2年は「730日」とされている。本例では、情報処理部11は、スタッツレコード16のうち、対応日付値が本日を起点として365日以内のものを特定する。
【0064】
対象期間に属するスタッツレコード16を特定した後、情報処理部11は、注目利用額平均値については、特定したスタッツレコード16のそれぞれに基づいて以下の方法で導出する。すなわち、ある1日のスタッツレコード16に含まれる単位期間平均値は、1回以上の取引回数(サンプル数)の利用額値(サンプル値)の群(グループ)の平均値である。そして、複数のグループについて、各グループの平均値およびサンプル数に基づいて、全てのグループの全てのサンプルの平均値を導出する計算方法が知られている。これを踏まえ、1つ以上のスタッツレコード16の単位期間平均値と取引回数との組を入力とし、全ての利用額値の平均値(=特徴量としての利用額平均値)を出力とするプログラムが事前に用意されている。情報処理部11は、特定したスタッツレコード16のそれぞれの単位期間平均値と取引回数との組をこのプログラムに入力し、当該プログラムが出力する値を注目利用額平均値とする。
【0065】
ここで複数のグループについて、各グループの平均値およびサンプル数に基づいて、全てのグループの全てのサンプルの平均値を導出する計算の基本的な考え方について説明する。当該平均値は、1つのグループについて、平均値にサンプル数を乗じた値を「グループ合計値」と表現すると、全てのグループについてのグループ合計値を合算し、これを全てのグループのサンプル数を合算した値により除算することによって求められる。すなわち、N個のグループGi(i=1、2・・・N)について、グループGiにおける平均値をAiとし、サンプル数をKiとすると、当該平均値は以下の式で導出可能である。
【0066】
【数1】
【0067】
また情報処理部11は、注目標準偏差については、特定したスタッツレコード16のそれぞれに基づいて以下の方法で導出する。すなわち、ある1日のスタッツレコード16に含まれる単位期間標準偏差値は、1回以上の取引回数(サンプル数)の利用額値(サンプル値)の群(グループ)の標準偏差である。そして、複数のグループについて、各グループの標準偏差およびサンプル数に基づいて、全てのグループの全てのサンプルの標準偏差を導出する計算方法が知られている。これを踏まえ、1つ以上のスタッツレコード16の標準偏差と取引回数との組を入力とし、全ての利用額値の標準偏差(=特徴量としての利用額標準偏差値)を出力とするプログラムが事前に用意されている。情報処理部11は、特定したスタッツレコード16のそれぞれの単位期間標準偏差値と取引回数との組をこのプログラムに入力することによって注目利用額標準偏差値を導出する。
【0068】
ここで複数のグループについて、各グループの標準偏差およびサンプル数に基づいて、全てのグループの全てのサンプルの標準偏差を導出する計算の基本的な考え方について説明する。以下の説明では、N個のグループGi(i=1、2・・・N)について、グループGiにおける平均値をAiとし、サンプル数をKiとする。また、あるサンプルの具体的な値を「サンプル値」という。
【0069】
ある一のグループGxの標準偏差をSxとし、分散をDxとすると、Dx=Sxである。またグループGxの平均をAxとする。このとき、「Dx=<(グループGxに属する各サンプルのサンプル値の二乗)の平均>-Ax」、つまり、「<(グループGxに属する各サンプルのサンプル値の二乗)の平均>=Dx+Ax」が成り立つ。全てのグループについて、標準偏差と、標準偏差から導出可能な分散と、平均は既知の値であるため、全てのグループについて、<(グループに属する各サンプルのサンプル値の二乗)の平均>が導出できる。以下、<(グループGiに属する各サンプルのサンプル値の二乗)の平均>をPiとする。
【0070】
また、全てのグループについての<(グループに属する各サンプルのサンプル値の二乗)の平均>より、<(全てのグループの全てのサンプルのサンプル値の二乗)の平均>(以下、<総二乗平均>と表現する)が以下の式により導出可能である。
【0071】
【数2】
【0072】
全てのグループに属する全てのサンプルの分散は、<総二乗平均>から、<(全てのグループの全てのサンプルの平均値)の二乗>を引くことにより求めることができる。(全てのグループの全てのサンプルの平均値)の求め方は、注目利用額平均値の説明において言及した通りである。そして、全てのグループに属する全てのサンプルの標準偏差は、導出した当該分散の平方根をとることにより導出できる。
【0073】
以上、長期間種類:1年と個別識別情報:クレジットカード番号との組み合わせに対応する対応特徴量を導出するときの情報処理部11の処理について説明したが、情報処理部11は、他の組み合わせについても同様に、対応するスタッツデータ15から長期間種類に応じたスタッツレコード16(例えば、長期間種類が「1週間」なら、過去7日分のスタッツレコード16。長期間種類が「2年」なら、スタッツデータ15に含まれる全てのスタッツレコード16)を特定し、特定したスタッツレコード16に基づいて対応特徴量を導出する。
【0074】
以上、図3で例示した特徴量(個別特徴量および対応特徴量)のみについて、その内容、および、導出するときの方法について説明した。以上の方法で個別特徴量および対応特徴量が導出される意義および効果については後述する。なお本実施形態で例示した特徴量は、情報処理部11の処理の説明に都合がよいものを例示的に抜粋しているに過ぎず、当然、他の種類の特徴量が存在してもよい。例えば、利用額値や、発生日時値そのものも通常、特徴量とされる。また、対象期間毎の取引回数が特徴量に含まれていてもよい。また、利用額その他の発生値について、平均および標準偏差以外の統計学的手法(例えば、合計や加重平均、分散等)を用いて求められた値が特徴量に含まれていてもよい。
【0075】
また、統計学的手法により求められた値と、今回リクエストデータに含まれる発生値とを用いて導出される値が特徴量に含まれていてもよい。統計学的手法により求められた値と、今回リクエストデータに含まれる発生値とを用いて導出される値は例えば、対象期間毎に今回利用額値と各対象期間の利用額平均値との差をとることによって求められる値であり、また例えば、対象期間毎に今回利用額値と各対象期間の利用額平均値および標準偏差とに基づいて導出されるZ値である。また例えば、今回ユーザID値のユーザが現時点から遡って一定期間の間に利用したクレジットカードの種類数(=異なるクレジットカード番号値のクレジットカードの個数)を特徴量の1つとしてもよい。またリクエストデータに上述した端末IDが含まれている場合に、同一の端末IDの値について一定期間の間に利用されたクレジットカードの種類数を特徴量の1つとしてもよい。
【0076】
情報処理部11は、特徴量導出処理を実行した後、第2判定処理を実行する。
【0077】
<第2判定処理>
第2判定処理とは、特徴量導出処理で導出した特徴量について、不正判定用モデルに入力することなく、特徴量をそのまま用いて不正使用か否かを判定する処理である。第2判定処理の目的は、不正判定用モデルを用いることなく、特徴量の内容から明らかに不正使用と分かるものを選別することにある。
【0078】
第2判定処理において情報処理部11は、例えば以下の処理を実行する。すなわち、例えば情報処理部11は、今回利用額値と、対象期間:2年とクレジットカード番号に対応する利用額平均値との差を算出し、この差が閾値より大きい場合に、不正使用と判定する。この例示した処理によれば、普段の買い物と比較して極めて高額な買い物が行われようとしている場合に、不正使用と判定できる。また例えば、特徴量の種類に、今回ユーザID値のユーザが現時点から遡って一定期間(例えば、30分或いは1時間)の間に利用したクレジットカードの種類数(=異なるクレジットカード番号値のクレジットカードの個数)が含まれている場合に、情報処理部11は、この種類数が閾値より大きいときに、不正使用と判定する。この例示した処理によれば、同じユーザIDのユーザにより短期間の間に異常に多い種類のクレジットカードが使用されている場合に、不正使用と判定できる。また例えば、対象期間毎の取引回数が特徴量に含まれている場合に、情報処理部11は、現時点から遡って一定期間(例えば、5分或いは30分)の間に閾値以上の回数、クレジットカードが使用されているときに、不正使用と判定する。この例示した処理によれば、短期間の間に異常に多い回数、クレジットカードが使用されている場合に、不正使用と判定できる。
【0079】
第2判定処理において不正使用と判定した場合、情報処理部11は、不正使用と判定したことを示すレスポンスデータをクライアント装置3に送信する。この場合、情報処理部11は、第3判定処理を実行することなく、処理を終了する。一方、第2判定処理において不正使用ではないと判定した場合、情報処理部11は、続く第3判定処理を実行する。
【0080】
<第3判定処理>
次に第3判定処理について説明する。第3判定処理は、特許請求の範囲の「モデル利用処理」に相当する。第3判定処理において、情報処理部11は、特徴量導出処理で導出した特徴量のそれぞれを不正判定用モデル(特許請求の範囲の「モデル」に相当)に入力し、不正判定用モデルが出力する不正判定用スコア(特許請求の範囲の「クレジットカードの不正使用の判定に用いる情報」に相当)を得る。なお、不正判定用モデルへの特徴量の入力に際し、特徴量の正規化は適切に実行される。
【0081】
不正判定用スコアは、予め定められた範囲(例えば「0」~「1000」)内で値をとる数値(スコア)であり、値が大きいほど、不正使用の可能性が高い。不正使用判定モデルは、機械学習により学習される。不正判定用モデルの機械学習はどのような方法で行われてもよく、ニューラルネットワーク(ディープラーニングを含む)、その他の既存の技術の何れをも利用可能である。不正使用判定モデルは単一のモデル(全ての特徴量を入力し、1つの不正判定用モデルを出力する1つのモデル)である必要はなく、複数のモデルの組み合わせであってもよい。
【0082】
不正判定用スコアを取得した後、情報処理部11は、不正判定用スコアが予め定められた閾値以上か否かを判定する。不正判定用スコアが閾値以上の場合、情報処理部11は、今回のクレジットカードの使用が不正使用であると判定し、不正使用と判定したことを示すレスポンスデータをクライアント装置3に送信する。この場合、情報処理部11は、データ更新処理を実行することなく処理を終了する。
【0083】
一方、不正判定用スコアが閾値を下回る場合、情報処理部11は、今回のクレジットカードの使用は不正使用ではないと判定し、不正使用ではないと判定したことを示すレスポンスデータをクライアント装置3に送信する。不正使用ではないと判定したことを示すレスポンスデータを受信したクライアント装置3は、対応する処理を実行する。例えば、クライアント装置3が実店舗のレジに設けられた専用の決済端末である場合に、クライアント装置3は、所定のディスプレイに不正使用の可能性がある旨の情報を表示して、そのことをレジ担当者に伝えると共に、他の装置と連携して決済を続行する。情報処理部11は、第3判定処理において、不正使用ではないと判定した場合、続くデータ更新処理を実行する。
【0084】
<データ更新処理>
次にデータ更新処理について説明する。データ更新処理において、情報処理部11は、今回クレカ番号値に対応するクレカ番号基本データ14Cに今回リクエストデータを追加すると共に、今回ユーザID値に対応するユーザID基本データ14Uに今回リクエストデータを追加する。更に情報処理部11は、今回クレカ番号値に対応するクレカ番号スタッツデータ15Cについて、本日分のスタッツレコード16が既に存在する場合には、今回リクエストデータに基づいてスタッツレコード16の内容を更新し、存在しない場合には、今回リクエストデータに基づいて新たなスタッツレコード16を生成し、クレカ番号スタッツデータ15Cに追加する。同様に情報処理部11は、今回ユーザID値に対応するユーザIDスタッツデータ15Uについて、本日分のスタッツレコード16が既に存在する場合には、今回リクエストデータに基づいてスタッツレコード16の内容を更新し、存在しない場合には、今回リクエストデータに基づいて新たなスタッツレコード16を生成し、ユーザIDスタッツデータ15Uに追加する。
【0085】
スタッツレコード16を更新する場合、情報処理部11は、単位期間平均値に関し、現時点の単位期間平均値と現時点の取引回数と今回利用額値とに基づいて、今回取引を反映した単位期間平均値を新たに導出し、現時点の単位期間平均値を更新する。この結果、単位期間平均値は、今回取引も含む本日中に発生した取引のそれぞれの利用額値の平均値となる。情報処理部11は単位期間標準偏差値についても同様の方法で更新する。また情報処理部11は、取引回数をインクリメントする。また、スタッツレコード16を新たに生成し、追加する場合、情報処理部11は、新たなスタッツレコード16の単位期間平均値を今回利用額値とし、単位期間標準偏差値をゼロとし、取引回数を「1」とし、対応日付値を本日の日付を示す値とする。
【0086】
<その他の処理>
次に、情報処理部11のその他の処理について説明する。情報処理部11は、一日の開始時にバッチ処理として、以下の処理を実行する。すなわち、情報処理部11は、スタッツデータ15のそれぞれにアクセスし、その時点から遡って721日前のスタッツレコード16が存在する場合には、そのレコードを削除する。この他、詳細な説明を省略したが、情報処理部11は、基本データ14にアクセスしたときに、現時点から遡って6時間よりも前のリクエストデータ(=発生日時値が6時間以上前であるリクエストデータ)が存在する場合には、そのリクエストデータを削除する。
【0087】
以上、情報処理サーバ2の動作について説明した。本実施形態では、短期間種類に係る特徴量(個別特徴量)および長期間種類に係る特徴量(対応特徴量)が上述した方法で導出されるため、以下の効果を奏する。
【0088】
ここで従来、特徴量の導出は、基本的には以下の方法で行われていた。すなわち、まず、特徴量の導出に用いられる可能性のある全てのリクエストデータが1つのデータベースにて一元的に管理される。従って、過去2年間のクレジットカードの使用についての利用額値(発生値)の平均値が特徴量に含まれている場合には、過去2年間に発生したリクエストデータの全てが記録されたデータベースが用意される。このため、データベースに登録されたリクエストデータは通常、膨大なものとなる。そして、特徴量を導出する場合、従来のシステムは、特徴量毎に都度、データベースにアクセスして、当該一の特徴量を導出するために必要な情報を保持するリクエストデータを特定し、特定したリクエストデータに基づいて特徴量を導出していた。
【0089】
以上の従来の方法は、以下の点で問題がある。すなわち、本実施形態に係る不正判定用モデルのように、不正使用の判定に関する情報を出力するモデルについては、短い期間に発生した発生値(本実施形態では、利用額が発生値の1つ)を用いて導出される特徴量だけでなく、長い期間に発生した発生値を用いて導出される特徴量もモデルの入力とする方が、モデルの出力の精度の向上を期待できる。これは、モデルの出力を、短期間だけではなく長期間も含めた様々な期間における取引の態様を反映した値とすることが可能となるからである。
【0090】
これを踏まえ、長い期間に係る特徴量を特徴量の種類に含めると、その長い期間に発生したリクエストデータの全てをデータベースに登録する必要が生じ、データベースに登録されるリクエストデータの個数が膨大になる。また期間が長い特徴量ほど、基本的には、特徴量を導出するために必要な発生値(リクエストデータ)の個数が多くなると共に、特徴量を導出する際に使用する発生値が多くなる。このため、特徴量を導出するにあたって、膨大なリクエストデータが登録されたデータベースから、必要なレコードとして多数のレコードを特定すると共に、特定した全てのリクエストデータに基づいて、多数の発生値を使用して特徴量を導出する必要が生じ、特徴量を導出するときの一連の処理に要する時間が長時間化してしまうという問題があった。
【0091】
一方、本実施形態によれば、長期間種類に係る特徴量である対応特徴量の導出に関し、以下の効果を奏する。すなわち、本実施形態では、事前に、個別識別情報の種類のそれぞれについて、個別識別情報の値毎のスタッツデータ15が記憶部12に記憶される。スタッツデータ15に記録されたスタッツレコード16は、単位期間(本実施形態では1日)に発生した発生値(利用額)の群を対象として統計学的手法により導出された統計量(単位期間平均値および単位期間標準偏差)を保持する。ある1日に対応するスタッツレコード16は、その1日にクレジットカードが何回使用されていたとしても、1件であり、スタッツデータ15におけるスタッツレコード16の件数は最大で730個である。
【0092】
そして情報処理部11は、対応特徴量については、スタッツレコード16の統計量(単位期間平均値および単位期間標準偏差)を用いて、対応特徴量を導出する。つまり、情報処理部11は、ある対象期間についての対応特徴量を導出する場合、その対象期間に属する利用額値(発生値)の全てを用いて対応特徴量を導出するのではなく、その対象期間に属する単位期間毎の統計量を用いて対応特徴量を導出する。このため、本実施形態によれば対応特徴量を導出する際に、個々の発生値を把握し、全ての発生値を要素として使用して対応特徴量を導出する必要がなく、発生値の群毎の統計量を把握し、これを要素として使用すれば足り、対応特徴量の導出に際して把握すべき要素の個数が減少すると共に、実際の計算に利用する要素の個数が減少し、特徴量の導出に要する時間の長時間化を抑制できる。より具体的には、情報処理部11は、対応特徴量の導出に際し、最大でも730個のスタッツレコード16が登録されたデータベースから対象期間の種類に応じた必要なスタッツレコード16を特定し、各スタッツレコードの単位統計量(単位期間平均値或いは単位期間標準偏差値)を、対応特徴量を導出するときの要素とすればよく、膨大なレコードが登録されたデータベースから、多数のリクエストデータを特定し、特定した多数のレコードの発生値(利用額値)を、対応特徴量を導出するときの要素とする、といった処理を行う必要がない。
【0093】
仮に、単位期間:2年間に係る利用額平均値(特徴量)について、取引毎の発生値を把握し、各発生値に基づいて利用額平均値を求めることとした場合において、過去2年間において、毎日10回、取引が行われている場合、7300個分の発生値を把握し、各発生値を利用して平均利用額を導出する必要がある。一方、本実施形態によれば、このような場合であっても、730件分のスタッツレコード16を利用すれば足り、従来の方法と比較して非常に処理効率が良く、処理に要する時間が短くなる。
【0094】
更に本実施形態では、長期間種類に係る特徴量である対応特徴量の導出に関し、以下の効果を奏する。すなわち本実施形態では、事前に個別識別情報の種類のそれぞれについて個別識別情報の値毎のスタッツデータ15が用意される。そして、一の種類の個別識別情報の特定の値に対応する対応特徴量の導出に際しては、当該一の種類の個別識別情報の当該特定の値に対応するスタッツデータ15が参照される。このとき参照されるスタッツデータ15は、当該一の種類の個別識別情報の当該特定の値に対応する対応特徴量のうち、最大の対象期間に係る対応特徴量を導出するにあたって必要なスタッツレコード16(すなわち、最大で過去730日分のスタッツレコード16)が過不足なく記録された必要最小限の大きさのデータベースである。本実施形態では、このようなデータベースへのアクセスにより対応特徴量が導出可能であるため、処理効率が良く、対応特徴量の導出に要する時間を短時間化でき、ひいてはレスポンス時間を短くできる。
【0095】
なお、個別識別情報の種類毎に特徴量が存在するという特徴は、本実施形態に特有の特徴ではなく、「不正使用の判定に用いる情報を出力するモデル」に入力する特徴量に一般的な特徴である。すなわち、現状、一人のユーザが複数種類のクレジットカードを所持することはごく普通であり、また、ユーザが様々な環境でクレジットカードを使用することはよく行われている。とすると、不正使用を効果的に検出するためには、クレジットカード単位、ユーザ単位、および、使用環境単位でクレジットカードの利用の実態を反映しつつ不正使用を判定する必要があり、そのためには必然的に、特徴量に、個別識別情報の種類に応じた特徴量を含める必要が生じるからである。
【0096】
更に本実施形態によれば、短期間種類に係る特徴量である個別特徴量の導出に関し、以下の効果を奏する。すなわち、本実施形態では、事前に個別識別情報の種類のそれぞれについて個別識別情報の値毎の基本データ14が用意される。そして、一の種類の個別識別情報の特定の値に対応する個別特徴量(短期間種類に係る特徴量)の導出に際して情報処理部11は、当該一の種類の個別識別情報の当該特定の値に対応する基本データ14を参照する。ここで参照される基本データ14は、当該一の種類の個別識別情報の当該特定の値に対応する個別特徴量を導出するにあたって必要なリクエストデータが過不足なく記録されたデータベースであり、本実施形態ではこのようなデータベースへのアクセスにより個別特徴量が導出可能であるため、処理効率が良く、個別特徴量の導出に要する時間を短時間化でき、ひいてはレスポンス時間を短くできる。
【0097】
更に本実施形態では、短期間種類に係る特徴量である個別特徴量の導出に関し、以下の効果を奏する。すなわち、本実施形態では、短期間種類として「5分」、「30分」、「1時間」および「6時間」の複数種類が存在する。また本実施形態では、短期間種類毎に、異なる方法で導出される複数種類の特徴量(利用額平均値および利用額標準偏差)が存在する。そして、ある種類の個別識別情報に係る個別特徴量の導出に際しては、まず、対応する基本データ14から短期間種類毎の期間データが生成される。そして、情報処理部11は、ある短期間種類の個別特徴量を導出する際、その短期間種類に対応する期間データに基づいて個別特徴量を導出する。
【0098】
ここで、ある短期間種類に係る期間データは、その短期間種類に係る特徴量を導出するために必要最小限のリクエストデータが記録されたデータベースである。そして個別特徴量の導出に際し、このような必要最小限のリクエストデータが記録されたデータベースが算出されて導出されるため、処理効率が良く、個別特徴量の導出に要する時間を短時間化でき、ひいてはレスポンス時間を短くできる。また、期間データは、短期間種類毎に生成されればよく、特徴量の種類毎に生成される必要はないため、生成すべき期間データの個数も限定的であり、期間データの生成に要する処理負荷は限定的ある。つまり、本実施形態では、短期間種類として複数種類が存在し、短期間種類毎に異なる方法で導出される複数種類の特徴量が存在するという特徴に着目し、短期間種類毎の期間データを生成するという手段を採用することによって、処理効率の向上、処理時間の短時間化が図られている。
【0099】
また本実施形態では、第1判定処理、特徴量導出処理、第2判定処理、第3判定処理およびデータ更新処理が段階的に実行される。そして、第1判定処理、第2判定処理または第3判定処理で不正使用と判定された場合には、後続の処理が実行されることなくレスポンスデータが応答される。このため、各段階で利用可能な情報に基づいて明らかに不正使用と判定できる場合には、後続する処理が実行されることなく、レスポンスデータの応答がなされることになり、レスポンス時間を低減できる。特に第2判定処理は、クレジットカードの不正使用の判定においては、特徴量自体を利用して有効な不正使用の判定を行うことができるという特徴を利用した特有の処理である。なお、この特徴は、不正使用判定のモデルに入力される特徴量には、通常、過去の使用態様を表す特徴量(平均値や標準偏差、取引回数、一定期間で使用されたクレジットカードの種類数等)が含まれるため、特徴量自体を使って今回の使用態様の異常性を検知することが可能であることに由来する。
【0100】
なお本実施形態では、特徴量導出処理において全ての特徴量を導出していた。これに関し、情報処理部11が以下の処理を実行する構成でもよい。すなわち特徴量導出処理において、まず情報処理部11は、特徴量導出処理において第2判定処理に利用する特徴量のみを導出し、導出した特徴量に基づいて第2判定処理を実行する。情報処理部11は、第2判定処理において不正使用と判定しなかった場合に、特徴量導出処理において導出しなかった残りの特徴量を導出し、第3判定処理を実行する。
【0101】
次に本実施形態に係る情報処理サーバ2の動作例についてフローチャートを用いて説明する。図6は情報処理サーバ2の動作例を示すフローチャートであり、特に、リクエストデータの受信に応じて実行する処理の概要を示している。
【0102】
図6で示すように、情報処理サーバ2の情報処理部11は、クライアント装置3からリクエストデータを受信すると、第1判定処理を実行する(ステップSA1)。情報処理部11は、第1判定処理において不正使用と判定した場合には(ステップSA2:YES)、不正使用と判定した旨のレスポンスデータをクライアント装置3に応答し(ステップSA3)、処理を終了する。情報処理部11は、第1判定処理において不正使用と判定しなかった場合(ステップSA2:NO)、特徴量導出処理を実行する(ステップSA4)。
【0103】
次いで情報処理部11は、第2判定処理を実行する(ステップSA5)。情報処理部11は、第2判定処理において不正判定と判定した場合には(ステップSA6:YES)、不正使用と判定した旨のレスポンスデータをクライアント装置3に応答し(ステップSA3)、処理を終了する。情報処理部11は、第2判定処理において不正使用と判定しなかった場合(ステップSA6:NO)、第3判定処理を実行する(ステップSA7)。
【0104】
情報処理部11は、第3判定処理において不正使用と判定した場合(ステップSA8:YES)、不正使用と判定した旨のレスポンスデータをクライアント装置3に相当する(ステップSA3)。情報処理部11は、第3判定処理において不正使用と判定しなかった場合(ステップSA8:NO)、不正使用と判定しなかった旨のレスポンスデータをクライアント装置3に応答する(ステップSA9)。更に情報処理部11は、データ更新処理を実行し(ステップSA10)、処理を終了する。
【0105】
図7は、特徴量導出処理において個別特徴量(短期間種類に対応する特徴量)を導出するときの情報処理サーバ2の動作例を示すフローチャートである。図7で示すように、情報処理サーバ2の情報処理部11は、記憶部12を参照し、今回リクエストデータに含まれる個別識別情報毎に、個別識別情報の値に対応する基本データ14を特定する(ステップSB1)。次いで情報処理部11は、特定したクレカ番号基本データ14Cと、特定したユーザID基本データ14Uとのそれぞれについて、短期間種類(「5分」、「30分」、「1時間」および「6時間」)毎に対応する期間データを生成する(ステップSB2)。次いで、情報処理部11は、期間データに基づいて個別特徴量のそれぞれを導出する(ステップSB3)。
【0106】
図8は、特徴量導出処理において対応特徴量(長期間種類に対応する特徴量)を導出するときの情報処理サーバ2の動作例を示すフローチャートである。図8で示すように、情報処理サーバ2の情報処理部11は、記憶部12を参照し、今回リクエストデータに含まれる個別識別情報毎に、個別識別情報の値に対応するスタッツデータ15を特定する(ステップSC1)。次いで情報処理部11は、特定したスタッツデータ15に基づいて対応特徴量を導出する(ステップSC2)。
【0107】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0108】
例えば、上述した実施形態では、情報処理サーバ2をネットワーク4に接続されたサーバ装置として説明したが、特許請求の範囲の情報処理システムに相当する装置(システム)は、ネットワーク4に接続されたサーバ装置に限られない。例えば、クライアント装置3とローカルエリアネットワークを介して接続されたローカルサーバであってもよく、クライアント装置3とケーブルを介して直接接続された装置(システム)であってもよく、クライアント装置3自体であってもよい。
【0109】
また上記実施形態では、記憶部12を情報処理サーバ2自体が備えている構成であった。しかしながら、記憶部12は、情報処理サーバ2(特許請求の範囲の情報処理システムに相当する装置(システム))が備えている必要はなく、情報処理サーバ2に外部接続された装置が備えていてもよく、情報処理サーバ2とネットワーク4を介して通信可能な他のサーバが備えていてもよい。
【0110】
また上記実施形態では、第3判定処理において情報処理部11が不正使用の判定を行う構成であるが、以下の構成でもよい。すなわち、情報処理部11が、不正判定用モデルを用いて不正判定用スコアを導出した後、不正使用か否かの判定を行うことなく、不正判定用スコアをクライアント装置3に応答し、クライアント装置3側で不正判定用スコアに基づいて不正使用か否かを判定する構成でもよい。
【0111】
また上記実施形態では、不正判定用モデルは、不正判定用スコアを出力したが、不正判定用モデルの出力は不正判定用スコアに限られない。一例として、不正使用か否かを示す情報を出力するようにしてもよく、上記実施形態とは異なる態様のスコア(例えば、0~1の間で値をとり、不正使用か否かの確率を表す値。また例えば、値が小さいほど、不正使用の可能性が高くなるような値)を出力するようにしてもよい。
【0112】
また上記実施形態では、短期間種類に係る個別特徴量の導出に際し、情報処理部11は、基本データ14から期間データを生成し、この期間データを利用して導出する構成であったが、期間データを生成することなく、基本データ14を直接利用して個別特徴量を導出する構成でもよい。
【0113】
また上記実施形態では、第1判定処理、第2判定処理および第3判定処理の何れかにおいて情報処理部11により不正使用と判定された場合には、後続する処理は実行されない構成としたが、後続する処理を実行する構成としてもよい。この構成の場合、例えば、クライアント装置3に各判定処理の結果を出力するようにすることが可能となる。
【符号の説明】
【0114】
2 情報処理サーバ(情報処理システム)
11 情報処理部
12 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8