(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】再閉可能包装のための組成物および多層フィルム
(51)【国際特許分類】
C08L 23/08 20060101AFI20230721BHJP
C08L 53/00 20060101ALI20230721BHJP
C08L 91/00 20060101ALI20230721BHJP
C08L 53/02 20060101ALI20230721BHJP
C08L 57/02 20060101ALI20230721BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20230721BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20230721BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
C08L23/08
C08L53/00
C08L91/00
C08L53/02
C08L57/02
B32B27/32 103
B32B27/32 E
B32B27/18 Z
B65D65/40 D
(21)【出願番号】P 2020513534
(86)(22)【出願日】2018-09-19
(86)【国際出願番号】 US2018051661
(87)【国際公開番号】W WO2019060362
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-09-07
(32)【優先日】2017-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ウー、シャオソン
(72)【発明者】
【氏名】ライ、チョアン イェア
(72)【発明者】
【氏名】ヒンメルベルガー、ダニエル ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】カリハリ、ヴィヴェーク
(72)【発明者】
【氏名】サラ、クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】イェダブ、ヴィニータ
【審査官】長岡 真
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-503553(JP,A)
【文献】特開2016-021360(JP,A)
【文献】特表2018-521160(JP,A)
【文献】特表2013-500359(JP,A)
【文献】特表2000-507283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
C09J 1/00- 5/10
C09J 9/00-201/10
B32B 1/00- 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
(a)0.890g/cm
3以下の密度、100℃以下の融点、および0.2g/10分~8.0g/10分のメルトインデックスを有するエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーと、
(b)1重量%超から50重量%未満のスチレン単位を含むスチレンブロックコポリマーと、
(c)前記組成物の重量に基づいて20重量%~40重量%の粘着付与剤と、
(d)油と、を含み、
前記組成物が、2g/10分~15g/10分の前記組成物の全体的なメルトインデックスを示す、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、
(a)30重量%~65重量%の前記エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーと、
(b)10重量%~35重量%の前記スチレンブロックコポリマーと、
(c)20重量%~40重量%の前記粘着付与剤と、
(d)0重量%超~8重量%の前記油と、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーが、0.5g/10分~1.5g/10分のメルトインデックスを有する、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーが、エチレン/オクテンコポリマーである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記スチレンブロックコポリマーが、15重量%~25重量%のスチレンを含むスチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記粘着付与剤が、非水素化脂肪族C
5樹脂および水素化脂肪族C
5樹脂からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、0.880~0.930g/cm
3の密度を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物を100℃~180℃の密封温度にさらした後、前記組成物が、40N/インチ以下の初期内部付着力と、4回の再閉サイクルの後の2.0N/インチを超える再閉付着力とを示し、前記初期内部付着力および前記再閉付着力は、PSTC-101試験方法Aによって測定される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーが、50重量%~70重量%のエチレンコモノマー単位を含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
それぞれが対向する外表面を有する少なくとも3つの層を含む多層フィルムであって、
層Aが、シーラント層を含み、
層Bが、請求項1~
9のいずれか一項に記載の前記組成物を含み、層Bの上部外表面が、層Aの底部外表面に接着接触し、
層Cが、ポリオレフィンを含み、層Cの上部外表面が、層Bの底部外表面に接着接触する、多層フィルム。
【請求項11】
層Cの底部外表面に結合された1つ以上の補助層をさらに含む、請求項
10に記載の多層フィルム。
【請求項12】
請求項1~
9のいずれか一項に記載の前記組成物から形成された少なくとも1つの成分を含む、物品。
【請求項13】
パッケージであって、
基板と、
それぞれが対向する外表面を有する少なくとも3つの層を含む多層フィルムであって、
層Aが、シーラント層を含み、
層Bが、
0.890g/cm
3以下の密度、100℃以下の融点、および0.2g/10分~8.0g/10分のメルトインデックスを有するエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーと、
1重量%超から50重量%未満のスチレン単位を含む、スチレンブロックコポリマーと、
粘着付与剤と、
油と、を含む組成物を含み、
層Cが、ポリオレフィンまたはシーラント層を含み、
層Bの上部外表面が、層Aの底部外表面に接着接触し、
層Cの上部外表面が、層Bの底部外表面に接着接触する、多層フィルムと、
層Aの上部外表面の少なくとも一部分が、前記基板の少なくとも1つの表面に接着接触し、前記多層フィルムと前記基板との間にシールを形成する、少なくとも1つの封着領域と、を含む、パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年9月22日に出願された米国仮特許出願第62/562,040号の優先権を主張し、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、一般に、組成物、組成物を含む再閉可能多層フィルム、および組成物または多層フィルムを含む再閉可能包装物品に関する。
【背景技術】
【0003】
食品包装業界では利便性が高まりつつあり、消費者は、簡単に取り扱い、使用できる包装を求めている。可撓性包装の再閉性は、消費者の利便性を提供するだけでなく、例えば、ジッパー付きプラスチック袋または蓋付きの堅い容器などの個別の再閉パッケージに内容物を移す必要なく、包装された製品のより長い貯蔵寿命も提供する。従来の再閉システムは、入手可能性が限られており、製作ステップの追加または加工性が劣るなどの欠点がある。従来の再閉パッケージは、通常、コーティングされた水性アクリルであり、ラミネート加工、打ち抜き、またはその他の二次加工ステップが必要である。スチレンブロックコポリマー(SBC)をベースにしたホットメルト接着剤は、コーティングされた接着剤に必要な処理ステップの一部を排除するものであるが、処理が難しく、パッケージの内容物に臭気および/または味を与える可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
したがって、組成物および包装に再閉性(再閉/再開封機能)を提供し、かつ、いくつかの実施形態では、食品包装用途に安全であり、再閉可能包装の内容物に臭気を与えない組成物および多層フィルムが継続して必要とされている。さらに、多層フィルムを作製するためには、押出可能な組成物が必要である。多層フィルムを容易に初期開封して再閉/再開封機能を作動するのに十分に低い初期接合強度を維持しながら、多層フィルムを再閉すると改善された接合強度を提供する組成物がさらに必要である。
【0005】
本開示の組成物の様々な実施形態によって、これらのニーズの1つ以上が満たされる。組成物は、それにより作られた多層フィルムに再閉/再開封機能を提供する押出可能な感圧接着剤組成物などの接着剤組成物であってもよい。この組成物は、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマー、50重量%未満のスチレンブロックコポリマー、粘着付与剤、および油を含む。組成物を押し出して、組成物を含む多層フィルムを作製することができる。多層フィルムを包装に含めて、包装に再閉/再開封機能を提供してもよい。
【0006】
1つ以上の実施形態によれば、組成物は、(a)0.890g/cm3以下の密度、100℃以下の融点、および0.2g/10分~8.0g/10分のメルトインデックスを有するエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーと、(b)1重量%超から50重量%未満のスチレン単位を含むスチレンブロックコポリマーと、(c)粘着付与剤と、(d)油と、を含むことができる。組成物は、接着剤組成物であってもよい。組成物は、2g/10分から15g/10分の組成物の全体的なメルトインデックスを示し得る。
【0007】
1つ以上の他の実施形態によれば、多層フィルムは、少なくとも3つの層を含むことができ、それぞれが対向する外表面を有する。多層フィルムの3つの層は、層A、層B、および層Cを含むことができる。層Aはシーラント層を含むことができ、層Bは本明細書に開示される実施形態のいずれかの組成物を含むことができる。層Bの上部外表面は、層Aの底部外表面に接着接触する。層Cはポリオレフィンを含み、層Cの上部外表面は、層Bの底部外表面に接着接触する。いくつかの実施形態では、物品は、本開示の任意の他の実施形態の組成物を含み得る。物品は、本開示の他の実施形態の多層フィルムをさらに含むことができる。
【0008】
さらに他の実施形態によれば、パッケージは、基板と、少なくとも3つの層を含む多層フィルムとを含み、各層は対向する外表面を有する。層Aは、シーラント層を含む。層Bは、0.890g/cm3以下の密度、100℃以下の融点、および0.2g/10分~8.0g/10分のメルトインデックスを有するエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーと、1重量%超から50重量%未満のスチレン単位を含む、スチレンブロックコポリマーと、粘着付与剤と、油と、を含む組成物を含むことができる。層Cは、ポリオレフィンまたはシーラントを含むことができる。層Bの上部外表面は層Aの底部外表面に接着接触し、層Cの上部外表面は層Bの底部外表面に接着接触してもよい。パッケージは、層Aの上部外表面の少なくとも一部分が、基板の少なくとも1つの表面に接着接触し、多層フィルムと基板との間にシールを形成する、少なくとも1つの封着領域を含むことができる。
【0009】
説明される実施形態の追加的な特徴および利点は、以下の詳細な説明に記載され、その一部は、その説明から当業者に容易に明らかとなるか、または、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、ならびに添付の図面を含む、説明される実施形態を実践することにより認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の特定の実施形態の以下の詳細な説明は、以下の図面と併せて読むと最もよく理解することができ、これらの図面では、同様の構造体が同様の参照番号で示される。
【0011】
【
図1】本開示の1つ以上の実施形態による、3つの層を含む多層フィルムの断面図を概略的に示す。
【
図2】本開示の1つ以上の実施形態による、4つの層を含む別の多層フィルムの断面図を概略的に示す。
【
図3A】本開示の1つ以上の実施形態による、基板に接着された
図1の多層フィルムの断面図を概略的に示す。
【
図3B】本開示の1つ以上の実施形態による、多層フィルムの再閉機能を作動するために多層フィルムが初期開封された
図3Aの多層フィルムの断面図を概略的に示す。
【
図3C】本開示の1つ以上の実施形態による、多層フィルムの初期開封後に多層フィルムが再閉された
図3Bの多層フィルムの断面図を概略的に示す。
【
図3D】本開示の1つ以上の実施形態による、多層フィルムが再閉後に再開封された
図3Cの多層フィルムの断面図を概略的に示す。
【
図4A】本開示の1つ以上の実施形態による、
図3Aの基準線4A-4Aに沿った
図3Aの多層フィルムの断面図を概略的に示す。
【
図4B】本開示の1つ以上の実施形態による、多層フィルムの再閉機能を作動するために多層フィルムが初期開封された
図4Aの多層フィルムの断面図を概略的に示す。
【
図5A】本開示の1つ以上の実施形態による、トレイおよびトレイに封着された
図1の多層フィルムを含むパッケージの一実施形態の斜視図を概略的に示す。
【
図5B】本開示の1つ以上の実施形態による、
図5Aの基準線5B-5Bに沿った
図5Aのパッケージの断面図を概略的に示す。
【
図5C】本開示の1つ以上の実施形態による、再閉/再開封機能を作動するために多層フィルムの一部分が初期開封された
図5Bのパッケージの断面図を概略的に示す。
【
図6A】本開示の1つ以上の実施形態による、
図1の多層フィルムを含むパウチパッケージの上面斜視図を概略的に示す。
【
図6B】本開示の1つ以上の実施形態による、
図6Aのパウチパッケージの上面図を概略的に示す。
【
図6C】本開示の1つ以上の実施形態による、
図6Aの基準線6C-6Cに沿った
図6Aのパウチパッケージの断面図を概略的に示す。
【
図7A】本開示の1つ以上の実施形態による、
図6Cのパウチパッケージのフィンシールおよびタブの断面図を概略的に示す。
【
図7B】本開示の1つ以上の実施形態による、フィンシールが初期開封されて多層フィルムの再閉/再開封機能を作動する、
図7Aのフィンシールおよびタブの断面図を概略的に示す。
【
図7C】本開示の1つ以上の実施形態による、フィンシールが再閉された
図7Bのフィンシールおよびタブの断面図を概略的に示す。
【
図8A】本開示の1つ以上の実施形態による、
図6Aのパウチパッケージ用のフィンシールおよびタブの実施形態の側面図を概略的に示す。
【
図8B】本開示の1つ以上の実施形態による、
図6Aのパウチパッケージ用のフィンシールおよびタブの別の実施形態の側面図を概略的に示す。
【
図8C】本開示の1つ以上の実施形態による、
図6Aのパウチパッケージ用のフィンシールおよびタブのさらに別の実施形態の側面図を概略的に示す。
【
図9A】本開示の1つ以上の実施形態による、
図1の多層フィルムを含むスタンドアップパウチパッケージの実施形態の正面図を概略的に示す。
【
図9B】本開示の1つ以上の実施形態による、
図9Aのスタンドアップパウチパッケージの側面図を概略的に示す。
【
図9C】本開示の1つ以上の実施形態による、
図1の多層フィルムを含むピローパウチパッケージの実施形態の正面図を概略的に示す。
【
図10A】本開示の1つ以上の実施形態による、
図1の多層フィルムを含む再閉可能ボックスの実施形態の正面斜視図を概略的に示す。
【
図10B】本開示の1つ以上の実施形態による、
図1の多層フィルムを含む再閉可能ボックスの別の実施形態の正面斜視図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態は、組成物、組成物を含む多層フィルム、および本明細書に開示される組成物を有する多層フィルムから作られた再閉可能包装に関する。
【0013】
本明細書で使用されるメルトインデックス(I2)は、ポリマーの押出フローレートの尺度であり、一般に190℃の温度および2.16kgの負荷でASTM D1238を使用して測定される。
【0014】
本明細書で使用するとき、ポリマーの分子量分布(MWD)は商Mw/Mnとして定義され、ここでMwはポリマーの重量平均分子量であり、Mnはポリマーの数平均分子量である。
【0015】
「ポリマー」という用語は、同一または異なる種類のモノマーにかかわらず、モノマーを重合することにより調製されるポリマー化合物を指す。したがって、総称のポリマーは、1つのタイプのみのモノマーから調製されるポリマーを指すために通常用いられる用語「ホモポリマー」、ならびに2つ以上の異なるモノマーから調製されるポリマーを指す「コポリマー」を包含する。「ブロックコポリマー」という用語は、2つ以上の化学的に異なる領域またはセグメント(「ブロック」と呼ばれる)を含むポリマーを指す。いくつかの実施形態では、これらのブロックは直線状に、すなわち、端部と端部がつながれた化学的に区別されたユニットを含むポリマーでつながれてもよい。本明細書で使用される「ランダムコポリマー」は、2つ以上のポリマーを含み、各ポリマーは、コポリマー鎖骨格に沿って単一ユニットまたは複数の連続する繰り返しユニットを含むことができる。コポリマー鎖骨格に沿ったユニットのいくつかは単一ユニットとして存在するが、本明細書ではこれらをポリマーと呼ぶ。
【0016】
「ポリエチレン」または「エチレン系ポリマー」という用語は、エチレンモノマーに由来する単位を50重量%超含むポリマーを意味するものとする。これは、ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマー(2種類以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。当該技術分野において既知であるポリエチレンの一般的な形態としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状および実質的に直鎖状の低密度樹脂の両方を含むシングルサイト触媒直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ならびに高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。本明細書で使用される場合、「エチレン/α-オレフィンランダムコポリマー」は、エチレンモノマーに由来する単位を50重量%より多く含むランダムコポリマーである。
【0017】
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」、または「高分岐ポリエチレン」とも称され得、ポリマーが、過酸化物(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、US4,599,392を参照されたい)などの、フリーラジカル開始剤を使用して、14,500psi(100MPa)を上回る圧力で、オートクレーブまたは管状反応器中で、部分的または完全に、ホモ重合または共重合されることを意味するように定義される。LDPE樹脂は、典型的には、0.916~0.935g/cmの範囲の密度を有する。
【0018】
「LLDPE」という用語には、チーグラー・ナッタ触媒システムを使用して製造された樹脂、ならびにシングルサイト触媒を使用して製造された樹脂が含まれ、ビスメタロセン触媒(「m-LLDPE」と呼ばれることもある)および拘束ジオメトリ触媒、ならびにポストメタロセン分子触媒を使用して製造された樹脂を含むが、これらに限定されない。LLDPEには、線状、実質的に線状または不均一なポリエチレンコポリマーまたはホモポリマーが含まれる。LLDPEは、LDPEよりも短い鎖分岐を含み、米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、および米国特許第5,733,155号でさらに定義される実質的に直鎖状のエチレンポリマー、米国特許第3,645,992号における組成物等の均一分岐直鎖状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されるプロセスに従って調製されたポリマー等の不均一分岐エチレンポリマー、ならびに/またはそれらのブレンド(US3,914,342もしくはUS5,854,045に開示されるもの等)を含む。LLDPEは、当該技術分野において既知である任意の種類の反応器または反応器構成を使用して、気相、液相、もしくはスラリー重合、またはそれらの任意の組み合わせによって作ることができる。
【0019】
「MDPE」という用語は、0.926~0.935g/ccの密度を有するポリエチレンを指す。「MDPE」は、典型的には、クロムまたはチーグラー・ナッタ触媒を使用して、またはビスメタロセン触媒および拘束ジオメトリ触媒を含むがこれらに限定されないシングルサイト触媒を使用して作られる。
【0020】
「HDPE」という用語は、約0.935g/ccを超える密度を有するポリエチレンを指し、一般に、チーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、または、ビスメタロセン触媒および拘束ジオメトリ触媒を含むがこれらに限定されないシングルサイト触媒を用いて調製される。
【0021】
「ULDPE」という用語は、0.880~0.912g/ccの密度を有するポリエチレンを指し、一般に、チーグラー・ナッタ触媒、ビスメタロセン触媒および拘束ジオメトリ触媒を含むがこれらに限定されないシングルサイト触媒、およびポストメタロセン分子触媒で調製される。本明細書で使用される「プロピレン系ポリマー」という用語は、重合形態で、プロピレンモノマーに由来する50重量%を超える単位を含むポリマーを含むポリマーを指す。これは、プロピレンホモポリマー、ランダムコポリマーポリプロピレン、インパクトコポリマーポリプロピレン、プロピレン/α-オレフィンインターポリマー、およびプロピレン/α-オレフィンコポリマーを含む。これらのポリプロピレン材料は、概して、当業者に既知である。
【0022】
本明細書で使用される「スチレンブロックコポリマー」という用語は、スチレンモノマーと少なくとも1つの他のコモノマーの重合から作製されるブロックコポリマーを指す。
【0023】
本明細書で使用する「密封」とは、接触点または表面を通る望ましくない物質の通過を防ぐのに十分に緊密な、直接または間接の接触する2つ以上の物品の閉鎖を指す。密封は、本質的に機械的または化学的の場合がある。たとえば、機械的密封は、ジッパー、スナップ蓋、または同様の装置など、表面の動きと表面間の動きを防ぐようにインターロックされた2つの剛性表面で構成される。化学的密封の例には、はんだ、溶接、接着剤、または温度、圧力、またはそれらの組み合わせを使用して2つ以上の物品の動きを防ぐ化学組成物を導入する同様の物質が含まれる。密封は、接触する物品、表面または接触点、および表面または接触点にある可能性のあるその他の材料を包含する。密封の締め具合はさまざまであり、ハーメチック密封、粒子密シール、防塵シール、水密シール、液密シール、気密シール、湿気気密シール、または乾燥気密シールが考えられる。
【0024】
本明細書に開示される組成物は、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマー、スチレンブロックコポリマー、粘着性付与剤、および油を含む。エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーの密度は0.890g/cm
3以下、融点は100℃以下、メルトインデックスは10分あたり0.2グラム(g/10分)~8.0g/10分である。スチレンブロックコポリマーは、1重量%超から50重量%未満のスチレン単位を含む。組成物は、2g/10分から15g/10分の全体的なメルトインデックス(I
2)を有し得る。いくつかの実施形態では、組成物は接着剤組成物であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、組成物は、ホットメルト感圧接着剤などの感圧接着剤組成物であってもよい。組成物は、少なくとも3層を有する多層フィルムに組み込まれてもよい。
図1を参照すると、層Aはシーラント層であり得、層Bは本明細書で開示される組成物を含み得、層Cは、例えばポリオレフィンまたは他の支持材料などの支持材料を含むことができる。層Bは、層Bの上部外表面が層Aの底部外表面に接着接触した状態で、層Aの近傍に位置付けられる。層Cの上部外表面は、層Bの底部外表面に接着接触する。
【0025】
層Bの組成物は、多層フィルムに再閉/再開封機能を提供し得る。本明細書に開示される組成物を含む多層フィルムは、従来の再閉フィルムと比較して、多層フィルムおよび多層フィルムで製造された包装を初期開封するのに必要な力の量を減らす低い初期付着強度を示し得る。これにより、多層フィルムが初期開封しやすくなる。本開示の多層フィルムはまた、従来の再閉フィルムの再閉剥離接着剤と同等またはそれ以上の複数の再閉サイクル後の再閉剥離接着強度を提供し得る。本明細書に開示される組成物を含む多層フィルムはまた、従来の再閉フィルムと比較して、より多くの再閉サイクルにわたって許容可能な再閉剥離接着強度を維持し得る。
【0026】
さらに、組成物は安全であり、いくつかの実施形態では食品包装用途での使用に適している場合がある。さらに、いくつかの実施形態では、組成物は、包装された内容物の品質に悪影響を及ぼさない。例えば、いくつかの従来の再閉可能パッケージは、パッケージの内容物に不快な臭気を与え得る組成物を含む場合がある。1つ以上の実施形態において、組成物および組成物で製造された多層フィルムは、パッケージ内容物の香り、臭い、臭気、または他の嗅覚特性に影響を与えない。本開示の組成物は、従来の再閉フィルムと比較して、スチレンブロックコポリマーの濃度が低減されていてもよい。したがって、本開示の組成物およびそれにより作られた多層フィルムは、いくつかの実施形態ではフィルムに包装された食品の臭気または味を変えることなく、食品包装フィルムに再閉性を提供し得る。
【0027】
組成物のエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、エチレンコモノマーと少なくとも1つのα-オレフィンコモノマー(すなわち、アルファオレフィンコモノマー)とのコポリマーであり得る。適切なα-オレフィンコモノマーは、3~20個の炭素原子(C3~C20α-オレフィン)を含有するものを含むことができる。いくつかの実施形態では、α-オレフィンは、C3~C20α-オレフィン、C3~C12α-オレフィン、C3~C10α-オレフィン、C3~C8α-オレフィン、C4~C20α-オレフィン、C4~C12α-オレフィン、C4~C10α-オレフィン、またはC4-C8α-オレフィンであってもよい。1つ以上の実施形態において、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、エチレンコモノマーと、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-セプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、および1-エイコセンから選択される1つ以上のコモノマーとのコポリマーであってもよい。1つ以上の実施形態では、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、エチレンコモノマーと1-ヘキセンコモノマーのコポリマーであってもよい。1つ以上の実施形態において、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、エチレンコモノマーおよびオクテンコモノマーから作られ得るエチレン/オクテンコポリマーであり得る。
【0028】
エチレン/α-オレフィンランダムコポリマー中のエチレンモノマー単位の重量パーセントは、1つ以上の実施形態では50重量%より大きく、または他の実施形態では55重量%以上、またはさらに他の実施形態では60重量%以上、またはさらに他の実施形態では65重量%以上であり得る。いくつかの実施形態では、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、50重量%超~70重量%、50重量%超~65重量%、50重量%超~60重量%、55重量%~70重量%、55重量%~65重量%、55重量%~60重量%、60重量%~70重量%、60重量%~65重量%、または65重量%~70重量%のエチレンモノマー単位を含むことができる。逆に、第1のポリエチレン樹脂中のα-オレフィンコモノマーの重量パーセントは、1つ以上の実施形態では50重量%未満、または他の実施形態では45重量%以下、またはさらに他の実施形態では40重量%以下、またはさらに他の実施形態では35重量%以下であり得る。
【0029】
エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、立方センチメートル当たり0.890(g/cm3)以下の密度を有し得る。いくつかの実施形態では、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、0.880g/cm3以下、またはさらには0.87g/cm3未満の密度を有し得る。エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーの密度は、ASTM D792に従って測定される。1つ以上の実施形態において、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、0.850g/cm3~0.890g/cm3の密度を有していてもよい。1つ以上の実施形態において、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、0.850g/cm3~0.880g/cm3、0.850g/cm3~0.870g/cm3、0.860g/cm3~0.890g/cm3、または0.860g/cm3~0.880g/cm3の密度を有していてもよい。
【0030】
エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、摂氏100度(℃)以下の融点を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、95℃以下、90℃以下、80℃以下、またはさらには75℃以下の融点を有し得る。いくつかの実施形態では、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、30℃以上またはさらには40℃以上など、室温より高い融点を有し得る。いくつかの実施形態では、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、30℃~100℃、30℃~95℃、30℃~90℃、30℃~80℃、30℃~75℃、40℃~100℃、40℃~95℃、40℃~90℃、40℃~80℃、または40℃~75℃の融点を有し得る。
【0031】
エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、190℃および2.16kgの負荷でASTM D1238に従って測定されるメルトインデックス(I2)が10分あたり0.2g(g/10分)~8.0g/10分、0.2g/10分~5.0g/10分、0.2g/10分~3.0g/10分、0.2g/10分~1.5g/10分、0.2g/10分~1.0g/10分、0.5g/10分~8.0g/10分、0.5g/10分~5.0g/10分、0.5g/10分~3.0g/10分、0.5g/10分~1.5g/10分、0.5g/10分~1.0g/10分、1.0g/10分~8.0g/10分、1.0g/10分~5.0g/10分、1.0g~/10分~3.0g/10分、または3.0g/10分~8.0g/10分であってもよい。1つ以上の実施形態において、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、0.2g/10分~8.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有し得る。1つ以上の他の実施形態では、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、0.5g/10分~1.5g/10分のメルトインデックス(I2)を有し得る。
【0032】
エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、1.0~3.5、1.0~3.0、1.0~2.5、1.0~2.2、1.0~2.0、1.3~3.5、1.3~3.0、1.3~2.5、1.3~2.2、1.3~2.0、1.7~3.5、1.7~3.0、1.7~2.5、1.7~2.2、または1.7~2.0の分子量分布(MWDまたはMw/Mn)を有してもよい。1つ以上の実施形態において、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、1.0~3.5のMWDを有し得る。Mwは重量平均分子量であり、Mnは数平均分子量であり、両方ともゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定され得る。
【0033】
エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーの動的溶融粘度は、動的機械分光法(DMS)を使用して測定することができ、これは本開示で後に説明される。いくつかの実施形態では、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、DMSにより決定した110℃の温度で、毎秒0.1ラジアンの動的溶融粘度と毎秒100ラジアンの動的溶融粘度の比が20以下である場合がある。いくつかの実施形態では、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、DMSにより決定した130℃の温度で、毎秒0.1ラジアンの動的溶融粘度と毎秒100ラジアンの動的溶融粘度の比が15以下である場合がある。いくつかの実施形態では、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、DMSにより決定した150℃の温度で、毎秒0.1ラジアンの動的溶融粘度と毎秒100ラジアンの動的溶融粘度の比が10以下である場合がある。
【0034】
エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、当技術分野で知られている任意の種類の反応器または反応器構成、例えば、並列、直列、および/またはそれらの任意の組み合わせでの流動床気相反応器、ループ反応器、撹拌槽反応器、バッチ式反応器等を使用して、気相、液相もしくはスラリー重合プロセス、またはそれらの任意の組合せにより製造され得る。いくつかの実施形態では、気相またはスラリー相反応器が使用される。いくつかの実施形態では、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,497,330号に記載されているような気相プロセスまたはスラリープロセスで製造される。エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、高圧フリーラジカル重合プロセスによっても製造され得る。高圧フリーラジカル重合によるエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーの調製方法は、米国特許出願公開第2004/0054097号に見ることができ、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、オートクレーブまたは管状反応器ならびにそれらの任意の組み合わせで実施することができる。チーグラー・ナッタ触媒の存在下でのエチレンモノマーと1つ以上のα-オレフィンコモノマーの溶液重合の詳細および例は、米国特許第4,076,698号および第5,844,045号に開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載のエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーを作るために使用される触媒は、チーグラー・ナッタ、メタロセン、拘束ジオメトリ、シングルサイト触媒、またはクロム系触媒を含むことができる。
【0035】
例示的な適切なエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーには、The Dow Chemical Company(Midland,MI)により供給されるAFFINITY(商標)EG8100エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーおよびENGAGE(商標)8842エチレン/α-オレフィンコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
本明細書に開示される組成物は、組成物の総重量に基づいて30重量%~65重量%のエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて30重量%~55重量%、33重量%~65重量%、または33重量%~55重量%のエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーを含んでもよい。
【0037】
前述のように、組成物にはスチレンブロックコポリマーが含まれている。スチレンブロックコポリマーは、1重量%超~50重量%未満のスチレンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、スチレンブロックコポリマーは、10重量%のスチレン~50重量%未満のスチレンを含んでもよい。スチレンモノマーは、スチレンまたはスチレン誘導体、例えばα-メチルスチレン、4-メチルスチレン、3,5-ジエチルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-フェニルスチレン、またはそれらの混合物であり得る。1つ以上の実施形態において、スチレンモノマーはスチレンである。様々なオレフィンまたはジオレフィン(ジエン)コモノマーが、スチレンとの重合に適していると考えられている。オレフィンコモノマーは、C3-C20α-オレフィンを含み得る。ジオレフィンコモノマーは、1,3-ブタジエン、1,3-シクロヘキサジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、2,4-ヘキサジエン、またはそれらの組み合わせなどの、さまざまなC4~C20オレフィンを含んでいてもよい。
【0038】
好適なスチレンブロックコポリマーの例には、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー(SIS)スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン-イソブチレン-スチレンブロックコポリマー(SIBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロックコポリマー(SEPS)、およびそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。好適なスチレンブロックコポリマーの例には、Kraton社(Houston,Texas)から入手可能なKRATON D1161、KRATON D1118、KRATON G1657などの商品名「KRATON」で市販されているもの、またはDexco Polymers(Houston,Texas)から入手可能な4113A、4114A、4213Aなどの商品名「VECTOR」で市販されているものが含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
スチレンブロックコポリマーは、50重量%未満のスチレンを含む。例えば、いくつかの実施形態では、スチレンブロックポリマーは、45重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、またはさらには25重量%以下のスチレンを含むことができる。いくつかの実施形態では、スチレンブロックコポリマーは、1重量%以上~50重量%未満のスチレンを有し得る。他の実施形態では、スチレンブロックコポリマーは、5重量%~50重量%未満、10重量%~50重量%未満、15重量%~50重量%未満、20重量%~50重量%未満、1重量%~45重量%、1重量%~40重量%、1重量%~35重量%、1重量%~30重量%、1重量%~25重量%、5重量%~50重量%未満、5重量%~45重量%、5重量%~40重量%、5重量%~35重量%、5重量%~30重量%、5重量%~25重量%、10重量%~50重量%未満、10重量%~45重量%、10重量%~40重量%、10重量%~35重量%、10重量%~30重量%、10重量%~25重量%、15重量%~50重量%未満、15重量%~45重量%、15重量%~40重量%、15重量%~35重量%15重量%~30重量%、または15重量%~25重量%のスチレンを有し得る。いくつかの実施形態では、スチレンを50重量%未満含むスチレンブロックコポリマーは、粘着付与剤と相互作用するのに十分な量の非スチレンコポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態では、スチレンブロックコポリマーはSISであってもよく、スチレンブロックコポリマーは15重量%~25重量%のスチレンを含んでもよい。他の実施形態では、スチレンブロックコポリマーはSISであってもよく、20重量%~25重量%のスチレンを含んでもよい。
【0040】
本明細書に開示される組成物は、組成物の総重量に基づいて10重量%~35重量%のスチレンブロックコポリマーを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて10重量%~30重量%のスチレンブロックコポリマーを含むことができる。
【0041】
粘着性付与剤は、粘着性付与剤を含まない組成物と比較して、本明細書に開示される組成物に添加されて弾性率を低下させ、組成物の表面接着性を高める樹脂であり得る。いくつかの実施形態では、粘着付与剤は炭化水素粘着付与剤であってもよい。粘着付与剤には、非水素化脂肪族C5(5炭素原子)樹脂、水素化脂肪族C5樹脂、芳香族変性C5樹脂、テルペン樹脂、水素化C9樹脂、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、粘着付与剤は、非水素化脂肪族C5樹脂および水素化脂肪族C5樹脂からなる群から選択することができる。いくつかの実施形態では、組成物は複数の粘着付与剤を含んでもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、粘着付与剤は、0.92g/cm3~1.06g/cm3の密度を有していてもよい。粘着付与剤は、80℃~140℃、85℃~130℃、90℃~120℃、90℃~110℃、または91℃~100℃の環球式軟化温度を示し得る。環球式軟化温度は、ASTM E28に従って測定できる。いくつかの実施形態では、粘着付与剤は、175℃で1000パスカル秒(Pa・s)未満の溶融粘度を示し得る。例えば、他の実施形態では、粘着付与剤は、175℃で500Pa・s以下、200Pa・s以下、100Pa・s以下、またはさらには50Pa・s以下の溶融粘度を示し得る。さらに、いくつかの実施形態では、粘着付与剤は、175℃で1Pa・s以上または5Pa・s以上の溶融粘度を示し得る。いくつかの実施形態では、粘着付与剤は、175℃で1Pa・s~100Pa・s未満、または50Pa・s未満の溶融粘度を示し得る。粘着付与剤の溶融粘度は、動的機械分光法(DMS)を使用して決定することができる。
【0043】
「C5粘着付与剤」のためのC5樹脂は、ペンテンおよびピペリレンなどのC5供給原料から得ることができる。粘着付与剤用のテルペン樹脂は、ピネンおよびd-リモネン原料に基づいていてもよい。適切な粘着付与剤の例には、The Eastman Chemical Companyから入手可能なPICCOTAC、REGALITE、REGALREZ、およびPICCOLYTEの商品名で販売されているPICCOTAC 1100、PICCOTAC 1095、REGALITE R1090、およびREGALREZ 11126、ならびにPINOVAからのPICCOLYTE F-105で販売されている粘着付与剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書に開示される組成物は、20重量%~40重量%の粘着付与剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて20重量%~35重量%、20重量%~30重量%、25重量%~40重量%、25重量%~35重量%、または25重量%~30重量%の粘着付与剤を有してもよい。
【0045】
前述のように、本明細書に開示される組成物は油も含むことができる。いくつかの実施形態では、油は、95モル%を超える脂肪族炭素化合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、油は、油の非晶質部分のガラス転移温度が-70℃未満であってもよい。いくつかの実施形態では、油は鉱油であり得る。適切なオイルの例には、HYDROBRITE 550(Sonneborn)、PARALUX 6001(Chevron)、KAYDOL(Sonneborn)、BRITOL 50T(Sonneborn)、CLARION 200(Citgo)、CLARION 500(Citgo)、またはその組み合わせの商品名で販売されている鉱油が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、油は、本明細書に記載の組み合わせまたは2つ以上の油を含んでもよい。本明細書で開示される組成物は、0重量%超~8重量%の油を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて0重量%超~7重量%、3重量%~8重量%、3重量%~7重量%、5重量%~8重量%、または5重量%~7重量%の油を含むことができる。
【0046】
本組成物は、1種以上の添加剤を含むことができる。適切な添加剤の例には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、粘度調整剤、粘着防止剤、剥離剤、フィラー、摩擦係数(COF)調整剤、誘導加熱粒子、臭気調整剤/吸収剤、およびそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態において、組成物は、1つ以上の追加のポリマーをさらに含む。追加のポリマーには、エチレン系ポリマーおよびプロピレン系ポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、30重量%~65重量%のエチレン/α-オレフィンランダムコポリマー、10重量%~35重量%のスチレンブロックコポリマー、20重量%~40重量%の粘着性付与剤、および0重量%超~8重量%の油を含むことができる。他の実施形態では、組成物は、33重量%~55重量%のエチレン/α-オレフィンランダムコポリマー、10重量%~30重量%のスチレンブロックコポリマー、25重量%~30重量%の粘着性付与剤、および5重量%~7重量%の油を含むことができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、組成物は、0.930g/cm3以下、または0.920g/cm3以下の全体密度を有していてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、組成物は、0.880g/cm3~0.930g/cm3、0.880g/cm3~0.920g/cm3、0.890g/cm3~0.930g/cm3、または0.89g/cm3~0.92g/cm3の全体密度を有していてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、組成物は、10分あたり2グラム(g/10分)~15g/10分の全体的なメルトインデックス(I2)を示し得る。例えば、いくつかの実施形態では、組成物は、2g/10分~14g/10分、2g/10分~12g/10分、2g/10分~10g/10分、3g/10分~15g/10分、3g/10分~14g/10分、3g/10分~12g/10分、3g/10分~10g/10分、5g/10分~15g/10分、5g/10分~14g/10分、5g/10分~12g/10分、5g/10分~10g/10分、7g/10分~15g/10分、7g/10分~14g/10分、7g/10分~12g/10分、または7g/10分~10g/10分の全体的なメルトインデックス(I2)を示し得る。全体のメルトインデックス(I2)は、190℃および2.16kgの負荷でのASTM D1238に従って決定される。
【0050】
動的溶融粘度は、さまざまな試験温度と試験頻度で動的機械分光法(DMS)を使用して決定できる。組成物は、190℃の温度および1Hzの周波数でDMSを使用して測定して、1,000Pa・s~1,400Pa・sの動的溶融粘度を示し得る。組成物は、150℃の温度および1Hzの周波数でDMSを使用して測定して、3,200Pa・s~4,000Pa・sの動的溶融粘度を示し得る。組成物は、130℃の温度および1Hzの周波数でDMSを使用して測定して、7,400Pa・s~7,800Pa・sの動的溶融粘度を示し得る。組成物は、110℃の温度および1Hzの周波数でDMSを使用して測定して、12,400Pa・s~17,200Pa・sの動的溶融粘度を示し得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、100℃以下、90℃以下、またはさらには80℃以下の溶融温度を示し得る。いくつかの実施形態では、組成物は、60℃~100℃、60℃~90℃、60℃~80℃、70℃~100℃、または70℃~90℃の溶融温度を示し得る。いくつかの実施形態では、組成物は、100℃を超える融解ピークを示さない場合がある。
【0052】
組成物は、150℃のヒートシール温度でヒートシールされた後、40ニュートン/インチ(N/in)以下、37N/in以下、35N/in未満、またはさらには30N/in未満の初期内部付着力を示し得る。組成物の初期内部付着力は、本明細書に記載の剥離強度の試験方法に従って決定され得る。いくつかの実施形態では、組成物は、130℃のヒートシール温度でヒートシールされた後、25N/in~40N/in、25N/in~37N/in、25N/in~35N/in、27N/in~40N/in、27N/in~37N/in、27N/in~35N/in、30N/in~40N/in、30N/in~37N/in、または30N/in~35N/inの初期内部付着力を示し得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、組成物は、150℃のヒートシール温度でヒートシールされた後、初期開封され、少なくとも4回の再閉-再開封サイクルを経験した後、1.0N/in以上の再閉剥離接着力を示し得る。いくつかの実施形態では、組成物は、150℃のヒートシール温度でヒートシールされた後、初期開封され、少なくとも4回の再閉-再開封サイクルを経験した後、1.5N/in以上、2.0N/in以上、さらには2.5N/in以上の再閉剥離接着力を示し得る。いくつかの実施形態では、組成物は、150℃のヒートシール温度でヒートシールされた後、初期開封され、少なくとも4回の再閉-再開封サイクルを経験した後、2.0N/in~10.0N/in、2.0N/in~7.0N/in、2.0N/in~5.0N/in、2.5N/in~10.0N/in、2.5N/in~7.0N/in、または2.5N/in~5.0N/inの再閉剥離接着力を示し得る。
【0054】
本明細書に開示される組成物は、単段二軸押出プロセスまたは任意の他の従来のブレンドまたは配合プロセスを使用して配合されてもよい。
【0055】
本明細書に開示される組成物は、多層フィルムに組み込まれてもよく、これは、多層フィルムから製造された包装に再閉機能を提供し得る。多層フィルムは、少なくとも3層、すなわち、多層フィルムの表面を形成する密封層、密封層と接着接触する再閉層、および再閉層と接着接触する少なくとも1つの補助層を含むことができる。密封層は、例えば、容器の表面などの基板、別の可撓性フィルム、またはそれ自体に多層フィルムを封着してもよい。再閉層は、多層フィルムに初期開封力を加えることにより作動されると、多層フィルムに再閉/再開封機能を提供する場合がある。少なくとも1つの補助層は、多層フィルムに構造的支持を提供してもよく、または追加の密封層を提供してもよい。
【0056】
図1を参照すると、少なくとも3つの層、すなわち、層A、層B、および層Cを含む多層フィルム100が示されている。多層フィルム100は、3つの層を有する一実施形態に関して説明される。ただし、多層フィルムは、4、5、6、7、8、または8層を超えるなど、3層を超える場合がある。例えば、
図2を参照すると、多層フィルムは4つの層、すなわち、層A、層B、層C、および層Dを有し得る。4層より多い多層フィルムも考えられる。
【0057】
再び
図1を参照すると、多層フィルム100は、フィルム上部外表面102とフィルム底部外表面104とを有することができる。同様に、層A、B、およびCのそれぞれは、上部外表面および底部外表面などの対向する外表面を有してもよい。本開示で使用される場合、「上部」という用語は、多層フィルム100の層A側に配向された多層の外表面を指し、「底部」という用語は、多層フィルム100の層A側から離れて配向された多層フィルム100の反対側を指す。
【0058】
層Aは、上部外表面112および底部外表面114を有し得る。層Aの上部外表面112は、多層フィルム100のフィルム上部外表面102であってもよい。層Aの底部外表面114は、層Bの上部外表面122と接着接触していてもよい。
【0059】
層Aは、多層フィルム100のフィルム上部外表面102を基板の表面またはそれ自体に封着させることができるシール組成物を含む密封層である。例えば、いくつかの実施形態では、シール組成物はヒートシール組成物であり得る。いくつかの実施形態では、シール組成物は、多層フィルム100のフィルム上部外表面102を基板の表面またはそれ自体に封着し得る。いくつかの実施形態では、シール組成物はポリオレフィンを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、層Aのシール組成物は、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、イオノマー、その他の密封組成物、またはこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。シール組成物の例には、The Dow Chemical Company(Midland,MI)によって供給されるAFFINITY(商標)ポリオレフィンエラストマーが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、層Aは、本開示で前述された組成物を含まない。層Aのシール組成物は、層Bの組成物の内部付着強度よりも大きい内部付着強度を有する。
【0060】
層Aのシール組成物は、層Bの組成物の内部付着強度よりも大きい内部付着強度を有し得る。多層フィルム100で製造された再密封可能なパッケージを開封するときなど、多層フィルム100の初期開封中に、初期開封力により、層Aのシール組成物は多層フィルム100にほぼ垂直な方向に破壊する。層Aのシール組成物の破壊により、層Bの組成物は、多層フィルム100にほぼ平行な方向に付着破壊し、再閉機能を作動することができる。したがって、層Aの内部付着強度は、多層フィルム100を初期開封し、再閉/再開封機能を作動するのに必要な開封力の大きさが過度にならないように十分に低くてもよい。
【0061】
図1を参照すると、層Bは、上部外表面122と底部外表面124とを含む。層Bの上部外表面122は、層Aの底部外表面114と接着接触していてもよい。さらに、層Bの底部外表面124は、層Cの上部外表面132と接着接触していてもよい。層Bは、層Aに隣接して位置付けられ、層Bと接着接触し、層Bは、層Aと層Cとの間に配設される。層Bは、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマー、スチレンブロックコポリマー、粘着付与剤、および油を含む、本開示で前述した組成物を含む。
【0062】
層Cは、上部外表面132と底部外表面134とを含む。前述のように、層Cの上部外表面132は、層Bの底部外表面124と接着接触していてもよい。いくつかの実施形態では、層Cの顔底部外表面134は、多層フィルム100が3つの層を含む場合など、多層フィルム100のフィルム底部外表面104を含むことができる。あるいは、他の実施形態では、層Cの底部外表面134は、後続の層の上部外表面と接着接触していてもよい。例えば、
図2を参照すると、層Cの底部外表面134は、層Dの上部外表面142と接着接触していてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、層Cは、多層フィルム100に強度および剛性を提供し得る構造層であり得る。いくつかの実施形態では、層Cは、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、またはこれらの組み合わせなどであるがこれらに限定されない、少なくともエチレンモノマーを含むポリマーまたはコポリマーを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、層CはLLDPEを含んでもよい。他の実施形態では、層Cは、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、例えば、ポリ塩化ビニル、他の熱可塑性ポリマー、またはこれらの組み合わせなど、他のポリマーフィルム材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、層Cは、例えばナイロンなどの追加の構造材料を含むことができる。他の実施形態では、層Cは、層Aに関連して前述した任意のシーラント組成物を含むシーラント層であり得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、多層フィルム100は可撓性フィルムであってもよく、これにより、多層フィルム100がその形状を適合させて様々な基板および基板表面を封着させることができる。
【0065】
多層フィルムにいくつかの特性のいずれかを付与するために、追加の補助層を層Cの底部外表面134に追加してもよい。例えば、
図2を参照すると、4つの層を含む多層フィルム200が概略的に示されている。示されるように、多層フィルム200は、層A、層B、層C、および層Dを含むことができる。層Aは再び密封層であり、層Bは密封層(層A)と接着接触する再閉層である。
図2に示される多層フィルム200は、少なくとも2つの補助層、すなわち層Cおよび層Dを含む。層Cは、層Bの底部外表面124と接着接触する上部外表面132を有し得る。層Cの底部外表面134は、層Dの上部外表面142と接着接触し得る。いくつかの実施形態では、層Dの底部外表面144は、多層フィルム200のフィルム底部外表面104であってもよい。あるいは、他の実施形態では、層Dの底部外表面144は、別の補助層の上部外表面と接着接触していてもよい。
【0066】
層CおよびDおよび他の補助層などの補助層の各々は、構造支持、絶縁特性、耐湿性、耐薬品性、引裂きまたは耐破壊性、光学特性、密封能力、ガス透過性または不浸透性特性、摩擦抵抗、その他の特性、またはこれらの組み合わせなどの、多層フィルム200に異なる特性を提供する異なる材料または材料の組み合わせを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、層Cは、多層フィルムに構造的支持を提供する材料を含むことができ、層Dは、多層フィルム200のフィルム底部外表面104の第2基板への密封を可能にするために、層Aについて前述したシール組成物などのシール組成物を含むことができる。多層フィルム200の底部分に含まれる層CおよびD、ならびに他の補助層は、多層フィルム200に複数の他の機能を提供し得る。
【0067】
図1および2を参照すると、層A、層B、層C、および任意の追加の補助層などの複数の層のそれぞれは、多層フィルム100、200を形成するために共押出しされてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、多層フィルム100、200は、吹込フィルムプロセスを使用して作製されてもよい。あるいは、他の実施形態では、多層フィルム100、200は、キャストフィルムプロセスを使用して作製されてもよい。多層フィルムを作製するための他の従来のプロセスを使用して、多層フィルム100、200を作製してもよい。
【0068】
図3A~
図3Cを参照して、多層フィルム100の動作を説明する。多層フィルム100は、最初に基板150の表面152に封着されてもよい。基板150は、プラスチック、金属、ガラス、セラミック、被覆または非被覆厚紙(例えば、繊維板、板紙、または木材パルプで製造された他の剛性構造)、他の剛性材料、またはこれらの組み合わせで製造された剛性容器などの剛性基板であってもよい。あるいは、基板150は、ポリマーフィルム、金属箔、紙、天然または合成繊維、他の可撓性基板、またはこれらの組み合わせなどの非剛性または可撓性基板であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、基板150は別の多層ポリマーフィルムを含むことができる。いくつかの実施形態では、基板150は、多層フィルム100を折り曲げて多層フィルム100をそれ自体に封着させることにより、または多層フィルム100の2つの別個のシートまたはウェブを提供することにより、多層フィルム100自体であってもよい。いくつかの実施形態では、多層フィルム100の1つの領域のフィルム上部外表面102は、多層フィルム100の別の領域のフィルム上部外表面102または多層フィルム102の別のシートのフィルム上部外表面102と接着接触していてもよい。あるいは、多層フィルム100の1つの領域のフィルム上部外表面102は、多層フィルム102の別の領域のフィルム底部外表面104と接着接触していてもよい。
【0069】
図3Aを参照すると、多層フィルム100は、層Aの上部外表面112を基板150の表面152と接触させ、多層フィルム100に熱、圧力、または熱の組み合わせを加えて、多層フィルム100の密封層である層Aを基板150の表面152に封着させることにより、基板150の表面152に封着され得る。いくつかの実施形態では、多層フィルム100の層Aは、基板150にヒートシールされてもよい。ヒートシールは、約130℃を超えるヒートシール温度で操作できる従来のヒートシールプロセスによって達成できる。例えば、いくつかの実施形態では、多層フィルム100の層Aは、100℃~180℃のヒートシール温度で基板150の表面152にヒートシールされてもよい。いくつかの実施形態では、ヒートシール温度は、100℃~160℃、100℃~150℃、120℃~180℃、120℃~160℃、120℃~150℃、130℃~180℃、130℃~160℃、または130℃~150℃であってもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、多層フィルム100の層Aの一部分のみが基板150の表面152に封着されて、封着領域154を形成する。層Aが基板150の表面152に封着されていない多層フィルム100の部分は、多層フィルム100の非封着領域156を画定してもよい。非封着領域156では、多層フィルム100の層Aは基板150の表面152に封着されておらず、基板150の表面152に垂直な方向に自由に動くことができ、そのため、多層フィルム100の層Aは、非封着領域156において基板150から離間している。例えば、いくつかの実施形態では、非封着領域156において、多層フィルム100は、多層フィルム100と基板150との間に容積を画定するために、基板150から離間されてもよい。代替的または追加的に、いくつかの実施形態では、非封着領域156は、基板150に対して多層フィルム100に力を加えることを可能にし得るタブ158を提供し得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、封着領域154は、封着領域154内の多層フィルム100と基板150との間の微粒子の通過を防止するのに十分な密封完全性を示してもよい。他の実施形態では、封着領域154の密封完全性は、封着領域154内の多層フィルム100と基板150との間の液体の通過を防止するのに十分であり得る。さらに他の実施形態では、封着領域154の密封完全性は、封着領域154内の多層フィルム100と基板150との間の水分の通過を防止するのに十分であり得る。さらに他の実施形態では、封着領域154の密封完全性は、封着領域154内の多層フィルム100と基板150との間の通過を防止するのに十分であり得る。
【0072】
多層フィルム100のフィルム上部外表面102を基板150の表面152に封着して封着領域154を形成すると、層Aの底部外表面114と層Bの上部外表面122との間の接合強度は、層Bの組成物の付着強度より大きくなり得る。さらに、密封後、層Bの底部外表面124と層Cの上部外表面132との間の接合強度は、層Bの組成物の付着強度よりも大きくてもよい。密封後、層Aの上部外表面112の基板150の表面152への接合強度は、層Bの組成物の内部付着強度よりも大きくなり得る。したがって、層Aのシール組成物は、多層フィルム100に再閉機能を提供しない。基板150に封着されると、多層フィルム100は、初期開封力が多層フィルム100に加えられて多層フィルム100の一部分を基板150から分離するまで、再閉機能を示さない。
【0073】
図3Bを参照すると、初期開封力F1を多層フィルム100に加えることにより、多層フィルム100の再閉機能を作動することができる。初期開封力F1は、多層フィルム100のフィルム上部外表面102にほぼ垂直な方向に加えられてもよい。初期開封力F1は、多層フィルム100の分離が生じて再閉機能を作動する閾値力よりも大きくてもよい。初期開封力F1は、多層フィルム100の封着領域154と非封着領域156との間の境界面160で層Aを破壊させるのに十分であり得る。いくつかの実施形態では、多層フィルム100の初期開封力F1は、150℃のヒートシール温度でヒートシールされた後、約40ニュートン/インチ(N/in)以下、37N/in以下、35N/in以下、またはさらには30N/in以下であり得る。初期開封力F1は、本明細書に記載の剥離接着試験に従って決定され得る。多層フィルムの初期開封力F1は、130℃のヒートシール温度で本明細書に記載の剥離強度の試験方法に従って決定されてもよい。いくつかの実施形態では、多層フィルム100の初期開封力F1は、多層フィルムを130℃のヒートシール温度でヒートシールした後、25N/in~40N/in、25N/in~37N/in、25N/in~35N/in、27N/in~40N/in、27N/in~37N/in、27N/in~35N/in、30N/in~40N/in、30N/in~37N/in、または30N/in~35N/inであり得る。
【0074】
閾値力よりも大きい初期開封力F1で、層Aは、封着領域154と非封着領域156との境界面160で破裂する。層Aは、層Aの底部外表面114から上部外表面112への方向(例えば、フィルム上部外表面102にほぼ垂直に、または
図3Bの座標軸の+/-Z方向)に破裂する場合がある。層Bの組成物の内部付着強度は、初期開封力よりも小さく、層Bの上部外表面122と層Aの底部外表面114との間、および層Bの底部外表面124と層Cの上部外表面132との間の接合強度よりも小さい。したがって、一旦、層Aが封着領域154と非封着領域156との境界面160で破裂すると、封着領域154の層Bは、フィルム上部外表面102にほぼ平行な方向に付着破壊する。層Aの付着破壊により、層Bの組成物の第1の部分162が層Aの底部外表面114に結合し、層Bの組成物の第2の部分164が層Cの上部外表面132に結合する。封着領域154の開封部分では、層Bの組成物は、層Cの上部外表面132と層Aの底部外表面114の両方を覆う。封着領域154の開封部分を含む、封着領域154内の層Aの部分は、基板150に対して封着されたままである(すなわち、層Aの上部外表面112は、開封部分を含む封着領域154の基板150の表面152に対して封着されたままである)。
【0075】
図4Aを参照すると、
図3Aの多層フィルム100および基板150の断面は、基準線4A-4Aに沿って取られている。
図4Aに概略的に表される実施形態では、封着領域154は、封着領域154の一方の側の非封着領域156および封着領域の他方の側の第2の非封着領域157によって境界付けられ得る。初期開封中、初期開封力F1は、
図3Bに関連して前述したように、フィルム上部外表面102にほぼ垂直な方向に、封着領域154と非封着領域156との境界面160で層Aを破裂させ得る。
図4Bに示すように、開封力F1は、前述のように、フィルムの上部外表面102にほぼ平行な方向に層Bを付着破壊させ得る。層Bの付着破壊が封着領域154と第2の非封着領域157との間の第2の境界面161に到達すると、初期開封力F1により、封着領域154と第2の非封着領域157との間の第2の境界面161で層Aが再び破裂する可能性がある。第2の境界面161で、層Aは、フィルム上部外表面102にほぼ垂直な方向に破裂する可能性がある。多層フィルム100を初期開封した後、封着領域154に対応する層Aの一部分は、多層フィルム100から分離され、基板150に結合されたままである。
【0076】
多層フィルム100の初期開封は、多層フィルムの再閉機能を作動し、層Aの底部外表面114上の層Bの組成物の第1の部分162、および層Cの上部外表面132上の層Bの組成物の第2の部分164をもたらす。
図3Cを参照すると、多層フィルム100の封着領域154を再閉するために、層Bの組成物の第1の部分162は、層Bの組成物の第2の部分164と接触するように戻され得、封着領域154内の多層フィルム100に再閉圧力F2が加えられ得る。再閉圧力F2は、フィルム底部外表面104にほぼ垂直な方向に多層フィルム100に加えられてもよい。再閉圧力F2は、層Bの組成物の第1の部分162および第2の部分164を再接着させて層Bを再形成させるのに十分であり得る。いくつかの実施形態では、再閉圧力F2は、40N/インチ以下、30N/インチ以下、20N/インチ以下、またはさらには10N/インチ以下であり得る。
【0077】
再閉圧力F2を多層フィルムに加えると、層Bの組成物の第1の部分162および第2の部分164が再接着する。組成物の第1の部分162および第2の部分164を再接着させて連続層Bを形成すると、多層フィルムの封着領域154を再封着させることができる。
【0078】
図3Dを参照すると、多層フィルム100を再閉した後、多層フィルム100に再開封力F3を加えることにより、多層フィルム100を再開封することができる。再開封力F3は、フィルム上部外表面102にほぼ垂直な方向に多層フィルムに加えられてもよい。再開封力F3は、非封着領域156で多層フィルム100を把持し、多層フィルム100を基板150から引き離すことにより加えられてもよい。再開封力F3の印加により、層Bの組成物は、フィルム上部外表面102に平行な方向に付着破壊する可能性がある。再び、層Bの組成物の付着破壊により、組成物の第1の部分が層Aの底部外表面114に結合し、組成物の第2の部分が層Cの上部外表面132に結合する。
【0079】
再開封力F3は、層Bの組成物を付着破壊させるのに十分であり得る。いくつかの実施形態では、再開封力F3は、130℃のヒートシール温度で基板150にヒートシールされた多層フィルム100では、1N/インチ以上、1.5N/in以上、2.0N/in以上、2.5N/in以上、またはさらには3N/in以上である。再開封力F3は、本明細書に記載の剥離接着試験に従って決定され得る。多層フィルム100は、再開封および再閉の複数のサイクルを受けてもよい。複数回の再開封/再閉サイクルの後、多層フィルム100は、1.5N/in以上、2.0N/in以上、2.5N/in以上、またはさらには3.0N/in以上の再開封力F3を示し得る。例えば、いくつかの実施形態では、130℃のヒートシール温度で基板150に最初にヒートシールされた多層フィルム100は、2.0N/inを超える少なくとも4回の再開封/再閉サイクル後に、再開封力F3を示し得る。いくつかの実施形態では、多層フィルム100は、130℃のヒートシール温度でヒートシールされた後、初期開封され、少なくとも4回の再閉-再開封サイクルを経験した後、2.0N/in~10.0N/in、2.0N/in~7.0N/in、2.0N/in~5.0N/in、2.5N/in~10.0N/in、2.5N/in~7.0N/in、または2.5N/in~5.0N/inの再開封力を示し得る。
【0080】
本明細書で前述した多層フィルム100は、消費財、食品、または他の物品の包装などの包装に再閉機能を提供するために使用されてもよい。例えば、
図5A~5Cを参照すると、パッケージ500は、基板150と、基板150の表面152の少なくとも1つに封着された多層フィルム100とを含むことができる。多層フィルム100は、多層フィルム100の層Aが基板150の表面152に面し、フィルム上部外表面102が基板150の表面152に接触するように配向されていてもよい。
図5A~5Cでは、多層フィルム100は、フィルム上部外表面の表面102が
図5A~5Cの座標軸の-Z方向に下向きになるように配向されている。パッケージ500は、多層フィルム100の層Aの上部外表面112の少なくとも一部分が基板150の表面152の少なくとも1つに封着されて多層フィルム100と基板150との間にシールを形成する封着領域154を含むことができる。非封着領域156では、多層フィルム100と基板150は、組成物または物品を収容するためにそれらの間に容積502を画定する。基板150は、剛性基板でも可撓性基板でもよい。いくつかの実施形態では、基板150は、多層フィルム100の別個のシートまたは多層フィルム100の同じシートの別の部分など、多層フィルム100の別の部分であってもよい。
【0081】
図5Aおよび
図5Bを参照すると、パッケージ500の基板150は剛性基板を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、基板150は、底壁512と、底壁512から延びる4つの側壁514とを含む剛性トレイ510であってもよく、1つの開封側面516を有する開封側面容器を画定する。トレイ510は、4つの側壁514に結合され、トレイ510の開封側面516を囲むフランジ518を含むことができる。フランジ518は、外表面520を含み得る。いくつかの実施形態では、外表面520は、トレイ510の底部512に垂直な方向に配向されてもよい。
図5A~5Cでは、外表面520は、
図5A~5Cの座標軸の+Z方向に上向きになっている。
図5A~5Cの割合は、例示の目的のために誇張されている。多層フィルム100は、本開示において先に記載された多層フィルムのいずれかであり得る。多層フィルム100は、フィルム上部外表面102がトレイ510の外表面520に面し、接触するように(すなわち、
図5Bの座標軸の-Z方向に)配向することができる。多層フィルム100は、多層フィルム100の複数の縁部524がトレイ510のフランジ518の外縁部522の近傍に位置付けられるように、トレイ510のフランジ518の外形と一致する形状を有することができる。パッケージ500は、3層の多層フィルム100を使用する文脈で説明されているが、本明細書に開示される組成物を組み込み、例えば多層フィルム200などの3層を超える多層フィルムも使用してパッケージ500を作ることができることを理解されたい。
【0082】
いくつかの実施形態では、多層フィルム100は、トレイ510のフランジ518の外表面520に封着されて、フランジ518に沿って延びる封着領域154を形成してもよい。多層フィルム100は、ヒートシール、接着剤の塗布、または他の従来のシールプロセスによってフランジ518の外表面520に封着されてもよい。封着領域154は、トレイ510の開封部516の全周囲に延びて、トレイ510の容積502が完全に包囲され、周囲雰囲気から隔離されてもよい。いくつかの実施形態では、封着領域154は、多層フィルム100の縁部524まで延びていてもよい。いくつかの実施形態では、封着領域154は、フランジ518の外縁部522まで延びていてもよい。いくつかの実施形態では、封着領域154は、多層フィルム100の縁部524、フランジ518の外縁部522、またはその両方から離間されてもよい。
【0083】
封着領域154は幅W1を有することができ、フランジ518は幅W2を有することができる。封着領域154の幅W1は、フランジ518の幅W2以下であってもよい。他の実施形態では、多層フィルム100は、トレイ510の側壁514の表面など、トレイ510の他の表面に封着されてもよい。封着領域154の幅W1は、パッケージ500を初期開封または再開封するのに必要な初期開封力または再開封力を変更するように調整することができる。
【0084】
図5Aを参照すると、いくつかの実施形態では、パッケージ500の多層フィルム100は、多層フィルム100の縁部524の近傍にタブ528を含むことができる。タブ528において、多層フィルム100は、トレイ510のフランジ518に封着されない場合がある。したがって、タブ528は、封着領域154から外側に延びる多層フィルム100の非封着領域を含むことができる。タブ528は、パッケージ500の開封または再開封を可能にするために、初期開封力、再開封力、またはその両方を多層フィルム100に加える場所を提供し得る。
【0085】
図5Bを参照すると、封着領域154から内側に配設された多層フィルム100の非封着領域156は、トレイ510の開封側面516を覆うようにトレイ510の開封側面516上に延びてもよい。トレイ510の底壁512および側壁514、ならびに多層フィルム100の非封着領域156は、パッケージ500の容積502を画定し得る。
【0086】
図5Cを参照すると、多層フィルム100の再閉機能を作動するために、パッケージ500を初期開封することができる。パッケージ500の初期開封中に、多層フィルム100に初期開封力F1を加えて、多層フィルム100をトレイ510から引き離し、それによりパッケージ500を開封することができる。前述のように、初期開封力F1を多層フィルム100に加えると、多層フィルム100の層Aは、境界面160、第2の境界面161、またはその両方で、フランジ518の外表面520にほぼ垂直な方向に破損する可能性があり、層Bは、フランジ518の外表面520にほぼ平行な方向に付着破壊する可能性がある。多層フィルム100の層Bの付着破壊により、層Bの組成物の第1の部分162が層Aの底部外表面114に結合し、層Bの組成物の第2の部分164が層Cの上部外表面132に結合することがある。前述したように、パッケージ500は、多層フィルム100をトレイ510と接触させるように戻すことによって、封着領域154内の層Bの組成物の第1の部分162および第2の部分164が接触するように再閉することができる。多層フィルム100にトレイ510のフランジ518に向かう方向に再閉圧力を加えて、層Bの組成物の第1の部分162および第2の部分164を一緒に接着して、パッケージ500を再閉および再封着することができる。パッケージ500は、力を再び加えて、多層フィルム100をトレイ510から引き離すことにより、再開封することができる。パッケージ500は、1回または複数回、再閉および再開封することができる。
【0087】
130℃以上の密封温度で多層フィルム100をトレイ510に封着した後、多層フィルム100は、40N/インチ未満、37N/インチ未満、35N/インチ未満、または30N/インチ未満の初期開封力F1、および少なくとも4回の再開封/再閉サイクル後に、2.0N/インチ以上、2.5N/インチ以上、または3.0N/インチ以上の再開封力を示し得る。
【0088】
ここで
図6A~6Cを参照すると、多層フィルム100は、参照番号600により本明細書で特定されるパウチパッケージを作るのに使用され得る。1つ以上の実施形態において、パウチパッケージ600は、垂直型フォームフィルシール(VFFS)パウチパッケージであり得る。パウチパッケージ600は、一般に、多層フィルム100などの可撓性フィルムの単一シート601を含むことができ、シート601は、横方向に配向された第1の端部606および第2の端部607を有する(すなわち、
図6Bの座標軸の+/-X方向に延びる)。シート601はまた、第1の端部606から第2の端部607まで長手方向(すなわち、
図6Bの座標軸の+/-Y方向)に延びる、第1の長手方向縁部608および第2の長手方向縁部609を含むことができる。
【0089】
図6Cを参照すると、パウチパッケージ600を形成するために、第1の長手方向縁部608および第2の長手方向縁部609を互いに接触し、互いに封着して、パウチパッケージ600の内部容積604を画定するスリーブ602を形成する。第1の長手方向縁部608は、フィルムの同じ側がそれ自体と接着接触するように、第2の長手方向縁部609に封着されてもよい。
図6Bを参照すると、第1の長手方向縁部608を第2の長手方向縁部609に封着することにより、第1の端部606から第2の端部607までパウチパッケージ600の一方の側に沿って長手方向(すなわち、
図6A~6Cの座標軸の+/-Y方向)に延びるフィンシール630が形成される。第1の端部606は、一緒に封着されて、第1の端部シール610を形成してもよい。パウチパッケージ600の内容物は、パウチパッケージ600の内部容積604に充填されてもよく、第2の端部607は、第2の端部シールを形成するために封着されてもよい。フィンシール630の一部分は、それぞれパウチパッケージ600の第1および第2の端部シール606、607で第1の端部シール610および第2の端部シール620と重なり合うことができる。パウチパッケージ600は、任意の従来のパウチ包装システムを使用して充填および封着されて形成されてもよい。
【0090】
従来のパウチパッケージは、フィンシールとパッケージの反対側の面を把持し、端部シールの1つを引き離すことで開封することができる。パッケージを開封するのに必要な力の大きさは、端部シールの封着材の量によって異なる。従来のパウチパッケージの端部シールは、少なくとも長さ3cm、幅1.5cm以上であり得る。端部シールのサイズにより、パッケージを開封するために追加の力が必要になる場合がある。さらに、反対側の面をつかむ場所を提供するために、余分な未封着のフィルム材料が必要になる場合がある。したがって、従来のパッケージの内部容積604は、パッケージの開封を可能にするために、その中に含まれる内容物の容積よりも大きくする必要があり得る。従来のパウチパッケージの多くは、アクリルまたは水ベースのコールドセット接着剤を使用して、端部シールおよびフィンシールで封着されている。これらのアクリルまたは水ベースの接着剤は、従来のパウチパッケージに再閉および再開封機能を提供しない。さらに、アクリルまたは水ベースの接着剤の塗布には、従来のパウチパッケージを作成および封着するための追加の処理ステップが必要になる場合がある。
【0091】
本開示のパウチパッケージ600は、パウチパッケージ600に再開封/再閉機能を提供することができる本明細書に記載の多層フィルム100を使用して作られる。さらに、パウチパッケージ600は、パウチパッケージ600のフィンシール630から開封することができ、これにより、フィンシール630の形状を変更することにより、初期開封力、再開封力、またはその両方を制御することができる。
【0092】
図6Bを参照すると、いくつかの実施形態では、可撓性フィルムの単一シート601は、パウチパッケージ600が完全に多層フィルム100から構築され得るように、多層フィルム100を含み得る。
図6Cを参照すると、パウチパッケージ600を作る際、長手方向縁部608、609は、第1の長手方向縁部608に面する多層フィルム100のフィルム上部外表面102と互いに接触させることができ、フィンシール630に沿って第2の長手方向縁部609のフィルム上部外表面102に接触する。この構成では、第1の長手方向縁部608での層Aのシール組成物は、第2の長手方向縁部609での層Aのシール組成物と接触している。したがって、多層フィルム100のフィルム上部外表面102は、
図6Cに示されるように、パウチパッケージの内部容積604を画定するパウチパッケージ600の内面を形成する。したがって、多層フィルム100の層Cおよびフィルム底部外表面104は、パウチパッケージ600の内部容積604から外側に面している。
【0093】
第1の長手方向縁部608および第2の長手方向縁部609は、例えばヒートシールによって、フィンシール630に沿って一緒に封着され、フィン632を形成することができる。フィン632は、フィンシール630と、多層フィルム100の第1および第2の長手方向縁部608、609の近傍に位置付けられたタブ640とを含み得る。フィン632は、パウチパッケージ600の内部容積604から離れるように延びてもよい。フィン632は、
図6Cでは垂直に上方に延びるように(すなわち、
図6Cの座標軸の+Z方向)示されているが、フィン632は、充填および封着後にパウチパッケージ600の側面に対して折り畳まれることが多い。タブ640は、多層フィルム100が封着されていないフィン632の一部分であってもよい。フィンシール630は、パウチパッケージ600の内部容積604を画定するタブ640とスリーブ602との間に配設されてもよい。フィンシール630は、多層フィルム100の封着領域154を含んでもよく、スリーブ602およびタブ640は、多層フィルム100の非封着領域156を含んでもよい。タブ640は、パウチパッケージ600の初期開封および再開封を容易にするために、多層フィルム100の第1および第2の長手方向縁部608、609が把持され得る領域を提供し得る。タブ640は、フィン632の長手方向寸法全体に延びてもよく、フィン632の長手方向寸法の一部分のみに延びてもよい。
【0094】
図6Cを参照すると、フィン632がスリーブ602から垂直に(すなわち、+Z方向に)延びており、フィン632は、パウチパッケージ600のスリーブ602から多層フィルム100の第1および第2の長手方向縁部608、609まで測定される全高Hを有し得る。フィンシール630は、スリーブ602からタブ640まで測定されたフィンシール高さH
Sを有することができる。タブ640は、フィンシール630から多層フィルム100の第1および第2の長手方向縁部608、609まで測定されたタブ高さH
Tを有することができる。
【0095】
図6Bを参照すると、第1の端部シール610および第2の端部シール620は、多層フィルム100の層Aが第1の端部シール610および第2の端部シール620に沿ってそれ自体に封着されるように、フィルム上部外表面102が互いに向き合うように封着されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、第1の端部シール610、第2の端部シール620、または両方は、パウチパッケージ600の初期開封後に再開封/再閉機能を示し得る。
【0096】
いくつかの代替実施形態では、パウチパッケージ600を作るために使用されるシート601は、本明細書で開示される多層フィルム100とは異なる可撓性フィルムで構築されてもよく、シート601は、シート601の第1の長手方向縁部608、第2の長手方向縁部609、または両方に沿って可撓性フィルムに結合された多層フィルム100の1つ以上のストリップを含み得る。多層フィルム100のストリップの幅は、パウチパッケージ600のフィン632の高さH以上であり得る。第1および第2の長手方向縁部608、609は、多層フィルム100のストリップに沿って封着され、フィンシール630を形成し得る。フィンシール630における多層フィルム100のストリップは、パウチパッケージ600に再開封/再閉機能を提供し得る。いくつかの実施形態では、多層フィルム100の追加のストリップを第1の端部606、第2の端部607、またはその両方に沿って含めて、第1の端部シール610、第2の端部シール620、または両方が再開封/再閉機能を示すようにしてもよい。
【0097】
本明細書ではパウチパッケージ600を3層の多層フィルム100の文脈で説明するが、本明細書で開示する組成物を組み込み、例えば多層フィルム200などの3層以上の多層フィルムも、パウチパッケージ600を作るために使用できることを理解されたい。
【0098】
図7A-7Cを参照すると、パウチパッケージ600は、フィンシール630で初期開封され、フィンシール630に対応する封着領域154内の多層フィルム100の再閉/再開封機能を作動させることができる。多層フィルム100の再閉/再開封機能は、パウチパッケージ600が初期開封されるまで作動しない。パウチパッケージ600の初期開封中に、初期開封力F1を第1の長手方向縁部608で多層フィルム100に加えてもよく、第2の長手方向縁部609は、フィンシール630に沿って多層フィルム100の長手方向縁部608、609を引き離し、それによりパウチパッケージ600を開封する。例えば、第1の長手方向縁部608を一方の手で把持し、第2の長手方向縁部609を他方の手で把持し、長手方向縁部608、609を互いに引き離すことができる。したがって、力F1は、多層フィルム100の第1および第2の長手方向縁部608、609の両方に加えられ得る。
【0099】
図7Bを参照すると、前述のように、初期開封力F1を多層フィルム100の長手方向縁部608、609に加えると、多層フィルム100の層Aは、フィンシール630とタブ640との間の移行点にある境界面160において、多層フィルム100のフィルム上部外表面102にほぼ垂直な方向(例えば、
図7Bに示される+/-X方向)に破損する場合がある。次いで、層Bは、多層フィルム100のフィルム上部外表面102にほぼ平行な方向(例えば、
図7Bに示される+/-Z方向)に付着破壊する場合がある。多層フィルム100の層Bの付着破壊により、層Bの組成物の第1の部分162が層Aの底部外表面114に結合し、層Bの組成物の第2の部分164が層Cの上部外表面132に結合することがある。
図7Bは、パウチパッケージ600の初期開封中に機能しないとして、第2の長手方向縁部609における多層フィルム100の層Aおよび層Bを示す。しかしながら、第1の長手方向縁部608上の多層フィルム100の層Aおよび層Bは、パウチパッケージ600の初期開封中に破損する可能性があることを理解されたい。フィンシール630への開封力F1の継続的な印加はまた、第1の端部シール610、第2の端部シール620、または両方で多層フィルム100の初期開封を引き起こし得る。
【0100】
パウチパッケージ600は、フィンシール630および/または第1または第2の端部シール610、620に沿って、層Bの組成物の第1の部分162を層Bの組成物の第2の部分164と接触するように戻すことによって再閉することができる。フィンシール630(および/または端部シール610、620)の両側から多層フィルム100に再閉圧力を加えて、層Bの組成物の第1の部分162および第2の部分164を一緒に接着して、フィンシール630(および/または端部シール610、620)に沿ってパウチパッケージ600を再閉および再封着することができる。フィンシール630または端部シール610、620において多層フィルム100を再び引き離す力を再び加えることにより、パウチパッケージ600を再開封することができる。パウチパッケージ600は、複数の再閉/再開封サイクルを通じて再閉および再開封することができる。
【0101】
初期開封および再閉は、両方の長手方向縁部608、609に多層フィルム100を含むパウチパッケージ600の文脈で説明されている。しかしながら、多層フィルム100の単一ストリップがシート601の第1の長手方向縁部608または第2の長手方向縁部609のみに適用される場合、パウチパッケージ600を開封および再閉する動作の原理は同じである。130℃以上の密封温度で多層フィルム100をフィンシール630に沿って封着した後、多層フィルム100は、40N/インチ未満、37N/インチ未満、35N/インチ未満、または30N/インチ未満の初期開封力F1、および少なくとも4回の再開封/再閉サイクル後に、2.0N/インチ以上、2.5N/インチ以上、または3.0N/インチ以上の再開封力を示し得る。
【0102】
パウチパッケージ600を初期開封し、再閉/再開封機能を作動する初期開封力F1、および再閉後にパウチパッケージ600を再開封する再開封力は、フィンシール630の寸法を変更することにより制御することができる。例えば、
図6Cを参照すると、フィンシール630のシールフィン高さH
Sを増加させると、フィンシール630を初期開封するのに付着破壊しなければならない層Bの量を増加させることによってパウチパッケージ600を初期開封するのに必要な初期開封力F1の大きさを増加させることができる。同様に、フィンシールの高さH
Sを減少させると、初期開封力F2の大きさが減少する。フィンシール高さH
Sを増加または減少させることにより、パウチパッケージ600を再開封するのに必要な再開封力をそれぞれ増加または減少させることもできる。いくつかの実施形態では、フィンシール630は、フィンシール630の初期開封前にフィンシール630の不注意な開封を防止するのに十分なフィンシール高さH
Sを有し得る。いくつかの実施形態では、フィンシール630は、40N/インチ未満、37N/インチ未満、35N/インチ未満、または30N/インチ未満の初期開封力でフィンシール630を開封することを可能にするのに十分に小さいフィンシール高さH
Sを有し得る。いくつかの実施形態では、フィンシール630は、1.0インチ以下、0.75インチ以下、または0.5インチ以下、または0.25インチ以下のフィンシール高さH
Sを有し得る。
【0103】
フィンシール高さH
Sの変更は、パウチパッケージ600を作るために使用されるシート601の全体的な横幅を増加または減少させることにより達成され得る。シート601の全横幅は、シート601をスリーブ602に形成する前の、シート601の第1の長手方向縁部608と第2の長手方向縁部609との間の横方向距離(すなわち、
図6Bの座標軸の+/-X方向の距離)として測定される。例えば、より広いシート601(すなわち、より大きな全横幅を有するシート601)を使用すると、フィンシール630での多層フィルム100のより大きな重なりが可能になり、それによりパウチパッケージ600を開封するために必要なフィンシール高さH
Sおよび初期開封力F1が増加する。パウチパッケージ600を開封するのに必要な初期開封力F1は、フィンシール630を初期封着するために使用される密封温度、密封圧力、またはその両方を制御することによって制御されてもよい。
【0104】
図8A~8Cを参照すると、タブ640は、フィンシール630に対して様々な形状および位置を有し得る。
図8Aを参照すると、いくつかの実施形態では、タブ640Aは、パウチパッケージ600の第1の端部606から第2の端部607まで、フィンシール630の長手方向長さL1全体にわたって延びていてもよい。タブ640Aのタブ高さH
Tは、長手方向長さL1に沿って同じであってもよいし、フィンシール630の長手方向長さL1に沿って変化してもよい。
図8Bを参照すると、他の実施形態では、タブ640B、640Cは、パウチパッケージ600の第1の端部606または第2の端部607の近傍に位置付けられ、フィンシール630の長手方向長さL1に沿って部分的にのみ延びていてもよい。
図8Bに示すように、タブ640Bは、フィンシール630に沿った位置の関数として変化する(すなわち、
図8Bの座標軸の+/-Y位置の関数として変化する)タブ高さH
Tを有し得る。あるいは、タブ640Cは、フィンシール630に沿った+/-Y位置に関して一定のタブ高さH
Tを有し得る。
図8Cを参照すると、さらに他の実施形態では、タブ640Dは、フィンシール630の長手方向長さL1よりも短いタブ長さL2を有してもよい。タブ640Dは、タブ640Dがパウチパッケージ600の第1の端部606または第2の端部607に近接しないように、フィンシール630の長手方向長さL1の中央に配設されてもよい。タブ640の他の形状、サイズ、および構成が考えられる。
【0105】
パウチパッケージ600の代替の実施形態では、第1の長手方向縁部608は、第2の長手方向縁部609と重なり、封着されて、第1の長手方向縁部608に沿った多層フィルム100のフィルム上部外表面102は、第2の長手方向縁部609に沿った多層フィルム100のフィルム底部外表面104と接着接触する。これらの実施形態では、
図6A~
図6Cに示されるフィンシール630の代わりにラップシールを形成するために、第1の長手方向縁部608を第2の長手方向縁部609に封着することができる。
【0106】
ここで
図9A~9Cを参照すると、本明細書に開示される多層フィルム100は、
図9Aおよび9Bのスタンドアップパウチ900および
図9Cのピローパウチ950などの様々な他のパウチパッケージを作るのに使用され得る。ここで
図9Aおよび9Bを参照すると、スタンドアップパウチ900は、第1の側面902、第2の側面904、および第1の側面902と第2の側面904との間に延びる底部906を含むことができる。底部906は、スタンドアップパウチ900に起伏のある底部を提供するガセット908を含むことができる。第1の側面902は、第1の縁部シール912、第2の縁部シール914、および上縁部シール916に沿って第2の側面904に結合され得る。いくつかの実施形態では、第1の側面902は、ヒートシールまたは他のシールプロセスによって第2の側面904に結合されてもよい。
【0107】
いくつかの実施形態では、スタンドアップパウチ900の第1の側面902、第2の側面904、または底部906のうちの1つ以上は、多層フィルム100から作られてもよい。これらの実施形態では、多層フィルム100は、層A(
図1)およびフィルム上部外表面102(
図1)がスタンドアップパウチ900の内部容積に向かって内側に面し得るように配向されてもよい。したがって、フィルム上部外表面102は、スタンドアップパウチ900の内部容積の少なくとも一部分を画定してもよい。層Cおよびフィルム底部外表面104は、スタンドアップパウチ900の内部容積から離れて外向きに面してもよい。いくつかの実施形態では、多層フィルムの層Cは、スタンドアップパウチ900の第1の側面902、第2の側面904、および/または底部906の外面を含むことができる。
【0108】
多層フィルム100の層Aのシール組成物は、第1の縁部シール912、第2の縁部シール914、および/または上縁部シール916に沿って、スタンドアップパウチ900の反対側の内面に封着(すなわち、接着接触する)することができる。多層フィルム100は、第1の縁部シール912、第2の縁部シール914、および/または上縁部シール916で初期開封され、多層フィルム100の再閉/再開封機能を作動させることができる。いくつかの実施形態では、第1の側面902および第2の側面904は、可撓性フィルムから作られてもよく、多層フィルム100のストリップは、第1の縁部シール912、第2の縁部シール914、および/または上縁部シール916に沿ってスタンドアップパウチ900の第1の側面902および第2の側面904との間に配設されてもよい。
【0109】
図9Cを参照すると、ピローパウチ950は、第1の側面952および第2の側面(図示せず)を含むことができる。第1の側面952、第2の側面、または両方は、多層フィルム100を含むことができる。多層フィルム100は、層A(
図1)およびピローパウチ950の反対側(すなわち、第1の側面952または第2の側面)に向かって内側に面するフィルム上部外表面102(
図1)で配向されてもよい。多層フィルム100のフィルム底部外表面104は、ピローパウチ950の外面を形成するために外側に面してもよい。第1の側面952および第2の側面は、第1の側面952および第2の側面の外縁部の近傍にあり得る封着領域154に沿って一緒に封着され得る。
【0110】
ここで
図10Aおよび10Bを参照すると、本明細書に開示される多層フィルム100は、ボックス包装と併せて使用して、再閉可能ボックス1000を作ることができる。再閉可能ボックス1000は、上部パネル1012、底部パネル1014、および底部パネル1014から上部パネル1012まで延びる複数の側面パネル1016を含むボックス1010を含むことができる。ボックス1010は、繊維板、厚紙、段ボール、剛性プラスチック、金属、セラミック、他の剛性材料、またはこれらの組み合わせなどの剛性または半剛性材料から作られてもよい。上部パネル1012、底部パネル1014、および複数の側面パネル1016は、再閉可能ボックス1000の内部容積を画定してもよい。
図10Aを参照すると、いくつかの実施形態では、上部パネル1012は、再閉可能ボックス1000の内容物を分配するための開封部1018を含むことができる。
【0111】
再閉可能ボックス1000は、上部パネル1012の開封部1018を覆うように位置付けられ、開封部1018を覆うように上部パネル1012に封着される多層フィルム100を含むことができる。多層フィルム100は、層A(
図1)およびフィルム上部外表面102が上部パネル1012に向かって内側に面し得るように配向され、フィルム上部外表面102が再閉可能ボックス1000の上部パネル1012に接触する。多層フィルム100の層Cおよびフィルム底部外表面104は、再閉可能ボックス1000の上部パネル1012から離れて外側に面してもよい。
【0112】
図10Aを参照すると、多層フィルム100は、ボックス1010の開封部1018の近傍にあり、その周囲を囲むボックス1010の外面1022にヒートシールまたは他の方法で接着されてもよい。多層フィルム100は、ボックスをその最終形状に折り畳む前または後にボックス1010に封着されてもよい。多層フィルム100の封着領域154は、フィルム上部外表面102がボックス1010の外面1022と接着接触している多層フィルム100の領域を含むことができる。多層フィルム100の非封着領域156は、ボックス1010の開封部1018を覆う多層フィルム100の部分を含むことができる。多層フィルム100は、多層フィルム100を初期開封および再開封するためのタブ158を含むことができる。タブ158では、多層フィルム100のフィルム上部外表面102は、ボックス1010の外面1022に接着または封着されない。
【0113】
多層フィルム100を開封することにより、再閉可能ボックス1000は、初期開封することができる。前述のように、多層フィルム100は、ボックス1010の外面1022から離れる方向に初期開封力を多層フィルム100に導入することによって開封することができる。例えば、タブ158を使用して、多層フィルム100をボックス1010の外面1022から離れる方向に引き離してもよい。層Aはタブ158の縁部で破損し得、層Bは封着領域154で付着破壊し得、層Bの組成物の第1の部分162を層Aの底部外表面114に残し、組成物の第2の部分164を層Cの上部外表面132に残す。層Aは、層Cおよび組成物の第2の部分164がボックス1010から引き離されるときに、封着領域154でボックス1010の外面1022に封着されたままであり得る。初期開封力が加えられ続けると、層Aは、ボックス1010の開封部1018を露出するために、封着領域154と非封着領域156との境界面で破損する可能性がある。
【0114】
多層フィルム100を初期開封することにより、多層フィルム100の再閉/再開封機能を作動させることができる。多層フィルム100は、層Bの組成物の第2の部分164が封着領域154の組成物の第1の部分162と接触した状態で多層フィルム100を元の位置に戻し、多層フィルム100に再閉圧力を加えることにより、再閉することができる。多層フィルム100は、再閉可能ボックス1000を開閉するために、複数の再閉サイクルを介して再開封および再閉されてもよい。
【0115】
図10Bを参照すると、他の実施形態では、開封部1018は、ボックス1010の側面パネル1016の1つに位置付けられてもよい。この構成では、多層フィルム100は、開封部1018を囲む側面パネル1016に接着または封着されてもよい。本明細書では、再閉可能ボックス1000を3層の多層フィルム100の文脈で説明するが、本明細書に開示される組成物を組み込み、例えば多層フィルム200などの3層以上の多層フィルムも再閉可能ボックスを1000を作るために使用できることを理解されたい。
【0116】
図5A~10Bは、本開示の実施形態による多層フィルム100および組成物を組み込むことができる再閉可能パッケージ設計のいくつかの例を示しているにすぎない。当業者は、本明細書に開示される多層フィルムおよび組成物が組み込まれ得る他のパッケージタイプ、形状、およびサイズを容易に識別することができる。例えば、多層フィルムおよび/または組成物は、パッケージに再閉性を提供するためにジッパーまたは他の機械的手段が使用されているパッケージの形状およびサイズに組み込むことができる。加えて、多層フィルムおよび組成物は、少なくとも1つの可撓性フィルムを含む広範囲のパッケージタイプおよび形状に組み込まれ得る。これらの包装タイプの例には、トレイ包装、ピローパウチ、垂直型フォームフィルシール(VFFS)包装、水平型フォームフィルシールパッケージ、スタンドアップパウチ、または他のパウチなどのパウチ包装、バッグ、ボックス、または他の種類の包装が含まれるが、これに限定されない。再閉可能フィルムおよび組成物は、オーバーラップ、バッグ、または他の二次包装などの、一次包装または二次包装に組み込まれてもよい。本明細書に開示される再閉可能フィルムおよび/または組成物を有する他の包装タイプ、形状およびサイズも企図される。
【0117】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される再閉可能包装を使用して、食品、飲料、消費財、パーソナルケア用品、または他の物品を包装することができる。本明細書に開示される再閉可能包装を使用して包装され得る食品は、砂糖、スパイス、小麦粉、コーヒー、もしくは他の微粒子などの特定の食品、肉、チーズ、スナック、野菜、焼き菓子、ペットフード、パスタ、もしくはその他の固形食品などの固形食品、牛乳、スープ、飲料、もしくはその他の液体食品などの液体食品、および/または米、ドッグフード、小麦粉もしくは他の穀物、あるいは他のバルク食品などのバルク食品などを含むことができる。再閉可能包装を使用して包装できる消費財には、家電、ハードウェア、玩具、スポーツ用品、プラスチック器具、自動車部品、バッテリー、クリーニング用品、ソフトウェアパッケージ、塩、またはその他の消費財が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に開示される再閉可能パッケージはまた、食品保存袋または冷凍庫袋などの消費後保存袋に組み込まれてもよい。当業者は、本明細書に開示される再閉可能包装の多くの他の潜在的な用途を認識することができる。
【0118】
試験方法
密度
密度はASTM D792に従って測定され、グラム/立方センチメートル(g/ccまたはg/cm3)で報告される。
【0119】
メルトインデックス
メルトインデックス(I2)は、ASTM D1238-10に従って、190℃および2.16kgの負荷の条件下で測定される。メルトインデックス(I2)は、10分あたりの溶出グラム数(g/10分)で報告される。
【0120】
示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定(DSC)を使用して、広範囲の温度にわたるポリマーの溶融、結晶化、およびガラス転移挙動を測定することができる。DSC分析は、冷蔵冷却システム(RCS)を備えたTAインスツルメントQ1000DSCで実行でき、オートサンプラーを使用して分析を実行する。試験中、50ml/分の窒素パージガスフローを使用する。各試料を約175℃で薄フィルムに溶融圧縮する。その後、溶融した試料を室温(約25℃)まで空冷する。3~10mg、6mmの直径の試料は、冷却されたポリマーから抽出され、秤量され、軽量アルミニウムパン(約50mg)内に載置され、圧着閉鎖される。次いで、その熱的特性を決定するために分析を行う。
【0121】
試料の熱挙動は、試料温度に上下の勾配を付けて熱流量対温度プロファイルを作成することにより決定する。熱履歴を除去するために、まず、試料を230℃まで急速に加熱し、5分間等温保持した。次に、試料は、10℃/分冷却速度で-90℃まで冷却されて、5分間-90℃で等温保持された。次いで、試料を10℃/分の加熱速度で230℃(これは「第2の加熱」勾配である)まで加熱した。冷却および第2の加熱曲線を記録する。決定した値は、外挿された融解開始Tm、および外挿された結晶化開始Tcである。(1グラム当たりのジュールでの)融解熱(Hf)、および以下の等式を使用して計算されたポリエチレン試料の結晶化度%:
結晶化度%=((Hf)/292(J/g))x100
【0122】
融解熱(Hf)およびピーク溶解温度は、第2の熱曲線から報告される。ピーク結晶化温度を、冷却曲線から決定する。
【0123】
まず、融解転移の開始と終了との間にベースラインを引くことにより、DSC加熱曲線から融点Tmを決定する。次いで、融解ピークの低温側のデータに、接線を引く。この線がベースラインと交差する場所が、外挿された融解開始(Tm)である。これは、Characterization of Polymeric Materials,2nd edition,Academic Press,1997,E.Turi ed.,pgs277and278.のB.Wunderlichに記載されているとおりである。結晶化温度Tcは、結晶化ピークの高温側に接線を引いたことを除いて、上記のように、DSC冷却曲線から決定される。この接線がベースラインと交差する場所が、外挿された結晶化(Tc)の開始である。ガラス転移温度、Tgは、Thermal Characterization of Polymeric Materials,2nd edition,Academic Press,1997,E.Turi ed.,pg278and279.のB.Wunderlichに記載されているように、半分の試料が液体熱容量を得たDSC加熱曲線から決定される、ガラス転移領域の下および上からベースラインを引き、Tg領域を通して外挿する。試料の熱容量がこれらのベースラインの中間となる温度は、Tgである。
【0124】
ポリマーおよび配合物の動的機械分光法(DMS)
動的機械分光法(DMS)は、180℃のホットプレスで10MPaの圧力で5分間形成された圧縮成形ディスクで実行され、その後プレスで90℃/分で水冷される。DMS試験は、TAインスツルメントから入手できる、ねじり試験用のデュアルカンチレバー固定具を備えたAdvance Rheometric Expansion System(ARES)制御ひずみレオメータを使用して実施される。
【0125】
ポリマー試験の場合、1.5mmのプラークをプレスし、寸法32x12mmのバー(試験試料)にカットする。試験試料の両端部を10mm離れた(把持間隔AL)固定具の間に固定し、-100℃~200℃(ステップごとに5℃)の連続温度ステップにさらす。各温度で、10rad/sの角周波数でねじれ弾性率G’を測定し、ひずみの振幅を0.1パーセント~4パーセントに維持して、トルクが十分であり、測定が線形状態のままであることを確認する。
【0126】
10gの初期静的力が維持され(自動張力モード)、熱膨張が発生したときの試料のたるみを防ぐ。結果として、把持間隔ALは、温度とともに、特にポリマー試料の融点または軟化点を超えて増加する。試験は最高温度で、また固定具間の間隙が65mmに達すると停止する。
【0127】
PSAの配合物試験では、窒素パージ下で8mmの平行プレートジオメトリを備えたTAインスツルメント(ARES)を使用して、一定温度の周波数掃引を行う。周波数掃引は、間隙2.0mm、一定のひずみ10%で、すべての試料に対して150℃および190℃で実行される。周波数間隔は0.1~100ラジアン/秒である。応力応答は振幅と位相の観点から分析され、そこから貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)、動的溶融粘度(eta*、またはη*)が計算される。
【0128】
一定周波数の温度掃引は、窒素パージ下で8mmの平行板形状を備えたTAインスツルメントARESひずみレオメータを使用して実行される。温度掃引は、間隙2.0mm、一定のひずみ10%で、すべての試料に対して-40℃~200℃の周波数1Hzで実行される。周波数間隔は0.1~100ラジアン/秒である。応力応答は振幅と位相の観点から分析され、そこから貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)、動的溶融粘度(eta*、またはη*)が計算される。
【0129】
剥離接着試験
接着試験は、感圧性テープ協議会(PSTC)のPSTC-101試験方法Aの一般的な枠組みに従う。これは、対象の表面に対して、305mm/分で180度の角度で剥離する。この場合、再閉機能が存在するように設計されている接着剤層に隣接するフィルム層が対象の表面である。可撓性フィルム試料は、マスキングテープを使用してステンレス鋼パネルに固定される[PET/無溶剤接着剤/コア(3層)/PSA/シーラント/シーラント/PSA/コア(3層)/無溶剤接着剤/PET/試験片の一方の自由端(シーラント/PSA/コア(3層)/無溶剤接着剤/PET)でマスキングテープでパネルに固定し、マスキングテープの接着剤は、試験片の自由端のシーラント層と接触している]。第2のマスキングテープを使用して、試験片の折り曲げた端部をパネルに固定し、ここでは、テープは折り目から約10mmに配置される[マスキングテープ/PET/無溶剤接着剤/コア(3層)/PSA/シーラント/シーラント/PSA/コア(3層)/無溶剤接着剤/PET/マスキングテープでパネルに固定され、マスキングテープの接着剤は、試験片の折り畳まれた端部の上部PET層と接触している]。試験片のもう一方の自由端は、試験片の固定された自由端から180°で剥離され、実施例1~5ではPSA内で、比較例1および2[自由端:PET/無溶剤接着剤/コア(3層)/-BREAK-PSA/シーラント/シーラント/PSA/コア(3層)/無溶剤接着剤/PET-パネル]ではPSA-コア界面で破断し、力値を与える。
【0130】
BLUEHILL 3ソフトウェアを実行しているINSTRON 5564を使用して、剥離データを収集する。すべての試料は標準条件、23℃、50%RHに平衡化されている。試験は標準条件でも行われる。各積層フィルムの5つの試験試料についてピーク力を記録し、平均する。第1の剥離後、試料積層用のPSTC試験方法で指定された標準ローラー条件を使用して、試験片を再閉する。試験片のローリング/密封および試験片の試験/剥離の標準的な滞留時間は20分であるが、PSAの回復を試験するためにいくつかのより長い滞留時間を実施しており、表5(23℃および50%RH)に示される。試験片は10回、または力を測定できなくなるまで再閉される。接着性結果を表5に示す。PSA破壊モードは、「C」として記録され、PSA層を介した付着破壊を意味し、「A」はPSAと隣接層との間の接着剥離を意味する。
【実施例】
【0131】
以下の実施例は、本明細書に記載される組成物および多層フィルムの様々な実施形態を例示する。以下の実施例および比較例の組成物は、単段二軸押出プロセスを使用して配合された。配合操作は、Century-ZSK-40 45.375長さ対直径比(L/D)(Eleven Barrels)押出機で、バレル4に1つのオイルインジェクターを備えた1つのスクリュー設計を使用して実行される。押出機の最大スクリュー速度は1200rpmである。ポリマーとPICCOTAC粘着付与剤を押出機のメインフィードスロートに供給した。HYDROBRITE550プロセスオイルは、バレル4の注入ポートから追加される。コンパウンドは、12穴(穴径2.362mm)の6つの穴が塞がれたGalaダイと4ブレードハブカッターを備えた水中Galaシステムを使用してペレット化する。付着を防ぐために、必要に応じて石鹸と消泡剤を水浴に加えた。ペレットを回収し、2000ppm POLYWAX 2000(Baker Hughesから入手可能)を散布し、窒素パージ下で24時間乾燥させた。すべての試料について、スクリュー速度は180RPMに設定されている。温度プロファイルは100℃(ゾーン1)、100℃(ゾーン2)、180℃(ゾーン3)、180℃(ゾーン4)、160℃(ゾーン5)、160℃(ゾーン6)、110℃(ゾーン7)、110℃(ゾーン8)、90℃(ゾーン9)、90℃(ゾーン10)、および90℃(ゾーン11)に設定され、ダイ温度は140℃である。
【0132】
以下の表1には、以下の実施例で使用される市販ポリマーの特性が含まれている。
【表1】
【0133】
表1:例示的な組成物
本開示による組成物は、43.4重量%のエチレン/α-オレフィンランダムコポリマー、20重量%のスチレンブロックコポリマー、30重量%の粘着付与剤、および6.6重量%の鉱油を組み合わせることにより製造された。エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーはENGAGE(商標)8842であった。スチレンブロックコポリマーは、VECTOR 4113Aスチレン-イソプレントリブロックコポリマーであり、18重量%のスチレン含有量と42重量%のジブロック含有量を有していた。粘着付与剤は、Eastman Chemical Companyから入手可能なPICCOTAC 1100 C5粘着付与剤であった。粘着付与剤の環球式軟化点は100℃、Mwは2900である。鉱油は、Sonnebornから入手可能なHYDROBRITE 550鉱油で、0.87g/cm3の密度と約70重量%のパラフィン系炭素含有量を示した。
【0134】
実施例1の組成物の個々の成分は、前述の単一段階二軸押出プロセスに従って配合された。次いで、実施例1の組成物について、密度、190℃の温度および2.16kgの負荷でのメルトインデックス(I2)、ならびに230℃の温度および2.16kgの負荷でのメルトフローレートについて試験した。実施例1の組成物の密度、メルトインデックス(I2)、およびメルトフローレートの結果を以下の表2に示す。
【0135】
比較例2:オレフィンブロックコポリマーで配合された比較接着剤組成物
比較例2では、実施例1のエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーの代わりにオレフィンブロックコポリマーを使用して比較接着剤組成物を作製した。比較例2の組成物は、43.4重量%のオレフィンブロックコポリマー、20重量%のスチレンブロックコポリマー、30重量%の粘着付与剤、および6.6重量%の鉱油を含んでいた。オレフィンブロックコポリマーはINFUSE(商標)であった。比較例2のスチレンブロックコポリマー、粘着付与剤、および鉱油は、実施例1について上述したものと同じであった。
【0136】
比較例2の個々の成分は、前述の単段二軸押出プロセスを使用して配合された。比較例2の組成物について、密度、190℃の温度および2.16kgの負荷でのメルトインデックス(I2)、ならびに230℃の温度および2.16kgの負荷でのメルトフローレートについて試験した。比較例2の組成物の密度、メルトインデックス(I2)、およびメルトフローレートの結果を以下の表2に示す。
【0137】
比較例3:少量のオレフィンブロックコポリマーで配合された比較接着剤組成物
比較例3では、実施例1のエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーの代わりにオレフィンブロックコポリマーを使用して比較接着剤組成物を作製した。比較例3の組成物は、比較例2の組成物と比較して、より少ないオレフィンブロックコポリマーとより多くのスチレンブロックコポリマーを含んでいた。比較例3は、接着剤組成物中のスチレンブロックコポリマーの量を増加させる効果を調査するために調製された。
【0138】
比較例3の組成物は、33.4重量%のオレフィンブロックコポリマー、30重量%のスチレンブロックコポリマー、30重量%の粘着付与剤、および6.6重量%の鉱油を含んでいた。オレフィンブロックコポリマーはINFUSE(商標)9107であった。スチレンブロックコポリマー、粘着付与剤、および鉱油は、実施例1について上述したものと同じであった。
【0139】
比較例3の個々の成分は、前述の単段二軸押出プロセスを使用して配合された。比較例3の組成物について、密度、190℃の温度および2.16kgの負荷でのメルトインデックス(I2)、ならびに230℃の温度および2.16kgの負荷でのメルトフローレートについて試験した。比較例3の組成物の密度、メルトインデックス(I2)、およびメルトフローレートの結果を以下の表2に示す。
【0140】
比較例4:多層フィルムを再閉するための市販の接着剤組成物
比較例4については、多層フィルム組成物に再閉能力を提供するものとして市販されている市販の感圧接着剤組成物が得られた。市販の組成物は、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、炭化水素粘着付与剤、およびタルクを含んでいた。市販の組成物は、ポリエチレン/α-オレフィンコポリマーなどのポリエチレン成分を含まなかった。市販の接着剤組成物について、密度、190℃の温度および2.16kgの負荷でのメルトインデックス(I2)、ならびに230℃の温度および2.16kgの負荷でのメルトフローレートについて試験した。比較例4の組成物の密度、メルトインデックス(I2)、およびメルトフローレートの結果を以下の表2に示す。
【0141】
比較例5:スチレンブロックコポリマー、粘着付与剤、および油で配合された比較接着剤組成物
比較例5では、実施例1のエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーを含まないスチレンブロックコポリマーを使用して、比較接着剤組成物を作製した。比較例5の組成物は、64.3重量%のスチレンブロックコポリマー、30重量%の粘着付与剤、および6.6重量%の鉱油を含んでいた。スチレンブロックコポリマーは、VECTOR(登録商標)4213A SISトリブロック/SIジブロックコポリマーであった。粘着性付与剤および鉱油は、実施例1について上述したものと同じであった。
【0142】
比較例5の個々の成分は、前述の単段二軸押出プロセスを使用して配合された。比較例5の組成物について、密度、190℃の温度および2.16kgの負荷でのメルトインデックス(I2)、ならびに230℃の温度および2.16kgの負荷でのメルトフローレートについて試験した。比較例5の組成物の密度、メルトインデックス(I2)、およびメルトフローレートの結果を以下の表2に示す。
【0143】
比較例6:EVAおよびスチレンブロックコポリマーで配合された比較接着剤組成物
比較例6では、実施例1のエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーの代わりにエチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)を使用して比較接着剤組成物を製造した。比較例6の組成物は、20.0重量%のEVA、43.4重量%のスチレンブロックコポリマー、30重量%の粘着付与剤、および6.6重量%の鉱油を含んでいた。EVAは、9重量%の酢酸ビニルを有するELVAX(登録商標)エチレン酢酸ビニルコポリマーであった。スチレンブロックコポリマー、粘着付与剤、および鉱油は、実施例1について上述したものと同じであった。
【0144】
比較例6の個々の成分は、前述の単段二軸押出プロセスを使用して配合された。比較例6の組成物について、密度、190℃の温度および2.16kgの負荷でのメルトインデックス(I2)、ならびに230℃の温度および2.16kgの負荷でのメルトフローレートについて試験した。比較例6の組成物の密度、メルトインデックス(I2)、およびメルトフローレートの結果を以下の表2に示す。
【0145】
実施例7:実施例1および比較例2~6の組成物の特性の比較
以下に提供される表2は、実施例1の組成物および比較例2~6の接着剤組成物の密度、メルトインデックス(I
2)、およびメルトフローレートを含む。
【表2】
【0146】
実施例1の組成物および比較例2、3、5、および6の接着剤組成物をDSCを使用してさらに試験して組成物の融解曲線を決定し、そこから本明細書で前述した試験手順に従って、結晶化温度(Tc℃)、融解温度(Tm℃)、ガラス転移温度(Tg℃)、結晶化熱(ΔHcジュール/グラム(J/g))、および各組成物の融解熱(ΔHmJ/g)を決定した。結果を以下の表3に示す。実施例1の組成物および比較例2、3、5、および6の接着剤組成物は、本明細書で前述したDMS試験手順に従って、DMSを使用してさらに試験され、150℃での動的溶融粘度(η*ミリパスカル秒(mPa・s))、温度150℃での毎秒0.1ラジアンの動的溶融粘度と毎秒100ラジアンの動的溶融粘度の比(150℃でのη*比)、および各組成物の貯蔵弾性率(G’@25℃dyne/cm
2)を決定した。DMS試験の結果を以下の表3に示す。実施例1の組成物を2回試験し、結果を以下の表3に実施例1-Aおよび1-Bとして報告した。
【表3】
【0147】
上記の表3に示すように、実施例1-Aおよび1-Bの組成物は、比較例2、3、5、および6の接着剤組成物と比較して、より低い結晶化温度および溶融温度プロファイルを示した。理論に拘束されるものではないが、より低い結晶化および融解温度は、組成物の成分の二次結晶化を低減または防止し、組成物の付着強度を増加させると考えられている。付着強度が増加すると、組成物の開封力が低下し、粘着性が高まり、再閉力が増加する場合がある。したがって、実施例1の組成物(実施例1-A、1-B)のより低い結晶化および融解温度は、組成物の二次結晶化を低減または防止し、それにより、比較例2、3、5、および6の組成物と比較して組成物の付着強度を増加させ得る。実施例1の組成物のより低い結晶化および融解温度により、実施例1の組成物は、比較例2、3、5、および6の組成物と比較して、より大きな再閉力を示すことが可能になる。
【0148】
さらに、実施例1-Aおよび1-Bの組成物の150℃での動的溶融粘度比(η*比)は、比較例2、3、5、および6の動的溶融粘度比よりも小さかった。理論に拘束されるものではないが、動的溶融粘度比が低いと、フィルム製作(例えば、吸込フィルムの押出し)中にフィルム層が受ける異なる剪断速度などの異なる剪断速度、またはシール条件に応じて、より一貫した挙動に変換されると考えられている。比較例2、3、5、および6の組成物は、より大きな動的溶融粘度比を有し、したがって、剪断速度が変化する場合、吹込フィルム押出中に安定した泡を維持するのがより困難であると予想される。さらに、比較例2、3、5、および6の組成物から製造された接着剤層は、密封圧力の増加とともに大幅に薄くなり、接着剤層の厚さを減らし、接着剤組成物の量を接着剤と包装の再密封による付着剥離を可能にする。比較例2、3、5、および6の組成物と比較して減少した動的溶融粘度比を示した実施例1-Aおよび1-Bの組成物は、剪断速度の変化に対する感受性が低いため、実施例1-Aおよび1-Bの組成物は、比較例2、3、5、および6の組成物と比較して、多層フィルムへの加工が容易であり、ある範囲の密封温度および圧力にわたってより一貫した性能を提供し得る。
【0149】
実施例8:実施例1および比較例2~4の組成物を有する多層フィルム
実施例8では、実施例1の組成物および比較例2および3の接着剤組成物のそれぞれを使用して、多層フィルムを作り、組成物の再閉特性を評価した。多層フィルムは、吹込フィルム押出しを使用して製造された5層フィルムで、層A、層B、層C、層D、および層Eを含んでいる。層Aは、98.4重量%のDOW LDPE 5004i、Ampacet Corporationから入手可能な1.0重量%のAMPACET 10063アンチブロックマスターバッチ、およびAmpacet Corporationから入手可能な0.6重量%のAMPACET 10090スリップマスターバッチを含むシール層であった。層Bは、実施例1の組成物または比較例2~4の接着剤組成物の1つを含んでいた。層C、D、およびEにはすべて、100重量%のDOWLEX 2038.68G LLDPEの同一の層が含まれていた。実施例8の各多層フィルムの配合を以下の表4に提供する。
【表4】
【0150】
吹込フィルム押出試料は、LABTECH 5層吹込フィルムラインを使用して製造され、各層は190℃の同じ温度で形成された。ヒートシール層は気泡の外側に位置付けられ、材料は取り込みローラー上で自己巻き付けされた。フィルム6A~6Cのフィルム製作条件を表5に示す。
【表5】
【0151】
実施例8の表4および表5に示されている多層フィルムは、完全性が良好である。実施例8のこれらの多層フィルムは、共押出可能なポリマー配合物のみから形成された可撓性フィルムである。これらの多層フィルムは、製品の包装に使用でき、従来のフィルム変換機器で処理できる。
【0152】
第4のフィルムである比較フィルム8Dが得られ、評価された。比較フィルム8Dは、吹込フィルム産業において典型的な条件で吹込フィルムプロセスにより製造されたと考えられる市販の多層フィルムであった。フィルム8Dは、主にSISブロックコポリマーを含むことが見出された感圧接着剤層を含んでいた。フィルム8Dは、いかなる種類のポリエチレンコポリマーも含まないことがわかった。
【0153】
実施例8の多層フィルム8A、および比較フィルム8B、8C、および8Dの各々を、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能なMORFREE 403A(無溶媒接着剤)および共反応物C411(無溶剤型接着剤)を使用して、48ゲージ二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)(デュポン帝人から入手可能)に接着積層し、最終積層フィルム構造(シーラント/PSA/コア(3層)/無溶剤型接着剤/PET)を形成した。実施例8の多層フィルムを初期剥離強度について試験し、本明細書で前述した剥離接着試験に従って剥離強度を再閉した。各フィルムの再閉剥離強度は、初期開封剥離強度の後の時間間隔で測定された。フィルム8A、および比較フィルム8B、8C、および8Dのそれぞれについての初期剥離強度およびその後の再閉剥離強度の結果を以下の表6に提供する。剥離強度の測定値は、以下の表6のニュートン/インチ(N/in)の単位である。
【表6】
【0154】
上記の表6に示すように、実施例1の組成物を含むフィルム8Aは、130℃のヒートシール温度で34.7N/inの初期剥離強度を示した。130℃の温度でヒートシールされ、初期開封された後、フィルム8Aは4回の再閉サイクルで少なくとも2.5N/inの再閉剥離接着力と、少なくとも7回の再閉サイクル後に2.0N/inを超える再閉剥離接着力とを示した。150℃の密封温度では、フィルム8Aの初期剥離接着強度は40.5N/inであり、再閉剥離接着強度は4回の再閉サイクル後に3N/inを超え、少なくとも7回の再閉サイクル後に2.0を超えた。
【0155】
主にスチレンブロックコポリマーを含む比較例4の接着剤組成物で製造された比較フィルム8Dは、150℃のヒートシール温度で18.7N/インチの初期剥離強度を示した。150℃の温度でヒートシールされ、初期開封された後、比較フィルム8Dは、4回の再閉サイクルで1.0N/in未満の再閉剥離接着力を示し、少なくとも7回の再閉サイクル後には0.1N/in未満の無視できる再閉剥離接着力を示した。したがって、150℃の初期密封温度で、実施例1の組成物で製造されたフィルム8Aの40.5N/インチの初期剥離強度は、比較例4のスチレンブロックコポリマー感圧接着剤(PSA)を含む比較フィルム8Dの初期剥離強度よりも実質的に高かった。フィルム8Aはまた、比較例4のスチレンブロックコポリマーPSAを含む比較フィルム8Dと比較して、4サイクルおよび7サイクル後に実質的により大きな再閉剥離強度を示した。
【0156】
比較フィルム8Bは、層B用の比較例2の接着剤組成物を含んでいた。比較例2の接着剤組成物は、43.4重量%のエチレン/α-オレフィンブロックコポリマーおよび20重量%のスチレンブロックコポリマーを含んでいた。フィルム8Aは、43.4重量%のエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーを含む実施例1の組成物を含んでいた。したがって、実施例1の組成物と比較例2の接着剤組成物との間の組成の違いは、比較例2で使用されるエチレン/α-オレフィンブロックコポリマーを実施例1のエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーに置き換えることである。130℃の密封温度で、実施例1の組成物を含むフィルム8Aは、34.7N/インチの初期剥離強度を示した。比較例2の接着剤組成物を含む比較フィルム8Bは、43.8N/インチの初期剥離強度を示した。したがって、フィルム8Aは、比較フィルム8Bの初期剥離強度と比較して低い初期剥離強度をもたらした。4サイクル後および7サイクル後のフィルム8Aの再閉剥離強度は、比較例2の接着剤組成物を含む比較フィルム8Bの再閉剥離強度に匹敵した。150℃のヒートシール後に測定された結果は、130℃のヒートシール温度で調製されたフィルムと同様の比較関係を示した。フィルム8Aおよび比較フィルム8Bに関するこれらの結果は、フィルム8Aが比較フィルム8Bと比較してより少ない初期開封力を必要とするが、同等の再閉性能を提供することを示している。したがって、フィルム8Aは、比較フィルム8Bと比較して初期開封するのが容易であるが、比較フィルム8Bと同等の再閉強度を提供するであろう。
【0157】
比較フィルム8Cは、33.4重量%のエチレン/α-オレフィンブロックコポリマーおよび30重量%のスチレンブロックコポリマーのみを含む比較例3の接着剤組成物を含んでいた。したがって、比較フィルム8Cの層Bは、比較フィルム8Bおよびフィルム8Aの層Bと比較して、スチレンブロックコポリマーの割合が増加し、エチレン/α-オレフィンブロックコポリマーの量が減少した。表6の結果が示すように、層Bのスチレンブロックコポリマーの量を増やすと、フィルム8Aの初期剥離強度と比較して比較フィルム8Cの初期剥離強度が低下する。しかしながら、比較フィルム8Cの層B中のスチレンブロックコポリマーの量の増加は、フィルム8Aの再閉剥離強度と比較して比較フィルム8Cの再閉剥離強度性能を低下させることが観察された。比較フィルム8Cの再閉剥離強度性能の低下は、150℃の密封温度で比較例8Cを封着した後により顕著である。比較フィルム8Cのように、層Bのスチレンブロックコポリマーの量を増やすと、初期剥離強度が低下し、フィルムが開封しやすくなるが、層Bのスチレンブロックコポリマーの量を増やすと、再閉剥離強度に悪影響を与える可能性があり、その結果、より弱い再閉封着強度およびフィルムで可能な再閉サイクルの数の減少をもたらす。したがって、層Bに実施例1の組成物を含むフィルム8Aは、層Bにスチレンブロックコポリマーの量を増加させた比較フィルム8Cと比較して、より良好な再閉性能を提供し得る。
【0158】
フィルム8Aは、比較フィルム8Cおよび8Dと比較して、層Bのスチレンブロックコポリマーの量が少ない。したがって、フィルム8Aは、包装された食品の臭気および/または味に影響を与えることなく、食品包装に再閉機能を提供し得る。
【0159】
本開示の第1の態様は、(a)0.890g/cm3以下の密度、100℃以下の融点、および0.2g/10分~8.0g/10分のメルトインデックスを有するエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーと、(b)1重量%超から50重量%未満のスチレン単位を含むスチレンブロックコポリマーと、(c)粘着付与剤と、(d)油と、を含む組成物を対象とし得る。組成物は、2g/10分から15g/10分の組成物の全体的なメルトインデックスを示す。
【0160】
本開示の第2の態様は、組成物が、(a)30重量%~65重量%のエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーと、(b)10重量%~35重量%のスチレンブロックコポリマーと、(c)20重量%~40重量%の粘着付与剤と、(d)0重量%超~8重量%の油と、を含む、第1の態様を含むことができる。
【0161】
本開示の第3の態様は、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーが0.5g/10分~1.5g/10分のメルトインデックスを有する、第1の態様または第2の態様を含むことができる。
【0162】
本開示の第4の態様は、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーが、エチレン/オクテンコポリマーである、第1から第3の態様を含むことができる。
【0163】
本開示の第5の態様は、スチレンブロックコポリマーが、15重量%~25重量%のスチレンを含むスチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーである、第1から第4の態様を含むことができる。
【0164】
本開示の第6の態様は、粘着付与剤が、非水素化脂肪族C5樹脂および水素化脂肪族C5樹脂からなる群から選択される、第1から第5の態様を含むことができる。
【0165】
本開示の第7の態様は、組成物が、0.880~0.930g/cm3の密度を有する、第1から第6の態様を含むことができる。
【0166】
本開示の第8の態様は、組成物を100℃~180℃の密封温度にさらした後、組成物が、40N/インチ以下の初期内部付着力と、少なくとも4回の再閉サイクルの後の2.0N/インチを超える再閉付着力と、を示す、第1から第7の態様を含むことができる。
【0167】
本開示の第9の態様は、組成物が、190℃の温度および1Hzの周波数でDMSを使用して決定される1000Pa・sから1400Pa・sの動的溶融粘度を有する、第1から第8の態様を含むことができる。
【0168】
本開示の第10の態様は、組成物が、150℃の温度および1Hzの周波数でDMSを使用して決定される3200Pa・s~4000Pa・sの動的溶融粘度を有する、第1から第9の態様を含むことができる。
【0169】
本開示の第11の態様は、組成物が、130℃の温度および1Hzの周波数でDMSを使用して決定される7400Pa・s~7800Pa・sの動的溶融粘度を有する、第1から第10の態様を含むことができる。
【0170】
本開示の第12の態様は、組成物が、110℃の温度および1Hzの周波数でDMSを使用して決定される12,400Pa・s~17,200Pa・sの動的溶融粘度を有する、第1から第11の態様を含むことができる。
【0171】
本開示の第13の態様は、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーが、50重量%~70重量%のエチレンコモノマー単位を含む、第1から第12の態様を含むことができる。
【0172】
本開示の第14の態様は、第1から第13の態様のいずれかを含むことができ、それぞれが対向する外表面を有する少なくとも3つの層を含む多層フィルムであって、層Aが、シーラント層を含み、層Bが、本開示の第1から第11の態様のいずれかの組成物を含み、層Bの上部外表面が、層Aの底部外表面に接着接触し、層Cが、ポリオレフィンを含み、層Cの上部外表面が、層Bの底部外表面に接着接触する、多層フィルムを対象とし得る。
【0173】
本開示の第15の態様は、層Cの底部外表面に結合された1つ以上の補助層をさらに含む、第14の態様を含むことができる。
【0174】
本開示の第16の態様は、第1から第15の態様を含むことができ、第1から第13の態様のいずれかの組成物から形成される少なくとも1つの成分を含む物品を対象とし得る。
【0175】
本開示の第17の態様は、基板と、それぞれが対向する外表面を有する少なくとも3つの層を含む多層フィルムであって、層Aが、シーラント層を含み、層Bが、0.890g/cm3以下の密度、100℃以下の融点、および0.2g/10分~8.0g/10分のメルトインデックスを有するエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーと、1重量%超から50重量%未満のスチレン単位を含む、スチレンブロックコポリマーと、粘着付与剤と、油と、を含む組成物を含み、層Cが、ポリオレフィンまたはシーラントを含む、多層フィルムと、を含むパッケージを対象とし得る。層Bの上部外表面が、層Aの底部外表面に接着接触し、層Cの上部外表面が、層Bの底部外表面に接着接触する、層Aの上部外表面の少なくとも一部分が、基板の少なくとも1つの表面に接着接触し、多層フィルムと基板との間にシールを形成する、少なくとも1つの封着領域である。
【0176】
本開示の第18の態様は、層Aの上部外表面が基板の表面に接着されない非封着領域をさらに含み、多層フィルムおよび基板が、非封着領域においてそれらの間に容積を画定する、第17の態様を含むことができる。
【0177】
本開示の第19の態様は、層Bが、多層フィルムを基板から分離するために多層フィルムに加えられる力に応答して付着破壊するように動作可能である、第17または第18の態様を含むことができる。
【0178】
本開示の第20の態様は、パッケージを初期開封すると、層Bが、多層フィルムに再閉圧力を加えると多層フィルムを基板に再閉するように動作可能である、第19の態様を含むことができる。
【0179】
本開示の第21の態様は、多層フィルムは、層Aの上部外表面が基板に封着されていないタブを含み、タブが、多層フィルムの外縁部に近接している、第17から第20の態様を含むことができる。
【0180】
本開示の第22の態様は、100℃~180℃の密封温度で多層フィルムを基板に封着すると、多層フィルムが、少なくとも4回の再閉サイクル後に、40N/インチ未満の初期開封力および2.0N/インチ以上の再開封力を示す、第17から第21の態様を含むことができる。
【0181】
本開示の第23の態様は、基板が可撓性フィルムを含む、第17から第22の態様を含むことができる。
【0182】
本開示の第24の態様は、可撓性フィルムが多層フィルムを含む、第23の態様を含むことができる。
【0183】
本開示の第25の態様は、基板が剛性容器を含む、第17から第22の態様を含むことができる。
【0184】
本開示の第26の態様は、剛性容器がトレイを含む、第25の態様を含むことができる。
【0185】
本開示の第27の態様は、パッケージが垂直型フォームフィルシール(VFFS)パウチパッケージを含む、第17から第24の態様を含むことができる。
【0186】
本開示の第28の態様は、パッケージがスタンドアップパウチパッケージを含む、第17から第24の態様を含むことができる。
【0187】
本開示の第29の態様は、パッケージがピローパウチパッケージを含む、第17から第24の態様を含むことができる。
【0188】
本開示の第30の態様は、パッケージが、開封部を含むボックスを含み、多層フィルムが、開封部の周囲に近接し、それを囲むボックスの外面に封着される、第17から第22の態様を含むことができる。
【0189】
本開示の第31の態様は、層Bの組成物が、2g/10分から15g/10分の組成物の全体的なメルトインデックスを示す、第17から第30の態様を含むことができる。
【0190】
本開示を通して、接着剤組成物、多層フィルム、および接着剤組成物または多層フィルムを含む包装の様々な特性の範囲が提供される。1つ以上の明確な範囲が提供されたときには、あらゆる可能な組み合わせの明確なリストが禁止しない限り、個々の値および該値の間に形成される範囲も提供されることを意図する。例えば、1~10の範囲ならば、1、2、3、4.2、および6.8等の個々の値、ならびに1~8、2~4、6~9、および1.3~5.6等の提供された境界内で形成され得る全ての範囲も含む。
【0191】
接着剤組成物、多層フィルム、および接着剤組成物または多層フィルムを含む包装の様々な態様が説明されており、そのような態様は他の様々な態様とともに利用できることを理解されたい。また、当業者には、特許請求される主題の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を説明される実施形態に行うことができることも理解されるはずである。したがって、そのような修正形態および変更形態が添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内に入る限り、本明細書は、説明される実施形態のそのような修正形態および変更形態を包含することを意図する。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 組成物であって、
(a)0.890g/cm
3
以下の密度、100℃以下の融点、および0.2g/10分~8.0g/10分のメルトインデックスを有するエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーと、
(b)1重量%超から50重量%未満のスチレン単位を含むスチレンブロックコポリマーと、
(c)粘着付与剤と、
(d)油と、を含み、
前記組成物が、2g/10分~15g/10分の前記組成物の全体的なメルトインデックスを示す、組成物。
[2] 前記組成物が、
(a)30重量%~65重量%の前記エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーと、
(b)10重量%~35重量%の前記スチレンブロックコポリマーと、
(c)20重量%~40重量%の前記粘着付与剤と、
(d)0重量%~8重量%の前記油と、を含む、[1]に記載の組成物。
[3] 前記エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーが、0.5g/10分~1.5g/10分のメルトインデックスを有する、[1]または[2]に記載の組成物。
[4] 前記エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーが、エチレン/オクテンコポリマーである、[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5] 前記スチレンブロックコポリマーが、15重量%~25重量%のスチレンを含むスチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーである、[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6] 前記粘着付与剤が、非水素化脂肪族C
5
樹脂および水素化脂肪族C
5
樹脂からなる群から選択される、[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7] 前記組成物が、0.880~0.930g/cm
3
の密度を有する、[1]から[6]のいずれかに記載の組成物。
[8] 前記組成物を100℃~180℃の密封温度にさらした後、前記組成物が、40N/インチ以下の初期内部付着力と、少なくとも4回の再閉サイクルの後の2.0N/インチを超える再閉付着力と、を示す、[1]から[7]のいずれかに記載の組成物。
[9] 前記組成物が、190℃の温度および1Hzの周波数でDMSを使用して決定される1000Pa・s~1400Pa・sの動的溶融粘度を有する、[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
[10] 前記エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーが、50重量%~70重量%のエチレンコモノマー単位を含む、[1]~[9]のいずれかに記載の組成物。
[11] それぞれが対向する外表面を有する少なくとも3つの層を含む多層フィルムであって、
層Aが、シーラント層を含み、
層Bが、[1]~[10]のいずれかに記載の前記組成物を含み、層Bの上部外表面が、層Aの底部外表面に接着接触し、
層Cが、ポリオレフィンを含み、層Cの上部外表面が、層Bの底部外表面に接着接触する、多層フィルム。
[12] 層Cの底部外表面に結合された1つ以上の補助層をさらに含む、[11]に記載の多層フィルム。
[13] [1]~[10]のいずれかに記載の前記組成物から形成された少なくとも1つの成分を含む、物品。
[14] パッケージであって、
基板と、
それぞれが対向する外表面を有する少なくとも3つの層を含む多層フィルムであって、
層Aが、シーラント層を含み、
層Bが、
0.890g/cm
3
以下の密度、100℃以下の融点、および0.2g/10分~8.0g/10分のメルトインデックスを有するエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーと、
1重量%超から50重量%未満のスチレン単位を含む、スチレンブロックコポリマーと、
粘着付与剤と、
油と、を含む組成物を含み、
層Cが、ポリオレフィンまたはシーラントを含み、
層Bの上部外表面が、層Aの底部外表面に接着接触し、
層Cの上部外表面が、層Bの底部外表面に接着接触する、多層フィルムと、
層Aの上部外表面の少なくとも一部分が、前記基板の少なくとも1つの表面に接着接触し、前記多層フィルムと前記基板との間にシールを形成する、少なくとも1つの封着領域と、を含む、パッケージ。