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特許7317015アンテナシステムの位相分布に基づく混信軽減
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】アンテナシステムの位相分布に基づく混信軽減
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/08 20060101AFI20230721BHJP
   H04B 1/10 20060101ALI20230721BHJP
   H04B 7/185 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
H04B7/08 600
H04B1/10 L
H04B7/08 372A
H04B7/08 372C
H04B7/185
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020533607
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 US2018066125
(87)【国際公開番号】W WO2019126096
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-08
(31)【優先権主張番号】62/607,569
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516071365
【氏名又は名称】スマートスカイ ネットワークス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMARTSKY NETWORKS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ハイエス,ジェラード ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】エスクリッジ,ジュニア,エルバート スタンフォード
(72)【発明者】
【氏名】タカミザワ,コウイチロウ
(72)【発明者】
【氏名】スワーツ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】バーツ,マイク
(72)【発明者】
【氏名】レグヴォルド,ジェームス オー.
【審査官】原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-217192(JP,A)
【文献】特開2011-019067(JP,A)
【文献】国際公開第2013/062085(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/08
H04B 7/185
H04B 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおける混信軽減の方法であって、
アンテナアセンブリにおいて前記無線通信システムを構成するATGネットワークの基地局から送信された所望信号を受信するステップと、
前記所望信号の相対起点位置に基づいて前記所望信号を相対位相分布情報に関連付けるステップであって、前記相対位相分布情報は、前記アンテナアセンブリに関してあらかじめ決められており、前記アンテナアセンブリと方位基準球体又は方位基準半球との相対位相に関する分布である相対位相分布を示す情報であり、前記所望信号の相対起点位置は、前記所望信号の起点位置と前記方位基準球体上の基準起点位置との相対的な位置である、前記所望信号を関連付ける前記ステップと、
混信信号を受信するステップと、
前記混信信号の相対起点位置に基づいて前記混信信号を前記相対位相分布情報に関連付けるステップであって、前記所望信号及び前記混信信号が受信信号群を形成しており、前記混信信号の相対起点位置は、前記混信信号の起点位置と前記方位基準球体上の基準起点位置との相対的な位置である、前記混信信号を関連付ける前記ステップと、
前記受信信号群の信号を、それぞれの相対起点位置に関連付けられたそれぞれの相対位相に対して正規化するステップと、
前記正規化するステップで正規化された前記信号である正規化信号に基づいて前記混信信号の混信キャンセルを実施するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
混信キャンセルを実施する前記ステップは、前記所望信号の前記相対起点位置からではない前記正規化信号を反転し、前記アンテナアセンブリに関連付けられた受信機で処理するために、前記反転された正規化信号を前記受信信号群に加算することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
初期動作として前記相対位相分布を特定して前記相対位相分布情報を定義するステップと、
前記方位基準球体又は方位基準半球上の各位置の前記相対位相分布に基づいて位相分布マップを生成するステップと、
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記所望信号を前記相対位相分布情報に関連付ける前記ステップ、並びに前記混信信号を前記相対位相分布情報に関連付ける前記ステップは、それぞれ、前記位相分布マップに基づいて実施される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記所望信号を前記相対位相分布情報に関連付ける前記ステップは更に、前記所望信号を、前記所望信号の前記相対起点位置に基づいて相対振幅分布情報に関連付けることを含み、
前記混信信号を前記相対位相分布情報に関連付ける前記ステップは更に、前記混信信号を、前記混信信号の前記相対起点位置に基づいて相対振幅分布情報に関連付けることを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記所望信号の前記相対起点位置に基づく前記相対振幅分布情報、及び前記混信信号の前記相対起点位置に基づく前記相対振幅分布情報は、それぞれ、前記位相分布マップから取得される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
混信キャンセルを実施する前記ステップは、前記受信信号群のうちの、前記所望信号の前記相対起点位置からではない部分に対応するキャンセル信号を無線周波数(RF)領域において印加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
混信キャンセルを実施する前記ステップは、前記受信信号群のうちの、前記所望信号の前記相対起点位置からではない部分に対応するキャンセル信号をベースバンド領域において印加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記所望信号を前記相対位相分布情報に関連付ける前記ステップは、前記方位基準球体上の位置領域に対する前記所望信号の前記相対起点位置を特定することを含み、前記位置領域が既知の位相分布パターンを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記所望信号を前記相対位相分布情報に関連付ける前記ステップは、前記方位基準半球上の位置領域に対する前記所望信号の前記相対起点位置を特定することを含み、前記位置領域が既知の位相分布パターンを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
アンテナアセンブリにおいて無線通信システムを構成するATGネットワークの基地局から送信された所望信号を受信するステップと、
前記所望信号の相対起点位置に基づいて前記所望信号を相対位相分布情報に関連付けるステップであって、前記相対位相分布情報は、前記アンテナアセンブリに関してあらかじめ決められており、前記アンテナアセンブリと方位基準球体又は方位基準半球との相対位相に関する分布である相対位相分布を示す情報であり、前記所望信号の相対起点位置は、前記所望信号の起点位置と前記方位基準球体上の基準起点位置との相対的な位置である、前記所望信号を関連付ける前記ステップと、
混信信号を受信するステップと、
前記混信信号の相対起点位置に基づいて前記混信信号を前記相対位相分布情報に関連付けるステップであって、前記所望信号及び前記混信信号が受信信号群を形成しており、前記混信信号の相対起点位置は、前記混信信号の起点位置と前記方位基準球体上の基準起点位置との相対的な位置である、前記混信信号を関連付ける前記ステップと、
前記受信信号群の信号を、それぞれの相対起点位置に関連付けられたそれぞれの相対位相に対して正規化するステップと、
前記正規化するステップで正規化された前記信号である正規化信号に基づいて前記混信信号の混信キャンセルを実施するステップと、
を実施するように構成された処理回路を含む混信軽減モジュール。
【請求項12】
混信キャンセルを実施する前記ステップは、前記所望信号の前記相対起点位置からではない前記正規化信号を反転し、前記アンテナアセンブリに関連付けられた受信機で処理するために、前記反転された正規化信号を前記受信信号群に加算することを含む、請求項11に記載の混信軽減モジュール。
【請求項13】
前記処理回路は更に、
初期動作として前記相対位相分布を特定して前記相対位相分布情報を定義するステップと、
前記方位基準球体又は方位基準半球上の各位置の前記相対位相分布に基づいて位相分布マップを生成するステップと、
を実施するように構成された、請求項12に記載の混信軽減モジュール。
【請求項14】
前記所望信号を前記相対位相分布情報に関連付ける前記ステップ、並びに前記混信信号を前記相対位相分布情報に関連付ける前記ステップは、それぞれ、前記位相分布マップに基づいて実施される、請求項13に記載の混信軽減モジュール。
【請求項15】
前記所望信号を前記相対位相分布情報に関連付ける前記ステップは更に、前記所望信号を、前記所望信号の前記相対起点位置に基づいて相対振幅分布情報に関連付けることを含み、前記混信信号を前記相対位相分布情報に関連付ける前記ステップは更に、前記混信信号を、前記混信信号の前記相対起点位置に基づいて相対振幅分布情報に関連付けることを含む、
請求項13に記載の混信軽減モジュール。
【請求項16】
前記所望信号の前記相対起点位置に基づく前記相対振幅分布情報、及び前記混信信号の前記相対起点位置に基づく前記相対振幅分布情報は、それぞれ、前記位相分布マップから取得される、請求項15に記載の混信軽減モジュール。
【請求項17】
混信キャンセルを実施する前記ステップは、前記受信信号群のうちの、前記所望信号の前記相対起点位置からではない部分に対応するキャンセル信号を無線周波数(RF)領域において印加することを含む、請求項11に記載の混信軽減モジュール。
【請求項18】
混信キャンセルを実施する前記ステップは、前記受信信号群のうちの、前記所望信号の前記相対起点位置からではない部分に対応するキャンセル信号をベースバンド領域において印加することを含む、請求項11に記載の混信軽減モジュール。
【請求項19】
前記所望信号を前記相対位相分布情報に関連付ける前記ステップは、前記方位基準球体上の位置領域に対する前記所望信号の前記相対起点位置を特定することを含み、前記位置領域が既知の位相分布パターンを有する、請求項11に記載の混信軽減モジュール。
【請求項20】
前記所望信号を前記相対位相分布情報に関連付ける前記ステップは、前記方位基準半球上の位置領域に対する前記所望信号の前記相対起点位置を特定することを含み、前記位置領域が既知の位相分布パターンを有する、請求項11に記載の混信軽減モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により内容全体が完全な形で本明細書に組み込まれている、2017年12月19日に出願された米国特許出願第62/607,569号の優先権を主張するものである。
【0002】
例示的実施形態は、全般的には無線通信に関し、特に、無線空対地(ATG)ネットワークにおける混信軽減技術に関する。
【背景技術】
【0003】
高速データ通信及びそのような通信を可能にする装置が現代社会のいたるところで見られるようになっている。このような装置は、多数のユーザがインターネット及び他の通信ネットワークとのほぼ途切れない接続を維持することを可能にする。このような高速データ接続は電話回線、ケーブルモデム、又は他のそのような、物理的有線接続を有する装置を通して利用可能であるが、無線接続は、我々が移動性を犠牲にすることなく接続を維持できるという大変革をもたらした。
【0004】
しかしながら、人々は、地上にいる間はネットワークとの接続が途切れなく維持されることが当たり前であるにもかかわらず、いったん航空機に搭乗すると容易且つ/又は安価な接続は中断されるものだと普通に理解している。航空プラットフォームは、今でもまだ、通信ネットワークに容易且つ安価に接続されるようにはなっていない。少なくとも機内の乗客に関してはそうである。飛行中の接続を維持する試みは、典型的にはコストがかかり、帯域制限又は高遅延の問題がある。更に、航空機の通信能力によってもたらされる出費や問題と向き合うことを厭わない乗客は、多くの場合、航空機に設けられている厳格な通信アーキテクチャでサポートされる非常に特殊な通信モードに制限される。
【0005】
様々な種類の機内受信装置とのよりよい通信が可能になるようにネットワークインフラストラクチャが改良されている為、上述の問題を軽減すべく投入されるソリューションが増えてくることが期待されている。競合するソリューションの存在、並びに、任意の特定の通信ソリューションに関連付けることが可能なスペクトルがまさに全般的に不足していることが、混信の可能性及び影響が増加する原因になりうる。そこで、このような独特の、非常に厳しい通信環境における混信を軽減する極めて有能なソリューションを定義することが望ましいと考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術における課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
無線技術の絶え間ない進歩は、飛行中の航空機に無線カバレッジを提供する新しい可能性を提案する。幾つかの例示的実施形態によって提供されることが可能な混信軽減技術が、例えば、航空機のアンテナに実装されてアンテナの性能を高めることが可能である。例えば、幾つかの実施形態は、混信軽減を実施する近リアルタイム機能の使用に関連して、アンテナ系の位相分布のアプリオリ情報を使用することを可能にしうる。
【0008】
一例示的実施形態では、混信軽減モジュールが提供されてよい。モジュールは処理回路を含んでよく、処理回路は、アンテナアセンブリに関して相対位相分布情報があらかじめ特定されている場合に、アンテナアセンブリにおいてシステムのアセットから所望信号を受信し、その所望信号を、所望信号の相対起点位置に基づいて相対位相分布情報に関連付けるように構成されている。処理回路は更に、所望信号及び混信信号が受信信号群を形成している場合に、混信信号を受信し、その混信信号を、混信信号の相対起点位置に基づいて相対位相分布情報に関連付けるように構成されてよい。処理回路は更に、受信信号群の信号を、それぞれの相対起点位置に関連付けられたそれぞれの相対位相に対して正規化し、その正規化信号に基づいて混信信号の混信キャンセルを実施するように構成されてよい。
【0009】
別の例示的実施形態では、混信軽減の方法が提供されてよい。この方法は、アンテナアセンブリにおいてシステムのアセットから所望信号を受信するステップと、所望信号の相対起点位置に基づいて所望信号を相対位相分布情報に関連付けるステップであって、相対位相分布情報はアンテナアセンブリに関してあらかじめ決められている、所望信号を関連付ける上記ステップと、を含んでよい。この方法は更に、混信信号を受信するステップと、混信信号の相対起点位置に基づいて混信信号を相対位相分布情報に関連付けるステップであって、所望信号及び混信信号が受信信号群を形成している、混信信号を関連付ける上記ステップと、を含む。この方法は更に、受信信号群の信号を、それぞれの相対起点位置に関連付けられたそれぞれの相対位相に対して正規化するステップと、正規化信号に基づいて混信信号の混信キャンセルを実施するステップと、を含む。
【0010】
ここまで本発明を一般的な言い回しで説明してきたが、ここからは添付図面を参照する。なお、添付図面の縮尺は必ずしも正確ではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】混信軽減の一例示的実施形態を使用できるATG通信ネットワークの機能ブロック図である。
図2】一例示的実施形態による、航空機が所望信号及び混信信号を受信する様子の側面図である。
図3】一例示的実施形態による方位基準球体の斜視図である。
図4】一例示的実施形態による方位基準半球の斜視図である。
図5】一例示的実施形態による方位基準半球の底面図である。
図6】一例示的実施形態による位相分布マップの一部分を示す図である。
図7】一例示的実施形態による混信軽減モジュールのブロック図である。
図8】一例示的実施形態による、混信軽減を実施する方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、幾つかの例示的実施形態について、添付図面を参照しながらより詳しく説明していく。添付図面には全てではないが幾つかの例示的実施形態が図示されている。実際は、本明細書において記載及び図示される実施例は、本開示の範囲、適用可能性、又は構成を限定するものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの例示的実施形態は、適用される法的要件を本開示が満たすように提示される。全体を通して、類似の参照符号は類似の要素の参照に使用される場合がある。更に、本明細書では、「又は(or)」という語句は、そのオペランドのうちの1つ以上が真であれば必ず真となる論理演算子として解釈されたい。
【0013】
本明細書では、「コンポーネント」、「モジュール」等の用語は、コンピュータ関連エンティティを包含するものとし、これは、例えば、ハードウェア、ファームウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせ(即ち、ハードウェア上で実行されるソフトウェアによって特定の様式で構成されるハードウェア)であり、これらに限定されない。例えば、コンポーネント又はモジュールは、プロセッサ上で実行されるプロセス、プロセッサ(又は複数のプロセッサ)、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、及び/又はコンピュータであってよいが、それらに限定されない。例えば、コンピューティング装置上で実行されるアプリケーション、及び/又はそのコンピューティング装置は、両方ともコンポーネント又はモジュールであってよい。プロセス及び/又は実行スレッド内に1つ以上のコンポーネント又はモジュールが存在してよく、コンポーネント/モジュールは、1つのコンピュータに集中してよく、且つ/又は、2つ以上のコンピュータに分散してもよい。更に、これらのコンポーネントは、様々なデータ構造が記憶されている様々なコンピュータ可読媒体から実行されてよい。コンポーネント同士は、ローカルプロセス及び/又はリモートプロセスで通信してよく、例えば、1つ以上のデータパケット(例えば、別のコンポーネント/モジュールと相互に作用している1つのコンポーネント/モジュールからのデータ)を有する信号に従って通信してよく、その信号により、ローカルシステムにおいて、及び/又は分散システムにおいて、且つ/又はインターネット等のネットワークを介して他のシステムとの間で通信してよい。各コンポーネント/モジュールは、本明細書において詳述される1つ以上の機能を実施してよい。しかしながら、当然のこととして、この実施例は、実施される様々な機能に対応するそれぞれ別個のモジュールに関して説明されるものの、実施例によっては、それぞれ別の機能を用いる為に必ずしもモジュールアーキテクチャを利用してなくてよい。従って、例えば、異なるモジュールの間でコードが共有されてよく、或いは、処理回路自体が、本明細書に記載のコンポーネント/モジュールに関連付けられるものとして説明された機能を全て実施するように構成されてよい。更に、本開示の文脈では、「モジュール」という用語は、各モジュールの機能性を実施する何らかの汎用手段を識別する臨時語として理解されるべきではない。むしろ、「モジュール」という用語は、処理回路の動作及び/又は機能を、処理回路に追加されるか、他の方法で処理回路に作用的に結合されて、処理回路を適宜構成するハードウェア及び/又はソフトウェアに基づいて変更する為に、処理回路において固有に構成されるモジュールコンポーネントとして、或いは処理回路に作用的に結合されることが可能なモジュールコンポーネントとして理解されるべきである。
【0014】
本明細書に記載の幾つかの例示的実施形態は、空対地(ATG)無線通信の性能を向上させる為のストラテジを提供する。この点において、幾つかの例示的実施形態は、地上の基地局と無線で通信する航空機のアンテナに適用可能な、改良された混信軽減技術を提供することが可能である。このような混信軽減技術は、そのような環境がもたらす問題ゆえに、比較的複雑であると考えられ、従って特にATG通信の文脈において有用である。しかしながら、当然のこととして、本明細書に記載の概念は、アンテナが使用されて混信軽減が望まれるあらゆる文脈に当てはまる。そこで、航空機のアンテナに関する本明細書の記述は、例示的実施形態を実施することの計算の負荷及び複雑さが動作環境の複雑さ及び問題に対応できることが分かっている一文脈を記述するものに過ぎないことを理解されるべきであり、例示的実施形態が適用可能でありうる他の文脈に対する限定ではない。
【0015】
図1は、一例示的実施形態を使用できるATGネットワーク100の機能ブロック図を示す。図1に示されるように、第1のBS102及び第2のBS104が、それぞれ、ATGネットワーク100の基地局であってよい。ATGネットワーク100は更に、他のBS106を含んでよく、各BSは、ゲートウェイ(GTW)装置110を介してATGネットワーク100と通信してよい。ATGネットワーク100は更に、インターネット120や他の通信ネットワークのようなワイドエリアネットワークと通信してよい。幾つかの実施形態では、ATGネットワーク100は、パケット交換コアネットワークを含んでよく、又は別の形でパケット交換コアネットワークと結合されてよい。更に当然のことながら、第1のBS102、第2のBS104、及び任意の他のBS106は、ATGネットワーク100に関して規定されたネットワーク周波数及びプロトコルで航空機150と通信するように構成されたアンテナを使用する基地局のいずれかの実施例であってよい。航空機150は、飛行中であってよく、第1のBS102、第2のBS104、及び他のBS106のそれぞれに関連付けられた(地表の上方の3D空間に画定された)カバレッジエリア間を移動してよい。これらのカバレッジエリアは部分的に重なり合ってよく、それによって、途切れないカバレッジが画定されることが可能であり、航空機150は、ハンドオーバしながら移動することで様々なBSのいずれかと順次通信することが可能である。場合によっては、機上の受信器のハンドオーバは、ネットワークコントローラ160等のネットワークコンポーネントの制御下で達成可能である。
【0016】
ネットワークコントローラ160は、図1では直接ATGネットワーク100に作用的に結合されているように示されているが、当然のことながら、ネットワークコントローラ160は、ATGネットワーク100のどこに配置されてもよく、場合によっては分散したコンポーネントの集合体であってもよい。ネットワークコントローラ160は、例えば、交換機能を含んでよい。従って、例えば、ネットワークコントローラ160は、航空機150への呼及び航空機150からの呼(又は航空機150上の通信設備への呼)のルーティングの処理、及び/又は、航空機150上の通信設備とATGネットワーク100との間の他のデータ又は通信の転送の処理を行うように構成されてよい。幾つかの実施形態では、ネットワークコントローラ160は、航空機150上の通信設備が呼に関与したときに固定幹線との接続を提供するように機能してよい。更に、ネットワークコントローラ160は、航空機150上の通信設備へのメッセージ及びデータ、及びそこからのメッセージ及びデータの転送を制御するように構成されてよく、更に基地局向けメッセージの転送を制御してよい。なお、ネットワークコントローラ160は図1のシステムの中に示されているが、ネットワークコントローラ160は一例示的ネットワーク装置に過ぎず、例示的実施形態は、ネットワークコントローラ160を使用するネットワークでの使用に限定されない。
【0017】
ネットワークコントローラ160はデータネットワークと結合されてよく、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、及び/又はワイドエリアネットワーク(WAN)(例えば、インターネット120)と結合されてよく、又、データネットワークとの結合は直接でも間接でもよい。そして、航空機150上の通信設備には、処理要素(例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、サーバコンピュータ等)のような装置がインターネット120経由で結合されてよい。
【0018】
ATGネットワーク100の全ての可能な実施形態の全ての要素が本明細書で図示及び説明されているわけではないが、当然のことながら、航空機150上の通信設備は、多様なネットワークのうちのどの1つ以上のネットワークともATGネットワーク100を通して結合されてよい。この点において、ネットワークは、多数の第1世代(1G)、第2世代(2G)、第3世代(3G)、第4世代(4G)、及び/又は次世代の移動通信プロトコル等のうちの任意の1つ以上に従う通信をサポートすることが可能であってよい。場合によっては、サポートされる通信は、2.4GHz又は5.8GHz等の無認可周波数帯を使用して定義された通信リンクを使用してよい。例示的実施形態は、システム内で(航空機150との間の)二方向通信を可能にする為に、時分割複信(TDD)、周波数分割複信(FDD)、又は他の任意の適切なメカニズムを採用してよい。更に、場合によっては、航空機150及び/又は基地局(102、104、106)に関連付けられたアンテナアセンブリによって形成されるか、別の形でリゾルブされた狭い無線周波数ビームを介して二方向通信が達成されてよく、二方向通信に関連付けられたリンクの一方又は両方が形成されてよい。従って、航空機150へのアップリンク及び航空機150からのダウンリンクの一方又は両方が、ビーム形成技術を使用して定義されてよい。
【0019】
幾つかの実施形態では、例示的実施形態のネットワーク側又は航空機側の一方又は両方において、ビーム形成制御モジュールの1つ以上のインスタンスが無線通信設備上で使用されてよい。従って、幾つかの実施形態では、ビーム形成制御モジュールは、航空機150上の受信局(例えば、乗客の装置、又は航空機の通信システムに関連付けられた装置(例えば、Wi-Fiルータ))に実装されてよい。幾つかの実施形態では、ビーム形成制御モジュールは、ネットワークコントローラ160、又は他の何らかのネットワーク側エンティティに実装されてよい。ビーム形成制御モジュールは、送信側エンティティ(例えば、第1のBS102)からターゲット(例えば、航空機150)に向かう狭いビームを操舵又は形成する為に、(例えば、いずれかの基地局からの航空機150の相対位置を示す)位置情報を利用するように構成されてよい。そしてこの狭いビームは、その相対位置で決定された(3D空間における)到来角度でターゲット(例えば、航空機150)に到達することが可能である。
【0020】
図2は、一例示的実施形態による無線通信環境の側面図を示す。図2に示されるように、航空機150(即ち、飛行中の航空機)は、任意の達成可能高度で空高く飛行していてよい。航空機150は、その一部分に配置された少なくとも1つのアンテナアセンブリ200を有してよい。この例では、アンテナアセンブリ200は、航空機150の胴体の底部に配置されてよい。しかしながら、当然のこととして、アンテナアセンブリ200は、代替として他の位置に配置されてもよく、他のアンテナアセンブリが航空機150上に搭載されてもよい。
【0021】
図1には1つのATG基地局(即ち、第1のBS102)だけが示されているが、当然のことながら、上述のように、複数個のそのような基地局が分散して、カバレッジエリアが部分的に重なり合ってATGネットワーク100が画定されてよい。従って航空機150が地表に対して相対的に移動するにつれて、航空機150(又は航空機150上の通信設備)は、複数のATG基地局のうちの様々な基地局の間で順次ハンドオフされることが可能である。
【0022】
地表の様々な場所に混信源210が位置している可能性があり、混信源210は、航空機150上の通信設備とATGネットワーク100の基地局とが通信に使用する周波数と重なる場合もあれば重ならない場合もある離散周波数又は広帯域周波数で多様な信号のいずれかをあらゆる方向又は幾つかの別個の方向に送出しうる。ATGネットワーク100の基地局と混信源210との間に多少なりとも周波数の重なりが存在する限り、或いは、混信源210の周波数が基地局の周波数に(たとえ重ならなくても)影響を及ぼす限り、航空機150において(より具体的には航空機150のアンテナアセンブリ200において)混信が受信される可能性がある。
【0023】
図2に示されるように、所望信号220(例えば、第1のBS102から航空機150へのアップリンクに関連付けられた信号220)が所与の到来角度でアンテナアセンブリ200に入射してよく、混信信号230も別の到来角度でアンテナアセンブリ200に入射する可能性がある。この例では、そして多くの例では、到来角度は様々であってよく、特定可能であってよい。しかしながら、当然のこととして、他の混信源から複数の混信信号が受信される可能性もある為、混信信号230は一例に過ぎず、混信信号の他のインスタンスのそれぞれもそれぞれの到来角度を有する可能性があり、それらの到来角度も特定可能である。更に当然のことながら、図2に描かれたシナリオでは、所望信号220と混信信号230の到来角度差が2次元(2D)表示で示されているが、実際には角度差は3D空間でも存在する。
【0024】
所望信号220と混信信号230の実際の到来角度差をよりよく概念化するために、図3を考える。図3では、アンテナアレイ200の上から方位基準球体300が重ね合わされており、方位基準球体300がないとするとアンテナアレイ200は単独で示される。方位基準球体300は3Dオブジェクトであって、3D空間でのアンテナアセンブリ200に対するあらゆる可能な到来角度の基準枠を示している。従って、所望信号220が方位基準球体300と交差する点が特定可能であり、この交差する点は、混信信号230が方位基準球体300と交差する点と区別されることが可能である。このように信号の到来角度を特定及び区別できることは、当然のことながら、混信信号230が位置することが分かっている個別エリアに混信キャンセル技術を適用することに利用可能である。例示的実施形態は、後で詳述されるように、この情報を厳しいATG環境での混信軽減の文脈において大いに活用する為のメカニズムであって、それをリアルタイム又は近リアルタイムで行う為のメカニズムを定義する。
【0025】
一般的なアンテナアセンブリの場合は、方位基準球体300上の任意の位置から所望信号220を受信することが予期される為、方位基準球体300全体を、各到来位置が、方位基準球体300にマッピングされた到来角度に対応する潜在的到来位置群として考えることが必要又は賢明であろう。しかしながら、図2のアンテナアセンブリの場合、所望信号はほぼ必ず、一方の半球(即ち、地球に面した下半球)からのみアンテナアセンブリ200に到来することが理解されよう。航空機150の胴体が、上方から到来するかもしれない混信からアンテナアセンブリ200をシールドする場合もある。従って、方位基準球体300は、図4及び5に示されるように、方位基準半球310に置き換えられてよい。この点において、図4は方位基準半球310の斜視側面図であり、図5は方位基準半球310の上面図である。従って、所望信号220が方位基準半球310と交差する点が特定可能であり、この交差する点は、混信信号230が方位基準半球300と交差する点と区別されることが可能である。
【0026】
何らかの基準に対する混信信号230の位置が分かれば、上述のように、その分かった位置に対して信号処理技術を適用することが可能になる。しかしながら、やはり上述のように、ATGの文脈でそれを行うことは非常に困難である可能性がある。この困難さは、少なくとも1つには、航空機の移動が高速であること(例えば、450mph以上)に起因する。図1及び2の航空機150のような航空機が達成できる速度が高いことの結果として、所望信号220の相対的な特性(例えば、振幅、位相、及び到来角度)は、非常に短い時間の間に大きな位相角にわたって回転する可能性がある。例えば、450mphの場合には、2.4GHzの信号の位相が1ミリ秒の間に579度にわたって回転する可能性がある。
【0027】
従来の混信軽減技術は、無線周波数(RF)領域又はベースバンド領域で適用可能である。例えば、RF領域の混信軽減技術は、アンテナ放射パターンを意図的に操作すること(例えば、アンテナ振幅パターンのヌルを識別された混信信号の方向に位置付けること)を含んでよい。このようなヌルは、(ハードウェアによる)固定、(ソフトウェア制御による)動的、又は両者の組み合わせであってよい。
【0028】
数学的には、信号のキャンセルは、(振幅が)ほぼ同等の、反転された(例えば、180度シフトされた)信号を当てることによって可能である。従って、(所望且つ目的の信号と混信信号とを含む)一連の受信信号から混信信号が識別された場合は、その混信信号を反転して一連の受信された信号(「受信信号群」)に再加算してよい。結果として、反転された混信信号は、受信された混信信号をキャンセルし、受信信号群から「除去」される。この反転プロセスは、RF領域で(位相シフタ及びコンバイナを使用して)物理的に実現されてよく、或いはベースバンド領域で(信号のI成分及びQ成分のソフトウェアマニピュレーションによって)デジタル的に実現されてよい。ソフトウェア無線(SDR)及び高度なデジタル信号処理機能の登場により、ベースバンドレベルでの混信軽減が一般的である。更なる混信軽減技術として、多くの商用無線インタフェースプロトコル(例えば、CDMA、802.11、及びLTE)に共通の高度なデジタル符号化スキームがある。
【0029】
例示的実施形態の混信軽減は、リアルタイム又は近リアルタイムの実装において実施可能なRF特性及びベースバンド混信軽減機能の一方又は両方を利用することを可能にしうる。更に、混信信号群の特性が(アプリオリ又は現場で)特定可能であれば、例示的実施形態は予測的に適用可能である。
【0030】
大まかに言えば、幾つかの例示的実施形態は、アンテナアパーチャ及び周囲構造物(航空機のフレームを含む)にわたるアンテナアセンブリ200の位相分布を(おそらくは更に振幅分布に追加する形で)活用する軽減技術を提供することが可能である。位相情報は、(例えば、無響室内で)実験的に決定されてよく、或いは、アンテナアセンブリ200及び航空機150の電磁シミュレーションを通して決定されてよい。従来のアンテナ放射パターンでは、アンテナ(及び航空機)を取り巻く球体上のあらゆる位置の相対振幅が存在するが、それと同様に、その球体上のあらゆる位置の相対位相シフトを表す位相分布パターンが生成されてよい。
【0031】
一例示的実施形態では、方位基準半球310(そしておそらくは方位基準球体300)上の少なくともあらゆる位置(即ち、あらゆる到来角度又は位置)についての位相分布パターン(例えば、「放射」位相分布)が決定されてよい。従って、あらゆる到来角度が、その到来角度に関連付けられた対応する位相トランスファを有し、位相分布パターンは、各到来角度における位相トランスファ(又は方位基準球体300上の基準起点位置(これは3D空間において到来角度を把握するための基準枠与える))を関連付ける。この決定された位置ごとの位相分布パターンは、位相分布マップ320と呼ばれてよく(図6及び7を参照)、これは、位相分布マップ320が、位相分布パターンを方位基準半球310(又は方位基準球体300)上の対応する各場所又は位置にマッピングする為である。場合によっては、振幅情報も位相分布マップに含まれてよく、或いはそのような情報へのアクセスが可能な別のリソースに含まれてよい。その結果、到来角度に依存している、所望且つ目的の信号及び混信信号の相対振幅及び相対位相を位相分布マップ320と比較して、正規化及び更なる信号処理を行うことにより、混信信号をキャンセルすることが可能である。高速で移動する航空機の場合、航空機の位置及び方位(ピッチ、ロール、ヨー等)とともに変化する到来角度が高速で変化する可能性がある。しかしながら、位相分布マップはあらかじめ分かっている為、混信信号の場所の相対移動の追跡も高速で正規化及びキャンセルすることが可能である。更に、球体の各起点位置が対応する位相分布を有する為、既知の位相で到来する信号に関しては、既知の位相から対応する起点位置(即ち、3D空間での到来角度)まで遡ることによって信号の起点位置を特定することが可能である。
【0032】
従って、当然のことながら、(位相分布マップ320に基づいてあらゆる位置に関して知ることが可能な)相対位相情報の更なる検討により、RF領域及びベースバンド領域の一方又は両方で混信キャンセル技術を最適化することが可能になる。図6は、方位基準半球310(又は方位基準球体300)の一部分(セグメント)を描いている。図6を参照すると、所望信号220及び混信信号230が方位基準半球310と交差している場所が示されている。更に、複数の面位置又は位置領域400が、アンテナアセンブリ200に対する対応する到来角度と互いに関係がある方位基準半球310上の特定の点を(例えば、デカルト座標、球座標、極座標、円筒座標、又は他の任意の適切な方法を使用して)示すように定義されてよい。アンテナアレイ200の位相分布パターンを各位置領域400ごとに知ることにより、位相分布マップ320を定義することが可能である。そして位相分布マップを有することにより、混信信号230の相対位置に基づいて(従って、相対位相情報に基づいて)混信信号230に関して予測可能な、(位相分布に起因する)影響の情報(及びその影響を補償できるかどうかの情報)とともに混信軽減技術を利用することが可能になりうる。そして混信信号230のキャンセルはリアルタイム又は近リアルタイムで達成可能であるが、そのようなキャンセルは非常に正確であることも可能である。
【0033】
図7は、一例示的実施形態による混信軽減モジュール600のアーキテクチャを示す。混信軽減モジュール600は、相対位相情報を含む様々な入力情報の処理に基づいて混信軽減の制御出力を提供するように構成された処理回路610を含んでよい。処理回路610は、本発明の一例示的実施形態によるデータ処理、制御機能の実行、及び/又は他の処理及び管理サービスを実施するように構成されてよい。幾つかの実施形態では、処理回路610は、チップ又はチップセットとして実施されてよい。言い換えると、処理回路610は、構造アセンブリ(例えば、基板)上に材料、部品、及び/又はワイヤを含む1つ以上の物理パッケージ(例えば、チップ)を含んでよい。構造アセンブリは、物理的強度、サイズの節約、及び/又は搭載される部品回路の電気的相互作用の制限を実現しうる。処理回路610は、従って、場合によっては、本発明の一実施形態を単一チップ上に、又は単一の「システムオンチップ」として実施するように構成されてよい。従って、場合によっては、本明細書に記載の機能性を実現する1つ以上の動作を実施する手段がチップ又はチップセットによって構成されてよい。
【0034】
一例示的実施形態では、処理回路610は、プロセッサ612及びメモリ614の1つ以上のインスタンスを含んでよい。従って、処理回路610は、本明細書に記載の動作を実施するように(例えば、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより)構成された回路チップ(例えば、集積回路チップ)として実施されてよい。しかしながら、幾つかの実施形態では、処理回路610は、オンボードコンピュータの一部分として実施されてよい。幾つかの実施形態では、処理回路610は、航空機150及び/又はATGネットワーク100の様々なコンポーネント、エンティティ、及び/又はセンサと通信してよい。
【0035】
プロセッサ612は、幾つかの異なる様式で実施されてよい。例えば、プロセッサ612は、様々な処理手段として実施されてよく、例えば、マイクロプロセッサ又は他の処理要素、コプロセッサ、コントローラ、又は(例えば、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)等のような)集積回路を含む、他の様々なコンピューティング装置又は処理装置のうちの1つ以上として実施されてよい。一例示的実施形態では、プロセッサ612は、メモリ614に格納された命令、又は別の形でプロセッサ612からアクセス可能な命令を実行するように構成されてよい。従って、ハードウェアで構成されているか、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせで構成されているかにかかわらず、プロセッサ612は、本発明の実施形態による動作を実施することが可能であってそのように構成されているエンティティ(例えば、処理回路610の形の回路として物理的に実施されているエンティティ)を表してよい。従って、例えば、プロセッサ612がASIC、FPGA等として実施される場合には、プロセッサ612は、本明細書に記載の動作を実施することに特化して構成されたハードウェアであってよい。或いは別の例として、プロセッサ612がソフトウェア命令の実行装置として実施される場合には、命令は、本明細書に記載の動作を実施することに特化してプロセッサ612を構成してよい。
【0036】
一例示的実施形態では、プロセッサ612(又は処理回路610)は、混信軽減モジュール600として実施されてよく、又は混信軽減モジュール600を含んでよく、又は別の形で混信軽減モジュール600の動作を制御してよく、これは、ネットワークの通信要素の様々な相対位置に関連付けられた位置情報を受信したことに対する応答として処理回路610が受信した入力に基づいて、且つ、アンテナアセンブリ200において受信された信号の相対位置(即ち、(例えば、方位基準半球310との相互関係の文脈での)アンテナアセンブリ200又は航空機150に対する相対位置)に基づいて、且つ、位相分布マップ320に基づいて行われてよい。従って、幾つかの実施形態では、プロセッサ612(又は処理回路610)は、アンテナアセンブリ200のアンテナ要素620において受信された混信信号をキャンセルする為に行われるべき調節に関連する、混信軽減モジュール600に関連して説明された各動作を引き起こし、これによって、プロセッサ612(又は処理回路610)をそのように構成する命令又はアルゴリズムが実行されて、混信軽減に関連する対応する機能が開始されるものと考えられてよい。具体的には、これらの命令は、所望信号220の相対位置を特定する為に、(例えば、航空機上の)移動受信局の3D位置情報を、固定送信局(即ち、ATGネットワーク100の基地局)の2D位置情報とともに処理する命令を含んでよい。これらの命令は又、混信信号230の1つ以上のインスタンスの相対位置を特定する命令を含んでよい。そしてこれらの相対位置を位相分布マップ320とともに使用して受信信号が正規化されてよく、所望信号220の位置以外のあらゆる位置について混信信号230のキャンセルが行われてよく、これは、受信信号のうちの所望でない部分(即ち、混信信号に相当する部分)の反転であるキャンセル信号を加算することによって行われる。更に、このプロセスは、異なる多数の受信信号について同時に達成可能であり、それによって、任意の数の受信信号(及び対応する混信信号)が別々の周波数又は起点位置において処理可能である。上述のように、このキャンセルは、RF領域で(例えば、位相シフタ及びコンバイナを使用して)、又はベースバンド領域で(例えば、デジタル信号処理により)達成可能である。
【0037】
一例示的実施形態では、メモリ614は、1つ以上の非一時的メモリ装置を含んでよく、例えば、固定でもリムーバブルでもよい揮発性及び/又は不揮発性メモリ等を含んでよい。メモリ614は、本発明の例示的実施形態による様々な機能を処理回路610が実施することを可能にする為の情報、データ、アプリケーション、命令等を記憶するように構成されてよい。例えば、メモリ614は、入力データをプロセッサ612での処理に備えてバッファリングするように構成されてよい。追加又は代替として、メモリ614は、プロセッサ612で実行される命令を記憶するように構成されてよい。更に別の代替として、メモリ614は、入力センサ及び入力コンポーネントに応答して様々なデータセットを記憶できる1つ以上のデータベースを含んでよい。メモリ614のコンテンツの中で、アプリケーション及び/又は命令は、それぞれのアプリケーション/命令に関連付けられた機能性を実施する為に、プロセッサ612での実行に備えて記憶されてよい。場合によっては、アプリケーションは、混信軽減モジュール600の動作を本明細書に記載のように制御する入力を与える命令を含んでよい。
【0038】
一例示的実施形態では、メモリ614は、少なくとも1つの基地局の固定された地理的場所を表す固定位置情報を記憶してよい。幾つかの実施形態では、固定位置情報は、ATGネットワーク100の中の1つの基地局の固定された地理的場所を表すものであってよい。しかしながら、別の幾つかの実施形態では、固定位置情報は、ATGネットワーク100にある基地局のうちの複数の基地局(又は全ての基地局)の固定された地理的場所を表すものであってよい。別の幾つかの実施形態では、固定位置情報は、航空機150に搭載されているかネットワークコントローラ160からアクセス可能な別のメモリ装置に記憶されてよい。しかしながら、固定位置情報の記憶場所とは無関係に、そのような情報は、一例示的実施形態による処理に備えて、メモリから読み出されて処理回路610に与えられてよく(従って、処理回路610で受信されてもよく)、これは、固定位置情報を、航空機150の3D位置を表す動的位置情報とともに知ることに基づいて所望信号220の相対位置を特定する為に行われる。しかしながら、当然のこととして、所望信号220の相対位置は別の方法で特定されてもよい。更に、相対位置は、別のコンポーネントから処理回路610に与えられてよく、或いは、追跡用ビーコン信号又は他の任意の、当該技術分野において知られている方法に基づいて特定されてよい。
【0039】
図7に示されるように、混信軽減モジュール600は、本明細書に記載の混信軽減技術を実施する為に、アンテナアセンブリ200のコンポーネント、及び/又は航空機150の無線回路に直接又は間接的に作用的に結合されてよい。従って、例えば、1つ以上のアンテナ要素620が、航空機150上の無線設備の受信機630及び/又は送信機640と作用的に結合されてよい。幾つかの例では、交換アセンブリ650の様々なコンポーネントが、アンテナ要素620と受信機630及び送信機640との間に介在してよい。交換アセンブリ650は、例えば、コンバイナを含んでよく、コンバイナは多極スロースイッチと作用的に結合されてよく、多極スロースイッチは更に、サーキュレータと作用的に結合されてよい。サーキュレータは、様々なポートの中で信号をアイソレートして、比較的低い挿入損失で高度のポートツーポートアイソレーションを実現することが可能である。サーキュレータは、低雑音増幅器(LNA)及びスイッチを介して受信機630の受信フィルタと作用的に結合されてよい。サーキュレータは更に、スイッチ、キャビティフィルタ、及び/又は電力増幅器を介して送信機640の送信回路と作用的に結合されてよい。
【0040】
幾つかの実施形態では、混信軽減モジュール600は、どこでインスタンス化されるかにかかわらず、本明細書に記載の混信軽減技術を実現するように構成されてよい。従って、図7では混信軽減モジュール600がスイッチングアセンブリ650と通信しているように示されているが、当然のことながら、混信軽減モジュール600は、代替として、スイッチングアセンブリ650の一部であってよく、或いは、受信機630につながる要素、又は受信機630の一部である要素のチェーンの途上の任意の場所に配置されてよい。従って、混信軽減モジュール600は、スイッチングアセンブリ650と受信機630との間でインスタンス化されてよく、或いは、受信機630の一部であるか、さもなければ受信機630と作用的に結合されてよい。
【0041】
図8は、図7の混信軽減モジュール600のシステムに関連付けられてよい一方法のブロック図を示す。技術的観点から見れば、上述の混信軽減モジュール600は、図8に示された動作の一部又は全てをサポートすることに使用されてよい。従って、図7に示されたプラットフォームは、幾つかのコンピュータプログラム、アンテナアセンブリ、及び/又はネットワーク通信ベースのインタラクションの実装を促進することに使用されてよい。一例として、図8は、本発明の一例示的実施形態による方法及びプログラム製品のフローチャートである。当然のことながら、フローチャートの各ブロック、及びフローチャート内のブロックの組み合わせは、様々な手段によって実施されてよく、例えば、1つ以上のコンピュータプログラム命令を含むソフトウェアの実行に関連付けられたハードウェア、ファームウェア、プロセッサ、回路、及び/又は他のデバイスによって実施されてよい。例えば、上述の手続きのうちの1つ以上が、コンピュータプログラム命令によって実施されてよい。この点において、上述の手続きを実施するコンピュータプログラム命令は、エンティティ又は装置(例えば、混信軽減モジュール600)のメモリ装置に記憶され、そのエンティティ又は装置のプロセッサで実行されてよい。当然のことながら、任意のそのようなコンピュータプログラム命令が、マシンを生成する為に、コンピュータ又は他のプログラマブル装置(例えば、ハードウェア)にロードされてよく、これによって、コンピュータ又は他のプログラマブル装置で実行される命令は、フローチャートの1つ以上のブロックで指定される機能を実施する手段を形成する。これらのコンピュータプログラム命令は又、コンピュータ可読なメモリに記憶されてもよく、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置を特定の様式で機能させることが可能であり、この、コンピュータ可読なメモリに記憶された命令によって、フローチャートの1つ以上のブロックで指定される機能を実施する製造物が製造される。これらのコンピュータプログラム命令は又、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置にロードされて、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置において一連の動作を実施させることにより、コンピュータで実施されるプロセスを生成してもよく、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置で実行される命令は、フローチャートの1つ以上のブロックで指定される機能を実施する。
【0042】
従って、フローチャートの各ブロックは、指定された機能を実施する手段の組み合わせ、並びに指定された機能を実施する動作の組み合わせをサポートする。更に、当然のことながら、フローチャートの1つ以上のブロック、及びフローチャート内のブロックの組み合わせは、指定された機能を実施する、専用ハードウェアベースのコンピュータシステム、又は専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実施可能である。
【0043】
この点において、図8に示される、本発明の一実施形態による方法は、動作800において、アンテナアセンブリの相対位相分布を特定するステップを含んでよい。場合によっては、相対位相分布の特定は、アンテナアセンブリの相対振幅分布の特定とともに行われてもよい。相対振幅分布は(使用される場合には)、当該技術分野において知られている技術に従って特定可能である。一般的なアンテナアセンブリの場合、特定される相対位相分布は、上述のように方位基準球体300に対して特定されてよい。これに対し、アンテナアセンブリが航空機上にある場合(但し、航空機の周囲が完全に見渡せる場合)には、相対位相分布は、方位基準球体300ではなく方位基準半球310に対して特定されてよい。一例示的実施態様では、任意の動作810において、特定された相対位相分布を使用して位相分布マップが生成されてよい。
【0044】
なお、動作800及び810は、本明細書に記載のこれ以外の動作の実行前に実施されてよい。従って、混信軽減のリアルタイム(又は近リアルタイム)実行の場合には、本方法は動作820~870だけを含んでよい。動作820は、ATGネットワーク(又は他の通信ネットワーク)の基地局から所望信号(即ち、所望信号を受信する受信機に関連付けられたアセットに向けられた信号)を受信するステップを含んでよい。そして動作830において、所望信号は、所望信号の相対起点位置に基づいて(例えば、位相分布マップに基づいて)相対位相分布情報に(そしておそらくは更に相対振幅情報に)関連付けられてよい。所望信号は、場合によっては、基地局が位置することが知られている相対位置から検出されたことで特定可能であってよい。本方法は更に、動作840において、1つ以上の他の信号(即ち、混信信号又は非所望信号)を受信するステップを含んでよく、動作850において、1つ以上の混信信号の相対起点位置に基づいて(例えば、位相分布マップに基づいて)1つ以上の混信信号を相対位相分布情報に(そしておそらくは更に相対振幅情報に)関連付けるステップを含んでよい。所望信号及び1つ以上の混信信号は、まとめて受信信号群と呼ばれることがある。
【0045】
次に本方法は、動作860において、受信信号群を含む信号を、各起点位置に関連付けられた相対位相(そしておそらくは更に相対振幅)に対して正規化するステップを含んでよい。動作870において、受信信号群のうちの、所望信号の起点位置に関連付けられた場所からではない正規化信号が識別され、識別された各正規化信号に対応する反転信号が受信信号群に加算される。結果として得られる信号群は、受信信号群の全ての信号と反転信号とを含み、反転信号がそれぞれの対応する混信信号をキャンセル(又は部分的にキャンセル)する。従って、受信機630は、所望信号だけを(又は主に所望信号を)有効に処理する。
【0046】
上述のように、正規化、反転、及び加算のプロセスは、RF領域で(位相シフタ及びコンバイナを使用して)、ベースバンド領域で(信号のI成分及びQ成分のマニピュレーションによって)、又は両者を組み合わせて実現可能である。更に、方向を「ポイントする」ことが、個々のアンテナ要素の物理的選択、ビーム操舵技術の実装、又はデジタルビーム形成技術により実現可能であることも注目されたい。これらの技術のそれぞれにおいて、相対振幅分布及び相対位相分布は、所望の動作周波数範囲にわたって知られている。
【0047】
別の実施形態では、受信信号群に信号処理技術を適用することにより、特定の混信信号を所望信号と区別してアイソレートすることを信号特性に基づいて行うことが可能である。例えば、所望信号の受信波形がLTE信号の特性を有していて、混信信号の波形がWLAN(802.11)である場合がある。これらの波形は、デジタル信号処理(DSP)技術を使用して識別可能である。波形が分かれば、波形別のキャンセル技術の組み込みが可能になりうる。例えば、特定の基地局に関してハンドオーバの場所が予想可能であれば、ハンドオーバが完了した時点での「新たな」所望信号(即ち、ハンドオーバ後の所望信号)の相対起点位置を推定することが可能になる場合がある。(例えば、混信信号の送信源の場所を特定したことに基づいて)混信信号が(方位基準球体上又は方位基準半球上の)どこに現れるかを予測し、所望信号の起点位置にない(しかしその代わりに、予想される混信信号位置にある)全ての信号に対して上述の正規化及び反転を先制的に適用することも可能でありうる。
【0048】
別の実施形態では、受信信号の相対位相の経時変化が分かれば、それを航空機の位置及び方位の変化と相互に関連付けることによって、所望信号及び混信信号の方向及び大まかな位置を特定することが可能である。この情報を使用して、(ビーム選択位置を強調する)システム性能を最適化し、且つ、予測的キャンセル技術を確立することが可能である。
【0049】
一例示的実施形態によれば、混信軽減モジュールを提供することが可能である。モジュールは処理回路を含んでよく、処理回路は、アンテナアセンブリに関して相対位相分布情報があらかじめ特定されている場合に、アンテナアセンブリにおいてシステムのアセットから所望信号を受信し、その所望信号を、所望信号の相対起点位置に基づいて相対位相分布情報に関連付けるように構成されている。処理回路は更に、所望信号及び混信信号が受信信号群を形成している場合に、混信信号を受信し、その混信信号を、混信信号の相対起点位置に基づいて相対位相分布情報に関連付けるように構成されてよい。処理回路は更に、受信信号群の信号を、それぞれの相対起点位置に関連付けられたそれぞれの相対位相に対して正規化し、その正規化信号に基づいて混信信号の混信キャンセルを実施するように構成されてよい。
【0050】
幾つかの実施形態では、モジュール(及びモジュールが実施するように構成されてよい対応する方法)は、追加の任意選択の動作を実施するように構成されてよく(又は含んでよく)、且つ/又は、上述の動作が修正又は強化されてよい。修正、任意選択の動作、及び強化の幾つかの例を以下で説明する。当然のことながら、修正、任意選択の動作、及び強化は、それぞれが単独で追加されてよく、或いは、任意の望ましい組み合わせで累積的に追加されてよい。一例示的実施形態では、混信キャンセルを実施することは、所望信号の相対起点位置からではない正規化信号を反転し、反転された正規化信号を受信信号群に加算して、アンテナアセンブリに関連付けられた受信機での処理に備えることを含んでよい。一例示的実施形態では、処理回路は更に、初期動作としてアンテナアセンブリの相対位相分布を特定して相対位相分布情報を定義することと、方位基準球体又は方位基準半球上の各位置の相対位相分布に基づいて位相分布マップを生成することと、を実施するように構成されてよい。一例示的実施形態では、所望信号を相対位相分布情報に関連付けること、並びに混信信号を相対位相分布情報に関連付けることは、それぞれ、位相分布マップに基づいて実施される。一例示的実施形態では、所望信号を相対位相分布情報に関連付けることは更に、所望信号を、所望信号の相対起点位置に基づいて相対振幅分布情報に関連付けることを含み、混信信号を相対位相分布情報に関連付けることは更に、混信信号を、混信信号の相対起点位置に基づいて相対振幅分布情報に関連付けることを含む。一例示的実施形態では、所望信号の相対起点位置に基づく相対振幅分布情報、及び混信信号の相対起点位置に基づく相対振幅分布情報は、それぞれ、位相分布マップから取得される。一例示的実施形態では、混信キャンセルを実施することは、受信信号群のうちの、所望信号の相対起点位置からではない部分に対応するキャンセル信号を無線周波数(RF)領域において印加することを含んでよい。代替又は追加として、混信キャンセルを実施することは、受信信号群のうちの、所望信号の相対起点位置からではない部分に対応するキャンセル信号をベースバンド領域において印加することを含んでよい。一例示的実施形態では、所望信号を相対位相分布情報に関連付けることは、方位基準球体上の位置領域が既知の位相分布パターンを有するという文脈において、その位置領域に対する所望信号の相対起点位置を特定することを含んでよい。一例示的実施形態では、所望信号を相対位相分布情報に関連付けることは、方位基準半球上の位置領域が既知の位相分布パターンを有するという文脈において、その位置領域に対する所望信号の相対起点位置を特定することを含んでよい。
【0051】
本明細書に記載の発明が属する技術分野の当業者であれば、上述の説明及び関連図面において示された教示の利益を有する、それらの発明の様々な修正形態及び他の実施形態が思い浮かぶであろう。従って、当然のことながら、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、修正形態及び他の実施形態は、添付の特許請求項の範囲に包含されるものとする。更に、上述の説明及び関連図面は要素及び/又は機能の特定の例示的な組み合わせの文脈における例示的実施形態について説明しているが、当然のことながら、添付の特許請求項の範囲から逸脱しない限り、要素及び/又は機能の別の組み合わせが代替実施形態によって与えられてよい。この点において、例えば、明示的に上述されたものと異なる、要素及び/又は機能の組み合わせも、添付の特許請求項のうちの幾つかにおいて記載されうるものとして想定される。問題に対する利点、利益、及び/又はソリューションが本明細書に記載されている場合、当然のことながら、そのような利点、利益、及び/又はソリューションは、幾つかの例示的実施形態には適用可能でありうるが、必ずしも全ての例示的実施形態に適用可能とは限らない。従って、本明細書に記載のいずれの利点、利益、又はソリューションも、全ての実施形態、又は本明細書において特許請求されている実施形態に対してクリティカル、必須、又は不可欠であると考えられるべきではない。本明細書では具体的な用語が使用されているが、これらは限定目的ではなく包括的且つ説明的な意味でのみ使用されている。
〔付記1〕
無線通信システムにおける混信軽減の方法であって、
アンテナアセンブリにおいて前記システムのアセットから所望信号を受信するステップと、
前記所望信号の相対起点位置に基づいて前記所望信号を相対位相分布情報に関連付けるステップであって、前記相対位相分布情報は前記アンテナアセンブリに関してあらかじめ決められている、前記所望信号を関連付ける前記ステップと、
混信信号を受信するステップと、
前記混信信号の相対起点位置に基づいて前記混信信号を相対位相分布情報に関連付けるステップであって、前記所望信号及び前記混信信号が受信信号群を形成している、前記混信信号を関連付ける前記ステップと、
前記受信信号群の信号を、それぞれの相対起点位置に関連付けられたそれぞれの相対位相に対して正規化するステップと、
前記正規化信号に基づいて前記混信信号の混信キャンセルを実施するステップと、
を含む方法。
〔付記2〕
混信キャンセルを実施する前記ステップは、前記所望信号の前記相対起点位置からではない正規化信号を反転し、前記反転された正規化信号を前記受信信号群に加算して、前記アンテナアセンブリに関連付けられた受信機での処理に備えることを含む、付記1に記載の方法。
〔付記3〕
初期動作として前記アンテナアセンブリの相対位相分布を特定して前記相対位相分布情報を定義するステップと、
方位基準球体又は方位基準半球上の各位置の前記相対位相分布に基づいて位相分布マップを生成するステップと、
を更に含む、付記2に記載の方法。
〔付記4〕
前記所望信号を相対位相分布情報に関連付ける前記ステップ、並びに前記混信信号を相対位相分布情報に関連付ける前記ステップは、それぞれ、前記位相分布マップに基づいて実施される、付記3に記載の方法。
〔付記5〕
前記所望信号を相対位相分布情報に関連付ける前記ステップは更に、前記所望信号を、前記所望信号の前記相対起点位置に基づいて相対振幅分布情報に関連付けることを含み、 前記混信信号を相対位相分布情報に関連付ける前記ステップは更に、前記混信信号を、前記混信信号の前記相対起点位置に基づいて相対振幅分布情報に関連付けることを含む、 付記3に記載の方法。
〔付記6〕
前記所望信号の前記相対起点位置に基づく前記相対振幅分布情報、及び前記混信信号の前記相対起点位置に基づく前記相対振幅分布情報は、それぞれ、前記位相分布マップから取得される、付記5に記載の方法。
〔付記7〕
混信キャンセルを実施する前記ステップは、前記受信信号群のうちの、前記所望信号の前記相対起点位置からではない部分に対応するキャンセル信号を無線周波数(RF)領域において印加することを含む、付記1に記載の方法。
〔付記8〕
混信キャンセルを実施する前記ステップは、前記受信信号群のうちの、前記所望信号の前記相対起点位置からではない部分に対応するキャンセル信号をベースバンド領域において印加することを含む、付記1に記載の方法。
〔付記9〕
前記所望信号を相対位相分布情報に関連付ける前記ステップは、方位基準球体上の位置領域に対する前記所望信号の前記相対起点位置を特定することを含み、前記位置領域が既知の位相分布パターンを有する、付記1に記載の方法。
〔付記10〕
前記所望信号を相対位相分布情報に関連付ける前記ステップは、方位基準半球上の位置領域に対する前記所望信号の前記相対起点位置を特定することを含み、前記位置領域が既知の位相分布パターンを有する、付記1に記載の方法。
〔付記11〕
アンテナアセンブリにおいて前記システムのアセットから所望信号を受信するステップと、
前記所望信号の相対起点位置に基づいて前記所望信号を相対位相分布情報に関連付けるステップであって、前記相対位相分布情報は前記アンテナアセンブリに関してあらかじめ決められている、前記所望信号を関連付ける前記ステップと、
混信信号を受信するステップと、
前記混信信号の相対起点位置に基づいて前記混信信号を相対位相分布情報に関連付けるステップであって、前記所望信号及び前記混信信号が受信信号群を形成している、前記混信信号を関連付ける前記ステップと、
前記受信信号群の信号を、それぞれの相対起点位置に関連付けられたそれぞれの相対位相に対して正規化するステップと、
前記正規化信号に基づいて前記混信信号の混信キャンセルを実施するステップと、
を実施するように構成された処理回路を含む混信軽減モジュール。
〔付記12〕
混信キャンセルを実施する前記ステップは、前記所望信号の前記相対起点位置からではない正規化信号を反転し、前記反転された正規化信号を前記受信信号群に加算して、前記アンテナアセンブリに関連付けられた受信機での処理に備えることを含む、付記11に記載の混信軽減モジュール。
〔付記13〕
前記処理回路は更に、
初期動作として前記アンテナアセンブリの相対位相分布を特定して前記相対位相分布情報を定義するステップと、
方位基準球体又は方位基準半球上の各位置の前記相対位相分布に基づいて位相分布マップを生成するステップと、
を実施するように構成された、付記12に記載の混信軽減モジュール。
〔付記14〕
前記所望信号を相対位相分布情報に関連付ける前記ステップ、並びに前記混信信号を相対位相分布情報に関連付ける前記ステップは、それぞれ、前記位相分布マップに基づいて実施される、付記13に記載の混信軽減モジュール。
〔付記15〕
前記所望信号を相対位相分布情報に関連付ける前記ステップは更に、前記所望信号を、前記所望信号の前記相対起点位置に基づいて相対振幅分布情報に関連付けることを含み、前記混信信号を相対位相分布情報に関連付ける前記ステップは更に、前記混信信号を、前記混信信号の前記相対起点位置に基づいて相対振幅分布情報に関連付けることを含む、
付記13に記載の混信軽減モジュール。
〔付記16〕
前記所望信号の前記相対起点位置に基づく前記相対振幅分布情報、及び前記混信信号の前記相対起点位置に基づく前記相対振幅分布情報は、それぞれ、前記位相分布マップから取得される、付記15に記載の混信軽減モジュール。
〔付記17〕
混信キャンセルを実施する前記ステップは、前記受信信号群のうちの、前記所望信号の前記相対起点位置からではない部分に対応するキャンセル信号を無線周波数(RF)領域において印加することを含む、付記11に記載の混信軽減モジュール。
〔付記18〕
混信キャンセルを実施する前記ステップは、前記受信信号群のうちの、前記所望信号の前記相対起点位置からではない部分に対応するキャンセル信号をベースバンド領域において印加することを含む、付記11に記載の混信軽減モジュール。
〔付記19〕
前記所望信号を相対位相分布情報に関連付ける前記ステップは、方位基準球体上の位置領域に対する前記所望信号の前記相対起点位置を特定することを含み、前記位置領域が既知の位相分布パターンを有する、付記11に記載の混信軽減モジュール。
〔付記20〕
前記所望信号を相対位相分布情報に関連付ける前記ステップは、方位基準半球上の位置領域に対する前記所望信号の前記相対起点位置を特定することを含み、前記位置領域が既知の位相分布パターンを有する、付記11に記載の混信軽減モジュール。
図1
図2
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図8