(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】B型肝炎ウイルス(HBV)ワクチンおよびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 39/29 20060101AFI20230721BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20230721BHJP
A61K 35/761 20150101ALI20230721BHJP
A61K 39/295 20060101ALI20230721BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20230721BHJP
C12N 15/51 20060101ALI20230721BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
A61K39/29
A61K35/76
A61K35/761
A61K39/295
A61P31/20
C12N15/51 ZNA
C12N15/62 Z
(21)【出願番号】P 2020533746
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(86)【国際出願番号】 IB2018060259
(87)【国際公開番号】W WO2019123252
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2017/058142
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510020022
【氏名又は名称】ヤンセン・サイエンシズ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【氏名又は名称】星川 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ボーデン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ホートン,ヘレン
(72)【発明者】
【氏名】ネーフス,ジャン-マルク エドモンド フェルナンド マリー
(72)【発明者】
【氏名】ロイ,スミトラ
(72)【発明者】
【氏名】デ プーター,ドリエン
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-527404(JP,A)
【文献】国際公開第2017/176319(WO,A1)
【文献】特表2005-505238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K,A61P,C12N
MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号4と少なくとも
98%同一であるアミノ酸配列を有するHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチドを含む第1の天然に存在しない核酸分子であって、前記HBVポリメラーゼ抗原が、逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない、第1の天然に存在しない核酸分子;
(b)配列番号2または配列番号14と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチドを含む第2の天然に存在しない核酸分子;および
(c)薬学的に許容可能な担体、
を含む組成物であって、
前記第1の天然に存在しない核酸分子および前記第2の天然に存在しない核酸分子が、同じ天然に存在しない核酸分子または2つの異なる天然に存在しない核酸分子に存在
し、
前記HBVポリメラーゼ抗原および前記切断型HBVコア抗原が、哺乳動物において少なくともHBV遺伝子型B、CおよびDに対するT細胞応答を誘導することが可能である、組成物。
【請求項2】
前記HBVポリメラーゼ抗原および前記切断型HBVコア抗原が、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、CおよびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第1の天然に存在しない核酸分子および前記第2の天然に存在しない核酸分子が、デオキシリボ核酸(DNA)プラスミド、細菌人工染色体、酵母人工染色体、バクテリオファージ、リボ核酸(RNA)レプリコン、メッセンジャーRNA(mRNA)レプリコン、改変mRNAレプリコン、または自己増幅mRNA、および完全閉鎖線形デオキシリボ核酸からなる群から選択される非ウイルスベクターに含まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記第1の天然に存在しない核酸分子および前記第2の天然に存在しない核酸分子が、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、腸内ウイルスベクター、ベネズエラウマ脳炎ウイルスベクター、セムリキ森林ウイルスベクター、タバコモザイクウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アレナウイルスウイルスベクター、複製欠損アレナウイルスウイルスベクターまたは複製コンピテントアレナウイルスウイルスベクター、2分節または3分節アレナウイルス、感染性アレナウイルスウイルスベクター、ゲノム分節の1つのオープンリーディングフレームが欠失しているかまたは機能的に不活化されており、かつHBV抗原をコードする核酸に置換されている、アレナウイルスゲノム分節を含む核酸、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、およびフニンウイルスからなる群から選択されるウイルスベクターに含まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記第1の天然に存在しない核酸分子および前記第2の天然に存在しない核酸分子が、同じ天然に存在しない核酸に存在し、前記同じ天然に存在しない核酸が、個々のHBVコアおよびHBVポリメラーゼ抗原が単一のmRNA転写物から発現されるバイシストロニック発現ベクターであり、前記バイシストロニック発現ベクターが、リボソーム翻訳スリップ部位またはシス-ヒドロラーゼ部位コード配列をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物を含むキット。
【請求項7】
前記第1のポリヌクレオチドが、配列番号4と少なくとも
99%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードし、前記第2のポリヌクレオチドが、配列番号2または配列番号14のアミノ酸配列からなるHBVコア抗原をコードする、請求項
1~6のいずれか1項に記載の組成物またはキット。
【請求項8】
前記第1のポリヌクレオチドが、配列番号4のアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする、請求項
1~6のいずれか1項に記載の組成物またはキット。
【請求項9】
前記第1の天然に存在しない核酸分子および前記第2の天然に存在しない核酸分子の少なくとも1つが、前記HBVポリメラーゼ抗原および前記切断型HBVコア抗原の少なくとも1つに作動可能に連結されたシグナル配列をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、請求項
1~6のいずれか1項に記載の組成物またはキット。
【請求項10】
前記シグナル配列が、独立して配列番号6または配列番号19のアミノ酸配列を含
む、請求項
9に記載の組成物またはキット。
【請求項11】
前記第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号3または配列番号16と少なくとも90%同一である、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物またはキット。
【請求項12】
前記第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号3または配列番号16のポリヌクレオチド配列を含む、請求項
11に記載の組成物またはキット。
【請求項13】
前記第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号1または配列番号15と少なくとも90%同一である、請求項
1~6のいずれか1項に記載の組成物またはキット。
【請求項14】
前記第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号1または配列番号15のポリヌクレオチド配列を含む、請求項
13に記載の組成物またはキット。
【請求項15】
前記第1の天然に存在しない核酸分子および前記第2の天然に存在しない核酸分子が同じベクターに存在する、請求項
1~6のいずれか1項に記載の組成物またはキット。
【請求項16】
前記ベクターが、任意選択でリンカーを介して、前記HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された前記切断型HBVコア抗原を含む融合タンパク質をコードする、請求項
15に記載の組成物またはキット。
【請求項17】
前記融合タンパク質が、配列番号20のアミノ酸配列を含む、請求項
16に記載の組成物またはキット。
【請求項18】
前記ベクターが、5’末端から3’末端に、プロモーター配列、エンハンサー配列、シグナルペプチドコード配列、前記第2のポリヌクレオチド配列、リンカーコード配列、前記第1のポリヌクレオチド配列、およびポリアデニル化シグナル配列を含有する、
請求項16または請求項17に記載の組成物またはキット。
【請求項19】
前記ベクターが、アデノウイルスベクター
である、請求項
18に記載の組成物またはキット。
【請求項20】
前記アデノウイルスベクターが、配列番号17のポリヌクレオチド配列を含む前記プロモーター配列、配列番号23のポリヌクレオチド配列を含む調節配列、配列番号18のポリヌクレオチド配列を含む前記シグナルペプチドコード配列、配列番号15のポリヌクレオチド配列を含む前記第2のポリヌクレオチド配列、配列番号22のポリヌクレオチド配列を含む前記リンカーコード配列、配列番号16のポリヌクレオチド配列を含む前記第1のポリヌクレオチド配列、および配列番号24のポリヌクレオチド配列を含む前記ポリアデニル化シグナル配列を含有する、請求項
19に記載の組成物またはキット。
【請求項21】
前記第1の天然に存在しない核酸分子および前記第2の天然に存在しない核酸分子が、2つの異なるベクターに存在する、請求項
1~6のいずれか1項に記載の組成物またはキット。
【請求項22】
前記第1の天然に存在しない核酸分子が第1のプラスミドDNAベクターに存在し、前記第2の天然に存在しない核酸分子が第2のプラスミドDNAベクターに存在する、請求項
21に記載の組成物またはキット。
【請求項23】
前記第1および前記第2のプラスミドDNAベクターの各々が、複製開始点、抗生物質耐性遺伝子、ならびに5’末端から3’末端に、プロモーター配列、調節配列、シグナルペプチドコード配列、前記第1のポリヌクレオチド配列または前記第2のポリヌクレオチド配列、およびポリアデニル化シグナル配列を含む、請求項
22に記載の組成物またはキット。
【請求項24】
前記抗生物質耐性遺伝子が、配列番号12と少なくとも90%同一である
ポリヌクレオチド配列を有するカナマイシン耐性遺伝子である、請求項
23に記載の組成物またはキット。
【請求項25】
前記組成物またはキットが、
(a)3’末端から5’末端に、配列番号7のポリヌクレオチド配列を含む前記プロモーター配列、配列番号8のポリヌクレオチド配列を含む前記調節配列、配列番号5のポリヌクレオチドを含む前記シグナルペプチドコード配列、配列番号3のポリヌクレオチド配列を含む前記第1のポリヌクレオチド配列、および配列番号11のポリヌクレオチド配列を含む前記ポリアデニル化シグナル配列を含む第1のプラスミドDNAベクター;
(b)3’末端から5’末端に、配列番号7のポリヌクレオチド配列を含む前記プロモーター配列、配列番号8のポリヌクレオチド配列を含む前記調節配列、配列番号5のポリヌクレオチド配列を含む前記シグナルペプチドコード配列、配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む前記第2のポリヌクレオチド配列、および配列番号11のポリヌクレオチド配列を含む前記ポリアデニル化シグナル配列を含む第2のプラスミドDNAベクター;ならびに
(c)薬学的に許容可能な担体、
を含み、
前記第1のプラスミドDNAベクターおよび前記第2のプラスミドDNAベクターの各々が、配列番号12のポリヌクレオチド配列を有するカナマイシン耐性遺伝子、および配列番号10のポリヌクレオチド配列を有する複製開始点をさらに含み、ならびに
前記第1のプラスミドDNAベクターおよび前記第2のプラスミドDNAベクターが、同じ組成物または2つの異なる組成物に存在する、
請求項
24に記載の組成物またはキット。
【請求項26】
配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む
B型肝炎ウイルス(HBV
)ポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含む天然に存在しない核酸分子であって、前記HBVポリメラーゼ抗原が逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有さず、前記HBVポリメラーゼ抗原が、
哺乳動物において少なくともHBV遺伝子型B、CおよびDに対するT細胞応答を誘導することが可能であ
る、天然に存在しない核酸分子。
【請求項27】
任意選択でリンカーを介して前記HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された
切断型HBVコア抗原を含む融合タンパク質をコードする、請求項
26に記載の天然に存在しない核酸分子。
【請求項28】
前記HBVポリメラーゼ抗原が、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、CおよびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である、請求項26に記載の天然に存在しない核酸分子。
【請求項29】
それを必要とする対象においてB型肝炎ウイルスに対する免疫応答を誘導するのに用いるための、請求項1~6または26~28のいずれか1項に記載の組成物、キット、または天然に存在しない核酸分子。
【請求項30】
それを必要とする対象においてHBV感染症を治療するのに用いるための、請求項1~6または26~28のいずれか1項に記載の組成物、キット、または天然に存在しない核酸分子。
【請求項31】
前記対象が、慢性HBV感染症を有する、請求項29に記載の組成物、キット、または核酸分子。
【請求項32】
前記対象が、慢性HBV感染症を有する、請求項30に記載の組成物、キット、または核酸分子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている、2017年12月19日に提出された国際特許出願PCT/IB2017/058142号明細書、および2017年12月19日に提出された米国特許仮出願第62/607,426号明細書の優先権を主張する。
【0002】
電子提出された配列表の参照
本出願は、作成日が2018年12月10日で、サイズ46.6KBを有するファイル名「688097-403 Sequence Listing」を有するASCIIフォーマットの配列表としてEFS-Webを介して電子提出された配列表を含有する。EFS-Webを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0003】
発明の背景
B型肝炎ウイルス(HBV)は、4つのオープンリーディングフレームおよび7つのタンパク質をコードする小さい3.2kbの肝臓指向性DNAウイルスである。約20億人の人がHBVに感染しており、およそ2億4000万人の人が、血液中のウイルスおよびサブウイルス粒子が6ヶ月超持続することによって特徴付けられる慢性B型肝炎感染症(慢性HBV)を有する(1)。持続性のHBV感染症は、HBV特異的T細胞受容体がウイルスペプチドおよび循環中の抗原によって慢性的に刺激されることにより、循環中および肝臓内のHBV特異的CD4+およびCD8+ T細胞の枯渇をもたらす。その結果、T細胞の多機能性が減少する(すなわち、IL-2、腫瘍壊死因子(TNF)-α、IFN-γレベルの減少、および増殖の欠如)。
【0004】
HBV感染症に対する安全かつ有効な予防用ワクチンは、1980年代以降、利用できるようになり、B型肝炎予防の主流である(3)。世界保健機構は、全ての乳児のワクチン接種を推奨しており、B型肝炎の流行が低いまたは中間の国では、全ての子供および青年(年齢<18歳)、ならびにある特定のリスク集団カテゴリーの人々のワクチン接種を推奨している。ワクチン接種により、世界全体での感染率は劇的に低下した。しかし、予防用ワクチンは、確立されたHBV感染症を治癒しない。
【0005】
慢性的なHBVは現在、IFN-α、ならびにヌクレオシドまたはヌクレオチドアナログによって処置されているが、ウイルスRNAの鋳型として、したがって新規ビリオンの鋳型として根本的な役割を果たす完全閉鎖環状DNA(cccDNA)と呼ばれる細胞内ウイルス複製中間体が、感染した肝細胞において持続することにより、最終的な治癒は生じない。誘導されたウイルス特異的T細胞およびB細胞応答は、cccDNAを有する肝細胞を有効に排除することができると考えられている。HBVポリメラーゼを標的とする現行の治療は、ウイルス血症を抑制するが、核に存在するcccDNAおよび関連する循環中の抗原の産生に及ぼす効果は限定的である。最も厳格な治癒の形態は、生物からのHBVcccDNAの排除であり得るが、これは自然の転帰としてもいずれかの治療介入の結果としても観察されていない。しかし、HBV表面抗原(HBsAg)の喪失は、臨床的に信頼できる治癒等価物であり、その理由は疾患の再発が重度の免疫抑制の場合に限って起こり得、これは予防的処置によって防止できるためである。このように、少なくとも臨床的見地から、HBsAgの喪失は、HBVに対する免疫再構成の最も厳格な形態に関連する。
【0006】
例えば、peg化インターフェロン(pegIFN)-αによる免疫調節は、有限の一連の処置による非処置時の持続的応答に関して、ヌクレオシドまたはヌクレオチド治療と比較してより良好であることが証明されている。直接の抗ウイルス効果に加えて、IFN-αは、細胞培養およびヒト化マウスにおいてcccDNAの後成的抑制を発揮することが報告されており、これはビリオン生産性の低減および転写物の低減をもたらす(4)。しかし、この治療もなお副作用を伴い、理由の一部としてIFN-αがHBV特異的T細胞に及ぼす調節的影響がごくわずかであることから、全体的な応答はむしろ低い。特に、治癒率は低く(<10%)、毒性は高い。同様に、直接作用するHBV抗ウイルス剤、すなわちHBVポリメラーゼ阻害剤であるエンテカビルおよびテノフォビルは、ウイルス抑制の誘導において単剤として有効であり、薬物耐性変異体の出現に対する遺伝的障壁が高く、肝疾患の進行を持続的に防止する。しかし、HBsAgの喪失またはセロコンバージョンによって定義される慢性B型肝炎の治癒が、そのようなHBVポリメラーゼ阻害剤によって達成されることはめったにない。したがって、これらの抗ウイルス剤は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の抗レトロウイルス治療と同様に、理論的には、肝疾患の再発を防止するためにいつまでも投与する必要がある。
【0007】
治療的ワクチン接種は、慢性的に感染した患者からHBVを排除する潜在性を有する(5)。多くの戦略が探索されているが、今日まで治療的ワクチン接種の成功は証明されていない。
【0008】
発明の簡単な概略
したがって、B型肝炎ウイルス(HBV)、特に慢性的なHBVの処置において、高い治癒率で忍容性が良好な有限の処置のアンメットメディカルニーズが存在する。本発明は、B型肝炎ウイルス(HBV)感染症に対する免疫応答を誘導するための免疫原性組成物および方法を提供することによって、このニーズを満たす。本発明の免疫原性組成物および方法を使用して、慢性HBV感染症を有する対象等の対象に治療免疫を提供することができる。
【0009】
全般的態様では、本出願は、切断型HBVコア抗原またはHBVポリメラーゼ抗原等のHBV抗原をコードする天然に存在しない核酸分子に関する。本出願の実施形態に従うHBV抗原は、哺乳動物において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答(液性および細胞性)を誘導する、好ましくは哺乳動物において少なくともHBV遺伝子型B、C、およびDに対するT細胞応答を誘導する、より好ましくはヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、C、およびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能なコンセンサス抗原である。
【0010】
一実施形態では、本出願の天然に存在しない核酸分子は、配列番号2または配列番号14のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードし、天然に存在しない核酸分子は、配列番号1または配列番号15と少なくとも90%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。好ましくは、天然に存在しない核酸分子は、配列番号1または配列番号15のポリヌクレオチド配列を含む。
【0011】
一実施形態では、本出願の天然に存在しない核酸分子は、配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードし、HBVポリメラーゼ抗原は、逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない。好ましくは、HBVポリメラーゼ抗原は、配列番号4のアミノ酸配列を含む。より好ましくは天然に存在しない核酸分子は、配列番号3または配列番号16と少なくとも90%同一である、最も好ましくは配列番号3または配列番号16と100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0012】
別の一般的な態様では、本出願は、本出願の天然に存在しない核酸分子を含むベクター、好ましくはDNAプラスミドまたはウイルスベクターに関する。
【0013】
別の一般的な態様では、本出願は、本出願の天然に存在しない核酸分子またはベクターを含む組換え宿主細胞に関する。
【0014】
別の一般的な態様では、本出願は、本出願の天然に存在しない核酸分子によってコードされる天然に存在しないポリペプチドに関する。
【0015】
なお別の一般的な態様では、本出願は、本出願の天然に存在しない核酸分子、ベクター、組換え宿主細胞、および天然に存在しないポリペプチドのうちの少なくとも1つ、ならびに薬学的に許容可能な担体を含む組成物に関する。
【0016】
別の一般的な態様では、本出願は:
(a)配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有するHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチドを含む第1の天然に存在しない核酸分子であって、HBVポリメラーゼ抗原が逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない、第1の天然に存在しない核酸分子;
(b)配列番号2または配列番号14のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチドを含む第2の天然に存在しない核酸分子;および
(c)薬学的に許容可能な担体
を含む、免疫原性組合せ、特にキットであって
第1の天然に存在しない核酸分子および第2の天然に存在しない核酸分子が、同じ天然に存在しない核酸分子、または2つの異なる天然に存在しない核酸分子に存在する、免疫原性組合せに関する。
【0017】
一部の実施形態では、本出願の免疫原性組合せ、特にキットは、第1のベクターに存在する第1のポリヌクレオチドおよび第2のベクターに存在する第2のポリヌクレオチドを含む。好ましくは、第1のベクターは、第2のベクターとは異なる。より好ましくは、ベクターは、プラスミドベクターまたはウイルスベクターである。より好ましくは、第1のベクターおよび第2のベクターの各々は、プラスミドDNAベクターである。
【0018】
一実施形態では、本出願の免疫原性組合せ、特にキットは:
a)配列番号4のアミノ酸配列を有するHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含む第1のプラスミドDNAベクター;
b)配列番号2または14のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチドを含む第2のプラスミドDNAベクター;および
c)薬学的に許容可能な担体
を含み、
第1のプラスミドDNAベクターおよび第2のプラスミドDNAベクターの各々は、抗生物質耐性遺伝子、および複製開始点をさらに含み、ならびに
第1のプラスミドDNAベクターおよび第2のプラスミドDNAベクターは、同じ組成物または2つの異なる組成物に存在する。
【0019】
特定の実施形態では、本出願の免疫原性組合せ、特にキットは:
a)3’末端から5’末端に、配列番号7のポリヌクレオチド配列を含むプロモーター配列、配列番号8のポリヌクレオチド配列を含むエンハンサー配列、配列番号5のポリヌクレオチドを含むシグナルペプチドコード配列、配列番号3のポリヌクレオチド配列を含む第1のポリヌクレオチド配列、および配列番号11のポリヌクレオチド配列を含むポリアデニル化シグナル配列を含む第1のプラスミドDNAベクター;
b)3’末端から5’末端に、配列番号7のポリヌクレオチド配列を含むプロモーター配列、配列番号8のポリヌクレオチド配列を含む調節配列、配列番号5のポリヌクレオチド配列を含むシグナルペプチドコード配列、配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む第2のポリヌクレオチド配列、および配列番号11のポリヌクレオチド配列を含むポリアデニル化シグナル配列を含む第2のプラスミドDNAベクター;ならびに
c)薬学的に許容可能な担体、
を含み、
第1のプラスミドDNAベクターおよび第2のプラスミドDNAベクターの各々は、配列番号12のポリヌクレオチド配列を有するカナマイシン耐性遺伝子、および配列番号10のポリヌクレオチド配列を有する複製開始点をさらに含み、ならびに
第1のプラスミドDNAベクターおよび第2のプラスミドDNAベクターは、同じ組成物または2つの異なる組成物に存在する。
【0020】
他の実施形態では、本出願の免疫原性組合せ、特にキットは、同じベクターに存在する第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドを含む。好ましくは、ベクターは、プラスミドベクターまたはウイルスベクターである。より好ましくは、ベクターは、アデノウイルスベクター、例えばAd26またはAd35ベクターである。
【0021】
一実施形態では、本出願の免疫原性組合せ、特にキットは:
a)配列番号4のアミノ酸配列を有するHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列、および配列番号2または配列番号14のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチドを含むベクター;ならびに
b)薬学的に許容可能な担体
を含む。
【0022】
特定の実施形態では、本出願の免疫原性組合せ、特にキットは、5’末端から3’末端に、配列番号17のポリヌクレオチド配列を含むプロモーター配列、配列番号23のポリヌクレオチド配列を含む調節配列、配列番号18のポリヌクレオチド配列を含むシグナルペプチドコード配列、配列番号15のポリヌクレオチド配列を含む第2のポリヌクレオチド配列、配列番号22のポリヌクレオチド配列を含むリンカーコード配列、配列番号16のポリヌクレオチド配列を含む第1のポリヌクレオチド配列、および配列番号24のポリヌクレオチド配列を含むポリアデニル化シグナル配列を含むウイルスベクター、好ましくはアデノウイルスベクター、ならびに薬学的に許容可能な担体を含む。
【0023】
本出願の他の態様は、本出願のポリヌクレオチド、ベクター、ポリペプチド、および組成物、ならびに免疫原性組合せまたはキットを製造する方法に関する。
【0024】
なお別の一般的な態様では、本出願は、それを必要とする対象においてB型肝炎ウイルス(HBV)に対する免疫応答を誘導する方法であって、本出願の組成物または免疫原性組合せの免疫原性有効量を対象に投与するステップを含む方法に関する。好ましくは、方法は、対象において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答、例えば抗体応答および/またはT細胞応答を誘導する。好ましくは、方法は、対象において少なくともHBV遺伝子型B、CおよびDに対するT細胞応答を誘導する。より好ましくは、方法は、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、CおよびDに対するCD8 T細胞応答を誘導する。一実施形態では、方法は、対象に、別の免疫原性剤、好ましくは別のHBV抗原を投与するステップをさらに含む。
【0025】
別の態様では、本出願は、それを必要とする対象におけるB型肝炎ウイルス(HBV)誘導疾患を処置する方法であって、本出願の組成物または免疫原性組合せの治療有効量を対象に投与するステップを含む方法に関する。好ましくは、対象は慢性HBV感染症を有し、HBV誘導疾患は進行線維症、肝硬変、および肝細胞癌(HCC)からなる群から選択される。一実施形態では、方法は、別の治療剤、好ましくは別の抗HBV抗原を対象に投与するステップをさらに含む。
【0026】
本出願はまた、B型肝炎ウイルス(HBV)に対する免疫応答の誘導に使用するための本出願の組成物、免疫原性組合せ、またはキット;およびB型肝炎ウイルス(HBV)に対する免疫応答を誘導するための医薬の製造における本出願の組成物、免疫原性組合せ、またはキットの使用にも関する。使用は、別の免疫原性剤、好ましくは別のHBV抗原との組合せをさらに含み得る。好ましくは、対象は慢性HBV感染症を有する。
【0027】
本出願はさらに、それを必要とする対象におけるHBV誘導疾患の処置に使用するための本出願の組成物、免疫原性組合せ、またはキット、およびそれを必要とする対象におけるHBV誘導疾患を処置するための医薬の製造における本出願の組成物、免疫原性組合せ、またはキットの使用に関する。使用は、別の治療剤、好ましくは別のHBV抗原との組合せをさらに含み得る。好ましくは、対象は慢性HBV感染症を有し、HBV誘導疾患は、進行線維症、肝硬変、および肝細胞癌(HCC)からなる群から選択される。
【0028】
発明の他の態様、特色および利点は、発明の詳細な記述、ならびにその好ましい実施形態および添付の特許請求の範囲を含む以下の開示から明らかであろう。
【0029】
図面の簡単な説明
発明の前述の概要、ならびに以下の詳細な説明は、添付の図面と共に読むとより良好に理解される。発明は、図面に示された実施形態そのものに限定されないと理解すべきである。
以下の図において:
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1A~1Bは、B型肝炎ウイルスのゲノムおよびウイルス生活環を示す。
図1Aは、B型肝炎ウイルス(HBV)のゲノムの図であり、ネイティブウイルスでは、ポリメラーゼタンパク質(Pol)は、異なるオープンリーディングフレームにエンベロープタンパク質のコード配列を含有し、エンベロープタンパク質(pre-S1、pre-S2、およびS)は、同じオープンリーディングフレームに存在する。
図1Bは、HBVのウイルス生活環を示す。
【
図2-1】
図2A~2Hは、実施例1に記載の発現カセット、ならびにHBV polおよびコア抗原をコードするDNAプラスミドの設計および最適化を示す。
図2Aは、HBVコアおよびpol抗原のコード配列がインフレームで融合される発現戦略の略図である。
図2Bは、コアおよびpol抗原の両方のコード配列がリボソームFA2翻訳スリップ部位によって単一のプラスミドから発現される発現戦略の略図を示す。
図2Cは、コアおよびpol抗原が2つの個別のプラスミドから発現される発現戦略の略図である。
図2Dは、転写後調節エレメントWPREの存在下および非存在下でコアを発現するプラスミドをトランスフェクトしたHEK293T細胞におけるコア抗原発現のウェスタンブロットである;発現を、α-コア抗体を使用して細胞ライセート(左)および上清(sup、右)において試験した;
図2Eは、ヒトアポリポタンパク質A1前駆体に由来するイントロン/エクソン配列(「AIイントロン」)、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)長末端反復(LTR)(「HTLV R」)の非翻訳R-U5ドメイン、またはHTLV-1 LTRのトリプルエンハンサー複合配列、合成ウサギβ-グロビンイントロン、およびスプライシングエンハンサー(「トリプル」)を含むコア発現プラスミドをトランスフェクトしたHEK293T細胞におけるコア発現の比較を示すウェスタンブロット分析である;非標識レーンはサイズマーカーとしての精製コアタンパク質であり、発現をライセート(左)および上清(sup、右)の両方において試験した;コア抗原発現は、トリプルエンハンサー複合配列において最も高かった。
図2Fは、HBVコア抗原のN末端に融合した異なるシグナルペプチドを使用するコア抗原分泌のウェスタンブロット分析である;最も効率的なタンパク質分泌は、シスタチンSシグナルペプチドによって観察された。
図2Gは、
図2A~2Cに例証した3つの発現戦略の各々に関する最適化されたHBVコア/pol抗原発現カセットの略図である;CMVpr:ヒトCMV-IEプロモーター;TRE:トリプルエンハンサー配列;SP:シスタチンSシグナルペプチド;FA2:FMDVリボソーム翻訳スリップ部位;pA:BGHポリアデニル化シグナル。
図2Hは、
図2Gに示す発現カセットの各々を含有するpDKベクターのHBVコアおよびpol抗原発現のウェスタンブロット分析である;レーン1および2:pDK-コア;レーン3および4:pDK-pol;レーン5および6:pDK-コアFA2Pol;レーン7および8:pDK-コア-pol融合体;細胞のおよび分泌されたコアおよびpol抗原の最も一貫した発現プロファイルは、抗原が個別のベクターによってコードされる場合に観察された。
【
図3】
図3A~3Bは、本出願の実施形態に従うDNAプラスミドの略図を示す。
図3Aは、本出願の実施形態に従うHBVコア抗原をコードするDNAプラスミドを示す。
図3Bは、本出願の実施形態に従うHBVポリメラーゼ(pol)抗原をコードするDNAプラスミドを示す;HBVコアおよびpol抗原は、CMVプロモーターの制御下で発現され、N末端シスタチンSシグナルペプチドは、細胞からの分泌時に発現された抗原から切断される;プラスミドの転写調節エレメントは、CMVプロモーターとHBV抗原をコードするポリヌクレオチド配列との間に位置するエンハンサー配列、およびHBV抗原をコードするポリヌクレオチド配列の下流に位置するbGHポリアデニル化配列を含む;第2の発現カセットは、プラスミドにおいて逆方向に含まれ、Amp
r(bla)プロモーターの制御下でカナマイシン耐性遺伝子を含む;複製開始点(pUC)もまた、逆方向に含まれる。
【
図4】
図4は、実施例2に記載するように、HBVコア抗原またはHBV pol抗原を発現する異なるDNAプラスミドによって免疫したBalb/cマウスのELISPOT応答を示す。様々なワクチン接種動物群から単離した脾細胞を刺激するために使用したペプチドプールをグレースケールで示し;応答性のT細胞の数を脾細胞10
6個あたりのスポット形成細胞(SFC)として表記してy軸で示す。
【
図5】
図5は、実施例3に記載の用量設定試験に従ってHBVコア抗原およびHBV pol抗原を発現するDNAプラスミドの組合せによって免疫したBalb/CマウスのELISPOT応答を示す。様々なワクチン接種動物群から単離した脾細胞を刺激するために使用したペプチドプールをグレースケールで示し;応答性のT細胞の数を脾細胞10
6個あたりのスポット形成細胞(SFC)として表記してy軸に示す。
【
図6】
図6は、実施例4に記載の免疫干渉試験に従ってHBVコア抗原およびHBV pol抗原を発現するDNAプラスミド(pDNA)によって免疫したBalb/cマウスのELISPOT応答を示す。群1、単一のコアpDNA;群2、単一のPol pDNA;群3、混合したコアおよびPol pDNA;群4、異なる部位に個別に適用したコアおよびPol pDNA;様々なワクチン接種動物群から単離した脾細胞を刺激するために使用したペプチドプールをグレースケールで示し、応答性のT細胞の数を脾細胞10
6個あたりのスポット形成細胞(SFC)として表記してy軸に示す。
【
図7】
図7Aおよび7Bは、実施例5に記載のNHPにおける本出願の実施形態に従うDNAワクチンの免疫原性を示す。
図7Aは、HBVコア抗原およびpol抗原を発現するDNAプラスミドによる免疫後のIFN-γサイトカイン応答を示す。ワクチン接種動物群から単離したPBMCを刺激するために使用したペプチドプールをグレースケールで示し;応答性のT細胞の数をPBMC10
6個あたりのスポット形成細胞(SFC)として表記してy軸に示す。
図7Bは、フローサイトメトリーによって測定したコア、Pol-1、およびPol-2ペプチドプールに対するCD4およびCD8 メモリーT細胞の免疫応答を示す;グラフは、76日目の結果を、DMSO培地のみのバックグラウンドを各プールに関して差し引いた後の3つのプールに対する%CD4またはCD8 T細胞応答(IFN-γ、IL-2、およびTNF-α)として示す;CD4応答を左に示し、CD8応答を右に示す。
【
図8】
図8Aおよび8Bは、本出願の実施形態に従うアデノウイルスベクターにおける発現カセットの略図を示す。
図8Aは、CMVプロモーター、イントロン(ヒトApoAI遺伝子に由来する断片-GenBank受託番号X01038、塩基対295~523、ApoAIの第2のイントロンを有する)、ヒト免疫グロブリン分泌シグナル、この後に続く切断型HBVコア抗原のコード配列およびSV40ポリアデニル化シグナルを含有する、切断型HBVコア抗原の発現カセットを示す。
図8Bは、HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原の融合タンパク質の発現カセットを示し、これは、HBV抗原を除き、それ以外は切断型HBVコア抗原の発現カセットと同一である;ならびに
【
図9】
図9は、実施例8に記載のHBVアデノウイルスベクターによって免疫したF1マウス(C57BL/6×Balb/C)におけるELISPOT応答を示す;様々なワクチン接種動物群から単離した脾細胞を刺激するために使用したHBVコアまたはポリメラーゼペプチドプールを黒色(コア)および灰色(pol)で示す;Pol1およびpol2応答を合計する;X軸は、アデノベクターの用量および実験群を示す。応答性のT細胞の数を、脾細胞10
6個あたりのスポット形成細胞(SFC)として表記してy軸に示す。
【0031】
発明の詳細な記述
様々な刊行物、論文、および特許が、背景および本出願全体を通して引用または記載されているが、これらの参照の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。本明細書に含まれている文書、行為、材料、デバイス、品目等に関する考察は、本発明の内容を提供する目的のためである。そのような考察は、これらの事柄のいずれかまたは全てが、開示または特許請求される任意の本発明に関連して先行技術の一部を形成すると認めたわけではない。
【0032】
それ以外であると定義している場合を除き、本明細書で使用する全ての科学技術用語は、本発明が属する当業者に一般的に理解される意味と同じ意味を有する。そうでなければ、本明細書で使用するある特定の用語は、本明細書に記載の意味を有する。本明細書で引用した全ての特許、公開された特許出願、および刊行物は、それが本明細書に十分に記載されているように参照により本明細書に組み込まれている。
【0033】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの」、「1つの(an)」、および「その」は、本文がそれ以外であると明白に示していない限り、複数形を含むことに注意しなければならない。
【0034】
それ以外であると示していない限り、一連の要素に先行する「少なくとも」という用語は、その一連のあらゆる要素を指すと理解される。当業者は、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を、単なる通例の実験を使用して認識するか、または確認することができる。そのような均等物は、本発明に包含されると意図される。
【0035】
以下に続く本明細書および特許請求の範囲を通して、本文がそれ以外であることを必要としていない限り、用語「含む」および「含む(comprises)」および「含む(comprising)」等の変化形は、記載の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群を含むことを暗示するが、他の任意の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群を除外しないと理解される。本明細書で使用する場合、用語「含む」は、用語「含有する」もしくは「含む(including)」に置換することができ、または時に本明細書において使用される場合、「有する」という用語に置換することができる。
【0036】
本明細書で使用される場合、「からなる」は、特許請求の範囲の要素に明記されていないいかなる要素、ステップ、または成分も除外する。本明細書で使用される場合、「本質的にからなる」は、特許請求の範囲の基本的および新規特徴に実質的に影響を及ぼさない材料またはステップを除外しない。上記の用語「含む(comprising)」、「含有する」、「含む(including)」、および「有する」はいずれも、本出願の一態様または一実施形態の文脈において本明細書で使用されている場合は常に、本開示の範囲を変化させるために用語「からなる」または「本質的にからなる」と置換することができる。
【0037】
本明細書で使用される場合、複数の列挙された要素の間の接続詞「および/または」は、個々のおよび組合せの選択肢の両方を包含すると理解される。例えば、2つの要素を「および/または」で接続する場合、第1の選択肢は第2の要素を有しない第1の要素の適応性を指す。第2の選択肢は、第1の要素を有しない第2の要素の適応性を指す。第3の選択肢は、第1および第2の要素の両方の適応性を指す。これらの選択肢の任意の1つが、その意味に含まれ、したがって本明細書で使用される用語「および/または」の必要条件を満たすと理解される。1つより多くの選択肢の同時の適応性もまた、その意味に含まれ、したがって用語「および/または」の必要条件を満たすと理解される。
【0038】
それ以外であると明記していない限り、本明細書で記載する濃度または濃度範囲等のいかなる数値も、全ての例において用語「約」によって修飾されると理解される。このように、数値は典型的に、列挙した値の±10%を含む。例えば、濃度1mg/mLは、0.9mg/mL~1.1mg/mLを含む。同様に、濃度範囲1mg/mL~10mg/mLは、0.9mg/mL~11mg/mLを含む。本明細書で使用される場合、本文が明白にそれ以外であることを示していない限り、数値範囲の使用は、全ての可能性がある小範囲、ならびにそのような範囲内の整数および値の分数を含む、その範囲内の全ての個々の数値を明白に含む。
【0039】
アミノ酸配列を参照して使用する場合の、語句「パーセント(%)配列同一性」または「%同一性」、または「%同一である」は、アミノ酸配列の全長を構成するアミノ酸残基の数と比較して、2つまたはそれより多くの整列させたアミノ酸配列の同一のアミノ酸のマッチ(「ヒット」)数を記載する。言い換えれば、2つまたはそれより多くの配列のアライメントを使用して、当技術分野で公知の配列比較アルゴリズムを使用して測定した場合に最大に一致するように、配列を比較および整列させた場合、または手作業で整列させて肉眼で検分する場合に、同じであるアミノ酸残基のパーセンテージ(例えば、アミノ酸配列の完全長に対する90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一性)を決定してもよい。配列同一性を決定するために比較される配列は、このように、アミノ酸の置換、付加、または欠失によって異なっていてもよい。タンパク質配列を整列させるための適したプログラムが当業者に公知である。タンパク質配列のパーセンテージ配列同一性は、例えば、CLUSTALW、Clustal Omega、FASTAまたはBLAST、例えばNCBI BLASTアルゴリズム(Altschul SF, et al(1997), Nucleic Acids Res. 25:3389-3402)等のプログラムによって決定することができる。
【0040】
本明細書で使用される場合、2つまたはそれより多くの治療または構成要素を対象に投与する文脈における、用語および語句「組合せ」または「組み合わせて」、「同時送達」、および「共に投与する」は、2つのベクター、例えばDNAプラスミド、または免疫原性組合せおよびアジュバント等の2つまたはそれより多くの治療剤または構成要素の同時投与を指す。「同時投与」は、2つの構成要素の少なくとも同じ日の投与であり得る。2つの構成要素を「共に投与する」または「組み合わせて投与する」場合、それらは、個別の組成物において短時間の間に、例えば24、20、16、12、8、もしくは4時間、もしくは1時間以内に連続して投与することができ、またはそれらは単一の組成物で同時に投与することができる。用語「組み合わせて」の使用は、治療または構成要素が対象に投与される順序を制限しない。例えば、第1の治療または構成要素(例えば、HBV抗原をコードする第1のDNAプラスミド)を、第2の治療または構成要素(例えば、HBV抗原をコードする第2のDNAプラスミド)の投与の前(例えば、5分から1時間前)、付随してもしくは同時に、または後に(例えば、5分から1時間後)に投与することができる。一部の実施形態では、第1の治療または構成要素(例えば、HBV抗原をコードする第1のDNAプラスミド)および第2の治療または構成要素(例えば、HBV抗原をコードする第2のDNAプラスミド)を、同じ組成物で投与する。他の実施形態では、第1の治療または構成要素(例えば、HBV抗原をコードする第1のDNAプラスミド)および第2の治療または構成要素(例えば、HBV抗原をコードする第2のDNAプラスミド)を個別の組成物で投与する。
【0041】
本明細書で使用される場合、「天然に存在しない」核酸またはポリペプチドは、自然界に存在しない核酸またはポリペプチドを指す。「天然に存在しない」核酸またはポリペプチドは、研究所および/または製造の状況で合成、処置、作製、および/またはそうでなければ操作することができる。一部の例では、天然に存在しない核酸またはポリペプチドは、処置前に天然に存在する核酸またはポリペプチドには存在しない特性を示すように、処置、処理、または操作されている天然に存在する核酸またはポリペプチドを含み得る。本明細書で使用される場合、「天然に存在しない」核酸またはポリペプチドは、それが発見された天然起源から単離または分離されている核酸またはポリペプチドであり得て、それが天然起源で会合している配列との共有結合を欠如する。「天然に存在しない」核酸またはポリペプチドは、組換えによって、または他の方法、例えば化学合成を介して作製することができる。
【0042】
本明細書で使用される場合、「対象」は、本出願の実施形態に従う方法によって処置されるまたは処置された任意の動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。本明細書で使用される用語「哺乳動物」は、任意の哺乳動物を包含する。哺乳動物の例には、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、非ヒト霊長類(NHP)、例えばサルまたは類人猿、ヒト等が挙げられるがこれらに限定されず、より好ましくはヒトである。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「作動可能に連結された」は、記述の構成要素がその意図する様式でそれらを機能させる関係にある連結または並置を指す。例えば、目的の核酸配列に作動可能に連結された調節配列は、目的の核酸配列の転写を指示することができ、または目的のアミノ酸配列に作動可能に連結されたシグナル配列は、目的のアミノ酸配列を、膜を超えて分泌または移動させることが可能である。
【0044】
本出願の読者を助ける試みで、説明は様々な段落または節で区切られているか、または本出願の様々な実施形態を対象としている。これらの区切りは、段落または節または実施形態の物質を別の段落、節、または実施形態の物質と切り離すと考えるべきではない。逆に、当業者は、説明が広い応用を有し、企図することができる様々な節、段落、および文章の全ての組合せを包含すると理解するであろう。いかなる実施形態の考察も単なる例であることを意味しており、特許請求の範囲を含む本開示の範囲はこれらの例に限定されないと示唆することを意図する。例えば、本明細書に記載の本出願のHBVベクターの実施形態(例えば、プラスミドDNAまたはウイルスベクター)は、特定の順序で配置したある特定のプロモーター配列、エンハンサーまたは調節配列、シグナルペプチド、HBV抗原のコード配列、ポリアデニル化シグナル配列等を含むがこれらに限定されない特定の構成要素を含有し得るが、当業者は、本明細書で開示される概念が、本出願のHBVベクターにおいて使用することができる他の順序で配置した他の構成要素にも等しく当てはまり得ることを認識するであろう。本出願は、特定の組合せが明白に記載されているか否かによらず、本出願のHBVベクターにおいて使用することができる任意の配列を有する任意の応用可能な構成要素の任意の組合せでの使用を企図する。
【0045】
B型肝炎ウイルス(HBV)
本明細書で使用される場合、「B型肝炎ウイルス」または「HBV」は、ヘパドナウイルス科のウイルスを指す。HBVは、4つのオープンリーディングフレームおよび7つのタンパク質をコードする小さい(例えば、3.2kb)肝臓指向性のDNAウイルスである。
図1Aを参照されたい。HBVによってコードされる7つのタンパク質は、small(S)、medium(M)、およびlarge(L)表面抗原(HBsAg)、またはエンベロープ(Env)タンパク質、プレコアタンパク質、コアタンパク質、ウイルスポリメラーゼ(Pol)、およびHBxタンパク質を含む。HBVは、3つの表面抗原またはエンベロープタンパク質、L、M、およびSを発現し、Sが最小であり、Lが最大である。MおよびLタンパク質におけるエクストラドメインはそれぞれ、Pre-S2およびPre-S1と呼ばれる。コアタンパク質は、ウイルスヌクレオキャプシドのサブユニットである。Polは、ウイルスDNAの合成にとって必要であり(逆転写酵素、RNアーゼH、およびプライマー)、これは感染した肝細胞の細胞質に局在するヌクレオキャプシドで起こる。プレコアは、N末端シグナルペプチドを有するコアタンパク質であり、そのN末端およびC末端でタンパク質分解によりプロセシングされ、感染した細胞からいわゆるB型肝炎e抗原(HBeAg)として分泌される。HBxタンパク質は、完全閉鎖環状DNA(cccDNA)の効率的な転写にとって必要である。HBxは、ウイルスの構造タンパク質ではない。HBVの全てのウイルスタンパク質は、mRNAを共有するコアおよびポリメラーゼを除き自身のmRNAを有する。タンパク質プレコアを除き、いずれのHBVウイルスタンパク質も翻訳後タンパク質分解によるプロセシングを受けない。
【0046】
HBVビリオンは、ウイルスエンベロープ、ヌクレオキャプシド、および1コピーの部分的二本鎖DNAゲノムを含有する。ヌクレオキャプシドは、コアタンパク質の120個の二量体を含み、S、M、およびLウイルスエンベロープ、または表面抗原タンパク質に埋もれているキャプシド膜によって覆われている。細胞内に侵入後、ウイルスは、脱殻し、ウイルスポリメラーゼが共有結合したキャプシド含有不完全閉鎖環状DNA(rcDNA)が核に移行する。そのプロセスの間、コアタンパク質のリン酸化が構造の変化を誘導し、核移行シグナルを露出させ、キャプシドといわゆるインポーチンとの相互作用を可能にする。これらのインポーチンは、コアタンパク質と核膜孔複合体との結合を媒介し、それによってキャプシドが分解し、ポリメラーゼ/rcDNA複合体が核に放出される。核内でrcDNAが、脱タンパク質化され(ポリメラーゼの除去)、宿主DNA修復機構によって完全閉鎖環状DNA(cccDNA)ゲノムに変換され、重複する転写物がHBeAg、HBsAg、コアタンパク質、ウイルスポリメラーゼおよびHBxタンパク質をコードする。コアタンパク質、ウイルスポリメラーゼ、およびプレゲノムRNA(pgRNA)は、細胞質で会合し、未成熟なpgRNA含有キャプシド粒子へと自己アセンブリし、これはさらに成熟rcDNAキャプシドへと変換して共通の中間体として機能し、エンベロープに包まれて感染性のウイルス粒子として分泌されるか、または核に再度輸送されて安定なcccDNAプールを補充および維持する。
図1Bを参照されたい。
【0047】
今日まで、HBVは、エンベロープタンパク質に存在する抗原性エピトープに基づいて4つの血清型(adr、adw、ayr、ayw)に、およびウイルスゲノムの配列に基づいて8つの遺伝子型(A、B、C、D、E、F、G、およびH)に分類される。HBV遺伝子型は、異なる地域にわたって分布している。例えば、アジアで最も多い遺伝子型は、遺伝子型BおよびCである。遺伝子型Dは、アフリカ、中東、およびインドで一般的であるが、遺伝子型Aは、北部ヨーロッパ、サハラ下アフリカ、および西アフリカで広く認められる。
【0048】
HBV抗原
本明細書で使用される場合、用語「HBV抗原」、「HBVの抗原性ポリペプチド」、「HBV抗原性ポリペプチド」、「HBV抗原性タンパク質」、「HBV免疫原性ポリペプチド」、および「HBV免疫原」は全て、対象においてHBVに対する免疫応答、例えば液性免疫応答および/または細胞性免疫応答を誘導することが可能なポリペプチドを指す。HBV抗原は、HBVのポリペプチド、その断片もしくはエピトープ、または複数のHBVポリペプチド、その一部もしくは誘導体の組合せであり得る。HBV抗原は、宿主において保護的免疫応答を生じる、例えばウイルス疾患または感染症に対する免疫応答を誘導することが可能であり、および/または対象において、ウイルス疾患または感染症に対して対象を保護する、ウイルス疾患もしくは感染症に対する免疫を生じる(すなわち、ワクチン接種する)ことが可能である。例えば、HBV抗原は、任意のHBVタンパク質、例えばHBeAg、プレコアタンパク質、HBsAg(S、M、またはLタンパク質)、コアタンパク質、ウイルスポリメラーゼ、または任意のHBV遺伝子型、例えば遺伝子型A、B、C、D、E、F、G、および/もしくはHに由来するHBxタンパク質からのポリペプチドまたはその免疫原性断片、またはその組合せを含み得る。
【0049】
(1)HBVコア抗原
本明細書で使用される場合、用語「HBVコア抗原」、「HBcAg」、および「コア抗原」は全て、対象においてHBVコアタンパク質に対する免疫応答、例えば液性免疫応答および/または細胞性免疫応答を誘導することが可能なHBV抗原を指す。用語「コア」、「コアポリペプチド」、および「コアタンパク質」の各々は、HBVウイルスコアタンパク質を指す。完全長のコア抗原は、典型的には、183アミノ酸長であり、アセンブリドメイン(アミノ酸1~149)および核酸結合ドメイン(アミノ酸150~183)を含む。34残基の核酸結合ドメインは、プレゲノムRNAキャプシド形成にとって必要である。このドメインはまた、核輸入シグナルとしても機能する。これは、17個のアルギニン残基を含み、その機能と整合して、高度に塩基性である。HBVコアタンパク質は溶液中で二量体であり、二量体は、正二十面体のキャプシドへと自己アセンブルする。コアタンパク質の各々の二量体は、いずれかの側にα-ヘリックスドメインが隣接する4つのα-ヘリックスバンドルを有する。核酸結合ドメインを欠如する切断型HBVコアタンパク質もまた、キャプシドを形成することが可能である。
【0050】
本出願の一実施形態では、HBV抗原は、切断型HBVコア抗原である。本明細書で使用される場合、「切断型HBVコア抗原」は、HBVコアタンパク質の完全長を含有しないが、対象においてHBVコアタンパク質に対する免疫応答を誘導することが可能であるHBV抗原を指す。例えば、HBVコア抗原は、典型的に17個のアルギニン(R)残基を含有するコア抗原の高度に正に帯電した(アルギニンに富む)C末端核酸結合ドメインの1つまたは複数のアミノ酸を欠失させるように改変することができる。本出願の切断型HBVコア抗原は、好ましくはHBVコア核輸入シグナルを含まないC末端切断型HBVコアタンパク質、および/またはC末端HBVコア核輸入シグナルが欠失している切断型HBVコアタンパク質である。一実施形態では、切断型HBVコア抗原は、C末端核酸結合ドメインの1~34アミノ酸残基の欠失、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、または34アミノ酸残基の欠失、好ましくは34アミノ酸残基全ての欠失を含む。好ましい実施形態では、切断型HBVコア抗原は、C末端核酸結合ドメインの欠失を含み、好ましくは34アミノ酸残基全ての欠失を含む。
【0051】
本出願のHBVコア抗原は、複数のHBV遺伝子型(例えば、遺伝子型A、B、C、D、E、F、G、およびH)に由来するコンセンサス配列であり得る。本明細書で使用される場合、「コンセンサス配列」は、例えば相同なタンパク質のアミノ酸配列のアライメント(例えば、Clustal Omegaを使用して)によって決定した、相同なタンパク質のアミノ酸配列のアライメントに基づく人工的なアミノ酸配列を意味する。これは、少なくとも100個の天然のHBV単離体からのHBV抗原(例えば、コア、pol等)の配列に基づいて、配列アライメントにおける各位置で見出される最も頻繁なアミノ酸残基の計算された順序であり得る。コンセンサス配列は、天然に存在せず、ネイティブウイルス配列とは異なり得る。コンセンサス配列は、マルチプル配列アライメントツールを使用して異なる起源からの複数のHBV抗原配列を整列させるステップ、および多様なアライメント位置で最も頻繁なアミノ酸を選択するステップによって設計することができる。好ましくは、HBV抗原のコンセンサス配列は、HBV遺伝子型B、C、およびDに由来する。用語「コンセンサス抗原」は、コンセンサス配列を有する抗原を指すために使用される。
【0052】
本出願に従う例示的な切断型HBVコア抗原は、核酸結合機能を欠如し、哺乳動物において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能である。好ましくは、切断型HBVコア抗原は、哺乳動物において少なくともHBV遺伝子型B、CおよびDに対するT細胞応答を誘導することが可能である。より好ましくは、切断型HBVコア抗原は、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、CおよびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である。
【0053】
好ましくは、本出願のHBVコア抗原は、コンセンサス抗原、好ましくはHBV遺伝子型B、C、およびDに由来するコンセンサス抗原、より好ましくはHBV遺伝子型B、C、およびDに由来する切断型コンセンサス抗原である。本出願に従う例示的な切断型HBVコアコンセンサス抗原は、配列番号2または配列番号14と少なくとも90%同一である、例えば配列番号2または配列番号14と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一であるアミノ酸配列からなる。配列番号2および配列番号14は、HBV遺伝子型B、C、およびDに由来するコアコンセンサス抗原である。配列番号2および配列番号14は、ネイティブコア抗原の高度に正に帯電した(アルギニンに富む)核酸結合ドメインの34アミノ酸C末端欠失を含有する。
【0054】
本出願の特定の実施形態では、HBVコア抗原は、配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBV抗原である。別の特定の実施形態では、HBVコア抗原は、配列番号14のアミノ酸配列からなる切断型HBV抗原である。
【0055】
(2)HBVポリメラーゼ抗原
本明細書で使用される場合、用語「HBVポリメラーゼ抗原」、「HBV Pol抗原」、または「HBV pol抗原」は、対象においてHBVポリメラーゼに対する免疫応答、例えば液性免疫応答および/または細胞性免疫応答を誘導することが可能であるHBV抗原を指す。用語「ポリメラーゼ」、「ポリメラーゼポリペプチド」、「Pol」、および「pol」は、HBVウイルスDNAポリメラーゼを指す。HBVウイルスDNAポリメラーゼは、N末端からC末端に、マイナス鎖DNA合成のプライマーとして作用する末端タンパク質(TP)ドメイン、ポリメラーゼ機能にとって必須ではないスペーサー、転写のための逆転写酵素(RT)ドメイン、およびRNアーゼHドメインを含む4つのドメインを有する。
【0056】
本出願の一実施形態では、HBV抗原は、HBV Pol抗原、またはその免疫原性断片または組合せを含む。HBV Pol抗原は、例えばある特定の酵素活性を減少させるかまたは実質的に排除するために、ポリメラーゼおよび/またはRNアーゼドメインの活性部位に変異を導入することによって、抗原の免疫原性を改善するためにさらなる改変を含有し得る。
【0057】
好ましくは、本出願のHBV Pol抗原は、逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有さず、哺乳動物において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能である。好ましくは、HBV Pol抗原は、哺乳動物において少なくともHBV遺伝子型B、CおよびDに対するT細胞応答を誘導することが可能である。より好ましくは、HBV Pol抗原は、ヒト対象において、少なくともHBV遺伝子型A、B、CおよびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である。
【0058】
このように、一部の実施形態では、HBV Pol抗原は、不活化Pol抗原である。一実施形態では、不活化HBV Pol抗原は、ポリメラーゼドメインの活性部位に1つまたは複数のアミノ酸変異を含む。別の実施形態では、不活化HBV Pol抗原は、RNアーゼHドメインの活性部位に1つまたは複数のアミノ酸変異を含む。好ましい実施形態では、不活化HBV pol抗原は、ポリメラーゼドメインおよびRNアーゼHドメインの両方の活性部位に1つまたは複数のアミノ酸変異を含む。例えば、ヌクレオチド/金属イオン結合にとって必要であり得るHBV pol抗原のポリメラーゼドメインにおける「YXDD」モチーフを、例えばアスパラギン酸塩残基(D)の1つまたは複数をアスパラギン残基(N)に置換することによって、変異させることができ、それによって金属配位機能を排除するかまたは低減させ、それによって逆転写酵素機能を減少させるかまたは実質的に排除することができる。あるいは、または「YXDD」モチーフの変異に加えて、HBV pol抗原のRNアーゼHドメインにおけるMg2+配位にとって必要な「DEDD」モチーフを、例えば1つまたは複数のアスパラギン酸塩残基(D)をアスパラギン残基(N)に置換することによって、および/またはグルタミン酸塩残基(E)をグルタミン(Q)に置換することによって変異させることができ、それによってRNアーゼH機能を減少させるかまたは実質的に排除することができる。特定の実施形態では、HBV pol抗原は、(1)ポリメラーゼドメインの「YXDD」モチーフにおいてアスパラギン酸塩残基(D)をアスパラギン残基(N)に変異させることによって、および(2)RNアーゼHドメインの「DEDD」モチーフにおける第1のアスパラギン酸塩残基(D)をアスパラギン残基(N)に、および第1のグルタミン酸塩残基(E)をグルタミン残基(N)に変異させることによって改変され、それによってpol抗原の逆転写酵素およびRNアーゼH機能を減少させるかまたは実質的に排除する。
【0059】
本出願の好ましい実施形態では、HBV pol抗原は、コンセンサス抗原、好ましくはHBV遺伝子型B、C、およびDに由来するコンセンサス抗原であり、より好ましくはHBV遺伝子型B、C、およびDに由来する不活化コンセンサス抗原である。本出願に従う例示的なHBV polコンセンサス抗原は、配列番号4と少なくとも90%同一である、例えば配列番号4と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号4と少なくとも98%同一である、例えば配列番号4と少なくとも98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。配列番号4は、ポリメラーゼおよびRNアーゼHドメインの活性部位に位置する4つの変異を含むHBV遺伝子型B、C、およびDに由来するpolコンセンサス抗原である。特に、4つの変異は、ポリメラーゼドメインの「YXDD」モチーフにおけるアスパラギン酸塩残基(D)のアスパラギン残基(N)への変異、ならびにRNアーゼHドメインの「DEDD」モチーフにおける第1のアスパラギン酸塩残基(D)のアスパラギン残基(N)への変異、およびグルタミン酸塩残基(E)のグルタミン残基(Q)への変異を含む。
【0060】
本出願の特定の実施形態では、HBV pol抗原は、配列番号4のアミノ酸配列を含む。本出願の他の実施形態では、HBV pol抗原は、配列番号4のアミノ酸配列からなる。
【0061】
(3)HBVコア抗原およびHBVポリメラーゼ抗原の融合体
本明細書で使用される場合、「融合タンパク質」、または「融合体」は、単一の天然のポリペプチドに通常存在しない少なくとも2つのポリペプチドドメインを有する単一のポリペプチド鎖を指す。
【0062】
本出願の一実施形態では、HBV抗原は、好ましくはリンカーを介して、HBV Pol抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原、または切断型HBVコア抗原に作動可能に連結されたHBV Pol抗原を含む融合タンパク質を含む。
【0063】
本明細書で使用される場合、用語「リンカー」は、リンカーの1つの部分が第1の分子に作動可能に連結され、リンカーの別の部分が、第2の分子に作動可能に連結される、2つの異なる分子を作動可能に連結するための分子架橋として作用する化合物または部分を指す。例えば、第1のポリペプチドおよび第2の異種ポリペプチドを含有する融合タンパク質では、リンカーは、主に第1のポリペプチドと第2の異種ポリペプチドとの間のスペーサーとしての役目を果たす。一実施形態では、リンカーは、ペプチド結合によって共に連結されたアミノ酸、好ましくはペプチド結合によって連結された1~20個のアミノ酸で構成され、アミノ酸は、20個の天然に存在するアミノ酸から選択される。一実施形態では、1~20個のアミノ酸は、グリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、グルタミン、およびリジンから選択される。好ましくは、リンカーは、立体妨害を受けないアミノ酸、例えばグリシンおよびアラニンで大部分が構成される。例示的なリンカーは、ポリグリシン、特に(Gly)5、(Gly)8、ポリ(Gly-Ala)、およびポリアラニンである。以下の実施例に示される1つの例示的な適したリンカーは、(AlaGly)nであり、式中nは2~5の整数である。
【0064】
好ましくは、本出願の融合タンパク質は、哺乳動物において、少なくとも2つのHBV遺伝子型のHBVコアおよびHBV Polに対する免疫応答を誘導することが可能である。好ましくは、融合タンパク質は、哺乳動物において少なくともHBV遺伝子型B、CおよびDに対するT細胞応答を誘導することが可能である。より好ましくは、融合タンパク質は、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、CおよびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である。
【0065】
本出願の一実施形態では、融合タンパク質は、配列番号2または配列番号14と少なくとも90%同一である、例えば少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一であるアミノ酸配列を有する切断型HBVコア抗原、リンカー、および配列番号4と少なくとも90%同一である、例えば少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一であるアミノ酸配列を有するHBV Pol抗原を含む。
【0066】
本出願の好ましい実施形態では、融合タンパク質は、配列番号14のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原、nが2~5の整数である(AlaGly)nを含むリンカー、および配列番号4のアミノ酸配列を有するHBV Pol抗原を含む。より好ましくは、本出願の実施形態に従う融合タンパク質は、配列番号20のアミノ酸配列を含む。
【0067】
本出願の一実施形態では、融合タンパク質は、シグナル配列をさらに含む。好ましくは、シグナル配列は、配列番号6または配列番号19のアミノ酸配列を有する。より好ましくは、融合タンパク質は、配列番号21のアミノ酸配列を含む。
【0068】
ポリヌクレオチドおよびベクター
別の一般的な態様では、本出願は、本出願に従うHBV抗原をコードする天然に存在しない核酸分子および天然に存在しない核酸を含むベクターを提供する。天然に存在しない核酸分子は、本出願のHBV抗原をコードする任意のポリヌクレオチド配列を含むことができ、これは本開示を考慮して当技術分野で公知の方法を使用して作製することができる。好ましくは、ポリヌクレオチドは、本出願の切断型HBVコア抗原およびHBVポリメラーゼ抗原の少なくとも1つをコードする。ポリヌクレオチドは、組換え技術(例えば、クローニング)によって得た、または合成(例えば、化学合成)によって産生されたRNAの形態またはDNAの形態であり得る。DNAは、一本鎖もしくは二本鎖であり得るか、または二本鎖および一本鎖配列の両方の部分を含有し得る。例えば、DNAは、ゲノムDNA、cDNA、またはその組合せを含み得る。ポリヌクレオチドはまた、DNA/RNAハイブリッドでもあり得る。本出願のポリヌクレオチドおよびベクターは、組換えタンパク質産生、宿主細胞におけるタンパク質の発現、またはウイルス粒子の産生のために使用することができる。好ましくは、ポリヌクレオチドは、DNAである。
【0069】
本出願の一実施形態では、天然に存在しない核酸分子は、配列番号2または配列番号14と少なくとも90%同一である、例えば配列番号2と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号2または配列番号14と98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードするポリヌクレオチドを含む。本出願の特定の実施形態では、天然に存在しない核酸分子は、配列番号2または配列番号14のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする。
【0070】
配列番号2または配列番号14のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする本出願のポリヌクレオチド配列の例には、配列番号1または配列番号15と少なくとも90%同一である、例えば配列番号1または配列番号15と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号1または配列番号15と98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列が挙げられるがこれらに限定されない。切断型HBVコア抗原をコードする例示的な天然に存在しない核酸分子は、配列番号1または15のポリヌクレオチド配列を有する。
【0071】
本出願の一実施形態では、天然に存在しない核酸分子は、配列番号4と少なくとも90%同一である、例えば配列番号4と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号4と100%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする。本出願の特定の実施形態では、天然に存在しない核酸分子は、配列番号4のアミノ酸配列からなるHBVポリメラーゼ抗原をコードする。
【0072】
配列番号4のアミノ酸配列を含むHBV Pol抗原をコードする本出願のポリヌクレオチド配列の例には、配列番号3または配列番号16と少なくとも90%同一である、例えば配列番号3または配列番号16と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号3または配列番号16と98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列が挙げられるがこれらに限定されない。HBV pol抗原をコードする例示的な天然に存在しない核酸分子は、配列番号3または16のポリヌクレオチド配列を有する。
【0073】
本出願の別の実施形態では、天然に存在しない核酸分子は、HBV Pol抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原、または切断型HBVコア抗原に作動可能に連結されたHBV Pol抗原を含む融合タンパク質をコードする。特定の実施形態では、本出願の天然に存在しない核酸分子は、配列番号2または配列番号14と少なくとも90%同一である、例えば配列番号2または配列番号14と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号2または配列番号14と100%同一である、より好ましくは配列番号14と100%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原;リンカー;ならびに配列番号4と少なくとも90%同一である、例えば配列番号4と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号4と98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする。本出願の特定の実施形態では、天然に存在しない核酸分子は、配列番号14のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原、nが2~5の整数である(AlaGly)nを含むリンカー、および配列番号4のアミノ酸配列を含むHBV Pol抗原を含む融合タンパク質をコードする。本出願の特定の実施形態では、天然に存在しない核酸分子は、配列番号20のアミノ酸配列を含む融合タンパク質をコードする。
【0074】
融合タンパク質をコードする本出願のポリヌクレオチド配列の例には、配列番号1または配列番号15と少なくとも90%同一である、例えば配列番号1または配列番号15と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号1または配列番号15と98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列であって、配列番号22と少なくとも90%同一である、例えば配列番号22と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号22と98%、99%、または100%同一であるリンカーコード配列に作動可能に連結され、リンカーコード配列がさらに、配列番号3または配列番号16と少なくとも90%同一である、例えば配列番号3または配列番号16と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号3または配列番号16と98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列にさらに作動可能に連結される、ポリヌクレオチド配列が挙げられるがこれらに限定されない。本出願の特定の実施形態では、融合タンパク質をコードする天然に存在しない核酸分子は、配列番号3または配列番号16にさらに作動可能に連結された配列番号22に作動可能に連結された配列番号1または配列番号15を含む。
【0075】
本出願はまた、HBV抗原をコードする単離されたポリヌクレオチドを含むベクターにも関する。本明細書で使用される場合、「ベクター」は、遺伝子材料を別の細胞に運ぶために使用され、そこで複製および/または発現させることができる核酸分子である。本開示を考慮して当業者に公知の任意のベクターを使用することができる。ベクターの例には、プラスミド、ウイルスベクター(バクテリオファージ、動物ウイルス、および植物ウイルス)、コスミド、および人工染色体(例えば、YAC)が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、ベクターはDNAプラスミドである。ベクターは、DNAベクターまたはRNAベクターであり得る。当業者は、本開示を考慮して標準的な組換え技術を通して、本出願のベクターを構築することができる。
【0076】
本出願のベクターは、発現ベクターであり得る。本明細書で使用される場合、用語「発現ベクター」は、転写することが可能なRNAをコードする核酸を含む任意のタイプの遺伝子構築物を指す。発現ベクターには、組換えタンパク質発現のためのベクター、例えばDNAプラスミド、またはウイルスベクター、および対象の組織において発現させるために対象に核酸を送達するためのベクター、例えばDNAプラスミドまたはウイルスベクターが挙げられるがこれらに限定されない。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベル等の要因に依存し得ることは当業者によって認識される。
【0077】
本出願のベクターは、多様な調節配列を含有し得る。本明細書で使用される場合、用語「調節配列」は、複製、重複、転写、スプライシング、翻訳、核酸またはその誘導体の1つ(すなわち、mRNA)の安定性および/または宿主細胞もしくは生物への輸送を含む、核酸分子の機能的調節を可能にする、寄与する、またはモジュレートする任意の配列を指す。本開示の文脈では、この用語は、プロモーター、エンハンサー、および他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナルおよびmRNA安定性に影響を及ぼすエレメント)を包含する。
【0078】
本出願の一部の実施形態では、ベクターは、非ウイルスベクターである。非ウイルスベクターの例には、DNAプラスミド、細菌人工染色体、酵母人工染色体、バクテリオファージ等が挙げられるがこれらに限定されない。非ウイルスベクターの例には、RNAレプリコン、mRNAレプリコン、改変mRNAレプリコン、または自己増幅mRNA、完全閉鎖線形デオキシリボ核酸、例えば完全閉鎖線形DNA、例えば完全閉鎖線形二本鎖DNA分子が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、非ウイルスベクターは、DNAプラスミドである。「DNAプラスミド」は、「DNAプラスミドベクター」、「プラスミドDNA」または「プラスミドDNAベクター」と互換的に使用され、適した宿主細胞において自立複製を可能にする、二本鎖で一般的に環状のDNA配列を指す。コードされるポリヌクレオチドの発現のために使用されるDNAプラスミドは、典型的には、複製開始点、マルチクローニングサイト、および例えば抗生物質耐性遺伝子であり得る選択可能マーカーを含む。使用することができる適したDNAプラスミドの例には、周知の発現系において使用するための市販の発現ベクター(原核細胞および真核細胞系の両方を含む)、例えば大腸菌(Escherichia coli)におけるタンパク質の産生および/または発現のために使用することができるpSE420(Invitrogen、San Diego、Calif.);酵母(Saccharomyces cerevisiae)株における産生および/または発現のために使用することができるpYES2(Invitrogen、Thermo Fisher Scientific);昆虫細胞における産生および/または発現のために使用することができるMAXBAC(登録商標)完全バキュロウイルス発現系(Thermo Fisher Scientific);哺乳動物細胞における高レベルの構成的タンパク質発現のために使用することができるpcDNA(商標)またはpcDNA3(商標)(Life Technologies、Thermo Fisher Scientific);ならびにほとんどの哺乳動物細胞において目的のタンパク質の高レベルの一過性の発現のために使用することができるpVAXまたはpVAX-1(Life Technologies、Thermo Fisher Scientific)が挙げられるがこれらに限定されない。任意の市販のDNAプラスミドの骨格を、宿主細胞におけるタンパク質発現を最適にするために、通常の技術および容易に入手可能な出発材料を使用して、例えばある特定のエレメント(例えば、複製開始点および/または抗生物質耐性カセット)の方向を逆転させるように、プラスミドに対して内因性のプロモーター(例えば、抗生物質耐性カセットにおけるプロモーター)を置換するように、および/または転写されたタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列(例えば、抗生物質耐性遺伝子のコード配列)を置換するように改変することができる(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning a Laboratory Manual, Second Ed. Cold Spring Harbor Press(1989)を参照されたい)。
【0079】
好ましくは、DNAプラスミドは、哺乳動物宿主細胞におけるタンパク質発現にとって適した発現ベクターである。哺乳動物宿主細胞におけるタンパク質発現にとって適した発現ベクターには、pcDNA(商標)、pcDNA3(商標)、pVAX、pVAX-1、ADVAX、NTC8454等が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、発現ベクターはpVAX-1に基づくが、これを、哺乳動物細胞におけるタンパク質発現を最適にするためにさらに改変することができる。pVAX-1は、DNAワクチンにおいて一般的に使用されるプラスミドであり、強いヒト前初期サイトメガロウイルス(CMV-IE)プロモーター、その後に続くウシ成長ホルモン(bGH)由来ポリアデニル化配列(pA)を含有する。pVAX-1は、細菌プラスミドの繁殖を可能にする小さい原核細胞プロモーターによって駆動されるpUC複製開始点およびカナマイシン耐性遺伝子をさらに含有する。
【0080】
本出願のベクターはまた、ウイルスベクターであり得る。一般的に、ウイルスベクターは、非感染性にされているが、それでもなおウイルスプロモーターおよびトランスジーンを含有し、それによってウイルスプロモーターを通してのトランスジーンの翻訳を可能にする、改変ウイルスDNAまたはRNAを保有する遺伝子操作ウイルスである。ウイルスベクターはしばしば、感染性の配列を欠如することから、それらは大規模トランスフェクションのためにはヘルパーウイルスまたはパッケージングラインを必要とする。使用することができるウイルスベクターの例には、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、腸内ウイルスベクター、ベネズエラウマ脳炎ウイルスベクター、セムリキ森林ウイルスベクター、タバコモザイクウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アレナウイルスウイルスベクター、複製欠損アレナウイルスウイルスベクターまたは複製コンピテントアレナウイルスウイルスベクター、2分節または3分節アレナウイルス、感染性アレナウイルスウイルスベクター、ゲノム分節の1つのオープンリーディングフレームが欠失しているかまたは機能的に不活化されている(および本明細書に記載のHBV抗原をコードする核酸に置換されている)アレナウイルスゲノム分節を含む核酸、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、例えばクローン13株またはMP株等のアレナウイルス、およびフニンウイルス、例えばCandid #1株等のアレナウイルス等が挙げられるがこれらに限定されない。ベクターはまた、非ウイルスベクターでもあり得る。
【0081】
好ましくは、ウイルスベクターはアデノウイルスベクター、例えば組換えアデノウイルスベクターである。組換えアデノウイルスベクターは、例えばヒトアデノウイルス(HAdV、またはAdHu)、またはシミアンアデノウイルス、例えばチンパンジーもしくはゴリラアデノウイルス(ChAd、AdCh、またはSAdV)もしくはアカゲザルアデノウイルス(rhAd)に由来し得る。好ましくは、アデノウイルスベクターは、組換えヒトアデノウイルスベクター、例えば組換えヒトアデノウイルス血清型26、または組換えヒトアデノウイルス血清型5、4、35、7、48等のいずれか1つである。他の実施形態では、アデノウイルスベクターは、rhAdベクター、例えばrhAd51、rhAd52またはrhAd53である。本出願にとって有用な組換えウイルスベクターは、本開示を考慮して当技術分野で公知の方法を使用して調製することができる。例えば、遺伝子コードの縮重を考慮して、同じポリペプチドをコードするいくつかの核酸配列を設計することができる。本出願のHBV抗原をコードするポリヌクレオチドは、宿主細胞(例えば、細菌または哺乳動物細胞)における適切な発現を確保するために、任意選択でコドン最適化することができる。コドン最適化は、当技術分野で広く適用される技術であり、コドン最適化ポリヌクレオチドを得る方法は本開示を考慮して当業者に周知である。
【0082】
本出願のベクター、例えばDNAプラスミドまたはウイルスベクター(特に、アデノウイルスベクター)は、ベクターのポリヌクレオチド配列によってコードされるHBV抗原の複製および発現を含むがこれらに限定されないベクターの通常の機能を確立するために、任意の調節エレメントを含み得る。調節エレメントには、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、翻訳終止コドン、リボソーム結合エレメント、転写ターミネーター、選択マーカー、複製開始点等が挙げられるがこれらに限定されない。ベクターは、1つまたは複数の発現カセットを含み得る。「発現カセット」は、細胞機構にRNAおよびタンパク質を作製するよう指示するベクターの一部である。発現カセットは典型的には、3つの構成要素:プロモーター配列、オープンリーディングフレーム、および任意選択でポリアデニル化シグナルを含む3’非翻訳領域(UTR)を含む。オープンリーディングフレーム(ORF)は、開始コドンから終止コドンまでの目的のタンパク質(例えば、HBV抗原)のコード配列を含有する読み取り枠である。発現カセットの調節エレメントは、目的のHBV抗原をコードするポリヌクレオチド配列に作動可能に連結させることができる。本明細書で使用される場合、用語「作動可能に連結された」は、その最も広い妥当な文脈で解釈され、機能的に関連するポリヌクレオチドエレメントの連結を指す。ポリヌクレオチドは、別のポリヌクレオチドと機能的関係にある場合に「作動可能に連結」されている。例えば、プロモーターは、それがコード配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結されている。本明細書に記載の発現カセットにおいて使用するために適した任意の構成要素を、本出願のベクターを調製するために任意の組合せおよび任意の順序で使用することができる。
【0083】
ベクターは、目的のHBV抗原の発現を制御するために、好ましくは発現カセット内にプロモーター配列を含み得る。用語「プロモーター」は、その通常の意味で使用され、作動可能に連結されたヌクレオチド配列の転写を開始するヌクレオチド配列を指す。プロモーターは、それが転写するヌクレオチド配列の近くの同じ鎖上に位置する。プロモーターは、構成的、誘導型、または抑制性であり得る。プロモーターは、天然に存在するかまたは合成であり得る。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、および動物を含む起源に由来し得る。プロモーターは、同種プロモーター(すなわちベクターと同じ遺伝的起源に由来する)または異種プロモーター(すなわち、異なるベクターまたは遺伝的起源に由来する)であり得る。例えば、使用されるベクターが、DNAプラスミドである場合、プロモーターは、プラスミドに対して内因性であり得るか(同種)、または他の起源に由来し得る(異種)。好ましくは、プロモーターは、発現カセット内でHBV抗原をコードするポリヌクレオチドの上流に位置する。
【0084】
使用することができるプロモーターの例には、シミアンウイルス40(SV40)のプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルスウイルス(MMTV)プロモーター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、例えばウシ免疫不全ウイルス(BIV)長末端反復(LTR)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、例えばCMV前初期プロモーター(CMV-IE)、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーター、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。プロモーターはまた、ヒト遺伝子のプロモーター、例えばヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン、またはヒトメタロチオネインのプロモーターであり得る。プロモーターはまた、組織特異的プロモーター、例えば天然または合成の筋特異的または皮膚特異的プロモーターであり得る。
【0085】
好ましくは、プロモーターは、強い真核細胞プロモーター、好ましくはサイトメガロウイルス前初期(CMV-IE)プロモーターである。例示的なCMV-IEプロモーターのヌクレオチド配列を、配列番号7および配列番号17に示す。
【0086】
ベクターは、発現された転写物を安定化する、RNA転写物の核輸出を増強する、および/または転写-翻訳カップリングを改善する追加のポリヌクレオチド配列を含み得る。そのような配列の例には、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサー配列が挙げられる。ポリアデニル化シグナルは、典型的には、ベクターの発現カセット内の目的のタンパク質(例えば、HBV抗原)のコード配列の下流に位置する。エンハンサー配列は、転写因子が結合すると、関連する遺伝子の転写を増強する調節性DNA配列である。エンハンサー配列は、ベクターの発現カセット内で、好ましくはHBV抗原をコードするポリヌクレオチド配列の上流であるが、プロモーター配列の下流に位置する。
【0087】
本開示を考慮して当業者に公知の任意のポリアデニル化シグナルを使用することができる。例えば、ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル(例えば、配列番号24)、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、またはヒトβ-グロビンポリアデニル化シグナルであり得る。好ましくは、ポリアデニル化シグナルは、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、またはSV40ポリアデニル化シグナルである。例示的なbGHポリアデニル化シグナルのヌクレオチド配列を配列番号11に示す。例示的なSV40ポリアデニル化シグナルのヌクレオチド配列を配列番号24に示す。
【0088】
本開示を考慮して当業者に公知の任意のエンハンサー配列を使用することができる。例えば、エンハンサー配列は、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン、またはウイルスエンハンサー、例えばCMV、HA、RSV、もしくはEBV由来のエンハンサーであり得る。特定のエンハンサーの例には、ウッドチャックHBV転写後調節エレメント(WPRE)、ヒトアポリポタンパク質A1前駆体(ApoAI)に由来するイントロン/エクソン配列、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)長末端反復(LTR)の非翻訳R-U5ドメイン、スプライシングエンハンサー、合成ウサギβ-グロビンイントロン、またはその任意の組合せが挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、エンハンサー配列は、HTLV-1 LTRの非翻訳R-U5ドメイン、ウサギβ-グロビンイントロン、およびスプライシングエンハンサーの3つの連続するエレメントの複合配列であり、これを本明細書において「トリプルエンハンサー配列」と呼ぶ。例示的なトリプルエンハンサー配列のヌクレオチド配列を配列番号8に示す。別の例示的なエンハンサー配列は、配列番号23に示すApoAI遺伝子断片である。
【0089】
ベクターは、シグナルペプチド配列をコードするポリヌクレオチドを含み得る。好ましくは、シグナルペプチド配列をコードするポリヌクレオチド配列は、HBV抗原をコードするポリヌクレオチド配列の上流に位置する。シグナルペプチドは、典型的には、タンパク質の局在化を指示し、それが産生される細胞からのタンパク質の分泌を容易にし、ならびに/または抗原発現および抗原提示細胞に対する交差提示を改善する。シグナルペプチドは、ベクターから発現される場合、HBV抗原のN末端に存在し得るが、細胞からの分泌時にシグナルペプチダーゼによって切断される。シグナルペプチドが切断されている発現されたタンパク質は、しばしば「成熟タンパク質」と呼ばれる。本開示を考慮して当技術分野で公知の任意のシグナルペプチドを使用することができる。例えば、シグナルペプチドは、シスタチンSシグナルペプチド、免疫グロブリン(Ig)分泌シグナル、例えばIg重鎖ガンマシグナルペプチドSPIgG、またはIg重鎖イプシロンシグナルペプチドSPIgEであり得る。
【0090】
好ましくは、シグナルペプチド配列は、シスタチンSシグナルペプチドである。シスタチンSシグナルペプチドの例示的な核酸およびアミノ酸配列をそれぞれ、配列番号5および6に示す。免疫グロブリン分泌シグナルの例示的な核酸およびアミノ酸配列をそれぞれ、配列番号18および19に示す。
【0091】
ベクター、例えばDNAプラスミドはまた、細菌複製開始点、ならびに細菌細胞、例えば大腸菌(E. coli)におけるプラスミドの選択および維持のための抗生物質耐性発現カセットも含み得る。細菌の複製開始点および抗生物質耐性カセットは、ベクター内でHBV抗原をコードする発現カセットと同じ方向に、または反対(逆)方向に位置することができる。複製開始点(ORI)は、そこで複製が開始される配列であり、プラスミドが細胞内で再生および生存することを可能にする。本出願で使用するために適したORIの例には、ColE1、pMB1、pUC、pSC101、R6K、および15A、好ましくはpUCが挙げられるがこれらに限定されない。pUC ORIの例示的なヌクレオチド配列を配列番号10に示す。
【0092】
細菌細胞における選択および維持のための発現カセットは典型的には、抗生物質耐性遺伝子に作動可能に連結されたプロモーター配列を含む。好ましくは、抗生物質耐性遺伝子に作動可能に連結されたプロモーター配列は、目的のタンパク質、例えばHBV抗原をコードするポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーター配列とは異なる。抗生物質耐性遺伝子は、コドン最適化することができ、抗生物質耐性遺伝子の配列組成は通常、細菌、例えば大腸菌(E. coli)のコドン使用に調整される。カナマイシン耐性遺伝子(Kanr)、アンピシリン耐性遺伝子(Ampr)、およびテトラサイクリン耐性遺伝子(Tetr)、ならびにクロラムフェニコール、ブレオマイシン、スペクチノマイシン、カルベニシリン等に対して耐性を付与する遺伝子を含むがこれらに限定されない、本開示を考慮して当業者に公知の任意の抗生物質耐性遺伝子を使用することができる。
【0093】
好ましくは、ベクターの抗生物質発現カセットにおける抗生物質耐性遺伝子は、カナマイシン耐性遺伝子(Kanr)である。Kanr遺伝子の配列を配列番号13に示す。好ましくは、Kanr遺伝子はコドン最適化されている。コドン最適化したKanr遺伝子の例示的な核酸配列を配列番号12に示す。Kanrは、そのネイティブプロモーターに作動可能に連結させることができ、またはKanr遺伝子を異種プロモーターに連結させることができる。特定の実施形態では、Kanr遺伝子を、blaプロモーターとしても知られるアンピシリン耐性遺伝子(Ampr)プロモーターに作動可能に連結させる。blaプロモーターの例示的なヌクレオチド配列を配列番号9に示す。
【0094】
本出願の特定の実施形態では、ベクターは、配列番号4と少なくとも98%同一である、例えば配列番号4と少なくとも98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むHBV pol抗原、および配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原からなる群から選択されるHBV抗原の少なくとも1つをコードするポリヌクレオチド;5’末端から3’末端に、プロモーター配列、好ましくは配列番号7のCMVプロモーター配列、エンハンサー配列、好ましくは配列番号8のトリプルエンハンサー配列、およびシグナルペプチド配列をコードするポリヌクレオチド配列、好ましくは配列番号6のアミノ酸配列を有するシスタチンSシグナルペプチドを含む、HBV抗原をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された上流の配列;ならびにポリアデニル化シグナル、好ましくは配列番号11のbGHポリアデニル化シグナルを含む、HBV抗原をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された下流の配列を含む発現カセットを含むDNAプラスミドである。そのようなベクターは、配列番号12と少なくとも90%同一である、例えば配列番号12と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号12と100%同一である抗生物質耐性遺伝子、好ましくはKan
r遺伝子、より好ましくはコドン最適化Kan
r遺伝子をコードするポリヌクレオチドであって、抗生物質耐性遺伝子をコードするポリヌクレオチドの上流で作動可能に連結された配列番号9のAmp
r(bla)プロモーターに作動可能に連結されたポリヌクレオチドを含む抗生物質耐性発現カセット、および複製開始点、好ましくは配列番号10のpUC oriをさらに含む。好ましくは、抗生物質耐性カセットおよび複製開始点は、プラスミドにおいてHBV抗原発現カセットとは逆方向で存在する。上記で言及した特色を含む例示的なDNAプラスミドを
図2Aおよび2Bに示す。
【0095】
本出願の別の特定の実施形態では、ベクターはウイルスベクター、好ましくはアデノウイルスベクター、より好ましくはAd26またはAd35ベクターであって、配列番号4と少なくとも98%同一である、例えば配列番号4と少なくとも98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むHBV pol抗原、および配列番号14のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原からなる群から選択されるHBV抗原の少なくとも1つをコードするポリヌクレオチド;5’末端から3’末端に、プロモーター配列、好ましくは配列番号17のCMVプロモーター配列、エンハンサー配列、好ましくは配列番号23のApoAI遺伝子断片配列、およびシグナルペプチド配列、好ましくは配列番号19のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分泌シグナルをコードするポリヌクレオチド配列を含む、HBV抗原をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された上流の配列;ならびにポリアデニル化シグナル、好ましくは配列番号24のSV40ポリアデニル化シグナルを含む、HBV抗原をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された下流の配列を含む発現カセットを含むベクターである。
【0096】
本出願の一実施形態では、ベクター、例えばプラスミドDNAベクターまたはウイルスベクター(好ましくはアデノウイルスベクター、より好ましくはAd26またはAd35ベクター)は、配列番号4のアミノ酸配列を有するHBV Pol抗原をコードする。好ましくは、ベクターは、配列番号3のポリヌクレオチド配列と少なくとも90%同一である、例えば配列番号3と90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号3と100%同一であるHBV Pol抗原のコード配列を含む。
【0097】
本出願の一実施形態では、ベクター、例えばプラスミドDNAベクターまたはウイルスベクター(好ましくはアデノウイルスベクター、より好ましくはAd26またはAd35ベクター)は、配列番号2または配列番号14のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする。好ましくは、ベクターは、配列番号1または配列番号15のポリヌクレオチド配列と少なくとも90%同一である、例えば配列番号1または配列番号15と90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号1または配列番号15と100%同一である切断型HBVコア抗原のコード配列を含む。
【0098】
本出願のなお別の実施形態では、ベクター、例えばプラスミドDNAベクターまたはウイルスベクター(好ましくはアデノウイルスベクター、より好ましくはAd26またはAd35ベクター)は、配列番号4のアミノ酸配列を有するHBV Pol抗原、および配列番号2または配列番号14のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原を含む融合タンパク質をコードする。好ましくは、ベクターは、配列番号1または配列番号15と少なくとも90%同一である、例えば配列番号1および配列番号15と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号1または配列番号15、より好ましくは配列番号15と98%、99%または100%同一である切断型HBVコア抗原のコード配列であって、配列番号3または配列番号16と少なくとも90%同一である、例えば配列番号3または配列番号16と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号3または配列番号16と、より好ましくは配列番号16と98%、99%または100%同一であるHBV Pol抗原のコード配列に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原のコード配列を含有する融合体のコード配列を含む。好ましくは切断型HBVコア抗原のコード配列は、配列番号22と少なくとも90%同一である、例えば配列番号22と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号22と98%、99%または100%同一であるリンカーのコード配列を介してHBV Pol抗原のコード配列に作動可能に連結されている。本出願の特定の実施形態では、ベクターは、配列番号16にさらに作動可能に連結された配列番号22に作動可能に連結された、配列番号15を有する融合体のコード配列を含む。
【0099】
本出願のHBV抗原をコードするポリヌクレオチドおよび発現ベクターは、本開示を考慮して当技術分野で公知の任意の方法によって作製することができる。例えば、HBV抗原をコードするポリヌクレオチドを、当業者に周知である標準的な分子生物学技術、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等を使用して発現ベクターに導入または「クローニング」することができる。
【0100】
細胞、ポリペプチドおよび抗体
本出願はまた、本明細書に記載の任意のポリヌクレオチドおよびベクターを含む細胞、好ましくは単離された細胞も提供する。細胞は、例えば組換えタンパク質の産生のために、またはウイルス粒子を産生するために使用することができる。
【0101】
本出願の実施形態は、本出願のHBV抗原を作製する方法にも関する。方法は、宿主細胞に、プロモーターに作動可能に連結された本出願のHBV抗原をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターをトランスフェクトするステップ、トランスフェクトした細胞を、HBV抗原の発現にとって適した条件下で増殖させるステップ、および任意選択で細胞において発現されたHBV抗原を精製または単離するステップを含む。HBV抗原は、アフィニティクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー等を含む当技術分野で公知の任意の方法によって細胞から単離または収集することができる。組換えタンパク質発現のために使用する技術は、本開示を考慮して当業者に周知である。発現されたHBV抗原はまた、発現されたタンパク質を精製または単離することなく、例えばHBV抗原をコードする発現ベクターをトランスフェクトして、HBV抗原の発現にとって適した条件で増殖させた細胞の上清を分析することによって、試験することもできる。
【0102】
このように、配列番号2、配列番号14、または配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む天然に存在しないまたは組換えポリペプチドも提供される。上記および以下に記載するように、これらの配列をコードする単離された核酸分子、プロモーターに作動可能に連結されたこれらの配列を含むベクター、およびポリペプチド、ポリヌクレオチド、またはベクターを含む組成物もまた、本出願によって企図される。
【0103】
本出願の一実施形態では、組換えポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、例えば配列番号2と90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。好ましくは、天然に存在しないまたは組換えポリペプチドは、配列番号2からなる。
【0104】
本出願の別の実施形態では、天然に存在しないまたは組換えポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、例えば配列番号4と90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。好ましくは、天然に存在しないまたは組換えポリペプチドは配列番号4を含む。
【0105】
本出願の別の実施形態では、天然に存在しないまたは組換えポリペプチドは、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、例えば配列番号14と90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。好ましくは、天然に存在しないまたは組換えポリペプチドは配列番号14からなる。
【0106】
同様に、本出願の天然に存在しないポリペプチドに特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片も提供する。本出願の一実施形態では、本出願の天然に存在しないHBV抗原に対して特異的である抗体は、別のHBV抗原に特異的に結合しない。例えば、配列番号4のアミノ酸配列を有するHBV Pol抗原に特異的に結合する本出願の抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を有しないHBV Pol抗原に特異的に結合しない。
【0107】
本明細書で使用される場合、用語「抗体」は、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒト化、Fv、FabおよびF(ab’)2、二機能性ハイブリッド(例えば、Lanzavecchia et al., Eur. J. Immunol. 17:105, 1987)、一本鎖(Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879, 1988; Bird et al., Science 242:423, 1988)、および変化した定常領域を有する抗体(例えば、米国特許第5,624,821号明細書)を含む。
【0108】
本明細書で使用される場合、抗原に「特異的に結合する」抗体は、1×10-7Mまたはそれ未満のKDで抗原に結合する抗体を指す。好ましくは、抗原に「特異的に結合する」抗体は、1×10-8Mもしくはそれ未満、より好ましくは5×10-9Mもしくはそれ未満、1×10-9Mもしくはそれ未満、5×10-10Mもしくはそれ未満、または1×10-10Mもしくはそれ未満のKDで抗原に結合する。用語「KD」は、解離定数を指し、KdのKaに対する比(すなわち、Kd/Ka)から得られ、モル濃度(M)として表記される。抗体のKD値は、本開示を考慮して当技術分野で公知の方法を使用して決定することができる。例えば、抗体のKDは、表面プラズモン共鳴、例えばバイオセンサーシステム、例えばBiacore(登録商標)システムを使用することによって、またはバイオレイヤー干渉技術、例えばOctet RED96システムを使用することによって決定することができる。
【0109】
抗体のKD値がより小さければ、抗体が標的抗原に結合する親和性はより高い。
【0110】
組成物、免疫原性組合せ、およびワクチン
本出願はまた、本出願に従う1つまたは複数のHBV抗原、ポリヌクレオチド、および/または1つまたは複数のHBV抗原をコードするベクターを含む組成物、免疫原性組合せ、より特にキット、およびワクチンにも関する。本明細書に記載の本出願のHBV抗原、ポリヌクレオチド(RNAおよびDNAを含む)、および/またはベクターはいずれも、本出願の組成物、免疫原性組合せまたはキット、およびワクチンにおいて使用することができる。
【0111】
本出願は、配列番号2もしくは配列番号14と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原、もしくは配列番号4と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする単離されたもしくは天然に存在しない核酸分子(DNAまたはRNA)、単離されたもしくは天然に存在しない核酸分子を含むベクター、および/または単離されたもしくは天然に存在しない核酸分子によってコードされる単離されたもしくは天然に存在しないポリペプチドを含む組成物を提供する。
【0112】
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号2または配列番号14と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号2または配列番号14と100%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする単離されたまたは天然に存在しない核酸分子(DNAまたはRNA)を含む。
【0113】
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号4と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号4と100%同一であるアミノ酸配列を含むHBV Pol抗原をコードする単離されたまたは天然に存在しない核酸分子(DNAまたはRNA)を含む。
【0114】
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号2または配列番号14と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号2または配列番号14と100%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードするポリヌクレオチド配列を含む単離されたまたは天然に存在しない核酸分子(DNAまたはRNA);および配列番号4と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号4と100%同一であるアミノ酸配列を含むHBV Pol抗原をコードするポリヌクレオチド配列を含む単離されたまたは天然に存在しない核酸分子(DNAまたはRNA)を含む。切断型HBVコア抗原およびHBV Pol抗原のコード配列は、同じ単離されたもしくは天然に存在しない核酸分子(DNAまたはRNA)、または2つの異なる単離されたもしくは天然に存在しない核酸分子(DNAまたはRNA)に存在し得る。
【0115】
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号2または配列番号14と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号2または配列番号14と100%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードするポリヌクレオチドを含むベクター、好ましくはDNAプラスミドまたはウイルスベクター(例えば、アデノウイルスベクター)を含む。
【0116】
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号4と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号4と100%同一であるアミノ酸配列を含むHBV Pol抗原をコードするポリヌクレオチドを含むベクター、好ましくはDNAプラスミドまたはウイルスベクター(例えば、アデノウイルスベクター)を含む。
【0117】
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号2または配列番号14と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号2または配列番号14と100%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードするポリヌクレオチドを含むベクター、好ましくはDNAプラスミドまたはウイルスベクター(例えば、アデノウイルスベクター);および配列番号4と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号4と100%同一であるアミノ酸配列を含むHBV Pol抗原をコードするポリヌクレオチドを含むベクター、好ましくはDNAプラスミドまたはウイルスベクター(例えば、アデノウイルスベクター)を含む。切断型HBVコア抗原のコード配列を含むベクターおよびHBV Pol抗原のコード配列を含むベクターは、同じベクターまたは2つの異なるベクターであり得る。
【0118】
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号2または配列番号14と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号2または配列番号14と100%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原であって、配列番号4と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号4と100%同一であるアミノ酸配列を含むHBV Pol抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原、またはその逆を含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクター、好ましくはDNAプラスミドまたはウイルスベクター(例えば、アデノウイルスベクター)を含む。好ましくは、融合タンパク質は、切断型HBVコア抗原をHBV Pol抗原に作動可能に連結する、またはその逆に連結するリンカーをさらに含む。好ましくは、リンカーは、アミノ酸配列(AlaGly)nを有し、式中nは2~5の整数である。
【0119】
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号2または配列番号14と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号2または配列番号14と100%同一であるアミノ酸配列からなる単離されたまたは天然に存在しない切断型HBVコア抗原を含む。
【0120】
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号4と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号4と100%同一であるアミノ酸配列を含む単離されたまたは天然に存在しないHBV Pol抗原を含む。
【0121】
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号2または配列番号14と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号2または配列番号14と100%同一であるアミノ酸配列からなる単離されたまたは天然に存在しない切断型HBVコア抗原;および配列番号4と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号4と100%同一であるアミノ酸配列を含む単離されたまたは天然に存在しないHBV Pol抗原を含む。
【0122】
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号2または配列番号14と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号2または配列番号14と100%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原であって、配列番号4と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号4と100%同一であるアミノ酸配列を含むHBV Pol抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原を含む、またはその逆を含む、単離されたまたは天然に存在しない融合タンパク質を含む。好ましくは、融合タンパク質は、切断型HBVコア抗原をHBV Pol抗原に作動可能に連結する、またはその逆に連結するリンカーをさらに含む。好ましくは、リンカーは、アミノ酸配列(AlaGly)nを有し、式中nは2~5の整数である。
【0123】
本出願はまた、本出願の実施形態に従う切断型HBVコア抗原およびHBV pol抗原を発現するポリヌクレオチドを含む免疫原性組合せまたはキットにも関する。本明細書に記載の本出願のHBVコアおよびpol抗原をコードする任意のポリヌクレオチドおよび/またはベクターを、本出願の免疫原性組合せまたはキットにおいて使用することができる。
【0124】
本出願の実施形態に従って、ワクチンの組合せまたはキットは:
(a)配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有するHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチドを含む第1の天然に存在しない核酸分子であって、HBVポリメラーゼ抗原が逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない、第1の天然に存在しない核酸分子;
(b)配列番号2または配列番号14のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチドを含む第2の天然に存在しない核酸分子;および
(c)薬学的に許容可能な担体
を含み、
第1の天然に存在しない核酸分子および第2の天然に存在しない核酸分子は、同じ天然に存在しない核酸分子または2つの異なる天然に存在しない核酸分子に存在する。
【0125】
本出願の実施形態に従って、ワクチンの組合せまたはキットにおけるポリヌクレオチドは、そのようなポリヌクレオチドから発現されたHBV抗原が、同じまたは異なるポリヌクレオチドから発現されたか否かによらず、共に融合されるかまたは個別のタンパク質として産生されるように、連結され得るかまたは個別であり得る。一実施形態では、第1および第2のポリヌクレオチドは、発現されたタンパク質がまた個別のタンパク質であるが、組み合わせて使用されるように、同じまたは個別の組成物のいずれかとして組み合わせて使用される個別のベクター、例えば、DNAプラスミドまたはウイルスベクターに存在する。別の実施形態では、第1および第2のポリヌクレオチドによってコードされるHBV抗原を、HBVコア-pol融合抗原が産生されるように、同じベクターから発現させることができる。任意選択で、コアおよびpol抗原を、短いリンカーによって共に結合または融合することができる。あるいは、第1および第2のポリヌクレオチドによってコードされるHBV抗原は、コアおよびpol抗原コード配列の間にリボソーム翻訳スリップ部位(シス-ヒドロラーゼ部位としても知られる)を使用して、単一のベクターから独立して発現させることができる。この戦略によって、個々のコアおよびpol抗原が単一のmRNA転写物から産生されるバイシストロニック発現ベクターが得られる。そのようなバイシストロニック発現ベクターから産生されるコアおよびpol抗原は、mRNA転写物のコード配列の順序づけに応じて、追加のN末端またはC末端残基を有し得る。この目的のために使用することができるリボソーム翻訳スリップ部位の例には、手足口病ウイルス(FMDV)のFA2翻訳スリップ部位が挙げられるがこれらに限定されない。別の可能性は、第1および第2のポリヌクレオチドによってコードされるHBV抗原を、2つの個別のベクター、すなわち1つがHBVコア抗原をコードし、1つがHBV pol抗原をコードするベクターから独立して発現させることができることである。
【0126】
好ましい実施形態では、第1および第2のポリヌクレオチドは、個別のベクター、例えばDNAプラスミドまたはウイルスベクターに存在する。好ましくは個別のベクターは、同じ組成物に存在する。
【0127】
本出願の好ましい実施形態に従って、免疫原性組合せまたはキットは、第1のベクターに存在する第1のポリヌクレオチドおよび第2のベクターに存在する第2のポリヌクレオチドを含む。第1および第2のベクターは同じまたは異なり得る。好ましくは、ベクターはDNAプラスミドである。
【0128】
本出願の特定の実施形態では、免疫原性組合せまたはキットは、配列番号2と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号2と100%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクター;および配列番号4と少なくとも98%同一である、好ましくは配列番号4と100%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクターを含む。
【0129】
本出願の特定の実施形態では、第1のベクターは第1のDNAプラスミドであり、第2のベクターは第2のDNAプラスミドである。第1および第2のDNAプラスミドの各々は、複製開始点、好ましくは配列番号10のpUC ORI、および好ましくは配列番号12と少なくとも90%同一であるポリヌクレオチド配列を有するコドン最適化Kanr遺伝子を含み、好ましくはblaプロモーター、例えば配列番号9に示すblaプロモーターの制御下にある抗生物質耐性カセットを含む。第1および第2のDNAプラスミドの各々は、独立してプロモーター配列、エンハンサー配列、および第1のポリヌクレオチド配列または第2のポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたシグナルペプチド配列をコードするポリヌクレオチド配列のうちの少なくとも1つをさらに含む。好ましくは、第1および第2のDNAプラスミドの各々は、第1のポリヌクレオチドまたは第2のポリヌクレオチドに作動可能に連結された上流の配列を含み、上流の配列は、5’末端から3’末端に、配列番号7のプロモーター配列、配列番号8のエンハンサー配列、および配列番号6のアミノ酸配列を有するシグナルペプチド配列をコードするポリヌクレオチド配列を含む。第1および第2のDNAプラスミドの各々はまた、HBV抗原のコード配列の下流に位置するポリアデニル化シグナル、例えば配列番号11のbGHポリアデニル化シグナルも含み得る。
【0130】
本出願のある特定の実施形態では、第1のベクターは第1のウイルスベクターであり、第2のベクターは第2のウイルスベクターである。好ましくは、第1および第2のウイルスベクターの各々は、アデノウイルスベクター、より好ましくはAd26またはAd35ベクターであって、本出願のHBV pol抗原または切断型HBVコア抗原をコードするポリヌクレオチド;5’末端から3’末端に、プロモーター配列、好ましくは配列番号17のCMVプロモーター配列、エンハンサー配列、好ましくは配列番号23のApoAI遺伝子断片配列、およびシグナルペプチド配列、好ましくは配列番号19のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分泌シグナルをコードするポリヌクレオチド配列を含む、HBV抗原をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された上流の配列;ならびにポリアデニル化シグナル、好ましくは配列番号24のSV40ポリアデニル化シグナルを含む、HBV抗原をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された下流の配列を含む発現カセットを含むアデノウイルスベクターである。
【0131】
別の好ましい実施形態では、第1および第2のポリヌクレオチドは、単一のベクター、例えばDNAプラスミドまたはウイルスベクターに存在する。好ましくは単一のベクターは、アデノウイルスベクター、より好ましくはAd26ベクターであって、本出願のHBV pol抗原および切断型HBVコア抗原をコードし、好ましくは融合タンパク質として本出願のHBV pol抗原および切断型HBVコア抗原をコードするポリヌクレオチド;5’末端から3’末端に、プロモーター配列、好ましくは配列番号17のCMVプロモーター配列、エンハンサー配列、好ましくは配列番号23のApoAI遺伝子断片配列、およびシグナルペプチド配列、好ましくは配列番号19のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分泌シグナルをコードするポリヌクレオチド配列を含む、HBV pol抗原および切断型HBVコア抗原をコードするポリヌクレオチド配列に作動可能に連結された上流の配列;ならびにポリアデニル化シグナル、好ましくは配列番号24のSV40ポリアデニル化シグナルを含むHBV抗原をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された下流の配列を含む発現カセットを含むアデノウイルスベクターである。
【0132】
本出願の免疫原性組合せが第1のベクター、例えばDNAプラスミドまたはウイルスベクター、および第2のベクター、例えばDNAプラスミドまたはウイルスベクターを含む場合、第1および第2のベクターの各々の量は特に限定されない。例えば、第1のDNAプラスミドおよび第2のDNAプラスミドは、10:1~1:10の重量比で、例えば10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10の重量比で存在し得る。好ましくは、第1および第2のDNAプラスミドは、1:1の重量比で存在する。
【0133】
本出願の組成物および免疫原性組合せは、追加のHBV抗原および/または追加のHBV抗原もしくはその免疫原性断片をコードする追加のポリヌクレオチドまたはベクターを含み得る。しかし、特定の実施形態では、本出願の組成物および免疫原性組合せは、ある特定の抗原を含まない。
【0134】
特定の実施形態では、本出願の組成物または免疫原性組合せまたはキットは、HBsAgまたはHBsAgをコードするポリヌクレオチド配列を含まない。
【0135】
別の特定の実施形態では、本出願の組成物または免疫原性組合せまたはキットは、HBV Lタンパク質またはHBV Lタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含まない。
【0136】
本出願のなお別の特定の実施形態では、本出願の組成物または免疫原性組合せは、HBVエンベロープタンパク質またはHBVエンベロープタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含まない。
【0137】
本出願の組成物および免疫原性組合せはまた、薬学的に許容可能な担体も含み得る。薬学的に許容可能な担体は、非毒性であり、活性成分の有効性を妨害してはならない。薬学的に許容可能な担体は、1つまたは複数の賦形剤、例えば結合剤、崩壊剤、膨張剤、懸濁剤、乳化剤、湿潤剤、潤滑剤、香味料、甘味料、保存剤、色素、溶解剤、およびコーティングを含み得る。薬学的に許容可能な担体は、ビヒクル、例えば脂質(ナノ)粒子を含み得る。担体または他の材料の正確な性質は、投与経路、例えば筋肉内、皮内、皮下、経口、静脈内、皮下、粘膜内(例えば、腸)、鼻腔内、または腹腔内経路に依存し得る。液体注射可能調製物、例えば懸濁剤および液剤の場合、適した担体および添加剤は、水、グリコール、油、アルコール、保存剤、着色剤等を含む。固体経口調製物、例えば散剤、カプセル剤、カプレット、ゲルキャップおよび錠剤の場合、適した担体および添加剤は、デンプン、砂糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤等を含む。鼻腔内スプレー/吸入混合物の場合、水溶液/懸濁液は、適した担体および添加剤として水、グリコール、油、エモリエント、安定剤、湿潤剤、保存剤、芳香剤、着香料等を含み得る。
【0138】
本出願の組成物および免疫原性組合せは、経口(腸内)投与および非経口注射を含むがこれらに限定されない、投与を容易にするためおよび有効性を改善するために対象への投与にとって適した任意の物質で製剤化することができる。非経口注射は、静脈内注射または注入、皮下注射、皮内注射、および筋肉内注射を含む。本出願の組成物はまた、経粘膜、眼、直腸、長時間作用型埋め込み、舌下投与、門脈循環を迂回する舌の下の口腔粘膜、吸入、または鼻腔内を含む他の投与経路のために製剤化することもできる。
【0139】
本出願の好ましい実施形態では、本出願の組成物および免疫原性組合せは、非経口注射のために、好ましくは皮下、皮内注射、または筋肉内注射のために製剤化され、より好ましくは筋肉内注射のために製剤化される。
【0140】
本出願の実施形態に従って、投与のための組成物および免疫原性組合せは、典型的には薬学的に許容可能な担体、例えば水性担体中の緩衝溶液、例えば緩衝食塩水等、例えばリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。組成物および免疫原性組合せはまた、pH調節剤および緩衝剤等の生理的条件を近似するために必要な薬学的に許容可能な物質を含有し得る。例えば、プラスミドDNAを含む本出願の組成物または免疫原性組合せは、薬学的に許容可能な担体としてリン酸緩衝食塩水(PBS)を含有し得る。プラスミドDNAは、例えば0.5mg/mL~5mg/mL、例えば0.5mg/mL、1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、または5mg/mL、好ましくは1mg/mLの濃度で存在し得る。
【0141】
本出願の組成物および免疫原性組合せは、当技術分野で周知の方法に従ってワクチン(「免疫原性組成物」とも呼ばれる)として製剤化することができる。そのような組成物は、免疫応答を増強するためのアジュバントを含み得る。製剤における各々の構成要素の最適な比は、本開示を考慮して当業者に周知の技術によって決定することができる。
【0142】
本出願の特定の実施形態では、組成物または免疫原性組合せは、DNAワクチンである。DNAワクチンは、典型的には強い真核細胞プロモーターの制御下で目的の抗原をコードするポリヌクレオチドを含有する細菌プラスミドを含む。プラスミドが宿主の細胞の細胞質に送達されると、コードされた抗原が、内因性に産生され、プロセシングされる。得られた抗原は、典型的には、液性および細胞性免疫応答の両方を誘導する。DNAワクチンは、それらが少なくとも改善された安全性を提供し、温度安定であり、抗原性のバリアントを発現させるように容易に適合させることができ、および産生が単純であることから有利である。本出願の任意のDNAプラスミドを使用してそのようなDNAワクチンを調製することができる。
【0143】
本出願の他の特定の実施形態では、組成物または免疫原性組合せは、RNAワクチンである。RNAワクチンは、典型的には目的の抗原、例えばHBV抗原をコードする少なくとも1つの一本鎖RNA分子を含む。RNAが宿主の細胞の細胞質に送達されると、コードされる抗原が内因性に産生されてプロセシングされ、DNAワクチンと類似の液性および細胞性免疫応答の両方を誘導する。RNA配列をコドン最適化して、翻訳効率を改善することができる。RNA分子は、安定性および/または翻訳を増強するために、本開示を考慮して当技術分野で公知の任意の方法で改変することができ、例えば少なくとも30アデノシン残基のポリAテールを付加することによって、および/またはRNA合成の際に取り込まれ得るかもしくはRNA転写後に酵素的に操作され得る改変リボヌクレオチド、例えば7-メチルグアノシンキャップによって5末端をキャッピングすることによって改変することができる。RNAワクチンはまた、アルファウイルス発現ベクターから作製された自己複製RNAワクチンでもあり得る。自己複製RNAワクチンは、HBV抗原RNAの複製を制御するサブゲノムプロモーターの後にレプリカーゼの下流に位置する人工ポリAテールを含む、アルファウイルス科に属するウイルスに由来するレプリカーゼRNA分子を含む。
【0144】
ある特定の実施形態では、アジュバントは、本出願の組成物または免疫原性組合せに含められるか、または本出願の組成物もしくは免疫原性組合せと同時投与される。アジュバントの使用は、任意選択であり、組成物をワクチン接種目的のために使用する場合、免疫応答をさらに増強することができる。本出願に従う同時投与または組成物に含めるために適したアジュバントは、好ましくはヒトにおいて潜在的に安全で、良好に認容され、および有効であるアジュバントでなければならない。アジュバントは、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD1、抗TIM-3等)、toll-like受容体アゴニスト(例えば、TLR7アゴニストおよび/またはTLR8アゴニスト)、RIG-1アゴニスト、IL-15スーパーアゴニスト(Altor Bioscience)、変異体IRF3およびIRF7遺伝子アジュバント、STINGアゴニスト(Aduro)、FLT3L遺伝子アジュバント、IL-12遺伝子アジュバント、およびIL-7-hyFcが挙げられるがこれらに限定されない低分子または抗体であり得る。アジュバントはまた、例えば以下の抗HBV剤:HBV DNAポリメラーゼ阻害剤;イムノモジュレーター;toll-like受容体7モジュレーター;toll-like受容体8モジュレーター;toll-like受容体3モジュレーター;インターフェロンアルファ受容体リガンド;ヒアルロニダーゼ阻害剤;IL-10のモジュレーター;HBsAg阻害剤;toll-like受容体9モジュレーター;シクロフィリン阻害剤;HBV予防用ワクチン;HBV治療用ワクチン;HBVウイルス侵入阻害剤;ウイルスmRNAを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド、より特に抗HBVアンチセンスオリゴヌクレオチド;低分子干渉RNA(siRNA)、より特に抗HBV siRNA;エンドヌクレアーゼモジュレーター;リボヌクレオチドレダクターゼの阻害剤;B型肝炎ウイルスE抗原阻害剤;B型肝炎ウイルスの表面抗原を標的とするHBV抗体;HBV抗体;CCR2ケモカインアンタゴニスト;サイモシンアゴニスト;サイトカイン、例えばIL12;キャプシドアセンブリモジュレーター、ヌクレオタンパク質阻害剤(HBVコアまたはキャプシドタンパク質阻害剤);核酸ポリマー(NAP);レチノイン酸誘導遺伝子1の刺激剤;NOD2の刺激剤;組換えサイモシンアルファ-1;B型肝炎ウイルス複製阻害剤;PI3K阻害剤;cccDNA阻害剤;免疫チェックポイント阻害剤、例えばPD-L1阻害剤、PD-1阻害剤、TIM-3阻害剤、TIGIT阻害剤、Lag3阻害剤、およびCTLA-4阻害剤;免疫細胞(より特にT細胞)において発現される共刺激受容体のアゴニスト、例えばCD27、CD28等;BTK阻害剤;HBVを処置するための他の薬物;IDO阻害剤;アルギナーゼ阻害剤;ならびにKDM5阻害剤から選択することができる。
【0145】
本出願はまた、本出願の組成物および免疫原性組合せを作製する方法も提供する。組成物または免疫原性組合せを産生する方法は、本出願のHBV抗原をコードする単離されたポリヌクレオチド、ベクター、および/またはポリペプチドを、1つまたは複数の薬学的に許容可能な担体と混合するステップを含む。当業者は、そのような組成物を調製するために使用される通常の技術を熟知している。
【0146】
免疫応答を誘導する方法
本出願はまた、それを必要とする対象においてB型肝炎ウイルス(HBV)に対する免疫応答を誘導する方法であって、本出願の組成物または免疫原性組成物の免疫原性有効量を対象に投与するステップを含む方法も提供する。本明細書に記載の本出願の組成物および免疫原性組合せのいずれも、本出願の方法に使用することができる。
【0147】
本明細書で使用される場合、用語「感染症」は、病原体による宿主の侵入を指す。病原体は、それが宿主に侵入することが可能で、宿主内で複製または繁殖することが可能である場合、「感染性」であると考えられる。感染性作用剤の例には、ウイルス、例えばHBVおよびある特定の種のアデノウイルス、プリオン、細菌、真菌、原虫等が挙げられる。「HBV感染症」は、具体的には、HBVによる宿主生物、例えば宿主生物の細胞および組織の侵入を指す。
【0148】
語句「免疫応答を誘導する」は、本明細書に記載の方法に関連して使用する場合、それを必要とする対象において、感染症、例えばHBV感染症に対して所望の免疫応答または効果を引き起こすことを包含する。「免疫応答を誘導する」はまた、病原体、例えばHBVに対して処置するために治療免疫を提供することも包含する。本明細書で使用される場合、用語「治療免疫」または「治療的免疫応答」は、ワクチン接種した対象が、それに対するワクチン接種を行った病原体による感染症を制御することができること、例えばHBVワクチンによるワクチン接種によって付与されたHBV感染症に対する免疫を意味する。一実施形態では、「免疫応答を誘導する」は、それを必要とする対象において免疫を生じること、例えばHBV感染症等の疾患に対する治療効果を提供することを意味する。ある特定の実施形態では、「免疫応答を誘導する」は、HBV感染症に対する細胞性免疫、例えばT細胞応答を引き起こすまたは改善することを指す。ある特定の実施形態では、「免疫応答を誘導する」は、HBV感染症に対する液性免疫応答を引き起こすまたは改善することを指す。ある特定の実施形態では、「免疫応答を誘導する」とは、HBV感染症に対する細胞性および液性免疫応答を引き起こすまたは改善することを指す。
【0149】
本明細書で使用される場合、用語「保護免疫」または「保護免疫応答」は、ワクチン接種した対象が、それに対するワクチン接種を行った病原体による感染症を制御することができることを意味する。通常、「保護免疫応答」を有する対象は、ごく軽度から中等度の臨床症状を示すか、または症状を全く示さない。通常、ある特定の病原体に対して「保護免疫応答」、または「保護免疫」を有する対象は、前記病原体による感染症の結果として死亡することはない。
【0150】
典型的には、本出願の組成物および免疫原性組合せの投与は、HBV感染後にHBVに対する免疫応答を生成するか、または例えば治療的ワクチン接種の場合では、HBV感染症に特徴的な症状を発症させる治療目的を有する。
【0151】
本明細書で使用される場合、「免疫原性有効量」または「免疫学的有効量」は、それを必要とする対象において所望の免疫効果または免疫応答を誘導するために十分な組成物、ポリヌクレオチド、ベクター、または抗原の量を意味する。免疫原性有効量は、それを必要とする対象において免疫応答を誘導するために、十分な量であり得る。免疫原性有効量は、それを必要とする対象において免疫を生じるために、例えばHBV感染症等の疾患に対する治療効果を提供するために十分な量であり得る。免疫原性有効量は、多様な要因、例えば対象の身体条件、年齢、体重、健康等;特定の応用、例えば保護免疫または治療免疫を提供すること;およびそれに対する免疫が望ましい特定の疾患、例えばウイルス感染症に応じて変化し得る。免疫原性有効量は、本開示を考慮して当業者によって容易に決定することができる。
【0152】
本出願の特定の実施形態では、免疫原性有効量は、以下の効果の1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれより多くを達成するために十分である組成物または免疫原性組合せの量を指す:(i)HBV感染症またはそれに関連する症状の重症度を低減または改善すること;(ii)HBV感染症またはそれに関連する症状の持続を低減させること;(iii)HBV感染症またはそれに関連する症状の進行を防止すること;(iv)HBV感染症またはそれに関連する症状の退行を引き起こすこと;(v)HBV感染症またはそれに関連する症状の発生または発症を防止すること;(vi)HBV感染症またはそれに関連する症状の再発を防止すること;(vii)HBV感染症を有する対象の入院を低減させること;(viii)HBV感染症を有する対象の入院期間を低減させること;(ix)HBV感染症を有する対象の生存を増加させること;(x)対象におけるHBV感染症を排除すること;(xi)対象におけるHBV複製を阻害または低減させること;ならびに/または(xii)別の治療の予防効果または治療効果を増強または改善すること。
【0153】
免疫原性有効量はまた、臨床的セロコンバージョンへの進展と整合するまでHBsAgレベルを低減させるために;対象の免疫系による感染した肝細胞の低減に関連する持続的なHBsAgクリアランスを達成するために;HBV抗原特異的活性化T細胞集団を誘導するために;および/または12ヶ月以内のHBsAgの持続的喪失を達成するために十分な量でもあり得る。目標とする指標の例は、500コピーのHBsAg国際単位(IU)の閾値より下のより低いHBsAgおよび/またはより高いCD8数を含む。
【0154】
一般的な指針として、DNAプラスミドを参照して使用する場合の免疫原性有効量は、DNAプラスミド全体の約0.1mg/mL~10mg/mLの範囲、例えば0.1mg/mL、0.25mg/mL、0.5mg/mL、0.75mg/mL、1mg/mL、1.5mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、6mg/mL、7mg/mL、8mg/mL、9mg/mL、または10mg/mLであり得る。好ましくは、DNAプラスミドの免疫原性有効量は、8mg/mL未満、より好ましくは6mg/mL未満、さらにより好ましくは3~4mg/mL未満である。免疫原性有効量は、1つのベクターまたはプラスミド、または複数のベクターもしくはプラスミドに由来し得る。免疫原性有効量は、単一の組成物で、または複数の組成物で、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の組成物(例えば、錠剤、カプセル剤または注射剤、または皮内送達のために適合させた任意の組成物、例えば皮内送達パッチを使用する皮内送達)で投与することができ、複数のカプセル剤または注射剤の投与は、集合的に対象に免疫原性有効量を提供する。例えば、2つのDNAプラスミドを使用する場合、免疫原性有効量は3~4mg/mLであり、各プラスミドについて1.5~2mg/mLであり得る。同様に、いわゆるプライム-ブーストレジメンにおいて、対象に免疫原性有効量を投与し、その後同じ対象に免疫原性有効量の別の用量を投与することが可能である。プライム-ブーストレジメンのこの一般的な考え方は、ワクチンの分野の当業者に周知である。さらなるブースター投与を、必要に応じて任意選択でレジメンに追加することができる。
【0155】
2つのDNAプラスミド、例えばHBVコア抗原をコードする第1のDNAプラスミドおよびHBV pol抗原をコードする第2のDNAプラスミドを含む免疫原性組合せを、両方のプラスミドを混合するステップおよび混合物を単一の解剖学的部位に送達するステップによって、対象に投与することができる。あるいは、各々が単一の発現プラスミドを送達する2つの個別の免疫を実施することができる。そのような実施形態では、両方のプラスミドを混合物として単一の免疫として投与するかまたは2つの個別の免疫として投与するかによらず、第1のDNAプラスミドおよび第2のDNAプラスミドを、10:1~1:10の重量比で、例えば10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10の重量比で投与することができる。好ましくは、第1および第2のDNAプラスミドは、1:1の重量比で投与される。
【0156】
好ましくは、本出願の方法に従って処置される対象は、HBV感染対象、特に慢性HBV感染症を有する対象である。急性HBV感染症は、生得の免疫系の効率的な活性化がその後の広い適応性の応答(例えば、HBV特異的T細胞、中和抗体)によって補完されることによって特徴付けられ、これは通常、感染した肝細胞の複製の抑制または除去の成功をもたらす。これに対し、そのような応答は、ウイルス負荷および抗原負荷が高い場合には損なわれるかまたは減損し、例えばHBVエンベロープタンパク質が大量に産生され、感染性ウイルスに対して1,000倍過剰量でサブウイルス粒子として放出され得る。
【0157】
慢性HBV感染症は、ウイルス量、肝酵素レベル(壊死炎症活性)、HBeAg、またはHBsAg量、またはこれらの抗原に対する抗体の存在によって特徴付けられる語句として記載される。cccDNAレベルは、およそ10~50コピー/細胞で比較的一定のままであるが、ウイルス血症はかなり多様であり得る。cccDNA種の持続は慢性化をもたらす。より詳しくは、慢性HBV感染症のフェーズは:(i)高いウイルス量および正常またはわずかに上昇した肝酵素によって特徴付けられる免疫寛容フェーズ;(ii)肝酵素の有意な上昇を伴うウイルス複製レベルの低下または減少が観察される免疫活性化HBeAg陽性フェーズ;(iii)血清中の低いウイルス量および正常な肝酵素レベルを伴う低い複製状態の後にHBeAgセロコンバージョンが起こり得る不活性なHBsAgキャリアフェーズ;および(iv)ウイルス複製が周期的に起こり(再活性化)、肝酵素レベルの同時の変動、プレコアおよび/または基礎コアプロモーターの変異が一般的であり、HBeAgが感染細胞によって産生されないHBeAg陰性フェーズを含む。
【0158】
本明細書で使用される場合、「慢性HBV感染症」は、6ヶ月より長いHBVの検出可能な存在を有する対象を指す。慢性HBV感染症を有する対象は、慢性HBV感染症のいずれかのフェーズにあり得る。慢性HBV感染症は、当技術分野でその通常の意味に従って理解される。慢性HBV感染症は、例えば急性HBV感染症後6ヶ月またはそれより長い間のHBsAgの持続によって特徴付けられ得る。例えば、本明細書で呼ぶ慢性HBV感染症は、米国疾病予防管理センター(CDC)によって公表された定義に従い、それに従って慢性HBV感染症を以下の臨床基準によって特徴付けることができる:(i)B型肝炎コア抗原に対するIgM抗体(IgM抗HBc)陰性およびB型肝炎表面抗原(HBsAg)陽性、B型肝炎e抗原(HBeAg)陽性、もしくはB型肝炎ウイルスDNAに関する核酸試験陽性、または(ii)HBsAgもしくはHBV DNAの核酸試験陽性、または少なくとも6ヶ月間空けて2回のHBeAg陽性。
【0159】
好ましくは、免疫原性有効量は、慢性HBV感染症を処置するために十分である本出願の組成物または免疫原性組合せの量を指す。
【0160】
一部の実施形態では、慢性HBV感染症を有する対象は、ヌクレオシドアナログ(NUC)処置を受けており、NUC抑制されている。本明細書で使用される場合、「NUC抑制」は、HBVの検出不能なウイルスレベルおよび安定なアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを少なくとも6ヶ月間有する対象を指す。ヌクレオシド/ヌクレオチドアナログ処置の例は、HBVポリメラーゼ阻害剤、例えばエンタカビルおよびテノフォビルを含む。好ましくは、慢性HBV感染症を有する対象は、進行した肝線維症または肝硬変を有しない。そのような対象は典型的に、線維症に関してMETAVIRスコア3未満および9kPa未満のフィブロスキャン結果を有するであろう。METAVIRスコアは、B型肝炎患者の肝生検における組織病理学的評価によって炎症および線維症の程度を評価するために一般的に使用される採点システムである。採点システムは、2つの標準化された数字:炎症の程度を反映する数字、および線維症の程度を反映する数字を割付する。
【0161】
慢性HBVの排除または低減は、ウイルス性肝硬変および肝細胞癌を含む重度の肝疾患の早期の疾患の妨害を可能にし得ると考えられている。このように、本出願の方法はまた、HBV誘導疾患を処置するための治療としても使用することができる。HBV誘導疾患の例には、肝硬変、がん(例えば、肝細胞癌)、および線維症、特にMETAVIRスコアが線維症に関して3またはそれより高いことによって特徴付けられる進行線維症が挙げられるがこれらに限定されない。そのような実施形態では、免疫原性有効量は、12ヶ月以内のHBsAgの持続的な喪失および臨床疾患(例えば、肝硬変、肝細胞癌等)の有意な減少を達成するために十分な量である。
【0162】
本出願の実施形態に従う方法は、それを必要とする対象に、本出願の組成物と組み合わせて別の免疫原製剤(例えば、別のHBV抗原または他の抗原)、または別の抗HBV剤(例えば、ヌクレオシドアナログまたは他の抗HBV剤)を投与するステップをさらに含む。例えば、別の抗HBV剤または免疫原性剤は、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD1、抗TIM-3等)、toll-like受容体アゴニスト(例えば、TLR7アゴニストおよび/またはTLR8アゴニスト)、RIG-1アゴニスト、IL-15スーパーアゴニスト(Altor Bioscience)、変異体IRF3およびIRF7遺伝子アジュバント、STINGアゴニスト(Aduro)、FLT3L遺伝子アジュバント、IL-12遺伝子アジュバント、IL-7-hyFc;HBV envに結合するCAR-T(S-CAR細胞);キャプシドアセンブリモジュレーター;cccDNA阻害剤、HBVポリメラーゼ阻害剤(例えば、エンテカビルおよびテノフォビル)が挙げられるがこれらに限定されない低分子または抗体であり得る。1つまたは複数の他の抗HBV活性剤は、例えば低分子、抗体またはその抗原結合性断片、ポリペプチド、タンパク質、または核酸であり得る。1つまたは複数の他の抗HBV剤は、例えば、HBV DNAポリメラーゼ阻害剤;イムノモジュレーター;toll-like受容体7モジュレーター;toll-like受容体8モジュレーター;toll-like受容体3モジュレーター;インターフェロンアルファ受容体リガンド;ヒアルロニダーゼ阻害剤;IL-10のモジュレーター;HBsAg阻害剤;toll-like受容体9モジュレーター;シクロフィリン阻害剤;HBV予防用ワクチン;HBV治療用ワクチン;HBVウイルス侵入阻害剤;ウイルスmRNAを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド、より特に抗HBVアンチセンスオリゴヌクレオチド;低分子干渉RNAs(siRNA)、より特に抗HBV siRNA;エンドヌクレアーゼモジュレーター;リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤;B型肝炎ウイルスE抗原阻害剤;B型肝炎ウイルスの表面抗原を標的とするHBV抗体;HBV抗体;CCR2ケモカインアンタゴニスト;サイモシンアゴニスト;サイトカイン、例えばIL12;キャプシドアセンブリモジュレーター、ヌクレオタンパク質阻害剤(HBVコアまたはキャプシドタンパク質阻害剤);核酸ポリマー(NAP);レチノイン酸誘導遺伝子1の刺激剤;NOD2の刺激剤;組換えサイモシンアルファ-1;B型肝炎ウイルス複製阻害剤;PI3K阻害剤;cccDNA阻害剤;免疫チェックポイント阻害剤、例えばPD-L1阻害剤、PD-1阻害剤、TIM-3阻害剤、TIGIT阻害剤、Lag3阻害剤、およびCTLA-4阻害剤;免疫細胞(より特に、T細胞)において発現される共刺激受容体のアゴニスト、例えばCD27、CD28等;BTK阻害剤;HBVを処置するための他の薬物;IDO阻害剤;アルギナーゼ阻害剤;およびKDM5阻害剤から選択することができる。
【0163】
送達方法
本出願の組成物および免疫原性組合せは、非経口投与(例えば、筋肉内、皮下、静脈内、または皮内注射)、経口投与、経皮投与、および鼻腔内投与を含むがこれらに限定されない、本開示を考慮して当業者に公知の任意の方法によって対象に投与することができる。好ましくは、組成物および免疫原性組合せは、非経口(例えば、筋肉内注射または皮内注射によって)、または経皮投与される。
【0164】
組成物または免疫原性組合せが1つまたは複数のDNAプラスミドを含む本出願の一部の実施形態では、投与は皮膚を通しての注射、例えば筋肉内または皮内注射、好ましくは筋肉内注射であり得る。筋肉内注射は、電気穿孔、すなわちDNAプラスミドの細胞への送達を容易にするための電場の印加と組み合わせることができる。本明細書で使用される場合、用語「電気穿孔」は、生体膜において顕微鏡的経路(孔)を誘導するために膜内外で電場パルスを使用することを指す。In vivo電気穿孔の間、適切な大きさおよび持続の電場を細胞に印加し、細胞膜透過性が一過性に増強された状態を誘導し、このようにして単独では細胞膜を通過することができない分子の細胞取り込みを可能にする。電気穿孔によるそのような孔の作製は、細胞膜の1つの側から他方の側への生体分子、例えばプラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬物等の通過を容易にする。DNAワクチンを送達するためのIn vivo電気穿孔は、宿主細胞によるプラスミド取り込みを有意に増加させることが示されているが、注射部位で軽度から中等度の炎症ももたらす。その結果、皮内または筋肉内電気穿孔では、通常の注射と比較するとトランスフェクション効率および免疫応答が有意に改善される(例えば、それぞれ最大1,000倍および100倍)。
【0165】
典型的な実施形態では、電気穿孔は、筋肉内注射と組み合わせる。しかし、電気穿孔を非経口投与の他の形態、例えば皮内注射、皮下注射等と組み合わせることも可能である。
【0166】
本出願の組成物、免疫原性組合せ、またはワクチンの電気穿孔による投与は、可逆的な孔を細胞膜に形成させるために有効なエネルギーのパルスを哺乳動物の所望の組織に送達するように構成することができる電気穿孔デバイスを使用して達成することができる。電気穿孔デバイスは、電気穿孔構成要素および電極アセンブリまたはハンドルアセンブリを含み得る。電気穿孔構成要素は、電気穿孔デバイスの以下の構成要素の1つまたは複数を含み得る:コントローラー、電流波形ジェネレーター、インピーダンステスター、波形ロガー、インプットエレメント、ステータス報告エレメント、接続口、メモリー構成要素、電源、および電源スイッチ。電気穿孔は、in vivo電気穿孔デバイスを使用して達成することができる。本出願の組成物および免疫原性組合せ、特にDNAプラスミドを含むものの送達を容易にすることができる電気穿孔デバイスおよび電気穿孔方法の例は、CELLECTRA(登録商標)(Inovio Pharmaceuticals、Blue Bell、PA)、Elgenエレクトロポレーター(Inovio Pharmaceuticals、Inc.)Tri-Grid(商標)送達システム(Ichor Medical Systems、Inc.、San Diego、CA 92121)、ならびにその全ての全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第7,664,545号明細書、米国特許第8,209,006号明細書、米国特許第9,452,285号明細書、米国特許第5,273,525号明細書、米国特許第6,110,161号明細書、米国特許第6,261,281号明細書、米国特許第6,958,060号明細書、および米国特許第6,939,862号明細書、米国特許第7,328,064号明細書、米国特許第6,041,252号明細書、米国特許第5,873,849号明細書、米国特許第6,278,895号明細書、米国特許第6,319,901号明細書、米国特許第6,912,417号明細書、米国特許第8,187,249号明細書、米国特許第9,364,664号明細書、米国特許第9,802,035号明細書、米国特許第6,117,660号明細書、および国際特許出願国際公開第2017172838号明細書に記載されるものを含む。In vivo電気穿孔デバイスの他の例は、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれている、代理人文書番号688097-405WO1として本出願と同じ日に提出されている「Method and Apparatus for the Delivery of Hepatitis B Virus (HBV) Vaccines」と題する国際特許出願に記載されている。同様に、本出願の組成物および免疫原性組合せを送達するための応用によって企図されるのは、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6,697,669号明細書に記載されるパルス電場の使用である。
【0167】
組成物または免疫原性組合せが1つまたは複数のDNAプラスミドを含む本出願の他の実施形態では、投与方法は経皮である。経皮投与は、DNAプラスミドの細胞への送達を容易にするために表皮アブレーションと組み合わせることができる。例えば、表皮アブレーションのために皮膚パッチを使用することができる。皮膚パッチを除去すると、組成物または免疫原性組合せが剥削された皮膚に堆積することができる。
【0168】
送達方法は、上記の実施形態に限定されず、細胞内送達のための任意の手段を使用することができる。本出願の方法によって企図される他の細胞内送達方法には、リポソーム封入、ナノ粒子等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0169】
アジュバント
本出願の一部の実施形態では、HBVに対する免疫応答を誘導する方法は、アジュバントを投与するステップをさらに含む。用語「アジュバント」および「免疫刺激剤」は、本明細書において互換的に使用され、免疫系の刺激を引き起こす1つまたは複数の物質として定義される。この文脈において、アジュバントは、本出願のHBV抗原および抗原性HBVポリペプチドに対する免疫応答を増強するために使用される。
【0170】
本出願の実施形態に従って、アジュバントは、本出願の免疫原性組合せもしくは組成物に存在し得るか、または個別の組成物で投与することができる。アジュバントは、例えば低分子または抗体であり得る。本出願で使用するために適したアジュバントの例には、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD1、抗TIM-3等)、toll-like受容体アゴニスト(例えば、TLR7および/またはTLR8 アゴニスト)、RIG-1アゴニスト、IL-15スーパーアゴニスト(Altor Bioscience)、変異体IRF3およびIRF7遺伝子アジュバント、STINGアゴニスト(Aduro)、FLT3L遺伝子アジュバント、IL-12遺伝子アジュバント、およびIL-7-hyFcが挙げられるがこれらに限定されない。アジュバントの例は、例えば以下の抗HBV剤:HBV DNAポリメラーゼ阻害剤;イムノモジュレーター;toll-like受容体7モジュレーター;toll-like受容体8モジュレーター;toll-like受容体3モジュレーター;インターフェロンアルファ受容体リガンド;ヒアルロニダーゼ阻害剤;IL-10のモジュレーター;HBsAg阻害剤;toll-like受容体9モジュレーター;シクロフィリン阻害剤;HBV予防用ワクチン;HBV治療用ワクチン;HBVウイルス侵入阻害剤;ウイルスmRNAを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド、より特に抗HBVアンチセンスオリゴヌクレオチド;低分子干渉RNA(siRNA)、より特に抗HBV siRNA;エンドヌクレアーゼモジュレーター;リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤;B型肝炎ウイルスE抗原阻害剤;B型肝炎ウイルスの表面抗原を標的とするHBV抗体;HBV抗体;CCR2ケモカインアンタゴニスト;サイモシンアゴニスト;サイトカイン、例えばIL12;キャプシドアセンブリモジュレーター、ヌクレオタンパク質阻害剤(HBVコアまたはキャプシドタンパク質阻害剤);核酸ポリマー(NAP);レチノイン酸誘導遺伝子1の刺激剤;NOD2の刺激剤;組換えサイモシンアルファ-1;B型肝炎ウイルス複製阻害剤;PI3K阻害剤;cccDNA阻害剤;免疫チェックポイント阻害剤、例えばPD-L1阻害剤、PD-1阻害剤、TIM-3阻害剤、TIGIT阻害剤、Lag3阻害剤、およびCTLA-4阻害剤;免疫細胞(より特にT細胞)において発現される共刺激受容体のアゴニスト、例えばCD27、CD28等;BTK阻害剤;HBVを処置するための他の薬物;IDO阻害剤;アルギナーゼ阻害剤;ならびにKDM5阻害剤から選択することができる。
【0171】
本出願の組成物および免疫原性組合せはまた、少なくとも1つの他の抗HBV剤と組み合わせて投与することもできる。本出願と共に使用するために適した抗HBV剤の例には、低分子、抗体、および/またはHBV envに結合するCAR-T治療(S-CAR細胞)、キャプシドアセンブリモジュレーター、TLRアゴニスト(例えば、TLR7および/またはTLR8アゴニスト)、cccDNA阻害剤、HBVポリメラーゼ阻害剤(例えば、エンテカビルおよびテノフォビル)、および/または免疫チェックポイント阻害剤等が挙げられるがこれらに限定されない。少なくとも1つの抗HBV剤は、例えば、HBV DNAポリメラーゼ阻害剤;イムノモジュレーター;toll-like受容体7モジュレーター;toll-like受容体8モジュレーター;toll-like受容体3モジュレーター;インターフェロンアルファ受容体リガンド;ヒアルロニダーゼ阻害剤;IL-10のモジュレーター;HBsAg阻害剤;toll-like受容体9モジュレーター;シクロフィリン阻害剤;HBV予防用ワクチン;HBV治療用ワクチン;HBVウイルス侵入阻害剤;ウイルスmRNAを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド、より特に抗HBVアンチセンスオリゴヌクレオチド;低分子干渉RNAs(siRNA)、より特に抗HBV siRNA;エンドヌクレアーゼモジュレーター;リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤;B型肝炎ウイルスE抗原阻害剤;B型肝炎ウイルスの表面抗原を標的とするHBV抗体;HBV抗体;CCR2ケモカインアンタゴニスト;サイモシンアゴニスト;サイトカイン、例えばIL12;キャプシドアセンブリモジュレーター、ヌクレオタンパク質阻害剤(HBVコアまたはキャプシドタンパク質阻害剤);核酸ポリマー(NAPs);レチノイン酸誘導遺伝子1の刺激剤;NOD2の刺激剤;組換えサイモシンアルファ-1;B型肝炎ウイルス複製阻害剤;PI3K阻害剤;cccDNA阻害剤;免疫チェックポイント阻害剤、例えばPD-L1阻害剤、PD-1阻害剤、TIM-3阻害剤、TIGIT阻害剤、Lag3阻害剤、およびCTLA-4阻害剤;免疫細胞(より特に、T細胞)において発現される共刺激受容体のアゴニスト、例えばCD27、CD28等;BTK阻害剤;HBVを処置するための他の薬物;IDO阻害剤;アルギナーゼ阻害剤;およびKDM5阻害剤から選択することができる。そのような抗HBV剤は、本出願の組成物および免疫原性組合せと同時にまたは連続的に投与することができる。
【0172】
プライム/ブースト免疫方法
本出願の実施形態はまた、いわゆるプライム-ブーストレジメンで、組成物または免疫原性組合せの免疫原性有効量を対象に投与するステップ、およびその後に同じ対象に組成物または免疫原性組合せの免疫原性有効量の別の用量を投与するステップも企図する。このように、一実施形態では、本出願の組成物または免疫原性組合せは、免疫応答をプライミングするために使用されるプライマーワクチンである。別の実施形態では、本出願の組成物または免疫原性組合せは、免疫応答をブーストするために使用されるブースターワクチンである。本出願のプライミングおよびブースティングワクチンは、本明細書に記載の本出願の方法において使用することができる。プライム-ブーストレジメンのこの一般的な考え方は、ワクチン技術分野の当業者に周知である。本明細書に記載の本出願の組成物および免疫原性組合せのいずれも、HBVに対する免疫応答をプライミングおよび/またはブースティングするためのプライムおよび/またはブーストワクチンとして使用することができる。
【0173】
本出願の一部の実施形態では、本出願の組成物または免疫原性組合せは、免疫をプライミングするために投与することができる。組成物または免疫原性組合せは、免疫をブースティングするために再投与することができる。組成物またはワクチン組合せのさらなるブースター投与を、任意選択で必要に応じてレジメンに追加することができる。アジュバントは、免疫をブースティングするために使用される本出願の組成物に存在することができ、ブースティング免疫のために本出願の組成物または免疫原性組合せと共に投与される個別の組成物に存在することができ、またはブースティング免疫として単独で投与することができる。アジュバントがレジメンに含まれるそれらの実施形態では、アジュバントは、好ましくは免疫をブースティングするため使用される。
【0174】
プライム-ブーストレジメンの例示的なおよび非制限的な例は、本出願の組成物または免疫原性組合せの免疫原性有効量の1回用量を対象に投与して、免疫応答をプライミングするステップ、および次に本出願の組成物または免疫原性組合せの免疫原性有効量の別の用量を投与して、免疫応答をブーストするステップを含み、ブースティング免疫は、プライミング免疫を最初に投与した約2~6週間後、好ましくは4週間後に初めて投与される。任意選択で、プライミング免疫を最初に投与した10~14週間後、好ましくは12週間後に、組成物または免疫原性組合せまたは他のアジュバントのさらなるブースティング免疫を投与する。
【0175】
キット
同様に本明細書において本出願の免疫原性組合せを含むキットも提供される。キットは、第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドを個別の組成物中に含むことができ、またはキットは、第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドを単一の組成物中に含むことができる。キットはさらに、1つまたは複数のアジュバントまたは免疫刺激剤、および/または他の抗HBV剤を含み得る。
【0176】
動物またはヒト生物において投与時に抗HBV免疫応答を誘導または刺激する能力は、当技術分野で標準的な多様なアッセイを使用してin vitroまたはin vivoのいずれかで評価することができる。免疫応答の開始および活性化を評価するために利用することができる技術の一般的な説明に関しては、例えばColiganら(1992 and 1994, Current Protocols in Immunology; ed. J Wiley & Sons Inc, National Institute of Health)を参照されたい。細胞性免疫の測定は、CD4+およびCD8+ T細胞に由来する細胞を含む活性化エフェクター細胞によって分泌されるサイトカインプロファイルの測定(例えば、ELISPOTによるIL-10またはIFNガンマ産生細胞の定量)によって、免疫エフェクター細胞の活性化状態の決定によって(例えば、古典的な[3H]チミジン取り込みによるT細胞増殖アッセイまたはフローサイトメトリーに基づくアッセイ)、または感作された対象における抗原特異的Tリンパ球に関してアッセイすることによって(例えば、細胞傷害性アッセイにおけるペプチド特異的溶解等)実施することができる。
【0177】
細胞性および/または液性応答を刺激する能力は、抗体結合および/または結合の競合によって決定することができる(例えば、Harlow, 1989, Antibodies, Cold Spring Harbor Pressを参照されたい)。例えば、免疫原を提供する組成物の投与に応答して産生される抗体の力価を、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって測定することができる。免疫応答はまた、ウイルスの中和が、特異的抗体によるウイルスの反応/阻害/中和を通しての感染性の喪失として定義される中和抗体アッセイによっても測定することができる。免疫応答はさらに、抗体依存性細胞食作用(ADCP)アッセイによって測定することができる。
【0178】
実施形態
実施形態第1節
実施形態1は、配列番号2または配列番号14と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号2または配列番号14と100%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードするポリヌクレオチド配列を含む単離されたまたは天然に存在しない核酸分子であって、好ましくは、切断型HBVコア抗原は、哺乳動物において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能であり、より好ましくは、切断型HBVコア抗原は、哺乳動物において少なくともHBV遺伝子型B、CおよびDに対するT細胞応答を誘導することが可能であり;さらにより好ましくは、切断型HBVコア抗原は、ヒト対象において、少なくともHBV遺伝子型A、B、CおよびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能であり;ならびに最も好ましくは、切断型HBVコア抗原コード配列は、配列番号1または配列番号15と少なくとも90%、例えば90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一であるポリヌクレオチドを含む、単離されたまたは天然に存在しない核酸分子を含む。
【0179】
実施形態2は、切断型HBVコア抗原が配列番号2または配列番号14のアミノ酸配列からなる、実施形態1の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0180】
実施形態3は、HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結されたシグナル配列をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態1または実施形態2に記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0181】
実施形態4は、シグナル配列が配列番号6または配列番号19のアミノ酸配列を含み、好ましくはシグナル配列が配列番号5または配列番号18のポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態3に記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0182】
実施形態5は、切断型コアHBV抗原をコードするポリヌクレオチド配列が、配列番号1または配列番号15と少なくとも90%同一である、実施形態1~4のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0183】
実施形態6は、切断型HBVコア抗原をコードするポリヌクレオチド配列が、配列番号1または配列番号15のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態5に記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0184】
実施形態7は、配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含む、天然に存在しない核酸分子であって、HBVポリメラーゼ抗原が逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない、天然に存在しない核酸分子を含む。
【0185】
実施形態8は、HBVポリメラーゼ抗原が哺乳動物において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能であり、好ましくはHBVポリメラーゼ抗原が、哺乳動物において少なくともHBV遺伝子型B、CおよびDに対するT細胞応答を誘導することが可能であり、ならびにより好ましくは、HBVポリメラーゼ抗原が、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、CおよびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である、実施形態7に記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0186】
実施形態9は、HBVポリメラーゼ抗原が配列番号4のアミノ酸配列を含む、実施形態7に記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0187】
実施形態10は、HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結されたシグナル配列をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態7~9のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0188】
実施形態11は、シグナル配列が、配列番号6または配列番号19のアミノ酸配列を含み、好ましくはシグナル配列が配列番号5または配列番号18のポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態10に記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0189】
実施形態12は、第1のポリヌクレオチド配列が配列番号3または配列番号16と少なくとも90%同一である、実施形態7~11のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0190】
実施形態13は、第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号3または配列番号16のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態12に記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0191】
実施形態14は、配列番号2または配列番号14のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態7~13のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0192】
実施形態15は、第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号1または配列番号15と少なくとも90%同一である、実施形態14に記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0193】
実施形態16は、第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号1または配列番号15のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態15に記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0194】
実施形態17は、HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原を含む融合タンパク質をコードする、実施形態14~16のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0195】
実施形態18は、融合タンパク質が、リンカーを介してHBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原を含む、実施形態17に記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0196】
実施形態19は、リンカーが、アミノ酸配列(AlaGly)nを含み、nが2~5の整数であり、好ましくはリンカーが配列番号22を含むポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態18に記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0197】
実施形態20は、融合タンパク質が、配列番号20のアミノ酸配列を含む、実施形態19に記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0198】
実施形態21は、融合タンパク質がシグナル配列をさらに含み、好ましくはシグナル配列が、配列番号6または配列番号19のアミノ酸配列を含み、より好ましくはシグナル配列が配列番号5または配列番号18のポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態17~20のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0199】
実施形態22は、天然に存在しない核酸分子が、プロモーター配列、任意選択で1つまたは複数の追加の調節配列をさらに含み、好ましくは、プロモーター配列は、配列番号7または配列番号17のポリヌクレオチド配列を含み、ならびに追加の調節配列は、配列番号8または配列番号23のエンハンサー配列、および配列番号11または配列番号24のポリアデニル化シグナル配列からなる群から選択される、実施形態7~21のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0200】
実施形態23は、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、HBVエンベロープ(Env)抗原、およびHBV Lタンパク質抗原からなる群から選択されるHBV抗原をコードしない、実施形態7~22のいずれかに記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0201】
実施形態24は、実施形態1~24のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子を含むベクターを含む。
【0202】
実施形態25は、天然に存在しない核酸分子が、5’末端から3’末端にプロモーター配列、エンハンサー配列、シグナルペプチドコード配列、第1のポリヌクレオチド配列、およびポリアデニル化シグナル配列を含み、任意選択で天然に存在しない核酸分子が、第2のポリヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態24に記載のベクターを含む。
【0203】
実施形態26は、ベクターがプラスミドDNAベクターであり、プラスミドDNAベクターが複製開始点および抗生物質耐性遺伝子をさらに含む、実施形態24または25に記載のベクターを含む。
【0204】
実施形態27は、プラスミドDNAベクターが、配列番号10のポリヌクレオチド配列を含む複製開始点、配列番号12のポリヌクレオチド配列を含む抗生物質耐性遺伝子、配列番号7のポリヌクレオチド配列を含むプロモーター配列、配列番号8のポリヌクレオチド配列を含むエンハンサー配列、配列番号5のポリヌクレオチド配列を含むシグナルペプチドコード配列、配列番号3のポリヌクレオチド配列を含む第1のポリヌクレオチド配列、および配列番号11のポリヌクレオチド配列を含むポリアデニル化シグナル配列、ならびに任意選択で配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む第2のポリヌクレオチド配列を含有する、実施形態26に記載のベクターを含む。
【0205】
実施形態28は、アデノウイルスベクター、好ましくはAd26またはAd35ベクターである、実施形態24または25に記載のベクターを含む。
【0206】
実施形態29は、実施形態1~6のいずれか1つに記載の切断型コアHBV抗原をコードする天然に存在しない核酸を含むAd26ベクターである、実施形態28に記載のベクターを含む。
【0207】
実施形態30は、実施形態7~13のいずれか1つに記載のHBVポリメラーゼ抗原をコードする天然に存在しない核酸を含むAd26ベクターである、実施形態28に記載のベクターを含む。
【0208】
実施形態31は、実施形態17~21のいずれか1つに記載の融合タンパク質をコードする天然に存在しない核酸を含むAd26ベクターである、実施形態28に記載のベクターを含む。
【0209】
実施形態31は、アデノウイルスベクターが、配列番号17のポリヌクレオチド配列を含むプロモーター配列、配列番号23のポリヌクレオチド配列を含む調節配列、配列番号18のポリヌクレオチド配列を含むシグナルペプチドコード配列、配列番号15のポリヌクレオチド配列を含む第2のポリヌクレオチド配列、配列番号22のポリヌクレオチド配列を含むリンカーコード配列、配列番号16のポリヌクレオチド配列を含む第1のポリヌクレオチド配列、および配列番号24のポリヌクレオチド配列を含むポリアデニル化シグナル配列を含有する、実施形態28~31のいずれか1つに記載のベクターを含む。
【0210】
実施形態32は、実施形態1~32のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子によってコードされる天然に存在しないポリペプチドを含む。
【0211】
実施形態33は、実施形態1~23のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子、または実施形態24~32のいずれか1つに記載のベクターを含む宿主細胞を含む。
【0212】
実施形態34は、実施形態1~23のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子、実施形態24~32のいずれか1つに記載のベクター、または実施形態33に記載の天然に存在しないポリペプチドおよび薬学的に許容可能な担体を含む組成物を含む。
【0213】
実施形態35は、実施形態7~13のいずれか1つに記載の第1のポリヌクレオチド、実施形態14~16のいずれか1つに記載の第2のポリヌクレオチド、および薬学的に許容可能な担体を含み、第1および第2のポリヌクレオチドが同じ核酸分子または同じ核酸ベクターに含まれない、実施形態34に記載の組成物を含む。
【0214】
実施形態36は、第1および第2のポリヌクレオチドが2つの個別のベクター、好ましくはアデノウイルスベクター、より好ましくはAd26ベクターに含まれる、実施形態35に記載の組成物を含む。
【0215】
実施形態37は:
(a)配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有するHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチドを含む第1の天然に存在しない核酸分子であって、HBVポリメラーゼ抗原が逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない、第1の天然に存在しない核酸分子;
(b)配列番号2または配列番号14のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチドを含む第2の天然に存在しない核酸分子;および
(c)薬学的に許容可能な担体、
を含むキットであって、
第1の天然に存在しない核酸分子および第2の天然に存在しない核酸分子が、同じ天然に存在しない核酸分子または2つの異なる天然に存在しない核酸分子に存在する、キットを含む。
【0216】
実施形態38は、HBVポリメラーゼ抗原が、哺乳動物において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能であり、好ましくはHBVポリメラーゼ抗原が、哺乳動物において少なくともHBV遺伝子型B、CおよびDに対するT細胞応答を誘導することが可能であり、ならびにより好ましくはHBVポリメラーゼ抗原が、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、CおよびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である、実施形態37に記載のキットを含む。
【0217】
実施形態39は、HBVポリメラーゼ抗原が、配列番号4のアミノ酸配列を含む、実施形態37に記載のキットを含む。
【0218】
実施形態40は、第1の天然に存在しない核酸分子および第2の天然に存在しない核酸分子の少なくとも1つが、HBVポリメラーゼ抗原および切断型HBVコア抗原の少なくとも1つに作動可能に連結されたシグナル配列をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態37~39のいずれか1つに記載のキットを含む。
【0219】
実施形態41は、シグナル配列が独立して配列番号6または配列番号19のアミノ酸配列を含み、好ましくはシグナル配列が独立して配列番号5または配列番号18のポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態40に記載のキットを含む。
【0220】
実施形態42は、第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号3または配列番号16と少なくとも90%同一である、実施形態37~41のいずれか1つに記載のキットを含む。
【0221】
実施形態43は、第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号3または配列番号16のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態42に記載のキットを含む。
【0222】
実施形態44は、第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号1または配列番号15と少なくとも90%同一である、実施形態37~43のいずれか1つに記載のキットを含む。
【0223】
実施形態45は、第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号1または配列番号15のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態44に記載のキットを含む。
【0224】
実施形態46は、第1の天然に存在しない核酸分子および第2の天然に存在しない核酸分子の少なくとも1つが、プロモーター配列、任意選択でエンハンサー配列、およびさらに任意選択でポリアデニル化シグナル配列をさらに含み、好ましくはプロモーター配列が、配列番号7または配列番号17のポリヌクレオチド配列を有し、エンハンサー配列が独立して配列番号8または配列番号23のポリヌクレオチド配列を有し、およびポリアデニル化シグナル配列が独立して配列番号11または配列番号24のポリヌクレオチド配列を有する、実施形態37~45のいずれか1つに記載のキットを含む。
【0225】
実施形態47は、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、HBVエンベロープ(Env)抗原、およびHBV Lタンパク質抗原からなる群から選択されるHBV抗原をコードする核酸分子、またはB型肝炎表面抗原(HBsAg)、HBVエンベロープ(Env)抗原、およびHBV Lタンパク質抗原からなる群から選択されるHBV抗原を含有しない、実施形態37~46のいずれか1つに記載のキットを含む。
【0226】
実施形態48は、第1の天然に存在しない核酸分子および第2の天然に存在しない核酸分子が同じベクターに存在する、実施形態37~47のいずれか1つに記載のキットを含む。
【0227】
実施形態49は、ベクターが、HBVポリメラーゼ抗原および切断型HBVコア抗原を2つの個別のタンパク質としてコードする、実施形態48に記載のキットを含む。
【0228】
実施形態50は、ベクターが、HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原を含む融合タンパク質をコードする、実施形態49に記載のキットを含む。
【0229】
実施形態51は、融合タンパク質が、リンカーを介してHBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原を含む、実施形態50に記載のキットを含む。
【0230】
実施形態52は、リンカーが、アミノ酸配列(AlaGly)nを含み、nが2~5の整数であり、好ましくはリンカーが配列番号22を含むポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態51に記載のキットを含む。
【0231】
実施形態53は、融合タンパク質が配列番号20のアミノ酸配列を含む、実施形態52に記載のキットを含む。
【0232】
実施形態54は、融合タンパク質がシグナル配列をさらに含み、好ましくはシグナル配列が、配列番号6または配列番号19のアミノ酸配列を有し、より好ましくはシグナル配列が、配列番号5または配列番号18のポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態53に記載のキットを含む。
【0233】
実施形態55は、融合タンパク質が配列番号21のアミノ酸配列を含む、実施形態54に記載のキットを含む。
【0234】
実施形態56は、ベクターが、5’末端から3’末端に、プロモーター配列、エンハンサー配列、シグナルペプチドコード配列、第2のポリヌクレオチド配列、リンカーコード配列、第1のポリヌクレオチド配列、およびポリアデニル化シグナル配列を含有する、実施形態48~55のいずれか1つに記載のキットを含む。
【0235】
実施形態57は、ベクターが、アデノウイルスベクター、好ましくはAd26またはAd35ベクターである、実施形態56に記載のキットを含む。
【0236】
実施形態58は、アデノウイルスベクターが、配列番号17のポリヌクレオチド配列を含むプロモーター配列、配列番号23のポリヌクレオチド配列を含む調節配列、配列番号18のポリヌクレオチド配列を含むシグナルペプチドコード配列、配列番号15のポリヌクレオチド配列を含む第2のポリヌクレオチド配列、配列番号22のポリヌクレオチド配列を含むリンカーコード配列、配列番号16のポリヌクレオチド配列を含む第1のポリヌクレオチド配列、および配列番号24のポリヌクレオチド配列を含むポリアデニル化シグナル配列を含有する、実施形態57に記載のキットを含む。
【0237】
実施形態59は、キットが、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、HBVエンベロープ(Env)抗原、およびHBV Lタンパク質抗原からなる群から選択されるHBV抗原をコードする核酸分子、またはB型肝炎表面抗原(HBsAg)、HBVエンベロープ(Env)抗原、およびHBV Lタンパク質抗原からなる群から選択されるHBV抗原を含有しない、実施形態58に記載のキットを含む。
【0238】
実施形態60は、第1の天然に存在しない核酸分子および第2の天然に存在しない核酸分子が2つの異なるベクターに存在する、実施形態37~59のいずれか1つに記載のキットを含む。
【0239】
実施形態61は、第1の天然に存在しない核酸分子が第1のプラスミドDNAベクターに存在し、および第2の天然に存在しない核酸分子が第2のプラスミドDNAベクターに存在する、実施形態60に記載のキットを含む。
【0240】
実施形態62は、第1および第2のプラスミドDNAベクターの各々が、複製開始点、抗生物質耐性遺伝子、および5’末端から3’末端に、プロモーター配列、調節配列、シグナルペプチドコード配列、第1のポリヌクレオチド配列または第2のポリヌクレオチド配列、およびポリアデニル化シグナル配列を含む、実施形態61に記載のキットを含む。
【0241】
実施形態63は、抗生物質耐性遺伝子が、配列番号12と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号12と100%同一であるポリヌクレオチド配列を有するカナマイシン耐性遺伝子である、実施形態62に記載のキットを含む。
【0242】
実施形態64は:
キットが、
(a)3’末端から5’末端に、配列番号7のポリヌクレオチド配列を含むプロモーター配列、配列番号8のポリヌクレオチド配列を含む調節配列、配列番号5のポリヌクレオチド配列を含むシグナルペプチドコード配列、配列番号3のポリヌクレオチド配列を含む第1のポリヌクレオチド配列、および配列番号11のポリヌクレオチド配列を含むポリアデニル化シグナル配列を含む、第1のプラスミドDNAベクター;
(b)3’末端から5’末端に、配列番号7のポリヌクレオチド配列を含むプロモーター配列、配列番号8のポリヌクレオチド配列を含む調節配列、配列番号5のポリヌクレオチド配列を含むシグナルペプチドコード配列、配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む第2のポリヌクレオチド配列、および配列番号11のポリヌクレオチド配列を含むポリアデニル化シグナル配列を含む、第2のプラスミドDNAベクター;ならびに
(c)薬学的に許容可能な担体、
を含み、
第1のプラスミドDNAベクターおよび第2のプラスミドDNAベクターの各々が、配列番号12のポリヌクレオチド配列を有するカナマイシン耐性遺伝子、および配列番号10のポリヌクレオチド配列を有する複製開始点をさらに含み、ならびに
第1のプラスミドDNAベクターおよび第2のプラスミドDNAベクターが同じ組成物または2つの異なる組成物に存在する、
実施形態63に記載のキットを含む。
【0243】
実施形態65は、第1の天然に存在しない核酸分子が第1のアデノウイルスベクター、好ましくはAd26ベクターに存在し、および第2の天然に存在しない核酸分子が第2のアデノウイルスベクター、好ましくはAd26ベクターに存在する、実施形態60に記載のキットを含む。
【0244】
実施形態66は、第1および第2のアデノウイルスベクターの各々が、5’末端から3’末端に、プロモーター配列、調節配列、シグナルペプチドコード配列、第1のポリヌクレオチド配列または第2のポリヌクレオチド配列、およびポリアデニル化シグナル配列を含む、実施形態65に記載のキットを含む。
【0245】
実施形態67は:
キットが、
(a)3’末端から5’末端に、配列番号17のポリヌクレオチド配列を含むプロモーター配列、配列番号23のポリヌクレオチド配列を含む調節配列、配列番号17のポリヌクレオチド配列を含むシグナルペプチドコード配列、配列番号15のポリヌクレオチド配列を含む第1のポリヌクレオチド配列、および配列番号24のポリヌクレオチド配列を含むポリアデニル化シグナル配列を含む、第1のAd26ベクター;
(b)3’末端から5’末端に、配列番号17のポリヌクレオチド配列を含むプロモーター配列、配列番号23のポリヌクレオチド配列を含む調節配列、配列番号17のポリヌクレオチド配列を含むシグナルペプチドコード配列、配列番号16のポリヌクレオチド配列を含む第2のポリヌクレオチド配列、および配列番号24のポリヌクレオチド配列を含むポリアデニル化シグナル配列を含む、第2のAd26ベクター;ならびに
(c)薬学的に許容可能な担体、
を含み、
第1のAd26ベクターおよび第2のAd26ベクターが同じ組成物または2つの異なる組成物に存在する、
実施形態66に記載のキットを含む。
【0246】
実施形態68は、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、HBVエンベロープ(Env)抗原、およびHBV Lタンパク質抗原からなる群から選択されるHBV抗原をコードする核酸分子、またはB型肝炎表面抗原(HBsAg)、HBVエンベロープ(Env)抗原、およびHBV Lタンパク質抗原からなる群から選択されるHBV抗原を含有しない、実施形態64~67のいずれか1つに記載のキットを含む。
【0247】
実施形態69は、組成物またはキットが、それを必要とする対象におけるB型肝炎ウイルス(HBV)に対する免疫応答の誘導に使用するためのものであり、好ましくは、対象は慢性HBV感染症を有する、実施形態34~36のいずれか1つに記載の組成物または実施形態37~68のいずれか1つに記載のキットを含む。
【0248】
実施形態70は、それを必要とする対象におけるB型肝炎ウイルス(HBV)に対する免疫応答の誘導に使用するための、別の免疫原性剤、好ましくは別のHBV抗原と、実施形態34~36のいずれか1つに記載の組成物または実施形態37~68のいずれか1つに記載のキットとの組合せであって、好ましくは、対象は慢性HBV感染症を有する、組合せを含む。
【0249】
実施形態71は、組成物またはキットが、それを必要とする対象におけるB型肝炎ウイルス(HBV)誘導疾患の処置に使用するためのものであり、好ましくは、対象は慢性HBV感染症を有し、HBV誘導疾患は、進行線維症、肝硬変、および肝細胞癌(HCC)からなる群から選択される、実施形態34~36のいずれか1つに記載の組成物または実施形態37~68のいずれか1つに記載のキットを含む。
【0250】
実施形態72はそれを必要とする対象におけるB型肝炎ウイルス(HBV)誘導疾患の処置に使用するための、別の治療剤、好ましくは別の抗HBV剤と、実施形態34~36のいずれか1つに記載の組成物または実施形態37~68のいずれか1つに記載のキットとの組合せであって、好ましくは、対象は慢性HBV感染症を有し、HBV誘導疾患は、進行線維症、肝硬変、および肝細胞癌(HCC)からなる群から選択される、組合せを含む。
【0251】
実施形態第2節
実施形態1は、配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含む天然に存在しない核酸分子であって、HBVポリメラーゼ抗原が逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない、天然に存在しない核酸分子を含む。
【0252】
実施形態2は、HBVポリメラーゼ抗原が、哺乳動物において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能であり、好ましくはHBVポリメラーゼ抗原が、哺乳動物において少なくともHBV遺伝子型B、CおよびDに対するT細胞応答を誘導することが可能であり、およびより好ましくはHBVポリメラーゼ抗原が、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、CおよびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である、実施形態1に記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0253】
実施形態3は、HBVポリメラーゼ抗原が、配列番号4のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0254】
実施形態4は、HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結されたシグナル配列をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0255】
実施形態5は、シグナル配列が、配列番号6または配列番号19のアミノ酸配列を含み、好ましくはシグナル配列が、配列番号5または配列番号18のポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態4に記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0256】
実施形態6は、第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号3または配列番号16と少なくとも90%同一である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0257】
実施形態7は、第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号3または配列番号16のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態6に記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0258】
実施形態8は、配列番号2または配列番号14のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0259】
実施形態9は、第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号1または配列番号15と少なくとも90%同一である、実施形態8に記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0260】
実施形態10は、第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号1または配列番号15のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態9に記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0261】
実施形態11は、HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原を含む融合タンパク質をコードする、実施形態8~10のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0262】
実施形態12は、融合タンパク質が、リンカーを介してHBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原を含む、実施形態11に記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0263】
実施形態13は、リンカーがアミノ酸配列(AlaGly)nを含み、nが2~5の整数であり、好ましくはリンカーが、配列番号22を含むポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態12に記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0264】
実施形態14は、融合タンパク質が配列番号20のアミノ酸配列を含む、実施形態13に記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0265】
実施形態15は、融合タンパク質がシグナル配列をさらに含み、好ましくはシグナル配列が、配列番号6または配列番号19のアミノ酸配列を含み、より好ましくはシグナル配列が、配列番号5または配列番号18のポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態11~14のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0266】
実施形態16は、天然に存在しない核酸分子が、プロモーター配列、任意選択で1つまたは複数の追加の調節配列をさらに含み、好ましくは、プロモーター配列は、配列番号7または配列番号17のポリヌクレオチド配列を含み、および追加の調節配列は、配列番号8または配列番号23からなる群から選択され、およびポリアデニル化シグナル配列は、配列番号11または配列番号24からなる群から選択される実施形態1~15のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0267】
実施形態17は、天然に存在しない核酸分子が、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、HBVエンベロープ(Env)抗原、およびHBV Lタンパク質抗原からなる群から選択されるHBV抗原をコードしない、実施形態1~16のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子を含む。
【0268】
実施形態18は、実施形態1~17のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子を含むベクターを含む。
【0269】
実施形態19は、天然に存在しない核酸分子が、5’末端から3’末端に、プロモーター配列、エンハンサー配列、シグナルペプチドコード配列、第1のポリヌクレオチド配列、およびポリアデニル化シグナル配列を含み、任意選択で天然に存在しない核酸分子が第2のポリヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態18に記載のベクターを含む。
【0270】
実施形態20は、ベクターがプラスミドDNAベクターであり、プラスミドDNAベクターが複製開始点および抗生物質耐性遺伝子をさらに含む、実施形態18または19に記載のベクターを含む。
【0271】
実施形態21は、プラスミドDNAベクターが、配列番号10のポリヌクレオチド配列を含む複製開始点、配列番号12のポリヌクレオチド配列を含む抗生物質耐性遺伝子、配列番号7のポリヌクレオチド配列を含むプロモーター配列、配列番号8のポリヌクレオチド配列を含むエンハンサー配列、配列番号5のポリヌクレオチド配列を含むシグナルペプチドコード配列、配列番号3のポリヌクレオチド配列を含む第1のポリヌクレオチド配列、および配列番号11のポリヌクレオチド配列を含むポリアデニル化シグナル配列、ならびに任意選択で配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む第2のポリヌクレオチド配列を含有する、実施形態20に記載のベクターを含む。
【0272】
実施形態22は、ベクターがアデノウイルスベクター、好ましくはAd26またはAd35ベクターである、実施形態18または19に記載のベクターを含む。
【0273】
実施形態23は、アデノウイルスベクターが、配列番号17のポリヌクレオチド配列を含むプロモーター配列、配列番号23のポリヌクレオチド配列を含む調節配列、配列番号18のポリヌクレオチド配列を含むシグナルペプチドコード配列、配列番号15のポリヌクレオチド配列を含む第2のポリヌクレオチド配列、配列番号22のポリヌクレオチド配列を含むリンカーコード配列、配列番号16のポリヌクレオチド配列を含む第1のポリヌクレオチド配列、および配列番号24のポリヌクレオチド配列を含むポリアデニル化シグナル配列を含有する、実施形態22に記載のベクターを含む。
【0274】
実施形態24は、実施形態1~17のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子によってコードされる、天然に存在しないポリペプチドを含む。
【0275】
実施形態25は、実施形態1~17のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子または実施形態18~23のいずれか1つに記載のベクターを含む宿主細胞を含む。
【0276】
実施形態26は、実施形態1~17のいずれか1つに記載の天然に存在しない核酸分子、実施形態18~23のいずれか1つに記載のベクター、または実施形態24に記載の天然に存在しないポリペプチド、および薬学的に許容可能な担体を含む組成物を含む。
【0277】
実施形態27は、組成物が、実施形態1~7のいずれか1つに記載の第1のポリヌクレオチド、実施形態8~10のいずれか1つに記載の第2のポリヌクレオチド、および薬学的に許容可能な担体を含み、第1および第2のポリヌクレオチドが同じ核酸分子または同じ核酸ベクターに含まれない、実施形態26に記載の組成物を含む。
【0278】
実施形態28は:
(a)配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有するHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチドを含む第1の天然に存在しない核酸分子であって、HBVポリメラーゼ抗原が逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない、第1の天然に存在しない核酸分子;
(b)配列番号2または配列番号14のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチド配列を含む第2の天然に存在しない核酸分子;および
(c)薬学的に許容可能な担体、
を含むキットであって、
第1の天然に存在しない核酸分子および第2の天然に存在しない核酸分子が、同じ天然に存在しない核酸分子または2つの異なる天然に存在しない核酸分子に存在する、
キットを含む。
【0279】
実施形態29は、HBVポリメラーゼ抗原が、哺乳動物において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能であり、好ましくはHBVポリメラーゼ抗原が、哺乳動物において少なくともHBV遺伝子型B、CおよびDに対するT細胞応答を誘導することが可能であり、およびより好ましくはHBVポリメラーゼ抗原が、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、CおよびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である、実施形態28に記載のキットを含む。
【0280】
実施形態30は、HBVポリメラーゼ抗原が配列番号4のアミノ酸配列を含む、実施形態29に記載のキットを含む。
【0281】
実施形態31は、第1の天然に存在しない核酸分子および第2の天然に存在しない核酸分子の少なくとも1つが、HBVポリメラーゼ抗原および切断型HBVコア抗原の少なくとも1つに作動可能に連結されたシグナル配列をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態28~30のいずれか1つに記載のキットを含む。
【0282】
実施形態32は、シグナル配列が、独立して配列番号6または配列番号19のアミノ酸配列を含み、好ましくはシグナル配列が、独立して配列番号5または配列番号18のポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態31に記載のキットを含む。
【0283】
実施形態33は、第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号3または配列番号16と少なくとも90%同一である、実施形態28~32のいずれか1つに記載のキットを含む。
【0284】
実施形態34は、第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号3または配列番号16のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態33に記載のキットを含む。
【0285】
実施形態35は、第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号1または配列番号15と少なくとも90%同一である、実施形態28~34のいずれか1つに記載のキットを含む。
【0286】
実施形態36は、第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号1または配列番号15のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態35に記載のキットを含む。
【0287】
実施形態37は、第1の天然に存在しない核酸分子および第2の天然に存在しない核酸分子の少なくとも1つが、プロモーター配列、任意選択でエンハンサー配列、およびさらに任意選択でポリアデニル化シグナル配列をさらに含み、好ましくは、プロモーター配列は、配列番号7または配列番号17のポリヌクレオチド配列を有し、エンハンサー配列は、独立して配列番号8または配列番号23のポリヌクレオチド配列を有し、およびポリアデニル化シグナル配列は、独立して配列番号11または配列番号24のポリヌクレオチド配列を有する、実施形態28~36のいずれか1つに記載のキットを含む。
【0288】
実施形態38は、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、HBVエンベロープ(Env)抗原、およびHBV Lタンパク質抗原からなる群から選択されるHBV抗原をコードする核酸分子、またはB型肝炎表面抗原(HBsAg)、HBVエンベロープ(Env)抗原、およびHBV Lタンパク質抗原からなる群から選択されるHBV抗原を含有しない、実施形態28~37のいずれか1つに記載のキットを含む。
【0289】
実施形態39は、第1の天然に存在しない核酸分子および第2の天然に存在しない核酸分子が同じベクターに存在する、実施形態28~38のいずれか1つに記載のキットを含む。
【0290】
実施形態40は、ベクターが、HBVポリメラーゼ抗原および切断型HBVコア抗原を2つの個別のタンパク質としてコードする、実施形態39に記載のキットを含む。
【0291】
実施形態41は、ベクターが、HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原を含む融合タンパク質をコードする、実施形態39に記載のキットを含む。
【0292】
実施形態42は、融合タンパク質が、リンカーを介してHBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原を含む、実施形態41に記載のキットを含む。
【0293】
実施形態43は、リンカーがアミノ酸配列(AlaGly)nを含み、nが2~5の整数であり、好ましくはリンカーが配列番号22を含むポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態42に記載のキットを含む。
【0294】
実施形態44は、融合タンパク質が、配列番号20のアミノ酸配列を含む、実施形態43に記載のキットを含む。
【0295】
実施形態45は、融合タンパク質が、シグナル配列をさらに含み、好ましくはシグナル配列が、配列番号6または配列番号19のアミノ酸配列を有し、より好ましくはシグナル配列が、配列番号5または配列番号18のポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態44に記載のキットを含む。
【0296】
実施形態46は、融合タンパク質が配列番号21のアミノ酸配列を含む、実施形態45に記載のキットを含む。
【0297】
実施形態47は、ベクターが、5’末端から3’末端に、プロモーター配列、エンハンサー配列、シグナルペプチドコード配列、第2のポリヌクレオチド配列、リンカーコード配列、第1のポリヌクレオチド配列、およびポリアデニル化シグナル配列を含有する、実施形態41~46のいずれか1つに記載のキットを含む。
【0298】
実施形態48は、ベクターがアデノウイルスベクター、好ましくはAd26またはAd35ベクターである、実施形態47に記載のキットを含む。
【0299】
実施形態49は、アデノウイルスベクターが、配列番号17のポリヌクレオチド配列を含むプロモーター配列、配列番号23のポリヌクレオチド配列を含む調節配列、配列番号18のポリヌクレオチド配列を含むシグナルペプチドコード配列、配列番号15のポリヌクレオチド配列を含む第2のポリヌクレオチド配列、配列番号22のポリヌクレオチド配列を含むリンカーコード配列、配列番号16のポリヌクレオチド配列を含む第1のポリヌクレオチド配列、および配列番号24のポリヌクレオチド配列を含むポリアデニル化シグナル配列を含有する、実施形態48に記載のキットを含む。
【0300】
実施形態50は、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、HBVエンベロープ(Env)抗原、およびHBV Lタンパク質抗原からなる群から選択されるHBV抗原をコードする核酸分子、またはB型肝炎表面抗原(HBsAg)、HBVエンベロープ(Env)抗原、およびHBV Lタンパク質抗原からなる群から選択されるHBV抗原を含有しない、実施形態49に記載のキットを含む。
【0301】
実施形態51は、第1の天然に存在しない核酸分子および第2の天然に存在しない核酸分子が2つの異なるベクターに存在する、実施形態28~38のいずれか1つに記載のキットを含む。
【0302】
実施形態52は、第1の天然に存在しない核酸分子が第1のプラスミドDNAベクターに存在し、および第2の天然に存在しない核酸分子が第2のプラスミドDNAベクターに存在する、実施形態51に記載のキットを含む。
【0303】
実施形態53は、第1および第2のプラスミドDNAベクターの各々が、複製開始点、抗生物質耐性遺伝子、および5’末端から3’末端に、プロモーター配列、調節配列、シグナルペプチドコード配列、第1のポリヌクレオチド配列または第2のポリヌクレオチド配列、およびポリアデニル化シグナル配列を含む、実施形態52に記載のキットを含む。
【0304】
実施形態54は、抗生物質耐性遺伝子が、配列番号12と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号12と100%同一であるポリヌクレオチド配列を有するカナマイシン耐性遺伝子である、実施形態53に記載のキットを含む。
【0305】
実施形態55は:
キットが、
(a)3’末端から5’末端に、配列番号7のポリヌクレオチド配列を含むプロモーター配列、配列番号8のポリヌクレオチド配列を含む調節配列、配列番号5のポリヌクレオチド配列を含むシグナルペプチドコード配列、配列番号3のポリヌクレオチド配列を含む第1のポリヌクレオチド配列、および配列番号11のポリヌクレオチド配列を含むポリアデニル化シグナル配列を含む、第1のプラスミドDNAベクター;
(b)3’末端から5’末端に、配列番号7のポリヌクレオチド配列を含むプロモーター配列、配列番号8のポリヌクレオチド配列を含む調節配列、配列番号5のポリヌクレオチド配列を含むシグナルペプチドコード配列、配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む第2のポリヌクレオチド配列、および配列番号11のポリヌクレオチド配列を含むポリアデニル化シグナル配列を含む、第2のプラスミドDNAベクター;ならびに
(c)薬学的に許容可能な担体、
を含み、
第1のプラスミドDNAベクターおよび第2のプラスミドDNAベクターの各々が、配列番号12のポリヌクレオチド配列を有するカナマイシン耐性遺伝子、および配列番号10のポリヌクレオチド配列を有する複製開始点をさらに含み、ならびに
第1のプラスミドDNAベクターおよび第2のプラスミドDNAベクターが同じ組成物または2つの異なる組成物に存在する、
実施形態54に記載のキットを含む。
【0306】
実施形態56は、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、HBVエンベロープ(Env)抗原、およびHBV Lタンパク質抗原からなる群から選択されるHBV抗原をコードする核酸分子、またはB型肝炎表面抗原(HBsAg)、HBVエンベロープ(Env)抗原、およびHBV Lタンパク質抗原からなる群から選択されるHBV抗原を含有しない、実施形態55に記載のキットを含む。
【0307】
実施形態57は、組成物またはキットが、それを必要とする対象におけるB型肝炎ウイルス(HBV)に対する免疫応答の誘導に使用するためのものであり、好ましくは、対象は慢性HBV感染症を有する、実施形態26に記載の組成物または実施形態27~55のいずれか1つに記載のキットを含む。
【0308】
実施形態58は、それを必要とする対象におけるB型肝炎ウイルス(HBV)に対する免疫応答の誘導に使用するための、別の免疫原性剤、好ましくは別のHBV抗原と、実施形態26に記載の組成物または実施形態27~55のいずれか1つに記載のキットとの組合せであって、好ましくは、対象は慢性HBV感染症を有する、組合せを含む。
【0309】
実施形態59は、組成物またはキットが、それを必要とする対象におけるB型肝炎ウイルス(HBV)誘導疾患の処置に使用するためのものであり、好ましくは、対象は慢性HBV感染症を有し、HBV誘導疾患は、進行線維症、肝硬変、および肝細胞癌(HCC)からなる群から選択される、実施形態26もしくは27に記載の組成物または実施形態28~56のいずれか1つに記載のキットを含む。
【0310】
実施形態60は、それを必要とする対象におけるB型肝炎ウイルス(HBV)誘導疾患の処置に使用するための、別の治療剤、好ましくは別の抗HBV剤と、実施形態26もしくは27に記載の組成物または実施形態28~56のいずれか1つに記載のキットとの組合せであって、好ましくは、対象は慢性HBV感染症を有し、HBV誘導疾患は、進行線維症、肝硬変、および肝細胞癌(HCC)からなる群から選択される、組合せを含む。
【実施例】
【0311】
本出願の以下の実施例は、本出願の性質をさらに例証するためである。以下の実施例は本出願を限定せず、本出願の範囲は添付の特許請求の範囲によって決定されると理解すべきである。
【0312】
[実施例1]
HBVコアおよびPol抗原配列の生成ならびにプラスミドの最適化
肝炎コアタンパク質上のT細胞エピトープは、B型肝炎感染症の排除にとって重要であると考えられており、B型肝炎ウイルスタンパク質、例えばポリメラーゼは、応答の幅を改善するために役目を果たし得る。このため、B型肝炎コアおよびポリメラーゼタンパク質を、治療用B型肝炎ウイルス(HBV)ワクチンの設計のための抗原として選択した。
【0313】
HBVコアおよびポリメラーゼ抗原コンセンサス配列の誘導
HBV polおよびコア抗原コンセンサス配列を、HBV遺伝子型B、C、およびDに基づいて生成した。異なるHBV配列を異なる起源から得て、コアおよびポリメラーゼタンパク質に関して個別に整列させた。全てのサブタイプ(A~H)に関する当初の配列アライメントを、次にHBV遺伝子型B、C、およびDに限定した。コンセンサス配列を、各サブタイプにおいて個別におよび全ての合同BCD配列において各々のタンパク質アライメントに関して定義した。多様なアライメント位置において、最も頻繁なアミノ酸をコンセンサス配列に使用した。
【0314】
HBVコア抗原の最適化
HBVコア抗原コンセンサス配列を、ネイティブウイルスタンパク質の欠失によって最適化した。特に、プレゲノムRNAキャプシド形成にとって必要であるC末端の高度に正に帯電した分節に対応する34アミノ酸の欠失を作製した。
【0315】
HBV Pol抗原の最適化
HBV pol抗原コンセンサス配列を、逆転写酵素およびRNアーゼH酵素活性を除去するために4つの残基を変化させることによって最適化した。特に、任意の配位機能、およびこのようにヌクレオチド/金属イオン結合を排除するために、逆転写酵素ドメインの「YXDD」モチーフにおけるアスパラギン酸塩残基(D)をアスパラギン残基(N)に変化させた。加えて、Mg2+配位を排除するために、RNアーゼHドメインの「DEDD」モチーフにおける第1のアスパラギン酸塩残基(D)をアスパラギン残基(N)に変化させ、第1のグルタミン酸塩残基(E)をグルタミン残基(A)に変化させた。加えて、HBV pol抗原の配列をコドン最適化して、Sタンパク質およびN末端伸長部pre-S1およびpre-S2を有するSタンパク質の変化型を含むエンベロープタンパク質の内部オープンリーディングフレームを組み換えた。その結果、エンベロープタンパク質(pre-S1、pre-S2、およびSタンパク質)およびXタンパク質のオープンリーディングフレームが除去された。
【0316】
HBVコアおよびPol抗原発現戦略の最適化
プラスミドベクターからのコアおよびpol抗原の両方の最大の等しい発現を得るために、以下の3つの異なる戦略を試験した:(1)単一のコア-Pol融合タンパク質を産生するために、コード配列間に挿入した小さいAGAGとインフレームでのHBVコアおよびpol抗原の融合(
図2A);(2)単一のmRNAからコアおよびpolタンパク質を個々に発現するバイシストロニック発現ベクターを産生するための、リボソーム翻訳スリップ部位、特に手足口病(FMDV)からのFA2翻訳スリップ部位による1つのプラスミドからのコアおよびpol抗原の両方の発現(
図2B)、ならびに(3)HBVコアおよびpol抗原をそれぞれコードする2つの個別のプラスミド(
図2C)。
【0317】
In vitro発現解析
上記の3つの発現戦略の各々に従うコンセンサスHBVコアおよびpol抗原のコード配列を、市販の発現プラスミドpcDNA3.1にクローニングした。HEK-293T細胞にベクターをトランスフェクトし、HBVコア特異的抗原を使用して、タンパク質発現をウェスタンブロットによって評価した。
【0318】
転写後調節エレメントの最適化
以下の4つの異なる転写後調節エレメントを、一次転写物を安定化させること、その核輸出を容易にすること、および/または転写-翻訳カップリングを改善することによるタンパク質発現の増強に関して評価した:(1)ウッドチャックHBV転写後調節エレメント(WPRE)(GenBank:J04514.1);(2)ヒトアポリポタンパク質A1前駆体に由来するイントロン/エクソン配列(GenBank:X01038.1);(3)ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)長末端反復(LTR)の非翻訳R-U5ドメイン(GenBank:KM023768.1);および(4)HTLV-1 LTR、合成ウサギβ-グロビンイントロン(GenBank:V00882.1)、およびスプライシングエンハンサーの複合配列(トリプル複合配列)。エンハンサー配列を、プラスミドにおいてCMVプロモーターと、HBV抗原コード配列の間に導入した。WPREエレメントの存在下および非存在下でプラスミドから発現させた場合、ウェスタンブロットによってコア抗原の発現に有意差は観察されなかった(
図2D)。しかし、HEK293Tトランスフェクト細胞における他の転写後調節配列を有するプラスミドからのコア抗原発現をウェスタンブロットによって評価すると、トリプルエンハンサー配列は、最も強いコア抗原発現をもたらした(
図2E)。
【0319】
効率的なタンパク質分泌のためのシグナルペプチドの選択
以下のHBVコア抗原のN末端にインフレームで導入した3つの異なるシグナルペプチドを評価した:(1)Ig重鎖ガンマシグナルペプチドSPIgG(BAA75024.1);(2)Ig重鎖イプシロンシグナルペプチドSPIgE(AAB59424.1);および(3)シスタチンS前駆体シグナルペプチドSPCS(NP_0018901.1)。シグナルペプチド切断部位を、SignalP予測プログラムを使用してコア融合体に関してin silicoで最適化した。分泌効率を、上清中のコアタンパク質レベルを分析することによって決定した。N末端で融合した3つの異なるシグナルペプチドを使用するコア抗原分泌のウェスタンブロット分析は、シスタチンSシグナルペプチドが最も効率的なタンパク質分泌をもたらすことを証明した(
図2F)。
【0320】
DNAワクチンベクターの最適化
N末端シスタチンSシグナルペプチド配列を有するHBV抗原コード配列の上流にトリプル複合エンハンサー配列を含有する最適化発現カセットを、DNAワクチンベクターpVax-1(Life Technologies、Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)にクローニングした。pVax-1中の発現カセットは、ヒトCMV-IE プロモーターの後にウシ成長ホルモン(BGH)由来ポリアデニル化配列(pA)を含有する。細菌の繁殖は、pUC oriレプリコンによって駆動され、カナマイシン耐性遺伝子(KanR)は小さい真核細胞プロモーターによって駆動される。pUC ori複製、KanR発現カセット、およびCMV-IEプロモーターによって駆動される発現カセットは全て、プラスミド骨格内で同じ方向に存在する。しかし、pcDNA3.1ベクターにおいて観察された発現レベルと比較すると、pVax-1ベクターではコア抗原発現の顕著な低減が観察された。
【0321】
タンパク質発現を改善するために以下のいくつかの戦略を使用した:(1)pUCori-KanRカセット全体を反時計回りの方向に逆転させる(pVD-core);および(2)KanR遺伝子のコドン使用を、KanプロモーターをpcDNA3.1ベクターのAmpプロモーターに置換すると共に変化させる(pDK-core)。いずれの戦略も、コア抗原発現を回復させるが、コア抗原発現は、コドン調整したKanR遺伝子、AmpRプロモーター(KanRプロモーターの代わりに)、およびpUCori-KanRカセットの逆方向を含有するpDKベクターにおいて最も高かった。
【0322】
図2Gに示す4つの異なるHBVコア/pol抗原最適化発現カセットをpDKプラスミド骨格に導入して、
図2A~2Cに例証する3つの発現戦略の各々を試験した。プラスミドを、コアおよびpol特異的抗体を使用するウェスタンブロット分析によって、コアおよびpol発現に関してin vitroで試験した。細胞のおよび分泌されたコアおよびpol抗原に関して最も一貫した発現プロファイルは、コアおよびpol抗原が個別のベクターによってコードされる場合、すなわち個々のDNAベクターpDK-コアおよびpDK-polによって達成された(
図2H)。pDK-polおよびpDK-コアベクターの略図をそれぞれ、
図3Aおよび3Bに示す。
【0323】
[実施例2]
切断型HBVコア抗原とHBV Pol抗原との融合体を発現するアデノウイルスベクターの生成
アデノウイルスベクターの作製は、単一のオープンリーディングフレームから発現された融合タンパク質として設計されている。例えば2つの個別の発現カセットを使用する、または2つの配列を分離するために2A様配列を使用する、2つのタンパク質を発現させるための追加の構成も同様に想像することができる。
【0324】
アデノウイルスベクターの発現カセットの設計
発現カセット(
図8Aおよび
図8Bに図示する)は、CMVプロモーター(配列番号17)、イントロン(配列番号23)(ヒトApoAI遺伝子に由来する断片、GenBank受託番号X01038、塩基対295~523、ApoAIの第2のイントロンを有する)、後に続く最適化コード配列-ヒト免疫グロブリン分泌シグナルコード配列(配列番号18)の後に続くコア単独またはコアとポリメラーゼとの融合タンパク質、その後に続くSV40ポリアデニル化シグナル(配列番号24)で構成される。
【0325】
分泌シグナルは、過去の実験により、誘発されるT細胞応答に影響を及ぼすことなく(マウスの実験)、分泌されるトランスジーンを有する一部のアデノウイルスベクターの製造性が改善することが示されたことから含めた。
【0326】
コアタンパク質の最後の2つの残基(VV)およびポリメラーゼタンパク質の最初の2つの残基(MP)を融合すると、隣接する相同配列と共にヒトドーパミン受容体タンパク質(D3アイソフォーム)上に存在する接合配列(VVMP)をもたらす。
【0327】
コア配列とポリメラーゼ配列との間にAGAGリンカーを挿入すると、この相同性が排除され、ヒトプロテオームのBlastにおいてさらなるヒットなしに戻った。
【0328】
[実施例3]
マウスにおけるDNAワクチンのin vivo免疫原性試験
HBVコア抗原またはHBVポリメラーゼ抗原をコードするDNAプラスミドを含有する免疫治療用DNAワクチンを、マウスにおいて試験した。試験の目的を、BALB/cマウスへの電気穿孔を介した筋肉内送達後にワクチンによって誘導されたT細胞応答を検出するように設計した。最初の免疫原性試験は、導入されたHBV抗原によって誘発される細胞性免疫応答を決定することに集中した。
【0329】
特に、試験したプラスミドは、
図3Aおよび3Bにそれぞれ示すように、および上記の実施例1で説明したように、pDK-PolプラスミドおよびpDK-コアプラスミドを含んだ。pDK-Polプラスミドは、配列番号4のアミノ酸配列を有するポリメラーゼ抗原をコードし、pDK-コアプラスミドは、配列番号2のアミノ酸配列を有するコア抗原をコードした。第1に、各々のプラスミドによって個々に誘導されたT細胞応答を試験した。DNAプラスミド(pDNA)ワクチンを、マウス前脛骨筋モデルに適用するために適合させた市販のTriGrid(商標)送達システム-筋肉内(TDS-IM)を使用して、電気穿孔を介してBALB/cマウスに筋肉内送達した。電気穿孔によるDNAのマウスへの筋肉内送達の方法およびデバイスに関する追加の説明に関しては、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている、国際特許出願国際公開2017172838号明細書、および本出願と同日に代理人文書番号688097-405U1として提出された「Method and Apparatus for the Delivery of Hepatitis B Virus (HBV) Vaccine」と題する米国特許出願を参照されたい。特に、電極間に2.5mmの間隔を空けて、電極直径が0.030インチである電極アレイを有するTDS-IM v1.0デバイスのTDS-IMアレイを、導体の長さが3.2mm、有効な貫通深度が3.2mmであり、電極の菱形構成の主軸が筋繊維と平行な方向を向くように、選択した筋肉内に経皮挿入した。電極の挿入後、注射を開始してDNA(例えば、0.020ml)を筋肉内に分布させた。IM注射の完了後、250V/cm電場(印加電圧59.4~65.6V、印加電流の限界4A未満、0.16A/秒)を、全期間約400msの間、10%デューティ比(すなわち、電圧を、約400msの期間のうち全体で約40msの間、積極的に印加する)で全6パルスを局所に印加する。電気穿孔手順の終了後、TriGrid(商標)アレイを除去し、動物を回復させた。BALB/cマウスへの高用量(20μg)投与を、表1に要約するように実施した。マウス6匹に、HBVコア抗原をコードするプラスミドDNA(pDK-コア;群1)を投与し、マウス6匹に、HBV pol抗原をコードするプラスミドDNA(pDK-pol;群2)を投与し、およびマウス2匹に陰性対照として空のベクターを投与した。動物に、2週間空けて2回のDNA免疫を行い、最後の免疫の1週間後に脾細胞を収集した。
【0330】
【0331】
IFN-γ酵素結合イムノスポット(ELISPOT)によって抗原特異的応答を分析および定量した。このアッセイにおいて、免疫した動物の単離された脾細胞を、コアタンパク質、Polタンパク質、または小さいペプチドリーダーおよび接合配列(各ペプチド2μg/ml)を含むペプチドプールと共に一晩インキュベートした。これらのプールは、コアおよびPolワクチンベクターの遺伝子型BCDコンセンサス配列にマッチする11残基が重複する15量体ペプチドからなった。大きい94kDa HBV Polタンパク質を中央で2つのペプチドプールに分割した、抗原特異的T細胞を相同なペプチドプールによって刺激し、IFN-γ陽性T細胞を、ELISPOTアッセイを使用して評価した。単一の抗原特異的T細胞によるIFN-γの放出を、適切な抗体によって、およびスポット形成細胞(SFC)と呼ばれるマイクロプレート上での着色スポットとしてその後の色素産生の検出によって可視化した。
【0332】
DNAワクチンプラスミドpDK-コア(群1)によって免疫したマウスでは、HBVコアに対する実質的なT細胞応答が達成され、1,000SFC/細胞10
6個(
図4)に達した。Pol 1ペプチドプールに対するPol T細胞応答は強力であった(~1,000SFC/細胞10
6個)。弱いPol-2指向性抗Pol細胞応答は、おそらく、マウスにおける限定的なMHC多様性が原因であった。これは、1つの抗原からの異なるエピトープの認識が同等でないこととして定義されるT細胞イムノドミナンスと呼ばれる現象である。この試験において得られた結果を確認する確認試験を実施した(データは示していない)。
【0333】
上記の結果は、HBV抗原をコードするDNAプラスミドワクチンによるワクチン接種が、投与したHBV抗原に対する細胞性免疫応答を誘導することを証明する。
【0334】
[実施例4]
マウスにおけるpDKコア/pDK-Pol組合せプラスミドの用量設定試験
組合せプラスミドによるこの用量設定試験の目的は、異なるDNA用量を使用して1つの部位に適用されたHBVコアおよびpol抗原をコードするDNAプラスミド(pDNA)ベクターの混合物の、マウスにおける免疫応答を評価することであった。この試験において、実施例1に記載の2つのプラスミド、すなわちpDK-polおよびpDK-コアプラスミドの1:1(重量/体積)混合物を含有する免疫治療用DNAワクチンを、マウスにおいて試験した。DNAワクチンをBALB/cマウスの1つの解剖学的部位に、上記の実施例3に記載の電気穿孔を介して筋肉内に送達した。組み合わせたコアおよびPol発現プラスミドの、10μg、1μg、および0.1μgの各プラスミドDNA/部位でのワクチン接種を、表2に要約するように実施した。各群においてマウス8匹を試験し、マウス2匹に陰性対照として空のベクターを投与した。動物に3週間空けて2回のDNA免疫を行い、最後の免疫の1週間後に脾細胞を収集した。
【0335】
【0336】
抗原特異的応答を、実施例1に記載するようにIFN-γ酵素結合イムノスポット(ELISPOT)によって分析および定量した。コアおよびPolに対する相当なT細胞応答が、プラスミドpDK-コアおよびpDK-Polからなる組合せDNAワクチンによって免疫したBALB/cマウスにおいて達成された(
図5)。各プラスミド10μgによって免疫した群1と、各プラスミド1μgのみによって免疫した群2との間で免疫応答の程度に関して統計学的な差はなかった。この結果は、T細胞応答が、およそ1μgのコアおよびPol抗原発現プラスミドで最高レベルに達することを示唆した。しかし、10倍低いDNA暴露、すなわち各プラスミド0.1μgでは、SFCの有意な減少が観察された。Pol 1ペプチドプールに対するPol T細胞応答が支配的であった。弱いPol 2指向性抗Pol細胞応答は、おそらく、近交系マウスにおける限定的なMHC多様性が原因であった。これは、1つの抗原からの異なるエピトープの認識が同等でないこととして定義されるT細胞イムノドミナンスと呼ばれる現象である。
【0337】
上記の結果は、HBVコアおよびpol抗原を発現するDNAプラスミドの組合せによって免疫したマウスにおいて、相当なT細胞応答が各プラスミド1μgの用量で見出され、一部の免疫応答は、用量0.1μg/プラスミドでもなお観察されたことを証明する。
【0338】
[実施例5]
マウスにおける免疫干渉試験
現実的な理由から、組合せHBVコアおよびpol抗原DNAワクチンを、組合せ(混合)ベクター製剤として開発することが望ましいであろう。しかし、イムノドミナンスは、多価ワクチンについて起こり得て、サブドミナント抗原に対する免疫応答が鈍化し得る。したがって、異なる解剖学的部位におけるいずれかのベクターの免疫と比較した場合の、共に混合した2つの抗原発現プラスミドの組合せの投与による免疫干渉、すなわちコアおよび/またはPol特異的細胞応答の減少を評価した。
【0339】
Balb/cマウスに、pDK-コアおよび/またはpDK-pol DNAプラスミドを、実施例3に記載するように電気穿孔を介して筋肉内にワクチン接種した。DNAプラスミド(pDNA)を、表3に要約するように、5μg/部位の用量で個別に適用して、1つの部位で組み合わせるか(混合して)、または別の部位で組み合わせて投与した。動物に、3週間空けて2回のDNA免疫を行い、最後の免疫の1週間後に脾細胞を収集した。
【0340】
【0341】
抗原特異的応答を、実施例1に記載するようにIFN-γ酵素結合イムノスポット(ELISPOT)によって分析および定量した。強いコアおよびPol特異的抗原応答が、この実験においてBALB/cマウスにおいて確認された(
図6)。両方のプラスミドを混合して同じ部位に適用した群3、ならびにコアおよびpol抗原を発現するpDNAを2つの異なる部位に個々に電気穿孔した群4に関して得られたT細胞応答が実質的に同一であったことに基づき、有意な免疫干渉は観察されなかった。群1の動物1匹は、低い異常なPol-2プール指向性応答を示した。同じ実験をC57/Bl6マウスにおいて繰り返し、同等の結果を得た。
【0342】
上記の結果は、2つのHBV抗原-発現プラスミドpDK-コアおよびpDK-Polを組み合わせた場合、実質的に免疫干渉が観察されなかったことを証明する。
【0343】
[実施例6]
非ヒト霊長類におけるDNAワクチンの有効性の評価
本試験の目的は、電気穿孔によって筋肉内に送達した治療用HBV DNAワクチンの有効性を評価すること、およびカニクイザル(Macaca fascicularis)におけるHBV特異的T細胞応答/細胞活性化を誘導および測定することであった。
【0344】
ワクチン
本試験で使用したワクチンは、HBVコア抗原およびHBVポリメラーゼ抗原をそれぞれコードする2つの個別のDNAプラスミドの組合せであった。特に、DNAプラスミドは、
図3Aおよび3Bにそれぞれ示すように、および実施例1に記載するように、pDK-Polプラスミド(配列番号4のアミノ酸配列を有するHBVポリメラーゼ抗原をコードする)およびpDK-コアプラスミド(配列番号2のアミノ酸配列を有するHBVコア抗原をコードする)であった。
【0345】
DNAプラスミドを、1つの解剖学的部位に送達した両方のプラスミドの1:1(重量/重量)混合物として投与した。非ヒト霊長類(NHP)に、NHPモデルに適用するために適合させたTriGrid(商標)送達システム-筋肉内(TDS-IM)によって電気穿孔した。電気穿孔によるDNAのNHPへの筋肉内送達の方法およびデバイスに関する追加の説明に関しては、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている、国際特許出願国際公開2017172838号明細書、および本出願と同日に代理人文書番号688097-405U1として提出された「Method and Apparatus for the Delivery of Hepatitis B Virus (HBV) Vaccine」と題する米国特許出願を参照されたい。特に、電極間の間隔が6.0mmで、電極の直径がそれぞれ0.021または0.023インチである電極アレイを有するTDS-IM v1.0またはTDS-IM v2.0のTDS-IMアレイを、電極の菱形構成の主軸が筋繊維と平行な方向を向くように、選択した筋肉に経皮挿入した。導体の長さはTDS-IM v1.0またはTDS-IM v2.0に関して5.0mmであったが、有効な貫通深度は、TDS-IM v1.0に関して15.5.mmおよびTDS-IM v2.0に関して9.0mmであった。電極の挿入後、注射を開始してDNA(例えば、1.0ml)を筋肉に分布させた。IM注射の終了後、250V/cm電場(印加電圧142.4~157.6V、印加電流限界0.6~4A、0.16A/秒)を、全期間約400msの間、10%デューティ比(すなわち、電圧を、約400msの期間のうち全体で約40msの間、積極的に印加する)で全6パルスを局所に印加した。電気穿孔手順の終了後、TriGrid(商標)アレイを除去し、動物を回復させた。最初の免疫原性試験は、導入されたHBV抗原によって誘発される細胞性免疫応答を決定することに集中した。
【0346】
非ヒト霊長類
カニクイザル(n=30)を中国から調達し(Covance Research Products Inc.USA)、年齢は2.5~5歳、試験開始時の体重は3.0~5.0kgであった。動物を、獣医学のガイドラインおよびNational Research Council, Guide For the Care and Use of Laboratory Animals, 8th Edition, Washington DC: National Academies Press (2011)に従って充実した環境下で収容した。動物を試験開始前2週間馴化させた。サルをケタミンで麻酔後、各プラスミドの電気穿孔による投与を行った。各免疫の2週間後に血液を、ヘパリンナトリウムを含有するバイアルに収集した。PBMCを、フィコール勾配を使用して単離し、液体窒素タンクにおいて分析するまで保存した。
【0347】
非ヒト霊長類における筋肉内/電気穿孔投与
プラスミドの投与を、表4に要約するように、0、36、および62日目に3回実施した(群1)。pDK-コア(1.0mg)およびpDK-Pol(1.0mg)を、大腿四頭筋に19mm(短い)の注射深度に設定した送達システムによって電気穿孔を介して投与した。各々の注射に関して、交互の脚の筋肉に投与した。DNAプラスミドを含有するシリンジに、筋肉への約10mmの注射標的深度のために、NHP大腿四頭筋にとって適した注射深度リミッターを備え、菱形構成の主軸は筋繊維と平行な方向であった。IM注射の終了直後、電気穿孔装置を起動させ、400mS間隔で、全体で最大40mSの持続で電極の間隔1cmあたり最大250Vの振幅の電気刺激を行った。試料を0、14、50、および76日目に収集し、ELISPOTおよび細胞内サイトカイン染色によって分析した。
【0348】
【0349】
ELISPOT分析
抗原特異的応答を、IFN-γ酵素結合イムノスポット(ELISPOT)によって、霊長類IFN-γELISpotキット(R&D Systems、USA、カタログ番号EL961)を使用して分析および定量した。このアッセイでは、免疫した動物の単離されたPBMCを、コアタンパク質およびPolタンパク質を含むペプチドプール(2μg/ml)と共に3連のウェルで一晩インキュベートした。これらのプールは、コアおよびPolワクチンベクターの遺伝子型ABCDコンセンサス配列にマッチする、11残基が重複する15量体ペプチドからなる。ペプチドを90%純度(JPT、Germany)で合成した。大きい94kDaのHBV Polタンパク質を中央で2つのペプチドプールに分割した。単一の抗原特異的T細胞によるIFN-γの放出を、適切な抗体によって、およびスポット形成細胞(SFC)と呼ばれるマイクロプレート上での着色スポットとしてその後の色素産生の検出によって可視化した。結果を
図7Aに示す。
【0350】
細胞内サイトカイン染色(ICS)
細胞内サイトカイン染色(ICS)を使用して、ワクチン誘導性T細胞応答を試験した。凍結したPBMCを融解し、10%FBS、RPMI培地中で一晩休ませた後、ワクチンインサートマッチコア、Pol-1またはPol-2ペプチドプール(2μg/μl)、DMSOまたは白血球活性化カクテルによって、10%FBS、Golgiplugタンパク質輸送阻害剤(1μg/μl)を含有するRPMI培地中で6時間刺激した。刺激した細胞を、固定可能な生存率解析用色素eFluor780(65-0865-14、eBioscience)によって染色し、固定/透過処理溶液(554714、BD Biosciences)によって20分間処置した後、以下の表5に示す細胞内染色ミクスによって30分間染色した。染色した細胞を、Fortessaフローサイトメーターを使用して、適切な単色補正対照によって獲得した。応答の程度を、刺激後にIFN-γ、TNF-α、またはIL-2を発現するCD4
+またはCD8
+ T細胞のパーセンテージとして報告した。結果を
図7Bに示す。
【0351】
【0352】
結果
ELISPOTデータ(
図7A)は、2回の免疫後に、強いコアおよびPol-2応答を示した。3回目の免疫はIFN-γの大きさを大きく増加させた。Pol-1ペプチドプールは、中間の応答を誘発し、これは3回目の免疫によって改善したが、コアおよびPol-2ほど大きく改善しなかった。76日目のデータは、5匹目のサルの採血が成功しなかったことから、4匹のNHPからの結果のみを含む。各群における高い変動は、NHPが非近交系の動物から調達されていることが原因であり、遺伝的多様性が、異なる免疫応答を説明し得る。
【0353】
ICSアッセイデータ(
図7B)は、ELISPOTによって以前に観察されたように、HBVペプチド刺激によるサイトカイン応答がCD8駆動性であり、コアおよびPol-2ペプチドプールに対して特異的であることを示した。ICSアッセイにおいて応答性のNHPは、ELISPOTアッセイと同じ応答性の個体である。いくつかの個体のICS応答は、ELISPOTデータにおいて認められるように陽性を示さなかったが、これはELISPOTアッセイ感度がより高いことに起因し得る。
【0354】
結論
上記の結果は、電気穿孔を介する筋肉内注射によってpDK-コアおよびpDK-Polワクチンの組合せによって免疫したNHPにおいて、相当なT細胞応答が各プラスミド1.0mgの用量で見出され、ペプチド特異的応答は2回の免疫後に検出され、3回の免疫後ではより大きい応答が検出されたことを証明している。76日目では、ELISPOTアッセイ結果は、試験したあらゆるNHP(4/5NHP)において、ペプチドプールコア、Pol-1およびPol-2が、陽性のIFN-γT細胞応答を誘導することを示した。免疫したNHPからのPBMCに関するICSアッセイは、HBVペプチド特異的応答がCD8駆動性であり、最も高い応答はコアおよびPol-2ペプチドプールに対する応答であることを示している。
【0355】
[実施例7]
ヒト対象におけるDNAワクチンの有効性の評価
電気穿孔によって筋肉内に送達した治療用HBV DNAワクチンの有効性をヒト対象において評価する。
【0356】
ヒト対象
ヒト対象は、HBsAg陽性である慢性HBV感染症を有する成人患者である。ヒト対象は、HBVポリメラーゼ阻害剤(エンテカビルまたはテノフォビル)によって処置されている。
【0357】
ワクチン
ヒト患者に、HBVコア抗原およびHBVポリメラーゼ抗原をそれぞれコードする2つの個別のDNAプラスミドの組合せを投与する。特に、DNAプラスミドは、
図3Aおよび3Bにそれぞれ示すように、ならびに実施例1に記載するように、pDK-Polプラスミド(配列番号4のアミノ酸配列を有するHBVポリメラーゼ抗原をコードする)およびpDK-コアプラスミド(配列番号2のアミノ酸配列を有するHBVコア抗原をコードする)であった。DNAプラスミドを、無作為プラセボ対照用量漸増試験に従って、両方のプラスミドの1:1混合物を異なる投薬量で、特に総プラスミド0.25mg、1mg、および6mgの投薬量で投与する。
【0358】
ヒト対象における筋肉内/電気穿孔投与
DNAプラスミドを、ヒトに適用するために適合させたTriGrid(商標)送達システム-筋肉内(TDS-IM)を使用して2~3回の筋肉内免疫において電気穿孔によってヒト対象に投与する。一部の患者には、プラセボ(すなわち、HBV抗原のコード配列を欠如するプラスミド)を対照として投与する。ヒトに適用するために適合させたTriGrid(商標)送達システム-筋肉内(TDS-IM)を、電気穿孔によるプラスミドDNAの送達のために使用する。電気穿孔によるDNAのヒトへの筋肉内送達の方法およびデバイスに関する追加の説明に関しては、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている、国際特許出願国際公開2017172838号明細書、および本出願と同日に代理人文書番号688097-405U1として提出された「Method and Apparatus for the Delivery of Hepatitis B virus (HBV) vaccine」と題する米国特許出願を参照されたい。例えば、電極間の間隔が6.0mmで、電極の直径がそれぞれ0.023インチである電極アレイを有するTDS-IM v2.0のTDS-IMアレイを、電極の菱形構成の主軸が筋繊維と平行な方向となるように、骨格筋に経皮挿入することができる。導体の長さは、5.0mmであり得るが、有効な貫通深度は、19mmであり得る。電極の挿入後、注射を開始してDNA(例えば、1.0ml)を筋肉に分布させる。IM注射の終了後、250V/cm電場(印加電圧142.4~157.6V、印加電流限界0.6~4A、0.16A/秒)を、全期間約400msの間、10%デューティ比(すなわち、電圧を、約400msの期間のうち全体で約40msの間、積極的に印加する)で全6パルスを局所に印加する。電気穿孔手順の終了後、TriGrid(商標)アレイを除去し、ヒト対象を回復させる。
【0359】
血液試料を免疫後様々な時点で患者から収集する。特に臨床的セロコンバージョンへの進展と整合するレベルの免疫後のHBsAgレベルの推移を、免疫後3~6ヶ月後に患者において評価する。HBsAgの持続的な喪失および臨床疾患(例えば、肝硬変、肝細胞癌)の減少を、免疫の6~12ヶ月後に患者において評価する。
【0360】
[実施例8]
マウスにおけるアデノウイルスベクターのin vivo免疫原性試験
HBVコア抗原またはHBVポリメラーゼ抗原をコードするアデノウイルスベクターを含有する免疫治療用ワクチンを、マウスにおいて試験した。試験の目的は、F1マウス(C57BL/6×Balb/C)への筋肉内送達後のワクチンによって誘導されたT細胞応答を検出することであった。最初の免疫原性試験は、導入されたHBV抗原によって誘発される細胞性免疫応答の決定に集中した。特に、試験したアデノベクターは、
図8Aおよび8Bに示す発現カセットを含有した。
【0361】
In vivo免疫原性試験
アデノウイルスワクチンのin vivo免疫原性を評価するために、HBVアデノウイルスベクターをF1マウスに筋肉内投与した。これらの免疫原性試験は、HBV抗原コアおよびポリメラーゼによって誘発される細胞性免疫応答の決定に集中した。F1マウスへの投与を、表6に要約するように実施した。動物は1回のHBVアデノウイルスベクター免疫を受けた。9週間後に脾細胞を収集した。
【0362】
【0363】
HBVアデノウイルスベクターの免疫原性の評価
抗原特異的応答を、IFN-γ酵素結合イムノスポット(ELISPOT)によって分析および定量した。このアッセイにおいて、免疫した動物の単離した脾細胞を、コアおよびPolタンパク質(各ペプチド2μg/ml)を含むペプチドプールと共にインキュベートした。プールは、コアおよびPolアデノウイルスベクターの遺伝子型ABCDコンセンサス配列にマッチする、11残基が重複する15量体ペプチドからなる。大きい94kDaのHBV Polタンパク質を、中央で2つのペプチドプールに分割した。ELISPOTでは、単一の抗原特異的T細胞によるIFN-γの放出を、適切な抗体によって、およびスポット形成細胞(SFC)と呼ばれるマイクロプレート上での着色スポットとしてその後の色素産生の検出によって可視化した。
【0364】
結果を
図9に示す。結果から、HBV アデノウイルスベクター、特にコア Pol融合体およびコアアデノベクターの組合せは、コアおよびPol特異的T細胞応答を生じたことが認められ得る。これらのデータは、HBVコアおよびpol抗原をコードするアデノウイルスベクターがF1マウスにおいてコアおよびpolに対して強いT細胞応答を生じることを示している。
【0365】
本明細書に記載の実施例および実施形態は、単なる例証目的のためであり、広い本発明の概念から逸脱することなく、上記の実施形態に変更を行うことができると理解される。したがって、本発明は、開示の特定の実施形態に限定されないと理解され、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内の改変を含むと意図される。
参考文献
【0366】
【表7】
以下の態様を包含し得る。
[1] (a)配列番号4と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチドを含む第1の天然に存在しない核酸分子であって、前記HBVポリメラーゼ抗原が、逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない、第1の天然に存在しない核酸分子;
(b)配列番号2または配列番号14と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチドを含む第2の天然に存在しない核酸分子;および
(c)薬学的に許容可能な担体、
を含む組成物であって、
前記第1の天然に存在しない核酸分子および前記第2の天然に存在しない核酸分子が、同じ天然に存在しない核酸分子または2つの異なる天然に存在しない核酸分子に存在する、
組成物。
[2] (a)配列番号4と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチドを含む第1の天然に存在しない核酸分子であって、前記HBVポリメラーゼ抗原が、逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない、第1の天然に存在しない核酸分子;
(b)配列番号2または配列番号14と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチドを含む第2の天然に存在しない核酸分子;および
(c)薬学的に許容可能な担体、
を含むキットであって、
前記第1の天然に存在しない核酸分子および前記第2の天然に存在しない核酸分子が、同じ天然に存在しない核酸分子または2つの異なる天然に存在しない核酸分子に存在する、
キット。
[3] 前記第1のポリヌクレオチドが、配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードし、前記第2のポリヌクレオチドが、配列番号2または配列番号14のアミノ酸配列からなるHBVコア抗原をコードする、上記[1]または[2]に記載の組成物またはキット。
[4] 前記第1のポリヌクレオチドが、配列番号4のアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする、上記[1]または[2]に記載の組成物またはキット。
[5] 前記第1の天然に存在しない核酸分子および前記第2の天然に存在しない核酸分子の少なくとも1つが、前記HBVポリメラーゼ抗原および前記切断型HBVコア抗原の少なくとも1つに作動可能に連結されたシグナル配列をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載の組成物またはキット。
[6] 前記シグナル配列が、独立して配列番号6または配列番号19のアミノ酸配列を含み、好ましくは前記シグナル配列が、配列番号5または配列番号18のポリヌクレオチド配列によってコードされる、上記[5]に記載の組成物またはキット。
[7] 前記第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号3または配列番号16と少なくとも90%同一である、上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の組成物またはキット。
[8] 前記第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号3または配列番号16のポリヌクレオチド配列を含む、上記[7]に記載の組成物またはキット。
[9] 前記第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号1または配列番号15と少なくとも90%同一である、上記[1]~[8]のいずれか1項に記載の組成物またはキット。
[10] 前記第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号1または配列番号15のポリヌクレオチド配列を含む、上記[9]に記載の組成物またはキット。
[11] 前記第1の天然に存在しない核酸分子および前記第2の天然に存在しない核酸分子が同じベクターに存在する、上記[1]~[10]のいずれか1項に記載の組成物またはキット。
[12] 前記ベクターが、任意選択でリンカーを介して、前記HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された前記切断型HBVコア抗原を含む融合タンパク質をコードする、上記[11]に記載の組成物またはキット。
[13] 前記融合タンパク質が、配列番号20のアミノ酸配列を含む、上記[12]に記載の組成物またはキット。
[14] 前記ベクターが、5’末端から3’末端に、プロモーター配列、エンハンサー配列、シグナルペプチドコード配列、前記第2のポリヌクレオチド配列、リンカーコード配列、前記第1のポリヌクレオチド配列、およびポリアデニル化シグナル配列を含有する、上記[12]または上記[13]に記載の組成物またはキット。
[15] 前記ベクターが、アデノウイルスベクター、好ましくはAd26またはAd35ベクターである、上記[14]に記載の組成物またはキット。
[16] 前記アデノウイルスベクターが、配列番号17のポリヌクレオチド配列を含む前記プロモーター配列、配列番号23のポリヌクレオチド配列を含む調節配列、配列番号18のポリヌクレオチド配列を含む前記シグナルペプチドコード配列、配列番号15のポリヌクレオチド配列を含む前記第2のポリヌクレオチド配列、配列番号22のポリヌクレオチド配列を含む前記リンカーコード配列、配列番号16のポリヌクレオチド配列を含む前記第1のポリヌクレオチド配列、および配列番号24のポリヌクレオチド配列を含む前記ポリアデニル化シグナル配列を含有する、上記[15]に記載の組成物またはキット。
[17] 前記第1の天然に存在しない核酸分子および前記第2の天然に存在しない核酸分子が、2つの異なるベクターに存在する、上記[1]~[10]のいずれか1項に記載の組成物またはキット。
[18] 前記第1の天然に存在しない核酸分子が第1のプラスミドDNAベクターに存在し、前記第2の天然に存在しない核酸分子が第2のプラスミドDNAベクターに存在する、上記[17]に記載の組成物またはキット。
[19] 前記第1および前記第2のプラスミドDNAベクターの各々が、複製開始点、抗生物質耐性遺伝子、ならびに5’末端から3’末端に、プロモーター配列、調節配列、シグナルペプチドコード配列、前記第1のポリヌクレオチド配列または前記第2のポリヌクレオチド配列、およびポリアデニル化シグナル配列を含む、上記[18]に記載の組成物またはキット。
[20] 前記抗生物質耐性遺伝子が、配列番号12と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号12と100%同一であるポリヌクレオチド配列を有するカナマイシン耐性遺伝子である、上記[19]に記載の組成物またはキット。
[21] 前記組成物またはキットが、
(a)3’末端から5’末端に、配列番号7のポリヌクレオチド配列を含む前記プロモーター配列、配列番号8のポリヌクレオチド配列を含む前記調節配列、配列番号5のポリヌクレオチドを含む前記シグナルペプチドコード配列、配列番号3のポリヌクレオチド配列を含む前記第1のポリヌクレオチド配列、および配列番号11のポリヌクレオチド配列を含む前記ポリアデニル化シグナル配列を含む第1のプラスミドDNAベクター;
(b)3’末端から5’末端に、配列番号7のポリヌクレオチド配列を含む前記プロモーター配列、配列番号8のポリヌクレオチド配列を含む前記調節配列、配列番号5のポリヌクレオチド配列を含む前記シグナルペプチドコード配列、配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む前記第2のポリヌクレオチド配列、および配列番号11のポリヌクレオチド配列を含む前記ポリアデニル化シグナル配列を含む第2のプラスミドDNAベクター;ならびに
(c)薬学的に許容可能な担体、
を含み、
前記第1のプラスミドDNAベクターおよび前記第2のプラスミドDNAベクターの各々が、配列番号12のポリヌクレオチド配列を有するカナマイシン耐性遺伝子、および配列番号10のポリヌクレオチド配列を有する複製開始点をさらに含み、ならびに
前記第1のプラスミドDNAベクターおよび前記第2のプラスミドDNAベクターが、同じ組成物または2つの異なる組成物に存在する、
上記[20]に記載の組成物またはキット。
[22] 前記組成物またはキットが、それを必要とする対象におけるB型肝炎ウイルスに対する免疫応答の誘導に使用するためのものであり、好ましくは前記対象が慢性HBV感染症を有する、上記[1]~[21]のいずれか1項に記載の組成物またはキット。
[23] 前記組成物またはキットが、それを必要とする対象におけるB型肝炎ウイルス(HBV)誘導疾患の処置に使用するためのものであり、好ましくは前記対象が、慢性HBV感染症を有し、前記HBV誘導疾患が、進行線維症、肝硬変、および肝細胞癌(HCC)からなる群から選択される、上記[1]~[21]のいずれか1項に記載の組成物またはキット。
[24] 配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含む天然に存在しない核酸分子であって、前記HBVポリメラーゼ抗原が逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有さず、前記HBVポリメラーゼ抗原が、哺乳動物において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能であり、好ましくは前記HBVポリメラーゼ抗原が、哺乳動物において少なくともHBV遺伝子型B、CおよびDに対するT細胞応答を誘導することが可能であり、ならびにより好ましくは前記HBVポリメラーゼ抗原が、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、CおよびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能であり、任意選択で前記天然に存在しない核酸分子が、配列番号2または配列番号14のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチド配列をさらに含む、天然に存在しない核酸分子。
[25] 任意選択でリンカーを介して前記HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された前記切断型HBVコア抗原を含む融合タンパク質をコードする、上記[24]に記載の天然に存在しない核酸分子。
【配列表】