(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】カテーテルからの半径方向噴霧を強化するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/02 20060101AFI20230721BHJP
【FI】
A61B18/02
(21)【出願番号】P 2020544291
(86)(22)【出願日】2019-02-20
(86)【国際出願番号】 US2019018829
(87)【国際公開番号】W WO2019164991
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-02-21
(32)【優先日】2018-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503423661
【氏名又は名称】ユナイテッド ステイツ エンドスコピー グループ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100196313
【氏名又は名称】村松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】ダウニー,ジョージ エー.
(72)【発明者】
【氏名】オコナー,ジョン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】マルカヒー,トーマス アイ.
(72)【発明者】
【氏名】グラッソ,ダニエル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】フォード,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】パロランタ,アレクサンダー
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0234325(US,A1)
【文献】国際公開第2011/019030(WO,A1)
【文献】特表2004-516042(JP,A)
【文献】特表2010-528815(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0241112(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0184398(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0245574(US,A1)
【文献】特表2014-524285(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0287650(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/02
A61M 11/00 ― 11/08
A61M 25/00 ― 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径方向噴霧カテーテルのための装置であって、
長手軸と、近位端と、遠位端と、両者間を延びる中間部と、外側半径方向表面とを有する本体と、
前記本体内を前記長手軸に沿って前記本体の前記近位端から少なくとも前記本体の前記中間部へと延びる中央管腔と、
前記本体の前記外側半径方向表面の周りに分布した1つ以上の開口と、
前記中央管腔および前記1つ以上の開口に流体連通した流れ分配要素と
、
を備え、
前記流れ分配要素は、前記本体の前記中間部内の多孔質体を備える、装置。
【請求項2】
前記多孔質体は、前記多孔質体の近位端から前記多孔質体の遠位端へと前記本体の前記長手軸に沿って透過性が次第に低くなり、前記本体の前記長手軸から前記本体の前記外側半径方向表面へと向かう方向に透過性が次第に高くなるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記中央管腔は、前記本体の前記遠位端を通って延びている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記本体の前記近位端は、前記カテーテルの遠位端に結合するように構成されている、請求項1
~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記流れ分配要素は、前記中央管腔と同軸でありかつ前記本体の前記長手軸に沿って近位側を向いたディフューザ要素を備える、請求項1~
4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記ディフューザ要素は、円錐であり、円錐の頂点が、前記本体の前記長手軸に沿って近位側を向いている、請求項
5に記載の装置。
【請求項7】
前記流れ分配要素は、前記中央管腔を複数の前記1つ以上の開口に流体連通させる複数の管腔を備える、請求項1~
4および
6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
各々の管腔は、前記本体内を前記長手軸と平行に遠位側へと延び、次いで前記長手軸に垂直な前記本体の半径方向の壁に沿って対応する開口へと移行する、請求項
7に記載の装置。
【請求項9】
前記流れ分配要素は、細長い管を備える複数の独立した管腔を備え、各々の管状管腔は、独立した開口に関連付けられている、請求項1~
4および
6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
各々の管状管腔は、前記本体内を前記中央管腔と平行に遠位側へと延び、かつ前記関連付けられた開口に整列した前記管状管腔の半径方向部分へと曲線に沿って延びる近位部分を有する、請求項
9に記載の装置。
【請求項11】
前記管状管腔は、前記近位部分において同心の放射状の円に整列しており、半径方向において前記本体の前記長手軸により近い管腔は、半径方向において前記本体の前記長手軸からより遠い管腔と比べて、前記半径方向部分においてより遠位側へと延びている、請求項
10に記載の装置。
【請求項12】
前記流れ分配要素は、前記中央管腔から前記本体の前記遠位端まで延び、前記中央管腔に流体連通しておりかつ前記中央管腔と実質的に同軸な分配管腔を備え、前記分配管腔は、前記本体の前記長手軸に沿って前記遠位端の方向に、内径が変化するいくつかのセクションを有し、各々が前記開口のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~
4、
6、
10、および
11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記流れ分配要素は、前記中央管腔から前記本体の前記遠位端まで延び、かつ前記中央管腔に流体連通している分配管腔を備え、前記分配管腔は、前記長手軸に沿った複数の前記開口を含み、前記分配管腔内のばねが、前記本体の前記遠位端に関連付けられた遠位側構成要素および振動体に関連付けられた近位側構成要素を有することで、前記振動体が、流れによって前記ばねの復元力に逆らって押されて前記分配管腔内で振動し、前記流れを前記開口へと分配する、請求項1~
4、
6、
10、
11、および
12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記流れ分配要素は、
前記中央管腔から延びる前記本体内の分配管腔と、
前記本体の前記長手軸に沿って前記分配管腔内に回転可能に配置されたロッドと、
前記ロッドの周りに軸方向に配置されたタービンと、
前記ロッドの周りかつ前記タービンよりも遠位側に配置され、前記ロッドに沿って延びる多管腔部材と
を備え、
前記多管腔部材のそれぞれの管腔は、前記開口の複数の半径方向列のうちのそれぞれの1つに長手方向において一致する露出した半径方向部分を有し、前記多管腔部材のそれぞれの管腔は、それぞれの管腔に関する前記開口の半径方向列のうちの前記それぞれの1つの遠位側に隣接する実質的に半径方向の壁にて終わる、請求項1~
4、
6、および
10~
12のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2018年2月21日付の米国特許仮出願第62/633,121号について、米国特許法第119条に規定の優先権の利益を主張し、この米国特許仮出願は、その全体があらゆる目的に関して本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、広くには、医療機器の分野に関する。とくには、本開示は、カテーテルからの半径方向噴霧を強化するための方法および装置に関する。半径方向冷凍噴霧カテーテルなどの半径方向噴霧カテーテルに関して、流れ分配要素を備える装置が開示される。
【背景技術】
【0003】
さまざまなカテーテルが、診断または治療の選択肢として流体を体内管腔へと送出するなど、さまざまな用途のために、さまざまな体内管腔において使用される。流体は、液体、気体、または液体および気体の両方の混合物であってよい。送出は、体内管腔の壁への流体の噴霧を含むことができる。場合によっては複数の半径方向の開口を含む体内管腔内の内視鏡を通ってカテーテルをもたらす目的において、処置の有効性および/または効率は、流れを開口にどの程度均一に分配できるかに依存し得る。例えば、流体は、より近位側の開口から流出するよりもむしろカテーテルの遠位端に位置する一番端の開口へと流れる傾向があり、流れの分布が不均一になる可能性がある。
【0004】
一例として、凍結手術は、病変組織、損傷組織、または他の望ましくない組織(本明細書においては、まとめて「標的組織」と称する)を、冷凍剤の噴霧であってよい圧力下の冷凍剤の限局的送達によって治療する処置である。これらのシステムは、典型的には、冷凍アブレーションシステム、冷凍噴霧システム、冷凍噴霧アブレーションシステム、凍結手術システム、凍結手術噴霧システム、および/または冷凍剤噴霧アブレーションシステムと呼ばれる。典型的に使用されるとおり、「冷凍剤」は、極低温の外科処置において治療効果を伴って用いるための充分に低い沸点(すなわち、およそ-153℃未満)を有する任意の流体(例えば、ガス、液化ガス、または当業者に知られている他の流体)を指す。適切な冷凍剤として、例えば、液体アルゴン、液体チッ素、および液体ヘリウムを挙げることができる。二酸化炭素および液体亜酸化チッ素など、沸点が-153℃よりも高いが、依然としてきわめて低い(例えば、N2Oについては-89℃)疑似冷凍剤も、使用可能である。
【0005】
冷凍噴霧システムの動作時に、医療専門家(例えば、臨床医、技術者、医療専門家、外科医、など)は、冷凍剤送出カテーテルを介して、冷凍剤の噴霧を治療領域の表面へと導く。医療専門家は、気管支鏡、胃鏡、結腸鏡、または尿管鏡などのビデオ支援装置または内視鏡を介し、視覚に頼って冷凍剤の噴霧を標的へと向けることができる。冷凍剤の噴霧は、0℃から-196℃までの範囲の温度で冷凍剤送出カテーテルを出て、標的組織を凍結させ、あるいは「冷凍」する。
【0006】
体内管腔(例えば、食道、気管、腸、など)を、カテーテルからの半径方向噴霧による冷凍アブレーションによって処置することができる。しかしながら、上述したように、液体チッ素およびその蒸気などのカテーテルの中央管腔を通る冷凍剤混合物の流れを、カテーテルの複数の開口へと分配することは、冷凍剤混合物中の冷凍剤の気体成分と比べて、冷凍剤の液体成分の方が密度がより高く、したがって運動量が大きいがために、困難であり得る。冷凍剤混合物のうちの気体部分が、より近位側の開口(例えば、半径方向の開口)から容易に流出できる一方で、冷凍剤の液体部分は、より遠位側の開口へと軸方向に流れ続け、流れの不均衡につながる可能性がある。開口の列の間の流れの不均衡により、冷凍剤カテーテルの噴霧の体積およびカバー範囲の均一性および有効長が制限される可能性がある。
【0007】
したがって、流れ分配要素を利用してカテーテルからの半径方向噴霧を強化するための本開示の装置、システム、および方法によって、さまざまな利点が実現され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、そのさまざまな実施形態において、カテーテルからの半径方向噴霧を強化増強するための方法および装置を含む。種々の実施形態は、半径方向噴霧カテーテルおよび/または半径方向冷凍噴霧カテーテルのための装置を含むことができる。種々の実施形態を、流れの分配を改善すべくさまざまな要素で半径方向冷凍噴霧を強化するように構成された凍結手術システムにおいて使用することができる。半径方向冷凍噴霧カテーテルおよびプラグを含む半径方向噴霧カテーテル用の装置は、噴霧をより効率的に放出でき、標的組織のより効果的な治療をもたらすことができる。流れ分配要素を備える半径方向冷凍噴霧カテーテルまたは他の装置のための装置、あるいは半径方向冷凍噴霧カテーテルまたは他の装置は、噴霧をより均一に分配し、開口から横方向に(標的に垂直に)噴霧を効率的に向けることに貢献できる一方で、流れ分配要素を持たない装置は、噴霧の速度または方向あるいは両方に望ましくない実質的な軸方向の成分を有する可能性がある。
【0009】
種々の実施形態における本開示は、カテーテルからの強化された半径方向噴霧のための装置および使用方法を含む。強化された噴霧を使用して、流体を治療の領域へとより効率的にもたらすことができ、したがって他の利点の中でもとりわけ、治療の部位において噴霧のより生産的なカバー範囲を提供することができる。種々の実施形態は、カテーテルと一緒に使用される構成要素または付属品あるいは噴霧カテーテルと一体の部分として、流れ分配要素を有する。
【0010】
本開示の一態様においては、半径方向噴霧カテーテルのための装置が、長手軸と、近位端と、遠位端と、両者の間を延びる中間部と、外側半径方向表面とを有することができる本体を含むことができる。中央管腔を、前記本体内を前記長手軸に沿って前記本体の前記近位端から少なくとも前記本体の前記中間部へと延ばすことができる。1つ以上の開口を、前記本体の前記外側半径方向表面の周りに分布させることができる。流れ分配要素を、前記中央管腔および前記1つ以上の開口に流体連通させることができる。前記1つ以上の開口は、半径方向の開口部、またはスロット開口部、あるいは両方であってよい。前記中央管腔は、前記本体の前記遠位端を通って延びてよく、医療器具を受け入れるように構成されてよい。前記中央管腔は、前記本体の前記近位端と前記本体の前記中間部との間で、より小さな直径からより大きな直径へと移行してよい。前記本体の前記近位端を、カテーテルの遠位端と結合するように構成することができる。前記本体の前記近位端を、カテーテルの遠位端の連続的な延長部とし、カテーテルの遠位端に接着し、あるいはカテーテルの遠位端に取り外し可能に組み合わせることによって、結合させることができる。
【0011】
本開示の別の態様において、前記流れ分配要素は、前記中央管腔と同軸なディフューザ要素を含むことができ、前記本体の前記長手軸に沿って近位側を向くことができる。前記ディフューザ要素は、円錐を含むことができ、円錐の頂点が、前記本体の前記長手軸に沿って近位側を向いてよい。前記流れ分配要素は、前記中央管腔を複数の前記1つ以上の開口に流体連通させる複数の管腔を含むことができる。各々の管腔は、前記本体内を前記長手軸と平行に遠位側へと延びてよく、次いで前記長手軸に垂直であってよい前記本体の半径方向の壁に沿って対応する開口へと移行することができる。前記本体は、楕円体形状であってよく、楕円体形状の長軸が前記本体の前記長手軸に一致する。各々の管腔は、前記本体内を前記長手軸に平行に遠位側へと延びてよく、次いで前記本体の前記外側半径方向表面に垂直な前記本体の半径方向の壁に沿って対応する開口へと移行することができる。前記複数の管腔は、互いに入れ子にされて前記本体を形成するように構成された別個の構成要素を含むことができる。前記管腔は、前記本体内を前記長手軸に平行に遠位側へと延びてよく、次いで対応する開口へと曲線に沿って徐々に移行することができる。前記中央管腔は、前記より小さな直径から前記より大きな直径へと、前記大きな直径の方向に前記長手軸から約30度の角度で移行することができる。多孔性の鞘または多孔性のリングが、開口を覆う前記本体の前記外側半径方向表面の周りにあってよい。前記流れ分配要素は、細長い管を備える複数の独立した管腔を含むことができ、各々の管状管腔を、独立した開口に関連付けることができる。各々の管状管腔は、前記本体内を前記中央管腔と平行に遠位側へと延び、かつ前記関連付けられた開口に整列してよい前記管状管腔の半径方向部分へと曲線に沿って延びる近位部分を有すことができる。前記管状管腔は、前記近位部分において、同心の放射状の円に整列してよい。半径方向において前記本体の前記長手軸により近い管腔は、半径方向において前記本体の前記長手軸から遠い管腔と比べて、前記半径方向部分においてより遠位側へと延びてよい。前記流れ分配要素は、前記本体の前記中間部内の多孔質体を含むことができる。前記多孔質体は、前記多孔質体の近位端から前記多孔質体の遠位端へと前記本体の前記長手軸に沿って透過性が徐々に低くなるように構成されてよい。前記多孔質体は、前記本体の前記長手軸から前記本体の前記外側半径方向表面へと向かう方向に透過性が徐々に高くなってよい。
【0012】
本開示の別の態様において、前記流れ分配要素は、前記中央管腔から前記本体の前記遠位端まで延び、前記中央管腔に流体連通し、前記中央管腔と実質的に同軸である分配管腔を含むことができる。前記分配管腔は、前記本体の前記長手軸に沿って前記遠位端の方向に、内径が変化しているいくつかのセクションを有することができ、各々は、前記開口のうちの少なくとも1つを含むことができる。前記内径の変化は、前記遠位端の方向にセクションからセクションへと大きくなってよく、あるいは前記遠位端の方向にセクションからセクションへと小さくなってよく、あるいはこれらの何らかの組み合わせであってよい。開口のうちの1つ以上は、前記遠位端の方向にセクションからセクションへと大きくなる直径、または前記遠位端の方向にセクションからセクションへと小さくなる直径、あるいはこれらの何らかの組み合わせの直径を有することができる。前記内径の変化は、前記分配管腔に沿ったセクションからセクションへの前記本体の壁の厚さの変化に反比例することができる。前記分配管腔に沿った前記本体の前記外側半径方向表面の直径は、一定であってよい。前記分配管腔の前記近位部分のセクションは、前記中央管腔よりも小さい直径を有することができる。前記流れ分配要素は、前記中央管腔から前記本体の前記遠位端まで延び、前記中央管腔に流体連通した分配管腔を有することができる。前記分配管腔は、前記長手軸に沿って複数の前記開口を含むことができる。ばねが、前記分配管腔内にあってよく、前記本体の前記遠位端に関連付けられた遠位側構成要素と、振動体に関連付けられた近位側構成要素とを有することができる。前記振動体は、流れを前記開口へと分配するために、流れによって前記ばねの復元力に逆らって押されることで、分配管腔内で振動することができる。前記ばねは、前記ばねの前記遠位側構成要素としての一方の磁石と、前記近位側構成要素および前記振動体としての他方の磁石とによる1対の磁石であってもよい。前記磁石の同様の極を、前記ばねの前記復元力として働くように互いに向き合わせることができる。前記ばねは、前記本体の前記遠位端に取り付けられた前記遠位側構成要素と、前記振動体に取り付けられた前記近位側構成要素とを有することができる。ガスの体積を、前記ばねの前記復元力として作用する前記振動体の背後で遠位側へと圧縮することができる。前記振動体は、前記本体の前記遠位端へと向いたより大きな直径と、前記本体の前記近位端からの流れの方向の反対を向いたより小さな直径とを有するディフューザ要素を有することができる。
【0013】
本開示の別の態様において、前記流れ分配要素は、前記中央管腔から延びる前記本体内の分配管腔を含むことができる。ロッドを、前記本体の前記長手軸に沿って前記分配管腔内に回転可能に配置することができる。タービンを、前記ロッドの周りに軸方向に配置することができる。前記タービンの遠位側において前記ロッドに沿って延びる多管腔部材を、前記ロッドの周りに配置することができる。前記多管腔部材の各々の管腔は、前記開口の複数の半径方向の列のうちのそれぞれの1つに長手方向に一致する露出した半径方向部分を有する。前記多管腔部材の各々の管腔は、各々の管腔に関して前記開口の半径方向の列の前記それぞれの1つの遠位側に隣接する実質的な半径方向の壁で終わることができる。
【0014】
本開示の別の態様においては、半径方向噴霧カテーテルのための装置が、長手軸と、開いた近位端と、遠位端と、両者の間を延びて流れ分配要素に流体連通した複数の管腔とを有する細長い部材を含むことができる。前記流れ分配要素は、前記細長い部材の周りに配置されてよく、長手方向に隣接する複数の環状チャンバを含むことができる。各々のチャンバは、近位端と、遠位端と、前記チャンバを貫いて延びて前記細長い部材を受け入れる中央管腔と、前記チャンバの外面の周りの複数の半径方向の開口とを有することができる。前記細長い部材の前記複数の管腔の各管腔は、前記複数のチャンバのうちのそれぞれの各チャンバに専用であってよく、このチャンバに流体連通した少なくとも1つの専用の供給開口を有することができる。前記細長い部材の各管腔は、それぞれの環状チャンバに関連付けられた前記少なくとも1つの専用の供給開口で終わることができる。前記細長い部材を、カテーテルの遠位端の連続的な延長部とし、カテーテルの遠位端に接着し、あるいはカテーテルの遠位端に取り外し可能に組み合わせることによって、カテーテルの遠位端に結合させることができる。
【0015】
本開示の別の態様においては、半径方向噴霧カテーテルのための装置が、カテーテルの遠位端開口部に挿入されるように構成された細長い本体を含むことができる。前記本体は、長手軸と、近位端と、遠位端とを有することができる。流れ分配要素が、前記本体の前記近位および遠位端の間に少なくとも部分的に延在でき、前記本体の前記遠位端にバックストッパを含むことができる。前記流れ分配要素は、前記細長い本体の前記長手軸から半径方向に延びる複数のフィンを含むことができる。前記フィンを、カテーテルの内面に係合するように構成することができる。前記バックストッパは、前記細長い本体がカテーテルへと挿入されたときにカテーテルの遠位端開口部に対して垂直であり、かつカテーテルの遠位端開口部に面する表面を有することができる。前記表面を、遠位方向にカテーテルの遠位端開口部から長手方向にオフセットさせて、開口部の周りに半径方向の開口を形成することができる。前記流れ分配要素は、前記細長い本体に沿って延びる複数のフィンを含むことができ、前記複数のフィンは、フィンが前記バックストッパへと延びるにつれて前記細長い本体の前記長手軸から半径方向にさらに広がるらせん状のパターンにて配置される。前記バックストッパを、カテーテルの内面に係合するように構成することができる。前記バックストッパは、カテーテルの遠位端開口部に面する凹面を有することができる。前記流れ分配要素は、カテーテルの開口部からの流れの方向と反対に前記凹面から近位側へと延びるディフューザ要素を含むことができる。前記凹面は、開口部の周りに半径方向の開口を生み出すように、前記細長い本体の前記遠位端からオフセットされてよい。
【0016】
本開示の実施形態(ただし、これらに限られるわけではない)が、概略図であり、一定の縮尺で描かれるようには意図されていない添付の図面を参照して、例として説明される。図面において、図示された同一またはほぼ同一の各々の構成要素は、典型的には、1つの数字によって表される。分かりやすくするために、必ずしもすべての図においてすべての構成要素に標識が付されているわけではなく、当業者にとって本開示の理解を可能にするために必ずしも説明が必要でない場合には、各々の実施形態のすべての構成要素が図示されているわけでもない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の実施形態による凍結手術システムの等角図を示している。
【
図2】本開示の実施形態によるカテーテルの半径方向噴霧先端部を示している。
【
図3A】本開示の実施形態による管腔を含む流れ分配要素を備える装置の左側面図を示している。
【
図3C】本開示の実施形態による管腔を含む流れ分配要素を備える装置の左側面図を示している。
【
図4A】本開示の実施形態による管腔を含む流れ分配要素を備える装置の左側面図を示している。
【
図4C】本開示の実施形態による管腔および鞘を含む流れ分配要素を備える装置の左側面図を示している。
【
図4D】本開示の実施形態による管腔および波形の外面を含む流れ分配要素を備える装置の左側面図を示している。
【
図5A】本開示の実施形態による複数の管状管腔を含む流れ分配要素を備える装置の左側面の4分の1断面図を示している。
【
図6】本開示の実施形態による多孔質体を含む流れ分配要素を備える装置の断面図を示している。
【
図7A】本開示の実施形態による直径の変化を有する分配管腔を含む流れ分配要素を備える装置の斜視断面図を示している。
【
図7B】本開示の実施形態による直径の変化を有する分配管腔を含む流れ分配要素を備える装置の斜視断面図を示している。
【
図8A】本開示の実施形態による第1の位置のばねに取り付けられた振動体を備える分配管腔を含む流れ分配要素を備える装置の左側面図を示している。
【
図8B】
図8Aの実施形態の左側断面図を示しており、ばねは第2の位置にある。
【
図9A】本開示の実施形態による回転可能タービンを備える分配管腔を含む流れ分配要素を備える装置の斜視図を示している。
【
図9B】第1の位置にある
図9Aの実施形態の軸方向断面図を示している。
【
図9C】第2の位置にある
図9Aの実施形態の軸方向断面図を示している。
【
図10A】本開示の実施形態による複数の環状チャンバを備える分配管腔を含む流れ分配要素を備える装置の斜視図を示している。
【
図11】本開示の実施形態によるカテーテル用のインサートを含む流れ分配要素を備える装置の斜視図である。
【
図12A】本開示の実施形態によるカテーテル用のインサートを含む流れ分配要素を備える装置の斜視図である。
【
図13】本開示の実施形態による凹面を有するバックストッパを含む流れ分配要素を備える装置の右側面の断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、説明される特定の実施形態に限定されない。本明細書において使用される用語は、あくまでも特定の実施形態を説明する目的のためのものであり、添付の特許請求の範囲の技術的範囲を超えての限定を意図していない。とくに定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。本開示の実施形態は、上部および下部GI管ならびに呼吸器系において使用するための半径方向冷凍噴霧システムをとくに参照して説明されるが、そのようなシステムおよび方法が、血管系、泌尿生殖器系、リンパ系、神経系、などのさまざまな他の身体通路、器官、および/または空洞において使用可能であることを、理解すべきである。
【0019】
本明細書において使用されるとき、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、および「(そのthe)」は、文脈からそのようでないことが明らかでない限り、複数形も含むように意図される。本明細書において使用されるとき、用語「・・・を備える」および/または「・・・を備えている」、あるいは「・・・を含む」および/または「・・・を含んでいる」が、そこで述べられる特徴、領域、ステップ、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、領域、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはこれらのグループの存在または追加を排除しないことを、さらに理解できるであろう。
【0020】
本明細書において使用されるとき、接続詞「および」は、文脈からそのようでないことが明らかでない限り、この接続詞によってつながれた構造物、構成要素、部位、などの各々を含み、接続詞「または」は、文脈からそのようでないことが明らかでない限り、この接続詞によってつながれた構造物、構成要素、部位、などの一方または他方を単独で含み、さらには任意の組み合わせおよび数にて含む。
【0021】
本明細書において使用されるとき、「遠位」という用語が、装置を患者へと導入するときに医療専門家から最も遠い端部を指す一方で、「近位」という用語は、装置を患者へと導入するときに医療専門家に最も近い端部を指す。本明細書において使用されるとき、「直径」は、2点の間を延びる直線の距離を指し、必ずしも特定の形状を示すわけではない。
【0022】
本開示は、広くには、カテーテルからの半径方向噴霧を強化するための方法および装置を提供する。種々の実施形態は、半径方向噴霧カテーテルおよび/または半径方向冷凍噴霧カテーテルのための噴霧を強化するための装置を含むことができる。
【0023】
例えば、ここで説明され、あるいは他で説明される本開示の技術的範囲に含まれる強化された噴霧のための装置の種々の実施形態を、流れ分配要素によって流れの分配の均一性を向上させるように構成された凍結手術システムにおいて使用することができる。
本開示を実施することができる典型的な凍結手術システムとして、これらに限られるわけではないが、米国特許第9,301,796号および第9,144,449号、ならびに米国特許出願第14/012,320号および第14/869,814号に記載のシステムが挙げられ、これらの米国特許および米国特許出願の各々は、その全体が本明細書に援用される。種々の実施形態において、流れ分配要素による流体の分配の特徴および利点は、要素の全長にわたって延び、医療器具を収容して延在する管腔によって実現可能である。このような要素は、本出願と所有者が同じであり、本出願と同時に出願され、その全体があらゆる目的に関して本明細書に援用される代理人整理番号第8177.0040号の米国特許仮出願の開示の各所の特徴によって実施可能である。
【0024】
図1に示されるように、カテーテルからの冷凍噴霧を強化するための装置に関して構成された冷凍噴霧送出システムの一実施形態において、カテーテル102は、カテーテルインターフェース104において冷凍療法コンソール100に接続される。カテーテル102を、患者へともたらすために内視鏡と共に使用することができる。内視鏡の遠位端のレンズにおいて受け取られた画像を、監視カメラへと転送することができ、監視カメラは、ケーブルを介してビデオ信号をモニタ108へと送り、モニタ108において処置を視覚化することができる。コンソールにおける内蔵のソフトウェアおよび制御部により、医療専門家は、フットペタル106によって、カテーテル102によるタンクからの冷凍剤の送出を制御することができる。カテーテル102は、断熱部分110および遠位端112を有することができる。
【0025】
冷凍噴霧の形成および供給の流体力学の例として、
図1に示されるシステムを参照すると、冷凍剤(例えば、液体チッ素)がタンクから冷凍剤送出カテーテル102の近位端へと移動するとき、液体が温まり、沸騰し始め、結果として低温のガスがカテーテル102の遠位端112から現れる。カテーテル102における沸騰の量は、カテーテル102の質量、表面積、および熱容量に依存する。液体チッ素が液体から気体のチッ素への相変化するとき、カテーテル102の全長にわたって追加の圧力が生じる。これは、カテーテル102の管腔に対する供給管の直径が、例えば約0.25インチから約0.070インチなどへとそれぞれ減少するソレノイド/カテーテル接合部においてとくに当てはまる。カテーテル102の管腔は、例えば0.030~0.115インチの間の範囲の直径を有することができる。他の実施形態において、管腔は、特定の用途に何が適するかに応じて、別の範囲の直径を有することができる。代案の実施形態においては、PTFE、FEP、Pebax、などの断熱材料を使用し、あるいは熱伝達の速度の低減に役立つようにカテーテルを実質的に真空の管腔で囲むことにより、カテーテル102の内部で沸騰するガスをさらに大きく減らすことができる。
【0026】
さらに
図1を参照すると、一例として、カテーテル102は、コンソール100に接続される。コンソール100は、冷凍剤を供給するタンクを収容する。コンソール100は、予冷および除霜の機能を含むことができる。コンソール100および/またはカテーテル102は、例えばカテーテル102の遠位先端部112に低圧をもたらすなど、圧力下で冷凍剤を届けるための弁および配管を含む。冷凍剤および/または組織の温度を測定するために、コンソール100および/またはカテーテル102内にセンサが存在してもよい。冷凍剤の投与の計量制御のためのフィードバックループが存在してもよい。ペダル106を使用して冷凍剤の送出を制御することができ、あるいは冷凍剤の送出の時間を所定の投与量に合わせて調整することができる。遠位先端部112は、開放端であってよく、さらには/あるいは半径方向の開口を含んでよい。コンソール100は、安全機能を備えたソフトウェアおよび/またはハードウェアを含むことができる。コンソール100は、インタラクティブなユーザインターフェースを含むことができる。コンソール100は、冷凍噴霧治療処置のための制御設定を含むことができる。コンソール100は、冷凍噴霧の所定の送出のための冷凍噴霧処置プロファイルを含むことができる。
【0027】
図2を参照すると、本開示の実施形態による典型的な冷凍噴霧カテーテルが示されている。カテーテル202は、遠位端212が標的組織に近接するように患者内に配置される。医療専門家は、内視鏡内のカメラを介し、さらには/あるいは蛍光透視法によって、カテーテル202の遠位端212の配置を視覚化することができる。マーキングバンド208が、カメラを使用して視覚化可能であってよく、さらには/あるいは蛍光透視装置による視覚化のために放射線不透過性であってよい。遠位端212を所定の位置に位置させることにより、医療専門家は、冷凍剤をカテーテル202へと導入することができる。冷凍剤は、カテーテル202の遠位端212に到達すると、標的組織へと向かう冷凍噴霧として遠位先端部204および/または半径方向の開口206から出る。遠位先端部204において遠位方向の噴霧を生み出すための開口した遠位面を有する開放端と、半径方向の噴霧を生み出すための半径方向の開口206とを備える典型的なカテーテル202が、
図2に示されている。代案の典型的なカテーテルは、半径方向の開口を有さずに、遠位先端部および開口した遠位面のみを有しても、あるいは開口した遠位面を有する遠位先端部を有さずに、半径方向の開口のみを有してもよい。
【0028】
図1のシステムおよび/または
図2のカテーテルにおいて、例えば、標的組織における流体の凍結および/または標的組織の凍結は、標的組織が白色を獲得することにより、医療専門家にとって明らかである。表面の霜から生じる白色は、病変組織または異常組織の破壊を開始させるために充分な粘膜または他の組織の凍結の発現を知らせる。オペレータは、損傷の深さを制御するために、ひとたび初期の凍結が達成されると、システムタイマーを使用して指定の継続時間にわたって凍結を行うことができる。冷凍剤の供給を、カテーテルシャフト上の1つ以上の温度センサからの読み取り値を監視するフィードバックループを介して、計量および制御することができる。医療専門家は、凍結の程度を観察し、表面が所望の白色を達成するとすぐに噴霧を停止させることができる。オペレータは、内視鏡に組み込まれたカメラを介し、標的組織を監視して、凍結がいつ生じたかを判断することができる。オペレータは、カテーテルを操作して標的組織を凍結させることができる。手術が完了すると、カテーテル、内視鏡、および患者からの流体(例えば、冷凍噴霧ガス)を受動的または能動的に逃がすことによる排出のための冷凍減圧管などの他の器具が、患者から引き抜かれる。
【0029】
カテーテル202を通る冷凍剤の多相流の供給は、冷凍噴霧がカテーテルから出るように、半径方向の開口206および/または遠位先端部204へと至る。冷凍剤は、カテーテル202を下って移動するにつれて部分的に沸騰する可能性があり、結果として生じる混合物が、カテーテル202の遠位端212の出口点から放出され得る。カテーテル202の遠位端212の半径方向の開口206は、体内管腔内の組織の内壁へと冷凍噴霧を放出するように意図されている。
【0030】
冷凍噴霧は、半径方向の穴206を通ってカテーテル202の遠位端212を出るときに、典型的には、カテーテル202に直交する方向または角度で(すなわち、カテーテルの長手軸を横切る軸に沿って)カテーテル202の遠位端212を出る。これらの開口の直径に対する半径方向の穴の幅の比を大きくすると、噴霧の直交性を改善でき、冷却効率を向上させることが可能である。
【0031】
上述したように、冷凍剤混合物(例えば、液体チッ素およびその蒸気などの液体および気体)の流れをカテーテルの中央管腔を通って複数の開口へと分配することは、冷凍剤混合物中の気体の冷凍剤と比べたときに、液体の冷凍剤の運動量が大きいがために、困難であり得る。冷凍剤混合物のうちの気体部分が、より近位側の開口(例えば、半径方向の開口)から容易に流出できる一方で、冷凍剤の液体部分は、カテーテルの遠位端へと軸方向に流れ続け、流れの不均衡につながる可能性がある。開口の列の間のこの流れの不均衡により、冷凍剤の噴霧の体積およびカバー範囲の均一性および有効長が制限される可能性がある。さらに、カテーテルおよび/またはカテーテル先端部における流体の流れの運動量は、長手方向および半径方向の異なる地点に配置された複数の開口へと効率的に導くことが困難であり得る。
【0032】
カテーテル内を移動する流体の遠位方向の運動量が、開口からの噴出時に依然として存在する可能性がある。この遠位方向の運動量により、流体が噴霧部位を過ぎて遠位側へと進む可能性があり、これは不都合かもしれず、器官の膨張または穿孔などの患者にとっての害につながる可能性がある。
【0033】
流れ分配要素のさまざまな構成を有する装置の種々の実施形態が、1つ以上の半径方向の開口における流れの分配の均一性を改善し、半径方向噴霧の効率および有効性を向上させることができる。いくつかの実施形態は、長手軸と、近位端と、遠位端と、両者の間を延びる中間部と、外側半径方向表面とを備える本体を有することができる。中央管腔を、本体内を長手軸に沿って本体の近位端から少なくとも本体の中間部へと延ばすことができる。
1つ以上の開口を、本体の外側半径方向表面の周りに分布させることができる。開口は、半径方向の開口部、またはスロット開口部、あるいは両方であってよい。中央管腔は、カテーテルの管腔を含むことができ、もしくはカテーテルの管腔の一部を含むことができ、あるいはカテーテルの管腔を含まない本体の近位セクションを含むことができる。中央管腔は、例えば中央管腔を通る器具の通過を可能にするように、本体の遠位端を通って延びてよい。中央管腔は、本体の近位端と本体の中間部との間で、より小さな直径からより大きな直径へと移行してよい。この移行は、例えば大きな直径の方向に本体の長手軸から約25~約30度の角度であってよい。流れ分配要素を、中央管腔および1つ以上の開口に流体連通させることができる。流れ分配要素は、中央管腔から本体の周りの複数の開口まで延びることができる。流れ分配要素は、中央管腔からの冷凍剤の流体の流れについて、より効率的に、より小さい流れの不均衡にて、流れ分配要素を通って開口から出る移行を助けることができる。流れ分配要素を備える装置の種々の実施形態を、カテーテルの端部に結合させることができ、例えば挿入、接着、取り外し可能な結合、あるいはカテーテルの連続的な延長部または一体の本体としてのカテーテルの端部への一体化が可能である。種々の実施形態は、装置の本体の長さに沿って直径および/または深さが変化する開口を含むことができる。開口につながる管腔は、直径および形状において変化してよい。そのような変化は、すべての開口について正味の均一または他の所望の噴霧の塗布が生じるように、特定の開口への流れを増加または減少させることができる。
【0034】
図3A~
図3Cを参照すると、流れ分配要素310を備えた装置の実施形態が、中央管腔308を本体300の周囲の複数の開口312に流体連通させる管腔314を含む。流れ分配要素310は、流れ分配要素310の近位端に、例えば円錐316などのディフューザ要素を含み、円錐316の頂点は、中央管腔308の軸上にある。円錐316の頂点は、中央管腔308へと(すなわち、近位方向に)向けられている。中央管腔308を通る近位端302からの冷凍剤の流れは、円錐316ゆえに、管腔314の近位端への均一な分布を強化するように、より大きな直径へと円錐状に広げられる。円錐316の角度(ならびに、中央管腔が本体の中央部へと拡大するときの本体の壁の角度)は、例えば液体チッ素に関して本体の長手軸から約25°~約30°など、飽和多相混合物の膨張に特徴的な角度であってよい。次に、流れ分配要素は、複数の管腔314によって分離される。各々の管腔314は、別個の開口312(例えば、半径方向の開口の列、半径方向のスロット、またはリング)に対応する。各々の管腔314は、本体300内を長手軸に平行に遠位側へと延び、次いで開口312へと、対応する開口312まで長手軸に垂直な本体300の半径方向の壁318に沿って移行する。複数の管腔314は、互いに入れ子にされて本体300を形成するように構成された別個の構成要素を含むことができる。管腔314からの流れが半径方向の壁318に到達すると、流れの運動量は、実質的に遠位側への軸方向から開口312に向かって実質的に半径方向に変化する。本体300は、
図3Aおよび
図3Bのように実質的に円筒形であってよいが、本体300は、
図3Cのような楕円体など、他の形状をとってもよい。本体の長手軸に対して垂直な軸から5°、10°、15°などであってよい角度など、本体300の湾曲した外面に垂直な方向などの多数の方向に噴霧を導くために、本体の楕円体または他の形状を、例えば本体300の長手軸に対して垂直でない経路など、開口までの管腔の種々の経路を備えて構成することができる(例えば、
図3C)。例えば、
図3Cに示される本体300は、楕円体形状であってよく、楕円体形状の長軸が本体300の長手軸に一致する。各々の管腔314は、本体300内を長手軸に平行に遠位側へと延び、次いで本体300の外側半径方向表面に垂直な本体300の半径方向の壁に沿って対応する開口312へと移行する。外側半径方向表面は、治療対象の解剖学的構造に対応し得る。例えば、各々の開口からの噴霧を、標的組織の表面に垂直に向けることができる。裂孔ヘルニアなどの解剖学的構造を、本体のこのような楕円形の外側半径方向表面で治療することができる。流れ分配要素310は、上述の円錐316など、流れを分配すべく中央管腔308と同軸かつ本体300の近位端302の方へと長手軸に沿って近位側を向いたディフューザ要素の種々の構成を含むことができ、あるいは装置が、流れが本体300の外へと遠位方向に中央管腔308を通過できるように、円錐316または他のディフューザ要素を含まなくてもよい。
【0035】
図4A~
図4Dを参照すると、流れ分配要素410を備えた装置の実施形態が、中央管腔408から本体400の周囲の複数の開口412へと延びる管腔414を含む。中央管腔408を通る冷凍剤の流れは、最も外側の管腔410に対応する部分の中央部分のより大きな直径と比較して、中央管腔408のより小さな直径からの移行ゆえに、より大きな直径へと実質的に円錐状に広がる。移行の角度は、例えば液体チッ素に関して約25°~約30°など、飽和多相混合物の膨張に特徴的な角度であってよい。次いで、流れは、複数の管腔410を通って分配される。各々の管腔410は、開口412(例えば、半径方向の開口、半径方向のスロット、またはリング)の別個の列に対応する。
図4Bに示されるように、管腔410は、本体400内を長手軸に平行に遠位側へと延び、次いで対応する開口412へと曲線に沿って徐々に移行するが、経路は、
図3A~
図3Cに関して上述した経路など、所望のとおりの経路であってよい。緩やかな曲線により、環状チャネル410内の流れは、90度の角度変化よりも大きな曲率半径および大きな角度で管腔410の長さに沿って軸方向から半径方向へと移行することができる。
図4Cを参照すると、多孔性の鞘416の実施形態が示されている。鞘は、本体400の外面の周りに配置され、開口412を覆うことができる。多孔性の鞘416は、1つ以上の多孔質リングを備えることができ、各々のリングは、開口412の列に対応でき、あるいは開口412の列を覆うことができる。冷凍剤の流れを開口から均一な煙へと拡散させるうえで助けとなるように、鞘416などの多孔性の鞘を、本開示の任意の実施形態を覆うように配置することができる。鞘は、噴霧の煙を最適に拡散させるように選択された細孔サイズを有する織物メッシュまたは焼結粒子になど、さまざまなやり方で製造可能である。鞘は、開口412からの噴霧を拡散させ、鞘のない開口412の配置と比較して、より連続的な噴霧パターンを生成することができる。開口412から放出された噴霧の粒子を、鞘416によって焼結させ、実質的にランダム化された実質的に均一な噴霧のミストをもたらすことができる。本体400は、
図4A~
図4Cのように実質的に円筒形であってよいが、本体400は、
図4Dのような開口412の間に波形の外側半径方向表面を有する本体400など、他の形状をとることもできる。波形の形状は、この実施形態の製造に必要な材料の量を少なくする。
図4Aおよび
図4Bの開口412は、
図4Cに示されるリングなどのリングで、しかしながら鞘416を備えずに構成されてもよい。
【0036】
図5Aおよび
図5Bを参照すると、流れ分配要素510を有する装置の実施形態が、中央管腔508から本体500の周囲の複数の開口512まで延びる細長い管を備える独立した管腔511を含む。管状管腔511の各々は、独立した開口512に関連付けられている。管状管腔511の各々は、中央管腔508と平行に本体500内を遠位側に、関連の開口512に整列した管状管腔511の半径方向部分へと曲線に沿って延びる近位部分を有する。カテーテルの中央管腔を通る冷凍剤の流れを、流れ分配要素510のより大きな直径へと広げることができる。次いで、流れは、管状管腔511を通って分配される。管状管腔511は、開口512に対して半径方向である半径方向部分へと徐々に延びる。上述のように、長手軸に垂直な角度を含むさまざまな湾曲の角度を、個々の用途に関して所望されるとおりに選択することができる。
図5Aの各々の管状管腔511は、各々の管状管腔511の長さに沿った円弧にて徐々に開口512へと移行する。管状管腔511内の流れは、管状管腔511の長さの全体において軸方向から半径方向へと滑らかに移行する。管状管腔511は、管状管腔511の近位部分において、同心の放射状の円に整列している。管状管腔511のうちの本体500の長手軸により近い管状管腔514は、管状管腔511のうちの本体500の長手軸から半径方向に遠い管状管腔516と比べ、半径方向部分において遠位方向により遠くまで延びている。
【0037】
図6を参照すると、流れ分配要素を有する装置の実施形態は、本体600の中央部分に多孔質体610を含む。多孔質体610は、本体の長手軸に沿って近位端602から遠位端604へと透過性が徐々に低くなる。さらに、多孔質体610は、本体600の長手軸606から外側半径方向表面へと向かう方向に(すなわち、開口612に向かって)徐々に透過性が高くなる。多孔質体610は、望ましい流れおよび分配の特性に対応するために、多孔質体610に沿った他の方向において異方性であってよい。半径方向の透過性が軸方向の透過性と比べてより高い多孔質体610は、開口612に向かって主に半径方向である経路を移動する流れの経路を生じさせる。多孔質体610などの多孔質体は、密度が増加し、あるいは減少する織物ワイヤスクリーンの複数の積層など、多数の構成にて製造可能である。積層されたスクリーンは、スクリーンを法線方向に通過する流路とスクリーンを長手方向に通過する流路との間の幾何学的な違いに起因して、異方性の流れ抵抗を本質的に有する。多孔質体610を、開口612の軸方向の列の各々において遠位側になるほどフローインピーダンスが大きくなり、したがって(例えば、透過性の半径方向に均一な変化によって)流れが列間で均等に分配されるように、設計することができる。
【0038】
図7Aおよび
図7Bを参照すると、流れ分配要素を有する装置の実施形態は、中央管腔708から本体700の遠位端まで延び、中央管腔708に流体連通し、中央管腔708と実質的に同軸である分配管腔710を含む。本体700の周囲の複数の開口712も、中央管腔708に流体連通している。分配管腔710は、本体700の長手軸に沿って遠位端の方向に、内径が変化しているいくつかのセクションを有し、各部分は、開口712のうちの少なくとも1つを含んでいる。半径方向の穴としての開口712の各列は、本体700に沿って遠位方向に直径が減少している。冷凍剤の流れは、典型的には、本体の長さに沿って不均一に分配される可能性がある(すなわち、近位部分の開口712と比較して、装置の遠位部分の開口712から出る流れの方が多い)ため、装置の近位部分のより大きな直径の開口712は、遠位部分のより小さな直径の開口712と比べて、流れにとってより抵抗の少ない出口経路を可能にする。この実施形態の中央管腔708を通る冷凍剤の流れは、中央管腔708のより大きな直径から分配管腔710のより小さな直径へと絞られる。分配管腔710は、遠位方向に延び、遠位方向における開口712の各列の後で、直径が変化する。
図7Aにおいて、分配管腔710の直径の変化は、遠位端の方向により大きい。
図7Bにおいて、分配管腔710の直径の変化は、遠位端の方向により小さい。例えば
図7Aなど、いくつかの実施形態は、分配管腔(例えば、710)の近位部分に、中央管腔(例えば、708)よりも小さい直径を有するセクションを有し得る。いくつかの実施形態は、本体700に沿った分配管腔のセクションの直径の変化の組み合わせを有し得る。分配管腔710の直径は、急峻な段階にて変化しても、緩やかな移行またはテーパによって変化してもよい。
図7Aの分配管腔710の周囲の壁の厚さは、本体700に沿って遠位方向に減少しており、これは開口712の深さに関係する。近位部分のより深い開口712は、本体700の遠位部分のより浅い開口と比べて、開口712を出るときの流れの滞留時間がより長い。したがって、
図7Aおよび
図7Bに示されるように、分配管腔の内径の変化が、分配管腔に沿ったセクションからセクションへの本体の壁の厚さの変化に反比例する場合、同様の流れの分配が達成され得る。そのような場合、分配管腔に沿った本体の外側半径方向表面の直径を、一定に保つことができる。分配管腔710の変化する直径は、流体の流れから各々の開口712へともたらされる流体の量に影響を与える。
【0039】
図8Aおよび
図8Bを参照すると、流れ分配要素を有する装置の実施形態は、中央管腔から本体800の遠位端まで延び、中央管腔に流体連通した分配管腔810を含む。分配管腔810は、長手軸に沿って複数の開口812を含む。分配管腔810内のばね814が、本体800の遠位端に取り付けられた遠位端と、近位端とを有する。振動体816が、ばね814の近位端に取り付けられることにより、振動体816は、流れによってばね814の復元力に逆らって押されて、分配管腔810内で振動し、開口812へと流れをより均一に分配する。振動体816は、本体800の近位端からの流れの方向に逆らう向きの円錐形のディフューザ要素を有する。この実施形態の分配管腔810を通る冷凍剤の流れは、振動体816に衝突し、振動体816の近位側の形状ゆえに、より大きな直径へと実質的に円錐状に広がる。振動816本体のディフューザ要素は、逆円錐、ドーム、逆ドーム、平坦面、直径が増加する任意の形状、直径が指数関数的に増加する形状、などの他の形状をとることもできる。流れは、振動体816に最も近い開口812に向けられる。流体の流れは、軸方向にかつ軸方向の力で振動体816に近づく。この軸方向の力は、振動体816を遠位方向に移動させ、ばね814を圧縮する。振動体816が、分配管腔810内をさらに遠位側に移動するにつれて、開口812の他の列を通り過ぎ、振動体816はこれらの開口812へと冷凍剤の流れを導く。流体の流れの脈動性により、振動体816およびばね814に加わる力が変化し、振動体816が遠位側および近位側に振動して、開口812が露出したときに開口812間に流れを分配する。ばねおよびダンパーが、流れ分配要素に関して、振動体816を軸方向に移動させる行程が、開口812の各列の通過に同じ時間を費やすように設計される。開口812の各列を通る時間平均の流れが等しいと、装置内の流体の瞬間的な流量を減少させ、ガス放出の要件を減らしつつ、噴霧の均一な塗布を生じさせる。この実施形態は、開口812のすべての列に同時に均一には供給しないため、最も遠位側の開口812が、他の開口812と比べて不均衡な量の流れを受け取ることがない。ばね814を、遠位端または近位端において分配管腔810内に取り付けることができる。ばね814は、本体800の遠位端に関連付けられた遠位側構成要素と、振動体816に関連付けられた近位側構成要素とを有する。
ばね814は、ばね814の遠位側構成要素としての一方の磁石と、近位側構成要素および振動体816としての他方の磁石とによる1対の磁石であってもよい。磁石の同様の極を、ばね814の復元力として働くように互いに向き合わせることができる。ばね814は、本体800の遠位端に取り付けられた遠位側構成要素と、振動体816に取り付けられた近位側構成要素とを有することができ、振動体816の背後の遠位側へと圧縮されたガスがばね814の復元力として機能し得る。振動体816を、摩擦を低減することができる流体力学ベアリング上に配置することができる。
【0040】
図9A~
図9Cを参照すると、流れ分配要素を備えた装置の実施形態は、中央管腔から延びる本体900内の分配管腔910を含む。ロッド914が、分配管腔910内に回転可能に配置され、本体900の長手軸に沿って延びる。タービン918が、ロッド914の周りに軸方向に配置される。
分配管腔910への流体の流れが、タービン918およびロッド914を回転させる。少なくとも1つ多管腔部材916が、ロッド914の周囲かつタービン918の遠位側に配置される。
流体の流れは、第1の多管腔部材931の管腔920を構成する半径方向セグメントへと分割される。各々の多管腔部材916の少なくとも1つの管腔920は、半径方向の開口912の複数の列のうちの1つに長手方向に一致する露出した半径方向部分を有する。多管腔部材931の各管腔920は、遠位方向において開口912の列のうちの1つに隣接する実質的に半径方向の壁922にて終わる。実質的に半径方向の壁922は、開口912の特定の列に関連付けられた露出した半径方向部分を有する多管腔部材916の管腔920を終わらせる。露出した半径方向部分を有する管腔920に進入する流体の流れの一部は、実質的に半径方向の壁922に衝突する。流れは、実質的に軸方向から実質的に半径方向に進路を変え、露出した半径方向部分を有する管腔920に流体連通した開口912から出る。流体の流れの残りの部分は、第1の多管腔部材931の残りの管腔920を通って遠位側へと移動する。これらの管腔920は、流体の流れを遠位方向における後続の多管腔部材916へと到達させるために、第1の多管腔部材931の遠位端において開いている。第1の多管腔部材931の実質的に半径方向の壁922で終わっていない管腔920からの流れは、第2の多管腔部材932に到達する。或る多管腔部材916から次の多管腔部材への遠位方向の流れは、流れが第1の多管腔部材931から第2の多管腔部材932、第3の多管腔部材933、第4の多管腔部材934、および第5の多管腔部材935へと続くにつれて、管腔920のうちの1つからの流れをその後失う。各々の多管腔部材916は、他の多管腔部材916の実質的に半径方向の壁922からロッド914を中心にして回転方向にオフセットされた1つの実質的に半径方向の壁922を有する。このようにして、多管腔部材916の半径方向に露出した管腔920の各々が協働して、ロッド914の周りに、開口912によって、約360°の噴霧パターンを形成する。この360°の噴霧パターンのカバー範囲は、各々の多管腔によって、各々の多管腔が約360/n(ここで、「n」は多管腔部材916の数)の角度の円弧に噴霧を行うように分配される(例えば、
図9Aの各々の多管腔部材は、約72°の角度の円弧に噴霧を行う)。多管腔部材916は、タービン918、ロッド914、および多管腔部材916が分配管腔910内で一緒に回転するように、ロッド914に取り付けられる。例えば、
図9Bは、時刻t
0における回転可能タービン918、ロッド914、および多管腔部材916の角度位置を示している。
図9Cは、別の瞬間t
1における回転可能タービン918、ロッド914、および多管腔部材916の角度位置を示している。t
0およびt
1の両方において、約360°の角度の噴霧範囲が存在するが、噴霧範囲の軸方向の深さは、各々の多管腔部材931、932、933、934、および935の実質的に半径方向の壁922ごとに変化する。開口912の列の間の軸方向距離および多管腔部材916の長さが、流体の噴霧によって覆われる領域の量を決定する。この実施形態は、任意の所与の瞬間において一部の開口912のみが有効であるため、必要な総流量を増加させることなく大きな噴霧領域を生み出すことができる。
【0041】
図8A~
図9Cを参照すると、本開示による強化された噴霧のための装置の実施形態は、流体の流量を増加させることなく、冷凍噴霧の体内管腔カバー範囲を増やすことができる。上述の流れ分配要素のこれらの実施形態およびその他の実施形態は、体内管腔の治療を提供するために必要な流体の速度および量のより効率的かつ正確な制御を可能にできる一方で、膨張または他の有害な影響をもたらし得る過剰なガスの蓄積を回避することができる。一度に流れ分配要素内の流体へと開口の一部のみを露出することにより、治療の手順の全体を通してすべての開口を流体の流れに露出する実施形態と比較して、流体の流量をより少なくすることが可能になる。たとえ一度に開口の一部のみが露出されるとしても、すべての開口に沿った冷凍噴霧の完全なカバー範囲を維持することができる。流量が少ないと、冷凍噴霧の遠位側への進入が少なくなる可能性があり、これは特定の解剖学的構造において有用となり得、さらには/あるいは均一なガス放出速度の維持が難しい場合に有用となり得る。
【0042】
図10A~
図10Dを参照すると、流れ分配要素を有する装置の実施形態は、長手軸と、開いた近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間を延びて流れ分配要素に流体連通した複数の管腔1014とを有する細長い部材1010を含む。複数の管腔1014は、流体の流れを半径方向の管腔へと分割する(すなわち、1つの中央管腔または複数の管腔ではない)。流れが最も軸方向である管腔においてより中央に集まる場合や、流れが流れ分配要素1006の最も外側の壁に沿ってより半径方向である場合に、管腔は、流れの不均衡を有し得る。細長い部材1010の周囲に配置された流れ分配要素1006が、長手方向に隣接する複数の環状チャンバ1020を含み、各々のチャンバ1020は、近位端と、遠位端と、チャンバを貫いて延びて細長い部材1010を受け入れる中央管腔1018とを有する。各々のチャンバ1020は、チャンバ1020の外面を巡って1つ以上の半径方向の開口1012を有する。複数の管腔1014の各管腔は、その管腔のための専用のチャンバに流体連通した少なくとも1つの供給開口1016を有する。この実施形態の装置1000を通って供給される流体は、複数の管腔1014の3つの放射状に仕切られた管腔を介して細長い部材を通って流れる。各々の管腔内の流れは、管腔の供給開口1016を通って専用のチャンバ1006へと管腔を出る。次いで、流れは、半径方向の開口1012を通って装置1000の外へとチャンバ1006を出る。複数の管腔1014内の流れを、それぞれが独自の半径方向の開口1012を有している別々のチャンバ1006へと分割することは、バランスされた半径方向の開口1012への流れおよび半径方向の開口1012からの噴霧を生み出す役に立つ。細長い部材の複数の管腔1014の各々は、それぞれのチャンバ1006に専用であり、そのチャンバに流体連通した少なくとも1つの専用の供給開口1016を有する。細長い本体1000をカテーテルに結合させることができる。細長い部材1010の複数の管腔1014の各管腔は、それぞれの環状チャンバ1020に関連付けられた供給開口1016で終わることができる。
【0043】
図11を参照すると、流れ分配要素1110を備えた装置の実施形態は、細長い本体1100に沿って部分的に延びる流れ分配要素1110を有する。本体1100は、カテーテル1130の遠位端開口部に挿入され、あるいはカテーテル1130の遠位端開口部と一体になるように構成される。本体1100は、長手軸と、近位端と、遠位端と、遠位端に位置するバックストッパ1106とを有する。流れ分配要素1110は、カテーテル1130の内面に係合するように構成された細長い本体1100の長手軸から半径方向に延びる複数のフィン1116を含む。バックストッパ1106は、細長い本体1100がカテーテル1130へと挿入されたときにカテーテル1130の遠位端開口部に対して垂直かつカテーテル1130の遠位端開口部に面する表面1108を有する。
表面1108は、遠位方向にカテーテル1130の遠位端開口部から長手方向にオフセットされ、開口部の周りに半径方向の開口1112を形成している。360°の開口1112が、表面1108とカテーテル1130の遠位端との間の空間によって生み出される。カテーテル1130を通る流体の流れは、表面1108と衝突すると、実質的な軸方向から開口1112を通る実質的な半径方向に向けられる。
【0044】
図12Aおよび
図12Bを参照すると、流れ分配要素1210を有する装置の実施形態は、細長い本体1200に沿って部分的に延びる流れ分配要素を有し、本体1200は、カテーテル1230に挿入され、あるいはカテーテル1230と一体になるように構成される。細長い本体1200は、近位端と、遠位端と、遠位端に位置するバックストッパ1206とを有する。流れ分配要素1210は、フィン1216を含む。フィン1216は、フィン1216が細長い本体1200に沿ってバックストッパの方向に延びるにつれて、細長い本体1200の長手軸から遠ざかるように半径方向に徐々に延びる。フィン1216は、細長い本体1200に沿って、らせん状のパターンで遠位方向に延びる。バックストッパ1206は、カテーテル1230の内面に係合するように構成される。細長い本体1200は、カテーテル1230の壁上の突起を受け入れる半径方向の開口であってよい開口1212にカテーテル1230を係合させることができる。反対に、突起が装置上にあり、カテーテル1230の壁上の刻み目に受け入れられるように構成されてもよい。カテーテル1230を通る流体の流れは、フィン1216及びバックストッパ1206へと移行する細長い本体1200によって、実質的に軸方向から開口1212を通る実質的に半径方向へ向けられる。細長い本体1200は、流れが遠位側へと移動するにつれて流体の流れに対する断面抵抗が増すように、本体1200からバックストッパ1206へと移行する傾斜部1214を有する。フィン1216のらせん状のパターンは、流れの回転を促進し、求心加速度ゆえに開口1212へと向かう半径方向の流れを増加させる。細長い本体1200の傾斜部1214およびフィン1210は、バックストッパ1206から独立していて、むしろ軸方向のシャフトおよびモータアセンブリ上に配置されてもよい。モータは、傾斜部1214およびフィン1210を回転させ、流体の流れを概して開口1212の方へと導くことができる。
【0045】
図13を参照すると、流れ分配要素を有する装置の実施形態は、カテーテル1330へと挿入されるように構成された細長い本体1300を有する。細長い本体1300は、細長い本体1300に沿った1つ以上の隆起部1302を介してカテーテル1330と係合する。リング1332が、本体1300が所定の位置に保持されるように、カテーテル1330の刻み目にはまり込むことができる。リング1332および/または隆起部1302に代え、あるいはリング1332および/または隆起部1302に加えて、本体1300を、ねじ山、接着、干渉、などによってカテーテル1330内の適所に固定してもよい。細長い本体1300は、近位端と、遠位端と、遠位端に取り付けられたバックストッパ1306とを有する。バックストッパ1306は、カテーテル1330の遠位端開口部に面する凹面1308を有する。
流れ分配要素1310は、カテーテル1330の管腔の方へとカテーテル1330の開口部からの流れの方向に逆らって近位側に延びる凹面1308からのディフューザ要素1314を含む。ディフューザ要素1314は、先端部から凹面1308への湾曲した移行を有する。バックストッパ1306および流れ分配要素1310は、細長い本体1300の管腔内に同心円状に配置され、あるいは細長い本体1300の管腔の一部として一体化されるように構成される。凹面1308は、細長い本体1300の遠位端からオフセットされ、開口1312を生じさせる。開口1312は、細長い本体1300の長手軸に対して垂直な平面から近位側に20°に向けられる。この近位側への向きは、開口1312からの流れを近位側へと導き、したがって流れからの流体が体内管腔へと遠位側に噴霧されることがない。所望の偏向パターンを達成するために、他の配向角度を所望に応じて選択することができる。バックストッパ1306は、細長い本体1300と係合するディフューザ要素1314のいくつかの支柱によって細長い本体1300に接続されてよい。ディフューザ要素1314の支柱は、開口1312のギャップを遠位側へとまたぐが、開口1312を実質的に妨げないように充分に薄い。ディフューザ要素1314の支柱の厚さおよび数は、バックストッパ1306と細長い本体1300との間の接続強度の所望の量、および開口1312からの噴霧の所望の流れによって決定され得る。
【0046】
種々の実施形態において、開口は、例えば約5ミリメートル離して配置された6つの列など、開口の複数の列を含むことができる。開口は、例えば直径約0.015インチ(約0.381ミリメートル)の等間隔に配置された24個の穴など、さまざまな形状およびサイズを備えることができる。開口の向きは、半径方向、近位方向、または遠位方向、あるいはこれらの何らかの組み合わせであってよい。
【0047】
本明細書において開示および請求されるすべての装置および/または方法は、本開示に照らして、過度の実験を必要とすることなく作製および実行することが可能である。本開示の装置および方法を、好ましい実施形態に関して説明してきたが、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の装置および/または方法ならびに方法のステップまたはステップの順序に変更を適用できることは、当業者にとって明らかであろう。当業者に明らかなすべてのそのような類似の代替物および修正は、添付の特許請求の範囲によって定められるとおりの本開示の精神および範囲に包含されると見なされる。