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▶ パフ インドゥストリージステーメ ウント マシーネン ゲーエムベーハーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】ミシン
(51)【国際特許分類】
   D05B 73/02 20060101AFI20230721BHJP
【FI】
D05B73/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020556747
(86)(22)【出願日】2019-03-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2019055326
(87)【国際公開番号】W WO2019201501
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-01-25
(31)【優先権主張番号】102018205835.0
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518137944
【氏名又は名称】パフ インドゥストリージステーメ ウント マシーネン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】カレンバッハ ハーラルト
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー ベルトールト
(72)【発明者】
【氏名】ザムスターク シュテファン
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】西独国特許出願公開第3516734(DE,A1)
【文献】中国実用新案第202247280(CN,U)
【文献】欧州特許出願公開第0939159(EP,A1)
【文献】特開平5-220282(JP,A)
【文献】特開昭54-140651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B 33/00
D05B 73/02
D05B 73/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシンハウジング(2)を有するミシンであって、
- ハウジング下部(3)と、
- 縫製ヘッド(6)を有するハウジング上部(4)と、
- 前記ハウジング下部(3)を前記ハウジング上部(4)に接続するスタンド(5)と、を備え、
前記ハウジング上部(4)は、
- スタンド側アームハウジング部分(7)と、
- ヘッド側アームハウジング部分(8)と、
- 前記スタンド側アームハウジング部分(7)と前記ヘッド側アームハウジング部分(8)の間の継ぎ手(23)と、を備え、
前記継ぎ手(23)は、前記ヘッド側アームハウジング部分(8)が、縫製材料の受け取り又は引き渡しのための準備位置と、前記縫製材料を縫製する縫製位置との間で旋回可能であるように配置されているミシンにおいて、
前記ハウジング上部(4)の縫い目形成部品に駆動ユニットを接続するための伸縮式関節アームシャフト(16)を備えることを特徴とするミシン。
【請求項2】
前記伸縮式関節アームシャフト(16)は、スタンド側アームシャフト継ぎ手(20)とヘッド側アームシャフト継ぎ手(21)を有し、
伸縮要素(22)が、前記スタンド側及びヘッド側アームシャフト継ぎ手(20、21)の間に配置されることを特徴とする請求項1に記載のミシン。
【請求項3】
前記ヘッド側アームハウジング部分(8)を前記準備位置、又は前記縫製位置に旋回させることができる旋回駆動部(27)を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のミシン。
【請求項4】
前記旋回駆動部(27)は、空気圧シリンダであることを特徴とする請求項3に記載のミシン。
【請求項5】
縫製の間、前記ヘッド側アームハウジング部分(8)を前記縫製位置に保持するロックユニット(35)を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のミシン。
【請求項6】
前記ロックユニット(35)は、空気圧シリンダ(38)を備えることを特徴とする請求項5に記載のミシン。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のミシン(1)を有する、空間にある多次元の縫い目を縫製するための縫製ユニット。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のミシン(1)を有する、一平面にある多方向の縫い目を縫製するための縫製ユニット。
【請求項9】
空間にある多次元の縫い目、又は一平面にある多方向の縫い目を縫製する方法であって、
- 請求項7又は8に記載の縫製ユニットを提供するステップと、
- 縫製する前記縫製材料を受け取るために、前記ヘッド側アームハウジング部分(8)を受け取り位置に旋回するステップと、
- 前記ヘッド側アームハウジング部分(8)を縫製位置に旋回するステップと、
- 前記縫製位置で少なくとも1つの縫い目を縫製するステップと、
- 前記ヘッド側アームハウジング部分(8)を、前記縫製材料を引き渡すための引き渡し位置に旋回するステップと、
を備える方法。
【請求項10】
前記ヘッド側アームハウジング部分(8)は、縫製前にロックされるか、又は縫製後にロック解除されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、ドイツ特許出願DE 10 2018 205 835.0の優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、ミシン及びミシンを有する縫製ユニット、並びに縫製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなミシン及び縫製ユニットは、出願人のRS562ミシン及びKL500縫製ユニットの公衆の先使用から知られている。加えて、出願人のミシン3590varioは、公衆の先使用から知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、特に縫製材料搬送体又は縫製材料テンプレートに適用される、縫製材料へアクセスする、又は、それらを処理する改善された能力が保証されるように、上記のタイプのミシンをさらに開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この課題は、請求項1に特定された特徴を備えるミシンによって解決される。
【0005】
ヘッド側アームハウジング部分を縫製材料の受け取り(picking up)/引き渡し(delivering)のための準備位置に旋回することで、縫製ヘッドの縫い目形成部品とハウジング下部の縫い目形成部品との間の隙間が大きくなり、特に、縫製材料搬送体又は縫製材料テンプレートに適用される縫製材料の受け取りがより容易になる。これにより、縫い目形成部品への供給時、又は縫い目形成部品からの取り外し時に、縫製材料を損傷するリスクが低減される。これは、タッチセンシティブな材料にとって特に有利である。これは、複数のレイヤーを含む複合材料からなる縫製材料の場合に特に当てはまり、それらの1つは、いわゆる「スラッシュ表皮(slush skin)」である。このようなスラッシュ表皮は、粉末焼結プロセスで製造できる。このような材料は、ダッシュボードサポート、アームレスト、コンソールカバー又はドアパネルなどの車両内装部品に好ましくは使用される。一般に、このような車両内装部品には装飾用の縫い目、すなわち部品接続として機能しない縫い目が付けられている。
【0006】
特に、縫製材料を損傷するリスクを低減しつつ、到達しづらい領域への縫製材料搬送体の位置決めを容易にできる。
【0007】
有利には、スタンド側アームハウジング部分の長手方向軸とヘッド側アームハウジング部分の長手方向軸との間の角度は、45°以下であり、特に30°以下であり、特に15°以下である。
【0008】
スタンド側アームハウジング部分とヘッド側アームハウジング部分との間の継ぎ手は、スタンド側アームハウジング部分からヘッド側アームハウジング部分への遷移領域を形成する。
【0009】
請求項1に記載の伸縮式関節アームシャフトは、ミシンの有利で費用効果の高い実施形態を提供する。伸縮式関節アームシャフトは、好ましくは、カルダンシャフトとして設計され、ハウジング上部の縫い目形成部品への動作可能な接続が、準備位置であっても維持される。
【0010】
請求項2に記載の伸縮式関節アームシャフトは、構造において有利である。伸縮要素は、ヘッド側アームハウジング部分の縫製位置から準備位置への旋回移動(その逆方向も含む)による長さの変化を補償するために有利に使用される。好ましくは、伸縮要素は、耐トルクな方法で、ヘッド側及びスタンド側のアームシャフト継ぎ手に接続される。特に好ましい実施形態では、スタンド側、及び/又はヘッド側のアームシャフト継ぎ手は、ユニバーサル継ぎ手として設計される。
【0011】
請求項3に記載の旋回駆動部は、旋回移動が正確に実行されることを保証する。旋回駆動部がアクチュエータ又はモータとして設計されていると有利である。特に、旋回駆動部は空気圧、油圧、又は電気シリンダである。
【0012】
空気圧シリンダとして設計された、請求項4に記載の旋回駆動部は、設計の点で特に有利である。有利には、空気圧シリンダは、両側を圧縮空気で加圧できる空気圧シリンダとして設計されており、複動式空気圧シリンダとも呼ばれる。
【0013】
請求項5に記載のロックユニットは、縫製の間、ヘッド側アームハウジング部分が縫製位置に留まることを確実にする。旋回駆動部を縫製位置にプリテンションすることにより、ヘッド側アームハウジング部分がさらに固定されることが有利である。
【0014】
請求項6に記載のロックユニットを用いて、構造的に有利で費用効果の高い実施形態が提供される。
【0015】
本発明のさらなる目的は、縫製材料への改善されたアクセス可能性及び/又は作業性を備えた、空間にある多次元の縫い目を縫製するための縫製ユニットを提供することである。
【0016】
本発明によれば、この目的は、請求項7で特定された特徴を備える縫製ユニットによって解決される。
【0017】
有利には、縫製ユニットはロボット縫製ユニットとして設計される。これは、好ましくはロボットアームを含み、所望に制御される方法で、ミシンを5又は6自由度で空間内に方向づけできる。この実施形態では、縫製材料をホルダーに静止した状態で固定できる。
【0018】
有利な代替実施形態では、ロボットアームは、加工品が所望に制御される方法で5又は6自由度で空間内に方向づけできるように、縫製材料搬送体上に配置される。この実施形態では、ミシンは静止した状態で固定できる。
【0019】
本発明の追加の目的は、縫製材料の改善されたアクセス可能性及び/又は作業性を備える、一平面にある多方向の縫い目を縫製するための縫製ユニットを提供することである。
【0020】
本発明によれば、この目的は、請求項8で特定された特徴を備える縫製ユニットによって解決される。
【0021】
特に、縫製ユニットはCNC縫製ユニットとして設計されている。
【0022】
有利には、縫製ユニットは、プログラム可能な大面積自動ミシンとして設計されている。この実施形態では、縫製材料は、縫製材料テンプレート内に配置されている。縫製テンプレートは、形成される縫い目に応じて縫製テーブル上を移動される。
【0023】
本発明の追加の目的は、空間に多次元的に存在する縫い目、又は一平面に多方向に存在する縫い目を縫製する方法を提供することであり、これにより、縫製材料のアクセサビリティ(接近し易さ)が改善される。
【0024】
本発明によれば、この目的は、請求項9に特定された特徴を有する方法によって解決される。
【0025】
準備位置では、ハウジング上部とハウジング下部での縫い目形成部品の隙間が大きくなり、縫製材料を損傷するリスクが低減される。これは、タッチセンシティブな素材に特に有利である。縫製する縫製材料を受け取るための受け取り位置と、縫製する縫製材料を引き渡すための引き渡し位置は、ミシンに関して既に説明した準備位置とすることができる。
【0026】
請求項10に記載の方法は、中断なく縫製を行なうことを保証する。
【0027】
本発明の例示的な実施形態は、図を使用して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】縫製位置で空間にある多次元の縫い目を縫製する縫製ユニットのミシンにおける内部の詳細を示す側面図である。
図2図1のミシンの、ヘッド側アームハウジング部分及び、部分的なスタンド側アームハウジング部分の拡大図である。
図3】準備位置で空間にある多次元の縫い目を縫製する縫製ユニットのミシンにおける側面図であり、さらなる内部の詳細を示している。
図4図3の準備位置にあるミシンの、ヘッド側アームハウジング部分及び、部分的なスタンド側アームハウジング部分の拡大図である。
図5図1のミシンのロック解除状態におけるヘッド側アームハウジング部分の図であり、再度拡大して内部の詳細を示している。
図6】ロック状態における図5のヘッド側アームハウジング部分の図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1から図6は、ミシン1を有する縫製ユニットの実施形態を示しており、それは図示されていないロボット縫製ユニットで使用される。ミシン1は、同一平面にある多方向の縫い目を縫製するための広範囲自動ミシン、特にCNC縫製ユニットなどの他の縫製ユニットで使用できる。
【0030】
図1から図6に詳細に示されている、ロボット縫製ユニット用のミシン1は、空間にある縫い目、特に空間上で平らな三次元でない縫い目を縫うために使用される。縫製ユニットの例示的な用途は、例えばインストルメントパネル、ドアパネル又はアームレストなどの、車両の内装における装飾的な縫い目の取り付けである。好ましくは、そのような車両内装部品は、粉末焼結プロセスによって製造される、いわゆる「スラッシュ表皮」からなる。ロボット縫製ユニットは、ロボットアーム(図示せず)を含み、それにより、ミシン1が任意に制御される方法で、空間上に5又は6自由度で方向付けられる。
【0031】
位置関係を容易にするために、デカルトxyz座標系が図に示されている。x軸は、図1の描画平面に垂直であり、その方向に延びる。y方向は図1の左側に延び、z方向は図1の上方向に延びる。
【0032】
図1のミシンは、空間にある多次元の縫い目を縫製するための縫製位置にある。ミシンハウジング2を備えるミシン1は、ハウジング下部3、ハウジング上部4、及びハウジング下部3とハウジング上部4とを接続するスタンド5を有するC字型の基本構造を有する。ハウジング下部3及びハウジング上部4は、y方向に沿って延びる。スタンド5は、z方向に沿って延びる。
【0033】
縫製ヘッド6を備えるハウジング上部4は、y方向に沿ってスタンド側アームハウジング部分7とヘッド側アームハウジング部分8とに分割されている。ヘッド側アームハウジング部分8には、針棒9及びそれに付された図示の縫い針10などの縫い目(ステッチ)形成部品が設けられている。また、ヘッド側アームハウジング部分8には、それ自体公知の縫い目長さ設定装置11と、それ自体公知の針送り装置12とが設けられている。
【0034】
もう1つの縫い目形成部品はグリッパー13であり、それは、グリッパー下部14上での縫い目形成のために縫い針10と同期して駆動される。グリッパー13は、本質的にステッチプレート39によって覆われている。グリッパー下部14は、ミシン1のz軸に沿ってコラム(円柱)を形成する。グリッパー下部14は、ハウジング下部3のヘッド側に位置している。グリッパー下部14及びハウジング下部3の両方は、図示されていないグリッパー駆動部品を含む。さらに、グリッパー下部14は、2つのレバー40を有する。後者は、グリッパー継ぎ手(詳細には示されていない)において、動きを伝達する役割を有する。
【0035】
グリッパー下部14のコラム状の設計により、ミシン1で縫い目が形成される縫い目形成領域は、すべての側から自由にアクセス可能である。
【0036】
回転運動は、駆動シャフト(図示せず)を有する駆動モータを介して生成され、それにより、縫い目形成部品、すなわち、縫い針10を有する針棒9及びグリッパー13は、既知の方法で駆動される。歯付きベルト15を介して、回転運動は、ハウジング上部4内の伸縮式関節アームシャフト16及びハウジング下部3内の下部アームシャフト17に伝達される。下部アームシャフト17は、他のグリッパー駆動部品によりグリッパー13と動作可能に接続されている。この目的のために、歯付きベルト15は、伸縮式上部アームシャフトギア18と下部アームシャフトギア19とを結び付ける。
【0037】
伸縮式関節アームシャフト16は、ハウジング上部4内をy方向に沿って延び、スタンド側アームシャフト継ぎ手20、ヘッド側アームシャフト継ぎ手21、及び、それらの間に配置された伸縮要素22を有する。後者は耐トルク接続として設計されており、伸縮式関節アームシャフト16の回転運動を、縫い目形成部品(特に、ステッチ長さ設定装置11)に伝達することが保証される。スタンド側及びヘッド側アームシャフト継ぎ手20、21は、ユニバーサル継ぎ手として設計されており、これはカルダン継ぎ手(cardan joint)とも呼ばれる。換言すれば、伸縮式関節アームシャフト16は、精密関節シャフトとして設計されており、カルダンシャフトとも呼ばれる。これにより、角度のある(斜めの)シャフトトレーン(shaft train)でトルクを伝達できる。
【0038】
スタンド側アームハウジング部分7とヘッド側アームハウジング部分8との間の遷移領域には、継ぎ手23が配置されている。その継ぎ手23は、x方向に沿って延びる継ぎ手軸24を有する(図6)。継ぎ手23は、スタンド側アームハウジング部分7の領域でハウジング上部4の上部ハウジング壁25に取り付けられ、継ぎ手ブリッジ26を介してヘッド側アームハウジング部分8に接続される。
【0039】
旋回駆動部27を介して、ヘッド側アームハウジング部分8は、継ぎ手軸24を中心に、縫製位置から縫製材料を受け取り/引き渡しするための準備位置に旋回される(図3及び4)。図示の実施形態では、旋回駆動部27は、空気圧シリンダとして設計されている。
【0040】
準備位置では、縫製材料搬送体又は縫製材料テンプレートに適用される縫製材料は、方法の段階によって、縫い目形成部品の反対側に配置されるか、又は移動される。したがって、方法の段階によって、準備位置は、受け取り位置又は引き渡し位置として理解されるべきである。
【0041】
準備位置では、ヘッド側アームハウジング部分8の縫い目形成部品(特に縫い針10)の、ハウジング下部3の縫い目形成部品(特にグリッパー13又はステッチプレート39)に対する隙間(ギャップ)28が、y及びz方向に増大する(図3)。これにより、特に、縫製材料搬送体又は縫製材料テンプレートに適用される縫製材料の受け取り、又は引き渡しが容易になる。
【0042】
旋回駆動部27は、スタンド側ラジアル軸受け29とヘッド側ラジアル軸受け30を有し、スタンド側ラジアル軸受け29はスタンド側アームハウジング部分7に設けられ、ヘッド側ラジアル軸受け30はヘッド側アームハウジング部分8に設けられている。スタンド側ラジアル軸受け29及びヘッド側ラジアル軸受け30は、部分的に図示された作動シリンダ31によって接続されている(図4参照)。縫製位置から準備位置への旋回移動は、作動シリンダ31が最終位置まで伸長する方法で、旋回駆動部27によって行われる。旋回移動の結果として、ヘッド側ラジアル軸受け30は、y及びz方向に移動される。
【0043】
縫製位置から準備位置への旋回移動中に、ヘッド側アームハウジング部分8は、スタンド側アームハウジング部分7に関して40°まで旋回される。これにより、三角形のスペース32が生じるが、伸縮式関節アームシャフト16とヘッド側アームハウジング部分8内の縫い目長さ設定装置11との間の接続は維持される。これは、伸縮要素22を後退位置から伸長位置に移動することによって達成される。このような位置では、ヘッド側アームシャフト継ぎ手21がy方向に移動する。同時に、縫い目長さ設定装置11と動作可能に接続されている伸縮式関節アームシャフト16の部分区間は、角度が付けられる。
【0044】
結果として生じる三角形のスペース32は、示されるカバー33によって覆われる。これは、ほこりの侵入を防ぐ。さらに、三角形のスペース32によって形成される危険箇所は、少なくとも一部の領域で露出している部品、特に伸縮式関節アームシャフト16のために最小化されるか、又は排除される。
【0045】
ヘッド側アームハウジング部分8の準備位置から縫製位置への旋回移動は、作動シリンダ31がストッパ34に到達するまで後退する方法で、旋回駆動部27よって行われる。スペース32はそれに応じて閉じられ、隙間28は減少する。ヘッド側アームハウジング部分8は、縫製位置にある。
【0046】
縫製時に、ヘッド側アームハウジング部分8を縫製位置に固定するためのロックユニット35が設けられている(図5図6)。これは、ピン36と閉鎖部分37とを備え、ピン36はスタンド側アームハウジング部分7に配置され、閉鎖部分37はヘッド側アームハウジング部分8に固定され、縫製位置においてスタンド側アームハウジング部分7に突出している(図6)。空気圧シリンダ38を使用して、ピン36をロックのために閉鎖部分37の中に移動し、及び、ピン36をロック解除のために閉鎖部分37の外へ移動する。縫製時にヘッド側アームハウジング部分8を縫製位置に追加固定するために、作動シリンダ31に圧力が加えられる。
【0047】
以下では、空間に多次元的にある縫い目を縫う方法について、より詳細に説明する。この目的のために、方法はミシンに関係なく同様であることに留意されたい。
【0048】
最初、ヘッド側アームハウジング部分8は縫製位置にあり、ロックが解除されている(図1、3、及び5)。特に縫製材料搬送体に適用される、縫製対象の縫製材料を受け取るために、ヘッド側アームハウジング部分8は受け取り位置に旋回される。ここで、受け取り位置とは、上記した準備位置を意味すると理解される。したがって、旋回駆動部27の作動シリンダ31を終端位置まで伸ばすことにより、ヘッド側アームハウジング部分8が旋回される。これにより、隙間28が生じ、縫製対象の縫製材料をグリッパー13及びグリッパー下部14に整列させることができる。
【0049】
縫製する縫製材料が揃うと、ヘッド側アームハウジング部分8が受け取り位置から縫製位置まで旋回する。これは、旋回駆動部27の作動シリンダ31をストッパ34まで移動することにより達成される。
【0050】
この位置で、作動シリンダ31を加圧することにより、ヘッド側アームハウジング部分8がロックされる。また、ヘッド側アームハウジング部分8は、縫製作業が開始される前にロックユニット35によりロックされる。この目的のために、ピン36は、空気圧シリンダ38によって閉鎖部分37の中に移動する。
【0051】
続いて、少なくとも1つの縫い目が縫われる。縫い目自体は、ダブル本縫い、シングル本縫い、又はダブルチェーン縫いとしてデザインできる。縫製ユニットに応じて、空間に多次元にある少なくとも1つの縫い目、又は一平面に多方向にある少なくとも1つの縫い目が縫製される。
【0052】
縫製が終了すると、ヘッド側アームハウジング部分8のロックが解除される。この目的のために、ピン36は、空気圧シリンダ38によって閉鎖部分37の外に移動する。
【0053】
続いて、作動シリンダ31が再び終端位置まで伸長され、ヘッド側アームハウジング部分8を引き渡し位置に旋回させる。ここで、引き渡し位置とは、上記の準備位置を意味すると理解される。これに対応して、縫い針10とグリッパー13との間の隙間28が再び増加し、その結果、縫製された縫製材料を移動させることができる。
【0054】
用途に応じて、縫製される別の新しい縫製材料を続いて配置できる。
【符号の説明】
【0055】
1 ミシン
2 ミシンハウジング
3 ハウジング下部
4 ハウジング上部
5 スタンド
6 縫製ヘッド
7 スタンド側アームハウジング部分
8 ヘッド側アームハウジング部分
9 針棒
10 縫い針
11 設定装置
12 針送り装置
13 グリッパー
14 グリッパー下部
15 歯付きベルト
16 伸縮式関節アームシャフト
17 下部アームシャフト
18 伸縮式上部アームシャフトギア
19 下部アームシャフトギア
20 スタンド側アームシャフト継ぎ手
21 ヘッド側アームシャフト継ぎ手
22 伸縮要素
23 継ぎ手
24 継ぎ手軸
25 上部ハウジング壁
26 継ぎ手ブリッジ
27 旋回駆動部
28 隙間(ギャップ)
29 スタンド側ラジアル軸受け
30 ヘッド側ラジアル軸受け
31 作動シリンダ
32 スペース
33 カバー
34 ストッパ
35 ロックユニット
36 ピン
37 閉鎖部分
38 空気圧シリンダ
39 ステッチプレート
40 レバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6