(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】ムスカリンM1および/またはM4受容体のアゴニストとしての架橋化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 498/08 20060101AFI20230721BHJP
A61K 31/537 20060101ALI20230721BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20230721BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20230721BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20230721BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230721BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230721BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230721BHJP
C07D 519/00 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
C07D498/08 CSP
A61K31/537
A61K31/55
A61P25/04
A61P25/18
A61P25/28
A61P29/00
A61P43/00 105
C07D519/00
C07D519/00 301
(21)【出願番号】P 2020571690
(86)(22)【出願日】2019-06-24
(86)【国際出願番号】 GB2019051780
(87)【国際公開番号】W WO2019243851
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-22
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514120896
【氏名又は名称】ヘプタレス セラピューティクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Heptares Therapeutics Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ジャイルズ・アルバート
(72)【発明者】
【氏名】テオバルド,バリー・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】テハン,ベンジャミン・ジェラルド
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-528489(JP,A)
【文献】国際公開第2008/117229(WO,A1)
【文献】特表2017-507997(JP,A)
【文献】国際公開第2018/069732(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/077292(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/021730(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/021729(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/021728(WO,A1)
【文献】特表2018-508562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物:
【化1】
またはその塩(式中、
R
1は、NR
5R
6;CONR
8R
9;O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい5員環または6員環から選択されるか、またはR
1は、R
2と連結して、置換されていてもよいスピロ環式基を形成し、
R
2は、水素;フッ素;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;および1~6個のフッ素原子により置換されていてもよいC
1~3非芳香族炭化水素基から選択され、炭化水素基の炭素原子の1個は、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択されるヘテロ原子により交換されていてもよく、またはR
2は、R
1と連結して、置換されていてもよいスピロ環式基を形成し、
R
4は、Hまたは1~6個のフッ素原子により置換されていてもよいC
1~6非芳香族炭化水素基であり、炭化水素基の1個または2個であるがすべてではない炭素原子は、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択されるヘテロ原子により交換されていてもよく、
R
5は、COR
7、非芳香族C
1~6炭化水素基(1個または複数のフッ素原子により置換されていてもよく、またはO、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を含有する5員環または6員環により置換されていてもよい)であるか、またはR
5は、R
6と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができ、
R
6は、水素、非芳香族C
1~6炭化水素基(1個または複数のフッ素原子により置換されていてもよく、またはO、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい5員環または6員環により置換されていてもよい)であるか、またはR
6は、R
5またはR
7と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができ、
R
7は、1個または複数のフッ素原子により置換されていてもよい非芳香族C
1~6炭化水素基であるか、またはR
7は、R
6と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができ、
R
8は、水素、非芳香族性C
1~6炭化水素基(1個または複数のフッ素原子により置換されていてもよい)であるか、またはR
8は、R
9と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができ、
R
9は、非芳香族C
1~6炭化水素基(1個または複数のフッ素原子により置換されていてもよい)であるか、またはR
9は、R
8と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができる)。
【請求項2】
R
1が、NR
5R
6;CONR
8R
9;OまたはNから選択される1個または2個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい5員環または6員環から選択されるか、またはR
1が、R
2と連結して、OまたはNから選択される0個、1個または2個のヘテロ原子を含有する3個、4個または5個の原子を有する置換されていてもよいスピロ環式環を形成する、請求項1に記載の化合物
またはその塩。
【請求項3】
R
1が、R
2と連結して、OまたはNから選択される0個、1個または2個のヘテロ原子を含有する3個、4個または5個の原子を有する置換されていてもよいスピロ環式環を形成する、請求項2に記載の化合物
またはその塩。
【請求項4】
R
1が、R
2と連結して、OまたはNから選択される0個、1個または2個のヘテロ原子を含有する3個、4個または5個の原子を有する置換されていてもよいスピロ環式環を形成し、任意選択の置換基が、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルもしくはアミノ、またはさらなる縮合環から選択される、請求項3に記載の化合物
またはその塩。
【請求項5】
R
1が、1個または2個の窒素ヘテロ原子を含有する置換されていてもよい5員芳香族環または6員芳香族環である、請求項2に記載の化合物
またはその塩。
【請求項6】
R
1が、1個または2個の窒素ヘテロ原子を含有する置換されていてもよい5員芳香族環または6員芳香族環であり、任意選択の置換基が、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択される
、請求項
1から5のいずれか一項に記載の化合物
またはその塩。
【請求項7】
R
1が、NR
5R
6である、請求項2に記載の化合物
またはその塩。
【請求項8】
R
5が、COR
7、非芳香族C
1~6炭化水素基(0個、1個または2個の窒素ヘテロ原子を含有する6員芳香族環により置換されていてもよい)から選択されるか、またはR
5が、R
6と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができるか、またはR
7が、R
6と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができる、請求項7に記載の化合物
またはその塩。
【請求項9】
R
5が、COCH
3、非芳香族C
1~6炭化水素基から選択されるか、またはR
5が、R
6と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成できるか、またはR
5が、COR
7であり、R
7が、R
6と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成することができる、請求項8に記載の化合物
またはその塩。
【請求項10】
R
5が、COCH
3、非芳香族C
1~6炭化水素基から選択されるか、またはR
5が、R
6と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成することができ、任意選択の置換基が、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択され、C
1~C
3アルキルまたはC
1~C
3アルコキシ基が、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択される任意選択の置換基を有することができるか、またはR
5が、COR
7であり、R
7が、R
6と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成することができ、任意選択の置換基が、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択され、C
1~C
3アルキルまたはC
1~C
3アルコキシ基が、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択される任意選択の置換基を有することができる、請求項9に記載の化合物
またはその塩。
【請求項11】
R
6が、水素、非芳香族C
1~6炭化水素基(0個、1個または2個の窒素ヘテロ原子を含有する置換されていてもよい6員芳香族環により置換されていてもよい)から選択されるか、またはR
6が、R
5もしくはR
7と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができる、請求項7から10のいずれか一項に記載の化合物
またはその塩。
【請求項12】
R
6が、水素、非芳香族C
1~6炭化水素基(置換されていてもよいフェニル環により置換されていてもよい)から選択されるか、またはR
6が、R
5またはR
7と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成することができる、請求項11に記載の化合物
またはその塩。
【請求項13】
R
6が、水素、非芳香族C
1~6炭化水素基(置換されていてもよいフェニル環により置換されていてもよい)から選択され、フェニル環の任意選択の置換基が、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択され、C
1~C
3アルキルまたはC
1~C
3アルコキシ基が、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択される任意選択の置換基を有することができるか、またはR
6が、R
5またはR
7と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成することができ、任意選択の置換基が、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択され、C
1~C
3アルキルまたはC
1~C
3アルコキシ基が、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択される任意選択の置換基を有することができる、請求項12に記載の化合物
またはその塩。
【請求項14】
R
1が、CONR
8R
9である、請求項2に記載の化合物
またはその塩。
【請求項15】
R
8が、水素、非芳香族C
1~6炭化水素基であるか、またはR
8が、R
9と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成することができ、任意選択の置換基が、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択される、請求項14に記載の化合物
またはその塩。
【請求項16】
R
9が、非芳香族C
1~6炭化水素基であるか、またはR
9が、R
8と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成し、任意選択の置換基が、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択される、請求項14または請求項15に記載の化合物
またはその塩。
【請求項17】
R
2が、Hであるか、またはR
2が、R
1と連結して、置換されていてもよいスピロ環式基を形成する
、請求項
1から16のいずれか一項に記載の化合物
またはその塩。
【請求項18】
R
2が、R
1と連結して、OまたはNから選択される0個、1個または2個のヘテロ原子を含有する3個、4個または5個の原子を有する置換されていてもよいスピロ環式環を形成し、任意選択の置換基が、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルもしくはアミノ、またはさらなる縮合環から選択される、請求項17に記載の化合物
またはその塩。
【請求項19】
R
1R
2が、
【化2】
から選択される、請求項1に記載の化合物
またはその塩。
【請求項20】
R
4が、H、メチル、エチル、エチニルおよび1-プロピニルから選択される、請求項1から19のいずれか一項に記載の化合物
またはその塩。
【請求項21】
エチル7-[4-(1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-[4-(4-クロロ-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-[4-(4-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-[4-(6-メトキシピリジン-2-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-[4-(2-メトキシピリジン-3-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-[4-(2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-[4-シアノ-4-(ピリジン-2-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-{4-[(2R)-4,4-ジフルオロ-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-イル]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-(6-アザスピロ[2.5]オクタ-6-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート
エチル7-(3-オキソ-2,8-ジアザスピロ[4.5]デカ-8-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-(2-オキソ-1-オキサ-3,8-ジアザスピロ[4.5]デカ-8-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-(4-エチル-2-オキソ-1-オキサ-3,8-ジアザスピロ[4.5]デカ-8-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-(2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1’H-スピロ[インドール-3,4’-ピペリジン]-1’-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-{4-[アセチル(2-メチルプロピル)アミノ]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-{4-[アセチル(2,2-ジメチルプロピル)アミノ]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-(4-{アセチル[(1-メチルシクロプロピル)メチル]アミノ}ピペリジン-1-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-(4-{アセチル[(1-メチルシクロブチル)メチル]アミノ}ピペリジン-1-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-{4-[アセチル(ベンジル)アミノ]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-(2-オキソ-1,4’-ビピペリジン-1’-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-[4-(2-オキソアゼパン-1-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-{4-[(1-メチルシクロブチル)カルバモイル]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-{4-[(2-メチルプロピル)カルバモイル]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-{4-[(シクロブチルメチル)カルバモイル]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-[4-(アゼパン-1-イルカルボニル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-(4-(N-((1-メチルシクロブチル)メチル)アセトアミド)ピペリジン-1-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-(4-(N-ベンジルアセトアミド)ピペリジン-1-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-[4-(1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-[4-(4-クロロ-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-[4-(4-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-[4-(6-メトキシピリジン-2-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-[4-(2-メトキシピリジン-3-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-[4-(2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-[4-シアノ-4-(ピリジン-2-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-{4-[(2R)-4,4-ジフルオロ-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-イル]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-(6-アザスピロ[2.5]オクタ-6-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート
メチル7-(3-オキソ-2,8-ジアザスピロ[4.5]デカ-8-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-(2-オキソ-1-オキサ-3,8-ジアザスピロ[4.5]デカ-8-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-(4-エチル-2-オキソ-1-オキサ-3,8-ジアザスピロ[4.5]デカ-8-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-(2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1’H-スピロ[インドール-3,4’-ピペリジン]-1’-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-{4-[アセチル(2-メチルプロピル)アミノ]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-{4-[アセチル(2,2-ジメチルプロピル)アミノ]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-(4-{アセチル[(1-メチルシクロプロピル)メチル]アミノ}ピペリジン-1-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-(4-{アセチル[(1-メチルシクロブチル)メチル]アミノ}ピペリジン-1-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-(2-オキソ-1,4’-ビピペリジン-1’-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-[4-(2-オキソアゼパン-1-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-{4-[(1-メチルシクロブチル)カルバモイル]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-{4-[(2-メチルプロピル)カルバモイル]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-{4-[(シクロブチルメチル)カルバモイル]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-[4-(アゼパン-1-イルカルボニル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
およびその塩から選択される
、請求項
1から20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項に記載の化合物
またはその塩を含む医薬。
【請求項23】
請求項1から21のいずれか一項に記載の化合物
またはその塩、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項24】
ムスカリンM
1受容体アゴニスト活性を有する、請求項1から21のいずれか一項に記載の化合物
またはその塩。
【請求項25】
認知障害もしくは精神病性障害の処置における使用のための、あるいは急性、慢性、神経性もしくは炎症性疼痛を処置するまたはそれらの重症度を軽減するための
医薬であって、請求項1から21に記載の化合物
またはその塩を含む、医薬。
【請求項26】
認知障害が、アルツハイマー病である、請求項25に記載の
医薬。
【請求項27】
認知障害が、レビー小体型認知症である、請求項25に記載の
医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あるクラスの新規な架橋モルホリン化合物、それらの塩、それらを含む医薬組成物、およびヒトの身体の治療におけるその使用に関する。特に、本発明は、ムスカリンM1および/またはM4受容体のアゴニストであるあるクラスの化合物を対象とし、したがって、アルツハイマー病、統合失調症、認知障害、およびムスカリンM1/M4受容体により媒介される他の疾患の処置、ならびに疼痛の処置または緩和に有用である。
【背景技術】
【0002】
ムスカリンアセチルコリン受容体(mAChR)は、中枢神経系と末梢神経系の両方において、神経伝達物質であるアセチルコリンの作用を媒介する、Gタンパク質共役型受容体スパーファミリーのメンバーである。5つのmAChRサブタイプ、すなわちM1~M5がクローニングされている。M1 mAChRは、皮質、海馬、線条体および視床において、シナプス後に主に発現される。M2 mAChRは、脳幹および視床に主に位置するが、皮質、海馬および線条体にも位置し、これらにおいては、M2 mAChRは、コリン作動性シナプス末端に存在する(Langmeadら、2008年 Br J Pharmacol)。しかし、M2 mAChRは末梢においても、心臓組織表面(M2 mAChRは、心臓の迷走神経支配を媒介する)、ならびに平滑筋および外分泌腺中にも発現する。M3 mAChRは、CNSでは、比較的低いレベルで発現されるが、平滑筋、ならびに汗腺および唾液腺などの腺組織では、幅広く発現する(Langmeadら、2008年Br J Pharmacol)。
【0003】
中枢神経系におけるムスカリン受容体、とりわけM1 mAChRは、一層高い認知処理を媒介する際に重要な役割を果たす。アルツハイマー病などの認知障害に関連する疾患には、前脳基底部におけるコリン作動性ニューロンの喪失を伴う(Whitehouseら、1982年、Science)。認知障害をやはり特徴とする統合失調症では、mAChR密度は、統合失調症の対象の前頭前皮質、海馬および尾状被殻で低下している(Deanら、2002年、Mol Psychiatry)。さらに、動物モデルでは、中枢コリン作動経路の遮断または病変により、深刻な認知欠陥がもたらされ、非選択的mAChRアンタゴニストは、精神病患者における精神異常作用を誘発することが示されている。コロン作動性補充療法は、内因性アセチルコリンの破壊を阻止する、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の使用に主に基づいてきた。これらの化合物は、外来診療所では、症候性認知の低下に対して有効性を示すが、胃腸管運動の障害、徐脈、吐き気および嘔吐を含めた、末梢M2およびM3 mAChRの刺激に起因する用量限定的な副作用を引き起こす(http://www.drugs.com/pro/donepezil.html;http://www.drugs.com/pro/rivastigmine.html)。
【0004】
さらなる発見努力は、認知機能の増大を標的とする、直接的なM1 mAChRアゴニストを特定することを目標に置いてきた。このような努力は、キサノメリン、AF267B、サブコメリン、ミラメリンおよびセビメリンなどの化合物によって例示される、ある範囲のアゴニストの特定をもたらした。これらの化合物の多くは、げっ歯類および/または非ヒト霊長類の両方における認知の前臨床モデルにおいて高い有効性が示された。ミラメリンは、げっ歯類において、作業記憶および空間記憶において、スコポラミン誘発性欠陥に対して有効性を示した。サブコメリンは、マーモセットにおける、視覚的物体認識の課題に有効性を示し、キサノメリンは、受動的回避パラダイムにおいて、認知性能のmAChRアンタゴニスト誘発性欠陥を好転させた。
【0005】
アルツハイマー病(AD)は、高齢者が罹患する、最も一般的な神経性障害(2006年には、世界中で2660万人である)であり、深刻な記憶喪失および認知機能不全をもたらす。疾患の原因論は複雑であるが、2つの顕著な特徴である脳の後遺症:アミロイド-β-ペプチド(Aβ)から主になる、アミロイドプラークの凝集、および過剰リン酸化タウタンパク質により形成される神経原線維変化を特徴とする。Aβの蓄積は、ADの進行における中心的な特徴と考えられており、したがって、ADの処置に対する多数の想定される療法は、現在、Aβ生成の阻害を標的としている。Aβは、膜結合アミロイド前駆体タンパク質(APP)のタンパク質分解的開裂に起因する。APPは、2つの経路、すなわち非アミロイド形成およびアミロイド形成によってプロセシングされる。γ-セレクターゼによるAPPの開裂は、両方の経路に共通しているが、前者では、APPはα-セレクターゼによって開裂を受け、可溶性APPαをもたらす。開裂部位は、Aβ配列内に存在し、それによって、その形成が妨げられている。しかし、アミロイド形成性経路では、APPは、β-セレクターゼによって開裂を受け、可溶性APPβ、およびやはりAβを生じる。インビトロ検討によって、mAChRアゴニストは、可溶性の非アミロイド形成性経路に向かう、APPのプロセシングを促進することができることが示されている。インビボ検討により、mAChRアゴニストであるAF267Bは、アルツハイマー病の様々な構成要素のモデルである、3xTgADトランスジェニックマウスにおいて、疾患様病理を改変することが示された(Caccamoら、2006年、ニューロン)。最後に、mAChRアゴニストであるセビメリンは、アルツハイマー患者において、Aβの脳脊髄液レベルの、わずかではあるが有意な低下をもたらすことが示され、こうして、潜在的な疾患修飾有効性を実証した(Nitschら、2000年、Neurol)。
【0006】
さらに、前臨床検討により、mAChRアゴニストは、前臨床パラダイムの範囲において、非定型抗精神様プロファイルを示すことが示唆された。mAChRアゴニストであるキサノメリンは、ラットにおけるアンフェタミン誘発性運動、マウスにおけるアポモルフィン誘発性木登り、片側6-OH-DA病変ラットにおけるドーパミンアゴニスト推進性の回転運動、およびサル(EPS負荷はない)におけるアンフェタミン誘発性運動過多を含めた、いくつかのドーパミンが推進する挙動を好転させる。ラットにおいて、線条体にではなく、前頭前皮質および側坐核において、A9ではなく、A10、ドーパミン細胞の発火、および条件回避を阻害し、c-fos発現を誘発することがやはり示されている。これらのデータのすべてが、非定型抗精神様プロファイルであることを示唆している(Mirzaら、1999年 CNS Drug Rev)。ムスカリン受容体もまた、中毒の神経生理学に関与している。コカインおよび他の中毒性物質の強化作用は、中脳辺縁系ドーパミンシステムによって媒介され、この場合、行動検討および神経化学的検討により、コリン作動性ムスカリン受容体サブタイプは、ドーパミン作動性神経伝達の調節において重要な役割を果たしていることが示されている。例えば、M(4)(-/-)マウスは、コカインへの曝露の結果として、報酬駆動行動を顕著に増強していることを実証した(Schmidtら Psychopharmacology(2011年)8月;216巻(3号):367~78頁)。さらに、キサノメリンは、これらのモデルにおいて、コカインの作用を遮断することが実証されている。
【0007】
キサノメリン、サブコメリン、ミラメリンおよびセビメリンはすべて、アルツハイマー病および/または統合失調症を処置するための、様々な臨床開発段階に進んでいる。キサノメリンを用いる第II相臨床検討により、アルツハイマー病に関連する行動障害および幻覚を含めた、様々な認知症状ドメインに対して有効であることが実証された(Bodickら、1997年、Arch Neurol)。この化合物はまた、統合失調症薬(schizophrenics)の小規模第II相検討においても評価されており、プラセボ対照と比べると、ポジティブ症状およびネガティブ症状の有意な低下をもたらした(Shekharら、2008年、Am J Psych)。しかし、すべての臨床検討において、キサノメリンおよび他の関連mAChRアゴニストは、吐き気、胃腸管の疼痛、下痢、発汗(発汗多過)、過流延(唾液分泌過剰)、気絶および徐脈を含めた、コリン作動性副作用に関して、許容されない安全マージンを示す。
【0008】
ムスカリン受容体は、中枢疼痛および末梢疼痛に関与している。疼痛は、3種の様々なタイプ:急性、炎症性および神経障害性に分類され得る。急性疼痛は、組織損傷を生じる恐れのある刺激から生物を安全に維持する重要な防御機能の役割をするが、術後疼痛の管理が必要である。炎症性疼痛は、組織損傷、自己免疫応答および病原体の侵襲を含めた、多数の理由のために起こり得、ニューロンの炎症および疼痛をもたらす、神経ペプチドおよびプロスタグランジンなどの炎症性メディエータの作用が引き金となる。神経障害性疼痛は、非疼痛性刺激に対する異常な疼痛感覚に関連するものである。神経障害性疼痛は、脊髄損傷、多発性硬化症、糖尿病(糖尿病性神経障害)、ウイルス感染(HIVまたはヘルペスなど)などの、いくつかの異なる疾患/外傷に関連する。神経障害性疼痛はまた、疾患または化学療法の副作用の結果として、どちらもがんに共通のものでもある。ムスカリン受容体の活性化は、脊髄、および脳内の最も高い疼痛中心では、受容体の活性化により、いくつかの疼痛状態に鎮痛作用があることが示されている。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤によるアセチルコリンの内因性レベルの増大、アゴニストまたはアロステリックモジュレーターによるムスカリン受容体の直接的な活性化は、鎮痛活性を有することが示されている。対照的に、アンタゴニストによるムスカリン受容体の遮断、またはノックアウトマウスの使用により、疼痛の感受性が増大する。疼痛におけるM1受容体の役割に関する証拠は、D.F.FiorinoおよびM.Garcia-Guzman、2012によって、概説されている。
【0009】
さらに最近、末梢で発現するmAChRサブタイプに比べた、M1 mAChRサブタイプに対する選択性の改善を示す少数の化合物が、特定されている(Bridgesら、2008年、Bioorg Med Chem Lett;Johnsonら、2010年、Bioorg Med Chem Lett;Budzikら、2010年、ACS Med Chem Lett)。M3 mAChRサブタイプへの作用が低下するような選択性レベルの向上にも関わらず、これらの化合物の一部は、このサブタイプおよびM2 mAChRサブタイプの両方において、有意なアゴニスト活性を維持している。本明細書において、本発明者らは、M2およびM3受容体サブタイプに比べた、M1および/またはM4 mAChRに対する高い選択性レベルを予想外に示す、一連の化合物を記載する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明
本発明は、ムスカリンM
1および/またはM
4受容体アゴニストとしての活性を有する化合物を提供する。より詳細には、本発明は、M
2およびM
3受容体サブタイプに比べた、M
1またはM
4受容体に対する選択性を示す化合物を提供する。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
式(1)の化合物:
【化1】
またはその塩(式中、
R
1
は、NR
5
R
6
;CONR
8
R
9
;O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい5員環または6員環から選択されるか、またはR
1
は、R
2
と連結して、置換されていてもよいスピロ環式基を形成し、
R
2
は、水素;フッ素;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;および1~6個のフッ素原子により置換されていてもよいC
1~3
非芳香族炭化水素基から選択され、炭化水素基の炭素原子の1個は、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択されるヘテロ原子により交換されていてもよく、またはR
2
は、R
1
と連結して、置換されていてもよいスピロ環式基を形成し、
R
4
は、Hまたは1~6個のフッ素原子により置換されていてもよいC
1~6
非芳香族炭化水素基であり、炭化水素基の1個または2個であるがすべてではない炭素原子は、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択されるヘテロ原子により交換されていてもよく、
R
5
は、COR
7
、非芳香族C
1~6
炭化水素基(1個または複数のフッ素原子により置換されていてもよく、またはO、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を含有する5員環または6員環により置換されていてもよい)であるか、またはR
5
は、R
6
と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができ、
R
6
は、水素、非芳香族C
1~6
炭化水素基(1個または複数のフッ素原子により置換されていてもよく、またはO、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい5員環または6員環により置換されていてもよい)であるか、またはR
6
は、R
5
またはR
7
と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができ、
R
7
は、1個または複数のフッ素原子により置換されていてもよい非芳香族C
1~6
炭化水素基であるか、またはR
7
は、R
6
と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができ、
R
8
は、水素、非芳香族性C
1~6
炭化水素基(1個または複数のフッ素原子により置換されていてもよい)であるか、またはR
8
は、R
9
と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができ、
R
9
は、非芳香族C
1~6
炭化水素基(1個または複数のフッ素原子により置換されていてもよい)であるか、またはR
9
は、R
8
と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができる)。
(項目2)
R
1
が、NR
5
R
6
;CONR
8
R
9
;OまたはNから選択される1個または2個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい5員環または6員環から選択されるか、またはR
1
が、R
2
と連結して、OまたはNから選択される0個、1個または2個のヘテロ原子を含有する3個、4個または5個の原子を有する置換されていてもよいスピロ環式環を形成する、項目1に記載の化合物。
(項目3)
R
1
が、R
2
と連結して、OまたはNから選択される0個、1個または2個のヘテロ原子を含有する3個、4個または5個の原子を有する置換されていてもよいスピロ環式環を形成する、項目2に記載の化合物。
(項目4)
R
1
が、R
2
と連結して、OまたはNから選択される0個、1個または2個のヘテロ原子を含有する3個、4個または5個の原子を有する置換されていてもよいスピロ環式環を形成し、任意選択の置換基が、C
1
~C
3
アルキル、C
1
~C
3
アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルもしくはアミノ、またはさらなる縮合環から選択される、項目3に記載の化合物。
(項目5)
R
1
が、1個または2個の窒素ヘテロ原子を含有する置換されていてもよい5員芳香族環または6員芳香族環である、項目2に記載の化合物。
(項目6)
R
1
が、1個または2個の窒素ヘテロ原子を含有する置換されていてもよい5員芳香族環または6員芳香族環であり、任意選択の置換基が、C
1
~C
3
アルキル、C
1
~C
3
アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択される、先行する項目のいずれか一項に記載の化合物。
(項目7)
R
1
が、NR
5
R
6
である、項目2に記載の化合物。
(項目8)
R
5
が、COR
7
、非芳香族C
1~6
炭化水素基(0個、1個または2個の窒素ヘテロ原子を含有する6員芳香族環により置換されていてもよい)から選択されるか、またはR
5
が、R
6
と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができるか、またはR
7
が、R
6
と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができる、項目7に記載の化合物。
(項目9)
R
5
が、COCH
3
、非芳香族C
1~6
炭化水素基から選択されるか、またはR
5
が、R
6
と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成できるか、またはR
5
が、COR
7
であり、R
7
が、R
6
と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成することができる、項目8に記載の化合物。
(項目10)
R
5
が、COCH
3
、非芳香族C
1~6
炭化水素基から選択されるか、またはR
5
が、R
6
と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成することができ、任意選択の置換基が、C
1
~C
3
アルキル、C
1
~C
3
アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択され、C
1
~C
3
アルキルまたはC
1
~C
3
アルコキシ基が、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択される任意選択の置換基を有することができるか、またはR
5
が、COR
7
であり、R
7
が、R
6
と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成することができ、任意選択の置換基が、C
1
~C
3
アルキル、C
1
~C
3
アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択され、C
1
~C
3
アルキルまたはC
1
~C
3
アルコキシ基が、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択される任意選択の置換基を有することができる、項目9に記載の化合物。
(項目11)
R
6
が、水素、非芳香族C
1~6
炭化水素基(0個、1個または2個の窒素ヘテロ原子を含有する置換されていてもよい6員芳香族環により置換されていてもよい)から選択されるか、またはR
6
が、R
5
もしくはR
7
と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができる、項目7から10のいずれか一項に記載の化合物。
(項目12)
R
6
が、水素、非芳香族C
1~6
炭化水素基(置換されていてもよいフェニル環により置換されていてもよい)から選択されるか、またはR
6
が、R
5
またはR
7
と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成することができる、項目11に記載の化合物。
(項目13)
R
6
が、水素、非芳香族C
1~6
炭化水素基(置換されていてもよいフェニル環により置換されていてもよい)から選択され、フェニル環の任意選択の置換基が、C
1
~C
3
アルキル、C
1
~C
3
アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択され、C
1
~C
3
アルキルまたはC
1
~C
3
アルコキシ基が、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択される任意選択の置換基を有することができるか、またはR
6
が、R
5
またはR
7
と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成することができ、任意選択の置換基が、C
1
~C
3
アルキル、C
1
~C
3
アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択され、C
1
~C
3
アルキルまたはC
1
~C
3
アルコキシ基が、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択される任意選択の置換基を有することができる、項目12に記載の化合物。
(項目14)
R
1
が、CONR
8
R
9
である、項目2に記載の化合物。
(項目15)
R
8
が、水素、非芳香族C
1~6
炭化水素基であるか、またはR
8
が、R
9
と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成することができ、任意選択の置換基が、C
1
~C
3
アルキル、C
1
~C
3
アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択される、項目14に記載の化合物。
(項目16)
R
9
が、非芳香族C
1~6
炭化水素基であるか、またはR
9
が、R
8
と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成し、任意選択の置換基が、C
1
~C
3
アルキル、C
1
~C
3
アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択される、項目14または項目15に記載の化合物。
(項目17)
R
2
が、Hであるか、またはR
2
が、R
1
と連結して、置換されていてもよいスピロ環式基を形成する、先行する項目のいずれか一項に記載の化合物。
(項目18)
R
2
が、R
1
と連結して、OまたはNから選択される0個、1個または2個のヘテロ原子を含有する3個、4個または5個の原子を有する置換されていてもよいスピロ環式環を形成し、任意選択の置換基が、C
1
~C
3
アルキル、C
1
~C
3
アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルもしくはアミノ、またはさらなる縮合環から選択される、項目17に記載の化合物。
(項目19)
R
1
R
2
が、
【化2】
から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目20)
R
4
が、H、メチル、エチル、エチニルおよび1-プロピニルから選択される、項目1から19のいずれか一項に記載の化合物。
(項目21)
エチル7-[4-(1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-[4-(4-クロロ-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-[4-(4-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-[4-(6-メトキシピリジン-2-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-[4-(2-メトキシピリジン-3-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-[4-(2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-[4-シアノ-4-(ピリジン-2-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-{4-[(2R)-4,4-ジフルオロ-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-イル]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-(6-アザスピロ[2.5]オクタ-6-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート
エチル7-(3-オキソ-2,8-ジアザスピロ[4.5]デカ-8-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-(2-オキソ-1-オキサ-3,8-ジアザスピロ[4.5]デカ-8-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-(4-エチル-2-オキソ-1-オキサ-3,8-ジアザスピロ[4.5]デカ-8-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-(2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1’H-スピロ[インドール-3,4’-ピペリジン]-1’-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-{4-[アセチル(2-メチルプロピル)アミノ]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-{4-[アセチル(2,2-ジメチルプロピル)アミノ]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-(4-{アセチル[(1-メチルシクロプロピル)メチル]アミノ}ピペリジン-1-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-(4-{アセチル[(1-メチルシクロブチル)メチル]アミノ}ピペリジン-1-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-{4-[アセチル(ベンジル)アミノ]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-(2-オキソ-1,4’-ビピペリジン-1’-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-[4-(2-オキソアゼパン-1-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-{4-[(1-メチルシクロブチル)カルバモイル]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-{4-[(2-メチルプロピル)カルバモイル]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-{4-[(シクロブチルメチル)カルバモイル]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
エチル7-[4-(アゼパン-1-イルカルボニル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-(4-(N-((1-メチルシクロブチル)メチル)アセトアミド)ピペリジン-1-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-(4-(N-ベンジルアセトアミド)ピペリジン-1-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-[4-(1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-[4-(4-クロロ-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-[4-(4-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-[4-(6-メトキシピリジン-2-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-[4-(2-メトキシピリジン-3-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-[4-(2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-[4-シアノ-4-(ピリジン-2-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-{4-[(2R)-4,4-ジフルオロ-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-イル]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-(6-アザスピロ[2.5]オクタ-6-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート
メチル7-(3-オキソ-2,8-ジアザスピロ[4.5]デカ-8-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-(2-オキソ-1-オキサ-3,8-ジアザスピロ[4.5]デカ-8-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-(4-エチル-2-オキソ-1-オキサ-3,8-ジアザスピロ[4.5]デカ-8-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-(2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1’H-スピロ[インドール-3,4’-ピペリジン]-1’-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-{4-[アセチル(2-メチルプロピル)アミノ]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-{4-[アセチル(2,2-ジメチルプロピル)アミノ]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-(4-{アセチル[(1-メチルシクロプロピル)メチル]アミノ}ピペリジン-1-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-(4-{アセチル[(1-メチルシクロブチル)メチル]アミノ}ピペリジン-1-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-(2-オキソ-1,4’-ビピペリジン-1’-イル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-[4-(2-オキソアゼパン-1-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-{4-[(1-メチルシクロブチル)カルバモイル]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-{4-[(2-メチルプロピル)カルバモイル]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-{4-[(シクロブチルメチル)カルバモイル]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
メチル7-[4-(アゼパン-1-イルカルボニル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート;
およびその塩から選択される、先行する項目のいずれか一項に記載の化合物。
(項目22)
医薬における使用のための、項目1から21のいずれか一項に記載の化合物。
(項目23)
項目1から21のいずれか一項に記載の化合物、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
(項目24)
ムスカリンM
1
受容体アゴニスト活性を有する、項目1から21のいずれか一項に記載の化合物。
(項目25)
認知障害もしくは精神病性障害の処置における使用のための、あるいは急性、慢性、神経性もしくは炎症性疼痛を処置するまたはそれらの重症度を軽減するための、項目1から21に記載の化合物。
(項目26)
認知障害が、アルツハイマー病である、項目25に記載の化合物。
(項目27)
認知障害が、レビー小体型認知症である、項目25に記載の化合物。
【0011】
したがって、第1の実施形態(実施形態1.1)では、本発明は、式(1)の化合物:
【0012】
【化1】
またはその塩(式中、
R
1は、NR
5R
6;CONR
8R
9;O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい5員環または6員環から選択されるか、またはR
1は、R
2と連結して、置換されていてもよいスピロ環式基を形成し、
R
2は、水素;フッ素;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;および1~6個のフッ素原子により置換されていてもよいC
1~3非芳香族炭化水素基から選択され、炭化水素基の炭素原子の1個は、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択されるヘテロ原子により交換されていてもよく、またはR
2は、R
1と連結して、置換されていてもよいスピロ環式基を形成し、
R
4は、Hまたは1~6個のフッ素原子により置換されていてもよいC
1~6非芳香族炭化水素基であり、炭化水素基の1個または2個であるがすべてではない炭素原子は、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択されるヘテロ原子により交換されていてもよく、
R
5は、COR
7、非芳香族C
1~6炭化水素基(1個もしくは複数のフッ素原子により置換されていてもよく、またはO、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を含有する5員環もしくは6員環により置換されていてもよい)であるか、またはR
5は、R
6と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができ、
R
6は、水素、非芳香族C
1~6炭化水素基(1個もしくは複数のフッ素原子により置換されていてもよく、またはO、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を含有する5員環もしくは6員環により置換されていてもよい)であるか、またはR
6は、R
5またはR
7と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができ、
R
7は、1個または複数のフッ素原子により置換されていてもよい非芳香族C
1~6炭化水素基であるか、またはR
7は、R
6と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができ、
R
8は、水素、非芳香族性C
1~6炭化水素基(1個または複数のフッ素原子により置換されていてもよい)であるか、またはR
8は、R
9と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができ、
R
9は、非芳香族C
1~6炭化水素基(1個または複数のフッ素原子により置換されていてもよい)であるか、またはR
9は、R
8と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができる)
を提供する。
【0013】
式(1)の特定の化合物は、以下の実施形態においてさらに定義されている通りである。
【0014】
1.2. R1が、NR5R6;CONR8R9;OまたはNから選択される1個または2個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい5員環または6員環であるか、またはR1が、R2と連結して、OまたはNから選択される0個、1個または2個のヘテロ原子を含有する3個、4個または5個の原子を有する置換されていてもよいスピロ環式環を形成する、実施形態1.1による化合物。
【0015】
1.3 R1が、NR5R6またはCONR8R9である、実施形態1.2による化合物。
【0016】
1.4 R1が、R2と連結して、OまたはNから選択される0個、1個または2個のヘテロ原子を含有する3個、4個または5個の原子を有する置換されていてもよいスピロ環式環を形成する、実施形態1.2による化合物。
【0017】
1.5. R1が、R2と連結して、OまたはNから選択される0個、1個または2個のヘテロ原子を含有する3個、4個または5個の原子を有する置換されていてもよいスピロ環式環を形成し、任意選択の置換基が、C1~C3アルキル、C1~C3アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルもしくはアミノ、またはさらなる縮合環から選択される、実施形態1.4による化合物。
【0018】
1.6. R1が、OまたはNから選択される1個または2個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい5員環または6員環である、実施形態1.2による化合物。
【0019】
1.7. R1が、1個または2個の窒素ヘテロ原子を含有する置換されていてもよい5員芳香族環または6員芳香族環である、実施形態1.6による化合物。
【0020】
1.8. R1が、1個または2個の窒素ヘテロ原子を含有する置換されていてもよい5員芳香族環または6員芳香族環であり、任意選択の置換基が、C1~C3アルキル、C1~C3アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択される、実施形態1.6または実施形態1.7による化合物。
【0021】
1.9. R5が、COR7、非芳香族C1~6炭化水素基(0個、1個または2個の窒素ヘテロ原子を含有する6員芳香族環により置換されていてもよい)から選択されるか、またはR5が、R6と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環もしくは二環式環を形成することができるか、またはR7が、R6と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環もしくは二環式環を形成することができる、実施形態1.1~1.8のいずれか1つによる化合物。
【0022】
1.10. R5が、COCH3、非芳香族C1~6炭化水素基であるか、またはR5が、R6と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成できるか、またはR5が、COR7であり、R7が、R6と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成することができる、実施形態1.9による化合物。
【0023】
1.11. R5が、COCH3、非芳香族C1~6炭化水素基であるか、またはR5が、R6と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成することができ、任意選択の置換基が、C1~C3アルキル、C1~C3アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択され、C1~C3アルキルまたはC1~C3アルコキシ基が、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択される任意選択の置換基を有することができるか、またはR5が、COR7であり、R7が、R6と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成することができ、任意選択の置換基が、C1~C3アルキル、C1~C3アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択され、C1~C3アルキルまたはC1~C3アルコキシ基が、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択される任意選択の置換基を有することができる、実施形態1.10による化合物。
【0024】
1.12. R6が、水素、非芳香族C1~6炭化水素基(0個、1個または2個の窒素ヘテロ原子を含有する置換されていてもよい6員芳香族環により置換されていてもよい)から選択されるか、またはR6が、R5またはR7と互いに結合して、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択される0個、1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式環または二環式環を形成することができる、実施形態1.1~1.11のいずれか1つによる化合物。
【0025】
1.13. R6が、水素、非芳香族C1~6炭化水素基(置換されていてもよいフェニル環により置換されていてもよい)であるか、またはR6が、R5またはR7と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成することができる、実施形態1.12による化合物。
【0026】
1.14. R6が、水素、非芳香族C1~6炭化水素基(置換されていてもよいフェニル環により置換されていてもよい)であり、フェニル環の任意選択の置換基が、C1~C3アルキル、C1~C3アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択され、C1~C3アルキルまたはC1~C3アルコキシ基が、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択される任意選択の置換基を有することができるか、またはR6が、R5またはR7と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成することができ、任意選択の置換基が、C1~C3アルキル、C1~C3アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択され、C1~C3アルキルまたはC1~C3アルコキシ基が、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択される任意選択の置換基を有することができる、実施形態1.13による化合物。
【0027】
1.15. R8が、水素、非芳香族C1~6炭化水素基であるか、またはR8が、R9と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成することができ、任意選択の置換基が、C1~C3アルキル、C1~C3アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択される、実施形態1.3による化合物。
【0028】
1.16. R9が、非芳香族C1~6炭化水素基であるか、またはR9が、R8と互いに結合して、置換されていてもよい単環式環を形成し、任意選択の置換基が、C1~C3アルキル、C1~C3アルコキシ、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシルまたはアミノから選択される、実施形態1.3による化合物。
【0029】
1.17. 式(1)の化合物:
【0030】
【化2】
である実施形態1.1~1.16のいずれか1つによる化合物、またはその塩(式中、
R
1R
2は、
【0031】
【0032】
1.18. R4が、Hまたは非環式C1~4炭化水素基(1個または複数のフッ素原子で置換されていてもよい)である、実施形態1.1~1.17のいずれか1つによる化合物。
【0033】
1.19. R4が、Hまたは非環式C1~3炭化水素基(1個または複数のフッ素原子で置換されていてもよい)である、実施形態1.18による化合物。
【0034】
1.20. R4が、HまたはC1~3アルキル基またはC1~2アルキニル基である、実施形態1.19による化合物。
【0035】
1.21 R4が、H、メチル、フルオロメチル、エチル、エチニルおよび1-プロピニルから選択される、実施形態1.20による化合物。
【0036】
1.22 R4が、メチルである、実施形態1.21による化合物。
【0037】
1.23 R4が、Hである、実施形態1.21による化合物。
【0038】
1.24 実施例1-1~8-25のいずれか1つに定義されている通りである実施形態1.1による化合物。
【0039】
1.25 550未満、例えば500未満、または450未満の分子量を有する、実施形態1.1~1.24のいずれか1つによる化合物。
【0040】
1.26 塩の形態にある、実施形態1.1~1.25のいずれか1つによる化合物。
【0041】
1.27 塩が酸付加塩である、実施形態1.26による化合物。
【0042】
1.28 塩が薬学的に許容される塩である、実施形態1.26または実施形態1.27による化合物。
定義
本出願では、特に示さない限り、以下の定義が適用される。
【0043】
式(1)の化合物の使用に関する、用語「処置」は、問題としている疾患または障害に罹患している対象、これらに罹患するリスクのある対象、またはこれらに罹患するリスクが可能性としてある対象に、化合物が投与されるという何らかの干渉の形態を記載するために使用される。したがって、用語「処置」は、疾患または障害の測定可能なまたは検出可能な症状が示されている、予防的(防止的)処置および処置の両方を包含する。
【0044】
用語「治療有効量」とは、本明細書で使用する場合(例えば、疾患または状態の処置の方法に関する)、所望の治療効果を生じるのに有効な化合物の量を指す。例えば、状態が疼痛である場合、治療有効量とは、所望のレベルの疼痛緩和を実現するのに十分な量のことである。所望のレベルの疼痛緩和は、例えば、疼痛の完全な消滅、または疼痛の重症度の軽減とすることができる。
【0045】
(「C1~5非芳香族炭化水素基」または「非環式C1~5非芳香族炭化水素基」におけるような用語「非芳香族炭化水素基」とは、炭素および水素原子からなり、芳香族環を含有しない基を指す。炭化水素基は、完全飽和であってもよく、または1つもしくは複数の炭素-炭素二重結合もしくは炭素-炭素三重結合または二重および三重結合の混合物を含有していてもよい。炭化水素基は、直鎖もしくは分枝鎖基であってもよく、または環式基からなるもしくはそれを含有していてもよい。したがって、用語非芳香族炭化水素は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキルなどを含む。
【0046】
用語「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「シクロアルキル」および「シクロアルケニル」は、特に示さない限り、それらの慣用的な意味(例えば、IUPAC Gold Bookに定義されている通り)で使用される。
【0047】
用語「シクロアルキル」は、本明細書で使用する場合、炭素原子の示された数が許容する場合、単環式シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、ならびに二環式基および三環式基のいずれも含む。二環式シクロアルキル基は、ビシクロヘプタン、ビシクロオクタンおよびアダマンタンなどの架橋環系を含む。
【0048】
上記のR1、R4、R5、R6、R7、R8およびR9の定義において、明記されている場合、非芳香族炭化水素基の1個または2個であるがすべてではない炭素原子が、O、NおよびSならびにその酸化形態から選択されるヘテロ原子により交換されていてもよい。炭素原子が、ヘテロ原子によって置き換えられている場合、ヘテロ原子の原子価が炭素に比べて低いことは、置き換えられた炭素原子に結合しているよりも少ない原子がヘテロ原子に結合していることを意味することが理解される。したがって、例えば、CH2基における酸素(原子価は2である)による炭素原子(原子価は4である)の置き換えは、生じた分子が、2個少ない水素原子を含有することを意味し、CH2基における窒素(原子価は3である)による炭素原子(原子価は4である)の置き換えは、生じた分子が、1個少ない水素原子を含有することを意味する。
【0049】
炭素原子に対するヘテロ原子の置き換えの例には、-CH2-CH2-CH2-鎖中の炭素原子の酸素または硫黄での置き換えによるエーテル-CH2-O-CH2-またはチオエーテル-CH2-S-CH2-の生成、基CH2-C≡C-H中の炭素原子の窒素での置き換えによるニトリル(シアノ)基CH2-C≡Nの生成、基-CH2-CH2-CH2-中の炭素原子のC=Oでの置き換えによるケトン-CH2-C(O)-CH2-の生成、基-CH2-CH2-CH2-中の炭素原子のS=OまたはSO2での置き換えによるスルホキシド-CH2-S(O)-CH2-またはスルホン-CH2-S(O)2-CH2-の生成、-CH2-CH2-CH2-鎖中の炭素原子のC(O)NHでの置き換えによるアミド-CH2-CH2-C(O)-NH-の生成、-CH2-CH2-CH2-鎖中の炭素原子の窒素での置き換えによるアミン-CH2-NH-CH2-の生成、および-CH2-CH2-CH2-鎖中の炭素原子のC(O)Oでの置き換えによるエステル(またはカルボン酸)-CH2-CH2-C(O)-O-の生成が含まれる。このような置き換えの各々において、炭化水素基の少なくとも1個の炭素原子は、残っていなければならない。
塩
式(1)の多数の化合物は、塩、例えば、酸付加塩、またはある種の場合、カルボン酸塩、スルホン酸塩およびリン酸塩などの有機塩基および無機塩基の塩の形態で存在し得る。このような塩のすべてが、本発明の範囲内にあり、式(1)の化合物の言及は、実施形態1.26~1.28に定義されている化合物の塩形態を含む。
【0050】
塩は、通常、酸付加塩である。
【0051】
本発明の塩は、Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use、P.Heinrich Stahl(編)、Camille G.Wermuth(編)、ISBN:3-90639-026-8、Hardcover、388頁、2002年8月に記載されている方法などの、慣用的な化学的方法により、塩基性部分または酸性部分を含有する親化合物から合成され得る。一般に、このような塩は、水中もしくは有機溶媒中、または上記2種の混合物中、遊離酸または遊離塩基の形態のこれらの化合物を、適切な塩基または酸と反応させることにより製造することができる。一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの非水性媒体が使用される。
【0052】
酸付加塩(実施形態1.27において定義されている)は、幅広い酸、すなわち無機および有機の両方と共に形成され得る。実施形態1.27の範囲内に収まる酸付加塩の例には、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L-アスコルビン酸)、L-アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ブタン酸、(+)樟脳酸、カンファー-スルホン酸、(+)-(1S)-カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D-グルコン酸、グルクロン酸(例えばD-グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L-グルタミン酸)、α-オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、ハロゲン化水素酸(例えば、臭化水素、塩化水素、ヨウ化水素)、イセチオン酸、乳酸(例えば、(+)-L-乳酸、(±)-DL-乳酸)、ラクトビオ酸、マレイン酸、リンゴ酸、(-)-L-リンゴ酸、マロン酸、(±)-DL-マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、L-ピログルタミン酸、サリチル酸、4-アミノ-サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)-L-酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸および吉草酸、ならびにアシル化アミノ酸および陽イオン交換樹脂からなる群から選択される酸と共に形成される単塩または二塩が含まれる。
【0053】
式(1)の化合物が、アミン官能基を含有する場合、これらの化合物は、例えば、当業者に周知の方法によるアルキル化剤との反応によって、四級アンモニウム塩(実施形態1.29)を形成することができる。このような四級アンモニウム化合物は、式(1)の範囲内にある。
【0054】
本発明の化合物は、塩が形成される酸のpKaに応じて、単塩または二塩として存在することができる。
【0055】
本発明の化合物の塩形態は、通常、薬学的に許容される塩であり、薬学的に許容される塩の例は、Bergeら、1977年、「Pharmaceutically Acceptable Salts」、J.Pharm.Sci.、66巻、1~19頁で考察されている。しかし、薬学的に許容されない塩もまた、中間体として調製されてもよく、この中間体は、次に、薬学的に許容される塩に変換され得る。例えば、本発明の化合物の精製または分離に有用となり得るこのような非薬学的に許容される塩形態は、本発明の一部をやはり形成する。
立体異性体
立体異性体は、同じ分子式および結合原子の配列を有するが、それらの原子の空間における三次元配向のみが異なる、異性体分子である。立体異性体は、例えば、幾何異性体または光学異性体とすることができる。
幾何異性体
幾何異性体の場合、異性は、炭素-炭素二重結合に関するシスおよびトランス(ZおよびE)異性のような、二重結合に関する原子または基の異なる配向、またはアミド結合に関するシスおよびトランス異性体、または炭素と窒素の二重結合(例えば、オキシムにおけるもの)に関するシンおよびアンチ異性、または回転の制限がある結合に関する回転異性、またはシクロアルカン環などの環に関するシスおよびトランス異性によるものがある。
【0056】
したがって、別の実施形態(実施形態1.30)では、本発明は、実施形態1.1~1.29のうちのいずれか1つによる化合物の幾何異性体を提供する。
光学異性体
本文脈が特に必要としない限り、式の化合物が、1個または複数のキラル中心を含有し、2つ以上の光学異性体の形態で存在し得る場合、化合物の言及には、個々の光学異性体、または混合物(例えば、ラセミ混合物)、または2つ以上の光学異性体のいずれかとして、そのすべての光学異性体(例えば、鏡像異性体、エピマーおよびジアステレオ異性体)を含む。
【0057】
したがって、別の実施形態(実施形態1.31)では、本発明は、キラル中心を含有する、実施形態1.1~1.30のうちのいずれか1つによる化合物を提供する。
【0058】
光学異性体は、その光学活性(すなわち、+および-異性体、またはdおよびl異性体)によって特徴付けられて、特定されてもよく、またはそれらは、Cahn、IngoldおよびPrelogにより開発された「RおよびS」命名法を使用して、その絶対立体化学に関して特徴付けされてもよく、Jerry MarchによるAdvanced Organic Chemistry、第4版、John Wiley&Sons、New York、1992年、109~114頁、やはりまたCahn、Ingold&Prelog、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.、1966年、5巻、385~415頁を参照されたい。光学異性体は、キラルクロマトグラフィー(キラルな支持体上のクロマトグラフィー)を含むいくつかの技法によって分離することができ、このような技法は当業者に周知である。光学異性体は、キラルクロマトグラフィーの代わりとして、(+)-酒石酸、(-)-ピログルタミン酸、(-)-ジ-トルオイル-L-酒石酸、(+)-マンデル酸、(-)-リンゴ酸および(-)-カンファー―スルホン酸などのキラルな酸とのジアステレオ異性体塩の形成し、優先結晶化によるジアステレオ異性体を分離し、次に、塩を解離させて、遊離塩基である個々の鏡像異性体を得ることができる。
【0059】
本発明の化合物が、2つ以上の光学異性体として存在する場合、一対の鏡像異性体中の鏡像異性体の1つは、例えば、生物活性に関して、もう一方の鏡像異性体よりも利点を示すことがある。したがって、ある特定の状況では、一対の鏡像異性体の一方しか、または複数のジアステレオ異性体の1つしか治療剤としての使用に望ましくないことがある。
【0060】
したがって、別の実施形態(実施形態1.32)では、本発明は、1個または複数のキラル中心を有する、実施形態1.31による化合物であって、実施形態1.31の化合物の少なくとも55%(例えば、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%)が、単一光学異性体(例えば、鏡像異性体またはジアステレオ異性体)として存在する、化合物を含有する組成物を提供する。
【0061】
一般的な一実施形態(実施形態1.33)では、実施形態1.31の化合物(使用のための化合物)の総量の99%以上(例えば、実質的にすべて)が、単一光学異性体として存在する。
【0062】
例えば、一実施形態(実施形態1.34)では、本化合物は、単一鏡像異性体として存在する。
【0063】
別の実施形態(実施形態1.35)では、本化合物は、単一ジアステレオ異性体として存在する。
【0064】
本発明はまた、ラセミまたは非ラセミとすることができる、光学異性体の混合物を提供する。したがって、本発明は以下を提供する:
1.36 光学異性体のラセミ混合物の形態にある、実施形態1.31による化合物。
【0065】
1.37 光学異性体の非ラセミ混合物の形態にある、実施形態1.31による化合物。
同位体
実施形態1.1~1.37のいずれか1つにおいて定義されている本発明の化合物は、1種または複数の同位体置換を含有してもよく、特定の元素を言う場合、その元素のすべての同位体をその範囲内に含む。例えば、水素を言う場合、その範囲内に、1H、2H(D)および3H(T)を含む。同様に、炭素および酸素を言う場合、それぞれ、その範囲内に、12C、13Cおよび14C、ならびに16Oおよび18Oを含む。
【0066】
同様に、特定の官能基を言う場合はやはり、文脈が特に示さない限り、その範囲内に、同位体変形体を含む。例えば、エチル基などのアルキル基を言う場合、基中の1個または複数の水素原子が、例えば、5個の水素原子がすべて、重水素同位体形態にあるエチル基(パージュウテロエチル基)のように、重水素またはトリチウム同位体の形態にある変形体もまた包含する。
【0067】
同位体は、放射活性であってもよく、または非放射活性であってもよい。本発明の一実施形態(実施形態1.38)では、実施形態1.1~1.37のいずれか1つの化合物は、非放射活性同位体を含有する。このような化合物は、治療的使用に好ましい。しかし、別の実施形態(実施形態1.39)では、実施形態1.1~1.37のいずれか1つの化合物は、1個または複数の放射性同位体を含有してもよい。このような放射性同位体を含有する化合物は、診断状況に有用となり得る。
溶媒和物
実施形態1.1~1.39のいずれか1つにおいて定義されている式(1)の化合物は、溶媒和物を形成することがある。好ましい溶媒和物は、非毒性の薬学的に許容される溶媒の分子の、本発明の化合物の固体状態構造(例えば、結晶構造)への組込みによって形成される溶媒和物である(以下において、溶媒和する溶媒と称される)。このような溶媒の例には、水、アルコール(エタノール、イソプロパノールおよびブタノールなど)およびジメチルスルホキシドが含まれる。溶媒和物は、本発明の化合物を、溶媒和する溶媒を含有する溶媒または溶媒の混合物と共に再結晶することによって調製することができる。溶媒和物が、所与のいずれかの例で形成されているか否かは、化合物の結晶を、熱重量分析(TGE)、示差走査熱量測定(DSC)およびX線結晶学などの周知な標準技法を使用する分析に施すことによって決定され得る。溶媒和物は、化学量論量の溶媒和物とすることができるか、または非化学量論量の溶媒和物とすることができる。特に、好ましい溶媒和物は、水和物であり、水和物の例には、半水和物、一水和物および二水和物が含まれる。
【0068】
したがって、さらなる実施形態1.40および1.41では、本発明は、以下を提供する:
1.40 溶媒和物形態にある、実施形態1.1~1.39のいずれか1つによる化合物。
【0069】
1.41 溶媒和物が水和物である、実施形態1.40による化合物。
【0070】
溶媒和物、および溶媒和物を作製し特徴付けるために使用される方法の一層詳細な考察に関しては、SSCI、Inc of West Lafayette、IN、米国により出版された、Brynら、Solid-State Chemistry of Drugs、第2版、1999年、ISBN 0-967-06710-3を参照されたい。
【0071】
水和物として存在するよりも代替的に、本発明の化合物は、無水であってもよい。したがって、別の実施形態(実施形態1.42)では、本発明は、無水形態(例えば、無水結晶形態)にある、実施形態1.1~1.40のいずれか1つに定義されている化合物を提供する。
結晶およびアモルファス形態
実施形態1.1~1.40のいずれか1つの化合物は、結晶性または非結晶性(例えばアモルファス)状態で存在することがある。化合物が結晶状態で存在しているか否かは、X線粉末回折(XRPD)などの標準技法によって容易に決定することができる。結晶およびその結晶構造は、単結晶X線結晶学、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、および赤外分光法、例えばフーリエ変換赤外分光法(FTIR)を含めた、いくつかの技法を使用して特徴付けることができる。様々な湿度の条件下での結晶の挙動は、重量測定蒸気吸着検討、およびやはりまたXRPDによって分析され得る。化合物の結晶構造の決定は、本明細書に記載されている方法、およびFundamentals of Crystallography、C.Giacovazzo、H.L.Monaco、D.Viterbo、F.Scordari、G.Gilli、G.Zanotti and M.Catti(International Union of Crystallography/Oxford University Press、1992年 ISBN 0-19-855578-4(p/b)、0-19-85579-2(h/b))に記載されている方法などの従来の方法に準拠して行うことができる、X線結晶学によって行われ得る。この技法は、単結晶のX線回折の分析および解釈を含む。アモルファス固体では、結晶形態で通常、存在する三次元構造は存在せず、アモルファス形態において、互いに対する分子の位置は、実質的にランダムであり、例えば、Hancockら J.Pharm.Sci.(1997年)、86巻、1頁を参照されたい。
【0072】
したがって、さらなる実施形態では、本発明は、以下を提供する:
1.43 結晶形態にある、実施形態1.1~1.42のいずれか1つによる化合物。
【0073】
1.44 以下:
(a)50%~100%の結晶性、より詳細には、少なくとも50%の結晶性、または少なくとも60%の結晶性、または少なくとも70%の結晶性、または少なくとも80%の結晶性、または少なくとも90%の結晶性、または少なくとも95%の結晶性、または少なくとも98%の結晶性、または少なくとも99%の結晶性、または少なくとも99.5%の結晶性、または少なくとも99.9%の結晶性、例えば100%の結晶性である、
実施形態1.1~1.42のいずれか1つによる化合物。
【0074】
1.45 アモルファス形態にある、実施形態1.1~1.42のいずれか1つによる化合物。
プロドラッグ
実施形態1.1~1.45のいずれか1つに定義されている式(1)の化合物は、プロドラッグの形態で存在することがある。「プロドラッグ」とは、例えば、インビボで、実施形態1.1~1.45のいずれか1つに定義されている、式(1)の生物活性化合物に変換される任意の化合物を意味する。
【0075】
例えば、一部のプロドラッグは、活性化合物のエステル(例えば、生理学的に許容される、代謝に不安定なエステル)である。代謝中に、エステル基(-C(=O)OR)は、開裂して活性薬物を生じる。このようなエステルは、適宜、親化合物中に存在している他の任意の反応性基を前もって保護しておき、必要な場合、その後に脱保護して、例えば親化合物中に存在する任意のヒドロキシル基をエステル化することによって形成され得る。
【0076】
同様に、一部のプロドラッグは、酵素により活性化されて、活性化合物、またはさらなる化学反応時に、活性化合物(例えば、ADEPT、GDEPT、LIDEPTなどのような)を生じる化合物をもたらす。例えば、プロドラッグは、糖誘導体または他のグリコシドコンジュゲートであってもよく、またはアミノ酸エステル誘導体であってもよい。
【0077】
したがって、別の実施形態(実施形態1.46)では、本発明は、実施形態1.1~1.45のいずれか1つにおいて定義されている化合物のプロドラッグであって、該化合物が、ヒドロキシル基またはアミノ基を形成する生理的条件下で変換可能な官能基を含有する、プロドラッグを提供する。
錯体および包接化合物
同様に、実施形態1.1~1.46の化合物の錯体(例えば、シクロデキストリンなどの化合物との包接錯体もしくは包接化合物、または金属との錯体)が、実施形態1.1~1.46における式(1)によって包含される。
【0078】
したがって、別の実施形態(実施形態1.47)では、本発明は、錯体または包接化合物の形態の、実施形態1.1~1.46のいずれか1つによる化合物を提供する。
生物活性および治療的使用
本発明の化合物は、ムスカリンM1および/またはM4受容体アゴニストとして活性を有する。本化合物のムスカリン活性は、以下の実施例Aに記載されているホスホ-ERK1/2アッセイを使用して決定され得る。
【0079】
本発明の化合物の大きな利点は、本化合物が、M2およびM3受容体サブタイプに比べた、M1および/またはM4受容体に対する選択性が高いということである。本発明の化合物は、M2およびM3受容体サブタイプのアゴニストでもアンタゴニストでもない。例えば、本発明の化合物は、通常、実施例Aに記載されている機能アッセイにおいて、M1および/またはM4受容体に対して、少なくとも6(好ましくは、少なくとも6.5)のpEC50値、および80より高い(好ましくは、95より高い)Emax値を有する一方、それらの化合物は、実施例Aの機能アッセイにおいて、M2およびM3サブタイプに対して試験した場合、5未満のpEC50値、および20%未満のEmax値を有することができる。
【0080】
本発明の一部の化合物は、M1およびM4受容体の両方に活性を有し、一部は、M4受容体に活性を有する。
【0081】
したがって、実施形態2.1~2.16では、本発明は、以下を提供する:
2.1 医薬における使用のための、実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物。
【0082】
2.2 ムスカリンM1および/またはM4受容体アゴニストとして使用するための、実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物。
【0083】
2.3 本明細書における実施例Aのアッセイ、またはそれと実質的に類似したアッセイにおいて、M1受容体に対して、6.9より大きなpEC50および少なくとも80のEmaxを有する、ムスカリンM1受容体アゴニストである、実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物。
【0084】
2.4 7.0より大きなpEC50を有するムスカリンM1受容体アゴニストである、実施形態2.3による化合物。
【0085】
2.5 M1受容体に対して、少なくとも90のEmaxを有する、実施形態2.3または実施形態2.4による化合物。
【0086】
2.6 本明細書における実施例Aのアッセイ、またはそれと実質的に類似したアッセイにおいて、ムスカリンM1およびM4受容体に対して、6.0~7.8の範囲であるpEC50および少なくとも70のEmaxを有する、ムスカリンM1およびM4受容体アゴニストである、実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物。
【0087】
2.7 7.0より大きなpEC50を有するムスカリンM4受容体アゴニストである、実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物。
【0088】
2.8 M4受容体に対して、少なくとも90のEmaxを有する、実施形態2.6または実施形態2.7による化合物。
【0089】
2.9 本明細書における実施例Aのアッセイ、またはそれと実質的に類似したアッセイにおいて、ムスカリンM4受容体に対して、6.0~7.8の範囲であるpEC50および少なくとも70のEmaxを有する、ムスカリンM4受容体アゴニストである、実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物。
【0090】
2.10 ムスカリンM2およびM3受容体と比較して、M1およびM4受容体に対して選択的な、実施形態2.3~2.9のいずれか1つによる化合物。
【0091】
2.11 ムスカリンM2およびM3受容体と比較して、M4受容体に対して選択的な、実施形態2.9による化合物。
【0092】
2.12 ムスカリンM2、M3およびM4受容体と比較して、M1受容体に対して選択的な、実施形態2.3~2.5のいずれか1つによる化合物。
【0093】
2.13 ムスカリンM1、M2およびM3受容体と比較して、M4受容体に対して選択的な、実施形態2.7または2.9のいずれか1つによる化合物。
【0094】
2.14 ムスカリンM2およびM3受容体サブタイプに対して、5未満のpEC50、および50未満のEmaxを有する、実施形態2.3~2.13のいずれか1つによる化合物。
【0095】
2.15 ムスカリンM2およびM3受容体サブタイプに対して、4.5未満のpEC50、および/または30未満のEmaxを有する、実施形態2.14による化合物。
【0096】
2.16 ムスカリンM1および/またはM4受容体によって媒介される疾患または状態の処置における使用のための、実施形態1.1~1.47および実施形態2.3~2.15のいずれか1つによる化合物。
【0097】
ムスカリンM1および/またはM4受容体アゴニスト活性のために、本発明の化合物は、アルツハイマー病、統合失調症および他の精神病性障害、認知障害、ならびにムスカリンM1および/またはM4受容体により媒介される他の疾患の処置に使用することができ、様々なタイプの疼痛の処置にも使用され得る。
【0098】
したがって、実施形態2.17~2.38では、本発明は、以下を提供する:
2.17 認知障害または精神病性障害の処置における使用のための、実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物。
【0099】
2.18 認知障害(disorder)または精神病性障害(disorder)が、認知障害(impairmant)、軽度認知障害(impairmant)(アルツハイマー病および/または前駆アルツハイマー病による軽度認知障害(impairmant)を含む)、前頭側頭型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、初老期認知症、老人性認知症、フリーデリッヒの運動失調、ダウン症候群、ハンチントン舞踏病、運動過剰、躁病、トゥレット症候群、アルツハイマー病(fda.gov/downloads/Drugs/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/Guidances/UCM596728.pdfにおいて入手可能な、米国食品医薬品局の「Early Alzheimer’s disease:Developing Drugs for Treatment」により定義されている、前駆アルツハイマー病、ならびにステージ1、2および3の初期アルツハイマー病を含む)、進行性核上麻痺、注意、適応性、学習障害(disorder)、記憶(すなわち、記憶障害(disorder)、健忘症、健忘障害(disorder)、一過性全健忘症候群および加齢に伴う記憶障害(impairmant))および言語機能を含む認知機能の障害(impairmant);脳卒中、ハンチントン病、ピック病の結果としての認知障害(impairmant)、AIDS関連の認知症、または多発梗塞性認知症などの他の認知症の状態、アルコール性認知症、甲状腺機能低下症関連認知症、ならびに小脳萎縮および筋萎縮性側索硬化症などの他の変性障害(disorder)に伴う認知症;せん妄またはうつ病(偽認知状態)、外傷、頭外傷、加齢に関連する認知機能低下、脳卒中、神経変性、薬物誘発状態、神経毒性物質、加齢に関連する認知障害(impairmant)、自閉症関連の認知障害(impairmant)、ダウン症候群、精神病に関連する認知欠陥、および電気けいれん療法後に関連する認知障害(disorder)などの認知機能低下を引き起こす恐れのある他の急性または亜急性状態;ニコチン、大麻、アンフェタミン、コカインを含む薬物乱用または薬物離脱による認知障害(disorder)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、およびパーキンソン病などの運動障害(disorder)、神経遮断誘発性パーキンソン症候群、および遅発性ジスキネジア、統合失調症、統合失調症様疾患、精神的うつ病、躁病、急性躁病、妄想、幻覚および妄想性障害(disorder)、パーソナリティ障害(disorder)、強迫性障害(disorder)、統合失調型障害(disorder)、妄想性障害(disorder)、悪性腫瘍による精神病、代謝障害(disorder)、内分泌疾患またはナルコレプシー、薬物乱用または薬物離脱による精神病、双極性障害(disorder)および統合失調感情障害(disorder)から選択される状態を含む、この状態に起因する、またはこれらの状態に関連する、実施形態2.17による使用のための化合物。
【0100】
2.19 アルツハイマー病またはレビー小体型認知症の処置における使用のための、実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物。
【0101】
2.20 統合失調症の処置における使用のための、実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物。
【0102】
2.21 対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物患者、例えば、認知障害の処置を必要とするヒト)における認知障害を処置する方法であって、治療有効用量の実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物の投与を含む方法。
【0103】
2.22 実施形態2.21による方法であって、認知障害が、実施形態2.18において定義されている状態を含む、この状態に起因する、またはこの状態に関連する、方法。
【0104】
2.23 認知障害が、アルツハイマー病またはレビー小体型認知症に起因する、またはこれに関連する、実施形態2.22による方法。
【0105】
2.24 認知障害が統合失調症である、実施形態2.22による化合物。
【0106】
2.25 認知障害を処置する医薬の製造のための実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物の使用。
【0107】
2.26 実認知障害が、実施形態2.18において定義されている状態を含む、この状態に起因する、またはこの状態に関連する、実施形態2.25による使用。
【0108】
2.27 認知障害が、アルツハイマー病またはレビー小体型認知症に起因する、またはこれに関連する、実施形態2.26による使用。
【0109】
2.28 認知障害が統合失調症である、実施形態2.26による使用。
【0110】
2.29 急性、慢性、神経性または炎症性疼痛、関節炎、偏頭痛、群発頭痛、三叉神経痛、帯状疱疹神経痛、一般的な神経痛、内臓痛、変形性関節症の疼痛、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、神経根痛、座骨神経痛、背痛、頭または頚の疼痛、重度または難治性疼痛、侵害受容性疼痛、突出疼痛、術後の疼痛またはがん疼痛を処置するまたはそれらの重症度を軽減するための、実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物。
【0111】
2.30 急性、慢性、神経性または炎症性疼痛、関節炎、偏頭痛、群発頭痛、三叉神経痛、帯状疱疹神経痛、一般的な神経痛、内臓痛、変形性関節症の疼痛、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、神経根痛、座骨神経痛、背痛、頭または頚の疼痛、重度または難治性疼痛、侵害受容性疼痛、突出疼痛、術後の疼痛またはがん疼痛を処置するまたはそれらの重症度を軽減する方法であって、治療有効用量の実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物の投与を含む方法。
【0112】
2.31 緑内障における眼内圧の低下などの末梢性障害の処置、ならびにシェーグレン症候群を含めたドライアイおよびドライマウスの処置のための、実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物。
【0113】
2.32 緑内障における眼内圧の低下などの末梢性障害の処置、ならびにシェーグレン症候群を含めたドライアイおよびドライマウスの処置の方法であって、治療有効用量の実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物の投与を含む方法。
【0114】
2.33 急性、慢性、神経性または炎症性疼痛、関節炎、偏頭痛、群発頭痛、三叉神経痛、帯状疱疹神経痛、一般的な神経痛、内臓痛、変形性関節症の疼痛、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、神経根痛、座骨神経痛、背痛、頭または頚の疼痛、重度または難治性疼痛、侵害受容性疼痛、突出疼痛、術後の疼痛またはがん疼痛を処置するもしくはそれらの重症度を軽減するため、または緑内障における眼内圧の低下などの末梢性障害の処置、ならびにシェーグレン症候群を含めたドライアイおよびドライマウスの処置のための医薬を製造するための、実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物の使用。
【0115】
2.34 例えば、尋常性天疱瘡、疱疹状皮膚炎、類天疱瘡および他の水疱形成皮膚状態による皮膚病変の処置における使用のための、実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物の使用。
【0116】
2.35 機能性消化不良、過敏性腸症候群、胃食道酸逆流(GER)および食道の運動障害、胃不全麻痺の症状および慢性下痢などの、胃腸機能および運動性の変化に関連する状態の処置、予防、改善または好転における使用のための、実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物の使用。
【0117】
2.36 ボスマ-ヘンキン-クリスチャンセン症候群、化学中毒(例えば、セレンおよび銀)、下垂体機能低下症、カルマン症候群、頭蓋骨骨折、腫瘍治療および甲状腺機能低下などの、嗅覚機能障害の処置における使用のための、実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物の使用。
【0118】
2.37 中毒の処置のための、実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物の使用。
【0119】
2.38 パーキンソン病、ADHD、ハンチントン病、トゥレット症候群、および潜在的な病原性因子推進性疾患としてのドーパミン作動性機能不全に関連する他の症候群などの、運動障害の処置のための、実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物の使用。
【0120】
2.39 認知症の行動症状および精神学的症状(BPSD;興奮、言葉による攻撃性、身体的攻撃性、うつ病、不安症、異常な運動行動、高揚した気分、刺激性、無関心、脱抑制、衝動性、妄想、幻覚、睡眠の変化、および食欲の変化を含む)の処置のための、実施形態1.1~1.47のいずれか1つによる化合物の使用。
【発明を実施するための形態】
【0121】
式(1)の化合物の調製のための方法
式(1)の化合物は、当業者に周知の合成法、および本明細書に記載されている合成法に準拠して調製され得る。
【0122】
したがって、別の実施形態(実施形態3.1)では、本発明は、実施形態1.1~1.47のいずれか1つにおいて定義されている化合物の調製のための方法であって、以下を含む方法を提供する:
(A) 還元アミノ化条件下、式(10)の化合物:
【0123】
【0124】
【化5】
との反応(R
1、R
2およびR
4は、実施形態1.1~1.47のいずれか1つに定義されている通りである);または
B) 式(12)の化合物:
【0125】
【化6】
と、式LG-C(=O)-O-CH
2-R
4の化合物(式中、R
1、R
2およびR
4は、実施形態1.1~1.47のいずれか1つに定義されている通りであり、LGは、Cl、1-イミダゾールまたは4-ニトロフェノールなどの好適な脱離基を表す)との反応;または
(C) 式(1)の化合物(R
1はCONR
8R
9を含む)を調製することが必要な場合、
式(13)の化合物:
【0126】
【化7】
と、式R
8R
9NHのアミン(式中、Rは、メチル-またはエチル-などの好適な基を表し、R
2、R
4、R
8およびR
9は、実施形態1.1~1.47のいずれか1つに定義されている通りである)との反応;または
(D) 式(1)の化合物(R
1はCONR
8R
9を含む)を調製することが必要な場合、
式(14)の化合物:
【0127】
【化8】
と、式R
8R
9NHのアミン(式中、R
2、R
4、R
8およびR
9は、実施形態1.1~1.47のいずれか1つに定義されている通りである)との反応;
および場合により:
(E) 式(1)の化合物の1つの、式(1)の別の化合物への変換。
【0128】
変形方法(A)では、ケトン(11)は、還元アミノ化条件下、アミン(10)と反応させる。還元アミノ化反応は、通常、酢酸(AcOH)またはトリフルオロ酢酸(TFA)などの酸を含有するジクロロメタン(DCM)、ジクロロエタン(DCE)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)またはメタノール(MeOH)などの溶媒中でのトリアセトキシホウ素化水素ナトリウム(STAB)、またはMeOHなどの溶媒中、塩化亜鉛(ZnCl2)と組み合わせたシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3)、またはチタンテトライソプロポキシド(Ti(OiPr)4)と組み合わせた、AcOHまたはTFAなどの酸を含有するDCMもしくはDCEなどの溶媒中、STABなどの水素化ホウ素還元剤を使用して、周囲温度から軽度の加熱(例えば、約20℃~約70℃の温度)で行われる。場合により、アミン(10)は、場合により、トリエチルアミン(TEA)またはN,N-ジイソプロピルアミン(DIPEA)などの三級塩基の存在下で、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)またはTFA塩などの酸塩として反応に存在していてもよい。
【0129】
式(10)のアミンは、市販源であってもよく、または当分野において存在し、当業者に周知の様々な異なる方法によって調製されてもよい。例えば、式(1)の化合物(R1は、置換されていてもよい5員芳香族環または6員芳香族環を含み、R2は水素である)を調製することが必要な場合、式(10)のアミンは、以下のスキーム1に示されている反応順序によって調製され得る。
【0130】
【化9】
すなわち、式(15)の化合物(式中、Rは水素であるか、または2つのR基は、-C(CH
3)
2-C(CH
3)
2-のように互いに結合しており、PGは、tert-ブチルオキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)またはベンジル(Bn)などの好適な保護基を表す)は、式(16)の化合物(式中、R
1は、置換されていてもよい5員芳香族環または6員芳香族環であり、LGは、ハロゲン(例えば、ヨージド、ブロミドまたはクロリド)、またはスルホン酸エステル(例えば、トシレート、メシレートまたはトリフレート)などの好適な脱離基を表す)と、当業者に周知の好適なパラジウム触媒「Suzuki」カップリング条下で反応させて、式(17)の化合物を形成することができる。例えば、好適なパラジウム触媒カップリング条件は、場合により、大気圧より大きな反応圧力下で密封した容器を使用し、場合により慣用的な加熱またはマイクロ波加熱を使用する、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、H
2O、エタノール(EtOH)もしくはDMFなどの好適な溶媒中、または上述の溶媒の2種以上の混合物中、場合により、トリシクロヘキシルホスフィン(P(Cy)
3)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(XPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジイソプロポキシビフェニル(RuPhos)または4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(キサントホス)などの好適な配位子の存在下、炭酸カリウム(K
2CO
3)、リン酸カリウム(K
3PO
4)、カリウムtert-ブトキシド(KO
tBu)、酢酸カリウム(KOAc)、炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)または炭酸セシウム(Cs
2CO
3)などの好適な塩基の存在下、約室温~約150℃の温度での、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc)
2)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(Ph
3)
4)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd
2(dba)
3)または(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)ジクロリド(Pd(dppf)Cl
2)などの好適な触媒との反応を含み得る。式(17)の化合物は、一旦形成されると、好適な水素化条件を使用して還元されて、式(18)の化合物を形成することができる。好適な水素化条件は、EtOHまたはMeOHなどの好適な溶媒中、炭素担持パラジウム(Pd/C)触媒の存在下、約20℃~約80℃の温度での、水素(H
2)との反応とすることができる。保護基PGは、一旦形成されると、好適な条件を使用して式(18)の化合物から除去して、アミン(19)を形成することができる。例えば、保護基PGがBOCである場合、その除去を行うのに好適な条件は、1,4-ジオキサンもしくはジエチルエーテル(Et
2O)などの溶媒中のHCl、またはDCMなどの溶媒中のTFAなどの酸との反応とすることができる。代替的に、保護基PGが、CBZまたはBnである場合、アミン(19)は、約20℃~約80℃の温度において、EtOHまたはMeOHなどの好適な溶媒中、Pd/Cまたは炭素担持水酸化パラジウム(Pd(OH)
2/C)触媒の存在下、H
2との反応などの好適な水素化条件を使用することによって、1ステップで、式(17)の化合物から直接形成することができる。
【0131】
代替的に、式(1)の化合物(式中、R2は水素であり、R1は、NR6COR7を含み、R6は、非芳香族C1~6炭化水素基であり、R7は、実施形態1.1~1.47のいずれか1つに定義されている通りである)を調製することが必要な場合、式(10)のアミンは、以下のスキーム2に示されている反応順序によって調製することができる。
【0132】
【化10】
すなわち、式(20)のケトン(式中、PGは、BOC、CBZまたはBnなどの好適な保護基を表す)は、式(21)のアミン(式中、R
6は、非芳香族C
1~6炭化水素基である)と、還元アミノ化条件下で反応させて、式(22)の化合物を形成することができる。還元アミノ化反応は、通常、AcOHもしくはTFAなどの酸を含有するDCM、DCE、DMFもしくはMeOHなどの溶媒中でのSTAB、またはMeOHなどの溶媒中、ZnCl
2と組み合わせたNaCNBH
3、またはTi(O
iPr)
4と組み合わせた、AcOHもしくはTFAなどの酸を含有するDCMもしくはDCEなどの溶媒中、STABなどの水素化ホウ素還元剤を使用して、周囲温度から軽度の加熱(例えば、約20℃~約70℃の温度)で行われる。場合により、式(21)のアミンは、場合により、TEAまたはDIPEAなどの三級塩基の存在下で、HCl、HBrまたはTFA塩などの酸塩として反応に存在していてもよい。代替的に、保護基PGが水素化条件下で不安定ではない場合、還元アミノ化反応は、約20℃~約80℃の温度において、EtOHまたはMeOHなどの好適な溶媒中、Pd/CまたはPd(OH)
2/C触媒の存在下でH
2を使用することによって達成することができる。一旦形成されると、式(22)の化合物は、アシル化条件下で、式(23)の化合物または式(24)の化合物(式中、R
7は、実施形態1.1~1.47のいずれか1つで定義されている通りであり、LGは、OH基またはCl、1-イミダゾールもしくはRO(C=O)O(Rは、エチル-またはイソブチル-などの基を表す)などの好適な脱離基を表す)と反応させて、アミド(25)を形成することができる。式(22)の化合物と式(23)の化合物との反応について、好適なアシル化条件は、約0℃~約100℃の間の温度での、DCM、THFまたはDMFなどの溶媒中、場合により、TEAまたはDIPEAなどの三級塩基の存在下での反応とすることができる。式(22)の化合物と式(24)の化合物(式中、LGはOH基を表す)との反応について、アミド(25)の形成を行う多数の好適な条件が当技術分野において存在することは当業者に周知であろう。例えば、約0℃~約100℃の間の温度において、DCM、THFまたはDMFなどの溶媒中、場合により1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)の存在下、場合によりTEAまたはDIPEAなどの三級塩基の存在下、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、エチル-(N’,N’-ジメチルアミノ)プロピルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロホスフェート(COMU)または2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスホリナン-2,4,6-トリオキシド(T3P)などのアミドカップリング試薬との反応。代替的に、式(22)の化合物と式(24)の化合物(式中、LGは、Cl、1-イミダゾールまたはRO(C=O)O(Rは、エチル-またはイソブチル-などの基を表す)などの脱離基を表す)との反応について、好適なアシル化条件は、約0℃~約100℃の間の温度での、DCM、THFまたはDMFなどの溶媒中、場合により、TEAまたはDIPEAなどの三級塩基の存在下での反応とすることができる。一旦形成されると、保護基PGは、好適な条件を使用して式(25)の化合物から除去して、アミン(26)を形成することができる。例えば、保護基PGがBOCである場合、その除去を行うのに好適な条件は、例えば、1,4-ジオキサンもしくはEt
2Oなどの溶媒中の塩化水素(HCl)、またはDCMなどの溶媒中のTFAなどの酸との反応とすることができる。代替的に、保護基PGがCBZまたはBnである場合、好適な脱保護条件は、約20℃~約80℃の温度での、EtOHまたはMeOHなどの好適な溶媒中、Pd/CまたはPd(OH)
2/C触媒の存在下でのH
2との反応とすることができる。
【0133】
代替的に、式(1)の化合物(式中、R1は、
【0134】
【化11】
の形態の置換されていてもよい単環式ラクタム環または二環式ラクタム環である)を調製することが必要な場合、式(10)のアミンは、以下のスキーム3に示される反応順序によって調製することができる。
【0135】
【化12】
すなわち、式(27)のアミン(式中、R
2は、実施形態1.1~1.47のいずれか1つに定義されている通りであり、PGは、BOC、CBZまたはBnなどの好適な保護基を表す)は、式(28)の化合物(式中、LG
1およびLG
2は、同じであっても異なっていてもよく、好適な脱離基を表す)と反応させて、式(29)のアミドを形成することができる。例えば、LG
1は、OH基、またはCl、1-イミダゾールもしくはRO(C=O)O(式中、Rは、エチル-またはイソブチル-などの基を表す)などの基を表すことができ、LG
2は、例えば、Cl、BrもしくはIなどのハロゲン、またはトシレート(OTs)、メシレート(OMs)もしくはトリフレート(OTf)などのスルホン酸エステルを表すことができる。LG
1がOH基を表す場合、式(29)のアミドは、約0℃~約100℃の間の温度において、DCM、THFまたはDMFなどの溶媒中、場合によりTEAまたはDIPEAなどの三級塩基の存在下で、場合によりHOBtの存在下で、DIC、EDC、PyBOP、HATU、COMUまたはT3Pなどのアミドカップリング試薬を使用することによって、式(27)の化合物および式(28)の化合物から形成することができる。代替的に、LG
1がCl、1-イミダゾールまたはRO(C=O)O(式中、Rは、エチル-またはイソブチル-などの基を表す)などの基を表す場合、式(29)のアミドは、DCM、THFまたはDMFなどの溶媒中、場合により、TEAまたはDIPEAなどの三級塩基の存在下、約0℃~約100℃の温度での反応によって、式(27)の化合物および式(28)の化合物から形成することができる。一旦形成されると、式(29)のアミドは、環化させて、式(30)のラクタムを形成することができる。典型的な環化条件は、約0℃~約100℃の間の温度での、THF、DMFまたはN-メチル-2-ピロリドン(NMP)などの好適な溶媒中、水素化ナトリウム(NaH)、K
2CO
3、Cs
2CO
3、K
tOBu、TEAまたはDIPEAなどの好適な塩基による処理とすることができる。一旦形成されると、保護基PGは、好適な条件を使用して式(30)のラクタムから除去して、アミン(31)を形成することができる。例えば、保護基PGがBOCである場合、その除去を行うのに好適な条件は、1,4-ジオキサンもしくはEt
2Oなどの溶媒中のHCl、またはDCMなどの溶媒中のTFAなどの酸との反応とすることができる。代替的に、保護基PGがCBZまたはBnである場合、好適な脱保護条件は、約20℃~約80℃の温度での、EtOHまたはMeOHなどの好適な溶媒中、Pd/CまたはPd(OH)
2/C触媒の存在下でのH
2との反応とすることができる。
【0136】
式(11)のケトンは、以下のスキーム4に示されている反応順序によって調製することができる。
【0137】
【化13】
すなわち、式(32)の保護アミノケトン(式中、PGは、BOC、CBZまたはBnなどの好適な保護基を表す)は、脱保護されて、アミノケトン(33)を与えることができる。例えば、保護基PGがBOCである場合、その除去を行うのに好適な条件は、1,4-ジオキサンもしくはEt
2Oなどの溶媒中のHCl、またはDCMなどの溶媒中のTFAなどの酸との反応とすることができる。代替的に、保護基PGがCBZまたはBnである場合、好適な脱保護条件は、約20℃~約80℃の温度での、EtOHまたはMeOHなどの好適な溶媒中、Pd/CまたはPd(OH)
2/C触媒の存在下でのH
2との反応とすることができる。一旦形成されると、アミノケトン(33)は、好適な条件下で、式(34)の化合物(式中、R
4は、実施形態1.1~1.47のいずれか1つで定義されている通りであり、LGは、Cl、1-イミダゾールまたは4-ニトロフェノールなどの好適な脱離基を表す)と反応させて、ケトン(11)を形成することができる。通常、このような条件は、DCM、THFまたはDMFなどの溶媒中、場合によりTEAまたはDIPEAなどの三級塩基の存在下、約0℃~約50℃の間の温度での反応である。
【0138】
変形方法(B)では、式(12)のアミンは、通常、約0℃~約50℃の間の温度で、DCM、THFまたはDMFなどの溶媒中、場合により、TEAまたはDIPEAなどの三級塩基の存在下で、式LG-C(=O)-O-CH2-R4の化合物(式中、R4は、実施形態1.1~1.47のいずれか1つに定義されている通りであり、LGは、Cl、1-イミダゾールまたは4-ニトロフェノールなどの好適な脱離基を表す)と反応させる。
【0139】
式(12)のアミンは、以下のスキーム5に示されている反応順序によって調製することができる。
【0140】
【化14】
すなわち、式(10)のアミン(式中、R
1およびR
2は、実施形態1.1~1.47のいずれか1つに定義されている通りである)は、還元アミノ化条件下、ケトン(32)(式中、PGは、BOC、CBZまたはBnなどの好適な保護基を表す)と反応させて、式(35)の化合物を形成することができる。還元アミノ化反応は、通常、AcOHもしくはTFAなどの酸を含有するDCM、DCE、DMFもしくはMeOHなどの溶媒中でのSTAB、またはMeOHなどの溶媒中、ZnCl
2と組み合わせたNaCNBH
3、またはTi(O
iPr)
4と組み合わせた、AcOHもしくはTFAなどの酸を含有するDCMもしくはDCEなどの溶媒中、STABなどの水素化ホウ素還元剤を使用して、周囲温度から軽度の加熱(例えば、約20℃~約70℃の温度)で行われる。場合により、式(10)のアミンは、場合により、TEAまたはDIPEAなどの三級塩基の存在下で、HCl、HBrまたはTFA塩などの酸塩として反応に存在していてもよい。代替的に、保護基PGが水素化条件下で不安定ではない場合、還元アミノ化反応は、約20℃~約80℃の温度において、EtOHまたはMeOHなどの好適な溶媒中、Pd/CまたはPd(OH)
2/C触媒の存在下でH
2を使用することによって達成することができる。一旦形成されると、保護基PGは、好適な条件を使用して式(35)の化合物から除去して、式(12)のアミンを形成することができる。例えば、保護基PGがBOCである場合、その除去を行うための好適な条件は、1,4-ジオキサンもしくはEt
2Oなどの溶媒中のHCl、またはDCMなどの溶媒中のTFAなどの酸との反応とすることができる。代替的に、保護基PGがCBZまたはBnである場合、好適な脱保護条件は、約20℃~約80℃の温度での、EtOHまたはMeOHなどの好適な溶媒中、Pd/CまたはPd(OH)
2/C触媒の存在下でのH
2との反応とすることができる。
【0141】
変形方法(C)では、式(13)のエステルは、アミドの形成を行うのに好適な条件下で、式R8R9NHのアミンと反応させる。通常、このような条件は、トルエンなどの溶媒中、場合により、TEAまたはDIPEA等の三級塩基の存在下で、トリメチルアルミニウム(Me3Al)などの試薬と組み合わせた、約0℃~約110℃の間の温度での反応である。好適な溶媒中、塩化イソプロピルマグネシウム(iPrMgCl)の存在下での反応、または場合により好適な溶媒の存在下、場合により、TEAもしくはDIPEAなどの好適な塩基の存在下、式(13)のエステルと式R8R9NHのアミンとを一緒に直接加熱することによって、式(13)のエステルおよび式R8R9NHのアミンからアミドの形成を行う他の好適な条件が存在することは、当業者に周知であろう。
【0142】
式(13)のエステルは、以下のスキーム6に示されている反応順序によって調製することができる。
【0143】
【化15】
すなわち、式(36)のエステル(R
2は、実施形態1.1~1.47のいずれか1つに定義されている通りであり、Rは、メチル-またはエチル-などの好適な基を表す)は、還元アミノ化条件下、式(11)のケトン(式中、R
4は、実施形態1.1~1.47のいずれか1つに定義されている通りである)と反応させて、式(13)のエステルを形成することができる。還元アミノ化反応は、通常、AcOHもしくはTFAなどの酸を含有するDCM、DCE、DMFもしくはMeOHなどの溶媒中でのSTAB、またはMeOHなどの溶媒中、ZnCl
2と組み合わせたNaCNBH
3、またはTi(O
iPr)
4と組み合わせた、AcOHもしくはTFAなどの酸を含有するDCMもしくはDCEなどの溶媒中、STABなどの水素化ホウ素還元剤を使用して、周囲温度から軽度の加熱(例えば、約20℃~約70℃の温度)で行われる。場合により、式(10)のアミンが、場合によりTEAまたはDIPEAなどの三級塩基の存在下、HCl、HBrまたはTFA塩などの酸塩として反応に存在していてもよい。代替的に、そのようにすることが適切である場合、還元アミノ化反応は、約20℃~約80℃の温度において、EtOHまたはMeOHなどの好適な溶媒中、Pd/CまたはPd(OH)
2/C触媒の存在下でH
2を使用することによって達成することができる。
【0144】
変形方法(D)では、式(14)のカルボン酸は、アミドの形成を行うのに好適な条件下で、式R8R9NHのアミンと反応させる。式(14)のカルボン酸および式R8R9NHのアミンからのアミドの形成を行う多数の好適な条件、例えば、約0℃~約100℃の間の温度での、場合により、TEAまたはDIPEAなどの三級塩基の存在下、場合により、DCM、THFまたはDMFなどの溶媒中HOBtの存在下、DIC、EDC、PyBOP、HATU、COMUまたはT3Pなどのアミドカップリング試薬との反応が当技術分野において存在することは当業者に周知であろう。
【0145】
式(14)のカルボン酸は、以下のスキーム7に示されている反応によって調製することができる。
【0146】
【化16】
すなわち、式(13)のエステル(式中、R
2およびR
4は、実施形態1.1~1.47のいずれか1つに定義されている通りであり、Rは、メチル-またはエチル-、tert-ブチル-またはベンジル-などの好適な基を表す)は、エステルの切断を行うのに好適な条件下で反応させて、式(14)のカルボン酸を形成することができる。通常、Rが、メチル-またはエチル-を表す場合、約0℃~約100℃の間の温度での、塩基性条件、例えば、THF、MeOH、EtOH、水(H
2O)などの溶媒または上述の溶媒の2種以上の組合せ中、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)または水酸化カリウム(KOH)などの試薬との反応を使用してもよい。代替的に、Rが、tert-ブチル-を表す場合、酸性条件、例えば、DCMなどの溶媒中TFAなどの試薬との反応、または1,4-ジオキサンもしくはEt
2Oなどの溶媒中HClとの反応を使用してもよい。代替的に、Rが、ベンジル-を表す場合、水素化分解条件、例えば、約20℃~約80℃の温度での、EtOHまたはMeOHなどの好適な溶媒中、Pd/CまたはPd(OH)
2/C触媒の存在下でのH
2との反応を使用してもよい。
【0147】
代替的に、式(14)のカルボン酸は、式R8R9NHのアミンと反応させて、以下のスキーム8に示されている反応順序によってアミドの形成を行うことができる。
【0148】
【化17】
すなわち、式(14)のカルボン酸は、反応させて、式(37)の化合物(式中、R
2、R
4、R
8およびR
9は、実施形態1.1~1.47のいずれか1つに定義されている通りであり、LGは、Cl、1-イミダゾールまたはRO(C=O)O(式中、Rは、エチル-またはイソブチル-などの基を表す)などの好適な脱離基を表す)を形成することができる。通常、このような条件は、DCM、THFまたはDMFなどの好適な溶媒中、場合により、TEAまたはDIPEAなどの三級塩基の存在下、場合により、DMFなどの触媒の存在下での、塩化オキサリルもしくは塩化チオニル(LG=Cl)、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)(LG=1-イミダゾール)、またはエチル-もしくはイソブチル-クロロホルメート(LG=RO(C=O)O)などの試薬との反応である。一旦形成されると、式(37)の化合物は、アミド(38)の形成を行うのに好適な条件下で、式R
8R
9NHのアミンと反応させる。通常、このような条件は、DCM、THFまたはDMFなどの溶媒中、場合により、TEAまたはDIPEAなどの三級塩基の存在下、約0℃~約100℃の間の温度での反応である。
【0149】
変形方法(E)では、式(1)の化合物の1つは、当業者に周知の方法によって、式(1)の別の化合物に変換され得る。1つの官能基を別の官能基に変換するための合成手順の例は、March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions、Mechanisms,and Structure、第7版、Michael B.Smith、John Wiley、2013年(ISBN:978-0-470-46259-1)、Organic Syntheses、オンライン版、www.orgsyn.org、(ISSN 2333-3553)およびFiesers’ Reagents for Organic Synthesis、1~17巻、John Wiley(Mary Fieser編集)(ISBN:0-471-58283-2)などの標準教書に説明されている。
【0150】
上記の反応の多数において、分子上の望ましくない場所に反応が起こるのを阻止するために、1つまたは複数の基を保護することが必要なことがある。保護基の例、ならびに官能基を保護および脱保護する方法は、Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis、第5版、編:Peter G.M.Wuts、John Wiley、2014年(ISBN:9781118057483)に見出され得る。
【0151】
上述の方法によって作製される化合物は、当業者に周知の様々な方法のいずれかによって、単離および精製することができ、このような方法の例は、再結晶、ならびにカラムクロマトグラフィー(例えばフラッシュクロマトグラフィー)、HPLCおよびSFCなどのクロマトグラフィー技法を含む。
医薬製剤
本活性化合物は、単独で投与することが可能であるが、医薬組成物(例えば、製剤)として供給されることが好ましい。
【0152】
したがって、本発明の別の実施形態(実施形態4.1)では、実施形態1.1~1.47のいずれか1つに定義されている式(1)のうちの少なくとも1つの化合物と少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を一緒に含む医薬組成物が提供される。
【0153】
一実施形態(実施形態4.2)では、本組成物は、錠剤組成物である。
【0154】
別の実施形態(実施形態4.3)では、本組成物は、カプセル剤組成物である。
【0155】
薬学的に許容される賦形剤は、例えば、担体(例えば、固体、液体または半固体担体)、アジュバント、希釈剤(例えば、充填剤または増量剤などの固体希釈剤;ならびに溶媒および共溶媒などの液体希釈剤)、造粒剤、結合剤、流動助剤、コーティング剤、放出制御剤(例えば放出抑制もしくは遅延ポリマーまたはワックス)、結合剤、崩壊剤、緩衝化剤、滑沢剤、保存剤、抗真菌剤および抗菌剤、抗酸化剤、緩衝化剤、張度調節剤、増粘剤、香味剤、甘味剤、顔料、可塑剤、味覚マスキング剤、安定剤、または医薬組成物に慣用的に使用される任意の他の賦形剤から選択され得る。
【0156】
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容される」は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしに、対象(例えば、ヒト対象)の組織と接触して使用するのに好適な、妥当な医療的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に見合う、化合物、物質、組成物および/または剤形を意味する。各賦形剤はまた、製剤の他の成分と適合可能であるという意味において、「許容される」ものでなければならない。
【0157】
式(1)の化合物を含有する医薬組成物は、公知技術に従い製剤化することができ、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PA、米国を参照されたい。
【0158】
本医薬組成物は、経口、非経口、局所、鼻内、気管支内、舌下、眼内、耳内、直腸内、膣内または経皮投与に好適な任意の形態とすることができる。
【0159】
経口投与に好適な医薬剤形には、錠剤(コーティング錠または非コーティング錠)、カプセル剤(硬質シェルまたは軟質シェル)、カプレット剤、丸剤、ロゼンジ剤、シロップ剤、溶液剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤および懸濁液剤、舌下錠剤、ワッファー剤、または頬パッチ剤などのパッチ剤が含まれる。
【0160】
錠剤組成物は、糖もしくは糖アルコール、例えば、ラクトース、スクロース、ソルビトールもしくはマンニトール;および/または炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどの非糖由来の希釈剤、またはマイクロクリスタリンセルロース(MCC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロースもしくはその誘導体、およびトウモロコシデンプンなどのデンプンなどの不活性希釈剤あるいは担体と一緒にした単位投与量の活性化合物を含有することができる。錠剤はまた、ポリビニルピロリドン、崩壊剤(例えば、架橋カルボキシメチルセルロースなどの膨潤性架橋ポリマー)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸塩)、保存剤(例えば、パラベン)、抗酸化剤(例えば、BHT)、緩衝化剤(例えば、リン酸塩またはクエン酸緩衝剤)などの結合剤および造粒剤、ならびにクエン酸塩/炭酸水素塩混合物などの発泡剤として、このような標準成分を含有してもよい。このような賦形剤は、周知であり、ここで詳細に考察する必要なない。
【0161】
錠剤は、薬物を、胃液に接触すると放出するよう(即時放出錠剤)、または長期間にわたり、もしくはGI管の特定領域と接触すると制御された様式で放出するよう(制御放出錠剤)設計され得る。
【0162】
本医薬組成物は、通常、約1%(w/w)~約95%、好ましくは%(w/w)の活性成分、および99%(w/w)~5%(w/w)の薬学的に許容される賦形剤(例えば、上で定義されている)、またはこのような賦形剤の組合せを含む。好ましくは、本組成物は、約20%(w/w)~約90%の活性成分、および80%(w/w)~10%の薬学的賦形剤、または賦形剤の組合せを含む。本医薬組成物は、約1%~約95%、好ましくは約20%~約90%の活性成分を含む。本発明による医薬組成物は、例えば、アンプル、バイアル、坐剤、事前充填シリンジ、ドラジェ剤、散剤、錠剤またはカプセル剤などの、単位用量形態にあってもよい。
【0163】
錠剤およびカプセル剤は、例えば、0~20%の崩壊剤、0~5%の滑沢剤、0~5%の流動助剤および/または0~99%(w/w)の充填剤/または増量剤(薬物用量に依存)を含有することができる。錠剤およびカプセル剤は、0~10%(w/w)のポリマー結合剤、0~5%(w/w)の抗酸化剤、0~5%(w/w)の顔料を含有することができる。緩徐放出錠剤は、さらに、通常、0~99%(w/w)の放出制御性(例えば、遅延)ポリマー(用量に依存)を含有する。錠剤またはカプセル剤のフィルムコーティング剤は、通常、0~10%(w/w)のポリマー、0~3%(w/w)の顔料および/または0~2%(w/w)の可塑剤を含有する。
【0164】
非経口製剤は、通常、0~20%(w/w)の緩衝剤、0~50%(w/w)の共溶媒および/または0~99%(w/w)の注射用水(WFI)(用量に依存し、凍結乾燥の場合)を含有する。筋肉内デポ剤用の製剤は、0~99%(w/w)の油も含有してもよい。
【0165】
本医薬製剤は、単一パッケージ、通常、ブリスター包装中に、処置の全治療単位分を含有する「患者用パック」で患者に供給されてもよい。
【0166】
式(1)の化合物は、一般に、単位剤形中で供給され、したがって、所望のレベルの生物活性を実現するのに十分な化合物を通常、含有する。例えば、製剤は、1ナノグラム~2グラムの活性成分、例えば1ナノグラム~2ミリグラムの活性成分を含有することができる。これらの範囲内における、化合物の特定のサブ範囲は、0.1ミリグラム~2グラムの活性成分(さらに典型的には、10ミリグラム~1グラム、例えば50ミリグラム~500ミリグラム)、または1マイクログラム~20ミリグラム(例えば1マイクログラム~10ミリグラム、例えば0.1ミリグラム~2ミリグラムの活性成分)である。
【0167】
経口組成物の場合、単位剤形は、1ミリグラム~2グラム、さらに典型的には、10ミリグラム~1グラム、例えば50ミリグラム~1グラム、例えば100ミリグラム~1グラムの活性化合物を含有することができる。
【0168】
活性化合物は、所望の治療効果(有効量)を実現するのに十分な量で、それを必要とする患者(例えば、ヒトまたは動物患者)に投与される。投与される化合物の正確な量は、標準手順に従い、監督医師によって決定され得る。
【0169】
本発明は、これより、以下に限定されないが、以下の実施例に記載されている特定の実施形態を参照することによって例示される。
【実施例】
【0170】
実施例1-1~8-25
以下の表1に示されている実施例1-1~8-25の化合物の一部を調製した。それらの化合物のNMRおよびLCMS特性、ならびにそれらを調製するために使用した方法を表3に記載する。実施例のそれぞれに関する出発原料は、表2に列挙される。
【0171】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
一般手順
調製経路は含まれていない場合、関連する中間体が市販されている。市販試薬は、さらに精製することなく利用した。室温(rt)は、約20~27℃を指す。
1H NMRスペクトルは、BrukerまたはJeolの機器のどちらかで400MHzで記録した。ケミカルシフト値は、百万分率(ppm)、すなわち(δ)値で表す。NMRシグナルの多重度について、以下の略称を使用する:s=シングレット、br=ブロード、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、quint=クインテット、td=ダブレットのトリプレット、tt=トリプレットのトリプレット、qd=ダブレットのカルテット、ddd=ダブレットのダブレットのダブレット、ddt=トリプレットのダブレットのダブレット、m=マルチプレット。カップリング定数は、Hzで測定したJ値として列挙する。NMRおよび質量分光法の結果は、バックグラウンドピークを考慮して補正した。クロマトグラフィーとは、60~120メッシュのシリカゲルを使用して行い、窒素加圧下(フラッシュクロマトグラフィー)条件で実施したカラムクロマトグラフィーを指す。反応をモニタリングするためのTLCは、指定した移動相、およびMerck製の固定相としてシリカゲルF254を使用して実施したTLCを指す。マイクロ波を媒介とする反応は、Biotage開始剤またはCEM Discoverマイクロ波用反応器で行った。
LCMS分析
化合物のLCMS分析は、以下の表に示されている機器および方法を使用したエレクトロスプレー条件下で行った:
【表A】
【0172】
【0173】
実験項目および表2および3中のLCMSデータは、以下の形式:(機器システム、方法):質量イオン、保持時間、UV検出波長で示されている。
化合物精製
化合物の最終精製は、以下に詳述されている機器および方法を使用して、分取逆相HPLC、キラルHPLCまたはキラルSFCによって行い、ここでは、データは、以下の形式:精製技法:[相(カラムの説明、カラム長×内径、粒子サイズ)、溶媒流速、グラジエント-移動相A中の移動相Bの%として示す(経過時間)、移動相(A)、移動相(B)]で示されている。
分取HPLC精製:
SPD-20A UV検出器を備えるShimadzu LC-20APバイナリーシステム
キラルHPLC精製:
SPD-20A UV検出器を備えるShimadzu LC-20APバイナリーシステム
キラルSFC精製:
Waters SFC200
精製方法A
SFC:[(CHIRALPAK AD-H、250×21mm、5μm)、80mL/分、移動相(A):100%液体CO2、(B):IPA:MeOH(50:50)中の0.1%ジエチルアミン、均一溶媒(A:B)(85:15)(10分間)]
精製方法B
分取HPLC:[逆相(X-BRIDGE C-8、250×19mm、5μm)、16mL/分、グラジエント5~40%(35分間)、40%(2分間)、100%(2分間)、次に、100~5%(4分間)、移動相(A):水中の5mM炭酸水素アンモニウム+0.1%アンモニア、(B)100%アセトニトリル]
精製方法C
分取HPLC:[逆相(X SELECT PHENYL HEXYL、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント20~35%(30分間)、100%(2分間)、次に、100~20%(2分間)、移動相(A):水中の0.1%ギ酸、(B)100%アセトニトリル]
精製方法D
SFC:[(CHIRALPAK IB、250×21mm、5μm)、75mL/分、移動相(A):100%液体CO2、(B):MeOH中の0.1%ジエチルアミン、均一溶媒(A:B)(90:10)(8分間)]
精製方法E
SFC:[(CHIRALCEL OX-H、250×21mm、5μm)、毎分70mL、移動相(A):100%液体CO2、(B):IPA:MeOH(50:50)中の0.1%ジエチルアミン、均一溶媒(A:B)(75:25)(13分間)]
精製方法F
分取HPLC:[逆相(X SELECT PHENYL HEXYL、250×19mm、5μm)、18mL/分、グラジエント5~65%(20分間)、100%(2分間)、次に、100~5%(3分間)、移動相(A):水中の5mM炭酸水素アンモニウム+0.1%アンモニア、(B)100%アセトニトリル]
精製方法G
SFC:[(CHIRALPAK IC、250×21mm、5μm)、70mL/分、移動相(A):100%液体CO2、(B):IPA中の0.1%ジエチルアミン、均一溶媒(A:B)(75:25)(20分間)]
精製方法H
分取HPLC:[逆相(X SELECT PHENYL HEXYL、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント5~55%(18分間)、100%(2分間)、次に、100~5%(3分間)、移動相(A):水中の5mM炭酸水素アンモニウム+0.1%アンモニア、(B)100%アセトニトリル]
精製方法I
SFC:[(CHIRALPAK AD-H、250×21mm、5μm)、70mL/分、移動相(A):100%液体CO2、(B):IPA:MeOH(50:50)中の0.2%ジエチルアミン、均一溶媒(A:B)(75:25)(9分間)]
精製方法J
分取HPLC:[逆相(X-BRIDGE C-8、250×19mm、5μm)17mL/分、グラジエント0~50%(33分間)、100%(2分間)、次に、100~0%(2分間)、移動相(A):水中の5mM炭酸水素アンモニウム+0.1%アンモニア、(B)100%アセトニトリル]
精製方法K
SFC:[(CHIRALPAK AD-H、250×21mm、5μm)、75mL/分、移動相(A):100%液体CO2、(B):MeOH中の0.1%ジエチルアミン、均一溶媒(A:B)(85:15)(14.0分間)]
精製方法L
分取HPLC:[逆相(X SELECT PHENYL HEXYL、250×19mm、5μm)、17mL/分、グラジエント35~45%(17分間)、100%(2分間)、次に、100~35%(2分間)、移動相(A):水中の5mM炭酸水素アンモニウム+0.1%アンモニア、(B)100%アセトニトリル]
精製方法M
SFC:[(CHIRALCEL OX-H、250×21mm、5μm)、75mL/分、移動相(A):100%液体CO2、(B):MeOH中の0.1%ジエチルアミン、均一溶媒(A:B)(85:15)(20分間)]
精製方法N
分取HPLC:[逆相(X-BRIDGE C-18、250×19mm、5μm)、16mL/分、グラジエント25%(46分間)、100%(3分間)、次に、100~25%(5分間)、移動相(A):水中の5mM炭酸水素アンモニウム+0.05%アンモニア、(B)100%アセトニトリル]
精製方法O
SFC:[(CHIRALPAK AD-H、250×21mm、5μm)、70mL/分、移動相(A):100%液体CO2、(B):IPA:MeOH(50:50)中の0.1%ジエチルアミン、均一溶媒(A:B)(75:25)(17.0分間)]
精製方法P
分取HPLC:[逆相(X-BRIDGE C-8、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント5~20%(35分間)、100%(2分間)、次に、100~5%(3分間)、移動相(A):水中の5mM炭酸水素アンモニウム+0.05%アンモニア、(B)100%アセトニトリル]
精製方法Q
SFC:[(CHIRALPAK IB、250×20mm、5μm)、70mL/分、移動相(A):100%液体CO2、(B):IPA:MeOH(50:50)中の0.1%ジエチルアミン、均一溶媒(A:B)(85:15)(9分間)]
精製方法R
分取HPLC:[逆相(X SELECT PHENYL HEXYL、250×19mm、5μm)13mL/分、グラジエント15~40%(20分間)、100%(2分間)、次に、100~15%(3分間)、移動相(A):水中の5mM炭酸水素アンモニウム+0.1%アンモニア、(B)100%アセトニトリル]
精製方法S
SFC:[(CHIRALPAK AD-H、250×21mm、5μm)、80mL/分、移動相(A):100%液体CO2、(B):MeOH中の0.1%ジエチルアミン、均一溶媒(A:B)(75:25)(8分間)]
精製方法T
分取HPLC:[逆相(X-BRIDGE C-8、250×19mm、5μm)、16mL/分、グラジエント20~30%(25分間)、30%(5分間)、100%(2分間)、次に、100~20%(3分間)、移動相(A):水中の5mM炭酸水素アンモニウム+0.05%アンモニア、(B):100%アセトニトリル]
精製方法U
Chiral HPLC[順相(CHIRALPAK AD-H 250×21mm、5μm)、18mL/分、移動相(A):ヘキサン中の0.1%ジエチルアミン、B)IPA:MeOH(25:75)中の0.1%ジエチルアミン、均一溶媒(A:B)(80:20)(25分間)]
精製方法V
分取HPLC:[逆相(X-BRIDGE C-8、250×19mm、5μm)、16mL/分、グラジエント10~35%(30分間)、35%(14分間)、100%(2分間)、次に、100~10%(2分間)、移動相(A):水中の5mM炭酸水素アンモニウム+0.1%アンモニア、(B):100%アセトニトリル]
精製方法W
Chiral HPLC:[順相(CHIRALPAK AD-H 250×21mm、5μm)、18mL/分、移動相(A):ヘキサン中の0.1%ジエチルアミン、B)IPA:MeOH(30:70)中の0.1%ジエチルアミン、均一溶媒(A:B)(85:15)(20分間)]
精製方法X
分取HPLC:[逆相(X-BRIDGE C-18、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント10~40%(25分間)、40%(5分間)、100%(2分間)、次に、100~10%(4分間)、移動相(A):水中の5mM炭酸水素アンモニウム+0.1%アンモニア、(B):100%アセトニトリル]
精製方法Y
Chiral HPLC[順相(CHIRALPAK AD-H 250×21mm、5μm)、18mL/分、移動相(A):ヘキサン中の0.1%ジエチルアミン、B)IPA中の0.1%ジエチルアミン、均一溶媒(A:B)(90:10)(37分間)]
精製方法Z
分取HPLC:[逆相(X SELECT PHENYL HEXYL、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント20~50%(23分間)、100%(2分間)、次に、100~20%(4分間)、移動相(A):水中の5mM炭酸水素アンモニウム+0.1%アンモニア、(B)100%アセトニトリル]
精製方法AA
SFC:[(CHIRALPAK IB、250×20mm、5μm)、70mL/分、移動相(A):100%液体CO2、(B):MeOH中の0.1%ジエチルアミン、均一溶媒(A:B)(85:15)(7分間)]
精製方法AB
分取HPLC:[逆相(X-BRIDGE C-8、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント20~45%(20分間)、100%(2分間)、次に、100~20%(5分間)移動相(A):水中の5mM炭酸水素アンモニウム+0.1%アンモニア、(B)100%アセトニトリル]
精製方法AC
Chiral HPLC[順相(CHIRALPAK AD-H 250×21mm、5μm)、18mL/分、移動相(A):ヘキサン中の0.1%ジエチルアミン、B)IPA:MeOH(25:75)中の0.1%ジエチルアミン、均一溶媒(A:B)(80:20)(50分間)]
精製方法AD
分取HPLC:[逆相(X-BRIDGE C-8、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント0~28%(25分間)、28%(5分間)、100%(2分間)、次に、100~0%(3分間)、移動相(A):水中の5mM炭酸水素アンモニウム+0.05%アンモニア、(B)100%アセトニトリル]
精製方法AE
SFC:[(CHIRALPAK IB、250×20mm、5μm)、70mL/分、移動相(A):100%液体CO2、(B):IPA:MeOH(50:50)中の0.1%ジエチルアミン、均一溶媒(A:B)(80:20)(10分間)]
精製方法AF
分取HPLC:[逆相(X SELECT PHENYL HEXYL、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント5~27%(42分間)、27%(6分間)、100%(2分間)、次に、100~5%(3分間)、移動相(A):水中の5mM炭酸水素アンモニウム+0.05%アンモニア、(B)100%アセトニトリル]
精製方法AG
SFC:[(CHIRALPAK AD-H、250×21mm、5μm)、70mL/分、移動相(A):100%液体CO2、(B):IPA:MeOH(50:50)中の0.1%ジエチルアミン、均一溶媒(A:B)(70:30)(6分間)]
精製方法AH
分取HPLC:[逆相(X-BRIDGE C-8、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント15~35%(20分間)、35%(3分間)、100%(2分間)、次に、100~15%(4分間)、移動相(A):水中の5mM炭酸水素アンモニウム+0.1%アンモニア、(B)100%アセトニトリル]
精製方法AI
SFC:[(CHIRALPAK IB、250×20mm、5μm)、70mL/分、移動相(A):100%液体CO2、(B):IPA:MeOH(50:50)中の0.1%ジエチルアミン、均一溶媒(A:B)(85:15)(8分間)]
精製方法AJ
分取HPLC:[逆相(X SELECT PHENYL HEXYL、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント0~38%(28分間)、100%(2分間)、次に、100~0%(3分間)、移動相(A):水中の5mM炭酸水素アンモニウム+0.1%アンモニア、(B)100%アセトニトリル]
精製方法AK
SFC:[(CHIRALPAK IB、250×20mm、5μm)、70mL/分、移動相(A):100%液体CO2、(B):IPA:MeOH(50:50)中の0.1%アンモニア、均一溶媒(A:B)(88:12)(20分間)]
精製方法AL
分取HPLC:[逆相(X SELECT PHENYL HEXYL、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント0~40%(24分間)、40%(4分間)、100%(4分間)、次に、100~0%(3分間)、移動相(A):水中5mM炭酸水素アンモニウム+0.1%アンモニア、(B)100%アセトニトリル]
精製方法AM
SFC:[(CHIRALPAK AD-H、250×21mm、5μm)、70mL/分、移動相(A):100%液体CO2、(B):IPA:MeOH(50:50)中の0.1%ジエチルアミン、均一溶媒(A:B)(87:13)(12分間)]
精製方法AN
分取HPLC:[逆相(X-BRIDGE C-8、250×19mm、5μm、13mL/分、グラジエント0~30%(55分間)、30%(20分間)、100%(2分間)、次に、100~0%(3分間)、移動相(A):水中の5mM炭酸水素アンモニウム+0.05%アンモニア、(B)100%アセトニトリル]
精製方法AO
SFC:[(CHIRALPAK IB、250×20mm、5μm)、80mL/分、移動相(A):100%液体CO2、(B):IPA中の0.1%ジエチルアミン:MeOH(50:50)、均一溶媒(A:B)(85:15)(9分間)]
精製方法AP
分取HPLC:[逆相(X-BRIDGE C-18、250×19mm、5μm、10mL/分、グラジエント10~70%(20分間)、70%(2分間)、100%(2分間)、次に、100~10%(4分間)、移動相(A):水中の5mM炭酸水素アンモニウム+0.1%アンモニア、(B)100%アセトニトリル]
精製方法AQ
分取HPLC:[逆相(X-BRIDGE C-8、250×19mm、5μm、14mL/分、グラジエント15~30%(35分間)、70%(16分間)、100%(2分間)、次に、100~15%(6分間)、移動相(A):水中の5mM炭酸水素アンモニウム+0.1%アンモニア、(B)100%アセトニトリル]
精製方法AR
分取HPLC:[逆相(X-BRIDGE C-8、250×19mm、5μm、16mL/分、グラジエント20%(60分間)、100%(2分間)、次に、100~20%(5分間)、移動相(A):水中の5mM炭酸水素アンモニウム+0.1%アンモニア、(B)100%アセトニトリル]
略称
atm. = 雰囲気
conc. = 濃縮
DCM = ジクロロメタン
DMF = ジメチルホルムアミド
ES(I) = エレクトロスプレーイオン化
EtOAc = 酢酸エチル
h = 時間
H2O = 水
HCl = 塩化水素、塩酸
HPLC = 高速液体クロマトグラフィー
IPA = イソプロパノール(プロパン-2-オール)
LC = 液体クロマトグラフィー
MeOH = メタノール
min(s) = 分間
MS = 質量分析法
nm = ナノメートル
NMR = 核磁気共鳴
SFC = 超臨界流体クロマトグラフィー
TEA = トリエチルアミン
TFA = トリフルオロ酢酸
TLC = 薄層クロマトグラフィー
接頭語のn-、s-、i-、t-およびtert-は、その通常の意味を有する:ノルマル、二級、イソおよび三級。
中間体の合成:
経路1
中間体3であるエチル7-オキソ-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレートの調製によって例示される、ケトンの調製の典型的な手順
【0174】
【化18】
tert-ブチル7-オキソ-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート(中間体1)(200mg、0.83mmol)をDCM(8mL)に溶解し、溶液を0℃に冷却した。TFA(1mL)を滴下して加え、得られた反応混合物を25℃で6時間、撹拌した。溶媒を真空で除去し、残留物をジエチルエーテル(3×1mL)ですり混ぜることにより精製すると、粗製3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-オントリフルオロ酢酸塩(115mg、98%)が白色固体として得られた。
LCMS(システム4、方法C):m/z 142(M+H)+(ESI+ve)、0.59~0.80分、202nm。
【0175】
トリエチルアミン(0.3mL、2.44mmol)を、DCM(10mL)中の粗製3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-オントリフルオロ酢酸塩(115mg、0.82mmol)の溶液に加え、混合物を0℃に冷却し、20分間撹拌した。次に、クロロギ酸エチル(中間体2)(0.13mL、1.22mmol)を、0℃で滴下して加え、得られた反応混合物を25℃で1時間、撹拌した。溶媒を真空で除去し、残留物をH2O(80mL)とEtOAc(60mL)との間に分配した。水性層を、EtOAc(2×60mL)によりさらに抽出し、合わせた有機層を乾燥(Na2SO4)し、溶媒を真空で除去すると、エチル7-オキソ-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート(中間体3)がガム状物(170mg、98%)として得られ、これをさらに精製することなく使用した。
【0176】
中間体3に関するデータは表2にある。
経路2
中間体9である2-メトキシ-6-(ピペリジン-4-イル)ピリジン塩酸塩の調製によって例示される、ピペリジンの調製の典型的な手順
【0177】
【化19】
tert-ブチル4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート(中間体7)(395mg、1.28mmol)およびCs
2CO
3(1.03g、3.19mmol)を、1,4-ジオキサン(10mL)中の2-ヨード-6-メトキシピリジン(中間体8)(300mg、1.28mmol)の溶液に加え、得られた混合物を、窒素雰囲気下で20分間、脱気した。(9,9-ジメチル-9H-キサンテン-4,5-ジイル)ビス(ジフェニルホスファン)(キサントホス、36mg、0.06mmol)および酢酸パラジウム(II)(29mg、0.13mmol)を加え、得られた反応混合物を80℃で18時間、撹拌した。溶媒を真空で除去し、残留物をH
2O(80mL)とEtOAc(60mL)との間に分配した。水性層を、EtOAc(60mL)によりさらに抽出し、合わせた有機層を乾燥(Na
2SO
4)し、溶媒を真空で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相中性活性アルミナ、ヘキサン中の10%~12%EtOAc)によって精製すると、tert-ブチル6-メトキシ-3’,6’-ジヒドロ-2,4’-ジピリジン-1’(2’H)-カルボキシレート(310mg、84%)がガム状物として得られた。
LCMS(システム3、方法D):m/z 291(M+H)
+(ESI +ve)、5.73分、202nm。
【0178】
10%炭素担持パラジウム(50%水分、100mg)を、MeOH(20mL)中のtert-ブチル6-メトキシ-3’,6’-ジヒドロ-2,4’-ジピリジン-1’(2’H)-カルボキシレート(300mg、1.03mmol)の溶液に加え、得られた混合物を、水素雰囲気下(1気圧)、70℃で40時間、撹拌した。反応混合物を、セライトを通してろ過し、ろ液を真空で濃縮した。粗生成物をペンタンとすり混ぜると、tert-ブチル4-(6-メトキシピリジン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(240mg、79%)がガム状物として得られた。
LCMS(システム3、方法D):m/z 293(M+H)+(ESI+ve)、5.05分、202nm。
【0179】
tert-ブチル4-(6-メトキシピリジン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(240mg、0.82mmol)を、1,4-ジオキサン(5mL)に溶解し、0℃に冷却した。1,4-ジオキサン(4M、5mL)中のHCl溶液を滴下して加え、得られた反応混合物を25℃で8時間、撹拌した。溶媒を真空で除去し、残留物をペンタン(3×2mL)とすり混ぜることにより精製すると、2-メトキシ-6-(ピペリジン-4-イル)ピリジン塩酸塩(中間体9)(130mg、82%)が固体として得られた。
【0180】
中間体9に関するデータは表2にある。
経路3
中間体21であるN-(2-メチルプロピル)-N-(ピペリジン-4-イル)アセトアミド塩酸塩の調製によって例示される、ピペリジンの調製の典型的な手順
【0181】
【化20】
tert-ブチル4-オキソピペリジン-1-カルボキシレート(中間体19)(5.0g、25.1mmol)を、MeOH(50mL)に溶解し、2-メチルプロパン-1-アミン(中間体20)(1.83g、25.1mmol)を加えた。次に、10%炭素担持水酸化パラジウム(50%水分、500mg)を加え、得られた反応混合物を、水素雰囲気下(1気圧)、25℃で17時間、撹拌した。混合物を、セライトを通してろ過し、ろ液を真空で濃縮すると、tert-ブチル4-[(2-メチルプロピル)アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(5.0g、78%)がガム状物として得られた。
LCMS(システム3、方法D):m/z 257(M+H)
+(ESI+ve)、3.39分、202nm。
【0182】
tert-ブチル4-[(2-メチルプロピル)アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(5.0g、19.5mmol)を、DCM(50mL)に溶解し、0℃に冷却した。トリエチルアミン(2.7mL、19.5mmol)を、0~5℃で滴下して加え、混合物を0~5℃で10分間、撹拌した。次に、酢酸無水物(2.3g、23.4mmol)を、0~5℃で滴下して加え、得られた反応混合物を25℃で2時間、撹拌した。溶媒を真空で除去すると、tert-ブチル4-[アセチル(2-メチルプロピル)アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(5.5g、89%)が液体として得られた。
LCMS(システム3、方法D):m/z 597(2M+H)+、284(M-Me+H)+(ESI+ve)、4.03分、202nm。
【0183】
tert-ブチル4-[アセチル(2-メチルプロピル)アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(5.0g、15.8mmol)を、1,4-ジオキサン(4M、50mL)中のHCl溶液にゆっくり溶解し、次に、得られた混合物を25℃で16時間、撹拌した。溶媒を真空で除去し、残留物をジエチルエーテル(3×250mL)とすり混ぜることにより精製すると、N-(2-メチルプロピル)-N-(ピペリジン-4-イル)アセトアミド塩酸塩(中間体21)(3.0g、88%)がガム状物として得られた。
【0184】
中間体21に関するデータは表2にある。
経路4
中間体23であるN-(2,2-ジメチルプロピル)-N-(ピペリジン-4-イル)アセトアミドトリフルオロ酢酸塩の調製によって例示される、ピペリジンの調製の典型的な手順
【0185】
【化21】
tert-ブチル4-オキソピペリジン-1-カルボキシレート(中間体19)(3.0g、15.0mmol)、2,2-ジメチルプロパン-1-アミン(中間体22)(1.5g、18mmol)、トリエチルアミン(6.2mL、45mmol)およびZnCl
2(0.7mL、0.07mmol)を、MeOH(30mL)に溶解し、反応混合物を65℃で6時間、撹拌した。次に、これにNaBH
3CN(2.8g、45mmol)を0℃で小分けにして加えた。得られた反応混合物を25℃で17時間、撹拌した。溶媒を真空で除去し、残留物をH
2O(100mL)とDCM(80mL)との間に分配した。水性層を、DCM(2×80mL)によりさらに抽出し、合わせた有機相を乾燥(Na
2SO
4)し、真空で濃縮すると、tert-ブチル4-[(2,2-ジメチルプロピル)アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(3.5g、88%)が黄色ガム状物として得られた。
LCMS(システム3、方法D):m/z 271(M+H)
+、(ESI+ve)、4.22分、202nm。
【0186】
tert-ブチル4-[(2,2-ジメチルプロピル)アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(3.5g、12mmol)およびトリエチルアミン(5.3mL、30mmol)を、窒素下でDCM(20mL)に溶解し、0℃で10分間、撹拌した。次に、塩化アセチル(1.3mL、19mmol)を、0~10℃で滴下して加え、混合物を25℃で2時間、撹拌した。反応混合物をH2O(150mL)とEtOAc(120mL)との間に分配した。水性層を、EtOAc(2×120mL)によりさらに抽出し、合わせた有機相を乾燥(Na2SO4)し、真空で濃縮すると、粗生成物が得られ、これを、カラムクロマトグラフィー(順相シリカ、ヘキサン中の0~20% EtOAc)により精製すると、tert-ブチル4-[アセチル(2,2-ジメチルプロピル)アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(3.1g、76%)が黄色ガム状物として得られた。
LCMS(システム3、方法D):m/z 313(M+H)+、(ESI+ve)、4.41分、202nm。
【0187】
0℃のDCM(14mL)中のtert-ブチル4-[アセチル(2,2-ジメチルプロピル)アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(3.1g、9mmol)の溶液に、TFA(7.0mL)を滴下して加えた。反応液を25℃で6時間、撹拌した。溶媒を真空で除去し、残留物をペンタン(3×1mL)とすり混ぜすることによって精製すると、N-(2,2-ジメチルプロピル)-N-(ピペリジン-4-イル)アセトアミドトリフルオロ酢酸塩(中間体23)(1.8g、86%)が黄色ガム状物として得られた。
【0188】
中間体23に関するデータは表2にある。
経路5
中間体33である1-(ピペリジン-4-イル)アゼパン-2-オン塩酸塩の調製によって例示される、ピペリジンの調製の典型的な手順
【0189】
【化22】
tert-ブチル4-アミノピペリジン-1-カルボキシレート(中間体31)(5.0g、25.0mmol)をDCM(50mL)に溶解し、トリエチルアミン(4.17mL、30.0mmol)を加えた。混合物を0℃に冷却し、次に、塩化6-ブロモヘキサノイル(中間体32)(6.4g、30.0mmol)を加えた。得られた反応混合物を25℃で2時間、撹拌し、次に、混合物をH
2O(100mL)とEtOAc(100mL)との間に分配した。水性層をEtOAc(2×25mL)によりさらに抽出し、合わせた有機層を乾燥(Na
2SO
4)し、溶媒を真空で除去すると、tert-ブチル4-[(6-ブロモヘキサノイル)アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(5.5g、78%)が固体として得られた。
LCMS(システム3、方法D):m/z 375/377(M-H)
-、(ESI-ve)、4.10分、202nm。
【0190】
tert-ブチル4-[(6-ブロモヘキサノイル)アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(5.0g、13.2mmol)を、DMF(100mL)に溶解し、鉱物油(60%、638mg、15.9mmol)中のNaH懸濁液を、0~5℃で小分けにして加えた。次に、反応混合物を80℃に加熱し、2時間撹拌した。反応混合物をH2O(100mL)とEtOAc(100mL)との間に分配し、水性層をEtOAc(2×25mL)によりさらに抽出した。合わせた有機層を乾燥(Na2SO4)し、溶媒を真空で除去し、粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカ60~120メッシュ、ヘキサン中の0%~18% EtOAc)によって精製すると、tert-ブチル4-(2-オキソアゼパン-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(1.0g、25%)がガム状物として得られた。
LCMS(システム3、方法D):m/z 297(M+H)+、241(M-56+H)+(ESI+ve)、3.73分、202nm。
【0191】
tert-ブチル4-(2-オキソアゼパン-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(1.0g、3.37mmol)を、1,4-ジオキサン(4M、10mL)中のHClに溶解し、得られた反応混合物を25℃で16時間、撹拌した。溶媒を真空で除去し、残留物をジエチルエーテル(3×250mL)とすり混ぜることにより精製すると、1-(ピペリジン-4-イル)アゼパン-2-オン塩酸塩(中間体33)(450mg、68%)がガム状物として得られた。
【0192】
中間体33に関するデータは表2にある。
一般合成手順:
経路A
実施例1-1であるエチル7-[4-(1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレートの調製によって例示される、ピペリジンの調製の典型的な手順
【0193】
【化23】
4-(1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン(中間体4)(150mg、0.9mmol)、エチル7-オキソ-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート(中間体3)(232mg、1.0mmol)、トリエチルアミン(499mg、4.9mmol)および塩化亜鉛溶液(ジエチルエーテル中1M、0.03mL、0.03mmol)を、窒素下でMeOH(5mL)に溶解し、50~60℃で8時間、撹拌した。8時間後、NaBH
3CN(184mg、2.9mmol)を、0~10℃で小分けにして加え、得られた混合物を、反応が完了するまで50~60℃で撹拌した。反応混合物をH
2O(20mL)とEtOAc(30mL)との間に分配し、水性層をEtOAc(2×30mL)によりさらに抽出した。合わせた有機層を乾燥(Na
2SO
4)し、溶媒を真空で除去すると、粗生成物が得られ、精製方法Aを使用して、これを精製すると、エチル7-[4-(1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート、実施例1-1異性体1(11mg、4%)がガム状物として、およびエチル7-[4-(1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート、異性体2(39mg、12%)がガム状物として得られた。
【0194】
実施例1-1異性体1に関するデータは、表3にある。
経路B
実施例2-3であるエチル7-[4-(2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレートの調製によって例示される、メトキシピリジンからのピリドンの調製の典型的な手順
【0195】
【化24】
1,4-ジオキサン(1.5mL)中の異性体(0.09g、2.31mmol)の混合物としてのエチル7-[4-(2-メトキシピリジン-3-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート(実施例2-2)の撹拌溶液に、H
2O(1mL)および濃HCl(1mL)を加え、次に、反応混合物を100℃で16時間、撹拌した。溶媒を真空で除去し、残留物をH
2O(2mL)とEtOAc(10mL)との間に分配し、水性層をEtOAc(2×5mL)によりさらに抽出した。合わせた有機層を乾燥(Na
2SO
4)し、溶媒を真空で除去し、精製方法H、続いて精製方法Iを使用して、残留物を精製すると、エチル7-[4-(2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート、実施例2-3異性体1(2mg、2%)がガム状物として、およびエチル7-[4-(2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート、実施例2-3異性体2(20mg、23%)がガム状物として得られた。
【0196】
実施例2-3異性体1および異性体2に関するデータは表3にある。
経路C
実施例7-1であるエチル7-{4-[(1-メチルシクロブチル)カルバモイル]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレートによって例示されるピペリジン-4-カルボキサミドの調製の典型的な手順
【0197】
【化25】
エチルピペリジン-4-カルボキシレート(中間体34)(1.0g、6.36mmol)、エチル7-オキソ-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート(中間体3)(1.30g、6.36mmol)、トリエチルアミン(2.7mL、19.1mmol)およびZnCl
2(86mg、0.63mmol)を、MeOH(20mL)に溶解し、混合物を70℃で8時間、撹拌した。次に、反応混合物を0℃に冷却し、NaBH
3CN(1.20g、19.1mmol)を小分けにして加えた。得られた混合物を70℃で150時間、撹拌し、次に、溶媒を真空で除去した。残留物をH
2O(150mL)とEtOAc(120mL)との間に分配し、水性層をEtOAc(2×120mL)によりさらに抽出した。合わせた有機層を乾燥(Na
2SO
4)し、溶媒を真空で除去し、残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相中性活性化アルミナ、ヘキサン中の20%~80% EtOAc)によって精製すると、エチル7-[4-(エトキシカルボニル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート(800mg、36%)がガム状物として得られた。
LCMS(システム3、方法D):m/z 341(M-14+H)
+、(ESI+ve)、2.87分、202nm。
【0198】
1-メチルシクロブタン-1-アミン塩酸塩(中間体35)(102mg、0.85mmol)を、トルエン(10mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.3mL、1.69mmol)を加え、混合物を-10℃に冷却した。トルエン(2M、0.8mL、1.69mmol)中のトリメチルアルミニウム溶液を加え、反応混合物を-10℃で20分間、撹拌した。次に、エチル7-[4-(エトキシカルボニル)ピペリジン-1-イル]-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート(200mg、0.56mmol)を、-10℃で加え、得られた混合物を80℃で18時間、撹拌した。溶媒を真空で除去し、残留物をH2O(80mL)とDCM(60mL)との間に分配した。水性層をDCM(2×60mL)によりさらに抽出し、合わせた有機層を乾燥(Na2SO4)し、溶媒を真空で除去した。精製方法AH、続いて精製方法AIを使用して、残留物(230mg)を精製すると、エチル7-{4-[(1-メチルシクロブチル)カルバモイル]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート、実施例7-1異性体1(6mg、3%)がガム状物として、およびエチル7-{4-[(1-メチルシクロブチル)カルバモイル]ピペリジン-1-イル}-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート、実施例7-1異性体2(23mg、10%)がガム状物として得られた。
【0199】
実施例7-1異性体1および異性体2に関するデータは表3にある。
【0200】
【0201】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
生物活性
実施例A
ホスホ-ERK1/2アッセイ
機能アッセイは、Alphascreen Surefireホスホ-ERK1/2アッセイ(Crouch&Osmond、Comb. Chem.High Throughput Screen、2008年)を使用して行った。ERK1/2リン酸化は、Gq/11とGi/oタンパク質共役型受容体の活性化の両方の下流での結果であり、これにより、様々な受容体サブタイプに対する様々なアッセイフォーマットを使用するよりも、M
1、M
3(Gq/11共役型)およびM
2、M
4受容体(Gi/o共役型)の評価に、高度に好適となる。ヒトムスカリンM
1、M
2、M
3またはM
4受容体を安定して発現するCHO細胞を、MEM-アルファ+10%の透析後FBS中、96ウェル組織培養プレートでプレート培養(25K/ウェル)した。細胞が一旦、接着すると、細胞を一晩、血清飢餓させた。アゴニスト刺激は、細胞に5μLのアゴニストを添加することにより5分間、行った(37℃)。培地を取り除き、50μLの溶解緩衝液を加えた。15分間後、4μLの試料を384ウェルプレートに移し、7μLの検出用混合物を加えた。暗所中、プレートを穏やかに撹拌しながら2時間、インキュベートし、次に、PHERAstarプレートリーダーで読取りを行った。各受容体サブタイプに関して得られたデータから、pEC
50およびE
maxの値を算出し、それらの結果を以下の表4に記載する。
【0202】
実施例の大部分に関して、少なくとも2つのジアステレオマーが存在し、特に明記しない限り、逆相HPLC、キラルHPLCまたはキラルSFCの技法を使用して、これらを分離する。異性体の帰属(異性体1、異性体2など)は、最終精製工程で行った分離技法を使用して、化合物の保持時間に基づく。暗黙に、これは、逆相HPLC、キラルHPLCまたはキラルSFCの保持時間とすることができ、これは、化合物毎に様々となろう。
【0203】
活性な異性体に関する分析データを、表3に報告する。いくつかの活性が弱い化合物に関するデータが、表4に含まれており、絶対立体化学に関して好ましいものを強調する。
【0204】
【表4-1】
【表4-2】
均等物
上述の実施例は、本発明を例示する目的で示されており、本発明の範囲に何らかの制限を課すものと解釈されるべきではない。多数の修正および変更が、本発明の基礎をなす原理から逸脱することなく、上記の本発明の特定の実施形態になされ得ること、および実施例中に例示されていることが容易に明白となろう。このような修正および変更はすべて、本出願により包含されることが意図されている。