IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サイプリス メディカル, インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】縫合システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20230721BHJP
【FI】
A61B17/04
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021006906
(22)【出願日】2021-01-20
(62)【分割の表示】P 2020566288の分割
【原出願日】2018-06-13
(65)【公開番号】P2021151434
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】15/994,932
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520384725
【氏名又は名称】サイプリス メディカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ホルトン
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0251153(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0359531(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0213228(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0257751(US,A1)
【文献】米国特許第05792153(US,A)
【文献】米国特許第06059800(US,A)
【文献】米国特許第06443963(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具であって、前記器具は、
基質捕捉チャンバに隣接して配置される糸捕捉チャンバを含む縫合プローブであって、前記糸捕捉チャンバは、糸を捕捉するように構成された糸捕捉アセンブリを含み、前記基質捕捉チャンバは、基質を捕捉するように構成され、前記基質は、組織および/または組織の模擬物であり、前記基質捕捉チャンバは、基質を前記基質捕捉チャンバ内に捕捉し、引き寄せ、または配置するために低減されたチャンバ圧力を前記基質捕捉チャンバ内に生成するように動作可能である真空源に流体的に結合されている、縫合プローブと、
前記縫合プローブに滑動係合される細長いロッドであって、前記細長いロッドは、前記糸を運ぶように構成されている、細長いロッドと、
前記基質捕捉チャンバの外側に配置される基質補強要素であって、前記細長いロッドは、前記基質捕捉チャンバの外側の前記基質補強要素を通過して、前記糸を捕捉するために前記糸捕捉チャンバ内に入るように動作可能であり、前記細長いロッドは、前記糸捕捉チャンバに向かう第1の方向に駆動されることにより、前記糸を捕捉するために前記糸捕捉アセンブリと係合する、基質補強要素と
を備え、前記基質補強要素は、管状部材第1端と管状部材第2端との間に配置される長さを有する管状部材を含み、前記管状部材は、前記細長いロッドの周囲に配置されて前記細長いロッドによって運ばれるように構成される、器具。
【請求項2】
前記管状部材第1端に結合される第1のフランジをさらに備え、前記第1のフランジは、前記管状部材から径方向に延在している、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記管状部材第2端に結合される第2のフランジをさらに備え、前記第2のフランジは、前記管状部材から径方向に延在している、請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記管状部材は、前記管状部材の軸方向の圧縮力に応答して、前記管状部材の径方向に拡大する、請求項1に記載の器具。
【請求項5】
前記基質補強要素は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルスルホン、およびポリウレタン、ならびにこれらの組み合わせから成る群から選択される材料を備える、請求項に記載の器具。
【請求項6】
前記基質補強要素に結合される保有要素をさらに備え、前記保有要素は、前記基質捕捉チャンバによって捕捉される基質への前記基質補強要素の接着性を増加させるように構成される、請求項に記載の器具。
【請求項7】
前記細長いロッドは、前記糸を運ぶための糸キャリアアパーチャを画定する糸キャリアアパーチャ要素を含む、請求項に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この国際特許協力条約に基づく特許出願は、2018年5月31日に出願された米国非仮特許出願第15/994,932号の継続であり、その出願は、参照によって本明細書中に援用される。
【0002】
(I.背景)
基質補強要素を含む縫合システム、ならびに、糸が通過する第1の場所および第2の場所において基質を補強するために、基質補強要素および隣接する基質を通過する糸キャリアを含む、基質内に配置される糸を補強するための方法。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(II.本発明の開示)
本発明の広い目的は、基質捕捉チャンバに隣接して配置される糸捕捉チャンバを含む縫合プローブと、縫合プローブに滑動係合する糸キャリアと、基質捕捉チャンバに隣接して配置される基質補強要素と、のうちの1または複数を含み、糸キャリアは、基質捕捉チャンバの外側の基質補強要素を動作可能に通過して、糸捕捉チャンバ内へ入る、器具を提供することである。
【0004】
本発明の別の広い目的は、基質捕捉チャンバに隣接して糸捕捉チャンバを配置することを含む縫合プローブを構成することと、縫合プローブに糸キャリアを滑動係合することであって、糸キャリアは、基質捕捉チャンバの外側を滑動して通り糸捕捉チャンバ内へ入る、ことと、基質捕捉チャンバに隣接して組織補強要素を配置することであって、糸キャリアは、組織補強要素を通過する、ことと、のうちの1または複数を含む器具を作製する方法を提供することである。
【0005】
本発明の別の広い目的は、縫合プローブの基質捕捉チャンバに隣接して基質補強要素を配置することと、基質捕捉チャンバ内に基質を捕捉することと、縫合プローブと滑動係合される糸キャリアを、基質捕捉チャンバに隣接して配置される糸捕捉チャンバに向かって駆動することであって、糸キャリアは、基質捕捉チャンバの外側の基質および基質補強要素を通過し、糸キャリアは、糸捕捉チャンバ内に入る、ことと、のうちの1または複数を含む器具を用いる方法を提供することである。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
器具であって、前記器具は、
基質捕捉チャンバに隣接して配置される糸捕捉チャンバを含む縫合プローブと、
前記縫合プローブに滑動係合される糸キャリアと、
前記基質捕捉チャンバに隣接して配置される基質補強要素であって、前記糸キャリアは、前記基質捕捉チャンバの外側の前記基質補強要素を動作可能に通過して前記糸捕捉チャンバ内に入る、基質補強要素と
を備える、器具。
(項目2)
前記基質補強要素は、管状部材第1端と管状部材第2端との間に配置される長さを有する管状部材を含む、項目1に記載の器具。
(項目3)
前記管状部材第1端に結合される第1のフランジをさらに備え、前記第1のフランジは、前記管状部材から径方向に延在する、項目2に記載の器具。
(項目4)
前記管状部材第2端に結合される第2のフランジをさらに備え、前記第2のフランジは、前記管状部材から径方向に延在する、項目3に記載の器具。
(項目5)
前記管状部材は、長手方向の圧縮力に応答して径方向に拡大する、項目2に記載の器具。
(項目6)
前記基質補強要素は、頂面と底面との間に配置される厚みを有する可撓性シート材料の本体を含み、前記頂面および前記底面の各々は、周縁へ延在し、前記本体は、前記基質捕捉チャンバ内または前記基質捕捉チャンバに隣接して、折り可能に配置可能である、項目1に記載の器具。
(項目7)
前記基質補強要素は、頂面と底面との間に配置される厚みを各々有する可撓性シート材料の対のリーフを含み、前記頂面および前記底面の各々は、周縁へ延在し、前記対のリーフは、前記基質捕捉チャンバ内または前記基質捕捉チャンバに隣接して、距離を離して配置される、項目1に記載の器具。
(項目8)
前記基質補強要素は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルスルホン、およびポリウレタン、ならびにこれらの組み合わせから成る群から選択される材料を備える、項目1、2、6または7のうちのいずれか一項に記載の器具。
(項目9)
前記基質補強要素に結合される保有要素をさらに備える、項目1、2,6、または7のうちのいずれか一項に記載の器具。
(項目10)
方法であって、前記方法は、
基質捕捉チャンバに隣接して糸捕捉チャンバを配置することを含む縫合プローブを構成することと、
前記縫合プローブに糸キャリアを滑動係合させることであって、前記糸キャリアは、前記基質捕捉チャンバの外側を滑動して通って前記糸捕捉チャンバ内に入る、ことと、
前記基質捕捉チャンバに隣接して組織補強要素を配置することであって、前記糸キャリアは、前記組織補強要素を通過する、ことと
を備える、方法。
(項目11)
前記基質補強要素は、管状部材第1端と管状部材第2端との間の長さを配置することをさらに備える管状部材を含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
第1のフランジを前記管状部材第1端に結合することをさらに備え、前記第1のフランジは、前記管状部材から径方向に延在する、項目11に記載の方法。
(項目13)
第2のフランジを前記管状部材第2端に結合することをさらに備え、前記第2のフランジは、前記管状部材から径方向に延在する、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記管状部材は、長手方向の圧縮力に応答して径方向に拡大する、項目11に記載の方法。
(項目15)
前記基質補強要素は、可撓性シート材料の本体を含み、前記方法は、前記可撓性シート材料の本体の頂面と底面との間に厚みを配置することをと、前記頂面および前記底面の各々を周縁へ延在させることと、前記基質捕捉チャンバ内または前記基質捕捉チャンバに隣接して、前記本体を折り可能に配置することと、をさらに備える、項目10に記載の方法。
(項目16)
前記基質補強要素は、可撓性シート材料の対のリーフを含み、前記方法は、前記可撓性シート材料の対のリーフの頂面と底面との間に厚みを配置することと、前記頂面および前記底面の各々を周縁へ延在させることと、前記基質捕捉チャンバ内または前記基質捕捉チャンバに隣接して、距離を離して前記対のリーフを配置することと、をさらに備える、項目10に記載の方法。
(項目17)
前記基質捕捉要素は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルスルホン、およびポリウレタン、ならびにこれらの組み合わせから成る群から選択される材料を備える、項目10、11、15、または16のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
保有要素を前記基質補強要素に結合することをさらに備える、項目10、11、15、または16のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
方法であって、前記方法は、
基質補強要素を、縫合プローブの基質捕捉チャンバに隣接して配置することと、
前記基質捕捉チャンバ内に基質を捕捉することと、
前記縫合プローブに滑動係合される糸キャリアを、前記基質捕捉チャンバに隣接して配置される糸捕捉チャンバに向かって駆動することであって、前記糸キャリアは、前記基質捕捉チャンバの外側の前記基質および前記基質補強要素を通過し、前記糸キャリアは、前記糸捕捉チャンバ内に入る、ことと
を備える、方法。
(項目20)
前記基質補強要素は、管状部材第1端と管状部材第2端との間に配置される長さを有する管状部材を含み、前記方法は、
糸を運ぶ前記糸キャリアの周囲に前記管状部材を配置することと、
糸を運ぶ前記糸キャリアを、前記基質捕捉チャンバに向かって駆動することと、
前記基質内に前記管状部材を配置することと
をさらに備える、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記糸捕捉チャンバ内に配置される糸捕捉アセンブリにおいて前記糸を捕捉することと、
前記糸を運ぶ前記糸キャリアを、前記糸捕捉チャンバから遠ざけて駆動することと、
前記基質中に配置される前記管状部材内に前記糸を配置することと
をさらに備える、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記管状部材は、前記管状部材第1端から径方向に延在する第1のフランジを含み、前記方法は、
前記糸キャリアが前記糸捕捉チャンバに向かって動くときに、前記基質を通して前記第1のフランジを駆動することと、
前記糸を運ぶ前記糸キャリアを、前記糸捕捉チャンバから遠ざけて駆動するときに、前記基質の外側に前記第1のフランジを配置することと
をさらに備える、項目20に記載の方法。
(項目23)
前記管状部材は、前記管状部材第2端から径方向に延在する第2のフランジを含み、前記方法は、
前記糸キャリアが前記糸に向かって動くように、前記第1のフランジを、前記基質を通って駆動するときに、前記第1のフランジの反対側の前記基質の外側に前記第2のフランジを配置することと、
前記糸を運ぶ前記糸キャリアを、前記糸捕捉チャンバから遠ざけて駆動するときに、前記基質の外側に前記第2のフランジを配置することと
をさらに備える、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記組織補強要素は、頂面と底面との間に配置される厚みを有する可撓性シート材料の本体を含み、前記頂面および前記底面の各々は、周縁部へ延在し、前記方法は、
前記基質捕捉チャンバ内または前記基質捕捉チャンバに隣接して、前記本体を折り可能に配置することと、
前記本体の折られた部分の間に前記基質を配置することと
をさらに備える、項目19に記載の方法。
(項目25)
糸を運ぶ前記糸キャリアを、前記糸捕捉チャンバに向かって駆動することと、
前記本体の前記折られた部分と、前記糸を有する前記本体の前記折られた部分の間に配置される前記基質とを貫通することと、
前記基質捕捉チャンバ内へ前記糸キャリアを駆動することと
をさらに備える、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記糸捕捉チャンバ内に配置される糸捕捉アセンブリにおいて前記糸を捕捉することと、
前記糸を運ぶ前記糸キャリアを、前記糸捕捉チャンバから遠ざけて駆動することと、
前記本体の前記折られた部分、および前記糸を有する前記本体の前記折られた部分の間に配置される前記基質内に、前記糸を配置することと
をさらに備える、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記基質補強要素は、頂面と底面との間に配置される厚みを各々有する対のリーフを含み、前記頂面および前記底面の各々は、周縁部へ延在し、前記方法は、
前記基質捕捉チャンバ内または前記基質捕捉チャンバに隣接して、距離を離して前記対のリーフを配置することと、
前記基質補強要素の対のリーフ間に前記基質を配置することと
をさらに備える、項目19に記載の方法。
(項目28)
糸を運ぶ前記糸キャリアを、前記糸捕捉チャンバに向かって駆動することと、
前記対のリーフおよび前記対のリーフ間に配置される前記基質を貫通することと、
前記糸キャリアを前記糸捕捉チャンバ内へ駆動することと
をさらに備える、項目24に記載の方法。
(項目29)
前記糸捕捉チャンバ内に配置される糸捕捉アセンブリにおいて前記糸を捕捉することと、
前記糸を運ぶ前記糸キャリアを、前記糸捕捉チャンバから遠ざけて駆動することと、
前記対のリーフ、および前記糸を有する前記本体の前記折られた部分間に配置される前記基質内に、前記糸を配置することと
をさらに備える、項目28に記載の方法。
(項目30)
ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルスルホン、およびポリウレタン、ならびにこれらの組み合わせから成る群から選択される材料から、前記基質補強要素を形成することをさらに備える、項目19、20、または24のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
前記基質補強要素に結合される保有要素をさらに備える、項目19、20、または24のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
器具であって、前記器具は、
糸捕捉アセンブリと、
糸を運ぶ糸キャリアであって、前記糸キャリアは、前記糸捕捉アセンブリと係合および脱係合するように、相互に移動する、糸キャリアと、
前記糸キャリアと前記糸捕捉アセンブリとの間に配置される基質補強要素であって、前記糸キャリアは、前記糸を捕捉する前記糸捕捉アセンブリと係合するように、前記基質補強要素を通って第1の方向に駆動され、前記糸キャリアは、前記糸捕捉アセンブリと脱係合して前記基質補強要素から抜き取られるように第2の方向に駆動される、基質補強要素と、
前記基質補強要素内に配置される糸ループと
を備える、器具。
【0006】
当然、本発明のさらなる目的は、明細書、図面、写真、および特許請求の範囲の他のエリアにわたって開示される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
(III.図面の簡単な説明)
図1図1は、引き込まれた状態にある糸キャリアを有する縫合器具の実施形態の第1の斜視図である。
【0008】
図2図2は、延在された状態にある糸キャリアを有する縫合器具の実施形態の第2の斜視図である。
【0009】
図3図3は、縫合器具の実施形態の第1の側面図である。
【0010】
図4図4は、縫合器具の実施形態の頂面図である
【0011】
図5図5は、縫合器具の実施形態の第2の側面図である。
【0012】
図6図6は、縫合器具の実施形態の底面図である。
【0013】
図7図7は、図1に示される縫合プローブの拡大図である。
【0014】
図8図8は、図2に示される縫合プローブの拡大図である。
【0015】
図9図9は、図3に示される縫合プローブの拡大図である。
【0016】
図10図10は、図4に示される縫合プローブの拡大図である。
【0017】
図11図11は、基質捕捉チャンバ内へ取り外し可能に挿入する基質捕捉チャンバをさらに含む縫合プローブの実施形態を描写する、図4に示されるような断面図11-11である。
【0018】
図12図12は、基質捕捉チャンバ内へ挿入される基質捕捉チャンバを有する縫合プローブの実施形態を描写する、図4に示されるような断面図12-12である。
【0019】
図13図13は、糸捕捉チャンバ内へある距離だけ延在された糸キャリアの位置を示す、糸キャリアおよび糸捕捉チャンバの特定の実施形態の拡大図である。
【0020】
図14図14は、糸捕捉アセンブリと滑動係合するように糸捕捉チャンバ内へある距離だけ延在された糸キャリアの位置を示す、糸キャリアおよび糸捕捉チャンバの特定の実施形態の拡大図である。
【0021】
図15図15は、糸キャリアアセンブリのフックを糸キャリア内のノッチと位置合わせするように、糸捕捉チャンバ内へある距離だけ延在された糸キャリアの位置を示す、糸キャリアおよび糸捕捉チャンバの特定の実施形態の拡大図である。
【0022】
図16図16は、フックが糸キャリア内のノッチを通過することを可能とするように、糸捕捉アセンブリから滑動して抜き取られる糸キャリアの位置を示す、糸キャリアおよび糸捕捉チャンバの特定の実施形態の拡大図である。
【0023】
図17図17は、図6に示される縫合器具の特定の実施形態の断面図17-17である。
【0024】
図18図18は、図17に示される縫合プローブの断面の一部の拡大図である。
【0025】
図19図19は、図17に示される縫合器具ハンドルの断面の一部の拡大された斜視図である。
【0026】
図20図20は、図4に示される縫合器具の管状部材の断面20-20の拡大図である。
【0027】
図21図21は、糸キャリア第1位置にある縫合器具の拘束アセンブリの拡大された断面図である。
【0028】
図22図22は、糸キャリア第1位置と糸キャリア第2位置との間の縫合器具の拘束アセンブリの拡大された断面図である。
【0029】
図23図23は、糸キャリア第2位置にある縫合器具の拘束アセンブリの拡大された断面図である。
【0030】
図24図24は、糸キャリアアパーチャに通されかつ糸留めに配置される糸を有する縫合器具の特定の実施形態の斜視図である。
【0031】
図25図25は、図1に示されるような糸留めの拡大された斜視図である。
【0032】
図26図26は、図1に示されるような糸留めの拡大された斜視図である。
【0033】
図27図27は、糸留めの特定の実施形態の拡大された側面図である。
【0034】
図28図28は、糸留めの特定の実施形態の拡大図である。
【0035】
図29図29は、糸捕捉チャンバ内へある距離だけ延在された糸キャリアの位置を示す、糸キャリアおよび糸捕捉チャンバの特定の実施形態の拡大図である。
【0036】
図30図30は、糸捕捉アセンブリと滑動係合するように、糸捕捉チャンバ内へある距離だけ延在された糸キャリアの位置を示す、糸キャリアおよび糸捕捉チャンバの特定の実施形態の拡大図である。
【0037】
図31図31は、糸捕捉アセンブリのフックを糸キャリア内のノッチと位置合わせするように、糸捕捉チャンバ内へある距離だけ延在された糸キャリアの位置を示す、糸キャリアおよび糸捕捉チャンバの特定の実施形態の拡大図である。
【0038】
図32図32は、糸捕捉アセンブリで糸を捕捉するように、糸捕捉アセンブリのフックがノッチを通過することを可能とする糸捕捉チャンバから、抜き取られる糸キャリアを示す、糸キャリアおよび糸捕捉チャンバの特定の実施形態の拡大図である。
【0039】
図33A図33Aは、縫合器具のある実施形態を用いる特定の方法の描写である。
【0040】
図33B図33Bは、身体開口内に縫合プローブを挿入する特定の方法の描写である。
【0041】
図33C図33Cは、縫合器具の基質捕捉チャンバに向かって基質を触診する特定の方法の描写である。
【0042】
図33D図33Dは、基質を通して糸キャリアを駆動するために、縫合器具を動作させる特定の方法の描写である。
【0043】
図33E図33Eは、基質内に縫合ループ配置し、かつ身体開口から縫合プローブを取り除く特定の方法の描写である。
【0044】
図34図34は、異なる構成の縫合器具の使用によって取得される異なる量の基質パーチェス、および基質に隣接して縫合された基質補強要素のある実施形態の図示である。
【0045】
図35図35は、基質補強要素の特定の実施形態を含む縫合器具のある実施形態の斜視図である。
【0046】
図36図36は、基質補強要素の特定の実施形態を含む縫合器具のある実施形態の頂面図である。
【0047】
図37図37は、図36に示される縫合器具の断面図37-37である。
【0048】
図38図38は、基質補強要素の別の特定の実施形態を含む縫合器具のある実施形態の斜視図である。
【0049】
図39図39は、基質補強要素の別の特定の実施形態を含む縫合器具のある実施形態の頂面図である。
【0050】
図40図40は、図39に示されるような断面図40-40である。
【0051】
図41図41は、基質補強要素の別の特定の実施形態を含む縫合器具のある実施形態の斜視図である。
【0052】
図42図42は、基質補強要素の別の特定の実施形態を含む縫合器具のある実施形態の側面図である。
【0053】
図43図43は、基質補強要素の別の特定の実施形態を含む縫合器具のある実施形態の頂面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
(IV本発明を実行するためのモード(単数または複数))
概して図1から図43を参照すると、基質捕捉チャンバ(2)と、糸(4)を運搬する糸キャリア(3)であって、糸キャリア(3)は、引き込まれた状態(5)から伸長した状態(6)に向かう間で軸方向に動き、伸長した状態において、糸キャリア(3)の糸キャリア終端(7)は、引き込まれた状態(5)に向かう糸キャリア(3)の帰還時に糸ループを生成するように糸(4)を捕捉する糸捕捉アセンブリ(9)に係合するように、基質捕捉チャンバ(2)の外側を通過して糸捕捉チャンバ(8)内に入る、糸キャリア(3)とを含む、縫合器具(1)の実施形態。
【0055】
ここで主に図1から図10を参照すると、縫合器具(1)の実施形態は、縫合プローブ(10)を含み得る。縫合プローブ(10)は、プローブ先端(12)で終端するように、管状部材(11)から軸方向外向きに延在し得る。縫合プローブ外面(13)は、皮膚、筋膜、脂肪、または筋肉等の(図33Aから図33Eの図示的な例に示されるような)基質(15)に係合するように、プローブ先端(12)が自然身体開口または切開部等の身体開口(14)通過することを可能とする管状部材(11)の外部寸法の拡張として構成され得るが、必ずしも必要とされない。特定の例の基質(15)が、人間または動物の組織を含む組織(16)を含む一方で、この説明は、死体の組織、組織の模擬物、組織モデル、エラストマ構成要素、プラスチックもしくは天然の布、または同様のものを図示的例として含む人間または動物の組織以外の基質(15)の捕捉を除外することを意図されない。
【0056】
再度、主に図1から図10を参照すると、特定の実施形態では、縫合プローブ(10)は、先のとがっていないプローブ先端(12)で終端する略円柱状の縫合プローブ外面(13)を有し得る。特定の実施形態に関して、縫合プローブ外面(13)は、プローブ先
端(12)で寸法を低減するようにプローブ先端(12)に近づくテーパ状表面、面取りされた表面、または傾斜した表面を含み得る。より少ない量の組織の解剖または外傷で、動物の組織等の基質(15)中への縫合プローブ(10)の追加的な進入を可能とするため、傾斜したプローブ面、テーパ状プローブ面、または傾いたプローブ面(17)を有することの利点が存在し得る。
【0057】
再度、主に図1から図10を参照すると、特定の実施形態では、基質捕捉チャンバ(2)は、縫合プローブ(10)中に配置され得る。基質捕捉チャンバ(2)は、縫合プローブ外面(13)へ開口したチャンバポート(20)からある距離にチャンバの底部(19)を、対向する固定された関係で結合するチャンバ側壁(18)を含み得る。特定の実施形態では、鉛直のチャンバ側壁(18)は、チャンバポート(20)の周縁よりも大きい円周の周縁を画定し得る。特定の実施形態では、基質捕捉チャンバ(2)は、基質(15)を基質捕捉チャンバ(2)内に捕捉し、引き寄せ、または配置するために十分低減されたチャンバ圧力(22)を基質捕捉チャンバ(2)内に生成するように動作可能である真空源(21)に流体的に結合され得るが、これは必ずしも必要とされない。
【0058】
特定の実施形態では、縫合プローブ(10)は、凹部(23)を含み、チャンバポート(20)は、縫合プローブ外面(13)の凹部(23)に開口しており、糸キャリア(3)は、基質捕捉チャンバ(2)の外側の縫合プローブ外部表面(13)の凹部(23)内を通るように動作可能であり得る。特定の実施形態では、縫合プローブ外面(13)の凹部(23)は、(図7から図9の図示的な例に示されるように)アーチ形であり得る。縫合プローブ外面(13)のアーチ形の凹部(23)は、(図33Cの図示的な例に示されるように)基質を縫合捕捉チャンバ(2)に向かって動かすように、指(24)の先端が基質(15)に力を付与することを可能とするように構成され得るが、これは必ずしも必要とされない。
【0059】
ここで、主に図7から図10を参照すると、縫合プローブ外面(13)の凹部(23)は、実質的に平坦なアーチ面(25)を含み、チャンバポート(20)は、チャンバポート(20)の周りに凹形の外縁(26)を提供するように開口し得る。基質(15)に接触する縫合プローブ外面(13)の表面積を増加させ得る点で、チャンバポート(20)の周りの、実質的に平坦かまたは減少した曲率をもたらす凹形の外縁(26)の利点が存在し得る。縫合プローブ外面(13)の増加された表面積は、それらの実施形態において、基質(15)の捕捉の実質的な利点をもたらし得、低減されたチャンバ圧力(22)は、基質捕捉チャンバ(2)で生成され得るか、または基質捕捉チャンバ(2)で捕捉される基質(15)に関係する縫合プローブ(10)の動きを減少させ得る。
【0060】
ここで、主に図1図2図4、および図10を参照すると、チャンバポート(20)は、対の反対側の側面が半円の長方形であるスタジアム構成(27)で配置され得るが、これは必ずしも必要とされない。基質捕捉チャンバ(2)は、実質的に鉛直のチャンバ側壁(18)によって接続されるスタジアム構成のチャンバポート(20)の反対側に配置される、スタジアム構成のチャンバ底部(19)を有し得るが、これは必ずしも必要とされない。
【0061】
図34を参照すると、従来の溝が付いているかまたは実質的に円形である基質捕捉チャンバ(2)を有する基質捕捉チャンバ(2)に比べて増加された量の基質(15)が基質捕捉チャンバ(2)内に配置され得るという点、および、相応じて、糸キャリア(3)によって貫通される基質(15)は、従来の溝が付いているかまたは円柱状である吸引チャンバに比べて、より離れた距離に糸進入ポイント(28)および糸抜き取りポイント(29)を配置し得る(「縫合パーチェス(30)」とも称される)という点で、スタジアム構成(27)の基質捕捉チャンバ(2)の利点が存在し得る。スタジアム構成(27)の使用によって生成される縫合パーチェス(30)は、円柱状の構成の吸引チャンバを用いることで取得されるものまたは溝の付いた構成の従来の吸引チャンバを用いて取得されるものよりも、実質的に大きいものであり得る。従来の円柱状の構成は、従来の円柱状の吸引チャンバ内の円錐状の構成内へ基質を引き寄せ、従来の針が、円錐の頂点の近傍の基質を貫通するにすぎない場合がある。従来の溝の付いた吸引チャンバは、十分な距離で基質を従来の溝の付いたチャンバ内へ配置するために十分な体積を有さず、従来の針が、折り目または縁に近い隣接した関係で基板層を貫通するにすぎない場合がある。
【0062】
ここで、図11および図12を参照すると、縫合プローブの特定の実施形態は、基質捕捉チャンバインサート(31)を含み得る。基質捕捉チャンバインサート(31)は、基質捕捉インサート底部(33)を基質捕捉チャンバインサートポート(34)に接合する基質捕捉チャンバインサート側壁(32)を含み得る。基質捕捉チャンバインサート(31)は、基質捕捉チャンバ(2)の構成または体積を変更するために、基質捕捉チャンバ(2)の内側に取り外し可能に結合され得る。基質捕捉チャンバインサート(31)に対応して変更された構成または体積は、これに従って基質捕捉チャンバ(2)内に捕捉される基質(15)の体積を増加または減少させ、(図34の図示的な例で示されるように)これに従って縫合パーチェス(30)を調節し得る。基質捕捉チャンバインサート(31)は、基質捕捉チャンバ(2)を真空ポート(37)に結合する第1の長手方向のチャネル(36)に、基質捕捉チャンバインサート(31)の内部体積および基質捕捉チャンバインサートポート(34)を流体的に結合するように配置されるインサートアパーチャ要素(35)を有し、流体の流れ(38)は、基質捕捉チャンバ(2)内のチャンバ圧力(22)を調整するように真空ポート(37)を通過し得る。図12の図示的な例に示されるように、基質捕捉チャンバインサート(31)は、交換可能な実施形態の間で、基質捕捉チャンバ底部(19)とチャンバポート(20)との間の距離以下である深さで配置され得る基質捕捉チャンバインサート底部(33)を有し得る。基質捕捉チャンバインサートポート(34)は、およそチャンバポート(20)によって画定される開口面積以下の開口面積を有し得る。しかし、この図示的な例は、チャンバ側壁(18)のみか、チャンバポート(20)のみか、もしくはチャンバ底部(19)のみか、またはそれらの組み合わせを変更し得る、基質捕捉インサート(31)の他の構成を除外するように意図されない。
【0063】
ここで、主に図13から図16を参照すると、糸捕捉アセンブリ(9)が、糸捕捉チャンバ(8)内に配置され得る。糸捕捉アセンブリ(9)は、相応する少なくとも1つのフック(40A)で終端する少なくとも1つの弾性的可撓性のフック部材(39A)を含み得る。弾性的可撓性のフック部材(39A)は、糸キャリア(3)に係合して少なくとも1つの弾性的可撓性のフック部材(39A)を屈曲させる場所にフック(40A)を配置するように、糸捕捉チャンバ内面(41)に結合され得る。特定の実施形態については、糸捕捉アセンブリ(9)は、各々に相応じて対のフック(40A)(40B)のうちの1つで終端する対の弾性的可撓性のフック部材(39A)(39B)を含み得る。対の弾性的可撓性のフック部材(39A)(39B)は、各々、糸キャリア(3)の両側の相応じた係合を可能とする場所から離れた距離に対のフック(40A)(40B)を配置するように、糸捕捉チャンバ内面(41)に結合され得、それによって、(図13および図14の例に示されるように)対の弾性的可撓性のフック部材(39A)(39B)の各々を屈曲させる。糸捕捉チャンバ(8)からの糸キャリア(3)の引き込み時に、対の弾性的可撓性のフック部材(39A)(39B)の各々は、糸キャリア(3)から対のフック(40A)(40B)の各々を相応じて脱係合する屈曲していない状態に向かって戻る。
【0064】
再度、主に図13から図16を参照すると、糸キャリア(3)は、糸キャリアアパーチャ要素(43)から軸方向にある距離で配置されるノッチ(42)をさらに含み得る。ノッチ(42)は、ノッチ通路第1端(45)と第2端(46)との間に糸キャリア外面(47)において開口しているノッチ通路(44)を画定する。ノッチ(42)は、ノッチ通路第1端(45)を、糸キャリア終端(7)の近位でチャンバポート(20)とは反対側に向け、かつノッチ通路第2端(46)を、糸キャリア終端(7)の遠位でチャンバポート(20)に向けて配置するように、糸キャリア(3)の糸キャリア長手方向軸(48)を横切って角度をつけて配置され得る。フック(40A)または対のフック(40A)(40B)は、少なくとも1つの弾性的可撓性のフック部材(39A)または対の弾性的可撓性のフック部材(39A)(39B)を屈曲させ、かつ対のフック(40A)(40B)のうちの1つをノッチ通路第2端(46)と位置合わせする糸キャリア(3)と係合する。弾性的な屈曲は、フック(40A)をノッチ通路第2端(46)の中へ動かす。フック(40A)は、ノッチ通路(44)を通って移動し、ノッチ通路第1端(45)からの退出によって糸キャリア(3)から脱係合する。
【0065】
ここで、主に図17から図20を参照すると、糸キャリア(3)は、駆動部材第1端(49)に結合され、糸キャリア終端(7)で終端するように軸方向外向きに延在し得る。糸キャリア(3)は、細長いロッドを備え得、細長いロッドは、糸キャリア終端(7)に近づいてテーパ状であり得るが、これは必ずしも必要ではない。テーパは、糸キャリア(3)が特定のタイプの基質(15)を通過することを可能とするために十分であり得、特定の実施形態に関しては、糸キャリア(3)は、動物の組織を備える基質(15)を通過するように、糸キャリア終端(7)の鋭い点までテーパ状であり得る。糸キャリアアパーチャ要素(43)は、その糸キャリア終端(7)から軸方向にある距離で配置され得る。糸キャリアアパーチャ要素(43)は、糸キャリアアパーチャ(50)を画定する。特定の実施形態に関して、糸キャリアアパーチャ(50)は、糸キャリアアパーチャ軸(51)を有し得、これは、糸キャリアの長手方向軸(48)に略直交し、かつ(糸キャリアアパーチャ軸(51)に略直交するチャンバポート(20)を長手方向に二等分する図18の断面に示されるように)チャンバポート(20)を長手方向に二等分する平面(52)に略直交して配置される。
【0066】
ここで主に図1から図6を参照すると、縫合器具(1)の実施形態は、ハウジング(53)を含み得る。ハウジング(53)は、ハンドル(54)と、ハンドル(54)から軸方向外向きに延在して縫合プローブ(10)で終端する管状部材(11)とを含み得る。ハンドル外面(55)は、人間の手で把持されて係合されるように構成され得るが、これは必ずしも必要とされない。
【0067】
再度、主に図17から図20を参照すると、ハンドル(54)は、軸方向の滑動係合で糸キャリアドライバ(56)を受容し得る。糸キャリアドライバ(56)は、駆動部材第1端(49)と駆動部材第2端(58)との間に配置される長さを有する縦長の駆動部材(57)を含み得る。縦長の駆動部材(57)は、駆動部材アクチュエータ(59)に応答して、ハンドル(54)の内側を軸方向に動く。特定の実施形態に関しては、駆動部材アクチュエータスロット(60)が、ハンドル(54)内に配置され得、駆動部材アクチュエータ(59)は、強制的に付勢するときにハンドル(54)の内側の縦長の駆動部材(57)の相応じた軸方向の動きを生成する押圧式駆動部材アクチュエータボタン(61)を呈示するように、駆動部材アクチュエータスロット(60)を通って延在するように構成され得る。特定の実施形態に関しては、糸キャリアドライバ(56)は、(図7から図10の例に示されるように)基質捕捉チャンバ(2)の外側のプローブ外面(13)に開口している第2の長手方向のチャネル(63)の内側に糸キャリア終端(7)を設置する糸キャリア第1位置(62)と、糸捕捉チャンバ(8)内に設置される糸キャリア終端(7)を有する糸キャリア第2位置(64)との間で糸キャリア終端(7)を同時にかつ相互的に位置付けるように双方向に動作され得る。第2の長手方向のチャネル(63)は、真空源(21)に結合される第1の長手方向のチャネル(36)から流体的に別個であり得る。よって、基質捕捉チャンバ(2)の外側の第1位置(62)から第2位置(64)へ第2の長手方向のチャネル(63)内で配置されかつ相互的に動かされる糸キャリア(3)は、真空源(21)に流体的に結合される第1の長手方向のチャネル(36)内で生成される基質捕捉チャンバ(2)内の低減されたチャンバ圧力(22)を維持するためには、糸キャリア(3)との封止係合を要求しない。
【0068】
ここで、主に図17から図19を参照すると、ハウジング(53)は、図1から図6および図17から図19の例に示されるように)ハンドル外面(55)において開口している真空ポート(37)を提供するように構成され得る。真空ポート(37)は、(図1および図2の例に示されるように)真空源(21)に結合され得る。真空源(21)は、各種の従来の真空ポンプまたは吸引ポンプのいずれかを備え得る。真空源(21)は、基質捕捉チャンバ(2)内で低減されたチャンバ圧力(22)を生成するように動作され得る。
【0069】
ここで主に図21から図23を参照すると、駆動部材第2端(58)は、拘束アセンブリ(65)に結合され得る。拘束アセンブリ(65)は、拘束部材(66)と、突起レシーバ(67)と、突起(68)とのうちの1または複数を含み得る。拘束部材(66)は、拘束部材第1端(69)と拘束部材第2端(70)との間に配置される長さを有し得る。拘束部材第1端(69)は、糸キャリアドライバ(56)に結合され得る。拘束部材第2端(70)は、拘束部材第2端(70)に向かって延在するテーパを有し得る。拘束部材第1端(69)と第2端(70)との間に配置されるのは、突起レシーバ(67)であり得る。突起レシーバ(67)は、ハンドル(54)の内面(71)に結合され得る突起(68)に係合し得る。糸キャリアドライバ(56)は、糸キャリア(3)および拘束部材(66)を同時に軸方向に動かすように動作可能であり得る。糸キャリアドライバ(56)が糸キャリア(3)を糸キャリア第2位置(64)に向かって動かすように動作するときに、拘束部材(66)は、屈曲し、突起(68)が突起レシーバ(67)から脱係合することを可能とする。拘束部材(66)はまた、突起(68)が突起レシーバ(67)に向かって拘束部材第2端(70)のテーパに沿って移動することを可能とするように屈曲し、糸キャリアドライバ(56)が糸キャリア(3)を糸キャリア第1位置(62)に向かって動かすように動作するときに、突起(68)は、突起レシーバ(67)と係合し得る。
【0070】
ここで、主に図1から図11および図24を参照すると、糸(4)は、糸キャリアアパーチャ要素(43)内に配置され得る。糸(4)を糸キャリアアパーチャ要素(43)内に配置することを支援するために、特定の実施形態は、糸スロット(72)を含み得る。糸スロット(72)は、縫合プローブ外面(13)内の第2の長手方向のチャネル(63)の開口部に隣接する縫合プローブ(10)内に配置され得る。第1位置(62)に配置される糸キャリアアパーチャ要素(43)の場所は、糸(4)が糸スロット(72)および糸キャリアアパーチャ要素(43)に通されることを可能とするように糸スロット(72)と位置合わせし得る。
【0071】
ここで、主に図24から図28を参照すると、特定の実施形態では、縫合器具(1)についての方法は、糸(4)の第1端(73)を、糸キャリア(3)に配置される糸キャリアアパーチャ要素(43)に通すことを含み得る。特定の実施形態では、方法は、糸キャリアアパーチャ要素(43)がハンドル(54)内に配置される糸スロット(72)と位置合わせされる間、糸(4)の第1端(73)を糸キャリアアパーチャ要素(43)に通すことをさらに含み得る。特定の実施形態では、糸(4)の第2端部(74)(または糸(4)の両端)は、ハンドル(54)に配置される糸留め(75)内に保有され得る。糸留め(75)の実施形態は、糸(4)を留めかつ保有するように構成される糸留めスロット(77)を含む糸留め基板(76)を含み得る。図24から図28に示される実施形態では、糸留め(75)は、糸留めスロット(77)の両側の関係で配置される1または複数の摩擦パッド(78)を含み得るが、必ずしもこれを含む必要はない。特定の実施形態では、摩擦パッド(78)は、糸が糸留めスロット(77)に配置されるときに、糸(4)における摩擦を増加させるエラストマ材料を備え得る。特定の実施形態では、糸留め(75)は、糸留めアパーチャ要素(80)を含む糸留め基板(76)を含み得る。糸留めアパーチャ要素(80)は、糸留め(75)の遠位端と糸留め(75)の近位端との間を連通する糸留めアパーチャを画定し得る。糸(4)は、遠位から近位の方向へ糸留めアパーチャに通され得る。
【0072】
主に図29から図32を参照すると、縫合器具(1)についての方法は、縫合プローブ(10)に滑動係合される糸キャリア(3)を、糸捕捉チャンバ(8)に向かって駆動することを含み得る。糸捕捉チャンバ(8)に配置される糸捕捉アセンブリ(9)を、糸(4)を運搬する糸キャリア(3)と滑動係合させること。糸(4)を、フック(40A)で終端する少なくとも1つの弾性的可撓性のフック部材(39A)に隣接して配置すること。(図29および図30の例に示されるように)フック(40A)を、糸キャリア(3)中に配置されるノッチ(42)のノッチ第2端(46)と位置合わせすること。フック(40A)を、ノッチ通路(44)を通して動かすように、糸捕捉チャンバ(8)から離れる方へ縫合プローブ(10)に滑動係合される糸キャリア(3)を駆動すること。(図31および図32の例に示されるように)フック(40A)において糸(4)を捕捉すること。
【0073】
ここで、主に図33Aから図33Eを参照すると、縫合器具(1)についての方法は、(図33Aの例に示されるように)糸(4)の第1端(73)を、糸キャリア(3)に配置される糸キャリアアパーチャ要素(43)に通すことを含み得る。(図33Bの例に示されるように)縫合プローブ(10)を基質(15)の身体開口(14)内へ挿入すること。縫合プローブ(10)に配置される基質捕捉チャンバ(2)に向かって強制的に付勢することであって、これは、(図33Cに示されるように)特定の実施形態に関しては、基質(15)を指(24)または他の器具もしくはデバイスと接触させることを含む。基質捕捉チャンバ(2)内に基質(15)を捕捉することであって、これは、基質捕捉チャンバ(2)内のある量の基質(15)を引き寄せかつ保有するように、真空源(21)の動作によって基質捕捉チャンバ(2)内に低減されたチャンバ圧力(22)を生成することを含み得るが、必ずしも必要とされない。縫合プローブ(10)において滑動係合される糸キャリア(3)を、糸捕捉チャンバ(8)に向けて駆動すること。(図33Dの例に示されるように)糸(4)を運搬する糸キャリア(3)を、基質捕捉チャンバ(2)の外側の基質(15)を通過させて糸捕捉チャンバ(8)内に入れること。糸キャリア(3)を、糸捕捉チャンバ(8)内に配置される糸捕捉アセンブリ(9)と係合させること。糸捕捉アセンブリ(9)において糸(4)を捕捉すること。(図33Eの例に示されるように)基質(15)内に糸ループを生成するために、糸捕捉チャンバ(8)から基質(15)を通して糸キャリア(3)を相互に駆動すること。特定の実施形態では、方法は、基質捕捉チャンバインサート(31)を基質捕捉チャンバ(2)内へ挿入することをさらに含み得る。
【0074】
縫合プローブ(10)内の糸キャリア(3)を糸捕捉チャンバ(8)に向かって駆動することに関して、方法は、縫合器具(1)のハンドル(54)内の駆動部材アクチュエータスロット(60)を通って延在する駆動部材アクチュエータボタン(61)を押圧することをさらに含み得る。押圧することは、糸捕捉チャンバ(8)に向かう第1の方向(79)において糸キャリア(3)の動きを生成し得る。第1の方向(79)における糸キャリア(3)の動きは、基質捕捉チャンバ(2)に流体的に結合される真空源(21)によって生成される低減されたチャンバ圧力(22)の一貫性を損なわせずに、糸キャリア(3)を、糸捕捉チャンバ(2)の外側の基質(15)を通過させて糸捕捉チャンバ(8)内に入れ得る。特定の実施形態では、方法は、拘束アセンブリ(65)を屈曲させ、それによって突起(68)を突起レシーバ(67)から脱係合させ、突起(68)を拘束部材第2端(70)のテーパに沿って前進させ、第1の方向(79)における糸キャリア(3)の動きを可能とすることをさらに含み得る。
【0075】
ここで、主に図34を参照すると、基質捕捉チャンバ(2)の構成または体積を変動させることに利点が存在し得る。基質捕捉チャンバ(2)の種々の構成および体積は、基質捕捉チャンバインサート(31)を活用すること、および基質捕捉チャンバ(2)内の圧力(22)を低減するように真空源(21)を活用するオプションによって発生し、用途の要件に依存して、基質(15,16)における縫合パーチェス(30)を相応じて変動させ得る。真空源(21)を含む特定の実施形態では、基質捕捉チャンバ(2)内の圧力(22)を低減することは、基質捕捉チャンバ(2)内に増加した量の基質(15)を捕捉し、それによって縫合パーチェス(30)を増加させ得る。縫合パーチェス(30)は、基質(15)を受容するために利用可能である基質捕捉チャンバ(2)の体積を変動させる基質捕捉チャンバインサート(31)の使用によって調節され得る。他の特定の実施形態では、基質捕捉チャンバインサート(31)は、真空源(21)を伴わずに活用され、真空源(21)を活用する用途とは対照的に縫合パーチェス(30)を減少させ得る。従って、基質捕捉チャンバインサート(31)を活用する要因を変更することによって、および真空源(21)の活用によって、縫合パーチェス(30)は、用途に依存して増加または減少され得る。
【0076】
ここで、図34および図35から図43を参照すると、縫合器具(1)の特定の実施形態は、基質補強要素(80)をさらに含み得、基質補強要素(80)は、縫合器具(1)の動作によって、(図34の例に示されるように)糸(4)の下に配置され得、これにより、糸(4)(縫合)によってのみ接触されるよりも大きい(図34の例に破線で示される)基質エリア(83)にわたって縫合の力を拡散させることによって、糸(4)が基質(15)(組織(16))を通って引き裂く可能性を抑止または低減するために、基質(15)(組織(16))内の縫合パーチェス(30)に機械的支持を提供する。基質補強要素(80)は、基質エリア(83)を保護し、または、薬剤、抗生物質、ホルモン、もしくは同様のもの、またはこれらの組み合わせ等の組成物を、基質エリア(83)に送達し得るが、これは必ずしも必要とされない。基質補強要素(80)は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリウレタン、およびフェルト、またはこれらの組み合わせを含むか、またはこれらから成る、多種多様な固体、多孔性、織布、または開口された不織布の基質補強材料から生産され得る。
【0077】
特定の実施形態では、基質補強要素(80)は、生分解性材料から生産され得る。本発明の目的において「生分解性」とは、基質エリア(83)の構造的補強を提供することか、または重合体もしくは重合体の混合物(高分子材料とも称される)の選択によって制御可能な治療レベルで治療薬を送達することと整合した速度での、1または複数の物理的、化学的、または細胞性のプロセスによって、基質エリア(83)の生理的環境内で分解する任意の生体適合性材料の能力を意味し、重合体は、ポリ-4-ヒドロキシ酪酸(P4HB)、ポリ乳酸重合体(PLA)、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリ乳酸-ポリエチレンオキシド共重合体、ポリ(ε-カプロラクトン-co-L-乳酸(PCL-LA)、グリシン/PLA共重合体、ポリエチレンオキシド(PEO)を含有するPLA共重合体、アセチル化ポリビニルアルコール(PVA)/ポリカプロラクトン共重合体、ヒドロキシ酪酸-ヒドロキシ吉草酸共重合体、ポリエステル(アスパラギン酸および異なる脂肪族ジオール、ポリ(酒石酸アルキレン)、ならびにそれらのポリウレタンとの共重合体等であるがこれに限定されない)、種々のエステル含有物および化学的もしくは酵素的分解性の結合を有するポリグルタミン酸、他の生体分解性非ペプチド性ポリアミド、アミノ酸重合体、ポリ無水物薬剤キャリア(例えばポリ(セバシン酸)(PSA)、脂肪族-芳香族ホモ重合体、およびポリ(無水物-co-イミド)であるが、これらに限定されない)、マトリックス状またはペンダント状の送達システムによるポリ(リン酸エステル)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(炭酸イミノ)、架橋ポリ(オルソエステル)、ヒドロキシル化ポリエステル-ウレタン、または同様のものを含むが、これらに限定されない。
【0078】
ここで、概して図35から図43を参照すると、基質補強要素(80)の実施形態は、本体(84)を含み得、本体(84)は、糸キャリア(3)が糸捕捉チャンバ(8)に向かって(図36図39および図42の例に示されるような)第1の方向(79)に動くときに糸キャリア(3)によって貫通されることが可能であり、かつ、糸キャリア(3)が糸捕捉チャンバ(8)から遠ざかって第2の方向(85)に動くときに、本体(84)は、糸(4)を留めて糸キャリア(3)を解放することが可能である。さらなる特定の実施形態では、1または複数の保有要素(86)が、(図38の例に示されるように)基質補強要素(80)に結合され得る。1または複数の保有要素(86)の各々は、基質(15)への基質補強要素(80)の接着性を増加させ得る。保有要素(86)の例は、バーブ、突起、フック、プロング、毛材、スパイク、突端、棘、または基質(15)(16)への基質補強要素(80)の接着性を増加させる他の特徴を含み得る。
【0079】
ここで、主に図35から図37を参照すると、特定の実施形態では、基質補強要素(80)は、縫合器具(1)の基質捕捉チャンバ(2)に配置可能なワンピース本体(84)を含み得る。ワンピース本体(84)は、頂面(87)と底面(88)との間に配置される厚みを有する可撓性シート材料で形成され、またはこれから切られ得る。頂面(87)および底面(88)は、周縁(89)へ各々延在し得る。周縁(89)は、長方形、正方形、円形、細長ストリップ、または基質縫合用途に適合可能な他の構成を画定し得る。特定の実施形態では、本体(84)は、(図36および図37の例に示されるように)縫合器具(1)の基質捕捉チャンバ(2)内で曲げられまたは折られ得る。組織(16)であり得るが必ずしもこれに限定されない基質(15)は、(図36の図示的な例に示されるように)曲げられまたは折られた基質補強要素(80)の本体(84)内に捕捉され得る。糸キャリア(3)は、糸キャリア(3)が糸捕捉チャンバ(8)に向かって第1の方向(79)に動くときに、第1の突き刺しポイント(90)および第2の突き刺しポイント(91)でワンピース本体(84)を貫通し得る。糸捕捉アセンブリ(9)は、上述されたように、糸(4)を捕捉し得る。糸キャリア(3)は、糸キャリア(3)を解放するように糸捕捉チャンバ(8)から遠ざかって第2の方向(85)に動いて第1および第2の突き刺しポイント(90)(91)を通って退出し得、糸(4)は、(図34の例に示されるように)基質補強要素(80)のワンピース本体(84)中の第1および第2の突き刺しポイント(90)(91)および基質(15)(16)内に保有される。
【0080】
再度、主に図41から図43を参照すると、特定の実施形態において、本体(84)は、1または複数のアパーチャ要素(92)をさらに含み得るが、必ずしも必要ではなく、アパーチャ要素(92)は、本体(84)中に予め形成されるか、または、本体(84)の厚みを通って第1および第2の突き刺しポイント(90)(91)を糸キャリア(3)が貫通することによって形成される。予め形成されたアパーチャ要素(92)は、糸キャリア(4)が糸捕捉チャンバ(8)に向かって第1の方向(79)に動くときに糸キャリア(4)を受容するように、縫合器具(1)の基質捕捉チャンバ(2)内で曲げられまたは折られた本体(84)に位置し得る。予め形成されたアパーチャ要素(92)は、アパーチャ要素(92)の中心エリアに向かう本体(84)の糸キャリア(4)に対する動きを促進する円形アパーチャまたは細長スロットもしくはスリットであり得る。
【0081】
ここで、主に図38から図40を参照すると、特定の実施形態において、基質補強要素(80)は、対のリーフ(93)(94)を含み得、対のリーフ(93)(94)の各々は、リーフ第1端(95)とリーフ第2端(96)との間の長さを有する。リーフ第1端(95)は、リーフ保有要素(82)によって基質捕捉チャンバ(2)内で固着され得、リーフ第2端(96)は、基質捕捉チャンバ(2)の外側に距離を離して配置される。リーフ保有要素(82)は各々、基質捕捉チャンバ(2)の底部に配置される凹部を備え得る。凹部は、凹部側壁を有し、凹部側壁は、縫合器具(1)の通常動作の間、リーフ第1端(95)を相応じて受容しかつ把持するように位置付けられる。リーフ保有要素(82)はまた、リーフ第1端(95)を受容しかつ把持するように外側へ屈曲する可撓性弾性部材の形態をとり得る。基質(15)(16)は、基質捕捉チャンバ(2)内に基質補強要素(80)の対のリーフ(93)(94)間で捕捉され得る。糸キャリア(3)は、糸キャリア(3)が糸捕捉チャンバ(8)に向かって第1の方向に(79)動くときに、第1の突き刺しポイント(90)および第2の突き刺しポイント(91)で対のリーフ(93)(94)を貫通し得る。糸捕捉アセンブリ(9)は、上述されるように、糸(4)を捕捉し得る。糸キャリア(3)は、糸キャリア(3)を解放するように糸捕捉チャンバ(8)から遠ざかって第2の方向(85)に動いて第1および第2の突き刺しポイント(90)(91)を通って退出し得、糸(4)は、基質補強要素(80)の本体(84)中の第1および第2の突き刺しポイント(90)(91)内に保有される。対のリーフ(93)(94)のうちの一方または両方は、上述されるように、アパーチャ要素(92)を含み得る。
【0082】
ここで主に図41から図43を参照すると、特定の実施形態では、基質補強要素(80)は、管状部材第1端(98)と管状部材第2端(99)との間に配置される長さを有する管状部材(97)を備え得る。管状部材(97)は、糸キャリア(3)またはその周囲に配置され得、これによって、糸キャリア(3)の動きは、相応じて、管状部材(97)の動きを生成する。特定の実施形態では、糸キャリア(4)は、内部通路(100)を有する管状部材(97)を生成するように、基質補強要素(80)を長手方向に通過し得る。特定の実施形態では、管状部材(97)は、管状部材第1端(98)と管状部材第2端(99)との間に延在する予め形成された内側通路(100)を有し得るが、必ずしも必要ではない。内側通路(100)は、糸キャリア(3)が糸捕捉チャンバ(8)に向かって第1の方向(79)に動くときに糸キャリア(3)を受容する内径(101)を提供するように、形成され得る。管状部材(97)は、糸キャリア(3)が糸捕捉チャンバ(8)内へ通るときに基質(15)内に配置されるように、第1の方向(79)に糸キャリア(3)と共に動き得る。基質(15)(16)内に管状部材(97)を位置させるように、糸キャリア(3)が糸捕捉チャンバ(8)から遠ざかって第2の方向(85)に動くときに、内側通路(100)は、糸キャリア(3)を解放し得、糸(4)は、内部通路(100)に配置される。
【0083】
再度、主に図41から図43を参照すると、特定の実施形態では、第1のフランジ(103)は、管状部材第1端(98)の近位で管状部材(97)から径方向外側へ延在し得る。特定の実施形態では、第2のフランジ(104)は、管状部材第2端(99)の近位で管状部材(97)から径方向外側へ延在し得る。第1のフランジ(103)および第2のフランジ(104)の各々は、第1のフランジ端部(105)および第2のフランジ端部(106)に連通するように内部通路(100)を延在させる、環状フランジを備え得る。
【0084】
特定の実施形態では、第1のフランジ(103)または第2のフランジ(104)は、円錐(107)または円錐台(108)として構成され、円錐(107)の頂点または円錐台の小さい径の側(109)は、糸捕捉チャンバ(8)の近位に配置可能であり、円錐台(108)の大きい径の側(110)は、糸捕捉チャンバ(8)の遠位に配置される。しかし、これらの図示的な例は、第2の方向(85)における糸キャリア(3)の動きのときに、基質(15)から解放されることに対抗するように、概して、球形、卵形、円柱形、逆円錐台形、または管状部材(97)の径方向外側へ延在する任意の構成として構成される第1のフランジ(103)および第2のフランジ(104)を除外するようには意図されない。
【0085】
再度図35から図37を参照すると、特定の実施形態では、管状部材(97)は、糸キャリア(3)が糸捕捉チャンバ(8)に進入するときに付与される長手方向の圧縮力に応答して、短くなり、かつ相応じて径方向に拡大し、相応じて、大きい径の管状部材第1端(98)は、縫合プローブ外面(13)に接触し、管状部材第2端(99)は、糸キャリア(3)に配置される当接要素(111)によって、糸捕捉チャンバ(8)に向かってさらに駆動される。図示的な例のように、管状部材(97)は、径方向に拡大可能な複数の円柱要素(112)を含み得、これらは、拡大可能なステントに関連した態様で相互に対して拡大および屈曲する能力において比較的独立しているが、しかし、この図示的な例は、管状部材(97)に含まれる圧縮性材料の変形によって管状部材(97)が径方向に拡大する実施形態を除外するようには意図されない。
【0086】
上述されるように、基質補強要素(80)を含む縫合器具(1)の特定の実施形態では、方法は、基質捕捉チャンバ(2)内またはこれに隣接して(ワンピース本体(84)としてかまたは対のリーフ(93)(94)としてかに関わりなく)基質補強要素(80)を配置することと、基質捕捉チャンバ(2)中に基質(15)を捕捉することと、糸(4)を運ぶ糸キャリア(3)を糸捕捉チャンバ(8)に向かって駆動することであって、それによって糸(4)を運ぶ糸キャリア(3)が基質捕捉チャンバ(2)の外側の基質補強要素(80)および基質(15)を通過する、ことと、を含み得る。方法は、糸捕捉チャンバ(8)内の糸捕捉アセンブリ(9)において糸(4)を捕捉することと、基質(15)に隣接して基質補強要素(80)を配置して、糸(4)が基質捕捉チャンバ(2)の外側の基質補強要素(80)および基質(15)を通過するように、基質補強要素(80)および基質(15)を通って糸キャリア(3)を抜き取ることと、をさらに含み得る。
【0087】
管状部材(97)を含む基質補強要素(80)の特定の実施形態では、方法は、糸キャリア終端(7)に隣接した管状部材第1端(98)または管状部材第2端(99)を有する基質捕捉チャンバ(2)に隣接して、基質補強要素(80)を配置することを含み得る。方法は、内部通路(100)を生成するために、糸キャリア(3)に管状部材第1端(98)と管状部材第2端(99)との間の管状部材(97)を通過させることをさらに含み得る。内部通路(100)が予め形成され得る特定の実施形態では、方法は、糸キャリア(3)に内部通路(100)を通過させることを含み得る。方法は、糸捕捉部材(8)に向かう第1の方向(79)における糸キャリア(3)の動作によって管状部材(97)を動かすことをさらに含み得る。方法は、糸キャリア(3)を糸捕捉アセンブリ(9)内へ通すと同時に、管状部材(97)を基質(15)に通過させることをさらに含み得る。方法は、糸捕捉チャンバ(8)内の糸捕捉アセンブリ(8)において糸(4)を捕捉することと、基質(15)内に基質補強要素を配置して、糸(4)が基質捕捉チャンバ(2)の外側の基質補強要素(80)および基質(15)を通過するように、基質補強要素(80)および基質(15)を通って糸キャリア(3)を抜き取ることと、をさらに含み得る。
【0088】
ワンピース本体(84)を含む基質補強要素(80)の特定の実施形態では、ワンピース本体(84)は、基質(15)を基質捕捉チャンバ(2)に捕捉する前または後に、基質捕捉チャンバ(2)内に全体的または部分的に配置され得る。
【0089】
前述から容易に理解され得るように、本発明の基本的な概念が、各種の態様で具現化され得る。本発明は、ベストモードを含む、搭載可能キャリアおよびそのような搭載可能なキャリアを作製および使用するための方法の数多くの変更可能な実施形態に関係する。
【0090】
そのため、説明によって開示されまたはこの出願に付随する図面および表に示される本発明の特定の実施形態または要素は、限定することではなく、むしろ本発明の任意の特定の要素に関して構想される発明または同等物によって一般的に構想される数多くの変更可能な実施形態の例を意図される。加えて、本発明の単一の実施形態または要素の特定の説明は、全てのあり得る実施形態または要素を明示的に説明していないことがあり、多くの代替物が、説明および図面によって暗に開示される。
【0091】
器具の各要素または方法の各ステップは、器具の用語または方法の用語によって説明され得ることが理解されるはずである。そのような語は、この発明が権利化される暗示的な広い範囲を明示するために所望される場合に置き換えられ得る。しかし一例では、方法の全てのステップが、作用、その作用をするための手段、またはその作用を引き起こす要素として開示され得ることが理解されるはずである。同様にして、器具の各要素は、物理的要素またはその物理的要素を促進する作用として開示され得る。しかし一例では、「縫合する(suture)」の開示は、明示的に議論されるか否かに関わらず、「縫合すること(suturing)」の作用の開示を包含するように理解されるはずであり、逆に「縫合すること(suturing)」の作用の効果的な開示が存在する場合、そのような開示は、「縫合する(suture)」および「縫合するための手段(means for suturing)」の開示さえも包含するように理解されるはずである。各要素またはステップについてのそのような代替となる語は、説明に明示的に含まれることが理解されるはずである。
【0092】
加えて、用いられる各用語に関して、この出願におけるその活用がそのような解釈で一貫していない限り、一般的な辞書的定義は、Random House Webster’s Unabridged Dictionary, second editionに含まれる各用語の説明に含まれ、各々の定義が参照によって本明細書に援用されることが理解されるはずである。
【0093】
本明細書中の全ての数値は、明示されているか否かに関わらず、「約(about)」という用語によって修正されることが想定される。本発明の目的のために、範囲は、「約(about)」1つの特定の値から「約(about)」別の特定の値まで表現され得る。そのような範囲が表現されるとき、別の実施形態は、1つの特定の値から他の特定の値までを含む。端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含される全ての数値を含む。1から5までの数値範囲は、例えば、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等の数値を含む。範囲の各々の端点は、他の端点との関係および他の端点の独立性の両方において有意である。値が、先行する「約(about)」の使用により近似値として表現されるときには、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。「約(about)」という用語は、概して、当業者が、列挙される数値と同等か、または同一の機能もしくは結果を有すると考え得る数値範囲を指す。同様にして、先行する「実質的に(substantially)」は、完全ではないが、ほとんど同一の形態、態様または程度を意味し、特定の要素は、当業者が同一の機能または結果を有するとみなし得るような構成の範囲を有する。特定の要素が、先行する「実質的に(substantially)」の使用により近似値として表現されるときには、特定の要素は、別の実施形態を形成することが理解されるであろう。
【0094】
そのうえ、本発明の目的のために、「a」または「an」の用語のエンティティは、別様に限定されない限り、そのエンティティのうちの1または複数を指す。そのため、「a」または「an」、「1または複数(one or more)」および「少なくとも1つ(at least one)」の用語は、本明細書中で交換可能に用いられ得る。
【0095】
したがって、出願人(単数または複数)は、少なくとも、i)本明細書中で開示および説明される縫合システムまたは基質補強要素の各々、ii)開示および説明される関連方法、iii)これらのデバイスおよび方法の各々の同様物、同等物、および暗示的な変更物さえも、iv)示され、開示され、または説明される機能の各々を達成するそれらの代替となる実施形態、v)開示および説明される機能を達成するように暗に示される機能の各々を達成する、それらの代替となる設計および方法、vi)別個および独立の発明として示される各々の特徴、構成要素、およびステップ、vii)開示される種々のシステムまたは構成要素によって高められる用途、viii)そのようなシステムまたは構成要素によって生み出される結果的な製品、ix)実質的に本明細書中で前述され付随する例のうちのいずれかを参照したもののような方法および器具、x)開示された前記の要素の各々の種々の組み合わせおよび置換を主張することが理解されるはずである。
【0096】
本特許出願の背景のセクションは、本発明が関係する努力の分野の陳述を提供し、このセクションはまた、特定の米特許国特請求、特許出願、特許、公報、または関連する本発明が引き出される技術の状態についての情報、問題、または概念において有用な請求される発明の主題の言い換えを援用しまたは含む。本明細書中で引用または援用されるいずれの米国特許、特許出願、公報、陳述または他の情報は、本発明に関する先行技術として認められるように判断され、解釈されまたは思われることは意図されない。
【0097】
本明細書中に記載される請求項は、もしあるならば参照によって本発明のこの説明の一部として統合され、出願人は、請求項のうちのいずれかもしくはその全て、またはその任意の要素もしくは構成要素をサポートするための追加的な説明としてそのような請求項のそのような統合される内容の全てまたは一部を用いる権利を明白に留保し、出願人はさらに、この出願によってか、または、任意の連続する出願または継続出願、分割出願もしくはその一部が継続する出願によって保護が求められる主題を定義するために、または、任意の国の特許法、規則もしくは規制または条約に準拠または適合するように、料金の低減のいくらかの利益を取得するために、そのような請求項の統合される内容の任意の一部もしくはその全て、またはその任意の要素もしくは構成要素を、説明から請求項中へ、またはその逆へ必要に応じて動かす権利を明白に留保し、参照によって統合されるそのような内容は、その任意の連続する継続出願、分割出願、もしくは一部継続出願、またはその任意の再発行もしくは延長を含むこの出願の全体的な係属の間残存する。
【0098】
加えて、本明細書中に記載される請求項は、もしあるならば、本発明の限定された数の好ましい実施形態の境界および限界を説明することがさらに意図され、本発明の最も広い実施形態または請求され得る本発明の実施形態の完全なリストとして解釈されるべきでない。出願人は、任意の継続出願、分割出願、もしくは一部継続出願、または同様の出願の一部として、上述された説明に基づいて、さらなる請求項を作成するいずれの権利も放棄しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33A
図33B
図33C
図33D
図33E
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43