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特許7317077トモシンセシス画像スラブを生成し表示するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】トモシンセシス画像スラブを生成し表示するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20230721BHJP
   A61B 6/02 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
A61B6/00 350P
A61B6/00 330Z
A61B6/02 301H
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021126592
(22)【出願日】2021-08-02
(62)【分割の表示】P 2019066645の分割
【原出願日】2015-02-26
(65)【公開番号】P2021166941
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】61/946,417
(32)【優先日】2014-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595166549
【氏名又は名称】ホロジック,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HOLOGIC,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ニコラオス カナトシオス
(72)【発明者】
【氏名】ハイリ チュイ
(72)【発明者】
【氏名】シャンウェイ チャン
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-011255(JP,A)
【文献】特開2007-330334(JP,A)
【文献】特開2006-312026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胸部組織画像を処理するためのシステムであって、
前記システムは、
画像処理コンピュータを備え、
前記画像処理コンピュータは、
胸部組織の画像データを取得することと、
前記画像データを処理することにより、再構成画像スライスのセットを生成することであって、前記再構成画像スライスのセットは、前記胸部組織を集合的に描写する、ことと、
前記再構成画像スライスのセットの個別のサブセットを処理することにより、画像スラブのセットを生成することと
を行うように構成され、
前記画像スラブのセットの各画像スラブは、前記再構成画像スライスのセットの個別のサブセットから取得された前記胸部組織の一部の合成2D画像を備え、
前記画像スラブのセットの隣接する画像スラブは、重複数の連続する再構成画像スライスを使用して取得され、
各画像スラブの個別の2D合成画像は、前記胸部組織の撮像の間に取得された画像に対応せず、
各画像スラブは、強調処理機構を使用して生成され、前記強調処理機構は、前記再構成画像スライスのセットの1つまたはそれを上回る再構成画像スライス内の1つまたはそれを上回るオブジェクトまたは領域を識別し、前記強調処理機構は、個別の画像スラブが生成される前記再構成画像スライスのセットの連続する再構成画像スライスの数に基づいて前記1つまたはそれを上回るオブジェクトまたは領域に重みを割り当て、前記重みに基づいて各画像スラブを生成し、
前記1つまたはそれを上回るオブジェクトまたは領域の数は、前記再構成画像スライスのセットの前記1つまたはそれを上回る再構成画像スライスの数に基づく、システム。
【請求項2】
胸部組織画像を処理するためのシステムであって、
前記システムは、
画像処理コンピュータを備え、
前記画像処理コンピュータは、
胸部組織の画像データを取得することと、
前記画像データを処理することにより、再構成画像スライスのセットを生成することであって、前記再構成画像スライスのセットは、前記胸部組織を集合的に描写する、ことと、
前記再構成画像スライスのセットの個別のサブセットを処理することにより、画像スラブのセットを生成することと
を行うように構成され、
前記画像スラブのセットの各画像スラブは、前記再構成画像スライスのセットの個別のサブセットから取得された前記胸部組織の一部の合成2D画像を備え、
前記画像スラブのセットの隣接する画像スラブは、重複数の連続する再構成画像スライスを使用して取得され、
各画像スラブの個別の2D合成画像は、前記胸部組織の撮像の間に取得された画像に対応せず、
各画像スラブは、個別の画像スラブが生成される連続する再構成画像スライスの数に基づいて選択または修正される強調処理機構を使用して生成され、前記強調処理機構は、前記再構成画像スライスのセットの1つまたはそれを上回る再構成画像スライス内の1つまたはそれを上回るオブジェクトまたは領域を識別し、前記強調処理機構は、個別の画像スラブが生成される前記連続する再構成画像スライスの数に基づいて前記1つまたはそれを上回るオブジェクトまたは領域に重みを割り当て、前記重みに基づいて各画像スラブを生成し、
前記1つまたはそれを上回るオブジェクトまたは領域の数は、前記再構成画像スライスのセットの前記1つまたはそれを上回る再構成画像スライスの数に基づく、システム。
【請求項3】
前記画像処理コンピュータに動作可能に結合されるユーザインターフェースをさらに備え、前記個別のサブセットにおける連続する再構成画像スライスの数は、前記ユーザインターフェースを介してユーザ入力されるか、または、前記ユーザインターフェースを介したユーザ入力に基づく、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記個別のサブセットにおける連続する再構成画像スライスの数は、ユーザ入力なしで前記画像処理コンピュータによって自動的に生成される、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項5】
連続する再構成画像スライスの前記重複数は、事前判定されており、前記画像処理コンピュータに動作可能に関連付けられるメモリに記憶される、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項6】
前記画像処理コンピュータに動作可能に結合されるユーザインターフェースをさらに備え、連続する再構成画像スライスの前記重複数は、前記ユーザインターフェースを介してユーザ入力されるか、または、前記ユーザインターフェースを介したユーザ入力に基づく、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項7】
前記画像処理コンピュータに動作可能に結合される画像ディスプレイモニタをさらに備え、前記画像処理コンピュータはさらに、前記画像ディスプレイモニタ上に、前記画像スラブの生成されたセットの1つまたはそれを上回る画像スラブを表示させるように構成される、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項8】
前記強調処理機構は、前記画像スラブのセットの1つまたはそれを上回る画像スラブ内の1つまたはそれを上回るオブジェクトまたは領域を強調する、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
個別の強調されたオブジェクトまたは領域のバイナリマップ、または、
前記個別の強調されたオブジェクトまたは領域内の識別されたパターンに関する確率分布を含む各画像スライスのマップ
をさらに備え、
前記再構成画像スライスの個別のサブセットの画像スライスから識別されたオブジェクトまたは領域を前記画像スラブの中にインポートすることであって、前記オブジェクトまたは領域は、個別の再構成画像スライス内の前記オブジェクトまたは領域のX、Y座標場所に対応するX、Y座標場所において、前記画像スラブの中にインポートされる、ことをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記画像処理コンピュータはさらに、前記生成された画像スラブのセットを備える記憶ファイルを生成するように構成される、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項11】
胸部組織画像を処理するためのシステムであって、
前記システムは、
画像処理コンピュータを備え、
前記画像処理コンピュータは、
胸部組織の画像データを取得することと、
前記取得された画像データを処理することにより、再構成画像スライスのセットを生成することであって、前記再構成画像スライスのセットは、前記胸部組織を集合的に描写する、ことと、
前記再構成画像スライスのセットの個別のサブセットを処理することにより、画像スラブのセットを生成することと
を行うように構成され、
各画像スラブは、個別のサブセットから取得された前記胸部組織の一部の合成2D画像を備え、
各画像スラブは、個別の画像スラブが生成される再構成画像スライスの数に基づいて選択または修正される強調処理機構を使用して生成され、前記強調処理機構は、前記再構成画像スライスのセットの1つまたはそれを上回る再構成画像スライス内の1つまたはそれを上回るオブジェクトまたは領域を識別し、前記強調処理機構は、個別の画像スラブが生成される前記再構成画像スライスの数に基づいて前記1つまたはそれを上回るオブジェクトまたは領域に重みを割り当て、前記重みに基づいて各画像スラブを生成し、
各画像スラブの個別の2D合成画像は、前記胸部組織の撮像の間に取得された画像に対応せず、
前記1つまたはそれを上回るオブジェクトまたは領域の数は、前記再構成画像スライスのセットの前記1つまたはそれを上回る再構成画像スライスの数に基づく、システム。
【請求項12】
前記1つまたはそれを上回るオブジェクトまたは領域は、前記個別の画像スラブが生成される前記再構成画像スライスの数に基づいて実験的に生成または修正される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つまたはそれを上回るオブジェクトまたは領域に加重される程度は、前記個別の画像スラブが生成される前記再構成画像スライスの数に対応する、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記強調処理機構は、前記画像スラブのセットの1つまたはそれを上回る画像スラブ内の1つまたはそれを上回るオブジェクトまたは領域を強調する、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
個別の強調されたオブジェクトまたは領域のバイナリマップ、または、
前記個別の強調されたオブジェクトまたは領域内の識別されたパターンに関する確率分布を含む各画像スライスのマップ
をさらに含み、
前記再構成画像スライスの個別のサブセットの画像スライスから識別されたオブジェクトまたは領域を前記画像スラブの中にインポートすることであって、前記オブジェクトまたは領域は、個別の再構成画像スライス内の前記オブジェクトまたは領域のX、Y座標場所に対応するX、Y座標場所において、前記画像スラブの中にインポートされる、ことをさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記画像処理コンピュータはさらに、前記生成された画像スラブのセットを備える記憶ファイルを生成するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、トモシンセシスを使用した胸部撮像に関し、より具体的には、トモシンセシスデータセットまたはそのサブセットを取得、処理、合成、記憶、および表示するためのシステムならびに方法に関する。特に、本開示は、データセットの再構成されたトモシンセシス画像スライスのサブセットからの関連データを合成画像の中にインポートすることによって、2D画像スラブを生成および表示することに関する。
【背景技術】
【0002】
マンモグラフィーは、長い間、乳癌および他の異常をスクリーニングするために使用されている。従来、マンモグラムは、X線フィルム上に形成されていた。より最近では、フラットパネルデジタル撮像機が、マンモグラムをデジタル形態において取得し、それによって、取得された画像データの分析および記憶を促進し、また、他の利点を提供するように導入されている。さらに、著しい注目および技術的発展が、胸部トモシンセシス等の方法を使用して、胸部の3次元画像を取得することに向けられている。旧来のマンモグラフィーシステムによって生成される2D画像とは対照的に、胸部トモシンセシスシステムは、一連の2D投影画像から3D画像ボリュームを構成し、各投影画像は、X線ソースが検出器にわたって走査されるにつれて、画像検出器に対してX線源の異なる角変位で取得される。構成された3D画像ボリュームは、典型的には、画像データの複数のスライスとして提示され、スライスは、典型的には、撮像検出器と平行な平面上に数学的に再構成される。再構成されたトモシンセシススライスは、ユーザ(例えば、放射線技師または他の医療従事者)が、画像スライスを通してスクロールし、そのスライス内の構造のみを視認することを可能にすることによって、単一スライスの2次元マンモグラフィー撮像に存在する組織重複および構造雑音によって生じる問題を低減または排除する。
【0003】
トモシンセシスシステムは、最近、乳癌スクリーニングおよび診断のために開発された。特に、Hologic,Inc.(www.hologic.com)は、胸部が固定されたままである間または胸部の異なる圧縮下にある間のいずれかにおいて、マンモグラム画像およびトモシンセシス画像の一方または両方のタイプを取得する、融合型マルチモードマンモグラフィー/トモシンセシスシステムを開発している。他の企業は、トモシンセシス撮像専用のシステムの導入を提案している。すなわち、同一圧縮下でマンモグラムを取得する能力も含むものではない。
【0004】
随意に、トモシンセシス技術への移行を促進するために、既存の医療専門知識を活用する、システムおよび方法の実施例は、米国特許第7,760,924号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明されている。特に、米国特許第7,760,924号は、スクリーニングおよび診断を補助するために、トモシンセシス投影または再構成画像とともに表示され得る、合成2D画像を生成する方法を説明している。
【0005】
トモシンセシスデータセット全体から合成される2D画像は、従来のマンモグラフィー画像と同様の画像データの有用な概要を提供するが、単一2D画像は、あまりに多くのデータを含有しており、最適スクリーニングおよび診断を促進することができない。故に、トモシンセシス画像データをより効果的に処理、合成、および表示するためのトモシンセシスシステムおよび方法の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第7,760,924号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
種々の実施形態によると、胸部組織画像を処理するためのシステムは、画像処理コンピュータと、画像処理コンピュータに動作可能に結合されるユーザインターフェースとを含み、画像処理コンピュータは、胸部組織の画像データを取得し、画像データを処理し、再構成画像スライスのセットを生成することであって、該再構成画像スライスは、胸部組織を集合的に描写する、ことと、再構成画像スライスの個別のサブセットを処理し、画像スラブのセットを生成することであって、各画像スラブは、再構成画像スライスのセットの個別のサブセットから取得された胸部組織の一部の合成2D画像を備える、こととを行うように構成される。本システムはさらに、少なくとも1つの画像ディスプレイモニタを備えてもよく、画像処理コンピュータはさらに、1つまたはそれを上回るディスプレイモニタの同一または異なるディスプレイモニタ上に、画像スラブの生成されたセットの1つまたはそれを上回る画像スラブを表示させるように構成される。種々の実施形態では、画像処理コンピュータはさらに、生成された画像スラブのセットを備える記憶ファイルを生成するように構成される。
【0008】
一実施形態では、画像処理コンピュータは、所定の数の連続する再構成画像スライスからセットの各画像スラブを生成するように構成され、セットの隣接する画像スラブは、所定の重複数の連続する再構成画像スライスを含む。別の実施形態では、画像処理コンピュータは、ユーザ入力された数の連続する再構成画像スライスからセットの各画像スラブを生成するように構成され、セットの隣接する画像スラブは、ユーザ入力された重複数の連続する再構成画像スライスを含む。一実施形態では、個別のスラブは、6つの連続する画像スラブから生成され、セットの隣接する画像スラブは、3つの連続する再構成画像スライスの重複を含む。
【0009】
種々の実施形態では、画像スラブは、個別の画像スラブが生成される再構成画像スライスの数に基づいて選択または修正される、強調処理機構を使用して生成される。非限定的実施例として、強調処理機構は、個別の画像スラブが生成される再構成画像スライスの数に対応する値に基づいて、選択または修正されてもよい。別の非限定的実施例として、強調処理機構は、セットの1つまたはそれを上回る画像スラブ内の1つまたはそれを上回るオブジェクトもしくは領域を強調するステップを含んでもよい。種々の実施形態では、強調処理機構は、(i)個別の強調されたオブジェクトまたは領域のバイナリマップと、(ii)個別の強調されたオブジェクトまたは領域内で識別されたパターンに関する確率分布を含む、各画像スライスのマップと、(iii)再構成画像スライスの個別のサブセットの画像スライスから識別されたオブジェクトまたは領域を画像スラブの中にインポートすることであって、オブジェクトまたは領域は、個別の再構成画像スライス内のオブジェクトまたは領域のX、Y座標場所に対応するX、Y座標場所において、画像スラブの中にインポートされる、こととのうちの1つまたはそれを上回るものを考慮する。
【0010】
本開示の発明の別の実施形態では、胸部組織画像データを処理するための方法は、胸部組織の画像データを取得するステップと、画像データを処理し、再構成画像スライスのセットを生成するステップであって、再構成画像スライスは、胸部組織を集合的に描写する、ステップと、再構成画像スライスの個別のサブセットを処理し、画像スラブのセットを生成するステップであって、セットの各画像スラブは、再構成画像スライスのセットの個別のサブセットから取得された胸部組織の一部の合成2D画像を含む、ステップとを含む。いくつかの実施形態では、スラブは、所定の数の連続する画像スライスから生成され、連続する画像スラブは、画像スライスの所定の重複から生成される。他の実施形態では、スラブは、ユーザ入力された数の連続する画像スライスから生成され、連続する画像スラブは、画像スライスのユーザ入力された重複から生成されてもよい。一実施形態では、個別のスラブは、6つの連続する画像スラブから生成され、セットの隣接する画像スラブは、3つの連続する再構成画像スライスの重複を含む。
【0011】
種々の実施形態では、画像スラブは、個別の画像スラブが生成される再構成画像スライスの数に基づいて選択または修正される、強調処理機構(すなわち、画像処理/合成機能)を使用して生成される。強調処理機構は、個別の画像スラブが生成される再構成画像スライスの数に対応する事前に判定された値に基づいて、選択または修正されてもよい。強調処理機構は、個別の画像スラブが生成される再構成画像スライスの数に基づいて判定された値に基づいて、選択または修正されてもよい。強調処理機構は、個別の画像スラブ内のオブジェクトおよび/または領域を強調するステップを含んでもよい。強調処理機構は、オブジェクトまたは領域のバイナリマップを考慮してもよい。強調処理機構は、オブジェクトまたは領域内の識別されたパターンに関する確率分布を含む、各再構成画像スライスのマップを考慮してもよい。強調処理機構は、個別のサブセットの再構成画像スライスから識別されたオブジェクトまたは領域を画像スラブの中にインポートするステップを含んでもよい。非限定的実施例として、オブジェクトまたは領域は、個別の再構成画像スライス内の個別のオブジェクトまたは領域のX、Y座標場所に対応するX、Y座標場所において、画像スラブの中にインポートされてもよい。
【0012】
さらに別の実施形態では、胸部組織画像データを処理するための方法は、(i)胸部組織の画像データを取得するステップと、(ii)画像データを処理し、胸部組織を集合的に描写する、再構成画像スライスのセットを生成するステップと、(iii)複数の再構成画像スライスをユーザに表示するステップと、(iv)セットの画像スライスを識別するユーザ入力を受信するステップと、(v)画像スライスのサブセットを処理し、ユーザ識別された画像スライスを含む、再構成画像スライスのサブセットから取得された胸部組織の一部の合成2D画像を備える、画像スラブを生成するステップとを含む。非限定的実施例として、スラブは、ユーザ入力された数の連続する画像スライスから生成されてもよい。本方法はまた、再構成画像スライスの個別のサブセットを処理し、ユーザ入力された数の画像スラブを生成するステップであって、各画像スラブは、再構成画像スライスの個別のサブセットから取得された胸部組織の一部の合成2D画像を含み、複数の連続する画像スラブは、再構成画像スライスのユーザ入力された重複から生成される、ステップを含んでもよい。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
胸部組織画像を処理するためのシステムであって、
画像処理コンピュータと、
前記画像処理コンピュータに動作可能に結合されるユーザインターフェースと、
を備え、
前記画像処理コンピュータは、
胸部組織の画像データを取得し、前記画像データを処理し、再構成画像スライスのセットを生成することであって、前記再構成画像スライスは、前記胸部組織を集合的に描写する、ことと、
前記再構成画像スライスの個別のサブセットを処理し、画像スラブのセットを生成することであって、各画像スラブは、前記再構成画像スライスのセットの個別のサブセットから取得された前記胸部組織の一部の合成2D画像を備える、ことと
を行うように構成される、システム。
(項目2)
少なくとも1つの画像ディスプレイモニタをさらに備え、前記画像処理コンピュータはさらに、1つまたはそれを上回るディスプレイモニタの同一または異なるディスプレイモニタ上に、前記画像スラブの生成されたセットの1つまたはそれを上回る画像スラブを表示させるように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記画像処理コンピュータは、所定の数の連続する再構成画像スライスから前記セットの各画像スラブを生成するように構成され、前記セットの隣接する画像スラブは、所定の重複数の連続する再構成画像スライスを含む、項目1または2に記載のシステム。
(項目4)
前記画像処理コンピュータは、ユーザ入力された数の連続する再構成画像スライスから前記セットの各画像スラブを生成するように構成され、前記セットの隣接する画像スラブは、ユーザ入力された重複数の連続する再構成画像スライスを含む、項目1または2に記載のシステム。
(項目5)
個別の画像スラブは、6つの連続する画像スラブから生成され、前記セットの隣接する画像スラブは、3つの連続する再構成画像スライスの重複を含む、項目1-4のいずれかに記載のシステム。
(項目6)
各画像スラブは、個別の画像スラブが生成される再構成画像スライスの数に基づいて、選択または修正される、強調処理機構を使用して生成される、項目1-5のいずれかに記載のシステム。
(項目7)
前記強調処理機構は、前記個別の画像スラブが生成される再構成画像スライスの数に対応する値に基づいて、選択または修正される、項目6に記載のシステム。
(項目8)
前記強調処理機構は、前記セットの1つまたはそれを上回る画像スラブ内の1つまたはそれを上回るオブジェクトもしくは領域を強調するステップを含む、項目6または7に記載のシステム。
(項目9)
前記強調処理機構は、
個別の強調されたオブジェクトまたは領域のバイナリマップと、
前記個別の強調されたオブジェクトまたは領域内の識別されたパターンに関する確率分布を含む、各画像スライスのマップと、
前記再構成画像スライスの個別のサブセットの画像スライスから識別されたオブジェクトまたは領域を前記画像スラブの中にインポートすることであって、前記オブジェクトまたは領域は、個別の再構成画像スライス内の前記オブジェクトまたは領域のX、Y座標場所に対応するX、Y座標場所において、前記画像スラブの中にインポートされる、ことと、
のうちの1つまたはそれを上回るものを考慮する、項目8に記載のシステム。
(項目10)
前記画像処理コンピュータはさらに、前記生成された画像スラブのセットを備える記憶ファイルを生成するように構成される、項目1-9のいずれかに記載のシステム。
(項目11)
胸部組織画像データを処理するための方法であって、
胸部組織の画像データを取得するステップと、
前記画像データを処理し、再構成画像スライスのセットを生成するステップであって、前記再構成画像スライスは、前記胸部組織を集合的に描写する、ステップと、
前記再構成画像スライスの個別のサブセットを処理し、画像スラブのセットを生成するステップであって、各画像スラブは、前記再構成画像スライスのセットの個別のサブセットから取得された前記胸部組織の一部の合成2D画像を備える、ステップと、
を含む、方法。
(項目12)
各画像スラブは、所定の数の連続する再構成画像スライスから生成され、前記セットの隣接する画像スラブは、所定の重複数の連続する再構成画像スライスから生成される、項目11に記載の方法。
(項目13)
各画像スラブは、ユーザ入力された数の連続する再構成画像スライスから生成され、前記セットの隣接する画像スラブは、ユーザ入力された重複数の連続する再構成画像スライスから生成される、項目11に記載の方法。
(項目14)
個別の画像スラブは、6つの連続する画像スラブから生成され、前記セットの隣接する画像スラブは、3つの連続する再構成画像スライスの重複を含む、項目11-13のいずれかに記載の方法。
(項目15)
各画像スラブは、個別の画像スラブが生成される再構成画像スライスの数に基づいて、選択または修正される、強調処理機構を使用して生成される、項目11-14のいずれかに記載の方法。
(項目16)
前記強調処理機構は、前記個別の画像スラブが生成される再構成画像スライスの数に対応する値に基づいて、選択または修正される、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記強調処理機構は、前記セットの1つまたはそれを上回る画像スラブ内の1つまたはそれを上回るオブジェクトまたは領域を強調するステップを含む、項目15に記載の方法。
(項目18)
前記強調処理機構は、
個別の強調されたオブジェクトまたは領域のバイナリマップと、
前記個別の強調されたオブジェクトまたは領域内の識別されたパターンに関する確率分布を含む、各画像スライスのマップと、
前記再構成画像スライスの個別のサブセットの画像スライスから識別されたオブジェクトまたは領域を前記画像スラブの中にインポートすることであって、前記オブジェクトまたは領域は、個別の再構成画像スライス内の前記オブジェクトまたは領域のX、Y座標場所に対応するX、Y座標場所において、前記画像スラブの中にインポートされる、ことと、
のうちの1つまたはそれを上回るものを考慮する、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記生成された画像スラブのセットを備える記憶ファイルを生成するステップをさらに含む、項目11-18のいずれかに記載の方法。
(項目20)
胸部組織画像データを処理するための方法であって、
胸部組織の画像データを取得するステップと、
前記画像データを処理し、再構成画像スライスのセットを生成するステップであって、前記再構成画像スライスは、前記胸部組織を集合的に描写する、ステップと、
複数の生成された再構成画像スライスをユーザに表示するステップと、
前記セットの個別の再構成画像スライスを識別するユーザ入力を受信するステップと、
前記再構成画像スライスのサブセットを処理し、画像スラブを生成するステップであって、前記画像スラブは、前記再構成画像スライスのサブセットから取得された前記胸部組織の一部の合成2D画像を備え、前記再構成画像スライスのサブセットは、個別のユーザ識別された画像スライスを含む、ステップと、
を含む、方法。
(項目21)
前記再構成画像スライスの個別のサブセットを処理し、ユーザ入力された数の画像スラブを生成するステップであって、各画像スラブは、前記再構成画像スライスの個別のサブセットから取得された前記胸部組織の一部の合成2D画像を備え、前記複数の連続する画像スラブは、ユーザ入力された画像スライスの重複から生成される、ステップをさらに含む、項目20に記載の方法。
【0013】
本開示の発明のこれらおよび他の側面ならびに実施形態は、付随の図と併せて、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面は、本開示の発明の実施形態の設計および有用性を図示するものであって、類似要素は、共通参照番号によって参照される。これらの図面は、必ずしも、正確な縮尺で描かれていない。前述および他の利点ならびに目的がどのように得られたかをより理解するために、付随の図面に図示される実施形態のより具体的説明が、与えられる。これらの図面は、本開示の発明の典型的実施形態のみを描写し、したがって、その範囲を限定するものと見なされるものではない。
【0015】
図1図1は、女性の胸部のトモシンセシスおよび/またはマンモグラフィー(造影マンモグラフィーを含む)画像を取得するために、組み合わせマンモグラフィー/トモシンセシス取得システムならびに/もしくはトモシンセシス専用取得システムを含み、さらに、取得された2Dおよび/または3Dソース画像からの最も関連するデータを、ユーザ(例えば、放射線技師を含む、医療従事者)への表示のための1つまたはそれを上回るマージされた2D画像中にインポートすることによって、2次元の合成された画像を提供するための本開示の発明の画像マージ技術を実装する、1つまたはそれを上回るプロセッサを含む、システムを通してのデータのフローを図示する、ブロック図である。
図2図2は、合成されたIMERGE画像スラブおよび対応するマージ(「インデックス」または「誘導」)マップを生成するために、本開示の発明の画像マージ技術を通した一連の再構成されたTrスライスのデータフローを図示する、略図である。
図3図3は、表示かつマージされた画像の一実施形態を描写し、ある領域境界は、マージ画像作成中に動的に識別される。
図4図4は、本開示の発明の一実施形態による、画像マージプロセス中に実施される例示的ステップを図示する、流れ図である。
図5図5Aおよび5Bは、マージ画像の表示の一実施形態と、ユーザによる、マージ画像内の領域の選択に応答して、ソース画像の結果として生じる表示とを図示する。
図6図6は、強調が、強調された組織構造の境界線を表す、輪郭ラインの形態にある、強調された組織構造を含む、女性の胸部の合成2D画像を表示する左側モニタと、強調された組織構造が、2D画像中にインポートされた、または別様に強調された組織構造の最良ビューを提供する、トモシンセシス画像を表示する右側モニタとを含む、例示的ユーザインターフェースを描写する。
図7図7は、左側モニタ内に強調された有棘腫瘤を含む、女性の胸部の合成2D画像と、描写される有棘腫瘤が、2D画像中にインポートされた、または別様に有棘腫瘤の最良ビューを提供する、トモシンセシス画像を表示する右側モニタとを再度表示する、図6のユーザインターフェースを描写する。
図8図8は、左側モニタ内に表示される同じ胸部画像を含むが、ここでは、微小石灰化を含有する領域を強調し、右側モニタは、微小石灰化を含有する強調された領域が、2D画像中にインポートされた、または別様に微小石灰化の最良ビューを提供する、トモシンセシス画像を表示する、図7のユーザインターフェースを描写する。
図9図9は、複数の合成されたIMERGE画像スラブを生成するために、本開示の発明の画像マージ技術を通した一連の再構成されたTrスライスのデータフローを図示する、略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
全ての数値は、本明細書では、明示的に示されるかどうかにかかわらず、用語「約」または「およそ」によって修飾されるものと仮定される。用語「約」および「およそ」は、概して、当業者が列挙される値と均等物である(すなわち、同一機能または結果を有する)と見なすであろう、数の範囲を指す。多くの事例では、用語「約」および「およそ」は、最近傍有効数字に丸められる数を含んでもよい。端点による数値範囲の列挙は、その範囲内の全数字を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
【0017】
本明細書および添付の請求項において使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、別様に文脈によって明確に示されない限り、複数参照も含む。本明細書および添付の請求項に使用されるように、用語「or(または)」は、概して、別様に文脈によって明確に示されない限り、「and/or(および/または)」を含む意味で採用される。付随の図において図示される本開示の発明の描写される実施形態を説明する際、具体的専門用語が、説明の明確化および容易化のために採用される。しかしながら、本特許明細書の開示は、そのように選択される具体的専門用語に限定されることを意図せず、各具体的要素は、同様に動作する全ての技術的均等物を含むことを理解されたい。さらに、異なる例証的実施形態の種々の要素および/または特徴は、本開示の範囲ならびに添付の請求項内で可能である場合、相互に組み合わせる、および/または相互に代用され得ることを理解されたい。
【0018】
本開示の発明の種々の実施形態は、図を参照して以下に説明される。図は、正確な縮尺で描かれておらず、類似構造または機能の要素は、図全体を通して類似参照番号によって表されることに留意されたい。また、図は、実施形態の説明を促進するためだけに意図されることに留意されたい。それらは、本開示の発明の包括的説明として意図されるものではなく、添付の請求項およびその均等物によってのみ定義される。加えて、本開示の発明の図示される実施形態は、示される全側面または利点を有する必要はない。本開示の発明の特定の実施形態と併せて説明される側面、特徴、または利点は、必ずしも、その実施形態に限定されず、図示されない場合でも、任意の他の実施形態において実践されることができる。
【0019】
以下に定義される用語および略語に関して、これらの定義は、異なる定義が請求項内または本明細書内のどこかに与えられない限り、本特許明細書および付随の請求項全体を通して適用されるものとする。
【0020】
取得画像とは、女性の胸部組織を視覚化する際に生成された画像を指す。取得画像は、従来のマンモグラムにおけるように、胸部組織の両側に配置される放射線検出器に衝突する、放射線源からの放射線によって生成されることができる。
【0021】
再構成画像とは、複数の取得画像から導出されたデータから生成される画像を指す。再構成画像は、複数の取得画像内に含まれない取得画像をシミュレートする。
【0022】
合成画像とは、複数の取得画像および/または再構成画像から導出されたデータから生成される人工的画像を指す。合成画像は、取得画像および/または再構成画像からの要素(例えば、オブジェクトおよび領域)を含むが、必ずしも、可視化の間に取得され得る画像に対応しない。合成画像は、構成された分析ツールである。
【0023】
Mpとは、胸部の2次元(2D)投影画像であって、フラットパネル検出器または別の撮像デバイスによって取得されるようなデジタル画像と、表示(例えば、医療従事者に)、記憶(例えば、病院のPACSシステムに)、および/または他の使用のためにそれを準備するための従来の処理後の画像との両方を包含する、従来のマンモグラムまたは造影増強マンモグラムを指す。
【0024】
Tpとは、同様に、2次元(2D)であるが、胸部と撮像X線の原点(典型的には、X線管の焦点)との間の個別のトモシンセシス角度において取得された画像を指し、取得されたままの画像と、表示、記憶、および/または他の使用のために処理された後の画像データとを包含する。
【0025】
Trとは、例えば、米国特許第7,577,282号、第7,606,801号、第7,760,924号、および第8,571,289号(それらの開示は、参照することによって全体として本明細書に完全に組み込まれる)のうちの1つまたはそれを上回るものに説明される様式において、トモシンセシス投影画像Tpから再構成される画像を指し、Tr画像は、Tp画像またはMp画像を取得するために使用される角度においてのみではなく、任意の所望の角度における、スライスの投影X線画像に現れ得る胸部のスライスを表す。
【0026】
Msとは、頭尾方向(CC)または内外斜位方向(MLO)画像等のマンモグラフィー画像をシミュレートする、合成2D投影画像を指し、トモシンセシス投影画像Tp、トモシンセシス再構成画像Tr、またはそれらの組み合わせを使用して構成される。Ms画像は、医療従事者への表示のために、または病院もしくは別の施設のPACSシステムにおける記憶のために提供されてもよい。Ms画像を生成するために使用され得る方法の実施例は、前述の米国特許第7,760,924号および第8,571,289号に説明されている。
【0027】
MERGEとは、女性の胸部のMp画像、Ms画像、Tp画像、もしくはTr画像のうちの任意の2つまたはそれを上回るものからの1つまたはそれを上回るオブジェクトおよび/または領域を、単一画像中にインポートすることによって構成される、合成2D画像を指し、オブジェクトまたは領域がマージされる画像中にインポートされる画像は、そのオブジェクトまたは領域のためのソース画像を備え、オブジェクトまたは領域は、それらの個別のソース画像内のオブジェクトまたは領域のXY座標場所に対応する、XY座標場所においてマージされる画像中にインポートされる。IMERGE画像を生成するために使用され得る方法の実施例は、PCT出願第PCT/US2012/066526号および第PCT/US2013/025993号に説明されており、その個別の開示は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0028】
MERGE、Tp、Tr、Ms、およびMpという用語は、それぞれ、表示、さらなる処理、または記憶のために、個別の画像を記述するために十分な何らかの形態における情報を包含する。個別のIMERGE画像、Mp画像、Ms画像、Tp画像、およびTr画像は、典型的には、表示に先立って、デジタル形態で提供され、各画像は、画素の2次元アレイにおいて各画素の特性を識別する情報によって定義される。画素値は、典型的には、胸部内の対応するボリュームのX線に対する個別の測定、推定、または計算された応答、すなわち、組織のボクセルまたはカラムに関する。好ましい実施形態では、トモシンセシス画像(TrおよびTp)、マンモグラフィー画像(MsおよびMp)、およびマージ画像(IMERGE)の幾何学形状は、米国特許第7,702,142号(本開示は、参照することによって全体として本明細書に組み込まれる)に説明されるように、共通座標系に整合される。別様に規定されない限り、そのような座標系整合は、本特許明細書の続く発明を実施するための形態において説明される実施形態に関して実装されると仮定される。
【0029】
用語「画像の生成」および「画像の伝送」とはそれぞれ、表示のための画像を説明するために十分な情報を生成および伝送することを指す。生成されるおよび伝送される情報は、典型的には、デジタル情報である。
【0030】
図1は、マージ画像生成ならびに表示技術を組み込む、例示的画像生成および表示システムにおけるデータのフローを図示する。図1は、特定の連続した順序において、または並行して起こるあるプロセスを伴う流れ図の特定の実施形態を図示するが、請求項および種々の他の実施形態は、そのように規定されない限り、任意の特定の順序における画像処理ステップの性能に限定されないことを理解されたい。
【0031】
より具体的には、画像生成および表示システムは、現在利用可能なシステムのいずれかの個別の3次元および/またはトモシンセシス取得方法を使用して、女性の胸部のTp画像を生成するために、トモシンセシス画像データを取得する、画像取得システム1を含む。取得システムが組み合わせられたトモシンセシス/マンモグラフィーシステムである場合、Mp画像もまた、生成されてもよい。いくつかの専用トモシンセシスシステムまたは組み合わせられたトモシンセシス/マンモグラフィーシステムが、好ましくは、DICOM準拠画像アーカイブ通信システム(PACS)記憶デバイスである、記憶デバイス2内に、従来のマンモグラム画像(図1において、破線および凡例Mplegacyによって示される)を受信および記憶するように適合されてもよい。取得に続いて、トモシンセシス投影画像Tpもまた、(図1に示されるように)記憶デバイス2に伝送されてもよい。
【0032】
前述の特許および出願に説明されるように、Tp画像は、取得システム1または記憶デバイス2のいずれかから、または両方から、選択された厚さおよび選択された配向の胸部スライスを表す、再構成画像「スライス」TrへとTp画像を再構成する、再構成エンジン3として構成されるコンピュータシステムに伝送される。撮像および表示システム1はさらに、1つまたはそれを上回るTp画像および/またはTr画像の組み合わせを使用して、任意の配向(例えば、CCまたはMLO)において撮影されるマンモグラムをシミュレートする2D画像を生成するために、再構成エンジン3と実質的に並行して動作する、2D合成装置4を含む。合成2D画像は、(図1に示されるように)表示に先立って動的に生成されてもよい、または後の使用のために、記憶システム2内に記憶されてもよい。合成2D画像は、IMERGE、T2d、およびMSとして交換可能に参照される。再構成エンジン3および2D合成装置4は、好ましくは、高速伝送リンクを介して表示システム5に接続される。元々取得されたMp画像および/またはTp画像もまた、ユーザによる個別のIMERGE画像、Tr画像、および/またはMs画像の同時もしくはトグル式閲覧のために、表示システム5に転送されてもよい。
【0033】
モードフィルタ7a、7bが、画像取得と画像表示との間に配置される。フィルタ7aおよび7bはそれぞれ、加えて、個別の画像タイプのある側面を識別および強調するように配列される、画像の各タイプ(すなわち、Tp、Mp、Tr)に対してカスタマイズされるフィルタを含んでもよい。本様式では、各撮像モードは、特定の目的のために、最適な方法で同調または構成されることができる。同調または構成は、画像のタイプに基づいて、自動的であってもよく、または手動入力によって、例えば、ディスプレイに結合されるユーザインターフェースを通して定義されてもよい。図1の図示される実施形態では、フィルタ7aおよび7bは、個別の撮像モードにおいて最良に表示される画像の特定の特徴を強調するために選択され、例えば、強調する腫瘤もしくは石灰化に適合されるように、または、(以下に説明される)マージ画像が3D再構成スライスもしくは2Dマンモグラム等の特定の画像タイプとして現れるようにするために選択される。
【0034】
本開示の発明の一実施形態によると、本明細書により詳細に説明されるように、システム1は、表示のための1つまたはそれを上回るマージされた2D画像(「スラブ」またはIMERGE)を提供するために、女性の胸部の利用可能なソースおよび合成画像のセットから得られた関連する画像データをマージする、画像マージプロセッサ6を含む。マージ画像(「スラブ」またはIMERGEを生成するために使用される利用可能な画像のセットは、フィルタ処理された、および/またはフィルタ処理されないMs画像、Mp画像、Tr画像、ならびに/もしくはTp画像を含んでもよい。図1は、画像マージプロセッサ6中に入力されている、全てのこれらのタイプの画像を描写するが、マージ画像は手動で構成可能であり得ることも、本開示の発明の範囲内であることが想定される。例えば、ユーザインターフェースまたはプリセット構成は、ユーザが、表示のための合成2D画像「スラブ」またはIMERGEを生成するために、2つまたはそれを上回る画像もしくは画像タイプの特定の群を選択することを可能にするように提供および構成されてもよい。
【0035】
例証として、放射線技師または他の医療従事者等のユーザは、表示される合成2D画像内(「スラブ」またはIMERGE)に、集合的トモシンセシス画像内の最も容易に判別される構造を示す、マージ画像を提供するために、2つまたはそれを上回る再構成されたトモシンセシススライス(Tr)をマージすることを所望してもよく、これは、画素毎の粒度において、トモシンセシススライスを本質的にマッピングする。加えて、または代替として、ユーザは、胸部内の石灰化と種々の組織構造との両方を強調する、カスタマイズかつマージされた画像(「スラブ」またはIMERGE)を得るために、MpまたはMpを問わず、2Dマンモグラム画像を、3D投影(Tp)もしくは選択かつ再構成された画像(Tr)と組み合わせてもよい。画像の各タイプに対して適用されたフィルタはさらに、個別のソース画像タイプにおいて、概して、最も一般的である、または最も容易に判別される、マージ画像内の構造または特徴のタイプを強調することができる。したがって、1つのタイプのフィルタは、石灰化を強調するためにマンモグラフィー画像に適用されてもよい一方、異なるフィルタは、腫瘤を強調するためにトモシンセシススライスに適用されてもよく、強調された石灰化と強調された組織腫瘤との両方が、単一のマージ画像内に表示されることを可能にする。フィルタはまた、マージ画像に、望ましいルックアンドフィールを提供してもよく、すなわち、マージ画像が、よりトモシンセシスまたはマンモグラフィー画像のように現れるようにしてもよい。
【0036】
表示システム5は、(例えば、取得システム1の)標準取得ワークステーションの一部または取得システム1から物理的に遠隔にある標準(マルチディスプレイ)レビューステーションの一部(図示せず)であってもよい。いくつかの実施形態では、通信ネットワークを介して接続されるディスプレイ、例えば、パーソナルコンピュータまたはいわゆるタブレット、スマートフォン、もしくは他の携帯デバイスのディスプレイが、使用されてもよい。いずれの場合でも、本システムのディスプレイ5は、好ましくは、IMERGE画像、Ms画像、Mp画像、およびTr画像、および/またはTp画像を同時に、例えば、レビューワークステーションの別個の並列モニタ内に表示することが可能であるが、本発明は、依然として、単一表示モニタを用いて、画像間をトグルすることによって実装されてもよい。
【0037】
検出/診断プロセスを促進するために、Trスライスは、好ましくは、表示のために全てが、胸部のMp画像またはMs画像のサイズと同じであり得る、同じサイズに再構成される、またはそれらは、最初に、取得の際に使用されるX線ビームのファン形状によって判定されるサイズに再構成され、次いで、後で、適切な補間および/または外挿によってその同じサイズに転換されることができる。本様式では、異なるタイプおよび異なるソースからの画像は、望ましいサイズおよび分解能において表示されることができる。例えば、画像は、(1)表示される画像サイズのサイズが、撮像された胸部組織全体が可視であるように最大限にされる、ビューポート適合モード、(2)スクリーン上の表示画素が、画像の画素に対応する、真サイズモード、または(3)表示される画像のサイズが、これが同時に表示されている別の画像のものと整合するように調節される、または表示される画像が、トグルされる、もしくはトグルされることができる、適正サイズモードにおいて表示されることができる。
【0038】
例えば、同じ胸部の2つの画像が撮影され、同じサイズではない場合、または同じ分解能を有していない場合、画像が同時に表示されるとき、もしくはユーザが画像間をトグルする際に、画像が同じサイズで現れるように、1つまたは両方の画像の倍率を自動的またはユーザ選択的に拡大もしくは縮小(すなわち、「ズームイン」または「ズームアウト」)するように対策がなされてもよい。公知の補間、外挿、および/または加重技法が、リサイズプロセスを遂行するために使用されることができ、公知の画像処理技術もまた、検出/診断を促進するように、表示される画像の他の特徴を類似させるために使用されることができる。本開示の発明の一実施形態による、そのようなリサイズされた画像を閲覧するとき、マージ画像(「スラブ」またはIMERGE)は、適宜自動的にリサイズされる。
【0039】
したがって、本特許明細書において、限定ではなく、例証を目的として説明される、システム1は、トモシンセシス投影画像Tp、トモシンセシス再構成画像Tr、合成されたマンモグラム画像Ms、および/またはマンモグラム(造影マンモグラムを含む)画像Mp、またはこれらの画像タイプの任意の1つもしくは部分的組み合わせを、受信しかつ選択的に表示することが可能である。システム1は、トモシンセシス画像Tpを画像Trに転換(すなわち、再構成)するためのソフトウェアと、マンモグラム画像Msを合成するためのソフトウェアと、そのそれぞれが、マージ画像の領域全体に対して、ソース画像セット内の全ての画像間のその領域内で最も関連する特徴を表示する、マージ画像のセット(「スラブ」またはIMERGE)を提供するために、画像のセットをマージするためのソフトウェアとを採用する。本特許明細書の目的として、ソース画像内の着目オブジェクトまたは特徴は、集合的ソース画像への1つまたはそれを上回るCADアルゴリズムの適用に基づいて、マージされる画像内への包含のための「最も関連する」特徴と見なされてもよく、CADアルゴリズムは、個別の領域内または特徴間で識別/検出された着目オブジェクトおよび特徴に基づいて、数値、加重、または閾値を個別のソース画像の画素もしくは領域に割り当て、またはマージ画像がCAD支援を伴わずに合成画像から直接生成される事例では、単純に、画素値、加重、または他の閾値が、画像の画素もしくは領域と関連付けられる。着目オブジェクトおよび特徴は、例えば、有棘病変、石灰化、ならびに同等物を含んでもよい。種々のシステムおよび方法が、Giger et al.「RadioGraphics」May 1993、pp.647-656、Giger et al.「Proceedings of SPIE」Vol.1445(1991)、pp.101-103、米国特許第4,907,156号、第5,133,020号、第5,343,390号、および第5,491,627号、(それぞれ、参照することによって本明細書に全体として組み込まれる)によって説明されるもの等、X線画像内の異常のコンピュータ化検出にとって現在周知である。
【0040】
図2は、合成されたマージ画像(「スラブ」またはIMERGE)30を生成するために、トモシンセシススライス10Aから10Nを備える、トモシンセシス再構成画像(Tr)のセットからの画像データとのマージを画像的に図示する、略図である。説明を容易にするために、フィルタは、本実施例では、図示されない。トモシンセシス画像データセット(Tr)は、(1)(前述されるように)1つまたはそれを上回るCADアルゴリズムの適用に基づいて、1つまたはそれを上回るマージ画像30内における可能性として考えられる含有のための「最も関連する」特徴と見なされ得るもののために、各画像内の着目オブジェクトおよび特徴を識別することと、(2)識別された特徴を含有する画像10A-10N内の個別の画素領域を識別することと、(3)その後、領域ベースで領域上の画像を比較し、各個別の領域に対して最も望ましい表示データを伴うその画像10A-10Nを検索することとを目的として、複数のマージ画像が生成されるソース画像10A-10Nのそれぞれを評価する(すなわち、自動的に、または特定のユーザコマンドに基づくかどうかにかかわらず)、領域比較および画像マージプロセッサ6に自動転送される。
【0041】
前述されるように、最も望ましい表示データを伴う画像10A-10Nは、最高画素値もしくは最低画素値を伴う画像、または、画像10A-10NへのCADアルゴリズムの適用に基づいて、閾値もしくは加重を割り当てられている画像であってもよい。その領域に対して最も望ましい表示データを伴う画像10A-10Nが識別されると、その領域の画素は、1つまたはそれを上回るマージ画像30の対応する領域上にコピーされる。例えば、図2に示されるように、トモシンセシススライス10Aの領域35Trは、マージ画像30の領域35Iにコピーされる。同様に、トモシンセシススライス10Bの領域36Trは、マージ画像30の領域36Iにコピーされる。随意に、領域比較および画像マージプロセッサ6は、マージ画像30内のオブジェクト35I、36Iのソース画像10A、10Bを識別する、インデックスマップ40を生成することができる。図2の領域は、事前画定されたグリッド領域として示されるが、領域が本様式において事前画定されることは、必要ではない。むしろ、本開示の発明の一実施形態によると、領域の境界線は、画素または多画素粒度において比較を実施することによって、領域比較および画像生成プロセス中に動的に識別されてもよい。
【0042】
図9に示される実施形態では、複数のマージ画像(「スラブ」またはIMERGE)30は、再構成されたTr画像(「スライス」)10のセットまたはスタックから合成される。例えば、11枚のマージ画像スラブ30が、Trスライス10の11枚の重複サブセットに分割される(スライス10-1020およびスラブ30-30のみ、明確にするために示される)、60枚の再構成されたTrスライス10-1060を含むスタックから生成される。第1のマージ画像スラブ30は、Trスライス10-1010から合成され、第2のマージ画像スラブ30は、Trスライス10-1015から合成され、第3のマージ画像スラブ30は、Trスライス1011-1020から合成される等となる。本パターンは、11枚目のマージ画像スラブ3011がTrスライス1051-1060から合成されるまで繰り返される。本実施形態では、マージ画像スラブ30のデフォルトパターンは、10枚のスライス厚(すなわち、図2ではN=10)を含み、隣接するスラブ30間に5枚のスライス重複を伴う。10で除算可能ではないTrスライス10の数を有するスタックに関しては、スタックの一端におけるマージ画像スラブ30は、スラブ30あたり異なる数のTrスライス10および/または隣接するスラブ30との異なる重複を有することができる。
【0043】
前述の説明される実施形態は、マージ画像スラブ30の具体的デフォルトパターンを有するが、本発明は、スラブ30あたり任意の数のTrスライス10、隣接するスラブ30間の任意の重複量、および任意のサイズのスタックを包含する。非限定的実施例として、一実施形態では、スラブ30あたり6枚のTrスライス10が存在し、隣接するスラブ間に3枚のスライス重複を伴う。別の実施形態では、スラブ30あたり8枚のTrスライスが存在し、隣接するスラブ間に4枚のスライス重複を伴う。なおも別の実施形態では、スラブ30あたり15枚のTrスライス10が存在し、隣接するスラブ間に10枚のスライス重複を伴う。特に、隣接するスラブ30内の重複Trスライス10の量は、個別のスラブサイズのちょうどまたは約半分である必要はなく、オペレータによって選択される任意の数のTrスライス10であることができる。
【0044】
別の実施形態では、本システムは、ユーザからの入力を受信するように構成される、ユーザインターフェースを表示してもよい。ユーザ入力は、スラブ30あたりのTrスライス10の数、隣接するスラブ30間の重複量、およびスタックのサイズを含んでもよい。本システムは、ユーザ入力に基づいて、複数のスラブ30を生成する。ユーザインターフェースを用いたさらに別の実施形態では、ユーザ入力は、Trスライス番号(例えば、1026)およびスライスの数(例えば、5枚)を含んでもよく、本システムは、次いで、本ユーザ入力に基づいて、単一スラブ30を生成する。スラブ30は、中心Trスライスの両側に提供されるスライスの数とともに、ユーザが提供したTrスライス番号に対応するTrスライスを中心とするTrスライス10のサブセットから生成される(例えば、1020-1031)。2つのタイプのユーザ入力が説明されたが、他のタイプのユーザ入力も、請求項によって包含される。
【0045】
なおもさらなる実施形態では、スラブ30あたりのTrスライス10の数、隣接するスラブ30間の重複量、および/または個別のスタックのサイズは、プリセット値であって、スラブは、ユーザ入力を要求せずに、プリセット値に従って、自動的に生成される。いくつかのそのような「自動マッピング」実施形態では、ユーザが、プリセットスラブサイズ、スライス重複量、およびスタックサイズ値のいずれかを書き換えることが依然として可能であってもよい。
【0046】
図3は、例えば、個別のソース画像Tr、Tr、Tr、およびTr内の特定の特徴の検出に従って識別され得る、恣意的な領域境界線において、異なるソース画像(TrトモシンセシススライスTr、Tr、Tr、およびTr)の多数の領域52の組み合わせを介して構成されている、マージ画像50を図示する。図2および3に描写されるマージ画像30ならびに50は、トモシンセシス再構成画像または「スライス」(Tr)から生成されるが、マージ画像は、トモシンセシス投影画像Tp、トモシンセシス再構成画像Tr、合成マンモグラム画像Ms、および/またはマンモグラム(造影マンモグラムを含む)画像Mpから生成されることができる。
【0047】
図4は、本開示の発明の一実施形態に従って実行される、画像マージプロセスにおいて実施され得る、例示的ステップを図示するために提供される、流れ図である。ステップ62において、画像データセットが、取得される。画像データセットは、画像表示デバイスに対してローカルに位置するかまたは遠隔に位置するかを問わず、トモシンセシス取得システム、組み合わせトモシンセシス/マンモグラフィーシステムによって、または記憶デバイスから既存の画像データを読み出すことによって取得されてもよい。ステップ64において、ユーザが、随意に、マージモードを選択してもよく、ユーザは、(1)1つまたはそれを上回るマージ画像を生成するために、ソース画像セットのためにどの画像が使用されるべきか、(2)石灰化、有棘病変、または腫瘤等、マージ画像内のある特徴を強調するかどうか、(3)より低い分解能のトモシンセシス画像として画像を表示するかどうか等を指定してもよい。ステップ66において、マージ画像を生成するためにマージされるべき画像は、例えば、前述の組み込まれる米国特許第7,702,142号に記載されているように、共通座標系にマッピングされる。異なる座標系の画像を整合する他の方法も、代替として使用されてもよい。ステップ72において、異なる画像間の領域を比較するプロセスが、開始される。ステップ74において、各IMERGE領域は、最も望ましい画素、値、またはパターンを有するソース画像セットからの画像の領域の画素で占拠される。領域を占拠するプロセスは、ステップ76において、全ての領域が評価されていると判定されるまで継続し、その点において、マージ画像は、表示できる状態にある。
【0048】
いったんマージ画像が生成されると、これは、マージ画像が生成されたトモシンセシス画像データスタックを通して、ナビゲーションを補助するために使用されてもよい。そのようなナビゲーションは、種々の着目オブジェクトの選択と、マージ画像のうちの1つまたはそれを上回るもの内のそのような着目オブジェクトのソースである、対応するトモシンセシス画像の表示とから成る、2ステッププロセスである。実施例として、図5Aおよび図5Bは、ディスプレイ80の2つのビューを図示する。図5Aに示されるディスプレイ80の第1のビューは、取得されたまたは合成された画像セットの異なる領域をソースとする領域を有する、マージ画像82を図示する。図5Bは、本開示の発明によって有効となる特定の特徴を図示し、それによって、ユーザは、マージ画像82内で領域または面積83を選択してもよく、その面積に対する結果として生じる画像ソース84が、ユーザに提示される。
【0049】
開示される実施形態は、着目オブジェクの選択および対応する個別のソース画像の対応する表示のために、多くの異なる機構を採用してもよい。したがって、本開示の発明は、本明細書に説明されるものに限定されないことを理解されたい。例えば、マージ画像内の領域または面積の選択は、CADマークの選択、もしくは代替として、精査者が着目する特定の特徴の選択を含んでもよい。マージ画像を使用したトモシンセシス画像データのナビゲートは、前述のPCT出願第PCT/US2012/066526号および第PCT/US2013/025993号に詳述されている。
【0050】
本特許明細書において開示および説明されるシステムおよび方法は、3D胸部画像データを含有するトモシンセシス再構成ボリューム(または「スタック」)から利用可能にされる、画像情報を従来の2Dマンモグラフィー画像と類似する合成2D画像のセットに凝縮するように設計されることが理解されるであろう。これらの合成2D画像を3Dトモシンセシス再構成スタックと並行して、または並行せずに精査することによって、胸部組織のはるかに効率的かつ正確な精査を提供することが可能となる。並行精査を伴う実施形態では、画像を精査しているユーザが、さらなる精査に値する任意の着目オブジェクトまたは領域を検出するために、合成2D画像に焦点を当て得るように、合成2Dマージ画像が、誘導マップとして作用することができ、本システムは、「最良に」対応するトモシンセシス画像スライス(または隣接するトモシンセシススライスのサブセット)に対する即時かつ自動的なナビゲーションを提供し、ユーザが、このさらなる精査を実施し、結果を検証および評価することを可能にすることができる。したがって、全ての実施形態を実践するために要求されるものではないが、ユーザが、トモシンセシスボリューム画像スライスと並んで個別の合成2Dマージ画像を、両方を同時に閲覧するために表示することができる、ユーザインターフェースを採用することが好ましい。
【0051】
合成2D画像が作成される、複数の2Dおよび/または3D画像は、トモシンセシス投影画像と、トモシンセシス再構成スライスと、マンモグラフィー画像と、造影増強マンモグラフィー画像と、合成2D画像と、それらの組み合わせとを含んでもよい。合成2D画像は、有利には、個別の胸部の取得されたおよびコンピュータ生成された下層画像データセットのそれぞれから、最も関連する情報を組み込むことが理解されるであろう。したがって、表示される合成2D画像内の画素の異なる領域は、どの下層画像が個別の領域内の着目オブジェクト、例えば、腫瘤または石灰化を閲覧するために最良であるかに応じて、下層画像データセット内の対応する異なる画像をソースとしてもよい。特定の領域は、静的に、すなわち、特定のグリッド内で、または動的に、すなわち、識別される着目オブジェクトに基づいて識別されてもよく、粒度において、1画素と同程度の小ささから、個別の画像内の全ての画素に及んでもよい。一実施形態では、最初に、構成中のマージされる画像中に、トモシンセシス画像データセット(または「スタック」)の画像内の1つまたはそれを上回る特定の着目組織構造を含有する、それらの領域をインポートするステップに優先順位が与えられ、その後、前述されるように、マージされる画像の残りの領域を、別様に画像からの最も関連する領域で占拠する。
【0052】
ユーザインターフェースは、加えて、ユーザが、提示されるトモシンセシスデータを操作することを可能にする特徴、例えば、ユーザが、トモシンセシススタックの隣接する画像スライスを通して走査することを可能にする特徴、または、選択された領域中にさらにズーム(拡大)すること、マーカーを置くこと、または代替として、画像データにフィルタもしくは他の画像処理技法を適用することを可能にするための、特徴を含んでもよい。本様式では、ユーザは、ナビゲーション目的のための合成2D画像を利用することによって、トモシンセシスデータの大きなスタックを迅速に精査し、それによって、乳癌スクリーニングおよび診断の性能ならびに効率を向上させてもよい。別の実施形態によると、特定のタイプの画像は、異なるタイプの関連する情報を閲覧するために、優位のものを含み得る、または優位であり得ることが判定されている、もしくは別様に理解されている。例えば、石灰化は、典型的には、2Dマンモグラムにおいて最良に視覚化される一方、腫瘤は、典型的には、3D再構成画像を使用して最良に視覚化される。
【0053】
したがって、一実施形態では、異なるフィルタが、マージ画像を生成するために使用される画像データセット内の異なるタイプの下層2Dおよび/または3D画像のそれぞれに適用され、フィルタは、個別の撮像モードにおいて最良に表示される、画像の特定の特徴を強調するように選択される。マージ画像を生成するステップに先立って、画像を適切にフィルタ処理するステップは、最終的なマージ画像が、全ての下層画像タイプから得られ得る、最も関連する情報を含むことを確実にすることに役立つ。加えて、および/または代替として、種々の画像に対して実施されるフィルタ処理のタイプは、ユーザ入力を介して定義されてもよく、これは、ユーザが、「マージモード」を選択することを可能にし、そのようなマージモードは、例えば、強調する腫瘤、石灰化に適合されているか、または、マージ画像が3D再構成スライスまたは2Dマンモグラム等の特定の画像タイプとして現れるようにするものである。
【0054】
2D画像を合成するステップは、種々の方法で遂行されてもよい。例えば、一実施形態では、汎用画像フィルタ処理アルゴリズムが、個別のソース2D画像および3D画像のそれぞれの内部の特徴を識別するために使用され、ユーザは、マージ画像を生成するために、2Dフィルタ処理されたデータおよび/または3Dフィルタ処理されたデータを使用するかどうかを選択してもよい。代替として、2Dフィルタ処理されたデータまたは3Dフィルタ処理されたデータは、ユーザが選択した特定の視覚化モードに従って、自動的に選択されてもよく、例えば、2Dフィルタ処理されたデータは、石灰化視覚化モードのために、本システムによって自動的に選択されてもよい一方、3Dフィルタ処理されたデータは、腫瘤視覚化モードのために、本システムによって自動的に選択されてもよい。一実施形態では、マージ画像の2つの異なるセットが、構成されてもよく(各モードに対して1つ)、代替として、全ての利用可能な画像タイプからもたらされる、個別のフィルタ処理された画像データを考慮する、単一のセットのマージ画像が、構成されてもよい。
【0055】
一実施形態では、特徴(潜在的着目オブジェクトを表す)は、利用可能なソース画像内に識別され、その後、例えば、各個別の画像において、画素ごとまたは領域ごとに加重される。2D画像が、次いで、利用可能なソース画像の個々の画像内で最も有意な加重を有する、個別の領域を組み込むことによって、構成される。領域のサイズは、粒度において、個別の画像の1画素から多くの(さらに全ての)画素に変動してもよく、静的に事前画定されてもよい、またはソース画像の可変閾値に従って変動する、マージンを有してもよい。合成された(「マージされた」とも把握される)画像は、トモシンセシス取得に続いて、DICOMオブジェクトとして事前処理および記憶され、その後、ユーザによる後続精査のために、再構成データとともに自動転送されてもよい。そのような配列は、各再構成スライスに対して加重情報を自動転送する必要性を除去する。代替として、記憶されたDICOMオブジェクトは、加重情報を含み、マージ画像が、ユーザのワークステーションにおける合成2D画像に対する要求に応答して、動的に構成されることを可能にしてもよい。一実施形態では、加重情報と合成2D画像との両方は、DICOMオブジェクト内に提供され、精査者の個人的ワークフローによるカスタマイズを、依然として可能にしながら、デフォルトのセットのマージ画像の表現を可能にしてもよい。明確に言うと、加重情報は、画像自体とともに記憶されることができ、別個のファイルである必要はない。
【0056】
ソース画像内の特徴の加重または強調処理は、合成IMERGEスラブが生成されるTrスライスの数に基づいて修正されてもよい。例えば、ソース画像内の特徴に加重するために使用される因子、係数、値、または加重は、スラブが10枚のスライスから生成されるときの同一Trスライス内の同一特徴の加重と比較して、スラブが30枚のスライスから生成されるとき、Trスライス内の特徴により大きい加重をもたらし得る。さらに、加重される特徴の選択は、合成IMERGEスラブが生成されるTrスライスの数に基づいて修正されてもよい。例えば、より多くのスラブがより多くのスライスから生成されるとき、より多くの特徴が、加重または強調処理され得る。加重因子は、事前判定され、システム内のルックアップテーブルに記憶されることができる。代替として、加重因子は、合成IMERGEスラブが生成されるTrスライスの数から実験的または数学的に判定されることができる。このように、ソースTrスライスからの特徴は、合成IMERGEスラブ内で強調処理されることができる。合成IMERGEスラブは、複数のTrスライスからの臨床上関連する特徴を組み合わせ、それを強調することによって、豊富な情報を提示することができる。そのようなスラブは、さらなる画像処理および分析を促し、向上したデータ精査性能を提供し、効率およびスループットを増加させるために使用されることができる。
【0057】
合成2D画像の視覚化は、いくつかの欠点を有し得ると理解される。例えば、マージ画像内に、鮮明な石灰化を呈する近傍領域が存在し得るが、これは、実際には、z面において互いから離れた画像スライスをソースとする。したがって、2D画像内で微小石灰化の集塊と思われ得るものは、実際には、胸部全体を通して(すなわち、z軸に沿って)分散される、個々の石灰化であり得、したがって、実際には、さらなる精査を要求する微小石灰化集塊を表さない。したがって、別の実施形態によると、「集塊拡散インジケータ」が、合成2D画像に提供されてもよく、これは、z面に沿った石灰化の分散を視覚的に示し、ユーザが、石灰化の群が石灰化集塊を備えるかどうかを迅速に評価することを可能にする。
【0058】
合成2D画像は、典型的には、図5Bに描写されるように並列モニタを有するワークステーションにおいて、説明されるシステムのユーザ(例えば、医療従事者または放射線技師)に表示される。ユーザがワークステーションを構成する方法に応じて、特定の人物の胸部画像データの精査を開始するとき、合成2D画像のみ、例えば、左側モニタ上に提示されてもよく、右側モニタは、好ましくは、ユーザ選択可能構成に応じて、ブランクである、またはおそらく、トモシンセシススタックからの最初または中間の画像スライスを描写する。一実施形態では、本システムは、初期にかつ順次に合成2D画像を左側モニタに表示し、そして、胸部ボリューム全体に対するトモシンセシス画像スタックから、各合成2D画像に外観が最も類似しているかまたは相対的に最も着目されるオブジェクトを有している表示されるトモシンセシススライスに基づいて、システムによって判定された、トモシンセシススライス画像の「最も関連する」ものを右側モニタに表示するであろう。
【0059】
前述されるように、種々の実施形態では、オブジェクトまたは領域は、自動的に、合成2D画像内で強調される、および/または複数のものからの1つまたはそれを上回る画像の少なくとも一部に表示されてもよい。加えて、および/または代替として、合成2D画像内の、ならびに/もしくは複数のものからの1つまたはそれを上回る画像の少なくとも一部に表示されるオブジェクトまたは領域は、ユーザインターフェースを通して検出される、さらなる受信されたユーザコマンドまたはあるユーザアクティビティに応答して、強調されてもよい。非限定的な実施例として、オブジェクトまたは領域は、強調されたオブジェクトまたは領域の境界線を表す、輪郭ラインによって強調されてもよい。好ましくは、オブジェクトまたは領域は、強調されたオブジェクトまたは領域が、組織構造の規定されたタイプであること、または、それを含有することを示す様式において強調される。
【0060】
本システムは、Trスライスのサブセットを処理し、IMERGEスラブを生成するが、あるオブジェクト、病変、または領域を標的/強調するように設計された付加的情報を組み込むことができる。これらのオブジェクトを標的/強調するために使用される情報は、識別されたオブジェクトもしくは領域のバイナリマップとして、またはあるパターンに関する確率分布を含む連続マップとして、種々の形態でインポートされることができる。
【0061】
例証として、図6は、女性の胸部の複数の合成2D画像のうちの1つである132を表示する、左側モニタ124(「C-View」)を含む、例示的ワークステーションディスプレイ122を描写する。合成2D画像132は、強調された組織構造134を含み、強調は、組織構造の境界線を表す、輪郭ラインの形態にある。この強調は、本システムによって、自動的に、例えば、2D画像132が最初に表示される時点において、または特定のユーザコマンドもしくはインジケーションにのみ応答して、例えば、2D画像132内のオブジェクト134にわたってポインタを重ねることによって行われていてもよい。ワークステーションディスプレイ122はまた、ソース画像である、または別様に合成画像132内に見られるような強調された組織構造134の最も類似するビューを提供する、個別のトモシンセシス画像136(モニタ126の右側下方に示されるように、トモシンセシスボリュームスタックのスライスNo.18である)を表示する、右側モニタ126も含む。特に、ディスプレイ122と関連付けられるユーザインターフェースは、ユーザが、例えば、ポインタ、十字、円、または他の類似する幾何学的オブジェクトを表示することによって、合成2D画像132上の場所を選択または別様に指示し、次いで、モニタ126内に表示されるポインタの下層の領域またはオブジェクトを描写する、対応するソースまたは別様に最も類似するトモシンセシススライスを有するために、ユーザからの要求として本システムによって認識されるであろう、あるコマンドタイプ(例えば、マウスクリック)を入力することを可能にする。
【0062】
図7は、ワークステーションディスプレイ122を描写し、複数の合成された2D胸部画像のうちの異なる1つ142が、左側C-Viewモニタ124内に表示される。合成2D画像142は、強調された組織構造144を含み、強調は、オブジェクト144が有棘腫瘤であることを示すために、この場合では円である、幾何学形状の形態にある。再び、この強調は、本システムによって、自動的に、例えば、2D画像142が最初に表示される時点において、または特定のユーザコマンドもしくはインジケーションにのみ応答して、例えば、2D画像142内のオブジェクト144にわたってポインタを重ねることによって行われていてもよい。右側モニタ126は、ソース画像である、または別様に合成画像132内に見られるような強調された組織構造144の最も類似するビューを提供する、個別のトモシンセシス画像146(モニタ126の右側下方に示されるように、トモシンセシスボリュームスタックのスライスNo.33である)を表示している。
【0063】
マージされた2D画像内のオブジェクトまたは領域と、表示される(すなわち、ソースまたは「最良の」)画像内の個別のオブジェクトまたは領域との間のマッピングが、必ずしも1対1となり得ず、ある状況では、例えば、異なるトモシンセシス画像スライス上の複数のライン構造が、合成2D画像内にライン横断構造を形成するためにともに組み合わされるとき、「1対多」となるであろう事例が存在するであろうことを理解されたい。実施例として、図8は、図7に表示されるものと同じ合成2D胸部画像142を含むが、ここでは、微小石灰化を含有する領域154を強調し、右側モニタは、強調された領域154が2D画像142中にインポートされた、または別様に微小石灰化の最良のビューを提供する、トモシンセシス画像スライス156(モニタ126の右側下方に示されるように、トモシンセシスボリュームスタックのスライスNo.29である)を表示する、ユーザワークステーションディスプレイ122を描写する。特に、有棘腫瘤構造144と、微小石灰化154の領域とが、図8において非常に近接近しているため、異なる一方が、特定のユーザコマンド(例えば、ある組織タイプを強調するため)に応じて、またはユーザインターフェースのポインタの位置のわずかな調節によって、強調されてもよい。
【0064】
図6-8に関して前述の実施例は、上記で参照されたPCT出願第PCT/US2012/066526号および第PCT/US2013/025993号に説明されるように、合成2D画像が生成されると同時に(またはその後に-システム実装に応じる)構築される、インデックスマップまたはフル3Dマップによって、容易に遂行される。代替として、左側モニタ124内に表示される2D画像上の、任意の所与のそのようなユーザが選択された/規定された点/場所に対して、いかなるインデックスマップまたはフル3Dマップも利用可能ではない場合、本システムは、右側モニタ126上に表示するためのトモシンセシススタック内の最良に対応する画像(すなわち、X、Y、およびZ)を自動的に計算するために、アルゴリズムを実行してもよい。「トモシンセシススライスインジケータ」が、随意に、左側モニタ124上に提供されてもよく、これは、どのトモシンセシススライス番号(複数の番号)が、2D画像上のユーザカーソルの現在の場所に基づいて、右側モニタ126上に表示されるであろうかを指示する。本特徴を用いて、精査者に、依然として、2D画像内の特定のオブジェクトのトモシンセシスボリュームスタックにおけるz軸場所の理解を提供しながら、ユーザは、右側モニタ126上の常に変化する画像表示によって気を散らされる必要がない。
【0065】
本開示の発明の一実施形態によると、ユーザインターフェースの利用可能な特徴は、マージ画像内の点/場所に基づくだけではなく、また、類似方式において、マージ画像内の構造/オブジェクト/領域に基づく機能に拡張されてもよい。例えば、マージ画像内の特定のオブジェクトまたは領域は、個別のオブジェクト内の可能性として考えられる着目のシステム認識または個別の領域内に位置するオブジェクトのシステム認識に基づいて、表示されると自動的に強調されてもよい。一実施形態では、図8に示されるように、この強調は、強調された組織構造の境界線を表す、輪郭ライン108の形態にある。輪郭ラインは、同様に、表示される画像内の、例えば、いくつかの石灰化構造を含有する着目領域を強調するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、本システムは、選択または指示されたオブジェクトまたは領域の1つまたはそれを上回る下層ソース画像を本システムに同時に表示させるために、着目オブジェクトまたは領域を選択するまたは別様に指示する方法として、ユーザが、マージ画像上に輪郭ラインを「描く」ことを可能にするように構成される。
【0066】
他の実施形態では、本システムは、種々のソース画像内の異なる胸部組織構造を識別し、マージ画像内でそれらを強調するために、特に、微小石灰化集塊、円形または分葉状腫瘤、有棘腫瘤、構造的歪み等の異常物体を含むか、またはそれと関連付けられる組織構造だけではなく、線状組織、嚢胞、リンパ節、血管等の通常胸部組織を含むか、またはそれと関連付けられる良性組織構造も強調するために、公知の画像処理技法を採用する。さらに、第1のタイプの組織構造から成る、またはそれを含有するオブジェクトもしくは領域は、表示されるマージ画像内で、第1の様式において強調されてもよく、第2のタイプの組織構造から成る、またはそれを含有するオブジェクトもしくは領域は、表示されるマージ画像内で、第1の様式とは異なる第2の様式において強調されてもよい。
【0067】
種々の実施形態では、ユーザは、ユーザインターフェースを通してコマンドを入力し、あるタイプの組織構造を選択または別様に識別してもよく、受信されたコマンドに応答して、本システムは、(i)表示されるマージ画像内で、選択されたタイプの組織構造から成るオブジェクト、および/または選択されたタイプの組織構造から成る1つまたはそれを上回るオブジェクトを含有する領域を自動的に強調することと、(ii)胸部画像データ内の選択されたタイプの組織構造の、例えば、1つを上回るものがソース画像スタック内に検出される場合には、比較に基づいて、選択された組織構造タイプのうちの最も顕著な1つの、個別のソーススライス(または別様にそれを最良に描写するスライス)を自動的かつ同時に表示することとのうちの一方または両方を実施する。したがって、ユーザが、マージされた2D画像内の微小石灰化スポット/集塊の上(またはその非常に近く)を「クリック」すると、本システムは、対応する3Dの微小石灰化を含む、ソース(または別様に最良の)トモシンセシス画像スライスを、自動的かつ同時に表示する。別の実施例として、ユーザは、放射状ラインパターン(多くの場合、有棘腫瘤の兆候)を伴う外観を有する、2Dのマージ画像内の領域を(ユーザインターフェースを通して)選択することができ、本システムは、放射状ラインパターンを閲覧するために、ソース(または別様に最良の)3Dトモシンセシススライス、またはおそらく、一連の連続的トモシンセシススライスまでを、同時に表示するであろう。
【0068】
図3および5-8は、複数のトモシンセシス画像スライスのサブセットから合成される、画像スラブが、トモシンセシス画像スライスのそのサブセットをナビゲートするために使用され得る、実施形態を描写する。同様に、トモシンセシス画像スライスのスタック全体から合成された画像スラブは、それぞれ、トモシンセシス画像スライスの個別のサブセットから生成される、画像スラブのセットをナビゲートするために使用されることができる。そのようなシステムでは、トモシンセシス画像スライスのスタック全体から生成された画像スラブを精査しているユーザが、さらなる精査に値する、任意の着目オブジェクトまたは領域を識別するとき、本システムは、「最良」の対応する画像スラブ(または隣接する画像スラブのサブセット)への即時の自動化されたナビゲーションを提供し、ユーザが、本さらなる精査を実施し、見解を検証および評価することを可能にする。
【0069】
種々の実施形態では、ユーザは、ユーザインターフェースを通してコマンドを入力し、動的表示機能性を起動させてもよく、本システムは、表示されるマージ画像内のユーザ移動可能入力デバイス(例えば、かざしたマウスポインタ)の場所に(動的に)対応する、それらのオブジェクトおよび組織構造を自動的に強調する。そのような実施形態では、本システムはさらに、再び、動的ベースで、表示されるマージ画像内のユーザ移動可能入力デバイスの所与の場所に対応する、強調かつ選択された組織構造の個別のソース画像を、自動的かつ同時に表示するステップを含んでもよい。
【0070】
一実施形態では、本システムは、右側モニタ126上に、左側モニタ124上のユーザの実際のカーソルのものと同じ(X,Y)場所に対応する場所において表示される、「シャドー」カーソルを提供するように起動され、それによって、2D画像内でカーソルを移動させると、トモシンセシス画像内のシャドーカーソルを同じXY座標において移動させることができる。逆もまた、実装されることができ、すなわち、右側モニタ126内でアクティブユーザカーソルが、左側モニタ124内でシャドーカーソルが、動作可能である。一実装では、この動的表示特徴は、本システムが、2Dのマージ画像内のユーザの着目点、例えば、マウスカーソルの場所を辿り、下にある最も「有意義」な領域をリアルタイムで動的に表示/強調することを可能にする。例えば、ユーザは、血管にわたってマウスを(任意のボタンをクリックすることなく)移動させることができ、本システムは、血管の輪郭を直ちに強調するであろう。
【0071】
本開示の発明のさらに別の側面によると、胸部画像データの精査後記憶は、ユーザによって実際に精査された同一画像データを反映し、また、胸部画像データを記憶するために必要とされる記憶容量を大幅に減少させるために、個々の再構成されたTrスライスレベルではなく、スラブレベルで行われる。一例として、一実施形態では、本システムは、スラブ30あたりのTrスライス10の数、隣接するスラブ30間の重複量、およびスタックのサイズを含む、ユーザからの入力を受信するように構成されるユーザインターフェースを表示してもよい。本システムは、ユーザ入力に基づいて、複数のスラブ30を生成し、ユーザは、次いで、胸部画像データを吟味するために、表示されるスラブ(またはそのサブセット)を閲覧する。いったん表示されるスラブのユーザ精査が完了すると、画像データは、Tr画像スライスの下層フルスタックではなく、生成されたスラブのみを含有するファイルとして、記憶(例えば、病院のPACSシステムに)のために伝送される。
【0072】
例示的実施形態が説明されたが、前述され、付随の図に描写される実施例は、例証にすぎず、他の実施形態および実施例もまた、添付の請求項の範囲内に包含されることを理解されたい。例えば、付随の図に提供される流れ図は、例示的ステップの例証であるが、全体的画像マージプロセスは、当技術分野において公知の他のデータマージ方法を使用して、種々の様式で達成されてもよい。システムブロック図も同様に、機能的境界を図示する、代表にすぎず、本開示の発明の要件の限定として見なされるものではない。また、種々の変更および修正が、描写および/または説明される実施形態(例えば、種々の部品の寸法)に行われてもよく、本発明による種々の実施形態は、それらの開示される実施形態の要素または構成要素を組み合わせてもよいことは、そのような組み合わせにおいて本明細書に明示的に例示されない場合でも、当業者に明白となるであろう。故に、明細書および図面は、限定的意味ではなく、例証として見なされ、本開示の発明の範囲は、以下の請求項およびその均等物によってのみ定義されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9