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特許7317116自動車の燃料容器、及び自動車の燃料容器を製造する方法、及び燃料容器のための補強部材
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】自動車の燃料容器、及び自動車の燃料容器を製造する方法、及び燃料容器のための補強部材
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/03 20060101AFI20230721BHJP
   B29C 49/20 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
B60K15/03 B
B29C49/20
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021536207
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(86)【国際出願番号】 EP2019086061
(87)【国際公開番号】W WO2020127560
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-06-21
(31)【優先権主張番号】102018133531.8
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598001467
【氏名又は名称】カウテックス テクストロン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】インゴ・レイ
(72)【発明者】
【氏名】フランク・クワント
(72)【発明者】
【氏名】デトレフ・アンカート
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-278066(JP,A)
【文献】特表2016-506331(JP,A)
【文献】特開2009-6858(JP,A)
【文献】特開2014-51215(JP,A)
【文献】特開2007-196493(JP,A)
【文献】中国実用新案第203690049(CN,U)
【文献】特開2005-30371(JP,A)
【文献】国際公開第2017/069029(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/03
B29C 49/20
B29C 51/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器天井(20)、容器底(22)、および側壁(16)を有し、燃料を貯蔵するための貯蔵容積(6)を画定するプラスチック壁(4、84)と、
前記プラスチック壁(4、84)を補強するための1つ以上の補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)と、を備え、
少なくとも1つの前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)が、前記貯蔵容積(6)から離反した前記プラスチック壁(4、84)の外面(10)と接続され、
前記プラスチック壁(4、84)に対して法線方向に測定される、少なくとも1つの前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)の最大厚さ(D1)が前記プラスチック壁(4、84)の壁厚(D2)より大きい、自動車の燃料容器(2)であって、
少なくとも1つの前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)が前記側壁(16)から前記容器天井(20)への移行部(24)に配置され、及び/又は少なくとも1つの前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)が前記側壁(16)から前記容器底(22)への移行部(26)に 配置されており、
少なくとも1つの前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)の端面側の接続領域(30)が少なくとも部分的に、又は完全に弓形に形成され、前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)が前記接続領域(30)において前記プラスチック壁(4、84)と材料結合的に接続されていることを特徴とする、燃料容器(2)。
【請求項2】
前記プラスチック壁(4、84)は、前記側壁(16)の領域において周囲側を取り囲んで互いに溶接されている第1ハーフシェル(12、14)と第2ハーフシェル(12、14)を有し、
前記第1ハーフシェル(12、14)が前記容器天井(20)を含む上シェルであり、
前記第2ハーフシェル(12、14)が前記容器底(22)を含む下シェルであることを特徴とする、請求項1に記載の燃料容器(2)。
【請求項3】
少なくとも1つの前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)が最大厚さの領域から2つの側に先細りにされ、実質的に三角形状又は鎌状の基本形を有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の燃料容器(2)。
【請求項4】
前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)が、くさび状に先細りにされた少なくとも1つの端区分(44)を有していることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の燃料容器(2)。
【請求項5】
前記端区分は、20mm以下の端区分長さにわたって5mm以下の厚さを有していることを特徴とする、請求項4に記載の燃料容器(2)。
【請求項6】
少なくとも1つの前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)がリブ構造体(32)を有する射出成形部品であり、
並びに/又は
少なくとも1つの前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)が複数の溶接ピン(34、86、88)を有し、前記溶接ピンが、前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)の端面及び/若しくは前記端面に隣接する側面に配置されていることを特徴とする、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の燃料容器(2)。
【請求項7】
少なくとも1つの前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)が、3つの側で前記プラスチック壁(4、84)と接続され、
端面、及び前記端面に隣接する、互いに離反した2つの横側面(31)が前記プラスチック壁(4、84)と材料結合的に接続されていることを特徴とする、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の燃料容器(2)。
【請求項8】
少なくとも1つの前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)と前記プラスチック壁(4、84)との間に、アンダーカット、溝(36)、又はそれに類するものによって少なくとも1つの形状結合的接続(68、94)が形成されていることを特徴とする、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の燃料容器(2)。
【請求項9】
少なくとも1つの前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)がHDPEを有するか、又はHDPEからなることを特徴とする、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の燃料容器(2)。
【請求項10】
少なくとも1つの前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)が前記プラスチック壁(4、84)の凹部若しくは陥没部(40)に嵌め込まれ、
かつ/又は
前記燃料容器(2)の容器天井(20)と容器底(22)との間で測定される前記燃料容器(2)の高さが30cm以上であり、
かつ/又は
前記プラスチック壁(4、84)に複数の前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)が設けられていることを特徴とする、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の燃料容器(2)。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の燃料容器(2)を製造する方法であって、
可塑化されたプラスチックを金型(46)に導入することによって、燃料を貯蔵するための貯蔵容積(6)を画定するプラスチック壁(4、84)を製作する工程と、
前記プラスチック壁(4、84)を補強するための1つ以上の前記補強部材を前記プラスチック壁(4、84)と接続する工程であって、前記可塑化されたプラスチックを前記金型(46)に導入する前に、少なくとも1つの前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)が前記貯蔵容積(6)から離反した前記プラスチック壁(4、84)を有する外面(10)と接続されるように、前記金型(46)に前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)が配置される、工程と、を含み、
少なくとも1つの前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)の、前記壁に対して法線方向に測定される最大厚さが前記プラスチック壁(4、84)の壁厚の倍数に相当し、
前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)は、前記金型(46)に導入する場合に、係止部材(110)によって前記金型(46)に固定されることを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記金型(46)がブロー成形型であり、少なくとも1つの前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)を前記ブロー成形型内で膨らませることによって、前記補強部材が前記プラスチック壁(4、84)と材料結合的及び/又は形状結合的に接続されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記金型(46)に前記可塑化されたプラスチックを導入する場合に前記プラスチック壁(4、84)との材料結合的接続(70、78、80、92)を形成するために、少なくとも1つの前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)が端面及び/若しくは前記端面に隣接する横側面(31)に複数の溶接ウェブ若しくは溶接ピン(34、86、88)を有し、接続領域(30)において前記溶接ウェブが網目状に分配され、若しくは前記溶接ピン(34、86、88)が、点状に行及び列に設けられ、
並びに/又は
前記金型(46)に前記可塑化されたプラスチックを導入する場合に、前記プラスチック壁(4、84)との形状結合的接続(68、94)を形成するために、少なくとも1つの前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)が溝(36)、アンダーカット、若しくは突出部を有することを特徴とする、請求項11又は請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)が、3つの側で前記プラスチック壁(4、84)と接続され、
端面、及び前記端面に隣接する、互いに離反した2つの横側面(31)が前記プラスチック壁(4、84)と材料結合的に接続され、
前記可塑化されたプラスチックを導入する前に、前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)が、前記金型(46)の針又はウェブ上に着座し、前記針又はウェブは、前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)内に突出するとともに、2つの側で前記横側面(31)によって囲まれ、かつ前記金型(46)の型空洞(52)に対して少なくとも部分的に境界付けされる、請求項11~請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の燃料容器(2)のための補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)であって、前記補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)がグリッパにより把持するように設定されている少なくとも1つの有底穴(116)を有することを特徴とする、補強部材(8、38、42、56、60、66、74、82、96、98)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料を貯蔵するための貯蔵容積を画定するプラスチック壁と、プラスチック壁を補強するための1つ以上の補強部材と、を備え、少なくとも1つの補強部材が、貯蔵容積から離反したプラスチック壁を有する外面と接続されている、自動車の燃料容器に関する。さらに、本発明は、この種の燃料容器を製造する方法、及び燃料容器のための補強部材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の燃料容器は、内燃機関のための燃料を確実かつ安全に貯蔵するために用いられる。最近の燃料容器は、重量上の理由から通常、プラスチックから製造されている。特に純粋な電気走行中にエミッションを不可能にするために燃料タンクが密封されるハイブリッド車では、タンク内の圧力変動にもとづいてタンク壁が大きく変形することがあり、当該壁はその基準位置から25mmまで変形し得る。しかし車両製造業者は、全体車両に燃料タンクをしまい込むのに必要な取付空間を小さく抑えるために、10mm以下の変形を追求する。貯蔵容積内にタンク壁の2つのハーフシェル間に延在する支柱としてタンク補強部材を設けることが知られている。しかしこの解決策には、内部に位置する補強部材により、燃料を貯蔵するために設けられた貯蔵容積の著しい低減を伴うという欠点がある。さらに、時々密封される燃料容器を有するハイブリッド車に適用するにはこの種の壁の補強では、最大許容変形10mm以下の要求に対処し得ないことが明らかになった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このことを背景として、本発明は、上記の欠点を有さないか、又は少なくともほとんど有さない、特に比較的少ない容積損失で確実な補強を可能にする、冒頭で述べた種類の燃料容器、及び燃料容器を製造する方法を提供するという技術的問題設定にもとづいている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様によれば、本発明は、燃料を貯蔵するための貯蔵容積を画定するプラスチック壁と、プラスチック壁を補強するための1つ以上の補強部材と、を備え、少なくとも1つの補強部材が、貯蔵容積から離反したプラスチック壁の外面と接続されている、自動車の燃料容器に関する。プラスチック壁に対して法線方向に測定される、少なくとも1つの補強部材の最大厚さがプラスチック壁の壁厚より大きい。
【0005】
補強部材によって壁構造を局所的に厚くする外側の補強は、公知の解決策と比べて少ない容積損失でプラスチック壁の確実な補強を可能にする。例えば、少なくとも1つの補強部材の最大厚さは、プラスチック壁の壁厚の少なくとも2倍、3倍、4倍、10倍、又は20倍に相当する。特に、補強部材は、10mm以上100mm以下の範囲から選択される最大厚さを有する。
【0006】
燃料容器の別の一実施形態では、プラスチック壁が、側壁の領域において周囲側を取り囲んで互いに溶接されている第1ハーフシェルと第2ハーフシェルを有し、第1ハーフシェルが容器天井を含む上シェルであり、第2ハーフシェルが容器底を含む下シェルであり、少なくとも1つの補強部材が側壁から容器天井への移行部に配置され、及び/又は少なくとも1つの補強部材が側壁から容器底への移行部に配置されていることが企図されている。
【0007】
したがって、側壁から容器底及び/又は容器天井への移行部における的確な補強を行うことができ、それにより圧力が変化した場合に、側壁の変形と容器底及び/又は容器天井の変形とを低減することができる。
【0008】
燃料容器の別の一実施形態では、少なくとも1つの補強部材が最大厚さの領域から2つの側に先細りにされ、特に実質的に三角形状又は鎌状の基本形を有する。したがって、例えば側壁から容器底及び/又は容器天井への移行部における的確な補強を形成するために、補強部材を強化アングル材のように成形することができる。燃料容器の別の一実施形態では、補強部材が少なくとも1つの先細りにされた端区分を有し、端区分は、特に20mm以下の端区分長さにわたって5mm以下の厚さを有し、特にくさび状に先細りにされている。上述の先細りは、プラスチック壁への補強部材の改善された結合を可能にする。なぜなら、負荷下でのプラスチック壁との接続領域における切欠作用又はピーク荷重を低減できるからである。
【0009】
先細りにされた端区分は、丸みを付けた形状を有し得る。これに代えて、又はこれに加えて、端区分は、端区分に隣接する中央区分と比べて幅を広げて形成された扁平部を有し得る。これに代えて、又はこれに加えて、先細りにされた端区分は、フォーク状に分岐させて形成され得る。これに代えて、又はこれに加えて、先細りにされた端区分は貫通開口を有し得る。
【0010】
燃料容器の別の実施形態は、少なくとも1つの補強部材の端面側の接続領域が少なくとも部分的に、又は完全に弓形に形成され、補強部材が接続領域においてプラスチック壁と、特に材料結合的に接続されていることを特徴とする。したがって補強部材を燃料容器の壁の形状に適合させることができる。
【0011】
特に、側壁から容器底への移行部及び/又は側壁から容器天井への移行部は、横断面視で弓形に形成され得る。それにより緩やかな、切欠作用を低減した移行部が提供され得る。特に、補強部材の端面側の接続領域を、特に隙間なしにプラスチック壁の弓形の移行部に当接することができるか、あるいはプラスチック壁のこの種の弓形の移行部と隙間なしに、及び材料結合的に接続することができる。
【0012】
燃料容器の別の実施形態では、少なくとも1つの補強部材がリブ構造体(Verrippung)を有する射出成形部品であることが企図されている。このようにすることで、比較的少ない重量で剛直な補強部材を安価に提供することができる。
【0013】
これに代えて、又はこれに加えて、少なくとも1つの補強部材が複数の溶接ピンを有し、溶接ピンが、補強部材の特に端面及び/又は端面に隣接する側面に配置されている。溶接ピンは、プラスチック壁への材料結合的接続をより良くし、かつプラスチック壁の材料と部分的に、又は完全に融合され得る。プラスチック壁との材料結合的接続を作成する前に、溶接ピンは、特にワンピースに射出成形部品として提供された補強部材の一体構成部材であり得る。
【0014】
燃料容器の別の実施形態は、少なくとも1つの補強部材が、3つの側でプラスチック壁と接続され、特に端面、及び端面に隣接する、互いに離反した2つの横側面がプラスチック壁と材料結合的に接続されていることを特徴とする。したがって補強部材は、3つの側でプラスチック壁によって囲まれ、又は包囲され得、それにより補強部材とプラスチック壁との間に確実な接続が形成されている。
【0015】
特に、3つの側の各々の領域において、補強部材とプラスチック壁との間に材料結合的接続を形成することができ、それにより端面と補強部材との間の材料結合的接続、及び横側面とプラスチック壁との間にそれぞれ材料結合的接続が形成されている。特に、横側面とプラスチック壁との材料結合的接続は継ぎ目なしに端面とプラスチック壁との材料結合的接続へ移行することができる。
【0016】
燃料容器の別の実施形態は、少なくとも1つの補強部材とプラスチック壁との間に、特にアンダーカット、溝、又はそれに類するものの領域において少なくとも1つの形状結合的接続が形成されていることを特徴とする。特に、補強部材の端面の領域において、プラスチック壁との材料結合的接続が形成され、補強部材の、端面に隣接する互いに離反した2つの横側面の領域において、それぞれプラスチック壁との材料結合的接続及び形状結合的接続が形成されていることが企図され得る。したがって補強部材をプラスチック壁に確実に組み込むことができ、プラスチック壁を構造的に強化することができる。
【0017】
燃料容器の別の一実施形態では、少なくとも1つの補強部材がHDPEを有するか、又はHDPEからなることが企図されている。HDPEなる略語は、周知のように、特に0.94g/cm~0.97g/cmの範囲の密度の「ハイ・デンジティ・ポリエチレン」を表す。したがって、特に容易に溶接可能な安価な補強部材を提供することができる。
【0018】
特に、補強部材とプラスチック壁との間に同じ種類の材料結合的接続が形成され、例えば補強部材がHDPEからなり、プラスチック壁のHDPEと溶接されている。
【0019】
これに代えて、補強部材はLDPEを有するか、又はLDPEからなり得る。LDPEなる略語は、周知のように、特に0.915g/cm~0.935g/cmの範囲の密度を有する「ロウ・デンジティ・ポリエチレン」を表す。
【0020】
これに代えて、補強部材は、繊維強化プラスチックを有し得るか、又は繊維強化プラスチックからなり得る。このために強化繊維として短繊維、長繊維、又はエンドレス繊維を使用することができる。
【0021】
例えば、ガラス繊維、アラミド繊維、又はプラスチック繊維を用いることができる。
【0022】
これに代えて、補強部材は混合素材、いわゆるブレンドを有し得るか、又は混合素材からなり得る。これは例えばPE(ポリエチレン)とPA(ポリアミド)、又はPE(ポリエチレン)とPOM(ポリオキシメチレン)からなる素材混合物であり得る。
【0023】
プラスチック壁は、1層、2層、又は多層に形成され得る。例えばプラスチック壁は、炭化水素に対する拡散バリアとしてEVOHバリア層を有することができ、このバリア層は、2つの側でHDPE層によって囲まれ、それにより3層の壁構造が生じる。これに代えて、EVOHバリア層と2つの側に配置されたHDPE層との間にそれぞれLDPE層を付着媒介層として配置することができ、それにより5層の壁構造が生じる。「LDPE」なる略語は、「ロウ・デンジティ・ポリエチレン」を表す。「EVOH」なる略語は「エチレン・ビニルアルコール・コポリマー」を表す。
【0024】
燃料容器の別の実施形態では、少なくとも1つの補強部材がプラスチック壁の凹部又は陥没部に嵌め込まれている。したがって燃料容器の取付空間への補強部材のコンパクトな一体化を行うことができる。これに代えて、又はこれに加えて、燃料容器の容器天井と容器底との間で測定される燃料容器の高さが30cm以上であることが企図され得る。したがって企図される補強は、高さが30cm以上の燃料容器についても、基準位置からの壁領域の最大変位の製造業者による基準値を満たすことを可能にする。
【0025】
プラスチック壁に複数の補強部材が設けられていることが企図され得る。プラスチック壁が、例えば2つのハーフシェルを有し、特に上シェル及び下シェルを有する限りで、複数の補強部材を上シェルに設けることができ、これに代えて、又はこれに加えて、複数の補強部材を下シェルに設けることができる。補強部材の各々は、上記のように形成され得る。
【0026】
溶接に代えて、又は加えて、補強部材はプラスチック壁と形状結合的に接続され得る。その際、アンダーカットを有する補強部材の突き出す成形部材は、形状付与熱でのプラスチック壁の形状付与中にプラスチック壁によって包囲され、及び/又はプラスチック壁に貫通し、それにより冷えた状態で、プラスチック壁と成形部材との間には、破壊なしには解除可能でない形状結合的な接続が形成される。これに代えて、又はこれに加えて、補強部材に開口部を形成することができ、プラスチック壁の形状付与中にプラスチック壁の材料がこの開口部に貫通し、後方から係合し、それにより冷えた状態で、破壊なしには解除可能でない形状結合的な接続がプラスチック壁と開口部との間に形成される。
【0027】
このようにすることで、溶接できないか、又は溶接しにくい補強部材とプラスチック壁との材料の組合せも確実に互いに接続することができる。例えば、プラスチック壁がHDPEを有することができるのに対して、補強部材は、プラスチック壁のHDPEと溶接できない、又は溶接しにくいPOM、PA、デュロマ、又はPEを有する。例えば補強部材は、衝突時にプラスチック壁が損傷される前に砕ける、例えば硬脆材料を有することができる。
【0028】
補強部材は、2部品構成型で製造することができ、材料結合的及び/又は形状結合的及び/又は力結合的に互いに接続されている少なくとも2つの異なった素材を有することができる。これは補強部材の剛性を予想される静的及び動的な運転荷重に適合させるための2つのプラスチック、又はプラスチックと金属との組合せである。
【0029】
補強部材は、コンピュータ支援によるシミュレーションによって、その重量及び/又は剛性に関して最適化され得る。
【0030】
補強部材は、1つ以上の補強リブを有し得る。
【0031】
補強部材は、遮断される1つ以上の補強リブを有すること、及び/又はリブを有していない部分領域を有することができる。第2の態様では、本発明は、
可塑化されたプラスチックを金型に導入することによって、燃料を貯蔵するための貯蔵容積を画定するプラスチック壁を製作する工程と、
プラスチック壁を補強するための1つ以上の補強部材をプラスチック壁と接続する工程であって、可塑化されたプラスチックを金型に導入する前に、少なくとも1つの補強部材が貯蔵容積から離反したプラスチック壁の外面と接続されるように、金型に補強部材が配置される、工程と、を包含する、燃料容器、厳密には本発明による燃料容器を製造する方法において、少なくとも1つの補強部材の、壁に対して法線方向に測定される最大厚さがプラスチック壁の壁厚の倍数に相当する、方法に関する。
【0032】
したがって、補強部材によって壁構造を局所的に厚くする外側の補強により、公知の解決策と比べて少ない容積損失でプラスチック壁の確実な補強が可能となる燃料容器を製造することができる。
【0033】
本発明の別の実施形態では、金型がブロー成形型であり、少なくとも1つの補強部材をブロー成形型内で膨らませる(Ueberblasen)ことによって、この補強部材がプラスチック壁と材料結合的及び/又は形状結合的に接続されることが企図されている。例えば、プラスチック壁の2つのハーフシェルを作製するためのプリフォームを、共押出成形された長手方向側で分割されるチューブ材として提供することができ、プリフォームはブロー成型形内で内圧を印加することにより成形される。1つ以上の補強部材とプラスチック壁との材料結合的接続、特に溶接は、特にプリフォームの形状付与熱で行うことができる。これに代えて、プリフォームが、内圧印加によって外側で1つ以上の補強部材と接続される共押出成形されたチューブであることが企図され得る。
【0034】
可塑化されたプラスチックを金型に導入する場合にプラスチック壁との材料結合的接続を形成するために、少なくとも1つの補強部材が端面及び/又は端面に隣接する横側面に複数の溶接ピン又は溶接ウェブを有し、接続領域において溶接ウェブが、特に網目状に分配される、又は溶接ピンが点状に行及び列に設けられることが企図され得る。
【0035】
これに代えて、又はこれに加えて、金型に可塑化されたプラスチックを導入する場合に、プラスチック壁との形状結合的接続を形成するために、少なくとも1つの補強部材が溝、アンダーカット、又は突出部を有することが企図され得る。
【0036】
少なくとも1つの補強部材が、3つの側でプラスチック壁と接続され、特に端面、及び端面に隣接する、互いに離反した2つの横側面がプラスチック壁と材料結合的に接続され、可塑化されたプラスチックを導入する前に、補強部材が、金型の針又はウェブ上に着座し、針又はウェブは、補強部材内に突出するとともに、2つの側で横側面によって囲まれ、かつ金型の型空洞に対して少なくとも部分的に境界付けされることが企図され得る。それにより、プラスチック壁への補強部材のコンパクトな一体化を達成することができる。方法の別の実施形態は、少なくとも1つの補強部材が3つの側でプラスチック壁と接続され、特に端面、及び端面に隣接する、互いに離反した2つの横側面がプラスチック壁と材料結合的に接続され、可塑化されたプラスチックを導入する前に、補強部材が2つの型挿入物間に収容され、型挿入物は、補強部材を金型の型空洞に対して少なくとも部分的に境界付けすることを特徴とする。
【0037】
好適な一実施形態では、補強部材が、金型に導入する場合に係止部材によって金型に固定されることが提案される。
【0038】
係止部材とは、金型と補強部材とを形状結合的及び/又は力結合的に接続できるように設定されている部材と解される。
【0039】
補強部材が金型への導入後に係止部材によって保持及び/又は固定され得ることが達成され得ることが有利である。
【0040】
このように提供される接続によって、補強部材は、殊に、係止部材による金型との係止後には金型内で移動し得ず、それにより製造された燃料容器の形状公差及び位置公差を有利に改善することができる。
【0041】
殊に、係止部材が押圧片として、特にばね弾性の押圧片として形成されている。ばね弾性の押圧片は、押圧体、特に球及び/又は押圧ピンに作用する内部に位置するばねを有する機械部品である。このようにして、補強部材を有利にも簡単に金型内に安定的に取り付けることができ、成形される燃料容器を成形するために補強部材を同時に再び容易に取り外すことができる。これに加えて、係止部材はクリップ構造体(Verklipsung)とも解され得る。特にその場合、特に補強部材に成形され、金型に係合するように、かつ金型と補強部材との間に形状結合的及び/又は力結合的接続を作成するように設定されているクリップ構造体が考えられる。
【0042】
これによって有利にも金型における補強部材の収容を簡素化することができ、同時に保守の必要数が少なくなるように形成することができることが達成され得る。
【0043】
これに代えて、クリップ構造体を金型内に成形することもできる。
【0044】
明確に述べておきたいのは、第2の態様の主題を本発明の上記の態様の主題と有利に組合せ可能であり、厳密には、単独で、又は任意の組合せで累積的に組み合わせることができるということである。
【0045】
明確に述べておきたいのは、本明細書中で提案される係止部材を金型内で他の用途にも用いることができるということである。第3の態様では、本発明は、燃料容器、特に本発明の第1の態様による燃料容器のための補強部材であって、グリッパによって把持するように設定されている少なくとも1つの有底穴を有する、補強部材に関する。
【0046】
特に、補強部材がグリッパによって把持するように設定されている少なくとも2つの有底穴を有することも考えられる。
【0047】
殊に、有底穴は、補強部材の、指定されて燃料容器のプラスチック壁と接触する側に配置されているように成形されている。
【0048】
換言すると、有底穴は、殊に、補強部材が金型に導入された、及び/又は係止された場合に金型のキャビティの内部に向けられるように方向合わせされている。
【0049】
したがって、グリッパは、有底穴を用いて補強部材を把持し、補強部材を金型内に導入することができる。殊に、有底穴は、グリッパと補強部材との形状結合を有利に可能にするアンダーカットを有する。
【0050】
明確に述べておきたいのは、本発明の第3の態様の主題を前述の態様の主題と有利に組合せ可能であり、厳密には単独で、又は任意の組合せで累積的に組み合わせることができるということである。以下、本発明を、実施例を示す図面をもとにして詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1図1は、本発明による燃料容器の模式図である。
図2図2は、プラスチック壁における補強部材の模式図である。
図3A図3Aは、補強部材の模式図である。
図3B図3Bは、図3Aからの補強部材の模式的背面図である。
図4図4は、別の補強部材の模式図である。
図5図5は、別の補強部材の模式図である。
図6図6は、補強部材が設置されたブロー成形金型の模式図である。
図7図7は、プラスチック壁における補強部材の模式図である。
図8図8は、補強部材の端区分の変形形態の模式図である。
図9図9は、別の補強部材の模式図である。
図10a図10aは、別の補強部材の模式図である。
図10b図10bは、図10aからの補強部材の第1の模式的断面図である。
図10c図10cは、図10aからの補強部材の第2の模式的断面図である。
図11a図11aは、補強部材とプラスチック壁との第1の接続の変形形態の模式図である。
図11b図11bは、補強部材とプラスチック壁との第2の接続の変形形態の模式図である。
図11c図11cは、補強部材とプラスチック壁との第3の接続の変形形態の模式図である。
図12図12は、補強部材の横断面形状の模式図である。
図13図13は、別の補強部材の模式的断面図である。
図14図14は、別の補強部材の模式図である。
図15図15は、別の補強部材の模式図である。
図16a図16aは、係止部材を有する金型の模式的詳細図である。
図16b図16bは、金型に固定された補強部材の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、自動車の燃料容器2を示す。燃料容器2は、燃料を貯蔵するための貯蔵容積6を画定するプラスチック壁4を有する。
【0053】
燃料容器2は、プラスチック壁4を補強するための複数の補強部材8を有する。そのうちの3つにのみ例示的に参照符号が付されている補強部材8は、プラスチック壁4の、貯蔵容積6から離反した外面10と接続されている。プラスチック壁4に対して法線方向に測定される、それぞれの補強部材8の約45mmの最大厚さD1は、プラスチック壁4の壁厚D2より大きい。
【0054】
プラスチック壁4は、第1ハーフシェル12と第2ハーフシェル14とを有する。ハーフシェル12、14は、プラスチック壁4の側壁16の領域において、溶接継ぎ目18に沿って周囲側を取り囲んで溶接されている。
【0055】
第1ハーフシェル12は、容器天井20を含む上シェルである。第2ハーフシェル14は、容器底22を含む下シェルである。複数の補強部材8が、それぞれ側壁16から容器天井20への弓形の移行部24に配置されているか、又は側壁16から容器底22への弓形の移行部26に配置されている。
【0056】
図3A及び図3Bは、図1及び図2からの補強部材8のそれぞれ正面斜視図(図3A)及び背面斜視図(図3B)を示す。
【0057】
補強部材8は、最大厚さD1の領域28から2つの側に先細りにされ、かつ実質的に鎌状又は月状の基本形を有する。補強部材8が端面側でプラスチック壁と溶接される端面側の接続領域30は弓形に形成されている。
【0058】
ここでは補強部材8が射出成形部品として形成され、リブ構造体32を有する。補強部材8の端面30には、プラスチック壁4との材料結合的接続を作成するために用いられる複数の溶接ピン34が行及び列に並べて配置されている。
【0059】
別の実施形態では、点状の溶接ピンに代えて、又はこれに加えて、材料結合的接続を作成するための網目状又は格子状のウェブ構造を設けることができる。
【0060】
図2に示されるように、補強部材は、それぞれ3つの側でプラスチック壁4と接続され、端面30、及びこれに加えて端面30に隣接する、互いに離反した2つの横側面31がプラスチック壁4と材料結合的に接続されている。
【0061】
さらに、補強部材8には、形状結合的接続を作成するために溝36が設けられている。溝36は、補強部材8の横側面31に作り込まれ、溶接ピン34と同様に射出成形法で補強部材8にワンピースに形成されている。ここでは補強部材8がHDPEからなる。
【0062】
図2から見て取れるように、補強部材8はプラスチック壁4に嵌め込まれ、それにより補強部材8は、それぞれプラスチック壁4の凹部又は陥没部に着座する。
【0063】
燃料容器2の容器天井20と容器底22との間で測定される高さH1はここでは30cmを超える。図4は、補強部材8に代えて、又はこれに加えてプラスチック壁4に設けられ得る本発明による燃料容器2のための補強部材38の一変形形態を示す。補強部材38は、横側面の領域に陥没部40が設けられ、それにより壁4に取り付けられた状態で、燃料容器2のプラスチック壁4に小突起状に形状結合的に接続されるという点で上述の補強部材8と区別される。
【0064】
この小突起状の形状結合的接続は、特に燃料容器と補強部材との間で力を受けるのに適し、それにより燃料容器を付加的に強化できるという利点を生ぜしめる。殊に、陥没部40を貫通穴として形成することができ、それにより壁4に取り付けられた状態で、燃料容器2のプラスチック壁4と形状結合的に接続される。
【0065】
特に好ましくは、陥没部40が少なくとも2つの異なった直径で成形され得る。その場合、特に、具体的には陥没部40のより大きい直径が指定されて壁4から離反した側に配置される有利な実施形態が考えられ、それによって壁4に取り付けられた状態で燃料容器2のプラスチック壁4との形状結合的接続が生じ、この実施形態は、殊に、陥没部40の直径が異なることによりアンダーカットを有している。この種のアンダーカットは、陥没部40の軸方向に特に負荷可能である。
【0066】
貫通穴として形成された陥没部40の別の利点は、これをブロー成形プロセス中に排気部(Entlueftung)として利用することができ、それにより可塑化されたプラスチックは、貫通穴として形成された陥没部40に逆圧なしに最適に入り込むことができる。
【0067】
これに代えて、プラスチック壁との形状結合的接続及び材料結合的接続を容易にするために横側面の領域に同じように溶接ピン若しくは小突起又はウェブ構造を設けることができる。
【0068】
図5は、補強部材8及び/又は38に代えて、又はこれに加えて、プラスチック壁4を補強するために本発明による液体容器2に設けることができる補強部材42の別の実施形態を示す。補強部材42は、端区分長さL1にわたって5mm以下の厚さD3を有する先細りにされた端区分44を特徴とする。端区分長さL1は約20mmである。
【0069】
補強部材38及び42は、ここでも同様にHDPEからなる。
【0070】
本発明による燃料容器を製造するために、複数の補強部材8、38及び/又は42が金型46内に配置される(図5)。
【0071】
ここでは、金型46はブロー成形型であり、それにより図示された補強部材8及び38は、ブロー成形型46内での圧力印加及びプラスチック壁4の成形時にプラスチック壁と溶接される。溶接は、ここでは圧力印加及びブロー成形型46への導入前に押出成形されたプリフォームの形状付与熱により行われる。
【0072】
補強部材8は、ここではウェブ48上に着座し、ウェブは、補強部材8の裏側の収容部50(図2を参照)内に突出し、それにより図2の図示のとおりに、補強部材8が成形されたプラスチック壁4によって3つの側で包囲され得る。したがって、ウェブ48は、補強部材8の横側面31によって2つの側で囲まれ、金型46の型空洞52に対して境界付けされる。これに対して、補強部材38(図6)は、2つの型挿入物54間に保持され、これらの型挿入物のうちの型挿入物54のみが示された図示に見て取れる。型挿入物54は、補強部材38を型空洞52に対して部分的に2つの側で囲み、それにより図7に例示的に示されたプラスチック壁4への補強部材38の組込みが生じる。
【0073】
以下に、図8を参照して、端区分44の形状付与に関する種々の変形形態が示される。変形形態a)は、当該補強部材42の隣接する中心の中央区分に対して先細りにされただけの図5に対応する端区分44を示す。
【0074】
図8は、変形形態b)において、プラスチック壁との接続領域における荷重を軽減するために丸みを有する端区分44の一形態を示す。
【0075】
図8は、変形形態c)では、付加的に幅を広げた端側の丸みを示す。
【0076】
図8は、変形形態d)において、補強部材の隣接する中央区分に対して幅を広げ、それに加えてフォーク状の端区分44の一実施形態を示す。
【0077】
図8は、変形形態e)において、貫通開口又は穴を有する端区分44を示す。
【0078】
端区分44の上記のすべての実施形態又は変形形態は、端区分と壁との接続領域におけるピーク応力を低減するために用いられる。
【0079】
図9は、本発明による補強部材56の別の変形形態の上面斜視図(図9a)及び縦断面図(図9b)を示す。
【0080】
補強部材56は、補強部材56に複数の貫通開口58が形成され、補強部材56をプラスチック壁の形状付与熱でプラスチック壁と接続した場合にプラスチック壁の材料がこれらの貫通開口を貫通し、それにより当該プラスチック壁と補強部材56との間にリベットのような接続が生じ、このリベットのような接続は、冷えた材料が補強部材56の内部空間内に延在するとともに、貫通開口58に側方で後方から係合し、それにより形状結合的な、かつ破壊なしには解除可能でない接続が形成されるという点で上記の変形形態と区別される。
【0081】
図10a、図10b、及び図10cは、2部品構成型で形成されているという点で上記の変形形態と区別される、本発明による補強部材60の別の変形形態を示す。
【0082】
したがって補強部材60は、図10b及び図10cによる断面図から見て取れるように互いに材料結合的及び形状結合的に接続されている第1のプラスチック部品62と第2のプラスチック部品64とを有する。
【0083】
図11a、図11b、及び図11cを参照して、補強部材と割り当てられたプラスチック壁との接続の仕方が示され、それぞれ図2による変形形態と同じ断面図が選択されている。
【0084】
図11aは、図2と類似に、割り当てられたプラスチック壁72との形状結合的接続68及び材料結合的接続70を有する補強部材66を示す。
【0085】
図11bは、プラスチック壁76を有する補強部材74を示し、補強部材74と割り当てられたプラスチック壁76との間に側方の材料結合的接続78及び端面側の材料結合的接続80が形成されている。
【0086】
ISA/EP 訂正書(規則91)図11cは、補強部材82と割り当てられたプラスチック壁84との間の接続の一変形形態を示し、補強部材82が、端面側に配置された溶接ピン86と、それに加えて切欠き90に配置された溶接ピン88と、を有する。
【0087】
したがって端面側に材料結合的接続92と側方に材料結合的及び形状結合的接続94が形成され得る。
【0088】
図12は、補強部材の可能な横断面形状の3つの変形形態を示し、変形形態a)及びb)はそれぞれ、それぞれ割り当てられた壁100、102によって包囲される補強部材96又は98の台形状の横断面を示す。補強部材104は、図12cでは横断面視で、実質的に矩形に形成され、かつ割り当てられた壁106によって3つの側で包囲されている。
【0089】
図13は、補強部材8の一変形形態の中心断面図を示し、補強部材8は、横方向に実質的に三角形の形状を有する。補強部材8の壁には両側に複数の溝36が配置され、これらの溝は、補強部材8と指定されて補強部材8と接続された燃料容器(図示せず)との間の形状結合的接続を可能にする。
【0090】
指定されて燃料容器と接続された壁から離反した側に、プラスチック部品64が補強部材8を補強するために設けられている。補強部材8の上面上には、同様に燃料容器(図示せず)と接続するように設定されている複数の溶接ピン34が配置されている。
【0091】
図14は、同様に長手方向に実質的に三角形の横断面を有する補強部材38を示す。補強部材は、溝36及び溶接ピン34の他に、グリッパによって把持するように設定されている2つの有底穴116も有する。
【0092】
補強部材38は、有底穴116によりグリッパ(図示せず)によって確実に把持され、位置決めされ、かつ再び離され得る。
【0093】
特に、補強部材38は、有底穴116によりグリッパ(図示せず)によって再現可能に金型(図示せず)内に位置決めされ、場合によっては固定もされ得る。
【0094】
図15は、溝36及び溶接ピン34の他に複数の陥没部40を有し、陥没部40が貫通穴として形成されている別の補強部材38を示す。
【0095】
陥没部40は、指定された燃料容器(図示せず)との形状結合的接続を可能にし、さらに排気部として適し、それにより可塑化されたプラスチックが、貫通穴として形成された陥没部40に逆圧なしに最適に入り込むことができる。図16aは、球(特に符号を付さず)として形成された押圧体(特に符号を付さず)を有する、内部に位置するばね(図示せず)の形式の係止部材110を有する金型46の詳細図を示す。
【0096】
係止部材110は、金型46内の補強部材8の簡単な、かつ正確な位置の固定を可能にする。
【0097】
図16bは、係止部材110と、この係止部材110により金型46に固定された補強部材8と、を有する金型46を示す。
【符号の説明】
【0098】
2 燃料容器
4 プラスチック壁
6 貯蔵容積
8 補強部材
10 外面
12 ハーフシェル
14 ハーフシェル
16 側壁
18 溶接継ぎ目
20 容器天井
22 容器底
24 移行部
26 移行部
28 領域
30 接続領域
32 リブ構造体
34 溶接ピン
31 横側面
36 溝
38 補強部材
40 陥没部
42 補強部材
44 端区分
46 金型
48 ウェブ
50 収容部
52 型空洞
54 型挿入物
56 補強部材
58 貫通開口部
60 補強部材
62 プラスチック部品
64 プラスチック部品
66 補強部材
68 複数の形状結合的接続
70 材料結合的接続
72 プラスチック壁
74 補強部材
76 プラスチック壁
78 複数の材料結合的接続
80 材料結合的接続
82 補強部材
84 プラスチック壁
86 複数の溶接ピン
88 複数の溶接ピン
90 切欠き
92 材料結合的接続
94 形状結合的接続
96 補強部材
98 補強部材
100 壁
102 壁
104 補強部材
106 壁 3つの側
110 係止部材
116 有底穴
H1 高さ
D1 厚さ
D2 壁厚
D3 厚さ
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8a)】
図8b)】
図8c)】
図8d)】
図8e)】
図9a)】
図9b)】
図10a
図10b
図10c
図11a
図11b
図11c
図12a)】
図12b)】
図12c)】
図13
図14
図15
図16a
図16b