(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】回動部材の連結構造及び同構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
E05C 9/04 20060101AFI20230721BHJP
E05C 21/00 20060101ALI20230721BHJP
E05B 83/30 20140101ALI20230721BHJP
B60R 7/06 20060101ALI20230721BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20230721BHJP
B29C 45/16 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
E05C9/04
E05C21/00 A
E05B83/30 A
B60R7/06 G
F16C11/04 D
F16C11/04 N
B29C45/16
(21)【出願番号】P 2021563901
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 JP2020044995
(87)【国際公開番号】W WO2021117592
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】P 2019222724
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中曽称 寿
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-102637(JP,U)
【文献】特開2007-100343(JP,A)
【文献】実開昭58-087969(JP,U)
【文献】実開昭48-059969(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
E05C 9/04,21/00
F16C 11/00-11/12
B29C 45/14,45/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料により成形された回動支持部材に、樹脂材料により成形された回動部材が、回動可能に連結された、回動部材の連結構造であって、
前記回動支持部材又は前記回動部材の一方は、支軸を有し、
前記回動支持部材又は前記回動部材の他方は、前記支軸を受入れて保持する保持部を有しており、
前記支軸は、前記保持部に対する前記支軸の軸方向の移動を規制する規制部と、前記支軸の軸方向から見て円形状をなし、前記保持部の内周に摺接する摺接部とを有しており、
前記回動支持部材及び前記回動部材は、樹脂材料による成形時に互いに接合しない材料で形成されており、
前記保持部の内周は、前記回動支持部材及び前記回動部材が連結された状態で成形されるように、前記摺接部に密接する部分が周方向に連続して形成される形状をなしており、
前記保持部は、前記支軸の軸方向から見たときに、その一部がスリットを介して切離されており、
前記保持部の、前記支軸の軸方向の一端側に第1開口が形成され、同支軸の軸方向の他端側に第2開口が形成されており、
前記スリットは、前記第1開口及び前記第2開口に連通していることを特徴とする回動部材の連結構造。
【請求項2】
前記規制部は、前記支軸の軸方向から見て円形状をなし、この規制部の外周が前記摺接部となっており、前記保持部は、その内周で前記規制部を保持して前記支軸を抜け止めする請求項1記載の回動部材の連結構造。
【請求項3】
前記規制部は球状をなしている請求項2記載の回動部材の連結構造。
【請求項4】
前記回動支持部材がロータをなし、前記回動部材がロッドをなしており、開閉部材のロック装置に適用される請求項1~
3のいずれか1つに記載の回動部材の連結構造。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1つに記載の回動部材の連結構造の製造方法であって、
前記支軸を有する、前記回動支持部材又は前記回動部材の一方を、第1射出成形金型に第1の樹脂材料を射出することによって成形する第1工程と、
前記第1工程で成形した成形品を、第2射出成形金型内に配置した状態で、前記保持部を有する、前記回動支持部材又は前記回動部材の他方を、前記第2射出成形金型に、溶融状態で前記第1の樹脂材料に接合しない第2の樹脂材料を射出して成形する第2工程とを含むことを特徴とする回動部材の連結構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動支持部材に回動部材を回動可能に連結するための、回動部材の連結構造、及び、同回動部材の連結構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のグローブボックス等の固定体に形成された開口部には、リッド等の開閉体が開閉可能に取付けられている。そして、開口部と開閉体との間には、開閉体を閉じたときにロックすると共に、開閉体を開くときにはロックを解除できるようにしたロック装置が設けられている。このロック装置としては、例えば、開閉体に回動支持されたロータと、該ロータに連結されたロッドとを有し、ロッド先端部が、固定体に形成したロック孔に係脱することで、開口部に対して開閉体を開閉可能とする構造がある。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、リッド裏側に固定されるリテーナと、該リテーナに回動可能に軸支されたロータと、該ロータに、基端部がそれぞれ連結された、一対のロッドとを有する、サイドロック装置が記載されている。また、ロータには、球状に膨出した一対の係合部が突設されている。一方、ロッドの基端部は、上方が開口した凹状をなしている。そして、ロータの球状をなした係合部を、ロッドの凹状をなした基端部に挿入することで、係合部がロッド基端部に係合して、ロータにロッド基端部が連結するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のサイドロック装置では、上述したように、ロータにロッド基端部を連結する際に、ロッドの凹状の基端部に、ロータの球状の係合部を挿入する必要となり、工数がかかる。また、ロッド基端部の内周形状を、ロータの球状形状に適合させることは難しく、ロータに連結したロッド基端部にガタ付きが生じることがあった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、回動支持部材と回動部材との連結作業を不要とすることができると共に、回動部材支持部材に対する回動部材のガタ付きを防止することができる、回動部材の連結構造、及び、回動部材の連結構造の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る回動部材の連結構造は、樹脂材料により成形された回動支持部材に、樹脂材料により成形された回動部材が、回動可能に連結されたものであって、前記回動支持部材又は前記回動部材の一方は、支軸を有し、前記回動支持部材又は前記回動部材の他方は、前記支軸を受入れて保持する保持部を有しており、前記支軸は、前記保持部に対する前記支軸の軸方向の移動を規制する規制部と、前記支軸の軸方向から見て円形状をなし、前記保持部の内周に摺接する摺接部とを有しており、前記回動支持部材及び前記回動部材は、樹脂材料による成形時に互いに接合しない材料で形成されており、前記保持部の内周は、前記回動支持部材及び前記回動部材が連結された状態で成形されるように、前記摺接部に密接する部分が周方向に連続して形成される形状をなしていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る回動部材の連結構造の製造方法は、前記支軸を有する、前記回動支持部材又は前記回動部材の一方を、第1射出成形金型に第1の樹脂材料を射出することによって成形する第1工程と、前記第1工程で成形した成形品を、第2射出成形金型内に配置した状態で、前記保持部を有する、前記回動支持部材又は前記回動部材の他方を、前記第2射出成形金型に、溶融状態で前記第1の樹脂材料に接合しない第2の樹脂材料を射出して成形する第2工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、保持部の内周は、回動支持部材及び回動部材が連結された状態で成形されるように、規制部及び摺接部に密接する部分が周方向に連続して形成される形状をなしているので、両部材が成形された状態で、保持部によって支軸を回動可能に支持することができ、回動部材と回動支持部材との連結作業が不要となる。また、保持部の内周が、支軸の摺接部に密接するので、回動支持部材に対して回動部材が回動する際の、ガタ付きを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る回動部材の連結構造の、第1実施形態を示す斜視図である。
【
図2】同連結構造を、所定部材に取付けた状態を示す斜視図である。
【
図5】(a)は同連結構造の要部拡大平面図、(b)は同連結構造の要部拡大側面図である。
【
図6】(a)は
図5(a)のA1-A1矢示線における断面図、(b)は
図5(a)のA2-A2矢示線における断面図である。
【
図7】(a)は
図5(b)のA3-A3矢示線における断面図である。
【
図8】支軸及び保持部の変形例を示しており、(a)は変形例1の拡大説明図、(b)は変形例2の拡大説明図、(c)は変形例3の拡大説明図、(d)は変形例4の拡大説明図、(e)は変形例5の拡大説明図である。
【
図9】本発明に係る回動部材の連結構造の製造方法を示しており、(a)はその第1工程の説明図、(b)は第2工程の説明図である。
【
図10】同連結構造をロック装置に適用した場合において、開閉体を閉じた状態にロックした場合の、平面説明図である。
【
図11】同連結構造をロック装置に適用した場合において、開閉体のロック状態を解除した場合の、平面説明図である。
【
図12】同連結構造をロック装置に適用した場合において、開閉体を閉じた状態にロックした場合の、正面説明図である。
【
図13】同連結構造をロック装置に適用した場合において、開閉体のロック状態を解除した場合の、正面説明図である。
【
図14】本発明に係る回動部材の連結構造の、第2実施形態を示しており、(a)はその要部拡大平面図、(b)は要部拡大側面図である。
【
図15】(a)は
図14(a)のB1-B1矢示線における断面図、(b)は
図14(a)のB2-B2矢示線における断面図である。
【
図16】(a)は
図14(b)のB3-B3矢示線における断面図である。
【
図17】本発明に係る回動部材の連結構造の、第3実施形態を示しており、(a)はその要部拡大斜視図、(b)は(a)のC-C矢視線における断面図である。
【
図18】本発明に係る回動部材の連結構造の、第4実施形態を示しており、(a)はその要部拡大斜視図、(b)は(a)のD-D矢視線における断面図である。
【
図19】本発明に係る回動部材の連結構造の、第5実施形態を示しており、(a)はその要部拡大斜視図、(b)は(a)のH-H矢視線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1~13を参照して、本発明に係る回動部材の連結構造の、第1実施形態について説明する。
【0012】
図1に示すように、この回動部材の連結構造(以下、単に「連結構造」ともいう)は、樹脂材料により成形される回動支持部材10に、樹脂材料により成形される回動部材30を、回動可能に連結するためのものである。なお、回動支持部材10及び回動部材30は、樹脂材料による成形時に互いに接合しない材料で形成されている。
【0013】
この連結構造は、例えば、
図10に示すような、開閉体のロック装置(以下、単に「ロック装置」ともいう)に適用することができる。なお、連結構造は、ロック装置以外にも、例えば、ダンパー装置にも適用することができる(これについては、後述の実施形態で説明する)。
【0014】
また、上記のロック装置は、例えば、車両のインストルメントパネル等の固定体1の開口部1aに開閉可能に取付けられる、グローブボックス等の開閉体3を、開閉ロックするために用いられるものである。なお、
図10や
図12に示すように、固定体1の開口部1aの幅方向両側には、孔状をなした一対のロック部1b,1bが形成されている。
【0015】
この実施形態の連結構造においては、回動支持部材10が、上記ロック装置におけるロータをなしており、回動部材30が、上記ロック装置におけるロッドをなしている。この実施形態では、一対の回動部材30,30を有している。
【0016】
図10や
図11に示すように、ロッドをなす一対の回動部材30,30は、開閉体3に対してスライド可能に配置され、操作部材60を介して動作して、ロック部1b,1bに係脱するようになっている。一方、ロータをなす回動支持部材10は、ロッドをなす一対の回動部材30,30のスライド動作を連動させるために、一対の回動部材30,30どうしを連結するものである。
【0017】
更にロック装置においては、ロッドをなす一対の回動部材30,30を、ロック部1b,1bに係合する方向に付勢する、付勢バネ9を有している(
図1参照)。この付勢バネ9はトーションバネとなっており、巻回部9aと、この巻回部9aから延出した一対のアーム部9b,9bとからなる。
【0018】
また、前記操作部材60は、ロッドをなす一対の回動部材30,30を、ロック部1b,1bから係合解除する方向にスライドさせるものである。
図10~13に示すように、この操作部材60は、その裏側にレバー63が突設されていると共に、開閉体3の取付孔3aに取付けられたベース部材61に対して、近接離反するように構成されている。
【0019】
また、
図1や
図10に示すように、開閉体3の内面3bからは、回動支持部材10を回動支持するための、支持部5が突設されている。
図1を参照すると、この支持部5は、正面側が開口したドッグハウスのような箱型状をなしており、その天井面に円形孔状の支持孔5aが形成されている。この支持部5に隣接した位置には、バネ係止壁7が立設している。このバネ係止壁7には、係止溝7aが形成されており、この係止溝7aに、付勢バネ9の一方のアーム部9bが係止される。
【0020】
そして、この連結構造においては、回動支持部材10が支軸20を有しており、回動部材30が支軸20を受入れて保持する保持部50を有している(
図4参照)。
【0021】
図1や
図4に示すように、前記回動支持部材10は、略ひし形状をなした本体11と、この本体11の裏側中央から突設した略筒状の軸部13と、本体11の表側中央から突設した略筒状のバネ装着部15と、本体11の表側であって、長手方向両端から突設したバネ係止片17,17とを有している。また、軸部13の外周には、コ字状スリット19aを介して、撓み可能な係合片19,19が形成されている。
【0022】
上記の「表側」とは、車両等の固定体の開口部から、開閉体が開く方向に位置する面を意味する。また、「表面側」も同様の意味である。なお、回動支持部材の場合は、回動部材との対向面とは反対側ともいえる。更に、「裏側」又は「裏面側」とは、前記「表側」又は「表面側」とは反対側の面、すなわち、開閉体が閉じる方向に位置する面を意味する。なお、回動支持部材の場合は、回動部材との対向面側ともいえる。また、「表側」、「表面側」、「裏側」、「裏面側」は、以下で説明する他の部材(回動部材30等)においても、同様の意味である。
【0023】
更に、本体11の裏側であって、その長手方向両端から、支軸20がそれぞれ突設されている。また、
図5~7に示すように、支軸20は、保持部50に対する支軸20の軸方向の移動を規制する(保持部50から支軸20を抜け止めする)規制部25と、支軸20の軸方向から見て円形状をなし、保持部50の内周51に摺接する摺接部27とを有している
【0024】
より具体的に説明すると、この実施形態における各支軸20は、本体11の裏側から突設し、外周が円形状をなした基部21と、該基部21の突出方向先端に連設された、球状に膨出した規制部25(断面が円形状をなしている)とを有している。なお、支軸20は、前記バネ係止片17に整合する位置に設けられており、バネ係止片17に対して同軸的に設けられている。また、規制部25は、支軸20の軸方向から見て円形状をなし、この規制部25の外周が、保持部50の内周51に摺接する摺接部27となっている。更に、規制部25の外径は、基部21の外径よりも大きく形成されている。また、
図6に示すように、バネ係止片17の表側からは、抜き孔29が、本体11を通過して支軸20の規制部25の途中に至る範囲まで形成されている。
【0025】
なお、回動支軸を構成する規制部や摺接部の形状は、上記態様に限定されない。例えば、規制部を、その断面が略楕円形状や、小判状、矩形状等をなす形状として、その外周を摺接部としてもよい。また、この実施形態では、規制部の外周が摺接部をなしているが、規制部と摺接部を別々に設けてもよい。例えば、
図8(a)に示すように、支軸を一定径の軸状とし、その上端に規制部25(
図8(a)の二点鎖線参照)を設けて、保持部50の表側に配置して、保持部50から支軸20を抜け止め保持すると共に、支軸の、規制部25よりも基端側の外周を摺接部としてもよい。なお、規制部や摺接部の他形状については、保持部と併せて、
図8を参照して後述する。
【0026】
次に、回動部材30について、より具体的に説明する。
【0027】
図3に示すように、この回動部材30は、基端部31側においてクランク状に屈曲すると共に、先端側に向けて直線状に延びている。また、回動部材30の先端部33は、先端に傾斜面を設けたピン状をなしており、この先端部33がロック部1bに係脱するようになっている(
図10~13参照)。なお、この実施形態におけるロック装置では、一対の回動部材30,30を有しているが、両者とも同一の形状となっている。更に、回動部材30の先端側には、四角枠状をなし、操作部材60のレバー63が挿入される、枠状部35が設けられている。また、回動部材30の基端部31に前記保持部50が設けられている。
【0028】
また、
図1や
図4に示すように、回動部材30の表面37(回動支持部材10との対向面)及び裏面39(回動支持部材10との対向面とは反対面)であって、幅方向の両側縁部には、回動部材30の延出形状に沿って延びる、延出リブ41,41が設けられている。更に
図2に示すように、回動部材30の表面37側であって、前記保持部50の外周縁部には、前記延出リブ41,41どうしを連結する、円弧状リブ43が設けられている。
【0029】
そして、この連結構造においては、
図6(a),(b)や、
図7、
図9(b)に示すように、保持部50の内周51は、回動支持部材10及び回動部材30が連結された状態で成形されるように、摺接部27に密接する部分が周方向に連続して形成される形状をなしている。なお、保持部50の内周51は、回動支持部材10及び回動部材30が樹脂材料により成形された状態で、支軸20の摺接部27に密接して囲む形状をなしている、ともいえる。すなわち、この連結構造では、従来の特許文献1のサイドロック装置のように、ロッドの凹状の基端部に、ロータの球状の係合部を挿入することで、ロータにロッド基端部を連結するのではなく、回動支持部材10及び回動部材30が樹脂材料により成形された状態で、支軸20の摺接部27に保持部50の内周51が密接する部分を有し、その部分が周方向に連続して摺接部27を囲む形状となっており、回動支持部材10及び回動部材30が予め連結された状態となる構造を採用している。
【0030】
なお、この実施形態における保持部50の内周51は、
図6に示すように、回動支持部材10及び回動部材30が連結された状態で成形されるように、規制部25及び摺接部27に密接する部分が周方向に連続して形成される形状をなしている(後述する
図8(a)~(e)に示す支軸及び保持部の変形例1~5においても、保持部内周は、規制部及び摺接部に密接して周方向に連続して形成されている)。一方、
図8(a)の二点鎖線で示す、保持部50の表側に規制部25が配置されている場合は、保持部50の表側周縁部が、規制部25の裏側周縁部に密接して周方向に連続して形成されている。
【0031】
図4~7に示すように、上記の保持部50は、回動部材30の表面37側及び裏面39側が開口すると共に、側方がスリット55に連通した構成となっている。また、
図6(a),(b)に示すように、保持部50の内周51は、支軸20の球状をなした規制部25の外周に設けた摺接部27に適合するように、球面状をなすように凹んだ曲面形状となっていると共に、周方向に連続した形状(ここでは後述するスリット55を除く周方向全域が連続した形状)となっている。より具体的には、この保持部50の内周51は、その中央部52が最も拡径し、表側周縁部53及び裏側周縁部54に向けて、曲面を描きつつ次第に窄まる形状となっている(
図5参照)。
【0032】
また、この実施形態における保持部50は、その内周51で、支軸20の規制部25を受入れて保持し、支軸20を保持部50から抜け止めするようになっている。すなわち、保持部50の内周51の最小内径(表側周縁部53や裏側周縁部54の内径)は、支軸20の規制部25の最大外径(摺接部27の外径ともいえる)よりも小さく形成されている。そのため、保持部50から支軸20が抜け外れようとしても、保持部50の内周51の表側周縁部53や裏側周縁部54が、支軸20の摺接部27を囲んで抑えつけるので、保持部50からの支軸20の抜け止めが図られて、保持部50に対する支軸20の軸方向移動が規制されるようになっている。
【0033】
また、
図7に示すように、保持部50の内周51は、回動部材30の基端部31の幅方向中央部に形成された前記スリット55を介して切離している。なお、このスリット55の開口幅も、支軸20の規制部25の外径よりも小さく形成されている。また、
図4に示すように、スリット55は、回動部材30の裏側から表側にかけて、一定幅で延びている。なお、このスリット55の開口幅は、支軸20の規制部25の外径よりも小さく形成されているので、スリット55から支軸20が抜け出ることもない。
【0034】
そして、この実施形態における保持部50の内周51は、
図7に示すように、支軸20の軸方向から見たときに、その一部にスリット55が形成されているものの、このスリット55を除く全域に亘って、摺接部27に密接するようになっている。すなわち、保持部50の内周51の全部が、摺接部27に密接可能となるように周方向に連続して形成されており、保持部50の内周51が摺接部27に面接触している。
【0035】
このように、保持部50の内周51が、支軸20の摺接部27に密接するように周方向に連続して形成されていることで、保持部50の内周51で支軸20が摺動可能となり、保持部50によって、支軸20が回動可能に支持される。なお、この実施形態では、支軸20の規制部25が球状をなし、その外周が摺接部27をなしており、保持部50の内周51が、これに適合する球状の凹状曲面をなしているので、回動部材30は、
図4の矢印F1に示すように、支軸20の軸心回りに360°回動可能であると共に、
図4の矢印F2に示すように、回動支持部材10に対して近接離反する方向に回動可能となり、フレキシブルな回動性能が確保されるようになっている。
【0036】
なお、この連結構造においては、保持部50の内周51が、支軸20の摺接部27に密接するように周方向に連続して形成されているが、この場合であっても、回動支持部材10に対する回動部材30の回動を妨げるものではない。すなわち、回動支持部材10及び回動部材30は、樹脂材料による成形時に互いに接合しない材料で形成されているので、回動支持部材10及び回動部材30が樹脂材料により成形された状態であっても、保持部50の内周51が、支軸20の摺接部27に固着してしまうことはなく、回動支持部材10に対する回動部材30の自由な回動動作が保持されるようになっている。
【0037】
また、
図4や
図6(b)に示すように、保持部50の裏面39側であって、保持部50の、前記スリット55とは反対側の外周縁部には、押え壁部57が設けられている。この押え壁部57は、
図5(a)に示すように、支軸20の軸方向から見て略円弧状をなして、その幅方向両側が前記延出リブ41,41に連結されると共に、
図4に示すように、回動部材30の裏面39から保持部50の外周縁部に向けて、曲面を描きつつ次第に膨出するような山形状をなしている。
図6(b)に示すように、この押え壁部57は、回動部材30に矢印Gに示す方向に荷重が作用したとき、その荷重を受け止めて、保持部50の内周51を支軸20の摺接部27に密接した状態に維持して、支軸20のガタ付きを抑制する。
【0038】
なお、支軸や保持部の形状や構造は、上記態様に限定されるものではなく、保持部の内周は、回動支持部材10及び回動部材30が連結された状態で成形されるように、摺接部27に密接する部分が周方向に連続して形成される形状をなしていればよく、例えば、
図8に示すような変形例とすることもできる。
【0039】
図8(a)には、支軸及び保持部の変形例1が示されている。この変形例1における支軸20Aは、円柱状の基部21と、この基部21の一端に連設した所定厚さの円盤状をなした規制部25Aと、該規制部25Aの先端から、基部21に対して同軸状に突設した先端部26とからなる。一方、保持部50Aの内周51は、支軸20Aの外周形状に適合した形状をなしており、基部21の下方部分を除く部分を密接し且つ周方向に連続して囲む形状となっている。すなわち、支軸20Aのうち、基部21の上方部分の外周、規制部25Aの外周、及び先端部24の外周が、支軸20の摺接部27をなしている。
【0040】
図8(b)には、支軸及び保持部の変形例2が示されている。この変形例2における支軸20Bは、円柱状の基部21と、この基部21の一端に連設した所定厚さの円盤状をなした規制部25Bとからなる。一方、保持部50Bの内周51は、支軸20Bの外周形状に適合した形状をなしており、基部21の下方部分を除く部分を密接し且つ周方向に連続して囲む形状となっている。すなわち、支軸20Bのうち、基部21の上方部分の外周及び規制部25Bの外周が摺接部27をなしている。
【0041】
図8(c)には、支軸及び保持部の変形例3が示されている。この変形例3における支軸20Cは、円柱状の基部21と、この基部21の一端に連設した、断面略六角形状をなした規制部25Cとからなる。一方、保持部50Cの内周51は、支軸20Cの外周形状に適合した形状をなしており、基部21や規制部25Cの下方部分を除く部分を密接し且つ周方向に連続して囲む形状となっている。すなわち、支軸20Cの規制部25Cのうち、保持部50Cの内周51に保持される部分が、摺接部27をなしている。
【0042】
図8(d)には、支軸及び保持部の変形例4が示されている。この変形例4における支軸20Dは、円柱状の基部21と、この基部21の一端に連設した、上底が幅広で下底が幅狭の断面略台形状をなした規制部25Dとからなる。一方、保持部50Dの内周51は、支軸20Dの外周形状に適合した形状をなしており、基部21や規制部25Dの下方部分を除く部分を密接し且つ周方向に連続して囲む形状となっている。すなわち、支軸20Dの規制部25Dのうち、保持部50Dの内周51に保持される部分が、摺接部27をなしている。
【0043】
図8(e)には、支軸及び保持部の変形例5が示されている。この変形例5における支軸20Eは、円柱状の基部21と、この基部21の一端に連設し、その外周が、軸方向中央部が膨出し軸方向上方及び下方が次第に窄まる曲面状をなし、上端が平坦面状をなした、規制部25Eとからなる。一方、保持部50Eの内周51は、支軸20Eの外周形状に適合した形状をなしており、基部21や規制部25Eの下方部分を除く部分を密接し且つ周方向に連続して囲む形状となっている。すなわち、支軸20Eの規制部25Eのうち、保持部50Eの内周51に保持される部分が、摺接部27をなしている。
【0044】
なお、上記実施形態及び各変形例においては、保持部の内周の全部が、支軸の摺接部に密接可能となっているが、保持部の内周は、支軸の摺接部に部分的に密接しているだけでもよい。ただし、その場合でも、保持部の内周の所定範囲が、支軸の摺接部に面接触するようになっている。
【0045】
上述したように、この連結構造においては、回動支持部材10及び回動部材30が樹脂材料により成形された状態で、保持部50の内周51が、支軸20の摺接部27に密接して囲む周方向に連続して形状となっており、保持部50から支軸20を抜け止め保持して、回動支持部材10及び一対の回動部材30,30が予め連結されて一体化するようになっている。
【0046】
また、この連結構造においては、
図3に示すように、成形時の型枠のスペースの関係で、ロッドをなす一対の回動部材30,30が並列した状態で成形されるようになっている。そのため、回動支持部材10及び一対の回動部材30,30が一体化したアッセンブリ体を、開閉体3に組付ける際には、
図1に示すように、一方の回動部材30の先端部33が、他方の回動部材30から離反するように、一方の回動部材30が回動させる。その後、
図1に示すように、回動支持部材10の軸部13を、支持部5の支持孔5aに挿入することで、回動支持部材10の係合片19,19が支持孔5aの裏側周縁に係止して、支持部5に対して回動支持部材10が回転可能に支持されると共に、抜け止め保持される(
図2参照)。その結果、回動支持部材10が所定方向に回動することで、同回動支持部材10を介して、一対の回動部材30,30が同期してスライドするようになっている。
【0047】
また、回動支持部材10のバネ装着部15を、付勢バネ9の巻回部9a内に挿入することで、付勢バネ9が回動支持部材10に装着される。そして、付勢バネ9の他方のアーム部9bを、回動支持部材10の一方のバネ係止片17に係止させることで、
図12の矢印E1方向に示すように、回動支持部材10が回転付勢され、それによって一対の回動部材30,30の先端部33,33が、一対のロック部1b,1bに係合する方向(
図12の矢印E2方向)に付勢されるようになっている。
【0048】
また、操作部材60に設けたレバー63は、
図10や
図12に示すように、一方の回動部材30の枠状部35内に入り込むようになっている。そのため、
図11に示すように、操作部材60の一端をベース部材61から離反する方向に回動させることによって、レバー63が、前記枠状部35内面を押圧して、
図13に示すように、付勢バネ9に起因する付勢力に抗して、一方の回動部材30の先端部33をロック部1bから係合しない方向に引き込むと共に、それと連動(同期)して、回動支持部材10を介して、他方の回動部材30の先端部33を、ロック部1bから係合しない方向に引き込むことができ、それによって、固定体1の開口部1aを閉じた開閉体3のロック状態を解除可能となっている。
【0049】
また、上記実施形態では、回動支持部材10に支軸20を設け、回動部材30に保持部50を設けたが、回動支持部材側に保持部を設け、回動部材側に支軸を設けてもよい(これについては、後述の実施形態で説明する)。
【0050】
なお、以上説明した回動支持部材としては、例えば、ポリプロピレン(PP)や、ポリブチレンテレフタート(PBT)、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリアセタール(POM)等の樹脂材料で成形することができる。一方、回動部材としては、例えば、ナイロン等のポリアミド系樹脂や、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタート(PBT)等の樹脂材料で形成することができる。なお、回動支持部材及び回動部材は、異材質であることが好ましい。いずれにしても、回動支持部材及び回動部材は、樹脂材料による成形時に互いに接合しない材料で形成されていることが必要である。なお、回動支持部材を構成する各部分(本体、支軸、規制部、摺接部等)は全て一体形成されており、また、回動部材を構成する各部分(基端部、先端部、枠状部、保持部等)も全て一体形成されている。
【0051】
次に、本発明に係る回動部材の連結構造の製造方法について説明する。
【0052】
この回動部材の連結構造の製造方法(以下、単に「製造方法」ともいう)は、上記の回動部材の連結構造を前提としたうえで、支軸を有する、回動支持部材又は回動部材の一方を、第1射出成形金型に第1の樹脂材料を射出することによって成形する第1工程と、第1工程で成形した成形品を、第2射出成形金型内に配置した状態で、保持部を有する、回動支持部材又は回動部材の他方を、第2射出成形金型に、溶融状態で前記第1の樹脂材料に接合しない第2の樹脂材料を射出して成形する第2工程とを含むものとなっている。
【0053】
なお、第1の樹脂材料及び第2の樹脂材料は、回動支持部材や回動部材の材料として挙げた、ポリプロピレン(PP)や、ポリブチレンテレフタート(PBT)、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール(POM)等であるが、少なくとも、第2の樹脂材料は、その溶融状態において、第1の樹脂材料とは接合しないものとなっている。
【0054】
この実施形態における製造方法では、前記第1工程に、
図9(a)に示す第1射出成形金型100が用いられ、前記第2工程に、
図9(b)に示す第2射出成形金型200が用いられる。また、この実施形態では、第1射出成形金型100により、回動支持部材10(第1成形品)が成形され、第2射出成形金型200により、回動部材30(第2成形品)が成形されるようになっている
【0055】
上記の第1射出成形金型100は、第1型110と、該第1型110に対向配置された第2型120とからなる。なお、第1型110と、第2型120との間が、両型110,120が互いに当接すると共に離反可能なる、いわゆるパーティングラインPL(以下、単に「PL」という)となっている。
【0056】
前記第1型110は、主として、回動支持部材10のバネ係止片17等を成形するための外枠111と、該外枠111の内側に配置されて、主として、回動支持部材10の本体11やバネ装着部15等を成形するための内枠113と、抜き孔29を成形するためのピン115とを有している。内枠113及びピン115は、PLに直交する方向に移動可能とされ、外枠111は、紙面手前側から奥側に向かう方向に移動可能となっている。
【0057】
一方、前記第2型120は、主として、回動支持部材10の支軸20等を成形するための外枠121と、該外枠121の内側に配置されて、主として、回動支持部材10の軸部13等を成形するための内枠123とを有している。内枠123は、PLに直交する方向に移動可能とされ、外枠121は、紙面手前側から奥側に向かう方向に移動可能となっている。
【0058】
また、上記の第2射出成形金型200は、第1射出成形金型100と共通の第1型110と、該第1型110に対向配置された第3型210とからなる。第3型210は、基部221と、この基部221の中央から第1型110に向けて垂設した垂設部223とを有する外枠220と、垂設部223の両側に配置される内枠230とを有している。外枠220の垂設部223は、回動支持部材10の軸部13等の外周に配置される。また、外枠220の基部221は、回動部材30の保持部50を含む、厚さ方向の略半分を成形する。この外枠220はPLに直交する方向に移動可能となっている。一方、内枠230は、回動部材30の保持部50を含む、厚さ方向の残部を成形するものであり、紙面手前側から奥側に向かう方向に移動可能となっている。
【0059】
そして、
図9(a)に示すように、第1射出成形金型100の第1型110と第2型120とを閉じる。すると、その内部に第1成形品(ここでは回動支持部材10)の成形用のキャビティが形成される。このキャビティ内に第1の樹脂材料を射出することによって、第1成形品が成形される(第1工程)。その後、第1型110に対して第2型120が開いて、その外枠121及び内枠123が適宜移動することで、第2型120から第1成形品が抜型される。その結果、第1成形品は、第1型110にセットされたままの状態となる。
【0060】
次いで、
図9(b)に示すように、第1型110に第1成形品をセットしたままの状態で、第1型110に対して第2射出成形金型200の第3型210を閉じる。すると、その内部に第2成形品(ここでは回動部材30)の成形用のキャビティが形成される。このキャビティ内に第2の樹脂材料を射出することによって、第2成形品が成形される(第2工程)。この際、
図9(b)に示すように、保持部50の内周51が、支軸20の摺接部27に密接して周方向に連続するように、回動部材30が成形される。その後、第1型110に対して第3型210が開いて、その外枠220及び内枠230が適宜移動することで、第3型210から第1成形品及び第2成形品が抜型される。更に、第1型110の外枠111、内枠113、ピン115が適宜移動することで、第1型110から第1成形品及び第2成形品が抜型される。その結果、
図3に示すような、回動支持部材10及び一対の回動部材30,30が予め一体化されたアッセンブリ体が製造されるようになっている。
【0061】
上記のように、この実施形態では、全部又は一部が共通する(ここでは第1型110が共通している)射出成形金型によって、2つの成形品(回動支持部材10及び回動部材30)を射出成形する、いわゆる二色成形を採用している。
【0062】
また、上記実施形態では、支軸20を有する回動支持部材10を成形した後、保持部50を有する回動部材30を成形するようにしたが、支軸が回動部材に形成され、保持部が回動支持部材に形成されている場合には、まず、支軸を有する回動部材を成形し、その後、保持部を有する回動支持部材を成形することとなる。
【0063】
なお、この実施形態の製造方法では、上記のように二色成形を採用したが、周知のインサート成形を採用してもよい。すなわち、例えば、第1射出成形金型で回動持部材を成形した後、この回動支持部材を、第1射出成形金型とは共通する部分がない全く別の、第2射出成形金型にセットし、その後、第2射出成形金型で回動部材を成形してもよい。
【0064】
次に、上記構成からなる回動部材の連結構造、及び、回動部材の連結構造の製造方法の、作用効果について説明する。
【0065】
すなわち、この連結構造においては、
図6(a),(b)や、
図7、
図9(b)に示すように、保持部50の内周51は、回動支持部材10及び回動部材30が連結された状態で成形されるように、摺接部27に密接する部分が周方向に連続して形成される形状をなしている。そのため、両部材10,30が成形された状態で、保持部50によって支軸20を回動可能に支持することができるので、回動部材30と回動支持部材10との連結作業を不要とすることができる。また、保持部50の内周51が、支軸20の摺接部27に密接するので、回動支持部材10に対して回動部材30が回動する際の、ガタ付きを防止することができる。
【0066】
また、
図7に示すように、この実施形態においては、規制部25は、支軸20の軸方向から見て円形状をなし、この規制部25の外周が、保持部50の内周51に摺接する摺接部27となっており、更に
図6に示すように、保持部50は、その内周51で規制部25を保持して支軸20を抜け止めするように構成されている。すなわち、規制部25の外周が摺接部27をなし、該規制部25を、保持部50の内周51が受入れて抜け止め保持するので、支軸20の軸方向高さを短くしてコンパクト化を図ることができる。また、規制部25も軸方向から見て円形状をなし、その外周の摺接部27が保持部50の内周51に密接するので、支軸20の摺接面積を大きく確保することができ、回動部材30の回動時のガタ付きをより確実に防止することができる。
【0067】
更に、この実施形態においては、支軸20の規制部25は球状をなしているので、回動部材30を自由な方向、例えば、
図4の矢印F1に示すように、支軸20の軸心回りに360°回動させたり、或いは、
図4の矢印F2に示すように、回動支持部材10に対して近接離反可能に回動させることができ、フレキシブルに回動させることができる。
【0068】
また、この実施形態においては、
図7に示すように、保持部50は、支軸20の軸方向から見たときに、その一部が切離されている。そのため、保持部を形成した側の部材(ここでは回動部材30)が成形後に収縮したときの、保持部50の内周51による、支軸20の摺接部27の締め付けを緩和することができる。その結果、回動支持部材10に対して回動部材30が回動する際に、支軸20の摺接部27と保持部50の内周51との摩擦力を抑えることができ、回動部材30をガタ付きを防止しつつフレキシブルに回動させることができる。
【0069】
更に、この実施形態においては、回動支持部材10がロータをなし、回動部材30がロッドをなしており、開閉部材のロック装置に適用されるようになっている。すなわち、回動部材の連結構造をロック装置に適用した場合に、ロータに対するロッドのガタ付きをが防止することができる。
【0070】
なお、本発明の連結構造を適用したロック装置においては、固定体1の開口部1aから開閉体3が開いた状態から、開閉体3を閉じると、一対の回動部材30,30の先端部33,33が、固定体1のロック部1b,1bに係合して、
図10や
図12に示すように、開閉体3が閉じた状態にロックされる。この状態から、
図11に示すように、操作部材60の一端をベース部材61から離反する方向に回動させると、
図13に示すように、一対の回動部材30,30の先端部33,33を、回動支持部材10の回転付勢力に抗して、ロック部1b,1bから係合しない方向に引き込むので、開閉体3のロック状態が解除されて、固定体1の開口部1aら開閉体3を開くことができる。
【0071】
また、回動部材の連結構造の製造方法においては、上述したように、支軸20を有する、回動支持部材又は回動部材の一方(ここでは回動支持部材10)を、第1射出成形金型100に第1の樹脂材料を射出することによって成形する第1工程と、第1工程で成形した成形品を、第2射出成形金型200内に配置した状態で、保持部50を有する、回動支持部材又は回動部材の他方(ここでは回動部材30)を、第2射出成形金型200に、溶融状態で前記第1の樹脂材料に接合しない第2の樹脂材料を射出して成形する第2工程とを含むものとなっている。
【0072】
そのため、上記の第1工程及び第2工程によって、
図9(b)に示すように、保持部50の内周51が支軸20の摺接部27に密接する部分を有し、その部分が周方向に連続して摺接部27を囲む形状となるように、回動部材30を成形することができる。その結果、両部材10,30が成形された状態で、保持部50によって支軸20を回動可能に支持可能となり、回動部材30と回動支持部材10との連結作業を不要とすることができると共に、保持部50の内周51が、支軸20の摺接部27に密接するため、回動支持部材10に対して回動部材30が回動する際の、ガタ付きを防止することができる。
【0073】
図14~16には、本発明に係る回動部材の連結構造の、第2実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0074】
この実施形態の回動部材の連結構造は、回動部材の形状が前記実施形態と異なっている。すなわち、
図16に示すように、この実施形態における回動部材30を構成する保持部50Fの内周51は、支軸20の軸方向から見たときに、支軸20の摺接部27の全周を囲むように形成されている(支軸20の摺接部27の全周を囲むように周方向に連続して形成されている)。回動部材30における保持部50Fの内周51は、前記実施形態のようにスリット55を介して切離した構成とはなっていない。
【0075】
そして、この実施形態においては、保持部50Fの内周51は、支軸20の軸方向から見たときに、支軸20の摺接部27の全周を囲むように形成されているので、保持部50Fを形成した側の部材(ここでは回動部材30)が成形後に収縮すると、保持部50Fの内周51が、支軸20の摺接部27を締め付けるように圧接する。その結果、回動支持部材10に対して回動部材30が回動する際に、支軸20の摺接部27と保持部50Fの内周51との摩擦力を高くして、回動部材30の回動トルクを向上させることができ、制動用部材として用いることが可能となる。なお、制動用部材として用いる態様としては、後述する第5実施形態でも説明する。
【0076】
図17には、本発明に係る回動部材の連結構造の、第3実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0077】
この実施形態の回動部材の連結構造は、回動支持部材10Gに保持部50を設け、回動部材30Gに支軸20を設けた構成となっている。
【0078】
具体的には、回動支持部材10Gの、略ひし形状をなした本体11の、長手方向両端部に、保持部50がそれぞれ形成されている。また、保持部50の内周51は、その周方向の一部(本体11の長手方向両端部の最外周部)がスリット55を介して切離されている。一方、回動部材30Gの基端部31の表面37側から、球状に膨出した規制部25を設けた支軸20が突設されている。なお、前述した実施形態と同様に、保持部50の内周51は、保持部50の内周51は、回動支持部材10G及び回動部材30Gが連結された状態で成形されるように、摺接部27に密接する部分が周方向に連続して形成されて、摺接部27を囲む形状をなしている。
【0079】
図18には、本発明に係る回動部材の連結構造の、第4実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0080】
この実施形態の回動部材の連結構造は、前記第3実施形態と同様に、回動支持部材10Hに保持部50を設け、回動部材30Hに支軸20を設けた構成となっている。ただし、保持部50の内周51は、支軸20の軸方向から見たときに、支軸20の摺接部27の全周を囲むように形成されている。なお、前述した実施形態と同様に、保持部50の内周51は、回動支持部材10H及び回動部材30Hが連結された状態で成形されるように、摺接部27に密接する部分が周方向に連続して形成されて、摺接部27を囲む形状をなしている。
【0081】
図19には、本発明に係る回動部材の連結構造の、第5実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0082】
この実施形態の回動部材の連結構造は、上記第1~第4実施形態とは適用箇所が異なっている。すなわち、この実施形態の連結構造は、例えば、車両の運転席と助手席との間に配置されたコンソールリッドの制動用部材(フリーストップ用)として用いることができる。
【0083】
図19に示すように、この実施形態の回動支持部材10Jは、円板状のフランジ部12と、該フランジ部12の裏側中央から所定長さで突出した円筒状の支軸20Jとを有している。また、
図19(b)に示すように、支軸20Jは、その基端部が拡径し、先端部側が縮径すると共に、最先端に円環突状をなした規制部25Jが設けられている。また、支軸20Jの外周であって、拡径した基端部と、規制部25Jとの間の部分が、摺接部27をなしている。なお、支軸20Jの基端部外周には、突状をなした一対の係合突部16,16が設けられており、図示しないコンソールリッドを開閉支持する部材に係合するようになっている。
【0084】
一方、回動部材30Jは略円筒状をなしており、その外周に、突状をなした一対の係合突部32,32が突設されている。これらの係合突部32,32が、図示しないコンソールリッドに係合するようになっている。また、回動部材30Jの保持部50内には、前記支軸20Jが保持されており、かつ、保持部50の表側周縁に前記規制部25Jが配置されて、支軸20Jが抜け止め保持されている。また、保持部50の内周51は、回動支持部材10J及び回動部材30Jが連結された状態で成形されるように、摺接部27に密接する部分が周方向に連続して形成されて、摺接部27を囲む形状をなしている。
【0085】
この実施形態においては、保持部50の内周51は、支軸20Jの軸方向から見たときに、支軸20Jの摺接部27の全周を囲むように形成されているので、支軸20Jの摺接部27と保持部50の内周51との摩擦力を高くして、回動部材30Jの回動トルクを向上させることができる。その結果、上記のような比較的重量のあるコンソールリッドの、制動用部材として用いることができる。
【0086】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
10,10G,10H 回動支持部材
20,20A,20B,20C,20D,20E,20J 支軸
25,25A,25B,25C,25D,25E,25J 規制部
27 摺接部
30,30F,30G,30H,30J 回動部材
50,50F 保持部
51 内周
60 操作部材
61 ベース部材
63 レバー
100 射出成形金型