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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】導波管フィルタ
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/207 20060101AFI20230721BHJP
【FI】
H01P1/207
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022512799
(86)(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-25
(86)【国際出願番号】 KR2020008077
(87)【国際公開番号】W WO2021040212
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0107581
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0072750
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ホ シン
(72)【発明者】
【氏名】クウォン ウォン リー
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0072169(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1756124(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第110137638(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0134830(KR,A)
【文献】中国実用新案第201038288(CN,Y)
【文献】中国特許出願公開第101719578(CN,A)
【文献】特表2014-521278(JP,A)
【文献】特開2010-258893(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2004-0043447(KR,A)
【文献】特開2010-226469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の共振ブロックが備えられたフィルタハウジングと、
前記フィルタハウジングに備えられた共振ブロックそれぞれに形成された複数の共振器ポストによって備えられる複数の共振器と、
前記複数の共振器ポストのうち、前記フィルタハウジングの一面部および他面部に相互反転するように備えられた2個の共振器ポストをカップリングさせるために相互連結させるように前記フィルタハウジングに備えられた共振器トンネルとを含む、導波管フィルタ。
【請求項2】
前記共振器トンネルによって連結される前記2個の共振器ポストは、隣接カップリング可能に相互反転して配置された、請求項1に記載の導波管フィルタ。
【請求項3】
前記共振器トンネルによって連結される前記2個の共振器ポストは、クロスカップリング可能に相互反転して配置された、請求項1に記載の導波管フィルタ。
【請求項4】
前記共振器トンネルは、
前記フィルタハウジングの内部に幅方向または長手方向に貫通して前記複数の共振器ポストのうちの少なくとも2個の共振器ポストを相互連結させる共振器水平トンネルを含む、請求項1に記載の導波管フィルタ。
【請求項5】
前記共振器トンネルは、
前記フィルタハウジングを上下部に貫通するように備えられ、前記共振器水平トンネルと連結された共振器垂直トンネルをさらに含む、請求項4に記載の導波管フィルタ。
【請求項6】
前記共振器トンネルは、
前記共振器水平トンネルから延びて形成されかつ、前記フィルタハウジングの一面または他面方向に開口して形成された共振器延長トンネルをさらに含む、請求項5に記載の導波管フィルタ。
【請求項7】
前記共振器水平トンネルは、
前記フィルタハウジングの幅方向に傾斜して形成された、請求項4~6のいずれか1項に記載の導波管フィルタ。
【請求項8】
前記共振器トンネルは、前記フィルタハウジングの内部に前記2個の共振器ポストの真ん中を基準として相互ミラー対称に形成された、請求項1に記載の導波管フィルタ。
【請求項9】
前記2個の共振器ポストのいずれか1つの前記フィルタハウジングの対向面には、チューニング調整のためのチューニング用共振器ポストがさらに備えられた、請求項1に記載の導波管フィルタ。
【請求項10】
前記複数の共振ブロックは、それぞれの共振ブロックの間に形成された複数の隔壁または複数の区画スロットによって区分されて形成された、請求項1に記載の導波管フィルタ。
【請求項11】
前記共振器トンネルは、前記フィルタハウジングの幅方向に隣接する2個の共振器ポストをクロスカップリングするように相互連結されて備えられた、請求項1に記載の導波管フィルタ。
【請求項12】
前記共振器トンネルは、前記フィルタハウジングの長手方向に隣接する2個の共振器ポストを隣接カップリングするように相互連結されて備えられた、請求項1に記載の導波管フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナの導波管フィルタ(WAVEGUIDE FILTER)に関し、より詳しくは、共振器を含めてクロスカップリングを用いる導波管フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、無線通信サービスの種類が多くなるにつれて周波数環境が複雑になっている。無線通信のための周波数は限られているので、無線通信チャネルをできるだけ隣接して周波数資源を有効に活用する必要性がある。
【0003】
しかし、多様な無線通信サービスが提供される環境で信号干渉が発生するので、アンテナは、隣接した周波数資源間の信号干渉を最小化するためには、特定の帯域に対する帯域フィルタを含む。
【0004】
一般的に、帯域フィルタの減衰特性改善のために伝送零点(transmission zero)(以下、切欠(notch))の適用が必須であり、これは、隣接しない共振素子の間にクロスカップリング(cross coupling)を適用して実現する。
【0005】
RFフィルタのうち、誘電体導波管フィルタ(Ceramic Waveguide Filter)は、周りが導体膜で覆われた誘電体ブロックに切欠調整のための共振器を含む。共振器は、電磁波に共振特性を付与して特定の周波数を制限するように設計される。
【0006】
この時、偶数個の共振器を渡ってクロスカップリング(cross coupling)させると、パスバンドの左右対称の切欠(notch)が発生し、奇数個の共振器を渡ってクロスカップリングさせると、カップリングの種類によって左側または右側に1個のnotchが発生することが一般的である。
【0007】
このような通信用フィルタの切欠の実現は、通信システムの性能によって非常に多様に実現する必要性があるが、通信システムの特性に適したフィルタを実現するには性能が制限的である。
【0008】
それにより、アンテナにおいて特定のパスバンドの左右に切欠が実現できるように、フィルタを通信システムによって異なって設定する必要がある。
【0009】
特に、1個のクロスカップリングでパスバンドの左右に切欠を実現するにあたり、左右対称ではない、左側は強いカップリングをさせて右側は弱いカップリングをさせなければならない場合、不可避に2個のクロスカップリング構造を用いるしかないが、このような2個のクロスカップリングの実現はフィルタの設計に多くの制約として作用し、特に、フィルタの内部にクロスカップリングを実現するために追加する構造物の挿入が難しいセラミックフィルタ構造ではより大きな問題として作用する。
【0010】
また、パスバンドの左側または右側に2個の切欠を実現して所望の特性を満足させるために、奇数個の共振器を通るクロスカップリング2個を実現しなければならないため、多くの設計上の制約が伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、共振器ポストを連結する共振器トンネルを介してカップリングを実現することにより、特定のパスバンドの特性を強化した導波管フィルタを提供することを目的とする。
【0012】
本発明の技術的課題は以上に言及した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による導波管フィルタの一実施例は、複数の共振ブロックが備えられたフィルタハウジングと、前記フィルタハウジングに備えられた共振ブロックそれぞれに形成された共振器ポストによって備えられる複数の共振器と、前記複数の共振器ポストのうち、前記フィルタハウジングの一面および他面に相互反転するように備えられた少なくとも2個の共振器ポストをカップリングさせるために相互連結させるように前記フィルタハウジングに備えられた共振器トンネルとを含む。
【0014】
ここで、前記共振器トンネルによって連結される前記2個の共振器ポストは、隣接カップリング可能に相互反転して配置される。
【0015】
また、前記共振器トンネルによって連結される前記2個の共振器ポストは、クロスカップリング可能に相互反転して配置される。
【0016】
また、前記共振器トンネルは、前記フィルタハウジングの内部に幅方向または長手方向に貫通して前記少なくとも2個の共振器ポストを相互連結させる共振器水平トンネルを含むことができる。
【0017】
また、前記共振器トンネルは、前記フィルタハウジングを上下部に貫通するように備えられ、前記共振器水平トンネルと連結された共振器垂直トンネルをさらに含むことができる。
【0018】
また、前記共振器トンネルは、前記共振器水平トンネルから延びて形成されかつ、前記フィルタハウジングの一面または他面方向に開口して形成された共振器延長トンネルをさらに含むことができる。
【0019】
また、前記共振器水平トンネルは、前記フィルタハウジングの幅方向に傾斜して形成される。
【0020】
また、前記共振器トンネルは、前記フィルタハウジングの内部に前記2個の共振器ポストの真ん中を基準として相互ミラー対称に形成される。
【0021】
また、前記2個の共振器ポストのいずれか1つの前記フィルタハウジングの対向面には、チューニング調整のためのチューニング用共振器ポストがさらに備えられる。
【0022】
また、前記複数の共振ブロックは、それぞれの共振ブロックの間に形成された複数の隔壁または複数の区画スロットによって区分されて形成される。
【0023】
また、前記共振器トンネルは、前記フィルタハウジングの幅方向に隣接する2個の共振器ポストをクロスカップリングするように相互連結されて備えられる。
【0024】
また、前記共振器トンネルは、前記フィルタハウジングの長手方向に隣接する2個の共振器ポストを隣接カップリングするように相互連結されて備えられる。
【0025】
また、前記共振器トンネルによって誘導性カップリングによる切欠が形成され、前記切欠は、前記共振器トンネルの形状および大きさによって形成位置が調整される。
【発明の効果】
【0026】
本発明による導波管フィルタの一実施例によれば、次のような多様な効果を達成することができる。
【0027】
すなわち、本発明は、複数の共振器ポストを共振器トンネルを介して連結してカップリングを実現することにより、特定のパスバンドの両側に特性による切欠を実現して容易にフィルタを設計することができ、フィルタの特性を改善することができる。
【0028】
また、本発明は、共振器水平トンネルを用いて限られた空間内でクロスカップリングまたは隣接カップリングを設定することができる。
【0029】
また、本発明は、共振器水平トンネルおよび共振器垂直トンネルの位置または形態の変更によりクロスカップリングまたは隣接カップリングの特性を変更して、フィルタ特性を変更することができる。
【0030】
また、本発明は、共振器水平トンネルおよび共振器垂直トンネルの位置または形態の変更により、所望の特性でパスバンドの左側または右側に切欠を形成することができる。
【0031】
また、本発明は、セラミックまたは空気を誘電体として用いる導波管フィルタの誘電体の種類に関係なく容易にフィルタを設計することができる。
【0032】
また、本発明は、フィルタハウジングの厚さ方向に貫通する共振器垂直トンネルまたはフィルタハウジングの幅方向に貫通する共振器水平トンネルを備えることにより、その位置と形態によって多様なフィルタの性能を実現することができる。
【0033】
また、本発明は、フィルタの複雑度を単純化させて、製造コストを低下させ、生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1A】本発明の一実施例による導波管フィルタが示された一面部の斜視図である。
図1B】本発明の一実施例による導波管フィルタが示された他面部の斜視図である。
図2A図1Aの一面部の平面図である。
図2B図1Bの他面部の平面図である。
図3A図2AのD-D線に沿った断面図である。
図3B図2AのD-D線に沿った切開斜視図である。
図4】本発明の一実施例による導波管フィルタの周波数特性のプロット(PLOT)を示すグラフである。
図5】本発明の一実施例による導波管フィルタの構成のうち、共振器トンネルの深さ、幅および区画スロットとの離隔距離に応じた周波数特性の変化を説明するための模式図である。
図6図5の要素のうち、共振器トンネルの深さ変化に応じた周波数特性のプロット(PLOT)を示すグラフである。
図7A】本発明の一実施例による導波管フィルタの構成のうち、共振器トンネルの多様な応用例を示す模式図である。
図7B】本発明の一実施例による導波管フィルタの構成のうち、共振器トンネルの多様な応用例を示す模式図である。
図7C】本発明の一実施例による導波管フィルタの構成のうち、共振器トンネルの多様な応用例を示す模式図である。
図8】本発明の他の実施例として、隣接カップリングが実現されるように備えられた共振器トンネルを示す模式図である。
図9図8の他の実施例による導波管フィルタの周波数特性のプロット(PLOT)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付した図面とともに詳細に後述する実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は以下に開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現可能であり、単に本実施例は本発明の開示が完全になるようにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によってのみ定義される。明細書全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を指し示す。
【0036】
以下、本発明による導波管フィルタの一実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0037】
図1Aおよび図1Bは、本発明の一実施例による導波管フィルタが示された一面部および他面部の斜視図であり、図2Aおよび図2Bは、図1Aおよび図1Bの一面部および他面部の平面図であり、図3Aおよび図3Bは、図2のD-D線に沿った断面図および切開斜視図である。
【0038】
特に、図1Bは、図1Aのフィルタハウジング99を“C”軸を中心に180度回転させた状態の図である。
【0039】
通信用アンテナは、特定のパスバンドの信号をフィルタリングするためのRFフィルタ(Radio Frequency Filter)を含む。RFフィルタは、特性によってキャビティフィルタ(Cavity Filter)、導波管フィルタ(Waveguide Filter)などが用いられるが、以下、アンテナに備えられる導波管フィルタを中心として本発明の一実施例および他の実施例を説明する。
【0040】
導波管フィルタ100は、一般的に少なくとも4個(すなわち、4個以上)の共振ブロックを含む。仮に、1つのフィルタハウジング99内に4個~20個の共振ブロックを含むことができる。
【0041】
本発明の一実施例では、図1A図3Bに示すように、1つのフィルタハウジング99に10個の共振ブロック11~20が備えられることを例として説明する。
【0042】
本発明による導波管フィルタ100の一実施例は、図1A図4に示すように、略所定の厚さおよび所定の長さを有する直方体形状のフィルタハウジング99を含むことができる。
【0043】
フィルタハウジング99には、上述のように、10個の共振ブロック11~20が隔壁51~60または区画スロット71、72によって隣接する共振ブロック間の区分が可能である。
【0044】
隔壁51~60または区画スロット71、72によって区画される共振ブロック11~20は、必ずしも物理的に完全に区画される必要はなく、外形上隣接する共振ブロック間の特定の共振ブロックを区分づけられる程度の区画を意味する。
【0045】
ここで、各共振ブロック11~20の内部は誘電体で満たされ、誘電体の材料としてはセラミックまたは空気が使用できる。
【0046】
ただし、誘電体の材料が必ずしもセラミックまたは空気に限定されるものではなく、他の誘電体材料も使用できることは当然である。
【0047】
複数の共振ブロック11~20は、それぞれ1つの共振器1~10として動作し、10個の共振ブロック11~20を介して10個の共振器1~10で構成された導波管フィルタ100を形成することができる。
【0048】
一方、各共振ブロック11~20には共振器ポスト31~40が備えられる。以下では、各共振ブロック11~20を、図1Aおよび図1Bの図面上、左側上端から時計方向にそれぞれ第1共振ブロック11、第2共振ブロック12...、第10共振ブロック20のように順番を付けることとし、各順番に相当する共振ブロック11~20に備えられた共振器ポスト31~40も、第1共振器ポスト31、第2共振器ポスト32...、第10共振器ポスト40と順番を付けることとする。別の説明がない場合であれば、上述した隔壁51~60も同一の順番を付けることができる。
【0049】
共振器ポスト31~40は、共振ブロック11~20の上端面または下端面に備えられる。例えば、第1共振器ポスト31が第1共振ブロック11の一面に設けられた場合、他の共振器ポスト32~40も各共振ブロック12~20の一面に共通して設けられることが好ましい。
【0050】
ここで、共振器ポスト31~40が「設けられる」という意味は、フィルタハウジング99内に満たされる誘電体の種類によって異なって定義されなければならない。
【0051】
例えば、誘電体のうち、空気の誘電率を有するように空気が採用された場合には、共振器ポスト31~40は、フィルタハウジング99の当該部分を削除または除去することにより備えられることから、この時の「設けられる」という意味は、「形成される」という意味と一脈通じる。
【0052】
他の例を挙げると、誘電体のうち、空気を除いた残りの誘電体は、物理的に硬化した状態でフィルタハウジング99の当該部分を満たして固定されるという点で、この場合の「設けられる」というのは、固有の意味として理解される。
【0053】
一方、本発明の一実施例のように、クロスカップリングを必要とする第2共振器ポスト32’および第9共振器ポスト39は、フィルタハウジング99の異なる面にそれぞれ形成される。
【0054】
より詳しくは、フィルタハウジング99の一面には、第2共振器ポスト32を除いた第1共振器ポスト31および第3共振器ポスト~第10共振器ポスト33~40が形成され、第2共振器ポスト32のみがフィルタハウジング99の下面に形成される。
【0055】
第2共振器ポスト32が位置した所に対向するフィルタハウジング99の反対面には、チューニング用共振器ポスト32’が第9共振器ポスト39と同一の面に形成される。第2共振器ポスト32とチューニング用共振器ポスト32’は、その位置のみ対向するだけで相互連結されない構造を有することができる。
【0056】
より詳しくは、第2共振器ポスト32は、フィルタハウジング99の一面および他面のうち、他の共振器ポスト31、33~40が形成された一面とは対向する他面から所定の深さ(以下、「第1深さ」と称する)だけ一面に向かって切開された溝形態で備えられ、チューニング用共振器ポスト32’は、フィルタハウジング99の一面および他面のうち、他の共振器ポスト31、33~40が形成された一面から所定の深さ(以下、「第2深さ」と称する)だけ他面に向かって切開された溝形態で備えられる。
【0057】
ここで、第2共振器ポスト32の第1深さに比べて、チューニング用共振器ポスト32’の第2深さはチューニングねじ(図示せず)によるチューニング設計が可能であれば良いので、相対的に小さく形成される。
【0058】
この時、第2共振器ポスト32の第1深さとチューニング用共振器ポスト32’の第2深さとの合計は、先に説明したように、フィルタハウジング99を貫通してはならないので、フィルタハウジング99の一面と他面との間の長さ(すなわち、フィルタハウジング99の厚さ)より小さく形成されることが好ましい。
【0059】
第1共振ブロック~第10共振ブロック11~20は、第1共振器ポスト~第10共振器ポスト31~40と結合して、それぞれ1つの共振器として動作する。それによって、第1共振器~第10共振器(図中、丸数字の1~10)が形成される。
【0060】
共振ブロック11~20の各間には、上述のように、隔壁(wall)51~60または区画スロット71、72が形成され、隔壁51~60または区画スロット71、72の大きさ(幅、長さ)と位置によって各共振ブロック11~20の大きさおよび共振特性が可変する。
【0061】
例えば、第2共振ブロック12は、第1隔壁51および第2隔壁52によって左右に位置する第1共振ブロック11および第3共振ブロック13と区分され、その幅方向に隣接して備えられた第9共振ブロック19とは第1区画スロット71および第2区画スロット72によって区分される。
【0062】
一方、導波管フィルタ100は、信号が入力される入力ポスト21と、信号が出力される出力ポスト22とをさらに含むことができる。
【0063】
入力ポスト21と出力ポスト22は、それぞれ異なる共振ブロック(より詳しくは、入力ポスト21は第8共振ブロック18に備えられ、出力ポスト22は第7共振ブロック17に備えられる)に形成され、入力ポスト21と出力ポスト22は、それぞれ共振ブロック11~20内のいずれか一面に設けられる。本発明の一実施例では、入力ポスト21と出力ポスト22がフィルタハウジング99の他面に形成されたものと前提して説明する。
【0064】
一方、導波管フィルタ100は、特定の共振ブロック(本実施例では、第2共振ブロック12および第9共振ブロック19)間のクロスカップリングを実現する共振器水平トンネル81および共振器垂直トンネル82をさらに含むことができる。
【0065】
以下、必要によっては、共振器水平トンネル81および共振器垂直トンネル82を通称して「共振器トンネル」と定義し、図面符号80を付して参照説明する。
【0066】
共振器トンネル80は、図1A図3Bに示すように、フィルタハウジング99の幅方向に貫通して形成されて、クロスカップリングを実現しようとする第2共振器ポスト32および第9共振器ポスト39を相互連結する役割を果たすことができる。共振器トンネル80によって第2共振器ポスト32と第9共振器ポスト39は、相互物理的間隔が短くなる。
【0067】
より詳しくは、共振器トンネル80は、図5に示すように、フィルタハウジング99の厚さ方向を「垂直方向」と定義し、フィルタハウジング99の幅方向を「水平方向」と定義する場合、第2共振器ポスト32と第9共振器ポスト39とを水平方向に連結する共振器水平トンネル81と、共振器水平トンネル81の中間部分においてフィルタハウジング99の一面と裏面とを垂直方向に連結する共振器垂直トンネル82とを含むことができる。
【0068】
これとともに、共振器トンネル80は、図3Aおよび図3Bに示すように、共振器水平トンネル81がフィルタハウジング99の一面部方向または他面部方向に延びた共振器延長トンネル83をさらに含むことができる。
【0069】
共振器水平トンネル81と共振器延長トンネル83は、それぞれ同一の幅でフィルタハウジング99の一部が削除(または除去)された形態に形成される。ここで、説明の便宜のために、フィルタハウジング99の上部面または下部面から共振器水平トンネル81の底面までの距離を「共振器トンネル80の深さ」と定義して説明する。共振器トンネル80の深さは、第2共振器ポスト32または第9共振器ポスト39の深さに等しいか、小さく形成される。
【0070】
これとともに、共振器水平トンネル81または共振器延長トンネル83は、その延長方向に対して直交する幅の距離を「共振器トンネル80の幅」と定義して説明する。
【0071】
このような、共振器トンネル80による第2共振器ポスト32および第9共振器ポスト39の相互連結構造を利用して、2つの共振器32、39をクロスカップリングさせることができる。
【0072】
技術的観点から、フィルタハウジング99の上部面に向かって開口して形成された共振器ポスト(例えば、第9共振器ポスト39)とフィルタハウジング99の下部面に向かって開口して形成された共振器ポスト(例えば、第2共振器ポスト32)は、形態上の反転効果として容量性カップリング(C-Coupling)が実現される。しかし、本発明の一実施例による導波管フィルタでは、相互反転した共振器ポスト(第9共振器ポスト99と第2共振器ポスト32)の間を共振器トンネル80を介して連結することにより誘導性カップリング(L-Coupling)で実現されることに技術的特徴がある。
【0073】
ここで、本発明の一実施例では、共振器トンネル80が第2共振器ポスト32と第9共振器ポスト39とを相互連結する構造を例示して説明しているが、相互連結される共振器ポストは、実現しようとするクロスカップリングの位置設計によって異なる。
【0074】
すなわち、図示しないが、第1共振器ポスト31とその反対面に形成された第10共振器ポスト40、第3共振器ポスト33とその反対面に形成された第8共振器ポスト38...、などの相互カップリングが実現可能に共振器トンネル80を形成することができる。
【0075】
また、本発明の一実施例では、共振器トンネル80が第2共振器ポスト32と第9共振器ポスト39とを相互連結する構造としてクロスカップリングさせることを例示して説明しているが、後述する図8により説明するように、相互連結される共振器ポストは、実現しようとするカップリングの種類によって隣接する共振器ポスト間の隣接カップリングでも実現可能である。
【0076】
ここで、「隣接カップリング」というのは、入力ポスト21から出力ポスト22に至るまで信号の流れによって順次配列された複数の共振器ポスト間のカップリングを意味することであり、少なくとも1つ以上の共振器ポストを渡ってカップリングさせることを「クロスカップリング」と定義することができる。
【0077】
共振器トンネル80の構成のうち、共振器水平トンネル81は、図3Aに示すように、第9共振器ポスト39および第2共振器ポスト32の内径より小さい幅および深さ(H1またはそれ未満)を有するように備えられたフィルタハウジング99の幅方向の連結区間と定義される。
【0078】
ただし、共振器水平トンネル81のうち、第2共振器ポスト32および第9共振器ポスト39に隣接する部分の一部に形成された共振器延長トンネル83によってそれぞれフィルタハウジング99の一面部およびフィルタハウジング99の他面部側に開口して形成される。
【0079】
ここで、共振器水平トンネル81の深さH1は、フィルタハウジング99の厚さが“H”と定義される場合、フィルタハウジング99の厚さHから、フィルタハウジング99の他面から共振器水平トンネル81の底面までの厚さH2を引いた値、または第9共振器ポスト39の底面から共振器水平トンネル81の底面の間の距離H3を引いた値と定義される。
【0080】
一方、共振器垂直トンネル82は、第2共振器ポスト32に隣接するフィルタハウジング99の下部面に垂直方向(厚さ方向)に貫通して内部の共振器水平トンネル81に連結される空間形態で備えられるとともに、第9共振器ポスト39に隣接するフィルタハウジング99の上部面に垂直方向(厚さ方向)に貫通して内部の共振器水平トンネル81に連結される空間形態で備えられる。
【0081】
共振器垂直トンネル82の一側の半径および他側の半径は、それぞれ水平方向(幅方向)に隣接する共振器延長トンネル83と共有されるように形成されることにより、全体的にフィルタハウジング99を上下方向に貫通して形成された円柱形態の空間を有することができる。
【0082】
これとともに、共振器垂直トンネル82は、本発明の一実施例において、円形の断面を有するホール形態で備えられたものと説明しているが、四角形および多角形のいずれか1つの断面形状を有するように備えられることはもちろん、その大きさおよび幅や深さが異なって備えられて、後述する誘導性カップリングの量を調整できることはもちろんである。
【0083】
一方、共振器垂直トンネル82は、共振器延長トンネル83が備えられない実施例の場合(後述する図7Aの応用例参照)、フィルタハウジング99の一面と他面とを相互連通させかつ、その内部に形成された共振器水平トンネル81を貫通して連通させる形態で備えられる。
【0084】
このような、共振器垂直トンネル82は、共振器トンネル80の必須構成である必要はなく、共振器水平トンネル81のみ備えられた実施例の実現も可能であることは当然であろう(後述する図7Cの応用例参照)。
【0085】
共振器トンネル80は、図1A図2Bに示すように、フィルタハウジング99を図面符号“C”を基準として180度回転する場合、それぞれ第2共振器ポスト32および第9共振器ポスト39に対してミラー対称の形状に形成される。
【0086】
すなわち、 図3A図3Bに示すように、第2共振器ポスト32および第9共振器ポスト39の深さは異なるように設計されるが、第2共振器ポスト32および第9共振器ポスト39の間の真ん中を垂直方向に横切る任意の基準線を中心として、共振器トンネル80は対角線方向に完全ミラー対称となるように備えられることが好ましい。
【0087】
一方、第2共振器ポスト32に対向するフィルタハウジング99の一面または第9共振器ポスト39に対向するフィルタハウジング99の他面のいずれか1つには、チューニングねじ(図示せず)が結合されるチューニング用共振器ポスト32’が溝形態で備えられる。本発明の一実施例では、第2共振器ポスト32に対向するフィルタハウジング99の一面にチューニング用共振器ポスト32’が備えられた実施例が示されたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、第9共振器ポスト39に対向するフィルタハウジング99の他面にチューニング用共振器ポストが備えられることも可能である。
【0088】
図4は、本発明による導波管フィルタの特性のプロット(PLOT)を示すグラフである。横軸は周波数であり、縦軸はフィルタのカットオフ性能(dB)を示す。
【0089】
図1A図3Bに示すように、本発明の一実施例による導波管フィルタ100は、フィルタハウジング99の一面部およびフィルタハウジング99の他面部に対して相互ミラー対称的に形成された共振器トンネル80によって相互連結されるように備えられることにより、図4に示すように、信号特性がパスバンドの両側にクロスカップリング(Cross coupling)によりそれぞれ2個ずつで実現された切欠(notch)が形成される。
【0090】
実現される切欠は、上述のように、切欠の形成に関連する第2共振器ポスト32または第9共振器ポスト39の深さや形状および共振器トンネル80の形状および位置などの変更により、フィルタのパスバンド(通過帯域)の下方と上方などに自由に構成可能になる。
【0091】
図5は、本発明の一実施例による導波管フィルタの構成のうち、共振器トンネルの深さ、幅および区画スロットとの離隔距離に応じた周波数特性の変化を説明するための模式図であり、図6は、図5の要素のうち、共振器トンネルの深さの変化に応じた周波数特性のプロット(PLOT)を示すグラフである。
【0092】
図5に参照された導波管フィルタ200は、図1A図3Bに参照された本発明の一実施例による導波管フィルタ100とは異なり、共振器トンネル280の形状に応じた結果を説明するためのものであることから、相対的にその構造を単純化して製造した。
【0093】
仮に、本発明の一実施例による導波管フィルタ100の場合には、共振ブロックをそれぞれ区分するために、隔壁51~60および区画スロット71、72をすべて備えたが、図5に参照された導波管フィルタ200は、隔壁を備えず、区画スロット270aおよび270bのみを備えて各共振ブロックを区分した。
【0094】
また、図5に参照された導波管フィルタ200は、6個の共振ブロックを備えかつ、各共振ブロックに共振器ポスト231~236がそれぞれ備えられるように製造した。
【0095】
これとともに、順に、入力ポスト221および出力ポスト222の信号ラインに沿って、第1共振器ポスト231、第2共振器ポスト232、第3共振器ポスト233、第4共振器ポスト234、第5共振器ポスト235および第6共振器ポスト236を備えかつ、第2共振器ポスト232を他の共振器ポスト231、233~236の取付面であるフィルタハウジング99の一面とは異なるフィルタハウジング99の他面に設けて反転するようにし、第2共振器ポスト232の反対面であるフィルタハウジング99の一面にはチューニング調整用ポスト232’が備えられるようにした。
【0096】
また、図5に参照された導波管フィルタ200は、第2共振器ポスト232と第5共振器ポスト235とが共振器トンネル280によって相互連通するように備えられ、図1A図3Bに参照された本発明の一実施例による導波管フィルタ100と同じく、共振器水平トンネル281と、共振器垂直トンネル282と、共振器延長トンネル283とが備えられる。
【0097】
ここで、図5に示すように、共振器水平トンネル281または共振器延長トンネル283の幅を“I2”とし、共振器水平トンネル281および共振器延長トンネル283を含む深さを“H2”とし、共振器垂直トンネル282を挟んだ区画スロット270aおよび270b間の隔離距離を“J2”と定義して説明する。
【0098】
図6は、前記定義された寸法のうち、“H2”をそれぞれ1mm(図6(a)参照)、1.5mm(図6(b)参照)、2mm(図6(c)参照)ずつ増加させた場合の第2共振器ポスト232と第5共振器ポスト235との間のカップリング効果を示す周波数特性のプロット(PLOT)である。
【0099】
図6に示すように、共振器水平トンネル281の深さがますます大きくなるほど(すなわち、1mm-1.5mm-2mmの順に大きくなるほど)、カップリング量がますます増加することが分かる(すなわち、図6のF1-F2-F3の長さ増加)。
【0100】
一方、図に示さないが、共振器水平トンネル281または共振器延長トンネル283の幅である“I2”および共振器垂直トンネル282を挟んだ区画スロット270aおよび270b間の隔離距離である“J2”を変更してみたところ、カップリング量の変化がほとんどなかった。
【0101】
そのため、実質的に、第2共振器ポスト232および第5共振器ポスト235間の共振器トンネル280を用いたクロスカップリング量の変化は、共振器水平トンネル281の深さであるH2の大きさに依存していることが分かる。
【0102】
図7A図7Cは、本発明の一実施例による導波管フィルタの構成のうち、共振器トンネルの多様な応用例を示す模式図である。
【0103】
本発明の一実施例による導波管フィルタ100は、図1A図3Bに示すように、共振器トンネル80の構成のうち、共振器水平トンネル81は、フィルタハウジング99の幅方向に水平に形成され、共振器延長トンネル83は、共振器水平トンネル81の一側からフィルタハウジング99の一面方向に開口して延びるか、共振器水平トンネル81の他側からフィルタハウジング99の他面方向に開口して形成され、共振器垂直トンネル82は、フィルタハウジング99の一面および他面を貫通しかつ、共振器水平トンネル81を経由するように貫通形成される。
【0104】
しかし、先に説明したように、共振器トンネル80の形状が上述した本発明の一実施例100の形状に限定されるものではなく、図7A図7Cに示すように多様な応用例として形成される。
【0105】
すなわち、図7Aに示すように、第1応用例による導波管フィルタ210は、共振器トンネル280の構成のうち、共振器延長トンネルに対応する構成は形成せず、共振器トンネル280の構成のうち、共振器水平トンネル281は、フィルタハウジング99の幅方向に水平ではなく傾斜して延びて相互反転して備えられた第2共振器ポスト232と第5共振器ポスト235とを相互連結させることができる。ここで、共振器トンネル280の構成のうち、共振器垂直トンネル282は、上述した一実施例100の形状と同一の構造を有することができる。
【0106】
これとともに、図7Bに示すように、第2応用例による導波管フィルタ220は、共振器トンネル280の構成のうち、共振器延長トンネル283も、上述した一実施例による導波管フィルタ100と同じく備えかつ、共振器トンネル280の構成のうち、共振器水平トンネル281は、第1応用例の導波管フィルタ210と同様に、フィルタハウジング99の幅方向に水平ではなく傾斜して延びて相互反転して備えられた第2共振器ポスト232と第5共振器ポスト235とを相互連結させることができる。同じく、共振器トンネル280の構成のうち、共振器垂直トンネル282は、上述した一実施例100および第1応用例210の形状と同一の構造を有することができる。
【0107】
そして、図7Cに示すように、第3応用例による導波管フィルタ230は、共振器トンネル280の構成のうち、共振器延長トンネルおよび共振器垂直トンネルに対応する構成は形成せず、共振器トンネル280の構成のうち、単に共振器水平トンネル281を備えかつ、第1応用例210および第2応用例220と同様に、フィルタハウジング99の幅方向に水平ではなく傾斜して延びて相互反転して備えられた第2共振器ポスト232と第5共振器ポスト235とを相互連結させることができる。
【0108】
図8は、本発明の他の実施例として、隣接カップリングが実現されるように備えられた共振器トンネルを示す模式図であり、図9は、図8の他の実施例による導波管フィルタの周波数特性のプロット(PLOT)を示すグラフである。
【0109】
本発明の一実施例による導波管フィルタは、図1A図3Bに示すように、複数の共振器ポスト31~40のうち、2個の共振器ポスト(第2共振器ポスト32および第9共振器ポスト39)を選択してクロスカップリングさせた場合を説明した。
【0110】
しかし、相互反転して形成された2個の共振器ポストを必ずしもクロスカップリングさせる必要はなく、図8に示すように、隣接カップリングさせることも可能である。
【0111】
すなわち、本発明の他の実施例による導波管フィルタ300は、図8に示すように、入力ポスト221および出力ポスト222の間に形成された信号ライン上に配置されかつ、相互隣接しながらも反転して配置された第3共振器ポスト333と第4共振器ポスト334との間を共振器トンネル380を用いて相互連結するように備えられ、隣接する共振器ポスト333および334の隣接カップリングにより設計者が所望する切欠の実現が可能である。
【0112】
より詳しくは、本発明の他の実施例による導波管フィルタ300は、図8に示すように、6個の共振ブロックにそれぞれ第1共振器ポスト331、第2共振器ポスト332、第3共振器ポスト333、第4共振器ポスト334、第5共振器ポスト335および第6共振器ポスト336が備えられ、第1共振器ポスト331の形成方向とは反対であるフィルタハウジング99の他面方向に入力ポスト321が対向して備えられ、第6共振器ポスト336の形成方向とは反対であるフィルタハウジング99の他面方向に出力ポスト322が対向して備えられる。
【0113】
ここで、入力ポスト321から出力ポスト322に至る信号ライン上に相互隣接して配置された共振器ポストのうち、第3共振器ポスト333を他の共振器ポスト331、332、334、335、336とは反転するようにフィルタハウジング99の他面方向に設け、これに隣接する第4共振器ポスト334を共振器トンネル380を用いて相互連結させて隣接カップリングが実現可能に備えられたのである。
【0114】
このような構成からなる本発明の他の実施例による導波管フィルタ300は、クロスカップリングで実現された本発明の一実施例による導波管フィルタ100の場合、パスバンドの左右両側にそれぞれ2個ずつの切欠が実現されるのに対し、図9に示すように、パスバンドの左右両側にそれぞれ1つずつの切欠のみが実現されるという点で異なる結果値を有する。
【0115】
以上、本発明による導波管フィルタ100の一実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明した。しかし、本発明の実施例が必ずしも上述した一実施例によって限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者による多様な変形および均等な範囲での実施が可能であるということは当然であろう。そのため、本発明の真の権利範囲は後述する特許請求の範囲によって定められる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、共振器ポストを連結する共振器トンネルを介してカップリングを実現することにより、特定のパスバンドの特性を強化した導波管フィルタを提供する。
【符号の説明】
【0117】
1~10:第1共振器~第10共振器
11~20:第1共振ブロック~第10共振ブロック
21:入力ポスト
22:出力ポスト
31~40:第1共振器ポスト~第10共振器ポスト
51~60:隔壁
71、72:区画スロット
80:共振器トンネル
81:共振器水平トンネル
82:共振器垂直トンネル
99:フィルタハウジング
100:導波管フィルタ

図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9