(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】車両照明装置、車両用不可視光投射装置、及び、ターゲット検出装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/04 20060101AFI20230721BHJP
F21V 14/04 20060101ALI20230721BHJP
F21V 14/02 20060101ALI20230721BHJP
F21V 14/06 20060101ALI20230721BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20230721BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20230721BHJP
F21S 41/16 20180101ALI20230721BHJP
F21S 41/657 20180101ALI20230721BHJP
F21S 41/25 20180101ALI20230721BHJP
F21S 41/675 20180101ALI20230721BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20230721BHJP
F21S 43/15 20180101ALI20230721BHJP
F21S 43/235 20180101ALI20230721BHJP
F21S 41/13 20180101ALI20230721BHJP
F21S 43/13 20180101ALI20230721BHJP
B60Q 1/30 20060101ALI20230721BHJP
F21S 41/663 20180101ALI20230721BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230721BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20230721BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20230721BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20230721BHJP
【FI】
B60Q1/04 E
F21V14/04
F21V14/02
F21V14/06
F21V5/04 600
F21S41/143
F21S41/16
F21S41/657
F21S41/25
F21S41/675
F21S43/14
F21S43/15
F21S43/235
F21S41/13
F21S43/13
B60Q1/30 Z
F21S41/663
F21Y115:10
F21Y115:30
F21W102:13
F21W103:00
(21)【出願番号】P 2022513954
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(86)【国際出願番号】 CN2020131345
(87)【国際公開番号】W WO2021104286
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-03-01
(31)【優先権主張番号】201922119431.0
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202020045138.4
(32)【優先日】2020-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520372939
【氏名又は名称】▲華▼域▲視▼▲覺▼科技(上▲海▼)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】祝 ▲賀▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 大攀
(72)【発明者】
【氏名】仇 智平
(72)【発明者】
【氏名】桑 文慧
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-063891(JP,A)
【文献】特表2015-509653(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0073682(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/04
F21V 14/04
F21V 14/02
F21V 14/06
F21V 5/04
F21S 41/143
F21S 41/16
F21S 41/657
F21S 41/25
F21S 41/675
F21S 43/14
F21S 43/15
F21S 43/235
F21S 41/13
F21S 43/13
B60Q 1/30
F21S 41/663
F21Y 115/10
F21Y 115/30
F21W 102/13
F21W 103/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源(1)、ロータリーアクチュエータ(2)、及びコントローラを含み、前記光源(1)は前記ロータリーアクチュエータ(2)の回転軸に取り付けられ、前記コントローラは、さまざまなパターンを形成するように前記光源(1)の発光状態を制御することに適して
おり、
配光素子(3)をさらに含み、前記配光素子(3)は前記光源(1)の近隣領域に設けられ、前記配光素子(3)は前記光源(1)と同期して回転することが可能になる、前記光源(1)は独立して制御された複数の発光ユニット(11)を含み、前記配光素子(3)は前記発光ユニット(11)から発光する光線を集光することに適しており、各前記発光ユニット(11)から発光する光線同士の相互影響しないように、前記コントローラは前記ロータリーアクチュエータ(2)の回転数に応じて各前記発光ユニット(11)の点灯・消灯をそれぞれ制御することに適している、ことを特徴とする車両照明装置。
【請求項2】
取り付け板(4)をさらに含み、前記取り付け板(4)は前記ロータリーアクチュエータ(2)の回転軸に取り付けられ、前記光源(1)は前記取り付け板(4)に取り付けられる、ことを特徴とする請求項
1に記載の車両照明装置。
【請求項3】
前記発光ユニット(11)は前記ロータリーアクチュエータ(2)の異なる回転半径上にある、又は、前記発光ユニット(11)は少なくとも2組に分けられ、各組の前記発光ユニット(11)のうち各前記発光ユニット(11)は前記ロータリーアクチュエータ(2)の異なる回転半径上にある、又は、前記発光ユニット(11)は少なくとも2組に分けられ、各組の前記発光ユニット(11)は前記ロータリーアクチュエータ(2)の回転円周において対称に設けられる、ことを特徴とする請求項
1又は
2に記載の車両照明装置。
【請求項4】
レンズ(5)をさらに含み、前記発光ユニット(11)から発光する光線は前記レンズ(5)を介して投射されてパターンを形成する、ことを特徴とする請求項
1~
3のいずれか一項に記載の車両照明装置。
【請求項5】
前記配光素子(3)は前記発光ユニット(11)の両側領域に設けられた反射板(31)である、ことを特徴とする請求項
1~
4のいずれか一項に記載の車両照明装置。
【請求項6】
前記反射板(31)の反射面が平面又は曲面であり、前記反射板(31)はそれぞれ複数の前記発光ユニット(11)の側面に設けられる、ことを特徴とする請求項
5に記載の車両照明装置。
【請求項7】
前記配光素子(3)は前記発光ユニット(11)の出光面領域に設けられた集光部材(32)であり、前記集光部材(32)は入光面と出光面を含み、前記集光部材(32)の入光面は前記発光ユニット(11)から発光する光線を導入することに適しており、前記集光部材(32)によって集光された光線は前記集光部材(32)の出光面から出射されることに適している、ことを特徴とする請求項
1~
4のいずれか一項に記載の車両照明装置。
【請求項8】
前記集光部材(32)は複数の前記発光ユニット(11)の出光面領域に設けられる、ことを特徴とする請求項
7に記載の車両照明装置。
【請求項9】
前記集光部材(32)は断面が二等辺台形である棒状の透明デバイスであり、前記二等辺台形の上底辺が位置する面は前記集光部材(32)の入光面であり、前記二等辺台形の下底辺が位置する面は前記集光部材(32)の出光面であり、
該透明デバイスの円柱面は前記集光部材(32)の出光面であり、円柱面に対向する面は前記集光部材(32)の入光面である、又は、前記集光部材(32)は複数の一体成形された平凸レンズであり、複数の前記平凸レンズの平面が同一方向を向いて前記集光部材(32)の入光面となり、複数の前記平凸レンズの凸面が前記集光部材(32)の出光面となる、又は、前記集光部材(32)は複数の一体成形された集光器であり、複数の前記集光器の入光面は複数の前記発光ユニット(11)に1対1で対応し、複数の前記集光器の出光面は同一の滑らかな面を構成する、ことを特徴とする請求項
8に記載の車両照明装置。
【請求項10】
請求項1に記載の車
両照明装置を含み、前記光源(1)は不可視光発光素子(12)を含み、前記コントローラは前記不可視光発光素子(12)及び前記ロータリーアクチュエータ(2)に電気的に接続され、不可視光の光分布を形成するように前記不可視光発光素子(12)の各回転位置での発光状態を制御する、ことを特徴とする車両用不可視光投射装置。
【請求項11】
取り付け板(4)をさらに含み、前記取り付け板(4)は前記ロータリーアクチュエータ(2)の回転軸に取り付けられ、前記光源(1)は前記取り付け板(4)に取り付けられる、又は、前記不可視光発光素子(12)は複数あり、前記ロータリーアクチュエータ(2)の異なる回転半径上にある、ことを特徴とする請求項
10に記載の車両用不可視光投射装置。
【請求項12】
前記コントローラはさらに前記発光ユニット(11)に電気的に接続され、可視光の光分布を形成するように前記発光ユニット(11)の各回転位置での発光状態を制御する、ことを特徴とする請求項
10又は
11に記載の車両用不可視光投射装置。
【請求項13】
前記不可視光発光素子(12)から発光する不可視光の照射範囲が、少なくとも前記発光ユニット(11)から発光する可視光の照射範囲をカバーできる、ことを特徴とする請求項
12に記載の車両用不可視光投射装置。
【請求項14】
前記不可視光発光素子(12)から発光する不可視光は、前記可視光の照射範囲外に不可視光単独照射エリア(N1、N2、N3)を形成できる、ことを特徴とする請求項
13に記載の車両用不可視光投射装置。
【請求項15】
レンズ(5)をさらに含み、前記レンズ(5)は、前記不可視光発光素子(12)及び前記発光ユニット(11)から発光する不可視光線及び可視光線を投射できる、又は、前記不可視光発光素子(12)及び/又は前記発光ユニット(11)は配光素子(3)を備え、前記配光素子(3)は前記不可視光発光素子(12)と前記発光ユニット(11)から発光する光線を集光することに適している、ことを特徴とする請求項
12~
14のいずれか一項に記載の車両用不可視光投射装置。
【請求項16】
不可視光検出デバイスを含み、前記不可視光検出デバイスは、請求項10~
15のいずれか一項に記載の不可視光投射装置で形成される不可視光照射範囲内のターゲットを検出できる、ことを特徴とするターゲット検出装置。
【請求項17】
可視光検出デバイスをさらに含み、前記可視光検出デバイスは、前記発光ユニット(11)で形成される可視光照射範囲内のターゲットを検出できる、ことを特徴とする請求項
16に記載のターゲット検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は2019年11月27日に提出された中国特許出願201922119431.0、及び2020年1月9日に提出された中国特許出願202020045138.4の権利を主張し、この2つの出願の内容は引用により本願に組み込まれている。
【0002】
本発明は、車両照明システムに関し、具体的には、車両照明装置に関する。本発明は、さらに、車両用不可視光投射装置及びターゲット検出装置に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、マトリックスヘッドライト(Matrixヘッドライト)及びアダプティブドライビングビーム(ADB)による照明技術はますます発展しており、道路上の他の道路使用者の位置に応じて灯光の照射範囲を自動的に調整することができ、運転の安全性を向上させ、またスマートドライビングのために基礎を築く。また、ピクセル化された信号灯も一定の発展を遂げており、信号灯のマルチピクセル化によって、信号灯は、機能及び形態が多様化され、よりハイテックや先進性に富むようになる。
【0004】
マトリックスヘッドライトとは、車ランプのパターンを複数のパターン領域に分け、各パターン領域の灯光の点灯・消灯を独立して制御し、1つ又は複数のダークゾーンを有する光分布を構成するものである。ADBは、検出プローブによって車両が位置する環境や他の道路使用者の状況を検出し、検出した情報に基づいて車ランプを制御して異なる光分布を形成させるものである。このようにして、車両が位置する環境に応じてパターンを変更し、他の道路使用者への眩目を回避し、また自車の運転者の視覚体験を改善し、運転の安全性を向上させることができ、たとえば、前方に他の道路使用者がない場合、マトリックスヘッドライトはパターン領域全体を照明し、前方に対向車が現れた場合、マトリックスヘッドライトは対向車に対応する領域のパターンを動的に閉じ、それにより、一部を暗くしつつ、残りの領域を照明するようなパターンを実現し、対向車の運転者の目に対する灯光刺激を防止し、運転の安全性を向上させる。
【0005】
従来のマトリックスヘッドライト又はピクセル化信号灯は、ほとんどマトリックス発光ユニットを使用しており、多行多列の発光ユニットが対応する照明領域又は対応するピクセルに対応する。ただし、従来の発光ユニットの面積が大きく、また隣接する発光ユニットの間に大きな隙間が存在し、このため、マトリックスヘッドライト又はピクセル化信号灯の機能を果たすために発光ユニットごとに対応して複数の一次光学素子が設けられ、各発光ユニットから発光する光をコンパクトな領域に導く必要がある。このような技術案には主に下記欠点が存在する。(1)発光ユニット及び一次光学素子が多く設けられているため、コストが高く、体積も重量も大きい。(2)発光ユニットが多く設けられているので、照明装置の発熱が多く、且つ発光領域が集中しており、放熱が困難であり、一方、高分子材料製の一次光学素子が多く使用されるので、熱による影響を受けやすい。(3)発光ユニットが多く設けられている分、放熱器が大きくなり、放熱ファンの設置が必要となり、その結果、このような照明装置の占有スペースが大きくなる。
【0006】
少ない発光ユニットで発光し、回転可能反射器によって発光ユニットのそれぞれから発光する光線を一定の領域に反射するとともに、各発光ユニットの点灯・消灯を制御することによって、複数の照明領域に対する照明又は領域表示機能を果たす技術もある。従来のマトリックスヘッドライト又はピクセル化信号灯に比べて、このような技術では、発光ユニットの数が少なくなるが、下記欠点が存在する。(1)発光ユニット、回転反射器、及び対応するブラケットの設置により、照明装置全体の占有スペースが大きくなる。(2)回転反射器の構造が複雑であり、特に光の反射領域に対応する反射面は、設計も加工も難しい。照明装置の構造が複雑であるという欠陥があり、このため、市場へ大規模で普及することに不利である。
【0007】
また、従来のMatrixヘッドライト及びADBによる照明ダークゾーンは、車両の運転者が観察できない領域となり、運転者はダークゾーン内の道路使用者の動きを判断することも、ダークゾーン内の障害物を判別することもできず、安全上のリスクをもたらす。車両が夜間で走行する場合、車ランプの照射範囲が限られ、特にハイビーム照明の場合、ハイビームライトの照射範囲が少ない。運転者が観察できないハイビーム照射範囲外の道路使用者も、特に該道路使用者が横方向の動きをする場合、走行安全上のリスクになる。以上は、従来のMatrixヘッドライト及びADBに存在する安全上の欠陥であり、市場への適用や普及に悪影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は、少ない発光ユニット、簡単な構造でマトリックスヘッドライト又はピクセル化信号灯の機能を果たし得る車両照明装置を提供することである。
【0009】
本発明がまた解決しようとする技術的課題は、少ない不可視光発光ユニットでパターンを制御可能な不可視光の光分布を形成し得る不可視光投射装置を提供することである。
【0010】
本発明がさらに解決しようとする技術的課題は、本発明の不可視光投射装置による照射範囲内のターゲットを検出し得るターゲット検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記技術的課題を解決するために、本発明の一態様は、光源、ロータリーアクチュエータ、配光素子及びコントローラを含み、前記光源は前記ロータリーアクチュエータの回転軸に取り付けられ、前記コントローラは、さまざまなパターンを形成するように、前記光源の発光状態を制御することに適している車両照明装置を提供する。
【0012】
好ましくは、本発明の車両照明装置は、配光素子をさらに含み、前記配光素子は前記光源の近隣領域に設けられ、前記光源は独立して制御された複数の発光ユニットを含み、前記配光素子は前記発光ユニットから発光する光線を集光することに適しており、前記コントローラは前記ロータリーアクチュエータの回転数に応じて各前記発光ユニットの点灯・消灯をそれぞれ制御することに適している。
【0013】
さらに好ましくは、本発明の車両照明装置は、取り付け板をさらに含み、前記取り付け板は前記ロータリーアクチュエータの回転軸に取り付けられ、前記光源は前記取り付け板に取り付けられる。この好ましい技術案によれば、前記取り付け板は、前記光源が安定的に回転することを確保し、前記光源の配置形態を多様化し、また、前記光源の取り付け強度を向上させ、車両照明装置の安定性を確保することができる。
【0014】
好ましくは、前記発光ユニットは前記ロータリーアクチュエータの異なる回転半径上にある。この好ましい技術案では、前記ロータリーアクチュエータの異なる回転半径上にある前記発光ユニットは、回転平面において異なる発光ピクセルを形成し、車両照明装置の照射精度又は表示の解像度を向上させることができる。
【0015】
好ましくは、前記発光ユニットは少なくとも2組に分けられ、各組の前記発光ユニットのうち各前記発光ユニットは前記ロータリーアクチュエータの異なる回転半径上にある。この好ましい技術案では、各組の前記発光ユニットは互いに協力して、車両照明装置の照明精度及び/又は照明輝度をさらに向上させることができる。
【0016】
好ましくは、前記発光ユニットは少なくとも2組に分けられ、各組の前記発光ユニットは前記ロータリーアクチュエータの回転円周において対称に設けられる。この好ましい技術案によれば、前記ロータリーアクチュエータの回転数を低く設定してもよく、このように、回転の安定性が高まり、また、前記コントローラのプログラムがより簡素化する。
【0017】
好ましくは、本発明の車両照明装置は、レンズをさらに含み、前記発光ユニットから発光する光線は前記レンズを介して投射されて特定のパターンを形成する。この好ましい技術案では、前記レンズは前記発光ユニットから発光する光線を集光でき、本発明の車両照明装置によるパターンをより遠く投射し、その明瞭さを高める。
【0018】
好ましくは、前記配光素子は前記発光ユニットの両側領域に設けられた反射板である。この好ましい技術案では、前記反射板は、前記発光ユニットから発光する大角度散乱光を前記発光ユニットの前方に反射することで、前記発光ユニットから発光する光線の集光度を向上させることができる。
【0019】
好ましくは、前記反射板の反射面が平面又は曲面であり、前記反射板はそれぞれ複数の前記発光ユニットの側面に設けられる。この好ましい技術案によれば、平面又は曲面とされている反射面は、前記発光ユニットから発光する光線に対して異なる集光作用を果たすことができ、異なる曲面の反射面は反射光の分布について特異的に設計することもでき、それにより、より合理的な反射光の光分布が得られ得る。複数の前記発光ユニットの側面に1つの反射板が設けられることで、前記反射板の数を減らし、照明装置の安定性を向上させる。
【0020】
好ましくは、前記配光素子は前記発光ユニットの出光面領域に設けられた集光部材であり、前記集光部材は入光面と出光面を含み、前記集光部材の入光面は前記発光ユニットから発光する光線を導入することに適しており、前記集光部材によって集光された光線は前記集光部材の出光面から出射されることに適している。この好ましい技術案によれば、前記発光ユニットから発光する光線は前記集光部材の入光面を経て該集光部材に入り、該集光部材の出光面から集光済みの光線を出射する。異なる集光部材を設計することにより、さまざまな光線の集光の度合い及び光線分布を可能とし、パターンに対する制御がより微細になり、精度のより高いパターンが形成され得る。
【0021】
好ましくは、前記集光部材は複数の前記発光ユニットの出光面領域に設けられる。この好ましい技術案では、複数の前記発光ユニットの出光面に同一の前記集光部材が設けられることによって、少量の集光部材を用いてすべての発光ユニットから発光する光線を集光することが可能になり、車両照明装置の構造を簡素化させ、その安定性を向上させる。
【0022】
好ましくは、前記集光部材は断面が二等辺台形である棒状透明デバイスであり、前記二等辺台形の上底辺が位置する面は前記集光部材の入光面であり、前記二等辺台形の下底辺が位置する面は前記集光部材の出光面である。この好ましい技術案では、前記発光ユニットから発光する光線は、二等辺台形の下底辺が位置する一面から該集光部材に入り、大角度散乱光は二等辺台形の斜めの辺が位置する一面によって反射されて、二等辺台形の上底辺が位置する面から出射され、このように、前記発光ユニットから発光する光線が集光される。
【0023】
好ましくは、前記集光部材は一面が円柱面である直方体透明デバイスであり、該透明デバイスの円柱面は前記集光部材の出光面であり、円柱面に対向する面は前記集光部材の入光面である。この好ましい技術案では、前記集光部材は平凸シリンドリカルレンズに相当し、該平凸シリンドリカルレンズの軸方向子午線が前記発光ユニットの配列方向と同じであり、それにより、前記発光ユニットから発光する光線が該平凸シリンドリカルレンズの屈折力の子午線方向において集光される。
【0024】
好ましくは、前記集光部材は複数の一体成形された平凸レンズであり、複数の前記平凸レンズの平面が同一方向を向いて前記集光部材の入光面となり、複数の前記平凸レンズの凸面が前記集光部材の出光面となる。この好ましい技術案によれば、各前記発光ユニットの出光面に平凸レンズが形成され、各前記発光ユニットから発光する光線を集光する。平凸レンズは、前記発光ユニットから発光する各方向における光線を集光することができ、集光効率果がよく、形成されるパターンの精度がより高くなる。
【0025】
好ましくは、前記集光部材は複数の一体成形された集光器であり、複数の前記集光器の入光面は複数の前記発光ユニットに1対1で対応し、複数の前記集光器の出光面は同一の滑らかな面を構成する。この好ましい技術案では、複数の車ランプによく使用されている前記集光器を一体に成形し、複数の前記発光ユニットの出光面に設けて該発光ユニットから発光する光線を集光する技術は成熟しており、光線に対する集光効率果がよい。
【0026】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の車両照明装置を含み、前記光源は不可視光発光素子を含み、前記コントローラは前記不可視光発光素子及び前記ロータリーアクチュエータに電気的に接続され、不可視光の光分布を形成するように前記不可視光発光素子の各回転位置での発光状態を制御できる車両用不可視光投射装置を提供する。
【0027】
好ましくは、本発明の不可視光投射装置は、取り付け板をさらに含み、前記取り付け板は前記ロータリーアクチュエータの回転軸に取り付けられ、前記光源は前記取り付け板に取り付けられる。この好ましい技術案によれば、前記取り付け板は前記光源の取り付け強度を向上させ、回転中の前記光源の安定性を確保できる。
【0028】
好ましくは、前記不可視光発光素子は複数あり、前記ロータリーアクチュエータの異なる回転半径上にある。この好ましい技術案では、異なる回転半径上にある複数の前記不可視光発光ユニットから発光する不可視光光線は、より大きな照射範囲を形成し、照射の照度及び解像度を向上できる。
【0029】
さらに好ましくは、前記光源は発光ユニットをさらに含み、前記コントローラはさらに前記発光ユニットに電気的に接続され、可視光の光分布を形成するように各回転位置での前記発光ユニットの発光状態を制御する。この好ましい技術案では、前記不可視光発光素子は、不可視光光分布を形成し、また、前記発光ユニットは可視光光分布を形成することができる。
【0030】
さらに、前記不可視光発光素子から発光する不可視光の照射範囲が、少なくとも前記発光ユニットから発光する可視光の照射範囲をカバーできる。この好ましい技術案では、前記発光ユニットから発光する可視光の照射範囲のどの部分に可視光照射ダークゾーンが形成されていても、前記不可視光発光素子から発光する不可視光により照射でき、それにより、可視光照射ダークゾーンに起因する安全上のリスクを防止できる。
【0031】
さらに、前記不可視光発光素子から発光する不可視光は、前記可視光の照射範囲外に不可視光単独照射エリアを形成できる。この好ましい技術案によれば、前記可視光の照射範囲外の不可視光単独照射エリアは前記可視光の照射範囲外の照射範囲を広げることで、車両外部のより大きな範囲の安全状況を監視することができる。
【0032】
好ましくは、本発明の不可視光投射装置は、レンズをさらに含み、前記レンズは、前記不可視光発光素子及び前記発光ユニットから発光する不可視光線及び可視光線を投射できる。この好ましい技術案では、前記レンズは不可視光線及び可視光線を屈折して投射し、より明瞭な光分布の模様を形成することができ、また、不可視光光分布及び可視光光分布の投射距離を多くすることができる。
【0033】
好ましくは、前記不可視光発光素子及び/又は前記発光ユニットは配光素子を備え、前記配光素子は前記不可視光発光素子と前記発光ユニットから発光する光線を集光することに適している。この好ましい技術案では、前記配光素子は、前記不可視光発光素子から発光する不可視光線及び前記発光ユニットから発光する可視光線を集光し、より多くの光線を同じ方向に集光し、光線の照度及び明瞭さを向上させることができる。
【0034】
本発明の第3の態様は、不可視光検出デバイスを含み、前記不可視光検出デバイスは、本発明の第2の態様に記載の不可視光投射装置で形成される不可視光照射範囲内のターゲットを検出できるターゲット検出装置を提供する。
【0035】
好ましくは、本発明のターゲット検出装置は、可視光検出デバイスをさらに含み、前記可視光検出デバイスは、前記発光ユニットで形成される可視光照射範囲内のターゲットを検出できる。この好ましい技術案では、前記可視光検出デバイスは、可視光照射範囲内のターゲットをリアルタイム且つ正確に検出し、車両運転者の過失や誤判断を回避できる。
【発明の効果】
【0036】
上記技術案によれば、本発明の車両照明装置は、マトリックスヘッドライト又はピクセル化信号灯よりもはるかに少ない複数の前記発光ユニットを使用して、マトリックスヘッドライト又はピクセル化信号灯の機能を実現するものであり、構造がシンプルであり、コストが低く、制御されやすく、体積が小さく、しかも放熱効果がよい。配光素子を使用することによって、各発光ユニットの光線に対する集光度を高め、パターンの明瞭さ及び解像度を向上させる。本発明の不可視光投射装置は、前記不可視光発光素子を前記ロータリーアクチュエータに設け、前記コントローラによって、前記不可視光発光素子の各回転位置での発光状態を制御することで、パターンを制御可能な不可視光光分布を形成する。前記不可視光発光素子は、発光しながら絶えずに回転することで、その放熱効果を高め、それによって、前記不可視光発光素子の放熱装置の簡素化ないし省略が可能になる。本発明のターゲット検出装置は、本発明の不可視光投射装置による照射範囲全体内の不可視光光線を検出し、車両運転者が検知できない安全上の状況を見つけることができ、運転の安全性を向上させる。
【0037】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の発明を実施するための形態の部分において詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の車両照明装置の一実施例の立体構造の模式図である。
【
図2】本発明の車両照明装置の一実施例の部品の分解模式図である。
【
図3】本発明の車両照明装置の一実施例の回転状態の模式図である。
【
図4】本発明の車両照明装置における2組の発光ユニットの直径方向での配列の模式図である。
【
図5】本発明の車両照明装置における3組の発光ユニットの半径方向での対称配列の模式図である。
【
図6】本発明の車両照明装置における複数組の発光ユニットの半径方向での対称配列の模式図である。
【
図7】本発明の車両照明装置の配光素子が反射板である実施例の模式図である。
【
図11】本発明の車両照明装置の配光素子が反射板である別の実施例の模式図である。
【
図13】本発明の車両照明装置の配光素子が集光部材である実施例の模式図である。
【
図16】本発明の車両照明装置の集光部材の部分模式図である。
【
図19】本発明の車両照明装置の別の集光部材の部分模式図である。
【
図22】本発明の車両照明装置のさらなる集光部材の部分模式図である。
【
図25】本発明の車両照明装置の車ランプへの適用の模式図である。
【
図26】本発明の不可視光投射装置の一実施例の立体構造の模式図である。
【
図27】本発明の不可視光投射装置の一実施例の部品の分解模式図である。
【
図28】本発明の不可視光投射装置の一実施例の回転状態の模式図である。
【
図29】本発明の不可視光投射装置の2組の発光ユニットの直径方向での配列の模式図である。
【
図30】本発明の不可視光投射装置の3組の発光ユニットの半径方向での対称配列の模式図である。
【
図31】本発明の不可視光投射装置の複数組の発光ユニットの半径方向での対称配列の模式図である。
【
図32】本発明の不可視光投射装置の配光素子が反射板である実施例の模式図である。
【
図36】本発明の不可視光投射装置の可視光の光分布の模式図である。
【
図37】本発明の不可視光投射装置の可視光光分布外の不可視光単独照射エリアの模式図である。
【
図38】本発明の不可視光投射装置の照明ダークゾーンを備えた可視光の光分布の模式図である。
【
図39】本発明の不可視光投射装置の適用の一例の制御ブロック図である。
【
図40】本発明の不可視光投射装置の適用の一例の制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明では、反対の記載がない限り、使用される方位用語、たとえば「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」により示される方位又は位置関係は本発明の使用状態での方位又は位置関係に基づくものである。車両が正常に走行する方向を「前」とする。
【0040】
本発明では、用語「配光素子」とは、光線の全部又は一部の伝搬方向を変えることで、元の光線分布を変えることができる光学素子である。光線の伝搬方向を変える方式は、反射、屈折、又は他の任意の可能な方式であってもよい。用語「集光部材」は、光線が通過するときに、光線を少なくとも1つの方向において集光させることができる光学デバイスである。
【0041】
なお、本発明の説明において、別途明確な規定や限定がない限り、用語「取り付け」、「接続」などは広義に理解すべきであり、たとえば、用語「接続」は固定して接続されてもよく、取り外し可能に接続されてもよく、一体に接続されてもよい。直接接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよく、2つの素子の内部が連通するか、又は2つの素子が相互作用関係を持つようにしてもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本発明での具体的な定義を理解できる。
【0042】
以下、図面を参照しながら本発明の特定実施形態を詳しく説明するが、ここで説明される特定実施形態は本発明の説明及び解釈にのみ使用され、本発明の特許範囲は下記の特定実施形態に限定されないことを理解すべきである。
【0043】
図1、
図2に示すように、本発明の車両照明装置の一実施形態は、光源1、ロータリーアクチュエータ2、配光素子3、及びコントローラを含む。順次配列され独立して発光可能な発光ユニット11が光源1に複数設けられる。発光ユニット11は、素早く発光・消灯可能な発光素子、好ましくは、十分な発光強度を有し且つ体積が小さい発光素子を用いる。本発明では、LED、レーザーダイオードなどを用いることができる。配光素子3は光源1に隣接する位置に設けられ、発光ユニット11から発光する光線を集光するためものであり、一方では、発光ユニット11から発光する光線の照明の輝度を向上させ、他方では、各発光ユニット11から発光する光線同士の相互影響を避け、形成したパターンの精度を向上させる。配光素子3は、光源1の側面に設けられた反射板31であってもよく、光源1の前面に設けられた集光部材32であってもよく、光線を集光させ得る任意のデバイスであってもよい。光源1はロータリーアクチュエータ2の回転軸に取り付けられ、ロータリーアクチュエータ2によって高速で回転駆動され得る。複数の発光ユニット11は、光源1の回転中心から外周にかけて配列され、本実施形態では、発光ユニット11の具体的な配列形態については特に制限はないが、最外側の発光ユニット11の回転中心からの直線距離により発光範囲が決定される。発光ユニット11間の隙間は等しいものとしてもよく、異なるものとしてもよく、当業者であれば、光学性能に応じて自動的に調整することができる。高速回転状態での光源1のバランスを維持するために、光源1の発光ユニット11の配置領域との反対側において対応する空白領域が必要とされる。配光素子3は、ロータリーアクチュエータ2に取り付けられてもよいし、光源1に取り付けられてもよく、それにより、光源1と同期して回転することが可能になる。配光素子3を設ける際には、ロータリーアクチュエータ2の回転状態でのバランスも考慮すべきである。ロータリーアクチュエータ2としては、高速回転可能でありながら回転状態をフィードバックできる回転駆動デバイス、たとえば、回転数フィードバック電極を備えた直流モータが使用される。また、サーボモータなど、回転数の正確な制御が可能な回転駆動デバイスも使用可能である。コントローラ(図示せず)はロータリーアクチュエータ2の回転数信号を受信し、ロータリーアクチュエータ2の回転数に応じて、一定期間内に各発光ユニットの同一回転位置での点灯・消灯状態が同じとなるように、各発光ユニット11の各々の時刻での点灯又は消灯をそれぞれ制御し、視覚の持続性の原理の作用により固定しているパターンが形成される。各発光ユニット11の特定時刻での点灯・消灯状態を変更すると、形成したパターンを変更することができ、単位時間内の各発光ユニット11の点灯・消灯状態を所定の法則に従って緩やかに変えるように制御すると、動画パターンが形成され得る。ロータリーアクチュエータ2の回転数が25回転/秒、即ち1500回転/分に達すると、安定的なパターンが形成される。ロータリーアクチュエータ2の回転数が高いほど、パターンの安定性が良好であり、本実施形態では、3000回転/分の回転数が好ましい。
図3に示すように、ロータリーアクチュエータ2は時計回りに回転してもよいし、反時計回りに回転してもよく、その回転方向がコントローラの制御プログラムだけに関連し、本発明の機能の実現に影響しない。単位長さにおける発光ユニット11の数を増やすことにより、本発明の車両照明装置の照射精度又は表示の解像度を向上できる。本発明の車両照明装置は、高輝度白色光を発光できる発光ユニット11を使用することによって、マトリックスヘッドライトの代わりとして機能でき、低輝度の彩色発光ユニット11を使用することによって、ピクセル化信号灯の代わりとして機能できる。コントローラとしては、現在広く使用されている51シリーズのワンチップマイコンが使用され、本実施形態では、MCS-51ワンチップマイコンが使用され、その制御及びプログラミング方法は当業者に公知のものであり、本発明ではこれらに関しては改良していないため、ここでは詳しく説明しない。
【0044】
図1及び
図2に示すように、本発明の車両照明装置はブラケット6を備えてもよく、ロータリーアクチュエータ2はブラケット6に取り付けられ、ブラケット6を介してライト本体に固定される。関連部件同士は、溶接、リベット留め、ネジ接続又は接着など、一般的な接続方式で接続され、本明細書に記載の機能が達成されればよい。光源1は従来の回転状態で給電可能なデバイスにより給電され、好ましくは導電性スリップリングにより給電される。給電構造は図面に示されていない。コントローラは、光源1の回路基板に集積されてもよく、ロータリーアクチュエータ2内に集積されてもよく、独立した回路基板の形態で装置に外付けされてもよい。
【0045】
本発明の車両照明装置のいくつかの実施例では、
図1、
図2に示すように、本発明の車両照明装置は取り付け板4をさらに含み、取り付け板4の中心がロータリーアクチュエータ2の回転軸に固定され、光源1及び配光素子3は取り付け板4に取り付けられ、光源1における発光ユニット11は取り付け板4の中心から一方側の縁部にかけて配列され、配光素子3は発光ユニット11の配列方向の両側に設けられる。ロータリーアクチュエータ2は、回転すると、取り付け板4を回転駆動し、光源1及び配光素子3をロータリーアクチュエータ2の回転軸を中心に回転駆動する。取り付け板4は一定の機械的強度を有する絶縁材料で製造することができるが、ロータリーアクチュエータ2の回転軸によく固定できる一方、光源1をよりよく支持して、高速回転中の光源1の振動や変形を回避し、形成したパターンの安定性を確保することから、好ましくは高熱伝導性絶縁プラスチックを用いる。
【0046】
本発明の車両照明装置のいくつかの実施例では、光源1の各発光ユニット11は、ロータリーアクチュエータ2の異なる回転半径上にある。このとき、ロータリーアクチュエータ2が1周回転するたびに、各発光ユニット11の回転軌跡は異なる半径の円を形成し、回転中の時刻ごとに、各発光ユニット11はいずれも回転平面内の1つの異なるピクセルを構成する。したがって、形成したパターンの解像度がより高くなる。各発光ユニット11は、一端がロータリーアクチュエータ2の回転軸を通る1本の線分上に設けられてもよいし、一端がロータリーアクチュエータ2の回転軸を通る複数本の線分上に設けられてもよいし、また、ロータリーアクチュエータ2の回転軸を円心とした円上に分散してもよい。発光ユニット11が一定の面積を占め、且つ隣接する発光ユニット11の間に一定の隙間が存在するため、1本の半径方向に設けられ得る発光ユニット11の数が制限され、つまり、車両照明装置の照明パターンの精度又は表示の解像度が制限される。発光ユニット11を異なる位置に分散して設けることによって、異なる回転半径上にある発光ユニット11の数が多くなり、異なる半径上にある発光ユニット11を個別に制御すると、同一半径における発光ユニット11の配置密度を向上させることになり、車両照明装置の照射精度又は表示の解像度を効果的に向上させ、発光ユニット11のパッケージ体積や設置距離に対する制限を解消し、より高いパターン解像度を達成することができる。
【0047】
本発明の車両照明装置のいくつかの実施例では、
図4~
図6に示すように、光源1の各発光ユニット11は2つ以上の組に分けられ、各組はロータリーアクチュエータ2の回転平面の異なる領域に取り付けられ、また、各組の各発光ユニット11は異なる回転半径を有する。異なる組の各発光ユニット11は、回転半径が同じであってもよく、回転半径が異なってもよいが、回転半径が同じである場合、通常、各組の発光ユニット11の数が同じであり、そして、対応する発光ユニット11はすべて同じ回転半径を有する。各組の発光ユニット11はロータリーアクチュエータ2の回転円の1つの半径に沿って線状に配列されてもよいし、ロータリーアクチュエータ2の回転平面の異なる領域に他の配列形態で配列されてもよく、たとえば、発光ユニット11は、傾斜配置、インボリュート配置など、円心から円周にかけて配置形態をとることもでき、円周上の各発光ユニット11の相対位置もさまざまであり、それにより、本発明の車両照明装置の照明及び/又は信号機能が豊富になる。
【0048】
本発明の車両照明装置の一実施形態として、
図4~
図6に示すうように、複数の発光ユニット11は少なくとも2組に分けられ、各組では、対応する発光ユニット11はロータリーアクチュエータ2の回転円周上に対称に設けられる。たとえば、
図4に示すように、光源1の各発光ユニット11は、ロータリーアクチュエータ2の回転軸を中点とした線分に沿って線状に配列され、つまり、発光ユニット11は、光源1がロータリーアクチュエータ2の回転軸を中心に回転した回転円の2つの対称的な半径に沿って配列される。又は、
図5に示すように、光源1の各発光ユニット11は、ロータリーアクチュエータ2の回転軸からの順次120°をなす3本の等しい長さの線分に配列され、つまり、発光ユニット11は、光源1がロータリーアクチュエータ2の回転軸を中心に回転した回転円の、中心対称となる3本の半径に沿って配列される。又は、
図6に示すように、円形の取り付け板4が設けられ、取り付け板4の円心はロータリーアクチュエータ2の回転軸に固定され、光源1は、取り付け板4の円心から円周方向にかけてロータリーアクチュエータ2の回転円の6個の対称的な半径上に配置される。発光ユニット11が対称的な半径に設けられると、回転状態での光源1のバランスが確保され、また、コントローラのプログラミングも容易である。このような状態では、ロータリーアクチュエータ2は、一周の二分の一(発光ユニット11は2本の半径上にある)又は三分の一(発光ユニット11は3本の半径上にある)だけ回転すると、発光ユニット11が回転円全体をカバーするようにし、ロータリーアクチュエータ2が1周回転すると、発光ユニット11は同一の円周上を3回走査し、このようにして、車両照明装置は、輝度を大幅に向上させるが、精度又は解像度には変わりがない。
【0049】
本発明の車両照明装置のいくつかの実施例では、
図1、
図2に示すように、本発明の車両照明装置では、レンズ5がさらに設けられ、レンズ5は光源1から発光する光線を投射し、特定のパターンを形成するためものである。レンズ5の使用により、本発明の車両照明装置で形成されるパターンの投射距離がより大きくなる。通常、より明瞭な投射パターンを形成するために、光源1はレンズ5の焦点位置付近に設けられる。レンズは、ガラス、プラスチック、ゴムなどの材質のレンズを用いることができ、
図1、
図2に示す平凸レンズとしてもよく、両凸レンズとしてもよく、複数のレンズを組み合わせたレンズ組としてもよい。通常、レンズ5の光軸がロータリーアクチュエータ2の回転軸に平行である。好ましくは、レンズ5の光軸とロータリーアクチュエータ2の回転軸とが同一直線上にある。レンズ5の光軸とロータリーアクチュエータ2の回転軸とが同一直線上にある場合、光源1から発光する光線はレンズの真の前方に投射され、パターンの変形は小さい。レンズ5の光軸がロータリーアクチュエータ2の回転軸に平行であるが、ズレがあるようにするのは、パターン位置及び各部分のパターンの間の接合を調整するためである。両方の間のズレがあまり大きくなく、一般的にミリメートルのスケールである。レンズの結像原理によれば、レンズ5を使用する際に、路面に投射されたパターンが光源1から発光するパターンと反対し、発光ユニット11の点灯・消灯を制御するためのコントローラのプログラムが再プログラムされる必要がある。
【0050】
本発明の車両照明装置のいくつかの実施例では、
図7~
図12に示すように、配光素子3は、発光ユニット11の両側領域に設けられた反射板31である。反射板31は発光ユニット11の両側に設けられ、発光ユニット11から発光する光線を一定の範囲に限定する。
図10、
図12に示すように、発光ユニット11から発光する大角度散乱光線は反射板31に照射され、反射板31によって反射されて発光ユニット11の前方へ放射し、それによって、発光ユニット11から発光する光線は発光ユニット11の前方の一定範囲に集光し、発光ユニット11の光線の散乱を減らし、車ランプ照明装置のパターンの輝度及び表示精度を向上させる。反射板31は光源1に設けられてもよく、光源1を取り付けるための取り付け板4に設けられてもよい。各発光ユニット11の両側に1組の反射板31が設けられてもよいし、複数の発光ユニット11の両側に1組の反射板31が設けられてもよい。
【0051】
本発明の車両照明装置のいくつかの実施例では、
図7~
図10に示すように、反射板31の反射面は曲面である。曲面とされている反射面は反射光線の反射方向をよく制御し、発光ユニット11から発光する光線の集光の度合いを向上させることができる。本発明の車両照明装置の別のいくつかの実施例では、
図11、
図12に示すように、反射板31の反射面は平面である。平面とされている反射面は、構造がシンプルであり、加工しやすく、また、反射発光ユニット11から発光する大角度散乱光を実現し、発光ユニット11から発光する光線の集光の度合いを向上させることができる。各反射板31は複数の発光ユニット11の一側面に設けられ得る。発光ユニット11を組分けするときに、各組の両側のそれぞれに1つの反射板31が設けられ得る。複数の発光ユニット11の側面に1組の反射板31が設けられることにより、反射板31の配置数を減らし、車ランプ照明装置の安定性を向上させることができる。
【0052】
本発明の車両照明装置のいくつかの実施例では、
図13~
図24に示すように、配光素子3は、発光ユニット11の出光面領域に設けられた集光部材32である。集光部材32はほとんど透明材料で製造される透明体である。透明プラスチック、ゴムなどの材料で製造することができ、好ましくはPMMA又はPCが使用される。集光部材32は入光面と出光面を有し、その入光面及び/又は出光面が複数あり、それぞれの入光面及び/又は出光面が1つ又は複数の発光ユニット11に対応するようにしてもよい。発光ユニット11から発光する光線は集光部材32の入光面から集光部材32に導入され、集光部材32によって集光・調光され、集光部材32の出光面から出射され、それにより、発光ユニット11から発光する光線の集光の度合いを向上させ、照明の光効率及びパターンの明瞭さを向上させる。
【0053】
本発明の車両照明装置のいくつかの実施例では、
図13~
図24に示すように、各集光部材32は複数の発光ユニット11の出光面領域に設けられる。車両照明装置のすべての発光ユニット11に対して1つの集光部材32が設けられてもよく、複数の発光ユニット11を組分けして、組ごとに1つの集光部材32が設けられてもよい。また、各領域の複数の発光ユニット11に対して1つの集光部材32が設けられてもよい。複数の発光ユニット11に対して1つの集光部材32が設けられるようにすると、車ランプ照明装置の集光部材32の数を減らし、車ランプ照明装置の安定性を向上させる。
【0054】
本発明の車両照明装置の一実施形態として、
図13~
図15に示すように、集光部材32は断面が二等辺台形である長尺状透明デバイスであり、該透明デバイスでは、二等辺台形の上底辺が位置する面は集光部材32の入光面である。集光部材32の入光面は、発光ユニット11から発光する光線をより多く集光部材32に導入するように、発光ユニット11の出光面に接近して設けられてもよい。二等辺台形の下底辺が位置する面は集光部材32の出光面である。発光ユニット11から発光する光線は該透明デバイスによって屈折され、該透明デバイスの二等辺台形の2つの斜めの辺が位置する2つの側面により反射され、集光度の高い光線となり、集光部材32の出光面から出射される。
【0055】
本発明の車両照明装置の一実施形態として、
図16~
図18に示すように、集光部材32は、一面が円柱面である直方体透明デバイスである。この場合、集光部材32は長い平凸シリンドリカルレンズに相当する。平凸シリンドリカルレンズは、円柱面の長軸と平行な軸方向子午線と、円柱面の長軸に垂直な屈光力子午線とを有する。集光部材32の円柱面は集光部材32の出光面であり、円柱面と反対する面は集光部材32の入光面である。集光部材32は、集光部材32の軸方向子午線が発光ユニット11の配列方向と一致し、且つ発光ユニット11が平凸シリンドリカルレンズの焦点線付近に位置するようにする位置に配置される。発光ユニット11から発光する光線は、該集光部材32を通過するときに、平凸シリンドリカルレンズの屈光力子午線方向において集光し、軸方向子午線方向においてバージェンスが変わらない。それによって、発光ユニット11から発光する光線の集光度が向上し、車ランプ照明装置で形成されるパターンの明瞭さ及び光効率が向上する。
【0056】
本発明の車両照明装置の一実施形態として、
図19~
図21に示すように、集光部材32は、一体成形された複数の平凸レンズであり、複数の前記平凸レンズの平面は同一方向を向いて、前記集光部材の入光面となり、複数の前記平凸レンズの凸面は前記集光部材の出光面となる。平凸レンズの数は発光ユニット11の数と同じである。複数の平凸レンズの配列方向は発光ユニット11の配列方向と一致し、且つ各発光ユニット11は、それぞれ、対応する平凸レンズの焦点付近に位置する。発光ユニット11から発光する光線が対応する平凸レンズを通過するときに、各方向における光線はいずれも集光し、略平行である出射光線が形成され、車ランプ照明装置で形成されたパターンの明瞭さ及び輝度は大幅に向上する。
【0057】
本発明の車両照明装置の一実施形態として、
図22~
図24に示すように、集光部材32は一体成形された複数の集光器である。集光器の構造は、従来の車ランプによく使用されている集光器の構造と同じにしてもよい。集光器の数は発光ユニット11の数と同じであり、且つ、複数の集光器の配列方向は発光ユニット11の配列方向と一致する。複数の発光ユニット11は、それぞれ、対応する集光器の入光面に設けられ、複数の集光器の出光面は同一の滑らかな面を構成することができる。該滑らかな面は平面であっても、曲面であってもよい。各発光ユニット11から発光する光線は、対応する集光器によって調光・伝達されて、集光度のより高い光線を形成し、集光器の出光面から出射される。車ランプ照明装置で形成されたパターンの明瞭さ及び照明輝度が効果的に向上する。
【0058】
本発明の車両照明装置の車ランプにおける1つの配置形態として、
図25に示すように、車両照明装置は、ブラケット6を介して車ランプのケースに設けられ、光源1は、ロータリーアクチュエータ2により駆動されて、車ランプケース内を一定の方向に従って回転する。コントローラ(図示せず)は、ロータリーアクチュエータ2の回転方向及び回転数に応じて、各発光ユニット11の各時刻での点灯・消灯を制御する。各発光ユニット11が回転円の同一位置で点灯・消灯状態を同じに保持すると、本発明の車両照明装置は、模様が一定のパターンを形成し、各発光ユニット11が回転円の同一位置で点灯・消灯状態を一定の法則に従って緩やかに変えると、本発明の車両照明装置は、動画模様を有するパターンを形成できる。発光ユニット11が異なる色の光線を発光すると、カラー模様のパターンを形成できる。レンズ5を使用した場合、本発明の車両照明装置で形成されたパターンをより遠距離で投射することも可能である。本発明の車両照明装置は、車両が道路上を走行するときの照明手段、及び各種の車両走行信号を送信する通知手段として利用可能である。具体的には、ロービーム又はハイビームの強照明灯だけでなく、テールライトなどの信号灯、及び、さまざまな動画型又は投射交互型灯具としても利用可能である。
【0059】
本発明の車両用不可視光投射装置の一実施例として、たとえば
図26、
図27に示すように、光源1、ロータリーアクチュエータ2、及びコントローラを含む。光源1には不可視光発光素子12が設けられ、不可視光発光素子12は、赤外LED、赤外レーザーダイオード、又はレーダー送信機であってもよい。ロータリーアクチュエータ2は、ブラケット6に取り付けられ、ブラケット6を介して車ランプのケースに取り付けられ得る。
図28に示すように、ロータリーアクチュエータ2は回転装置であり、高速回転可能でありながら回転状態をフィードバックできる回転駆動デバイス、たとえば、回転数フィードバック電極を備えた直流モータを使用してもよく、サーボモータなどの回転数を正確に制御可能な回転駆動デバイスを使用してもよい。光源1はロータリーアクチュエータ2の回転軸に取り付けられ、ロータリーアクチュエータ2は、回転すると、光源1を駆動してロータリーアクチュエータ2の回転軸に追従して回転させる。コントローラはロータリーアクチュエータ2に電気的に接続され、ロータリーアクチュエータ2の回転速度を制御することができ、また、ロータリーアクチュエータ2からフィードバックされた回転数情報及び回転位置情報を受信することもできる。コントローラはまた、不可視光発光素子12に電気的に接続され、ロータリーアクチュエータ2の回転数情報及び回転位置情報に応じて、各不可視光発光素子12の異なる時点での発光及び発光停止をそれぞれ制御し、それにより、各不可視光発光素子12の各回転位置での発光状態を実現することができる。各可視光発光素子12は、各回転位置から発光する不可視光照射が一定の時間内に重なって、一定の分布模様を有する不可視光の光分布を形成する。各不可視光発光素子12が一定の時間内に同一の回転位置での発光状態が同じであると、この各不可視光発光素子12から発光する不可視光照射は、所定の時間内に固定されている特定の分布模様を有する不可視光光分布を形成できる。各不可視光発光素子12の特定回転位置での発光状態を変えると、形成した不可視光光分布の分布模様を変えることができる。ロータリーアクチュエータ2は、反時計回りに回転してもよいし、時計回りに回転してもよく、光源1も、ロータリーアクチュエータ2に追従して同一方向に回転する。光源1は、従来の回転状態で給電可能なデバイス、たとえば導電性スリップリングによって給電されてもよい。コントローラ4としては、現在広く使用さている51シリーズのワンチップマイコンが使用され、本実施例では、MCS-51ワンチップマイコンが使用され、その制御及びプログラミング方法は当業者に公知のものであり、本発明ではこれらに関しては改良していないため、ここでは詳しく説明しない。
【0060】
本発明の車両用不可視光投射装置のいくつかの実施例では、
図26、
図27に示すように、ロータリーアクチュエータ2の回転軸に取り付け板4が取り付けられ、光源1は取り付け板4に設けられる。取り付け板4は光源1に高い取り付け強度を付与し、高速回転中に光源1が振動して不可視光照射の安定性を損なうことを回避する。
【0061】
本発明の車両用不可視光投射装置のいくつかの実施例では、
図26、
図27に示すように、光源1に複数の不可視光発光素子12が設けられ、複数の不可視光発光素子12はロータリーアクチュエータ2の異なる回転半径上にある。本発明では、複数の不可視光発光素子12の配列形態については特に制限はなく、各種の可能な形態で配列してもよい。複数の不可視光発光素子12は、
図28に示すように、ロータリーアクチュエータ2の回転軸の一方側に直線状に配列されてもよく、
図29に示すように、ロータリーアクチュエータ2の回転軸を通る1本の直線上に配列されてもよく、
図30に示すように、ロータリーアクチュエータ2の回転平面に均等に分布している複数の半径上、又は
図31に示すように、ロータリーアクチュエータ2の回転平面に均等に分布している複数の直径上に配列されてもよい。取り付け板4を使用した場合、取り付け板4は、不可視光発光素子12の配列形態に応じて、さまざまな形状、たとえば直線形、分岐形や円形にしてもよい。
【0062】
本発明の車両用不可視光投射装置のいくつかの実施例では、
図26、
図27に示すように、光源1は発光ユニット11をさらに含む。コントローラはまた、発光ユニット11に電気的に接続され、各発光ユニット11の発光状態をそれぞれ制御することができる。コントローラは、ロータリーアクチュエータ2によってフィードバックされた回転数情報及び回転位置情報に応じて、各発光ユニット11の異なる時点での発光及び消灯をそれぞれ制御し、各発光ユニット11の各回転位置での発光状態を実現することができる。異なる時点で発光ユニット11が各回転位置から発光する光線は異なる照明ゾーンを形成し、視覚の持続性原理の作用によって、異なる照明ゾーンは組み合わせられて特定の可視光光分布模様を形成し、さまざまな走行環境で車両の照明への要件を満たす。ここでの照明ゾーンとは、ある期間内で発光ユニット11の照射により照明可能な領域のことである。
図36に示すように、発光ユニット11から発光する光線で形成される照射範囲は可視光照射領域Mであり、可視光照射領域Mは、発光ユニット11の各回転位置(つまり異なる期間)で発光する光線によって形成される照明ゾーンM1-M12を含み、各照明ゾーンM1-M12は、独立して明暗を制御され得る。照明ゾーンM1-M12全体が照明された場合、形成される可視光光分布は可視光照射領域Mであり、照明ゾーンM1-M12の異なる明暗の組み合わせによって異なる可視光光分布が形成される。
【0063】
本発明の車両用不可視光投射装置のいくつかの実施例では、本発明の車両用不可視光投射装置の不可視光発光素子12から発光する不可視光によって形成され得る照射範囲は、少なくとも発光ユニット11から発光する可視光によって形成され得る照射範囲をカバーできる。このようにして、道路走行環境のニーズに応じて、可視光による照射範囲内のいずれの領域においても一部の照明ダークゾーンが形成されていても、本発明の車両用不可視光投射装置は不可視光を発光し、該照明ダークゾーン内に不可視光照射を実現でき、それにより、該照明ダークゾーン内の走行の安全性に影響を与える可能性のある状況を監視し、車両走行の安全性を向上させることができる。
図38に示すように、発光ユニット11によって形成された可視光照射領域M内の一部の照明ゾーン(
図38中のM4、M10)内に他の道路使用者が現れた場合、灯光による他の道路使用者の眩目を防止するために、特定の発光ユニット11を制御して特定の回転位置で消灯させ、該照明ゾーン(
図38中のM4、M10)において照明ダークゾーンを形成する必要がある。また、照明ダークゾーンの存在は車両運転者の観察範囲に影響を与え、安全上のリスクが生じてしまい、このため、不可視光発光素子12によって該照明ゾーン範囲に対して不可視光照射を行うことで、検出デバイスを用いて該照明ダークゾーンの安全状態を監視し、運転の安全性を向上させる。
【0064】
本発明の車両用不可視光投射装置のいくつかの実施例では、
図37に示すように、本発明の不可視光投射装置の発光ユニット11から発光する可視光は可視光照射領域Mを形成し、ここで、不可視光発光素子12から発光する不可視光は可視光照射領域Mの前方に不可視光単独照射エリアN1を形成し、可視光照射領域Mの左右両側のそれぞれに不可視光単独照射エリアN2及びN3を形成することができる。不可視光単独照射エリアN1によって、検出デバイスを用いて車両前方からより遠い道路の状況を検出し、対向車の走行の安全性に影響せずに運転者が観察できないより遠い道路の状況を把握することができる。不可視光単独照射エリアN2及びN3によって、検出デバイスを用いて車両の左右にあるより広範囲での状況を検出し、車両運転者により観察可能な範囲を広げ、車両走行の安全性を向上させることができる。特に車両が夜間に走行して、車両運転者の視野範囲が制限されている場合、使用の効果が顕著である。
【0065】
本発明の車両用不可視光投射装置のいくつかの実施例では、
図26、
図27に示すように、車両用不可視光投射装置の出光光路上にレンズ5が設けられる。不可視光発光素子12から発光する不可視光はレンズ5を介して集光されて投射され、不可視光光分布模様を形成する。発光ユニット11から発光する光線はまた、レンズ5を介して集光されて投射され、より明瞭な可視光分布パターンを形成することもできる。レンズ5による集光によって、不可視光光分布模様と可視光分布パターンをより遠く投射することができる。
【0066】
本発明の車両用不可視光投射装置のいくつかの実施例では、
図26~
図35に示すように、不可視光発光素子12及び/又は発光ユニット11は配光素子3を備える。
図33、
図34に示すように、配光素子3は、不可視光発光素子12及び/又は発光ユニット11の両側に設けられた反射板であってもよい。
図35に示すように、反射板は、不可視光発光素子12及び/又は発光ユニット11から発光する大角度散乱光線を反射し、これらから発光する光線をより多く光源1の前方に放射させ、発光する光線の集光度を向上させ、形成された光分布の照度を増加することができる。もちろん、配光素子3は、光源1の適切な位置に設けられた、光線伝搬方向を変えて光線分布を変えることができる他の光学素子であってもよい。たとえば、不可視光発光素子12及び/又は発光ユニット11の前方に設けらた集光デバイス、具体的には、集光器であり、また、大入光面を有する集光レンズなどであってもよい。集光デバイスを使用することによって、不可視光発光素子12及び/又は発光ユニット11から発光する光線を集光し、発光する光線の集光度を向上させ、形成された光分布の照度を増加することができる。
【0067】
本発明のターゲット検出装置は不可視光検出デバイスを含み、該不可視光検出デバイスは本発明のいずれか1つの実施例の不可視光投射装置によって形成される不可視光照射範囲内のターゲットを検出することができる。ターゲットとは、道路上の物体や歩行者などであり、物体は、落下した物体、車両などを含む。該ターゲット検出装置は、1つの不可視光検出デバイスを用いて不可視光照射範囲全体内のターゲットを検出してもよく、複数の不可視光検出デバイスを用いて、不可視光照射範囲内の異なる部分でのターゲットをそれぞれ検出してもよく、複数の不可視光検出デバイスの検出範囲は不可視光照射範囲全体をカバーする。不可視光投射装置に使用される不可視光発光素子12から発光する不可視光が赤外光である場合、ターゲット検出装置の不可視光検出デバイスは、赤外受信ダイオードなどの赤外センサも、赤外線カメラも使用可能である。不可視光投射装置に使用される不可視光発光素子12がレーダー送信機である場合、ターゲット検出装置の不可視光検出デバイスはレーダー受信機を用いる。ターゲット検出装置は、不可視光検出デバイスによって検出されたターゲット信号をグラフィック信号にして運転者に認識されることに用いてもよく、コントローラによって認識可能な電気信号に変換して、コントローラによって認識・処理してもよい。
【0068】
本発明のターゲット検出装置のいくつかの実施例では、ターゲット検出装置は可視光検出デバイスをさらに含み、該可視光検出デバイスは、本発明の不可視光投射装置のいずれかの実施例における発光ユニット11によって投射されてなる可視光照射範囲内のターゲットを検出することができる。該可視光検出デバイスとしては、フォト検出ヘッドも、カメラも使用可能である。もちろん、該可視光検出デバイスは車両の既存の監視機器としてもよい。上記ターゲット検出装置は独立して車両に設けられてもよく、上記車両の不可視光投射装置に集積されてもよい。
【0069】
本発明の不可視光投射装置及びそれに対応する本発明のターゲット検出装置は、組み合わせてスマートドライビングカーに使用してもよい。不可視光投射装置は、独立したコントローラを備えず、スマートドライビングカーのスマート制御装置によって不可視光投射装置の光源1とロータリーアクチュエータ2を調整・制御することができ、また、該スマート制御装置はターゲット検出装置によって検出された情報を分析・処理することもできる。不可視光投射装置は独立したコントローラを備えてもよく、
図39に示すように、ターゲット検出装置によって検出された情報は該コントローラに伝達され、コントローラは車両の走行安全性に対するターゲットの影響を分析し、不可視光発光素子12、発光ユニット11、及びロータリーアクチュエータ2を制御して協力して作動させ、対応する不可視光の光分布及び可視光の光分布を形成し、それによって、車両の走行安全性及びターゲットの安全性を確保する。コントローラはまたスマートドライビングカーのスマート制御装置に接続されてもよく、また、必要に応じてスマートドライビングカーのスマート制御装置を介してスマートドライビングカーの走行状態を調整・制御することもでき、それにより、自動車に対するスマート制御が実現され、スマートドライビングカーの安全性が向上する。
【0070】
本発明の不可視光投射装置及びそれに対応する本発明のターゲット検出装置をスマートドライビングカーに適用する場合の制御プロセスの一例を
図40に示す。すなわち、自動車の走行中、可視光検出デバイスは、道路上のターゲットを持続的に検出し、道路上に他の道路使用者がいると検出した場合、コントローラはロータリーアクチュエータ2の回転数に応じて、発光ユニット11の各回転位置での発光状態を制御し、他の道路使用者が位置する可視光照射領域に対応する回転位置での発光ユニット11を消灯することで、可視光照射範囲内の他の道路使用者がいる位置を照明ダークゾーンとし、それにより、可視光の照射が他の道路使用者の視線へ悪影響を及ぼし、他の道路使用者の不快さをもたらし、交通安全に悪影響を与えることを回避する。
図38に示すように、可視光照射領域M内の照明ゾーンM4に対向車が現れた場合、照明ゾーンM4において照明ダークゾーンを形成するように、発光ユニット11の特定回転位置での発光状態を制御する。可視光照射領域Mの照明ゾーンM10内に歩行者が現れた場合、照明ゾーンM10において照明ダークゾーンを形成するように、発光ユニット11の特定回転位置での発光状態を制御する。また、コントローラは、照明ゾーンM4及び/又は照明ゾーンM10(照明ダークゾーン)内に不可視光照射(図に示す破線部分は不可視光で照射された)を形成するように、不可視光発光素子12の対応する回転位置での発光状態を制御し、不可視光検出デバイスによって他の道路使用者又は他のターゲットの位置などの情報を検出する。他の道路使用者又は他のターゲットの自動車からの距離が安全距離S1よりも大きい場合、該道路使用者の位置などの検出を持続し、新しい検出情報に応じて可視光照明ダークゾーンと不可視光の照射位置を調整し、該道路使用者又は他のターゲットが可視光照明ダークゾーン及び不可視光照射範囲内にいるようにする。該道路使用者又は他のターゲットの自動車からの距離が安全距離S1内である場合、コントローラは、自動車運転者の注意を喚起するために、該道路使用者又は他のターゲットを照明するように、発光ユニット11の発光状態を制御する。また、自動車を減速制御することもでき、そして、道路の交通状況によって許可される場合、走行方向を調整して避けるように自動車を制御してもよい。これらの手段は、自動車走行の安全性及び自動車のスマートドライビングのレベルを向上させる。安全距離S1は車速に応じて異なる値に設定してもよい。
【0071】
上記技術案によれば、本発明の車両照明装置は、少ない発光ユニット11を含む光源1がロータリーアクチュエータ2によって回転駆動され、コントローラが各発光ユニット11の各回転時刻での点灯・消灯状態を制御する方式を採用して、視覚の持続性の原理を利用してさまざまなパターンを形成するものであり、構造がシンプルであり、容易に実現できる。使用する発光ユニット及び一次光学素子の数はマトリックスヘッドライト及びピクセル化信号灯よりもはるかに少ないものの、実現する機能はマトリックスヘッドライト及び/又はピクセル化信号灯の機能に相当する。配光素子3の使用によって、発光ユニット11から発光する光線の集光度が向上し、大角度散乱光の浪費、及び隣接する発光ユニット11間の光線の相互干渉が低減し、形成したパターンの輝度及び明瞭さが向上し、作動中、各発光ユニット11がいずれも回転状態にあるので、発光ユニット11の発光により生じた熱を空気に順調に伝達でき、したがって、本発明の車両照明装置は、放熱性に極めて優れ、追加の放熱装置を必要としない。車両照明装置の占有スペース及び装置の重量を効果的に減らすことができる。上記原因から、本発明の車両照明装置は低コストで実現できる。
【0072】
本発明の車両照明装置の好ましい技術案では、各発光ユニット11は前記回転軸に沿って回転円周へ2つ以上の対称半径上に線状に配列されてもよく、そして、各発光ユニット11が異なる回転半径上にあるという技術案は、装置の発光精度を効果的に向上させ、より微細な照射パターン又は表示解像度を形成することができる。円形取り付け板4を使用することによって、光源1の発光ユニット11の配置方式が豊富になり、光源1の回転安定性が高まり、回転抵抗力が低下する。配光素子3が複数の発光ユニット11の隣接領域に設けられるという配置方式によって、本発明の車両照明装置の構造が簡素化され、さらに構造の安定性が向上する。反射板31又は集光部材32の異なる実装形態では、発光ユニット11から発光する光線を集光するために異なる構造が使用され、それによって、光源1の光効率及び投射距離が向上し、本発明の車両照明装置によって形成されるパターンの輝度及び明瞭さが向上する。
【0073】
本発明の車両用不可視光投射装置では、ロータリーアクチュエータ2上を回転している不可視光発光素子12を用いて不可視光を放射することにより、運転者が照明ダークゾーン及び照明範囲以外の領域を観察できるという難問を解決し、車両走行の安全性を大幅に向上させる。作動中、不可視光発光素子12が回転状態にあるので、不可視光発光素子12の発光により生じた熱を空気に順調に伝達でき、このように、本発明の車両用不可視光投射装置は、放熱性に極めて優れ、追加の放熱装置を必要とせずに不可視光発光素子12の放熱が可能である。したがって、本発明の不可視光投射装置の重量及び実施コストの両方が低い。
【0074】
本発明の車両用不可視光投射装置の好ましい技術案では、異なる回転半径上にある複数の不可視光発光素子12を使用することによって、時刻ごとに各不可視光発光素子12がいずれも回転平面内の1つの異なるピクセルを構成し、このように、不可視光の投射範囲及び不可視光光分布の解像度を向上させる。コントローラの使用は、一定の分布模様を有する不可視光分布を形成するように、ロータリーアクチュエータ2の回転数、不可視光発光素子12の発光状態を制御することを可能とし、それによって、一部の領域への不可視光照射を実現し、また、不可視光発光素子12のパワーが一定である場合、一部の領域への高強度照射を実現し、ターゲットに対する検出精度を向上させることもできる。発光ユニット11を設けることにより、不可視光照射領域を形成すると同時に可視光分布パターンを形成し、それにより、車両の可視光照明が可能になる。さらに、不可視光発光素子12及び発光ユニット11の位置の設定及びコントローラによる制御によって、設計の要件を満たす不可視光分布と可視光分布を組み合わせることができる。レンズ5及び配光素子3を使用することによって、不可視光及び可視光の投射距離及び投射精度を向上させる。
【0075】
本発明のターゲット検出装置は、本発明の不可視光投射装置によって形成される不可視光照射範囲全体内のターゲットを検出し、不可視光照射範囲内の道路状態を感知することができ、したがって、本発明の不可視光投射装置と組み合わせて車両走行の安全性を向上させることができる。さらに、本発明の不可視光投射装置の利点を有する。
【0076】
本明細書の説明において、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」又は「一実施形態」などを参照した説明は、当該実施例又は実施形態の具体的な特徴が本発明の少なくとも1つの実施例又は実施形態に含まれることを意図している。上記用語の例示的な記述は、必ずしも、同一の実施例又は実施形態に対するものとは限らない。そして、説明する具体的な特徴は、任意の1つ又は複数の実施例又は実施形態において適切な方式で組み合わせることができる。さらに、互いに矛盾しない限り、当業者は、本明細書における異なる実施例又は実施形態、及び異なる実施例又は実施形態の特徴を結合したり組み合わせたりすることができる。
【0077】
以上、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態を詳しく説明したが、本発明はこれらに限定されない。本発明の技術的構想の範囲を逸脱することなく、本発明の技術案について多くの簡単な変形を行うことができ、このような変形には、具体的な技術的特徴を任意の適切な方式で組み合わせる場合が含まれ、不必要な重複を避けるために、本発明では、各種の可能な組み合わせ方式については再度説明しない。ただし、これらの簡単な変形及び組み合わせも本発明で開示された内容とみなすべきであり、すべて本発明の特許範囲に属する。
【符号の説明】
【0078】
1 光源
2 ロータリーアクチュエータ
3 配光素子
4 取り付け板
5 レンズ
6 ブラケット
11 発光ユニット
12 不可視光発光素子
31 反射板
32 集光部材
M 可視光照射領域
N1、N2、N3 不可視光単独照射エリア。