(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】CT画像基盤の部位別の大脳皮質収縮率の予測方法及び装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20230724BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230724BHJP
G06T 7/11 20170101ALI20230724BHJP
G06V 10/82 20220101ALI20230724BHJP
【FI】
A61B6/03 360T
G06T7/00 612
G06T7/00 350C
G06T7/11
G06V10/82
A61B6/03 360J
(21)【出願番号】P 2022514861
(86)(22)【出願日】2020-09-02
(86)【国際出願番号】 KR2020011790
(87)【国際公開番号】W WO2021045507
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】10-2019-0109863
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510273880
【氏名又は名称】コリア ユニバーシティ リサーチ アンド ビジネス ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】KOREA UNIVERSITY RESEARCH AND BUSINESS FOUNDATION
(73)【特許権者】
【識別番号】512196600
【氏名又は名称】サムソン ライフ パブリック ウェルフェア ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン、チョン キョン
(72)【発明者】
【氏名】ソ、サン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム、チョン フン
(72)【発明者】
【氏名】キム、シヒョン
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/114238(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/032940(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/044089(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2001398(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14
A61B 5/055
G06T 7/00 - 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力条件としてCT画像を有し、出力条件としてセグメンテーション情報を有する複数の学習データを通じて、ディープラーニングネットワークに
前記CT画像と
前記セグメンテーション情報との相関関係を学習させるディープラーニング段階と、
CT画像のそれぞれに対応するセマンティック特徴情報をセグメンテーション情報のそれぞれに基づいて抽出する特徴抽出段階と、
セマンティック特徴情報のそれぞれに対応する多数の部位別の大脳皮質収縮率を追加獲得した後、マシンラーニングモデルにセマンティック特徴情報と部位別の大脳皮質収縮率との相関関係を学習させるマシンラーニング段階と、
分析対象画像が入力されれば、前記ディープラーニングネットワークを通じて分析対象画像に対応するセグメンテーション情報を獲得するセグメンテーション段階と、
セグメンテーション情報に基づいて分析対象画像に対応するセマンティック特徴情報を抽出した後、前記マシンラーニングモデルを通じてセマンティック特徴情報に対応する部位別の大脳皮質収縮率を予測及び通報する予測段階と、
を含む、CT画像基盤の部位別の大脳皮質収縮率の予測方法。
【請求項2】
前記ディープラーニングネットワークは、ユーネットモデルとして具現されることを特徴とする、請求項1に記載のCT画像基盤の部位別の大脳皮質収縮率の予測方法。
【請求項3】
前記セグメンテーション情報は、MRI画像基盤として抽出され、白質領域情報、灰白質領域情報、及び脳室領域情報を含むことを特徴とする、請求項1に記載のCT画像基盤の部位別の大脳皮質収縮率の予測方法。
【請求項4】
前記セマンティック特徴情報は、白質の3次元体積比、灰白質の3次元体積比、白質と灰白質との3次元体積比の総和、脳室の3次元体積、白質の2次元面積比、灰白質の2次元面積比、白質と灰白質との2次元面積比の総和、脳室の2次元面積を含むことを特徴とする、請求項1に記載のCT画像基盤の部位別の大脳皮質収縮率の予測方法。
【請求項5】
前記マシンラーニングモデルは、正規化されたロジスティック回帰モデル、線形判別分析モデル、ガウスナイーブベイズモデルのうち少なくとも1つを用いて間接多数決投票モデルとして具現されることを特徴とする、請求項1に記載のCT画像基盤の部位別の大脳皮質収縮率の予測方法。
【請求項6】
多数患者のCT画像または分析対象画像が入力されれば、剛体変換を通じて画像整合した後、頭蓋骨画像を除去する画像前処理動作を行う段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のCT画像基盤の部位別の大脳皮質収縮率の予測方法。
【請求項7】
多数患者のCT画像または分析対象画像が入力されれば、剛体変換を通じて画像整合した後、頭蓋骨画像を除去するCT画像前処理部と、
CT画像のそれぞれに対応するセグメンテーション情報のそれぞれを追加獲得した後、ディープラーニングネットワークにCT画像とセグメンテーション情報との相関関係を学習させるディープラーニング部と、
分析対象画像に対応するセグメンテーション情報を
、前記ディープラーニングネットワークを
通じて獲得及び出力するセグメンテーション部と、
CT画像または分析対象画像に対応するセマンティック特徴情報をセグメンテーション情報のそれぞれに基づいて抽出する特徴抽出部と、
CT画像のセマンティック特徴情報のそれぞれに対応する多数の部位別の大脳皮質収縮率を追加獲得した後、マシンラーニングモデルにセマンティック特徴情報と部位別の大脳皮質収縮率との相関関係を学習させるマシンラーニング部と、
前記マシンラーニングモデルを通じて分析対象画像のセマンティック特徴情報に対応する部位別の大脳皮質収縮率を予測及び通報する予測部と、
を含む、CT画像基盤の部位別の大脳皮質収縮率の予測装置。
【請求項8】
前記ディープラーニングネットワークは、ユーネットモデルとして具現されることを特徴とする、請求項7に記載のCT画像基盤の部位別の大脳皮質収縮率の予測装置。
【請求項9】
前記セグメンテーション情報は、白質領域情報、灰白質領域情報、及び脳室領域情報を含むことを特徴とする、請求項7に記載のCT画像基盤の部位別の大脳皮質収縮率の予測装置。
【請求項10】
前記セマンティック特徴情報は、白質の3次元体積比、灰白質の3次元体積比、白質と灰白質との3次元体積比の総和、脳室の3次元体積、白質の2次元面積比、灰白質の2次元面積比、白質と灰白質との2次元面積比の総和、脳室の2次元面積を含むことを特徴とする、請求項7に記載のCT画像基盤の部位別の大脳皮質収縮率の予測装置。
【請求項11】
前記マシンラーニングモデルは、正規化されたロジスティック回帰モデル、線形判別分析モデル、ガウスナイーブベイズモデルのうち少なくとも1つを用いて間接多数決投票モデルとして具現されることを特徴とする、請求項7に記載のCT画像基盤の部位別の大脳皮質収縮率の予測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディープラーニング及びマシンラーニング技術を用いて、MRI画像の代わりに、CT画像を用いて部位別の大脳皮質収縮率を予測可能にする新たな方式のCT画像基盤の部位別の大脳皮質収縮率の予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
痴呆は、慢性及び進行性脳疾患症候群であって、脳病変の発生及び進行によって記憶力、実行能力を含んだ認知機能の障害と共に、情緒障害、行動調節障害が伴われ、日常生活を独立して行える能力に障害を招く老年期の代表的な器質性精神障害である。多様な脳損傷によって痴呆が発病するが、最も代表的な原因疾患はアルツハイマー型痴呆であって、全体痴呆類型のうち71%を占めている。
【0003】
アルツハイマー病の発病原因は、まだ正確に明らかになっていないが、βアミロイドタンパク質の生産増加と排出減少とによってβアミロイドタンパク質が沈着され、アミロイド斑を形成して、他の要因と相互作用を通じて広範囲な神経細胞の破壊を起こすと知られている。
【0004】
これにより、PET-CT装置を通じてPET画像を獲得し、これに基づいてβアミロイドの蓄積程度を分析及び評価して、アルツハイマー病を診断する方法が提案された。
【0005】
但し、PET-CT装置は、PET画像の以外にCT画像をさらに提供するが、アルツハイマー病の診断時に、CT画像を全く用いることができないという短所がある。特に、アルツハイマー病の診断時に、部位別の大脳皮質収縮率を追加確認させるが、CT画像を通じては、このような情報を提供することができず、別途のMRI装置を通じてMRIイメージを獲得及び分析することにより、当該情報を獲得及び提供しなければならない煩わしさがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記問題点を解決するためのものであって、本発明は、ディープラーニング及びマシンラーニング技術を用いて、MRI画像の代わりに、CT画像を用いて部位別の大脳皮質収縮率を予測可能にする新たな方式のCT画像基盤の部位別の大脳皮質収縮率の予測装置を提供することである。
【0007】
本発明の目的は、前述した目的に制限されず、言及されていないさらなる目的は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、本発明の一実施形態によれば、多数患者のCT画像とセグメンテーション情報とを選択及び用いて、ディープラーニングネットワークにCT画像とセグメンテーション情報との相関関係を学習させるディープラーニング段階;CT画像のそれぞれに対応するセマンティック特徴情報をセグメンテーション情報のそれぞれに基づいて抽出する特徴抽出段階;セマンティック特徴情報のそれぞれに対応する多数の部位別の大脳皮質収縮率を追加獲得した後、マシンラーニングモデルにセマンティック特徴情報と部位別の大脳皮質収縮率との相関関係を学習させるマシンラーニング段階;分析対象画像が入力されれば、前記ディープラーニングネットワークを通じて分析対象画像に対応するセグメンテーション情報を獲得するセグメンテーション段階;及びセグメンテーション情報に基づいて分析対象画像に対応するセマンティック特徴情報を抽出した後、前記マシンラーニングモデルを通じてセマンティック特徴情報に対応する部位別の大脳皮質収縮率を予測及び通報する予測段階;を含むCT画像基盤の部位別の大脳皮質収縮率の予測方法を提供する。
【0009】
前記ディープラーニングネットワークは、ユーネット(U-net)モデルとして具現されることを特徴とする。
【0010】
前記セグメンテーション情報は、白質領域情報、灰白質領域情報、及び脳室領域情報を含むことを特徴とする。
【0011】
前記セマンティック特徴情報は、白質の3次元体積比、灰白質の3次元体積比、白質と灰白質との3次元体積比の総和、脳室の3次元体積、白質の2次元面積比、灰白質の2次元面積比、白質と灰白質との2次元面積比の総和、脳室の2次元面積を含むことを特徴とする。
【0012】
前記マシンラーニングモデルは、正規化されたロジスティック回帰モデル、線形判別分析モデル、ガウスナイーブベイズモデルのうち少なくとも1つを用いて間接多数決投票モデルとして具現されることを特徴とする。
【0013】
前記方法は、多数患者のCT画像または分析対象画像が入力されれば、剛体変換(Rigid Body Transformation)を通じて画像整合した後、頭蓋骨画像を除去する画像前処理動作を行う段階をさらに含むことを特徴とする。
【0014】
前記課題を解決するための手段として、本発明の他の実施形態によれば、多数患者のCT画像または分析対象画像が入力されれば、剛体変換を通じて画像整合した後、頭蓋骨画像を除去するCT画像前処理部;CT画像のそれぞれに対応するセグメンテーション情報のそれぞれを追加獲得した後、ディープラーニングネットワークにCT画像とセグメンテーション情報との相関関係を学習させるディープラーニング部;分析対象画像に対応するセグメンテーション情報を前記ディープラーニングネットワークを獲得及び出力するセグメンテーション部;CT画像または分析対象画像に対応するセマンティック特徴情報をセグメンテーション情報のそれぞれに基づいて抽出する特徴抽出部;CT画像のセマンティック特徴情報のそれぞれに対応する多数の部位別の大脳皮質収縮率を追加獲得した後、マシンラーニングモデルにセマンティック特徴情報と部位別の大脳皮質収縮率との相関関係を学習させるマシンラーニング部;前記マシンラーニングモデルを通じて分析対象画像のセマンティック特徴情報に対応する部位別の大脳皮質収縮率を予測及び通報する予測部;を含むCT画像基盤の部位別の大脳皮質収縮率の予測装置を提供する。
【0015】
前記ディープラーニングネットワークは、ユーネットモデルとして具現されることを特徴とする。
【0016】
前記セグメンテーション情報は、白質領域情報、灰白質領域情報、及び脳室領域情報を含むことを特徴とする。
【0017】
前記セマンティック特徴情報は、白質の3次元体積比、灰白質の3次元体積比、白質と灰白質との3次元体積比の総和、脳室の3次元体積、白質の2次元面積比、灰白質の2次元面積比、白質と灰白質との2次元面積比の総和、脳室の2次元面積を含むことを特徴とする。
【0018】
前記マシンラーニングモデルは、正規化されたロジスティック回帰モデル、線形判別分析モデル、ガウスナイーブベイズモデルのうち少なくとも1つを用いて間接多数決投票モデルとして具現されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、ディープラーニングネットワークを通じてセグメンテーションされたCT画像を獲得することができ、マシンラーニングモジュールを通じて部位別の大脳皮質収縮率をより迅速かつ正確に予測可能にする。
【0020】
その結果、PET-CT装置を通じて獲得されるPET画像とCT画像いずれもをアルツハイマー病の診断に利用することができ、特に、MRI装置を別途に利用せずとも、部位別の大脳皮質収縮率まで獲得及び提供可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態によるCT画像基盤の部位別の大脳皮質収縮率の予測装置を示す図面である。
【
図2】本発明の一実施形態によるCT画像前処理方法を説明する図面である。
【
図3】本発明の一実施形態によるディープラーニングネットワークの具現例を示す図面である。
【
図4】本発明の一実施形態によるマシンラーニングモジュールの具現例を示す図面である。
【
図5】本発明の一実施形態によるCT画像基盤の部位別の大脳皮質収縮率の予測方法を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の内容は、単に本発明の原理を例示する。したがって、当業者は、たとえ本明細書に明確に説明ないしは図示されていないとしても、本発明の原理を具現し、本発明の概念と範囲とに含まれた多様な装置を発明することができるものである。また、本明細書に列挙されたあらゆる条件付き用語及び実施形態は、原則的に、本発明の概念が理解されるための目的のみで明らかに意図され、このように特別に列挙された実施形態及び状態に制限的ではないと理解しなければならない。
【0023】
また、本発明の原理、観点及び実施形態だけではなく、特定の実施形態を列挙するあらゆる詳細な説明は、このような事項の構造的及び機能的均等物を含むように意図されると理解しなければならない。また、このような均等物は、現在公知の均等物だけではなく、将来開発される均等物、すなわち、構造と無関係に同じ機能を行うように発明されたあらゆる素子を含むものと理解しなければならない。
【0024】
したがって、例えば、本明細書のブロック図は、本発明の原理を具体化する例示的な回路の概念的な観点を示すものと理解しなければならない。同様に、あらゆるフローチャート、状態変換図、擬似コードなどは、コンピュータで読取り可能な媒体に実質的に示すことができ、コンピュータまたはプロセッサが明らかに示されているか否かを問わず、コンピュータまたはプロセッサによって行われる多様なプロセスを示すものと理解しなければならない。
【0025】
プロセッサまたはこれと類似した概念として表示された機能ブロックを含む図面に示された多様な素子の機能は、専用ハードウェアだけではなく、適切なソフトウェアと関連してソフトウェアを実行する能力を有したハードウェアの使用によって提供されうる。プロセッサによって提供される時、前記機能は、単一専用プロセッサ、単一共有プロセッサまたは複数の個別的プロセッサによって提供され、これらのうち一部は共有される。
【0026】
また、プロセッサ、制御またはこれと類似した概念として提示される用語の明確な使用は、ソフトウェアを実行する能力を有したハードウェアを排他的に引用して解析されてはならず、制限なしにデジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ソフトウェアを保存するためのROM、RAM及び非揮発性メモリを暗示的に含むものと理解しなければならない。周知寛容の他のハードウェアも含まれる。
【0027】
本明細書の特許請求の範囲において、詳細な説明に記載の機能を行うための手段として表現された構成要素は、例えば、前記機能を行う回路素子の組み合わせまたはファームウェア/マイクロコードなどを含むあらゆる形式のソフトウェアを含む機能を行う、あらゆる方法を含むものと意図され、前記機能を行うように、前記ソフトウェアを実行するための適切な回路と結合される。このような特許請求の範囲によって定義される本発明は、多様に列挙された手段によって提供される機能が結合され、請求項が要求する方式と結合されるために、前記機能を提供することができる如何なる手段も、本明細書から把握されるものと均等なものであると理解しなければならない。
【0028】
前述した目的、特徴及び長所は、添付図面と関連した次の詳細な説明を通じてより明白になり、それにより、当業者が本発明の技術的思想を容易に実施することができる。また、本発明を説明するに当って、本発明と関連した公知の技術についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明にする恐れがあると判断される場合に、その詳細な説明を省略する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態によるCT画像基盤の部位別の大脳皮質収縮率の予測装置を示す図面である。
【0030】
図1を参照すれば、本発明の部位別の大脳皮質収縮率の予測装置は、CT画像前処理部110、ディープラーニング部121、セグメンテーション部123、特徴抽出部130及びマシンラーニング部141、及び予測部143などを含む。
【0031】
CT画像前処理部110は、既獲得されたCT画像または分析対象者のCT画像のそれぞれを受信及び前処理して、ディープラーニングが可能な画像形態に変換する。
【0032】
すなわち、CT画像は、脳を軸方向、矢状方向、冠状方向にスキャニングした多数の断面画像であって、スキャニング方向によって断面画像のそれぞれが互いに異なる座標系を有することを考慮して、
図2でのように、多数の断面画像を剛体変換を通じて整合(registration)して断面画像間の相互関係を把握する。そして、CT画像に含まれた頭蓋骨画像を除去して脳組織画像のみを残す(Skull Stripping)。
【0033】
また、必要な場合、画像の品質向上のための密度正規化(intensity normalization)及びヒストグラム平滑化(Histogram Equalization)をさらに行うこともできるようにする。
【0034】
ディープラーニング部121は、前処理されたCT画像と、これに対応するセグメンテーション情報を含む学習データを多数個生成し、これらを通じてディープラーニングネットワークを学習させる。
【0035】
この際、ディープラーニングネットワークは、コンボリューションニューラルネットワーク(CNN)、ユーネット(U-net)などとして具現可能であり、特に、画像のセグメンテーション及びレーベリングに強みがあるユーネットとして具現されることがさらに望ましい。ユーネットは、
図3でのように、U形態を有する複数個のコンボリューションレイヤからなる人工神経網であって、画像のセグメンテーション及びレーベリングに強みを有する。
【0036】
そして、セグメンテーション情報は、白質領域情報、灰白質領域情報、及び脳室領域情報を含み、CTイメージに対応するMRIイメージをフリーサーファー(Freesurfer)のような画像セグメンテーションプログラムを通じて分析した結果またはユーザによって手動入力されるセグメンテーション情報をディープラーニングネットワークを通じて学習及び検証することにより、獲得可能である。
【0037】
セグメンテーション部123は、分析対象画像(すなわち、分析対象者のCT画像)が入力されれば、学習完了したディープラーニングネットワークを通じて分析対象画像に対応するセグメンテーション情報を自動で獲得し、セグメンテーション情報を含むCT画像、すなわち、セグメンテーションされたCT画像を生成及び出力する。
【0038】
特徴抽出部130は、セグメンテーションされたCT画像からセマンティック特徴情報を抽出する。
【0039】
セマンティック特徴情報は、(1)白質の3次元体積比、(2)灰白質の3次元体積比、(3)白質と灰白質との3次元体積比の総和、(4)脳室の3次元体積、(5)白質の2次元面積比、(6)灰白質の2次元面積比、(7)白質と灰白質との2次元面積比の総和、(8)脳室の2次元面積のうち少なくとも1つを含みうる。
【0040】
より詳細に、特徴抽出部130は、CT画像を3次元ボリューム画像に変換した後、CT画像に含まれたセグメンテーション情報に基づいて3次元ボリューム画像の領域を白質領域、灰白質領域、脳室領域に分割し、これらの体積値を通じて(1)、(2)、(4)の白質、灰白質、脳室のそれぞれの3次元体積比を抽出する。
【0041】
そして、3次元ボリューム画像を上から下に軸方向スキャニングしながら脳室が観察される直前のCT画像を選択した後、これに基づいて(5)、(6)の白質、灰白質のそれぞれの2次元面積比を抽出する。
【0042】
最後に、3次元ボリューム画像を上から下に軸方向スキャニングしながら最も大きな脳室が観察されるCT画像を選択した後、これに基づいて(8)の脳室の2次元面積を抽出する。
【0043】
マシンラーニング部141は、セマンティック特徴情報と、これに対応する部位別の大脳皮質収縮率を含む学習データを多数個生成し、これらを通じてマシンラーニングモデルを学習させる。この際、部位別の大脳皮質収縮率は、医療陣がCT画像を参考にして直接測定した値であり、例えば、アルツハイマー病と関連した脳の4つの部位(前頭葉(Frontal Lobe)、頭頂葉(Parietal Lobe)、中央側頭葉(Medial Temporal Lobe、左右のそれぞれ))での大脳皮質収縮率である。
【0044】
本発明のマシンラーニングモデルは、
図4でのように、正規化されたロジスティック回帰アルゴリズム(Regularized Logistic Regression、RLR)、線形判別分析アルゴリズム(Linear Discriminant Analysis、LDA)、ガウスナイーブベイズアルゴリズム(Gaussian Naive Bayes、GNB)のうち少なくとも1つを用いる間接多数決投票モデル(Soft Majority Voting、SMV)として具現可能である。
【0045】
参考までに、RLRは、一般的な回帰アルゴリズムでモデルがアンダーフィッティングあるいはオーバーフィッティングされることを防止するために、正規化(Regularization)を適用したアルゴリズムであって、特に、本発明では、多様な正規化の方法のうち、L2正規化を使う。
【0046】
LDAは、マシンラーニングアルゴリズムのうち、確率論的生成模型で観測データが中心(平均)データまでの距離の二乗が最小である時、当該データをそのグループに分類するアルゴリズムである。
【0047】
GNBは、マシンラーニングアルゴリズムのうち、特性の間の独立を仮定するベイズ整理を使用して分類器を作るナイーブベイズアルゴリズムでカーネル関数としてガウス関数を使用したアルゴリズムである。
【0048】
そして、SMVは、マシンラーニングのアンサンブルモデルのうち、聚合(aggregation)メソッドに該当するモデルで個別分類器の条件付き確率の和を基準として加重値を与えた後、多数決投票して最終クラスを決定するアルゴリズムである。これは、単純投票する直接多数決投票モデルに比べて向上した性能を有する。
【0049】
予測部143は、分析対象画像のセマンティック特徴情報が入力されれば、学習完了したマシンラーニングモデルを通じて分析対象画像のセマンティック特徴情報に対応する部位別の大脳皮質収縮率を自動で獲得及び出力する。
【0050】
以下、
図5を参考にして、本発明のCT画像基盤の部位別の大脳皮質収縮率の予測方法を説明する。
【0051】
図5に示したように、本発明の部位別の大脳皮質収縮率の予測方法は、大きく学習段階(ステップS10)と予測段階(ステップS20)とで構成される。
【0052】
まず、学習データ生成段階(ステップS11)では、多数患者の医療情報、医療処理結果情報、診断情報などが保存されている医療情報データベースなどに接続して多数患者のCT画像(train)を獲得及び前処理する。
【0053】
また、CT画像のそれぞれに対応するセグメンテーション情報(seg)をさらに獲得する。もし、医療情報データベースにCT画像に対応するMRI画像のセグメンテーション情報が保存されているならば、当該セグメンテーション情報をそのまま活用するが、MRI画像のみが保存されているならば、公知の画像セグメンテーションプログラムを通じてMRI画像から白質領域情報、灰白質領域情報、及び脳室領域情報を含むセグメンテーション情報を抽出して利用する。一方、MRI画像、MRI画像のセグメンテーション情報が全てなければ、ユーザから当該情報を手動で入力される。
【0054】
ディープラーニングネットワーク学習段階(ステップS12)では、CT画像を入力条件として有し、セグメンテーション情報を出力条件として有する学習データを多数個生成した後、これらを通じてディープラーニングネットワークにCT画像とセグメンテーション情報との相関関係を学習させる。ユーネットの場合、確率的勾配降下(Stochastic gradient descent)アルゴリズムでディープラーニングを進行し、学習早期終了(early stopping method)を適用して中断時点を選定する。
【0055】
マシンラーニングモデル学習段階(ステップS13)では、セグメンテーション情報のそれぞれに基づいてCT画像のそれぞれに対応する多数のセマンティック特徴情報を抽出し、また、CT画像のそれぞれに対応する部位別の大脳皮質収縮率を獲得する。この際、部位別の大脳皮質収縮率は、医療陣がCT画像を参考にして直接測定した値である。
【0056】
そして、セマンティック特徴情報を入力条件として有し、部位別の大脳皮質収縮率を出力条件として有する学習データを多数個生成した後、これらを通じてマシンラーニングモデルを学習させる。
【0057】
学習段階(ステップS10)が完了すれば、予測段階(ステップS20)を行える。
【0058】
予測段階(ステップS20)の分析対象画像入力段階(ステップS21)では、PET-CT装置から提供される分析対象画像(すなわち、分析対象者のCT画像)を受信及び保存する。
【0059】
そして、セグメンテーション段階(ステップS22)では、ディープラーニングネットワークを通じて分析対象画像に対応するセグメンテーション情報を獲得する。
【0060】
そして、特徴情報抽出段階(ステップS23)では、ステップS22を通じて獲得されたセグメンテーション情報に基づいて分析対象画像に対応するセマンティック特徴情報を抽出する。
【0061】
最後に、予測段階(ステップS24)では、マシンラーニングモデルを通じてセマンティック特徴情報に対応する部位別の大脳皮質収縮率を獲得及び出力する。
【0062】
前述した本発明による方法は、コンピュータで実行されるためのプログラムで製作されてコンピュータで読み取り可能な記録媒体に保存され、コンピュータで読み取り可能な記録媒体の例としては、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光データ記録装置などがあり、また、キャリアウェーブ(例えば、インターネットを介した伝送)の形態で具現されるものも含む。
【0063】
コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ネットワークで連結されたコンピュータシステムに分散されて、分散方式でコンピュータで読み取り可能なコードとして保存されて実行可能である。そして、前記方法を具現するための機能的な(function)プログラム、コード及びコードセグメントは、本発明が属す技術分野のプログラマーによって容易に推論されうる。
【0064】
以上、本発明の望ましい実施形態について図示して説明したが、本発明は、前述した特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を外れずに、当業者によって多様な変形実施が可能であるということはいうまでもなく、このような変形実施は、本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはならない。