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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】モータの多段変速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 3/089 20060101AFI20230724BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
F16H3/089
H02K7/116
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019561167
(86)(22)【出願日】2018-05-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 KR2018005619
(87)【国際公開番号】W WO2018212595
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-04-26
(31)【優先権主張番号】10-2017-0062295
(32)【優先日】2017-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】319004870
【氏名又は名称】キム,ボク ソン
(73)【特許権者】
【識別番号】519389926
【氏名又は名称】バイゼン コーポレーション リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYGEN CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】1st Fl.(Yongjeong-ri),4-26,Dokjeong-ro seongji 1-gil,Jingeon-eup,Namyangju-si,Gyeonggi-do 12128,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】518398051
【氏名又は名称】キム,ド ファン
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、ボク ソン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ド ファン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヒョン ベ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュン ソ
(72)【発明者】
【氏名】ソク、ウン シク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ヨン シク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ユ ギュン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ジェ ホ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヒョン グン
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ドン ウク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン フン
(72)【発明者】
【氏名】チュ、ヨン ヒ
【審査官】長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-32049(JP,A)
【文献】国際公開第2010/137668(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/154153(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1260050(KR,B1)
【文献】特開2010-276136(JP,A)
【文献】特開2009-74641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 3/089
H02K 7/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの駆動力が伝達されて回転し、外周面に複数のポール(pawl)が配備される入力軸と、
前記ポールの出没を制御するコントローラと、
前記入力軸が中心を貫通し、内周面に前記ポールが噛み合うラチェット(ratchet)が形成され、互いに異なるギヤ歯数を有する複数の駆動ギヤと、
前記駆動ギヤと外接して噛み合い、互いに異なるギヤ歯数を有する複数の被動ギヤと、
前記駆動ギヤ及び被動ギヤによって変速された 回転速度を出力する出力部とを備えたモータ用変速機において、
前記コントローラは、
一方の端は前記ポールと結合し、他方の端には前記入力軸の外周面から出没する突出部が配備される複数の変速バーと、
前記ポールまたは突出部の下部に配備されて弾性支持する弾性部材と、
前記入力軸が中心を貫通し、前記入力軸の軸方向に沿って往復移動して前記突出部を前記入力軸の外周面から出没させるインナーリングと、
前記インナーリングを前記入力軸の軸方向に沿って移動させる移動部と、
を備えることを特徴とするモータ用変速機。
【請求項2】
前記移動部は、前記インナーリングの外側を包み、回転により前記インナーリングを前記入力軸の軸方向に沿って移動させるアウターリングであることを特徴とする請求項に記載のモータ用変速機。
【請求項3】
前記インナーリング及びアウターリングのいずれか一方には、ガイドピンが突設され、前記インナーリング及びアウターリングのいずれか他方には、前記ガイドピンを案内するガイド孔が円周方向に対して斜め方向に形成されることを特徴とする請求項に記載のモータ用変速機。
【請求項4】
前記インナーリングの内周面には、前記突出部が突出して逃避するように円周方向にリング溝が形成されることを特徴とする請求項に記載のモータ用変速機。
【請求項5】
前記突出部には、回転する球状の突起が突出するように配備され、前記リング溝は、前記球状の突起が逃避するように半円状の断面形状を有することを特徴とする請求項に記載のモータ用変速機。
【請求項6】
前記被動ギヤは、同じ速度で回転することを特徴とする請求項1に記載のモータ用変速機。
【請求項7】
前記出力部は、前記駆動ギヤのうちのいずれかに結合して、変速された回転速度を伝達されて出力することを特徴とする請求項に記載のモータ用変速機。
【請求項8】
前記出力部は、前記被動ギヤのうちのいずれかから変速された回転速度を伝達されて出力することを特徴とする請求項に記載のモータ用変速機。
【請求項9】
モータの駆動力が伝達されて回転する入力軸と、
中心に前記入力軸が配備され、互いに異なるギヤ歯数を有する複数の駆動ギヤと、
前記駆動ギヤと外接して噛み合い、互いに異なるギヤ歯数を有する複数の被動ギヤと、
前記入力軸と平行し、前記被動ギヤの中心軸となり、前記駆動ギヤ及び被動ギヤによって変速された回転速度を出力する出力軸と、
前記入力軸または出力軸に配備されて外周面から出没する複数のポール(pawl)と、
前記ポールの出没を制御するコントローラとを備えたモータ用変速機において、
前記コントローラは、
一方の端は前記ポールと結合し、他方の端には前記入力軸または出力軸の外周面から出没する突出部が配備される複数の変速バーと、
前記ポールまたは突出部の下部 に配備されて弾性支持する弾性部材と、
前記入力軸または出力軸が中心を貫通し、前記入力軸または出力軸の軸方向に沿って往復移動して前記突出部を前記入力軸または出力軸の外周面から出没させるインナーリングと、
前記インナーリングを前記入力軸または出力軸の軸方向に沿って移動させる移動部と
を備えることを特徴とするモータ用変速機。
【請求項10】
前記移動部は、前記インナーリングの外側を包み、回転により前記インナーリングを前記入力軸または出力軸の軸方向に沿って移動させるアウターリングであることを特徴とする請求項に記載のモータ用変速機。
【請求項11】
前記インナーリング及びアウターリングのいずれか一方には、ガイドピンが突設され、前記インナーリング及びアウターリングのいずれか他方には、前記ガイドピンを案内するガイド孔が円周方向に対して斜め方向に形成されることを特徴とする請求項10に記載のモータ用変速機。
【請求項12】
前記インナーリングの内周面には、前記突出部が逃避するリング溝が円周方向に形成されることを特徴とする請求項に記載のモータ用変速機。
【請求項13】
前記突出部には、回転する球状の突起が突出するように配備され、前記リング溝は、前記球状の突起が逃避するように半円状の断面形状を有することを特徴とする請求項12に記載のモータ用変速機。
【請求項14】
外接する駆動ギヤ及び被動ギヤのいずれか一方には、内周面に、前記ポールが噛み合うラチェットが形成され、
外接する駆動ギヤ及び被動ギヤのいずれか他方は、前記入力軸または出力軸に固定されることを特徴とする請求項に記載のモータ用変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ用の3段以上の多段変速機に係り、さらに詳しくは、複雑な油圧装置などがないため構造が簡単で、変速にエネルギー消費がないし、変速ショックがなく、所望の変速段数と変速比で自由に設計と製作が可能なモータ用変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電気自動車が普及しているが、交通手段用モータの多段変速機にはまだ商用化されていない。
【0003】
エンジンは初期起動時にトルクを得ることができないが、モータは初期起動時に最大トルクを発生させるため、出発加速力が優れている。このように、モータは、エンジンよりもトルク-速度特性が交通手段に使用されるのに適している。
【0004】
しかし、多段変速機がないため燃料(電気)の無駄が多く、急な坂道走行に問題がある。電気自動車は、初期起動時に最大トルクを発生させ、速度が増加するにつれて、トルクはますます減る。加速後に低下するトルクを補償するために、アクセルを踏み、最大限に電気エネルギーを投入してRPMを高めなければならない。そうするとエネルギー消費が多くなり、モータの負荷がかかって熱がひどく発生して電気エネルギーが熱エネルギーとして無駄に消費されてしまう。
【0005】
モータ用多段変速機がある場合は、強いトルクを複数の速度区間で効率的に使用して、エネルギーの無駄を防ぐことができる。また、より低出力のモータでも、効率的な走行が可能となる。したがって、多段変速機をモータに適用すると、エネルギー消費を大幅に削減することができる。
しかし、従来のエンジン用変速機は、変速にエネルギー消費があまりにも激しく構造が複雑でモータには適用するのが困難である。
【0006】
モータ用変速機の条件は、1)エネルギーを消費する変速エネルギーがあってはならず、2)油圧クラッチ、シンクロナイザー、トルクコンバータなどがないシンプルな構造である必要があり、3)変速ショックのないスムーズな変速が可能でなければならず、4)3段以上の多段ギヤと適切な変速比で変速できなければならない。
【0007】
現在でもモータ用2段変速機は、多数の開始されている。これらの2段変速機は、電動工具などで広く使われている減速装置を用いた方式であるが、これは変速区間の変速比があまりにも大きく、変速ショックがひどいため耐久性に問題があるゆえに適用が困難である。
【0008】
一方、モータは電気自動車などの交通手段だけでなく、電動工具や発電機などの産業全般にわたって駆動源として広く使用されており、それに応じてモータの関連技術を革新的に発展しているが、変速機関連技術は、それ及ばないのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するために案出されたものであり、その目的は、複雑な油圧装置などがなく、構造が簡単で、変速にエネルギー消費がないモータ用多段変速機を提供することである。
本発明の他の目的は、変速ショックのないスムーズな変速が可能なモータ用多段変速機を提供することである。
本発明のまた他の目的は、所望の変速段数と変速比で自由に設計と製作が可能なモータ用変速機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような技術的課題を解決するために、本発明による変速機は、モータの駆動力が伝達されて回転し、外周面に複数のポール(pawl)が配備される入力軸と、前記ポールの出没を個別に制御するコントローラと、前記入力軸が中心を貫通し、内周面に前記ポールが噛み合うラチェット(ratchet)が形成され、互いに異なるギヤ歯数を有する複数の駆動ギヤと、前記駆動ギヤと外接して噛み合い、互いに異なるギヤ歯数を有する複数の被動ギヤと、前記駆動ギヤ及び被動ギヤによって変速された 回転速度を出力する出力部と、を備える。
【0011】
また、前記コントローラは、一方の端は前記ポールと結合し、他方の端には前記入力軸の外周面から出没する突出部が配備される複数の変速バーと、前記ポールまたは突出部の下部に配備されて弾性支持する弾性部材と、前記入力軸が中心を貫通し、前記入力軸の軸方向に沿って往復移動して前記突出部を前記入力軸の外周面から出没させるインナーリングと、前記インナーリングを前記入力軸の軸方向に沿って移動させる移動部と、を備えることが好ましい。
【0012】
さらに、前記移動部は、前記インナーリングの外側を包み、回転により前記インナーリングを前記入力軸の軸方向に沿って移動させるアウターリングであることが好ましい。
【0013】
さらにまた、前記インナーリング及びアウターリングのいずれか一方には、ガイドピンが突設され、前記インナーリング及びアウターリングのいずれか他方には、前記ガイドピンを案内するガイド孔が円周方向に対して斜め方向に形成されることが好ましい。
さらにまた、前記インナーリングの内周面には、前記突出部が突出して逃避するように円周方向にリング溝が形成されることが好ましい。
【0014】
さらにまた、前記突起部には、回転する球状の突起が突出するように配備され、前記リング溝は、前記球状の突起が逃避するように半円状の断面形状を有することが好ましい。
さらにまた、前記被動ギヤは、互いに結合されるか一体に形成されていて、同じ速度で回転することが好ましい。
さらにまた、前記出力部は、前記駆動ギヤのうちのいずれかに結合して、変速された 回転速度を伝達されて出力することが好ましい。
さらにまた、前記出力部は、前記被動ギヤのうちのいずれかから変速された 回転速度 を伝達されて出力することが好ましい。
【0015】
さらにまた、前記入力軸の一方の端には係止突起形成され、前記入力軸が中心を貫通し、内周面に、前記係止突起が係止される係止溝が形成され、前記モータの駆動力が入力されるシフトクラッチをさらに備えることが好ましい。
さらにまた、一方の端は前記シフトクラッチに連結され、他方の端は前記入力軸に連結されるスプリングをさらに備えることが好ましい。
さらにまた、前記係止突起は、前記係止溝の内部で移動が可能なように、前記係止溝の幅は、前記係止突起の幅よりも大きく形成されることが好ましい。
【0016】
本発明による変速機は、モータの駆動力が伝達されて回転する入力軸と、中心に前記入力軸が配備され、互いに異なるギヤ歯数を有する複数の駆動ギヤと、前記駆動ギヤと外接して噛み合い、互いに異なるギヤ歯数を有する複数の被動ギヤと、前記入力軸と平行し、前記被動ギヤの中心軸となり、前記駆動ギヤ及び被動ギヤによって変速された 回転速度 を出力する出力軸と、前記入力軸または出力軸に配備されて外周面から出没する複数のポール(pawl)と、前記ポールの出没を個別に制御するコントローラと、を備える。
【0017】
また、前記コントローラは、一方の端は前記ポールと結合し、他方の端には前記入力軸または出力軸の外周面から出没する突出部が配備される複数の変速バーと、前記ポールまたは突出部の下部で弾性支持する弾性部材と、前記入力軸または出力軸が中心を貫通し、前記入力軸または出力軸の軸方向に沿って往復移動して前記突出部を前記入力軸または出力軸の外周面から出没させるインナーリングと、前記インナーリングを前記入力軸または出力軸の軸方向に沿って移動させる移動部と、を備えることが好ましい。
【0018】
さらに、前記移動部は、前記インナーリングの外側を包み、回転により前記インナーリングを前記入力軸または出力軸の軸方向に沿って移動させるアウターリングであることが好ましい。
【0019】
さらにまた、前記インナーリング及びアウターリングのいずれか一方には、ガイドピンが突設され、前記インナーリング及びアウターリングのいずれか他方には、前記ガイドピンを案内するガイド孔が円周方向に対して斜め方向に形成されることが好ましい。
さらにまた、前記インナーリングの内周面には、前記突出部が逃避するリング溝が円周方向に形成されることが好ましい。
【0020】
さらにまた、前記突起部には、回転する球状の突起が突出するように配備され、前記リング溝は、前記球状の突起が逃避するように半円状の断面形状を有することが好ましい。
【0021】
さらにまた、外接する駆動ギヤ及び被動ギヤのいずれか一方には、内周面に、前記ポールが噛み合うラチェットが形成され、外接する駆動ギヤ及び被動ギヤのいずれか他方は、前記入力軸または出力軸に固定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、回転する軸(入力軸または出力軸)にポールを配備することにより、入力軸と同じ速度で回転しながら変速が行われるため、複雑な油圧装置などがないため構造が簡単で、変速にエネルギー消費がないという利点がある。
また、所望の変速段数と変速比で自由に設計と製作が可能である。
【0023】
本発明によるモータ用変速機を電気自動車や電動バイクなどの交通手段に適用すると、トーク(力)とスピードの両方を満足させ、急な坂道走行に問題がなく、燃費効率を極大化させることができる。
また、変速ショックなくスムーズ変速することができるという効果がある。
本発明によるモータ用変速機は、交通手段だけでなく、産業全般に利用されるモータを変速するために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明による第1の実施形態の分解斜視図である。
図2】本発明による実施形態の平断面図である。
図3】本発明による実施形態の一部切欠斜視図である。
図4】本発明による被動ギヤセットを示すものである。
図5】本発明によるコントローラ及び駆動ギヤを示すものである。
図6】本発明によるコントローラ及び駆動ギヤを示すものである。
図7】本発明によるコントローラ及び駆動ギヤを示すものである。
図8】本発明によるシフトクラッチ及び入力軸を示す。
図9】ポールがスイングするときのシフトクラッチ及び入力軸の作動状態を示すものである。
図10】本発明による第2の実施形態を示すものである。
図11】本発明による第3の実施形態の分解斜視図である。
図12】本発明による第3の実施形態の平断面図である。
図13】本発明による第3の実施形態の一部切欠斜視図である。
図14】本発明による第3の実施形態の入力軸及び駆動ギヤを示すものである。
図15】本発明による第3の実施形態のコントローラを示すものである。
図16】本発明による第3の実施形態のコントローラを示すものである。
図17】本発明による第4の実施形態を示すものである。
図18】本発明による第5の実施形態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明による一実施形態の構成及び作用を具体的に説明する。
【0026】
図1図3を参照すると、本発明による実施形態100は、ハウジングHと、モータ(図示せず)の駆動力が伝達されて回転する入力軸120と、前記入力軸120が中心を貫通する駆動ギヤと140と、前記駆動ギヤ140と外接して噛合する被動ギヤ150と、を備える。また、本実施形態では、前記モータの駆動力がシフトクラッチ(shift clutch)110を介して入力軸120に伝達される。
【0027】
前記入力軸120には、複数の載置溝121が形成され、前記載置溝121に載置されるポール(図5の「171」参照)が複数配備されるが、特に載置溝121には弾性部材122が取り付けられて、外力が作用していない状態で前記ポール171が前記入力軸120の外側に突出するように弾性支持される。
【0028】
また、前記入力軸120が軸方向に貫通する複数の駆動ギヤ140が配備されるが、駆動ギヤ140には、内周面に、前記ポール171がかかって入力軸の回転力が伝達されるようにラチェット(図5の「140a」参照)が形成されている。
【0029】
また、前記駆動ギヤ140とそれぞれ外接して噛合する複数の被動ギヤ150が配備される。本実施形態100では、互いに異なるギヤ歯数を有する3つの駆動ギヤ140が配備され、同様に、互いに異なるギヤ歯数を有する3つの被動ギヤ150が配備され、ポール171も駆動ギヤ140とそれぞれ対応するように3つ配備される。
このような構成により、本実施形態は3段変速が可能なように構成されたものである。
【0030】
したがって、本発明による変速機は、他の構造を変更することなく単に駆動ギヤと被動ギヤの数をそれぞれ4つ以上に構成するだけで、4段以上の変速も可能なシンプルな構造である。
【0031】
また、前記駆動ギヤ140及び被動ギヤ150によって変速された回転速度を出力する出力部130が配備されるが、本実施形態では、出力部130が前記駆動ギヤ140の最も外側にある第1の駆動ギヤ141と結合して形成される。
【0032】
図4は、本実施形態の被動ギヤセットを示すものである。同図に示すように、本実施形態では、それぞれ駆動ギヤと外接して噛合し、ギヤ歯数が異なる3つの被動ギヤ151~153が配備されるが、特に、本実施形態では、3つの被動ギヤ150は互いに結合している。たとえば、第2の被動ギヤ152が、これと噛み合っている第2の駆動ギヤ(図5の「142」)の回転力を伝達されて回転すると、他の2つの被動ギヤ151,153も第2の被動ギヤ152と同じ回転速度で回転するようになる。
【0033】
また、本実施形態では、3つの被動ギヤ151~153が120°をなす3セットが配備され、これらはそれぞれギヤボックス160に軸結合されて被動ギヤセットを形成する。
【0034】
図5を参照すると、入力軸120の外周面に3つの駆動ギヤ140が配備されていることがわかる。また、前記駆動ギヤ140の内周面にラチェット140aが形成され、入力軸120の外周面には載置溝121が形成され、前記載置溝121にはポール171が配備されていることも確認される。
【0035】
一方、コントローラ170の作動により複数のポール171のいずれか一つを突出させると、突出したポール171がラチェット140aにかかっていずれか一つの駆動ギヤ141~143に入力軸120の回転力が伝達されて回転する。
【0036】
本実施形態において、前記コントローラ170は、ポール171と、変速バー(図6(b)の「172」)と、アウターリング174と、インナーリング173と、変速スプロケット175と、ワイヤ(図3の「176」)と、を備える。
【0037】
図6を参照すると、(a)では、前記入力軸120の外周面には載置溝(図8の「121a」が形成され、前記載置溝121にはポール171が載置されている。また、本実施形態では、前記変速バー172をも載置するために、入力軸120の外周面に載置溝121aが形成される。特に、前記ポール171が載置される載置溝121には弾性部材(図5の「122」参照)が配備されて、外力が作用していないときには、前記ポール171は、入力軸120の外周面から突出するように弾性支持される。前記弾性部材は、変速バーの突出部172aの下部に配備されてもよい。
【0038】
(b)は、ポール171と、前記ポール171に一体化された変速バー172を示すものである。同図に示すように、前記変速バー172は、一方の端には突出部172aが形成され、前記突出部172aの上面には球状の突起172bが回転可能に配備される。前記突起172bは、玉軸受などの金属球で形成され、前記突出部172aの上面には、半球状の取付溝が形成されていて、球状の突起172bが回転可能に載置される(図2の部分拡大図参照)。
【0039】
突起172bを付勢すると、変速バー172と結合した前記ポール171が載置溝121の内部でスイングして入力軸120の外周面の下に没する。したがって、弾性部材122により入力軸120の外周面上に突出していたポール171は、スイングして載置溝121に逃避して、もはや入力軸120の外周面上に突出しない。この場合、ポール171は、ラチェット(図5の「140a」参照)と噛み合わないため、入力軸120が回転しても駆動ギヤ140は回転しない。
【0040】
また、前記突出部172aに作用する外力が除去されると、前記ポール171の下部で弾性的に圧縮されている弾性部材122の弾性復元力により、前記ポール171はスイングしながら前記入力軸120の外周面上に突出することになる。前述したように、ポール171が入力軸120の外周面上に突出すると、前記ポール171は、ラチェット140aと噛み合って駆動ギヤ140を回転させるようになる。
【0041】
(c)は、入力軸120の外周面にインナーリング173を嵌合した状態を示すものである。同図に示すように、前記インナーリング173には、ガイドピン173aが突設される。
【0042】
(d)は、アウターリング174が前記インナーリング173を包み込んで結合した状態を示すものである。同図に示すように、前記アウターリング174には、ガイド孔174aが形成されており、前記ガイド孔174aは、円周方向に対して斜め方向に形成されている。また、前記ガイドピン173aは、前記ガイド孔174aに拘束されるように組み立てられるが、このため、前記アウターリング174が回転すると、前記ガイドピン173aがガイド孔174aに沿って移動するので、インナーリング173は、アウターリング174の内部で前記入力軸の軸方向に沿って左方又は右方に移動することになる。
【0043】
このようにインナーリング173が左右に移動すると、リング溝図7の「173b」参照)が左右に移動するようになり、それに対応する位置にあるいずれか一つの変速バーの突起172bがリング溝173bに逃避し、これによりポール171が入力軸120の外周面上に突出する。
【0044】
前記インナーリング173を左右に移動させるためには、前記アウターリング174が回転しなければならず、そのために前記アウターリング174の一方の側には、変速スプロケット175が結合されている。前記変速スプロケット175にはワイヤ176(本実施形態ではチェーン)が配備されていて、ワイヤ176を引いてアウターリング174を回転させることができ、それによりインナーリング173が前進又は後進し、インナーリング173の前後進により、ポール171の突出または載置溝121への載置が制御される。
【0045】
図7は、ポール171が載置溝121に載置されず突出した状態、すなわち、入力軸140の外周面から突出した状態を示すものである。
前記インナーリング173の内周面には、円周方向に沿って帯状のリング溝173bが形成されている。
【0046】
前記インナーリング173が入力軸120の軸方向に沿って移動して、前記リング溝173bが前記変速バーの突起172bの上に位置すると、前記弾性部材122により前記突起172bがリング溝173bに逃避してスイングすることができるようになる。変速バー172の突起172bがリング溝173bに逃避すると、ポール171は、入力軸120の外周面上に突出する。
【0047】
本実施形態において、前記リング溝173bは、前記突起172bを逃避させるための構成であるが、これとは異なり突出部172a自体を逃避させるように構成されてもよい。
作動状態を説明すると、まず、前記アウターリング174が回転すると、前記インナーリング173が入力軸上で軸方向(左右)に移動する。
【0048】
前記インナーリング173の移動により、その内周面に形成されている前記リング溝173bが前記突起172bの上部に位置すると、弾性部材122の弾性力によって突起172bがリング溝173bに逃避する。
【0049】
これと共にポール171がスイングして入力軸120の外周面上に突出し、突出したポール171がラチェット140aと噛み合って、入力軸120の回転力が当該駆動ギヤ140に伝達されて駆動ギヤ140が回転することになる。
【0050】
本実施形態では、前記アウターリング174を回転させるために、アウターリング174の一方の側に変速スプロケット175を一体に形成し、ワイヤ176を引いて前記変速スプロケット175を順方向又は逆方向に回転させる方式を採用する。しかし、これとは異なり、前記アウターリング174を超小型モータ(図示せず)に順方向又は逆方向に回転させる変速方式を採用してもよい。
【0051】
さらに、本実施形態において、前記コントローラ170は、インナーリング173を入力軸120上で左右に移動させるためにアウターリング174を配備するが、アウターリング174と、前記アウターリングを回転させる回転手段との代わりに、インナーリング173を入力軸上で左右に移動させる移動部(図示せず)を配備してもよい。
前記移動部は、小型モータまたはシリンダーなど公知の駆動源であってもよい。
【0052】
図8を参照すると、前記シフトクラッチ110は、変速ショックを吸収しながらモータの駆動力を前記入力軸120に伝達する構成要素であり、前記シフトクラッチ110は、入力軸120の一方の端が貫通する円筒形で形成され、その内周面には係止溝111が形成され、一側には外周面に沿って延長部113が形成されてスプリング124,125が取り付けられる内側溝112が形成される。
【0053】
前記入力軸120には、前記シフトクラッチ110の係止溝111に係止される係止突起123が形成される。前記シフトクラッチ110が回転すると、一定角度回転した後、係止溝111に係止突起123が係止されてシフトクラッチ110と共に入力軸3120も回転することになる。
【0054】
特に、前記入力軸120の回転に伴い、前記係止突起123が前記係止溝111内で移動(時計回り又は反時計回り)できるように、前記係止溝111の幅を係止突起123の幅よりも大きくする。
【0055】
また、変速ショックを吸収するために、前記シフトクラッチ110の内側溝112には、前記内側溝112よりも直径が大きいスプリング124を圧縮して取り付ける。
【0056】
具体的に説明すると、本実施形態では、スプリング124の一方の端はシフトクラッチ110に連結され、他方の端は係止突起123に連結され、圧縮して直径を小さくした前記スプリング124は、直径が大きくなる方向(スプリング両端部が離れる)方向に弾性復元力が作用する。
【0057】
図8の(b)は、スプリング125が3回巻き取られたものであり、(a)に示したスプリング124に比べて弾性力が強いので、変速ショックをより効果的に吸収することができる。
本発明で変速するときに発生する変速ショックは2段階に分けて吸収、緩和される。
【0058】
変速ショックを吸収する第1の段階では、変速のために入力軸120から突出させた特定のポール171が、前記駆動ギヤの内周面に形成されたラチェット140aと共に回転しながら噛み合うので、ポール171とラチェット140aが強く衝突することを防止して変速ショックを一次的に吸収する。
変速ショックを吸収する第2の段階は、シフトクラッチ110とスプリング124,125の作用によるものであり、図9を参照して具体的に説明する。
【0059】
まず、変速のためにポール171を入力軸120から突出させた状態でモータを作動させると、駆動力はシフトクラッチ110を回転させる。シフトクラッチ110の回転力は、前記スプリング124を介して入力軸120に伝達されて回転させる。この場合は、シフトクラッチの係止溝(図面上の左側壁111)が入力軸の係止突起123を直接プッシュできないため、スプリング124を介して回転力が入力軸120に伝達される(図9の(a)参照)。また、スプリング124の弾性力(直径が拡大する方向、両端部間の距離が遠ざかる方向に作用)によって係止突起123が係止溝111の右側壁に接しながら、左側にスペースS1が形成される。
【0060】
前記シフトクラッチ110と共に入力軸120が回転することによりポール171がラチェット140aと噛み合う瞬間が来る。この瞬間まではスプリング124に外力が作用せず、シフトクラッチ110の回転力がスプリング124を介して入力軸120に伝達される(図9の(b)参照)。
【0061】
前記ポール171とラチェット140aが噛み合った後、シフトクラッチ110の回転により、バネ124がさらに圧縮され、初めてシフトクラッチ110の係止溝111(図面上の左側壁)がネック期123に接してプッシュすることになる。したがって、モータの駆動力が、スプリング124を介せずシフトクラッチ110から入力軸120に伝達され、入力軸120の回転により駆動ギヤ140が回転することになる(図9の(c)参照)。この場合は、係止突起123の右側にスペースS2が形成される。
【0062】
言い換えれば、図9の(b)では、モータの駆動力は、シフトクラッチ110からスプリング124を介して入力軸120に伝達されるが、図9の(c)では、モータの駆動力は、シフトクラッチの係止溝111が係止突起123をプッシュしてスプリング124を介せず直接に入力軸120に伝達される。
【0063】
このように、本発明によれば、ポール161がラチェット140aに噛み合う段階(図9の(b))と、係止溝111が係止突起123をプッシュする段階(図9の(c)参照)との間に時差があり、特に、その間にスプリング124が圧縮されながら変速ショックが吸収される。
【0064】
万が一、スプリング124がない場合は、変速のためにポール171を突出させた後、モータの回転によりシフトクラッチ110が回転するので、係止溝111が係止突起123にすぐにぶつかって変速ショックが発生する。
【0065】
また、変速のためにポール171を入力軸120の外周面の下方にスイングさせる動作の前に、変速を円滑にするために、変速の瞬間(1秒未満)にモータの作動を一時的に遅らせるかオフ(off)する。こうすると、前記ポール171と前記ラチェット140aとの噛み合いが解けて変速が可能となる。モータが動作を停止するとシフトクラッチ110も回転を停止し、このとき、スプリング124の弾性復元力により係止突起123が係止溝111内で時計回りに回転しながら移動して、図9の(a)、(b)の状態に戻る。このような状態は、継続して変速ショックの吸収を可能にする。
【0066】
以下、本発明による実施形態の作動状態について説明する。
図2及び図3を参照すると、モータの駆動力が伝達されてシフトクラッチ110を介して入力軸120が回転すると、搭乗者は、コントローラ170のワイヤ176を引いていずれか一つのポール171を載置溝120から突出させることにより、それに対応する駆動ギヤ140を駆動させる。たとえば、搭乗者が2段への変速のためにワイヤ176を引っ張ると、アウターリング174が回転しながらインナーリング173が入力軸上で左方又は右方に移動する。このような作動により2段に相当する突出部の突起172bがインナーリングのリング溝173bに逃避して、2段に相当する第2の駆動ギヤ142のラチェット(図5の「140a」)にはポール171が噛み合うようになる。
【0067】
したがって、入力軸140の回転力は、第2の駆動ギヤ142を回転させ、これと噛合している第2の被動ギヤ152を回転させる。たとえ第2の被動ギヤ152にのみ駆動力が伝達されるが、各被動ギヤ150はすべて結合されているので、第1および第3の被動ギヤ151,153も第2の被動ギヤ152と同じ回転速度で回転するようになり、第1の被動ギヤ151と噛合している第1の駆動ギヤ141も第2の被動ギヤ152の回転速度に変速されて回転するようになる。
【0068】
また、第1の駆動ギヤ141と直接結合している出力部130を介して変速された回転速度が出力される。このように変速されて出力された回転力は、出力部130を回転させる。
【0069】
前記出力部130を、例えば、電気自動車の前輪軸または後輪軸と連結して変速された回転速度を伝達するか、電動バイクや電動自転車の駆動スプロケットと連結してチェーンを介して後輪に変速された回転速度を伝達する。
図10は、本発明による第2の実施形態を示すものである。
【0070】
本発明による第2の実施形態200では、車やバイクや自転車等の前輪または後輪の中心に配備されるハブシェル210の内部にモータ部220と減速部221が内蔵され、前記モータ部220と減速部221の中心には入力軸240が設けられる。前記ハブシェル210の両側にはフレームFが結合され、スポーク(図示せず)が結合される。
また、前記入力軸240が中心を貫通する駆動ギヤ250と、前記駆動ギヤ250と外接して噛み合う被動ギヤ260と、を備える。
前記モータ部220は、バッテリ(図示せず)の電源の供給を受けて駆動する公知の駆動源である。バッテリと連結されたケーブル(図示せず)が配備される。
【0071】
本実施形態では、モータ部220は、固定子であるコイル220aと、回転子である磁石220bとがリング状に配備される。したがって、リング状の磁石220bの中心に入力軸240が貫通される。また、バッテリから電源が供給されると、磁石220bが回転しながらモータ回転軸220cが回転するようになるが、本実施形態においてモータ回転軸220cは、減速部221と連結される。
【0072】
したがって、モータ部220の駆動力は、減速部221を介して減速された後、減速軸221aを介して出力される。前記減速軸221aの回転力は、前記シフトクラッチ270を介して前記入力軸240に伝達される。
より具体的に説明すると、シフトクラッチ270には係止溝271が形成され、入力軸240には、前記係止溝271と係合する係止突起241が形成される。
【0073】
したがって、前記減速軸221aの回転力はシフトクラッチ270に伝達され、前記シフトクラッチ270が回転すると、時差をおいて係止溝271が係止突起241に係止されて入力軸240を回転させる。
【0074】
前記減速部221もまた公知の手段であって、さまざまな方法で必要に応じて減速比を選択することができる。また、場合によっては減速部221を排除する構成も可能である。
【0075】
前記入力軸240には、載置溝(図5の「121」参照)が形成され、前記載置溝に載置されるポール(図5の「171」参照)が複数配備されるが、特に載置溝には、弾性部材(図5の「122」参照)が取り付けられて、外力が作用していない状態で前記ポールが前記入力軸240の外側に突出するように弾性支持される。
【0076】
また、前記入力軸240が軸方向に貫通する4つの駆動ギヤ251~254が配備されるが、駆動ギヤ250には、内周面に、前記ポールがかかって回転力が伝達されるようにラチェット(図5の「140a」参照)が形成されている。
また、前記駆動ギヤ251~254とそれぞれ外接して噛み合う複数の被動ギヤ261~264が配備される。
【0077】
本実施形態200では、互いに異なるギヤ歯数を有する4つの駆動ギヤ250が配備され、同様に、互いに異なるギヤ歯数を有する4つの被動ギヤ260が配備される。
また、ポールも駆動ギヤと250とそれぞれ対応するように4つ配備される。
【0078】
また、前記被動ギヤ260のうちの半径が最も大きい第1の被動ギヤ261とハブシェル210との間に動力伝達ギヤ211が配備される。すなわち、モータ220の回転力が減速機221を経てシフトクラッチ270を介して入力軸240に入力され、駆動ギヤ250と被動ギヤ260を経て変速された回転速度がハブシェル210に出力される。すなわち、本実施形態200では、ハブシェル210が出力部となる。ハブシェル210に出力される回転力は、ハブシェル210に連結されたスポークを介して車やバイクや自転車等の前輪または後輪に伝達されて駆動させる。
前記被動ギヤ260は、互いに結合されていて、同じ速度で回転する。
【0079】
本実施形態において、コントローラは、図5図7に示されたものと同様であるため、具体的な説明は省略する。
本実施形態とは異なり、モータ及び減速機をハブシェル外側に配備してもよい。
【0080】
図11図13を参照すると、本発明による第3の実施形態300は、ハウジングH、H1~H3と、モータ(図示せず)の駆動力が伝達されて回転する入力軸320と、中心に前記入力軸320が配備される4つの駆動ギヤ340と、前記駆動ギヤ340と外接して噛み合う4つの被動ギヤ350と、前記被動ギヤ350の中心軸となり、前記入力軸320と平行な出力軸330と、を備える。
【0081】
また、本実施形態では、前記モータの駆動力が入力軸320に直接伝達されるのではなく、シフトクラッチ(shift clutch)310を介して入力軸320に伝達される。
【0082】
前記入力軸320には、載置溝(図14の「321」)が2つ形成され、前記載置溝321に載置されるポール361a、361bが2つ配備されるが、特に載置溝321には弾性部材(図14の「322」)が取り付けられて、外力が作用していない状態で前記ポール361が前記入力軸320の外側に突出するように弾性支持される。
【0083】
また、前記入力軸320を中心軸とする複数の駆動ギヤ340が配備されるが、駆動ギヤ340のうちの第2のおよび第4駆動ギヤ342,344には、内周面に、前記ポール361b、361aがかかって入力軸320の回転力が伝達されるようにラチェット(図14の「340a」参照)が形成されていて、入力軸320と選択的に結合または解除可能である。また、第1及び第3の駆動ギヤ341,343は、中心が入力軸320に固定されていて、常に入力軸320と共に回転する。
【0084】
また、入力軸320の外周面からの前記ポール361a、361bの出没を個別に制御するコントローラ360が配備される。
前記4つの駆動ギヤ340は、ギヤ歯数がそれぞれ異なっている。
【0085】
また、前記4つの駆動ギヤ340とそれぞれ外接して噛合する4つの被動ギヤ350が配備される。前記4つの被動ギヤ350もギヤ歯数がそれぞれ異なっている。
【0086】
前記出力軸330は、前記被動ギヤ350の中心を貫通し、入力軸320と平行に配備されて変速された回転速度を出力する構成要素である。前記出力軸330にも、載置溝が2つ形成され、前記載置溝に載置されるポール371a、371bが2つ配備されるが、特に載置溝にはスプリングが取り付けられて、外力が作用していない状態で前記ポール 371a、371bが前記出力軸330の外側に突出するように弾性支持される。
【0087】
また、前記被動ギヤ350のうちの第1のおよび第3の被動ギヤ351,353には、内周面に、前記ポール371b、371aがかかって出力軸330に回転力が伝達されるようにラチェットが形成されていて、出力軸330と選択的に結合または解除可能である。また、第2のおよび第4の被動ギヤ352,354は、中心が出力軸330に固定されている。
【0088】
また、出力軸330の外周面から前記ポール371a、371bの出没を個別に制御するコントローラ370が配備される。
このような構成により、本実施形態は4段変速が可能なように構成されたものである。
【0089】
したがって、本発明による変速機は、他の構造を変更することなく単に駆動ギヤと被動ギヤの数をそれぞれ5つ以上に構成するだけで、5段以上の変速も可能なシンプルな構造である。
【0090】
図14を参照すると、入力軸320の外周面に4つの駆動ギヤ340が配備されていることがわかる。また、入力軸320の外周面には2つの載置溝321が形成されているのは、先に説明した通りであり、前記載置溝321にはポール361aと弾性部材322が配備されていることも確認される。
【0091】
本実施形態では、第2の駆動ギヤ342及び第4の駆動ギヤ344の内周面にラチェット340aが形成されており、第2の駆動ギヤ342及び第4の駆動ギヤ344が位置する入力軸320の外周面には、第1のポール361bと第2のポール361aが出没するように構成されている。
【0092】
上述したように、第2の駆動ギヤ342及び第4の駆動ギヤ344は、コントローラ360の操作によりポール361b、361aを制御して入力軸320と選択的に結合または解除される。
【0093】
これとは異なり、第1の駆動ギヤ341及び第3の駆動ギヤ343は、入力軸320と結合されるか一体に形成されて固定される。
同様に、出力軸330の外周面にも2つの載置溝が形成され、前記載置溝にはポール371a、371bが配備される(図12参照)。
【0094】
本実施形態では、第1の被動ギヤ351及び第3の被動ギヤ353の内周面にラチェットが形成されており、第1の被動ギヤ351及び第3の被動ギヤ353が位置する出力軸330の外周面には、第3のポール371bと第4のポール371aが出没するように構成されている。
また、第2の被動ギヤ352と第4の被動ギヤ354は、出力軸330と結合されるか一体に形成されて固定される。
【0095】
また、互いに外接する、第1の駆動ギヤ341は、入力軸320に固定され、第1の被動ギヤ351は、ポール371bと噛み合うように内周面にラチェットが形成される。同様に、第2の駆動ギヤ342は、ポール361bと噛み合うように内周面にラチェットが形成され、第2の駆動ギヤ342と外接する第2の被動ギヤ352は、出力軸330に固定される(図12参照)。言い換えれば、互いに外接する駆動ギヤ340及び被動ギヤ350のいずれか一方には、内周面に、ポールが噛み合うラチェットが形成され、いずれか他方は、入力軸320または出力軸330に固定される。
【0096】
また、入力軸320に配備されたコントローラ360の作動により複数のポール361a、361bのうちのいずれか一つを突出させると、突出したポール361a、361bがラチェット340aにかかって入力軸320の回転力がいずれか一つの駆動ギヤ342,344に伝達される。
【0097】
または、出力軸330に配備されたコントローラ370の作動により複数のポール371a、371bのうちのいずれか一つを突出させると、突出したポール3371a、371bがラチェット340aにかかっていずれか一つの被動ギヤ351,353の回転力が出力軸330に伝達されて出力する。
【0098】
本実施形態において、前記コントローラ360,370は、変速バー(図15bの「362」)と、アウターリング374と、インナーリング373と、回転部375と、を備える。
【0099】
図15は、入力軸320に配備されたコントローラ360を示すものであり、これを参照すると、(a)では、前記入力軸320の外周面には載置溝(図14の「321」)が形成され、前記載置溝321にはポール361が載置されている。また、本実施形態では、前記変速バー362をも載置するために、入力軸320の外周面に載置溝(図8の「121a」)が形成される。特に、前記ポール361が載置される載置溝321には弾性部材(図14の「322」参照)が配備されて、外力が作用していないときには、前記ポール361は、入力軸320の外周面から突出するように弾性支持される。前記弾性部材は、変速バーの突起362aの下部に配備されてもよい。
【0100】
(b)は、ポール361と、前記ポール361に一体化された変速バー362を示すものである。同図に示すように、前記変速バー362の一方の端には突出部362aが形成され、前記突出部362aの上面には球状の突起362bが回転可能に配備される。前記突起362bは、玉軸受に配備される金属球で形成され、前記突出部362aの上面には、半球状の取付溝が形成されていて、球状の突起362bが回転可能に載置される(図12の部分拡大図参照)。
【0101】
突起362bを付勢すると、変速バー362と結合した前記ポール361が、載置溝321の内部でスイングして入力軸320の外周面の下に逃避する。したがって弾性部材322により入力軸320の外周面上に突出していたポール361は、載置溝321に逃避して、もはや入力軸320の外周面上に突出しない。この場合、ポール361は、ラチェット(図14の「340a」参照)と噛み合わないため、入力軸320が回転しても駆動ギヤ340は回転しない。
【0102】
また、前記突出部362aに作用する外力が除去されると、前記ポール361の下部で弾性的に圧縮されている弾性部材322の弾性復元力により、前記ポール361はスイングしながら前記入力軸320の外周面上に突出することになる。前述したように、ポール361が入力軸320の外周面上に突出すると、前記ポール361は、ラチェット340aと噛み合って駆動ギヤ340を回転させるようになる。
【0103】
(c)は、入力軸320の外周面にインナーリング363を嵌合した状態を示すものである。同図に示すように、前記インナーリング363には、ガイドピン363aが突設される。
【0104】
(d)は、アウターリング364が前記インナーリング363を包み込んで結合した状態を示すものである。アウターリング364は、前記インナーリング363を入力軸または出力軸の軸方向に沿って移動させる移動部の一例である。
【0105】
同図に示すように、前記アウターリング364には、ガイド孔364aが形成されており、前記ガイド孔364aは、円周方向に対して斜め方向に形成されている。また、前記ガイドピン363aは、前記ガイド孔364aに拘束されるように組み立てられるが、このため、前記アウターリング364が回転すると、前記ガイドピン363aがガイド孔364aに沿って斜線方向に移動するので、インナーリング363は、アウターリング364の内部で前記入力軸320の軸方向に沿って左方又は右方に移動することになる。
【0106】
このようにインナーリング363が左右に移動すると、リング溝図16の「373b」参照)が左右に移動するようになり、それに対応する位置にあるいずれか一つの変速バーの突起362bがリング溝373bに逃避し、これによりポール361が入力軸320の外周面上に突出する。インナーリング363を左右に移動させるためには、前記アウターリング364が回転しなければならず、そのために前記アウターリング364の一方の側には、回転部365が一体に形成されるか結合されている。前記回転部365を回転させてアウターリング364を回転させることができ、それによりインナーリング36が軸方向に前進又は後進し、インナーリング363の前後進により、ポール361の突出または載置溝321への逃避が制御される。
【0107】
図16は、ポール361が載置溝321に載置されず突出した状態、すなわち、入力軸340の外周面から突出した状態を示すものである。
前記インナーリング363の内周面には、円周方向に沿って帯状のリング溝373bが形成されている。
【0108】
前記インナーリング363が入力軸320の軸方向に沿って移動して、前記リング溝373bが前記変速バーの突起362bの上に位置すると、前記弾性部材322により前記突起362bがリング溝373bに逃避して変速バー362がスイングすることができるようになる。変速バー362の突起362bがリング溝373bに逃避すると、ポール361は、入力軸320の外周面上に突出する。
【0109】
本実施形態において、前記リング溝373bは、前記突起362bを逃避させるための構成であるが、これとは異なり突出部362a自体を逃避させるように構成されてもよい。
作動状態を説明すると、まず、前記アウターリング364が回転をすると、前記インナーリング363が入力軸上で軸方向(左右)に移動することになる。
【0110】
前記インナーリング363の移動により、その内周面に形成されている前記リング溝373bが前記突起362bの上部に位置すると、弾性部材322の弾性力によって突起362bがリング溝373bに逃避する。
【0111】
これと共にポール361がスイングして入力軸320の外周面上に突出し、突出したポール361がラチェット340aと噛み合って、入力軸320の回転力が当該駆動ギヤ340に伝達されて駆動ギヤ340が回転することになる。
【0112】
本実施形態では、前記アウターリング364を回転させるために、アウターリング364の一方の側に回転部365を一体に形成し、回転部365を順方向又は逆方向に回転させる方式を採用する。しかし、これとは異なり、前記アウターリング364を超小型モータ(図示せず)に順方向又は逆方向に回転させる変速方式を採用してもよい。
【0113】
さらに、本実施形態において、前記コントローラ360は、インナーリング363を入力軸320上で左右に移動させるためにアウターリング364を配備するが、アウターリング364の代わりにインナーリング363を入力軸上で左右に移動させる移動部を配備してもよい。
前記移動部は、小型モータまたはシリンダーなど公知の駆動源であってもよい。
【0114】
図15及び図16は、入力軸320に配備されたコントローラ360を示すが、出力軸330に配備されたコントローラ370も同じ構造及び作用をするため、繰り返し説明は省略する。
【0115】
本実施形態において、クラッチの構造及び作動は、図8及び図9におけるそれについての説明と同様である。
以下、本発明による実施形態の作動状態について説明する。
図12及び図13を参照すると、モータの駆動力が伝達されてシフトクラッチ310を介して入力軸320が回転すると、搭乗者は、コントローラ360,370を操作していずれか一つのポール361a、361b、371a、371bを突出させることにより、駆動ギヤ342,344または被動ギヤ351,353を入力軸320または出力軸330に結合させて、変速された回転速度を出力軸330に出力する。
【0116】
たとえば、搭乗者が2段への変速を行うためには、回転部365を介してアウターリング364を回転させて、インナーリング363を入力軸上で左右に移動させる。このような作動により2段に相当する突出部の突起362bがインナーリングのリング溝373bに逃避して、2段に相当する第2の駆動ギヤ342のラチェットにはポール(図12の「361b」)が噛み合うようになる。
【0117】
したがって、入力軸340の回転力は、第2の駆動ギヤ342を回転させ、これと噛合している第2の被動ギヤ352を回転させる。第2の被動ギヤ352は、中心に出力軸330が固定されているので、出力軸330は変速された回転速度を出力することになる。
【0118】
前記出力軸330を、例えば、電気自動車の前輪軸または後輪軸と連結して変速された回転速度を伝達するか、電動バイクや電動自転車の駆動スプロケットと連結してチェーンを介して後輪に変速された回転速度を伝達する。
【0119】
また、搭乗者が3段への変速を行うためには、コントローラ370を操作してポール(図12の「371a」)を出力軸330の外周面に突出させて、3段に相当する第3の被動ギヤ353のラチェットに噛み合わせる。
【0120】
したがって、入力軸320の回転力は、入力軸に固定された第3の駆動ギヤ343を回転させ、これに噛合している第3の被動ギヤ353を回転させる。第3の被動ギヤ353は、中心にポール371aによって出力軸330が結合されているので、出力軸330は、第3の被動ギヤ353と連動して変速された回転速度を出力する。
図17は、本発明による第4の実施形態を示すものである。
【0121】
同図に示すように、入力軸420の一方の端にはシフトクラッチ410が配備され、入力軸420には係止突起が形成され、シフトクラッチ410には係止溝が形成されるのは、図12に示す実施形態と同様である。また、コントローラ460の構造は、図15に示すものと同様である。
【0122】
ただし、前記入力軸420は、4つの駆動ギヤ430を貫通し、駆動ギヤ440と噛み合う4つのポールP1~P4が出没可能に配備されていて、コントローラ460の制御により結合または解除可能である。
【0123】
これとは異なり、出力軸430には、被動ギヤ450が結合されており、ポールが配備されていない。
したがって、アウターリング464及びインナーリング463を備えるコントローラ460も、出力軸430には配備されず、入力軸420にのみ配備される。
図18は、本発明による第5の実施形態500を示すものである。
【0124】
図17に示す実施形態と対比すると、前記出力軸530は、4つの被動ギヤ550を貫通し、被動ギヤ550と噛み合う4つのポールP1~P4が出没可能に配備されていて、コントローラ570の制御により結合またはり解除可能である。
【0125】
これとは異なり、入力軸520には、駆動ギヤ540が結合されており、ポールが配備されていない。
したがって、アウターリング574及びインナーリング573を備えるコントローラ570も、入力軸520には配備されず、出力軸530にのみ配備される。
但し、シフトクラッチ510が入力軸520の一方の端に配備されるのは同様である。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明によれば、自動車やバイクや電動自転車などの交通手段にモータ用変速機を適用した場合、トルク(力)とスピードの両方を満足させ、急な坂道走行に問題がなく、燃費効率を極大化させることができる。
また、発電機や工作機械や電動工具などにも本発明を適用して、モータ及びバッテリの効率を極大化させることができる。




図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図15
図16
図17
図18