(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】送信装置および送受信システム
(51)【国際特許分類】
H04L 25/02 20060101AFI20230724BHJP
H04B 3/00 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
H04L25/02 V
H04L25/02 S
H04B3/00
(21)【出願番号】P 2017202673
(22)【出願日】2017-10-19
【審査請求日】2020-08-19
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】399011195
【氏名又は名称】ザインエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100110582
【氏名又は名称】柴田 昌聰
(74)【代理人】
【識別番号】100223424
【氏名又は名称】和田 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】藤田 悠介
【合議体】
【審判長】猪瀬 隆広
【審判官】山中 実
【審判官】土居 仁士
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-134641(JP,A)
【文献】特開2016-163247(JP,A)
【文献】特表2016-501678(JP,A)
【文献】特表2014-527329(JP,A)
【文献】特表2010-518749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/02, H04B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動信号線に接続される1対の出力端から差動信号を送出する信号出力部を備え、
前記1対の出力端のコモン電圧が、
前記信号出力部に電力が供給されていない電力未供給状態
、および
、前記信号出力部に電力が供給されていて差動0Vの差動信号を出力しているアイドル状態に亘って一定である、
送信装置。
【請求項2】
前記1対の出力端のコモン電圧が、電力未供給状態、
前記信号出力部に電力が供給されていてアイドル状態より消費電力が少ないパワーダウン状態
、および
、アイドル状態に亘って一定である、
請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
差動信号線に接続される1対の出力端から差動信号を送出する信号出力部を備え、
前記信号出力部が電流モードドライバを含み、
前記1対の出力端のコモン電圧が、
前記信号出力部に電力が供給されていない電力未供給状態
、および
、前記信号出力部に電力が供給されていて差動0Vの差動信号を出力しているアイドル状態より消費電力が少ないパワーダウン状態に亘って一定である、
送信装置。
【請求項4】
差動信号線に接続される1対の出力端から差動信号を送出する信号出力部を備え、
前記信号出力部が電圧モードドライバを含み、
前記1対の出力端のコモン電圧が、
前記信号出力部に電力が供給されていてアイドル状態より消費電力が少ないパワーダウン状態
、および
、前記信号出力部に電力が供給されていて差動0Vの差動信号を出力しているアイドル状態に亘って一定である、
送信装置。
【請求項5】
前記差動信号線を介して接続された受信装置において差動信号サンプリングの際のオフセットを調整する為の差動信号の送出を要求する要求信号を入力する要求入力部を更に備え、
前記信号出力部が、前記要求入力部が入力した前記要求信号に基づいて差動0Vの差動信号を前記受信装置へ送出する、
請求項1~4の何れか1項に記載の送信装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の送信装置と、差動信号線を介して前記送信装置と接続された受信装置と、を備え、
前記受信装置は、
前記送信装置から前記差動信号線へ送出された差動信号を入力し、クロックが指示するタイミングで前記差動信号をサンプリングすることでデータを生成するとともに、その差動信号サンプリングの際のオフセットが調整可能である信号入力部と、
前記送信装置から送出された差動0Vの差動信号を前記信号入力部が入力したときに、前記信号入力部から出力されるデータに基づいて前記オフセットを調整する調整部と、
を備える、
送受信システム。
【請求項7】
請求項5に記載の送信装置と、差動信号線を介して前記送信装置と接続された受信装置と、を備え、
前記受信装置は、
前記送信装置から前記差動信号線へ送出された差動信号を入力し、クロックが指示するタイミングで前記差動信号をサンプリングすることでデータを生成するとともに、その差動信号サンプリングの際のオフセットが調整可能である信号入力部と、
前記オフセットを調整する為の差動信号の送出を前記送信装置に対して要求する要求信号を前記送信装置へ送出する要求出力部と、
前記要求出力部が前記要求信号を送出した後に前記送信装置から送出された差動0Vの差動信号を前記信号入力部が入力したときに、前記信号入力部から出力されるデータに基づいて前記オフセットを調整する調整部と、
を備える、
送受信システム。
【請求項8】
前記調整部が、前記送信装置から送出される差動0Vの差動信号を前記信号入力部が入力したときに、前記信号入力部における差動信号サンプリングにより論理値1および論理値0の各データが互いに等しい頻度で出力されるように前記オフセットを調整する、
請求項6または7に記載の送受信システム。
【請求項9】
前記受信装置から前記送信装置へ前記要求信号を伝送する信号線として、前記送信装置の側で抵抗器を介して第1基準電位端に接続され前記受信装置の側でスイッチを介して第2基準電位端に接続された信号線を備え、前記受信装置において前記スイッチの開閉状態に基づいて前記要求信号を送信する、
請求項7に記載の送受信システム。
【請求項10】
前記受信装置から前記送信装置へ前記要求信号を伝送する信号線として、前記送信装置から前記受信装置へ前記差動信号を伝送する差動信号線の間隔を空ける際に生じる余り線を用いる、
請求項7または9に記載の送受信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置および送受信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
差動信号線を介して互いに接続された送信装置および受信装置を備える送受信システムにおいて、受信装置の信号入力部は、送信装置から送出された差動信号を入力し、クロックが指示するタイミングで差動信号をサンプリングすることでデータを生成する。このような送受信システムにより高速差動伝送をする際に、差動信号が減衰したり反射したりすることにより、受信装置の信号入力部における差動信号サンプリングのマージンが小さくなる。
【0003】
受信装置の信号入力部における差動信号サンプリングの際のオフセットを調整することにより、差動信号サンプリングのマージンを大きくすることができる。オフセットは、入力された差動信号が論理値1および論理値0の何れであるかを判定(デジタル値判定)する際の閾値のずれである。オフセットは、回路を構成する各デバイスの特性ばらつきによって生じるが、信号入力部の回路の工夫により調整され得る。オフセットは0に近いほど好ましい。
【0004】
特許文献1に開示された発明では、受信装置の入力端において差動信号線を構成する1対の信号線を互いに短絡させた状態として、差動信号サンプリングで得られたデータに基づいてオフセットを検出し、その検出結果に基づいてオフセットを調整する。
【0005】
特許文献2に開示された発明では、受信装置においてオフセット調整を開始する旨の信号が受信装置から送信装置へ送られた後に、送信装置から受信装置へ差動0Vの差動信号が送られる。そして、この差動0Vの差動信号を入力した受信装置において、差動信号サンプリングで得られたデータに基づいてオフセットを検出し、その検出結果に基づいてオフセットを調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5349842号公報
【文献】特開2016-163247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示された発明では、受信装置の入力端において差動信号線を短絡させるためにスイッチが必要であることから、その入力端の負荷容量が大きくなって、高速差動伝送に悪影響が生じる。また、オフセットを検出する回路等が必要であることから、受信装置の回路面積および消費電力が大きい。さらに、受信装置の入力端においてスイッチを閉じて差動信号線を短絡させた状態のときに、送信装置から信号が送出されていると、その信号が受信装置にとってノイズとなる場合がある。
【0008】
特許文献2に開示された発明は、特許文献1に開示された発明が有する上記問題点を解消し得る。しかし、特許文献2に開示された発明では、受信装置においてオフセット調整を開始する旨の信号が受信装置から送信装置へ送られた後に、送信装置の状態が変化して受信装置に入力される差動信号のコモン電圧が変動する場合があり、さらに、そのコモン電圧の変動のときに差動信号が差動0Vでなくなる場合がある。このような場合、受信装置において、差動0Vでない差動信号のサンプリング結果に基づいてオフセット調整が行われることになって、正確なオフセット調整ができない場合がある。
【0009】
送信装置の状態として、通常のデータを差動信号として出力している通常データ送信状態の他、電力未供給状態およびアイドル状態があり、また、送信装置によってはパワーダウン状態もある。電力未供給状態は、送信装置に電力が供給されていない状態である。アイドル状態は、送信装置に電力が供給されている状態であって、差動0Vの差動信号を出力している状態である。差動0Vは、能動的に或る電位に固定して作られる場合の他、ハイインピーダンス出力にしてリークにより受動的に或る電位に固定して作られる場合もある。パワーダウン状態は、送信装置に電力が供給されている状態であって、アイドル状態より消費電力が少ない状態である。
【0010】
例えば、送信装置において電力未供給状態からパワーダウン状態またはアイドル状態に変化する際に、その送信装置に含まれる各構成部品に電力供給が開始されるタイミングが互いに異なっていると、コモン電圧が変動する場合がある。また、送信装置がパワーダウン状態からアイドル状態に変化する際にも、その送信装置に含まれる各構成部品が低消費電力状態から通常の消費電力状態に遷移するタイミングが互いに異なっていると、コモン電圧が変動する場合がある。このようなコモン電圧の変動のときに差動信号が差動0Vでなくなる場合がある。
【0011】
送信装置が何れの状態であるかについて受信装置が把握することができない場合が多い。例えば、送信装置から受信装置へ画像データを伝送する送受信システムでは、送信装置から受信装置への一方向に大容量の画像データを高速に伝送することが最重要視され、送信装置の状態を受信装置へ送る為のサブチャンネルが設けられていない場合が多い。この場合、受信装置は、送信装置の状態および状態変化を把握することができず、コモン電圧変動を予測することも把握することができない。したがって、受信装置は、差動信号が差動0Vでなくてもオフセット調整を行って、正確なオフセット調整ができない場合がある。
【0012】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、状態が変化しても受信装置において正確なオフセット調整が可能な送信装置、ならびに、このような送信装置および受信装置を備える送受信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の送信装置は、第1態様として、差動信号線に接続される1対の出力端から差動信号を送出する信号出力部を備え、1対の出力端のコモン電圧が、電力未供給状態およびアイドル状態に亘って一定である。また、1対の出力端のコモン電圧が、電力未供給状態,パワーダウン状態およびアイドル状態に亘って一定であるのが好適である。
【0014】
本発明の送信装置は、第2態様として、差動信号線に接続される1対の出力端から差動信号を送出する信号出力部を備え、信号出力部が電流モードドライバを含み、1対の出力端のコモン電圧が、電力未供給状態およびパワーダウン状態に亘って一定である。
【0015】
本発明の送信装置は、第3態様として、差動信号線に接続される1対の出力端から差動信号を送出する信号出力部を備え、信号出力部が電圧モードドライバを含み、1対の出力端のコモン電圧が、パワーダウン状態およびアイドル状態に亘って一定である。
【0016】
本発明の送信装置は、差動信号線を介して接続された受信装置において差動信号サンプリングの際のオフセットを調整する為の差動信号の送出を要求する要求信号を入力する要求入力部を更に備え、信号出力部が、要求入力部が入力した要求信号に基づいて差動0Vの差動信号を受信装置へ送出するのが好適である。
【0017】
本発明の送受信システムは、上記の本発明の送信装置と、差動信号線を介して送信装置と接続された受信装置と、を備える。受信装置は、(1) 送信装置から差動信号線へ送出された差動信号を入力し、クロックが指示するタイミングで差動信号をサンプリングすることでデータを生成するとともに、その差動信号サンプリングの際のオフセットが調整可能である信号入力部と、(2) 送信装置から送出された差動0Vの差動信号を信号入力部が入力したときに、信号入力部から出力されるデータに基づいてオフセットを調整する調整部と、を備える。
【0018】
或いは、本発明の送受信システムは、上記の本発明の第3態様の送信装置と、差動信号線を介して送信装置と接続された受信装置と、を備える。受信装置は、(1) 送信装置から差動信号線へ送出された差動信号を入力し、クロックが指示するタイミングで差動信号をサンプリングすることでデータを生成するとともに、その差動信号サンプリングの際のオフセットが調整可能である信号入力部と、(2) オフセットを調整する為の差動信号の送出を送信装置に対して要求する要求信号を送信装置へ送出する要求出力部と、(3) 要求出力部が要求信号を送出した後に送信装置から送出された差動0Vの差動信号を信号入力部が入力したときに、信号入力部から出力されるデータに基づいてオフセットを調整する調整部と、を備える。
【0019】
本発明の送受信システムにおいて、受信装置の調整部は、送信装置から送出される差動0Vの差動信号を信号入力部が入力したときに、信号入力部における差動信号サンプリングにより論理値1および論理値0の各データが互いに等しい頻度で出力されるようにオフセットを調整するのが好適である。
【0020】
本発明の送受信システムにおいて、受信装置から送信装置へ要求信号を伝送する信号線として、送信装置の側で抵抗器を介して第1基準電位端に接続され受信装置の側でスイッチを介して第2基準電位端に接続された信号線を備え、受信装置においてスイッチの開閉状態に基づいて要求信号を送信するのが好適である。また、受信装置から送信装置へ要求信号を伝送する信号線として、送信装置から受信装置へ差動信号を伝送する差動信号線の間隔を空ける際に生じる余り線を用いるのも好適である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、送信装置の状態が変化しても受信装置において正確なオフセット調整が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、送受信システム1の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、受信装置20のオフセット調整可能なサンプラ212の回路例を示す図である。
【
図3】
図3は、送信装置10の信号出力部11の第1回路例を示す図である。
【
図4】
図4は、送信装置10の信号出力部11の第2回路例を示す図である。
【
図5】
図5は、送信装置10の信号出力部11の第3回路例を示す図である。
【
図6】
図6は、送信装置10の信号出力部11の第4回路例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0024】
図1は、送受信システム1の構成を示す図である。送受信システム1は、差動信号線30および信号線40を介して互いに接続された送信装置10および受信装置20を備え、送信装置10から送出された差動信号を受信装置20により受信する。
【0025】
送信装置10は、信号出力部11、要求入力部12および抵抗器13を備える。要求入力部12は、受信装置20から信号線40を介して送られてきた要求信号を入力する。抵抗器13は、要求入力部12の入力端(すなわち、信号線40)と第1基準電位端との間に設けられている。第1基準電位端には電源電位Vddが与えられる。信号出力部11は、差動信号線30に接続される1対の出力端P111,P112から差動信号を受信装置20へ送出する。
【0026】
信号出力部11は、要求入力部12が入力した要求信号に基づいて、出力端P111,P112から差動0Vの差動信号を受信装置20へ送出することができる。また、信号出力部11は、状態によっては、要求信号に基づくことなく、出力端P111,P112から差動0Vの差動信号を受信装置20へ送出することができる。信号出力部11の詳細については後述する。
【0027】
受信装置20は、信号入力部21、要求出力部22、スイッチ23および調整部24を備える。信号入力部21は、送信装置10の信号出力部11から差動信号線30を介して送られてきた差動信号を入力し、クロックが指示するタイミングで差動信号をサンプリングすることでデジタルデータを生成する。また、信号入力部21における差動信号サンプリングの際のオフセットは調整可能である。
【0028】
信号入力部21は、アンプ211およびサンプラ212を含む。アンプ211は、差動信号線30を経て到達した差動信号を増幅して出力する。サンプラ212は、アンプ211により増幅された差動信号Vsp,Vsnをクロックに基づいてサンプリングすることでデータVsop,Vsonを生成する。アンプ211およびサンプラ212の何れがオフセット調整可能であってもよい。
【0029】
Vsop,Vsonは互いに相補的な値をとるデジタルデータであり、一方が論理値1であるとき他方は論理値0である。クロックは、送信装置10からデータとは別に送られて来たものであってもよいし、送信装置10から送られて来た信号がデータにクロック情報を埋め込んだ信号である場合に該信号に基づいて受信装置20において復元したクロックであってもよい。
【0030】
要求出力部22は、信号線40を介して要求信号を送信装置10へ送る。この要求信号は、信号入力部21における差動信号サンプリングの際のオフセットを調整する為の差動信号の送出を送信装置10に対して要求する信号である。スイッチ23は、信号線40と第2基準電位端との間に設けられている。第2基準電位端には接地電位Vssが与えられる。
【0031】
スイッチ23が閉じているときには信号線40の電位は第2基準電位(接地電位Vss)となる。スイッチ23が開いているときには信号線40の電位は第1基準電位(電源電位Vdd)となる。すなわち、要求出力部22は、スイッチ23の開閉状態に基づいて要求信号を送信装置10へ送ることができる。スイッチ23は例えばMOSトランジスタにより構成され、その場合、ゲート電圧の大きさによってスイッチ23の開閉状態が設定される。
【0032】
このような信号線40、抵抗器13およびスイッチ23を含む構成は、ホットプラグ検出(HotPlug Detect)機能を実現する構成と同等である。すなわち、送信装置10と受信装置20との間でケーブル/コネクタが外れているときや、受信装置20がパワーダウンしているときには、信号線40の電位が第1基準電位(電源電位Vdd)となる。送信装置10と受信装置20との間でケーブル/コネクタが接続されていて、受信装置20が動作可能であるときには、信号線40の電位が第2基準電位(接地電位Vss)となる。送信装置10は、信号線40の電位レベルを検知することで、受信装置20が信号を受信し得る状態であるか否かを把握することができる。送信装置10は、受信装置20が受信可能状態であることを確認した上で受信装置20へ信号を送信することができる。
【0033】
調整部24は、要求出力部22から送信装置10へ送出された要求信号に基づいて送信装置10の信号出力部11から送られて来た差動0Vの差動信号を信号入力部21が入力したときに、信号入力部21から出力されるデータに基づいて、信号入力部21における差動信号サンプリングの際のオフセットを調整する。好適には、調整部24は、信号入力部21における差動信号サンプリングにより論理値1および論理値0の各データが互いに等しい頻度で出力されるようにオフセットを調整する。
【0034】
調整部24は、カウンタ241および制御回路242を含む。カウンタ241は、信号入力部21から出力されるデータを入力するとともに、クロックをも入力して、一定期間に亘って、その出力データが論理値1である事象を計数し、また、出力データが論理値0である事象を計数する。或いは、カウンタ241は、一定期間に亘って、出力データが論理値1である場合に計数値を1増し、出力データが論理値0である場合に計数値を1減することで、出力データが論理値1である事象の数と論理値0である事象の数との差を求める。
【0035】
制御回路242は、カウンタ241による計数結果を入力するともに、クロックをも入力して、デジタル値cntlに応じた計数結果に基づいて、信号入力部21における差動信号サンプリングにより論理値1および論理値0の各データが互いに等しい頻度で出力されるようにデジタル値cntlを決定する。制御回路242は、デジタル値cntlを信号入力部21へ出力する。信号入力部21は、このデジタル値cntlに応じてオフセットを調整する。
【0036】
差動信号線30は、送信装置10の信号出力部11から送出された差動信号を、受信装置20の信号入力部21へ伝送する。差動信号線30を構成する1対の信号線の間には抵抗器33が設けられている。
【0037】
送信装置10と受信装置20との間がAC結合される場合には、差動信号線30を構成する1対の信号線それぞれにコンデンサ31,32が挿入される。AC結合の場合には、送信装置10は、差動信号線30を構成する1対の信号線それぞれに一定電圧値を出力することで、受信装置20の信号入力部21へ到達する差動信号を差動0Vとすることができる。
【0038】
送信装置10と受信装置20との間がDC結合される場合には、コンデンサ31,32は不要である。DC結合の場合には、送信装置10は、差動信号線30を構成する1対の信号線それぞれに互いに同じ電圧値を出力することで、受信装置20の信号入力部21へ到達する差動信号を差動0Vとすることができる。
【0039】
信号線40は、受信装置20の要求出力部22から送信装置10の要求入力部12へ要求信号を伝送する。この信号線40が伝送する要求信号は高速でなくてよいので、信号線40として低速で安価な線を用いることができる。また、送信装置10と受信装置20との間でフラットケーブルのような信号間干渉が大きくケーブル品質が悪いものを使用する場合は、差動信号線30の間隔を空ける際に生じる余り線を信号線40として用いることもできる。
【0040】
次に、オフセット調整可能なサンプラ212の回路例について説明する。
図2は、受信装置20のオフセット調整可能なサンプラ212の回路例を示す図である。サンプラ212は、NMOSトランジスタ50~59、抵抗器60,61、電流源62~65およびNAND回路66,67を備える。また、サンプラ212は、アンプ211から出力される信号Vspを入力する第1入力端P
11、アンプ211から出力される信号Vsnを入力する第2入力端P
12、データVsopを出力する第1出力端P
21、データVsonを出力する第2出力端P
22、クロックを入力するクロック入力端P
3、制御回路242から出力されるデジタル値cntlを入力するデジタル値入力端P
4、第1内部ノードN
1、第2内部ノードN
2、第3内部ノードN
3、第4内部ノードN
4、第5内部ノードN
5、第6内部ノードN
6、第7内部ノードN
7、第8内部ノードN
8を有する。
【0041】
NMOSトランジスタ50のドレインは電源電位Vddが与えられ、NMOSトランジスタ50のソースは第8内部ノードN8に接続され、NMOSトランジスタ50のゲートは第7内部ノードN7に接続されている。NMOSトランジスタ51のドレインは電源電位Vddが与えられ、NMOSトランジスタ51のソースは第7内部ノードN7に接続され、NMOSトランジスタ51のゲートは第8内部ノードN8に接続されている。
【0042】
NMOSトランジスタ52のドレインは第8内部ノードN8に接続され、NMOSトランジスタ52のソースは第1内部ノードN1に接続され、NMOSトランジスタ52のゲートは第7内部ノードN7に接続されている。NMOSトランジスタ53のドレインは第7内部ノードN7に接続され、NMOSトランジスタ53のソースは第2内部ノードN2に接続され、NMOSトランジスタ53のゲートは第8内部ノードN8に接続されている。
【0043】
NMOSトランジスタ54のドレインは第1内部ノードN1に接続され、NMOSトランジスタ54のソースは第3内部ノードN3に接続され、NMOSトランジスタ54のゲートは第1入力端P11に接続されている。NMOSトランジスタ55のドレインは第2内部ノードN2に接続され、NMOSトランジスタ55のソースは第3内部ノードN3に接続され、NMOSトランジスタ55のゲートは第2入力端P12に接続されている。
【0044】
NMOSトランジスタ56のドレインは第1内部ノードN1に接続され、NMOSトランジスタ56のソースは第4内部ノードN4に接続され、NMOSトランジスタ56のゲートは第5内部ノードN5に接続されている。NMOSトランジスタ57のドレインは第2内部ノードN2に接続され、NMOSトランジスタ57のソースは第4内部ノードN4に接続され、NMOSトランジスタ57のゲートは第6内部ノードN6に接続されている。
【0045】
NMOSトランジスタ58のドレインは第3内部ノードN3に接続され、NMOSトランジスタ58のソースは接地電位Vssが与えられ、NMOSトランジスタ58のゲートはクロック入力端P3に接続されている。NMOSトランジスタ59のドレインは第4内部ノードN4に接続され、NMOSトランジスタ59のソースは接地電位Vssが与えられ、NMOSトランジスタ59のゲートはクロック入力端P3に接続されている。
【0046】
抵抗器60は、電源電位端と第5内部ノードN5との間に設けられている。抵抗器61は、電源電位端と第6内部ノードN6との間に設けられている。電流源62,63は、第5内部ノードN5と接地電位端との間に並列的に設けられている。電流源64,65は、第6内部ノードN6と接地電位端との間に並列的に設けられている。電流源63,64は、一定電流を流す。電流源62,65は、デジタル値入力端P4に入力されるデジタル値cntlに応じた量の電流を流す。
【0047】
NAND回路66の一方の入力端子は第7内部ノードN7に接続され、NAND回路66の他方の入力端子は第1出力端P21に接続され、NAND回路66の出力端子は第2出力端P22に接続されている。NAND回路67の一方の入力端子は第8内部ノードN8に接続され、NAND回路67の他方の入力端子は第2出力端P22に接続され、NAND回路67の出力端子は第1出力端P21に接続されている。
【0048】
このように構成されるサンプラ212では、デジタル値入力端P4に入力されるデジタル値cntlに応じた電流を電流源62,65が流すことにより、第5内部ノードN5の電位Vonおよび第6内部ノードN6の電位Vopそれぞれもデジタル値cntlに応じたものとなる。第5内部ノードN5の電位VonがNMOSトランジスタ56のゲートに与えられる。第6内部ノードN6の電位VopがNMOSトランジスタ57のゲートに与えられる。
【0049】
クロック入力端P3に入力されるクロックの立上りエッジのタイミングで、入力端P11,P12に入力される差動信号Vsp,Vsnがサンプリングされて、出力端P21,P22からデータVsop,Vsonが出力される。このサンプリングの際に、Vop,Vonの電位差によって、Vsp,Vsnの電位差に偏りが生じる。この偏りの量はオフセットと比例する。したがって、デジタル値cntlによってVop,Vonの電位差を調整することで、オフセットを調整することができる。
【0050】
次に、送受信システム1の動作例について説明する。受信装置20がパワーオンまたはウェイクアップされると、要求出力部22は、スイッチ23をオフ状態として、信号線40の電位を第1基準電位(電源電位Vdd)とすることで、要求信号を送信装置10へ送る。送信装置10の要求入力部12は、信号線40の電位が第1基準電位(電源電位Vdd)となったことを検知して、受信装置20から要求信号が送られて来たことを把握する。そして、送信装置10の信号出力部11は、差動0Vの差動信号を受信装置20へ送出する。或いは、送信装置10の状態によっては、信号出力部11は、要求信号に基づくことなく、差動0Vの差動信号を受信装置20へ送出する。
【0051】
差動0Vの差動信号を受信した受信装置20の信号入力部21は、クロックが指示するタイミングで差動信号をサンプリングすることでデータVsop,Vsonを生成する。このとき、信号入力部21がサンプリングする差動信号は、差動0Vであるが、ランダムなノイズが重畳されたものとなっている。したがって、オフセットが理想値0であれば、データVsop,Vsonが論理値0および論理値1それぞれになる頻度が互いに等しい。そこで、調整部24は、信号入力部21から出力される論理値1および論理値0の各データが互いに等しい頻度で出力されるように、信号入力部21に与えるデジタル値cntlを設定することで、信号入力部21におけるオフセットを最適に調整する。
【0052】
オフセット調整が終了すると、調整部24は、最適調整時のデジタル値cntlを記憶し、その記憶したデジタル値cntlを以降も信号入力部21に与える。また、要求出力部22は、スイッチ23をオン状態として、信号線40の電位を第2基準電位(接地電位Vss)とすることで、オフセット調整が終了した旨を送信装置10へ通知する。この通知を受けた送信装置10の信号出力部11は、これ以降、通常データを差動信号として受信装置20へ送出することができる。
【0053】
このように、送受信システム1では、送信装置10の信号出力部11から受信装置20の信号入力部21へ差動0Vの差動信号が送られ、この差動0Vの差動信号を入力した信号入力部21のオフセットが調整部24により調整される。このとき、アンプ211およびサンプラ212を含む信号入力部21の全体のオフセットが調整される。
【0054】
受信装置20は、調整部24をデジタル回路で構成することができるので、特許文献1に開示された発明の構成と比べて回路面積および消費電力を低減することができる。また、特許文献1に開示された発明では受信装置の入力端において差動信号線を短絡させるためのスイッチが必要であるのに対して、受信装置20は、このようなスイッチが不要であることから、入力端の負荷容量の増加を招くことなく、オフセット調整により高速差動伝送が可能である。
【0055】
また、受信装置20の要求出力部22から送信装置10の要求入力部12へ要求信号を伝送する信号線40をホットプラグ検出用の信号線と共用するので、送信装置10と受信装置20との間で新たな信号線を追加する必要はなく、また、要求信号を送受信するための回路の追加は必要ないか又は僅かな規模で済む。
【0056】
次に、送信装置10の信号出力部11について詳細に説明する。信号出力部11は、差動信号線30に接続される1対の出力端P111,P112から差動信号を送出する。その1対の出力端P111,P112のコモン電圧は、電力未供給状態およびアイドル状態に亘って一定である。また、送信装置10がパワーダウン状態にもなり得る場合には、1対の出力端P111,P112のコモン電圧は、電力未供給状態,パワーダウン状態およびアイドル状態に亘って一定である。この場合、送信装置10の電力未供給状態から(パワーダウン状態を経て)アイドル状態に至るまでの期間に、受信装置20におけるオフセット調整を行うことができる。その期間においては、受信装置20に入力される差動信号のコモン電圧が変動せず、その差動信号が差動0Vで安定しているので、受信装置20において正確なオフセット調整をすることが可能である。
【0057】
或いは、信号出力部11が電流モードドライバを含む構成である場合には、1対の出力端P111,P112のコモン電圧は、少なくとも電力未供給状態およびパワーダウン状態に亘って一定であればよい。この場合、送信装置10の電力未供給状態からパワーダウン状態に至るまでの期間に、受信装置20におけるオフセット調整が行われて終了すればよい。その期間においては、受信装置20に入力される差動信号のコモン電圧が変動せず、その差動信号が差動0Vで安定しているので、受信装置20において正確なオフセット調整をすることが可能である。
【0058】
また、或いは、信号出力部11が電圧モードドライバを含む構成である場合には、1対の出力端P111,P112のコモン電圧は、少なくともパワーダウン状態およびアイドル状態に亘って一定であればよい。この場合、送信装置10のパワーダウン状態からアイドル状態に至るまでの期間に、受信装置20におけるオフセット調整が開始されて終了すればよい。その期間においては、受信装置20に入力される差動信号のコモン電圧が変動せず、その差動信号が差動0Vで安定しているので、受信装置20において正確なオフセット調整をすることが可能である。
【0059】
なお、上記の何れの場合においても、信号出力部11のアイドル状態でのコモン電圧は、通常データ送信状態でのコモン電圧と同じ値または近い値であるのが好ましいが、異なっていてもよい。特に、信号出力部11が電圧モードドライバを含む場合には、アイドル状態でのコモン電圧は、通常データ送信状態でのコモン電圧と同じ値であるのが好ましい。
【0060】
図3は、送信装置10の信号出力部11の第1回路例を示す図である。この図に示される第1回路例の信号出力部11Aは、電流モードドライバであるCML(Current Mode Logic)構成を含む。信号出力部11Aは、定電流源110、NMOSトランジスタ111,112、抵抗器121~124およびスイッチ131~133を備える。
【0061】
定電流源110は、NMOSトランジスタ111,112それぞれのソースと接地電位供給端との間に設けられている。抵抗器121の一端は、出力端P111に接続され、また、NMOSトランジスタ111のドレインに接続されている。抵抗器121の他端は、抵抗器123を介して接地電位供給端に接続され、また、スイッチ131およびスイッチ133を介して電源100と接続されている。抵抗器122の一端は、出力端P112に接続され、また、NMOSトランジスタ112のドレインに接続されている。抵抗器122の他端は、抵抗器124を介して接地電位供給端に接続され、また、スイッチ132およびスイッチ133を介して電源100と接続されている。スイッチ133は、電源100からの電源電位および接地電位のうちの何れか一方の電位を選択し、その選択した電位を、スイッチ131,132を介して抵抗器121,122に与えることができる。NMOSトランジスタ111,112の各ゲートは、送信すべき信号に応じた電圧値が与えられる。
【0062】
この第1回路例の信号出力部11Aでは、電力未供給状態のとき、スイッチ133の作用により信号出力部11Aに電力が供給されないので、スイッチ131,132の状態に拘わらず、1対の出力端P111,P112の電位は何れも接地電位(L(ロー)レベル)となる。
【0063】
パワーダウン状態のとき、スイッチ133の作用により信号出力部11Aに電力が供給されるものの、定電流源110がオフ状態であり、スイッチ131,132がオフ状態である。これにより、高抵抗の抵抗器123,124のプルダウン作用により、1対の出力端P111,P112の電位は何れも接地電位(Lレベル)となる。
【0064】
アイドル状態のとき、スイッチ133の作用により信号出力部11Aに電力が供給され、定電流源110がオン状態であり、スイッチ131,132がオフ状態である。これにより、高抵抗の抵抗器123,124のプルダウン作用により、1対の出力端P111,P112の電位は何れも接地電位(Lレベル)となる。
【0065】
図4は、送信装置10の信号出力部11の第2回路例を示す図である。この図に示される第2回路例の信号出力部11Bは、電流モードドライバであるCML構成を含む。信号出力部11Bは、定電流源110、NMOSトランジスタ111,112および抵抗器121,122を備える。
【0066】
定電流源110は、NMOSトランジスタ111,112それぞれのソースと接地電位供給端との間に設けられている。抵抗器121の一端は、出力端P111に接続され、また、NMOSトランジスタ111のドレインに接続されている。抵抗器121の他端は、電源101と接続されている。抵抗器122の一端は、出力端P112に接続され、また、NMOSトランジスタ112のドレインに接続されている。抵抗器122の他端は、電源101と接続されている。NMOSトランジスタ111,112の各ゲートは、送信すべき信号に応じた電圧値が与えられる。電源101は、抵抗器121,122に接地電位(Hレベル)を与え、定電流源110にマイナスの電源電位(Lレベル)を与える。
【0067】
この第2回路例の信号出力部11Bでは、電力未供給状態のとき、1対の出力端P111,P112の電位は何れも接地電位(Hレベル)となる。パワーダウン状態のとき、信号出力部11Bに電力が供給され、NMOSトランジスタ111,112がオフ状態となることにより、1対の出力端P111,P112の電位は何れも接地電位(Hレベル)となる。アイドル状態のとき、信号出力部11Bに電力が供給され、NMOSトランジスタ111,112がオフ状態となることにより、1対の出力端P111,P112の電位は何れも接地電位(Hレベル)となる。
【0068】
図5は、送信装置10の信号出力部11の第3回路例を示す図である。この図に示される第3回路例の信号出力部11Cは、電圧モードドライバであるSST(Source SeriesTermination)構成を含む。一般に、電圧モードドライバは、1対の出力端P
111,P
112のうちの一方の出力端P
111から信号を出力する第1部分回路と、他方の出力端P
112から信号を出力する第2部分回路とを含む。第1部分回路と第2部分回路とは互いに同じ構成を有する。この図は、出力端P
111から信号を出力する第1部分回路を示している。信号出力部11Cは、第1部分回路において、PMOSトランジスタ141、NMOSトランジスタ142、抵抗器151,152およびスイッチ161,162を備える。
【0069】
PMOSトランジスタ141およびNMOSトランジスタ142それぞれのドレインは、互いに接続されており、また、抵抗器151を介して出力端P111に接続されている。PMOSトランジスタ141のソースは、スイッチ161を介して電源100から電源電位が与えられる。NMOSトランジスタ142のソースは、スイッチ162を介して接地電位が与えられる。抵抗器152は、出力端P111と接地電位供給端との間に設けられている。PMOSトランジスタ141およびNMOSトランジスタ142それぞれのゲートは、互いに接続されており、送信すべき信号に応じた電圧値が与えられる。
【0070】
この第3回路例の信号出力部11Cの第1部分回路では、電力未供給状態のとき、スイッチ161,162の状態に拘わらず、高抵抗の抵抗器152のプルダウン作用により、出力端P111の電位は接地電位(Lレベル)となる。パワーダウン状態およびアイドル状態のとき、信号出力部11Cに電力が供給され、スイッチ161,162がオフ状態であり、高抵抗の抵抗器152のプルダウン作用により、出力端P111の電位は接地電位(Lレベル)となる。パワーダウン状態とアイドル状態とは、図示された回路以外の回路における電力消費量の点で互いに相違する。第3回路例の信号出力部11Cの第2部分回路についても同様である。
【0071】
図6は、送信装置10の信号出力部11の第4回路例を示す図である。この図に示される第4回路例の信号出力部11Dは、電圧モードドライバであるSST構成を含む。この図も、互いに同じ構成を有する第1部分回路および第2部分回路のうち、出力端P
111から信号を出力する第1部分回路を示している。信号出力部11Dは、第1部分回路において、PMOSトランジスタ141、NMOSトランジスタ142、抵抗器151、スイッチ163およびゲート回路170を備える。
【0072】
PMOSトランジスタ141およびNMOSトランジスタ142それぞれのドレインは、互いに接続されており、また、抵抗器151を介して出力端P111に接続されている。PMOSトランジスタ141のソースは、スイッチ163を介して電源100と接続されている。NMOSトランジスタ142のソースは、接地電位が与えられる。スイッチ163は、電源100からの電源電位および接地電位のうちの何れか一方を選択し、その選択した電位をPMOSトランジスタ141のソースに与えることができる。PMOSトランジスタ141およびNMOSトランジスタ142それぞれのゲートは、互いに接続されており、ゲート回路170から出力される電圧値が与えられる。ゲート回路170は、送信すべき信号に応じた電圧値およびHレベルの電圧値の何れかを選択して、その選択した電圧値をPMOSトランジスタ141およびNMOSトランジスタ142それぞれのゲートに与える。
【0073】
この第4回路例の信号出力部11Dの第1部分回路では、電力未供給状態のとき、スイッチ163の作用により信号出力部11Dに電力が供給されないので、リークによって出力端P111の電位は接地電位(Lレベル)となる。パワーダウン状態およびアイドル状態のとき、スイッチ163の作用により信号出力部11Dに電力が供給され、PMOSトランジスタ141およびNMOSトランジスタ142それぞれのゲートにHレベルの電圧値がゲート回路170から与えられる。これにより、PMOSトランジスタ141がオフ状態となるとともに、NMOSトランジスタ142がオン状態となることにより、出力端P111の電位は接地電位(Lレベル)となる。パワーダウン状態とアイドル状態とは、図示された回路以外の回路における電力消費量の点で互いに相違する。第4回路例の信号出力部11Dの第2部分回路についても同様である。
【符号の説明】
【0074】
1…送受信システム、10…送信装置、11,11A~11D…信号出力部、12…要求入力部、13…抵抗器、20…受信装置、21…信号入力部、22…要求出力部、23…スイッチ、24…調整部、30…差動信号線、31,32…コンデンサ、33…抵抗器、40…信号線、100,101…電源、110…定電流源、111,112…NMOSトランジスタ、121~124…抵抗器、131~133…スイッチ、141…PMOSトランジスタ、142…NMOSトランジスタ、151,152…抵抗器、161~163…スイッチ、170…ゲート回路、211…アンプ、212…サンプラ、241…カウンタ、242…制御回路。