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特許7317352メッシュベルト検査装置およびメッシュベルト検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】メッシュベルト検査装置およびメッシュベルト検査方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/02 20060101AFI20230724BHJP
   F27B 9/40 20060101ALI20230724BHJP
   F27B 9/24 20060101ALI20230724BHJP
   F27D 21/00 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
B65G43/02 Z
F27B9/40
F27B9/24 E
F27D21/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019109426
(22)【出願日】2019-06-12
(65)【公開番号】P2020200164
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】598011259
【氏名又は名称】太陽金網株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西浦 新二
(72)【発明者】
【氏名】改森 亮太
(72)【発明者】
【氏名】平尾 大輔
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-229723(JP,A)
【文献】特開2017-043425(JP,A)
【文献】特開2008-127113(JP,A)
【文献】特開2019-027939(JP,A)
【文献】特開平08-286562(JP,A)
【文献】特開2016-145111(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0272429(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/02
F27B 9/40
F27B 9/24
F27D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状をして周回移動可能に設置されたメッシュベルトを、該メッシュベルトの移動中に検査するメッシュベルト検査装置であって、前記メッシュベルトの一面側に設置されて、前記メッシュベルトを撮影するカメラと、前記カメラで撮影した前記メッシュベルトの画像データを画像処理する画像処理部と、該画像処理部で画像処理した前記メッシュベルトの画像処理データを用いて、前記メッシュベルトの破損状況を検出する破損検出部と、前記カメラを支持するカメラ支持部と、前記メッシュベルトへ向け光を出射する検査用光源装置を支持する光源支持部とを備えた移動体と、を備え、該移動体は、前記カメラおよび前記カメラ支持部が前記メッシュベルトの一面側に配置され、前記検査用光源装置および前記光源支持部が前記メッシュベルトの他面側または一面側に配置されるように、前記メッシュベルトに対して着脱可能とされたことを特徴とするメッシュベルト検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載のメッシュベルト検査装置であって、
前記破損検出部は、前記メッシュベルトの伸びを検出する伸び検出部と、前記メッシュベルトの内側部分の破れを検出する内破れ検出部と、前記メッシュベルトの幅端部の破れを検出する端破れ検出部と、前記メッシュベルトの蛇行を検出する蛇行検出部との少なくとも1つを備えていることを特徴とするメッシュベルト検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載のメッシュベルト検査装置であって、
前記伸び検出部は、前記メッシュベルトに設けた周回方向の位置指標を認識して、該位置指標から次の位置指標が通過するまでの通過時間で前記メッシュベルトの伸びを判定し、前記内破れ検出部は、前記メッシュベルトの網目を認識して、認識した前記網目の形状または面積が、1つ分の前記網目の形状または面積と異なる場合に、前記メッシュベルトに内破れありと判定し、前記端破れ検出部は、前記メッシュベルトの前記幅端部に形成されている段差部を認識して、認識した前記段差部の段差量または前記段差部の面積が初期値よりも大きくなった場合に、前記メッシュベルトに端破れありと判定し、前記蛇行検出部は、前記メッシュベルトの前記幅端部を認識して、認識した前記幅端部の位置と予め設定された幅端基準との間の距離が、初期値と異なる場合、または両側で前記距離が異なっている場合に、前記メッシュベルトに蛇行ありと判定することを特徴とするメッシュベルト検査装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のメッシュベルト検査装置であって、
前記破損検出部で検出した前記メッシュベルトの前記破損状況の検査データを入力して、該検査データの変化に基づき前記メッシュベルトの破損の進行状態を監視すると共に、前記メッシュベルトのメンテナンス時期を予測するメッシュベルト管理部を備えたことを特徴とするメッシュベルト検査装置。
【請求項5】
無端状をして周回するメッシュベルトを、該メッシュベルトの移動中にメッシュベルト検査装置を用いて検査するメッシュベルト検査方法であって、前記メッシュベルト検査装置は、カメラを支持するカメラ支持部と、前記メッシュベルトへ向け光を出射する検査用光源装置を支持する光源支持部とを備えた移動体を備え、該移動体は、前記カメラおよび前記カメラ支持部が前記メッシュベルトの一面側に配置され、前記検査用光源装置および前記光源支持部が前記メッシュベルトの他面側または一面側に配置されるように、前記メッシュベルトに対して着脱可能とされており、前記移動体を、前記メッシュベルトに装着して、前記カメラと前記検査用光源装置とを同時に前記メッシュベルトに配置した状態にして、前記メッシュベルトの一面側に設置された前記カメラによって、前記メッシュベルトを撮影する工程と、該カメラで撮影した前記メッシュベルトの画像データを画像処理部で画像処理する工程と、前記画像処理部で画像処理した前記メッシュベルトの画像処理データに基づき、破損検出部で前記メッシュベルトの破損状況を検出する工程とを行うことを特徴とするメッシュベルト検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、メッシュベルト検査装置およびメッシュベルト検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場などに設置される生産設備には、ベルトコンベヤなどの搬送手段を用いてワークを自動的に搬送するようにしたものがある。
【0003】
例えば、ワークを焼成炉に通して焼成するようにした連続焼成設備などの生産設備では、ワークを焼成炉へ搬入するベルトコンベヤのベルトに、焼成炉内でワークに熱を効率的に伝えられるように、メッシュベルトが使用されている(例えば、特許文献1参照)。この場合、メッシュベルトには、焼成炉の焼成温度に耐えられるように、熱処理搬送用のものが使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-30723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱処理搬送用のメッシュベルトは、例えば、焼成炉の内部を通ることでそれ自体が高温に加熱されるので、伸びなどの変形や損傷を生じ易い。なお、伸びなどの変形や損傷は、熱処理搬送用以外の一般的なメッシュベルトでも生じ得る。
メッシュベルトの交換時期は、作業者がメッシュベルトの変形や損傷度合いを見て判断しているが、判断は人によって差があり、作業者が全ての損傷箇所を把握できなかったりすることなどもあって、時に生産設備の稼働中にメッシュベルトが破断するような事態を招くこともあった。
【0006】
そこで、上記特許文献1では、メッシュベルトの通過経路内にテンションローラなどを設けて、テンションローラでメッシュベルトにテンションを与えるなどして、機械的な手段を使ってメッシュベルトの伸びを検出するようにしている。
【0007】
しかし、テンションローラなどの機械的な伸びの検出手段を設けるためには、生産設備の構造や、ベルトコンベヤにおけるメッシュベルトの通過経路などを、少なくとも部分的に変更しなければならず、大掛かりな改修工事が必要になる。
【0008】
そこで、本発明は、上記した問題点の改善に寄与することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、無端状をして周回移動可能に設置されたメッシュベルトを、該メッシュベルトの移動中に検査するメッシュベルト検査装置であって、前記メッシュベルトの一面側に設置されて、前記メッシュベルトを撮影するカメラと、前記カメラで撮影した前記メッシュベルトの画像データを画像処理する画像処理部と、該画像処理部で画像処理した前記メッシュベルトの画像処理データを用いて、前記メッシュベルトの破損状況を検出する破損検出部と、前記カメラを支持するカメラ支持部と、前記メッシュベルトへ向け光を出射する検査用光源装置を支持する光源支持部とを備えた移動体と、を備え、該移動体は、前記カメラおよび前記カメラ支持部が前記メッシュベルトの一面側に配置され、前記検査用光源装置および前記光源支持部が前記メッシュベルトの他面側または一面側に配置されるように、前記メッシュベルトに対して着脱可能とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記構成によって、メッシュベルトが使われている生産設備に構造的な影響を与えることなく、メッシュベルト検査装置を設置することなどが可能になる。また、メッシュベルト検査装置は、カメラ支持部および光源支持部を有する移動体を有しているので、移動体をメッシュベルトに着脱するだけで、メッシュベルトに対し、カメラと検査用光源装置とを同時に設置したり取り外したりできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は実施例にかかるメッシュベルト検査装置の側面図、(b)は(a)の斜視図である。
図2図1のメッシュベルトの平面図である。
図3】メッシュベルト検査装置の構成図である。
図4】(a)は他の実施例にかかるメッシュベルト検査装置の側面図、(b)は(a)の斜視図である。
図5】メッシュベルトに対するカメラや検査用光源装置の配置を示す斜視図であり、(a)透過照明の場合、(b)は落射照明の場合である。
図6】画像処理部の構成図である。
図7】破損検出部の構成図である。
図8】位置指標を示す図であり、(a)はメッシュベルトへの位置指標の取付状態を示す図、(b)は位置指標としてのクリップを示す図である。
図9】メッシュベルトの内破れの検出を示す図であり、(a)はメッシュベルトの平面図、(b)は内破れの判定の仕方を示す図である。
図10】メッシュベルトの端破れの検出を示す図であり、(a)はメッシュベルトの端部の状態を示す平面図、(b)は端破れの判定の仕方を示す図である。
図11】メッシュベルトの蛇行検出を示す図であり、(a)は蛇行なしの状態を示す平面図、(b)は蛇行ありの状態を示す図である。
図12】伸び検出部の構成図である。
図13】内破れ検出部の構成図である。
図14】端破れ検出部の構成図である。
図15】蛇行検出部の構成図である。
図16】移動体を有するメッシュベルト検査装置を示す斜視図である。
図17】メッシュベルト管理部の構成図である。
図18】メッシュベルトの寿命の予測の仕方の一例を示すグラフである。
図19】メッシュベルトの寿命の予測の仕方の他の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1図19は、この実施の形態を説明するためのものである。
【実施例1】
【0013】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0014】
図1に示すように、工場などに設置される生産設備1に、ベルトコンベヤ2などの搬送手段を設けて、ベルトコンベヤ2でワークを自動的に搬送させるようにする。
【0015】
例えば、生産設備1を、ワークを焼成炉3へ通して焼成する連続焼成設備などとする。連続焼成設備では、ワークを焼成炉3へ搬入するベルトコンベヤ2のベルト(コンベヤベルト)に、ワークに熱を効率的に伝えられるようにメッシュベルト4を使用する。このメッシュベルト4は、熱処理搬送用のものとなっている。熱処理搬送用のメッシュベルト4は、熱に強い素材などで形成される。なお、生産設備1を連続焼成設備以外のものとし、メッシュベルト4を一般用のものとしても良い。
【0016】
ここで、コンベヤベルトは、無端状をしたワーク搬送用の帯状体である。メッシュベルト4は、図2に示すように、メッシュ(金網)によって作られたコンベヤベルトであり、多数の網目5を有している。メッシュベルト4は、例えば、複数本のスパイラル線材6を絡み合わせて力骨材7で繋ぐことなどによって形成される。但し、メッシュベルト4の構造は、上記に限るものではない。スパイラル線材6および力骨材7は、メッシュベルト4の幅方向8へ延びるものとされると共に、メッシュベルト4の長手方向9に連結される。
【0017】
図1に示すように、メッシュベルト4は、例えば、間隔を有してほぼ平行に設置された複数本(少なくとも二本)のローラ11~15またはスプロケットの間に架け渡される。そして、複数本のローラ11~15またはスプロケットのうちの少なくとも一本(例えば、ローラ12)を駆動側(駆動輪)とし、残りを従動側(従動輪)として、駆動側のローラなどまたはスプロケットを回転駆動することによって、メッシュベルト4を周回移動させることが可能になる。なお、生産設備1で使用されるメッシュベルト4には長尺のものが多く、生産設備1によっては、メッシュベルト4が一周するのに、例えば、数時間から十時間程度もかかるような長さのものも存在する。
【0018】
メッシュベルト4は、ワークを搬送する方向(搬送方向16)へ移動する部分が搬送部17とされ、搬送方向16とは反対方向(戻り方向18)へ移動する部分が戻り部19とされる。通常の場合、搬送部17が上側に位置され(上行部)、戻り部19が下側に位置される(下行部)。搬送部17の少なくともワークを実際に搬送する部分は、ワークを載置可能な面(上面)を有している。ワークは、搬送部17の上面(搬送面)に直接またはトレーなどを介して載置され、搬送される。
【0019】
メッシュベルト4の搬送部17は、例えば、搬送方向16がほぼ水平な状態で延びるようにしたり(水平配置)、搬送方向16が水平に対し若干傾斜した状態で延びるようにしたり(傾斜配置)できる。連続焼成設備の場合、焼成炉3は、搬送部17の搬送方向16の大部分を覆う大きさに設けられる。焼成炉3は、例えば、搬送部17の約70%程度の範囲に亘って設けられる。なお、生産設備1の構成については、上記に限るものではない。
【0020】
上記のような基本的な構成に対し、この実施例では、以下のような構成を備えることができる。
【0021】
(1)図3に示すように、無端状をして周回移動可能に設置されたメッシュベルト4を、メッシュベルト4の移動中に検査するメッシュベルト検査装置21を設ける。
このメッシュベルト検査装置21は、
メッシュベルト4の一面側に設置されて、メッシュベルト4を撮影するカメラ22と、
カメラ22で撮影したメッシュベルト4の画像データ25を画像処理する画像処理部26と、
画像処理部26で画像処理したメッシュベルト4の画像処理データ27を用いて、メッシュベルト4の破損状況を検出する(またはメッシュベルト4を診断する)破損検出部28(またはメッシュベルト診断部)と、を備えるようにする。
【0022】
なお、メッシュベルト4の他面側または一面側には、メッシュベルト4へ向けて光を出射する検査用光源装置24を設置するのが好ましい。
【0023】
ここで、メッシュベルト検査装置21は、(生産設備1が稼働して)メッシュベルト4が移動している状態のときに、メッシュベルト4の動きを停止することなくライン内で(インラインで)リアルタイムに検査ができるようにするための装置である。メッシュベルト検査装置21によるメッシュベルト4の検査のタイミングについては、任意とすることができる。例えば、メッシュベルト検査装置21は、メッシュベルト4の移動中に常時検査をし続けるようにしても良いし、また、例えば、1日単位や、週単位や、月単位、または、その他の検査周期を決めて定期的に検査を行わせるようにしても良い。或いは、生産設備1の稼働状態を見ながら不定期に(または随時)検査を行うようにしても良い。
【0024】
メッシュベルト4の一面側、他面側は、相対的なものであり、メッシュベルト4の表面と裏面(または、上面と下面)のどちらかを一面側とし、その反対側を他面側とすれば良い。例えば、一面側を(搬送部17または戻り部19の)上面側とし、他面側を(搬送部17または戻り部19の)下面側などとすることができる。
【0025】
生産設備1またはベルトコンベヤ2に対するメッシュベルト検査装置21の設置位置は、メッシュベルト4にメッシュベルト検査装置21を支障なく設置できるのであれば、どこでも良いし、また、メッシュベルト4の搬送部17または戻り部19のどちらでも良い。
【0026】
例えば、熱処理搬送用のメッシュベルト4の場合、相対的に温度が低くなり、また、設置スペースを確保し易い、戻り部19の位置に設置することができる。図1では、戻り部19の上流側および下流側に位置するローラ14からローラ15までの範囲31内の位置にメッシュベルト検査装置21を設置するようにしている。また、図4に示す他の実施例の場合には、メッシュベルト検査装置21の設置位置を、搬送部17の上流側の位置(図中右側、例えば、ローラ11の周辺)、または、搬送部17の下流側の位置(図中左側、例えば、ローラ12の周辺)のどちらかとしている。なお、メッシュベルト検査装置21は、搬送部17と戻り部19との両方を同時に跨がないように、搬送部17または戻り部19のどちらかに対して設置するのが好ましい。
【0027】
カメラ22は、メッシュベルト4を撮影するための撮像装置(または撮像部)である。カメラ22は、上記した検査用光源装置24の光の波長に対して感度を有するものを使用するのが好ましい。カメラ22は、検査用光源装置24によるメッシュベルト4への光の照射位置、または、更にその周辺を撮影できるように、メッシュベルト4に対して設置される。
【0028】
カメラ22は、メッシュベルト4の幅方向8の全域に亘る撮影範囲が得られるように単数または複数台設置するのが好ましい。カメラ22と検査用光源装置24は、メッシュベルト4の長手方向9に対しては、ほぼ同じ位置で対峙するように設置しても良いし(図1)、光の照射位置を撮影できる範囲内でメッシュベルト4の長手方向9に若干ズレた位置に配置しても良い(図4)。
【0029】
カメラ22は、メッシュベルト4を撮影できれば、フィルムカメラやデジタルカメラなど、どのようなものでも良いが、画像データ25を撮影とほぼ同時に利用できるようにするためには、デジタルカメラとするのが好ましい。デジタルカメラは、例えば、CCDやCMOSなどの撮像素子や、レンズや、信号処理回路などを一体に有するものなどとすることができる。カメラ22はカラーカメラや白黒カメラなどとすることができるが、基本的には白黒カメラで十分である。
【0030】
カメラ22はメッシュベルト4の幅方向8の一部を撮影するようにしても良いし、メッシュベルト4の幅全域、または、幅方向8の全域を撮影するようにしても良いが、メッシュベルト4の幅方向8の全域を撮影できるようにするのが、メッシュベルト4の幅方向8の全域を診断して、検査の信頼性を高める上で最も好ましい。なお、メッシュベルト4の幅方向8の全域は、幅方向8に沿った全幅(幅全範囲)のことであり、メッシュベルト4の幅全域は、幅方向8に沿ったもの以外をも含むメッシュベルト4の全幅である。
【0031】
そのために、カメラ22はメッシュベルト4の幅寸法に応じて配置や台数が設定される。この場合、カメラ22は、レンズの光軸をメッシュベルト4のほぼ面直方向へ向けた状態で、カメラ22の撮影範囲にほぼ合わせた間隔(撮影範囲が重複せずに連続される間隔または撮影範囲が若干重複する間隔)を有して、メッシュベルト4のほぼ幅方向8に所要台数並設される(図では2台とされているが、1台としても、3台以上としても良い)。これにより、メッシュベルト4の幅方向8の全域に亘ってカメラ22で連続した画像を撮影する(更に、幅全域の検査を行う)ことが可能になる。
【0032】
なお、後述するように、検査用光源装置24をメッシュベルト4の幅方向8以外の方向に配置した場合には、カメラ22も、検査用光源装置24の延設方向にほぼ沿って設置するのが好ましい。また、メッシュベルト4に全幅を一度に検査するためのスペースが確保できない場合には、検査用光源装置24およびカメラ22は、メッシュベルト4の幅方向8の部位ごとに分けて長手方向9の異なる位置に設けることも構造的には可能である。
【0033】
メッシュベルト4が熱処理搬送用のものの場合、カメラ22や検査用光源装置24は、メッシュベルト4からの熱影響を受けない距離だけメッシュベルト4の面から離して設置するのが好ましい。
なお、カメラ22には、必要に応じて、耐熱手段(または遮熱手段)を備えるようにしても良い。
【0034】
ここで、耐熱手段は、比較的熱に弱いカメラ22を焼成炉3やメッシュベルト4などが発する熱から保護するためのものである。耐熱手段は、メッシュベルト4が一般的な用途のものの場合には特に必要ないが、熱処理搬送用のメッシュベルト4の場合などには必要性が高くなる。熱処理搬送用のメッシュベルト4の場合、上記したように、カメラ22を、メッシュベルト4からの熱影響を受けない距離だけ離して設置するのが最も好ましいが、熱影響を防止するのに必要な距離が大きくなり過ぎるなどによって十分に距離を確保できない場合や、カメラ22の撮影範囲などとの関係でカメラ22をなるべくメッシュベルト4の近くに設置したい場合や、カメラ22の保護を優先したい場合などがあり、これらのいずれかの場合には、必要に応じて耐熱手段を設けるのが好ましい。
【0035】
耐熱手段は、例えば、空冷装置や、水冷装置(または液冷装置)や、断熱容器などとすることができる。
【0036】
なお、検査用光源装置24についても、カメラ22と同様の耐熱手段を備えるようにしても良い。
【0037】
カメラ22で撮影する画像(画像データ25)は、動画と静止画の一方または両方とすることができる。静止画にする場合、例えば、メッシュベルト4がカメラ22の撮影範囲の分だけ移動するごとに間欠的に撮影して(コマ撮り)、連続したデータが得られるようにするのが好ましい。なお、静止画は、一部データが重複されるように撮影しても良い。コマ撮りの画像は、少なくともメッシュベルト4が1周する分、またはそれ以上移動する分を撮影する。これにより、メッシュベルト4の周回方向の全域(全周分)が連続する画像を得る(更に、幅全域の検査を行う)ことが可能になる。
【0038】
また、動画を撮影する場合、少なくともメッシュベルト4が1周する分、またはそれ以上移動する分だけ連続して撮影する。動画や静止画などの画像データ25は、その全てまたは一部を、必要に応じて、画像処理部26や破損検出部28やその他の記憶装置に記録することができる。この実施例では、静止画の少なくとも1周分以上を記録して、いつでも参照できるようにしている。画像処理部26や破損検出部28などには、必要に応じて画像データ25などを記憶するための記憶部32(図6など)が備えられる。
【0039】
検査用光源装置24は、メッシュベルト4の少なくとも一部へ向けて光を出射するものとされる。検査用光源装置24は、図5(a)に示すように、メッシュベルト4を挟んでカメラ22と反対の側に設置しても良いし(透過照明)、または、図5(b)に示すように、メッシュベルト4に対してカメラ22と同じ側に設置しても良い(落射照明)。これにより、メッシュベルト4の少なくとも一部(光を当てた部分)を検査し易くすることが可能になる。
【0040】
なお、生産設備1においてメッシュベルト4が十分に明るい状態になっていたり、メッシュベルト検査装置21のカメラ22や画像処理部26や破損検出部28などが高性能であったりしていれば、検査用光源装置24を不要化することも構造的には可能であるが、カメラ22での撮影や画像処理や破損検出などをより支障なく正確に行うためには、検査用光源装置24を設けて、撮影光量の一定化や安定化を図るのが好ましい。
【0041】
好ましくは、検査用光源装置24は、メッシュベルト4の幅全域、または、幅方向8の全域を一度に照らすことができる発光部(または光源)を有するものとする。
【0042】
検査用光源装置24は、発光部がメッシュベルト4の幅方向8へ向けて直線状に延びるものとするのが好ましい。検査用光源装置24をメッシュベルト4の幅方向8へ直線状に延ばすのが良い理由は、検査用光源装置24をより簡易化および小型化すると共に、メッシュベルト4に対する検査用光源装置24の設置スペースをより小さくするのに有利だからである。また、メッシュベルト4を網目5の方向に沿って均等に照明するのが容易になるからである。
【0043】
そして、検査用光源装置24は、発光部を、メッシュベルト4の幅寸法よりも若干長くしてメッシュベルト4の幅端部4aからハミ出すように設置するのが好ましい。検査用光源装置24の発光部を、メッシュベルト4の幅寸法よりも若干長くしてハミ出させるのが良い理由は、メッシュベルト4の破損を検査する際に、メッシュベルト4からハミ出した部分を検査の際の基準として使うことができるためである。なお、検査用光源装置24の設置方向や長さなどについては、上記に限るものではない。
【0044】
検査用光源装置24は、明るさにムラのない一様な光(例えば、可視域の光)を発生する発光部を有するのが好ましい。検査用光源装置24には、例えば、蛍光灯や、蛍光灯型LEDなどの線状発光体や、無機ELシートや有機ELパネルなどの面状発光体や、その他の発光体を使用することができる。蛍光灯や、蛍光灯型LEDなどの線状発光体は、複数本並列に設置して、面状発光体と同様の発光面積を確保するようにしても良い。
【0045】
なお、検査用光源装置24の種類は、上記に限るものではない。例えば、LEDなどの点光源を線状または面状に配置したものなどとしても良い。また、検査用光源装置24は、長尺のもの一本でメッシュベルト4の幅全域に及ぶように構成しても良いし、短尺のものを複数連続させてメッシュベルト4の幅全域に及ぶように構成しても良い。
【0046】
更に、検査用光源装置24のメッシュベルト4側には、検査用光源装置24からの光を拡散させて均一化を図るための拡散板33(図5)などを設置しても良い。検査用光源装置24とメッシュベルト4との間に拡散板33を介在させることで、検査用光源装置24に対する遮熱効果も期待できる。
【0047】
画像処理部26は、カメラ22で撮影したメッシュベルト4の画像(画像データ25)を取込んで画像処理するものである。
【0048】
そのために、例えば、画像処理部26は、図6に示すように、画像取込部26aが、カメラ22で撮影したメッシュベルト4の画像データ25を取込み(画像取込処理)、二値化処理部26bが、画像データ25を画像処理により所要の閾値を用いて白黒の二値の画像処理データ27に変換し(二値化処理)、データ出力部26cが、画像処理データ27を破損検出部28へ出力する(出力処理)ように構成しても良い。
【0049】
白黒二値の画像処理データ27は、透過照明の場合、黒の部分が、メッシュベルト4のスパイラル線材6や力骨材7を表し、白の部分が、メッシュベルト4の網目5を表すものとなる。落射照明の場合、白と黒との関係は逆になる。閾値には、所要の白黒変換用閾値を用いる。なお、画像処理は、上記以外の方法で行っても良い。
【0050】
画像処理部26には、画像認識ソフトをインストールしたコンピュータなどの情報処理装置を用いることができる。画像認識ソフトには、AI(人工知能)技術を搭載したものを使用することができる。AIには最適な教師データによって学習済みのAIエンジンが備えられる。画像処理部26は、AIによって画像処理を行わせるものとしても良い。画像認識ソフトは、メモリやディスクなどの記憶媒体や、HDDやSSDなどの記憶装置や、ネットワークなどを介して外部に提供できるようにすることが可能である。なお、画像処理部26への画像データ25の入力は、有線または無線で行わせることができる。
【0051】
破損検出部28は、例えば、白黒二値の画像処理データ27のうち、メッシュベルト4の網目5を表す(白または黒の)部分や、メッシュベルト4を表す(黒または白の)部分を用いて、メッシュベルト4の破損状況を検出するものである。破損検出部28には、画像分析ソフトをインストールしたコンピュータなどの情報処理装置を用いることができる。画像分析ソフトには、AI(人工知能)技術を搭載したものを使用することができる。AIには最適な教師データによって学習済みのAIエンジンが備えられる。破損検出は、AIによって破損検出を行わせるものとしても良い。画像分析ソフトは、メモリやディスクなどの記憶媒体や、HDDやSSDなどの記憶装置や、ネットワークなどを介して外部に提供できるようにすることが可能である。なお、破損検出部28への画像処理データ27の入力は、有線または無線で行わせることができる。
【0052】
なお、画像処理部26と破損検出部28は、同一の情報処理装置(一台のコンピュータ)によって構成することができるし、または、異なる情報処理装置(複数台のコンピュータ)で構成することができる。この実施例では、画像処理部26と破損検出部28とを別々に設けて、それぞれ別個に画像処理や破損検出処理を行わせることで、処理負担の軽減や処理の効率化や処理の高速化などを図るようにしている。各情報処理装置は、CPUやMPUなどの情報処理部などの他に、必要に応じて、それぞれ表示装置34(ディスプレイ)や入力装置35(キーボードやマウスなど)や記憶装置などを備えることができる(図3)。
【0053】
(2)図7に示すように、破損検出部28は、
メッシュベルト4の伸び41(図8)を検出する伸び検出部42と、
メッシュベルト4の内側部分(または中央部など)の破れ43(または、内破れ43、図9)を検出する内破れ検出部44と、
メッシュベルト4の幅端部4aの破れ45(または端破れ45、図10)を検出する端破れ検出部46と、
メッシュベルト4の蛇行47(図11)を検出する蛇行検出部48との少なくとも1つを備えるようにしても良い。これらは、全てを備えるのが最も好ましいが、少なくとも1つを備えていれば良い。2つ以上を組み合わせる場合には、組み合わせは任意とすることができる。
【0054】
ここで、破損検出部28には、上記の他に、画像処理部26からの画像処理データ27を入力する入力部28aや、破損検出の結果などを出力する出力部28bなどを備えることができる。破損検出部28では、伸び検出部42によるメッシュベルト4の伸び41の検出や、内破れ検出部44によるメッシュベルト4の内破れ43の検出や、端破れ検出部46によるメッシュベルト4の端破れ45の検出や、蛇行検出部48によるメッシュベルト4の蛇行47の検出は、これらのうちの備えられたものの間で適宜順番を決めて行わせるようにする。また、カメラ22が複数台設けられている場合には、例えば、上記各検出をカメラ22ごとに順番に行わせるようにする。上記した各検査は、それぞれ予め基準画像を設定して、撮影画像を基準画像と比較しながら行わせるようにするのが好ましい。
【0055】
図8に示すように、メッシュベルト4の伸び41は、メッシュベルト4が長手方向9に伸びること、または、メッシュベルト4の周長が長くなることである。メッシュベルト4が伸びると、メッシュベルト4に脈動や蛇行47が生じるので、生産設備1にとって好ましくない状況となる。メッシュベルト4に伸び41が生じた場合には、適宜、メッシュベルト4を切り詰めるなどして補修する。伸び検出部42については、後述する。
【0056】
図9に示すように、メッシュベルト4の内側部分は、メッシュベルト4の幅端部4aを除く幅方向8の内側の部分(内面部分)のことである。メッシュベルト4は、その内側部分の全体を検査するのが好ましいが、生産設備1の状況によって難しい場合には、内側部分の一部のみを検査するようにしても良い。内破れ検出部44については、後述する。
【0057】
図10に示すように、メッシュベルト4の幅端部4aは、メッシュベルト4の幅方向8の端部、または、メッシュベルト4の側縁部のことである。幅端部4aは、片側の端部または両端部のどちらでも良い。端破れ検出部46については、後述する。
【0058】
図11に示すように、メッシュベルト4の蛇行47は、メッシュベルト4が長手方向9へ真っ直ぐに進まずに、曲がりくねったり、うねったりした状態で進むことである。メッシュベルト4が蛇行47すると、例えば、メッシュベルト4が、生産設備1の構成物などと干渉して相互に損傷を与え合うので好ましくない。メッシュベルト4が干渉する生産設備1の構成物には、例えば、ベルトコンベヤ2などの搬送手段に、メッシュベルト4の移動を案内するために設けられたガイドレールや、連続焼成設備の場合の焼成炉3や、焼成炉3内に設けられた加熱装置などがある。
【0059】
なお、蛇行47は、メッシュベルト4の伸び41によっても発生するが、例えば、ローラ11~15やスプロケットの偏摩耗などによっても発生する。そして、メッシュベルト4は、全長が長いため、メッシュベルト4の僅かな伸びや、ローラ11~15やスプロケットの僅かな偏摩耗によるズレなどが拡大され易く、これによって大きな蛇行47に発展する。即ち、蛇行47は、メッシュベルト4にとって完全に無くすことが難しい現象である。蛇行検出部48については、後述する。
【0060】
なお、メッシュベルト検査装置21には、上記したメッシュベルト4の破損状況の検査機能の他に、メッシュベルト4の重量検知機能やその他の機能を持たせることなども可能である。
【0061】
そして、上記したメッシュベルト4の破損のうち、例えば、メッシュベルト4の伸び41などの変形は、スパイラル線材6などの伸びや変形などによって生じる。また、例えば、メッシュベルト4の穴空きなどの破れ(内破れ43,端破れ45)は、スパイラル線材6などの断線によって生じる。メッシュベルト4の伸び41などの変形や穴空きなどの破れについては、(メッシュベルト検査装置21や目視などによって)発見次第、メッシュベルト4を切り詰めるなどして補修するのが好ましい(小規模メンテナンス)。この種の補修は、比較的簡単な作業で済む。
【0062】
そして、破損検出部28は、必要な場合には、メッシュベルト4の伸び41や穴空きやその他の破損に対する警報装置を設けて、警報装置により警報(アラーム)を発して報知させるようにしても良い。警報は、例えば、異常なし、注意、警告などのように、多段階で行うことができる。例えば、メッシュベルト4に伸び41や穴空きなどがないときには「異常なし」とし、(支障がない程度の)小さな伸び41や穴空きなどを発見したときに「注意」とし、伸び41や穴空きなどが(支障が生じるほど)大きくなったときに「警告」とする。そして、例えば、「警告」を、補修のタイミングとして取り扱うようにする。警報は、光や音の少なくとも一方によって行うことができる。光による警報は、例えば、画像処理部26や破損検出部28やその他の目的で使われている情報処理装置(コンピュータ)の表示装置34の表示画面や、パトライト(登録商標)などを警報装置に用いることで行うことができる。パトライトは、メッシュベルト検査装置21に専用のものを設けても良いし、生産設備1に備えられているものを使用しても良い。
【0063】
この際、光による警報を段階に応じて色分けして行うことにより、メッシュベルト4の穴空き具合や伸び具合や補修の時期などを感覚的に報知する(知らせる)ことができる。色分けは、例えば、信号機と同様に、「異常なし」を青とし、「注意」を黄色とし、「警告」を赤などとすると分かり易くすることができる。これにより、「注意」の警報が出たときに補修の準備を行い、「警告」の警報が出たときに実際に補修を行うなどのような的確な対応が可能になる。
【0064】
音による警報は、例えば、ブザー音やビープ音やサイレンなどを警報音とすることができ、少なくとも「警告」状態のときに鳴らすようにする。もちろん、「注意」状態のときにもそれに見合った柔らかい音の警報音を鳴らすようにしても良い。
【0065】
但し、警報装置は、必須のものではなく、また、警報装置を設けた場合でも、オンオフ設定できるようにすることで、警報(アラーム)を切った状態でメッシュベルト検査装置21を使うことが可能になる。
【0066】
なお、メッシュベルト4が完全に伸び切ってしまい、もはや、切り詰めなどによっては伸び41や穴空きやなどの破損を補修することができなくなった状態で、大きな穴空きが発生したときが、メッシュベルト4の最終的な寿命となる。そして、メッシュベルト4に寿命がきたときが、メッシュベルト4の全交換の時期となる。例えば、熱処理搬送用のメッシュベルト4の場合、およそ半年から一年程度で寿命になっている。メッシュベルト4の全交換は、比較的大掛かりで大変な作業になる(大規模メンテナンス)。
【0067】
(3)伸び検出部42は、メッシュベルト4に設けた周回方向の位置指標51(図8)を認識して、位置指標51から次の位置指標51が通過するまでの通過時間でメッシュベルト4の伸び41を判定するようにしても良い。
【0068】
ここで、周回方向の位置指標51は、通常のメッシュベルト4には設けられていないものである。この実施例では、メッシュベルト検査装置21の伸び検出部42のために、メッシュベルト4に対して位置指標51を設けるようにする。周回方向の位置指標51は、周回方向に1箇所または複数箇所設けることができる。
【0069】
周回方向の位置指標51を周回方向に1箇所のみ設けた場合には、次の位置指標51が通過することで、メッシュベルト4は1周したことになる。これにより、メッシュベルト4の周長の伸び41を検出することが可能になる。
【0070】
また、周回方向の位置指標51を周回方向に複数箇所設ける場合には、予め設定された一定の間隔(設定間隔)ごとに規則的に設けることで(例えば、1m置きなど)、次の位置指標51が通過したときに、メッシュベルト4はその間隔の分だけ進んだことになる。これにより、メッシュベルト4の一定の間隔ごとに各部の伸び41の状態を細かく検出することが可能になる。
【0071】
なお、画像処理部26や破損検出部28(伸び検出部42)などに対し、予め位置指標51間の間隔を記憶させておくようにすれば、複数箇所の位置指標51を異なる間隔で設けたとしても、その間隔に応じた伸び41の判定を行わせることが可能になる。
【0072】
周回方向の位置指標51は、既存のメッシュベルト4や新規のメッシュベルト4に対し、簡単に設けることができて、取れ難く、しかも、製品の生産に影響を与えないものとするのが好ましい。位置指標51は、例えば、メッシュベルト4に目印となるクリップ51aやプレート51bや楔などの小片を取付けることによって設けることができる(図8)。クリップ51aは、例えば、両端部に返しが付いたU字状クリップなどとすることができる。これらの目印は、熱に耐えられるように金属製などとするのが好ましい。
【0073】
また、周回方向の位置指標51は、例えば、メッシュベルト4に部分的な着色などを施すことによって設けることができる(着色部)。例えば、連続焼成設備の場合、メッシュベルト4は、繰り返しの加熱によってだんだん色が黒く変色して行くので、熱に強く、黒色などと区別し易い色の塗料などをメッシュベルト4に直接塗ることで着色部(耐熱性明色着色部)を形成できる。このような耐熱性を有する塗料には、例えば、白色などの有色の超高温離型剤などを使用することができる。
【0074】
周回方向の位置指標51を着色部とする場合、白黒カメラで識別できる色にするか、着色部の色を直接検出できるようにするためのカラーセンサなどを別に備えるようにするか、または、位置指標51を撮影するカメラ22をカラーカメラに変更して位置指標51を色によって識別できるようにしても良い。
【0075】
また、位置指標51となるクリップ51aやプレート51bや楔などの小片による目印、または、着色部は、画像処理部26や破損検出部28(伸び検出部42)によって正しく認識できるように、これらに予め形状や色などを登録して記憶させておくようにしても良い。
【0076】
メッシュベルト4は、一般に、生産設備1(または、生産設備1を制御する制御装置)によって、稼働中は生産量などに応じて決められたほぼ一定の移動速度で移動されるようになっている。例えば、生産量が多い場合には、メッシュベルト4の移動速度は早く設定され、生産量が少ない場合には、メッシュベルト4の移動速度は遅く設定される。そのため、生産設備1や制御装置から速度情報などの必要な生産情報を取り込めるようにすることで、移動速度を既知の値として用いることができる。
【0077】
よって、位置指標51から次の位置指標51までの通過時間を計測することで、位置指標51の通過時間とメッシュベルト4の移動速度とを用いてメッシュベルト4のその部分の現在の長さを算出することができる。そして、メッシュベルト4の現在の長さと基準となる長さ(メッシュベルト4の初期の長さや位置指標51間の設定間隔)とを比較することで、簡単にメッシュベルト4の伸び41を求めることができる。
【0078】
そして、例えば、図12に示すように、伸び検出部42は、指標検知部42aが、位置指標51の通過を検知し(指標検知処理)、速度取得部42bが、メッシュベルト4の移動速度を外部(の生産設備1など)から取得し(速度取得処理)、通過時間計測部42cが、位置指標51の通過時間を計測し(通過時間計測処理)、長さ算出部42dが、位置指標51の通過時間とメッシュベルト4の移動速度とからメッシュベルト4の現在の長さを求め(長さ算出処理)、比較部42eが、メッシュベルト4の現在の長さと基準となる長さとからメッシュベルト4の伸び量を求め(比較処理)、伸び判定部42fが、メッシュベルト4の伸び量が許容範囲内であれば「伸びなし」と判定し、メッシュベルト4の伸び量が許容範囲を越えていれば「伸びあり」と判定する(伸び判定処理)ように構成することができる。上記した警報装置を設ける場合、例えば、伸び41の量が警報用に定めた設定値よりも小さい場合に「注意」となり、伸び41の量が警報用に定めた設定値よりも大きくなった場合に「警告」となるようにすることができる。但し、メッシュベルト4の伸び41の検出の仕方は、上記に限るものではない。なお、許容範囲は、メッシュベルト4の構造や生産設備1の条件などによって適宜定められる。
【0079】
(4)内破れ検出部44は、メッシュベルト4の網目5を認識して、認識した網目5の形状または面積が、図9に示すように、1つ分の網目5の形状または面積と異なる(大きいまたは小さいものが含まれる)場合に、メッシュベルト4に内破れ43があると判定するようにしても良い。
【0080】
ここで、内破れ検出部44は、透過照明の場合、メッシュベルト4の網目5を通った検査用光源装置24からの光によってメッシュベルト4の網目5を認識させるようにするのが好ましい。また、落射照明の場合、メッシュベルト4で反射した検査用光源装置24からの光によってメッシュベルト4の網目5を認識させるようにするのが好ましい。
【0081】
メッシュベルト4には、搬送するワークの種類などによって網目5の形状や網目5の面積が異なる様々なものが存在している。メッシュベルト4の網目5の形状や網目5の面積は、スパイラル線材6の形などによって決められる。内破れ検出部44では、メッシュベルト4の網目5がどのようなものであっても識別できるようにするために、そのメッシュベルト4の基準となる網目5の形状または面積を、予め画像処理部26や破損検出部28(内破れ検出部44)の記憶部32などに登録して記憶させておくようにしても良い。または、基準にする網目5の形状または面積は、メッシュベルト4の画像処理データ27から直接抽出するようにしても良い。なお、1つのメッシュベルト4の中には、大きさや形状の異なる複数種類の網目5が存在している場合があり、この場合には、これらの全ての種類の網目5を識別できるようにするのが好ましいが、主要な1種類または複数種類の網目5のみを識別して処理に使うようにしても良い。
【0082】
内破れは、上記したように、スパイラル線材6の断線によって形成されるものである。スパイラル線材6が断線した部分では、網目5の形状または面積が基準となる網目5のものよりも大きくなること(拡大網目5L)で、メッシュベルト4の穴空き(内面の破れ43の発生)を直接検出できる。また、断線したスパイラル線材6などの破片6aが近隣の正常な網目5の内側に入り込んで、近隣の網目5の形状または面積を基準となる網目5よりも小さくすること(縮小網目5S)によっても、メッシュベルト4の穴空き(内面の破れ43の発生)を間接的に検出できる。
【0083】
検査用光源装置24からの光は、メッシュベルト検査装置21を設置した場所が暗い場合などに、メッシュベルト4を照らすのに使われる。また、検査用光源装置24からの光は、網目5を通るまたはメッシュベルト4を照らす光を均一化したり、メッシュベルト4のスパイラル線材6の部分と網目5の部分との境界を明確にしたりするなどのために使われる。
【0084】
網目5の形状は、例えば、形状認識ソフトを使って形状を認識することで得ることができる。また、網目5の面積は、例えば、白黒二値の画像処理データ27における(カメラ22の)画素のピクセル数を数えることで得ることができる。
【0085】
そして、例えば、内破れ検出部44は、図13に示すように、領域認識部44aが画像処理部26で画像分析した白黒二値の画像処理データ27の中の白の領域(網目5を通った光)を網目5として、各領域に番号を振り(領域認識処理)、位置検出部44bが番号順に各領域の位置座標を算出し(位置検出処理)、形状判定部44cが、その位置座標に属する領域の形状を求める(形状判定処理)か、面積算出部44dが、領域の面積を算出する(面積算出処理)かの少なくとも一方を行い、比較部44eが、領域の形状または面積を、基準となる網目5の形状や面積と比較し(比較処理)、内破れ判定部44fが、形状や面積が同じ場合には、「内破れなし」と判定し、形状や面積が異なる場合に、「内破れあり」と判定する(内破れ判定処理)と共に、更に必要に応じて、内破れ進行具合判定部44gが、内破れの形状や面積から内破れの進行具合を判定する(内破れ進行具合判定処理)ように構成することができる。内破れの判定には、所要の内破れ判定用閾値などを用いることができる。上記した警報装置を設ける場合、例えば、内破れ判定処理による「内破れあり」の判定で「注意」となり、内破れ進行具合判定処理により内破れ43が警報用に定めた設定値以上に進行したと判定された場合に「警告」となるようにすることができる。但し、内破れの検出の仕方は、上記に限るものではない。なお、上記は透過照明の場合であり、落射照明の場合には、白を黒と読替えるようにする。
【0086】
(5)端破れ検出部46は、図10に示すように、メッシュベルト4の幅端部4aに形成されている段差部52を認識して、認識した段差部52の段差量53または段差部52の面積54が初期値よりも大きくなった場合に、メッシュベルト4に端破れ45があると判定するようにしても良い。
【0087】
ここで、メッシュベルト4の幅端部4aには、スパイラル線材6どうしが、端部の位置を長手方向(メッシュベルト4の幅方向8)に所定量ズラした状態で互いに繋がれることによって、隣接するスパイラル線材6の間に段差部52(または凹凸部)が形成されている。この段差部52は、メッシュベルト4にとっては構造的なものであり、必ず存在している。
【0088】
そして、段差部52の段差量53は、例えば、形状認識ソフトを使って形状を認識することでその変化を知ることができる。また、例えば、段差部52の段差量53や面積54は、白黒二値の画像におけるカメラ22の画素のピクセル数を数えることで得ることができる。
【0089】
初期値は、メッシュベルト4の幅端部4aに形成された段差部52の初期状態での段差量53(初期段差量)や面積54(初期面積)のことである。初期値は、予め計測して画像処理部26や破損検出部28(端破れ検出部46)に登録しておくようにしても良いし、または、メッシュベルト4の画像処理データ27から直接抽出するようにしても良い。
【0090】
そして、例えば、図14に示すように、端破れ検出部46は、幅端認識部46aが、画像処理部26で画像分析した白黒二値の画像処理データ27の黒の領域の最外部の位置をメッシュベルト4の幅端部4aとして、幅端部4aの段差形状(段差部52)を認識し(幅端認識処理)、段差量算出部46bが段差部52の段差量53を算出する(段差量算出処理)か、または、面積算出部46cが段差部52の面積54を算出する(面積算出処理)かの少なくとも一方を行い、比較部46dが、段差部52の段差量53または面積54を、基準となる段差部52の段差量53(の初期値)や面積54(の初期値)と比較し(比較処理)、端破れ判定部46eが、段差量53や面積54が同じ場合には、「端破れなし」と判定し、段差量53や面積54が異なる場合に、「端破れあり」と判定する(端破れ判定処理)と共に、更に必要に応じて、端破れ進行具合判定部46fが、端破れの段差量53や面積54から端破れの進行具合を判定する(端破れ進行具合判定処理)ように構成することができる。端破れの判定には、所要の端破れ判定用閾値などを用いることができる。上記した警報装置を設ける場合、例えば、端破れ判定処理による「端破れあり」の判定で「注意」となり、端破れ進行具合判定処理により端破れ45が警報用に定めた設定値以上に進行したと判断された場合に「警告」となるようにすることができる。但し、端破れの検出の仕方は、上記に限るものではない。なお、上記は透過照明の場合であり、落射照明の場合には、黒を白と読替えるようにする。
【0091】
(6)蛇行検出部48は、図11に示すように、メッシュベルト4の幅端部4aを認識して、認識した幅端部4aの位置55と予め設定された幅端基準56との間の距離57(または距離58)が、初期値と異なる場合、または両側で距離57,58が異なっている場合に、メッシュベルト4に蛇行47ありと判定するようにしても良い。
【0092】
ここで、幅端基準56は、どこに設けても良いが、例えば、検査用光源装置24の端部などとすることができる。このように、検査用光源装置24(の発光部)の端部を幅端基準56とすることにより、検査用光源装置24(の発光部)が発する光の明暗の境界が幅端基準56となるので、蛇行検出部48にとって距離57,58を求め易くすることができる。この場合、上記したように、検査用光源装置24(の発光部)を、メッシュベルト4の幅寸法よりも長く形成して、検査用光源装置24(の発光部)の端部が、メッシュベルト4の幅端部4aよりも外方へハミ出すような配置とすることで、検査用光源装置24(の発光部)の端部を、上記した幅端基準56として利用することが可能になる。なお、幅端基準56は、検査用光源装置24(の発光部)の端部以外にも、例えば、新たに設けても良いし、または、生産設備1のベルトコンベヤ2に対して、メッシュベルト4の移動をガイドするために設けられたガイドレールなどの既存の構成をそのまま用いるようにしても良い。
【0093】
幅端部4aは、例えば、段差部52の凸部分または凹部分のどちらかを使うことができる。この実施例では、段差部52の凸部分を使うようにしている。
【0094】
距離57,58は、メッシュベルト4の片側または両側(の幅端部4a)について計測するのが好ましい。距離57や距離58の変化は、例えば、形状認識ソフトを使ってメッシュベルト4の幅端部4aの形状を認識して幅端基準56の位置と比較することで知ることができる。また、距離57や距離58の変化は、例えば、白黒二値の画像におけるカメラ22の画素のピクセル数を数えることで得ることができる。
【0095】
初期値(または初期距離)は、メッシュベルト4にメッシュベルト検査装置21を設置した状態での、幅端基準56とメッシュベルト4の幅端部4aとの間の距離57,58を用いることができる。初期値は、予め計測して画像処理部26や破損検出部28(蛇行検出部48)の記憶部32に登録しておいても良い。または、メッシュベルト4の画像処理データ27から直接抽出するようにしても良い。
【0096】
また、メッシュベルト4の両幅端部4aについて幅端基準56からの距離57,58を計測して、両距離57,58の違いを比較することで、その均等・不均等によって蛇行47を判定するように構成しても良い。蛇行47の判定には、所要の蛇行判定用閾値などを用いることができる。
【0097】
そして、例えば、蛇行検出部48は、図15に示すように、幅端認識部48aが、メッシュベルト4の幅端部4aを認識し(幅端認識処理)、距離算出部48bが、メッシュベルト4の幅端部4aと幅端基準56との間の距離57,58を算出し(距離算出処理)、比較部48cが、算出した距離57,58と初期値とを比較、または、両側の距離57,58を比較して(比較処理)、蛇行判定部48dが、算出した距離57,58と初期値とが同じかまたは許容範囲内である場合、または、両側の距離57,58が同じかまたは許容範囲内である場合に「蛇行なし」と判定し、算出した距離57,58と初期値とが異なるまたは許容範囲外である場合、または、両側の距離57,58が異なるまたは許容範囲外である場合に「蛇行あり」と判定する(蛇行判定処理)ように構成しても良い。なお、許容範囲は、生産設備1の条件などによって適宜定められる。但し、メッシュベルト4の蛇行47の検出の仕方は、上記に限るものではない。
【0098】
(7)図16に示すように、メッシュベルト検査装置21は、
カメラ22を支持するカメラ支持部71と、メッシュベルト4へ向け光を出射する検査用光源装置24を支持する光源支持部72とを備えた移動体73が設けられ、
移動体73は、カメラ22およびカメラ支持部71がメッシュベルト4の一面側に配置され、検査用光源装置24および光源支持部72がメッシュベルト4の他面側または一面側に配置されるように、メッシュベルト4に対して着脱可能とされても良い。
【0099】
ここで、メッシュベルト検査装置21は、図1図4などに示すように、カメラ22と検査用光源装置24との両方を、生産設備1に対して固定状態で設置したものとしても良い(固定型メッシュベルト検査装置)。これに対し、カメラ22と検査用光源装置24との一方を生産設備1に固定状態で設置し、他方を生産設備1に対して着脱可能に設置したり(半固定型メッシュベルト検査装置)、または、カメラ22と検査用光源装置24との両方を、生産設備1に対して着脱可能に設置したりすることができる(移動型メッシュベルト検査装置)。
【0100】
カメラ22と検査用光源装置24との両方を、生産設備1に対して着脱可能とする場合、カメラ22と検査用光源装置24とは、別々に着脱可能となるように別々の移動体73にそれぞれ取付けるようにしても良い(個別移動型メッシュベルト検査装置)が、この実施例では、カメラ22と検査用光源装置24との両方を、生産設備1に対して同時に着脱可能となるように同じ移動体73に取付けるようにしている(同時移動型メッシュベルト検査装置)。
【0101】
カメラ支持部71は、メッシュベルト4の面とほぼ平行な取付アームや取付板などとすることができる。取付アームや取付板は、メッシュベルト4の幅方向8へ延びるように設置されるのが好ましい。カメラ支持部71には、メッシュベルト4へ向けてカメラ22を取付けるためのカメラ取付部74が単数または複数設けられる。カメラ22は、メッシュベルト4の面から(メッシュベルト4からの熱影響を受けない、または、メッシュベルト4の撮影に最適となる)所要の距離L1だけ離間した状態でカメラ取付部74を用いてカメラ支持部71に取付けられるのが好ましい。カメラ取付部74は、カメラ支持部71に対し、固定としても良いが、(メッシュベルト4の幅方向8やその他の方向などに)移動可能に取付けて、メッシュベルト4に対するカメラ22の設置位置や、カメラ22間の設置間隔などを調整できるようにしても良い。
【0102】
光源支持部72は、検査用光源装置24の発光部がメッシュベルト4の面とほぼ平行になるように検査用光源装置24を単数または複数取付けられるものとする。光源支持部72は、カメラ支持部71と同様の取付アームや取付板などとすることができる。検査用光源装置24は、メッシュベルト4の面から(メッシュベルト4からの熱影響を受けない)所要の距離L2だけ離間した状態でメッシュベルト4へ向けて光源支持部72に取付けられるのが好ましい。
【0103】
なお、カメラ支持部71および光源支持部72は、図1図4に示すように、固定型メッシュベルト検査装置などに対しても設けられている。そして、カメラ22と検査用光源装置24とが、メッシュベルト4の同じ側に設置される場合には、カメラ支持部71と光源支持部72とは、少なくとも一部を共用化することができる。これに対し、カメラ22と検査用光源装置24とが、メッシュベルト4の反対側に設置される場合には、カメラ支持部71と光源支持部72とは、それぞれ別々に設けられて、メッシュベルト4の両面を挟むように設置される。
【0104】
移動体73は、カメラ支持部71および光源支持部72を取付けるための支持体75を有しても良い。支持体75は、ほぼ上下方向に延びるものとされ、カメラ支持部71と光源支持部72とは、その一端側の部分が支持体75に取付けられる。光源支持部72およびカメラ支持部71は、支持体75に対して上下方向の位置を固定状態で取付けても良いし、メッシュベルト4の高さに合わせて高さ調節ができるように、上下方向の位置を個別にまたは同時に調整可能に取付けても良い。この場合、支持体75と、光源支持部72およびカメラ支持部71との間に上下スライド機構などを介在させるようにしても良い。
【0105】
移動体73は、生産設備1の床面などを移動できるように、下部にローラやキャスター輪などの移動手段76(または転動手段)が取付けられても良い。移動体73やローラやキャスター輪などの移動手段76には、メッシュベルト検査装置21をセットした位置が容易に変位されないように、位置保持のためのブレーキなどの位置保持手段または停止手段を設けることができる。
【0106】
移動体73は、例えば、手押し式としても良いし、電動モータなどの走行駆動装置によって自走可能な自走式などとしても良い。電動モータなどの走行駆動装置は、手押しを行う際のアシスト機構として使用できるようにしても良い。
【0107】
この実施例では、下側に位置する光源支持部72の下面にローラやキャスター輪などの移動手段76を直接取付けるようにしている。これにより、移動体73は、生産設備1の床面などを移動してメッシュベルト4の一端側からメッシュベルト4へ装着し、一端側へ取り外せるようになる。
【0108】
より具体的には、この実施例では、支持体75を縦板状部材で構成し、カメラ支持部71や光源支持部72を横板状部材で構成して、横板状部材の一端部を縦板状部材に対して片持状に取付けるようにしている。そして、透過照明を行う場合には、横板状部材を二枚設けてそれぞれカメラ支持部71および光源支持部72とし、これらを上下方向に所要の間隔を有して水平かつ平行に配置し、二枚の横板状部材の対向面にカメラ22と検査用光源装置24とをそれぞれ取付けて、二枚の横板状部材の間にメッシュベルト4を挿入できるようにする。
【0109】
また、落射照明を行う場合には、横板状部材を一枚にして、一枚の横板状部材をカメラ支持部71および光源支持部72として共用させ、横板状部材のメッシュベルト4側となる面に、カメラ22と検査用光源装置24とをそれぞれ取付けるようにする。なお、光源支持部72やカメラ支持部71の形状については、上記に限るものではない。
【0110】
また、必要な場合には、移動体73は、画像処理部26を保持する画像処理部保持部を備えるようにしても良い。
【0111】
ここで、画像処理部保持部は、画像処理部26(コンピュータ)を保持できればどのようなものでも良く、画像処理部26に合わせた形状や大きさを有するもの、例えば、棚状や容器状の収容スペースや、画像処理部26を直接固定可能な固定部などとすることができる。
【0112】
また、移動体73は、画像処理部26と破損検出部28とが別体になっている場合には、画像処理部保持部に加えて破損検出部28(コンピュータ)を保持可能な破損検出部保持部を備えても良い。破損検出部保持部は、画像処理部保持部とほぼ同様の構造となるように設けることができ、例えば、棚状や容器状の収容スペースや、破損検出部28を直接固定可能な固定部などとすることができる。
【0113】
図16の場合には、例えば、移動体73を構成する支持体75のメッシュベルト4とは反対側となる面に対し、画像処理部保持部や破損検出部保持部となる棚状の収容スペースを設置すれば良い。このように画像処理部保持部や破損検出部保持部を一体に備えることで、メッシュベルト検査装置21は、移動体73に全ての構成を搭載したものとなり、メッシュベルト検査装置21をコンパクトにまとめて利便性などを高めることができる。
【0114】
(8)図3に示すように、メッシュベルト検査装置21は、
破損検出部28で検出したメッシュベルト4の破損状況の検査データ81を入力して、検査データ81の変化に基づきメッシュベルト4の破損の進行状態を監視すると共に、メッシュベルト4のメンテナンス時期を予測するメッシュベルト管理部82を備えるようにしても良い。
【0115】
ここで、破損検出部28で検出したメッシュベルト4の破損状況の検査データ81は、伸び検出部42による伸び41の検査データ81や、内破れ検出部44による内破れ43の検査データ81や、端破れ検出部46による端破れ45の検査データ81や、蛇行検出部48による蛇行47の検査データ81などのことである。メッシュベルト管理部82は、これらの検査データ81の全て、または、少なくとも1つ以上を用いて、メッシュベルト4の破損の進行状態の監視や、メッシュベルト4のメンテナンス時期や寿命の予測などを行う。
【0116】
メッシュベルト管理部82は、メッシュベルト4の状態を総合的に管理したり分析したりするための装置である。メッシュベルト管理部82には、メッシュベルト管理ソフトをインストールしたコンピュータなどの情報処理装置を用いることができる。メッシュベルト管理ソフトには、AI(人工知能)技術を搭載したものを使用することができる。AIには最適な教師データによって学習済みのAIエンジンが備えられる。メッシュベルト管理ソフトは、メモリやディスクなどの記憶媒体や、HDDやSSDなどの記憶装置や、ネットワークなどを介して外部に提供できるものとすることが可能である。
【0117】
メッシュベルト管理部82は、画像処理部26や破損検出部28などと同じ情報処理装置(コンピュータ)を用いることや、これらとは別の情報処理装置(コンピュータ)を用いることができる。この実施例では、別の情報処理装置を用いるようにしている。
【0118】
メッシュベルト管理部82は、画像処理部26や破損検出部28などと同様にメッシュベルト4が設置されている場所に設けても良いが、メッシュベルト4から離れた場所に設置してネットワーク83などを介して画像処理部26や破損検出部28などと接続できるようにしても良い。なお、メッシュベルト管理部82への検査データ81の入力は、有線または無線で行わせることができる。
【0119】
このように、ネットワーク83などを介することで、多くのメッシュベルト4に設置された多くの画像処理部26や破損検出部28を、メッシュベルト管理部82に同時に接続することが可能になる。そのため、一台のメッシュベルト管理部82で、全国にまたは全世界に分散(または、複数の工場の複数の生産設備1に設置)されている多数のメッシュベルト4を、遠隔地にて一括して集中管理することができるようになる。
【0120】
メッシュベルト4のメンテナンス時期の予測は、例えば、そのメッシュベルト4の平均的な破損の進行状態と、メッシュベルト4の実際の破損の進行状態を示す検査データ81とを比較することなどによって行うことができる。
【0121】
また、メッシュベルト管理部82は、例えば、メッシュベルト4の実際の破損の進行状態を示す検査データ81やメッシュベルト4を補修や交換したときの検査データ81などを教師データとして十分に学習させたAIエンジンによって、行わせることができる。これにより、メッシュベルト4のメンテナンス時期をより正確に予測できるようになる。
【0122】
メッシュベルト管理部82は、例えば、図17に示すように、検査データ入力部82aが、メッシュベルト4の破損状況の検査データ81を破損検出部28から入力し(検査データ入力処理)、破損状況監視部82bが、検査データ81の変化に基づきメッシュベルト4の破損の進行状態を監視し(破損状況監視処理)、比較部82cが、メッシュベルト4の破損の進行状態を、メッシュベルト4の平均的な破損の進行状態と比較し(比較処理)、寿命予測部82d(またはメンテナンス時期予測部82d)が、メッシュベルト4の破損の進行状態をグラフ化して、メッシュベルト4の実際の破損の進行状態の傾き、または、メッシュベルト4の平均的な破損の進行状態の傾きで延長して、メッシュベルト4のメンテナンス時期や寿命を予測する(寿命予測処理またはメンテナンス時期予測処理)ように構成しても良い。
【0123】
但し、メッシュベルト管理部82による寿命やメンテナンス時期の予測の仕方は、上記に限るものではない。また、メッシュベルト管理部82は、上記の他に、寿命などの予測結果を出力する出力部82eや、寿命などの予測結果およびその他のデータ(入力された各破損検出部28ごとの検査データ81など)を記憶する記憶部32などを備えることができる。
【0124】
以下、具体的な寿命の予測の仕方の例を説明する。なお、この実施例では、メッシュベルト検査装置21によるメッシュベルト4の検査は、月に一回実施するようにしている。そして、メッシュベルト4の内破れ43(メッシュ破れ)の検査データ81を用いてメッシュベルト4の寿命やメンテナンス時期を予測するようにしている。但し、メッシュベルト4に対する検査時期や、寿命やメンテナンス時期の予測に使用する検査データ81はこれに限るものではない。
【0125】
まず、生産設備1を一定の稼働状態で使用している場合には、メッシュベルト4の破損(のグラフ)は、基本的にほぼ一定の割合(一定の傾きを有して)で進行して行くものと考えられる。よって、検査データ81のグラフを作成して、そのグラフに対し、そのときの生産設備1の稼働状態における平均的な破損の進行状態の傾きや、現在の破損の進行状態の傾きで最終の検査データ81の値を延長することによって、メッシュベルト4の寿命をある程度正確に予測することができる。
【0126】
例えば、メッシュベルト4の実際の破損の進行状態を示す検査データ81が図18のグラフに示すようになっているとする。このグラフの場合には、メッシュベルト4の実際の破損の進行状態は、全体的にほぼ平均的な傾きに沿ったものとなっているが、使用開始から3ヶ月後~5ヶ月後の間については、例外的に破損の進行状態が一時的に緩やかになっている。
【0127】
この場合、3ヶ月が経過した段階では、線aのように延長することで寿命は時期Aと予測される。また、4ヶ月が経過した段階では、線bのように延長することで寿命は時期Bと予測される。そして、8ヶ月が経過した段階では、線cのように延長することで寿命は時期Cと予測される。
【0128】
なお、実際の検査データ81における破損の進行状態の傾きが上記した平均的な傾きよりも小さくなっている場合(例えば、4ヶ月経過後)には、平均的な傾きを採用するのが良いが、小さい傾きが数回続いて安定していると考えられるような場合には、小さい傾きを採用することも可能である。なお、上記寿命の予測は、検査が行われるごとに更新される。更に、予測の更新の履歴なども考慮に入れることができる。
【0129】
また、例えば、図19は、メッシュベルト4の実際の破損の進行状態を示す別の検査データ81を示している。このグラフは、メッシュベルト4の使用前期(3ヶ月が経過するまで)に生産量を多くすると共に、使用後期(3ヶ月経過以降)に生産量を減らすように生産設備1の稼働状況を途中で変化させた場合の例となっている。
【0130】
そのため、使用前期には破損が急激に進行し、使用後期には破損の進行状態が緩やかになっている。このような場合にも、上記と同様にして寿命の予測を行うことができる。
【0131】
なお、実際の検査データ81における破損の進行状態の傾きが上記した平均的な傾きよりも大きくなっている場合には、大きい方の傾きを採用するのが好ましい。
【0132】
よって、3ヶ月が経過した段階では、線dのように大きい方の傾きで延長することで寿命は時期Dと予測される。また、5ヶ月が経過した段階では、線eのように平均的な傾きで延長することで寿命は時期Eと予測される。そして、9ヶ月が経過した段階では、線fのように平均的な傾きで延長することで寿命は時期Fと予測される。
【0133】
上記により、生産量が多い使用前期の予測では、平均的なものよりも寿命が短くなるという結果が出されるのに対し、生産量を減らした使用後期の予測では、寿命が長くなるように結果が修正されて行き、更新の度に寿命の予測結果が徐々に延びることとなる。そして、寿命の予測結果の精度も高くなって行く。なお、寿命予測のやり方は、上記に限るものではない。
【0134】
(9)以下、上記メッシュベルト検査装置を用いたメッシュベルト検査方法について説明する。
【0135】
メッシュベルト検査方法は、
無端状をして周回するメッシュベルト4を、メッシュベルト4の移動中に検査するものであって、
メッシュベルト4の一面側に設置されたカメラ22によって、メッシュベルト4を撮影する工程(撮影工程)と、
カメラ22で撮影したメッシュベルト4の画像データ25を画像処理部26で画像処理する工程(画像処理工程)と、
更に、画像処理部26で画像処理したメッシュベルト4の画像処理データ27に基づき、破損検出部28でメッシュベルト4の破損状況を検出する工程(破損状況検出工程)とを行うようにする。
【0136】
ここで、メッシュベルト4の他面側または一面側に設置された検査用光源装置24から、メッシュベルト4へ向けて光を出射する工程(出射工程)を併せて行うようにしても良い。出射工程と撮影工程と画像処理工程と破損状況検出工程とは、ほぼ同時に行うのが好ましい。
【0137】
なお、メッシュベルト検査方法は、更に、上記した各構成を利用した方法とすることができる。
【0138】
即ち、破損検出部28は、
伸び検出部42でメッシュベルト4の伸び41を検出するようにしても良い(伸び検出工程)。
内破れ検出部44で、メッシュベルト4の内側部分の破れ43を検出するようにしても良い(内破れ検出工程)。
端破れ検出部46で、メッシュベルト4の幅端部4aの破れ45を検出するようにしても良い(端破れ検出工程)。
蛇行検出部48で、メッシュベルト4の蛇行47を検出するようにしても良い(蛇行検出工程)。
これらの各工程は、全てを行うのが最も好ましいが、少なくとも1つが行われるようにすれば良い。2つ以上の工程を組み合わせる場合には、組み合わせは任意とすることができる。そして、これらの工程は、行われる工程が複数ある場合には、各工程の間で適宜順番を決めて行われるようにする。
【0139】
そして、伸び検出部42は、メッシュベルト4に設けた周回方向の位置指標51を認識して、位置指標51から次の位置指標51が通過するまでの通過時間でメッシュベルト4の伸び41を判定するようにしても良い。
【0140】
内破れ検出部44は、メッシュベルト4の網目5を認識して、認識した網目5の形状または面積が、1つ分の網目5の形状または面積と異なる場合に、メッシュベルト4に内破れ43ありと判定するようにしても良い。
【0141】
端破れ検出部46は、メッシュベルト4の幅端部4aに形成されている段差部52を認識して、認識した段差部52の段差量53または段差部52の面積54が初期値よりも大きくなった場合に、メッシュベルト4に端破れ45ありと判定するようにしても良い。
【0142】
蛇行検出部48は、メッシュベルト4の幅端部4aを認識して、認識した幅端部4aの位置55と予め設定された幅端基準56との間の距離57,58が、初期値と異なる場合、または両側で距離57,58が異なっている場合に、メッシュベルト4に蛇行47ありと判定するようにしても良い。
【0143】
メッシュベルト検査方法は、メッシュベルト管理部82に破損検出部28で検出したメッシュベルト4の破損状況の検査データ81を入力して、メッシュベルト管理部82で検査データ81の変化に基づきメッシュベルト4の破損の進行状態を監視すると共に、メッシュベルト4のメンテナンス時期を予測するようにしても良い。
【0144】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0145】
ベルトコンベヤ2に用いられるメッシュベルト4(特に、熱処理搬送用のメッシュベルト4)は、生産設備1への取付けや生産設備1の稼動直後から変形が発生し、変形は徐々に進行する。
【0146】
メッシュベルト4の変形による破れ43,45や破損などの損傷や蛇行47を、作業者や管理者が明確に認識できるようになるまでには、通常、数週間から数ヶ月ほどの時間がかかっている。この間、少しずつ発生し成長し続けるメッシュベルト4の変形や変化を作業者や管理者がメッシュベルト4に張り付いて常時確認することは事実上不可能である。また、全ての損傷箇所を作業者や管理者が目視によって確実に把握することも困難である。
【0147】
そして、メッシュベルト4の変形により、ワークを搬送できる面積が減って生産性が低下すると共に、最悪の場合には、生産設備1の稼働中にメッシュベルト4が大きく破損・破断して、製造事故に繋がるおそれがある。
【0148】
このような不測の事態が生じないように、変形したメッシュベルト4に対して破損部分を取り外したり、劣化による全長の伸び41が発生した際に、メッシュベルト4の切り詰め工事や全交換工事を行ったりしており、上記したような不測の事態の発生を未然に防いでいる。
【0149】
しかし、このような工事のタイミングは極めて掴み難く、判断に熟練を要すると共に、人による判断の差などが生じ易い。そして、生産中に、突発的に修理工事や交換工事などの必要性が生じると、生産計画に狂いが生じることになる。
【0150】
また、メッシュベルト4の修理工事や交換工事を必要な時期よりも早めに行うようにすると、生産設備の稼働の安定性は向上するものの、生産性の低下やコストの上昇を招くことになる。
【0151】
そこで、この実施例では、メッシュベルト4の損傷や変形を検査するためのメッシュベルト検査装置21を設けて、最適な工事のタイミングを容易且つ明確に把握できるようにしている。
【0152】
まず、メッシュベルト検査装置21によるメッシュベルト4の検査は、メッシュベルト4を、メッシュベルト4の一面側に設置したカメラ22によって撮影する。カメラ22は、単数または複数台設けて、メッシュベルト4の幅全域に亘って撮影するのが好ましい。
【0153】
この際、必要に応じて、メッシュベルト4の他面側または一面側に検査用光源装置24を設置して、検査用光源装置24から、メッシュベルト4へ向けて光を出射するのが好ましい。光は、メッシュベルト4の幅全域に亘って出射させるのが好ましい。
【0154】
メッシュベルト4の他面側に検査用光源装置24を設置した場合には、検査用光源装置24から出射した光は、メッシュベルト4(特に、熱処理搬送用のメッシュベルト4)の網目5を透過する。そして、カメラ22は、メッシュベルト4、または、メッシュベルト4の網目5を透過した光を、メッシュベルト4の一面側にて撮影する。
【0155】
反対に、メッシュベルト4の一面側に検査用光源装置24を設置した場合には、検査用光源装置24から出射した光は、メッシュベルト4(特に、熱処理搬送用のメッシュベルト4)で反射される。そして、カメラ22は、メッシュベルト4、または、メッシュベルト4で反射された光を、メッシュベルト4の一面側にて撮影する。
【0156】
そして、カメラ22で撮影したメッシュベルト4の画像データ25を画像処理部26で画像処理する。更に、画像処理部26で画像処理したメッシュベルト4の画像処理データ27に基づき、破損検出部28でメッシュベルト4の破損状況を検出する。メッシュベルト4の検査は、少なくともメッシュベルト4が1周する間中、またはそれ以上周回する間中継続して行われる。これにより、後述するように、メッシュベルト4全体の変形や破損の状態などを画像処理の技術を用いて定量的に捉えることができるようになり、工事のタイミングを正確に把握することなどが可能になる。
【0157】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0158】
(効果 1)メッシュベルト検査装置21は、メッシュベルト4の検査に画像処理技術を使うことによって、カメラ22と、画像処理部26と、破損検出部28と、必要な場合には検査用光源装置24という、少ない構成で小型のメッシュベルト検査装置21を実現できるようになる。しかも、画像処理技術を使うことで、メッシュベルト4の検査を簡単、確実に行えるようになる。これにより、メッシュベルト4を備えた生産設備1に対し、例えば、テンションローラなどの機械的な検出手段を設けるなどの大規模な改修を行うことなく、ほぼ現状のままでメッシュベルト検査装置21を設置することができる(なお、この実施例のメッシュベルト検査装置21は、テンションローラなどの機械的な検出手段を有する生産設備1に対して用いることも可能である)。
【0159】
また、既存の生産設備1に対しても、後からメッシュベルト検査装置21を簡単に設置することが可能になる。しかも、少ない構成のメッシュベルト検査装置21は、生産設備1を停止することなく稼働中のメッシュベルト4に対し簡単に設置または装着して、自由な使い方で運用できるものにできる。更に、画像処理の技術を用いることにより、得られた大量の画像処理データ27や検査データ81を、メッシュベルト4の開発やメンテナンスなどの多方面に有効活用することが可能になる。
【0160】
そして、メッシュベルト検査装置21が破損検出部28を備えることによって、メッシュベルト4の移動中に画像処理技術を使ってメッシュベルト4の破損状況をリアルタイムで自動的に検査することができる。また、メッシュベルト4の破損状態を定量化して客観的な値として評価できるようになる。これにより、これまでのように、メッシュベルト4の補修時期や交換時期などを作業者や管理者などの経験と勘に頼って決めるのではなく、客観的な検査結果に基いて誰にでも明確に(正確かつ確実にバラ付きなく)補修時期や交換時期などを決めることができるようになる。
【0161】
即ち、破損検出部28によって、メッシュベルト4の表面全体の破損状況を自動的に連続して検出することができるため、作業員や管理者がメッシュベルト4に張り付いて目視でメッシュベルト4の表面全体の状況を監視し続ける必要がなくなり、省人化を図ることができると共に、破損検出部28によってメッシュベルト4の破損状況を漏れなく正確に検出することができる。なお、メッシュベルト4は一周するのに数時間から十時間程度かかるので、その間中ずっと、作業員や管理者がメッシュベルト4の側にいてメッシュベルト4を目視し続けるのは困難(実質的に不可能)である。また、作業員や管理者によってミスなく破損状況を目視検査することも困難である。これに対し、この実施例のメッシュベルト検査装置21を用いれば、破損検出部28によって機械的に検査を実行できるので、これらの問題をほぼ解消でき、容易かつ確実にメッシュベルト4の破損状況を管理することができる。
【0162】
また、メッシュベルト4の破損状況が正確に分かることで、メッシュベルト4の修理や交換の最適時期を正確に把握して、メッシュベルト4を限界ギリギリまで使用できるようになるので、メッシュベルト4の修理や交換に要するコストや手間を削減することができる。そして、メッシュベルト4の修理や交換の最適時期を正確に把握することで、製品の生産計画の立案や遂行に役立てることができる。
【0163】
加えて、メッシュベルト4の破損状況を移動中に連続的に検査できるので、メッシュベルト4に劣化や破損が発生してから、メッシュベルト4の修理や交換を行うまでの間の、破損の進行状態を詳細に観察することができる。そして、観察結果を分析することで、より耐久性の高いメッシュベルト4を開発することなどが可能になる。
【0164】
なお、メッシュベルト検査装置21に用いるカメラ22(や検査用光源装置24)には、必要に応じて耐熱手段(または遮熱手段)を備えても良い。耐熱手段によって、カメラ22などを熱から有効に保護することができる。よって、高温下であってもメッシュベルト4に対する最適位置や最適距離にカメラ22などを設置してメッシュベルト4の検査をより正確且つ確実に行うことが可能になる。
【0165】
(効果 2)破損検出部28は、伸び検出部42を備えることによって、メッシュベルト4の伸び41を正確に検出することができる。内破れ検出部44を備えることによって、メッシュベルト4の内破れ43を漏れなく正確に検出することができる。端破れ検出部46を備えることによって、メッシュベルト4の端破れ45を漏れなく正確に検出することができる。蛇行検出部48を備えることによって、メッシュベルト4の蛇行47を正確に検出することができる。
【0166】
そして、破損検出部28が、これらの少なくとも1つを備えることにより、画像処理技術を使ってメッシュベルト4の破損状況を詳細に検査することができる。なお、伸び検出部42と、内破れ検出部44と、端破れ検出部46と、蛇行検出部48とは、全てを備えるのが最も好ましいが、これらのうちの単数、または、複数を自由に組み合わせて設けることができる。
【0167】
(効果 3)メッシュベルト4に、周回方向の位置指標51を設けることによって、メッシュベルト4の破損状況を検出する際に必要となる、メッシュベルト4の周回方向の位置を、正確に定めることができる。また、メッシュベルト4に周回方向の位置指標51を設けることによって、メッシュベルト4の伸び41を検出する際に必要となる、メッシュベルト4の周回や、メッシュベルト4の所要距離の移動を検知できる。
【0168】
位置指標51は、メッシュベルト4の周回方向に1箇所または複数箇所設けることができる。位置指標51を、メッシュベルト4の周回方向に1箇所設けた場合には、次の位置指標51が通過したときに、メッシュベルト4は1周したことになる。位置指標51を、メッシュベルト4の周回方向に複数箇所設けた場合には、次の位置指標51が通過したときに、メッシュベルト4は所要距離だけ移動したことになる。位置指標51を、メッシュベルト4の周回方向に複数箇所設ける場合には、複数の位置指標51は、等間隔に設けるのが好ましい。
【0169】
伸び検出部42は、位置指標51から次の位置指標51が通過するまでの通過時間の変化によって、メッシュベルト4の伸び41や変形の進行具合などを正確に判定することができる。
【0170】
(効果 4)内破れ検出部44は、認識したメッシュベルト4の網目5の形状または面積が、1つ分の網目5の形状または面積と異なっている(大きいまたは小さい)部分が少なくとも1箇所以上ある場合に、メッシュベルト4に「内破れあり」と判定することで、内破れ43を正確に検出することができる。そして、認識したメッシュベルト4の網目5の形状または面積によって、何目分の内破れ43が発生したかが分かるため、内破れ43の進行具合も知ることができる。
【0171】
なお、内破れ検出部44は、例えば、メッシュベルト4の幅方向8の中央部などの部分的な破れ43を検出するものとしたり、メッシュベルト4の幅全域に亘ってメッシュベルト4の内側部分の破れ43などを検出するものとしたりできる。
【0172】
(効果 5)端破れ検出部46は、認識した段差部52の段差量53や段差部52の面積54が初期値よりも大きくなっている部分が少なくとも1箇所以上ある場合に、メッシュベルト4に「端破れあり」と判定することで、端破れ45を正確に検出することができる。そして、認識した段差部52の段差量53などによって、何目分の端破れ45が発生したかが分かるため、端破れ45の進行具合も知ることができる。段差部52は、メッシュベルト4の幅端部4aに構造的に必ず形成されるものであることから、メッシュベルト4の端破れ45を検査するためには、段差部52の段差量53などを検出するのが最も適している。
【0173】
(効果 6)蛇行検出部48は、認識した幅端部4aの位置55と予め設定された幅端基準56との間の距離57,58(距離計測値)が、初期値と異なる場合、または両側で距離57,58が異なっている場合に、メッシュベルト4に「蛇行あり」と判定することで、蛇行47などのメッシュベルト4の変形を正確に検出することができる。そして、認識した幅端部4aの位置55によって蛇行量(蛇行47の大きさ)が分かるため、メッシュベルト4全体の蛇行状況を把握することができる。
【0174】
(効果 7)メッシュベルト検査装置21は、カメラ支持部71およびメッシュベルト4へ向けて光を出射する光源支持部72を有する移動体73を、メッシュベルト4に対して着脱可能に設けるように構成しても良い。カメラ支持部71および光源支持部72には、それぞれカメラ22と検査用光源装置24とが取付けられており、移動体73をメッシュベルト4に装着することで、カメラ22と検査用光源装置24とがメッシュベルト4に配置される。これにより、移動体73をメッシュベルト4に着脱するだけで、メッシュベルト4に対し、カメラ22と検査用光源装置24とを同時に設置したり取り外したりすることができるようになる。そのため、いつでも手軽にメッシュベルト4の検査を行うことができるようになると共に、メッシュベルト4の検査を行わないときには、メッシュベルト4からメッシュベルト検査装置21を簡単に撤去することができるようになる。
【0175】
また、移動体73を有するメッシュベルト検査装置21に、カメラ22と検査用光源装置24とを予め設置しておくことで、面倒なカメラ22や検査用光源装置24などのセッティング作業などを行うことなく、簡単にメッシュベルト4にカメラ22や検査用光源装置24をセットして、すぐにメッシュベルト4の検査を始めることが可能になる。しかも、移動体73を有するメッシュベルト検査装置21が1台あれば、例えば、工場内に設置された複数の生産設備1の複数のメッシュベルト4に対し、メッシュベルト検査装置21を順番に取付けることで、各生産設備1のメッシュベルト4の検査を順番に行うことなどが可能になる。よって、固定型メッシュベルト検査装置を生産設備1ごとにそれぞれ設ける必要をなくすことができ、メッシュベルト検査装置21の使い回しによりコスト低減を図ることができる。なお、カメラ支持部71および光源支持部72を移動体73に対して高さ調整可能に取付けるようにすれば、各生産設備1でメッシュベルト4の高さが異なっているような場合にも対応することができる。
【0176】
そして、必要な場合には、移動体73は、画像処理部保持部を備えても良い。これにより、1台の移動体73にカメラ22と検査用光源装置24と画像処理部26とをまとめて設置して、メッシュベルト検査装置21をコンパクトに構成できる。そして、メッシュベルト4に設置したメッシュベルト検査装置21の位置にて、画像処理部26による画像処理の状態をリアルタイムで確認することなども可能になる。
【0177】
また、画像処理部26と破損検出部28が別体になっている場合には、画像処理部保持部に加えて移動体73に破損検出部28を保持可能な破損検出部保持部を備えても良い。これにより、1台の移動体73に破損検出部28と画像処理部26とカメラ22と検査用光源装置24とをまとめて設置して、メッシュベルト検査装置21を更にコンパクトに構成できる。そして、メッシュベルト4に設置したメッシュベルト検査装置21の位置にて、破損検出部28による破損の検出結果をリアルタイムで確認することなども可能になる。
【0178】
(効果 8)メッシュベルト検査装置21は、メッシュベルト管理部82を備えるようにしても良い。メッシュベルト管理部82を備えることによって、メッシュベルト検査装置21で検査したメッシュベルト4の破損の進行状態を、メッシュベルト管理部82で継続的に監視(管理し分析)することができる。また、メッシュベルト管理部82によって、メッシュベルト4のメンテナンス時期や寿命などを事前に予測できる。
【0179】
そして、メッシュベルト管理部82が、メッシュベルト4の破損の進行状態を監視すると共に、メンテナンス時期を予測することで、正確な修理計画やメンテナンス計画を立てることができるので、製品の生産計画の立案が容易になり、生産性を向上できる。また、メッシュベルト管理部82が、メッシュベルト4の破損の進行状態を監視すると共に、メンテナンス時期を予測することで、メッシュベルト4の予期しない突発的な破損による生産計画の変更を防止し、突発的なメンテナンス工事に伴うリスクなどを軽減できる。
【0180】
更に、メッシュベルト管理部82を用いることによって、複数のメッシュベルト4の破損の進行状態を、遠隔地などから一括管理することが可能になる。
【0181】
(効果 9)メッシュベルト検査方法によれば、上記したメッシュベルト検査装置21と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0182】
4 メッシュベルト
4a 幅端部
5 網目
8 幅方向
21 メッシュベルト検査装置
22 カメラ
24 検査用光源装置
25 画像データ
26 画像処理部
27 画像処理データ
28 破損検出部
41 伸び
42 伸び検出部
43 内破れ
44 内破れ検出部
45 端破れ
46 端破れ検出部
47 蛇行
48 蛇行検出部
51 位置指標
52 段差部
53 段差量
54 面積
56 幅端基準
57 距離
58 距離
72 光源支持部
71 カメラ支持部
73 移動体
81 検査データ
82 メッシュベルト管理部
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