(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】防草ブロック及び防草ブロックの設置方法
(51)【国際特許分類】
E01H 11/00 20060101AFI20230724BHJP
A01M 21/00 20060101ALI20230724BHJP
E01C 5/06 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
E01H11/00 A
A01M21/00 Z
E01C5/06
(21)【出願番号】P 2021197451
(22)【出願日】2021-12-06
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000152620
【氏名又は名称】株式会社日東
(74)【代理人】
【識別番号】100153442
【氏名又は名称】前川 真季
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 慎司
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-266303(JP,A)
【文献】特開2005-139898(JP,A)
【文献】特開2019-108754(JP,A)
【文献】登録実用新案第3165624(JP,U)
【文献】特開2019-210646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 11/00
A01M 21/00-21/04
E01C 5/06- 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に凹みが形成された八角形の平板部と、
この平板部の凹み面のほぼ中央から突出し、少なくとも平板部の一辺と同じ側の一辺の長さをほぼ同じとした四角形の突出部と、
前記平板部の凹み面側の突出部周辺であって、平板部外周端から突出部に向けて下方傾斜状に形成され、植物の根や茎を所望の方向に案内する根茎ガイドとを備えたことを特徴とする防草ブロック。
【請求項2】
一面に凹みが形成された八角形の平板部と、
この平板部の凹み面のほぼ中央から突出し、少なくとも平板部の一辺と同じ側の一辺の長さをほぼ同じとした四角形の突出部と、
前記平板部の凹み面側の突出部周辺であって、平板部外周端から突出部に向けて下方傾斜状に形成され、植物の根や茎を所望の方向に案内する根茎ガイドとを備えた防草ブロックの設置方法において、
複数設置する際に隣接する防草ブロックを上下反転させ、根茎ガイド同士が対向するように設置したことを特徴とする防草ブロックの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック間の隙間などから雑草が生長して繁殖することを防止する防草ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種防草ブロックは、例えば川岸、道路の盛土等に設置され、植物及びその種子の成長の性質を利用した防草ブロックが知られている。例えば、特許文献1には、各種のブロックの長手方向の少なくとも一方端面に下向き角度が略70°となる傾斜辺を備えた当該ブロックの上面に達する凹部を複数個設け、この各凹部は金型の抜き勾配を備えてなり、またこの各凹部の先端部及び/又は底部を面取り加工したことを特徴とする防草等を意図したブロックが開示されている。
【0003】
ここで、雑草の種子は、発芽すると根は下方に伸び茎は上方に延伸びる性質(屈地性・屈光性)を有していることから、その防草ブロックの境界側になる外周面の横幅方向全長に亘って防草構造としての凹部を形成しておくことで、その上方から伸びた根は隙間を伝って下方に進んだ後に上向きに誘導され、その下方から伸びた茎は隙間を伝って上方に進んだ後に下向きに誘導されるため、各々成長が阻害されて防草効果を発揮すると言われている。
【0004】
従って、経年変化により、ブロックと舗装材との境目に垂直方向の隙間が発生し、この隙間に飛来した雑草の種子が雨水を糧として発芽しても、光合成により成長する性質、即ち、芽が隙間を通じて上方へ伸びたり、根が逆に下方へ伸びて成長することを阻害することで、防草効果を達成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この特許文献1に開示されている防草等を意図したブロックは、道路における、車道と歩道や、車道と中央分離帯等の間の境界を仕切るコンクリート製の境界ブロックを想定しているもので、境界ブロックの場合、十分な高さ寸法があるため側面に防草構造としての凹部を形成することは容易であるが、歩道面などの平坦面に設置する舗装用コンクリートブロック、例えばインターロッキングブロックなどの厚みの薄い板状ブロックに用いることは困難であった。
【0007】
インターロッキングブロックは地表を覆ってしまうことで雑草の成長を阻害することができるが、ブロック同士を噛み合わせて施工するため、ブロック同士の隙間に雑草の種子が入り込み、この部分から雑草が生えてくるという問題は残ってしまうものであった。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、歩道面などの平坦面に設置する薄い板状の舗装用ブロックにも用いることができる防草構造を備える防草ブロック及び防草ブロックの設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1にかかる防草ブロックは、
一面に凹みが形成された八角形の平板部と、
この平板部の凹み面のほぼ中央から突出し、少なくとも平板部の一辺と同じ側の一辺の長さをほぼ同じとした四角形の突出部と、
前記平板部の凹み面側の突出部周辺であって、平板部外周端から突出部に向けて下方傾斜状に形成され、植物の根や茎を所望の方向に案内する根茎ガイドとを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2にかかる防草ブロックの設置方法は、
一面に凹みが形成された八角形の平板部と、
この平板部の凹み面のほぼ中央から突出し、少なくとも平板部の一辺と同じ側の一辺の長さをほぼ同じとした四角形の突出部と、
前記平板部の凹み面側の突出部周辺であって、平板部外周端から突出部に向けて下方傾斜状に形成され、植物の根や茎を所望の方向に案内する根茎ガイドとを備えた防草ブロックの設置方法において、
複数設置する際に隣接する防草ブロックを上下反転させ、根茎ガイド同士が対向するように設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1にかかる防草ブロックは、一面に凹みが形成された八角形の平板部と、この平板部の凹み面のほぼ中央から突出し、少なくとも平板部の一辺と同じ側の一辺の長さをほぼ同じとした四角形の突出部と、前記平板部の凹み面側の突出部周辺であって、平板部外周端から突出部に向けて下方傾斜状に形成され、植物の根や茎を所望の方向に案内する根茎ガイドとを備えたことにより、種子の芽が平板部や突出部の隙間を通じて上方へ伸びたり、根が逆に下方へ伸びて成長してしまうことを防止して防草効果を奏するものである。
【0012】
また、本発明の請求項2にかかる防草ブロックの設置方法は、前述した防草ブロックを複数設置する際に、隣接する防草ブロックを上下反転させ、根茎ガイド同士が対向するように設置した。
【0013】
これにより、防草ブロックが地表を覆ってしまうことで雑草が生えてくることを防止すると共に、防草ブロック同士の隙間に雑草の種子が入り込んだとしても、種子の芽が隙間を通じて上方へ伸びたり、根が逆に下方へ伸びて成長してしまうことを防止して防草効果を奏するものである。
【0014】
また、隣接する防草ブロックを上下反転させて設置することにより、根茎ガイド同士が引っかかるとともに、防草ブロック自体の自重により連結力が向上し、防草ブロックの横方向のずれを防止できるものである。さらに、大きな八角形の平板部と小さな四角形の突出部とが交互に地面に露出することとなるため、滑りにくく、かつ美観の向上も図れるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は本発明の防草ブロック単体の斜視図である。
【
図2】
図2は本発明の防草ブロック単体の一方(上方)からの平面図である。
【
図3】
図3は本発明の防草ブロック単体の他方(下方)からの平面図である。
【
図4】
図4は本発明の防草ブロック単体の縦断側面図である。
【
図5】
図5は本発明の防草ブロック同士を組み合わせた状態を示す斜視図である。
【
図6】
図6は本発明の防草ブロック同士を組み合わせた状態を示す側面図である。
【
図7】
図7は本発明の防草ブロック同士を組み合わせた状態を示す縦断側面図である。
【
図8】
図8は本発明の防草ブロックを設置した状態を示す平面図である。
【
図9】
図9は本発明の防草ブロックを設置した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の防草ブロック1は、住宅の庭先や歩道面などの平坦面に設置する厚みの薄い舗装用ブロックなどに用いることができる防草構造を備えたコンクリート製のブロックである。
以下に図面を参照して実施例を詳述する。
【実施例1】
【0017】
図1乃至
図4に示す如く、実施例1の防草ブロック1は、一面を中央部分に向けて凹ませた凹み面2とし、対向する他面を平坦面3とした八角形の平板部4と、この平板部4の凹み面2のほぼ中央から突出した四角形の突出部5とからなるものである。
【0018】
この平板部4の凹み面2と平坦面3以外の横の面は、対向する4面であって、一辺の長さを同じ長さHLとした側面6と、これら側面6同士の間に形成され、一辺の長さが短い長さSHLである小側面7とで八角形をなすものである。なお、前記小側面7の上端はV字状の切り欠き8が形成されている。
【0019】
また、前記平板部4の凹み面2の突出部5の周辺の4面には、植物の根や茎を所望の方向に案内するため、平板部4の外周端から突出部5に向けて下方傾斜した根茎ガイド9が形成されている。
【0020】
この根茎ガイド9は、雑草の種子が発芽すると根は下方に伸び茎は上方に延伸びる性質(屈地性・屈光性)を有することから、上方から伸びた根を下方に進んだ後に上向きに誘導し、下方から伸びた茎を上方に進んだ後に下向きに誘導することで、各々の成長を阻害するためのものである。
【0021】
次に、平板部4の凹み面2に一体的に設けられた突出部5は、前記平板部4の平坦面3より一回り小さい四角形の小平坦面10と、4面の突出部側面11とよりなるものである。
【0022】
そして、この突出部5の突出部側面11の一辺の長さTLは、同じ側に位置する平板部4の側面6の一辺の長さHLとをほぼ同じ長さとしている。これにより、防草ブロック1を交互に上下反転配置した際に、平板部4の平坦面3と、突出部5の小平坦面10とが交互に整然と配置されるため美しい外観とすることができる。
【0023】
以上のような防草ブロック1は、
図5乃至
図7に示す如く、隣接する防草ブロック1を上下反転させ、各々の平板部4、4の根茎ガイド9、9同士、及び小側面7の切り欠き8、8同士を対向位置させることで、傾斜状の根茎ガイド9、9及びV字状の切り欠き8、8同士が引っかかり防草ブロック1同士を連結するものである。さらに、防草ブロック1はコンクリート製である程度の重量を有するため、防草ブロック1自体の自重により連結力が向上し、横方向へのずれを防止できるものである。
【0024】
以上のように組み合わることで、例えば防草ブロック1の下に雑草の種子があって成長を始め、雑草の茎が平板部4の側面6や小側面7、突出部5の突出部側面11を伝って上方に伸びていったとしても、平板部4の根茎ガイド9に突き当たり、下向きに方向を変えるように誘導されるため、雑草の成長を阻害することができる。
【0025】
さらに、防草ブロック1の隙間に雑草の種子が入り込み、雑草の根が水を求めて平板部4の側面6や小側面7、突出部5の突出部側面11を伝って下方に伸びていったとしても、平板部4の根茎ガイド9に突き当たり、上向きに方向を変えるように誘導されて根が土にたどり着くことはないため、雑草の成長を阻害することができる。
【0026】
そして、この防草ブロック1の設置について
図7乃至
図9を参照して説明する。
先ず、設置する防草ブロック1分の縦横サイズの穴を、防草ブロック1高さ程度の深さに掘り、穴内に下地となる砂を敷き詰めておく。
【0027】
そして穴の敷砂層に防草ブロック1を交互に上下反転させて設置していく。この際、先述した通り、各々の平板部4、4の根茎ガイド9、9同士、及び小側面7の切り欠き8、8同士を対向位置させることで、傾斜状の根茎ガイド9、9及びV字状の切り欠き8、8同士が引っかかり防草ブロック1同士を連結する。
【0028】
また、防草ブロック1間に生じる隙間はモルタルを流し込んで埋めたり、防草ブロック1同士の各平板部4の側面6と小側面7、及び各突出部5の突出部側面11にモルタルを塗布しておき、防草ブロックを置くことで隙間が埋まるように固定してもよい。
【0029】
さらに、防草ブロック1間の隙間以外の部分、すなわち防草ブロック1設置場所の図示しない縁石や枠と、防草ブロック1との隙間もモルタルで埋める。これにより、防草ブロック1設置個所の雑草の成長を極力阻害することとなる。
【0030】
以上詳述した如く、本発明の防草ブロック1は、一面に凹み面2が形成された八角形の平板部4と、この平板部4の凹み面2のほぼ中央から突出し、少なくとも平板部4の一辺の長さHLと同じ側の一辺の長さTLをほぼ同じとした四角形の突出部5と、前記平板部4の凹み面2側の突出部5周辺であって、平板部4外周端から突出部5に向けて下方傾斜状に形成され、植物の根や茎を所望の方向に案内する根茎ガイド9とを備えたことにより、種子の芽が防草ブロック1間の隙間を通じて上方へ伸びたり、根が逆に下方へ伸びて成長してしまうことを防止して防草効果を奏するものである。
【0031】
また、本発明の請求項2にかかる防草ブロック1の設置方法は、前述した防草ブロック1を複数設置する際に、隣接する防草ブロック1を上下反転させ、根茎ガイド9、9同士が対向するように設置した。
【0032】
これにより、防草ブロック1が地表を覆ってしまうことで雑草が生えてくることを防止すると共に、防草ブロック1同士の隙間に雑草の種子が入り込んだとしても、種子の芽が防草ブロック1間の隙間を通じて上方へ伸びたり、根が逆に下方へ伸びて成長してしまうことを防止して防草効果を奏するものである。
【0033】
また、隣接する防草ブロック1同士を上下反転させて設置することにより、平板部4、4の根茎ガイド9、9同士、及び小側面7の切り欠き8、8同士が引っかかるとともに、防草ブロック1自体の自重により連結力が向上し、防草ブロック1の横方向のずれを防止できるものである。さらに、大きな八角形の平板部4と小さな四角形の突出部5とが交互に地面に露出することとなるため、滑りにくく、かつ美観の向上も図れるものである。
【0034】
さらに、平板部4の平坦面3や突出部5の小平坦面10に何らかの模様状の溝を掘ったり、突起をつけたりして滑り止めとしてもよい。これにより美観の向上のみならず、歩行の安全性向上も図ることができる。
【0035】
また、本発明の防草ブロック1は同一のブロックを上下反転させて用いるため、一種類の防草ブロック1を用意すれば良く、複数種類の防草ブロック1を製造する必要がないため低コストで提供することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 防草ブロック
2 凹み面
3 平坦面
4 平板部
5 突出部
6 側面
HL (側面)長さ
7 小側面
SHL (小側面)長さ
8 切り欠き
9 根茎ガイド
10 小平坦面
11 突出部側面
TL (突出部側面)長さ