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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】救命胴衣
(51)【国際特許分類】
   B63C 9/115 20060101AFI20230724BHJP
   B63C 9/08 20060101ALN20230724BHJP
【FI】
B63C9/115
B63C9/08 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022012247
(22)【出願日】2022-01-28
【審査請求日】2023-03-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522041237
【氏名又は名称】株式会社アビヨン・プロ
(74)【代理人】
【識別番号】100144130
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 実
(72)【発明者】
【氏名】宮川 宏美
(72)【発明者】
【氏名】宮川 昌子
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/003455(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3209091(JP,U)
【文献】特開2003-201605(JP,A)
【文献】特開2019-154548(JP,A)
【文献】国際公開第2018/198389(WO,A1)
【文献】特開2004-41392(JP,A)
【文献】特開2015-67267(JP,A)
【文献】国際公開第2018/146715(WO,A1)
【文献】実公昭12-3892(JP,Y1)
【文献】特開2016-34389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63C 9/08
A45F 4/02
A45F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背負い鞄のフラップに着脱可能に装着可能であり、水害時に背負い鞄から取り外して人体に着用可能な救命胴衣であって、
前記フラップの外側に装着され、着用時に前記人体の腹側及び背側の内の一方の側に位置する第1浮体と、
前記フラップの内側に装着され、着用時に前記人体の腹側及び背側の内の他方の側に位置する第2浮体と、
前記第1浮体と前記第2浮体とを連結する柔軟性を有する連結部と、
前記連結部に設けられた前記人体の頭部を通すための穴部と、
前記第1浮体及び前記第2浮体を前記フラップに着脱可能に装着するための装着部材と、
を備え
前記装着部材として、前記第1浮体及び前記第2浮体の少なくとも一方に、前記背負い鞄の構成部材に係止される係止部材が設けられていて、
前記背負い鞄の構成部材が、前記背負い鞄の背負いベルトであり、
前記係止部材として、前記背負いベルトを通すためのベルト通し穴を有する背負いベルト装着部を有し、
前記背負いベルト装着部は、前記ベルト通し穴の縁部を開放することで前記ベルト通し穴に前記背負いベルトを入れられるように、前記ベルト通し穴の縁部を開閉可能な縁開閉部を有していることを特徴とする救命胴衣。
【請求項2】
さらに前記装着部材として、前記フラップを間に挟んだ状態の前記第1浮体と前記第2浮体とを束ねるバンドを備えることを特徴とする請求項1に記載の救命胴衣。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常時は背負い鞄に装着しておき、水害時に背負い鞄から取り外して着用可能な救命胴衣に関するものである。
【背景技術】
【0002】
救命胴衣(救命胴体)付きの背負い鞄が特許文献1に記載されている。この救命胴衣は、鞄を背負った状態のまま着用することを想定しているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/198389号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
豪雨や津波などの水害時には、一刻も早く避難したり、徒歩で避難したりする必要性が有る場合が多い。そのため、なるべく身軽な状態で避難できる救命胴衣が望まれる。
【0005】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、通常時は背負い鞄に取り付けておき、水害時には背負い鞄から取り外して使用することのできる救命胴衣を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載された救命胴衣は、
背負い鞄のフラップに着脱可能に装着可能であり、水害時に背負い鞄から取り外して人体に着用可能な救命胴衣であって、
前記フラップの外側に装着され、着用時に前記人体の腹側及び背側の内の一方の側に位置する第1浮体と、
前記フラップの内側に装着され、着用時に前記人体の腹側及び背側の内の他方の側に位置する第2浮体と、
前記第1浮体と前記第2浮体とを連結する柔軟性を有する連結部と、
前記連結部に設けられた前記人体の頭部を通すための穴部と、
前記第1浮体及び前記第2浮体を前記フラップに着脱可能に装着するための装着部材と、
を備え
前記装着部材として、前記第1浮体及び前記第2浮体の少なくとも一方に、前記背負い鞄の構成部材に係止される係止部材が設けられていて、
前記背負い鞄の構成部材が、前記背負い鞄の背負いベルトであり、
前記係止部材として、前記背負いベルトを通すためのベルト通し穴を有する背負いベルト装着部を有し、
前記背負いベルト装着部は、前記ベルト通し穴の縁部を開放することで前記ベルト通し穴に前記背負いベルトを入れられるように、前記ベルト通し穴の縁部を開閉可能な縁開閉部を有していることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載された救命胴衣は、請求項1に記載のものであり、さらに前記装着部材として、前記フラップを間に挟んだ状態の前記第1浮体と前記第2浮体とを束ねるバンドを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の救命胴衣は、背負い鞄のフラップに着脱可能に装着する装着部材を有するため、水害時には背負い鞄のフラップから取り外して着用することができる。
【0011】
装着部材がフラップを間に挟んだ状態の第1浮体と第2浮体とを束ねるバンドである場合、着脱を簡便・迅速に行うことができる。
【0012】
装着部材として第1浮体及び前記第2浮体の少なくとも一方に、背負い鞄の構成部材に係止される係止部材が設けられている場合、背負い鞄からの脱落を防止することができる。
【0013】
係止部材として背負いベルト装着部を有し、この背負いベルト装着部がベルト通し穴の縁部を開放することでベルト通し穴に前記背負いベルトを入れられるように、ベルト通し穴の縁部を開閉可能な縁開閉部を有している場合、簡便・迅速に背負いベルトに取り付けることができる。縁開閉部が、面ファスナー、ボタン又はバックルによって開閉可能に構成されている場合、より簡便・迅速に背負いベルトに取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明を適用する救命胴衣の斜視図である。
図2図1に示す救命胴衣を装着してフラップを開いた状態の背負い鞄を示す斜視図である。
図3図1に示す救命胴衣を装着してフラップを開いた状態の背負い鞄を示す背あて側から見た背面図である
図4図1に示す救命胴衣を装着してフラップを閉じた状態の背負い鞄を示す斜視図である。
図5図1に示す救命胴衣を人体に着用した状態を、前側から示す斜視図である。
図6図1に示す救命胴衣を人体に着用した状態を、後側から示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0016】
図1に、本発明を適用する救命胴衣1を示す。図2図4に、救命胴衣1を装着した状態の背負い鞄101を示す。図5図6に、人体91に着用した状態の救命胴衣1を示す。
救命胴衣1は、背負い鞄101のフラップ111に着脱可能に装着可能であり、水害時に背負い鞄から取り外して人体91に着用可能なものである。救命胴衣1は、背負い鞄101のフラップ111の外側に装着され、着用時に人体91の腹側及び背側の内の一方の側に位置する第1浮体11と、フラップ111の内側に装着され、着用時に人体91の腹側及び背側の内の他方の側に位置する第2浮体12と、第1浮体11と第2浮体12とを連結する柔軟性を有する連結部13と、連結部13に設けられた人体91の頭部を通すための穴部14と、第1浮体11及び第2浮体12をフラップ111に着脱可能に装着するための装着部材とを備えるものである。
前記装着部材は、フラップ111を間に挟んだ状態の第1浮体11と第2浮体12とを束ねるバンド21であることが好ましい。
前記装着部材として、第1浮体11及び第2浮体12の少なくとも一方に、背負い鞄101の構成部材に係止される係止部材が設けられていることが好ましい。
前記背負い鞄の構成部材が背負い鞄の背負いベルト113であり、前記係止部材として、背負いベルト113を通すためのベルト通し穴16を有する背負いベルト装着部15を有し、この背負いベルト装着部15は、ベルト通し穴16の縁部を開放することでベルト通し穴16に背負いベルト113を入れられるように、ベルト通し穴16の縁部を開閉可能な縁開閉部17を有していることが好ましい。
以下、具体的に説明する。
【0017】
図2に、救命胴衣1を装着した状態の背負い鞄101を例示する。背負い鞄101は、一例として、小学生が通学時に背負う公知のランドセルである。救命胴衣1は、従来から上市されている公知の構造のランドセルに装着することができる。
【0018】
背負い鞄101は、荷室110の開口部の蓋になるフラップ111を有している。フラップ111は、カブセとも言われている。フラップ111の一端部(上端部)は、背あて114の上部に取り付けられている。フラップ111は、荷室110の上部の開口部を覆い、さらに背あて114とは逆側の荷室110の側部118を下部側まで覆うサイズに形成されている。フラップ111の他端部(下端部)には、差込金具112が設けられている。差込金具112は、背負い鞄101の底部に設けられた錠前(図示せず)に差し込まれて、フラップ111を閉じた状態に固定するものである。
【0019】
背負い鞄101は、一対の背負いベルト113を有している。背負いベルト113は、背あて114の上部側から下部側に掛け渡されて設けられている。
【0020】
図3に示すように、背負いベルト113は、一例として、背あて114の上部に固定された背カン121に取り付けられている。また、背負い鞄101は、一例として、背あて114の上部に、背負い鞄101をフックなどに吊り下げるための吊りカン122や、持ち手ハンドル123を有している。
【0021】
なお、背負い鞄101はランドセルに限定されず、フラップを有するものであれば、リュックサック、デイパック、ナップサックなどの背負い鞄であってもよい。
【0022】
図1に示すように、本発明を適用する救命胴衣1は、第1浮体11、第2浮体12、連結部13、穴部14、バンド21、背負いベルト装着部15、二組の股下ストラップ31a,31b、胴横ストラップ33a,33b、及び収納部35を備えている。
【0023】
第1浮体11及び第2浮体12は、着用する人体91(図5図6参照)に対して十分な浮力を有する材質、形状で形成されている。第1浮体11は、背負い鞄101のフラップ111(図2図4参照)の外側(表側)に沿わせて装着可能な形状に形成されている。第2浮体12は、背負い鞄101のフラップ111の内側(裏側)に沿わせて装着可能な形状に形成されている。一例として、第1浮体11及び第2浮体12は、板状に形成されている。
【0024】
第1浮体11及び第2浮体12は、一例として、各々袋状に形成された樹脂製カバーの中に浮力体を収容したものである。第1浮体11及び第2浮体12には、例えば、発泡させたポリエチレン、ポリプロピレン、スチロール、ウレタンなどが浮力体として用いられている。
【0025】
連結部13は、第1浮体11及び第2浮体12の端部同士を所定間隔で連結するものである。連結部13は、例えば柔軟性を有する樹脂製のシートである。連結部13は、柔軟性を有することで、第1浮体11と第2浮体12とが対向し合うように曲げることができる。
【0026】
連結部13の中央部には、人体91の頭部を通すことのできる大きさの穴である穴部14が形成されている。図1に示すように、穴部14は、連結部13だけでなく、第1浮体11及び第2浮体12に掛かる形状、大きさで形成されていてもよい。
【0027】
バンド21は、本発明における装着部材の一例であり、フラップ111を間に挟んだ状態で対面し合う第1浮体11と第2浮体12とを束ねることで、第1浮体11及び第2浮体12をフラップ111に装着するものである(図2参照)。バンド21は、一例として、弾性(伸縮性)を有するゴムバンドである。バンド21は、その両方の端部29が第1浮体11の両側部に固定されている。バンド21が伸びることで、バンド21と第1浮体11との間に第2浮体12を挟み込むことができる。バンド21は、途中で分割できるように一対のバンドで構成されていてもよい。この場合、例えば、面ファスナー、ボタンなどの留め具を一対のバンドの端部同士に設けることで、バンド21が2つに分割できるように構成すればよい。バンド21は、弾性を有するものであることが好ましいが、弾性を有さずに長さ調整できるものであってもよい。
【0028】
なお、バンド21は、第2浮体12に取り付けられていてもよい。また、第1浮体11及び第2浮体12のどちらにも取り付けられておらず、別体に設けられた環状のバンドであってもよい。この場合、対面し合う第1浮体11及び第2浮体12の周囲を環状のバンドで巻くようにして使用すればよい。例えば、長尺の1本のバンド21の任意の箇所同士(両端部など)に、面ファスナー、ボタンなどの留め具を設け、この留め具を結合することで環状のバンドとして用いてもよい。長尺の1本のバンド21を環状になるように縛って用いてもよい。
【0029】
背負いベルト装着部15は、本発明における装着部材の一例であり、第1浮体11をフラップ111に着脱可能に係止するための係止部材(第1浮体装着具)の一例である。背負いベルト装着部15は、フラップ111に装着された状態における第1浮体11の上端部、つまり、連結部13の設けられている側とは逆側の第1浮体11の端部に設けられている。背負いベルト装着部15は、背負い鞄101の構成部材の一例である背負いベルト113に着脱可能に取り付けられる。
【0030】
ベルト装着部15は、一例として、2本の背負いベルト113を通すための1つのベルト通し穴16を有している。ベルト装着部15は、例えば、樹脂製のシートで形成されている。ベルト装着部15は、ベルト通し穴16の縁部を開閉可能な縁開閉部17を有している。縁開閉部17は、一例として、第1浮体11側とは逆側のベルト装着部15の端部に設けられる。縁開閉部17は、例えば、面ファスナー、ボタン又はバックルによって縁部を開閉可能に構成されている。同図には、縁開閉部17として、重なり合うように形成した縁部の対向面に、面ファスナーを設けた例を示している。面ファスナーは厚さも薄く、開閉が容易であるため、好ましく使用することができる。
【0031】
救命胴衣1は、着用時に人体91の股下部及び胴横部の少なくとも一方を通って、第1浮体11及び第2浮体12を係合させるストラップ(股下ストラップ31a,31b、胴横ストラップ33a,33b)を備えることが好ましい。また、ストラップを収納するための収納部35を備えることが好ましい。
【0032】
股下ストラップ31a,31bは、着用時に前記人体91の股下部を通るものである。股下ストラップ31a,31bは、着用時に前記人体91の股下部を通って第1浮体11と第2浮体12とを繋ぐことで、第1浮体11と第2浮体12とを係合させる(図5図6参照)。股下ストラップ31aは、端部が第1浮体11に取り付けられている。股下ストラップ31bは、端部が第2浮体12(収納部35)に取り付けられている。股下ストラップ31a,31bの各々の先端には、互いに嵌合する公知のバックルが設けられていて、ワンタッチで連結及びその解除ができるようになっている。股下ストラップ31a,31bは、長さを調整できるようになっている。例えば、股下ストラップ31a,31bは、バックルに通して折り返すように取り付けられていて、バックル部分で折り返す長さ(位置)を変えることで、長さを調整できるようになっている。同図に示すように、二組の股下ストラップ31a,31bが設けられていることが好ましい。
【0033】
胴横ストラップ33a,33bは、着用時に前記人体91の胴横部(胴体側部)を通るものである。胴横ストラップ33a,33bは、一例として、着用時に胴横部を通って第2浮体12から第1浮体11を周回することで第1浮体11と第2浮体12とを係合させる(図5図6参照)。胴横ストラップ33a,33bは、一例として、各々の端部が第2浮体12に取り付けられている。胴横ストラップ33a,33bの各々の先端には、互いに嵌合する公知のバックルが設けられていて、ワンタッチで連結及びその解除ができるようになっている。胴横ストラップ33a,33bは、長さを調整できるようになっている。例えば、胴横ストラップ33a,33bは、バックルに通して折り返すように取り付けられていて、バックル部分で折り返す長さ(位置)を変えることで、長さを調整できるようになっている。
【0034】
なお、胴横ストラップ33a,33bは、各々の端部が第1浮体11に取り付けられていて第2浮体12を周回するように構成されていてもよい。また、胴横ストラップは、第1浮体11と第2浮体12とを胴横部で連結するストラップであってもよい。この場合、第1浮体11と第2浮体12とを一方の胴横部で連結する一方の胴横ストラップと、他方の胴横部で連結する他方の胴横ストラップとの2組の胴横ストラップが設けられる。
【0035】
股下ストラップ31a,31b及び胴横ストラップ33a,33bの両方が設けられていることが好ましい。股下ストラップ31a,31b及び胴横ストラップ33a,33bの両方が設けられていると、救命胴衣1が人体91から外れることを確実に防止することができる。
【0036】
収納部35は、股下ストラップ31b及び胴横ストラップ33a,33bを収納するためのものである。収納部35は、例えば1枚のシートであり、その端部39が第2浮体12に固定されている。股下ストラップ31b及び胴横ストラップ33a,33bを束ねてシート状の収納部35に巻き込むことで、背負い鞄101に取り付けた状態の第2浮体12とフラップ111との間に収納することができる。収納部35は、股下ストラップ31b及び胴横ストラップ33a,33bを収納可能な袋体であってもよい。収納部の構成に限定は無い。例えば、収納部として、第1浮体11に股下ストラップ31aを収納可能な窪み部を設けてもよい。また、収納部として、第2浮体12に、股下ストラップ31b及び胴横ストラップ33a,33bを収納可能な窪み部を設けてもよい。
【0037】
次に、救命胴衣1の使用方法について説明する。先ず、救命胴衣1を背負い鞄101に装着する方法について説明する。
【0038】
図2図4に、救命胴衣1を装着した状態の背負い鞄101を示す。図2に示すように、救命胴衣1は、フラップ111を開いた状態で背負い鞄101に装着する。先ず、フラップ111を開いた状態で、フラップ111の外側に第1浮体11を沿わせる。このときに、第1浮体11とバンド21との間にフラップ111を通す。続いて、第2浮体12を連結部13で折り返し、フラップ111の内側に第2浮体12を沿わせる。このときに、折り返した第2浮体12がバンド21を通るようにする。これにより、フラップ111の外側に第1浮体11が装着され、フラップ111の内側に第2浮体12が装着される。差込金具112は、穴部14から外側に出るので、使用可能である。
【0039】
救命胴衣1を装着する際に、股下ストラップ31aが第1浮体11より外界に出ないように、第1浮体11とフラップ111との間に収める。また、股下ストラップ31b及び胴横ストラップ33a,33bを収納部35で巻き込んで、股下ストラップ31b、胴横ストラップ33a,33b、及び収納部35が外界に出ないように第2浮体12とフラップ111との間に収める。
【0040】
このように、装着部材としてバンド21だけ用いて、背負い鞄101に救命胴衣1を装着してもよい。しかしながら、開いた状態のフラップ111の先端側から救命胴衣1が抜けて脱落してしまうことが想定される場合には、脱落を防止するために、装着部材として、背負い鞄101の構成部材に係止される係止部材を用いて装着することが好ましい。係止部材とは、係り合って止める部材という意味であり、要は、背負い鞄101の構成部材に止められて(固定されて)、フラップ111から救命胴衣1が脱落しない装着部材を意味している。
【0041】
したがって、フラップ111の先端側から救命胴衣1が抜けて脱落してしまうことを防止するために、装着部材及び係止部材の一例である背負いベルト装着部15を用いて、第1浮体11を背負い鞄101に固定することが好ましい。
【0042】
図3に示すように、背負いベルト装着部15は、縁開閉部17を開き、ベルト通し穴16に背負いベルト113を通してから縁開閉部17を閉じることで、背負いベルト113に装着できる。これにより、背負いベルト装着部15が背負いベルト113によって係止されるため、救命胴衣1がフラップ111の先端側から脱落することを防止できる。背負いベルト装着部15が縁開閉部17を有することで、簡便・迅速にベルト通し穴16に背負いベルト113を通すことができる。
【0043】
なお、係止部材(背負いベルト装着部15)が背負い鞄の構成部材の一例である背負いベルト113に係止される例について説明したが、第1浮体11が係止される構成部材は背負いベルト113に限定されず任意である。例えば、背負い鞄の構成部材が、フラップ111、背カン121、吊りカン122、持ち手ハンドル123であってもよい。また、例えば、面ファスナー、ボタン、紐、ストラップ、バックル又はフックなどを係止部材として第1浮体11に配置し、背負い鞄の構成部材に着脱可能に取り付けるようにしてもよい。要は、第1浮体11に設けられる係止部材は、第1浮体11がフラップ111に固定できるものであればよい。
【0044】
また、係止部材(装着部材)を第2浮体12に設けてもよい。この場合も前述したように、背負い鞄の構成部材が、背負いベルト113、フラップ111、背カン121、吊りカン122、持ち手ハンドル123であってもよい。また、例えば、面ファスナー、ボタン、紐、ストラップ、バックル又はフックなどを係止部材として第2浮体12に配置し、背負い鞄の構成部材に着脱可能に取り付けるようにしてもよい。要は、第2浮体12に設けられる係止部材は、第2浮体12がフラップ111に固定できるものであればよい。
【0045】
バンド21を用いずに、第1浮体11に配置した係止部材、及び第2浮体12に配置した係止部材で、救命胴衣1を背負い鞄101に装着してもよい。
【0046】
図4に、救命胴衣1を装着し、フラップ111を閉めた状態の背負い鞄101を示す。第1浮体11及び第2浮体12の形状は、同図に示すようにフラップ111の側部よりも外側に突出しない形状であることが好ましいが、フラップ111の側部よりも外側に突出する形状であってもよい。第2浮体12の形状は、フラップ111を締めることができる厚さである。第1浮体11及び第2浮体12の形状は、浮力設定やデザイン上の必要性から適宜設定すればよい。また、第1浮体11及び第2浮体12は、フラップ111と共に曲がる材質で形成されていることが好ましい。
【0047】
次に、救命胴衣1を人体91に装着する方法について説明する。
【0048】
先ず、背負い鞄101から救命胴衣1を取り外す。取り外す方法は、装着方法の逆の手順で行えばよい。
【0049】
図5図6に、人体91に着用した状態の救命胴衣1を示す。両図に示すように、先ず、救命胴衣1の穴部14に頭部を通す。このときに、第1浮体11を腹側に位置させ、第2浮体を背側に位置させる。続いて、股下ストラップ31a,31bを股下部を通して連結する。また、胴横ストラップ33a,33bを第1浮体11を周回するように連結する。以上で、救命胴衣1の着用が完了する。
【0050】
この例では、第1浮体11を腹側に位置させ、第2浮体を背側に位置させて着用した例を説明したが、必要性に応じて、第1浮体11を背側に位置させ、第2浮体を腹側に位置させて着用してもよい。
【0051】
背負い鞄101から救命胴衣1を取り外して使用できるため、着用者は身軽な状態で避難することができる。
【符号の説明】
【0052】
1は救命胴衣、11は第1浮体、12は第2浮体、13は連結部、14は穴部、15は背負いベルト装着部、16はベルト通し穴、17は縁開閉部、21はバンド、29は端部、31a・31bは股下ストラップ、33a・33bは胴横ストラップ、35は収納部、39は端部、91は人体、101は背負い鞄、110は荷室、111はフラップ、112は差込金具、113は背負いベルト、114は背あて、118は側部、121は背カン、122は吊りカン、123は持ち手ハンドルである。
【要約】
【課題】通常時は背負い鞄に取り付けておき、水害時には背負い鞄から取り外して使用することのできる救命胴衣を提供する。
【解決手段】救命胴衣1は、背負い鞄101のフラップ111に着脱可能に装着可能であり、水害時に背負い鞄から取り外して人体に着用可能なものであり、背負い鞄101のフラップ111の外側に装着され、着用時に人体の腹側及び背側の内の一方の側に位置する第1浮体11と、フラップ111の内側に装着され、着用時に人体の腹側及び背側の内の他方の側に位置する第2浮体12と、第1浮体11と第2浮体12とを連結する柔軟性を有する連結部13と、連結部13に設けられた人体の頭部を通すための穴部14と、第1浮体11及び第2浮体12をフラップ111に着脱可能に装着するための装着部材とを備えるものである。
【選択図】図2

図1
図2
図3
図4
図5
図6