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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】フィルタ及びフィルタの組み立て方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 24/00 20060101AFI20230724BHJP
   B01D 29/00 20060101ALI20230724BHJP
   B01D 46/00 20220101ALI20230724BHJP
【FI】
B01D29/00 Z
B01D46/00 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022063530
(22)【出願日】2022-04-06
【審査請求日】2022-04-06
(31)【優先権主張番号】111109331
(32)【優先日】2022-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】515041240
【氏名又は名称】淳靖股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】林 象濟
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-523705(JP,A)
【文献】特開2018-126727(JP,A)
【文献】特開2020-104061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D46/00-46/90
B01D24/00-37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタであって、芯部材と、該芯部材の外周に取り付けられる取付枠と、形成位置が該取付枠の設置位置に対応して成形される発泡体とを含み、
発泡後の前記発泡体は、前記取付枠を貫き通して前記芯部材に接着するように該取付枠と芯部材とを接合固定し、また、フィルタケースに当接することにより、該フィルタとフィルタケースとの間の隙間を塞ぐために用いられ
前記取付枠は、該取付枠を囲繞するように配列される複数の貫通孔を備え、前記発泡体は発泡後、該複数の貫通孔を貫き通して前記芯部材に接着し、
前記取付枠は、開孔部と介在部とを有し、前記複数の貫通孔が該開孔部上に形成され、該介在部は該開孔部からラジアル外方へ突出すると共に前記芯部材の片端に向かって延在し、
前記発泡体は発泡後、前記開孔部と介在部との間に充満するように、該開孔部と介在部とに接着することを特徴とするフィルタ。
【請求項2】
前記取付枠は、該取付枠を囲繞するように突出形成される支持部を有し、
前記発泡体は発泡後、前記芯部材の一端から離れる方向に前記支持部に接着することを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記発泡体は発泡後、前記取付枠の内壁面と前記芯部材の外壁面との間に充満することを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記発泡体及び取付枠はいずれも、前記芯部材の一端に位置し、該発泡体の一端面と該取付枠の一端面と該芯部材の当該端部の端面とが揃っていることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記発泡体は、ポリウレタンであることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項6】
フィルタの組み立て方法であって、以下の工程を含み、
まず、金型に発泡前の発泡性材料を注入し、当該金型内に取付枠と芯部材を入れ、
次に、前記発泡性材料は発泡後、前記取付枠を貫き通して前記芯部材に接着するように、該取付枠と芯部材とを接合し、接合している当該発泡後の発泡性材料、取付枠及び芯部材と共にフィルタを形成し、当該発泡後の発泡性材料は、フィルタケースに当接して該フィルタとフィルタケースとの間の隙間を塞ぐために用いられ、
最後に、前記金型から前記フィルタを取り出すことを特徴とするフィルタの組み立て方法。
【請求項7】
前記発泡性材料は発泡後、前記取付枠の内壁面と前記芯部材の外壁面との間に充満することを特徴とする請求項に記載のフィルタの組み立て方法。
【請求項8】
前記取付枠及び芯部材を前記金型に入れ、成型治具を利用して当該取付枠を押圧し、その後前記発泡性材料を発泡させ、当該発泡性材料が発泡成型した後、該成型治具を取り外し、形成されたフィルタを該金型から取り出すことを特徴とする請求項に記載のフィルタの組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体中の浮遊粒子を分離するフィルタ及びフィルタの組み立て方法に関し、特に、トラック用フィルタ、及びそのフィルタの接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に掲載されているように、従来技術のフィルタは、流体を濾過するための芯部材と、芯部材の一端の外周に取り付けられた取付枠とを備える。流体は、芯部材の一端から流入して他端から流出することにより、流体内の粉塵が当該芯部材に付着するように濾過される。取付枠は、接着グルーを介して、芯部材と一体に接合されると共に、両者間の隙間を塞ぐ。また、従来技術のフィルタの取付枠の外周には、フィルタをフィルタケースに装着する時に、取付枠とフィルタケースとの間の隙間を塞ぐための密封リングがさらに取り付けられている。
【0003】
しかしながら、従来技術のフィルタには、以下に示す欠点を有する。
【0004】
その1、従来技術のフィルタは、接着グルー及び密封リングの二つの異なる密封手段を介して、取付枠と芯部材との間の隙間、及び取付枠とフィルタケースとの間の隙間を塞ぎ、両者が異なる構成要素であるため、組立時に別々に取付け工程を行う必要があったので、作業時間や手間がかかり、作業効率が低下してしまう。
【0005】
その2、グルーガンを用いて芯部材と取付枠との間に接着グルーを塗布することにより手間がかかるといった欠点を解決するためには、上記先行技術により開示された接着ゲルーの塗布方法では、予め多量の接着グルーを塗布しておき、その後、取付枠を取り付ける際に余分な接着グルーを切り除くとの方法でゲルーを塗布するが、このような塗布方法では、大量の余分な接着グルーが発生してしまい、それに加え、この余分な接着グルーは空気に接触することで、再利用することがほぼ不可能になるので、材料の浪費とコストの増大を招く。
【0006】
その3、接着グルーは、取付枠と芯部材とを粘着固定することができるが、接着グルーの耐振性が低いと、フィルタは振動により損傷してしまう虞があり、特に車両に装着されている場合、長時間の連続振動を受け、使用寿命がさらに短くなる。
【0007】
その4、密封リングは単に取付枠上の環状溝内に嵌め込まれているだけで、しっかりと固定されていないため、取付枠をフィルタケースに装着している際に、密封リングが押さえられてずれてしまう可能性があるので、密封効果に悪影響を及ぼす。
【0008】
故に、従来技術のフィルタを改善する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】台湾特許第I631984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記従来技術の欠点に鑑みてなられたものであり、従来技術の接着グルーと密封リングとを一体化し、耐振性及び装着安定性を向上させると共に、製造工程を簡略化することができる、フィルタ及びフィルタの組み立て方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、フィルタであって、芯部材と、該芯部材の外周に取り付けられる取付枠と、形成位置が該取付枠の設置位置に対応して成形される発泡体とを含み、
発泡後の前記発泡体は、前記取付枠を貫き通して前記芯部材に接着するように該取付枠と芯部材とを接合固定し、また、フィルタケースに当接することにより、該フィルタとフィルタケースとの間の隙間を塞ぐために用いられることを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明はさらに、フィルタの組み立て方法を提案し、
まず、金型に発泡前の発泡性材料を注入し、当該金型内に取付枠と芯部材を入れ、
次に、前記発泡性材料は発泡後、前記取付枠を貫き通して前記芯部材に接着するように、該取付枠と芯部材とを接合し、接合している当該発泡後の発泡性材料、取付枠及び芯部材と共にフィルタを形成し、当該発泡後の発泡性材料はフィルタケースに当接して該フィルタとフィルタケースとの間の隙間を塞ぐために用いられ、
最後に、前記金型から前記フィルタを取り出すことを特徴とする。
【0013】
前記取付枠は、該取付枠を囲繞するように配列される複数の貫通孔を備え、前記発泡性材料は発泡後、該複数の貫通孔を貫き通して前記芯部材に接着することを特徴とする。
【0014】
前記取付枠は、開孔部と介在部とを有し、前記複数の貫通孔が該開孔部上に形成され、該介在部は該開孔部からラジアル外方へ突出形成され、
前記取付枠の介在部が発泡前の前記発泡性材料に向くように、該取付枠を前記金型に入れ、該発泡性材料は、前記開孔部と介在部との間に上向きに発泡膨張するように充満すると共に、該開孔部と介在部に接着することを特徴とする。
【0015】
前記取付枠は、取付枠を囲繞するように突出形成される支持部を有し、
前記取付枠を前記金型内に入れると、該支持部が発泡前の前記発泡性材料の上方に位置し、該発泡性材料は発泡後、該支持部に上向きに接着することを特徴とする。
【0016】
前記発泡性材料は発泡後、前記取付枠の内壁面と前記芯部材の外壁面との間に充満することを特徴とする。
【0017】
前記取付枠の設置位置は前記芯部材の底端にあり、
前記金型の利用により、発泡後の前記発泡性材料の底面と、前記取付枠の底面と、前記芯部材の底面とが揃うことを特徴とする。
【0018】
前記取付枠及び芯部材を前記金型に入れ、成型治具を利用して当該取付枠を押圧し、その後前記発泡性材料を発泡させ、当該発泡性材料が発泡成型した後、該成型治具を取り外し、形成されたフィルタを該金型から取り出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の優れた点は、発泡材料が発泡後に膨張するという特性を有することから、発泡後の発泡材料は、従来技術の接着グルーの代わりに、取付枠を貫き通して芯部材に接着するように取付枠と芯部材とを接合固定することができ、それに加え、従来技術の密封リングの代わりに、フィルタとフィルタケースとの間の隙間を塞ぐことができる。従って、本発明によると、従来技術での接着グルー及び密封リングを、発泡性材料(発泡体)に替えることにより、一度の発泡成形で、接着グルー及び密封リングの機能を同時に発揮することができることから、製造工程を大幅に簡素化することができる。
【0020】
また、大量の余分な接着グルーが発生してしまった問題を有する従来技術と比べて、本発明は、より少ない材料を使用することで、材料の無駄使いを無くして生産コストを削減することができる。
【0021】
さらに、接着グルーを用いて取付枠と芯部材とを接合固定する従来技術に比べて、本発明は、接着グルーの代わりに緩衝性に優れた発泡性材料を用いることにより、より高い耐振性を有するので、取付枠と芯部材との間の耐振効果を向上させることができる。
【0022】
さらにまた、単に取付枠上に嵌められてしっかりと取り付けられていない従来技術の密封リングに比べて、本発明に係る発泡性材料は、発泡後、取付枠を包ように接着して取付枠と強固に接合固定されているので、密封手段の位置ずれによるフィルタの密封効果の低下を防止することができる。
【0023】
最後に、フィルタの芯部材は、巻き付けにより成形されることが多いので、外径寸法に公差が生じやすいが、本発明に係る発泡性材料は発泡後、芯部材の外周面に付着するように成形されることから、たとえ芯部材の寸法に公差があっても、発泡膨張により成形された発泡性材料は、その公差を吸収することができるので、芯部材と取付枠とをしっかりと接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係るフィルタの斜視図である。
図2】本発明に係るフィルタの斜視図である。
図3】本発明に係るフィルタの分解斜視図である。
図4】本発明に係るフィルタの分解斜視図である。
図5】本発明に係る金型及び成型治具を示す斜視図である。
図6】本発明に係る発泡性材料及び金型を示す断面斜視図である。
図7】本発明に係るフィルタの組み立て方法を示す側面視断面説明図である。
図8】本発明に係るフィルタの組み立て方法を示す側面視断面説明図である。
図9】本発明に係るフィルタの組み立て方法を示す側面視断面説明図である。
図10】本発明に係るフィルタの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面及び本発明の好適な実施例を参照しながら、本発明が予め決められた発明の目的を達成するために講じた技術的手段をさらに詳述する。
【0026】
図1図3に示すように、本発明に係るフィルタは、芯部材10と、取付枠20と、発泡体30とを含む。
【0027】
前記芯部材10は、円形状であっても楕円形状であってもよく、その具体的な形状は特に限定されない。
【0028】
前記取付枠20が、前記芯部材10の外周を囲繞するように取り付けられる。
【0029】
図1図2及び図10に示すように、前記発泡体30の設置位置は、前記取付枠20の設置位置に対応しており、発泡膨張後の該発泡体30は、該取付枠20を貫き通して前記芯部材10に接着し、これにより、該取付枠20と芯部材10とを接合固定させる。尚、発泡膨張後の前記発泡体30は、前記取付枠20の外形に沿って芯部材10を囲繞するように成形されることが好ましい。前記発泡体30は、フィルタケースに当接するために用いられ、これにより、フィルタとフィルタケースとの間の隙間を塞ぐ。前記発泡体30の材料は、ポリウレタンであることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0030】
図3図4及び図10に示すように、本実施例においては、前記取付枠20上に複数の貫通孔211が形成されており、それらの貫通孔211は、該取付枠20を囲繞するように間隔を置いて配列されており、前記発泡膨張後の発泡体30が、それらの貫通孔211を貫き通して前記芯部材10に接着する。尚、前記貫通孔211は、角穴であることが好ましいが、これに限定されるものではなく、角穴であっても丸穴であっても細長いスリットなどであってもよい。
【0031】
詳しく説明すると、前記取付枠20は、開孔部21、外環部22、内環部23、介在部24及び支持部25を有し、前記貫通孔211が、該開孔部21上に形成されており、該外環部22及び内環部23はそれぞれ、該開孔部21の両端に位置し、そのうち該外環部22が該内環部23よりも前記芯部材10の一端に近い位置に位置する。本実施例において、前記発泡体30は発泡膨張後、前記取付枠20の内壁面と前記芯部材10の外壁面との間に充満している。尚、当該発泡体30は前記外環部22と芯部材10との間及び前記内環部23と芯部材10との間に同時に充満していることが好ましいが、これに限定されるものではなく、外環部22と内環部23の一方と芯部材10との間のみに充満していてもよく、またはいずれも外環部22及び内環部23と芯部材10との間に充満していなくてもよく、こういった場合、開孔部21(貫通孔211以外の部分)の内壁面と芯部材10の外壁面との間に充満していてもよい。さらに、本実施例において、前記取付枠20を製造する時に前記貫通孔211の成形をより容易にするために、前記内環部23の内径は、前記外環部22の内径よりも大きく設定されているが、これに限定されるものではない。
【0032】
前記介在部24は、前記開孔部21からラジアル外方へ突出すると共に、前記芯部材10の片端に向かって延在する。前記発泡体30は発泡膨張後、該開孔部21と介在部24との間に充満するように、該開孔部21(貫通孔211以外の部分)と介在部24とに接着する。該開孔部21と介在部24との間に挟まれるように発泡成形された発泡体30により、当該発泡体30と取付枠20との接合を一層に強化させることができる。尚、本実施例において、介在部24は、ラジアル外方向きで芯部材10の片端に向かって斜めに延在しているが、これに限定されるものではなく、ラジアル外方へ突出するように延伸してから、芯部材10の片端部に向かって延伸するように形成されてもよい(略L字状を呈する)。
【0033】
前記支持部25は、前記介在部24の端縁を囲むように突出形成されており、前記発泡体30は発泡膨張後、前記芯部材10の一端部から離れる方向に該支持部25に接着する。言い換えると、該支持部25は、該発泡体30を該芯部材10の一端部から離れる方向に支持している。
【0034】
本実施例では、前記発泡体30及び取付枠20は共に、前記芯部材10の一端に位置し、該発泡体30の片端面と、該取付枠20の片端面と、該芯部材10の当該端部の端面とが切り揃えられている(図10を参照)が、これに限定されるものではなく、発泡体30及び取付枠20は他の位置、例えば該芯部材10の中間部分などに位置してもよい。
【0035】
本発明に係るフィルタの組み立て方法は、以下の工程を含む。
【0036】
図5図7に示すように、まず、フィルタ成形用の金型40内に未発泡の発泡性材料31を注入し、その後、当該金型40内に取付枠20と芯部材10を入れる。尚、金型40は、当接凹部41と、該当接凹部41の外側を囲むように該当接凹部41から離間して形成される成形凹部42とを備えることが好ましく、該取付枠20及び芯部材10の底端は該当接凹部41に載置され、該発泡性材料31は該成形凹部42内に注入する。ここでの取付枠20は、上記と同様であるので、その構造についての説明は省略する。
【0037】
図8に示すように、本実施例では、取付枠20及び芯部材10を金型40に入れた後、成型治具50により取付枠20を下向きに押圧する。尚、本発明に係る成型治具50は、押え板51及び複数の加圧手段52を有することが好ましく、使用時、前記取付枠20の上周面に押え板51を下向きに当接させ、次に、加圧手段52の押圧ネジ521により押え板51を加圧する。
【0038】
図9及び図10に示すように、前記成形凹部42に注入された前記発泡性材料31を発泡膨張させ、発泡膨張後の該発泡性材料31は、前記取付枠20(の貫通孔211)を貫き通して前記芯部材10に接着するように、該取付枠20と芯部材10とを接合固定し、すると、発泡後の該発泡性材料31(発泡体30)、取付枠20及び芯部材10が一体に接合固定されて、フィルタを形成する。前記成型治具50の押圧作用により、前記取付枠20の取り付け位置と、発泡膨張後の前記発泡性材料31の形状とを確保することができる。
【0039】
詳しく説明すると、図7及び図10に示すように、前記発泡性材料31に前記介在部24を向けると共に、該発泡性材料31の上方に前記支持部25を位置させる状態で、前記取付枠20を金型40に入れる。該発泡性材料31は発泡後、前記開孔部21と介在部24との間に上向きに膨張して充満するように該開孔部21及び介在部24に接着すると共に、前記支持部25に上向きに接着する。また、発泡膨張後の発泡性材料31は、取付枠20の内壁面と芯部材10の外壁面との間に充満している。
【0040】
図9及び図10に示すように、本実施例では、前記金型40の当接凹部41の底壁面の高さ位置が、前記成形凹部42の底壁面の高さ位置と同じ高さに設定されており、これにより、発泡後の前記発泡性材料31(発泡体30)の底面と、前記取付枠20の底面と、前記芯部材10の底面とが揃っているが、これに限定されるものではなく、例えば、前記当接凹部41の底壁面の高さ位置が前記成形凹部42の底壁面の高さ位置よりも低く設定され、前記取付枠20を当該金型40の別の箇所で支持するようにすれば、前記発泡性材料31は、前記取付枠20を芯部材10の底端以外の部位に接合固定することができる。
【0041】
本実施例では、前記発泡性材料31(発泡体30)は軸方向にフィルタケースに当接すると想定して成形されているものであるが、これに限定されるものではなく、該発泡性材料31(発泡体30)が径方向にフィルタケースに当接するようにしてもよい。尚、前記発泡性材料31(発泡体30)は、フィルタケースに軸方向に、径方向に当接するいずれの場合においても、前記取付枠20よりも突出していてもよく、該取付枠20のいずれかの部分が切り揃えられていてもよく、又は取付枠20よりも突出しなくてもよく、該発泡性材料31(発泡体30)の外形は、装着されたフィルタケースの形状に合わせるように設計されており、特に限定されるものではなく、発泡後の発泡性材料31(発泡体30)が、フィルタケースに当接して密封効果をもたらすことができるものであればよい。
【0042】
最後に、前記発泡性材料31が発泡成型後、前記成型治具50を取り外してから、フィルタ(発泡体30、取付枠20及び芯部材10)を前記金型40から取り出すことで、フィルタの組み立て工程が完了する。
【0043】
本発明の優れた点は、発泡性材料31が発泡後に膨張するという特性を有することから、発泡後の発泡性材料31は、取付枠20の貫通孔211を貫き通して芯部材10に接着するように取付枠20と芯部材10とを接合固定することができ、同時に、フィルタとフィルタケースとの間の隙間を塞ぐことができる。従って、本発明によると、一度の発泡成形で、接着グルー及び密封リングの機能を同時に発揮することができることから、製造工程を大幅に簡素化することができる。
【0044】
さらに、本発明は、緩衝性に優れた発泡性材料31(ポリウレタン)を用いることにより、より高い耐振性を有するので、取付枠20と芯部材10との間の耐振効果を向上させることができる。
【0045】
最後に、本発明に係る発泡性材料31は発泡後、取付枠20(貫通孔211)を包ように接着して取付枠20と強固に接合固定されているので、位置ずれによるフィルタの密封効果の低下を防止することができる。
【0046】
以上の説明は、本発明の好適な実施形態に過ぎず、本発明に対して何ら限定を行うものではない。本発明について、比較的好適な実施形態をもって上記のとおり開示したが、これは本発明を限定するものではなく、すべての当業者が、本発明の技術構想を逸脱しない範囲において、本発明の技術の本質に基づいて上記の実施形態に対して行ういかなる簡単な修正、変更及び修飾も、依然としてすべて本発明の技術構想の範囲内にある。
【符号の説明】
【0047】
10 芯部材
20 取付枠
21 開孔部
211 貫通孔
22 外環部
23 内環部
24 介在部
25 支持部
30 発泡体
31 発泡性材料
40 金型
41 当接凹部
42 成形凹部
50 成型治具
51 押え板
52 加圧手段
521 押圧ネジ

【要約】
【課題】耐振性及び装着安定性を向上させると共に、製造工程を簡略化することができる、フィルタ及びフィルタの組み立て方法を提供する。
【解決手段】フィルタであって、芯部材と、芯部材の外周に取り付けられる取付枠と、形成位置が取付枠の設置位置に対応して成形される発泡体とを含み、発泡後の発泡体は、取付枠を貫き通して芯部材に接着するように取付枠と芯部材とを接合固定し、またフィルタケースに当接することによりフィルタとフィルタケースとの間の隙間を塞ぐために用いられることを特徴とする。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10