(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0488 20220101AFI20230724BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
G06F3/0488
G06F3/041 600
(21)【出願番号】P 2019073859
(22)【出願日】2019-04-09
【審査請求日】2022-03-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】岡田 広樹
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/043489(WO,A1)
【文献】特開2018-010129(JP,A)
【文献】特開2011-159180(JP,A)
【文献】特開2015-090575(JP,A)
【文献】特開2007-218986(JP,A)
【文献】特開2015-022316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/048-3/04895
G09G 5/00-5/42
G02F 1/133
B60R 16/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと当該液晶パネルに取り付けられたタッチパネルとを含み、前記液晶パネルに画像を表示する画像表示手段と、
前記タッチパネルへの操作対象の接触位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段によって検出された接触位置の接触領域の大きさから前記接触位置の応力を検出する応力検出手段と、
前記接触位置を含む選択された表示領域の輝度を、前記応力検出手段により検出された応力に応じて調整する輝度調整手段と
を有し、
前記輝度調整手段は、前記応力の変化量に応じて前記表示領域の輝度の変化量を変化させ、前記操作対象がタッチパネルから離れるとき、検出された応力に応じて決定された時定数に従い前記表示領域の輝度の変化量を変化させる、電子装置。
【請求項2】
前記輝度調整手段は、前記画像表示手段により表示される画像データの輝度を変化させることで前記表示領域の輝度を調整する、請求項
1に記載の電子装置。
【請求項3】
液晶表示手段はさらに、前記液晶パネルの直下にバックライトを含み、
前記輝度調整手段は、前記表示領域に対応するバックライトの輝度を変化させることで前記表示領域の輝度を調整する、請求項1
または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記輝度調整手段は、前記表示領域の面積を変化させることで前記表示領域の輝度を調整する、請求項1ないし
3いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項5】
液晶パネルと当該液晶パネルに取り付けられたタッチパネルとを含み、前記液晶パネルに画像を表示する画像表示手段と、
前記タッチパネルへの操作対象の接触位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段によって検出された接触位置の接触領域の大きさから前記接触位置の応力を検出する応力検出手段と、
前記接触位置を含む選択された表示領域の輝度を、前記応力検出手段により検出された応力に応じて調整する輝度調整手段とを有し、
前記輝度調整手段はさらに、前記接触位置に応じて前記表示領域の輝度の調整を異ならせる、電子装置。
【請求項6】
前記輝度調整手段はさらに、前記接触位置またはその周辺にユーザー入力ボタンが表示される場合には、当該ユーザー入力ボタンをハイライトさせる、請求項1に記載の電子装置。
【請求項7】
前記輝度調整手段はさらに、前記接触位置またはその周辺に次の画面で表示されるユーザー入力ボタンが表示される場合には、当該ユーザー入力ボタンをハイライトさせる、請求項1に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル式液晶表示パネルを備えた電子装置に関し、特にタッチパネルにタッチしたときの輝度ムラの抑制に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルを備えた液晶表示パネルは、タッチ操作時にパネルが撓むと輝度ムラが生じることがある。特に、IPS(In Plane Switching)方式の液晶パネルで輝度ムラが生じやすい。特許文献1は、そうした輝度ムラの顕在化を抑制するため、タッチ位置を含む領域の表示色を中間調の色に変更することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、液晶表示パネルが薄型化、大型化し、輝度ムラを抑える構造が難しく、それ故、特許文献1に開示されるように、タッチ位置を含む領域の画像データを加工することで、輝度ムラを抑制し、映像品位の低下を防ぐことが検討されている。しかしながら、特許文献1の方法は、タッチ操作時の応力または押圧力を考慮するものではないため、指でタッチした際の力の加減に応じて、輝度ムラが生じる大きさや度合いが変化しても、それに対処することができない、という課題がある。
【0005】
例えば、
図1(A)に示すように、ユーザーが強い力で液晶表示パネル10をタッチすると、指の周辺の比較的大きな領域S1において液晶配列の開口度の乱れが大きくなり、その結果、広い範囲で輝度ムラの度合いが大きくなる傾向がある。他方、
図1(B)に示すように、弱い力でタッチした場合には、指の周辺の比較的小さな領域S2において液晶配列の開口度の乱れが小さく、狭い範囲で輝度ムラの度合いが小さくなる傾向にある。仮に、輝度ムラによって領域S1、S2の明るさが他の領域よりも明るくなる場合に、領域S1、S2を同程度の中間調の暗さで表示しても、領域S2の輝度ムラの抑制には十分であっても、領域S1の輝度ムラの抑制には不十分であり、領域S1には依然として明るい輝度ムラが残ってしまうことがある。さらに、中間調で表示する領域が領域S2には十分な大きさであっても、領域S1には不十分であると、領域S1の一部に輝度ムラが残ってしまう。
【0006】
また、
図1(C)に示すように、黒画面の表示中にタッチしたとき、その位置で液晶配列の開口度が乱れ、そこからバックライトの光が漏れ、領域S3に明るい輝度ムラが生じることがある。タッチしたときの力が強いと、液晶表示パネルの撓みが大きくなり、パネルが元の状態に戻るまでに長い時間がかかると、その間、領域S3に明るい輝度ムラが継続してしまう。そうすると、ユーザーが領域S3に表示された入力ボタンを押下したときや、領域S3の周辺に入力ボタン20が表示されているとき、あるいは次の画面に切り替わったときに領域S3の近傍に入力ボタンが表示されるときなどに、入力ボタンを識別し難くなるという課題もある。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決し、接触位置の応力に応じて輝度ムラを抑制することができる電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子装置は、液晶パネルと当該液晶パネルに取り付けられたタッチパネルとを含み、前記液晶パネルに画像を表示する画像表示手段と、前記タッチパネルへの操作対象の接触位置を検出する位置検出手段と、前記接触位置の応力を検出する応力検出手段と、前記接触位置を含む選択された表示領域の輝度を、前記応力検出手段により検出された応力に応じて調整する輝度調整手段とを有する。
【0009】
ある実施態様では、前記輝度調整手段は、前記応力の変化量に応じて前記表示領域の輝度の変化量を変化させる。ある実施態様では、前記輝度調整手段は、前記操作対象がタッチパネルから離れるとき、検出された応力に応じて決定された時定数に従い前記表示領域の輝度の変化量を変化させる。ある実施態様では、前記輝度調整手段は、前記画像表示手段により表示される画像データの輝度を変化させることで前記表示領域の輝度を調整する。ある実施態様では、液晶表示手段はさらに、前記液晶パネルの直下にバックライトを含み、前記輝度調整手段は、前記表示領域に対応するバックライトの輝度を変化させることで前記表示領域の輝度を調整する。ある実施態様では、前記輝度調整手段は、前記表示領域の面積を変化させることで前記表示領域の輝度を調整する。ある実施態様では、前記輝度調整手段はさらに、前記接触位置に応じて前記表示領域の輝度の調整を異ならせる。ある実施態様では、前記輝度調整手段はさらに、前記接触位置またはその周辺にユーザー入力ボタンが表示される場合には、当該ユーザー入力ボタンをハイライトさせる。ある実施態様では、前記輝度調整手段はさらに、前記接触位置またはその周辺に次の画面で表示されるユーザー入力ボタンが表示される場合には、当該ユーザー入力ボタンをハイライトさせる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、接触位置の応力に応じて選択された表示領域の輝度を調整するようにしたので、例えば、指でタッチした際の押圧力に応じて変化する輝度ムラの大きさや度合いに応じて輝度ムラを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】従来のタッチパネル式液晶表示パネルの輝度ムラの課題を説明する図である。
【
図2】本発明の実施例に係る車載装置の構成を示す。
【
図3】本発明の実施例に係る制御部の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施例に係る接触位置の応力と輝度調整する表示領域のサイズとの関係を規定したテーブルである。
【
図5】本発明の実施例に係る接触位置の応力と輝度の変化量または変化率との関係を規定したテーブルである。
【
図6】本発明の実施例に係る直下型バックライトの機能を説明する図である。
【
図7】接触位置の応力の時間的変化を模式的に示す図である。
【
図8】本発明の第2の実施例による応力の変化量に応じた輝度の変化量を説明する図である。
【
図9】本発明の第2の実施例による応力の変化量に応じた輝度を調整するサイズの変化の一例を示す図である。
【
図10】本発明の第3の実施例に係る輝度調整を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る電子装置は、タッチ入力可能な液晶表示パネルを備えたコンピュータ装置、スマートフォンに代表される多機能型携帯電話端末、ポータブル端末、またはナビゲーション・オーディオ・ビジュアル機能を備えた車載装置であることができる。以下の実施例では、車載装置を例に説明する。
【実施例】
【0013】
図2は、本発明の実施例の車載装置100の構成例を示すブロック図である。車載装置100は、入力部110、ナビゲーション部120、通信部130、表示部140、音声出力部150、記憶部160および制御部170を含んで構成される。但し、ここに示す構成は一例であり、車載装置100は、例えば、オーディオ・ビジュアル機能、テレビ・ラジオ放送の受信機能、車載カメラの映像を表示する機能、アプリケーションソフトウエアを搭載する機能等を包含するものであってもよい。
【0014】
入力部110は、入力キーデバイス、音声入力認識装置、タッチパネルなどを含み、これらのデバイスを介してユーザー入力された指示が制御部170へ提供される。タッチパネルは、後述するように表示部140の液晶パネルに一体に取り付けられる。
【0015】
ナビゲーション部120は、GPS衛星から送信されるGPS信号および/またはジャイロセンサ等の自立航法センサ等を利用して自車の現在位置を検出し、検出された自車位置周辺の道路地図を表示部140に表示させたり、目的地までの最適なルートを探索し、探索されたルートの案内等を行う。通信部130は、外部のネットワーク等に接続し、サーバーなどと双方方向の無線通信を可能にする。例えば、ナビゲーション部120で使用される道路地図の更新データをダウンロードしたり、アプリケーションソフトウエアなどをダウンロードしたりする。
【0016】
表示部140は、
図3に示すように、タッチパネル142、液晶パネル144およびバックライト146を一体に組み込んだユーザーインターフェースを備えた表示ユニットを構成する。液晶パネル144に表示される画像は、タッチパネル142を透過してユーザーに視認され、ユーザーは、その画像を見て所望の操作をタッチパネル142に対して行うことができる。
【0017】
タッチパネル142は、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波表面弾性波方式、振動検出方式などから構成される。例えば、静電容量方式であれば、ガラス基板上に複数の静電容量センサが搭載され、指やペン等の操作対象がタッチパネルに接触すると、その接触された位置近傍の静電容量が変化する。また、タッチパネル142上にカバーガラスを取り付る構造であってもよい。
【0018】
液晶パネル144は、特に限定されないが、例えば、IPS方式やVA方式(Vertical Alignment)である。液晶パネル144は、例えば、R、G、Bの三原色の階調を8ビットで規定する24ビットカラーの画像データによって駆動される。
【0019】
バックライト146は、液晶パネル144の裏側に配置され、液晶パネル144を裏面側から照射する。バックライト146には、エッジタイプのものと、直下型タイプのもの(ローカルディミング)がある。エッジタイプは、液晶パネル144のエッジに複数のLED等の光源を線状に配置し、光源から発せられた光を液晶パネルの裏面側に反射させる光学部材を含む。これに対し、直下型タイプは、液晶パネル144の裏面に複数のLED等の光源が2次元的に配置され、光源が液晶パネル144の裏面側を直接照射する。直下型タイプの場合、選択された光源の駆動を制御することで、液晶パネル144の選択された表示領域の輝度を調整することができる利点がある。
【0020】
表示部140や音声出力部150は、例えば、ナビゲーション部120による道路地図を表示したり、目的地までのルートの音声案内等を行う。記憶部160は、ナビゲーション部120に使用される道路地図データを記憶したり、車載装置100に必要なデータやアプリケーションソフトウエア等を記憶する。
【0021】
制御部170は、車載装置100の各部の動作を制御する。ある実施態様では、制御部170は、ROM/RAM等を備えたマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含み、ROMには、各部を制御するためのプログラムが格納され、制御部170は、このプログラムを実行することで各部を制御する。
【0022】
図3に、制御部170に含まれる表示制御機能の構成を示す。同図に示すように、制御部170は、タッチパネル142への操作対象の接触位置(タッチ位置)を検出するタッチ検出部200、接触位置の応力を検出する応力検出部210、RGB画像データに基づき液晶パネル144を駆動する液晶駆動部220、バックライト146を駆動するバックライト駆動部230、タッチ検出部200および応力検出部210の検出結果に基づき液晶駆動部220やバックライト駆動部230を介して接触位置を含む表示領域の輝度を調整する輝度調整部240を含んで構成される。これらの各部は、ソフトウエア、ハードウエアあるいはソフトウエアおよびハードウエアによって実施される。
【0023】
タッチ検出部200は、タッチパネル142の接触位置(X、Y座標)を検出する。例えば、静電容量方式のタッチパネルでは、ガラス基板上に静電容量を形成するための特定パターンの透明電極が行列状に一定ピッチで配置され、指等を近づけると複数の電極間の静電容量が同時に変化し、この電流量の比率を測定することで接触位置を検出する。タッチ検出部200は、タッチ検出期間中、例えば、一定周波数でX方向の各電極間の静電容量を走査し、これをY方向に繰り返すことで、タッチパネルの全ての静電容量を走査し、それぞれの静電容量を順次測定し、これらの測定結果から接触位置を特定する。
【0024】
応力検出部210は、タッチ検出部200で検出された接触位置の応力を検出する。1つの実施態様では、応力検出部210は、タッチ検出部210で検出された接触領域の大きさから応力を算出する。タッチ検出部200は、タッチ検出期間中に、静電容量に変化が生じる領域の中からその変化がピークとなる位置を接触位置として検出するが、その際、タッチパネルを押圧する力が大きくなれば、指の接触面積が増加し、それに伴い静電容量が変化する領域が大きくなる。応力検出部210は、タッチ検出期間中、タッチ検出部200で測定された静電容量が変化する領域(例えば、最大となる領域)から接触位置の応力を算出する。また、別の実施態様では、タッチ検出部200が接触位置のZ方向の変化量を検出することができる場合には、応力検出部210は、タッチ検出期間中、Z方向の変化量に基づき応力を算出するようにしてもよい。
【0025】
輝度調整部240は、タッチ検出部200および応力検出部210から検出結果を受け取ると、接触位置を含む選択された表示領域の輝度を、接触位置の応力に基づき調整する。
【0026】
輝度調整部240は、バックライト146がエッジタイプである場合には、接触位置を含む選択された表示領域の輝度をバックライトにより調整することはできないので、この場合には、液晶パネル144に表示される画像データを加工することで、接触位置を含む選択された表示領域の輝度を調整する。
【0027】
先ず、輝度調整部240は、応力検出部210により検出された接触位置の応力に基づき、接触位置を含む選択された表示領域のサイズを決定する。つまり、輝度調整を行うべき表示領域のサイズを決定する。輝度調整を行う表示領域は、例えば、接触位置を中心とする円形領域、あるいは矩形領域であるが、それ以外の形状であってもよい。1つの例では、
図4に示すように応力とサイズとの関係を規定したテーブルを予め用意しておき、当該テーブルを参照して輝度調整を行うべき表示領域のサイズを決定する(r1<r2<r3)。また、他の例では、応力検出部210が接触面積から接触位置の応力を算出した場合には、輝度調整部240は、タッチ検出期間中に測定された最大接触面積を、輝度調整を行う表示領域のサイズにしてもよい。
【0028】
次に、輝度調整部240は、接触位置を含む選択された表示領域に対応するRGB画像データの輝度を調整する。輝度ムラによって接触位置を含む領域が明るくなる場合には、画像データの輝度が暗くなるような加工が行われ、反対に、輝度ムラによって接触位置を含む領域が暗くなる場合には、画像データの輝度が明るくなうような加工が行われる。輝度調整部240は、例えば、
図5に示すように接触位置の応力と輝度の変化量または変化率との関係を規定するテーブルを予め用意し、当該テーブルを参照して画像データの輝度の変化量または変化率を決定することができる。あるいは予め用意された数式に従い画像データの輝度の変化率または変化量を決定するようにしてもよい。いずれの場合にも、接触位置の応力が大きいほど、輝度の変化率または変化量を大きくする。
【0029】
輝度調整部240は、接触位置を含む選択された表示領域に対応する画像データの輝度を変更し、変更した画像データを液晶駆動部220に提供する。液晶駆動部220は、受け取った画像データに基づき液晶パネル144を駆動する。これにより、接触位置を含む選択された表示領域の画像データの輝度が調整され、接触位置を含む領域の輝度ムラが顕在化するのが抑制される。
【0030】
次に、バックライト146が直下型タイプである場合の輝度調整について説明する。輝度調整部240は、タッチ検出部200および応力検出部210から検出結果を受け取ると、接触位置を含む選択された表示領域に対応するバックライトの明るさ(輝度)を調整する。輝度調整をすべき表示領域のサイズは、上記と同様の方法により行われる。
【0031】
直下型バックライトは、液晶パネル144の裏面側に複数のLED等の光源を配置したものであり、例えば
図6に示すように、液晶パネル144の裏面側の領域A1~A8の輝度を選択的に調整することが可能である。例えば、領域A1が他の領域よりも明るくなるようにバックライトの駆動を制御したり、あるいは領域A2が他の領域よりも暗くなるようにバックライトの駆動を制御することが可能である。ここでは、説明を分かり易くするために領域A1~A8を示したが、実際には、複数の光源がバックライト駆動部230に接続され、バックライト駆動部230により個々の光源の光量を制御することが可能である。
【0032】
輝度調整部240は、輝度ムラによって接触位置を含む領域が明るくなる場合には、対応するバックライト領域の輝度を暗くし、反対に、輝度ムラによって接触位置を含む領域が暗くなる場合には、対応するバックライト領域の輝度を明るくする。
【0033】
また、輝度調整部240は、上記と同様に、接触位置の応力に応じてバックライドの輝度を変化させるサイズを変化させ(応力が大きいほど、サイズを大きくする)、また、接触位置の応力に応じてバックライトの輝度の変化量または変化率を変化させる(応力が大きいほど、変化量または変化率を大きくする)ことができる。こうして、接触位置を含む選択された表示領域の輝度がバックライトの輝度を変化させることで調整され、接触位置の輝度ムラが顕在化するのを抑制することができる。
【0034】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。本実施例では、接触位置の応力の変化量に応じて、画像データの輝度の変化やバックライトの輝度の変化に時定数を持たせる。つまり、画像データの輝度を時間経過で変化させ、あるいはバックライトの輝度を時間経過で変化させる。指でタッチパネルを押圧すると、その接触位置の応力が増加し、タッチパネルから指を離すと、接触位置の応力が減少する。この様子を模式的に
図7に示す。実線は、比較的強い力で押圧したときの応力の時間変化を示し、破線は、比較的弱い力で押圧したときの応力の時間変化を示している。時刻t0のタッチ開始時、応力はゼロである。時刻t1の押圧時、パネルの応力がPaまで増加する。時刻t1で指がタッチパネルから離れたとき、パネルには撓みが残り、その残留応力が徐々に減少し、時刻t2でパネルが元の状態に回復すると応力がゼロになる。比較的弱い力で押圧した場合も同様であるが、時間t1~t2のまでのパネルが元の状態に回復するまでの期間が応力Pa、Pbによって異なる。つまり、強い力で押圧した場合には、パネルが元の状態に回復するまでの時間が長くなる。
【0035】
輝度調整部240は、時間t1~t2の応力の変化量に応じ、画像データの輝度の変化量やバックライトの輝度の変化量を変化させる。すなわち、輝度調整部240は、
図8に示すように、時刻t0~t1の期間、画像データやバックライトによる輝度の変化量を一定にするが、時刻t1~t2の期間、応力の減少に応じて画像データやバックライトの輝度の変化量を徐々にまたは段階的に小さくさせる。さらに輝度調整部240は、
図9に示すように、時刻t1~t2の期間、応力の減少に応じて輝度調整すべき表示領域のサイズを徐々にまたは段階的に小さくすることも可能である。
【0036】
時間t1~t2の期間の時定数は、例えば、接触位置の応力と時定数との関係を規定したテーブルを予め用意しておき、当該テーブルを参照して時定数を決定してもよいし、タッチ検出部200または応力検出部210で検出された接触位置のZ値の変化量により算出するようにしてもよい。
【0037】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。液晶表示モジュールの構造(エアギャップタイプ、ボンディングタイプ)、カバーガラスの有無、保持方法、画角の大きさ等により、撓みの仕方は個々の条件により異なる。すなわち、接触位置の違いにより、輝度ムラが生じる大きさ、現れる場所、度合いも異なるため、これをパラメータとして輝度調整を行うサイズ、輝度変化量、画像処理方法、時間を個々に変化させることが可能である。
【0038】
図10は、タッチパネル上にカバーガラスを取り付けた液晶表示パネルを例示している。境界Hより内側H1がタッチパネルとして機能するアクティブエリア、外側H2がカバーガラスエリアである。指でカバーガラス近傍をタッチしたとき、パネルへの応力がカバーガラスの境界Hに沿うように広がり、その領域S4において横方向に延びるような輝度ムラが生じやすい。
【0039】
第3の実施例では、接触位置がカバーガラスの境界Hから一定距離L1より小さい場合には、輝度調整部240は、距離L1以上のときよりも、接触位置を含む選択された表示領域の輝度変化量を大きくする。また、選択された表示領域の横方向のサイズを、距離L1以上のときよりも大きくする。これにより、カバーガラス近傍がタッチされたときの輝度ムラの顕在化を効果的に抑制することができる。
【0040】
また、本発明の変形例として、液晶パネル上にユーザー入力ボタン(ソフトキー)が表示され、接触位置がユーザー入力ボタンに該当するとき、輝度調整部240は、ユーザー入力ボタンが見難くなるのを防止するためユーザー入力ボタンをハイライトさせる(輝度を高くする)ことが可能である。また、
図10に示すように、接触位置の周辺に入力ボタン300が表示されている場合にも、入力ボタンが見難くなるのを防ぐため、輝度調整部240は画像データを加工して入力ボタン300をハイライトさせることが可能である。さらに、指を離した次の画面で入力されるべき位置の入力ボタンを通常のときよりもハイライト表示させることで領域S4の輝度ムラの残存の影響を抑制するようにしてもよい。
【0041】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
100:車載装置 110:入力部
120:ナビゲーション部 130:通信部
140:表示部 142:タッチパネル
144:液晶パネル 146:バックライト
150:音声出力部 160:記憶部
170:制御部 200:タッチ検出部
210:応力検出部 220:液晶駆動部
230:バックライト駆動部 240:輝度調整部