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特許7317479太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/05 20140101AFI20230724BHJP
【FI】
H01L31/04 570
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018185514
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020057652
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】牧 賢一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 治寿
(72)【発明者】
【氏名】今田 直人
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-235113(JP,A)
【文献】特開2016-005002(JP,A)
【文献】特開2017-050514(JP,A)
【文献】中国実用新案第207116450(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第106960889(CN,A)
【文献】実開昭51-050965(JP,U)
【文献】特開2017-055117(JP,A)
【文献】特開2018-046112(JP,A)
【文献】特表2009-527906(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0172510(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/078
H01L 31/08-31/119
H01L 31/18-31/20
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-99/00
H10K 30/00-30/57
H10K 39/00-39/18
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の保護部材と第2の保護部材の間に複数の太陽電池セルを挟む太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池モジュールは、
第1方向に延びる渡り配線材と、
前記第1の保護部材側および前記第2の保護部材側にそれぞれ電極を有する前記太陽電池セルを複数含む第1太陽電池ストリングと、
前記第1の保護部材側および前記第2の保護部材側にそれぞれ電極を有する前記太陽電池セルを複数含む第2太陽電池ストリングと、を備え、
前記渡り配線材は、前記第1方向の長さと前記第1方向とは異なる第2方向の幅とを有する表面を含み、
前記第1太陽電池ストリングは、該第1太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置する第1太陽電池セルを含み、
前記第2太陽電池ストリングは、該第2太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置するとともに、前記渡り配線材を挟んで前記第1太陽電池セルに対向する第2太陽電池セルを含み、
前記第2方向において、前記渡り配線材は、前記第1太陽電池ストリングの前記第1太陽電池セルと前記第2太陽電池ストリングの前記第2太陽電池セルの間に配置されており、
前記第1方向において、前記第1太陽電池セルと前記第2太陽電池セルは、相対的にずれて配置されてなると共に、前記第1太陽電池セルから前記渡り配線材に向かって延びる複数の第1セル用配線材と前記第2太陽電池セルから前記渡り配線材に向かって延びる複数の第2セル用配線材は、該第1セル用配線材と該第2セル用配線材とが前記渡り配線材の表面上で前記第1方向において互いに隣り合って交互に且つ互いに平行に配置されることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
第1の保護部材と第2の保護部材の間に複数の太陽電池セルを挟む太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池モジュールは、
第1方向に延びる渡り配線材と、
前記第1の保護部材側および前記第2の保護部材側にそれぞれ電極を有する前記太陽電池セルを複数含む第1太陽電池ストリングと、
前記第1の保護部材側および前記第2の保護部材側にそれぞれ電極を有する前記太陽電池セルを複数含む第2太陽電池ストリングと、を備え、
前記渡り配線材は、前記第1方向の長さと前記第1方向とは異なる第2方向の幅とを有する表面を含み、
前記第1太陽電池ストリングは、該第1太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置する第1太陽電池セルを含み、
前記第2太陽電池ストリングは、該第2太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置するとともに、前記渡り配線材を挟んで前記第1太陽電池セルに対向する第2太陽電池セルを含み、
前記第2方向において、前記渡り配線材は、前記第1太陽電池ストリングの前記第1太陽電池セルと前記第2太陽電池ストリングの前記第2太陽電池セルの間に配置されており、
前記太陽電池モジュールは、更に
前記第1太陽電池セルから前記渡り配線材に向かって延びる複数の第1セル用配線材と前記第2太陽電池セルから前記渡り配線材に向かって延びる複数の第2セル用配線材と、を含み、
前記第1方向において、前記第1太陽電池セルと前記第2太陽電池セルは、相対的にずれて配置されてなると共に、前記複数の第1セル用配線材と前記複数の第2セル用配線材は、該第1セル用配線材と該第2セル用配線材とが前記渡り配線材の表面上で前記第1方向において互いに隣り合って交互に且つ互いに平行に離間して配置され、
前記渡り配線材の表面上における前記第1セル用配線材と該第1セル用配線材に近い方の前記第2セル用配線材との間隔は、前記第1太陽電池セルの表面上における隣り合う前記第1セル用配線材の間隔および前記第2太陽電池セルの表面上における隣り合う前記第2セル用配線材の間隔より小さいことを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項3】
第1の保護部材と第2の保護部材の間に複数の太陽電池セルを挟む太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池モジュールは、
第1方向に延びる渡り配線材と、
前記第1の保護部材側および前記第2の保護部材側にそれぞれ電極を有する前記太陽電池セルを複数含む第1太陽電池ストリングと、
前記第1の保護部材側および前記第2の保護部材側にそれぞれ電極を有する前記太陽電池セルを複数含む第2太陽電池ストリングと、を備え、
前記渡り配線材は、前記第1方向の長さと前記第1方向とは異なる第2方向の幅とを有する表面を含み、
前記第1太陽電池ストリングは、該第1太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置する第1太陽電池セルを含み、
前記第2太陽電池ストリングは、該第2太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置するとともに、前記渡り配線材を挟んで前記第1太陽電池セルに対向する第2太陽電池セルを含み、
前記第2方向において、前記渡り配線材は、前記第1太陽電池ストリングの前記第1太陽電池セルと前記第2太陽電池ストリングの前記第2太陽電池セルの間に配置されており、
前記第1方向において、前記第1太陽電池セルと前記第2太陽電池セルは、相対的にずれて配置されてなると共に、前記第1太陽電池セルから前記渡り配線材に向かって延びる複数の第1セル用配線材と、前記第2太陽電池セルから前記渡り配線材に向かって延びる複数の第2セル用配線材は、前記第2方向において互いに重複しながら、前記渡り配線材の表面上に接続され、
前記渡り配線材の表面上における前記第1セル用配線材と該第1セル用配線材に近い方の前記第2セル用配線材との間隔は、前記第1太陽電池セルの表面上における隣り合う前記第1セル用配線材の間隔および前記第2太陽電池セルの表面上における隣り合う前記第2セル用配線材の間隔より小さいことを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項4】
第1の保護部材と第2の保護部材の間に複数の太陽電池セルを挟む太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池モジュールは、
第1方向に延びる渡り配線材と、
前記第1の保護部材側および前記第2の保護部材側にそれぞれ電極を有する前記太陽電池セルを複数含む第1太陽電池ストリングと、
前記第1の保護部材側および前記第2の保護部材側にそれぞれ電極を有する前記太陽電池セルを複数含む第2太陽電池ストリングと、を備え、
前記渡り配線材は、前記第1方向の長さと前記第1方向とは異なる第2方向の幅とを有する表面を含み、
前記第1太陽電池ストリングは、該第1太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置する第1太陽電池セルを含み、
前記第2太陽電池ストリングは、該第2太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置するとともに、前記渡り配線材を挟んで前記第1太陽電池セルに対向する第2太陽電池セルを含み、
前記第2方向において、前記渡り配線材は、前記第1太陽電池ストリングの前記第1太陽電池セルと前記第2太陽電池ストリングの前記第2太陽電池セルの間に配置されており、
前記太陽電池モジュールは、
前記第1太陽電池セルから前記渡り配線材側に向かって延びる複数の第1セル用配線材と、
前記第2太陽電池セルから前記渡り配線材側に向かって延びる複数の第2セル用配線材と、を含み、
前記複数の第1セル用配線材と前記複数の第2セル用配線材は、該第1セル用配線材と該第2セル用配線材とが前記渡り配線材の表面上で前記第2方向において互いに重複しながら交互に且つ互いに平行に配置され、
前記渡り配線材の表面上における前記第1セル用配線材と第2セル用配線材との配置は、前記第1方向において、前記第1太陽電池セルと前記第2太陽電池セルとが相対的にずれて配置されてなされていることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記渡り配線材の表面は、前記渡り配線材の前記第1の保護部材側の表面であり、
前記複数の第1セル用配線材は、前記第1太陽電池セルの前記第2の保護部材側から前記渡り配線材の前記第1の保護部材側に延びて前記渡り配線材の前記第1の保護部材側の表面上に接続され、
前記複数の第2セル用配線材は、前記第2太陽電池セルの前記第2の保護部材側から前記渡り配線材の前記第1の保護部材側に延びて前記渡り配線材の前記第1の保護部材側の表面上に接続されることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記複数の第1セル用配線材は、屈曲して前記渡り配線材の前記表面上において前記第2方向と異なる方向に延び、
前記複数の第2セル用配線材は、屈曲して前記渡り配線材の前記表面上において前記第2方向と異なる方向に延び、
前記複数の第1セル用配線材と前記複数の第2セル用配線材は、前記渡り配線材の前記表面上において並べられていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】
太陽電池モジュールであって、該太陽電池モジュールは、
第1方向に延びる渡り配線材と、
複数の太陽電池セルを含む第1太陽電池ストリングと、
複数の太陽電池セルを含む第2太陽電池ストリングと、を備え、
前記渡り配線材は、前記第1方向の長さと前記第1方向とは異なる第2方向の幅とを有する表面を含み、
前記第1太陽電池ストリングは、該第1太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置する第1太陽電池セルを含み、
前記第2太陽電池ストリングは、該第2太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置するとともに、前記渡り配線材を挟んで前記第1太陽電池セルに対向する第2太陽電池セルを含み、
前記第2方向において、前記渡り配線材は、前記第1太陽電池ストリングの前記第1太陽電池セルと前記第2太陽電池ストリングの前記第2太陽電池セルの間に配置されており、
前記太陽電池モジュールは、更に
前記第1太陽電池セルから前記渡り配線材に向かって延びる複数の第1セル用配線材と、前記第2太陽電池セルから前記渡り配線材に向かって延びる複数の第2セル用配線材を含み、
前記複数の第1セル用配線材は、屈曲して前記渡り配線材の前記表面上において前記第2方向と異なる方向に延在し、
前記複数の第2セル用配線材は、屈曲して前記渡り配線材の前記表面上において前記第2方向と異なる方向に延在し、
前記複数の第1セル用配線材と前記複数の第2セル用配線材は、前記第2方向において互いに重複しながら、前記渡り配線材の前記表面上において並んでいることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項8】
前記複数の第1セル用配線材と前記複数の第2セル用配線材は、配線材用フィルムにより前記渡り配線材の前記表面上に接続されることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項9】
太陽電池モジュールであって、該太陽電池モジュールは、
第1方向に延びる渡り配線材と、
複数の太陽電池セルを含む第1太陽電池ストリングと、
複数の太陽電池セルを含む第2太陽電池ストリングと、を備え、
前記渡り配線材は、前記第1方向の長さと前記第1方向とは異なる第2方向の幅とを有する表面を含み、
前記第1太陽電池ストリングは、該第1太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置する第1太陽電池セルを含み、
前記第2太陽電池ストリングは、該第2太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置するとともに、前記渡り配線材を挟んで前記第1太陽電池セルに対向する第2太陽電池セルを含み、
前記第2方向において、前記渡り配線材は、前記第1太陽電池ストリングの前記第1太陽電池セルと前記第2太陽電池ストリングの前記第2太陽電池セルの間に配置されており、
前記太陽電池モジュールは、更に
前記第1太陽電池セルから前記渡り配線材に向かって延びる複数の第1セル用配線材と、前記第2太陽電池セルから前記渡り配線材に向かって延びる複数の第2セル用配線材を含み、
前記複数の第1セル用配線材と、前記複数の第2セル用配線材は、前記第2方向において互いに重複しながら、配線材用フィルムにより前記渡り配線材の前記表面上に接続されていることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項10】
前記複数の第1セル用配線材は、第1セル用フィルムにより、前記第1太陽電池セルに接続され、
前記複数の第2セル用配線材は、第2セル用フィルムにより、前記第2太陽電池セルに接続されることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項11】
前記複数の第1セル用配線材は、前記渡り配線材の前記表面上を前記第2太陽電池セル側の端まで延び、
前記複数の第2セル用配線材は、前記渡り配線材の前記表面上を前記第1太陽電池セル側の端まで延びることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項12】
前記複数の第1セル用配線材は、前記渡り配線材の前記表面上において、前記第1太陽電池セル側の端と前記第2太陽電池セル側の端との間まで延び、
前記複数の第2セル用配線材は、前記渡り配線材の前記表面上において、前記第1太陽電池セル側の端と前記第2太陽電池セル側の端との間まで延びることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項13】
第1方向に延びる渡り配線材と、
第1太陽電池ストリングと、
第2太陽電池ストリングと、を備え、
前記渡り配線材は、前記第1方向の長さと該第1方向とは異なる第2方向の幅とを有する表面を含み、
前記第1太陽電池ストリングは、前記渡り配線材側に配置される第1太陽電池セルを含み、
前記第2太陽電池ストリングは、前記渡り配線材側に配置されるとともに、前記渡り配線材を挟んで前記第1太陽電池セルに対向する第2太陽電池セルを含み、
前記第2方向において、前記渡り配線材が、前記第1太陽電池ストリングの前記第1太陽電池セルと前記第2太陽電池ストリングの前記第2太陽電池セルの間に配置される太陽電池モジュールの製造方法であって、
複数の第1セル用配線材の第1端側に第1セル用フィルムが取り付けられるとともに、複数の第1セル用配線材の第2端側に第1配線材用フィルムが取り付けられた第1フィルムと、複数の第2セル用配線材の第1端側に第2セル用フィルムが取り付けられるとともに、複数の第2セル用配線材の第2端側に第2配線材用フィルムが取り付けられた第2フィルムとのうち、前記第1配線材用フィルムと前記第2配線材用フィルムのうちの少なくとも1つを取り外すステップと、
前記第1セル用フィルムを前記第1太陽電池セルに取り付けるとともに、前記第2セル用フィルムを前記第2太陽電池セルに取り付けるステップと、
前記複数の第1セル用配線材の第2端側と、前記複数の第2セル用配線材の第2端側とを、前記第2方向において互いに重複させながら、前記渡り配線材の前記表面上に接続するステップと、
を備えることを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽電池モジュールに関し、特に複数の太陽電池セルを含む太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールは、複数の太陽電池セルを含む。太陽電池セルには、標準的なサイズ(156mm×156mm)のセルと、標準的なサイズのセルの半分のサイズ(156mm×78mm)のハーフカットセルがある。ハーフカットセルを使用する場合、例えば、複数の太陽電池セルは2つのセクションに分類され、各セクションには3つの太陽電池ストリングが含まれる。さらに、2つのセクションは、中央部分で渡り配線材に接続されることによって、並列に接続される(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】[online]、インターネット<URL:http://www.js-ge.cn/product.asp?Product_ID=321&classid=69>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽電池モジュールの製造を簡易にするために、2つの透明部材が複数のワイヤによって接続されたワイヤフィルムを使用することがある。ワイヤフィルムを太陽電池モジュールに使用する場合、2つの透明部材のそれぞれが隣接の太陽電池セルに貼り付けられ、ワイヤが配線材として使用される。このような状況において、太陽電池ストリングの端に配置される太陽電池セルから延びる複数のワイヤは渡り配線材に接続される。一般的に、ワイヤはタブ線よりも細くされるので、太陽電池セルのワイヤと渡り配線材との接触面積が小さくなる。接触面積が小さくなることによって、電気抵抗が増加するとともに、接続強度が低下する。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、太陽電池セルを渡り配線材に接続する場合の接触面積を増加させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の太陽電池モジュールは、第1の保護部材と第2の保護部材の間に複数の太陽電池セルを挟む太陽電池モジュールであって、太陽電池モジュールは、第1方向に延びる渡り配線材と、第1の保護部材側および第2の保護部材側にそれぞれ電極を有する太陽電池セルを複数含む第1太陽電池ストリングと、第1の保護部材側および第2の保護部材側にそれぞれ電極を有する太陽電池セルを複数含む第2太陽電池ストリングと、を備える。渡り配線材は、第1方向の長さと第1方向とは異なる第2方向の幅とを有する表面を含み、第1太陽電池ストリングは、該第1太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置する第1太陽電池セルを含み、第2太陽電池ストリングは、該第2太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置するとともに、渡り配線材を挟んで第1太陽電池セルに対向する第2太陽電池セルを含み、第2方向において、渡り配線材は、第1太陽電池ストリングの第1太陽電池セルと第2太陽電池ストリングの第2太陽電池セルの間に配置されており、第1方向において、第1太陽電池セルと第2太陽電池セルは、相対的にずれて配置されてなると共に、第1太陽電池セルから渡り配線材に向かって延びる複数の第1セル用配線材と第2太陽電池セルから渡り配線材に向かって延びる複数の第2セル用配線材は、該第1セル用配線材と該第2セル用配線材とが渡り配線材の表面上で第1方向において互いに隣り合って交互に且つ互いに平行に配置される。
本開示の別の態様もまた、太陽電池モジュールである。この太陽電池モジュールは、第1の保護部材と第2の保護部材の間に複数の太陽電池セルを挟む太陽電池モジュールであって、太陽電池モジュールは、第1方向に延びる渡り配線材と、第1の保護部材側および第2の保護部材側にそれぞれ電極を有する太陽電池セルを複数含む第1太陽電池ストリングと、第1の保護部材側および第2の保護部材側にそれぞれ電極を有する太陽電池セルを複数含む第2太陽電池ストリングと、を備える。渡り配線材は、第1方向の長さと第1方向とは異なる第2方向の幅とを有する表面を含み、第1太陽電池ストリングは、該第1太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置する第1太陽電池セルを含み、第2太陽電池ストリングは、該第2太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置するとともに、渡り配線材を挟んで第1太陽電池セルに対向する第2太陽電池セルを含み、第2方向において、渡り配線材は、第1太陽電池ストリングの第1太陽電池セルと第2太陽電池ストリングの第2太陽電池セルの間に配置されており、太陽電池モジュールは、更に第1太陽電池セルから渡り配線材に向かって延びる複数の第1セル用配線材と第2太陽電池セルから渡り配線材に向かって延びる複数の第2セル用配線材と、を含み、第1方向において、第1太陽電池セルと第2太陽電池セルは、相対的にずれて配置されてなると共に、複数の第1セル用配線材と複数の第2セル用配線材は、該第1セル用配線材と該第2セル用配線材とが渡り配線材の表面上で第1方向において互いに隣り合って交互に且つ互いに平行に離間して配置され、渡り配線材の表面上における第1セル用配線材と該第1セル用配線材に近い方の第2セル用配線材との間隔は、第1太陽電池セルの表面上における隣り合う第1セル用配線材の間隔および第2太陽電池セルの表面上における隣り合う第2セル用配線材の間隔より小さい。
本開示のさらに別の態様もまた、太陽電池モジュールである。この太陽電池モジュールは、第1の保護部材と第2の保護部材の間に複数の太陽電池セルを挟む太陽電池モジュールであって、太陽電池モジュールは、第1方向に延びる渡り配線材と、第1の保護部材側および第2の保護部材側にそれぞれ電極を有する太陽電池セルを複数含む第1太陽電池ストリングと、第1の保護部材側および第2の保護部材側にそれぞれ電極を有する太陽電池セルを複数含む第2太陽電池ストリングと、を備える。渡り配線材は、第1方向の長さと第1方向とは異なる第2方向の幅とを有する表面を含み、第1太陽電池ストリングは、該第1太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置する第1太陽電池セルを含み、第2太陽電池ストリングは、該第2太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置するとともに、渡り配線材を挟んで第1太陽電池セルに対向する第2太陽電池セルを含み、第2方向において、渡り配線材は、第1太陽電池ストリングの第1太陽電池セルと第2太陽電池ストリングの第2太陽電池セルの間に配置されており、第1方向において、第1太陽電池セルと第2太陽電池セルは、相対的にずれて配置されてなると共に、第1太陽電池セルから渡り配線材に向かって延びる複数の第1セル用配線材と、第2太陽電池セルから渡り配線材に向かって延びる複数の第2セル用配線材は、第2方向において互いに重複しながら、渡り配線材の表面上に接続され、渡り配線材の表面上における第1セル用配線材と該第1セル用配線材に近い方の第2セル用配線材との間隔は、第1太陽電池セルの表面上における隣り合う第1セル用配線材の間隔および第2太陽電池セルの表面上における隣り合う第2セル用配線材の間隔より小さい。
本開示のさらに別の態様もまた、太陽電池モジュールである。この太陽電池モジュールは、第1の保護部材と第2の保護部材の間に複数の太陽電池セルを挟む太陽電池モジュールであって、太陽電池モジュールは、第1方向に延びる渡り配線材と、第1の保護部材側および第2の保護部材側にそれぞれ電極を有する太陽電池セルを複数含む第1太陽電池ストリングと、第1の保護部材側および第2の保護部材側にそれぞれ電極を有する太陽電池セルを複数含む第2太陽電池ストリングと、を備える。渡り配線材は、第1方向の長さと第1方向とは異なる第2方向の幅とを有する表面を含み、第1太陽電池ストリングは、該第1太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置する第1太陽電池セルを含み、第2太陽電池ストリングは、該第2太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置するとともに、渡り配線材を挟んで第1太陽電池セルに対向する第2太陽電池セルを含み、第2方向において、渡り配線材は、第1太陽電池ストリングの第1太陽電池セルと第2太陽電池ストリングの第2太陽電池セルの間に配置されており、太陽電池モジュールは、第1太陽電池セルから渡り配線材側に向かって延びる複数の第1セル用配線材と、第2太陽電池セルから渡り配線材側に向かって延びる複数の第2セル用配線材と、を含み、複数の第1セル用配線材と複数の第2セル用配線材は、該第1セル用配線材と該第2セル用配線材とが渡り配線材の表面上で第2方向において互いに重複しながら交互に且つ互いに平行に配置され、渡り配線材の表面上における第1セル用配線材と第2セル用配線材との配置は、第1方向において、第1太陽電池セルと第2太陽電池セルとが相対的にずれて配置されてなされている。
本開示のさらに別の態様もまた、太陽電池モジュールである。この太陽電池モジュールは、太陽電池モジュールであって、該太陽電池モジュールは、第1方向に延びる渡り配線材と、複数の太陽電池セルを含む第1太陽電池ストリングと、複数の太陽電池セルを含む第2太陽電池ストリングと、を備える。渡り配線材は、第1方向の長さと第1方向とは異なる第2方向の幅とを有する表面を含み、第1太陽電池ストリングは、該第1太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置する第1太陽電池セルを含み、第2太陽電池ストリングは、該第2太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置するとともに、渡り配線材を挟んで第1太陽電池セルに対向する第2太陽電池セルを含み、第2方向において、渡り配線材は、第1太陽電池ストリングの第1太陽電池セルと第2太陽電池ストリングの第2太陽電池セルの間に配置されており、太陽電池モジュールは、更に第1太陽電池セルから渡り配線材に向かって延びる複数の第1セル用配線材と、第2太陽電池セルから渡り配線材に向かって延びる複数の第2セル用配線材を含み、複数の第1セル用配線材は、屈曲して渡り配線材の表面上において第2方向と異なる方向に延在し、複数の第2セル用配線材は、屈曲して渡り配線材の表面上において第2方向と異なる方向に延在し、複数の第1セル用配線材と複数の第2セル用配線材は、第2方向において互いに重複しながら、渡り配線材の表面上において並んでいる。
本開示のさらに別の態様もまた、太陽電池モジュールである。この太陽電池モジュールは、太陽電池モジュールであって、該太陽電池モジュールは、第1方向に延びる渡り配線材と、複数の太陽電池セルを含む第1太陽電池ストリングと、複数の太陽電池セルを含む第2太陽電池ストリングと、を備える。渡り配線材は、第1方向の長さと第1方向とは異なる第2方向の幅とを有する表面を含み、第1太陽電池ストリングは、該第1太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置する第1太陽電池セルを含み、第2太陽電池ストリングは、該第2太陽電池ストリングの太陽電池セルのうちの一端に位置するとともに、渡り配線材を挟んで第1太陽電池セルに対向する第2太陽電池セルを含み、第2方向において、渡り配線材は、第1太陽電池ストリングの第1太陽電池セルと第2太陽電池ストリングの第2太陽電池セルの間に配置されており、太陽電池モジュールは、更に第1太陽電池セルから渡り配線材に向かって延びる複数の第1セル用配線材と、第2太陽電池セルから渡り配線材に向かって延びる複数の第2セル用配線材を含み、複数の第1セル用配線材と、複数の第2セル用配線材は、第2方向において互いに重複しながら、配線材用フィルムにより渡り配線材の表面上に接続されている。
【0007】
本開示のさらに別の態様は、製造方法である。この方法は、第1方向に延びる渡り配線材と、第1太陽電池ストリングと、第2太陽電池ストリングと、を備え、渡り配線材は、第1方向の長さと該第1方向とは異なる第2方向の幅とを有する表面を含み、第1太陽電池ストリングは、渡り配線材側に配置される第1太陽電池セルを含み、第2太陽電池ストリングは、渡り配線材側に配置されるとともに、渡り配線材を挟んで第1太陽電池セルに対向する第2太陽電池セルを含み、第2方向において、渡り配線材が、第1太陽電池ストリングの第1太陽電池セルと第2太陽電池ストリングの第2太陽電池セルの間に配置される太陽電池モジュールの製造方法であって、複数の第1セル用配線材の第1端側に第1セル用フィルムが取り付けられるとともに、複数の第1セル用配線材の第2端側に第1配線材用フィルムが取り付けられた第1フィルムと、複数の第2セル用配線材の第1端側に第2セル用フィルムが取り付けられるとともに、複数の第2セル用配線材の第2端側に第2配線材用フィルムが取り付けられた第2フィルムとのうち、第1配線材用フィルムと第2配線材用フィルムのうちの少なくとも1つを取り外すステップと、第1セル用フィルムを第1太陽電池セルに取り付けるとともに、第2セル用フィルムを第2太陽電池セルに取り付けるステップと、複数の第1セル用配線材の第2端側と、複数の第2セル用配線材の第2端側とを、第2方向において互いに重複させながら、渡り配線材の表面に接続するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、太陽電池セルを渡り配線材に接続する場合の接触面積を増加できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1に係る太陽電池モジュールの構造を示す平面図である。
図2図1の太陽電池モジュールの構造を示す断面図である。
図3図2の太陽電池モジュールにおいて使用されるフィルムの構造を示す斜視図である。
図4図1の太陽電池モジュールの一部分の構造を示す拡大平面図である。
図5図5(a)-(b)は、図4の太陽電池モジュールにおいて使用されるフィルムの構造を示す平面図である。
図6】実施例2に係る太陽電池モジュールの一部分の構造を示す拡大平面図である。
図7】実施例3に係る太陽電池モジュールの一部分の構造を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施例1)
本開示を具体的に説明する前に、概要を述べる。実施例1は、複数の太陽電池セルがマトリックス状に配置された太陽電池モジュールに関する。太陽電池モジュールでは、第1保護部材と第2保護部材との間に封止部材が配置され、封止部材によって複数の太陽電池セルが封止される。その際、隣接した2つの太陽電池セルは、ワイヤフィルムによって接続される。ワイヤフィルムは、前述のごとく、2つの透明部材が複数のワイヤによって接続されており、各透明部材が隣接の太陽電池セルに貼り付けられる。ワイヤが配線材の役割を有するので、ワイヤが延びる方向に配置された複数の太陽電池セルを複数のワイヤフィルムで接続することによって太陽電池ストリングが形成される。このようなワイヤフィルムは、太陽電池モジュールの製造を簡易にするために使用される。
【0011】
一方、太陽電池セルとしてハーフカットセルが使用されるとともに、中央部分に渡り配線材が配置される場合もある。このような構成では、渡り配線材を境界として2つに分けられる領域(以下、2つに分けられる領域のそれぞれを「第1領域」、「第2領域」という)のそれぞれに太陽電池ストリングが配置され、各太陽電池ストリングの端部が渡り配線材に接続される。具体的に説明すると、第1領域側の太陽電池ストリングの端部に配置される太陽電池セルと、第2領域側の太陽電池ストリングの端部に配置される太陽電池セルとが、渡り配線材を挟んで対向しており、各太陽電池セルからの複数のワイヤが渡り配線材に接続される。このような接続において、ワイヤと渡り配線材とを接触させるために、各太陽電池セルからの複数のワイヤ同士の干渉を防ぐことが求められるので、例えば、渡り配線材上における各ワイヤの長さが短くされる。
【0012】
しかしながら、渡り配線材上における各ワイヤの長さが短くされることによって、太陽電池セルのワイヤと渡り配線材との接触面積が小さくなる。さらに、ワイヤは従来のタブ線よりも細いので、接触面積がさらに小さくなる。その結果、電気抵抗が増加するとともに、接続強度が低下する。接触面積を増加させるために、本実施例では、各ワイヤの長さを短くせずに、各太陽電池セルからの複数のワイヤを渡り配線上で櫛歯状にかみ合わせる。以下の説明において、「平行」、「垂直」は、完全な平行、垂直だけではなく、誤差の範囲で平行、垂直からずれている場合も含むものとする。また、「略」は、おおよその範囲で同一であるという意味である。
【0013】
図1は、太陽電池モジュール100の構造を示す平面図である。図1に示すように、x軸、y軸、z軸からなる直角座標系が規定される。x軸、y軸は、太陽電池モジュール100の平面内において互いに直交する。z軸は、x軸およびy軸に垂直であり、太陽電池モジュール100の厚み方向に延びる。また、x軸、y軸、z軸のそれぞれの正の方向は、図1における矢印の方向に規定され、負の方向は、矢印と逆向きの方向に規定される。太陽電池モジュール100を形成する2つの主表面であって、かつx-y平面に平行な2つの主表面のうち、z軸の正方向側に配置される主平面が受光面であり、z軸の負方向側に配置される主平面が裏面である。以下では、z軸の正方向側を「受光面側」と呼び、z軸の負方向側を「裏面側」と呼ぶ。また、x軸方向を「第1方向」と呼ぶ場合、y軸方向は「第2方向」と呼ばれる。そのため、図1は、太陽電池モジュール100の受光面側からの平面図であるといえる。
【0014】
太陽電池モジュール100は、太陽電池セル10と総称される第1-1太陽電池セル10aa、・・・、第1-24太陽電池セル10ax、第2-1太陽電池セル10ba、・・・、第2-24太陽電池セル10bx、渡り配線材14と総称される第1渡り配線材14a、・・・、第10渡り配線材14j、フレーム20と総称される第1フレーム20a、第2フレーム20b、第3フレーム20c、第4フレーム20dを含む。
【0015】
第1フレーム20aは、x軸方向に延び、第2フレーム20bは、第1フレーム20aのx軸の正方向側端からy軸の負方向に延びる。また、第3フレーム20cは、第2フレーム20bのy軸の負方向側端からx軸の負方向に延び、第4フレーム20dは、第3フレーム20cのx軸の負方向側端と第1フレーム20aのx軸の負方向側端とを結ぶ。フレーム20は、太陽電池モジュール100の外周を囲んでおり、アルミニウム等の金属で形成される。ここで、第1フレーム20a、第3フレーム20cは、第2フレーム20b、第4フレーム20dよりも長いので、太陽電池モジュール100は、y軸方向よりもx軸方向に長い矩形状を有する。
【0016】
第1渡り配線材14aから第10渡り配線材14jはx軸方向に延びる。ここで、第1渡り配線材14aから第4渡り配線材14dは、太陽電池モジュール100のy軸の中央部分に一列に並んで配置される。第1渡り配線材14aから第4渡り配線材14dを境界として、y軸の正方向側には第1領域90aが配置され、y軸の負方向側に第2領域90bが配置される。第1領域90aと第2領域90bは、y軸方向よりもx軸方向に長い矩形状を有する。第5渡り配線材14eから第7渡り配線材14gは、第1領域90aにおいて、太陽電池モジュール100のy軸の正方向側端に一列に並んで配置される。さらに、第8渡り配線材14hから第10渡り配線材14jは、第2領域90bにおいて、太陽電池モジュール100のy軸の負方向側端に一列に並んで配置される。
【0017】
複数の太陽電池セル10のそれぞれは、入射する光を吸収して光起電力を発生する。特に、太陽電池セル10は、受光面において吸収した光から起電力を発生するとともに、裏面において吸収した光からも光起電力を発生する。太陽電池セル10は、例えば、結晶系シリコン、ガリウム砒素(GaAs)またはインジウム燐(InP)等の半導体材料によって形成される。太陽電池セル10の構造は、特に限定されないが、ここでは、一例として、結晶シリコンとアモルファスシリコンとが積層されているとする。太陽電池セル10は、前述のハーフカットセルであり、y軸方向よりもx軸方向に長い矩形状を有するが、太陽電池セル10の形状はこれに限定されない。各太陽電池セル10の受光面および裏面には、互いに平行にx軸方向に延びる複数のフィンガー電極が備えられる。
【0018】
複数の太陽電池セル10は、x-y平面上にマトリックス状に配列される。ここでは、第1領域90aにおいて、y軸方向に4つの太陽電池セル10が並べられる。y軸方向に隣接した2つの太陽電池セル10のうちの一方の受光面側のフィンガー電極と、他方の裏面側のフィンガー電極は、セル用配線材(図示せず)により電気的に接続される。図2は、太陽電池モジュール100の構造を示す断面図である。これはy軸に沿った断面図であり、図1のA-A’断面図である。太陽電池モジュール100は、第1-6太陽電池セル10af、第1-7太陽電池セル10ag、セル用配線材16、第1保護部材30、第1封止部材32、第2封止部材34、第2保護部材36、受光面側セル用フィルム40、裏面側セル用フィルム42、受光面側接着剤44、裏面側接着剤46を含む。図2の上側が受光面側に相当し、下側が裏面側に相当する。
【0019】
第1保護部材30は、太陽電池モジュール100の受光面側に配置されており、太陽電池モジュール100の表面を保護する。また、太陽電池モジュール100は、x-y平面において、フレーム20に囲まれるような矩形状を有する。第1保護部材30には、透光性および遮水性を有するガラス、透光性プラスチック等が使用される。第1保護部材30によって太陽電池モジュール100の機械的強度が高くされる。
【0020】
第1封止部材32は、第1保護部材30の裏面側に積層される。第1封止部材32は、第1保護部材30と太陽電池セル10との間に配置されて、これらを接着する。第1封止部材32として、例えば、ポリオレフィン、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)、PVB(ポリビニルブチラール)、ポリイミド等の樹脂フィルムのような熱可塑性樹脂が使用される。なお、熱硬化性樹脂が使用されてもよい。第1封止部材32は、透光性を有するとともに、第1保護部材30におけるx-y平面と略同一寸法の面を有するシート材によって形成される。
【0021】
第1-6太陽電池セル10af、第1-7太陽電池セル10agは、第1保護部材30の裏面側に積層される。各太陽電池セル10は、z軸の正方向側に受光面22を向け、z軸の負方向側に裏面24を向けて配置される。受光面22を「第1面」と呼ぶ場合、裏面24は「第2面」と呼ばれる。太陽電池セル10の受光面22には、セル用配線材16、受光面側接着剤44、受光面側セル用フィルム40が配置され、太陽電池セル10の裏面24には、セル用配線材16、裏面側接着剤46、裏面側セル用フィルム42が配置される。ここでは、太陽電池セル10に対するこれらの配置を説明するために、図3を使用する。
【0022】
図3は、太陽電池モジュール100において使用されるフィルム80の構造を示す斜視図である。フィルム80は、セル用配線材16、受光面側セル用フィルム40、裏面側セル用フィルム42、受光面側接着剤44、裏面側接着剤46を含む。フィルム80は前述のワイヤフィルムに相当し、受光面側セル用フィルム40、裏面側セル用フィルム42は前述の透明部材に相当し、セル用配線材16は前述のワイヤに相当する。セル用配線材16は、100~500μm、好ましくは300μmの直径を有するので、太陽電池モジュールに一般的に使用されるタブ線の幅1~2mmよりも細い。一方、セル用配線材16の本数は10~20本とされ、太陽電池モジュールに一般的に使用されるタブ線の数本よりも多い。セル用配線材16は、例えば、円筒形状で延びており、円筒の側面は半田によるコーティングがなされている。
【0023】
受光面側セル用フィルム40は、隣接した2つの太陽電池セル10の一方、例えば、第1-6太陽電池セル10afの受光面22側に配置される。受光面側セル用フィルム40は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタラート)等の透明な樹脂フィルムで構成される。受光面側セル用フィルム40は、x-y平面において、太陽電池セル10よりも小さい矩形状を有する。受光面側セル用フィルム40における第1-6太陽電池セル10af側の面には受光面側接着剤44が配置され、受光面側接着剤44には複数のセル用配線材16が配置される。受光面側接着剤44が第1-6太陽電池セル10afの受光面22に接着されることにより、セル用配線材16は、受光面側セル用フィルム40と第1-6太陽電池セル10afとの間に挟まれる。受光面側接着剤44には、例えば、EVAが使用される。
【0024】
裏面側セル用フィルム42は、隣接した2つの太陽電池セル10の他方、例えば、第1-7太陽電池セル10agの裏面24側に配置される。裏面側セル用フィルム42は、受光面側セル用フィルム40と同様に、例えば、PET等の透明な樹脂フィルムで構成される。裏面側セル用フィルム42は、x-y平面において、太陽電池セル10よりも小さい矩形状を有する。裏面側セル用フィルム42における第1-7太陽電池セル10ag側の面には裏面側接着剤46が配置され、裏面側接着剤46には複数のセル用配線材16が配置される。裏面側接着剤46が第1-7太陽電池セル10agの裏面24に接着されることにより、セル用配線材16は、裏面側セル用フィルム42と第1-7太陽電池セル10agとの間に挟まれる。裏面側接着剤46にも、例えば、EVAが使用される。
【0025】
このように構成されたフィルム80は、太陽電池モジュール100の製造とは別に予め製造されている。太陽電池モジュール100を製造する際、前述のごとく、受光面側接着剤44が第1-6太陽電池セル10afの受光面22に接着され、裏面側接着剤46が第1-7太陽電池セル10agの裏面24に接着される。このような接着により、セル用配線材16は、第1-6太陽電池セル10afの受光面22におけるフィンガー電極(図示せず)と、第1-7太陽電池セル10agの裏面24におけるフィンガー電極(図示せず)とを電気的に接続する。図2に戻る。
【0026】
受光面側セル用フィルム40と裏面側セル用フィルム42の接着が、他の太陽電池セル10に対してもなされる。第2封止部材34は、第1封止部材32の裏面側に積層される。第2封止部材34は、第1封止部材32との間で、複数の太陽電池セル10、セル用配線材16、渡り配線材14、受光面側セル用フィルム40、裏面側セル用フィルム42等を封止する。第2封止部材34には、第1封止部材32と同様のものを用いることができる。また、ラミネート・キュア工程における加熱によって、第2封止部材34は第1封止部材32と一体化されていてもよい。
【0027】
第2保護部材36は、第1保護部材30に対向するように、第2封止部材34の裏面側に積層される。第2保護部材36は、バックシートとして太陽電池モジュール100の裏面側を保護する。第2保護部材36としては、PET、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の樹脂フィルム、Al箔をポリオレフィン等の樹脂フィルムで挟んだ構造を有する積層フィルムなどが使用される。図1に戻る。
【0028】
このように、y軸方向に並ぶ第1-1太陽電池セル10aaから第1-4太陽電池セル10adはセル用配線材16によって直列に接続されるとともに、第1-5太陽電池セル10aeから第1-8太陽電池セル10ahもセル用配線材16によって直列に接続される。また、第1-4太陽電池セル10adと第1-5太陽電池セル10aeは、第5渡り配線材14eに接続される。その結果、第1-1太陽電池セル10aaから第1-4太陽電池セル10ad、第5渡り配線材14e、第1-5太陽電池セル10aeから第1-8太陽電池セル10ahの電気的な接続により、第1-1太陽電池ストリング12aaが形成される。
【0029】
第1領域90aにおいて、第1-2太陽電池ストリング12ab、第1-3太陽電池ストリング12acも同様に形成され、第1-1太陽電池ストリング12aaから第1-3太陽電池ストリング12acはx軸方向に一列に並んで配置される。第2領域90bにおいても同様に、第2-1太陽電池ストリング12baから第2-3太陽電池ストリング12bcはx軸方向に一列に並んで配置される。例えば、第2-1太陽電池ストリング12abは、第2-1太陽電池セル10baから第2-4太陽電池セル10bd、第8渡り配線材14h、第2-5太陽電池セル10beから第2-8太陽電池セル10bhの電気的な接続により形成される。1つの太陽電池ストリング12に含まれる太陽電池セル10の数は「8」に限定されず、太陽電池ストリング12の数は「6」に限定されない。つまり、太陽電池モジュール100は、y軸方向よりもx軸方向に長い矩形状に限定されず、1つの太陽電池ストリング12に含まれる太陽電池セル10の数、および、太陽電池ストリング12の数に応じて、y軸方向よりもx軸方向に短い矩形状となってもよいし、y軸方向とx軸方向とが同等の長さの矩形状となってもよい。
【0030】
第1渡り配線材14aから第4渡り配線材14dは、第1領域90a側の太陽電池ストリング12と第2領域90b側の太陽電池ストリング12とを電気的に接続する。例えば、第1渡り配線材14aは、第1-1太陽電池ストリング12aaの第1-1太陽電池セル10aaと、第2-1太陽電池ストリング12baの第2-1太陽電池セル10baとを接続する。また、第2渡り配線材14bは、第1領域90a側に、第1-1太陽電池ストリング12aaの第1-8太陽電池セル10ahと第1-2太陽電池ストリング12abの第1-9太陽電池セル10aiとを接続する。さらに、第2渡り配線材14bは、第2領域90b側に、第2-1太陽電池ストリング12baの第2-8太陽電池セル10bhと第2-2太陽電池ストリング12bbの第2-9太陽電池セル10biとを接続する。
【0031】
ここで、第1-8太陽電池セル10ah、第1-9太陽電池セル10aiは、第1-1太陽電池ストリング12aa、第1-2太陽電池ストリング12abのうち、第2渡り配線材14b側に配置される。また、第2-8太陽電池セル10bh、第2-9太陽電池セル10biは、第2-1太陽電池ストリング12ba、第2-2太陽電池ストリング12bbのうち、第2渡り配線材14b側に配置される。さらに、第1-8太陽電池セル10ahと第2-8太陽電池セル10bhは第2渡り配線材14bを挟んで対向し、第1-9太陽電池セル10aiと第2-9太陽電池セル10biも第2渡り配線材14bを挟んで対向する。第3渡り配線材14c、第4渡り配線材14dにおいても同様の接続がなされる。
【0032】
これにより、第1-1太陽電池ストリング12aa、第1-2太陽電池ストリング12ab、第1-3太陽電池ストリング12acは直列に接続される。これは「第1セクション」と呼ばれることもある。また、第2-1太陽電池ストリング12ba、第2-2太陽電池ストリング12bb、第2-3太陽電池ストリング12bcも直列に接続される。これは「第2セクション」と呼ばれることもある。さらに、第1セクションと第2セクションは並列に接続される。第1渡り配線材14aおよび第4渡り配線材14dには、図示しない取出し配線材が接続される。取出し配線材は、複数の太陽電池セル10において発電した電力を太陽電池モジュール100外に取り出すための配線材である。
【0033】
図4は、太陽電池モジュール100の一部分の構造を示す拡大平面図である。これは、図1の第1-8太陽電池セル10ah、第1-9太陽電池セル10ai、第2-8太陽電池セル10bh、第2-9太陽電池セル10bi、第2渡り配線材14bの部分を示す。第2渡り配線材14bの受光面側には、x軸方向の長さとy軸方向の幅とを有する矩形状の表面50が配置される。
【0034】
ここでは、第1-8太陽電池セル10ahに接着される受光面側セル用フィルム40を第1セル用フィルム60aと呼び、第1セル用フィルム60aに配置されるセル用配線材16を第1セル用配線材16aと呼ぶ。そのため、複数の第1セル用配線材16aは、第1セル用フィルム60aにより第1-8太陽電池セル10ahに接続され、第1-8太陽電池セル10ahから第2渡り配線材14bに向かって延びる。また、第2-8太陽電池セル10bhに接着される受光面側セル用フィルム40を第2セル用フィルム60bと呼び、第2セル用フィルム60bに配置されるセル用配線材16を第2セル用配線材16bと呼ぶ。そのため、複数の第2セル用配線材16bは、第2セル用フィルム60bにより第2-8太陽電池セル10bhに接続され、第2-8太陽電池セル10bhから第2渡り配線材14bに向かって延びる。
【0035】
複数の第1セル用配線材16aのそれぞれは、第2渡り配線材14bの表面50を第2-8太陽電池セル10bh側端に向けて延び、例えば半田付けにより表面50に接続される。複数の第2セル用配線材16bのそれぞれは、第2渡り配線材14bの表面50を第1-8太陽電池セル10ah側端に向けて延び、例えば半田付けにより表面50に接続される。ここで、複数の第1セル用配線材16aのそれぞれと、複数の第2セル用配線材16bのそれぞれとは、x軸方向で互いにずらされながら、y軸方向において互いに重複して、表面50に並べられる。つまり、複数の第1セル用配線材16aと複数の第2セル用配線材16bとは、第2渡り配線材14bの表面50上で櫛歯状にかみ合わされる。
【0036】
第1-9太陽電池セル10aiの裏面側には、図示しない裏面側セル用フィルム42が接着されており、第1-9太陽電池セル10aiと裏面側セル用フィルム42との間にセル用配線材16が挟まれる。ここでも、第1-9太陽電池セル10aiに接着される裏面側セル用フィルム42を第1セル用フィルム60aと呼び、第1セル用フィルム60aに配置されるセル用配線材16を第1セル用配線材16aと呼ぶ。そのため、複数の第1セル用配線材16aは、第1セル用フィルム60aにより第1-9太陽電池セル10aiに接続され、第1-9太陽電池セル10aiから第2渡り配線材14bに向かって延びる。
【0037】
第2-9太陽電池セル10biの裏面側にも、図示しない裏面側セル用フィルム42が接着されており、第2-9太陽電池セル10biと裏面側セル用フィルム42との間にセル用配線材16が挟まれる。ここでも、第2-9太陽電池セル10biに接着される裏面側セル用フィルム42を第2セル用フィルム60bと呼び、第2セル用フィルム60bに配置されるセル用配線材16を第2セル用配線材16bと呼ぶ。そのため、複数の第2セル用配線材16bは、第2セル用フィルム60bにより第2-9太陽電池セル10biに接続され、第2-9太陽電池セル10biから第2渡り配線材14bに向かって延びる。
【0038】
複数の第1セル用配線材16aのそれぞれは、裏面側から受光面側に延びるとともに、第2渡り配線材14bの表面50を第2-9太陽電池セル10bi側端に向けて延びて、表面50に接続される。複数の第2セル用配線材16bのそれぞれは、裏面側から受光面側に延びるとともに、第2渡り配線材14bの表面50を第1-9太陽電池セル10ai側端に向けて延びて、表面50に接続される。表面50上における複数の第1セル用配線材16aと複数の第2セル用配線材16bの配置はこれまでと同様であるので、ここでは説明を省略する。このようなセル用配線材16と渡り配線材14との接続は、第2渡り配線材14b以外の渡り配線材14においても同様になされる。
【0039】
以下では、太陽電池モジュール100の製造方法について説明する。
(1)隣接した2つの太陽電池セル10を接続するために、図3に示されるフィルム80が用意される。隣接した2つの太陽電池セル10の一方にフィルム80の受光面側セル用フィルム40を重ね合せるとともに、隣接した2つの太陽電池セル10の他方にフィルム80の裏面側セル用フィルム42を重ね合わせることによって、太陽電池ストリング12が生成される。
【0040】
(2)太陽電池ストリング12の端部に配置される太陽電池セル10と渡り配線材14とを接続するために、フィルム80が用意される。図5(a)-(b)は、太陽電池モジュール100において使用されるフィルム80の構造を示す平面図である。図5(a)は、図4の第1-8太陽電池セル10ahに接着させるべき第1フィルム80aと、第2-8太陽電池セル10bhに接着させるべき第2フィルム80bを示す。第1フィルム80aにおける複数の第1セル用配線材16aの第1端側には第1セル用フィルム60aが配置され、第1端側の反対の第2端側には第1配線材用フィルム62aが配置される。第1配線材用フィルム62aは、受光面側セル用フィルム40と異なったサイズを有するが、受光面側セル用フィルム40と同様に構成される。第1セル用フィルム60aの裏面側には、受光面側接着剤44と複数の第1セル用配線材16aが配置され、第1配線材用フィルム62aの裏面側には、図示しない接着剤と複数の第1セル用配線材16aが配置される。
【0041】
第2フィルム80bにおける複数の第2セル用配線材16bの第1端側には第2セル用フィルム60bが配置され、第1端側の反対の第2端側には第2配線材用フィルム62bが配置される。第2配線材用フィルム62bは第1配線材用フィルム62aと同様に構成される。第2セル用フィルム60bの裏面側には、受光面側接着剤44と複数の第2セル用配線材16bが配置され、第2配線材用フィルム62bの裏面側には、図示しない接着剤と複数の第2セル用配線材16bが配置される。ここでは、第1配線材用フィルム62aと第2配線材用フィルム62bが取り外される。
【0042】
図5(b)は、図4の第1-9太陽電池セル10aiに接着させるべき第1フィルム80aと、第2-9太陽電池セル10biに接着させるべき第2フィルム80bを示す。第1フィルム80aにおける複数の第1セル用配線材16aの第1端側には第1セル用フィルム60aが配置され、第1端側の反対の第2端側には第1配線材用フィルム62aが配置される。第1セル用フィルム60aの受光面側には、裏面側接着剤46と複数の第1セル用配線材16aが配置され、第1配線材用フィルム62aの裏面側には、図示しない接着剤と複数の第1セル用配線材16aが配置される。
【0043】
第2フィルム80bにおける複数の第2セル用配線材16bの第1端側には第2セル用フィルム60bが配置され、第1端側の反対の第2端側には第2配線材用フィルム62bが配置される。第2セル用フィルム60bの受光面側には、裏面側接着剤46と複数の第2セル用配線材16bが配置され、第2配線材用フィルム62bの裏面側には、図示しない接着剤と複数の第2セル用配線材16bが配置される。ここでは、第1配線材用フィルム62aと第2配線材用フィルム62bが取り外される。
【0044】
(3)図5(a)の第1セル用フィルム60aの受光面側接着剤44が第1-8太陽電池セル10ahの受光面22に取り付けられることによって、第1セル用フィルム60aが第1-8太陽電池セル10ahに取り付けられる。第2セル用フィルム60bの受光面側接着剤44が第2-8太陽電池セル10bhの受光面22に取り付けられることによって、第2セル用フィルム60bが第2-8太陽電池セル10bhに取り付けられる。図5(b)の第1セル用フィルム60aの裏面側接着剤46が第1-8太陽電池セル10ahの裏面24に取り付けられることによって、第1セル用フィルム60aが第1-8太陽電池セル10ahに取り付けられる。第2セル用フィルム60bの裏面側接着剤46が第2-8太陽電池セル10bhの裏面24に取り付けられることによって、第2セル用フィルム60bが第2-8太陽電池セル10bhに取り付けられる。他の太陽電池セル10に対しても同様の処理がなされる。(2)と(3)の順番が逆であってもよい。
【0045】
(4)図5(a)の複数の第1セル用配線材16aの第2端側と、複数の第2セル用配線材16bの第2端側は、第2渡り配線材14bの表面50上におかれる。また、複数の第1セル用配線材16aの第2端側と、複数の第2セル用配線材16bの第2端側は、x軸方向において互いにずらされ、y軸方向において互いに重複させられる。さらに、複数の第1セル用配線材16aの第2端側と、複数の第2セル用配線材16bの第2端側は、表面50に半田付けされる。その結果、複数の第1セル用配線材16aの第2端側と、複数の第2セル用配線材16bの第2端側は、第2渡り配線材14bの表面50に接続される。他の渡り配線材14に対しても同様の処理がなされる。
【0046】
(5)z軸の正方向から負方向に向かって、第1保護部材30、第1封止部材32、太陽電池ストリング12、第2封止部材34、第2保護部材36が順に重ね合わせられることによって、積層体が生成される。
(6)積層体に対して、ラミネート・キュア工程がなされる。この工程では、積層体から空気を抜き、加熱、加圧して、積層体を一体化する。ラミネート・キュア工程における真空ラミネートでは、温度が100~170℃程度に設定される。
【0047】
本実施例によれば、複数の第1セル用配線材16aと複数の第2セル用配線材16bが、第2方向において重複しながら、渡り配線材14の表面50に接続されるので、太陽電池セル10を渡り配線材14に接続する場合にセル用配線材16と渡り配線材14との接触面積を増加できる。また、セル用配線材16と渡り配線材14との接触面積が増加するので、電気抵抗の増加を抑制できる。また、電気抵抗の増加が抑制されるので、太陽電池モジュール100の電気的特性を向上できる。また、セル用配線材16と渡り配線材14との接触面積が増加するので、接続強度の低下を抑制できる。また、接続強度の低下が抑制されるので、接続部分の信頼性を向上できる。また、セル用配線材16として、タブ線よりも細いワイヤを使用するので、第1領域90aの太陽電池ストリング12と第2領域90bの太陽電池ストリング12とにおいて、セル用配線材16の位置がずれても、太陽電池モジュール100の外観への影響を少なくできる。
【0048】
また、複数の第1セル用配線材16aは、第1セル用フィルム60aにより第1太陽電池セル10に接続され、複数の第2セル用配線材16bは、第2セル用フィルム60bにより第2太陽電池セル10に接続されるので、製造工程を簡易にできる。また、複数の第1セル用配線材16aは、渡り配線材14の表面50を第2太陽電池セル10側端まで延び、複数の第2セル用配線材16bは、渡り配線材14の表面50を第1太陽電池セル10側端まで延びるので、接続面積を増加できる。また、第1配線材用フィルム62aと第2配線材用フィルム62bのうちの少なくとも1つを取り外すので、複数の第1セル用配線材16aの第2端側と、複数の第2セル用配線材16bの第2端側とを渡り配線材14の表面50に取り付けることできる。
【0049】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の太陽電池モジュール100は、第1方向に延びる渡り配線材14と、渡り配線材14を境界として分割される第1領域90aと第2領域90bのうちの第1領域90aにおいて、第1方向とは異なった第2方向に延びる第1太陽電池ストリング12と、第2領域90bにおいて第2方向に延びる第2太陽電池ストリング12とを備える。渡り配線材14は、第1方向の長さと第2方向の幅とを有する表面50を含む。第1太陽電池ストリング12は、渡り配線材14側に配置される第1太陽電池セル10を含む。第2太陽電池ストリング12は、渡り配線材14側に配置されるとともに、渡り配線材14を挟んで第1太陽電池セル10に対向する第2太陽電池セル10を含む。第1太陽電池セル10から渡り配線材14に向かって延びる複数の第1セル用配線材16aと、第2太陽電池セル10から渡り配線材14に向かって延びる複数の第2セル用配線材16bは、第2方向において互いに重複しながら、渡り配線材14の表面50に接続される。
【0050】
複数の第1セル用配線材16aは、第1セル用フィルム60aにより第1太陽電池セル10に接続され、複数の第2セル用配線材16bは、第2セル用フィルム60bにより第2太陽電池セル10に接続されてもよい。
【0051】
複数の第1セル用配線材16aは、渡り配線材14の表面50を第2太陽電池セル10側端まで延び、複数の第2セル用配線材16bは、渡り配線材14の表面50を第1太陽電池セル10側端まで延びる。
【0052】
複数の第1セル用配線材16aは、渡り配線材14の表面50を、第1太陽電池セル10側端と第2太陽電池セル10側端との間まで延び、複数の第2セル用配線材16bは、渡り配線材14の表面50を、第1太陽電池セル10側端と第2太陽電池セル10側端との間まで延びる。
【0053】
本開示の別の態様は、製造方法である。この方法は、第1方向に延びる渡り配線材14と、渡り配線材14を境界として分割される第1領域90aと第2領域90bのうちの第1領域90aにおいて、第1方向とは異なった第2方向に延びる第1太陽電池ストリング12と、第2領域90bにおいて第2方向に延びる第2太陽電池ストリング12とを備える。渡り配線材14は、第1方向の長さと第2方向の幅とを有する表面50を含む。第1太陽電池ストリング12は、渡り配線材14側に配置される第1太陽電池セル10を含む。第2太陽電池ストリング12は、渡り配線材14側に配置されるとともに、渡り配線材14を挟んで第1太陽電池セル10に対向する第2太陽電池セル10を含む太陽電池モジュール100の製造方法であって、複数の第1セル用配線材16aの第1端側に第1セル用フィルム60aが取り付けられるとともに、複数の第1セル用配線材16aの第2端側に第1配線材用フィルム62aが取り付けられた第1フィルム80aと、複数の第2セル用配線材16bの第1端側に第2セル用フィルム60bが取り付けられるとともに、複数の第2セル用配線材16bの第2端側に第2配線材用フィルム62bが取り付けられた第2フィルム80bとのうち、第1配線材用フィルム62aと第2配線材用フィルム62bのうちの少なくとも1つを取り外すステップと、第1セル用フィルム60aを第1太陽電池セル10に取り付けるとともに、第2セル用フィルム60bを第2太陽電池セル10に取り付けるステップと、複数の第1セル用配線材16aの第2端側と、複数の第2セル用配線材16bの第2端側とを、第2方向において互いに重複させながら、渡り配線材14の表面50に接続するステップと、を備える。
【0054】
(実施例2)
次に、実施例2を説明する。実施例2は、実施例1と同様に、複数の太陽電池セルがマトリックス状に配置された太陽電池モジュールに関し、複数の第1セル用配線材16aと複数の第2セル用配線材16bが第2渡り配線材14bの表面50で櫛歯状にかみ合わされる。実施例1では、第1配線材用フィルム62aと第2配線材用フィルム62bを取り外しているが、実施例2では、これらのうちの一方を残す。そのため、残った配線材用フィルム62と渡り配線材14との間に、複数の第1セル用配線材16aと複数の第2セル用配線材16bが配置される。実施例2に係る太陽電池モジュール100は、図1図2と同様のタイプであり、フィルム80は、図3と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
【0055】
図6は、太陽電池モジュール100の一部分の構造を示す拡大平面図である。これは、図4と同様に示される。ここでも、第1-8太陽電池セル10ahからの複数の第1セル用配線材16aは第2渡り配線材14bに向かって延びるとともに、第2-8太陽電池セル10bhからの複数の第2セル用配線材16bは、第2渡り配線材14bに向かって延びる。また、複数の第1セル用配線材16aのそれぞれと、複数の第2セル用配線材16bのそれぞれとは、x軸方向で互いにずらされながら、y軸方向において互いに重複して、表面50に並べられる。
【0056】
実施例2では、さらに、複数の第1セル用配線材16aと複数の第2セル用配線材16bを覆うように、第2渡り配線材14bの表面50に配線材用フィルム62が配置される。つまり、第2渡り配線材14bの表面50と配線材用フィルム62との間に、複数の第1セル用配線材16aと複数の第2セル用配線材16bが配置される。これは、複数の第1セル用配線材16aと複数の第2セル用配線材16bが、配線材用フィルム62により第2渡り配線材14bに接続されているともいえる。
【0057】
第1-9太陽電池セル10aiからの複数の第1セル用配線材16a、第2-9太陽電池セル10bからの複数の第2セル用配線材16b、第2渡り配線材14b、配線材用フィルム62も同様に構成される。このようなセル用配線材16、渡り配線材14、配線材用フィルム62の接続は、第2渡り配線材14b以外の渡り配線材14においても同様になされる。
【0058】
以下では、太陽電池モジュール100の製造方法について説明するが、実施例1と同一である場合は説明を省略する。
(2)図5(a)における第1配線材用フィルム62aと第2配線材用フィルム62bのいずれかが取り外される。ここでは、例えば、第1配線材用フィルム62aが残されるとする。図5(b)における第1配線材用フィルム62aと第2配線材用フィルム62bのいずれかが取り外される。ここでも、例えば、第1配線材用フィルム62aが残されるとする。
【0059】
(4)図5(a)の複数の第2セル用配線材16bの第2端側は、第2渡り配線材14bの表面50上におかれる。この状態において、複数の第1セル用配線材16aの第2端側と、複数の第2セル用配線材16bの第2端側を、x軸方向において互いにずらし、y軸方向において互いに重複させるように、複数の第1セル用配線材16aの第2端側が第2渡り配線材14bの表面50上におかれる。その結果、複数の第1セル用配線材16aを覆っていた配線材用フィルム62が、複数の第2セル用配線材16bも覆いながら、第2渡り配線材14bの表面50上に配置される。他の渡り配線材14に対しても同様の処理がなされる。
【0060】
本実施例によれば、複数の第1セル用配線材16aと複数の第2セル用配線材16bは、配線材用フィルム62により渡り配線材14に接続されるので、接続強度を増加できる。また、複数の第1セル用配線材16aと複数の第2セル用配線材16bは、配線材用フィルム62により渡り配線材14に接続されるので、製造工程を簡易にできる。
【0061】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。複数の第1セル用配線材16aと複数の第2セル用配線材16bは、配線材用フィルム62により渡り配線材14に接続されてもよい。
【0062】
(実施例3)
次に、実施例3を説明する。実施例3は、これまでと同様に、複数の太陽電池セルがマトリックス状に配置された太陽電池モジュールに関し、複数の第1セル用配線材16aと複数の第2セル用配線材16bが第2渡り配線材14bの表面50で櫛歯状にかみ合わされる。これまでの複数の第1セル用配線材16aと複数の第2セル用配線材16bは、x-y平面内において、y軸に沿って略直線状の形状を有する。一方、実施例3における複数の第1セル用配線材16aと複数の第2セル用配線材16bは、屈曲した形状を有する。実施例3に係る太陽電池モジュール100は、図1図2と同様のタイプであり、フィルム80は、図3と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
【0063】
図7は、太陽電池モジュール100の一部分の構造を示す拡大平面図である。これは、図4と同様に示される。ここでも、第1-8太陽電池セル10ahからの複数の第1セル用配線材16aは第2渡り配線材14bに向かって延びるとともに、第2-8太陽電池セル10bhからの複数の第2セル用配線材16bは、第2渡り配線材14bに向かって延びる。複数の第1セル用配線材16aは、第2渡り配線材14bの表面50において、y軸の負方向に進むほどx軸の正方向に進むように屈曲する。複数の第2セル用配線材16bは、第2渡り配線材14bの表面50において、y軸の正方向に進むほどx軸の負方向に進むように屈曲する。その際、第2渡り配線材14bの表面50上において、複数の第1セル用配線材16aのそれぞれと、複数の第2セル用配線材16bのそれぞれは、略平行に配置される。第1-9太陽電池セル10aiからの複数の第1セル用配線材16a、第2-9太陽電池セル10biからの複数の第2セル用配線材16bも同様に構成される。このようなセル用配線材16、渡り配線材14の接続は、第1渡り配線材14a、第3渡り配線材14c、第4渡り配線材14dにおいても同様になされる。
【0064】
本実施例によれば、複数の第1セル用配線材16aと複数の第2セル用配線材16bが渡り配線材14の表面50において屈曲するので、第1領域90aと第2領域90bの太陽電池セル10とにおいて、セル用配線材16の位置を合わせることができる。また、太陽電池セル10におけるセル用配線材16の位置が合わされるので、太陽電池モジュール100の外観の審美性を向上できる。
【0065】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。複数の第1セル用配線材16aは、渡り配線材14の表面50において屈曲し、複数の第2セル用配線材16bは、渡り配線材14の表面50において屈曲し、複数の第1セル用配線材16aと複数の第2セル用配線材16bは、渡り配線材14の表面50において並べられてもよい。
【0066】
以上、本開示について、実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、また、そうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0067】
実施例1から3を任意に組み合わせてもよい。本変形例によれば、組合せによる効果を得ることができる。
【0068】
実施例1から3において、フィルム80が使用されている。しかしながらこれに限らず例えば、フィルム80が使用されず、隣接した太陽電池セル10が、タブ線のようなセル用配線材16によって接続されてもよい。その際、セル用配線材16はワイヤでなくてもよい。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
【0069】
実施例1から3において、第1-8太陽電池セル10ahからの複数の第1セル用配線材16aは、第2渡り配線材14bの表面50を、第2-8太陽電池セル10bh側端まで延びる。また、第2-8太陽電池セル10bhからの複数の第2セル用配線材16bは、第2渡り配線材14bの表面50を、第1-8太陽電池セル10ah側端まで延びる。しかしながらこれに限らず例えば、複数の第1セル用配線材16aのそれぞれは、第2渡り配線材14bの表面50を、第1-8太陽電池セル10ah側端と第2-8太陽電池セル10bh側端との間まで延びてもよい。また、複数の第2セル用配線材16bは、第2渡り配線材14bの表面50を、第1-8太陽電池セル10ah側端と第2-8太陽電池セル10bh側端との間まで延びてもよい。他のセル用配線材16に対しても同様である。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
【0070】
実施例2において、第1配線材用フィルム62aと第2配線材用フィルム62bのいずれかが取り外される。しかしながらこれに限らず例えば、第1配線材用フィルム62aの一部を取り除くとともに、第2配線材用フィルム62bの一部を取り除いてもよい。第1配線材用フィルム62aのうちの残った部分と、第2配線材用フィルム62bのうちの残った部分とが、渡り配線材14の表面50上において組み合わされて、図6の配線材用フィルム62が形成される。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
【符号の説明】
【0071】
10 太陽電池セル、 12 太陽電池ストリング、 14 渡り配線材、 16 セル用配線材、 20 フレーム、 22 受光面、 24 裏面、 30 第1保護部材、 32 第1封止部材、 34 第2封止部材、 36 第2保護部材、 40 受光面側セル用フィルム、 42 裏面側セル用フィルム、 44 受光面側接着剤、 46 裏面側接着剤、 50 表面、 60 セル用フィルム、 62 配線材用フィルム、 80 フィルム、 90 領域、 100 太陽電池モジュール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7