(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】自動車両用の光学モジュール
(51)【国際特許分類】
F21S 41/24 20180101AFI20230724BHJP
F21S 41/151 20180101ALI20230724BHJP
F21S 41/26 20180101ALI20230724BHJP
F21S 41/29 20180101ALI20230724BHJP
F21S 41/20 20180101ALI20230724BHJP
F21S 41/663 20180101ALI20230724BHJP
B60Q 1/14 20060101ALI20230724BHJP
B60Q 1/04 20060101ALI20230724BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20230724BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230724BHJP
【FI】
F21S41/24
F21S41/151
F21S41/26
F21S41/29
F21S41/20
F21S41/663
B60Q1/14 Z
B60Q1/04 E
F21W102:13
F21Y115:10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019003175
(22)【出願日】2019-01-11
【審査請求日】2021-11-26
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、ルノー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル、イェルク
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-070679(JP,A)
【文献】特開2013-107590(JP,A)
【文献】特表2013-522841(JP,A)
【文献】特開2013-073811(JP,A)
【文献】特開2014-026741(JP,A)
【文献】特開2017-039478(JP,A)
【文献】特表2008-524045(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103574464(CN,A)
【文献】特開2014-143200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/24
F21S 41/151
F21S 41/26
F21S 41/29
F21S 41/20
F21S 41/663
B60Q 1/14
B60Q 1/04
F21W 102/13
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のライトガイド(11,12)を備えた第1光学素子(1)と、
前記第1光学素子(1)から距離を置いて配置され
るとともに縦方向光軸(O)を有する投射用光学部品(3)とを含んでい
る自動車両用の光学モジュール(100)であって、
前記第1光学素子(1)が複数の第1ライトガイド(11)および複数の第2ライトガイド(12)を含んでいるものにおいて、
前記複数の第1および第2ライトガイド(11,12)は、前記縦方向光軸(O)と直角をなした直列で横方向に整列させられ
て横方向ライトガイド列を形成しており、
前記複数の第1および第2ライトガイド(11,12)は、ライトガイドの第1副直列(A)、ライトガイドの第2副直列(B)およびライトガイドの第3副直列(C)を形成するように配置され、前記第1副直列(A)、前記第2副直列(B)および前記第3副直列(C)は、前記横方向ライトガイド列の第1端から第2端へとこの順で並ぶように配置されており、前記第1副直列(A)は直列に連続して並べられた前記複数の第2ライトガイド(12)の一部分により形成され、前記第3副直列(C)は直列に連続して並べられた前記複数の第2ライトガイド(12)の残りの部分により形成され、前記第2副直列(B)は直列に連続して並べられた前記複数の第1ライトガイド(12)により形成され、
前記第1ライトガイド(11)
の各々は、前記第2ライトガイド(12)
の各々の相当する横方向寸法よりも小さい横方向寸法をそれぞれ有
し、
前記第1ライトガイド(11)
により形成された前記第2副直列(B)は、前記縦方向光軸(O)に対して横方向へ偏位
され、これにより前記縦方向光軸(O)の前記第1端の側に配置された前記第1ライトガイド(11)の数が、前記縦方向光軸(O)の前記第2端の側に配置された前記第1ライトガイド(11)の数よりも多く、
前記第3副直列(C)に属する前記第2ライトガイド(12)の数が、前記第1副直列(A)に属する前記第2ライトガイド(12)の数よりも多い、
光学モジュール(100)。
【請求項2】
前記第1ライトガイド(11)は、当該第1ライトガイド(11)の全てが前記縦方向光軸(O)の同じ側に置かれるよう前記縦方向光軸に対して配置された直列を形成していることを特徴とする請求項1に記載の光学モジュール(100)。
【請求項3】
前記第1副直列(A)は2つから4つの
前記第2ライトガイド(12)
を含み、前記第2副直列(B)は3つから8つの
前記第1ライトガイド(11)
を含み、前記第3副直列(C)は4つから6つの前記第2ライトガイド(12)
を含む、請求項1または2に記載の光学モジュール(100)。
【請求項4】
前記第1ライトガイド(11)同士の中央縦軸線(O’)が、前記縦方向光軸(O)に対して0.5°から5°の値で横方向へ偏位されていることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の光学モジュール(100)。
【請求項5】
前記第1光学素子(1)は前記複数のライトガイドを備えた単一の塊に作られており、当該第1光学素子(1)が、前記ライトガイドのうちいずれかを通過させられた光線のための共通出光面(10)を有していることを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の光学モジュール(100)。
【請求項6】
前記第1光学素子(1)と前記投射用光学部品(3)との間に第2光学素子(2)が配置されていることを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の光学モジュール(100)。
【請求項7】
前記第1ライトガイド(11)はそれぞれ、第1基本ビーム(11’)を投射するための基本光源(4)と関連付けられ、前記第2ライトガイド(12)はそれぞれ、第2基本ビーム(12’)を投射するための基本光源(4)と関連付けられ、前記投射用光学部品(3)は、前記第1基本ビーム(11’)と前記第2基本ビーム(12’)とによって形成されるセグメント化された光ビームの、縦方向光軸(O)に沿った投射を可能とする、
請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の光学モジュール(100)において、前記第1基本ビーム(11’)
は、前記縦方向光軸(O)に対して偏位されていることを特徴とする請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の光学モジュール(100)。
【請求項8】
当該光学モジュールは、前記第1ライトガイド(11)と関連付けられた一次基本光源(4)の少なくとも一部を制御するために構成されたパルス幅変調ユニットを含んでおり、そのパルス幅変調ユニットは、前記セグメント化された光ビームの中央部に配置された前記第1基本ビーム(11’)と前記第2基本ビーム(12’)とが同じ光強度を有するように制御するために構成されていることを特徴とする請求項7に記載の光学モジュール(100)。
【請求項9】
請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の光学モジュール(100)を含んだ少なくとも1つのヘッドライトを備える自動車両。
【請求項10】
請求項9に記載の自動車両であって、この車両の進行方向と平行な中央縦軸線を有した自動車両において、前記少なくとも1つのヘッドライトが左側ヘッドライトであり、前記モジュールは、前記第1ライトガイド(11)が大体において前記縦方向光軸(O)と当該車両の前記中央縦軸線との間に置かれるという点において本発明により構成されていることを特徴とする自動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメント化された光ビームを発生させることのできる、自動車両用の光学モジュールに関する。本発明はさらに、そのような光学モジュールを少なくとも1つ備えるヘッドライトの設けられた自動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
この文脈において自動車両には、「マルチビーム」や「ピクセルビーム」と呼ばれるセグメント化された光ビームを(例えば、1列の長方形セグメントにて、あるいは寧ろ複数列の正方形や長方形のセグメントにて)縦方向前方へ放出することのできる光学モジュールが設けられる。投射されるセグメント化された光ビーム(これは、並置されたり重複されたりした複数の基本ビームで構成される)は、複数のライトガイド(導光体)の長方形区画の出光面同士によって形成されるアレイの像の道路現場上への投射に対応するものであり、それらのライトガイドは、直列に配置された一次基本光源とそれぞれ関連付けられている。セグメント化された(すなわち、複数の基本ビームで構成される)光ビームは、次の点においてアダプティブ光ビームを形成する。すなわち、一次基本光源のそれぞれを選択的に点灯したり消灯したりすることによって、投射されるセグメント化された光ビームの形状を修正すること、具体的には車両前方の道路における一定の区域を照らしつつ、その他の区域は暗闇のままにしておく(これは、検出された車両を幻惑しないためにである)という点においてである。
【0003】
そのような光学モジュールは特に、「ADB」(「アダプティブ・ドライビング・ビーム」の略語)とも呼ばれるアダプティブ・ライティング(配光可変照明)機能を実行するために車両の前部に配置される照明装置で用いられる。そのようなアダプティブ・ライティング機能は、車両のヘッドライトによりハイビームとして放出された照明ビームによって幻惑されそうな道路使用者を自動的に検出し、この照明ビームの形状を次のように修正するよう企図されている。すなわち、検出された使用者の位置するところに暗いトンネルを形成する暗闇の区域を作り出しつつ、当該使用者の両側では広範囲にわたって道路を照らし続けるようにである。諸規制によれば、例えば50メートルのところで反対方向へ進行している別の車両を幻惑するのを防止するよう、光軸に対して横方向に暗闇の区域が作り出されねばならない。この暗闇の区域はかくして、施行中の現行欧州規制R123に従って、水平線と垂直線との交差に対して2.8°から4°の横方向偏位と0.57°の垂直方向偏位で形成される。この情報は、例として与えられたものであって、規制毎に変わる可能性があるであろう、ということを認識されたい。
【0004】
このアダプティブ・ライティング機能の利点は、使用の容易性、ロービームに比べて優れた視認性、大幅に減少した幻惑のリスク、より安全な運転と多岐にわたっている。
【0005】
より特定的には、そのような光学モジュールは概して、前述した一次基本光源のアレイ(これは通常、「LED」とも呼ばれる発光ダイオードによって形成される)に加えて、一次基本光源と向かい合って配置された複数のライトガイドを備える第1光学素子と、一次光源によって放出され第1光学素子によって偏向された光線を成形して、それにより規制照明ビームを形成するように構成された投射用光学部品とを備えている。各一次基本光源は、セグメント化された光ビームの投射方向と直交した平面内に広がるプリント回路基板上に配置されている。第1光学素子の各ライトガイドは、全体として縦方向へ伸びており、自らの縦方向両端部のところに、一次基本光源によって放出された光線のための入光面面と、これらの光線のための出光面とを有している。第1光学素子は、各ライトガイドの出光面が実質的に投射用光学部品の物体焦点面内に配列されるよう、投射用光学部品に対して配置されている。
【0006】
各ライトガイドは、一次基本光源によって放出された光線を、概して長方形ピクセルや正方形ピクセルの形態の集中したペンシル・ビームへと成形するように企図されている。実質的に投射用光学部品の物体焦点面内に配列されたライトガイドの出光面同士が、投射用光学部品によって無限遠に映し出すことのできる二次基本光源のアレイを形成する。
【0007】
そのような光学モジュールは、二次基本光源の投射された像が、光の分散と制御された鮮明性とを有することを要求する。それは、二次基本光源の像同士の集まりによって形成されるセグメント化された光ビームが均質であるようにである。これは(例えば、多数の二次基本光源の像同士が重複する区域内での)光強度のばらつきによる照明の変動によって車両の運転者が悩まされないことを保証するためである。
【0008】
前記で言及してきたであろうように、ADBとして知られたアダプティブ・ライティング機能は主として、ハイビームに近い照明強度のモードのままでありながら、暗闇の区域に位置した運転者を幻惑するのを回避する。それは、1つないし複数の一次基本光源の消灯後における、セグメント化された投射ビーム内での暗黒ストリップの形成を通じたものである。全ての一次基本光源が点灯されたときには、投射されるセグメント化されたビームは、道路現場を全面的に照らす、ハイビームの光ビームに相当するものである。ハイビーム照明に関する規制に従うために、この全面的な照明ビームは、その中央部で最大にして十分な強度を有していねばならない。この既知の状況においては、第1光学素子の各ライトガイドと各一次基本光源とを、縦軸線上を中心とした光強度が最大となるように配置することへの備えがなされる。より特定的には、光学モジュール内の第1光学素子を次のように構成することが知られている。すなわち、高解像度の二次基本光源の形成に関与するライトガイドが、光学モジュールの光軸上に配置されるようにである。それは、高解像度のピクセルの像が、ビームの中央部で道路現場上に投射されるようにするためである。高解像度の二次基本光源は、第1光学素子の出光部において、隣り合う低解像度の光源の表面積よりも小さな表面積を有しており、また高解像度の二次基本光源は、隣り合うライトガイドの入出光表面積よりも小さな出光表面積を(従って、入光表面積を)有したガイドの出光面のところに形成される、ということを認識されたい。
【0009】
しかしながら、そのような、ライトガイドを含んだ光学モジュールにおいては、投射されるセグメント化された光ビームが、特に(クロストークとして知られる)光学的現象の影響下で、高レベルの寄生的な光輝を有している。それは、一次基本光源によって放出された光の全方向への拡散と、これらの一次基本光源と各ライトガイドとの間の距離とによるものである。より特定的には、ある一次基本光源によって放出された各光線は主に、この一次基本光源と直接的に向かい合って配置されたライトガイドの方へと差し向けられるのであるが、これらの光線のうち極めてわずかな部分は、隣り合うライトガイドの方へと差し向けられ、屈折によって側面を通じてそこへ入り込んでしまう、ということに留意されたい。所与の光源によって放出された光線のこの部分は、ライトガイドの一次基本一次光源と向かい合う入光面には対応していない出光面のところで第1光学素子から抜け出させられる。この寄生光は、アダプティブ・ライティングの作動に特有の暗黒ストリップを実施したいと望むときには、特に厄介なものである。それは、消灯されていない光源によって放出された光線が、消灯された光源に対応するガイドの出光面のところで第1光学素子から抜け出してしまい得るからである。明らかに、この現象は、ライトガイドの入光面が小さいときに増幅され、従って「高解像度の」二次基本光源について増幅されるのである。
【0010】
もっとも、投射されるセグメント化された光ビームにおける暗黒ストリップの生成は、規制上の制約を満たすものであり、その制約は特に(上述したように)この暗黒ストリップが縦軸線に対して2.8°から4°の横方向偏位を伴って作り出されることを求めている。その結果は、光軸とこの暗黒ストリップとの間における光の投射を可能とする各光源が、暗黒ストリップの生成中、点灯され続けるということになる。光軸上を中心としたこれらの光源が、前述した寄生現象の発生に、より通じやすい、高解像度の基本二次光源に対応した光源である、ということが前もって特定されている。
【0011】
この問題を解決するよう既に、光学モジュールの光軸と平行に置かれる不透明なシャッター壁を各ライトガイドの間に配置することへの備えがなされている。それは、ある光源によって放出された、この光源と直接的に向かい合うライトガイド内へは入り込まない光線が、その光線と関連付けられてはいないライトガイド内へ入り込めることを防ぐためである。それは有効なものであると考えられるが、この解決策は、必然的にモジュール内の追加的な構成要素の製造や存在を伴うものであって、モジュールの重量やコストにとって不利益となり、またモジュール組立体の運用を複雑化してしまう。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、この状況にうまく適合して、この欠点を改善するように特定の構成を光学モジュールにもたらすことを目的とする。
【0013】
かくして本発明は、複数のライトガイドを備えた第1光学素子と、当該第1光学素子から距離を置いて配置された、縦方向光軸を有する投射用光学部品とを含んでいる、自動車両用の光学モジュールであって、ライトガイド同士が、縦方向光軸と直角をなした直列で横方向に整列させられ、ライトガイドは、第2ライトガイド同士の間に差し挟まれることによって互いに連続的に配置された第1ライトガイドを含んで成り、第1ライトガイドは、各第2ライトガイドの相当する横方向寸法よりも小さい横方向寸法をそれぞれ有している、光学モジュールを提供するものである。
【0014】
本発明によれば、第1ライトガイドは大体において、縦方向光軸対して横方向へ偏位されている。
【0015】
相当する横方向寸法とは、第1ライトガイドと第2ライトガイドとの間での横方向寸法の差異は、これらのガイドの入光面または出光面について計測され得るが、それはガイド毎に同じ面上での比較がなされる限りにおいてである、ということを意味するものと理解されたい。
【0016】
互いに組合わせや単独で採用され得る一連の特徴によれば:
- 少なくとも3分の1の第1ライトガイドが縦方向光軸に対して偏位されており、
- 第1ライトガイドは、当該第1ライトガイドの全てが縦方向光軸の同じ側に置かれるよう縦方向光軸に対して配置された直列を形成しており、
- 第1光学素子は逐次、2つから4つの第2ライトガイドの第1直列部分を形成する第2ライトガイドと、3つから8つの第1ライトガイドの第2直列部分を形成する第1ライトガイドと、4つから6つの第2ライトガイドの第3直列部分を形成する第2ライトガイドとを含んでおり、
- 第1ライトガイド同士の中央縦軸線が、光学モジュールの縦方向光軸に対して、少なくとも0.5°であって0.5°から5°の間であり得る値だけ横方向へ偏位され、より特定的には、第1ライトガイド同士の中央縦軸線が、縦方向光軸に対して2°から5°の間の値だけ横方向へ偏位されており、それにより、別の車両を幻惑するのを防止するよう暗闇の区域を形成するための欧州基準に関して前述したような角度値の範囲を対象とすることが可能となるが、もちろん、この値の範囲は適用可能な規制に応じて変化しうるものである、ということを理解されたいし、中央縦軸線は、光学モジュールの縦方向光軸と平行な、第1ライトガイドの横方向直列の中央を通過する縦軸線を意味するものと理解されたく、
- 第1ライトガイドと第2ライトガイドとが一緒になって、光学モジュールの縦方向光軸と直角をなす2次元マトリックスの形態を主としてとっているマトリックスを形成し、この縦方向光軸が横方向に関して当該マトリックスの略中央を通過しており、
- それぞれのライトガイドが、関連する一次基本光源によって放出された光線のための入光面と、投射用光学部品の焦点面内に配置された、光線のための出光面とを備えており、
- 第1ライトガイドの入光面は、第2ライトガイドの入光面の横方向寸法よりも小さな横方向寸法を有しており、
- 第1ライトガイドの出光面は、第2ライトガイドの出光面の横方向寸法よりも小さな横方向寸法を有しており、
- 一次基本光源同士が、直交発光面に平行な平面内に配置され、全てのライトガイドが、縦方向光軸に沿って同一ないし殆ど同一な長さを有しているが、直列の両端部のそれぞれに配置されたライトガイドはもっと長くてもよい、ということを理解されたく、
- 第1光学素子は複数のライトガイドを備えた塊に作られ、当該第1光学素子が、ライトガイドのうちいずれかを通過させられた光線のための共通出光面を有しており、
- 第1光学素子と投射用光学部品との間に第2光学素子が配置されていてもよく、
- 第1ライトガイドはそれぞれ、第1基本ビームを投射するための少なくとも1つの基本光源と関連付けられ、第2ライトガイドはそれぞれ、第2基本ビームを投射するための基本光源と関連付けられ、投射用光学部品は、第1基本ビームと第2基本ビームとによって形成されるセグメント化された光ビームの、車両の縦軸線に沿った投射を可能とし、第1基本ビームは大体において、車両の縦軸線に対して偏位されており、
- 当該光学モジュールは、第1ライトガイドと関連付けられた基本光源の少なくとも一部を制御するために構成されたパルス幅変調ユニットを含んでおり、そのパルス幅変調ユニットは、セグメント化された光ビームの中央部に配置された第1基本ビームと第2基本ビームとが同じ光強度を有するように制御するために構成されている。
【0017】
本発明の主題は、前述したような光学モジュールを含んだ少なくとも1つのヘッドライトを備える自動車両でもある。
【0018】
その車両は、当該車両の進行方向と平行な中央延長軸線を有すると共に、前述したような光学モジュールを含んだ少なくとも1つのヘッドライトを備えていてもよくて、少なくとも1つのヘッドライトが左側ヘッドライトであってもよく、そしてモジュールは、第1ライトガイドが大体において縦方向光軸と当該車両の中央縦軸線との間に置かれるという点において本発明により構成されている。
【0019】
本発明のその他の特徴、詳細、および利点は、図面を参照して、下記で例示として与えられた説明を読み取ることで、よりはっきりと明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】縦方向投射軸に沿って第1光学素子と、第2光学素子と、投射用光学部品とを主に含んだ、本発明による光学モジュールの模式的な平断面図。
【
図2】
図1に示すものと一致した光学モジュール内に取り付けることのできる第1光学素子の斜視図。
【
図3】第1光学素子の下流側に描かれた投射用光学部品の光軸に対しての、第1光学素子のライトガイドの分布を示す模式的な平面図。
【
図4】セグメント化されたビームを投射するための光学モジュールにおける光線の経路を示す、
図3と同様の図。
【
図5】セグメント化された投射ビーム内に暗いトンネルを形成するために第1ライトガイドが消灯されている、
図4と同様の図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書の以下において、以下の非限定的な向きが採用されることとなる:
- 光学モジュールの投射用光学部品の縦方向光軸と、関連した車両の進行方向とに沿って、車両の標準的な進行方向に対して後ろから前方を向いた、縦L、
- 車両の進行する地面と直角をなす軸線に沿った、垂直V(垂直方向Vは、必ずしも重力の方向とは関係付けられることなく、幾何学的な基準として用いられる)、並びに、
- 前述の縦軸線および垂直軸線と直角をなす軸線に沿って、左から右の方を向いた、横T。
【0022】
図1と
図4とを一緒に参照すると、自動車両用のヘッドライトへ備え付けられるように企図された光学モジュール100が表されている。光学モジュール100は、縦方向前方を向いたセグメント化された光ビームを放出するように企図されている。複数の基本ビーム11’,12’(
図4参照)で構成されるのがアダプティブ光ビームである。そのような光学モジュール100は特に、「アダプティブ・ドライビング・ビーム」を表す「ADB」としても知られるアダプティブ・ビーム機能を果たすことができるのである。そのモジュールは、「ダイナミック・ベンディング・ライト」を表す「DBL」としても知られる方向性照明機能を果たすこともできる、ということを理解されたい。
【0023】
自動車両用のヘッドライトは、そのような光学モジュール100を少なくとも1つ備えているが、その他の照明および/または合図用の光機能をさらに実施するために、同じヘッドライト内に別の光学モジュール類が配置されていてもよい。
【0024】
光学モジュール100は主に、一次基本光源4と、ライトガイド群の設けられた第1光学素子1と、当該第1光学素子1から距離を置いて縦方向前方に配置された投射用光学部品3とを備えている。その投射用光学部品3は、縦方向光軸Oを有するように形成されている。適切な場合には、光学モジュール100は、第1光学素子1と投射用光学部品3との間に置かれる、フィールド(像面)補正光学素子として知られた第2光学素子2を備えている。
【0025】
一次基本光源4は、発光ダイオードによって形成されている。光学モジュール100は、この場合は横方向Tに沿った一連の発光ダイオードによって形成される一次基本光源4の列を少なくとも1列含んでいる。各一次基本光源4は、プリント回路基板5の前面によって支持されている。
【0026】
プリント回路基板は、各発光ダイオードへ電力を供給することと、各発光ダイオードによって発せられる光強度を制御するためのパルス幅変調ユニットを支持することとの両方を可能とする。その光強度の制御は特に、下記でより詳細に説明することとなるように、100%の光強度の動作モードと、発せられる光強度が例えば80%である低下モードとをもたらすためである。
【0027】
各一次基本光源4は、全方向へ光線を放出する。そして、これらの光源を形成する発光ダイオード同士のプリント回路基板上での配置が、大きく開いた発光円錐(例えば、ランバート型のもの)を生じさせる。
【0028】
セグメント化された光ビームを放出することを狙った光学モジュール100という状況においては、各一次基本光源4がライトガイド11,12と関連付けられる。そのライトガイド11,12は、自らの出光面11B,12B(すなわち自らの、一次基本光源とは反対側の自由端部)のところに正方形や長方形の形状のピクセルを形成する二次的な像(すなわち、二次基本光源51,52)をフォーマットするために、第1光学素子1内に特定的に配置される。このために第1光学素子1が、放出された光線の分布を修正する目的で、一次基本光源4の列の縦方向前方に配置されるのである。
【0029】
各ライトガイドの出光面11B,12Bは、光学モジュール100における投射用光学部品3の物体焦点面上に配置されている。そして第1光学素子1は、一次基本光源4と投射用光学部品3との間に配置されている、ということを認識されたい。
【0030】
第1光学素子1における各ライトガイドの形状や配置をより詳細に説明する前に、この第1光学素子1の下流側に配置された要素、すなわちフィールド補正光学素子2および投射用光学部品3の説明を加えることとする。
【0031】
投射用光学部品3は、ここではレンズ形状になっている。既知の手法で、投射用光学部品3は、概して縦方向光軸Oと直交して広がる物体焦点面を備えている。縦方向光軸Oは、投射用光学部品3の物体焦点のところで、その物体焦点面と交差している。各二次基本光源51,52は実質的に、この投射用光学部品の物体焦点面上に位置している。それは、これらの二次基本光源が鮮明に映し出されることと、この投射用光学部品を介して道路現場上に投射されるセグメント化された光ビームが、その用途に望まれる光特性を有することのためである。
【0032】
原理的には、投射用光学部品3は、平坦で縦方向光軸Oと完全に直交する物体焦点面を有するものと想定される。しかしながら現実には、投射用光学部品3は凹形球状湾曲欠陥を持った物体焦点面を有している。そのような欠陥は、ペッツバール像面収差と呼ばれる。
【0033】
投射用光学部品3を二次基本光源51,52上に正確に焦点合わせするのを可能とするために、フィールド補正光学素子として知られる第2光学素子2が、発光面Pと投射用光学部品3との間に置かれているのである。この第2光学素子2は、投射用光学部品3の像面湾曲収差を補正するために特に設計されている。
【0034】
第2光学素子2は、第1光学素子1から見て、投射用光学部品3の湾曲した焦点面の第2光学素子2による像が、二次基本光源51,52の現れる発光面Pと一致した物体焦点面内に広がるように形成されている。投射用光学部品3は、物体焦点面との接平面が発光面Pとなるように予め定置されており、第2光学素子2は、物体焦点面を発光面Pの方へと平らに伸ばす効果を有しているのである。
【0035】
第2光学素子2は、「フィールド・フラッタナー・レンズ」としても知られる少なくとも1つのフィールド補正レンズによって形成されている。図示例においては、第2光学素子2が単一のフィールド補正レンズを備えているが、この第2光学素子2は、例えば非点収差や歪曲収差などの他の収差類を補正するための別形式のレンズ類はもちろん、光軸に沿って直列に配置された複数のフィールド補正レンズを備えることもできるであろう、ということを理解されたい。
【0036】
第2光学素子2は、発光面Pから縦方向に距離を置いて配置された、光線のための入光面20を備えている。第2光学素子2の入光面20は、第1光学素子1の出光面10、および/または、この第1光学素子の持っている各ライトガイドの出光面11B,12Bから、縦方向に距離を置いて配置されている。この第2光学素子2の入光面20は、投射用光学部品の縦方向光軸Oに近い自らの中央部において、湾曲した凹形状ないし凸形状を有している。
【0037】
第2光学素子2は光線のための出光面21をさらに備えているが、その出光面21は、投射用光学部品3と縦方向に向かい合って距離を置いて配置され、凸形状を有している。
【0038】
第1光学素子1と投射用光学部品3との間に第2光学素子2を配置することによって、直列における横方向の一端部から他端部まで略等しい長さを有した、短いライトガイド11,12を製造することが可能となる。かくして第1光学素子1の製作が容易となる。特に、成型では長いライトガイド11,12を得ることのできない材料を使用することが可能となるのである。本発明による第1光学素子1は、かくしてポリカーボネイトで作ることができる。もちろん、本発明の教示によって製造される第1光学素子1は、なおさら、ガラスやシリコーンや、ポリメチルメタクリレート(PMMA)でさえ、あるいはライトガイド11,12を製造するのに適した如何なる他の材料で作られてもよい、ということを理解されたい。
【0039】
図1と
図4とを一緒に参照すると、第1光学素子1は、単一品の集成体を形成する後方部分1Aと前方部分1Bとを備えている。
【0040】
前方部分1Bは、二次基本光源51,52によって放出された基本ビーム11’、12’を成形するための部分である。前方部分1Bは、第1光学素子1における光線同士の共通出光面10を備えている。その結果、例えば基本ビーム11’、12’を垂直方向および/または水平方向に広げることが可能となる。この前方部分1Bは、第1光学部材1が一塊で作られるように、ライトガイド11,12の中の一部分で作られている。
【0041】
第1光学素子1は、投射用光学部品3とは反対側の一次基本光源4の方に面した自らの後方部分1Aに、複数のライトガイド11,12で形成されたアレイを備えている。アレイは、主として横方向Tに整列している。より特定的には、アレイはこの場合、ライトガイド11,12の横列112を2列伴ったマトリックスの形態をとっている。それらの横列112同士は、当該ライトガイドの列の延長方向と直角をなす垂直方向で、上下に配置されている。各ライトガイド11,12は少なくとも1つの一次基本光源4と関連付けられているが、それらのガイドの全部ないし一部(特に、各列の横方向端部に配置されたライトガイド)は、複数の一次基本光源4と関連付けられていてもよい、ということを理解されたい。
【0042】
第1列111(この場合は
図2の下列)は、
図4および
図5に示すように、第1組の基本ビームを作り出すための各一次基本光源4を形成する発光ダイオードと向かい合って配置されている。それらの基本ビームの横方向の並置が、道路上へと投射されるセグメント化された光ビームの上方部分(すなわち、長距離用ビームの部分)の形成を助ける。第2列112(この場合は
図2の上列)は、図示しない第2組の基本ビームを作り出すための各一次基本光源4を形成する発光ダイオードと向かい合って配置されている。それらの基本ビームの横方向の並置が、道路上へと投射されるセグメント化された光ビームの下方部分の形成を助ける。
【0043】
本明細書の残りの部分では、これらのライトガイド11,12の列のうちの一方(すなわち、
図2に示すライトガイド11,12の下列)の構成をより詳細に説明することとなるが、暗黒区域を形成するように制御されるべき長距離用ビームを放出することのできるのがこの列である、ということを理解されたい。ただし、本発明の文脈から逸脱することなく、続きの部分の詳細を、第2列のガイドに適用してもよいし、少なくとも3列のガイドが設けられるように光学モジュールが構成されている場合には、その他の列のガイドに適用することができるであろう。
【0044】
下列は、2つの形式のライトガイド11,12を備えている。より特定的には下列は、横方向寸法(すなわち、ガイドの直列の主方向に沿った寸法)によって互いに区別される第1ライトガイド11と第2ライトガイド12とを含んでいる。第1ライトガイド11は、第2ライトガイド12同士の間に差し挟まれることによって、互いに連続的に配置されている。また、各第1ライトガイド11の入光面11Aおよび出光面11Bそれぞれの横方向寸法は、各第2ライトガイド12の入光面12Aおよび出光面12Bそれぞれの横方向寸法よりも小さくなっている。
【0045】
換言すれば、第1光学素子1内に配置された下列のライトガイド11,12は、多数のライトガイド11,12が横方向の直列で互いに続くように構成されている。そして、少なくとも1つの第1形式のライトガイド11が、より小さな横方向寸法によってその他から区別され、この、ないしは、これらの第1形式のライトガイド11が、第2形式の(すなわち、第1形式のライトガイド11よりも大きな横方向寸法の)ライトガイド12同士によって囲まれて、中央位置に配置されている。第1ライトガイド11(すなわち、第1形式のライトガイド)の中央位置というは、これら第1形式のライトガイド11の両側の横方向に第2ライトガイド12(すなわち、第2形式のライトガイド)が存在しているが、このことが第1形式のライトガイド11を中心とした第2形式のライトガイド12の対称的な配置を要するものではない、ということを意味するものと理解されたい。さらに、第2形式のライトガイド同士は、それらの間で(特に、列の横方向両端部に配置された、ずっと幅広でフレア状に広がったガイドが)異なる寸法を有していてもよい、ということに留意されたい。
【0046】
図3は、ある1列(ここでは第1列、すなわち下列)111を形成するライトガイド同士の横方向の直列と、投射用光学部品3の形状によって定まる縦方向光軸Oに対しての、それらのガイドの位置とを模式的に表している。本発明によれば、第1ライトガイド11は大体において、縦方向光軸Oに対して横方向へ偏位されている。換言すれば、左ハンドルの(すなわち右側通行用の)車両、右ハンドルの(すなわち左側通行用の)車両それぞれの光学モジュールを適用する場合に、過半数の第1ライトガイド11が、車両内部から見て縦方向光軸の(
図3から
図5に示すような)右側、左側にそれぞれ配置されるのである。そのようなライトガイドの横方向偏位の有益性を例示するために、これらのライトガイドから投射用光学部品を通じて出力される光線の経路の説明が後に与えられることとなる。
【0047】
図示の実施形態によれば、ライトガイドの横方向の列は順次、3つの第2ライトガイド12の第1副直列A、次に8つの第1ライトガイド11の第2副直列B、最後に5つの第2ライトガイド12の第3副直列Cによって形成されている。
【0048】
各ライトガイド11,12は、一次基本光源4によって放出された光線のための入光面11A,12Aから、前述した光線のための出光面11B,12Bに至るまで、縦方向光軸Oと略平行な縦方向主軸O1に沿って伸びている。各ライトガイド11,12は、前記二次基本光源51,52のうちの1つを形成するよう、入光面11A,12Aを通じて進入した光線を出光面11B,12Bにまで案内するように設計されている。
【0049】
より特定的には、ライトガイド11,12の入光面11A,12A同士が、プリント回路基板の平面と略平行な共通平面内に配置されている。第1光学素子1が光学モジュール100内に配置されたとき、かくして各入光面11A,12Aは縦方向で、関連した一次基本光源4に面して近接して定置される。その結果、各一次基本光源4によって放出された光線の大部分が、関連したライトガイド11,12へ進入する。
【0050】
二次基本光源51,52を形成するライトガイド11,12の出光面11B,12B同士は、縦方向光軸Oと直交した発光面P内に配置されている。発光面Pは、投射用光学部品3の物体焦点面である。それは、二次基本光源51,52の像が無限遠に投射されることのためである。ここでの表現は真っ直ぐな平面による模式的なものであるが、当業者は本発明を実施する間に、この発光面Pついての湾曲したプロファイルをどのようにして与えるかを知ることとなる。
【0051】
前述したように、第1ライトガイド11における入光面11Aと出光面11Bそれぞれの横方向寸法は、第2ライトガイド12における入光面12Aと出光面12Bそれぞれの横方向寸法よりも小さくなっている。より特定的には、第1ライトガイドの出力の方が第2ライトガイドの出力よりも高解像度のピクセルをもたらすように、第1ライトガイドの出光面の横方向寸法が第2ライトガイドの出光面の横方向寸法よりも小さくなっているのである。
【0052】
かくして、第1ライトガイド11の各出光面11Bは、第1二次基本光源51から放出される高い光強度の第1基本「高解像度」ビーム11’を作り出すのに適した区画を有している。同様に、第2ライトガイド12はそれぞれ、第2二次基本光源52から放出される低い光強度の第2基本「低解像度」ビーム12を作り出すのに適した区画を有している。高、低解像度や、高い、低い光強度という用語は、それを所与の閾値を超過するという問題とはすることなく、基本ビームのうちの1つが他よりも優れた解像度を有することを特徴付けるために選ばれているのである、ということを理解されたい。
【0053】
各第1基本ビームおよび各第2基本ビームは、ヘッドライトに備え付けられた光学モジュール100の機能に望まれる形状のものである。
【0054】
かくしてライトガイド11,12の出光面11B,12B同士が、二次基本光源51,52の列を形成する。それぞれの二次基本光源51,52は、投射用光学部品による規定の全体的なビームの投射のために、発光面Pから縦向きの投射の主方向に基本ビームを放出することができる。二次基本光源51,52を形成する出光面11B,12B同士は、互いに直近に(例えば、それらの間に0.1mmの隙間を置いて)配置されている。
【0055】
さらに、
図3に示すライトガイド11,12は模式的に示されていることに留意されたい。実際には、第1光学素子1は、単一の型から得られる一体品の集成体によって形成されている。また、ライトガイド11,12は全て、各入光面11A,12Aの横方向寸法が各出光面11B,12Bの横方向寸法よりもわずかに小さくなるように、それぞれのライトガイドについての相当隙間角を伴って、フレア状に広がった形状を有している。従って、前述した第1ライトガイドと第2ライトガイドとの間での、各ライトガイドの出光面における横方向寸法の差が、これらのガイドの入光面においても見いだされるのである。小さな二次基本光源51を形成するための小さな出光面11Bによる高解像度のピクセルはかくして、一次基本光源4によって放出された光線がそれに沿って通り得るところの、小さな入光面のガイドに相当する。
【0056】
第1ライトガイド11の出光面11Bは第1二次基本光源51に対応し、第2ライトガイド12の出光面12Bは第2二次基本光源52に対応している、ということを理解されたい。
【0057】
各第1ライトガイド11および各第2ライトガイド12は、縦方向光軸Oと直角をなす横方向の直列で整列している。それは、ライトガイド11,12の第1、第2、および第3副直列A,B,Cが、横方向Tで互いに連続的に配置された状態での整列である。
【0058】
前記で言及したように本発明によれば、第1ライトガイド11は大体において、投射用光学部品3の(すなわち光学モジュールの)縦方向光軸Oに対して横方向へ偏位されている。そのような偏位は、投射用光学部品3と第1光学素子1とが光学モジュール100内の所定の位置にあるときに確立される。(この場合は8つの)第1ライトガイド11は直列に配置されているが、その配置は、この第1ライトガイドの直列の中央(すなわち、この直列における4番目と5番目のライトガイド同士の間の接合箇所)を通過する中央縦軸線O’が定められ得るように行われている。
図3に示すように、この中央縦軸線O’は、縦方向光軸Oに対してΔの偏位値で横方向に偏位されている。縦方向光軸Oは実質的に、当該の列におけるライトガイドの横方向直列の中央を通っている。
【0059】
より特定的には、この実施形態によれば、第1光学素子1は8つの第1ライトガイド11を備えているが、それらの第1ライトガイド11は、車両の内部から見て次のように配置されている。すなわち、縦方向光軸Oの左側に2つの第1ライトガイド11が置かれ、縦方向光軸Oの右側に5つの第1ライトガイド11が置かれ、1つの第1ライトガイド11が縦方向光軸Oと重複して置かれるようにである。前述してきたことによれば、左側通行の車両のバージョンにおいては第1ライトガイドの配置が反転されるであろう、ということを理解されたい。
【0060】
投射用光学部品3は、縦方向で発光面Pの前方へ距離を置いて配置されている。投射用光学部品3は、前方を向いた第1および第2基本ビーム11’、12’を形成するための二次基本光源の像を、車両の縦軸線に沿って投射するように構成されている。それら第1および第2基本ビーム11’、12’同士の組み合わせによって、道路現場上にセグメント化された光ビームを形成することが可能となる。
【0061】
セグメント化された光ビームは、このように、連続的に互いに整列した第1および第2基本ビーム11’、12’により形成される。
【0062】
特に
図4および
図5で見ることができるように、縦方向光軸に対するライトガイドの特定の配置は必然的に、光学モジュールの光軸と略平行な車両の縦軸線に対する基本ビームの特定の配置を伴うものである。図示例においては、ライトガイド11,12の第1、第2、および第3副直列A,B,Cの配置によって定められる同一の横方向Tにおいて、次のことを観察することができる。すなわちセグメント化された光ビームが順次、第2ライトガイドの第1副直列Aと関連付けられる第2二次基本光源52により放出された光線から結果として生じる第2基本ビーム12’によって、次に第1ライトガイドの第2副直列Bと関連付けられる第1二次基本光源51により放出された光線から結果として生じる第1基本ビーム11’によって、最後に第2ライトガイドの第3副直列Cと関連付けられる第2二次基本光源52により放出された光線から結果として生じる第2基本ビーム12’によって形成されるということである。
【0063】
この、投射用光学部品3によって道路上へと投射されるセグメント化された光ビームにおいては、縦方向光軸Oに対するライトガイドの横方向偏位と同様にして、第1基本ビーム11’が大体において、車両の縦軸線に対して横方向へ偏位される。換言すれば、過半数の第1基本ビーム11’が縦軸線の一側に置かれ、半数未満の第1基本ビーム11’が縦軸線の他側に置かれるのである。特に
図4に示すように、この光学モジュールの直接結像のために、縦軸線に対する横方向偏位は、次のことに応じて反転されるということを理解されたい。すなわち、ここでは大半において車両の内部から見て右側へ偏位されたライトガイドや、道路上へと投射されるセグメント化された光ビームのうち、ここでは大半において車両の内部から見て左側へ偏位された部分を形成する、対応した基本ビームが、規制に従って50メートル離れた車両を幻惑しないよう、右側通行の場合には光軸の左側に少なくとも0.5°程度(より特定的には、2°から5°程度)の偏位で存在する第1基本ビーム11’にて暗いトンネルを形成するものと考えられるかどうかに応じてである。
【0064】
しかしながら本発明は、この図示された構成に限定されるものではなく、第1ライトガイド11および対応した第1基本ビーム11’が全て、縦方向光軸Oに対してそれぞれ一側、そして他側に偏位される、ということが規定されてもよい。換言すれば、この変形例(図示せず)においては、全ての第1ライトガイド11が縦方向光軸Oの同じ側に置かれ、全ての第1基本ビーム11’が縦方向光軸Oの反対の側に置かれるのである(その光軸Oは尚も、前述したようにライトガイドの横方向直列の中央を通っている)。
【0065】
ここで、本発明の妥当性を、より特定的に
図4および
図5を参照して説明することとする。
【0066】
道路現場上への投射において、各二次基本光源51,52は、道路現場のある区域を照らせるようにする基本ビーム11’、12’の投射を可能とする。それらの区域同士は、均質な照明を保証するよう、僅かに重複している。各一次基本光源4は、道路現場の各区域を選択的に照らすことのできるよう個別に制御される。ある一次基本光源4を点灯することによって、ある二次基本光源51,52上に像のピクセルが生じ、かくして道路現場のある区域が照らされ、逆に同じ一次基本光源4を消灯することによって、暗いライトガイドの出光面が生じ(すなわち二次基本光源52が消灯し)、かくしてセグメント化された光ビーム内に暗黒ストリップが発生する、ということを理解されたい。
【0067】
図4は、全ての一次基本光源が点灯される場合、従って本発明による光学モジュールの備え付けられた車両の前方で道路現場の全体が照らされるハイビーム照明の場合を示している。また、
図5は、本発明による光学モジュールの備え付けられた車両の進路とすれ違う自動車両の運転者を幻惑しないように部分的なビームで照明をする場合を示している。部分的な照明の場合は、当該車両からある一定の距離のところに車両が検出されるやいなや、より特定的には、この対向車両が、縦軸線の左側で道路現場上に投射されるセグメントのうちの1つによって照らされるような距離にあるときに、自動的に実施される。
【0068】
かくして、検出された車両の幻惑を防止するように暗いトンネルが形成されるが、これはより特定的には、道路上で検出された車両の位置に対応する特定の一次基本光源4を消灯することによって達成される。
図5に示す場合には、車両の内部から見て、3つの第1基本ビーム11’に相当する横方向寸法の暗いトンネルを光軸の左側に発生させるために、光軸の右側に位置する3つの第1ライトガイド11だけが消灯される。
【0069】
本発明によれば、高解像度のピクセルと関連付けられた一次基本光源を消灯することによって暗いトンネルが作り出されているが、これは高い寄生的な輝度レベルを避けるという点で特に有利である、ということに留意されたい。確かに、前記で言及したように、この寄生的な輝度の現象は、対応する一次基本光源と向かい合うライトガイドの入光面が狭くなればなるほど、ますますそこに生じているものなのである。それは、光源と向かい合って配置されたガイドと平行して、光線がより伝播しやすくなり得るからである。換言すれば、寄生的な輝度の発生現象は、第2ライトガイドよりも第1ライトガイドについての方が潜在的に発生する可能性が高いのであるが、第1ライトガイドは第2ライトガイドの横方向寸法よりも小さい値の横方向寸法を有しているということを想起されたい。そして、暗いトンネルを作り出したり作り出さなかったりすることへの高解像度のピクセルの関連付けをもたらすという事実によって、暗いトンネルを実施する際に点灯される高解像度のピクセルの数を制限すること、従って潜在的な寄生的現象を制限することが可能となる。さらに、そのような本発明の構成によって、暗いトンネルの両側に高解像度のピクセルを調和させること、そして暗いトンネル内を進行する車両付近での光の量や質を改善すること、従って、やむを得ず運転者を幻惑するリスクを冒すことなく車両周囲の照明を改善することが可能となる。
【0070】
光学モジュールと関連付けられた監視モジュールが、運転者を幻惑するリスクが消え去ってしまったと決定したときには、道路現場全体を照らすように光源が全て再起動される。本発明の一特徴によれば、これらの先に消灯されていた、高解像度のピクセルに対応する光源を起動させることは、パルス幅変調ユニットの使用を通じて達成される。実際には、標準的な照明動作において(すなわち、全ての一次基本光源4が点灯されるとき)は、投射されるセグメント化されたビームの最大強度が車両の縦軸線上を中心としていることを求める規制を満たすことが必要である。従って、本発明により、第1基本ビーム11’を形成する高解像度のピクセルの大半における横方向偏位を、これらの高解像度のピクセルと関連付けられた一次基本光源4のうち少なくとも一部の強度を低下させることによって埋め合わせるということがもたらされる。非限定的な例として、これらの一次光源の光強度は、それらの最大強度の80%まで低下させられ得る。
【0071】
従って、第1基本ビーム11’の投射と関連付けられた一次基本光源の発光強度は、第2基本ビーム12’の投射と関連付けられた一次基本光源によって発せられる光強度と略等しい光強度を発するように、低下させられる。このことは、縦軸線上を中心とした最大強度のスポットが、従来技術で従来作り出されている最大強度のスポットに比べて拡大される結果となって有利である。また、この車両の縦軸線上を中心とした最大強度のスポットの状況において、この中心スポットから離れて移動してゆく際にビームの強度が規則的に低下するようにするために、一次基本光源それぞれの光強度を変化させることも可能である。
【0072】
ここまで説明してきた、「高解像度の」ピクセルの形成に対応するライトガイドを伴う光学モジュール100は、「ダイナミック・ベンディング・ライト」を表す「DBL」の用語でも知られた方向性照明機能を引き出すのにも有用である、ということに留意されたい。そのような機能の有益性は、運転者に最適な視認性をもたらすために投射ビームを曲がり道の内側の方へ旋回させることへの備えにある。本発明によれば、車両の総体的な進行方向に対応する車両の中央縦軸線に対して光学モジュールの光軸を偏位させるのに、このモジュールを全体として旋回させるのではなく、投射されるセグメント化された光ビームをDBL機能を実行するための規定の(例えば、本発明を限定することなく5°から9°の間の)偏位値だけ偏心させるように一次基本光源を選択的に点灯させるのである。換言すれば、直線になった道路現場を照らすときには、車両の縦軸線上を中心とした第1の集まりを形成する、ある数の一次基本光源が点灯される。それは、これらの一次基本光源の横方向直列における両端部の光源が用いられない状態でなされる。そして、曲がり道の道路を照らすときには、点灯された集まりの横方向偏位を伴って(その集まりは、もはや車両の縦軸線上を中心とはしていないのである)同様の数の一次基本光源が点灯される。図示例では、左向きの曲がり道において、セグメント化された光ビームを縦軸線の左側の方へ偏位させるように一次基本光源が点灯される。その結果として点灯されるのは、主に直列の右側に配置された一次基本光源である。もちろん、右側通行用の車両は必然的に、一次基本光源が反対に点灯されることを伴うであろう。そして、一次基本光源によって照らされるライトガイドの直列は、本発明により縦方向光軸に対して横方向へ偏位された第1ライトガイド11のところに中心がある、ということが確かめられるであろう。その結果、DBL機能を実行するとき、曲がり道の内側に向かって投射される光ビームは、最大光強度のところに中心を有しており、それにより運転者の視認性を向上させるのである。
【0073】
もちろん、本発明の諸特徴、諸変形例、および様々な実施形態は、それらが互いに矛盾したり排他的であったりしない限り、種々の組み合わせにおいて互いに結合されてもよい。特に、説明された他の特徴とは別に説明された特徴の選択のみを含んだ本発明の諸変形例も想像され得るが、それは本発明により、高解像度のピクセルに対応した第1ライトガイドが、大半において投射用光学部品の縦方向光軸に対して横方向に偏位されるよう、ライトガイド同士の横方向直列の中央部に配置されている限りにおいてである。