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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】延伸型医療デバイス用のスリーブ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/954 20130101AFI20230724BHJP
   A61F 2/97 20130101ALI20230724BHJP
【FI】
A61F2/954
A61F2/97
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019020830
(22)【出願日】2019-02-07
(62)【分割の表示】P 2016115464の分割
【原出願日】2011-11-15
(65)【公開番号】P2019093190
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2019-03-11
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】61/414,253
(32)【優先日】2010-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】13/295,861
(32)【優先日】2011-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】エドワード イー.ショー
【合議体】
【審判長】村上 聡
【審判官】村上 哲
【審判官】井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-524629(JP,A)
【文献】特表2007-534367(JP,A)
【文献】米国特許第6030414(US,A)
【文献】特表2002-518086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F2/82-2/97
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管を治療するためのデバイスにおいて、
前記デバイスは、
主管腔及び少なくとも1つの標的部分を有する延伸型ステントグラフトと、
前記延伸型ステントグラフトの周りに円周方向に卷回される拘束スリーブであって
前記拘束スリーブは、
前記延伸型ステントグラフトの第一部分を同心的に取り囲む第一セグメントと、
前記第一セグメントとは全く異なり別個である第二セグメントであって、前記延伸型ステントグラフトの第二部分を同心的に取り囲む第二セグメントとを備え、
前記第一セグメント及び前記第二セグメントの内の少なくとも一つは、前記少なくとも1つの標的部分を圧潰形状構成で被覆し、かつ、前記延伸型ステントグラフトの第一部分及び前記延伸型ステントグラフトの第二部分の内の少なくとも一つの延伸を可能とするように構成されかつ、前記第一セグメント及び前記第二セグメントの内の少なくとも一つは窓を有しており、前記第一セグメント及び前記第二セグメントの内の少なくとも一つの延伸又は解放に応答して前記窓を通して前記少なくとも1つの標的部分を露出させるように構成されている拘束スリーブと、
前記拘束スリーブの前記第一セグメント及び前記第二セグメントを取り囲む一次スリーブと、を備え、
前記第一セグメントは、前記第一セグメント伸張を許容する継ぎ目を有し、前記第二セグメントは、前記第二セグメントの伸張を許容する継ぎ目を有し、
前記一次スリーブは、前記一次スリーブの伸張を許容し、前記拘束スリーブの前記第一セグメント及び前記第二セグメントを解放するための継ぎ目を有し、
前記第一セグメントの継ぎ目前記第二セグメントの継ぎ目と、前記一次スリーブの継ぎ目は、それぞれ別個の結合部材により縫い合わされている、血管を治療するためのデバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの標的部分は、前記第一セグメント及び前記第二セグメントの内の少なくとも一つが延伸時点で血管に露出される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの標的部分は、第一標的部分と第二標的部分とを有し、前記
前記拘束スリーブの前記第一セグメントは、前記第一標的部分を前記圧潰形状構成で被覆し、延伸時点で前記第一標的部分を血管に露出するように構成されており、
前記拘束スリーブの前記第二セグメントは、前記第二標的部分を前記圧潰形状構成で被覆し、延伸時点で前記第二標的部分を血管に露出するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの標的部分は、延伸時点で、前記拘束スリーブの前記第一セグメントと前記拘束スリーブの前記第二セグメントの平行な縁部の間に露出される、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書中に援用されている2010年11月16日出願の「SEGMENTED CONSTRAINING SLEEVES FOR EXPANDABLE MEDICAL DEVICES」という名称の米国仮特許出願第61/414,253号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は一般に、移植型医療デバイスの経カテーテル搬送及び遠隔展開に関する。
【背景技術】
【0003】
患者の血管系の治療部域を治療するために使用される管腔内デバイスは、典型的には、カテーテルアセンブリを介して搬送される。このような管腔内デバイスには例えば延伸型インプラントが含まれていてよい。延伸型インプラントの1つの一般的タイプは、ステントグラフトである。ステントグラフトは、患者の血管系への搬送のために直径の減縮された圧潰形状構成を有し、その後血管系の治療部域にひとたび到達すると延伸され得る。ステントグラフトは、生体適合性スリーブによって、圧潰形状構成に拘束することができる。
【0004】
このようなスリーブの使用は、ステントグラフトを拘束する便利な方法を提供するものの、スリーブは他の課題又は問題を発生させる場合がある。例えば、血管系の治療部域内部に移植するために生体適合性スリーブにより拘束されているステントグラフトを位置づけすることは困難であるかもしれない。さらに、ステントグラフトの延伸を可能にするためにスリーブを取外すか又は延伸させることは困難であるかもしれない。最後に、スリーブで拘束されたステントグラフトをその延伸後に配向又は位置設定することが困難であるかもしれない。これらの問題は、スリーブで拘束されたステントグラフトが、側枝開窓部(又は側枝入口)又は側枝を取付けるように構成された開窓可能な部分を伴って構成されている場合に強調される可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
したがって、搬送のためのスリーブ拘束式延伸型インプラントの準備の改善、インプラントの正確な搬送、及びインプラントの正しい配向及び位置付けを容易にするデバイス、システム及び方法が有用であり、かつ望ましい。
【0006】
添付の図面は、開示のさらなる理解を提供するように含み入れられ、本明細書の一部を構成し、開示の実施形態を例示し、明細書と共に開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】複数の管状スリーブにより搬送プロファイルに拘束された医療デバイスを有するカテーテルアセンブリの斜視図である。
図2】医療デバイスの側枝開窓部との関係におけるスリーブの位置を示す、延伸した医療デバイスを有するカテーテルアセンブリの斜視図である。
図3】角変位したスリーブにより搬送プロファイルに拘束された医療デバイスを有するカテーテルアセンブリの斜視図である。
図4】角変位したスリーブの位置を示す、延伸した医療デバイスを有するカテーテルアセンブリの斜視図である。
図5A】搬送プロファイルに拘束された医療デバイスを有するカテーテルアセンブリの斜視図である。
図5B】搬送プロファイルに拘束された医療デバイスを有するカテーテルアセンブリの軸線方向図である。
図5C】中間形状構成に拘束された医療デバイスを有するカテーテルアセンブリの軸線方向図である。
図6】管状スリーブにより搬送プロファイルに拘束された医療デバイスを有するカテーテルアセンブリの斜視図である。
図7A】搬送プロファイルに拘束された医療デバイスを有するカテーテルアセンブリの斜視図である。
図7B】搬送プロファイルに拘束された医療デバイスを有するカテーテルアセンブリの軸線方向図である。
図7C】中間形状構成に拘束された医療デバイスを有するカテーテルアセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、一定数の実施形態について記載しているものの、これらの実施形態に限定されないものと理解される。むしろ本開示は、記載され請求されている通りの本開示の精神及び範囲内に含まれる可能性のある全ての変形形態、修正及び等価物を網羅するように意図されている。
【0009】
本開示の様々な実施形態は、患者の血管系の治療部域に延伸型インプラントを搬送するように構成されたカテーテルアセンブリを含む。開示の実施形態によると、延伸型インプラントは1つ以上のスリーブにより拘束されている。スリーブが延伸された又は取外された場合、延伸型インプラントの1つ以上の標的部分が露出され得る。様々な実施形態において、1つ又は複数の部分は、側枝開窓部又は開窓可能な部分を含む。このような標的部分は、隣接するスリーブ間、又は単一のスリーブの縁部間で露呈されてよい。
【0010】
最初に図1を参照すると、本開示に係るカテーテルアセンブリ100は、延伸型インプラント102を含んでいる。延伸型インプラント102は、血管系の治療部域への搬送に好適な任意の管腔内デバイスを含んでいてよい。このようなデバイスには、例えばステント、グラフト及びステントグラフトが含まれていてよい。
【0011】
様々な実施形態において、延伸型インプラント102はステントグラフトを含む。従来のステントグラフトは、搬送プロファイルの直径から一範囲の中間直径を通って既定の機能的最大直径に至るまで拡張するように設計されており、一般に、ステントの上及び/又は下を移動する1つ以上のグラフト部材を伴う1つ以上のステント構成要素を含む。
【0012】
様々な実施形態において、延伸型インプラント102は、ニチノールで作られた1つ以上のステント構成要素とePTFEで作られたグラフトとを含む。しかしながら、以下で論述するように、1つ又は複数のステント構成要素及び1つ又は複数のグラフト部材の任意の好適な組合せが、本開示の範囲内に入る。
【0013】
例えば、ステント構成要素は、様々な形態例えばリング、カットチュープ、巻き線(又はリボン)あるいは管形に巻き取られた平坦な模様付きのシートなどの形状構成を有することができる。ステント構成要素は、金属、ポリマー又は天然材料から形成され得、従来の医療グレードの材料、例えばナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカルボネート、ポリエチレン、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロルエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エラストマー性オルガノシリコンポリマー、金属、例えばステンレス鋼、コバルト-クロム合金及びニチノール及び生物学的に誘導された材料、例えばウシの動脈/静脈、心膜及びコラーゲンを含むことができる。ステント構成要素は、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(乳酸/グリコール酸)ポリマー、ポリ(ヒドロキシブチレート)及びポリ(オルトエステル)などの生体再吸収性材料をも含み得る。カテーテルにより搬送され得るあらゆる延伸型ステント構成要素が、本開示に係るものである。
【0014】
さらに、グラフト部材向けの潜在的材料としては、例えば、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリエステル、ポリウレタン、フルオロポリマー、例えばペルフルオロエラストマーなど、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ウレタン、超高分子量ポリエチレン、アラミド繊維及びそれらの組合せが含まれる。グラフト部材用の他の実施形態には、高強度ポリマー繊維、例えば超高分子量ポリエチレン繊維(例えばSpectra(登録商標)、Dyneema Purity(登録商標)など)又はアラミド繊維(例えばTechnora(登録商標)など)が含まれ得る。グラフト部材は、生物活性剤を含んでいてよい。一実施形態において、ePTFEグラフトは、その血液接触表面に沿って炭素構成要素を含む。カテーテルにより搬送され得るあらゆるグラフト部材が、本開示に係るものである。
【0015】
様々な実施形態において、ステント構成要素及び/又はグラフト部材は、治療用コーティングを含んでいてよい。これらの実施形態において、ステント構成要素及び/又はグラフト部材の内側又は外側には例えばCD34抗原がコーティングされ得る。さらに、なかでも例えばへパリン、シロリマス、パクリタキセル、エベロリマス、ABT-578、ミコフェノール酸、タクロリマス、エストラジオール、酸素フリーラジカル捕捉剤、ビオリムスA9、抗CD34抗体、PDGF受容体遮断薬、MMP-1受容体遮断薬、VEGF、G-CSF、HMG-CoA還元酸素阻害剤、iNOS及びeNOSの刺激剤、ACE阻害薬、ARB、ドキシサイクリン及びタリドミドを含めた任意の数の薬物又は治療剤を用いてグラフト部材をコーティングしてよい。
【0016】
様々な実施形態において、延伸型インプラント102は、患者の血管系の治療部域への搬送に好適である半径方向に圧潰された形状構成を含んでいてよい。延伸型インプラント102は、半径方向圧潰形状構成に拘束され、カテーテルシャフト110などの搬送デバイス上に取付けられていてよい。圧潰形状構成での延伸型インプラント102の直径は、インプラントが血管系を通って治療部域に搬送されるのに充分小さいものである。様々な実施形態において、圧潰形状構成の直径は、カテーテルアセンブリ100の交差プロファイルを最小限におさえ患者の組織に対する損傷を削減するのに充分小さいものである。圧潰形状構成において、延伸型インプラント102は血管系を通ってカテーテルシャフト110により誘導されてよい。
【0017】
様々な実施形態において、延伸型インプラント102は、患者の血管系の治療部域内にデバイスを移植するために好適な半径方向に延伸した形状構成を含んでいてよい。延伸形状構成において、延伸型インプラント102の直径は、修復すべき血管とほぼ同じであってよい。他の実施形態では、延伸形状構成における延伸型インプラント102の直径は、血管内部で引張り嵌め(tractionfit)を提供するよう、治療すべき血管よりもわずかに大きいものであってよい。
【0018】
様々な実施形態において、延伸型インプラント102は、自己延伸型デバイス、例えば自己延伸型ステントグラフトを含んでいてよい。このようなデバイスは、抑制解除された場合に、半径方向圧潰形状構成から半径方向延伸形状構成まで拡張する。他の実施形態において、延伸型インプラント102は、例えばバルーンなどの二次的デバイスの補助を受けて延伸されるデバイスを含んでいてよい。さらに他の実施形態においては、カテーテルアセンブリ100は複数の延伸型インプラント102を含んでいてよい。任意の数の延伸型インプラントを伴うカテーテルアセンブリの使用は、本開示の範囲内に入る。
【0019】
本開示に係る様々な医療デバイスは、1つのスリーブ又は多数のスリーブを含む。1つ又は複数のスリーブは、患者の血管系の治療部分までインプラントを管腔内搬送するため、延伸型インプラントデバイスを圧潰形状構成に拘束することができる。本開示の目的で、「拘束する」という用語は、(i)延伸型インプラントの自己延伸を介した又はデバイスの補助受けた直径の延伸を制限すること、又は(ii)(例えば保管又は生体適合性の理由から、及び/又は延伸型インプラント及び/又は血管系に対して保護を提供するために)延伸型インプラントを被覆するか又は取り囲むものの他の形でそれを抑制しないこと、を意味してよい。
【0020】
展開の後、1つ又は複数のスリーブは、延伸型インプラントをその機能的直径まで延伸させ、所望の治療成果を達成するために取外されてよい。1つ又は複数のスリーブは、延伸型インプラントと干渉することなく移植された状態にあり続けることができる。
【0021】
様々な実施形態において、延伸型インプラントは、延伸型インプラントを円周方向に取り囲む単一のスリーブによって拘束される。例えば、図6を参照すると、カテーテルアセンブリ600はスリーブ604を含む。様々な実施形態において、スリーブ604は延伸型インプラント602を円周方向に取り囲み、それを、直径が非拘束インプラントの直径より小さい圧潰形状構成に拘束する。例えば、スリーブ604は、血管系内部での搬送のため延伸型インプラント602を圧潰形状構成に拘束してよい。
【0022】
他の実施形態において、延伸型インプラントは、それを円周方向に取り囲む複数のスリーブによって拘束される。例えば、図1を参照すると、カテーテルアセンブリ100はスリーブ104a、104b及び104cを含む。各スリーブ104は、他の2つのスリーブとは全く異なり別個であり、各々は延伸型インプラント102の一部分を同心的に取り囲んでいる。
【0023】
様々な実施形態において、スリーブ104a、104b及び104cは、例えば接着、係留又は他の任意の形の結合によって、互いに結合されてよい。例えば、図1を参照すると、スリーブ104a、104b及び104cは、スリーブ104a、104b及び104cが1つの個別のスリーブとして作用するような形で係留具140及び142により結合されてよい。係留具140及び142は、スリーブ104a、104b及び104cを構成しているものと同じ材料などの、本開示の好適な材料のいずれかを含んでいてよい。実際、一部の実施形態では、個別のスリーブ104a、104b及び104cを作り上げるもののただし係留具140及び142は残すような形で、単一のスリーブを切断又は穿孔してもよい。以下でさらに詳述されている一部の実施形態では、単一のスリーブ内に側方開口部を切り取って、(例えば側方開口部のサイズを比較的大きいものとすることによって)単一のスリーブが多数のスリーブとして作用するようになっている。様々な形状構成において、スリーブ104a、104b及び104cは、一定の要領で結合されていることから、延伸型インプラント102の展開後スリーブの取外しをさらに容易にし、かつ/又はスリーブ104a、104b及び104cが確実に1つの個別のスリーブとして移植された状態にとどまるようにすることができる。
【0024】
このような形状構成においては、各々の全く異なるスリーブは、個別のスリーブとして形成されてよく、あるいは、延伸型インプラントのまわりに単一のスリーブを形成しかつ例えば単一のスリーブを個別のスリーブに切断することで単一のスリーブから個別のスリーブを作り上げることによって作り出されてもよい。
【0025】
さらなる一例として、図3を参照すると、カテーテルアセンブリ300はスリーブ304a及び304bを含む。各スリーブ304はもう一方のスリーブとは全く異なり別個のものであり、各々延伸型インプラント302の一部分を同心的に取り囲んでいる。
【0026】
様々な実施形態において、スリーブは管状であり延伸型インプラントを拘束するのに役立つことができる。このような形状構成において、スリーブは、延伸型インプラントのまわりを卷回するか又は包み込む1つ以上の材料のシートで形成されている。延伸型インプラントを拘束するために多数のスリーブが使用される場合、各スリーブは、もう一方のスリーブ端部に隣接する少なくとも1つのスリーブ端部を含むことができる。本明細書中の例示的実施形態は、1つ以上のスリーブを含むものとして記述されているが、下層の延伸型インプラントに対応する管状以外の任意の形状を有するか又は所与の利用分野のために他の形で適切に整形されたスリーブも同様に、本開示の範囲内に入る。
【0027】
様々な実施形態においては、スリーブは、シートの2つの平行な縁部が実質的に整列するような形で1つ又は複数の材料のシートを卷回するむか又は包み込むことによって形成される。前記整列は、カテーテルアセンブリのカテーテルシャフトに対し平行であるか又はそれと同軸であってよいが、あるいはそうでなくてもよい。様々な実施形態において、1つ又は複数の材料のシートの縁部は互いに接触していない。
【0028】
様々な実施形態においては、1つ又は複数の材料のシートの縁部は互いに実際に接触し、以下で記述するような結合部材、接着剤などを用いて結合される。他の様々な実施形態において、1つ又は複数の材料のシートの縁部は、1つ又は複数シートの同じ面(例えばシートの表面又は裏面)の縁部が互いに接触した状態となるような形で整列される。さらに他の実施形態では、1つ又は複数の材料のシートの反対側の面の縁部は、互いに接触した状態にあり、このため、縁部は互いに重複し、こうしてシートの片面の一部分は他方の面の一部分と接触した状態になる。換言すると、シートの表面はシートの裏面と重複してよく、逆も成立する。
【0029】
様々な実施形態において、スリーブは、グラフト部材を形成するために使用される材料と類似の材料を含む。例えば、スリーブを製造するために使用される前躯体可撓性シートを、平坦化した薄壁ePTFE管から形成することができる。薄壁管は、シート又は管壁内に付着した又は埋込まれた長手方向高強度繊維の形をした「リップストップ」を包含し得る。
【0030】
1つ又は複数のスリーブを形成するのに使用される1つ又は複数の材料のシートは、一連の開口部を含んでいてよく、こうして、開口部は、シートの一方の縁部から他方の縁部まで延在するようになっている。このような形状構成では、1つ又は複数の材料のシート内の一連の開口部を通って結合部材を織り込むか又は縫い込み、2つの縁部の各々を共に固定し管を形成することができる。
【0031】
様々な実施形態において、結合部材は製織繊維を含んでいてよい。他の実施形態において、結合部材はモノフィラメント繊維を含んでいてよい。スリーブを管形状に維持することのできるあらゆるタイプのひも、コード、より糸、繊維又はワイヤが、本開示の範囲内に入る。
【0032】
様々な実施形態において、1つ以上のスリーブの直径を拘束するために、単一の結合部材を使用してよい。例えば、図6を参照すると、延伸型インプラント602のまわりでスリーブ604の形状構成を維持するために、単一のスリーブ604内の開口部を通って結合部材614が織り込まれている。別の実施例では、図1を参照すると、単一の結合部材114が複数のスリーブ104a、104b及び104c内の開口部を通って織り込まれている。
【0033】
他の実施形態では、1つ以上のスリーブの直径を拘束するために、多数の結合部材を使用してよい。例えば図3を参照すると、延伸型インプラント302のまわりでそれぞれスリーブ304a及び304bの形状構成を維持するために、結合部材314a及び314bが使用される。単一のスリーブ又は任意の数のスリーブと任意の数の結合部材の併用は、本開示の範囲内に入る。
【0034】
様々な実施形態において、好適な延伸型インプラントを一旦圧潰形状構成にしたならば、延伸型インプラントを患者の血管系内部で展開させてよい。圧潰形状構成にある延伸型インプラントを血管系に導入し、カテーテルアセンブリにより血管系の治療部域まで誘導してよい。血管系の治療部域内の所定の位置にひとたび入ったならば、延伸型インプラントを、延伸形状構成まで延伸させてよい。
【0035】
様々な実施形態において、延伸型インプラントが血管系内部の所定の位置に置かれた時点で、1つ又は複数の結合部材を、1つ又は複数のスリーブから患者の身体外で係合解除させることができ、こうして1つ又は複数のスリーブは開放し延伸型インプラントは延伸できるようになる。以上で論述した通り、延伸型インプラントは自己延伸型であってよく、あるいは、バルーンなどのデバイスによりインプラントを延伸させてもよい。
【0036】
1つ又は複数の結合部材は、患者の体外から操作される機械的機序により、1つ又は複数のスリーブから係合解除されてよい。例えば、1つ又は複数の部材に充分な張力を加えることによってそれを係合解除してよい。別の実施例では、身体の外側の1つ又は複数の結合部材にダイヤル又は回転要素を付着させてもよい。ダイヤル又は回転要素の回転は、1つ又は複数の結合部材を係合解除するのに充分な張力を提供し得る。
【0037】
他の形態において、1つ又は複数の結合部材は、超音波を提供することによる溶解などの非機械的機序により係合解除されてよい。このような形態においては、1つ又は複数の結合部材を1つ又は複数のスリーブから係合解除するのに充分な超音波エネルギーがこれらの結合部材に提供される。
【0038】
様々な実施形態において、単一のスリーブを閉鎖する単一の結合部材をこのスリーブから係合解除することにより、延伸型デバイスを延伸させることができる。例えば、図6を参照すると、延伸型インプラント602を血管系の治療部域に搬送するために、カテーテルアセンブリ600を使用してよい。延伸型インプラント602は、搬送のための圧潰形状構成を有し、スリーブ604は延伸型インプラント602を円周方向に取り囲み、結合部材614により閉鎖状態に保たれる。ひとたび延伸型インプラント602が治療部域との関係における所定の位置に入った時点で、結合部材614はスリーブ604から係合解除され、スリーブ604は解放されて、延伸型インプラント602がより大きな直径まで延伸できるようにする。
【0039】
他の実施形態においては、複数のスリーブを閉鎖する単一の結合部材が、この複数のスリーブから係合解除されて、延伸型デバイスが延伸できるようにする。例えば、図1を参照すると、カテーテルアセンブリ100は、延伸型インプラント102を取り囲む複数のスリーブ104を含む。各スリーブ104は、単一の結合部材114により縫い合わされた各スリーブの部分が、互いに実質的に整列されるような形でカテーテルシャフト110の長手方向軸線上に配向される。しかしながら、複数のスリーブ104の間のあらゆる相対的な角度的変位が、本開示の範囲内に入る。
【0040】
結合部材114が最も遠位のスリーブ104cから係合解除された時点で、スリーブ104cにより拘束された延伸型インプラント102の部分は、より大きい直径まで延伸し得る。前述の通り、延伸型インプラント102は、自己延伸型であってもよいし、あるいはバルーンなどのデバイスを用いて延伸してよい。
【0041】
その後、結合部材114はさらに係合解除され、2番目に遠位のスリーブ104bにより拘束された延伸型インプラント102の部分がより大きい直径まで延伸できるようにする。このとき、残りの結合部材114が係合解除され、最も近位のスリーブ104aが開放されて、延伸型インプラント102は、その長手方向の残りの部分に沿ってその延伸形状構成まで延伸できることになる。結合部材114の係合解除は、延伸型インプラント102の遠位端部で開始し近位端部に向かって進行するものとして説明されているが、1つのスリーブ又は多数のスリーブからの1つ又は複数の結合部材の係合解除のあらゆる順序、例えば近位から遠位、中央から端部、端部から中央などの順序が、本開示の範囲内に入る。
【0042】
他の実施形態においては、多数の結合部材が、単一のスリーブ又は多数のスリーブと併用される。例えば、図3を参照すると、カテーテルアセンブリ300は少なくとも2つのスリーブ304aと304bを含む。スリーブ304a及び304bは、それぞれ結合部材314a及び314bにより閉鎖された状態に保持される。様々な実施形態において、スリーブ304a及び304bは、結合部材314a及び314bにより固定されたスリーブの部分が、互いとの関係において約180度だけ角変位された形で配向されてよい。他の実施形態では、結合部材314a及び314bにより固定されたスリーブの部分は、互いとの関係において、約ゼロ度超で約180度未満だけ角変位される。複数のスリーブ304間のあらゆる相対的角変位度が、本開示の範囲内に入る。
【0043】
図3に例示されている形態においては、結合部材314a及び314bは、別個に係合解除されてスリーブ304a及び304bを開放してよい。両方のスリーブ304がひとたび開放されたならば、延伸型インプラント302を延伸形状構成まで延伸させてよい。
【0044】
本開示の様々な実施形態において、延伸型インプラントはさらに、中間形状構成を含んでいてよい。中間形状構成において、延伸型インプラントの直径は、延伸形状構成よりも小さくかつ圧潰形状構成より大きい直径に拘束される。このような実施形態においては、延伸型インプラントは、ひとたびインプラントが患者の血管系の治療部域近くに搬送された時点で、圧潰形状構成から中間形状構成まで延伸されてよい。中間形状構成は、とりわけ、血管系の治療部域内部で延伸型インプラントを適正に配向し位置設定する上で補助することができる。
【0045】
様々な実施形態において、延伸型インプラントは、異なる直径を有する少なくとも2つのスリーブにより同心的に取り囲まれていてよい。このような形態においては、1つ以上の一次スリーブが、延伸型インプラントを搬送プロファイルに拘束する。ひとたび一次スリーブが開放された時点で、1つ以上の二次スリーブが延伸型インプラントを中間形状構成に拘束する。上述の通り、延伸型インプラントは、自己延伸型であってよく、あるいは、インプラントをバルーンなどのデバイスにより延伸させてもよい。
【0046】
例えば、図7A~7Cを参照すると、カテーテルアセンブリ700は、延伸型インプラント702と二次スリーブ704a及び704bとを含む。二次スリーブ704a及び704bは、延伸型インプラント702を中間形状構成に拘束する。二次スリーブ704a及び704bは、それぞれ結合部材714a及び714bにより、延伸型インプラント702のまわりの所定の位置に保持される。
【0047】
カテーテルアセンブリ700はさらに一次スリーブ718を含み、これは、患者の血管系への搬送のため圧潰形状構成に延伸型インプラント702を拘束する。一次スリーブ718は、一次結合部材722により延伸型インプラント702のまわりの所定の位置に保持される。
【0048】
延伸型インプラント702がひとたび血管系の治療部域に充分近くなった時点で、一次結合部材722は一次スリーブ718から係合解除され、これにより一次スリーブ718は解放された後も、一次スリーブ718の内側にある二次スリーブ704a及び704bは延伸型インプラント702を中間形状構成に拘束する。中間形状構成において、延伸型インプラント702を血管系の治療部域の内部で配向し、最終的な所望の場所に調整してよい。
【0049】
本開示の他の実施形態においては、延伸型インプラントを圧潰形状構成と中間形状構成の両方に拘束するために単一のスリーブを使用してよい。例えば図5A~5Bを参照すると、カテーテルアセンブリ500は、延伸型インプラント502、モノスリーブ504、一次結合部材516及び二次結合部材514を含む。
【0050】
モノスリーブ504はさらに、複数の中間孔506を含む。この形状構成において、二次結合部材514は中間孔506を通って縫い込まれるか又は織り込まれ、モノスリーブ504と延伸型インプラント502を中間形状構成の直径へと拘束する。中間形状構成において、延伸型インプラント502の直径は、延伸された直径よりも小さく、圧潰形状構成の直径よりも大きい。
【0051】
モノスリーブ504はさらに、複数の圧縮孔508を含む。この形態においては、一次結合部材516は圧縮孔508を通って縫い込まれるか又は織り込まれ、モノスリーブ504と延伸型インプラント502を圧潰形状構成の直径に拘束する。圧潰形状構成の直径は、延伸型インプラント502を患者の血管系の治療部域へ搬送できるように選択される。
【0052】
ひとたび延伸型インプラント502が血管系の治療部域近くの領域まで搬送された時点で、一次結合部材516はモノスリーブ504から係合解除され、延伸型インプラント502が中間形状構成まで延伸できるようにしてよい。延伸型インプラント502は、血管系の治療部域の内部の適正な場所に配向され調整されてよい。最終的位置づけの後、二次結合部材514をモノスリーブ504から係合解除してよく、延伸型インプラント502を延伸形状構成まで延伸させてよい。
【0053】
結合部材(例えば一次及び二次結合部材)及びスリーブ(例えば一次及び二次スリーブ)の一定数の具体的形状構成について論述してきたが、あらゆる数及び/又は形状構成の結合部材及びスリーブの使用が、本開示の範囲内に入る。
【0054】
上述した通り、様々な実施形態が複数の延伸型インプラントを含んでいてよい。このような実施形態では、単一のスリーブ、多数のスリーブ及び/又は多数の同心スリーブを、この複数の延伸型インプラントと併用してよい。単一又は多数のスリーブのあらゆる形状構成を伴う、あらゆる数の延伸型インプラントの使用が、本開示の範囲内に入る。
【0055】
様々な実施形態において、延伸型インプラントを拘束するために使用されるスリーブは、さらに、X線不透過性マーカーを含んでいてよい。このような形態では、X線不透過性マーカーは、結合部材が一連の開口部を通って縫い込まれている領域において、スリーブの縁部に位置設定されてよい。X線不透過性マーカーは、例えば、X線などの放射線デバイスの使用中にスリーブ及び結合部材の位置設定及び配向の可視性を増大させることなどによって、血管系内部の延伸型インプラントの位置づけ及び配向を補助し得る。
【0056】
例えば、図1を参照すると、スリーブ104cはX線不透過性マーカー(図示せず)を含んでいてよい。様々な実施形態において、X線不透過性マーカーは、スリーブ104cの遠位端部又はその近くに位置設定された円周方向バンドを含む。血管系内部の延伸型インプラントの位置設定及び配向を補助するX線不透過性マーカーのあらゆる配置又は形態が、本開示の範囲内に入る。
【0057】
本開示の様々な実施形態において、延伸型インプラントは、少なくとも1つの標的部分を含んでいてよい。このような形態においては、1つ又は複数の標的部分は延伸型インプラントの表面上に位置設定されている。以上で指摘した通り、様々な実施形態において、1つ又は複数の標的部分は側枝開窓部を含んでいてよい。側枝開窓部は、分岐デバイス、例えば分岐ステントグラフトが延伸型インプラントに接続されそれと連通できるようにする。様々な形態において、側枝開窓部の直径は、修復すべき血管とほぼ同じであってよい。他の形態においては、側枝開窓部の直径は、修復すべき血管の直径よりも大きくてよい。さらに他の実施形態では、側枝開窓部の直径は、修復すべき血管の直径よりも小さくてよい。
【0058】
側枝開窓部の横断面は例えば、円形、「D字」形、楕円形、三角形、正方形、多角形に整形されているか又は無作為に整形されていてよい。あらゆる横断面形状の側枝開窓部が、本開示の範囲内に入る。
【0059】
様々な実施形態において、標的部分は開窓可能な部分を含んでいてよい。このような形状構成では、標的部分は、延伸型インプラントが患者の血管系内に部分的又は完全に移植された後、管腔内ツールにより開窓され得る壊れやすい材料で構成されている。ひとたび開窓されたならば、標的部分を、例えば延伸型インプラントへの分岐ステントグラフトの設置のために使用してよい。
【0060】
標的部分を含む本開示の様々な実施形態において、標的部分は、1つ以上のスリーブにより被覆されるような形で配向されてよい。このような形態においては、標的部分は、1つ以上のスリーブの延伸時点で血管系に露出されてよい。
【0061】
例えば、図4を参照すると、延伸型デバイス300は、標的部分400及び402を含む。標的部分400及び402は、延伸型インプラント302が圧潰形状構成にある場合にスリーブ304a及び304bにより被覆されるような形で構成される。スリーブ304a及び304bがひとたび延伸された時点で、延伸型インプラント302はより大きな直径まで延伸し、スリーブの平行な縁部の間に標的部分400及び402を露出させる。
【0062】
他の形態において、標的部分は、それが多数のスリーブに取り囲まれてはいてもそれによって被覆はされないような形で、配向されてよい。例えば図2を参照すると、カテーテルアセンブリ100は、標的部分200及び202を伴う延伸型インプラント102を含む。この実施形態において、標的部分200及び202は、それが隣接するスリーブ104a、104b及び104cにより取り囲まれているものの被覆はされないような形で位置づけされる。
【0063】
このような形態において、スリーブ104は側方開口部116及び/又は118を含んでいてよい。様々な実施形態において、側方開口部116及び/又は118は、スリーブ104のいずれかの端部又は両端部に、アパーチャ、切込み又は窪みを含む。このようなアパーチャ、切込み又は窪みは互いに相互作用して、標的部分200及び/又は202を取り囲むものの被覆しないようにする。
【0064】
例えば、標的部分200は、スリーブ104aの遠位端部106とスリーブ104bの近位端部108の間に位置づけされていてよい。スリーブ104aの遠位端部106及びスリーブ104bの近位端部108は各々、スリーブ104a及び104bの延伸の時点で患者の血管系に標的部分200を露出できるようにする側方開口部116及び/又は118を含んでいてよい。
【0065】
さらに、標的部分202は、スリーブ104bの遠位端部106とスリーブ104cの近位端部108の間に位置づけされてよい。スリーブ104bの遠位端部106とスリーブ104cの近位端部108は各々、スリーブ104b及び104cの延伸時点で患者の血管系に標的部分202を露出できるようにする円形切込みを含んでいてよい。
【0066】
さらに、例えば圧潰、中間及び完全展開を提供するため多数のスリーブを有する様々な実施形態においては、各々の展開段階において血管系に標的部分を露出できるようにするように、側方開口部が各々スリーブ内に存在し位置設定されてよい。様々な実施形態において、一次及び二次スリーブの側方開口部は、異なるサイズ、例えば1つ又は複数の二次スリーブ上では比較的小さく、1つ又は複数の一次スリーブ上では比較的大きい(又はその逆)サイズを有していてよい。
【0067】
様々な実施形態において、標的部分は、単一スリーブ内に切り取られた側方開口部の下に位置づけされてよい。このような実施形態では、側方開口部が充分に大きいため、単一のスリーブは、図2に関して上述したもののような多数のスリーブとして作用することができる。例えば、図7A及び7Bを参照すると、スリーブ704a及び/又は704bは、側方開口部が少なくとも1つの標的部分上に配向されるように配向された充分に大きな少なくとも1つの窓を含んでいてよい。延伸型インプラントの標的部分に対するアクセスを可能にするあらゆるスリーブ形態が、本開示の範囲内に入る。
【0068】
様々な実施形態において、延伸型デバイスは、少なくとも1つの標的部分が隣接するスリーブ間に位置設定され、少なくとも1つの標的部分が延伸した1つ又は複数のスリーブの平行な縁部間に位置設定されるような形で、複数の標的部分を含んでいてよい。隣接するスリーブ間に位置設定されたもの及び延伸した1つのスリーブの平行な縁部間に位置設定されたものを含めた標的部分のあらゆる形態が、本開示の範囲内に入る。
【0069】
本開示の様々な実施形態において、標的部分は、X線不透過性セグメントを含んでいてよい。このような形態において、標的部分は、患者の血管系の内部で標的部分及び延伸型インプラントを位置設定及び配向する上で補助するX線不透過性セグメント又はマーカーによって取り囲まれていてよい。様々な実施形態において、標的部分はX線不透過性セグメントと側枝開窓部又は開窓可能な部分いずれかの両方を含む。これらの形態では、X線不透過性セグメントは、とりわけ、標的部分への側枝ステントグラフトの搬送及び設置を補助することができる。
【0070】
様々な実施形態において、標的部分は薬剤溶出性要素を含んでいてよい。これらの形態では、薬剤溶出性要素は、標的部分がひとたび患者の血管系に露出された時点で治療剤又は薬物を放出するセグメントを含む。このような治療剤又は薬物の例としては、エジシル酸プロクロルペラジン、硫酸第一鉄、アミノカプロン酸、塩酸メカキシルアミン、塩酸プロカインアミド、硫酸アンフェタミン、塩酸メトアンフェタミン、塩酸ベンズフェタミン、硫酸イソプロテロノール、塩酸フェンメトラジン、塩化べタネコール、塩化メタコリン、塩酸ピロカルピン、硫酸アトロピン、臭化スコポラミン、ヨウ化イソプロパミド、塩化トリジヘキセチル、塩酸フェンホルミン、塩酸メチルフェニデート、テオフィリンコリネート、塩酸セファレキシン、ジフェニドール、塩酸メクリジン、マレイン酸プロクロルペラジン、フェノキシベンザミン、マレイン酸チエチルペラジン、アニシンジオン、ジフェナジオン、四硝酸エリスリチル、ジゴキシン、イソフルロフェート、アセタゾールアミド、メタゾールアミド、ベンドロフルメチアジド、クロルプロパミド、トラザミド、酢酸クロルマジノン、フェナグリコドール、アロプリノール、アスピリンアルミニウム、メトトレキセート、アセチルスルフィソキサゾール、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチコステロン、酢酸コルチゾン、デキサメタゾン及びその誘導体、例えばベータメタゾン、トリアムシノロン、メチルテストステロン、17-.ベータ.-エストラジオール、エチニルエストラジオール、エチニルエストラジオール3-メチルエーテル、プレドニゾロン、17-.ベータ.-ヒドロキシプロゲステロンアセテート、19-ノル-プロゲステロン、ノルゲストレル、ノルエチンドロン、ノルエチステロン、ノルエチエデロン、プロゲステロン、ノルゲステロン、ノルエチンドレル、インドメタシン、ナプロキセン、フェノプロフェン、スリンダク、インドプロフェン、ニトログリセリン、二硝酸イソソリビド、プロプラノロール、チモロール、アテノロール、アルプレノロール、シメチジン、クロニジン、イミプラミン、レボドパ、クロルプロマジン、メチルドパ、ジヒドロキシフェニルアラニン、テオフィリン、グルコン酸カルシウム、ケトプロフェン、イブプロフェン、アトルバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、セファレキシン、エリスロマイシン、ハロペリドール、ゾメピラク、乳酸鉄、ビンカミン、フェノキシベンザミン、ジルチアゼム、ミルリノン、カプロトプリル、マンドール、クアンベンズ、ヒドロクロロチアジド、ラニチジン、フルルビプロフェン、フェンブフェン、フルプロフェン、トルメチン、アルクロフェナク、メフェナミク、フルフェナミク、ジフニナル、ニモジピン、ニトレンジピン、ニソルジピン、ニカルジピン、フェロジピン、リドフラジン、チアパミル、ガロパミル、アムロジピン、ミオフラジン、リシノプリル、エナラプリル、カプトプリル、ラミプリル、エナラプリラト、ファモチジン、ニザチジン、スクラルフェート、エチンチジン、テトラトロール、ミノキシジル、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、アミトリプチリン及びイミプラミンが含まれる。さらなる例としては、インスリン、コルヒチン、グルカゴン、甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone)、副甲状腺及び下垂体ホルモン、カルシトニン、レニン、プロラクチン、コルチコトロフィン、甲状腺刺激ホルモン(thyrotropic hormon)、卵胞刺激ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、ゴナドトロピン放出性ホルモン、ウシソマトトロピン、ブタソマトトロピン、オキシトシン、バソプレシン、プロラクチン、ソマトスタチン、リプレシン、パンクレオチミン、黄体形成ホルモン、LHRH、インタフェロン、インタロイキン、成長ホルモン類、例えばヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン及びブタ成長ホルモン、受胎抑制剤、例えばプロスタグランジン、受胎促進剤、成長因子及びヒト膵臓ホルモン放出因子を含む(ただしこれらに限定されない)タンパク質及びペプチドがある。
【0071】
様々な実施形態において、標的部分は、温度及び/又は圧力センサーなどのセンサーを含んでいてよい。他の実施形態では、センサーは血流速度を測定してよい。延伸型インプラントの標的部分に移植又は接続され得るあらゆるセンサーが、本発明の範囲内に入り、使用されるセンサーのタイプの如何に関わらず、本明細書中で開示されているものなどの構造及び方法によるスリーブの延伸及び/又は取外しの時点で患者の血管系に対し1つ又は複数のセンサーが露出されるような形で、スリーブを配向し構成してよい。
【0072】
当業者にとっては、開示の精神及び範囲から逸脱することなく本開示に様々な修正及び変更を加えることができるということは明らかである。したがって、本開示は、添付のクレーム及びそれらの等価物の範囲内に入ることを条件として、本開示の修正及び変更を網羅するように意図されている。
【0073】
同様にして、デバイス及び/又は方法の構造及び機能の詳細と共に様々な変形形態を含め数多くの特徴及び利点が、以上の説明中に記載された。開示は、例示を意図したものにすぎず、したがって網羅的であるようには意図されていない。当業者にとっては、添付のクレームが表現されている用語の広範な一般的意味が示す最大限度まで、特に開示の原理の範囲内に入る組合せを含めた部品の構造、材料、要素、構成要素、形状、サイズ及び配置に関して様々な修正を加えることが可能であるということは明白である。これらの様々な修正が添付のクレームの精神及び範囲から逸脱しないかぎり、それらはその中に包含されるよう意図される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C