(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】ねじ接続を締め付けるための装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/06 20060101AFI20230724BHJP
F03D 13/20 20160101ALI20230724BHJP
【FI】
B23P19/06 T
B23P19/06
F03D13/20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019067192
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】10 2018 107 657.6
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507335012
【氏名又は名称】ヨルク ホーマン
【氏名又は名称原語表記】Joerg Hohmann
【住所又は居所原語表記】Uhlandstrasse 6a, D-59872 Meschede, Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】507335023
【氏名又は名称】フランク ホーマン
【氏名又は名称原語表記】Frank Hohmann
【住所又は居所原語表記】Josef-Menke-Strasse 25, D-59581 Warstein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨルク ホーマン
(72)【発明者】
【氏名】フランク ホーマン
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-505279(JP,A)
【文献】実開昭63-113523(JP,U)
【文献】特開平08-257850(JP,A)
【文献】特開平11-010461(JP,A)
【文献】特開2010-112422(JP,A)
【文献】国際公開第2016/193297(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/06
F03D 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペース、好ましくは風車のタワーの内部、をリング状に包囲するフランジ接続(7)に沿って配置されたねじ接続を締め付けるための装置であって、各ねじ接続(10)は、ねじ山付きエレメント(11)と、該ねじ山付きエレメントに螺合させられたナット(12)とから構成されており、該ナット(12)は、前記フランジ接続の第1の側に対して支持されており、前記ねじ山付きエレメント(11)は、前記フランジ接続の第2の側に対して支持されており、前記装置は、
-前記フランジ接続(7)に沿って可動でありかつ好ましくは電気トラクションドライブが設けられたツールキャリア(20)と、
-該ツールキャリア(20)に配置されておりかつ前記ねじ接続を締め付けかつ前記ナットを前記フランジ接続に対して回転させるために機能するツール(5)と、
-トラクションドライブ制御信号によって、前記ツールキャリア(20)を、前記ツール(5)が、それぞれ締め付けられるべき前記ねじ接続と対向して配置される作動位置へ移動させ、かつツール制御信号によって前記ねじ接続の締付けおよび前記ナットの回転を制御するように設計された、制御ユニット(4)と、を有する、装置において、
前記ツールキャリア(20)において、前記ツール(5)に加えて、前記ねじ山付きエレメント(11)に対して当接させることができる少なくとも1つのカウンター保持面(75,75A,75B)を備える保持ツール(70)が配置されており、前記ツールキャリア(20)には、休止位置と、前記カウンター保持面(75,75A,75B)が前記ねじ山付きエレメント(11)に対して当接するカウンター保持位置との間の前記保持ツール(70)の前後移動のための駆動装置(77)が設けられており、前記制御ユニット(4)は、加えて、保持ツール制御信号によって、前記保持ツール(70)の前記駆動装置(77)を制御するように設計されて
おり、
前記ねじ接続を締め付けるために、該ねじ接続の前記ねじ山付きエレメント(11)には、前記フランジ接続(7)の第2の側において、少なくとも1つの平坦部が設けられており、前記カウンター保持面(75)は、前記平坦部に対して面で当接するように設計されており、
前記保持ツール(70)は、駆動側において前記駆動装置(77)に接続されたツール本体(78)と、少なくとも1つのカウンター保持面(75)を有するツール部分(79)とを有し、
前記ツールキャリア(20)には、該ツールキャリア(20)の可動性のために、前記ツールキャリア(20)の起立平面(E)を規定する回転可能に取り付けられたローラ(21A,21B)が設けられており、前記保持ツール(70)のための前記駆動装置(77)は、前記起立平面(E)の上方に配置されており、前記保持ツールの前記ツール本体(78)は、前記起立平面(E)を越えて前記ツール部分(79)まで下方へ延びていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記ツール部分(79)は、ばね(80)の力に逆らって前記ツール本体(78)において可動に案内され、この場合、移動方向は、前記保持ツール(70)の前後移動の方向と同じであることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
スペース、好ましくは風車のタワーの内部、をリング状に包囲するフランジ接続(7)に沿って配置されたねじ接続を締め付けるための装置であって、各ねじ接続(10)は、ねじ山付きエレメント(11)と、該ねじ山付きエレメントに螺合させられたナット(12)とから構成されており、該ナット(12)は、前記フランジ接続の第1の側に対して支持されており、前記ねじ山付きエレメント(11)は、前記フランジ接続の第2の側に対して支持されており、前記装置は、
-前記フランジ接続(7)に沿って可動でありかつ好ましくは電気トラクションドライブが設けられたツールキャリア(20)と、
-該ツールキャリア(20)に配置されておりかつ前記ねじ接続を締め付けかつ前記ナットを前記フランジ接続に対して回転させるために機能するツール(5)と、
-トラクションドライブ制御信号によって、前記ツールキャリア(20)を、前記ツール(5)が、それぞれ締め付けられるべき前記ねじ接続と対向して配置される作動位置へ移動させ、かつツール制御信号によって前記ねじ接続の締付けおよび前記ナットの回転を制御するように設計された、制御ユニット(4)と、を有する、装置において、
前記ツールキャリア(20)において、前記ツール(5)に加えて、前記ねじ山付きエレメント(11)に対して当接させることができる少なくとも1つのカウンター保持面(75,75A,75B)を備える保持ツール(70)が配置されており、前記ツールキャリア(20)には、休止位置と、前記カウンター保持面(75,75A,75B)が前記ねじ山付きエレメント(11)に対して当接するカウンター保持位置との間の前記保持ツール(70)の前後移動のための駆動装置(77)が設けられており、前記制御ユニット(4)は、加えて、保持ツール制御信号によって、前記保持ツール(70)の前記駆動装置(77)を制御するように設計されており、
前記ねじ接続を締め付けるために、該ねじ接続の前記ねじ山付きエレメント(11)には、前記フランジ接続(7)の第2の側において、少なくとも1つの平坦部が設けられており、前記カウンター保持面(75)は、前記平坦部に対して面で当接するように設計されており、
前記保持ツール(70)は、駆動側において前記駆動装置(77)に接続されたツール本体(78)と、少なくとも1つのカウンター保持面(75)を有するツール部分(79)とを有し、
前記ツール部分(79)は、ばね(80)の力に逆らって前記ツール本体(78)において可動に案内され、この場合、移動方向は、前記保持ツール(70)の前後移動の方向と同じであることを特徴とする、装置。
【請求項4】
前記ツール部分(79)は、前記保持ツール(70)の静止位置において、前記ツール部分(79)におけるストッパが前記ばね(80)の力により前記ツール本体(78)におけるストッパに対して支持されるような前記ツール本体(78)における位置に配置されることを特徴とする、請求項2または3記載の装置。
【請求項5】
前記保持ツール(70)は、互いに面した2つの互いに平行なカウンター保持面(75)を有することを特徴とする、請求項
1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
2つの前記カウンター保持面(75)は、開放式スパナのツール面であることを特徴とする、請求項
5記載の装置。
【請求項7】
前記保持ツール(70)は、互いに反対向きの、2つの好ましくは互いに平行なカウンター保持面を有することを特徴とする、請求項
1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
一緒に多角形リングスパナを形成する複数のカウンター保持面が、前記保持ツール(70)に形成されていることを特徴とする、請求項
1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記保持ツール(70)の前記駆動装置(77)の駆動方向は、前記ねじ接続(10)の長手方向範囲に関して横方向に延びていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記保持ツール(70)の前記駆動装置(77)の駆動方向は、前記ねじ接続(10)の長手方向軸線に対して平行に延びていることを特徴とする、請求項1から
8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
前記保持ツール(70)の前後移動のための前記駆動装置(77)は、歯付きラック駆動装置の形式であることを特徴とする、請求項1から
10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
前記ツール
キャリア(20)の前記
電気トラクションドライブおよび前記保持ツール(70)の前記駆動装置(77)は、それぞれ独立しているが、両方とも同じ前記制御ユニット(4)からの信号によって制御されることを特徴とする、請求項1から
11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記ツールキャリア(20)から空間的に別個に位置決めすることができかつ前記
電気トラクションドライブ、前記ツール(5)および前記保持ツール(70)にエネルギを供給するために機能するエネルギモジュール(88)を有し、少なくともその長さの一部にわたって柔軟なエネルギ供給ラインが、前記エネルギモジュール(88)から前記ツールキャリア(20)まで通じていることを特徴とする、請求項1から
12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記制御ユニット(4)は前記エネルギモジュール(88)に配置されているまたは該エネルギモジュール(88)と一緒にキャリアに配置されており、前記トラクションドライブ制御信号、前記ツール制御信号および前記保持ツール制御信号の伝送のために、電気信号ラインが前記制御ユニット(4)から前記ツールキャリア(20)まで通じており、前記
電気信号ラインは、少なくともその長さの一部にわたって、前記エネルギ供給ラインに機械的に接続されている、請求項
13記載の装置。
【請求項15】
前記装置は、さらに、1つまたは複数の鉛直方向旋回軸線を備える旋回可能なスタンド(95)を有し、該スタンド(95)には、該スタンド(95)の固定のための固定手段が設けられており、前記エネルギ供給ラインの長手方向部分は、前記スタンド(95)に取り付けられていることを特徴とする、請求項
13または
14記載の装置。
【請求項16】
前記旋回可能なスタンド(95)は、少なくとも約360°の回転角度にわたって前記エネルギ供給ラインを支持するように設計されていることを特徴とする、請求項
15記載の装置。
【請求項17】
前記ツールキャリア(20)は、前記エネルギ供給ラインのためのリードスルーを有しており、該リードスルーは、好ましくは前記ツールキャリア(20)の移動方向に、前記ツールキャリア(20)に可動に配置されたスライド(96)に配置されていることを特徴とする、請求項
13から
16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
前記保持ツール(70)は、圧力が加えられると互いに向かって可動な2つのカウンター保持面(75A,75B)を有し、該カウンター保持面(75A,75B)はそれぞれシェルとして構成されており、該シェルの半径は、実質的に前記ねじ山付きエレメント(11)のねじ山付き部分の半径と等しいことを特徴とする、請求項1,
9,
11,
12または
13記載の装置。
【請求項19】
前記ねじ山付き部分に対する摩擦抵抗を増大させるために、前記カウンター保持面(75A,75B)には、例えばゴムから成る摩擦ライニングまたは非平滑面が設けられていることを特徴とする、請求項
18記載の装置。
【請求項20】
前記保持ツール(70)は、前記ツール(5)における少なくとも1つの開口(131)を通って延びており、前記保持ツール(70)の前記カウンター保持面(75A,75B)は前記ツール(5)内に配置されていることを特徴とする、請求項
18または
19記載の装置。
【請求項21】
前記ツール(5)の構成部分は、支持管(101)であり、該支持管(101)の底側(102)によって、前記ツール(5)を前記フランジ接続に支持することができ、前記少なくとも1つの開口(131)は前記支持管(101)に配置されており、前記少なくとも1つの開口(131)を通って前記保持ツール(70)が延びており、前記開口(131)は前記底側(102)まで連続的に延びていることを特徴とする、請求項
20記載の装置。
【請求項22】
スペース、好ましくは風車のタワーの内部、をリング状に包囲するフランジ接続(7)に沿って配置されたねじ接続を締め付けるための装置であって、そのうちの各ねじ接続(10)は、ねじ山付きエレメント(11)と、該ねじ山付きエレメントに螺合させられたナット(12)とから構成されており、該ナット(12)は、前記フランジ接続の第1の側に対して支持されており、前記ねじ山付きエレメント(11)は、前記フランジ接続の第2の側に対して支持されており、前記装置は、
-前記フランジ接続(7)に沿って可動でありかつ好ましくは電気トラクションドライブが設けられたツールキャリア(20)と、
-該ツールキャリア(20)に配置されておりかつ前記ねじ接続を締め付けかつ前記ナットを前記フランジ接続に対して回転させるために機能するツール(5)と、
-トラクションドライブ制御信号によって、前記ツールキャリア(20)を、前記ツール(5)が、それぞれ締め付けられるべき前記ねじ接続と対向して配置される作動位置へ移動させ、かつツール制御信号によって前記ねじ接続の締付けおよび前記ナットの回転を制御するように設計された、制御ユニット(4)と、を有する、装置において、
前記ツール(5)は、液圧式ねじテンショニングシリンダであり、液圧作動チャンバ(118)を包囲するシリンダハウジング(100)を有し、該シリンダハウジング(100)において回転可能に配置されておりかつ雌ねじ山(116)によって前記ねじ山付きエレメント(11)に螺合させることができる交換可能なソケット(114)を有し、該交換可能なソケット(114)を回転させるための駆動装置(51)を有し、前記ねじ山付きエレメント(11)に一体的に形成された多角形(11B)に対して支持させることができる保持ツール(70)を有し、該保持ツール(70)は、前記シリンダハウジング(100)内で長手方向に案内されかつ前記シリンダハウジング(100)に対して回転方向で固定されていることを特徴とする、装置。
【請求項23】
前記保持ツール(70)は、ばね力を受けながら平坦部に対して支持されていることを特徴とする、請求項
22記載の装置。
【請求項24】
一方の側において前記保持ツール(70)に、他方の側において前記交換可能なソケット(114)に支持されているばねエレメント(147)を有することを特徴とする、請求項
23記載の装置。
【請求項25】
前記交換可能なソケット(114)を通って案内されておりかつ前記交換可能なソケット(114)に対して回転可能でありかつその一方の端部において保持ツール(70)が設けられておりかつその他方の端部の領域において、ロッド(140)を前記シリンダハウジング(100)に対して回転方向で固定された状態に保持する回転防止固定手段(141)が設けられている、ロッド(140)を有することを特徴とする、請求項
22から
24までのいずれか1項記載の装置。
【請求項26】
前記駆動装置(51)と前記交換可能なソケット(114)との間の駆動パスにギアリング(148)を有し、該ギアリング(148)の構成部分は、前記交換可能なソケット(114)に対して回転方向で固定された歯付きギア(149)であり、該歯付きギア(149)には通過開口(150)が設けられており、該通過開口(150)を通って前記ロッド(140)が延びていることを特徴とする、請求項
25記載の装置。
【請求項27】
前記ツール(5)の構成部分は、前記シリンダハウジング(100)に回転可能に配置されかつ前記ナット(12)を回転させるために機能する回転スリーブ(110)であることを特徴とする、請求項
22から
26までのいずれか1項記載の装置。
【請求項28】
スペース、好ましくは風車のタワーの内部、をリング状に包囲するフランジ接続(7)に沿って配置されたねじ接続を締め付けるための装置であって、各ねじ接続(10)は、ねじ山付きエレメント(11)と、該ねじ山付きエレメントに螺合させられたナット(12)とから構成されており、該ナット(12)は、前記フランジ接続の第1の側に対して支持されており、前記ねじ山付きエレメント(11)は、前記フランジ接続の第2の側に対して支持されており、前記装置は、
-前記フランジ接続(7)に沿って可動でありかつ好ましくは電気トラクションドライブが設けられたツールキャリア(20)と、
-該ツールキャリア(20)に配置されておりかつ前記ねじ接続を締め付けかつ前記ナットを前記フランジ接続に対して回転させるために機能するツール(5)と、
-トラクションドライブ制御信号によって、前記ツールキャリア(20)を、前記ツール(5)が、それぞれ締め付けられるべき前記ねじ接続と対向して配置される作動位置へ移動させ、かつツール制御信号によって前記ねじ接続の締付けおよび前記ナットの回転を制御するように設計された、制御ユニット(4)と、を有する、装置において、
前記ツールキャリア(20)において、前記ツール(5)に加えて、前記ねじ山付きエレメント(11)に対して当接させることができる少なくとも1つのカウンター保持面(75,75A,75B)を備える保持ツール(70)が配置されており、前記ツールキャリア(20)には、休止位置と、前記カウンター保持面(75,75A,75B)が前記ねじ山付きエレメント(11)に対して当接するカウンター保持位置との間の前記保持ツール(70)の前後移動のための駆動装置(77)が設けられており、前記制御ユニット(4)は、加えて、保持ツール制御信号によって、前記保持ツール(70)の前記駆動装置(77)を制御するように設計されており、
前記保持ツール(70)は、圧力が加えられると互いに向かって可動な2つのカウンター保持面(75A,75B)を有し、該カウンター保持面(75A,75B)はそれぞれシェルとして構成されており、該シェルの半径は、実質的に前記ねじ山付きエレメント(11)のねじ山付き部分の半径と等しいことを特徴とする、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペース、好ましくは風車のタワーの内部、をリング状に包囲するフランジ接続に沿って配置されたねじ接続を締め付けるための装置であって、各ねじ接続は、ねじ山付きエレメントと、前記ねじ山付きエレメントに螺合させられたナットとから構成されており、ナットは、フランジ接続の第1の側に対して支持されており、ねじ山付きエレメントは、フランジ接続の第2の側に対して支持されており、装置は、
-フランジ接続に沿って可動でありかつ好ましくは電気トラクションドライブが設けられたツールキャリアと、
-ツールキャリアに配置されておりかつねじ接続を締め付けかつナットをフランジ接続に対して回転させるために機能するツールと、
-トラクションドライブ制御信号によって、ツールキャリアを、ツールが、それぞれ締め付けられるべきねじ接続と対向して配置される作動位置へ移動させ、かつツール制御信号によってねじ接続の締付けおよびナットの回転を制御するように設計された、制御ユニットと、を有する、装置に関する。
【0002】
これらの特徴を有する装置は、欧州特許出願公開第3195991号明細書より公知である。前記装置は、フランジに沿って一列に配置されたねじ接続を順次に締め付けるために機能する。各個々のねじ接続は、下方からフランジに対して、半径方向に拡大したボルトヘッドによって支持されたねじボルトの形式のねじ山付きエレメントと、ねじボルトのねじ山付き部分に螺合させられたねじ山付きナットとから形成されており、ナットは上方からフランジに支持されている。ねじ接続の締付けまたは再締付けは、ナットがねじ山に沿って再調節されることによって行われる。これは、自己推進車両に配置されたツールを使用して行われる。位置センサと、前記センサによって得られた位置信号とによって、ツールが配置された車両は、ツールが、ねじボルトおよびねじ山付きナットのねじ接続軸線と正確に軸方向で整列して配置されたことがセンサ信号から判定されるまで、制御された形式で移動させられる。この目的のために、位置センサの位置信号は、制御技術によって、車両の駆動のための信号に処理される。制御装置は、さらに、締付けプロセスを制御するように設計されている。
【0003】
個々のねじ接続が順次に締め付けられる公知の締付けまたは再締付けプロセスの場合の欠点は、ナットの再締付けの間のねじ山付きエレメントの望ましくないスピニングの場合のための手段を有さないということである。この問題に対する解決手段を提供することがその意図である。
【0004】
これは、請求項1によれば、ツールキャリアにおいて、ツールに加えて、ねじ山付きエレメントに対して当接させることができる少なくとも1つのカウンター保持面を備える保持ツールが配置されており、ツールキャリアには、休止位置と、カウンター保持面がねじ山付きエレメントに対して当接するカウンター保持位置との間の保持ツールの前後移動のための駆動装置が設けられており、制御ユニットは、加えて、保持ツール制御信号によって、保持ツールの駆動装置を制御するように設計されていることにある。
【0005】
請求項24による代替的な解決手段は、ツールが、液圧式ねじテンショニングシリンダであり、液圧作動チャンバを包囲するシリンダハウジングを有し、シリンダハウジングにおいて回転可能に配置されておりかつ雌ねじ山によってねじ山付きエレメントに螺合させることができる交換可能なソケットを有し、交換可能なソケットを回転させるための駆動装置を有し、ねじ山付きエレメントに一体的に形成された多角形に対して支持させることができる保持ツールを有し、保持ツールは、シリンダハウジング内で長手方向に案内されかつシリンダハウジングに対して回転方向で固定されている、ことにある。
【0006】
装置の有利であるが、必須ではない改良は、それぞれの従属請求項に明示されている。
【0007】
したがって、ねじ接続を締め付けるために、ねじ接続のねじ山付きエレメントには、フランジ接続の第2の側において、少なくとも1つの平坦部が設けられており、カウンター保持面は、少なくとも1つの平坦部に対して面で当接するように設計されていることが提案される。
【0008】
ねじ山付きエレメントの平坦部に関する改良されたポジティブロッキングのために、保持ツールは、互いに面した、2つの互いに平行なカウンター保持面を有し、これにより、ねじ山付きエレメントに設けられた正方形または六角形が連動して回転することを防止することが提案される。カウンター保持面は、例えば、開放式スパナのツール面である。
【0009】
代替的な構成において、保持ツールは、互いに反対向きの、2つの、好ましくは互いに平行なカウンター保持面を有してもよく、これにより、これらの2つの面と共に、2つの隣接するねじ山付きエレメントの、半径方向に拡大した部分に配置された2つの隣接する正方形または六角形の間の空間内へ移動することができ、これにより、連動した回転に対して前記ねじ山付きエレメントをブロックする。
【0010】
好ましくは、これは、装置の観点から実現するのに最も容易な変形態様であるため、保持ツールの駆動は、ねじ接続の長手方向範囲に関して横方向に生じる。
【0011】
しかしながら、駆動は、保持ツールが鉛直方向移動を行うように構成されてもよい。
【0012】
保持ツールは、好ましくは、駆動側において駆動装置に接続されたツール本体と、少なくとも1つのカウンター保持面を有するツール部分とを有する。ツール本体は、比較的遠くまで下方へ延びている。ツールキャリアに、その可動性のために、ツールキャリアの起立平面を規定する回転可能に取り付けられたローラが設けられているならば、保持ツールのための駆動装置は起立平面の上方に配置され、保持ツールのツール本体は、起立平面を越えてツール部分まで下方へ延びている。
【0013】
ツール部分がばねの力に逆らってツール本体において可動に案内されると有利であり、この場合、移動方向は保持ツールの前後移動の方向と同じである。好ましくは、ツール部分は、保持ツールの静止位置において、ツール部分におけるストッパがばねの力によりツール本体におけるストッパに対して支持されるようなツール本体における位置に配置される。
【0014】
好ましくは、ツールホルダのトラクションドライブおよび保持ツールの駆動装置はそれぞれ独立しているが、これらは両方とも同じ制御ユニットからの信号によって制御される。
【0015】
ツールキャリアから空間的に別個に位置決めすることができかつトラクションドライブ、ツールおよび保持ツールにエネルギを供給するために機能するエネルギモジュールも提案されており、少なくともその長さの一部にわたって柔軟なエネルギ供給ラインが、エネルギモジュールからツールキャリアまで通じている。この場合、制御ユニットも、好ましくは、エネルギモジュールに配置されているまたはエネルギモジュールと共にキャリアに配置されている。
【0016】
トラクションドライブ制御信号、ツール制御信号および保持ツール制御信号の伝送のために、電気信号ラインが制御ユニットからツールキャリアまで通じていてもよい。信号ラインは、少なくともその長さの一部にわたってエネルギ供給ラインに機械的に接続されている。
【0017】
装置において使用されるツールは、ねじテンショニングシリンダ、液圧トルクドライバまたは電気スクリュドライバであってもよい。
【0018】
特に有利であり得ることは、実質的にねじれがないように作動する、ねじ接続を締め付けるための作業方法である。このような締付けは、例えば、ねじテンショニングシリンダの形式のツールによって許される。このようなねじテンショニングシリンダは公知である。ねじテンショニングシリンダは、一般的に液圧力を用いて作動し、液圧作動チャンバを包囲したシリンダハウジングと、交換可能ソケットとが設けられている。交換可能ソケットは、シリンダハウジングに回転可能に配置されており、ねじ接続のねじ山付き端部と一緒に螺合させることができる。前記タイプのねじテンショニングシリンダの別の構成部分は、ねじ接続のねじ山付きエレメントが液圧によって僅かに拡張させられながらナットをポジティブロッキング形式で駆動、すなわち回転させるための回転スリーブである。
【0019】
ねじテンショニングシリンダがツールとして使用される場合、ねじテンショニングシリンダには、交換可能なソケットを回転させるための電気駆動装置が設けられている。さらに、ねじテンショニングシリンダには、第2の電気駆動装置が設けられていてもよい。これは、回転スリーブを回転させ、ひいてはナットを締め付けることを担い、加えて、ツールキャリアに対するねじテンショニングシリンダの鉛直方向調節のためにも設計されている。
【0020】
多数のねじ接続および3000bar以下の高い圧力により重い、装置の補助アセンブリ、特にエネルギモジュールは、ツールキャリアに配置されているのではなく、空間的に別個に配置されている。したがって、エネルギモジュールは、トラクションドライブ、ツールおよび保持ツールへのエネルギの供給を確実に保証することができ、少なくともその長さの一部にわたって柔軟なエネルギ供給ラインが、エネルギモジュールからツールキャリアまで通じている。装置の別の実施の形態によれば、制御ユニットも、エネルギモジュールに配置されており、例えばエネルギモジュールと一緒にキャリアに配置されている。
【0021】
トラクションドライブ制御信号、ツール制御信号および保持ツール制御信号の伝送のために、電気信号ラインが制御ユニットからツールキャリアまで通じていてもよく、信号ラインは、少なくともその長さの一部にわたってエネルギ供給ラインに機械的に接続されていてもよい。
【0022】
装置は、さらに、1つまたは複数の鉛直方向の旋回軸線を備える旋回可能なスタンドを有してもよい。スタンドには、スタンドの位置的に固定された取付けのための取付け手段が設けられている。エネルギ供給ラインの長手方向部分はスタンドに取り付けられている。旋回可能なスタンドは、好ましくは、少なくとも約360°の回転角度にわたってエネルギ供給ラインを支持するように設計されている。
【0023】
好ましくは共通のハウジングにおける制御ユニットと組み合わされたドキュメンテーションモジュールも提案される。前記ドキュメンテーションモジュールには、締め付けられる各ねじ接続のためのデータセットが記憶されている。データセットは、
それぞれのねじ接続の個々の識別子であって、前記識別子は、それぞれのねじ接続におけるバーコードスキャンまたはRFIDタグによって検出されるまたは識別子は、代替的に、フランジ接続におけるそれぞれのねじ接続の位置によって決定される、個々の識別子、
および/またはツールの実際に使用される締付力、
および/またはナットによってカバーされる、フランジ接続に対する回転角度、
および/または締付けプロセスの間に測定されたねじ山付きエレメントの長さの変化、を含む。
【0024】
1つまたは複数の鉛直方向の旋回軸線を備える旋回可能なスタンドも提案され、スタンドは、スタンドの位置的に固定された取付けのための取付け手段を具備し、エネルギ供給ラインの長手方向部分はスタンドに取り付けられている。
【0025】
旋回可能なスタンドは、好ましくは、少なくとも約360°の回転角度にわたってエネルギ供給ラインを支持するように設計されている。
【0026】
ツールキャリアは、好ましくは、エネルギ供給ラインのためのリードスルーを有し、リードスルーは、好ましくはツールキャリアの移動方向に可動にツールキャリアに配置されたスライドに配置されている。
【0027】
保持ツールの代替的な実施の形態では、カウンター保持作用は、ねじ山付きエレメントのねじ山付き部分における支持によって直接的に実現される。このために、保持ツールは、圧力が加えられると互いに向かって可動な2つのカウンター保持面を有し、カウンター保持面はそれぞれシェルとして構成されており、シェルの半径は、実質的にねじ山付きエレメントのねじ山付き部分の半径と等しいことが提案される。
【0028】
この実施の形態の場合の高い圧力により、摩擦を増大させるための手段が好都合である。したがって、ねじ山付き部分に対するカウンター保持面の摩擦抵抗を増大させるために、カウンター保持面には、例えばゴムから成る摩擦ライニングまたは非平滑面が設けられていることが提案される。
【0029】
別の実施の形態では、保持ツールおよびツールは互いに組み合わされている。ここでは、保持ツールは、ツールにおける少なくとも1つの開口を通って延びており、保持ツールのカウンター保持面はツール内に配置されている。ツールの構成部分は、好ましくは、支持管であり、支持管の底側によってツールをフランジ接続に支持することができる。この場合に保持ツールが通って延びる少なくとも1つの開口は、底側まで連続して延びている。
【0030】
その他の詳細および利点は、図面に示された典型的な実施の形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】風車のタワーの、2つの接続されたリング状部分の斜視図であり、当該部分の半分だけが、前記部分が複数のねじ接続を備えるリング状フランジ接続によって接続されているタワーの長さにわたって、示されている。
【
図2】水平方向断面図を示しており、この場合、リング状タワー部分の全周が示されている。
【
図3】ねじ接続を締め付けるための装置の、キャリッジの形式の可動ユニットを斜視図で示している。
【
図6】詳細な図において、可動ユニットに配置されたスタンドを、前記スタンドに配置されたツールを含めて示している。
【
図8】詳細な図において、保持ツールを示しており、保持ツールの下端部には、ねじ接続の締付けの間のカウンター保持作用のためのツールが配置されている。
【
図10】部分的な断面図において、ねじ接続を締め付けるための液圧ツールを示しており、ツールは、フランジ接続の上側まで下降させられかつフランジ接続の上側に設置された位置において示されている。
【
図11】保持ツールがツールと組み合わされた別の実施の形態における液圧ツールを示している。
【
図12】保持ツールが液圧ツールの中央に配置されたさらに別の実施の形態における液圧ツールを示している。
【0032】
ねじ接続を締め付けるための装置は、可動ユニット1、空間的に別個に配置された静止ユニット2、および可動ユニット1と静止ユニット2との間のケーブルライン、特に供給および信号ケーブル3から構成される。可動ユニット1の構成部分は、ねじ接続を締め付けるためのツール5である。ここでより詳細に説明される典型的な実施の形態において、ツールは、液圧式に作動されるねじテンショニングシリンダ5である。装置のエネルギ供給部が、静止ユニット2に配置されている。静止ユニット2の別の構成部分は、電子制御ユニット4である。電子制御ユニット4自体は、特に、移動制御モジュール4Aおよびドキュメンテーションモジュール4Bを有する。ドキュメンテーションモジュール4Bには、各個々の締め付けられるねじ接続のためのデータセットが記憶されており、このデータセットは、これにより、ねじ接続プロセスの最も重要な特性データの後のチェックを許す。
【0033】
ツール5は、駆動装置によって可動なキャリッジ6に、高さ調節可能なように配置されている。したがって、キャリッジ6は、装置のツールキャリアである。
【0034】
キャリッジまたはツールキャリアは、そこに取り付けられたローラによって、タワータイプ風車の構成部分であるリング状フランジ接続7に沿って異なる周方向位置へ移動させられるように構成されており、これにより、これらの各位置において、そこに配置されたねじ接続を締め付ける、再締付けするまたは緩める。
【0035】
フランジ接続7は、この場合、上側リング状フランジ7Aおよび下側リング状フランジ7Bから成るダブルフランジである。下側リング状フランジ7Bは、前記上側リング状フランジに対して好ましくは面で接触している。上側リング状フランジ7Aは、上側リング状タワー部分8Aの下縁部に配置されている。下側リング状フランジ7Bは、下側リング状タワー部分8Bの上縁部に配置されている。タワー部分8A,8Bは、別の同様のタワー部分と共に、風車の鉛直のタワーを形成している。150m以下の高さを有するこのような風車は、組立ての理由からタワー部分から成る。これらのタワー部分は、実質的に円筒状であり、フランジ接続7によって包囲された円形のスペース9を包囲している。タワー部分は、上方へ円錐形に狭窄していてもよい。
【0036】
タワー部分は、それぞれの上側タワー部分8Aに形成されたリング状フランジ7Aと、それぞれそのすぐ下側に配置されたタワー部分8Bに形成されたリング状フランジ7Bとによってねじ留めされている。2つのリング状フランジから成るフランジ接続7は、複数のねじ接続によって保持されている。これらは、それぞれ周囲にわたって均等な間隔で分布させられるように配置されている。
【0037】
各ねじ接続10は、ボルト状ねじ山付きエレメント11と、ねじ山付きエレメント11のねじ山付き部分に螺合させられたねじ山付きナット12とから成る。ねじ山付きナット12は、その底側において、リング状フランジ7Aの好ましくは平坦な上側において支持されている。
【0038】
典型的な実施の形態では、ねじ山付きエレメント11は、フランジ接続7の下側リング状フランジ7Bに対して下方から、半径方向に拡大したカラーまたはヘッドを備えるねじの形式で支持されるように構成されている。
【0039】
ねじ接続の場合に慣用的であるように、ワッシャが、ねじ山付きナット12と上側リング状フランジ7Aとの間に付加的に配置されてもよい。
【0040】
ねじ接続10は、スペース9の周囲に、すなわちフランジ接続7に沿って均等に、すなわち均等な間隔で分布させられるように配置されている。すぐに続くねじ接続のねじ接続軸線に対する、1つのねじ接続のねじ接続軸線の周方向間隔は、これにより、常に同じである。したがって、ねじ接続10の軸線が配置されているリングの、スペース9の中央に関する半径が分かっているならば、ねじ接続の総数も同様に分かり、ねじ接続の軸線の間の周方向の距離を数学的に求めることができる。これらの幾何学的な仕様は、ツール5が配置されたキャリッジ6を、フランジ7の範囲に沿って個々の作動位置へ移動させるために利用され、各作動位置は、ツール5が、それぞれ締め付けられるべきねじ接続の軸線の上方にかつ当該軸線と整列して配置されているという特徴を有する。
【0041】
装置において使用されるツール5は、液圧式トルクドライバ、電気スクリュドライバまたはねじテンショニングシリンダである。
【0042】
これに関して、ねじテンショニングシリンダの変形態様を、
図10に基づき以下により詳細に説明する。前記ねじテンショニングシリンダは、特にねじ接続の再締付けの間、実質的にねじれなしねじテンショニングプロセスが、すなわちねじ長さにわたる比較的高いねじり力の発生なしに達成されるという特徴を有する。このために、ナット12は、高い締め付けトルクによって直接的に回転させられるのではなく、ねじ山付きエレメント11はむしろ、例えば液圧力によって長手方向に拡張させられ、これにより、ナット12の下側が、リング状フランジ7Aから離れるように移動させられる。このように拡張した状態において、ナット12は、比較的小さなトルクで再締付けされる。このようなねじテンショニングシリンダ5、およびねじ山付きエレメント11の延伸によるこのようなねじテンショニングプロセスを、さらに以下でより詳細に説明する。
【0043】
全てのねじ接続10は、それらのねじ接続軸線が、リング状フランジ7Aの上側に対して直角かつタワー部分8A,8Bの中心主軸線に対して平行になるように、延びている。
【0044】
可動ユニット1の主エレメントは、ツールキャリア20である。これをフランジ接続に沿って個々の作動位置へ移動させることができるために、ツールキャリア20は、複数のローラを具備し、これらのローラは、幾つかの場合に駆動され、ひいては、ツールキャリア20を推進し、幾つかの場合に駆動されず、すなわち移動の間に単に連動して転がる。
【0045】
ここに示された典型的な実施の形態では、2つのローラ21A,21Bが設けられており、2つのローラ21A,21Bによってツールキャリア20がフランジ接続7の上側に支持されている。ローラ21A,21Bは、ツールキャリア20における水平の回転軸に取り付けられている。ローラ21Aは、被駆動ローラであるのに対し、ローラ21Bは、自由に連動して走行するローラである。ローラ21A,21Bは、ツール5のものを含む、ツールキャリア20およびツールキャリアに配置されたアセンブリの重量の力の主要な部分を支持する。ローラ21A,21Bは大きな重量荷重に曝されるので、これらのローラのうちの少なくとも1つ、この場合はローラ21Aが駆動ローラであることが好都合である。
【0046】
電気駆動モータ24は、ローラ21Aを駆動し、ローラ21Aと共に、装置のトラクションドライブを形成している。トラクションドライブの駆動モータ24は、被駆動ローラ21Aと同じ軸に配置されているのではなく、歯付きベルトまたはチェーンが、駆動モータ24の回転を、駆動ローラ21Aの同じ、増大したまたは減少した速度の回転に変換する。しかしながら、利用できる十分なスペースが存在するならば、駆動モータ24がローラ21Aと同じ軸に配置されることが可能である。トラクションドライブの駆動モータ24は、制御ユニット4からトラクションドライブ制御信号を受信する。
【0047】
切換え可能なクラッチ25、好ましくは、電磁クラッチが、駆動モータ24とローラ24Aとの間の駆動パスに配置されている。クラッチ25は、同様に電子制御ユニット4から切換え信号を受信する。クラッチ25が分離されているまたは作動停止させられていると、ローラ24Aはこれにより自由に回転可能にされ、これにより、ツールキャリア20は、移動方向に自由に移動することができ、これにより可能な遊びは、それぞれのねじ接続10のねじ接続軸線に対するツール5のセンタリングを単純化する。
【0048】
ローラ22も、ツールキャリア20に取り付けられているが、これらは、実質的に鉛直の回転軸に取り付けられている。これらの付加的なローラは、タワー部分の内壁23に対してキャリッジを支持する。ローラ22は、ローラ21A,21Bと比較して小さな重量荷重しか受けない。しかしながら、ローラ22は、内壁23に対して支持されており、これは、キャリッジの重心がローラ21A,21Bの転がり線よりさらに外側に配置されているというローラ21A,21Bの配置によって達成される。
【0049】
付加的なローラ22は、駆動されない、すなわち単に連動して回転する。ローラ22のうちの少なくとも1つがスリップなし形式で角度エンコーダ26に結合されていることが好ましい。角度エンコーダ26は、ローラの角度信号の検出を許す。角度信号から、電子制御ユニット4のプロセッサは、内壁23に沿ったツールキャリア20の移動距離を計算する。これから、ひいては、プロセッサによって、ツールキャリア20が、ねじ接続10が配置されているリングに沿ってカバーするまたはカバーした距離を数学的に求めかつチェックすることができる。
【0050】
キャリッジ6の横方向案内のために、好ましくは2箇所に設けられた整列エレメント30が、底部においてツールキャリア20に固定されている。整列エレメント30には、移動方向に延びる整列面30Aが設けられており、整列面30Aの面垂線は、内方、ひいてはツールキャリアが付加的なローラ22によって支持される方向と反対方向を向いている。整列面30Aは、作動中、整列面30Aがねじ山付きエレメント11のねじ山付き端部11Aの高さにかつナット12の上方に配置されるような高さにおいて、キャリッジ6に配置されている。前記整列面は、さらに、整列面が支持されることができるねじ山付き端部11Aの僅かに外側に配置されている。その結果、キャリッジ6の移動中、前記キャリッジは、ねじ山付き端部11Aの後側に支持され、これにより、キャリッジ6は、ローラ21A,21Bによって規定された走行線から内方へ逸脱することができない。その他の方向、すなわち外方において、付加的なローラ22が、既にキャリッジの必要な横方向案内を行う。
【0051】
被駆動ツールキャリア20の構成部分は、下側プラットフォーム31、および下側プラットフォーム31に対して固定して配置された上側プラットフォーム32である。ローラ21A,21Bは、下側プラットフォーム31の下方に支持されている。キャリッジ6全体の容易な持上げおよび搬送のために、アイレットが上側プラットフォーム32に取り付けられており、このアイレットにクレーンフックを係合させることができる。
【0052】
ツール5を保持するスタンド33が、下側プラットフォーム31の上側における面に支持されている。スタンド33は、ツール5の高さ調節のための鉛直方向ガイド34として形成されている。
【0053】
一方では、プラットフォーム31の上側、他方では、スタンド33のベースに、ツールキャリア20の長手方向、ひいては移動方向に関して横方向の案内方向を備える横方向ガイド35のエレメントが設けられている。低い摩擦で作動する横方向ガイド35により、スタンド33、ひいてはスタンド33に配置されたツール5は、特にツールキャリアの移動方向に関して横方向に可動であるために、プラットフォーム31に可動に取り付けられている。
【0054】
プラットフォーム31に関するスタンド33の配置可能性は、横方向の力がないときにプラットフォーム31に関する中央位置にスタンド33を保持するばね配列36によって補助されてもよい。これにより、横方向の力が、ツール5、ひいてはスタンド33に作用しないとき、横方向ガイド35によってかつばね配列36の力を受けて案内される前記スタンドは、自動的に中央位置へ戻る。
【0055】
スタンド33は、ツール5の高さ調節のための鉛直方向ガイド34を同時に形成している。このために、スタンドは、プラットフォーム31に可動に配置されかつ横方向ガイド35において案内されるスタンドベース41、スタンドベースに堅く取り付けられた鉛直方向案内ロッド42、前記ロッドの上端部を接続する上側スタンドフレーム49、およびモータドライブによって高さが調節可能なスタンドフレーム50から構成されている。上下に可動なスタンドフレーム50は、鉛直方向ガイド34の案内ロッド42によって案内される。ツール5はスタンドフレーム50に固定されている。
【0056】
テンショニングプロセス自体のために、ツール5は適切に液圧式に作動する。しかしながら、自動ツール作動のために、少なくとも2つの電気駆動装置51,52も設けられている。2つの駆動装置51,52は、制御ユニットからのツール制御信号に従って作動する。第1の電気駆動装置51は、ねじテンショニングシリンダに回転可能に配置された交換可能なソケットを駆動する。前記第1の電気駆動装置は、好ましくはねじテンショニングシリンダのシリンダハウジングの上部に配置されている。第2の電気駆動装置52は、より低いところ、好ましくは、高さ調節可能なスタンドフレーム50に配置されている。
【0057】
第2の電気駆動装置52は回転スリーブを駆動し、回転スリーブによってねじ山付きナット12を、ポジティブにロックする作用によって回転方向でセットすることができる。第2の駆動装置52は、スタンド33に対して、スタンドフレーム50、ひいてはツール5を昇降させるように付加的に設計されていてもよく、これは、典型的な実施の形態において、案内ロッド42に対して平行に配置されたねじ駆動装置56によって実現され、このねじ駆動装置に第2の駆動装置52の駆動軸を結合することができる。
【0058】
したがって、第2の駆動装置52は2つの機能を有する。制御ユニットからの対応するツール制御信号に従って、前記第2の駆動装置を、回転スリーブまたねじ駆動装置56に結合することができる。
【0059】
ねじ接続10の締付け、再締付けまたは緩めの間、原理的に、ねじ山付きエレメント11が望ましくない形式で連動して回転するという状況が生じることがありうる。テンショニングプロセスの間、これを防止するために、ツールキャリア20において、締付けツールが配置されているのみならず、カウンターホルダとして機能する保持ツール70も配置されている。保持ツール70の構成部分は、少なくとも1つのカウンター保持面75である。このカウンター保持面75を、ねじ山付きエレメント11の半径方向に拡大した部分における表面、例えば、それによってねじ山付きエレメント11がフランジ接続7の下側に取り付けられる六角形の表面に対して支持することができる。このように実現されるポジティブロッキングは、ねじ接続10の締付け、再締付けまたは緩めの間、ねじ山付きエレメント11の連動する回転を防止する。
【0060】
カウンター保持面75をねじ山付きエレメント11の半径方向に拡大した部分における表面と係合させるために、保持ツール70を、受動位置と、能動位置と、カウンター保持位置との間で前後に移動させる目的のために下側プラットフォーム31に電気駆動装置77が配置されている。能動位置のみにおいて、カウンター保持面75は、ねじ山付きエレメント11の対応する面、特に六角形の面に対して当接する。制御ユニット4のプロセッサは、保持ツール制御信号によって電気駆動装置77を制御するように構成されている。
【0061】
示された実施の形態では、保持ツール70のツール部分79は、2つの相互に平行なカウンター保持面75が互いに対向して配置された開放式スパナ状に構成されている。
【0062】
この場合、保持ツール70の駆動装置77は、ねじ接続の軸線に関して横方向に作動する。保持ツール70を前後に移動させるための駆動装置77は、ここに示された実施の形態では、歯付きラック駆動装置の形式である。代替的に、図示されていない形式において、保持ツールの駆動装置が、ねじ接続10の軸線に対して平行に、すなわち鉛直方向に作動することが可能である。
【0063】
保持ツール70は、駆動側において駆動装置77に接続されたツール本体78と、カウンター保持面75が形成されたツール部分79とを有する。ツール部分79は、ばね80の力に逆らって可動であるようにツール本体78において案内されている。したがって、保持ツール70がねじ山付きエレメント11に対して移動させられると、ばね80は、前記部分が、ポジティブロッキング作用を許す互いに対する回転位置を占めるまで、ツール部分79を保持する。これは、なぜならば、関与させられる部分の相対回転の結果、ある時点で、カウンター保持面75が確実にかつばね圧力を受けてポジティブにロックする形式でラッチすることができる回転位置が達せられ、そうすることにより、係合状態になるからである。
【0064】
ツール部分79が荷重を受けていないとき、すなわち、ねじ山付きエレメントにおける当接またはポジティブロッキングが存在しないとき、ツール部分79は、ばね80の力を受けて、ツール本体78に配置されたストッパ81に対して支持される。
【0065】
ローラ21A,21Bはキャリッジまたはツールキャリア20の起立平面Eを規定しているので、保持ツール70の駆動装置77は前記起立平面Eの上方に配置され、駆動装置は、好ましくは、プラットフォーム31に取り付けられている。そこから、ツール本体78は、起立平面Eを越えてツール部分79まで延びている。前記ツール部分は、フランジ接続7の下方の位置に配置されている。
【0066】
ツール本体78の長さ、ひいてはツール部分79の基本位置を手動で設定することができる。このように設定された位置は、締付けねじによって固定される。
【0067】
保持ツール70の駆動装置77も、制御ユニット4からの制御信号によって、特に保持ツール制御信号によって制御される。制御は、ツールキャリア20が、ツール5の軸線がそれぞれのねじ山付きエレメント11の軸線と整列させられる作動位置を占めたとき、保持ツール70が静止位置から作動位置へ最も早く移動させられるようになっている。
【0068】
装置の実際の作動の間、静止ユニット2は、スペース9内の適切な位置において、可動ユニット1、すなわちキャリッジから空間的に別個に位置決めされる。この位置は、例えば、中間フロアであってもよいまたは保守人員のための固定して取り付けられたはしごであってもよく、このはしごはタワーの個々のレベルを接続する。しかしながら、静止ユニット2がスペース9内でできるだけ中央に配置されることが好ましい。したがって、静止ユニット2のアセンブリおよび装置を適切な供給および信号ケーブル3によってキャリッジ6に接続する必要がある。静止ユニット2は、例えば、トラクションドライブ、全てのその機能を含むツール5および保持ツール70へのエネルギ供給のためのエネルギモジュール88またはエネルギモジュールを含む。
【0069】
制御ユニット4は、静止ユニット2の構成部分でもある。制御ユニット4は、特に、トラクションドライブ制御信号によって、ツールキャリア20をツールキャリア20の長手方向に、ツール5が、それぞれ締め付けられるねじ接続と対向して配置される作動位置へ移動させ、ツール制御信号によって、ねじ接続の締付けおよびナットの回転を行うように設計されている。
【0070】
制御ユニット4は、好ましくは、エネルギモジュール88に配置されているまたはエネルギモジュール88と共にキャリアに配置されている。
図1および
図2の実施の形態では、静止ユニット2は、箱を形成するように組み合わされる。箱の下側のローラおよび箱上のハンドルは、前記箱が搬送中に取り扱われることをより容易にする。
【0071】
エネルギの供給のために、エネルギ供給ラインは、エネルギモジュール88からツールキャリア20まで通じている。これらのエネルギ供給ラインは、例えば、ツールキャリア20、ツール5および保持ツール70の様々な電気駆動装置への電気の供給のための電気ケーブルを含む。電流ディストリビュータは、エネルギモジュール88の構成部分であってもよい。
【0072】
供給ケーブルは、さらに、液圧式に駆動されるツール5への供給のための液圧ライン87を含む。関連する液圧ポンプ86も、静止ユニット2の構成部分である。
【0073】
トラクションドライブ制御信号、ツール制御信号、保持ツール制御信号およびクラッチ切換え信号の伝送のために、さらに、制御ユニット4とツールキャリア20との間に少なくとも1つの信号ラインが設けられている。しかしながら、信号接続は、ケーブルフリーまたはワイヤレスであってもよい。
【0074】
静止ユニット2とキャリッジ6との間の、供給および信号ケーブル3として組み合わされた前記ラインは、可能である場合にかつ少なくともその長さの一部にわたって、平行にかつ機械的に接続された形式で導かれている。
【0075】
ケーブル3の案内のために、装置の構成部分は、ピボットスタンド95であり、ピボットスタンド95は、1つまたは複数の鉛直方向旋回軸線を備えて、スペース9においてできるだけ中央に取り付けられている。ピボットスタンド95は、スペース9内でのその取付けのために、取付け手段、例えば、螺合させることができるブラケットを具備する。供給および信号ケーブル3は、ピボットスタンド95に取り付けられている。前記ピボットスタンドは、少なくとも約360°の回転角度にわたってスペース9内でケーブル3を支持するように設計されており、これにより、ケーブル3は、フランジの全周にわたってキャリッジ6の移動に追従することができる。
【0076】
スペース9における固定具および障害物が360°全体にわたってケーブル3の移動を妨げないように、そこで終わっている供給および信号ケーブル3の部分が、ツールキャリア20に対して移動方向に移動させられるための設備が、ツールキャリア20に設けられている。この目的のために、ツールキャリア20は、その上側プラットフォーム32において、ツールキャリア20の移動方向に可動なスライド96を具備する。スライド96には開口が設けられており、この開口を通って、ケーブル3が、キャリッジまたはツールキャリア20の内部へ進入している。開口を備えたスライド96は自由に可動であり、これにより、スライドの位置に応じて、ケーブル3は、キャリッジの内部へ、さらに前方に向かってまたはさらに後方に向かって延びている。
【0077】
図10は、液圧式に操作されるねじテンショニングシリンダ5を示しており、このねじテンショニングシリンダ5は、この場合、ツールを形成しており、
図1および
図2に示されたねじ接続10の締付け、特に再締付け、および場合によっては緩めのために機能する。ねじテンショニングシリンダは、液圧の適用前の作動位置において示されている。この位置において、前記ねじテンショニングシリンダは、その底側102においてリング状フランジ7Aに対して支持される程度まで下降させられている。
【0078】
ねじテンショニングシリンダ5によって、所定の予荷重力を、ボルト長手方向にねじ山付きエレメント11に加えることができ、これにより、ねじ山付きエレメント11は僅かに拡大し、この状態において、ねじ接続のねじ山付きナット12は締め付けられるまたは再締付けされる。
【0079】
ねじテンショニングシリンダ5のシリンダハウジング100に回転可能に配置された交換可能なソケット114の一方の端部には、雌ねじ山116が設けられている。このねじ山によって、交換可能なソケット114は、テンショニングプロセスの開始前に、ナット12を越えて上方へ突出したねじ山付きエレメント11の自由なねじ山付き端部11Aへ、交換可能なソケット114の回転によって螺合させられる。交換可能なソケット114のこのねじ込みは、底側102が、リング状フランジ7Aに当接するまで、ねじテンショニングシリンダ5全体の対応する下降にも関連させられている。なぜならば、交換可能なソケットは、シリンダハウジング100に対して全くまたはほとんど長手方向遊びを有さないからである。
【0080】
その後、このようにねじ山付きエレメント11と螺合させられた交換可能なソケット114は、緊張した状態に液圧式に配置され、これにより、ねじ接続は、長手方向に拡張する。ねじ山付きナット12の接触面12Aはこれにより離反し、これにより、ねじ山付きナット12を、僅かな回転抵抗で回転させることができ、これにより、その下側にある面、すなわち、リング状フランジ7Aおよび場合によってはワッシャに対して締め付けるまたは再締付けすることができる。
【0081】
液圧式テンショニング機構は、耐圧シリンダハウジング100に配置されている。これは、複数のシリンダ部分からモジュール形式で組み立てられてもよい。シリンダハウジング100の剛性の継続部分は、支持管101である。これ自体は、例示したようにシリンダハウジング100の一部または別個の構成部材である。支持管101は、ねじ接続に向かって開放しており、ねじ山付きナット12を包囲しておりかつ底側102によってリング状フランジ7Aの上側に対して支持されている。したがって、前記上側は、締付けプロセスの間、カウンタベアリングを形成する。締付けプロセスは、交換可能なソケット114をねじ山付き端部11Aにおいて引っ張ることによって行われ、ナット12の再締付けのために、ナット12は、その接触面12Aによって再びフランジ7Aに対してしっかりと当接するまで下方へねじ込まれる。
【0082】
支持管101には、少なくとも1つの開口が設けられており、この開口は、開口を通じてナット12を回転させる、ひいては再締付けすることができるようなサイズのものである。これは、自明のことながら、テンショニング装置が同時に作動しており、したがって、ナット12が、かなりの摩擦荷重を受けないときにのみ可能である。ねじ山付きナット12の回転は、ナットを包囲する回転スリーブ110によって行われる。回転スリーブ110は、ギアリング111によって駆動され、ギアリング111は、支持管101に横方向に取り付けられており、その開口を通じて作動する。
【0083】
シリンダハウジング100には液圧ポート112が設けられており、この液圧ポート112を介して、ツールの内部における液圧作動チャンバ118が、柔軟であるが耐圧性の液圧ライン87を介して、液圧ポンプ86(
図1)に接続されている。液圧ポンプ86は、静止ユニット2の構成部分である。
【0084】
液圧ポート112を介して、大きく加圧された液圧流体は作動チャンバ118に進入し、これにより、シリンダハウジング100において長手方向に可動な形式で取り付けられたピストン115に液圧が作用することができる。液圧作動チャンバ118における液圧力の増大の結果、ピストン115は押し上げられる。これは、ピストン115に作用するばね117の力に逆らって行われる。ばね117は、ピストン復元ばねとして機能し、ピストンを、液圧作動チャンバ118が最小容積を有する基本位置に保持しようとする力をピストン115に直接加える。
【0085】
ピストン115は、交換可能なソケット114をリング状に包囲している。ピストン115の内縁には全周にわたる段部が設けられており、この段部はドライバ面121を形成しており、このドライバ面121に、交換可能なソケット114が、半径方向に拡大した部分125によって支持される。これにより、交換可能なソケット114を、ピストン115によって駆動することができる。圧力荷重がないとき、交換可能なソケット114は、ピストン115およびシリンダハウジング100に対して自由に回転可能である。
【0086】
交換可能なソケット114は、ピストン115と同様に、シリンダハウジング100の長手方向軸線上に中央に配置されており、ねじ山付きエレメント11のねじ山付き端部11Aに螺合させられる雌ねじ山116を有する部分と、半径方向に拡大した部分125と、駆動部分126とから、述べた順に構成されている。駆動部分126は、ねじ山付きエレメント11と反対側の交換可能なソケット114の端部に配置されている。
【0087】
駆動部分126は、制御ユニットからツール制御信号に依存した形式で作動させられる電気駆動装置51の軸によって係合され、これにより、テンショニングプロセスの前に、交換可能なソケット114を回転させて、シリンダハウジング100全体が下降させられながら、これをねじ山付き端部11Aにねじ込む、またはテンショニングプロセスの後、シリンダハウジング100全体が上昇させられながら、前記交換可能なソケットをねじ山付き端部11Aからねじ外す。
【0088】
テンショニングプロセスの前後に、シリンダハウジング100のより広範囲な高さ調節、すなわち、交換可能なソケット114の回転のみによって実現することができない高さ調節が必要とされるならば、この付加的な高さ調節は、電気的に駆動される鉛直方向ガイド34によって行われる。これもまた、制御ユニット4からの制御信号、特にツール制御信号に依存した形式で作動する。
【0089】
交換可能なソケット114がねじ山付き端部11Aにねじ込まれたときにのみ、液圧テンショニングプロセスは、制御ユニット4からの液圧制御信号に基づいて液圧ポンプ86が液圧を上昇させることによって制御ユニット4によって開始される。
【0090】
交換可能なソケット114の制御された、モータ駆動されるねじ込みおよびねじ外しも、制御ユニット4からのツール制御信号に従って行われる。
【0091】
図11は、連動した回転を防止するための固定作用を付与する保持ツール70と、ツール5とが、キャリッジまたはツールキャリアにおいて組み合わされた状態で配置されている実施の形態を示している。
【0092】
保持ツール70は、ツールキャリア20、この場合、ツールキャリア20の下側プラットフォーム31に固定されており、ねじ接続軸線と整列して互いに向かって可動な2つの締付けジョー130を有する。前記締付けジョーの端部は、ここではカウンター保持面75A,75Bによって形成されており、この目的のためにシェルとして設計されている。シェルの半径は、ねじ山付きエレメント11のねじ山付き部分11Aの半径と実質的に等しい。
【0093】
2つの締付けジョー130は電気的に駆動され、再び、制御ユニット4(
図1)は、保持ツール制御信号によってこの駆動作用を制御するように構成されている。この実施の形態において、カウンター保持面75A,75Bがねじ山付き部分に直接的に押し付けられるために、保持ツール70の駆動装置は、比較的高い圧力を生じなければならない。ここで、摩擦抵抗を付加的に増大させるために、カウンター保持面75A,75Bは、適切な摩擦ライニング、例えばゴムまたは適切な非平滑面を有してもよい。例えば、前記面は、連動した回転を防止するための実質的なブロッキングが実現されるようにねじ山の外側構造に対するその構造の観点から適応させられてもよい。
【0094】
保持ツール70の締付けジョー130は、ツール5における開口131を通って延びており、カウンター保持面75A,75Bはツール5内に配置されている。締付けジョー130は、ツールキャリアに固定して取り付けられた保持ツール70において案内されており、前記締付けジョーが、駆動装置において、それらの締付け方向においてのみ可動になっている。
【0095】
開口131は、ツール5の支持管101に配置されている。これらは、支持管101の底側102まで連続的に延びている。これにより、ツール5が、テンショニングプロセスのために下降させられたとき、保持ツール70の構成部材によって妨げられないことが保証される。ツール5および保持ツール70は、適切に構造的に組み合わされているが、それらの機能は互いに別々である。
【0096】
図11の実施の形態は、実際に、しばしばまだナット12の上側と、交換可能なソケット114によって包囲されたねじ山付き端部11Aとの間に約5mmのねじ山長手方向部分が利用できることを利用する。このねじ山長手方向部分は、ねじ山付きエレメント11の連動した回転が、そこで一緒に移動させられる締付けジョー130によって防止されるために十分である。
【0097】
図11の実施の形態において、制御ユニット4(
図1)は、トラクションドライブ制御信号によって、ねじテンショニングシリンダ5を含むツールキャリア20を、ねじテンショニングシリンダ5が、それぞれ締め付けられるねじ接続に対向して配置される作動位置へ移動させ、ツール制御信号によって、ねじ接続の軸方向締付けおよびナット12の回転を制御するように構成されていてもよい。制御ユニット4(
図1)は、保持ツール制御信号によって保持ツール70の駆動装置を制御するように付加的に設計されている。
【0098】
図12は、別の実施の形態を示す図である。これにおいて、連動した回転を防止するための固定作用を付与する保持ツール70は、ねじテンショニングシリンダとして形成されたツール5に中央で配置されている。ねじテンショニングシリンダ自体は、その基本構造の観点では
図10または
図11の実施の形態に対応する。これは、シリンダハウジング100、そこで案内されるピストン、ただし、この場合、ダブルピストン115、シリンダハウジングにおいて回転可能な交換可能なソケット114、およびシリンダハウジングに回転可能に配置されておりかつナット12を回転させるために機能する回転スリーブ110に当てはまる。
【0099】
図12において、交換可能なソケット114の長手方向軸線において、ロッド140が配置されており、その目的のために、交換可能なソケット114には対応する長手方向ボアが設けられている。単一部分または複数部分のロッド140には、
図12における下端部において、保持ツール70が設けられており、
図12における上端部の領域において、回転防止固定手段141が設けられている。回転防止固定手段141は、シリンダハウジング100に対して回転方向で固定されたロッド140を保持する。典型的な実施の形態において、これは、ロッド140における長手方向溝143内に係合したハウジングに関して固定されたボルト142によって達成される。長手方向溝143は、ロッド140の長さの一部にわたってのみ軸方向に延びている。
【0100】
図12の実施の形態は、ねじ接続に適しており、その場合、ねじ山付きエレメント11には、付加的に、ねじ山付き端部11Aの面側において、多角形11Bが設けられている。多角形11Bは、この場合、軸方向に突出した正方形であるが、例えば、六角形またはねじ山付き端部11Aに凹形状に形成された正方形ソケットまたは六角形ソケットであってもよい。
【0101】
保持ツール70は、対応する多角形として、すなわち、この場合、ポジティブロッキングによって多角形11Bに結合することができる正方形ソケットとして設計されている。保持ツール70を形成するために、ロッド140の下端部は、対応して拡大されている。
【0102】
保持ツール70は、軸方向で、かつ永久ばね力を受けて、多角形11Bに対して支持されている。ばね力は、ばねエレメント147によって付与され、ばねエレメント147は、一方の側において保持ツール70またはロッド140に対して、他方の側において交換可能なソケット114に対して支持されている。ばねエレメント147は、保持ツール70の常在的な軸方向予荷重力を提供するように機能し、これにより、多角形11Bにおける保持ツール70の確実な係合が、既に短い相対回転の後に生じる。この目的のために必要とされる軸方向間隙は、長手方向溝143の長さによって保証される。
【0103】
図12におけるツール5の別の構成部分は、交換可能なソケット114を回転させるための駆動装置51である。しかしながら、駆動装置は、長手方向軸線上において中央に実現されていない。なぜならば、ロッド140がそこに配置されているからである。駆動装置51はむしろ横方向オフセットで配置されており、ギアリング148が、駆動装置51と交換可能なソケット114との間の駆動パスに設けられている。ギアリング148の構成部分は、交換可能なソケット114に関して回転方向で連動する歯付きギア149である。歯付きギア149は、通過開口150を有し、この通過開口150を通ってロッド140が、自由に回転可能な形式で延びている。
【0104】
図12の実施の形態における場合でも、制御ユニット4(
図1)は、トラクションドライブ制御信号によって、ねじテンショニングシリンダ5を含むツールキャリア20を、ねじテンショニングシリンダ5が、それぞれ締め付けられるねじ接続に対向して配置される作動位置へ移動させるように構成されていてもよい。さらに、制御ユニット4は、ツール制御信号によって、ねじ接続の軸方向締付けおよびナット12の回転を制御するように構成されていてもよい。
【0105】
さらに、
図12の実施の形態の場合にも、制御ユニット4(
図1)は、保持ツール制御信号および対応する駆動装置によって、ロッド140に堅く配置された保持ツール70が、制御された形式でねじ接続へ下降させられかつ駆動装置によって再び制御された形式で上昇させられることによって、保持ツール70を制御するように構成されていてもよい。しかしながら、保持ツールの制御された下降および上昇の機能は、ばねエレメント147によって行われてもよい。
【符号の説明】
【0106】
1 可動ユニット
2 静止ユニット
3 ケーブル、供給および信号ケーブル
4 制御ユニット
4A 移動制御モジュール
4B ドキュメンテーションモジュール
5 ツール、ねじテンショニングシリンダ
6 キャリッジ
7 フランジ接続
7A リング状フランジ
7B リング状フランジ
8A タワー部分
8B タワー部分
9 スペース
10 ねじ接続
11 ねじ山付きエレメント
11A ねじ山付き端部
11B 多角形
12 ナット
12A ナットの接触面
20 ツールキャリア
21A ローラ、被駆動
21B ローラ
22 ローラ
23 内壁
24 駆動モータ
25 クラッチ
26 角度エンコーダ
30 整列エレメント
30A 整列面
31 下側プラットフォーム
32 上側プラットフォーム
33 スタンド
34 鉛直方向ガイド
35 横方向ガイド
36 ばね配列
41 スタンドベース
42 案内ロッド
49 上側スタンドフレーム
50 スタンドフレーム、高さ調節可能
51 電気駆動装置
52 電気駆動装置
56 ねじ駆動装置
70 保持ツール
75 カウンター保持面
75A カウンター保持面
75B カウンター保持面
77 駆動装置
78 ツール本体
79 ツール部分
80 ばね
86 液圧ポンプ
87 液圧ライン
88 エネルギモジュール
95 ピボットスタンド
96 スライド
100 シリンダハウジング
101 支持管
102 底側
110 回転スリーブ
111 ギアリング
112 液圧ポート
113 ボルトにおける円錐
114 交換可能なソケット
115 ピストン
116 雌ねじ山
117 ばね
118 液圧作動チャンバ
121 ドライバ面
125 半径方向に拡大した部分
126 駆動部分
130 締付けジョー
131 開口
140 ロッド
141 回転防止固定手段
142 ボルト
143 長手方向溝
147 ばねエレメント
148 ギアリング
149 歯付きギア
150 通過開口
E 起立面
N 面垂線