(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】監視制御システム、ゲートウェイシステム、及び変換方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/05 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
G05B19/05 L
G05B19/05 S
(21)【出願番号】P 2019089647
(22)【出願日】2019-05-10
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】君島 和彦
(72)【発明者】
【氏名】林 宏尚
(72)【発明者】
【氏名】山下 雅史
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-34743(JP,A)
【文献】国際公開第2015/155991(WO,A1)
【文献】特開2014-106938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/04 -19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汎用の通信プロトコルを用いて制御LANが構築される第1制御システムと、
専用プロトコルを用いて制御LANが構築される第2制御システムと
を具備し、
前記第1制御システムは、
第1設備機器についての情報信号を、前記汎用の通信プロトコルに対応した第1通信形式で送信する第1制御装置と、
前記第1制御装置から受信した前記情報信号を、前記専用プロトコルに対応した第2通信形式の情報信号へ変換
し、前記第2通信形式で送信するゲートウェイ装置と、
操作信号を前記第1通信形式で送信する監視制御装置と、
前記操作信号を、前記第2通信形式の操作信号へ変換するゲートウェイ手段と
を備え、
前記第2制御システムは、
前記ゲートウェイ手段で前記第2通信形式へ変換された前記操作信号に従って動作し、前記ゲートウェイ装置
から受信した、前記第2通信形式へ変換された前記情報信号
に基づき第2設備機器を制御する第2制御装置を備える監視制御システム。
【請求項2】
前記第2制御装置は、前記第2設備機器についての情報信号を、前記第2通信形式で送信し、
前記ゲートウェイ装置は、前記第2通信形式の前記情報信号を、前記第1通信形式の情報信号へ変換し、
前記第1制御装置は、前記ゲートウェイ装置で前記第1通信形式へ変換された前記情報信号を参照して前記第1設備機器を制御する請求項1記載の監視制御システム。
【請求項3】
前記第1制御装置は複数存在し、
前記ゲートウェイ装置は、前記複数の第1制御装置からそれぞれ送信される前記情報信号に基づき、前記複数の第1制御装置についての情報を統合した統合データを生成し、前記統合データを用い、前記第2通信形式の前記情報信号を生成する請求項1又は2に記載の監視制御システム。
【請求項4】
前記第2制御装置は、プロセス信号又は異常信号を前記第2通信形式で送信し、
前記ゲートウェイ手段は、前記プロセス信号を、前記第1通信形式のプロセス信号へ変換し、前記異常信号を、前記第1通信形式の異常信号へ変換し、
前記監視制御装置は、前記ゲートウェイ手段で前記第1通信形式へ変換された前記プロセス信号、前記ゲートウェイ手段で前記第1通信形式へ変換された前記異常信号、又はこれらの組み合わせに基づく情報をディスプレイに表示する請求項1乃至3のいずれかに記載の監視制御システム。
【請求項5】
前記ゲートウェイ装置は、汎用の第1通信モジュールにより、前記第1制御装置から送信される前記情報信号を受信し、汎用の第2通信モジュールから、前記第2通信形式の前記情報信号を前記第2制御装置へ送信する請求項1乃至4のいずれかに記載の監視制御システム。
【請求項6】
前記ゲートウェイ装置は、予め設定された期間内に、前記第1制御装置からの前記情報信号を受信しない場合、異常ログデータを記憶する請求項1乃至5のいずれかに記載の監視制御システム。
【請求項7】
設備機器についての情報信号を、汎用の通信プロトコルに対応した第1通信形式で送信する
第1制御装置と、
前記第1制御装置から受信した前記情報信号を、専用プロトコルに対応した第2通信形式の情報信号へ変換し、
前記第2通信形式の前記情報信号を、前記専用プロトコルを用いて制御LANが構築される制御システム
の第2制御装置へ送信するゲートウェイ装置と、
操作信号を前記第1通信形式で送信する監視制御装置と、
前記操作信号を、前記第2通信形式の操作信号へ変換し、変換後の前記操作信号を、前記制御システムへ送信するゲートウェイ手段と
を具備する監視制御システム。
【請求項8】
前記ゲートウェイ装置は、前記制御システムから送信されてきた前記第2通信形式の情報信号を、前記第1通信形式の情報信号へ変換し、
前記
第1制御装置は、前記ゲートウェイ装置で前記第1通信形式へ変換された前記情報信号を参照して前記設備機器を制御する請求項7記載の監視制御システム。
【請求項9】
前記
第1制御装置は複数存在し、
前記ゲートウェイ装置は、前記複数の
第1制御装置からそれぞれ送信される前記情報信号に基づき、前記複数の
第1制御装置についての情報を統合した統合データを生成し、前記統合データを用い、前記第2通信形式の前記情報信号を生成する請求項7又は8に記載の監視制御システム。
【請求項10】
前記ゲートウェイ手段は、前記制御システムから送信されてきた前記第2通信形式のプロセス信号を、前記第1通信形式のプロセス信号へ変換し、前記制御システムから送信されてきた前記第2通信形式の異常信号を、前記第1通信形式の異常信号へ変換し、
前記監視制御装置は、前記ゲートウェイ手段で前記第1通信形式へ変換された前記プロセス信号、前記ゲートウェイ手段で前記第1通信形式へ変換された前記異常信号、又はこれらの組み合わせに基づく情報をディスプレイに表示する請求項7乃至9のいずれかに記載の監視制御システム。
【請求項11】
前記ゲートウェイ装置は、汎用の第1通信モジュールにより、前記
第1制御装置から送信される前記情報信号を受信し、汎用の第2通信モジュールから、前記第2通信形式の前記情報信号を前記制御システム
の第2制御装置へ送信する請求項7乃至10のいずれかに記載の監視制御システム。
【請求項12】
前記ゲートウェイ装置は、予め設定された期間内に、前記
第1制御装置からの前記情報信号を受信しない場合、異常ログデータを記憶する請求項7乃至11のいずれかに記載の監視制御システム。
【請求項13】
汎用の通信プロトコルに対応した第1通信形式で第1制御装置から送信される、第1設備機器についての情報信号を
受信し、専用プロトコルに対応した第2通信形式の情報信号へ変換して第2制御装置へ
前記第2通信形式で送信するゲートウェイ装置と、
前記第2制御装置を操作するための前記第1通信形式の操作信号を、前記第2通信形式の操作信号へ変換して前記第2制御装置へ送信するゲートウェイ手段と
を具備するゲートウェイシステム。
【請求項14】
前記ゲートウェイ装置は、前記第2制御装置から送信される、第2設備機器についての前記第2通信形式の前記情報信号を、前記第1通信形式の情報信号へ変換して前記第1制御装置へ送信する請求項13記載のゲートウェイシステム。
【請求項15】
前記第1制御装置は複数存在し、
前記ゲートウェイ装置は、前記複数の第1制御装置からそれぞれ送信される前記情報信号に基づき、前記複数の第1制御装置についての情報を統合した統合データを生成し、前記統合データを用い、前記第2通信形式の前記情報信号を生成する請求項13又は14に記載のゲートウェイシステム。
【請求項16】
前記ゲートウェイ手段は、前記第2制御装置から前記第2通信形式で送信されるプロセス信号を、前記第1通信形式のプロセス信号へ変換し、前記第2制御装置から前記第2通信形式で送信される異常信号を、前記第1通信形式の異常信号へ変換する請求項13乃至15のいずれかに記載のゲートウェイシステム。
【請求項17】
前記ゲートウェイ装置は、汎用の第1通信モジュールにより、前記第1制御装置から送信される前記情報信号を受信し、汎用の第2通信モジュールから、前記第2通信形式の前記情報信号を前記第2制御装置へ送信する請求項13乃至16のいずれかに記載のゲートウェイシステム。
【請求項18】
前記ゲートウェイ装置は、予め設定された期間内に、前記第1制御装置からの前記情報信号を受信しない場合、異常ログデータを記憶する請求項13乃至17のいずれかに記載のゲートウェイシステム。
【請求項19】
汎用の通信プロトコルに対応した第1通信形式で、複数の第1制御装置からそれぞれ送信される情報信号を受信し、
前記複数の第1制御装置からそれぞれ送信される前記情報信号に基づき、前記複数の第1制御装置についての情報を統合した統合データを生成し、
前記統合データを用い、専用プロトコルに対応した第2通信形式の情報信号を生成して第2制御装置へ
前記第2通信形式で送信する変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、監視制御システム、ゲートウェイシステム、及び変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下水プラント等の自動操業を実現するため、例えば、複数の設備機器(計測器、ポンプ等)と、これらを制御する制御装置とがネットワークを介して接続されたDCS(Distributed Control System:分散制御システム)が構築されている。DCSでは、制御装置が設備機器から収集した各種情報を、例えば、HMI(Human Machine Interface)、及び/又は情報処理サーバへ送信する。
【0003】
ところで、旧型のDCSでは、HMI、情報処理サーバ、及び制御装置は、専用の制御LANで接続され、この専用の制御LANを介して相互に情報を送受信している。一方、新型のDCSでは、HMI、情報処理サーバ、及び制御装置は、汎用の制御LANで接続可能なように設計されている。そのため、旧型のDCSと新型のDCSとを暫時的に並置して使用する場合、例えば、旧型のDCSの制御装置と、新型のDCSの制御装置とを別の回線で接続しなくてはならず、負担となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで目的は、通信形式が異なる複数の分散制御システムに別回線を設けることなく接続可能に含む監視制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、監視制御システムは、第1制御システム及び第2制御システムを具備する。第1制御システムは、汎用の通信プロトコルを用いて制御LANが構築される。第2制御システムは、専用プロトコルを用いて制御LANが構築される。第1制御システムは、第1制御装置、ゲートウェイ装置、監視制御装置、及びゲートウェイ手段を備える。第1制御装置は、第1設備機器についての情報信号を、前記汎用の通信プロトコルに対応した第1通信形式で送信する。ゲートウェイ装置は、前記第1制御装置から受信した前記情報信号を、前記専用プロトコルに対応した第2通信形式の情報信号へ変換し、前記第2通信形式で送信する。監視制御装置は、操作信号を前記第1通信形式で送信する。ゲートウェイ手段は、前記操作信号を、前記第2通信形式の操作信号へ変換する。第2制御システムは、第2制御装置を備える。第2制御装置は、前記ゲートウェイ手段で前記第2通信形式へ変換された前記操作信号に従って動作し、前記ゲートウェイ装置から受信した、前記第2通信形式へ変換された前記情報信号に基づき第2設備機器を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る監視制御システムと水処理装置との機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1で示される第1及び第2DCSにおけるネットワークハブと各構成要素との接続を表す図である。
【
図3】
図3は、
図2に示される情報処理サーバの機能構成を表すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図1に示される第1DCSの制御装置から送信される情報信号が、第2DCSの制御装置へ送信される際のゲートウェイ装置の動作を表すフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図1に示される第1DCSの制御装置から送信される情報信号が、第2DCSの制御装置へ送信される際の信号の流れを説明するための図である。
【
図6】
図6は、
図1で示される第1DCSの制御装置の記憶部に設定されるメモリマップを表す図である。
【
図7】
図7は、
図1で示される第2DCSの制御装置の記憶部に設定されるメモリマップを表す図である。
【
図8】
図8は、
図1に示される第2DCSの制御装置から送信される情報信号が、第1DCSの制御装置へ送信される際のゲートウェイ装置の動作を表すフローチャートである。
【
図9】
図9は、
図1に示される第2DCSの制御装置から送信される情報信号が、第1DCSの制御装置へ送信される際の信号の流れを説明するための図である。
【
図10】
図10は、
図1に示される第2DCSの制御装置から送信されるプロセス信号又は異常信号が第1DCSのHMIへ送信される際の情報処理サーバの動作を表すフローチャートである。
【
図11】
図11は、
図1に示される第2DCSの制御装置から送信されるプロセス信号又は異常信号が第1DCSのHMIへ送信される際の信号の流れを説明するための図である。
【
図12】
図12は、
図3で示される情報処理サーバの記憶部に設定されるメモリマップを表す図である。
【
図13】
図13は、
図1に示される第1DCSのHMIから送信される操作信号が、第2DCSの制御装置へ送信される際の情報処理サーバの動作を表すフローチャートである。
【
図14】
図14は、
図1に示される第1DCSのHMIから送信される操作信号が、第2DCSの制御装置へ送信される際の信号の流れを説明するための図である。
【
図15】
図15は、
図1に示されるゲートウェイ装置が異常ログデータを記憶する際の動作を表すフローチャートである。
【
図16】
図16は、A系及びB系の制御LANと接続するゲートウェイ装置と、情報処理サーバとの機能構成を表すブロック図である。
【
図17】
図17は、CPU二重化構成を採るゲートウェイ装置の機能構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係る監視制御システム1と、この監視制御システム1により制御される水処理装置30との機能構成の一例を示すブロック図である。
図1に示される監視制御システム1は、プラントに設けられる複数の設備機器からの情報を収集し、収集した情報に基づいてプラントの自動操業を実現するシステムである。監視制御システム1は、第1DCS(Distributed Control System:分散制御システム)10、及び第2DCS20を備える。
【0010】
図1に示される水処理装置30は、例えば、下水プラントで設けられる。水処理装置30は、生活廃水又は工業用排水等の下水(被処理水)を、例えば、活性汚泥を用いて有機物等を除去する。なお、本実施形態において、監視制御システム1の制御対象は、水処理装置30に限定されない。化学等の工業プラント、ガス田及び油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、上水やダム等を管理制御するプラント等で設けられる装置も制御対象となり得る。
【0011】
水処理装置30は、被処理水の流入側より順に、例えば、最初沈殿池31、好気槽(反応槽)32、及び最終沈殿池33を備える。
【0012】
例えば、図示しない沈砂池から被処理水が最初沈殿池31へ流入する。最初沈殿池31内では、被処理水に含まれる固形分が重力沈降により沈降分離される。固形分は、汚泥として汚泥処理へ移送される。最初沈殿池31で汚泥が分離された被処理水は、好気槽32へ流入する。
【0013】
好気槽32には散気部321が設置されている。散気部321から好気槽32内へ、空気が供給される。好気槽32では、被処理水中の有機物等に対し、活性汚泥中の好気性従属栄養細菌による有機物酸化等が行われる。
【0014】
最終沈殿池33は、好気槽32から活性汚泥が供給され、上澄み液と活性汚泥とを重力沈降により沈降分離する。分離された活性汚泥の一部は、汚泥処理へ移送される。沈降分離後の上澄み液は、処理水として系外に放流される。
【0015】
最初沈殿池31、好気槽32、及び最終沈殿池33には、最初沈殿池31、好気槽32、及び最終沈殿池33を管理するための種々の設備機器が設けられている。設備機器は、例えば、最初沈殿池31へ被処理水を供給するためのポンプ311、最初沈殿池31へ流入する被処理水の流量を計測する流量計312、最初沈殿池31で分離された汚泥を移送するためのポンプ313、最初沈殿池31の水位を計測する水位計314、好気槽32へ被処理水を供給するためのポンプ322、散気部321へ空気を供給するブロワ323、好気槽32の水位を計測する水位計324、最終沈殿池33へ活性汚泥を供給するためのポンプ331、最終沈殿池33で分離された活性汚泥の一部を移送するためのポンプ332、及び最終沈殿池33の水位を計測する水位計333等である。水位計314,324,333及び流量計312等で計測された計測値は、監視制御システム1へ送信される。なお、設備機器はこれらに限定されないし、これらの全てを必ずしも含む必要はない。
【0016】
図1で示される第1DCS10は、例えば、新型のDCSの少なくとも一部である。第1DCS10は、例えば、水処理装置30を制御していた旧型のDCSを、新型のDCSへ更新する際に先行して導入されたシステムである。
【0017】
第2DCS20は、例えば、旧型のDCSの少なくとも一部である。第2DCS20は、例えば、水処理装置30を制御していた旧型のDCSのうち、新型のDCSへの更新が完了していないシステムである。
【0018】
図2は、
図1で示される第1及び第2DCS10,20における、ネットワークハブと各構成要素との接続の例を表す模式図である。
図2では、第1DCS10が第1ハブ16を備え、第2DCS20が第2ハブ25を備える場合を例に説明している。第1ハブ16は、例えば、イーサネット(登録商標)等の汎用の通信プロトコルを用いて構築される制御LANのスイッチングハブである。第2ハブ25は、例えば、第2DCS20に対して専用に構築された制御LANのスイッチングハブである。
【0019】
図1及び
図2で示される第1DCS10は、例えば、HMI(Human Machine Interface)11、情報処理サーバ12、ゲートウェイ装置13、及び制御装置14,15を備える。HMI11、情報処理サーバ12、ゲートウェイ装置13、及び制御装置14,15は、第1ハブ16に設けられているポートにそれぞれ接続される。これにより、HMI11、情報処理サーバ12、ゲートウェイ装置13、及び制御装置14,15は、例えば、イーサネット等の汎用の通信プロトコルを用いて構築される制御LANに接続される。
【0020】
制御装置14は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)である。制御装置14は、
図1に示される例では、好気槽32に設けられる設備機器である、例えば、ポンプ322、ブロワ323、及び水位計324が制御対象として設定されている。制御装置14は、制御対象として設定されている設備機器を制御する。このとき、制御装置14は、制御対象である設備機器、例えば、水位計324から送信されるデータと、自装置以外の制御装置から送信される情報信号とに基づき、設備機器を制御する。自装置以外の制御装置から送信される情報信号には、制御装置15から送信される情報信号、及び第2DCS20の制御装置23,24からゲートウェイ装置13を介して送信される情報信号が含まれる。制御装置14は、HMI11から送信される操作信号に従い、設備機器に対する制御動作を実施する。
【0021】
制御装置14は、例えば、制御対象として設定されている設備機器に関するデータに基づいて情報信号を生成する。制御装置14は、生成した情報信号を、予め設定された周期で、ゲートウェイ装置13と、自装置以外の制御装置(例えば、制御装置15)とへ送信する。このとき、制御装置14は、情報信号を、例えば、UDP(User Datagram Protocol)を用いた汎用の通信プロトコルに対応した通信形式で複数の送信先へ一斉に送信する。
【0022】
制御装置14は、例えば、制御対象として設定されている設備機器に関するデータに基づいてプロセス信号を生成する。プロセス信号とは、例えば、プロセス制御に必要となるデータを含む信号である。制御装置14は、生成したプロセス信号を、予め設定された周期で、HMI11、及び/又は情報処理サーバ12へ送信する。このとき、制御装置14は、プロセス信号を、例えば、TCP(Transmission Control Protocol)又はUDPを用いた汎用の通信プロトコルに対応した通信形式で送信する。
【0023】
制御装置15は、
図1に示される例では、最終沈殿池33に設けられる設備機器である、例えば、ポンプ331、ポンプ332、及び水位計333が制御対象として設定されている。制御装置15は、制御対象として設定されている設備機器を制御する。このとき、制御装置15は、制御対象である設備機器、例えば、水位計333から送信されるデータと、自装置以外の制御装置から送信される情報信号に基づき、設備機器を制御する。制御装置15は、HMI11から送信される操作信号に従い、設備機器に対する制御動作を実施する。
【0024】
制御装置15は、例えば、制御対象として設定されている設備機器に関するデータに基づいて情報信号を生成する。制御装置15は、生成した情報信号を、予め設定された周期で、ゲートウェイ装置13と、自装置以外の制御装置(例えば、制御装置14)とへ送信する。このとき、制御装置15は、情報信号を、例えば、UDPを用いた汎用の通信プロトコルに対応した通信形式で複数の送信先へ一斉に送信する。
【0025】
制御装置15は、例えば、制御対象として設定されている設備機器に関するデータに基づいてプロセス信号を生成する。制御装置15は、生成したプロセス信号を、予め設定された周期で、HMI11、及び/又は情報処理サーバ12へ送信する。このとき、制御装置15は、プロセス信号を、例えば、TCP又はUDPを用いた汎用の通信プロトコルに対応した通信形式で送信する。
【0026】
HMI11は、ディスプレイを備え、水処理装置30の現在の状態を、例えば、時系列でディスプレイに表示する、監視制御装置の一例である。具体的には、例えば、HMI11は、制御装置14,15から送信されるプロセス信号を受信する。HMI11は、受信したプロセス信号に含まれる設備機器のデータに基づき、設備機器が設けられている構成に異常が発生したか否かを判断する。また、HMI11は、第2DCS20の制御装置23,24から情報処理サーバ12を介して送信されるプロセス信号、及び/又は異常信号を受信する。HMI11は、受信したプロセス信号、異常発生の判断結果、異常信号、又はこれらのうち少なくともいずれかの組み合わせ等に基づき、予め設定された種類の情報、又は操作員により指定された種類の情報をディスプレイに表示する。
【0027】
HMI11は、ディスプレイに表示された内容に対する操作員からの操作を受け付け、入力された操作に基づき、制御装置14,15,23,24を制御する。具体的には、HMI11は、入力された操作に基づいて操作信号を生成する。操作員が操作を要すると判断した設備機器が第1DCS10の制御対象である場合、HMI11は、この設備機器を制御する制御装置へ、例えば、TCP又はUDPを用いて操作信号を送信する。一方、操作員が操作を要すると判断した設備機器が第2DCS20の制御対象である場合、HMI11は、情報処理サーバ12を介し、この設備機器を制御する制御装置へ、例えば、TCP又はUDPを用いて操作信号を送信する。
【0028】
情報処理サーバ12は、監視制御システム1内で発生するデータを管理すると共に、第1DCS10のHMI11と、第2DCS20の制御装置23,24との間で信号の橋渡しをする装置であり、情報処理装置の一例である。
図3は、
図2に示される情報処理サーバ12の機能構成の例を表すブロック図である。
図3に示される情報処理サーバ12は、例えば、処理回路121、記憶部122、及び通信モジュール123,124を備える。処理回路121、記憶部122、及び通信モジュール123,124は、例えば、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
【0029】
処理回路121は、例えば、CPUと、CPUが処理を実行する際に用いるメモリ等とを備える。処理回路121は、CPUに記憶部122に記憶されているアプリケーションプログラムを実行させることで、例えば、ゲートウェイ部1211、及び記憶制御部1212の機能を実現する。なお、処理回路121は、CPUからの制御に従って所定の処理を実行するFPGA等を有していても構わない。
【0030】
ゲートウェイ部1211は、ゲートウェイ手段の一例であり、第1DCS10のHMI11と、第2DCS20の制御装置23,24との間で信号を送受信する。具体的には、ゲートウェイ部1211は、例えば、第2DCS20の制御装置24(又は制御装置23)からHMI11へ宛てて送信されたプロセス信号を受信する。ゲートウェイ部1211は、例えば、記憶部122に記憶されている変換テーブルを利用し、受信したプロセス信号の通信形式を、第2DCS20の専用プロトコルに対応した通信形式から、汎用の通信プロトコルに対応した通信形式へ変換する。ゲートウェイ部1211は、変換後のプロセス信号をHMI11へ送信する。
【0031】
また、ゲートウェイ部1211は、例えば、HMI11から第2DCS20の制御装置24(又は制御装置23)へ宛てて送信された操作信号を受信する。ゲートウェイ部1211は、例えば、記憶部122に記憶されている変換テーブルを利用し、受信した操作信号の通信形式を、汎用の通信プロトコルに対応した通信形式から、第2DCS20の専用プロトコルに対応した通信形式へ変換する。ゲートウェイ部1211は、変換後の操作信号を制御装置24へ送信する。
【0032】
記憶制御部1212は、監視制御システム1内で発生したデータを記憶部122へ書き込む動作、又は、記憶部122に記憶されているデータを読み出す動作を制御する。
【0033】
記憶部122は、例えば、種々の情報を記憶するHDD(hard disk drive)、及びSSD(solid state drive)等の不揮発性の記憶回路により実現される。なお、記憶部122は、CD-ROM、DVD、及びフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。
【0034】
記憶部122は、例えば、本実施形態に係るアプリケーションプログラムを記憶している。また、記憶部122は、例えば、信号の通信形式を、第1DCS10の制御LAN用の通信形式と、第2DCS20の制御LAN用の通信形式との間で変換するための変換テーブルを記憶している。また、記憶部122は、記憶制御部1212からの制御に従い、監視制御システム1内で発生したデータを記憶する。
【0035】
通信モジュール123は、イーサネットモジュール等の汎用の通信モジュールである。通信モジュール123は、第1DCS10の第1ハブ16と、例えば、ケーブルを介して接続し、第1DCS10の制御LANへ信号を送信し、当該制御LANにより伝送される信号を受信する。
【0036】
通信モジュール124は、イーサネットモジュール等の汎用の通信モジュールである。通信モジュール124は、第2DCS20の第2ハブ25と、例えば、ケーブルを介して接続し、第2DCS20の制御LANへ信号を送信し、当該制御LANにより伝送される信号を受信する。
【0037】
ゲートウェイ装置13は、第1DCS10の制御装置14,15と、第2DCS20の制御装置23,24との間で情報信号を伝達させる装置である。ゲートウェイ装置13は、例えば、処理回路131、記憶部132、及び通信モジュール133,134を備える。
【0038】
処理回路131は、例えば、CPUと、CPUが処理を実行する際に用いるメモリ等とを備える。処理回路131は、CPUに記憶部132に記憶されているアプリケーションプログラムを実行させることで、例えば、データ生成部1311、通信制御部1312、及び伝送異常ロギング部1313の機能を実現する。
【0039】
データ生成部1311は、受信した情報信号に含まれる設備機器についてのデータに基づき、送信先の通信形式に応じた統合データを生成する。具体的には、ゲートウェイ装置13は、例えば、第2DCS20の制御装置23,24それぞれから送信される情報信号を受信する。データ生成部1311は、例えば、受信した情報信号に含まれる設備機器についてのデータに基づき、予め設定された規則に則って、所定容量の統合データを生成する。
【0040】
また、ゲートウェイ装置13は、例えば、第1DCS10の制御装置14,15それぞれから送信される情報信号を受信する。データ生成部1311は、例えば、受信した情報信号に含まれる設備機器についてのデータに基づき、予め設定された規則に則り、所定容量の統合データを生成する。
【0041】
通信制御部1312は、第1DCS10の制御LAN、及び第2DCS20の制御LANとの通信を制御する。具体的には、例えば、通信制御部1312は、第2DCS20の制御装置23,24から送信された情報信号に基づいて生成された統合データを、汎用の通信プロトコルに対応した通信形式の情報信号に変換し、第1DCS10の制御LANへ送信する。また、例えば、通信制御部1312は、第1DCS10の制御装置14,15から送信された情報信号に基づいて生成された統合データを、第2DCS20の専用プロトコルに対応した通信形式の情報信号に変換し、第2DCS20の制御LANへ送信する。
【0042】
伝送異常ロギング部1313は、第1DCS10の制御装置、及び第2DCS20の制御装置から送信された情報信号が正常に受信されない場合、異常ログデータを記憶する。
【0043】
記憶部132は、例えば、種々の情報を記憶するHDD、及びSSD等の不揮発性の記憶回路により実現される。なお、記憶部132は、CD-ROM、DVD、及びフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。記憶部132は、例えば、本実施形態に係るアプリケーションプログラムを記憶している。また、記憶部132は、例えば、信号の通信形式を、第1DCS10の制御LAN用の通信形式と、第2DCS20の制御LAN用の通信形式との間で変換するための変換テーブルを記憶している。また、記憶部132は、例えば、統合データを生成するための情報を記憶している。
【0044】
通信モジュール133は、イーサネットモジュール等の汎用の通信モジュールである。通信モジュール133は、第1DCS10の第1ハブ16と、例えば、ケーブルを介して接続し、第1DCS10の制御LANへ信号を送信し、当該制御LANにより伝送される信号を受信する。
【0045】
通信モジュール134は、イーサネットモジュール等の汎用の通信モジュールである。通信モジュール134は、第2DCS20の第2ハブ25と、例えば、ケーブルを介して接続し、第2DCS20の制御LANへ信号を送信し、当該制御LANにより伝送される信号を受信する。通信モジュール134は、例えば、第1DCS10の第1ハブ16と接続する通信モジュール133より後に実装される。こうすることで、第2DCS20が撤去され、通信モジュール134が撤去された場合であっても、通信モジュール133を詰めることなく継続して使用することが可能となる。
【0046】
図1及び
図2で示される第2DCS20は、例えば、HMI21、情報処理サーバ22、及び制御装置23,24を備える。HMI21、情報処理サーバ22、及び制御装置23,24は、第2ハブ25に設けられているポートにそれぞれ接続される。これにより、HMI21、情報処理サーバ22、及び制御装置23,24は、例えば、第2DCS20に対して専用に構築された制御LANに接続される。
【0047】
制御装置23は、
図1に示される例では、最初沈殿池31に設けられる設備機器である、例えば、ポンプ311、流量計312、ポンプ313、及び水位計314が制御対象として設定されている。制御装置23は、制御対象として設定されている設備機器を制御する。このとき、制御装置23は、制御対象である設備機器、例えば、流量計312、及び水位計314から送信されるデータと、自装置以外の制御装置から送信される情報信号とに基づき、設備機器を制御する。自装置以外の制御装置から送信される情報信号には、制御装置24から送信される情報信号、及び第1DCS10の制御装置14,15からゲートウェイ装置13を介して送信される情報信号が含まれる。制御装置23は、HMI21から送信される操作信号に従い、設備機器に対する制御動作を実施する。
【0048】
制御装置23は、制御対象として設定されている設備機器に関するデータに基づいて情報信号を生成する。制御装置23は、生成した情報信号を、予め設定された周期で、ゲートウェイ装置13と、自装置以外の制御装置(例えば、制御装置24)とへ送信する。このとき、制御装置23は、情報信号を、例えば、UDPを用いた専用プロトコルに対応した通信形式で複数の送信先へ一斉に送信する。
【0049】
制御装置23は、例えば、制御対象として設定されている設備機器に関するデータに基づいてプロセス信号を生成する。制御装置23は、生成したプロセス信号を、予め設定された周期で、HMI21、及び/又は情報処理サーバ22へ送信する。このとき、制御装置14は、プロセス信号を、例えば、TCP又はUDPを用いた専用プロトコルに対応した通信形式で送信する。
【0050】
制御装置23は、制御対象として設定されている設備機器から受信したデータに基づいて異常信号を生成する。例えば、制御装置23は、設備機器から受信したデータに含まれる値が、予め設定されている閾値を超えたか否かを判断する。制御装置23は、閾値を超える場合、設備機器が設けられている構成に異常が発生したとして、異常信号を生成する。制御装置23は、異常信号を生成すると、生成した異常信号をHMI21へ送信する。このとき、制御装置23は、異常信号を、例えば、TCP又はUDPを用いた専用プロトコルに対応した通信形式でHMI21へ送信する。なお、制御装置23は、生成した異常信号を、HMI21、及び/又は情報処理サーバ22と、情報処理サーバ12とへUDPを用いて送信しても構わない。
【0051】
制御装置24は、制御対象として設定されている設備機器に対し、制御装置23と同様の動作を実施する。制御装置23と同様に、情報信号、プロセス信号、又は異常信号を生成し、生成したこれらの信号を所定の送信先へ送信する。
【0052】
HMI21は、ディスプレイを備え、水処理装置30の現在の状態を、例えば、時系列でディスプレイに表示する。具体的には、例えば、HMI21は、制御装置23,24から送信されるプロセス信号、又は異常信号を受信する。HMI21は、受信したプロセス信号、異常信号、又はこれらのうち少なくともいずれかの組み合わせ等に基づき、予め設定された種類の情報、又は操作員により指定された種類の情報をディスプレイに表示する。なお、HMI21は、第1DCS10の制御装置14,15から情報処理サーバ12を介して受信されるプロセス信号に基づき、所定情報をディスプレイに表示してもよい。
【0053】
情報処理サーバ22は、第2DCS20内で発生するデータを管理する装置である。具体的には、例えば、情報処理サーバ22は、制御装置23,24から送信されるプロセス信号、又は異常信号を、サーバ内に設けられた記憶部へ書き込む。
【0054】
次に、上記構成における情報処理サーバ12、及びゲートウェイ装置13の動作を説明する。
図4は、
図1に示される制御装置14,15から送信される情報信号が制御装置23,24へ送信される際のゲートウェイ装置13の動作の例を表すフローチャートである。
図5は、制御装置14,15から送信される情報信号が制御装置23,24へ送信される際の信号の流れを説明するための模式図である。
【0055】
制御装置14は、制御対象である設備機器、例えば、水位計324から所定の周期で送信される計測データを受信する。制御装置14は、例えば、500ms等の予め設定された周期で、受信した計測データと、制御対象である設備機器、例えば、ポンプ322及びブロワ323に対する制御データ等とに基づいて情報信号を生成する。制御装置14は、生成した情報信号を、汎用の通信プロトコルに対応した通信形式で、例えば、ゲートウェイ装置13、及び制御装置15へ送信する。
【0056】
制御装置15は、制御対象である設備機器、例えば、水位計333から所定の周期で送信される計測データを受信する。制御装置15は、例えば、500ms等の予め設定された周期で、受信した計測データと、及び制御対象である設備機器、例えば、ポンプ331,332に対する制御データ等とに基づいて情報信号を生成する。制御装置15は、生成した情報信号を、汎用の通信プロトコルに対応した通信形式で、例えば、ゲートウェイ装置13、及び制御装置14へ送信する。
【0057】
ところで、制御装置14,15には、それぞれ記憶部が設けられている。制御装置14,15に設けられる記憶部の記憶領域は、第1DCS10に収容される制御装置、及びゲートウェイ装置13それぞれに対して割り当てられている。
図6は、
図1で示される制御装置14,15の記憶部に設定されるメモリマップの例を表す模式図である。
図6によれば、制御装置14,15の記憶部は、制御装置14,15,…、及びゲートウェイ装置13に対してそれぞれ等容量の記憶領域が割り当てられている。
【0058】
また、制御装置23,24には、それぞれ記憶部が設けられている。制御装置23,24に設けられる記憶部の記憶領域は、第2DCS20に収容される制御装置、及びゲートウェイ装置13それぞれに対して割り当てられている。
図7は、
図1で示される制御装置23,24の記憶部に設定されるメモリマップの例を表す模式図である。
図7によれば、制御装置23,24の記憶部は、制御装置23,24,…、及びゲートウェイ装置13に対してそれぞれ等容量の記憶領域が割り当てられている。
【0059】
制御装置14,15から送信される情報信号には、各制御装置に対して割り当てられている記憶領域の容量を上回らない程度の容量の実データが含まれている。実データには、設備機器についての計測データ及び制御データ等が含まれている。
【0060】
ゲートウェイ装置13は、
図5で示されるように、制御装置14,15から送信された情報信号を受信する(ステップS41)。制御装置14,15からの情報信号を受信すると、ゲートウェイ装置13のデータ生成部1311は、受信した情報信号に基づいて統合データを生成する(ステップS42)。
【0061】
具体的には、例えば、データ生成部1311は、制御装置14,15から受信した情報信号に含まれる実データを記憶部132に記憶させる。データ生成部1311は、記憶部132に記憶した、制御装置14についての実データ、及び制御装置15についての実データから、統合データを生成するための情報に則ったデータを抽出する。データ生成部1311は、抽出したデータを統合し、統合データを生成する。統合データには、制御装置14,15で取得されたデータが含まれている。統合データの容量は、例えば、各制御装置に対して割り当てられている記憶領域の容量を上回らない程度である。
【0062】
統合データを生成すると、ゲートウェイ装置13の通信制御部1312は、生成された統合データに基づき、第2DCS20の専用プロトコルに対応した通信形式の情報信号を生成する。このとき、例えば、通信制御部1312は、記憶部132に記憶されている変換テーブルを参照して情報信号を生成する。通信制御部1312は、生成した情報信号を、制御装置23,24等の制御装置を宛先として第2DCS20の制御LANへ送信する(ステップS43)。
【0063】
制御装置23,24は、ゲートウェイ装置13から送信される情報信号を受信する。制御装置23は、受信した情報信号に含まれる統合データを、制御装置23の記憶部のうち、
図7に示されるようにゲートウェイ装置13のために割り当てられた記憶領域に記憶する。制御装置24も、ゲートウェイ装置13から受信した情報信号に含まれる統合データを、制御装置24の記憶部のうち、ゲートウェイ装置13のために割り当てられた記憶領域に記憶する。制御装置23,24は、制御対象である設備機器を、この記憶領域に記憶された統合データを含むデータに基づいて制御する。
【0064】
図8は、
図1に示される制御装置23,24から送信される情報信号が制御装置14,15へ送信される際のゲートウェイ装置13の動作の例を表すフローチャートである。
図9は、制御装置23,24から送信される情報信号が制御装置14,15へ送信される際の信号の流れを説明するための模式図である。
【0065】
制御装置23,24は、制御対象である設備機器から所定の周期で送信される計測データを受信する。制御装置23,24は、例えば、500ms等の予め設定された周期で、受信した計測データと、制御対象である設備機器に対する制御データ等とに基づいて情報信号を生成する。制御装置23は、生成した情報信号を、例えば、第2DCS20の専用プロトコルに対応した通信形式で、ゲートウェイ装置13、及び制御装置24へ送信する。また、制御装置24は、生成した情報信号を、例えば、第2DCS20の専用プロトコルに対応した通信形式で、ゲートウェイ装置13、及び制御装置23へ送信する。
【0066】
ゲートウェイ装置13は、
図9で示されるように、制御装置23,24から送信された情報信号を受信する(ステップS81)。制御装置23,24からの情報信号を受信すると、ゲートウェイ装置13のデータ生成部1311は、受信した情報信号に基づいて統合データを生成する(ステップS82)。
【0067】
具体的には、例えば、データ生成部1311は、制御装置23,24から受信した情報信号に含まれる実データを記憶部132に記憶させる。データ生成部1311は、記憶部132に記憶した、制御装置23についての実データ、及び制御装置24についての実データから、統合データを生成するための情報に則ったデータを抽出する。データ生成部1311は、抽出したデータを統合し、統合データを生成する。統合データには、制御装置23,24で取得されたデータが含まれている。
【0068】
統合データを生成すると、ゲートウェイ装置13の通信制御部1312は、生成された統合データに基づき、汎用の通信プロトコルに対応した通信形式の情報信号を生成する。このとき、例えば、通信制御部1312は、記憶部132に記憶されている変換テーブルを参照して情報信号を生成する。通信制御部1312は、生成した情報信号を、制御装置14,15等の制御装置を宛先として第1DCS10の制御LANへ送信する(ステップS83)。
【0069】
制御装置14,15は、ゲートウェイ装置13から送信される情報信号を受信する。制御装置14は、ゲートウェイ装置13から受信した情報信号に含まれる統合データを、制御装置14の記憶部のうち、
図6に示されるようにゲートウェイ装置13のために割り当てられた記憶領域に記憶する。制御装置15も、ゲートウェイ装置13から受信した情報信号に含まれる統合データを、制御装置15の記憶部のうち、ゲートウェイ装置13のために割り当てられた記憶領域に記憶する。制御装置14,15は、制御対象である設備機器を、この記憶領域に記憶された統合データを含むデータに基づいて制御する。
【0070】
図10は、
図1に示される制御装置23から送信されるプロセス信号又は異常信号がHMI11へ送信される際の情報処理サーバ12の動作の例を表すフローチャートである。
図11は、制御装置23から送信されるプロセス信号又は異常信号がHMI11へ送信される際の信号の流れを説明するための模式図である。
【0071】
制御装置23は、制御対象である、例えば、流量計312及び水位計314等の設備機器から所定の周期で送信される計測データを受信する。制御装置23は、受信した計測データ等に基づき、例えば、500ms等の予め設定された周期でプロセス信号を生成する。制御装置23は、生成したプロセス信号を、例えば、HMI21、及び情報処理サーバ12へ送信する。
【0072】
また、制御装置23は、設備機器から計測データを受信すると、例えば、受信した計測データに含まれる値が予め設定されている閾値を超えたか否かを判断する。具体的には、例えば、制御装置23は、計測データに含まれる水位値に基づき、最初沈殿池31の水位レベルがHH、H、L、及びLLのいずれであるかを判断する。制御装置23は、水位レベルがH、又はHHである場合、最初沈殿池31に異常が発生したとして、異常信号を生成する。制御装置23は、異常信号を生成すると、生成した異常信号をHMI21、及び情報処理サーバ12へ送信する。
【0073】
情報処理サーバ12は、
図11で示されるように、制御装置23から送信されたプロセス信号を受信する(ステップS101)。制御装置23からのプロセス信号を受信すると、情報処理サーバ12のゲートウェイ部1211は、受信したプロセス信号の通信形式を変換し、変換後のプロセス信号をHMI11へ送信する(ステップS102)。
【0074】
具体的には、例えば、ゲートウェイ部1211は、制御装置23から受信したプロセス信号に含まれる設備機器毎のデータを、記憶部122に記憶させる。
図12は、
図3で示される情報処理サーバ12の記憶部122に設定されるメモリマップの例を表す模式図である。
図12によれば、情報処理サーバ12の記憶部122は、監視制御システム1に設けられる設備機器に対してそれぞれ等容量の記憶領域が割り当てられている。
【0075】
ゲートウェイ部1211は、制御装置23から受信したプロセス信号に含まれる設備機器毎のデータを、記憶部122に設定される設備機器毎の記憶領域に記憶させる。ゲートウェイ部1211は、記憶部122に記憶されたデータに基づき、汎用の通信プロトコルに対応した通信形式の情報信号を生成する。このとき、例えば、ゲートウェイ部1211は、記憶部122に記憶されている変換テーブルを参照して情報信号を生成する。ゲートウェイ部1211は、生成した情報信号を、HMI11を宛先として第1DCS10の制御LANへ送信する。
【0076】
同様に、情報処理サーバ12は、
図11で示されるように、制御装置23から送信された異常信号を受信する(ステップS101)。制御装置23からの異常信号を受信すると、情報処理サーバ12のゲートウェイ部1211は、受信した異常信号の通信形式を変換し、変換後の異常信号をHMI11へ送信する(ステップS102)。
【0077】
具体的には、例えば、ゲートウェイ部1211は、制御装置23から受信した異常信号に関するデータを、記憶部122に設定される異常信号用の記憶領域に記憶させる。ゲートウェイ部1211は、記憶部122に記憶されたデータに基づき、汎用の通信プロトコルに対応した通信形式の異常信号を生成する。このとき、例えば、ゲートウェイ部1211は、記憶部122に記憶されている変換テーブルを参照して異常信号を生成する。ゲートウェイ部1211は、生成した異常信号を、HMI11を宛先として第1DCS10の制御LANへ送信する。
【0078】
HMI11は、第2DCS20の制御装置23,24から情報処理サーバ12を介して送信されるプロセス信号、及び/又は異常信号を受信する。HMI11は、受信したプロセス信号、異常信号、又はこれらのうち少なくともいずれかの組み合わせ等に基づく情報をディスプレイに表示する。
【0079】
図13は、
図1に示されるHMI11から送信される操作信号が制御装置23へ送信される際の情報処理サーバ12の動作の例を表すフローチャートである。
図14は、HMI11から送信される操作信号が制御装置23へ送信される際の信号の流れを説明するための模式図である。
【0080】
HMI11は、ディスプレイに表示された内容に対する操作員からの操作を受け付ける。HMI11は、入力された操作に基づいて操作信号を生成する。HMI11は、操作員が操作を要すると判断した設備機器を送信先に含め、生成した送信信号を、汎用の通信プロトコルに対応した通信形式で、情報処理サーバ12へ送信する。
【0081】
情報処理サーバ12は、
図14で示されるように、HMI11から送信された操作信号を受信する(ステップS131)。HMI11からの操作信号を受信すると、情報処理サーバ12のゲートウェイ部1211は、受信した操作信号の通信形式を変換し、変換後の操作信号を送信先として設定された制御装置23へ送信する(ステップS132)。
【0082】
具体的には、例えば、ゲートウェイ部1211は、HMI11から受信した操作信号に含まれる操作データを、記憶部122に設けられている操作項目毎の記憶領域に記憶させる。ゲートウェイ部1211は、記憶部122に記憶されたデータに基づき、第2DCS20の専用プロトコルに対応した通信形式の操作信号を生成する。このとき、例えば、ゲートウェイ部1211は、記憶部122に記憶されている変換テーブルを参照して操作信号を生成する。ゲートウェイ部1211は、生成した操作信号を、制御装置23を宛先として第2DCS20の制御LANへ送信する。
【0083】
制御装置23は、HMI11から送信される操作信号を受信する。制御装置23は、受信した操作信号に従い、設備機器に対する制御動作を実施する。
【0084】
図15は、
図1に示されるゲートウェイ装置13が異常ログデータを記憶する際の動作の例を表すフローチャートである。
制御装置14,15は、例えば、500ms等の予め設定された周期で、汎用の通信プロトコルに対応した通信形式の情報信号を、ゲートウェイ装置13へ送信する。制御装置23,24は、例えば、500ms等の予め設定された周期で、第2DCS20の専用プロトコルに対応した通信形式の情報信号を、ゲートウェイ装置13へ送信する。
【0085】
ゲートウェイ装置13は、制御装置14,15,23,24から送信された情報信号を正常に受信したか否かを判断する。具体的には、例えば、ゲートウェイ装置13の伝送異常ロギング部1313は、先に情報信号を受信してから、所定時間が経過したかを判断する。所定時間は、例えば、情報信号の送信周期である500msに所定の余裕を持たせた時間である。
【0086】
所定時間が経過した場合、伝送異常ロギング部1313は、情報信号の伝送に異常が発生したと判断し、情報信号が正常に受信されなかったことを表すデータを異常ログデータとして記憶部132に記憶する。異常ログデータは、例えば、異常が発生した時刻、異常が繰り返し発生した回数等が関連付けられて記憶される。
【0087】
以上のように、上記実施形態では、監視制御システム1に、汎用の通信プロトコルを用いて制御LANが構築される第1DCS10と、専用プロトコルを用いて制御LANが構築される第2DCS20とが設けられる。第1DCS10には、ゲートウェイ装置13と、情報処理サーバ12とが設けられる。ゲートウェイ装置13は、第1DCS10に設けられる制御装置14,15と、第2DCS20に設けられる制御装置23,24との間で情報信号を伝送する。情報処理サーバ12により実現されるゲートウェイ部1211は、第1DCS10に設けられるHMI11と、第2DCS20に設けられる制御装置23,24との間で信号を伝送する。
【0088】
従来の監視制御システムでは、制御LANの通信プロトコルがそれぞれ異なるDCSの制御装置間で情報信号を送受信しようとする場合、制御装置間を、例えば、さらに別の制御LANで接続する必要がある。また、制御LANの通信プロトコルがそれぞれ異なるDCSのHMIと制御装置との間でプロセス信号を送受信しようとする場合、HMIと制御装置との間を、例えば、さらに別の制御LANで接続する必要がある。制御装置間、又はHMIと制御装置との間でさらに別の制御LANを設けることは、コスト増の要因となる。また、このような別の制御LANを設けていると、例えば、並置運用が終了した場合、当該制御LANを廃棄しなければならず、環境面にも課題がある。
【0089】
これに対し、本実施形態に係る監視制御システム1によれば、第1DCS10に設けられる制御装置14,15と、第2DCS20に設けられる制御装置23,24との間の通信は、ゲートウェイ装置13を介して行われる。また、第1DCS10に設けられるHMI11と、第2DCS20に設けられる制御装置23,24との間の通信は、情報処理サーバ12を介して行われる。これにより、制御装置間、又はHMIと制御装置との間で別回線を設ける必要が無くなる。
【0090】
また、本実施形態では、ゲートウェイ装置13は、制御装置14,15からそれぞれ送信される情報信号に基づき、制御装置14,15についての情報を統合した統合データを生成し、当該統合データを用い、専用プロトコルに対応した通信形式の情報信号を生成するようにしている。これにより、制御装置14,15,23,24の設定をほぼ変更せずに、ゲートウェイ装置13を用いた通信が可能となる。
【0091】
また、本実施形態では、制御装置23,24は、プロセス信号又は異常信号を専用プロトコルに対応した通信形式で送信する。情報処理サーバ12は、制御装置23,24から送信されたプロセス信号又は異常信号を、汎用の通信プロトコルに対応した通信形式へ変換する。そして、HMI11は、情報処理サーバ12で通信形式が変換されたプロセス信号、異常信号、又はこれらの組み合わせに基づく情報をディスプレイに表示するようにしている。これにより、第1DCS10のHMI11が制御装置で生成される異常信号に対応していない場合であっても、HMI11は、第2DCS20の制御装置23,24で生成された異常信号を受け取ることが可能となる。
【0092】
また、本実施形態では、ゲートウェイ装置13は、汎用の通信モジュール133,134を用いるようにしている。これにより、ゲートウェイ装置13に専用モジュールを設ける必要がなくなり、ゲートウェイ装置13を導入するコストが抑えられることになる。
【0093】
また、本実施形態では、ゲートウェイ装置13は、予め設定された期間内に、制御装置14,15,23,24からの情報信号を受信しない場合、異常ログデータを記憶部132に記憶するようにしている。これにより、異常が発生した場合において、下水プラントを安全に運用することが可能となる。
【0094】
したがって、本実施形態に係る監視制御システムによれば、通信形式が異なる複数の分散制御システムに別回線を設けることなく接続可能に含むことができる。これにより、別の制御LAN等を分散制御システム間に設ける必要がなくなり、分散制御システムを並置させる際のコストが低減される。
【0095】
また、本実施形態では、情報処理サーバ12により実現されるゲートウェイ部1211と、ゲートウェイ装置13とを備えるゲートウェイシステムが、監視制御システム1に設けられている。これにより、制御装置間、又はHMIと制御装置との間で別回線を設ける必要が無くなる。
【0096】
なお、本実施形態では、第1DCS10及び第2DCS20がそれぞれ1系統の制御LANに接続される場合を例に説明した。しかしながら、第1DCS10及び第2DCS20が接続される系統は、1つに限定されない。第1DCS10及び第2DCS20は、例えば、それぞれA系及びB系の制御LANと接続してもよい。
【0097】
図16は、A系及びB系の制御LANと接続するゲートウェイ装置13aと、情報処理サーバ12aとの機能構成の例を表すブロック図である。
図16に示されるゲートウェイ装置13aは、A系第1ハブ16-1、B系第1ハブ16-2とそれぞれ接続する通信モジュール133-1,133-2と、A系第2ハブ25-1、及びB系第2ハブ25-2とそれぞれ接続する通信モジュール134-1,134-2を有する。通信モジュール134-1,134-2は、例えば、A系第1ハブ16-1、B系第1ハブ16-2とそれぞれ接続する通信モジュール133-1,133-2より後に実装される。
【0098】
情報処理サーバ12aは、A系第1ハブ16-1、B系第1ハブ16-2とそれぞれ接続する通信モジュール123-1,123-2と、A系第2ハブ25-1、及びB系第2ハブ25-2とそれぞれ接続する通信モジュール124-1,124-2を有する。2系統の制御LANが設けられることにより、冗長構成が形成され、異常が発生した場合であっても安定してプラントを運用することが可能となる。
【0099】
また、本実施形態では、ゲートウェイ装置13がCPU一重化構成を採る場合を例に説明した。しかしながら、ゲートウェイ装置13の構成は、CPU一重化構成に限定されない。ゲートウェイ装置13は、例えば、CPU二重化構成を採るようにしてもよい。
図17は、CPU二重化構成を採るゲートウェイ装置13bの機能構成の例を表すブロック図である。
図17に示されるゲートウェイ装置13bは、例えば、プライマリの処理回路131-1、記憶部132-1、通信モジュール133-1,134-1と、セカンダリの処理回路131-2、記憶部132-2、通信モジュール133-2,134-2とを有する。処理回路131-1と処理回路131-2とは、トラッキングケーブルで接続される。通信モジュール133-1,133-2は、第1ハブ16と、例えば、ケーブルを介して接続する。通信モジュール134-1,134-2は、第2ハブ25と、例えば、ケーブルを介して接続する。通信モジュール134-1,134-2は、例えば、第1ハブ16とそれぞれ接続する通信モジュール133-1,133-2より後に実装される。CPU二重化構成を採ることにより、冗長構成が形成され、異常が発生した場合であっても安定してプラントを運用することが可能となる。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0101】
1…監視制御システム
10…第1DCS
12,12a…情報処理サーバ
13,13a,13b…ゲートウェイ装置
14,15,23,24…制御装置
16,16-1,16-2…第1ハブ
22…情報処理サーバ
25,25-1,25-2…第2ハブ
30…水処理装置
31…最初沈殿池
32…好気槽
33…最終沈殿池
121…処理回路
1211…ゲートウェイ部
1212…記憶制御部
122…記憶部
123,123-1,123-2…通信モジュール
124,124-1,124-2…通信モジュール
131,131-1,131-2…処理回路
1311…データ生成部
1312…通信制御部
1313…伝送異常ロギング部
132,132-1,132-2…記憶部
133,133-1,133-2…通信モジュール
134,134-1,134-2…通信モジュール
311…ポンプ
312…流量計
313…ポンプ
314…水位計
321…散気部
322…ポンプ
323…ブロワ
324…水位計
331…ポンプ
332…ポンプ
333…水位計